C 5630-3:2009 (IEC 62047-3:2006)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
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序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 試験片の材料 ··················································································································· 1
4 試験片の作製 ··················································································································· 1
5 試験片の平面形状 ············································································································· 2
6 試験片の厚さ ··················································································································· 2
7 標点······························································································································· 2
8 試験······························································································································· 2
9 標準試験片に添付する文書 ································································································· 2
附属書A(参考)試験片のフォトマスク,厚さの測定及び測定のための個数 ···································· 3
C 5630-3:2009 (IEC 62047-3:2006)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人マイクロマシンセンター(MMC)及
び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS C 5630の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 5630-1 マイクロマシン及びMEMSに関する用語
JIS C 5630-2 マイクロマシン及びMEMS−第2部:薄膜材料の引張強さ試験方法
JIS C 5630-3 マイクロマシン及びMEMS−第3部:薄膜材料の標準試験片
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 5630-3:2009
(IEC 62047-3:2006)
マイクロマシン及びMEMS−
第3部:薄膜材料の標準試験片
Semiconductor devices-Micro-electromechanical devices-
Part 3: Thin film standard test piece for tensile testing
序文
この規格は,2006年に第1版として発行されたIEC 62047-3を基に,技術的内容及び対応国際規格の構
成を変更することなく作成した日本工業規格である。
1
適用範囲
この規格は,MEMS (micro-electromechanical systems),マイクロマシンなどの主要な構成部材となる,長
さ1 mm以下,幅1 mm以下,厚さ10 µm以下の微小薄膜形状材料の引張強さ試験を実施する試験機の健
全性及び精度を保証するために用いる標準試験片について規定する。
この規格は,強度特性が必ずある範囲に入っていることが明らかな標準試験片を用いた測定結果がその
範囲に入る試験機は,健全性及び精度に適合するものとみなすという考え方に基づくものであり,個体間
の特性の偏差を極力なくした試験片について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62047-3:2006,Semiconductor devices−Micro-electromechanical devices−Part 3: Thin film
standard test piece for tensile testing (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 5630-2 マイクロマシン及びMEMS−第2部:薄膜材料の引張強さ試験方法
注記 対応国際規格:IEC 62047-2,Semiconductor devices−Micro-electromechanical devices−Part 2:
Tensile testing method of thin film materials (IDT)
3
試験片の材料
試験片の材料は,機械的特性が既知の材料が望ましい。単結晶シリコンは,試験片材料候補の一つであ
る。非ぜい(脆)性材料用引張試験機のためには,非ぜい性材料を使用することもできる。
4
試験片の作製
試験片材料の成膜工程及び試験片の作製工程は,適切に定められた仕様に基づいて実施されることが望
2
C 5630-3:2009 (IEC 62047-3:2006)
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ましい。
5
試験片の平面形状
試験片の平行部の長さ,幅及び標点距離は,±1 %以内の精度で定めなければならない。
試験片の平行部の長さは,幅の2.5倍以上でなければならない。
つかみ部と平行部との間の肩部は,応力集中による破損がないように,十分な大きさの曲率半径とする
ことが望ましい。
肩部の形状は,肩部における破損が生じないように十分滑らかとすることが望ましい(A.1参照)。
試験片下部の基板は,残存する基板が引張試験結果に影響しないように除去しなければならない。この
基板材料の除去工程は,試験片に損傷を与えないことが必要である。
6
試験片の厚さ
試験片の厚さは,全数を実測する。厚さの測定には非接触式が適している。触針式段差計で試験片厚さ
を直接測定する場合は,試験片の損傷を避けるため,試験片の近傍を測定する。測定する位置は,ウエハ
全体の膜厚のばらつきを考慮し,試験片の厚さを±1 %以内の精度で推定できる領域とすることが望まし
い(A.2参照)。
7
標点
試験片の伸びを測定するために,試験片上に標点を描くことが望ましい。標点間距離は,試験片平行部
長さの80 %以内の範囲で試験片の幅の2倍以上とすることが望ましい。標点は試験片の伸びを拘束せず,
試験結果に及ぼす影響が小さいことが望ましい。このため標点は,試験片と識別できれば,できるだけ薄
いものとするか,試験片材料に比べて弾性率及び内部応力の低い材料で構成することが望ましい。標点の
厚さは,試験片厚さの1 %を超えてはならない。
8
試験
同一の作成方法,望ましくは同一の作製ロット,更に望ましくは同一ウエハの少なくとも10個以上の標
準試験片を用いて試験を実施しなくてはならない。引張試験方法の詳細は,JIS C 5630-2による。その引
張強さ,ヤング率及び最大伸びのデータにおける平均値及び標準偏差から,試験機の特性を評価する(A.3
参照)。
応力及びひずみに直線関係がない場合,ヤング率はほかの規格を参考にして決めることが望ましい(ISO
17561参照)。
9
標準試験片に添付する文書
標準試験片の作製者は,次の事項を記載した文書を添付することが望ましい。
a) この規格番号 (JIS C 5630-3)
b) 試験片の履歴
c) 材料
d) 試験片の形状及び寸法
e) 推定した機械的特性(ヤング率,引張強さなど)
3
C 5630-3:2009 (IEC 62047-3:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
試験片のフォトマスク,厚さの測定及び測定のための個数
A.1 試験片のフォトマスク
試験部と固定部及びつかみ部との間は,応力集中によって試験部以外の部分で破断しないように適切な
曲率をもつ肩部で接続することが望ましい。肩部をフォトリソグラフィで作製する場合には,フォトマス
クの描画方法に注意しなければならない。
一般的なラスター描画によるフォトマスクの描画では,肩部をデジタル的に処理するので,実際のパタ
ーンでは微小なギャザー(段)となり,この部分が破壊の起点となる可能性がある。そのため,応力集中
に配慮してギャザーを減少する必要がある。肩部の描画にはベクトル描画を推奨する。
A.2 試験片厚さの測定
SOIウエハ上の薄いシリコン層及びスパッタ,CVDなどで形成されるウエハ上の金属薄膜は,一般に約
±20 %の厚さの不均一性がある。したがって,試験片の厚さを試験片ごとに測定しない限り,試験結果に
は上記の誤差を含む。ウエハ上のすべての試験片厚さは,試験片パターン近くの薄膜領域に配置した厚さ
測定用のエッチングパターンを用いて1チップごとに測定することが望ましい。しかし,その領域近傍の
厚さ測定によって,試験片厚さを推定することができる。ウエハの代表寸法が100 mm,試験片の代表寸
法が100 µmであることから,試験片の代表寸法の50倍の範囲で厚さを測定すると,試験片厚さの測定精
度に及ぼす厚さ不均一性の影響を±1 %程度にできる。
(
)
%
%
1
mm
100
50
μm
100
20
±
=
×
×
±
薄膜の厚さ測定には,1 %の精度が要求される。例えば,厚さ0.1 µmの厚さを1 %の精度で測定する
には1 nmの精度で測定しなければならない。現状では,このような測定を多数の試験片について実施す
ることは難しい。厚さ測定誤差があることに注意すべきである。厚さ測定手法については,薄膜の物性に
応じて,触針法,干渉計,エリプソメータなどの光学的手法,蛍光X線法又は適宜,選択するのがよい。
A.3 測定のための試験片個数
標準試験片として用いる単結晶シリコンは,ぜい性材料であり,その機械的性質,特に引張強さにはあ
る程度のばらつきが予想できる。このような材料強度の統計的分散を考慮に入れて,ISO 17561では,ぜ
い性材料の機械的性質を評価するときに,試験片の個数を規定しており,平均値及びワイブル分布を求め
るために約10本の試験片を要求している。
参考文献 JIS C 5630-1 マイクロマシン及びMEMSに関する用語
注記 対応国際規格:IEC 62047-1:2005,Semiconductor devices−Micro-electromechanical
devices−Part 1: Terms and definitions (IDT)
ISO 17561,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Test method for elastic
moduli of monolithic ceramics at room temperature by sonic resonance