日本工業規格
JIS
K
5661
-1970
建築用防火塗料
Fire-retardant Paints for Buildings
1.
適用範囲 この規格は,建築用防火塗料(以下防火塗料という。)について規定する。
備考 この防火塗料は塗膜が加熱されたときに発ぽうして,断熱層を形成するようにしたもの,また
はとくに厚塗りして,断熱の効果があるようにしたもので,主として建築物の屋内用を目的と
している。
2.
種類 防火塗料は,つぎの 3 種類にわける。
防火塗料 1 種:発ぽう性のもの。
防火塗料 2 種:発ぽう性のもので下塗用と上塗用とに分け,両方で効果をあげるもの。
防火塗料 3 種:厚塗りするもの。
3.
品質 防火塗料は,表 1 の規定に適合しなければならない。
表 1
2
種
種類
1
種
下塗用
上塗用
3
種
容器の中での状態
堅いかたまりがなくて均等になること。もしくは,かたまりが
なく均等であること,または練りまぜれば一様になること。
作業性
はけ塗作業もしくは吹付塗作業またはへら付け作業に支障が
ないこと。
乾燥時間
18
時間
以内
18
時間
以内
18
時間
以内
塗厚 1mm 以
上で 18 時間
以内
塗膜の状態
見本品にくらべて色とつやとは差異が少なく,平らさは少なく
なく,はけ目,荒れ,しわ,むら,臭気,粘着,変色および上
がわきの程度が大きくないこと。
隠ぺい力
見本品にくらべて小さくないこと。
乾湿繰り返し性能
合格すること。
耐衝撃性
合格すること。
耐湿性
合格すること。
防火性
JIS A 1321
(建築物の内装材料および工法の難燃性試験方法)
により試験し,難燃 2 級または難燃 3 級に合格すること。
4.
見本品 見本品は,当事者間の協定によるもので,塗膜の状態および隠ぺい力の 2 項目を除いた 3.の
規定に適合しなければならない。
2
K 5661-1970
5.
試験
5.1
試料採取方法 JIS K 5400(塗料一般試験方法)の 2.による。
5.2
試験の一般条件 つぎの(1)および(2)に指定する事項以外は,JIS K 5400 の 3.による。
(1)
作業性,塗膜の状態,耐衝撃性,耐湿性および防火性の試験に用いる試験板は,つぎの(a)∼(d)による。
(a)
試験板は
日本農林規格 2 類ベニヤコアー合板による 1 等のもので,表板および裏板(それぞれ厚さ
1mm
内外)をしなとし,心材(厚さ 2mm 内外)をラワンとした合板(厚さ 4mm 内外)から,節,
割れ,すきま,きずなどの欠点のない部分を選んで使用する。
(b)
試験板は縦横それぞれ 300mm の正方形とし,その裏面に
図 1 に示すようにそり止めを付けたもの
とする。
(c)
試験片は試験板の表板面に試料をはけ,スプレーガンまたはこてで塗付けるものとする。
図 1
(d)
試験片の数は,乾湿繰り返し試験,耐衝撃性,耐湿性および防火性については 3 個とし,その他に
ついては 1 個とする。
(2)
塗膜の状態,隠ぺい力,乾湿繰り返し試験および耐湿性の試験片は,試料を所定の工程で所定の塗付
量 (g/dm
2
)
に塗り付けたものとする。
(3)
乾湿繰り返し試験および耐湿性の試験片は,塗り付けたのち雨露および日光の直射をさけ,通風のよ
い所に鉛直にして 1 週間以上放置したものを用いるものとする。
5.3
容器の中での状態 JIS K 5400 の 5.1 による。
5.4
作業性 JIS K 5400 の 5.2 による。
5.5
乾燥時間 JIS K 5400 の 5.3 の(3)による。
5.6
塗膜の状態 JIS K 5400 の 6.1 による。
5.7
隠ぺい力 JIS K 5400 の 6.2 による。
5.8
乾湿繰り返し試験 各試験片を温度 20±3℃,湿度約 90%の容器中に鉛直にして 19 時間おいたのち,
取り出して約 50℃の乾燥器中に 5 時間おく。この操作を 3 回繰り返し,各試験片の塗面に著しい変化が認
められないときは合格とする。
3
K 5661-1970
5.9
耐衝撃性試験 JIS K 5400 の 6.12 による。ただし,試験片は 5.8 の乾湿繰り返し試験に合格したも
のを常温で,1 時間以上放置して用いる。
試験片は,
図 2 に示すように塗面の両端を 280mm の支間距離としてささえ,塗面を下にして水平に置
き,その中心におもりを高さ 1m から 5 回落とし,各試験片の塗面にはく落を生じない場合は合格とする。
おもりは 300g の鋼球とする。
図 2
5.10
耐湿性試験 各試験片を温度 20±3℃,湿度約 90%の容器中に鉛直にして 72 時間おいたのち,取り
出して,塗面に著しい変化が認められない場合は合格とする。
6.
表示
6.1
防火性は,JIS A 1321 によるつぎの 2 級別で表示する。
難燃 2 級
難燃 3 級
6.2
防火塗料は容器の外面に,製造業者名またはその略号,製造年月,製品名,種類および難燃の級別
に対する塗厚または塗付量を明示しなければならない。
表示例
製造業者名
製造年月
製品名
種類 JIS K 5661-1963 2 種(下塗用)
難燃級別
塗厚(
1
) (mm)
塗付量(
2
) (kg/m
2
)
級別
下塗
上塗
下塗
上塗
難燃 2 級
難燃 3 級
注(
1
)
塗厚とは,乾燥後の塗膜の厚さをいう。
(
2
)
塗付量とは,塗面に塗付けたなまの塗料の単位面積あたり重量をいう。