サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

C 5860:2012  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 定格などの標準 ················································································································ 6 

4.1 基準状態 ······················································································································ 6 

4.2 定格などに用いる数値 ···································································································· 7 

4.3 温度 ···························································································································· 7 

5 基本的光学特性 ················································································································ 7 

C 5860:2012  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人光産

業技術振興協会(OITDA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業

規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業

規格である。 

これによって,JIS C 5860:1997は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 5860:2012 

空間ビーム光用受動部品通則 

General rules of passive devices for light beam transmission 

適用範囲 

この規格は,空間ビーム光を入射及び出射し,主に光伝送に用いる光受動部品の通則であり,空間ビー

ム光用受動部品の用語,定格及び特性の表し方などの一般的な共通事項について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60068-1 環境試験方法−電気・電子−通則 

JIS Z 8601 標準数 

用語及び定義 

用語及び定義は,次による。 

3.1 

空間ビーム光(light beam) 

導波されずに一様媒質中を伝搬する光。 

注記 空間ビーム光で,平行,発散,収束などの区別をする必要がある場合には,それぞれ平行光,

発散光,収束光などという。 

3.2 

空間ビーム光用部品(optical device for light beam transmission) 

入射及び出射,又は入射する光が空間ビーム光であり,光ファイバなどの光導波路との接続をもたない

部品。 

3.3 

空間ビーム光用部品の端面(end face of optical device for light beam transmission) 

空間ビーム光用部品で,光の入射,出射又はその両方が可能な部分。 

3.4 

入射端面(end face of optical device for light beam transmission) 

入射を意図する端面。 

3.5 

出射端面(end face of optical device for light beam transmission) 

出射を意図する端面。 

C 5860:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.6 

定格(rating) 

空間ビーム光用部品を適正な状態で動作させるのに必要な基本条件。 

3.7 

公称値(nominal value) 

空間ビーム光用部品の規格値を代表する数値。 

3.8 

基準状態(standard condition) 

空間ビーム光用部品の性能を評価する場合に基準とする環境状態。 

3.9 

周囲温度(ambient temperature) 

空間ビーム光用部品の周囲の空気温度。 

3.10 

使用温度範囲(operating temperature range) 

空間ビーム光用部品を適正な状態で使用できる周囲温度の範囲。 

3.11 

性能(performance) 

空間ビーム光用部品の使用目的を遂行するための能力。 

3.12 

特性(characteristic) 

空間ビーム光用部品の性能のうち,規定する性能で,ある条件で定量的又は定性的に表すことができる

もの。 

3.13 

空間ビーム光用受動部品(optical passive device for light beam transmission) 

出射光が入射光に対して,エネルギーの変換作用をもたない部品で,いかなる場合にも,その部品への

入射光パワーの総量よりも,そのときにその部品からの出射光パワーの総量が大きくならない空間ビーム

光用部品。 

3.14 

伝達を意図する(conducting) 

光の入射,出射又はその両方が可能なn個(n≧1)の端面をもつ空間ビーム光用受動部品の特定の使用

状態で,一つの入射端面iに光パワーPi,inを入射したとき,出射光パワーPj,outが,Pj,out=Pi,in(i≠j)である

ことを望むこと。部品の構造及び/又は機能上の理由でPj,out=Pi,inにはなり得ない場合であっても,Pj,out

=Pi,inに近いことを望むこと。 

3.15 

分岐を意図する(splitting) 

入射端面への入射光パワーを2個以上の端面から出射するとき,出射光パワーの総量が入射光パワーに

近いことを望むこと。 

3.16 

阻止を意図する(isolated) 

入射端面に光パワーを入射したとき,出射光パワーが0であることを望むこと。 

C 5860:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.17 

減衰を意図する(attenuating) 

入射端面iに光パワーPi,inを入射したとき,出射光パワーPj,outが,0<Pj,out<Pi,in(i≠j)を満たす一定の

値であることを望むこと。 

3.18 

光損失(optical loss) 

空間ビーム光用部品の特定の使用状態で,端面iへの入射光パワーに対する,端面jからの出射光パワ

ーの比(ただし,i=1,2,…,n j=1,2,…,n)をデシベル値で表した値。式(1)によって算出する。 

in

,

out

,

10

log

10

i

j

P

P

a −

=

 ······································································ (1) 

ここに, 

a: 光損失(dB) 

Pj,out: j番目の端面から出射する光パワー(W) 

Pi,in: i番目の端面に入射する光パワー(W) 

3.19 

挿入損失(insertion loss) 

入射端面と,伝達を意図する出射端面との間の光損失。 

3.20 

減衰量(attenuation) 

入射端面と,減衰を意図する出射端面との間の光損失。 

3.21 

アイソレーション(isolation) 

光を入射した端面と,阻止を意図する端面との間の光損失。 

3.22 

反射減衰量,rl(return loss) 

入射ビーム位置に戻ることを望まない部品において,入射光パワーに対する入射ビーム位置に戻る光パ

ワーの比をデシベル値で表した値。式(2)によって算出する。 

1

2

10

log

10

P

P

rl−

=

 ········································································ (2) 

ここに, 

rl: 反射減衰量(dB) 

P1: 端面に入射する光パワー(W) 

P2: 入射ビーム位置に戻る光パワー(W) 

3.23 

透過率(transmittance) 

使用波長範囲における,入射光パワーに対する空間ビーム光用受動部品を透過する光パワーの割合。 

3.24 

反射率(reflectance) 

入射光パワーに対する入射した端面からの出射光パワーの比。 

3.25 

消光比(extinction ratio) 

伝達を意図する状態の出射光パワーに対する,阻止を意図する状態の出射光パワーの比。 

C 5860:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.26 

使用波長(operating wavelength) 

空間ビーム光用受動部品の所期の性能を満たす代表的な光の波長。 

3.27 

使用波長範囲(operating wavelength range) 

空間ビーム光用受動部品の所期の性能を満たす光の波長域。 

3.28 

偏光状態(state of polarization) 

偏光の振動状態の分類。直線,だ(楕)円及び円がある。 

3.29 

だ(楕)円率,E(ellipticity) 

だ(楕)円偏光において,光波(電界ベクトル)の先端の軌跡が描くだ(楕)円の長軸の長さに対する

短軸の長さの比。 

3.30 

偏光消光比,PER(polarization extinction ratio) 

偏光の程度をデシベル表示した値。だ(楕)円偏光の場合,だ(楕)円率Eから,式(3)によって偏光消

光比PERを算出する。 

PER=−10log10 E2 ······································································ (3) 

ここに, PER: 偏光消光比(dB) 
 

E: だ(楕)円率 

直線偏光の場合はE=0に相当し,偏光消光比は無限大になる。円偏光の場合はE=1に相当し,偏光消

光比は0 dBになる。 

3.31 

偏光依存性(polarization dependent) 

入射光の偏光状態によって光学特性が変化すること。 

3.32 

偏波分散(polarization dispersion) 

入射光の偏光状態によって光路長が異なるために生じる群遅延時間の差,又はその現象。 

3.33 

波長特性(wavelength dependent) 

入射光の波長によって光学特性が変化する様子。 

3.34 

有効ビーム径(clear aperture) 

空間ビーム光用受動部品の所期の性能を満たすために,許容する入射ビームの直径の最大値。 

3.35 

ビーム広がり角(beam divergence) 

ビームが発散するときビームの進行方向に対しビーム径が広がる度合いを全幅値の角度で表したもの。 

3.36 

入射角(incident angle) 

空間ビーム光用受動部品の入射端面に対し垂直な軸を基準とし,その基準軸と入射ビーム光の中心軸と

C 5860:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の間の角度。 

3.37 

出射角(launching angle) 

空間ビーム光用受動部品の出射端面に対し垂直な軸を基準とし,その基準軸と出射ビーム光の中心軸と

の間の角度。 

3.38 

最大入射光パワー(maximum incident optical power) 

空間ビーム光用受動部品が損傷又は特性劣化を起こさない入射光パワーの最大値。 

3.39 

最大入射光パワー密度(maximum incident optical power density) 

空間ビーム光用受動部品が損傷又は特性劣化を起こさない入射光パワー密度の最大値。ここで,入射光

パワー密度は単位面積当たりの入射光パワーとする。 

3.40 

反射防止膜(anti-reflection coating) 

空間ビーム光用受動部品の表面反射を低減するために,その表面に蒸着又は塗布した透明薄膜。 

3.41 

光減衰器(optical attenuator) 

一対の入射端面及び出射端面をもち,減衰を意図する空間ビーム光用受動部品。 

3.42 

光アイソレータ(optical isolator) 

一対の入射端面及び出射端面をもち,入射端面から出射端面へは伝達を意図し,かつ,出射端面から入

射端面へは阻止を意図する空間ビーム光用受動部品。 

3.43 

光サーキュレータ(optical circulator) 

光の入射,出射又はその両方が可能な3個以上の端面をもち,入射端面と出射端面とが循環関係をもつ

非相反性の空間ビーム光用受動部品。 

3.44 

光フィルタ(optical filter) 

一対の入射端面及び出射端面をもち,特定の波長領域では伝達を意図し,これ以外の波長領域では減衰

又は阻止を意図する空間ビーム光用受動部品。 

3.45 

光ブランチングデバイス(optical branching device) 

光の入射,出射又はその両方が可能な3個以上の端面をもち,各端面間の入射光パワーに対する出射光

パワーの比が一定である空間ビーム光用受動部品。 

3.46 

光変調器(optical modulator) 

空間ビーム光の入射,出射又はその両方が可能な2個以上の端面をもち,外部からの信号に応じて光を

変調し,出射する特性をもった空間ビーム光用受動部品。 

3.47 

光スイッチ(optical switch) 

C 5860:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

空間ビーム光の入射,出射又はその両方が可能な2個以上の端面をもち,ある端面への入射光パワーが

他の端面から出射するか,又はいずれの端面からも出射しない二つ以上の定常的な状態をとることができ,

これらの状態の間を外部からの駆動手段に応じて切り換えることができる空間ビーム光用受動部品。 

3.48 

光偏向器(optical deflector) 

一対の入射端面及び出射端面をもち,外部からの駆動手段に応じて,空間ビーム光の進行方向を制御す

ることができる空間ビーム光用受動部品。 

3.49 

分散素子(dispersive element) 

空間ビーム光から特定の波長又は波長域を取り出すための空間ビーム光用受動部品。 

3.50 

偏光子(polarizer) 

光の入射,出射又はその両方が可能な2個以上の端面をもち,光を入射した場合,他の端面から特定の

偏光状態の光を出射する空間ビーム光用受動部品。 

3.51 

偏光制御器(polarization controller) 

一対の入射端面及び出射端面をもち,入射光の偏光状態を制御し,これを出射する空間ビーム光用受動

部品。 

3.52 

偏光回転器(polarization rotator) 

入射直線偏光に対し,出射直線偏光の偏光方向を任意の方向に回転できる空間ビーム光用受動部品。偏

光制御器の一つである。 

3.53 

偏光解消子(depolarizer) 

一対の入射端面及び出射端面をもち,特定の偏光状態の光を入射し,特定の偏光状態をもたない自然光

に近い光を出射する空間ビーム光用受動部品。 

3.54 

位相子(retarder) 

二つの偏光成分に位相差を与えるための空間ビーム光用受動部品。 

3.55 

レンズ(lens) 

波面の曲率を変換する透過形の空間ビーム光用受動部品。 

3.56 

ミラー(mirror) 

入射光の全部又は一部を反射する空間ビーム光用受動部品。 

定格などの標準 

4.1 

基準状態 

基準状態は,JIS C 60068-1の5.1[標準基準大気条件(基準状態)]とする。ただし,温度だけをもって

基準状態としてもよい。 

background image

C 5860:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2 

定格などに用いる数値 

定格などに用いる数値は,JIS Z 8601による。 

4.3 

温度 

使用温度範囲及び定格を定める場合の温度は,表1による。 

表1−温度 

単位 ℃ 

−65 

−5 

27 

85 

200 

−55 

30 

100 

250 

−40 

40 

125 

315 

−25 

20 

55 

155 

400 

−10 

23 

70 

175 

基本的光学特性 

空間ビーム光用受動部品の基本的な光学特性の項目は,次による。 

a) 挿入損失 

b) アイソレーション 

c) 反射減衰量