C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験片···························································································································· 3
4.1 試験片の形状 ················································································································ 3
4.2 試験片の作製 ················································································································ 3
4.3 試験片の厚さ ················································································································ 3
4.4 試験前の試験片の保管 ···································································································· 3
5 試験方法及び試験機 ·········································································································· 4
5.1 一般 ···························································································································· 4
5.2 試験片のつかみ方法 ······································································································· 4
5.3 静的引張強さ試験 ·········································································································· 4
5.4 負荷方法 ······················································································································ 4
5.5 試験の繰返し速度 ·········································································································· 4
5.6 試験環境の制御 ············································································································· 4
6 耐久性(試験の終了) ······································································································· 5
7 試験報告書 ······················································································································ 5
附属書A(参考)この規格の技術的背景 ··················································································· 6
附属書B(参考)試験片 ········································································································ 7
附属書C(参考)変位測定 ····································································································· 8
附属書D(参考)試験環境 ····································································································· 9
附属書E(参考)試験片の数 ································································································· 10
C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人マイクロマシンセンター(MMC)
及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ
り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 5630の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 5630-1 マイクロマシン及びMEMSに関する用語
JIS C 5630-2 マイクロマシン及びMEMS−第2部:薄膜材料の引張強さ試験方法
JIS C 5630-3 マイクロマシン及びMEMS−第3部:薄膜材料の標準試験片
JIS C 5630-6 マイクロマシン及びMEMS−第6部:薄膜材料の軸荷重疲労試験方法
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 5630-6:2011
(IEC 62047-6:2009)
マイクロマシン及びMEMS−
第6部:薄膜材料の軸荷重疲労試験方法
Semiconductor devices-Micro-electromechanical devices-
Part 6: Axial fatigue testing methods of thin film materials
序文
この規格は,2009年に第1版として発行されたIEC 62047-6を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,長さ及び幅が1 mm以下,かつ,厚さが0.1 μm〜10 μmの範囲の薄膜材料に対する一定力
振幅又は一定変位振幅下における軸荷重引張−引張力疲労試験方法について規定する。この薄膜はMEMS,
マイクロマシンなどの主要な構造部材として用いる。
MEMS,マイクロマシンなどの主要な構造部材の材料は,堆積法などで作製する薄膜である。その代表
寸法はミクロン単位であり,構造体の製造方法は,フォトリソグラフィなどの非機械加工が主であるとい
う特徴がある。この規格は,これらの特徴を考慮することによって,薄膜などから作製した平滑な微小試
験片に,力の印加軸が試験片長手方向と平行になるようにした,室温の大気中で行う軸荷重疲労試験方法
を規定する。
この規格は通常サイズの試験片は扱わない。この規格の技術的背景について附属書Aに記載する。
注記1 微小試験片とは,適用範囲に示してあるように,長さ及び幅が1 mm以下で,厚さが0.1 μm
〜10 μmの範囲の寸法をもつ試験片のことである。また,通常サイズの試験片とは,ISO 1099
[8]で規定する寸法をもつバルク試験片のことである。
注記2 この試験方法は,微小試験片に一定の最大及び最小引張力を繰り返し加えて,微小試験片の
引張疲労特性を測定する方法である。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62047-6:2009,Semiconductor devices−Micro-electromechanical devices−Part 6: Axial fatigue
testing methods of thin film materials(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
2
C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 5630-2 マイクロマシン及びMEMS−第2部:薄膜材料の引張強さ試験方法
注記 対応国際規格:IEC 62047-2:2006,Semiconductor devices−Micro-electromechanical devices−Part
2: Tensile testing method of thin film materials(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
最大力(maximum force),Pmax
試験片に与える繰返し力の最大値。
注記 ASTM E 1823-05a[1]参照。
3.2
最小力(minimum force),Pmin
試験片に与える繰返し力の最小値。
注記 ASTM E 1823-05a[1]参照。
3.3
平均力(mean force),Pmean
一定力振幅試験中又は各サイクルにおいて,試験片に与える繰返し力の平均値。
注記 ASTM E 1823-05a[1]参照。
3.4
力振幅範囲(force range),ΔP
一定力振幅試験中に試験片に与える最大力と最小力との差。
3.5
最大応力(maximum stress),σmax
試験片に与える繰返し応力の最大値。
3.6
最小応力(minimum stress),σmin
試験片に与える繰返し応力の最小値。
3.7
平均応力(mean stress),σmean
一定振幅試験中又は各サイクルにおいて,試験片に与える繰返し応力の平均値。
3.8
応力振幅範囲(stress range),Δσ
一定振幅試験において,試験片に与える最大応力と最小応力との差。
3.9
最大変位(maximum displacement),δmax
試験片に与える繰返し変位の最大値。
3.10
最小変位(minimum displacement),δmin
試験片に与える繰返し変位の最小値。
3
C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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3.11
平均変位(mean displacement),δmean
一定変位振幅試験中又は各サイクルにおいて,試験片に与える繰返し変位の平均値。
3.12
変位振幅範囲(displacement range),Δδ
一定変位振幅試験において,試験片に与える最大変位と最小変位との差。
3.13
力比又は応力比(force ratio or stress ratio),R
最大力に対する最小力の比,又は最大応力に対する最小応力の比。
4
試験片
4.1
試験片の形状
試験片の寸法は,測定結果に及ぼす寸法効果を考慮し,可能な限り使用するデバイスと同等の寸法とす
ることが望ましい。試験片の形状及び寸法は,JIS C 5630-2の附属書C(試験片)で記載するものが望ま
しい。
試験片の平面形状の寸法精度は,JIS C 5630-2と同様に±1 %としなければならない。また,試験片平行
部の長さは,幅の2.5倍以上でなければならない。JIS C 5630-2のC.1(試験片の平面形状)を参照する。
試験片のつかみ部と平行部とをつなぐ肩部の曲率半径は,応力集中で破壊を引き起こさないように,十分
大きくすることが望ましい。附属書B及びJIS C 5630-2のC.2(試験片のフォトマスク)を参照する。
JIS C 5630-2で規定する標点が,応力集中部を形成する場合,又は疲労破壊の起点となり得る場合は標
点を描かなくてもよい。
4.2
試験片の作製
試験片は,その薄膜を使用するデバイスと可能な限り同じプロセスで作製することが望ましい。試験片
の作製に当たっては,JIS C 5630-2で規定する事項を遵守することが望ましい。特に,基板を除去する場
合は,薄膜試験片が損傷を受けないように十分注意する必要がある。JIS C 5630-2のC.3(試験片厚さの測
定)を参照する。
試験片の個数は,試験する薄膜に応じて適切に決定する。附属書Eを参照する。
4.3
試験片の厚さ
同一ウエハ上に成膜した薄膜であっても膜厚は均一ではないため,試験片の厚さは,全数測定しなけれ
ばならない。その場合,厚さの測定精度は,膜厚に対して5 %以内でなければならない。また,膜厚は,
個々の試験片に対して,直接測定することが望ましい。しかし,厚さ測定時に試験片に,触針式測定機な
どによって,機械的な損傷を与えるおそれがあるときには,試験片近傍に膜厚測定用の窓形の段差を作製
し,その段差を測定してもよい。試験片の厚さの測定法及びその誤差については,JIS C 5630-2のC.3を
参照する。
4.4
試験前の試験片の保管
薄膜試験片の場合,保管環境が疲労特性に影響を与えるおそれがある。したがって,試験片の作製後,
試験との間に時間が空くときは,その保管に十分注意するとともに,保管中に表面の劣化がないか適切な
手法で調べる必要がある。試験片の作製時に見られなかった表面の劣化を確認した場合は,試験を行って
はならない。ただし,試験片の作製プロセスによって形成した損傷が最初から存在する場合は,そのまま
試験を行わなければならない。
4
C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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5
試験方法及び試験機
5.1
一般
試験機は,使用する試験片に対して適切なつかみ機構をもつとともに,繰返し負荷を与える機構をもつ
ことが望ましい。試験片に与える繰返し負荷は,基本的に引張−引張負荷であることが望ましい。
一定力振幅試験の場合は,試験機は,最大力及び最小力,又は平均力及び力振幅範囲をモニタする機構
をもたなければならない。また,力振幅範囲を一定に制御する機構をもつことが望ましい。
一定変位振幅試験の場合は,試験機は最大変位及び最小変位,又は平均変位及び変位振幅範囲をモニタ
する機構をもたなければならない。また,変位振幅範囲を一定に制御する機構をもつことが望ましい。
試験機は,試験片の破断を検出する機構をもつことが望ましい。試験では,破断までの力,又は変位の
繰返し数を記録しなければならない。
5.2
試験片のつかみ方法
試験片は,試験機の荷重軸と試験片の軸とが一致するように装着しなくてはならない。試験片の両端を
装着する場合は,試験片に不要な力及び/又は曲げ応力が加わらないよう,注意しなくてはならない。試
験片のつかみ方法としては,JIS C 5630-2の附属書A(試験片の装着方法)に示す方法が望ましい。また,
試験機には,試験片の軸が試験機の荷重軸に一致するように調整できる機構をもつことが望ましい。
5.3
静的引張強さ試験
疲労試験の試験条件を設定するために,疲労試験に先立ち,静的引張強さ試験を行うことが望ましい。
静的引張強さ試験は,JIS C 5630-2に示す手順によって実施しなければならない。
5.4
負荷方法
1サイクル目の負荷の途中で試験片が破壊した場合は,その破壊応力を記録するとともに,試験報告書
に記載しなければならない。一定力振幅試験の場合は,試験の間,最大力及び最小力,又は平均力及び力
振幅範囲を一定に保たなくてはならない。一定変位振幅試験の場合は,試験の間,最大変位及び最小変位,
又は平均変位及び変位振幅範囲を一定に保たなくてはならない。
負荷力測定には,加えた力の5 %の精度を保証する,十分に精度の高いロードセル(荷重計)を使用し
なければならない。ロードセルのドリフトは,試験を通じてフルスケールの1 %未満であるのが望ましい。
ロードセルの精度に関しては,JIS C 5630-2の附属書B(試験条件)を参照する。
一定変位振幅試験の場合は,加えた変位の5 %の精度を保証する,十分に精度の高い変位測定を行わな
ければならない。附属書Cを参照する。
5.5
試験の繰返し速度
応力負荷の繰返し周波数は,試験環境,使用する試験機の種類,及び試験片の剛性に依存するため,個々
の条件の組合せに対して最適な値に設定しなければならない。一般的に,繰返し周波数は薄膜材料を実際
に用いる条件も考慮して,適切に設定することが望ましい。さらに,繰返し負荷による試験片のひずみエ
ネルギーは急速に熱エネルギーに変換されてしまうため,繰返し周波数は,試験片の温度上昇が起きない
ように設定しなければならない。
なお,粘弾性特性をもつ試験片は,この規格では規定しない。
5.6
試験環境の制御
薄膜の疲労特性については環境の影響が大きいため,試験中の温度及び相対湿度は常にモニタしなけれ
ばならない。試験中の温度及び相対湿度は,それぞれ±1 ℃及び±5 %以内に制御するのが望ましい。試
験環境の影響については,附属書Dを参照する。試験中の温度及び相対湿度を制御することが困難な場合
も,モニタした温度及び相対湿度は試験報告書に記載しなければならない。
5
C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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耐久性(試験の終了)
疲労試験は,試験片が破壊する,又はあらかじめ設定した繰返し数に達したときに終了しなければなら
ない。試験報告書には,いずれの条件(試験片の破壊,又はあらかじめ設定した繰返し数)で試験を終了
したかを記載しなければならない。
7
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載しなければならない。
次の事項は,必須とする。
a) この規格番号 JIS C 5630-6
b) 試験片の材質
− 単結晶の場合:結晶方位
c) 試験片の作製方法 次の作製方法を記載する。
− 成膜方法
− 加工条件
− 熱処理条件
d) 試験片の形状及び寸法
e) 疲労試験条件 次の疲労試験条件を記載する。
− 平均応力(一定変位振幅試験の場合,平均変位)
− 応力振幅範囲(一定変位振幅試験の場合,変位振幅範囲)
− 試験環境(温度及び相対湿度)
− 波形(正弦波,三角波,のこぎり状波)
− 周波数
f)
疲労試験結果 次の疲労試験結果を記載する。
− 破断までの繰返し数。ただし,あらかじめ定めた繰返し数で破壊が生じなかった場合は,繰返し
数,及び“破断なし”と記述する。
− 破断様式
なお,次の事項は,任意とする。
a) 微細構造
− 多結晶薄膜の場合,配向性及び粒径
b) 内部応力
c) 試験片の表面粗さ
d) 破壊形態の簡単な記載
6
C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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附属書A
(参考)
この規格の技術的背景
A.1 薄膜軸荷重疲労試験の意義
MEMSデバイスは,一般的に基板上に形成した薄膜から作製する。デバイス作製に用いるマイクロマシ
ニング技術は,半導体プロセスで用いる堆積法及びエッチングの技術と同様のものである。そのため,薄
膜の微細構造及び表面粗さはプロセス条件に依存し,作製プロセスで微小欠陥が生じることもある。これ
らの欠陥は,薄膜の機械的特性に影響を与える。したがって,薄膜の機械的特性は,実デバイスと同様の
プロセスで作製した試料を用いて測定することが望ましい。特に薄膜の疲労特性は,MEMSデバイスの信
頼性及び耐久性設計のためには欠くことのできないデータである。これまでも薄膜を含む微小寸法部材に
対する疲労試験が行われており,薄膜から作ったオンチップ形の試験構造[2][3][4]又は微小試験片[5][6]を
用いた試験が行われてきた。しかし,これらの手法は標準化していないため,違う機関で行った疲労試験
結果を比較することは難しい。これまで,通常サイズ材料の疲労試験法については,ISO 1099[8] 及びASTM
E 466-96[9]で規格化している。これらの規格では,軸荷重疲労試験方法を初めに定め,その後,S-N曲線
のようなデータ処理を含む派生的な試験法を規定している。このように,軸荷重疲労試験は,静的荷重に
おける引張強さ試験と同様に,物質の疲労特性を評価する基本的な試験法である。したがって,薄膜の軸
荷重疲労試験方法を最初に規定することによって,MEMSデバイスにおける疲労特性の一般的な議論が可
能となる。
A.2 日本で行ったラウンドロビン試験の概要[10]
この規格は,2003年〜2005年にわたり日本で行った薄膜の軸荷重疲労試験に関するラウンドロビン試験
の結果に基づいて,薄膜材料の軸荷重引張−引張力疲労試験方法について規定したものである。
ラウンドロビン試験は,日本の幾つかの大学及び研究機関の参加のもとで行われた。使用した材料は,
単結晶及び多結晶シリコン薄膜,並びに多結晶アルミニウム薄膜で,これらの薄膜は,シリコン基板上に
成膜した。微小試験片は,フォトリソグラフィ技術を用いJIS C 5630-2に準拠して,同一の基板上の薄膜
層から作製した。試験片の形状はそれぞれの研究機関の試験機に適合するよう作製したが,試験片平行部
の大きさはJIS C 5630-2に準拠した。軸荷重疲労試験は,主として荷重力制御で行い,力の印加方法,力
測定法及び変位測定法について検討した。また,疲労寿命に及ぼす試験環境(主に湿度)の影響について
も試験した。試験結果は,S-N曲線としてまとめ,疲労寿命の相互比較を行った。標準試験法としての妥
当性を検証し,この規格としてまとめた。
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附属書B
(参考)
試験片
試験片の形状及び寸法は,JIS C 5630-2で規定する試験片に準拠するのが望ましい。試験片の降伏応力
及び破壊強度に基づいて,軸荷重疲労試験の条件を決定する。したがって,引張強さ試験と同じ形状の試
験片を用いることによって,疲労試験の条件設定が容易に行えることになる。
なお,JIS C 5630-2で規定する試験片の断面は,ISO 6892[11]で規定する引張試験片の断面を比例縮小し
た形状となっている。
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附属書C
(参考)
変位測定
試験片に標点が付いている場合,レーザ光を標点に照射して得た反射光の干渉を利用する方法,又は離
れた二つの標点を1画面に取り込む2視野顕微鏡による2標点の同時測定の方法によって変位量を測定す
るのが望ましい。標点を試験片に付けるのが困難な場合,又は(力の繰返し周波数が高いため)標点間距
離を測定できない場合は,つかみ具又はアクチュエータの変位をもって変位量とすることもできるが,そ
のことを報告書に記載する。
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C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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附属書D
(参考)
試験環境
微小サイズ材料は試験片の比表面積が通常サイズ材料よりも大きいため,試験環境の疲労寿命への影響
はより顕著となる。特に疲労寿命は,試験中の湿度に大きく依存する[4]。そのため,微小サイズ材料に対
しては,疲労試験中の湿度制御が重要である。
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C 5630-6:2011 (IEC 62047-6:2009)
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附属書E
(参考)
試験片の数
一般に,疲労寿命及び疲労強度を含む疲労データは大きくばらつき,統計解析が疲労寿命及び疲労強度
の評価に重要である。バルク材料の統計解析を規定するISO 12107[12]に基づき,要求する試験結果の信頼
度に応じて,試験片の数を決定できる。
なお,ISO 12107に規定する統計解析は,単一の疲労破壊メカニズムによって,均質な挙動を示す材料
の疲労データ解析に限定している。
通常,金属薄膜材料では,疲労は単一メカニズムによって支配され,試験片の数は,ISO 12107を基準
に決定することができる。しかし,Si薄膜材料においては,複数の疲労メカニズムが関与していると考え
られており,疲労メカニズムはまだ特定されていない。このことは,ISO 12107の解析方法が,Si薄膜材
料の試験片の数を決定する場合に,そのまま適用できないことを示している。
参考文献
[1] ASTM E 1823-05a,Standard terminology relating to fatigue and fracture testing
[2] Kahn, H., Ballarini, R., Mullen., R. L., Heuer, A. H., Electrostatically actuated failure of microfabricated
polysilicon fracture mechanics specimens, Proceedings of the Royal Society of London, 455 (1999), pp.
3807-3823.
[3] Ando, T., Shikida, M. and Sato, K., Tensile-mode fatigue testing of silicon films as structural materials for
MEMS, Sensors and Actuators, A93 (2001) pp.70-75.
[4] Muhlstein, C. L., Brown, S. B. and Ritchie, R. O., High-cycle fatigue and durability of polycrystalline silicon
thin films in ambient air, Sensors and Actuators, A94 (2001), pp.177-188.
[5] Sharpe Jr., W. N. and Bagdahn, J., Fatigue testing of polysilicon−a Review, Mechanics of Materials, 36 (2004)
pp. 3-11.
[6] Namazu, T. and Isono, Y., High-Cycle Fatigue Damage Evaluation for Micro-Nanoscale Single Crystal Silicon
under Bending and Tensile Stressing, Proc. 17th IEEE International Conference on MEMS 2004, IEEE,
Maastricht, Netherlands, (2004), pp.149-152.
[7] Takashima, K. and Higo, Y., Fatigue and fracture of a Ni-P amorphous alloy thin film on the micrometer scale,
Fatigue & Fracture of Engineering Materials & Structures, 28 (2005), pp.703-710.
[8] ISO 1099,Metallic materials−Fatigue testing−Axial force-controlled method
[9] ASTM E 466-96,Standard practice for conducting force controlled constant amplitude axial fatigue tests of
metallic materials
[10] Takashima, K, Round-Robin Test on Fatigue of Thin Films for MEMS Applications in Japan, Proc. 2nd
Workshop on Characterization of Materials for MEMS/MST Devices, Micromachine Center, Japan, (2006)
p.15.
[11] ISO 6892,Metallic materials−Tensile testing at ambient temperature
[12] ISO 12107,Metallic materials−Fatigue testing−Statistical planning and analysis of data