K 5621:2019
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 2
5 品質······························································································································· 2
6 見本品···························································································································· 3
7 試験方法························································································································· 3
7.1 サンプリング ················································································································ 3
7.2 試験用試料の検分及び調製 ······························································································ 3
7.3 試験の一般条件 ············································································································· 4
7.4 容器の中の状態 ············································································································· 4
7.5 低温安定性 ··················································································································· 4
7.6 塗装作業性 ··················································································································· 4
7.7 表面乾燥性 ··················································································································· 5
7.8 塗膜の外観 ··················································································································· 5
7.9 上塗り適合性 ················································································································ 5
7.10 耐屈曲性 ····················································································································· 6
7.11 付着安定性 ·················································································································· 6
7.12 サイクル腐食性 ············································································································ 7
7.13 加熱残分 ····················································································································· 8
7.14 屋外暴露耐候性 ············································································································ 8
7.15 塗膜からのホルムアルデヒド放散等級 ·············································································· 9
8 検査······························································································································· 9
9 表示······························································································································· 9
附属書A(規定)フィルムアプリケータ塗装 ············································································ 11
附属書B(参考)一般用さび止めペイントの試験に必要な試験板及び試験日数 ································ 12
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
塗料工業会(JPMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。これによって,JIS K 5621:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成32年3月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 5621:2008を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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一般用さび止めペイント
Anticorrosive paints for general use
序文
この規格は,1952年に制定され,その後10回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は2008年に
行われたが,その後の引用規格の一部廃止に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,さび止め顔料に鉛系及びクロム系成分を使用しないで,一般的な環境下での鉄鋼製品など
のさび止めに用いる一般用さび止めペイントについて規定する。ただし,JIS K 5674に規定する鉛・クロ
ムフリーさび止めペイントは除く。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 3303 ぶりき及びぶりき原板
JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS K 5500 塗料用語
JIS K 5516 合成樹脂調合ペイント
JIS K 5600-1-1 塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)
JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング
JIS K 5600-1-3 塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調製
JIS K 5600-1-4 塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板
JIS K 5600-1-5 塗料一般試験方法−第1部:通則−第5節:試験板の塗装(はけ塗り)
JIS K 5600-1-6 塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度
JIS K 5600-1-7 塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚
JIS K 5600-1-8 塗料一般試験方法−第1部:通則−第8節:見本品
JIS K 5600-2-7 塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第7節:貯蔵安定性
JIS K 5600-3-2 塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第2節:表面乾燥性(バロチニ法)
JIS K 5600-4-3 塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較
JIS K 5600-5-1 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレ
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ル法)
JIS K 5600-6-1 塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)
JIS K 5600-7-6 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第6節:屋外暴露耐候性
JIS K 5600-7-7 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第7節:促進耐候性及び促進耐光性
(キセノンランプ法)
JIS K 5600-7-9 塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第9節:サイクル腐食試験方法−塩
水噴霧/乾燥/湿潤
JIS K 5600-8-1 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−欠陥の量,大きさ及び外観の変化に関
する表示−第1節:一般原則及び等級
JIS K 5600-8-2 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第2節:膨れの等級
JIS K 5600-8-3 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第3節:さびの等級
JIS K 5600-8-5 塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第5節:はがれの等級
JIS K 5601-1-1 塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)
JIS K 5601-1-2 塗料成分試験方法−第1部:通則−第2節:加熱残分
JIS K 5601-4-1 塗料成分試験方法−第4部:塗膜からの放散成分分析−第1節:ホルムアルデヒド放
散量の求め方
JIS K 5660 つや有合成樹脂エマルションペイント
JIS K 5674 鉛・クロムフリーさび止めペイント
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3202 フロート板ガラス及び磨き板ガラス
JIS R 6253 耐水研磨紙
JIS S 6050 プラスチック字消し
JIS Z 1522 セロハン粘着テープ
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 5500による。
4
種類
種類は,次によって区分する。
a) 1種 屋内外における鉄鋼製品に用いるボイル油系さび止め塗料。
b) 2種 屋内外における鉄鋼製品に用いる有機溶剤を揮発成分とする液状・自然乾燥性のさび止め塗料。
c) 3種 屋内外における鉄鋼製品に用いる速乾性があり,短期間の屋外暴露耐候性をもつ有機溶剤を揮
発成分とする液状・自然乾燥性のさび止め塗料。
d) 4種 屋内における鉄鋼製品に用いる水を主要な揮発成分とする液状・自然乾燥性のさび止め塗料。
5
品質
品質は,箇条7によって試験を行ったとき,表1に適合しなければならない。
なお,ホルムアルデヒド放散等級は,7.15によって試験し,表2のとおり区分する。
3
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表1−品質
項目
種類
試験
項目
番号
1種
2種
3種
4種
容器の中の状態
かき混ぜたとき,硬い塊がなく一様になる
7.4
低温安定性(−5 ℃)
−
変質しない
7.5
塗装作業性
支障がない
7.6
表面乾燥性
表面乾燥する
7.7
塗膜の外観
正常である
7.8
上塗り適合性
支障がない
7.9
耐屈曲性
折り曲げに耐える
7.10
付着安定性
剝がれを認めない
7.11
サイクル腐食性
28サイクルで膨れ,さび
及び剝がれがない
20サイクルで膨れ,さび
及び剝がれがない
7.12
加熱残分
(質量分率%)
90以上
70以上
60以上
50以上
7.13
屋外暴露耐候性
6か月の屋外暴露耐候性試験に耐える
3か月の屋外暴露耐候性試験に耐える
7.14
“−”:当該試験を適用しないことを示す。
注記 記載項目の試験に必要な試験板の材質,寸法,枚数及び試験日数を附属書Bに示す。
表2−ホルムアルデヒド放散等級
ホルムアルデヒド
放散等級分類
記号
F☆☆☆☆
F☆☆☆
F☆☆
−
放散量
0.12 mg/L以下
0.35 mg/L以下
1.8 mg/L以下
1.8 mg/Lを超える
“−”:ホルムアルデヒド放散等級を規定しないことを示す。また,7.15の試験を行わないものは,これと同
じとみなす。
6
見本品
見本品は,JIS K 5600-1-8に規定する見本品の区分によって,表3のとおりとする。
表3−見本品
試験項目
観察項目
見本品の区分
形態
設定方式
品質水準
塗膜の外観
色及びつや
塗膜見本又は
塗料見本
社内見本品
中心見本品
色むら,つやむら,はけ目,
流れ及びしわ
限度見本品
屋外暴露耐候性
塗面の膨れ,さび及び剝が
れの有無
7
試験方法
7.1
サンプリング
サンプリングは,JIS K 5600-1-2による。
7.2
試験用試料の検分及び調製
試験用試料の検分及び調製は,JIS K 5600-1-3によるほか,次による。
a) かくはん(攪拌)して均一の液体とする。
4
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b) 必要なとき,製造業者の指定するうすめ液を用いて,はけ塗りの場合20 %(質量比)以下,吹付け塗
りの場合30 %(質量比)以下でうすめてもよい。
7.3
試験の一般条件
試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1,JIS K 5600-1-6及びJIS K 5601-1-1によるほか,次による。
a) 試験の場所 試験の場所は,次による。
1) 養生及び試験を行う場所は,他に規定のない場合は,JIS K 5600-1-6の4.1[標準条件(可能な場合
常に使用するべき条件)]に規定する条件[温度23±2 ℃,相対湿度(50±5) %]で,直射日光
を受けず,ガス,蒸気,ほこりなどの影響がなく,通風の少ない室内とする(以下,標準状態とい
う。)。
2) 目視観察のときの光源は,JIS K 5600-4-3の5.2(自然昼光照明)の拡散昼光による。ただし,JIS K
5600-4-3の5.3(色観察ブースの人工照明)に規定する色観察ブースを用いてもよい。
b) 試験板の作製 試験板は,他に規定のない場合は,JIS G 3141に規定するSPCC-SBの鋼板を用い,JIS
K 5600-1-4の5.1.5(研磨による調整)によって調整をした鋼板とする。
なお,研磨に用いる耐水研磨紙は,JIS R 6253に規定するP280とする。
c) 試料の塗り方 試料の塗り方は,他に規定のない場合は,1種,2種及び4種については,はけ塗りと
し,JIS K 5600-1-5によって,1回ごとの塗付け量は,乾燥膜厚で30 μm〜40 μmになるように塗る。
3種については,吹付け塗りとし,乾燥膜厚で30 μm〜40 μmとする。塗膜の厚さは,JIS K 5600-1-7
によって測定し,7日間乾燥後の厚さが,規定の範囲に入るようにする。
なお,はけ塗りに用いるはけの種類は,JIS K 5600-1-5の3.1(はけ)又は附属書A[試験板の塗装
(はけ塗り)]による。
d) 乾燥方法 乾燥方法は, 他に規定のない場合は,標準状態で乾燥する。
なお,塗り終わった試験片の保持は,JIS K 5600-1-1の表1(塗るときの環境条件・塗り方と試験板
の固定・保持)による。
7.4
容器の中の状態
容器の中の状態の試験は,JIS K 5600-1-1の4.1.2 a)(液状塗料の場合)による。
7.5
低温安定性
低温安定性の試験は4種に適用し,次による。
a) 試験板 試験板は,7.3 b)に規定する鋼板とし,寸法は,500 mm×200 mm×0.8 mmとする。
b) 試験方法 試験方法は,JIS K 5600-2-7の4.(低温安定性)による。
c) 評価及び判定 b)によって試験した試料の容器をあけ,試料をかくはん(攪拌)して,均一になるか
どうかを調べる。均一になった試料を用いて試験板に,7.3 c)によって1回塗り付けて塗装作業性を調
べる。7.3 d)によって48時間乾燥後塗膜の外観を調べる。判定は,試料をかくはん(攪拌)したとき
均一になり,塗装作業性に支障がなく,さらに,乾燥した塗膜の外観に異常がないとき,“変質しない”
とする。
7.6
塗装作業性
塗装作業性の試験は,次による。
a) 試験板 試験板は,7.3 b)に規定する鋼板とし,寸法は,500 mm×200 mm×0.8 mmとする。
b) 試験方法 試験方法は,試験板の片面に試料を7.3 c)の方法によって1回塗る。
c) 評価及び判定 1種,2種及び4種の場合,はけ塗り作業に困難を感じないとき,“支障がない”とし,
3種の場合,吹付け塗り作業に困難を感じないとき,“支障がない”とする。
5
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なお,“支障がない”と判定された試験片は7.8の試験に用いる。
7.7
表面乾燥性
表面乾燥性の試験は,次による。
a) 試験板 試験板は,JIS R 3202に規定するフロート板ガラス又は磨き板ガラスを用い,JIS K 5600-1-4
の5.5.2(溶剤洗浄による調整)によって調整をしたガラス板とする。寸法は,200 mm×100 mm×2 mm
とする。
b) 試験片の作製 試験片の作製は,附属書Aに規定する,隙間100 μmのフィルムアプリケータを用い
て,試料をうすめずに塗り付ける。
c) 試験方法 試験方法は,JIS K 5600-3-2による。乾燥時間を,1種の場合20時間,2種の場合8時間,
3種の場合2時間及び4種の場合4時間とする。
d) 評価及び判定 規定乾燥時間の直前に試験を開始した結果,規定時間までに表面乾燥の状態となると
判定された場合,“表面乾燥する”とする。
7.8
塗膜の外観
塗膜の外観の試験は,次による。
a) 試験片 試験片は,7.6によって“支障がない”と判定されたものを試験片とする。
b) 試験方法 試験方法は,JIS K 5600-1-1の4.4(塗膜の外観)による。試験片を7.3 d)によって48時間
乾燥する。
c) 評価及び判定 試験片を拡散昼光の下で目視によって観察し,試験片の塗膜の色及びつやが,見本品
に比べて差異が少なく,また,色むら,つやむら,はけ目,流れ及びしわの程度が見本品に比べて差
異が大きくなく,更に4種の場合は,フラッシュさびがないとき,“正常である”とする。
なお,見本品は,表3に規定する塗膜見本,社内見本品で,限度見本品とする。
7.9
上塗り適合性
上塗り適合性の試験は,次による。
a) 試験板 試験板は,7.3 b)に規定する鋼板とし,寸法は,200 mm×100 mm×0.8 mmとする。ただし,
4種の原状試験片に用いる試験板は,JIS G 3303に規定する,電気めっきぶりき板SPTE5.6/5.6/T-2と
する。寸法は,200 mm×100 mm×0.3 mmとする。
b) 試験片の作製 試験片の作製は,試料を試験板1枚の片面に7.3 c)によって1回塗り,48時間乾燥後,
上塗り塗料をはけで1回塗り重ねて48時間乾燥したものを試験片とする。上塗り塗料は,乾燥膜厚で
20 μm〜30 μmになるように塗る。上塗りに用いる塗料として1種,2種及び3種の場合は,JIS K 5516
に規定する合成樹脂調合ペイント1種白を用いる。4種の場合は,JIS K 5660に規定するつや有合成
樹脂エマルションペイント白を用いる。同時に1種,2種及び3種の場合,別の試験板に同じ上塗り
塗料だけを同じ方法で塗装した後,48時間乾燥したものを原状試験片とする。4種の場合,a)で規定
している試験板(電気めっきぶりき板SPTE5.6/5.6T-2)に同じ上塗り塗料だけを同じ方法で塗装した
後,48時間乾燥したものを原状試験片とする。
c) 評価及び判定 評価は,試験片を拡散昼光の下で目視によって観察する。判定は,試験片の作製で上
塗り塗料を塗り重ねたとき,塗装作業に支障がなく,試験片の上塗り塗膜に,はじき,割れ,穴,膨
れ及び剝がれを認めず,原状試験片に比べて,つやの差異,粘着及びしわの差がないとき,更に4種
の場合は,フラッシュさびがないとき,“支障がない”とする。ただし,試験片の周囲の幅10 mm以
内は評価の対象外とする。
6
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7.10 耐屈曲性
耐屈曲性の試験は,次による。
a) 試験板 試験板は,7.3 b)に規定する鋼板とし,寸法は,150 mm×50 mm×0.3 mmとする。
b) 試験片の作製 試験片の作製は,試験板の片面に7.3 c)によって試料を1回塗り24時間乾燥後,120
±2 ℃に保った恒温器で1時間加熱し,取り出して標準状態で1時間置いたものを試験片とする。
試験片は2枚作製する。
c) 試験方法 試験方法は,JIS K 5600-5-1による。タイプ1の試験装置を用い,試験片を直径6 mmのマ
ンドレルの周りに沿って折り曲げる。
d) 評価及び判定 評価は,試験片2枚について,目視によって観察を行い,塗膜に割れ及び素地からの
剝がれを認めないとき,“折り曲げに耐える”とする。
7.11 付着安定性
付着安定性の試験は,次による。
a) 装置及び材料 装置及び材料は,次による。
1) 促進耐候性試験装置は,JIS K 5600-7-7による。
2) ろ紙は,JIS P 3801に規定する化学分析用のもの,又は同等品とする。
3) セロハン粘着テープは,JIS Z 1522に規定する幅18 mmのもの,又は同等品とする。
4) カッタナイフは,図1に示す形状及び寸法のもので,JIS G 4401に規定するSK120,又は同等品で,
折取線から折り取って新しい刃先を出し,適切なホルダーに取り付け,手に持って用いるようにし
たものとする。
5) プラスチック字消しは,JIS S 6050に規定するもの,又は同等品とする。
単位 mm
図1−カッタナイフの刃の例
b) 試験板 試験板は,7.3 b)に規定する鋼板とし,寸法は,150 mm×70 mm×0.8 mmとする。
c) 試験片の作製 試験片の作製は,次による。
1) 試験板に試料を7.3 c)によって1回塗り付ける。塗り付け後,周辺約5 mm及び裏面を同じ塗料で塗
り包む。又は,防食用ビニルテープを用いてシールしてもよい。24時間乾燥し,JIS K 5600-7-7に
規定する促進耐候性試験装置(方法1 促進耐候性)を用いて,JIS K 5600-7-7の表3(試験片ぬれ
サイクル)のサイクルAの条件で60時間照射する。
2) 1)の作業終了後,1種,2種及び3種ではJIS K 5516に規定する合成樹脂調合ペイント1種白を,4
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種ではJIS K 5660に規定するつや有合成樹脂エマルションペイント白を,乾燥膜厚が20 μm〜30 μm
になるようにはけで塗り付け,16時間乾燥した後,再び1)と同じ条件で,促進耐候性試験装置を用
いて60時間照射する。これを試験片とし,2枚作製する。
d) 試験方法 試験方法は,次による。
1) 試験片を,JIS K 5600-6-1の箇条7[方法1(浸せき法)]によって23±1 ℃の水に24時間浸せき(漬)
した後,取り出して表面の水をJIS P 3801に規定するろ紙(化学分析用)で拭き取り,JIS K 5600-1-1
の3.1.1に規定する一般状態で,1種,2種及び3種は30分間,4種は24時間乾燥する。
2) 試験片の中央にカッタナイフを用いて,互いに約30度の角度で交わり素地に達する長さ40 mmの
切りきずを図2のように付ける。切りきずを付けるにはスチール製の定規などを用いて,カッタナ
イフの刃先を塗面に対して35度〜45度の範囲で一定の角度に保ち,約0.5秒間かけて等速で引く。
3) 交差する2本の切りきずの上から図2のように接着部分の長さが約50 mmになるようにセロハン粘
着テープを貼り付け,セロハン粘着テープの接着部分の全面をプラスチック字消しで均等にこすり,
気泡があるときはプラスチック字消しで気泡を潰すようにこすって塗膜にセロハン粘着テープを完
全に付着させる。
4) セロハン粘着テープを付着させてから90±30秒の間に,セロハン粘着テープの一方の端を持って図
3のように塗面に直角に保ち,瞬間的に引き剝がす。
e) 評価及び判定 試験片2枚の双方に,切りきずに沿って幅1 mm以上の下塗りと上塗りとの塗膜間の
剝がれを認めないとき,“剝がれを認めない”とする。
図2−テープの貼り付け方
図3−テープを剝がす方向
7.12 サイクル腐食性
サイクル腐食性の試験は,次による。
a) 試験板 試験板は,7.3 b)に規定する鋼板とし,寸法は,150 mm×70 mm×0.8 mmとする。
b) 試験片の作製 試験片の作製は,試験板に試料を乾燥膜厚が30 μm〜40 μmになるように7.3 c)によっ
て1回塗り付けて24時間乾燥する。試験片の裏面及び周辺約5 mmを同じ塗料で塗り包み,6日間乾
燥後,7.11 c) 1)と同じ条件で,促進耐候性試験装置によって60時間照射したものを試験片とする。試
験片は,3枚作製する。
c) 試験方法 試験方法は,次による。
1) 切り込みきずの付け方は,JIS K 5600-7-9の7.5(切り込みきずの付け方)のa)による(図4参照)。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図4−交差線のきずの付け方
2) JIS K 5600-7-9に規定するサイクル腐食試験装置に試験片を取り付け,JIS K 5600-7-9の附属書1(サ
イクルD)の条件で試験を行う。1種及び2種では28サイクル,3種及び4種では20サイクル行っ
た後,試験片を取り出して流水で洗い,JIS K 5600-1-1の3.1.1に規定する一般状態で2時間乾燥し
た後,塗膜を調べる。
d) 評価及び判定 評価は,目視によって,塗膜の膨れ,剝がれ及びさびの有無を観察する。このとき,
試験片の周辺10 mm以内及び塗膜に付けたきずの両側それぞれ2 mm以内の塗膜は,観察の対象から
外し,さび汁による汚れも評価の対象外とする。
判定は,試験片3枚のうち2枚の塗膜に,膨れ,さび及び剝がれを認めないとき,1種及び2種で
は“28サイクルで膨れ,さび及び剝がれがない”とし,3種及び4種では“20サイクルで膨れ,さび
及び剝がれがない”とする。
7.13 加熱残分
加熱残分の試験は,JIS K 5601-1-2による。ただし,試験条件は,加熱温度105±2 ℃,加熱時間1時間
とする。
7.14 屋外暴露耐候性
屋外暴露耐候性の試験は,JIS K 5600-7-6によるほか,次による。
a) 試験板 試験板は,7.3 b)に規定する鋼板とし,寸法は,300 mm×150 mm×1 mmとする。
b) 試験片の作製 試験片及び見本品用それぞれ3枚作製する。試料の塗り方は,1種,2種及び4種につ
いては,はけ塗り2回で乾燥膜厚が30 μm〜40 μmになるように24時間間隔で塗り付ける。3種につ
いては,吹付け塗り(エアスプレー塗り)1回で乾燥膜厚が30 μm〜40 μmになるように塗り付ける。
ただし,製造業者の指定による場合は,1種,2種及び4種についても,吹付け塗り(エアスプレー塗
り)1回で乾燥膜厚が30 μm〜40 μmになるように塗り付けてもよい。見本品も同様に塗り付ける。塗
り終わった試験片及び見本品試験片は,JIS K 5600-1-1の3.1.1に規定する一般状態で7日〜14日間乾
燥後,試験を開始する。
なお,見本品は,表3に規定する塗料見本とする。
c) 試験片の裏面及び周辺の処理 試験片は,それぞれ同じ種類の試料を用い,裏面及び周囲約5 mmを
試験に影響がないように,24時間間隔で2回以上塗り包んでおく。見本品試験片も同様に処理を行う。
d) 屋外暴露の開始・期間 屋外暴露の開始・期間は,次による。
1) 試験の開始は,4月又は10月とする。この時期以外に試験を開始する必要が生じた場合には,4月,
10月以外にも試験を開始することができる。
2) 試験の期間は,1種及び2種は6か月,3種及び4種は3か月とする。
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e) 試験方法 試験方法は,JIS K 5600-7-6による。ただし,試験片の暴露の角度は,水平に対して30度
の角度を保つ。
f)
評価 屋外暴露を終了した試験片の塗面について,JIS K 5600-8-1〜JIS K 5600-8-3及びJIS K 5600-8-5
によって,塗面の膨れ,さび及び剝がれの有無を,目視によって観察し評価する。同時に試験片と見
本品試験片とで,さび,膨れ及び剝がれの程度を比較する。ただし,試験片及び見本品試験片の周辺
からそれぞれ10 mm以内の塗膜は評価の対象外とする。
g) 判定 判定は,試験の期間が1種及び2種は6か月,3種及び4種は3か月に達した試験片と見本品
試験片とを比べて,3枚のうち2枚の試験片が見本品試験片より,さび,膨れ及び剝がれの程度が大
きくないとき,“6か月の屋外暴露耐候性試験に耐える”及び“3か月の屋外暴露耐候性試験に耐える”
とする。
h) 試験の実施及び管理 試験の実施及び管理は,JIS K 5600-7-6の附属書1(耐候試験の実施及び管理)
による。ただし,塗料製造業者による試験の実施及び公的試験機関への試験の委託は,製品の過去に
おける成績と使用実績とに基づいて適切な時期を選んで行うが,少なくとも3年間に1回以上,製品
を公的機関に送って試験を委託する。
なお,記録の保存期間は,5年間とする。
7.15 塗膜からのホルムアルデヒド放散等級
塗膜からのホルムアルデヒドの放散等級は,JIS K 5601-4-1の箇条5(デシケータ法)によるほか,次に
よる。
a) 試験板 試験板は,JIS R 3202に規定するフロート板ガラス又は磨き板ガラスを用い,JIS K 5600-1-4
の5.5.2(溶剤洗浄による調整)によって調整したガラス板とする。又はJIS H 4000に規定するアルミ
ニウムとし,JIS K 5600-1-4の5.4.2(溶剤洗浄による調整)によって調整したアルミニウム板とする。
寸法は,JIS K 5601-4-1の5.5.2(試験板の寸法及び枚数)によって,長さ150±1 mm,幅150±1 mm
とする。
b) 試験片の作製 試験片は4枚作製する。1種,2種及び4種は,はけ塗りで,3種は,吹付け塗りで1
回塗りとし,乾燥膜厚が30 μm〜40 μmになるように塗りつけたものを試験片とする。
c) 養生時間 養生時間は,7日間とする。
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検査
検査は,箇条7によって試験したとき,表1の品質及び表2に適合しなければならない。形式検査は,
表1の全項目及び表2とし,受渡検査の項目は,受渡当事者間の協定とする。ただし,屋外暴露耐候性は,
形式検査だけとし,過去に生産された製品についてJIS K 5600-7-6の附属書1(耐候試験の実施及び管理)
によって品質の長期管理が行われ,その屋外暴露耐候性試験の成績が適切であるときは,現在の製品が適
合するものとする。
9
表示
一般用さび止めペイントの容器には,容易に消えない方法で,次の事項を表示する。
a) この規格の番号及び規格の名称
b) 種類
c) 正味質量又は正味容量
d) 製造業者名又はその略号
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e) 製造年月又はその略号
f)
製造番号又はロット番号
g) ホルムアルデヒド放散等級分類記号(表2のF☆☆☆☆〜F☆☆に該当するものに適用する。)
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附属書A
(規定)
フィルムアプリケータ塗装
A.1
器具
フィルムアプリケータの形状及び隙間の寸法は,表A.1による。
A.2
厚さの測定
塗料層及び塗膜の厚さの測定は,JIS K 5600-1-7による。
A.3
フィルムアプリケータの選択
フィルムアプリケータは,各箇条に規定したものを用いる。
A.4
試料の塗り方
試料の塗り方は,次による。
a) 試験板の長辺を縦に,短辺を横にして水平面に固定する。
b) 試験板の先方の短辺付近の位置に,短辺に平行にフィルムアプリケータを置き,そのすぐ手前の試験
板の上に試料を広げる。
c) フィルムアプリケータの両端を両手の指でつまみ,試験板にフィルムアプリケータを押し付けながら,
150 mmを約1秒間の速さで手前に一気に引く。
d) 試料を塗り終わった後,試験板の塗面を上向きにして水平に置く。
表A.1−フィルムアプリケータの形状及び隙間の寸法
単位 µm
隙間
75
100
125
150
200
250
500
許容差
±2
±3
±3
±4
±4
±5
±5
単位 mm
A形
B形
h:隙間
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附属書B
(参考)
一般用さび止めペイントの試験に必要な試験板及び試験日数
表B.1−一般用さび止めペイントの試験に必要な試験板及び試験日数
材質
寸法(mm)
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14
15以上
7.4
容器の中の状態
−
−
7.5
低温安定性
鋼板
500×200×0.8
×18
18 618 6
48
7.6
塗装作業性
鋼板
500×200×0.8
1種
20
2種
8
3種
2
4種
○
7.8
塗膜の外観
−
−
48
7.9
上塗り適合性
鋼板
ぶりき板
200×100×0.8
200×100×0.3
48
48
7.10 耐屈曲性
鋼板
150×50×0.3
1 1
7.11 付着安定性
鋼板
150×70×0.8
60
1660
240.5
4種
144
60
168
2
120
...2
7.13 加熱残分
−
−
×
11
24
7〜14日
6か月
1種,2種
見本品
24
7〜14日
3か月
3か月
3種
見本品
4種
見本品
7.15
塗膜からのホルムアルデヒド
放散等級
ガラス板又は
アルミニウム板
150×150
168
24
◎
注記1 記号の説明 ×:試料の採取,○:塗付け, ◎:判定, :放置, :加熱, :試験片の共用, △:その他の操作
注記2 試験日数欄の数字は,時間(h)を示す。
注記3 7.14 屋外暴露耐候性の1種,2種,見本品は,2回塗りの場合を示す。
2×2
1
試料1・原状試験
片1
計2
(4種の現状試験
片はぶりき板)
2
24
試験日数(日)
項目
番号
項目
試験板
1
枚数(枚)
−
サイクル腐食性
鋼板
150×70×0.8
1
6
(1種,2種)
(3種,4種)
3
4
24
2
24
7.14 屋外暴露耐候性
鋼板
300×150×1
試料3・見本品3
計6
−
−
7.7
表面乾燥性
ガラス板
200×100×2
1
7.12
24
2
K
5
6
2
1
:
2
0
1
9
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。