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K 5600-9-1:2006 

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本塗料工業会(JPMA)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 8130-6:1992,Coating powders−Part 

6:Determination of gel time of thermosetting coating powders at a given temperatureを基礎として用いた。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。 

JIS K 5600-9-1には,次に示す附属書がある。 

附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 5600の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 5600-9-1 第9部:粉体塗料−第1節:所定温度での熱硬化性粉体塗料のゲルタイムの測定方法 

JIS K 5600-9-2 第9部:粉体塗料−第2節:傾斜式溶融フロー試験方法 

JIS K 5600-9-3 第9部:粉体塗料−第3節:レーザ回析による粒度分布の測定方法 

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目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 定義 ······························································································································ 2 

3.1 ゲルタイム (gel time) ······································································································ 2 

4. 原理 ······························································································································ 2 

5. 材料 ······························································································································ 2 

6. 装置 ······························································································································ 2 

6.1 加熱ブロック ················································································································ 2 

6.2 温度測定装置 ················································································································ 3 

6.3 マイクロスパチュラ ······································································································· 3 

6.4 タイマー ······················································································································ 3 

6.5 かくはん棒 ··················································································································· 3 

6.6 スクレーパ ··················································································································· 3 

7. サンプリング ·················································································································· 3 

8. 操作 ······························································································································ 3 

9. 試験報告 ························································································································ 4 

附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ····································································· 5 

  

   

日本産業規格          JIS 

K 5600-9-1:2006 

塗料一般試験方法− 

第9部:粉体塗料− 

第1節:所定温度での熱硬化性粉体塗料の 

ゲルタイムの測定方法 

Testing methods for paints-Part 9 : Coating powders- 

Section 1 : Determination of gel time of thermosetting coating  

powders at a given temperature 

序文 この規格は,1992年に第1版として発行されたISO 8130-6,Coating powders−Part 6:Determination of 

gel time of thermosetting coating powders at a given temperatureを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本

産業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧

表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。 

警告 この規格の利用者は,通常の実験室の作業に精通しているものとする。この規格は,その利用に関

連して起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自

の責任において,安全で健康な作業の確保及び関連する全ての法律を遵守しなければならない。 

1. 適用範囲 この規格は,温度180 ℃での熱硬化性粉体塗料のゲルタイムの測定方法について規定する。

ただし,この方法は,15秒間以内の短時間ゲルタイムの粉体塗料には適用できない。 

備考1. ゲルタイムの測定は,粉体塗料の特性及び品質管理用として非常に簡便な方法である。しか

し,この方法によって測定したゲルタイムは,実際に適用される粉体塗料の硬化時間には直

接関係しない。 

2. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 8130-6:1992,Coating powders−Part 6:Determination of gel time of thermosetting coating 

powders at a given temperature (MOD) 

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2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 5500 塗料用語 

備考 ISO 4618-1:1998,Paints and varnishes−Terms and definitions for coating materials−Part 1: 

General terms,ISO 4618-2:1999,Paints and varnishes−Terms and definitions for coating 

materials −Part 2: Special terms relating to paint characteristics and properties及びISO 

4618-3:1999,Paints and varnishes−Terms and definitions for coating materials−Part 3: Surface 

preparation and methods of applicationからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング 

備考 ISO 8130-9:1992,Coating powders−Part 9: Samplingからの引用事項は,この規格の該当事

項と同等である。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 5500によるほか,次による。 

3.1 ゲルタイム (gel time) 指定容量の粉体塗料が溶融後,指定条件の下で変形できなくなるまでの時間。 

4. 原理 指定された容量の粉体塗料の試料を,加熱ブロックのくぼみの中で指定温度に加熱する。試料

が加熱による反応によって硬化が進み,溶融物から長い糸が引かなくなる,すなわち変形できなくなるま

での時間を測定する。 

5. 材料 材料は,次による。 

a) 融点既知試験物質は,加熱ブロック(6.1)の温度確認用である。 

備考 180 ℃温度検定用として,しょう(樟)脳 (D-camphor) が適切な物質である。 

b) 噴霧離型剤には,テトラフルオロエチレン・エアロゾルが適切な離型剤である。 

6. 装置  

6.1 

加熱ブロック 加熱ブロックは,次による。 

a) 温度維持に安定性のある十分な質量の電熱スチールブロックからなる加熱ブロック,すなわち,130

〜230 ℃の範囲内で±1 ℃以上のばらつきがなく,所定の温度が確実に得られるもの。温度は,制御

装置によって調節する。 

b) 加熱ブロックの上面の中心に,直径16±0.1 mmと曲率半径10±0.1 mm球状の研磨したくぼみをもた

せたもの。 

c) 

温度測定装置(6.2)を取り付けるために,加熱ブロックの表面の直ぐ下で,試料用くぼみの一方の側

面の中心付近に,ブロックの中心に向けて水平に,試料用くぼみの下2 mm以内に達する十分な直径

の穴をあける。 

d) 適切な加熱ブロックの一例を,図1に示す。図の寸法は,説明する目的のためにだけ表示している。 

e) 

加熱ブロックは,断熱する。図1の加熱ブロックには,500 W程度の加熱装置が適切である。 

background image

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単位 mm 

図 1 加熱ブロックの一例 

6.2 

温度測定装置 1 ℃まで読み取れる十分な範囲の温度測定装置。 

6.3 

マイクロスパチュラ 試料を加熱ブロックの試験位置に供給するためのさじ。 

6.4 

タイマー 1秒単位の正確な計測ができるもの。 

6.5 

かくはん棒 熱容量が非常に小さく,適切な寸法のもの。 

備考 図1に示す加熱ブロック用に,直径1 mmの丸いピンヘッドで断熱取っ手の付いたかくはん棒

がよい。小さい木製のかくはん棒も十分使用可能である。 

6.6 

スクレーパ 加熱ブロックから試料をはがすとき,くぼみの表面にきずを付けないために,加熱ブ

ロックの材質よりも軟質材料でできたか(掻)き取り具。 

7. サンプリング 試験する代表的試料は,JIS K 5600-1-2の規定によって採取する。 

8. 操作 操作は,次による。 

a) 測定は,2回実施する。 

b) 受渡当事者間で特に取り決めがない限り,180±1 ℃での試験を実施する。 

c) 加熱ブロック(6.1)は,通気性のある室内に設置する。所定温度に昇温し,少なくとも10分間安定

させる。 

備考 所定温度に達した加熱ブロックの表面温度の確認は,所定温度で溶融する物質[5. a)]をブロ

ック上に少量置いて確認してもよい。 

d) 装置製造業者の指示に従って,加熱ブロックの試料用くぼみ及びその周辺の表面を離型剤で処理する。 

e) 試料の量は,0.01〜0.04 gとし,あらかじめ受渡当事者間で取り決めた量をマイクロスパチュラ(6.3)

によって,その精度を±0.002 g以内ではかりとる。計量した試料を加熱ブロックの試料用くぼみに移

し,粉体が溶融すると同時にタイマー(6.4)を始動する。 

f) 

溶融物をかくはん棒(6.5)によって小さな円を描くようにかくはんする。増粘し始めたら全体をかく

試料用くぼみ 

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はんしながらかくはん棒を2〜3秒ごとに溶融物から10 mm程度もち上げ,引き離す。このようにし

て溶融物の糸がよく引張ることができなくなり,切れてもろい形態になったときにタイマーを停止し,

1秒単位まで記録する。これをゲルタイムとする。直ちに,スクレーパを用いて,試料を加熱ブロッ

クから表面をきず付けないように注意して取り除く。 

g) 2回の繰り返し測定で,低い値の5 %以内のばらつきならば,平均値を記録する。もし,二つの測定

値間の差が5 %を超えた場合は,3回目の測定を行い,1秒単位で読み取った三つのすべての結果の

平均を記録する。 

9. 試験報告 試験報告書には,少なくとも次の事項を記載する。 

a) 試験品の同定に必要な詳細事項 

b) この規格番号(JIS K 5600-9-1) 

c) 試験温度 

d) 加熱ブロックの離型剤処理の有無 

e) 試験結果 

f) 

規定以外の方法で行った場合は,その条件 

g) 試験年月日 

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附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表 

JIS K 5600-9-1:2005 塗料一般試験方法−第9部:粉体塗料−第1節:所定温度での熱
硬化性粉体塗料のゲルタイムの測定方法 

ISO 8130-6:1992,粉体塗料−第6部:所定温度における熱硬化型粉体塗
料のゲル化時間の測定 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国際規格番号 (Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本体 
 表示方法:点線の下線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1.適用範囲 

温度180 ℃での熱
硬化性粉体塗料の
ゲルタイムの測定
方法。 

ISO 8130-6 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

2.引用規格 

 
 
 

JIS K 5500 
 

JIS K 5600-1-2 
サンプリング 

 
 

ISO 4618-1 
ISO 4618-2 
ISO 4618-3 
ISO 8130-9 

MOD/追加 

IDT 

JIS K 5500を引用して用
語を明確にした。 
 

− 

見直し時にISOに提案する。 
 
 

− 

3.定義 

ゲルタイムの定義 
JIS K 5500を引用 

JISに同じ 

MOD/追加 

JIS K 5500を引用して用
語を明確にした。 

見直し時にISOに提案する。 

4.原理 
 
 
 

試料を加熱し,溶融
物から糸が引かな
くなるまでの時間
を測定する。 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

5.材料 

融点既知物質及び
離型剤について記
述。 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

background image

K 5600-9-1:2006 

   

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国際規格番
号 
 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本体 
 表示方法:点線の下線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6.装置 

加熱ブロック,温度 
制御装置,計量スプ
ーンなどを規定。 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

6.3 

マイクロスパチュラ 

6.3 

計量スプーン 
(0.25±0.01 ml)のも
の 

MOD/変更 

単にマイクロスパチュラ
とした。 

ISO規格改正時に提案する。 

7.サンプリ
ング  

JIS K 5600-1-2 
サンプリング 

JISに同じ 
 

IDT 
 

− 

− 

8.操作 

試料の測定手順につ
いて規定。 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

8. e) 

試料量は,0.01〜0.04 
gとし,受渡当事者
間で取り決めた量を
はかりとる。 


 

試験料は0.25 mlずつ
はかりとる。 

MOD/変更 

試料量が多いと誤差が大
きくなるので約10分の1
とし,その量は受渡当事
者間で取り決める。 

ISO規格改正時に提案する。 

9.試験報告 

試験報告書に記載す
る項目を規定。 

JISに同じ 

IDT 

− 

− 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

備考1. 

項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

― IDT………………技術的差異がない。 
― MOD/変更………国際規格の規定内容を変更している。 

2. 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

― MOD……………国際規格を修正している。