K 5600-6-3 : 1999 (ISO 3248 : 1975)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
なお,この規格の制定後3か年を経た2002年4月をもって,この規格に対応するJIS K 5400 : 1990(塗
料一般試験方法)は廃止され,この規格に置き換わる予定であるので,なるべくこの規格によるとよい。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
JIS K 5600は,次に示す部編成になっている。
JIS K 5600-1-1〜1-8 通則
JIS K 5600-2-1〜2-7 塗料の性状・安定性
JIS K 5600-3-1〜3-6 塗膜の形成機能
JIS K 5600-4-1〜4-7 塗膜の視覚特性
JIS K 5600-5-1〜5-11 塗膜の機械的性質
JIS K 5600-6-1〜6-3 塗膜の化学的性質
JIS K 5600-7-1〜7-8 塗膜の長期耐久性
JIS K 5600-8-1〜8-6 塗膜劣化の評価
JIS K 5600-6は塗料一般試験方法−塗膜の化学的性質に関する試験方法として,次の各節によって構成
する。
JIS K 5600-6-1 第6部−第1節:耐液体性(一般的方法)
JIS K 5600-6-2 第6部−第2節:耐液体性(水浸せき法)
JIS K 5600-6-3 第6部−第3節:耐加熱性
JIS K 5600-6-1,6-2には,それぞれ次に示す附属書がある。
JIS K 5600-6-1 附属書A(規定) 必要な補足情報
JIS K 5600-6-2 附属書A(規定) 必要な補足情報
日本産業規格 JIS
K 5600-6-3 : 1999
(ISO 3248 : 1975)
塗料一般試験方法−
第6部:塗膜の化学的性質−
第3節:耐加熱性
Testing methods for paints−Part 6 : Chemical property of film−
Section 3 : The effect of heat
序文 この規格は,1975年に第1版として発行されたISO 3248, Paints and varnishes−Determination of the
effect of heatを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本産業規格である。
この規格は,緩やかに上昇する温度条件の下で光沢及び/又は色の変化,膨れ,割れ及び/又は素地から
のはがれに対する,塗料及びその関連製品の耐久性を評価するための,経験的な試験手順を規定する。
次に規定する試験方法は,いかなる特別の適用に対しても,次の補足情報によって補完する必要がある。
これらの情報は,製品に関する国内規格又は他の規格から引用され,また,それが適切であれば,受渡当
事者間の協定に従わなければならない。
a) 素地の材質と調整
b) 素地への試験塗料の塗装方法,多層塗膜系の場合,各塗膜層間の乾燥の期間及び条件を含む。
c) 乾燥塗膜のマイクロメートル単位の膜厚とその測定方法,及び単独塗膜であるか多層塗膜系であるか。
d) 試験前の塗装試験板の乾燥時間と条件(又は,適用可能ならば,焼付け及び養生の条件)
e) 塗膜の抵抗性の評価において,検討対象とする試験塗膜の特性
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,塗料又はその関連製品の単独塗膜又は多層塗膜系の熱の影響に対する抵抗性
を測定するための一般的手順を規定する。この手順は,家庭用の暖房器,又は同様な温度の影響を受ける
他の物品に使うことを想定した製品に適用できる。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:試料採取方法
備考 ISO 1512 : 1991, Paints and varnishes−Sampling of products in liquid or paste formが,この規格
と一致している。
JIS K 5600-1-3 塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整
2
K 5600-6-3 : 1999 (ISO 3248 : 1975)
備考 ISO 1513 : 1992, Paints and varnishes−Examination and preparation of samples for testingが,この
規格と一致している。
JIS K 5600-1-4 塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板
備考 ISO 1514 : 1993, Paints and varnishes−Standard panels for testingが,この規格と一致している。
JIS K 5600-1-7 塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚
備考 ISO/DIS 2808, Paints and varnishes−Determination of film thicknessが,この規格と同等である。
JIS K 5600-5-1 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレ
ル法)
備考 ISO 1519 : 1973, Paints and varnishes−Bend test (cylindrical mandrel) が,この規格と一致してい
る。
JIS K 5600-5-2 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第2節:耐カッピング性
備考 ISO 1520 : 1973, Paints and varnishes−Cupping testが,この規格と一致している。
JIS K 5600-5-5 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第5節:引っかき硬度(荷重針法)
備考 ISO 1518 : 1992, Paints and varnishes−Scratch testが,この規格と一致している。
3. 試料採取方法 試験に用いる製品の代表試料(又は多層塗膜系の場合は各製品)を,JIS K 5600-1-2
に従い採取する。各試料はJIS K 5600-1-3の規定によって,試験のための検分と調整を行う。
4. 試験板
4.1
材質及び寸法 他に規定がない限り,試験板はJIS K 5600-1-4に規定する,鋼,ぶりき,アルミニ
ウム又はガラスの中の適切なものとする。ほかに規定がない限り,試験板の大きさは150mm×100mmと
する。
4.2
試験板の調整と塗装 ほかに規定がない場合,JIS K 5600-1-4に従って各試験板を調整し,試験する
製品又は多層塗膜系に規定する方法で塗装する。
4.3
試験片の乾燥及び条件 塗装試験片は規定の条件で,規定の時間乾燥(又は焼付け及び養生)を行
う。ほかに規定がない限り,温度23±2℃,相対湿度 (50±5) %で,最低16時間乾燥する。次いで,でき
るだけ速やかに試験操作を実施する。
4.4
塗膜の厚さ 乾燥塗膜の厚さをマイクロメートル単位で,JIS K 5600-1-7に規定された方法のうちの
一つによって測定する。
5. 手順
5.1
試験の温度及び時間 ほかに協定がない限り,試験は温度125±2℃で24時間行う。
5.2
測定 規定の温度で,空気循環のある乾燥器の中に,試験板を乾燥器の側面から100mm以上,互い
に20mm以上離して置き,規定の時間保持する。塗装した試験板を確実に均一加熱する方法は,細いワイ
ヤーで試験板をつり下げることである。試験板を適切な断熱材で作った架台に保持するか,又は支持枠の
上に載せたアスベスト(参考アスベストの使用は禁止されている。)に塗装側を上にして置いてもよい。
規定時間後,オーブンから試験板を取り出し,23±2℃の温度まで冷却する。次に,試験板の色の変化,
又は塗膜,その他の損傷の徴候を,同様に調整した加熱していない試験板と比較検分する。規定されてい
る場合には,加熱及び非加熱試験板は,加熱時間終了後16時間以内に,JIS K 5600-5-1,5-2,5-5に規定
された試験手順,又はその他の協定された試験手順に従って試験し,規定された要求に従って検分する。
3
K 5600-6-3 : 1999 (ISO 3248 : 1975)
6. 試験報告 試験報告には,次の事項を含んでいなければならない。
a) この規格の適用
b) 試験した製品の種類とその明細
c) この規格の序文に引用されている補足情報の各項目
d) c)に引用された情報を補足する他の文書の参照項目
e) 協定,その他によって,規定された試験手順を変更した場合,その内容
f)
規定された各項目の試験の結果
g) 試験年月日
塗料分野の国際整合化調査研究委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
増 子 昇
千葉工業大学
(委員)
西 出 徹 雄
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
鴨志田 直 史
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
本 橋 健 司
建設省建築研究所
坪 田 実
職業能力開発大学校
武 井 昇
職業能力開発大学校
鈴 木 雅 洋
東京都立産業技術研究所
吉 田 豊 彦
社団法人色材協会
高 橋 孝 治
社団法人日本塗装工業会
青 木 茂
サンコウ電子研究所
福 島 稔
社団法人日本鋼橋塗装専門会
近 藤 照 夫
清水建設株式会社
(主査)
岩 井 弘
財団法人日本検査協会
堀 江 建 治
関西ペイント株式会社
山 田 俊 幸
神東塗料株式会社
中 東 昭 憲
神東塗料株式会社
住 田 光 正
大日本塗料株式会社
上 寺 孝 明
中国塗料株式会社
松 井 繁 武
株式会社トウペ
更 谷 浩
日本特殊塗料株式会社
曽 我 元 昭
日本ペイント株式会社
大 澤 晃
日本油脂株式会社
高 橋 真
ロックペイント株式会社
長 尾 進
専門技術者
鈴 木 幹 夫
専門技術者
松 平 忠 志
松平技術士事務所
伊 藤 義 人
専門技術者
小 島 務
財団法人日本検査協会
常 田 和 義
大日本塗料株式会社
筒 井 晃 一
日本ペイント株式会社
(事務局)
内 田 幹 雄
社団法人日本塗料工業会
山 崎 不二雄
社団法人日本塗料工業会
文責 高 橋 真