K 5600-3-3 : 1999 (ISO 9117 : 1990)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
なお,この規格の制定後3か年を経た2002年4月をもって,この規格に対応するJIS K 5400(塗料一般
試験方法)は,廃止されこの規格に置き換わる予定であるので,なるべくこの規格によるとよい。
JIS K 5600は,次に示す部編成になっている。
JIS K 5600-1-1〜1-8 通則
JIS K 5600-2-1〜2-7 塗料の性状・安定性
JIS K 5600-3-1〜3-6 塗膜の形成機能
JIS K 5600-4-1〜4-7 塗膜の視覚特性
JIS K 5600-5-1〜5-11 塗膜の機械的性質
JIS K 5600-6-1〜6-3 塗膜の化学的性質
JIS K 5600-7-1〜7-8 塗膜の長期耐久性
JIS K 5600-8-1〜8-6 塗膜劣化の評価
JIS K 5600-3は塗料一般試験方法−塗膜の形成機能に関する試験方法として,次の各節によって構成す
る。
JIS K 5600-3-1 第3部−第1節:塗り面積(はけ塗り)
JIS K 5600-3-2 第3部−第2節:表面乾燥性(バロチニ法)
JIS K 5600-3-3 第3部−第3節:硬化乾燥性
JIS K 5600-3-4 第3部−第4節:製品と被塗装面との適合性
JIS K 5600-3-5 第3部−第5節:耐圧着性
JIS K 5600-3-6 第3部−第6節:不粘着乾燥性
JIS K 5600-3-3,3-5には,それぞれ次に示す附属書がある。
JIS K 5600-3-3 附属書A(規定) 必要な補足情報
JIS K 5600-3-5 附属書A(規定) 必要な補足情報
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 5600-3-3 : 1999
(ISO 9117 : 1990)
塗料一般試験方法−
第3部:塗膜の形成機能−
第3節:硬化乾燥性
Testing methods for paints−Part 3 : Film formability−
Section 3 : Through-dry
序文 この規格は,1990年に第1版として発行されたISO 9117, Paints and varnishes−Determination of
through-dry state and through-dry time−Method of testを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格の点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は塗料,ワニス及び関連製品の試料採取並びに試験方法に関する一連の規格の中
の一つである。
標準状態の下で,塗料又は関連製品の単一塗膜系又は多層膜系が,規定された乾燥時間経過後に,硬化
乾燥状態に達しているかどうかの判定を行う試験方法,すなわち,合否判定試験方法について規定する。
また,この試験手順は,その状態に達するまでに要する時間の測定にも使用できる。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:試料採取方法
備考 ISO 1512 : 1991, Paints and varnishes−Sampling of products in liquid or paste formが,この規格
と一致している。
JIS K 5600-1-3 塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整
備考 ISO 1513 : 1992, Paints and varnishes−Examination and preparation of samples for testingが,この
規格と一致している。
JIS K 5600-1-4 塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板
備考 ISO 1514 : 1993, Paints and varnishes−Standard panels for testingが,この規格と一致している。
JIS K 5600-1-6 塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度
備考 ISO 3270 : 1984, Paints and varnishes and their raw materials−Temperatures and humidities for
conditioning and testingが,この規格と一致している。
2
K 5600-3-3 : 1999 (ISO 9117 : 1990)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 5600-1-7 塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚
備考 ISO 2808 : 1997, Paints and varnishes−Determination of film thicknessが,この規格と同等であ
る。
JIS K 5600-3-5 塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第5節:耐圧着性
備考 ISO 4622 : 1992, Paints and varnishes−Pressure test for stackabilityが,この規格と同等である。
JIS K 5600-3-6 塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第6節:不粘着乾燥性
備考 ISO 3678 : 1976, Paints and varnishes−Print-free testが,この規格と一致している。
ISO 48 : 1994, Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of hardness (hardness between
10 IRHD and 100 IRHD)
3. 定義 この規格で用いる用語の定義は,次による。
3.1
硬化乾燥状態 (through-dry state) 塗膜の表面は乾燥しているが,塗膜の大部分は,まだ柔らかい
といった状態ではなく,塗膜の厚さ全体にわたって乾燥している状態。この規格では,塗料,ワニス又は
関連製品の単一塗膜系又は多層塗膜系が,規定された荷重,ねじれ及び時間の下で,6.3に規定されたガー
ゼが,塗膜に跡を残したり,損傷させたりしない場合を硬化乾燥状態であるとする。
3.2
硬化乾燥時間 (through-dry time) 調整された試験板に塗料が塗られてから,規定された試験手順
によって,硬化乾燥の状態に達したと判断されるまでの時間。
4. 必要な補足情報 この規格に規定されている試験方法は,どのような特殊な適用に対しても,補足情
報によって完全なものとされなければならない。補足情報の項目は,附属書Aに記載されている。
5. 原理 協定された膜厚で塗料を素地に塗装し,規定の条件の下で静置乾燥する。表面の規定された部
分に,負荷を掛け,負荷を掛けたままで90°回転させた後,塗膜の表面を観察し,塗膜全体の乾燥の完了
を判断する。
6. 器具類及び材料 次の装置を含め,通常の実験室にある器具及びガラス器具を使用する。
6.1
基盤及びプランジャー部(図1及び図2参照) 主な構造は,基盤及び自由にスライド可能なプラ
ンジャーからなっており,プランジャーヘッドは,直径25mm以上のもの。ヘッドの下面は,試験片の上
面と平行になるようなデザインになっているもの。
備考1. プランジャーの質量が250gより軽い場合は,JIS K 5600-3-5に記載されている装置が,この
試験に適している。
ゴム円盤(6.2)をプランジャーヘッドの下面の中央に両面テープを用いはり付ける。ガーゼ(6.3)を試験面
にしっかり固定する装置があり,プランジャーヘッドは90゜回転できる。
備考2. プランジャーとプランジャーヘッドの連結は,ボールジョイントの使用を推奨する。また,
経済的理由からJIS K 5600-3-5で規定しているプランジャーの使用を推奨する。
6.2
平らなゴム円盤 直径22±1mm,厚さ5±0.5mm,硬度50±5 IRHD1)(ISO 48参照)
備考3. 経済的理由からJIS K 5600-3-5で規定されている,ゴム円盤の使用を推奨する。
注1)
国際ゴム硬度度数
3
K 5600-3-3 : 1999 (ISO 9117 : 1990)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.3
ガーゼは,単繊維のポリアミドで織られた,100mm×100mm以上の大きさのもの。繊維の直径は,
0.120mmでガーゼの目開きは,約0.2mmのもの。
6.4
おもりは,総質量1 500±10gのもの。
6.5
ストップウォッチは,正確さ0.1秒のもの。
図1 基盤及び組み立てられたプランジャー部分
図2 組み立てられるプランジャーヘッド部分の詳細
7. 試料採取方法 JIS K 5600-1-2の規定に従って,試験対象製品(又は多層膜系の場合は各製品ごと)
の代表試料を採取する。JIS K 5600-1-3の規定によって,試験用試料を検分,調整する。
8. 試験板
8.1
素地 素地としてJIS K 5600-1-4に規定する試験板の中から1枚を選ぶ。また可能であれば,塗装
しようとしているものと同等なもの[附属書Aのa)参照]。
4
K 5600-3-3 : 1999 (ISO 9117 : 1990)
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8.2
塗装前の処理 JIS K 5600-1-4に規定する各試験板(8.1参照)を調整し,規定された方法[附属書
Aのb)参照]によって試験対象の製品又は塗膜系を,規定する乾燥膜厚[附属書Aのc)参照]になるよう
に塗装する。
9. 手順
9.1
器具の調整 暴露表面に,しわのないことを確認,注意しながらガーゼ(6.3)をプランジャーヘッド
下部(図2参照)のゴム円盤(6.2)に取り付ける。試験ごとに新しいガーゼを使用する。
9.2
試験片の乾燥 各試験片は23±2℃,相対湿度 (50±5) %の場所で,風,直射日光を避けて,自然な
気流中に垂直に立てて乾燥する。
焼付け塗料については,規定された条件[9.3の試験はJIS K 5600-1-6及び附属書A,d),9.4の試験は附
属書A,e)を参照]によって焼付け及びエージングを行う。
9.3
硬化乾燥状態の判定
9.3.1
規定された乾燥時間が経過[附属書Aのa)参照]したら,試験片を基盤の上に置く。
9.3.2
総質量1 500±10gのおもり(6.4)をプランジャーの上に載せる。試験片にガーゼが接触するように,
静かにプランジャーを下ろす。ストップウォッチをスタートさせ,プランジャーをそのままの位置で10±
1S置く。
9.3.3
この時間の終わりに,プランジャーヘッドを2±0.5Sかけて90°回転させる。直ちにプランジャー
を上げ,試験片を取り外し,試験した部分の塗膜を裸眼で,もし必要があれば視力を修正して判定する。
9.3.4
塗装された2枚の追加の試験片について試験を繰り返す。
9.3.5
もし3枚の試験片の表面いずれにも,きず又は跡が見られなければ,結果を“硬化乾燥状態に達し
ている。”と報告する。もし3枚の試験片の表面の中の,1枚かそれ以上の試験片にきず又は跡が見られた
ならば,結果を“硬化乾燥状態に達していない。”と報告する。
塗膜層内の付着性(この試験対象の欠陥)及び塗膜と素地間の付着性の欠陥(この試験の対象でない欠
陥)を混同しないように注意する。
9.4
硬化乾燥時間の測定
9.4.1
規定された乾燥時間[附属書Aのe)参照]に近付いたら,試験片を基盤の上に置く。
9.4.2
適切な間隔ごと[附属書Aのe)参照]に,9.3.2及び9.3.3によって試験を行う。きず又は跡につい
て塗膜の試験部分を調べる。塗膜にきずが付かなくなったら,試験を止める(9.3.5の第2節参照)。
9.4.3
塗装された2枚の追加の試験片について試験を繰り返す。
9.4.4
3回の試験の中で最も長い時間を,塗膜が硬化乾燥状態に達した時間として報告する。
9.5
膜厚 塗装された試験片のまだ試験に使われていない部分を使用して,JIS K 5600-1-7に規定する手
順の中の一つによって,硬化乾燥状態の膜厚をマイクロメートル単位で測定する。
10. 試験報告 試験報告には,少なくとも次の事項を含んでいなければならない。
a) 試験品の識別に必要なすべての詳細情報
b) この規格の適用
c) この規格の附属書Aに記載されている補足情報
d) c)に関連する情報を提供している国際規格又は国家規格,製品規格又はその他の文書の参照項目
e) 8.の指示どおりに行った試験の結果:報告書
1) 塗膜が硬化乾燥状態に達しているか,いないか
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2) 硬化乾燥時間
f)
膜厚
g) 規定された試験方法を変更した場合,その内容
h) 試験年月日
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(規定) 必要な補足情報
この附属書に掲げられた補足情報は,試験が遂行されやすいように,適切に提供されなければならない。
必要な情報はなるべく受渡当事者間で合意されていることが望ましく,また,これは一部又は全体を国
際規格又は国家規格,又は試験対象製品に関連する他の文献から引用してもよい。
a) 素地の材料と素地表面の調整
b) 素地への試験塗料の塗装方法
c) 乾燥塗膜のマイクロメートル単位での膜厚とJIS K 5600-1-7による測定方法,及び1回塗りか多回数
塗りシステムかの区別
d) 硬化乾燥状態を評価する場合,試験前の塗膜乾燥の時間及び条件(又は適用されるならば焼付け及び
エージング条件)
e) 硬化乾燥時間を測定する場合,試験前の塗膜乾燥の条件(又は,もし適用されるならば焼付け及びエ
ージング条件),及び試験と試験の間の間隔
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K 5600-3-3 : 1999 (ISO 9117 : 1990)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
塗料分野の国際整合化調査研究委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
増 子 昇
千葉工業大学
(委員)
西 出 徹 雄
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
鴨志田 直 史
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
本 橋 健 司
建設省建築研究所
坪 田 実
職業能力開発大学校
武 井 昇
職業能力開発大学校
鈴 木 雅 洋
東京都立産業技術研究所
吉 田 豊 彦
社団法人色材協会
髙 橋 孝 治
社団法人日本塗装工業会
青 木 茂
サンコウ電子研究所
福 島 稔
社団法人日本鋼橋塗装専門会
近 藤 照 夫
清水建設株式会社
(主査)
岩 井 弘
財団法人日本検査協会
堀 江 建 治
関西ペイント株式会社
山 田 俊 幸
神東塗料株式会社
中 東 昭 憲
神東塗料株式会社
住 田 光 正
大日本塗料株式会社
上 寺 孝 明
中国塗料株式会社
松 井 繁 武
株式会社トウペ
更 谷 浩
日本特殊塗料株式会社
曽 我 元 昭
日本ペイント株式会社
大 澤 晃
日本油脂株式会社
髙 橋 真
ロックペイント株式会社
長 尾 進
専門技術者
鈴 木 幹 夫
専門技術者
松 平 忠 志
松平技術士事務所
伊 藤 義 人
専門技術者
小 島 務
財団法人日本検査協会
常 田 和 義
大日本塗料株式会社
筒 井 晃 一
日本ペイント株式会社
(事務局)
内 田 幹 雄
社団法人日本塗料工業会
山 崎 不二雄
社団法人日本塗料工業会
文責 更谷 浩