C 5750-4-1:2008 (IEC 62309:2004)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 リユース部品を含む製品に対する要求事項 ············································································ 4
4.1 一般事項 ······················································································································ 4
4.2 機能的特性及び品質 ······································································································· 5
4.3 環境問題 ······················································································································ 5
4.4 安全性 ························································································································· 6
4.5 残存寿命 ······················································································································ 6
4.6 トレーサビリティ ·········································································································· 6
5 リユース部品を含む製品の認定試験 ····················································································· 6
5.1 現状の評価 ··················································································································· 6
5.2 信頼性アセスメント ······································································································· 6
5.3 最終検査及び試験 ·········································································································· 7
6 再調整···························································································································· 7
6.1 部品の再調整 ················································································································ 7
6.2 分解及び復帰 ················································································································ 7
7 保証及び文書化 ················································································································ 7
7.1 寿命,故障率,保証期間 ································································································· 7
7.2 文書化 ························································································································· 7
7.3 製品安全及び管理 ·········································································································· 8
附属書A(参考)追加記述及び事例 ························································································· 9
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS C 5750の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 5750-1 第1部:ディペンダビリティプログラム管理
JIS C 5750-2 第2部:ディペンダビリティプログラム要素及びタスク
JIS C 5750-3-1 第3-1部:適用の指針−ディペンダビリティ解析手法の指針
JIS C 5750-3-2 第3-2部:適用の指針−フィールドからのディペンダビリティデータの収集
JIS C 5750-3-3 第3-3部:適用の指針−ライフサイクル コスティング
JIS C 5750-3-4 第3-4部:適用の指針−ディペンダビリティ要求事項仕様書作成の指針
JIS C 5750-3-5 第3-5部:適用の指針−信頼性試験条件及び統計的方法に基づく試験原則
JIS C 5750-3-6 第3-6部:適用の指針−ディペンダビリティにおけるソフトウェアの側面
JIS C 5750-3-7 第3-7部:適用の指針−電子ハードウェアの信頼性ストレススクリーニング
JIS C 5750-4-1 第4-1部:適用の指針−リユース部品を含む製品のディペンダビリティ−機能性及び
試験に関する要求事項
JIS C 5750-4-2 第4-2部:適用の指針−ソフトウェア ライフサイクル プロセスにおけるソフトウェ
ア ディペンダビリティ
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日本工業規格 JIS
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ディペンダビリティ管理−第4-1部:適用の指針−
リユース部品を含む製品のディペンダビリティ−
機能性及び試験に関する要求事項
Dependability management−Part 4-1: Application guide−
Dependability of products containing reused parts−
Requirements for functionality and test
序文
この規格は,2004年に第1版として発行されたIEC 62309を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成
を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
21世紀における製品の市場は,急速に変化しつつある。環境問題への取組みという新たな社会的要請が
ある一方で,科学技術が著しい成長を遂げている現在,“何が新製品を構成するのか。”という,古来の考
え方を問い直す必要が生じている。
環境の変化を見ると,これまでの方法は環境及びその資源の使い方に無駄が多いことを示している。製
造品質が改善されたことによって,ほとんどの部品は消費者が必要とするよりもはるかに長い寿命をもっ
ている。その結果,製品及びその構成部品は,明らかにまだ有効活用が可能なのにもかかわらず廃棄され
ている。
技術の変化もまた,製品の信頼性を加速的に高める一方で,同時にその陳腐化も促進している。これら
の二つの相反する状況が,一方で廃棄の流れを助長する原動力となっている。
この廃棄の助長に対する解決法は,一度使用されたことのある部品(新品同様との自己認定品,又は再
認定品)を用いて製造した製品が,そのディペンダビリティを損なうことなく入手できるということを,
顧客と製造業者とに再保証するための規格を導入することである。
この受入基準の誤使用から顧客を守るために,“その製品は,再認定部品を含んでいるが,それによって
機能若しくはライフサイクル,又は安全性に影響が出ることはなく,また,どの部品が再認定に当たるの
かを明記した文書が存在すること。”を,エンドユーザに知らせることが必要不可欠である。
1
適用範囲
この規格は,リユース部品を新製品に組み込む場合における,リユース部品の信頼性と機能性とを確認
するための考え方及び使用法について規定する。それは,製品の設計寿命に関して,再認定されているこ
とが宣言されたリユース部品を含んでいる製品に,必要とする試験又は分析についての情報及び諸基準を
提供する。
この規格では,“製品”という用語は電気的,電機的,機械的部品及びソフトウェアが組み込まれたハー
2
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ドウェアを網羅する。再認定は,ソフトウェア製品,概念及びアイディアには用いない。
この規格の目的は,リユース部品を含む新製品が新しい部品だけで構成された製品に匹敵する信頼性及
び機能性を有しているということを,試験及び分析によって裏付けるものである。これによって,製造業
者は次の顧客に対して,再認定部品を使った製品が十分な保証を与える根拠をもっていることを証明する
ことができる。
注記1 この規格は,リユース部品を用いた製品を新造品として扱う場合を対象としており,中古品
については適用対象外である。
注記2 この規格は,製品分野ごとのTC(技術委員会)によって定められた製品にかかわる規格を作
るときに適用することができる。
注記3 製造業者にとってこの規格がもつ利点は,新しい部品の使用数を減らすこと,提案されてい
る法規に対して適合していること及び製品品質について顧客に不安を与えないという保証で
ある。顧客にとっての利点は,環境に優しく,十分に管理された方法で製造されているとい
う認識の下に,使用目的と期待する寿命に適合した,品質の良い製品を受け取ることである。
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62309:2004,Dependability of products containing reused parts−Requirements for functionality
and tests (IDT)
なお,対応の程度を表す記号 (IDT) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8115 ディペンダビリティ(信頼性)用語
注記 対応国際規格:IEC 60050-191:1990,International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 191:
Dependability and quality of service (MOD)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8115によるほか,次による。
図A.3は,次に定義した寿命の関係を示している。寿命は,動作時間又は暦時間(例:年間の繰返し動
作回数)によって計測することができる。
3.1
プロセス (process)
入力を出力に変換する,相互に関係する又は相互に影響しあう一連の活動。
注記1 あるプロセスへの入力は,通常他のプロセスからの出力である。
注記2 一般的に,ある組織内でのプロセスは,管理された条件下である付加価値を与えるために計
画され実行される。
注記3 できあがった製品の適合性が直ちに又は経済的に検証されないプロセスの場合は,しばしば
“特定のプロセス”として扱われる(JIS Q 9000:2000, 3.4.1参照)。
3.2
製品 (product)
3
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プロセスの結果。
注記1 この規格では,“製品”という用語はハードウェア(例えば,エンジン,機械的部品)と加工
された材料(例えば,潤滑油)とを含む。
注記2 この定義は,JIS Q 9000:2006の3.4.2に基づく。
3.3
新造品 (new product)
まだ,通常の使用下におかれていないすべての構成部品を含む,全体としての製品。
注記 新造品には,一つ以上の再認定部品を含む。
3.4
再認定品 (qualified as good as new , quagan)
一度以上,通常の使用下におかれた部品の状態のひとつ。再認定品は,通常の再販部品(中古部品)と
異なり,再び販売するために調整され,規格化とともに文書化された品質検査を行った場合に適用される。
それは,すべての信頼性項目において,新品同等の設計寿命(ANDL: 3.7参照)をもち新品と同様のもの
である。
注記 再認定部品は,その目的と合致し,新品同等の設計寿命 (ANDL) をもつ製品と同じだけの信頼
性があると定義できる。必要な文書レベル及び品質確認は,その適用方法及び市場の要求に基
づく。
3.5
耐用寿命 (useful life)
与えられた条件の下で,ある特定された時点から故障強度が容認できなくなるか,又は故障の結果とし
てそのアイテムが修理不可能と考えられるまでの時間(間隔)。(JIS Z 8115 HR12参照)
注記 例えば,40年の間,所定の部品を定期的に交換して有効に使える場合,この装置の耐用寿命は
40年となる。
3.6
新規設計寿命 NDL (new designed life)
特定の運用条件の下で,新しい部品だけで構成された製品が,初めての使用に供されたときの設計寿命。
注記 “設計寿命”は,製品の使用状況,市場の要求,効率性,経済性及び技術などによって異なる。
3.7
新品同等の設計寿命 ANDL (as-new designed life)
特定の運用条件の下で,少なくとも一つのリユース部品を含む製品を使用したときの設計寿命。
注記 NDLとANDLとは同じ長さ又は比率である必要はないが,ANDLがNDLよりも短くならない
ようにするのがよい。
3.8
残存寿命 (remaining working life)
部品が,ある特定の時間から,使用限界状態となるまでの時間間隔。
3.9
リユース (reuse)
製品を分解した後に,その構成要素として使われていた部品を,新たに別の製品の構成要素として再び
使用すること。
4
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3.10
リサイクル (recycle)
製品を分解した後,その構成要素として使われていた材料を,別の製品の構成要素として利用するため
に再生すること。
注記 再生に当たっては,リユースのために材料を分類することが必要である。リユースのために分
類された材料が再生される。
4
リユース部品を含む製品に対する要求事項
4.1
一般事項
3.4の定義によれば,製品は新品部品及びリユース部品を使用して作られることがある(図1参照)。
図1−リユースの位置付け
再認定部品及び材料が製品にどのように組み込まれるかの意思決定フローチャートを,図2に示す。
5
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図2−基本的な意思決定フローチャート
4.2
機能的特性及び品質
リユース部品を含む製品は,新しい部品だけから構成される製品と同じ技術標準類1)を満足し,かつ,
特別の規定がない限り,機能的に完全に同等でなければならない。
リユースされた部品,組立品及び材料の機能性及び動作環境条件は,該当する新品と同等の技術的仕様
でなければならない。
再認定部品の仕様の値は,新しい部品における仕様の値と比較し,影響のない範囲での違いはあっても
よい。これらの許容される変化量は,製品の種類に依存するものであり,これらの違いについては,製品
の品質認定プロセス文書の中で明確に規定しなければならない。
再認定部品は,新品が製品製造工程において受けるのと同一,又は同等の検査及び機能試験を満たさな
ければならない。
新品同様と再認定された部品を用いた製品の機能性は,少なくともすべてが新しい部品で作られた製品
の場合と同じ検査,及び機能試験によって検証されていなければならない。
注1) ここでいう技術標準類とは,製品規格,出荷規格などの社内規格及び適用すべき設計標準,技
術標準などが相当する。
注記 リユース部品を別の使い方又はソフトウェアの新たなバージョンを適用する場合は,それにふ
さわしい再認定及び妥当性確認を必要とする。
4.3
環境問題
再認定部品を製造工程に投入するプロセスでは,それらのリユース部品を使うことで,部品を廃却する
場合及び新品の部品を製造する場合以上に,環境へ余分な負担が加わることがないように適切に配慮をし
なければならない。
6
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例えば,次のような環境的側面,すなわち,エネルギー消費,危険な物質,材料のリサイクルなどの環
境問題に関しては,特別の注意を払う必要がある。再認定部品は,環境への影響を配慮しながら,製品の
長期的な使用の機会を向上させる目的のために,予備部品としても使用することができる。例えば,コス
トが同等であっても,資源の節約になる別の注意を払う必要がある。
このような方法で部品の再生コストを低減するために,設計者は,製品の耐用寿命の時点で,それをど
のように分解するかについてよく考慮しておくことが望ましい。設計がより複雑であればあるほど,部品
の再生はより困難になり,高価なものになってしまう。もし分解にかかるコストが一定水準以下の場合は,
リユース部品を含む製品の数は増大することになる。
注記1 有害物質を含む製品は,循環サイクルに再びのせる場合には,十分に注意する必要がある。
注記2 エネルギー消費が相対的に高い場合は望ましくないが,新造品の製造が難しかったり又はコ
スト的に高い場合はやむを得ない。
4.4
安全性
リユース部品を含むいかなる製品も,最新の販売条件及び法的な要求事項に適合するために,最新の安
全性及び保証についての要求事項を満たさなければならない。
4.5
残存寿命
再認定部品は,最終製品で設計された寿命に対して,新品同様に十分な残存寿命がなければならない。
4.6
トレーサビリティ
リユース部品を用いた製品において,新品同様の設計寿命を満たさない残存寿命の部品を排除するため
に,適切なトレーサビリティを確保できる製造記録を残すことが望ましい。しかしながら,コストの低い
部品については,認識のためにラベルその他の識別マークを用いてもよい。
5
リユース部品を含む製品の認定試験
5.1
現状の評価
この手順は,再認定部品を含む製品の状態を評価するために適用する。評価は,製造業者のデータシー
ト,又は構成部品若しくはモジュールの寿命試験によって行う。品質マネジメントシステムの適切な利用
は,製造及び評価工程を管理するのに役立てることができる。
(例えば,JIS Q 9001,JIS C 5750-1及びJIS C 5750-2参照)
注記 ここでいうモジュールは,製品を構成する一部分を示す。
これらの手順は,次による。
− 新品の部品だけを使った製品に対して行うような目視検査,測定及び機能試験。
− 運転時間計,消費量計などの評価。残存寿命に関する情報を得て,部品のリユースが可能かどうかを
決定するために用いる(例えば,摩耗状態が目視できる特性値曲線,ワイブル分布曲線など)。
− 再認定品の内蔵部品,又は製品中のリユース部品が損なわれていないかどうかの外観上の確認。
− 機械的構造に何らかの形で負荷が加わる場合の,適切な検査又は試験(例えば,X線,超音波試験な
ど)。
− ソフトウェアの状態の評価。
5.2
信頼性アセスメント
解析又は試験を通して,リユース部品を含む製品のもつ故障強度及び故障率が,新しい部品だけを使っ
た製品よりも高くないかどうか,また,新品同様の設計寿命における限界を超えていないかどうかを検証
しなければならない。リユース部品に関しては,信頼性ストレススクリーニングの工程を省略することが
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できる。
解析及び試験は,リユース部品を含む製品の性能及び信頼性の水準を達成し,かつ,その製品のANDL
を満足することを保証するために計画することが望ましい(例えば,JIS C 5750-2を参照)。
5.3
最終検査及び試験
リユース部品を含んだ製品の機能性試験を含む最終検査及び試験は,新しい部品だけを使った製品と同
じでなければならない。
6
再調整
6.1
部品の再調整
部品の再調整は,すべての判定基準を満たす場合には差し支えない。
6.2
分解及び復帰
リユースに適した部品を含む製品は,適切な作業標準,指示書及び方法に基づいて分解し,部品を再利
用可能な状態にしなければならない。
製品のきょう(筐)体は,外見上損なわれていてはならない。再塗装しても差し支えない。
7
保証及び文書化
7.1
寿命,故障率,保証期間
リユース部品を含んだ製品に期待される耐用寿命は,少なくとも仕様書に明記されている製品の設計寿
命と一致していなければならない。リユース部品を含む製品の故障強度又は故障率は,新しい部品だけで
作られた製品に適用されている期待値を超えてはならない。また,その限界値を下回ってはならない。保
証期間及び保証条件は,新しい部品だけで作られた製品のそれを下回ってはならない。国の法的な要求事
項についても考慮することが望ましい。
7.2
文書化
− 顧客に対する文書化 顧客に対しては,文書化(例:見積書,請求書,製品カタログ)された営業文
書によって,顧客自らが購入する製品には,再認定部品が含まれているということが分かるようにな
っていなければならない。顧客は,リユース部品を含んだその製品が,解析又は試験を通して,それ
らの標準に合致しているということを明記している文書を確認することが望ましい。また,契約書又
は規定の中で,その必要性を定めれば,リユースされた部品をリスト化した文書も確認することが望
ましい。その表示の形態は,商取引慣習,又は国の法的な要求によって異なる場合がある。
− 内部における文書化 再認定部品を用いて製品を製造する場合,信頼性及び寿命の検証プロセスを文
書化しなければならない。この内部文書は,期待される信頼性と残存寿命とをどのように検証するか
という手順及び判断基準について規定しなければならない。
保存される記録類は,再認定部品として使用するときに適用する試験又は影響評価に基づく。例えば,
試験によって装置の出力を計測し,劣化表と比較する場合は,製造番号の記録を保存する必要はない。し
かし,部品の寿命をバスタブカーブ手法によって評価するような場合には,評価を実行可能にするために,
部品が製品に組み込まれる段階のすべてを記録する必要がある。文書化の範囲は部品の特性とその適用方
法によって変わる(例えば,機能的に重要な電子アセンブリの部品,ブラケット)。
取り外された部品は,リユース部品として認定されるまでは,通常の製造ラインから分離保存しておく
ことが望ましい。再認定部品の状態,年数などの記録を残しておくことが望ましい。選別に用いた試験の
記録及び/又は分析の記録も保存することが望ましい。部品が,リユースのために出庫されると,生産工
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程の中で新品とリユース品が混在することになるので,この記録は,少なくとも製品における新品同等の
設計寿命の間は保管しなければならない。
注記 この文書は,専門家が要求する技術ファイルの一部で,JIS Q 9001の4.2.4及び8.3の品質記録
の一部とみなす。
7.3
製品安全及び管理
製品を流通させる法的責任者(ほとんどの場合は製造業者)は,新しい部品だけを含む製品と同じよう
に,製造物責任,流通及び製品の使用に関する諸製品安全法規,並びにその他の規制等への適合に関して
責任をもつ。安全性の評価は必要に応じて繰り返す必要があり,また,安全性分析は更新しなければなら
ない。
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附属書A
(参考)
追加記述及び事例
序文
この附属書は,追加記述及び事例について記載するものであって,規定の一部ではない。
A.1 再認定部品の信頼性
製造プロセスにおいてリユースされる部品は,少なくとも新品部品と同じ機能性をもつことが望ましい。
新品同様と認定された部品に対し期待される動作寿命は,少なくとも新製品の設計寿命値に一致している
ことが望ましい。したがって,リユース部品の残存寿命のために(残存寿命が短いため),新品同等の設計
寿命 (ANDL) が減少するようなことがないことが望ましい(図A.3参照)。これは,次の情報を用いて分
析することで検証を行うことが望ましい。すなわち,新品部品の故障分布又はリユース部品の残存寿命に
関する情報の解析結果,又は新品同様と認定された部品のロットからのサンプル採取データである。これ
らの検証試験を通して,故障時間分布の推定が可能になる。単品の生産(大量生産又は複合部品生産では
ない。)の場合は,テスト及び分析を可能にするために,類似部品の過去のデータを使用することが望まし
い。
摩耗しやすい部品の残存寿命は,特性曲線から分かる(図A.1参照)。このモデルは,様々な信頼性の特
性に適用できる。製品又は部品の要求事項に応じて,適切な特性を選択することが必要である。
摩耗又は疲労によって故障することのない機械系部品の場合は,一般的には洗浄と機能試験で十分であ
る。
図A.1−部品の残存寿命決定の例
ある製品では製造後も,信頼性の低い部品が一定の割合で含まれている場合がある。このような場合に
は,しばしば信頼性ストレススクリーニングが用いられ,エージングが適用されたり,ときには顧客から
要求されたりする。製造途中では,プリント配線基板(以下,PWAという。)に1個〜数個の部品を交換
することで修復できるような故障要因がしばしば見つかる。この場合,はんだはがし及び再はんだ付け工
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程は,作業標準に従って手作業で行われることが多い。このような場合でも,こういった修理を経たPWA
は新品として扱われる。
A.2 設計文書
リユース部品を含む製品の技術設計文書には,新しい部品だけで構成される製品情報と同様に,リユー
ス部品についての情報を記述していなければならない。リユース部品の再使用の回数を決めることが必要
な場合がある。方法としては,製造番号を付加するか,こうした部品の追跡可能な記録簿を作ることを含
む(4.6を参照)。
リユース部品を含む製品の生産において,販売前に行う試験及び解析に関して規定した設計データのフ
ァイルを作成しなければならない。これには互換性及び機能を完全に達成するために必要な,すべての変
更を含むことが望ましい。すなわち,リユース部品を含む現在の製品に対して適切なインタフェースをも
たない部品,コネクタなどを交換することである。
注記 設計文書では,公共事業者の要求を配慮する必要がある。工業製品において,設計文書は契約
の規定に従って顧客に提供されることが望ましい。消費財では公共事業者の要求及び情報非公
開の場合には,その合意後に消費者組織による要求に応じてファイルを提供することが望まし
い。
A.3 リユースのための設計
リサイクルを目指した製品ライフサイクル計画とは,統合的な設計プロセスの一部を担うもので,例え
ば,次の項目を取り入れる。
− 諸資源(スペア パーツ,エネルギーなど)の節約
− 廃棄物の削減
− 製造にかかわる排出物の削減
設計プロセスの目的にはリユース設計の概念,再使用部品,モジュール再使用又は製品再使用のための
設計指針が含まれる。設計プロセスで,配慮すべき幾つかの技術的な問題点は,次のとおりである。
− 複数の製品世代のための設計
− モジュール化
− 機能性向上
− 保全性及び操作性
− 分解の容易性
− 互換性
− 相互運用性
− 試験可能性
− 損傷に対する頑健な設計
− 材料の再使用の可能性
図A.2は,設計における三つの要素,すなわち構成,結合及び材料について,それぞれリサイクルの側
面を示したものである。
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詳細さの
水準細目
構造
結合
材料
一般
リサイクルの概念
非破壊的分解
リサイクル能力
製品
モジュール化
結合の範囲
使用の互換性
部品
操作性
取外しの程度
材料の多様性
材料
分離容易性
取外し時間
材料の選択及び互換性
図A.2−“製品の細目”の“設計の要素”への割当て
一般に,もし設計者が,例えば5年〜10年にわたるような幾つかの世代にわたる,複数の製品モデルを
計画する場合,同じシリーズでの生産(世代間で連続的に使用した生産)における再使用が経済的である。
高い水準の標準化は,(市場から)戻ってきた製品の主要部品を可能な限り再使用できるようにすることが
可能になる。このことは,また製品が高いモジュール性及び容易な互換性をもつことを意味する。
政府の規制によって,製造業者が廃却された製品を受け取り,解体するよう要請される場合には,再使
用は促進される。廃却された製品の受取りは,特定の製造ステップと同様に,組織的に行われる必要があ
る。
A.4 経済的側面
部品を再度,製品に使用するという循環にのせようとする場合,品質又は環境の側面に加えて,経済的
側面(例えば,ライフサイクルコスト)を考慮することが望ましい。経済的側面を考慮するとき,顧客が
利点と考えるのは,価格がより安くなること及び環境の保護に貢献していると認識することである。製造
業者への利益は,より安いコストにできることである。社会への利益は,資源及び環境の保護である。製
造業者のための経済的な効率とは,期待される経済的利益を得るために,その部品の試験を含む再生作業
にかかるコストを計算し,それを保管と購入業務とを含めた新しい部品にかかる総コストと比較すること
を意味する。
経済的側面を考慮する場合には,少なくとも次について配慮することが望ましい。
a) 製造原価
b) 顧客の利益
c) 社会的な利益
d) 設計効率
e) 製造効率
A.5 寿命経過図 (ライフタイムダイアグラム)
図A.3は再使用のために,複数の製品において使用が検討されている部品の使用法を,代表的な寿命経
過図で示す。
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C 5750-4-1:2008 (IEC 62309:2004)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A.3−寿命経過図 (ライフタイムダイアグラム)
A.6 事例
A.6.1 リユースを検討するモジュール
あるコピー機の製造業者が,新規製品において既存製品からの部品リユースを,次のように計画してい
る場合,
− このコピー機の平均的な使用条件は,1時間当たり100枚のコピー数で1日8時間稼動し,かつ,年
間では250日稼動する。つまり,年間20万枚のコピーとなる。
− 保証期間は2年間である。
− 計画された方針では,2年後,すなわち40万枚コピー使用した後に製品を回収する。
このコピー機で,次のようなモジュールがリユースの対象と考える。
− 機械的なスライド機構をもった光学システム
− (電気的)モータ
− 電源ユニット
− メモリモジュール(プリント配線基板)
A.6.2 光学システム
光学システムは試験が行われ,その結果からワイブル解析されている。システムの特性寿命 Tは900万
サイクルで,形状パラメータbは2.5である。
ワイブル解析の結果から,摩耗故障の累積比率は,次のようになる。
− 40万サイクル後では0.04 %
− 80万サイクル後では0.24 %[最初のリユースでは (0.24−0.04) %=0.2 %が故障となる。]
− 120万サイクル後では0.65 %[2回目のリユースでは (0.65−0.24) %=0.41 %が故障となる。]
− 160万サイクル後では1.32 %[3回目のリユースでは(1.32−0.65) %=0.67 %が故障となる。]
累積比率が1 %を超えないことを考慮して,製造業者は光学システムを3回使用することを決定する。
つまり,2回再使用(リユース)。保証は,全体の0.65 %に摩耗故障が発生するという予測を前提に実施さ
れる。
光学システムは,清掃,さび(錆)の検査及びリユースに向けた光学的な検査が行われる。
注記 ワイブル解析の結果得られた分布パラメータは,我が国においては特性寿命をη,形状パラメ
ータをmと表記するのが一般的であるが,ここでは,対応国際規格における記述に合わせた。
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C 5750-4-1:2008 (IEC 62309:2004)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.6.3 モータ
モータについては,供給業者が規定する特性寿命は200万サイクルであり,寿命がワイブル分布に従う
と想定して,形状パラメータは3.0である。モータの設計寿命は,t10寿命(10 %が故障となる寿命)で約
945 000サイクルである。
注記 国内では一般にB (10) 寿命としている。
これらのパラメータによって,次の累積故障比率が予測される。
− 40万サイクルでは0.8 %
− 80万サイクルでは6.2 %[最初のリユースでは (6.2−0.8) %=5.4 %が故障]
− 120万サイクルでは19.4 %[2回目のリユースでは (19.4−6.2) %=13.2 %が故障]
モータの設計寿命がt10=945 000サイクルを考慮にいれて,製造業者は,一度だけモータをリユースす
ることを決める。リユースの前に,消費電流及びノイズのレベルが確認される。
A.6.4 電源ユニット
A.6.4.1 一般事項
電源は,有限の寿命をもつ,次のような部品を含んでいる。
− はんだ付け
− パワートランジスタ
− アルミニウム電解コンデンサ
− バリスタ
このコピー機は,パワーセーブ回路によって1日10回のオン−オフ動作で,平均稼動時間は1日8時間,
年間で250日,又は年間2 000時間を仮定している。このことは,1日10回のオン−オフを年間で250日,
すなわち,年間2 500サイクル,2年間で5 000サイクルの動作を意味している。
A.6.4.2 はんだ付け
最初にコピー機が設置されてから,摩耗故障が発生することなく6年間使用されているという市場の実
績データがある。
注記 はんだの疲労及び劣化を想定して摩耗故障と称している。
A.6.4.3 パワートランジスタ
パワートランジスタの供給業者が提供するデータシートによれば,パワートランジスタの寿命は,
180 000サイクルと予測され,これは,72年間にわたって故障がないことを意味している。
A.6.4.4 アルミニウム電解コンデンサ
電解コンデンサの供給業者が提供するデータシートによれば,このコピー機の使用条件におけるアルミ
ニウム電解コンデンサ寿命は,7 000時間と予測される。
これはわずかに3.5年間に相当する値であり,電解コンデンサはPWAがリユースされる場合には,常に
交換することになる。
A.6.4.5 バリスタ
どれくらいの過渡電流がバリスタに流れるかは分からないため,PWAをリユースする前に,すべてを交
換する。
A.6.5 メモリモジュール
A.6.5.1 一般事項
メモリモジュールは,有限寿命をもつ,次のようなコンポーネントを含んでいる。
− はんだ付け
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− EPROM
− コネクタ
A.6.5.2 はんだ付け
最初にコピー機が設置されてから,摩耗故障が発生することなく6年間使用されているという市場の実
績データがある。
A.6.5.3 EPROM
EPROMの消去及び書込みの回数は,データシートで規定された書込み及び読み出しの回数よりもかな
り少ない。
A.6.5.4 コネクタ
コネクタの挿抜き作業回数は,データシートに規定されている回数以下であることが確認されている。
A.6.6 結論
製造業者は,そのコピー機がリユース部品を使える製品であると公にするとの結論に達した。コンポー
ネントをリユースする前に,コピーの使用枚数が多すぎる場合には,そのモジュールをリユースしないよ
う枚数カウンターで確認される。モジュールにはバーコードの製造番号があり,製造業者はすべてのリユ
ース部品の使用回数の履歴を保管している。
− 光学システムは2回リユース。
− モータは1回だけリユース。
− 電源PWAは2回リユース。ただし,アルミニウム電解コンデンサとバリスタは,毎回交換される。
− メモリモジュールは2回リユースし,新しいソフトウェアをロードする。
再認定部品を用いたコピー機は,出荷前に,同じ種類の部品がすべて新品で作られたコピー機と同様の
テストプログラムで機能試験を行う。
参考文献 JIS C 5750-1 ディペンダビリティ管理−第1部:ディペンダビリティプログラム管理
JIS C 5750-2 ディペンダビリティ管理−第2部:ディペンダビリティプログラム要素及びタス
ク
JIS Q 9000:2006 品質マネジメントシステム−基本及び用語
JIS Q 9001:2000 品質マネジメントシステム−要求事項
ISO/IEC Guide 2:1996,Standardization and related activities−General vocabulary