K 5112 : 2005
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本無機薬品協会
(JICIA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があ
り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 5112:1999は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 788:1974,Ultramarine pigments for
paintsを基礎として用いた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
JIS K 5112には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
K 5112:2005
(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 種類 ······························································································································ 1
4. 品質 ······························································································································ 2
5. サンプリング ·················································································································· 2
6. 可溶性有機着色剤の試験方法 ····························································································· 2
6.1 試薬 ···························································································································· 2
6.2 操作 ···························································································································· 2
7. 遊離硫黄 ························································································································ 2
7.1 試薬 ···························································································································· 2
7.2 器具 ···························································································································· 2
7.3 操作 ···························································································································· 3
7.4 計算 ···························································································································· 3
8. 表示 ······························································································································ 3
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ··································································· 4
日本産業規格 JIS
K 5112:2005
群青(顔料)
Ultramarine pigments -Specifications and methods of test
序文 この規格は,1974年に第1版として発行されたISO 788,Ultramarine pigments for paintsを元に,技
術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表をその説明を付けて,附属書に示す。
1. 適用範囲 この規格は,群青(顔料)について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 788:1974,Ultramarine pigments for paints (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 1352 無水酢酸
JIS K 5101-2-1 顔料試験方法−第2部:色の比較−第1節:目視法
JIS K 5101-3-1 顔料試験方法−第3部:着色力−第1節:有色顔料の相対着色力及び淡色の測定(目
視比較法)
JIS K 5101-11-1 顔料試験方法−第11部:密度−第1節:ピクノメータ法
JIS K 5101-13-1 顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法
JIS K 5101-13-2 顔料試験方法−第13部:吸油量−第2節:煮あまに油法
JIS K 5101-14-1 顔料試験方法−第14部:ふるい残分−第1節:湿式法(手動法)
JIS K 5101-15-1 顔料試験方法−第15部:加熱減量−第1節:105 ℃揮発性物質
JIS K 5101-16-1 顔料試験方法−第16部:水溶分−第1節:煮沸抽出法
JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
3. 種類 群青(顔料)は,アルミニウム・ナトリウムけい酸塩複合体中に,硫黄が結合していることを特
徴とする無機顔料であり,その種類は,遊離硫黄の含有量(質量分率)によって,次のとおりとする。
種類A 0.1を超え0.5 %以下
2
K 5112:2005
種類B 0.1 %以下
備考 着色力の調整用として少量の体質顔料を含有させることができる。
4. 品質 群青(顔料)は,柔らかい乾燥粉末か,又は微粉砕をすることなくパレットナイフで粗砕するこ
とによって,容易に微細化できる形態でなければならない。
品質は,表1による。
表 1 品質
項目
品質
試験方法
色
受渡当事者間で合意した比較顔料と
比べてほとんど差異がない。
JIS K 5101-2-1による。
着色力
受渡当事者間で合意した比較顔料と
比べてほとんど差異がない。
JIS K 5101-3-1による。
吸油量
受渡当事者間で合意した値から,
10 %以上相違してはならない。
JIS K 5101-13-1又はJIS K 5101-13-2
による。
ふるい残分%(質量分率)
0.5以下
JIS K 5101-14-1による。
加熱減量%(質量分率)
1.0以下(1)
JIS K 5101-15-1による。
水溶分%(質量分率)
1.5以下
JIS K 5101-16-1による。
遊離硫黄%(質量分率)
種類A 0.1を超え0.5以下
種類B 0.1以下
7.による。
密度g/mL
2.23〜2.40
JIS K 5101-11-1による。
可溶性有機着色剤
陰性である。
6.による。
注(1) 加熱減量は,受渡当事者間の合意によって,2.0 %以下とすることができる。
備考1. 吸油量は通常,顔料100 g当たり30〜40 mLの範囲である。
2. ふるい残分は,目開き63 μmのふるいを用いたときの残分とする。
参考 分散性の試験方法には,次の方法がある。受渡当事者間の合意による見本品及び試験条件によって,
試験を行うことが望ましい。
分散性評価のための分散方法(JIS K 5101-1-2又はJIS K 5101-1-5)
分散性の評価方法(JIS K 5101-5-2)
5. サンプリング JIS K 5600-1-2に従って,試験する製品から代表サンプルを採取する。
6. 可溶性有機着色剤の試験方法
6.1
試薬
6.1.1
エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
6.1.2
無水酢酸 JIS K 1352に規定するもの。
6.1.3
水酸化ナトリウム溶液(4mol/L) JIS K 8576に規定するものを用いて調製したもの。
6.2
操作 約20 mLのエタノール中に約1 gの試料を添加し,60秒間沸騰する。この液をよく振り混ぜ
た後二分して,一方には無水酢酸を体積分率で10 %となるように加え,他方には4 mol/L水酸化ナトリウ
ム溶液を体積分率で10 %となるように加える。それぞれの溶液の色を観察し,無色であれば,可溶性有
機着色剤は含まれていないとする。
7. 遊離硫黄
7.1
試薬 アセトン JIS K 8034に規定するもの。
7.2
器具 ソックスレー抽出器。
3
K 5112:2005
7.3
操作 乾燥した試料約60 gを0.1 gのけたまではかりとる。
ソックスレー抽出器を用いてアセトンで4時間抽出する。抽出液からアセトンを蒸留し去り,60 ℃で恒
量となるまで乾燥する。残さを1 mgのけたまではかる。
7.4
計算 遊離硫黄は,次の式によって算出し,小数点1けたに丸める。
100
1
2×
=m
m
S
ここに,
S: 遊離硫黄の質量分率(%)
m1: 試料の質量(g)
m2: 乾燥残さの質量(g)
8. 表示 製品の包装の外面に,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格の名称
b) 種類
c) 正味質量
d) 製造年月又はその略号
e) 製造番号又はロット番号
f)
製造業者名又はその略号
4
K 5112:2005
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 5112:2005 群青(顔料)
ISO 788:1974 塗料用群青
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際
規格番号
(Ⅲ)国際規格の規
定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びそ
の内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと国際
規格との技術
的差異の理由
及び今後の対
策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内
容
1.適用範囲
ISO 788
1
IDT
−
2.引用規格
JIS K 5101-2-1
JIS K 5101-3-1
JIS K 5101-11-1
JIS K 5101-14-1
JIS K 5101-13-1
JIS K 5101-15-1
JIS K 5101-16-1
JIS K 5600-1-2
JIS K 1352
JIS K 5101-13-2
JIS K 8034
JIS K 8102
JIS K 8576
2
ISO 787
ISO 842
MOD/変更
MOD/追加
国際規格は古
く,最新のISO
を引用していな
いため,これに
対応する最新
JISを引用した。
実質な技術的
差異はないが,
国際規格の見
直しの際,提案
を行う。
3.種類
3
IDT
−
4.品質
品質
試験方法
4
品質
試験方法
MOD/変更
MOD/選択
1)加熱減量に
2.0 %を追加
2)吸油量の試験
方法に煮あまに
油法(JIS K
5101-13-2)を追
加
1)日本の気象
条件,海上輸送
(輸出入)を配
慮。
ISOへ提案す
る。
2)ISO規格で規
定されている
精製あまに油
は国内で入手
が困難なため。
ISOへ提案す
る。
5.サンプリ
ング
JIS K 5600-1-2
5
ISO 842
MOD/変更
引用規格の変更 ISO 842はISO
1512と統合さ
れISO 15528と
して発行され
ているため。
6.可溶性有
機着色剤
6
IDT
−
5
K 5112:2005
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際
規格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術
的差異の項目ごとの評価及
びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと国際
規格との技術
的差異の理由
及び今後の対
策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の
内容
7.遊離硫黄
7
MOD/変更 抽出液をクロ
ロホルムから
アセトンに変
更
抽出液として
より毒性の低
いアセトンに
変更した。ISO
へ提案する。
8.表示
8
MOD/追加 製造年月又は
その略号と製
造番号又はロ
ット番号を追
加
製品管理上必
要なものを追
加した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− IDT……………… 技術的差異がない。
− MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− MOD/変更・……… 国際規格の規定内容を変更している。
− MOD/選択……… 国際規格の規定項目と別の選択肢がある。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
関連規格 JIS K 5101-1-2 顔料試験方法−第1部:分散性評価のための分散方法−第2節:ペイントコン
ディショナ形振とう機
JIS K 5101-1-5 顔料試験方法−第1部:分散性評価のための分散方法−第5節:フーバーマラ
ー
JIS K 5101-5-2 顔料試験方法−第5部:分散性の評価方法−第2節:分散度の変化による評価
2
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3
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