2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 5911-1994
白ラック
Bleached lac
1. 適用範囲 この規格は,ラック貝がら虫の分泌物から得たラック樹脂を漂白した白ラック(以下,白
ラックという。)について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 5909 セラック
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8102 エタノール (95) [エチルアルコール (95)](試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8801 標準ふるい
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 57 Bleached lac−Specification
2. 種類 次の4種類とする。
1種 ワックスを除かないもの。
2種 ワックスを除かないで乾燥したもの。
3種 ワックスを除いたもの。
4種 ワックスを除いて精製度を高くしたもの。
3. 品質 品質は6.によって試験したとき,表1のとおりとする。
表1 品質
項目
種類
1種
2種
3種
4種
色
見本品(1)と差異がないこと。
揮発分
%
15以下
6以下
15以下
6以下
温アルコール不溶分 %
1.0以下
0.5以下
0.2以下
ロジン
認めないこと。
灰分
%
1.0以下
0.5以下
ワックス分
%
5.5以下
0.5以下
0.2以下
2
K 5911-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
項目
種類
1種
2種
3種
4種
塩化物(Clとして) %
0.2以下
酸価
65〜110
ひ素(Asとして)
%
0.000 38以下
重金属(Pbとして) %
0.001以下
注(1) 当事者間の合意によってあらかじめ決めたもの,又はあらかじめ製造
業者が一定の品質水準を示すものとして設定又は登録したもので,品
質水準は試料品質の中心的(平均的)水準を示すもの。
4. 一般事項 試料は,速やかに採取し直ちに試験を行わなければならない。
試験において共通する一般事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
5. 試料採取方法及び調整方法
(1) 要旨 試料はロットを代表するように採取し,採取した試料の量が多い場合は必要な量まで縮分し,
必要な粒度まで粉砕する。
(2) 器具 器具は,次のとおりとする。
(a) ふるい JIS Z 8801に規定する網ふるい850μm及び500μm。
(b) はかり 化学はかり又は電子はかり。
(3) 操作 操作は,次のとおり行う。
(3.1) 試料採取
(a) 白ラックの1ロットの容器個数のうち,その10%以上をランダムに抜き取る。
(b) そのそれぞれから200g以上を採取する。
(c) 全試料を十分に混合し,平板上に円すい形に積み上げる。
(d) (c)の円すいを平らにし,場所を変えて(c)の操作を1〜2回繰り返す。
(e) 円すいを頂点から垂直に押し下げるように平らにし,これを扇形に4等分する。
(f) 対角のものを一対取り,他を除く。
(g) (d)〜(f)を繰り返して約150gとし,これを適切な容器に入れ密閉して保存する。
(3.2) 試料の謂製
(a) 試料をよく混合して約100gを取り,これを網ふるい850μmを全通するまで粉砕し,容器に入れて
密閉し,試験に供する。
この試料は,6.1,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9及び6.10に用いる。
また,6.2については,さらに粉砕して網ふるい500μmを全通したものを用いる。
6. 試験方法
6.1
色
(1) 要旨 試料の溶液の色を見本品の溶液の色と比較する。
(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) エタノール (95) JIS K 8102に規定するもの。
(3) 器具 器具は,次のとおりとする。
(a) 試験管 JIS R 3503に規定する外径15mm,長さ150mmのもの。
3
K 5911-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試料と見本品(1)をそれぞれ3.0g量り取って試験管に入れ,エタノール6.0gを加え,常温で溶かす。
これを接するように並べ,拡散昼光のもとで側面から透視して比較する。
(5) 判定 色に差異がないとき“見本品と差異がない”とする。
6.2
揮発分 JIS K 5909の6.2(揮発分)による。
6.3
温アルコール不溶分 JIS K 5909の6.4(温アルコール不溶分)による。ただし,温アルコール不溶
分は,次の式によって算出する。
100
100
0
1
×
×
×NV
m
m
H=
ここに,
H: 温アルコール不溶分 (%)
m1: 乾固物の質量 (g)
m0: 試料の質量 (g)
NV: 100−揮発分 (%)
6.4
ロジン JIS K 5909の6.5(ロジン)による。
6.5
灰分 JIS K 5909の6.6(灰分)による。ただし,灰分は,次の式によって算出する。
100
100
0
1
×
×
×NV
m
m
A=
ここに,
A: 灰分 (%)
m1: 灰の質量 (g)
m0: 試料の質量 (g)
NV: 100−揮発分 (%)
6.6
ワックス分 JIS K 5909の6.7(ワックス分)による。ただし,ワックス分は,次の式によって算出
する。
100
100
0
1
×
×
×NV
m
m
W=
ここに,
W: ワックス分 (%)
m1: ワックスの質量 (g)
m0: 試料の質量 (g)
NV: 100−揮発分 (%)
6.7
塩化物
(1) 要旨 塩化物は,試料をアルコールに溶かして水を加えたとき,ろ液に溶出する硝酸銀溶液で濁りを
生じる混在物をいい,標準液の濁りと比較する。
(2) 試薬 試薬は,次のとおりとする。
(a) エタノール (95) JIS K 8102に規定するもの。
(b) 硝酸 (1+9) JIS K 8541に規定する硝酸10mlに水を加えて100mlとする。
(c) 0.01 mol/l塩酸 JIS K 8001の4.5(滴定用溶液)(5.5)によって調製した0.1mol/l塩酸を正確に10倍
に薄めたもの。
(d) 硝酸銀溶液 JIS K 8550に規定する硝酸銀17.5gを水に溶かして1 000mlとする。この溶液は,遮
光して保存する。
(3) 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
(a) 共栓付三角フラスコ 容量200ml。
(b) 全量フラスコ 容量100ml。
4
K 5911-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(c) 比色管 容量50ml。
(d) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種Cで径125mmのもの。
(4) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試料0.30gを共栓付三角フラスコ200mlに量り取り,エタノール (95) 5mlを加えて溶かす。
(b) 水40mlを加えて振り混ぜ,冷却後硝酸 (1+9) 12ml及び水を加えて100mlとし,再びよく振り混ぜ
てろ過する。ろ液に濁りがあるときは,透明な液になるまでろ過を繰り返す。
(c) ろ液50mlを比色管に取る。
(d) 比較液は,別の比色管に0.01mol/l塩酸0.80mlとエタノール (95) 2.5ml,硝酸 (1+9) 6mlを量り取
り,水を加えて50mlとする。
(e) (c)及び(d)の比色管に硝酸銀溶液1mlづつを加えてよく混合する。
(f) 直射日光を避け,5分間放置した後,黒色の背景を用い比色管の上方又は側方から透視して濁りを
比較する。
(g) 試料溶液の呈する濁りは,(d)で得た溶液の呈する濁りより濃くないこと。
6.8
酸価 JIS K 5909の6.10(酸価)による。ただし,指示薬を用いる場合はフェノールフタレイン溶
液を用い,うすい紅色が30秒間消えなくなったときを終点とする。
6.9
ひ素 JIS K 5909の6.11(ひ素)による。
6.10 重金属 JIS K 5909の6.12(重金属)による。
7. 検査 検査は6.によって試験し,表1に適合しなければならない。
8. 包装 吸湿及び不純物の混入を防ぎ,輸送に適した包装であること。ただし,その容器は密封できる
こと。
参考 紙・ポリエチレン・ラミネートなど又はそれらを併用したものがある。
9. 表示 表示は,包装容器の見やすいところに次の事項を表示しなければならない。
(1) 規格の名称
(2) 種類
(3) 正味質量
(4) 製造業者名又はその略号
(5) 製造年月日又はその略号
(6) 製造番号又はロット番号
備考 上記の表示中,製造番号と製造年月日の併記表示をすることができる。この場合,次の例のと
おり明らかに製造年月日がわかる表示又はその略号であること。
例
10. 注意事項
(1) 白ラックは温度が高いと固まりやすくなり,使用しにくくなることがあるので,貯蔵及び取扱いはで
5
K 5911-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
きるだけ冷所(15℃以下)で行う。
(2) 固まった場合は,粉砕して使用する。
(3) 白ラックは,できるだけ速やかに使用する。
JIS K 5911改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
日 月 紋 次
電気絶縁材料工業会
(副委員長)
牛 尾 悟 司
東日本塗料株式会社
中 島 郁 雄
通商産業省基礎産業局
地 崎 修
工業技術院標準部繊維化学規格課
渡 辺 義 生
通商産業省通商産業検査所
高 木 博
財団法人化学品検査協会
植 草 隆 志
大日本インキ化学工業株式会社
土 屋 文 和
ニチバン株式会社
尾 関 照 親
株式会社岐阜セラツク製造所
塩 山 敬 三
日本シェラック工業株式会社
植 木 正
興洋化学株式会社
(事務局)
小 川 脩 二
日本セラック協同組合