C 5954-4:2017
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義並びに略号及び記号 ························································································ 2
3.1 用語及び定義 ················································································································ 2
3.2 略号及び記号 ················································································································ 2
4 標準環境条件 ··················································································································· 3
5 測定装置························································································································· 3
6 試験サンプル ··················································································································· 3
7 試験及び測定方法 ············································································································· 3
7.1 Rxアラーム機能 ············································································································ 3
7.2 Txシャットダウン機能 ··································································································· 5
7.3 バースト光出力パワー(Pmean) ························································································ 6
7.4 中心波長及びスペクトル幅 ······························································································ 7
7.5 消光比及びアイパターンマスク試験··················································································· 8
7.6 最小受信光入力パワー(Pimin)及び最大受信光入力パワー(Pimax) ········································· 9
7.7 信号光ペナルティ(Optical path penalty: OPP)·································································· 12
8 試験結果························································································································ 13
8.1 必須情報 ····················································································································· 13
8.2 有益な情報 ·················································································································· 13
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 5954の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 5954-1 第1部:総則
JIS C 5954-2 第2部:ATM-PON用光トランシーバ
JIS C 5954-3 第3部:単心直列伝送リンク用光送・受信モジュール
JIS C 5954-4 第4部:GPON用光トランシーバ
日本工業規格 JIS
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光伝送用能動部品−試験及び測定方法−
第4部:GPON用光トランシーバ
Fiber optic active components and devices-
Test and measurement procedures-Part 4: GPON transceivers
序文
光トランシーバは,電気信号を光信号に,又はその逆に変換するために使用する。この規格は,GPON
用光トランシーバの電気光学性能に関して規定されたJIS C 5953-7:2017と対を成して作成された日本工
業規格である。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,ITU-T G.984.2に基づくGPONシステムにおいて,JIS C 5953-1に定義される環境カテゴリ
C又は環境カテゴリUに設置される機器環境条件で使用するGPON用光トランシーバ(以下,光トランシ
ーバという。)の試験及び測定方法について規定する。
これらの試験方法は,光トランシーバがJIS C 5953-7で規定する仕様を満たすかどうかを検証する方法
である。また,測定方法は,光トランシーバの精密な測定に相当する方法である。これらの光トランシー
バの受信部は,バースト信号を扱うことができる。したがって,この規格に規定する幾つかの方法は,バ
ースト信号伝送の評価にも適用できる。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 5953-1 光伝送用能動部品−性能標準−第1部:総則
JIS C 5953-7 光伝送用能動部品−性能標準−第7部:GPON用光トランシーバ
JIS C 5954-1:2008 光伝送用能動部品−試験及び測定方法−第1部:総則
JIS C 5954-3 光伝送用能動部品−試験及び測定方法−第3部:単心直列伝送リンク用光送・受信モジ
ュール
JIS C 61280-1-3 光ファイバ通信サブシステム試験方法−第1-3部:中心波長及びスペクトル幅測定
JIS C 61280-2-2 光ファイバ通信サブシステム試験方法−第2-2部:光アイパターン,光波形及び消
光比測定
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用語及び定義並びに略号及び記号
3.1
用語及び定義
この規格で使用する主な用語及び定義は,JIS C 5954-3の箇条3によるほか,次による。
3.1.1
光ライン接続,OLT(optical line termination)
光アクセスネットワークにおいて,ネットワーク側のインタフェースを提供する装置。一つ以上の光分
配ネットワークに接続する。
3.1.2
光ネットワークユニット,ONU(optical network unit)
光アクセスネットワークにおいて,使用者側のインタフェースを直接的に又は遠隔操作によって提供す
る装置。光分配ネットワークに接続する。
3.2
略号及び記号
この規格で使用する主な略号及び記号は,次による。
A
フレーム長
B
バースト信号長
B1
バースト信号パターン1のバースト信号長
B2
バースト信号パターン2のバースト信号長
C
保証するビット誤り率
[以下,BER(Bit error rate)と表記する。JIS C 5954-3の3.41参照。]
D
データレート
n
1フレーム内のバースト信号数
Pave
送信光出力パワー
Passert
信号検知アサートレベル
Pde-assert 信号検知デアサートレベル
PB
受信部光入力パワー
P̲DUT 入力光信号の光変調振幅
Pimax
最大受信光入力パワー
Pimin
最小受信光入力パワー
Pmean
バースト光出力パワー
Poff
オフ状態光出力パワー
S
基準Rxの受信感度
Tx
トランシーバの送信器及び/又は送信部
Rx
光トランシーバの受信器及び/又は受信部
Vdis
送信器シャットダウン電圧
VdisH
高レベル送信器シャットダウン電圧
VdisL
低レベル送信器シャットダウン電圧
VSDH
高レベル信号検知アサート電圧
VSDL
低レベル信号検知アサート電圧
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4
標準環境条件
設備の中で行う試験及び測定から得たデータの適切な相関性を保証するために,標準大気条件をある範
囲内に制御する必要がある。特に規定がない場合,試験及び測定時の標準環境条件は,JIS C 5954-1:2008
の箇条4(標準環境条件)の表1による。また,特別な環境条件が必要な場合は,性能標準の中で指定す
ることができる。
なお,周囲の温度及び湿度の変動は,一連の測定中では最小限に維持する。
5
測定装置
測定装置は,JIS C 5954-3の箇条6によるほか,次による。
a) 基準Tx及び基準Rx Tx及び/又はRxは,測定系において,被試験Tx及び/又は被試験Rxと組み
合わせて使用する。
基準Tx及び/又は基準Rxは,光トランシーバの電気光学特性を試験及び測定する上で,十分に高
い性能でなければならない。特に基準Txは,1 244 Mbit/s以上の広い帯域幅及び1 244.16 Mbit/sの場
合10 dB,2 488.32 Mbit/sの場合8.2 dB以上の消光比を備えなければならない。
6
試験サンプル
試験サンプルは,JIS C 5953-7で規定する性能の光トランシーバであるものとする。試験対象の光トラ
ンシーバは,例えば,図1に示すように,各試験及び/又は測定系に組み込む。
7
試験及び測定方法
7.1
Rxアラーム機能
7.1.1
目的
信号検知アサートレベル(Passert:JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)以下になったとき,アラーム
出力電圧は高レベルから低レベルに変わらなければならない。7.1は,光トランシーバのRxアラーム機能
の試験及び測定方法について規定する。
7.1.2
試験及び測定系
特に指定がない限り,試験対象の光トランシーバ及び基準Txは,図1に示す試験及び測定系で測定す
る。
7.1.3
光スプリッタの校正
試験及び測定の前に,光スプリッタは,次に規定する方法で校正する。
a) 基準Txを通常の動作条件で動作し,信号入力端子に,ONUの場合は1 244.16 Mbit/s,OLTの場合は
2 488.32 Mbit/s,NRZ-PRBS(JIS C 5954-3の3.34及び3.49参照)223-1信号(マーク率50 %)を入力
する。
b) 基準Txの光出力ポートを,光ファイバコード及び可変光減衰器を通して光スプリッタの入力ポート
に接続する。
c) 光スプリッタの出力ポートAから,光ファイバコードを通して光パワーメータの入力ポートに接続す
る。
d) 可変光減衰器を,ポートAの光出力がおおよそPassertとなるように調節し,その値(PA)を記録する。
e) 光スプリッタの出力ポートBから,光ファイバコードを通して光パワーメータの入力ポートに接続し,
ポートBの光出力(PB)を記録する。
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f)
光スプリッタの出力ポートAを,光ファイバコードを通して光パワーメータの入力ポートに再び接続
する。光スプリッタの出力ポートBを試験対象のトランシーバに図1に示すように接続する。
g) PB/PAを計算し,その値を入射光パワー(PB)と光パワーメータの表示(PA)との校正係数として使
用する。
図1−Rxアラーム機能の試験及び測定系
7.1.4
試験及び測定方法
Rxアラーム機能の試験及び測定方法は,次による。
a) 試験対象の光トランシーバを通常の動作条件で駆動し,信号検知アサート電圧がJIS C 5953-7で規定
する低レベル信号検知アサート電圧(VSDL)の最小値から最大値までの範囲内であること(光入力が
ない状態を示している。)を確認する(図2参照)。
b) 試験対象の光トランシーバ及び基準Txを図1に示すように設置する。
c) 基準Txの信号入力端子に,パルスパターン発生器からONUの場合は1 244.16 Mbit/s,OLTの場合は
2 488.32 Mbit/s,NRZ-PRBS 223-1信号(マーク率50 %)を入力する。
d) PBがPassertよりも十分小さくなるように可変光減衰器を調節し,そのPBの値をPiminとして記録する。
e) PBがPde-assertよりも大きくなるように可変光減衰器を調節し,信号検知アサート電圧を記録する。
f)
信号検知アサート電圧が,JIS C 5953-7で規定する値を参照してVSDLからVSDHに変わる光入力パワー
をPde-assertとして記録する。
g) PBの値が最大受信光入力パワー(Pimax)となるように可変光減衰器を調節し,信号検知アサート電圧
を記録する。信号検知アサート電圧がJIS C 5953-7で規定する値を参照してVSDHの範囲内であること
を確認する。
h) PBの値がPassert以下となるように可変光減衰器を調節し,信号検知アサート電圧を記録する。
i)
信号検知アサート電圧が,JIS C 5953-7で規定する値を参照して,VSDHからVSDLに変わる光入力パワ
ーをPassertとして記録する。
j)
信号検知アサート電圧が,Pimin以下で,かつ,VSDLの最小値から最大値までの範囲内であることを確
認する。
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この方法の結果として,PBと信号検知アサート電圧との関係を表す図2で示すヒステリシス曲線が得ら
れる。このヒステリシス曲線が,受光器アラーム機能が動作する範囲である。
図2−受光器光入力パワーと信号検知アサート電圧との関係
7.2
Txシャットダウン機能
7.2.1
目的
光出力は,シャットダウン端子の電圧が高レベルから低レベルに変わったとき,入力信号がない状態の
光出力Passert又はオフ状態光出力パワーPoff(JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)以下にしなければな
らない。この規格は光トランシーバのTxシャットダウン機能の試験及び測定方法について規定する。
7.2.2
試験及び測定系
特に指定がない限り,試験対象の光トランシーバは,図3に示す試験及び測定系で測定する。
図3−送信器シャットダウン機能の試験及び測定系
7.2.3
試験及び測定方法
Txシャットダウン機能の試験及び測定方法は,次による。
a) 試験対象の光トランシーバを通常の動作条件で動作させ,シャットダウン端子に高レベル信号検知ア
サート電圧(VSDH:JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)を印加する。
b) 試験対象の光トランシーバの信号入力端子に,パルスパターン発生器からONUの場合は1 244.16
Mbit/s,OLTの場合は2 488.32 Mbit/s,NRZ-PRBS 223-1信号(マーク率50 %)を入力し,試験対象の
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光トランシーバのバースト光出力パワーがPmeanの規定値(JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)の
範囲内にあることを確認する。
c) シャットダウン電圧を高レベル電圧から低レベル信号検知アサート電圧(VSDL:JIS C 5953-7で規定
する要求値を参照)に変化させ,試験対象の光トランシーバの平均出力がPoff以下であることを確認
する。
d) シャットダウン電圧を低レベル電圧から高レベル電圧に戻し,試験対象の光トランシーバのバースト
光出力パワーがPmeanの規定値(JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)の範囲内にあることを確認す
る。
注記 送信器のシャットダウン機能は,送信器の光出力を停止する機能であり,シャットダウン端子
への印加電圧(送信器シャットダウン電圧,Vdis)を,高レベル(高レベル送信器シャットダウ
ン電圧,VdisH)から低レベル(低レベル送信器シャットダウン電圧,VdisL)に変えることで実
現できる。送信器シャットダウンはLaser disable,Tx(Transmitter又はTransmit)disableと呼ば
れることもある。
なお,入力信号の論理(正又は負)とシャットダウン動作との関係については,十分注意す
る。
7.3
バースト光出力パワー(Pmean)
7.3.1
目的
光トランシーバの平均出力の試験及び測定方法について規定する。
7.3.2
試験及び測定系
特に指定がない限り,試験対象の光トランシーバは図4に示す試験及び測定系で測定する。
図4−光出力パワーの試験及び測定系
7.3.3
試験及び測定方法
バースト光出力パワー(Pmean)の試験及び測定方法は,次による。
a) 図5に示すフレーム長A,バースト信号長B及び1フレーム内のバースト信号数nで規定するバース
ト信号を用いる。特に指定がない限り,光トランシーバにおいてBは,1 244.16 Mbit/sの場合64バイ
ト〜19 440バイト,2 488.32 Mbit/sの場合64バイト〜38 880バイトである。
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注記 この図は,1フレーム内のバースト信号数n=3の場合を表す。
図5−バースト信号パターン
b) 試験対象の光トランシーバを通常の動作条件で動作させ,ONUの場合は1 244.16 Mbit/s,OLTの場合
は2 488.32 Mbit/s,NRZ-PRBS 223-1信号(マーク率50 %)を信号入力端子に入力する。その設計した
バースト信号パターンをパルスパターン発生器から信号入力端子に入力する。
c) 送信光出力パワーPaveを光パワーメータで測定し,その値を記録する。
d) Pmeanを式(1)で計算する。
×
+
=
B
n
A
P
P
10
ave
mean
log
10
·························································· (1)
e) 送信光出力パワーPaveを光パワーメータで測定し,その値から式(1)を用いてPmeanを導出し記録する。
f)
測定したPmean値がPmeanの規定値範囲内(JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)にあることを確認
する。
注記 バーストモードでは,送信器は比較的短い時間だけオンとなる。また,各バーストの長さがバ
ーストごとに異なるため,Txの光出力パワーは,通常の測定では正しく示さなくなることがあ
る。ここでは,データ送信のバースト時の平均光送信パワーを正確に測定するための方法を示
す。
なお,バースト信号長は,各バーストで異なることがあるので十分注意する。
7.4
中心波長及びスペクトル幅
7.4.1
目的
光トランシーバの中心波長(λ0)及びスペクトル幅の試験及び測定方法を規定する。
7.4.2
試験及び測定系
特に指定がない限り,試験対象の光トランシーバは図6に示す試験及び測定系で測定する。
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図6−中心波長及びスペクトル幅の試験及び測定系
7.4.3
試験及び測定方法
中心波長及びスペクトル幅の試験及び測定方法は,次による。
a) 図5に示すフレーム長A,バースト信号長B及び1フレーム内のバースト信号数nで規定するバース
ト信号を設計する。光トランシーバにおいてBは,1 244.16 Mbit/sの場合64バイト〜19 440バイト,
2 488.32 Mbit/sの場合64バイト〜38 880バイトである。
b) 試験対象の光トランシーバを通常の動作条件で動作させ,ONUの場合は1 244.16 Mbit/s,OLTの場合
は2 488.32 Mbit/s,NRZ-PRBS 223-1信号(マーク率50 %)をパルスパターン発生器から信号入力端子
に設計されたバースト信号で入力する。
c) 光信号のスペクトルを光スペクトラムアナライザの画面に表示させる。
d) JIS C 61280-1-3の6.3(光スペクトラムアナライザの設定)及び7.2(光スペクトラムアナライザの設
定)に従い,光スペクトラムアナライザの分解能,中心波長,測定波長範囲及び平均化回数(10回以
上の測定結果を平均することを推奨)を調整し,画面上にピークから20 dB低下した位置のスペクト
ルの幅が表示されるようにする。
e) ピークから20 dB低下した位置を含む画面上のスペクトルの各縦モードのピーク波長及びピーク光パ
ワーを記録する。JIS C 61280-1-3の8.2(中心波長)及び8.5[RMS幅(Δλrms)]に従い,λ0及びスペ
クトル幅を計算する。
f)
計算で得られたλ0が規定の範囲内(JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)であることを確認する。
7.5
消光比及びアイパターンマスク試験
7.5.1
目的
光トランシーバの消光比及びアイパターンマスク試験の試験及び測定方法を規定する。
7.5.2
試験及び測定系
特に指定がない限り,試験対象の光トランシーバは図7に示す試験及び測定系で測定する。必要に応じ
て試験対象の光トランシーバとO/E変換器との間に光減衰器を挿入する。
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図7−消光比及びアイパターンマスク試験の試験及び測定系
7.5.3
試験及び測定方法
消光比及びアイパターンマスク試験の試験及び測定方法は,次による。
a) 図5に示すフレーム長A,バースト信号長B及び1フレーム内のバースト信号数nで規定されたバー
スト信号を設計する。特に指定がない限り,光トランシーバにおいてBは,1 244.16 Mbit/sの場合64
バイト〜19 440バイト,2 488.32 Mbit/sの場合64バイト〜38 880バイトである。
b) 試験対象の光トランシーバを通常の動作条件で動作させ,ONUの場合は1 244.16 Mbit/s,OLTの場合
は2 488.32 Mbit/s,NRZ-PRBS 223-1信号(マーク率50 %)をパルスパターン発生器から信号入力端子
に設計されたバースト信号で入力する。タイミングジッタを抑えるため,デジタルオシロスコープの
トリガとしてはバースト信号自体か又はそのエンベロープ信号を使用する。
c) 光信号波形をO/E変換器によって電気波形に変換し,画面上に表示させる。
d) JIS C 61280-2-2に従い消光比を計算し,JIS C 5953-7で規定するアイパターンマスクを使用してアイ
パターンマスク試験を実施する。
e) 上記の計算及びアイパターンマスク試験を,フレーム内の各バースト信号に対して繰り返し行う。
f)
アイパターンマスク試験に合格しているかを確認し,更に計算で得た消光比が規定値(JIS C 5953-7
で規定する要求値を参照)以上であることを確認する。
7.6
最小受信光入力パワー(Pimin)及び最大受信光入力パワー(Pimax)
7.6.1
目的
光トランシーバの最小受信光入力パワー(Pimin:JIS C 5953-7で規定する要求値を参照),及び最大受信
光入力パワー(Pimax:JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)の試験及び測定方法を規定する。
7.6.2
試験及び測定系
特に指定がない限り,試験対象の光トランシーバは図8に示す試験及び測定系で測定する。この系では,
7.1.3で規定した方法に従って校正係数を評価した光スプリッタを使用する。
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図8−最小受信光入力パワー及び最大受信光入力パワーの試験及び測定系
7.6.3
試験及び測定方法
最小受信光入力パワー(Pimin)及び最大受信光入力パワー(Pimax)の試験及び測定方法は,次による。
a) 図9 a)及び図9 b)にそれぞれバースト信号-1及びバースト信号-2として図示する二つのバースト信号
を設計する。これらの信号は,フレーム長A及び1フレーム内のバースト信号数nが同じである。さ
らに,光トランシーバの場合にはバースト信号長B1及びB2は,特に指定がない限り,1 244.16 Mbit/s
の場合64バイト〜19 440バイト,2 488.32 Mbit/sの場合64バイト〜38 880バイトと設定し,同じで
なくてもかまわない。
b) 基準Tx-1及び基準Tx-2を通常の動作条件で動作させ,バースト信号-1を基準Tx-1から,バースト信
号-2を基準Tx-2からそれぞれ出力する。
c) 光スプリッタ-1からの光出力信号を,(図8に破線で示す)O/E変換器を通じてオシロスコープに接続
してモニタし,パルスパターン発生器の信号遅延を調整してこれらのバースト信号間のタイミング差
(T)が1ビットよりも大きくなるようにする[図9 c)参照]。
d) 光スプリッタ-1からの光出力信号を,光スプリッタ-2に再度入力する。
e) バースト信号-2を止める,又は可変光減衰器によって40 dB以上の減衰が得られる場合には,減衰量
を最大に設定する。
f)
光パワーメータの値を読み取り,光スプリッタの校正係数及び式(1)を用いて光トランシーバのバース
ト信号-1の光パワーを計算する。
g) 可変光減衰器-1を調整し,バースト信号-1の光パワーの計算結果が,JIS C 5953-7で規定する要求値
になるようにする。また,このとき調整した減衰量を記録する。
h) バースト信号-1を止める,又は可変光減衰器によって40 dB以上の減衰が得られる場合には,減衰量
を最大に設定する。次に,バースト信号-2の送信を始める。
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i)
可変光減衰器-2を調整し,バースト信号-2の光パワーの計算結果が,最小受信光入力パワー(Pimin)
又は最大受信光入力パワー(Pimax)の仕様に近い値にする。
j)
再度バースト信号-1の送信を始める,又は,可変光減衰器によって40 dB以上の減衰が得られる場合
には,可変光減衰器-1の値をg)で記録した減衰量に戻す。
k) バースト信号-2のBERを次の式(2)で得られる時間よりも長い間測定する。
N
C
B
n
D
A
×
×
×
×
1
2
(秒) ····························································· (2)
ここに,
N: 定数(N>10を推奨)
l)
バースト信号-2の光パワーとBERとの関係をプロットし,BERがJIS C 5953-7で規定する要求値での
最小受信光入力パワー(Pimin)及び最大受信光入力パワー(Pimax)を求める。
m) バースト信号-1を止める,又は可変光減衰器によって40 dB以上の減衰が得られる場合には,可変光
減衰器-1の減衰量を最大に調整する。
n) 可変光減衰器-2を調整し,バースト信号-2の光パワーの計算結果が,最大受信入力の仕様より小さい
値にする。
o) 再度バースト信号-1の送信を始める,又は可変光減衰器によって40 dB以上の減衰が得られる場合に
は,可変光減衰器-1の値をg)で記録した減衰量に戻す。
p) バースト信号-2のBERを式(2)で得られる時間よりも長い間モニタし,バースト信号-2のBERがJIS C
5953-7で規定する要求値よりも小さいことを確認する。
a) バースト信号-1(基準Tx-1からの出力)
b) バースト信号-2(基準Tx-2からの出力)
図9−測定用のバースト信号パターン
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c) 光トランシーバからの光信号
図9−測定用のバースト信号パターン(続き)
7.7
信号光ペナルティ(Optical path penalty: OPP)
7.7.1
目的
光トランシーバの信号光ペナルティ(OPP:JIS C 5953-7で規定する要求値を参照)の試験及び測定方
法を規定する。
7.7.2
試験及び測定系
特に指定がない限り,試験対象の光トランシーバは図10に示す試験及び測定系で測定する。この系では,
7.1.3に規定する方法に従って校正係数を評価した光スプリッタを使用する。
図10−信号光ペナルティの試験及び測定系
7.7.3
試験及び測定方法
信号光ペナルティの試験及び測定方法は,次による。
a) 図10の破線の経路で,パルスパターン発生器,基準Tx,可変光減衰器-2及び基準Rxを接続する。
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このとき,出力データ信号は実線の経路でBER試験装置へ入力する。
b) PRBS信号を伝送し,可変光減衰器-2を調節して基準RxのBERをJIS C 5953-7で規定する要求値に
する。
c) このときの基準Rxへの入力光信号の光変調振幅(OMA)を破線の経路のようにO/E変換器及びデジ
タルオシロスコープを使用して測定し,受信感度Sとする。
d) 実線の経路で,光トランシーバの出力を反射損失制御部及び測定用光ファイバを介して可変光減衰器
に接続する。また,基準Rxの出力データ信号は,必要な場合は,破線の経路のように,トランスバ
ーサルフィルタを介してBER試験装置に入力する。
e) 反射損失制御部の可変光減衰器-1を調節し,規定の反射損失(15 dB)に設定する。
f)
可変光減衰器を調節し,基準RxのBERをJIS C 5953-7で規定する要求値になるようにする。
g) このときの基準Rxへの入力光信号の光変調振幅(OMA)P̲DUTを破線の経路のようにO/E変換器及
びデジタルオシロスコープを使用して測定し,記録する。
h) P̲DUTが基準Rxの受信感度Sよりも大きい場合,信号光ペナルティOPPは式(3)で求める。
S
DUT
P
OPP
−
=
̲
···································································· (3)
ここに,
OPP: 信号光ペナルティ(dB)
i)
P̲DUTが基準Rxの受信感度S以下の場合は,信号光ペナルティOPPは0とする。
j)
信号光ペナルティOPPが,JIS C 5953-7で規定する要求値以下であることを確認する。
8
試験結果
8.1
必須情報
試験結果に記録する必須情報は,次による。
a) 試験の日付及びタイトル
b) 光トランシーバの正常動作条件
c) 周囲温度又は参照ポイント温度及び湿度を含む試験結果
d) 光パワーメータの校正方法
e) 試験対象の光トランシーバの平均出力パワーの測定方法
8.2
有益な情報
試験結果に記録する有益な情報は,次による。
a) 使用する試験装置及び光パワーメータの精度及び分解能に起因する測定誤差
b) 光ファイバコード及びコネクタの仕様
c) 光パワー測定器の誤差
d) 試験者の氏名
e) 供給電圧及び/又は電流
f)
データ速度及び入力信号特性
g) 入力及び出力測定条件:波長,基準Tx及び基準Rxの接続コネクタモデル番号,受信感度及び最大受
信光入力パワー
h) 基準Tx及び基準Rx並びに試験対象の光トランシーバの推奨の試験前通電時間
i)
拡張動作条件(適用可能な場合)
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参考文献
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JIS C 5954-2 光伝送用能動部品−試験及び測定方法−第2部:ATM-PON用光トランシーバ
JIS C 61280-2-3 光ファイバ通信サブシステム試験方法−第2-3部:ジッタ及びワンダ測定
JIS C 61340-3-1 静電気−第3-1部:静電気の影響をシミュレーションする方法−人体モデル(HBM)
の静電気放電試験波形
ISO 1101,Geometrical product specifications (GPS)−Geometrical tolerancing−Tolerances of form, orientation,
location and run-out
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IEC 60794 (all parts),Optical fibre cables
IEC 60874 (all parts),Fibre optic interconnecting devices and passive components−Connectors for optical fibres
and cables
IEC 60950-1,Information technology equipment−Safety−Part 1: General requirements
IEC 61000-6-3,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 6-3: Generic standards−Emission standard for
residential, commercial and light-industrial environments
IEC 61280 (all parts),Fibre optic communication subsystem test procedures
IEC 61300 (all parts),Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and measurement
procedures
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IEC/TR 61930,Fibre optic graphical symbology
IEC/TR 61931,Fibre optic−Terminology
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intensity noise using a time-domain optical detection system
ITU-T G.957,Optical interfaces for equipments and systems relating to the synchronous digital hierarchy
ITU-T G.984.2,Gigabit-capable Passive Optical Networks (G-PON): Physical Media Dependent (PMD) layer
specification