K 5600-4-6 : 1999 (ISO 7724-3 : 1984)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
なお,この規格の制定後3か年を経た2002年4月をもって,この規格に対応するJIS K 5400(塗料一般
試験方法)は,廃止されこの規格に置き換わる予定であるので,なるべくこの規格によるとよい。
JIS K 5600は,次に示す部編成になっている。
JIS K 5600-1-1〜1-8 通則
JIS K 5600-2-1〜2-7 塗料の性状・安定性
JIS K 5600-3-1〜3-6 塗膜の形成機能
JIS K 5600-4-1〜4-7 塗膜の視覚特性
JIS K 5600-5-1〜5-11 塗膜の機械的性質
JIS K 5600-6-1〜6-3 塗膜の化学的性質
JIS K 5600-7-1〜7-8 塗膜の長期耐久性
JIS K 5600-8-1〜8-6 塗膜劣化の評価
JIS K 5600-4は塗料一般試験方法−塗膜の視覚特性に関する試験方法として,次の各節によって構成す
る。
JIS K 5600-4-1 第4部−第1節:隠ぺい力(淡彩色塗料用)
JIS K 5600-4-2 第4部−第2節:隠ぺい力(低明度塗料用)
JIS K 5600-4-3 第4部−第3節:色の目視比較
JIS K 5600-4-4 第4部−第4節:測色(原理)
JIS K 5600-4-5 第4部−第5節:測色(測定)
JIS K 5600-4-6 第4部−第6節:測色(色の計算)
JIS K 5600-4-7 第4部−第7節:鏡面光沢度
JIS K 5600-4-2,4-3,4-7には,それぞれ次に示す附属書がある。
JIS K 5600-4-2 附属書A(規定) 必要な補足情報
JIS K 5600-4-3 附属書A(規定) 必要な補足情報
JIS K 5600-4-3 附属書B(規定) 色差等級表
JIS K 5600-4-3 附属書C(参考) 条件等色対 (METAMERIC MATCHES)
JIS K 5600-4-7 附属書A(規定) 必要な補足情報
JIS K 5600-4-7 附属書B(参考) 参考文献
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 5600-4-6 : 1999
(ISO 7724-3 : 1984)
塗料一般試験方法−
第4部:塗膜の視覚特性−
第6節:測色(色差の計算)
Testing methods for paints −Part 4 : Visual characteristics of film−
Section 6 : Colorimetry (Calculation of colour differences)
序文 この規格は,ISO 7724-3 : 1984 (Paints and varnishes−Colorimetry−Part 3 : Calculation of colour
differences) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。な
お,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。
この測色に関する規格は,次の三つで構成されている。
JIS K 5600-4-4:塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第4節:測色(原理)
JIS K 5600-4-5:塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第5節:測色(測定)
JIS K 5600-4-6:塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第6節:測色(色差の計算)
JIS K 5600-4-4,JIS K 5600-4-5及びJIS K 5600-4-6は,次に示すような目的に必要なものとして,計測器
による塗膜の色座標及び色差の測定方法を規定する。
a) 試験試料(塗装された試験板,又は塗装した物品からの試料)及び参照標準間の色差の客観的な記載。
b) その数値が工程の管理や調節に使用されるように,塗装した物品の生産における色の偏差を測定する。
c) 屋外暴露及び他の化学的又は物理的な影響によって生じる色の変化の客観的な記載。
d) 色参照標準の実際的な管理。
備考 色参照標準は,老化を免れない。そしてその老化は,そのうちに,はっきりした色の変化とな
る。これらの変化を,適時に見つけるためには,高度に正確な測色が必要である。このことは,
そのような変色した参照標準について発注するときに,特に重要である。
1. 適用範囲 この規格は,塗膜間の小色差の定量的測色的な数値を求める方法について規定する。
備考 二つの試料の色座標から色差を計算する多数の色差式がある。種々の理由から,ここで定めた
色差式を含めてそのような色差式で計算した結果は,すべての場合について,目視による認識
と満足するように合致するとは限らないし,またその各結果間でも,同じく合致しないことも
ある。CIEは1976年に,一般用に二つの色差式を勧告した。それの一つ, (CIE 1976) L*a*b*色
差式(参照:CIE Publication No.15, Supplement No.2)は,塗膜の測色的評価に対して,実際的
な数値であることが判明していて,この規格で規定されている。
2
K 5600-4-6 : 1999 (ISO 7724-3 : 1984)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 5600-4-3 第4部−第3節:色の目視比較
備考 ISO / FDIS 3668 : 1998, Paints and varnishes−Visual comparison of the colour of paintsが,この規
格と一致している。
JIS K 5600-4-4 第4部−第4節:測色(原理)
備考 ISO 7724-1 : 1984, Paints and varnishes−Colorimetry−Part 1 : Prniciplesが,この規格と一致し
ている。
JIS K 5600-4-5 第4部−第5節:測色(測色)
備考 ISO 7724-2 : 1984, Paints and varnishes−Colorimetry−Part 2 : Colour measurementが,この規格
と一致している。
JIS K 5600-4-7 第4部−第7節:鏡面光沢度
備考 ISO 2813 : 1994, Paints and varnishes−Determination of specular gloss of non-metallic paint films
at 20°,60。and 85°が,この規格と一致している。
CIE Publicatlon No.15, Supplement No.2, Recommendations on uniform color spaces−Color
difference equations−Psychometric color terms.
CIE Publication No.38, Radiometric and photometric characteristics of materials and measurement.
3. 計算
3.1
共通事項 CIE 1976 (L*a*b*) 色空間(JIS K 5600-4-4参照)における色座標から参照標準及び試験試
料の塗膜間の色,すなわち,明度,彩度及び色相の差を計算する。
備考 略語CIELABを (CIE 1976) L*a*b*の代わりに使用する。
得られた情報に応じて定まる測定条件を用いてJIS K 5600-4-5に従って,試験試料の色座標L*Ta*Tb*T及
び参照標準の色座標L*Ra*Rb*Rを測定する。
a) 試験試料と参照標準間の,着色材の色差だけに起因する色差を決定する場合(屋外暴露に起因する顔
料の色変化を客観的に記載しなければならない場合),JIS K 5600-4-5の4.1.1又は4.2.1に規定してい
るように鏡面反射を含んで測定した三刺激値から,L*a*b*色座標は計算されなければならない。その
測定は,全表面反射を含んでいる。したがって,L*a*b*の計算に使用する立方根の関数f (X/Xn) ,f (Y/Yn) ,
f (Z/Zn) の曲線のために,色差の最小評価を避けるために,測定した三刺激値Xm,Ym,Zmの数学的な
修正が必要である。この修正には,次の式が使用される。
X=Xm−ρ0Xn, Y=Ym−ρ0Xn, Z=Zm−ρ0Zn
ここに,
Xn, Yn, Zn: 完全拡散反射面(JIS K 5600-4-4の表2参照)の三刺激
値である。
ρ0: フレネルの反射率(CIE Publication No.38参照)であり,
屈折率n=1.5に基づき,0.04であるとみなされる(備
考2参照)。
b) 試験試料及び参照標準間の,着色材の色差及び表面反射の差の両方に起因する色差を決定する場合
3
K 5600-4-6 : 1999 (ISO 7724-3 : 1984)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(JIS K 5600-4-3に従って,色を目視比較する場合に,概略の色差が認識されるように),L*a*b*色座
標は,JIS K 5600-4-5の4.1.2又は4.2.2に規定しているように鏡面反射を除外して,測定されなけれ
ばならない。
a)及びb)の方法が行われる場合は,高光沢の塗膜に対しては比較可能な結果が得られる。その他のすべ
ての場合では,その二つの方法を用いて得られる色差の比較可能の程度は,試験試料及び参照標準間の光
沢差及び光度計ヘッドの構造に依存するであろう。
備考1
試験試料の各座標を計算するのに,モデム(変復調装置)付き測定器は,絶対に必要なもの
であるとはいえない。その理由は,色差は,その測定器に記憶した参照値から,自動的に計
算されるからである。
2
非常に暗い色又は高彩度の塗膜に対しての修正計算がなされる場合は,より正確なρoの値を
使用することが適切であるかもしれない(このことは,試験報告に記載すべきである。)。
光沢を除去して高反射率の試験試料を試験する場合,表面反射を数学的に除去することは,それによっ
て得られる色差と観測者によって得られる色差との合致に影響を与える。
3.2
CIELAB色差式を用いる色差 2色間の色差△E*abは, (CIE 1976) L*a*b*色空間(JIS K 5600-4-4参
照)における2色間の幾何学的な距離であり,次の式によって算出する。
⊿E*ab= [(⊿L*) 2+ (⊿a*) 2+ (⊿b*) 2] 1/2
ここに
⊿L*=L*T−L*R
⊿a*=a*T−a*R
⊿b*=b*T−b*R
3.3
明度差 試験試料と参照標準間の明度差は,CIE 1976明度指数差(次式)によって定義されている。
⊿L*=L*T−L*R
3.4
彩度差 試験試料と参照標準間の彩度差はCIE 1976 a b彩度差(次式)によって定義されている。
⊿C*ab=C*ab, T−C*ab, R
ここに
C*ab, T: 試験試料のCIE 1976 a b彩度であり,次の式で定義される。
C*ab, T= (a*T2+b*T2) 1/2
C*ab, R: 参照標準のCIE 1976 a b彩度であり,次の式で定義される。
C*ab, R= (a*R2+b*R2) 1/2
3.5
色相差 試験試料と参照標準間の色相差はCIE 1976 a b色相差(次式)によって定義されている。
⊿H*ab=kH| [(⊿E*ab) 2− (⊿L*) 2− (⊿C*ab) 2] 1/2|
ここに
kH=+1: (a*Rb*T−a*Tb*R) ≧0の場合
kH=−1: (a*Rb*T−a*Tb*R) <0の場合
明度差,彩度差及び色相差は,それらの2乗の和は,色差の2乗に等しいように定義されている。
3.6
白に近い試験試料の色差 白に近い試験試料の色差は,⊿C*ab及び⊿H*abの代わりに⊿E*ab及び⊿L*,
⊿a*,⊿b*を使用して記載すべきである。
4. 試験報告 試験報告には,少なくとも次の事項を含んでいなければならない。
4
K 5600-4-6 : 1999 (ISO 7724-3 : 1984)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 試験した塗膜及び参照標準の種類と名称
b) この規格の適用
c) 試験試料及び参照標準を調整した方法についての記載又はその他の名称
d) 3.1で用いられたa)又はb)の名称(3.1参照)。
e) 次のように記載される試験の結果:
・色差⊿E*ab
そして必要の場合は,さらに,次のことを記載
・明度指数差⊿L*,CIE 1976 a b彩度差⊿C*ab及びCIE 1976 a b色相差⊿H*ab
又は
・適切なものとしての次の差,⊿a*,及び⊿b*
f)
協定又はその他に基づく,規定された手順からの逸脱
g) 試験年月日
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K 5600-4-6 : 1999 (ISO 7724-3 : 1984)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
塗料分野の国際整合化調査研究委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
増 子 昇
千葉工業大学
(委員)
西 出 徹 雄
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
鴨志田 直 史
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
本 橋 健 司
建設省建築研究所
坪 田 実
職業能力開発大学校
武 井 昇
職業能力開発大学校
鈴 木 義 洋
東京都立産業技術研究所
吉 田 豊 彦
社団法人色材協会
髙 橋 孝 治
社団法人日本塗装工業会
青 木 茂
サンコウ電子研究所
福 島 稔
社団法人日本鋼橋塗装専門会
近 藤 照 夫
清水建設株式会社
(主査)
岩 井 弘
財団法人日本検査協会
堀 江 建 治
関西ペイント株式会社
山 田 俊 幸
神東塗料株式会社
中 東 昭 憲
神東塗料株式会社
住 田 光 正
大日本塗料株式会社
上 寺 孝 明
中国塗料株式会社
松 井 繁 武
株式会社トウペ
更 谷 浩
日本特殊塗料株式会社
曽 我 元 昭
日本ペイント株式会社
大 澤 晃
日本油脂株式会社
髙 橋 真
ロックペイント株式会社
長 尾 進
専門技術者
鈴 木 幹 夫
専門技術者
松 平 忠 志
松平技術士事務所
伊 藤 義 人
専門技術者
小 島 務
財団法人日本検査協会
常 田 和 義
大日本塗料株式会社
筒 井 晃 一
日本ペイント株式会社
(事務局)
内 田 幹 雄
社団法人日本塗料工業会
山 崎 不二雄
社団法人日本塗料工業会
文責 伊藤 義人