2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 5602-1986
電子機器用受動部品用語
Glossary of Passive Components for Electronic Equipment
1. 適用範囲 この規格は,電子機器に用いる受動部品に関する用語(以下,用語という。)の意味につい
て規定する。
引用規格:
JIS C 5202 電子機器用固定抵抗器の試験方法
2. 分類 用語の分類は,次による。
(1) 一般
(2) 抵抗器
(2.1) 固定抵抗器(基本)
(2.2) 固定抵抗器(一般)
(2.3) 固定抵抗器(性能)
(2.4) 可変抵抗器(基本)
(2.5) 可変抵抗器(一般)
(2.6) 可変抵抗器(性能)
(2.7) サーミスタ(NTCサーミスタ)
(2.8) サーミスタ(PTCサーミスタ)
(2.9) バリスタ
(3) コンデンサ
(3.1) 固定コンデンサ(基本)
(3.2) 固定コンデンサ(用途)
(3.3) 固定コンデンサ(構造)
(3.4) 固定コンデンサ(誘電体)
(3.5) 固定コンデンサ(性能等)
(3.6) 可変コンデンサ
(4) コイル・変成器・変圧器
(4.1) コイル・変成器・変圧器(基本)
(4.2) コイル・変成器・変圧器(一般)
(4.3) コイル・変成器・変圧器(性能)
3. 番号,用語,意味 番号,用語及び意味は,次のとおりとする。
なお,量記号及び対応英語を参考として示す。
2
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 用語が長い場合は,2行に示す。ただし,2行目の最初の文字は,1行目の最初の字から1字下
げて示す。
2. 一つの用語欄に二つ以上の用語が併記してある場合は,記載されている順位に従って優先的
に使用する。
3. 用語の一部に角括弧“[ ]”を付けてあるものは,角括弧の用字を含めた用語と,角括弧の
中の用字を省略した用語の2通りの用語を用いてよいことを示す。
4. 難読な用語,誤読のおそれがある用語又はその読み方の統一を図る必要がある場合には,用
語の1行下に丸括弧“( )”を付けて,平仮名の細字体でその読み方を示す。
5. 用語の使用分野を限定する場合には,用語に引き続く角括弧“【 】”内にそのことを示す。
(1) 一般
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
1001
アドミタンス
回路を流れる電流を,端子電圧で除して得られる値。イン
ピーダンスの逆数。
Y
admittance
l002
複素アドミタンス
絶対値がアドミタンスのスカラ値であり,偏角が電圧と電
流の位相差である複素量。偏角は,電流が電圧より進んで
いるときに正である。
complex admittance
1003
コンダクタンス
(1) 回路の端子電圧と同位相の電流の成分を,端子電圧
で除して得られる値。
(2) 複素アドミタンスの実数部。
G
conductance
1004
サセプタンス
(1) 回路の端子電圧に対し90度位相差がある電流の成分
を,端子電圧で除して得られる値。
(2) 複素アドミタンスの虚数部。
B
susceptance
1005
インピーダンス
回路の端子電圧を,そこを流れる電流で除して得られる
値。
Z
impedance
1006
複素インピーダン
ス
(1) 絶対値がインピーダンスのスカラ値であり,偏角が
電流と電圧の位相差である複素量。偏角は電圧が電
流より進んでいるときに正である。
(2) 2端子回路網の端子間の電圧U,電流Iがいずれも複素
数表示の正弦関数
U=U0exp [j (ωt+φ)]
I=I0exp (jωt)
であるときの比Z
()
()
φ
φ
j
Z
j
I
U
I
U
Z
exp
exp
0
0
0
=
=
=
また,Z=R+jXとも表される。
ただし,U0,0,びZ0は,それぞれの初期値である。
complex impedance
1007
実効リアクタンス
電流に対し90度の位相差がある電圧の成分を,電流値で
除して得られる値。
Zeff
effective reactance
1008
誘導性リアクタン
ス
インダクタンスと角周波数の積。
XL
inductive reactance
1009
容量性リアクタン
ス
静電容量と角周波数の積の逆数。
XC
capacitive reactance
1010
使用温度範囲,
カテゴリ温度範囲
部品を連続して使用できる周囲温度の範囲。
category temperature range
1011
最低使用[周囲]
温度,
カテゴリ下限温度
部品を連続して使用できる周囲温度の最低値。
lower category temprerature
3
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
1012
最高使用[周囲]
温度,
カテゴリ上限温度
部品を連続して使用できる周囲温度の最高値。
upper category temperature
1013
保存温度範囲
部品を連続して無負荷状態で保存できる周囲温度の範囲。
storage temperature range
1014
定格[周囲]温度
定格負荷を加えて,連続して使用できる周囲温度の最高
値。
rated temperature
1015
耐候性カテゴリ
電子機器用部品の耐候性試験の条件を各規格を通して共
通に示すため,その部品が耐え得る耐寒性試験の温度,耐
熱性試験の温度及び耐湿性試験(定常状態)の試験日数の
組合せ。
climatic category
1016
最高表面温度
部品の端子を含む外部表面において,最高温度を示す点の
温度。
maximum surface temperature
1017
最低表面温度
部品の端子を含む外部表面において,最低温度を示す点の
温度。
minimum surface temperature
1018
温度による特性の
変化
温度の変化による部品の本質的な特性の変化であって,次
のように分類している。
(a) 温度特性 temperature characteristic
(b) 温度係数 temperature coefficient
(c) 温度による特性のずれ temperature cyclic drift of
characteristic
variation of characteristic with
temperature
1019
接地端子
安全などのために大地に接地すべき端子
earth terminal
1020
サージ電圧
落雷やアーク接地などによって,通信線や電力線に誘起さ
れる異常電圧のように,短時間に急激に立ち上がる非周期
的な過渡電圧。
備考 このようなサージ電圧によって流れる電流を
サージ電流という。
雷放電に伴うサージは,時間の経過とともに,
はじめは急速に電圧(電流)が上昇し,最大
値に達した後は,立上がり部よりも緩やかに
ゼロに収束する。
サージの定義を下図に示す。
通常,この波高値の大きさをサージ電圧(電
流)という。
U
surge voltage
4
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) 抵抗器
(2.1) 固定抵抗器(基本)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2101
電気抵抗
(属性)
物質の中を流れる電流を制限する物質に固有の性質。電
気抵抗によって電気エネルギーは熱エネルギーに変換
される。
R
electrical resistance
2102
抵抗[値]
(量)
起電力を生じない導体の両端に加えた電圧を,そこに流
れる電流で除して得られる値。
R
resistance [value]
2103
抵抗【理想抵抗器
における】
電圧を電流で除した値。
R
resistance
2104
理想抵抗器
瞬時電圧が瞬時電流に比例する理想的な2端子回路素
子。
ideal resistor
2105
抵抗器
電気抵抗を属性としてもつ物質。電子回路の両端に電圧
を加えたとき,オームの法則によって電流の制限,電圧
の降下を生じ,電圧の分圧,電流の制限,整合などに用
いる部品。
resistor
2106
固定抵抗器
規定された抵抗値をもち,かつ抵抗値の機械的可変機構
をもたない抵抗器。
fixed resistor
2107
熱雑音電圧
電荷の熱じょうらん運動によって生じるゆらぎ電圧。
備考 抵抗器の端子間に生じるゆらぎ電圧の二乗
平均はナイキスト (Nyquist) の方程式で表
される。
n2
V=4KTR⊿f
thermal noise voltage,
thermal agitation noise voltage
ここに,
n
V:
熱雑音電圧 (V)
K:
ボルツマン定数 (1.38×
10-23J/K)
T: 絶対温度 (K)
R: 抵抗値 (Ω)
⊿f:
周波数帯域幅 (Hz)
2108
電流雑音電圧
全雑音電圧の実効値と熱雑音電圧の差。
備考 固定抵抗器に直流電圧が流れることによっ
て生じる電流雑音の二乗平均電圧値は,熱雑
音の二乗平均電圧値を超えて増大する。
電流雑音をもつ抵抗器は,一つの独立した
(すなわち相互干渉がない。)熱雑音電圧源
と雑音のない抵抗器とが直列につながれた
零インピーダンスの電流雑音電源として置
き換えることができる。
単位通過帯域当たりの電流雑音電圧の二乗
平均電圧値は,実質上周波数に反比例して変
化する。
もし二乗平均電圧値か周波数に反比例する
とすれば,高域と低域の通過帯域の比が等し
い理想的く(矩)形通過帯域は,与えられた
雑音源から等量の雑音電圧を通過させる。
current-noise voltage
5
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2109
電流雑音指数
1周波数ディケードの帯域幅における電流雑音電圧の実
効値を,印加直流電圧で除した値。
次の式で表される。
r
rms
V
V
N
log
20
=
current-noise index
ここに,
N: 電流雑音指数 (dB)
Vrms:
ある周波数帯域における開路
の電流雑音電圧の実効値
(μV)
Vr:
供試抵抗器に印加する直流電
圧値 (V)
備考1.
電流雑音に関する理想的く(矩)形通過帯
域は,1 000Hzを幾何学的中心とする1周
波数ディケード帯域である。
2. 電流雑音強度スペクトラムは周波数特性
がf
1
に近いので,あらゆる周波数帯域にお
ける電流雑音の推定ができる。
(2.2) 固定抵抗器(一般)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2201
巻線抵抗器
絶縁基体に巻いた金属線を抵抗素子とした抵抗器。
wirewound resistor
2202
非巻線抵抗器
巻線抵抗器以外の抵抗器。
non-wirewound resistor
2203
皮膜抵抗器
絶縁基体の表面上に形成した抵抗皮膜を抵抗素子とした
抵抗器。
film resistor
2204
体抵抗器
カーボン,フィラー,熱硬化性樹脂などの混合成形物を
抵抗素子とした抵抗器。
composition (solid) resistor
2205
炭素皮膜抵抗器
磁器などの絶縁基体の表面に形成した熱分解で析出させ
た炭素皮膜で覆ったものを抵抗素子とした抵抗器。
carbon film resistor
(deposited cracked)
2206
金属皮膜抵抗器
磁器,ガラスなどの絶縁基体の表面に形成した金属の薄
膜を抵抗素子とした抵抗器。
metal film resistor
2207
酸化金属皮膜抵抗
器
磁器,ガラスなどの絶縁基体の表面に形成した金属酸化
物の皮膜を抵抗素子とした抵抗器。
metal oxide film resistor
2208
サーメット抵抗器
磁器,ガラスなどの絶縁基体の表面に形成した磁器ガラ
スなどの無機物と,金属の混合物を抵抗素子とした抵抗
器。
備考1.
メタルグレーズ抵抗器 (metal glaze
resis-tor) はサーメット抵抗器に属する。
2. サーメット (cermet) は,ceramics+metal
の造語である。
cermet resistor
2209
印刷抵抗器
磁器,ガラス,プリント配線板などの表面に形成したサ
ーメット,炭素系などの抵抗インクを用いてスクリ−ン
法などによって印刷した抵抗器。
printed resistor
2210
ネットワーク抵抗
器
磁器,ガラスなどの絶縁基体の表面に複数の抵抗素子を
形成し,その個々の抵抗素子は各々独立し,又は必要に
応じて相互に接続し,集積された抵抗器。
network resistor
2211
ヒューズ抵抗器
通常は,抵抗器として動き,規定以上の過電流が流れた
とき,規定時間内に抵抗素子が溶断して,電流の流れを
阻止し,抵抗値が元に復帰しない機能をもった抵抗器。
fusing resistor
6
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2212
チップ抵抗器
磁器,ガラスなどの絶縁基体の表面に抵抗素子を形成し,
両端に電極を設け,主として面実装に適する角板形又は
円筒形の小形固定抵抗器。
備考 一般にリード線端子をもたない。
chip resistor
(2.3) 固定抵抗器(性能)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2301
公称抵抗値
規格値を代表する抵抗値で,一般に抵抗器に表示された
抵抗値。
R
rated resistance,
nominal resistance
2302
定格電力
定格周囲温度において,連続して負荷できる電力の最大
値。
P
rated dissipation
2303
最大電力
ある周囲温度において,連続して負荷できる電力の最大
値。
P
maximum dissipation
2304
カテゴリ電力
最高使用[周囲]温度,(カテゴリ上限温度)において,
連続して負荷できる電力の最大値。
備考 一般に軽減曲線によって規定し,定格電力の
百分率で表す。
P
category dissipation
2305
軽減曲線
周囲温度と最大電力の関係を示す曲線。
備考 一般に,定格電力に対する百分率で表す。
derating curve
2306
定格電圧【抵抗器
の】
定格周囲温度において,連続して印加できる直流電圧又
は交流電圧(実効値)の最大値。
備考 定格電力と公称抵抗値から算出し,最高使用
電圧を超えない電圧とする。
UR
rated voltage
2307
最高使用電圧,
素子最高電圧
抵抗器又は抵抗素子に連続して印加できる直流電圧又は
交流電圧(実効値)の最大値。
U
limiting element voltage
2308
臨界抵抗値
最高使用電圧を超えることなく定格電力を負荷できる最
大の公称抵抗値。
備考 臨界抵抗値は,この抵抗値によって定格電圧
と最高使用電圧が等しくなる。
R
critical resistance
2309
アイソレーション
電圧,
分離電圧
抵抗器の端子と導電性取付具との間で連続して印加でき
る最大のせん(尖)頭電圧。
u
isolation voltage
2310
抵抗器の温度特性
ある温度範囲で,周囲温度を変化させたときの抵抗器の
特性の変化と温度との関係。
備考 抵抗器の温度特性は,一般に抵抗値の温度に
よる変化状態をいい,抵抗温度係数か又は抵
抗温度特性で表す。
temperature characteristic of
resistor
7
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2311
抵抗温度係数
抵抗器の使用温度範囲内で,規定の温度間における1℃
当たりの抵抗値の変化率。
備考1.
抵抗値の温度特性が直線性である抵抗器
に適用し,規定された温度間(範囲)の抵
抗温度係数の代表値をもって表す。
2. 温度係数の単位は一般にppm/℃を用い
る。
3. 次の式で表される。
抵
抗
温
度
係
数
(ppm/℃)
6
0
0
0
10
1×
−
×
−
=
t
t
R
R
R
temperature coefficient of
resistance
ここに,
R: t℃における抵抗実測値 (Ω)
R0: t0℃における抵抗実測値 (Ω)
t: 試験温度の実測値 (℃)
t0: 基準温度の実測値 (℃)
2312
抵抗温度特性
ある温度範囲内で,周囲温度を変化させたときの規定さ
れた温度間(範囲)における抵抗値変化率。
備考1.
抵抗値の温度特性が非直線性である抵抗
器に適用する。
2. 次の式で表される。
抵抗温度特性 (%)(1)
100
0
0×
−
=
R
R
R
temperature characteristic of
resistance
ここに,
R: 試験温度における抵抗実測値
(Ω)
R0: 基準温度における抵抗実測値
(Ω)
注(1) JIS C 5202(電子機器用固定抵抗器の試験方
法)では,抵抗値変化率としている。
2313
最高表面温度【抵抗
器の】
抵抗器を,定格周囲温度において定格電力を負荷して連
続動作の状態にしたとき,抵抗器の最高表面温度。
T
maximum surface temperature
(2.4) 可変抵抗器(基本)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2401
可変抵抗器
機械的な手段によって抵抗値を変えることができる抵抗
器。
備考 IEC/TC40の文章では,“variable resistor”は
2個の端子のものに限定して用いており,我
が国では,3個の端子をもつポテンショメー
タ及び2個の端子のものを含むものとして
用いている。
variable resistor
2402
ポテンショメータ
3個の端子をもち,その中の2個を抵抗素子の両終端に
接続し,他の端子を抵抗素子に沿って機械的に移動する
しゅう動接点に接続し,主に分圧器として用いる抵抗器。
potentiometer
2403
しゅう動接点,
しゅう動子,
しゅう動片
抵抗素子に沿って動く可変抵抗器の接点。
moving contact,
slider
2404
抵抗路
抵抗素子上をしゅう動する接点の通路。
track
8
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2405
回転の方向
可変抵抗器の駆動機構がある面から見た場合,駆動機構
の回転する方向。時計方向 (CW) 又は反時計方向
(CCW) と呼び明らかにする。
direction of rotation
2406
連続性
しゅう動接点が機械的に移動するとき,しゅう動子と抵
抗素子との間の電気的接触の持続性。
continuity
2407
接触抵抗
二つの物体の接触面に存在する電気抵抗。
備考1.
接触面には接触電位差と接触面を流れる
電流に対応する不連続的な電位差とがあ
り,これと電流との比が接触抵抗の値にな
る。
2. 接触部における表面の凹凸,よごれ,吸着
ガス,接触面積の大きさなどによって決ま
る。
contact resistance
2408
理論分解能
巻線形可変抵抗器の有効電気的操作範囲中の抵抗線の巻
線回数の逆数。
theoretical resolution
2409
全印加電圧
入力端子間に印加する電圧。
備考 通常は抵抗素子の両端に接続した端子を入
力端子とする。
total applied voltage
2410
出力電圧
しゅう動接点端子と規定の端子との間の電圧。
備考 特に規定がないときは,規定の端子は反時計
方向 (CCW) の終端端子とする。
output voltage
2411
出力電圧比
出力電圧を全印加電圧で除した値。
output ratio
2412
減衰量【ポテンショ
メータの】
出力電圧比の逆数。一般にdBで表す。
attenuation
2413
抵抗変化特性
しゅう動接点端子と規定の端子との間で測定した抵抗値
又は出力電圧比と駆動機構の機械的位置との間に存在す
る関係。
resistance law
2414
しゅう動子許容電
流
抵抗素子としゅう動接点との間に流せる最大電流。
limiting moving contact current
2415
接触抵抗変動
規定の速さでしゅう動接点を動かしたときの,抵抗素子
としゅう動接点の間における接触抵抗の変動。
contact resistance variation
(CRV)
(2.5) 可変抵抗器(一般)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2501
クラッチ解除機構
しゅう動接点が抵抗素子の両端に到達した後,更に駆動
機構が回転を続けるように設けた機構。
declutching device
2502
タップ【ポテンショ
メータの】
抵抗素子の中間に固定して設けた電気的接続端子。
tap
2503
タップ位置
規定の端子からのタップの位置。通常,抵抗値,電圧比
又は駆動機構の機械的位置で表す。駆動機構の機械的位
置で規定する場合,有効タップ幅の中央の位置をいう。
tap location
2504
有効タップ幅
しゅう動接点が.タップ接続部を一方向に通過したとき,
しゅう動接点とタップ接続部の双方における電圧が実質
的に同一であるしゅう動距離の範囲。
effective tap width
2505
短絡領域
抵抗素子の一部であって,しゅう動接点がその部分を移
動する間は出力電圧比が規定の許容差内で一定の値を保
っている領域。
shorted segment
9
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2506
半固定形可変抵抗
器
微調節などの目的に用いるものであって,しゅう動接点
を動かす量及び動かす頻度が一般用の可変抵抗器に比べ
て著しく小さい可変抵抗器。
備考 3端子のものは,トリマポテンショメータ
(trimmer potentiometer) ともいう。
pre-set variable resistor
2507
ねじ調整形ポテン
ショメータ
多回転駆動機構として,案内ねじをもっているポテンシ
ョメータ。
lead-screw actuated
potentiometer
2508
連動形ポテンショ
メータ
1個の共通シャフトで同時に2個以上のポテンショメー
タを操作する機構をもつポテンショメータ。
ganged potentiometer
2509
二重軸ポテンショ
メータ
同心のシャフトで2個以上のポテンショメータをそれぞ
れ別々に操作する機構をもつポテンショメータ。
dual potentiometer
2510
シャフト防水形ポ
テンショメータ
シャフトと軸受との間が防水構造であるポテンショメ−
タ。
spindle sealed potentiometer
2511
気密容器形ポテン
ショメータ
シャフトの軸受及び容器外箱そのものが,気密構造であ
るポテンショメータ。
container sealed potentiometer
2512
有効操作回転数
【多回転形ポテン
ショメータの】
多回転形ポテンショメータにおいて,出力電圧を最小値
から最大値に変化させるために必要な駆動機構の回転
数。
effective operating turns
2513
全機械的操作範囲
終端移動止めの間をしゅう動接点をしゅう動させるのに
必要な駆動機構の操作量。
備考1.
この操作量は,回転形のものでは角度,多
回転形のものでは回転回数,直線操作形の
ものではmmで表す。
2. クラッチ付きのものでは,クラッチ解除機
構の作動する2点間とする。終端回転止め
やクラッチ解除機構がない1回転形ポテ
ンショメータでは,全機械的操作範囲は
360度である。
3. 角度で表す場合,全機械的回転角度 (total
mechanical rotation) ともいう。
total mechanical travel
2514
全電気的操作範囲
全機械的操作範囲内において,その範囲内では,しゅう
動接点と抵抗素子の間にいかなる不接点部分も存在しな
い操作範囲。
すなわち,それは有効電気的操作範囲と無効電気的操作
範囲の和である。
total electrical travel
備考1.
この範囲の両端が終端移動止めの位置又
はクラッチ解除機構が作動する位置と一
致する構造のものでは,全電気的操作範囲
は全機械的操作範囲と同一となる。
2. 角度で表す場合,全電気的回転角度 (total
electrical rotation) ともいう。
10
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2515
有効電気的操作範
囲
全電気的操作範囲内において,規定の抵抗変化特性に従
って抵抗値又は出力電圧比が変化するように,しゅう動
接点をしゅう動させるのに必要な操作範囲。
備考1.
ポテンショメータの構造によっては,有効
電気的操作範囲が全電気的操作範囲と同
じであるものがある。
2. 角度で表す場合,有効電気的回転角度
(angle of effective electrical rotation) ともい
う。
effective electrical travel
2516
無効機械的操作範
囲
全機械的操作範囲の一部であって,その範囲ではしゅう
動接点と抵抗素子との間の連続性を保証できない操作範
囲。全機械的操作範囲と全電気的操作範囲の差に等しい。
備考 角度で表す場合,無効回転角度 (angle of
ineffective rotation) ともいう。
ineffctive mechanical travel
2517
全抵抗値
抵抗素子の両端に接続した端子間の抵抗値
total resistance
2518
有効抵抗値
全抵抗値の一部分であって,その部分の全範囲にわたっ
て抵抗が規定の抵抗変化特性に従って変化する範囲の抵
抗値。
effective resistance
2519
端子抵抗値
しゅう動接点へ接続した端子と他の端子との間で測定さ
れる抵抗値の最小値。
terminal resistance
2520
残留抵抗値
しゅう動接点を終端回転止めの一方に当てた位置に置い
たとき,その終端の端子としゅう動接点に接続した端子
の間で測定される抵抗値。
residual resistance
2521
最小有効抵抗値
有効電気的操作範囲のそれぞれの端子において,その端
にあるしゅう動接点に接続した端子とその端子に近い抵
抗端子との間の抵抗値。
備考 終端回転止めの位置と最小有効抵抗値が測
定される位置の間で著しい抵抗値の差が観
測されない場合は,残留抵抗値,端子抵抗値
及び最小有効抵抗値は同一となる。
minimum effective resistance
(2.6) 可変抵抗器(性能)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2601
公称全抵抗値
規格値を代表する抵抗素子の両端子間の抵抗値で,一般
に抵抗器に表示された抵抗値。
rated total resistance,
nominal total resistance
2602
しゅう動雑音
しゅう動接点を動かしたとき,接触抵抗の変動及び(又
は)抵抗路の抵抗値の不規則性が原因で生じる入力には
存在しない電気的出力の変動。
rotational noise
2603
接触雑音
不完全な接触によって発生する電気的雑音。
contact noise
2604
出力平滑性
入力には存在せず,電気的出力に発生する変動であり,
有効操作範囲にわたり,規定の微小区域ごとに測定し,
全印加電圧の百分率で表した出力電圧の滑らかさ。
output smoothness
備考 出力平滑性は接触抵抗変動,分解能,その他
の出力側における微小な非直線性が引き起
こす影響を含む。
2605
分解能,
設定能
ポテンショメータの抵抗値又は出力電圧比を所定の値に
調整するときの精密さ。
備考 アジャスタビリティ (adjustability) ともい
う。
resolution,
setting ability
11
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2606
ディザー
サーボシステムにおいてたびたび発生する状況を再現す
るための制御シャフトの繰返し回転。
dither
2607
一致性
全抵抗値又は全印加電圧の百分率で表した規定の抵抗変
化特性と実測した抵抗変化特性との間の最大偏差。
conformity
2608
絶対一致性
有効電気的操作範囲における理論的角度範囲の全角度に
わたって測定した実測抵抗変化特性と理論抵抗変化特性
との間の一致性。
absolute conformity
2609
直線性
規定の抵抗変化特性が直線である場合の一致性。
linearity
2610
絶対直線性
有効電気的操作範囲における理論的角度範囲の両端で規
定の最小及び最大出力電圧比を結ぶ基準直線からの実測
抵抗変化特性の最大垂直偏差を,全印加電圧の百分率で
表した一致性。
備考 特に規定がない限り,最小及び最大出力電圧
比はそれぞれ全印加電圧の0及び100%とす
る。絶対直線性をCとするとそのポテンショ
メータの抵抗変化特性(出力電圧比特性)は,
次の式で表される。
C
B
A
V
V
r
ac
ab
±
+
=
θ
θ
absolute linearity
ここに, Vac: 全印加電圧
Vab: 出力電圧
θr:
有効電気的操作範囲の理論値
A: 規定の傾斜
B: θ=0における規定の値
特に規定がない限り,A=1, B=0とする。
2611
端子間直線性
有効電気的操作範囲内の両端において,規定の最小及び
最大出力電圧比を結ぶ基準直線からの実測抵抗変化特性
の最大垂直偏差を,全印加電圧の百分率で表した一致性。
備考 端子間直線性をCとすると,そのポテンショ
メータの抵抗変化特性(出力電圧比特性)は,
次の式で表される。
C
B
A
V
Vab
r
ac
±
+
=
θ
θ
terminal based linearity
ここに,
Vac:
全印加電圧
Vab: 出力電圧
θA:
有効電気的操作範囲の実測値
A: 規定の傾斜
B: θ=0における規定の値
特に規定がない限り,A=1, B=0とする。
12
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2612
零基点直線性
有効電気的操作範囲にわたって,出力電圧比の規定最小
値の点を結ぶ基準直線からの実測抵抗変化特性の最大垂
直偏差を,全印加電圧の百分率で表した一致性。
この基準直線の傾きは最大垂直偏差を最小にするように
選ばなければならない。
zero based linearity
備考 特に規定がなければ,最小規定出力電圧比は
零とする。
零基準直線性をCとすると,そのポテンショ
メータの抵抗変化特性(出力電圧比特性)は,
次の式で表される。
C
B
P
V
V
A
ac
ab
±
+
=
θ
θ
ここに,
Vac: 印加電圧
Vab: 出力電圧
θA:
有効電気的操作範囲の実測値
P: 偏差を最小にするように選定
した直線の傾斜。もし,最大
出力比について要求条件があ
る場合は制限を受けることが
ある。
B: θ=0における規定の値
特に規定がない限り,B=0とする。
2613
単独直線性
有効電気的操作範囲又はその特定の一部分において,偏
差を最小に抑えるように選定した傾斜と位置をもつ基準
直線からの実測抵抗変化特性の最大垂直偏差を全印加電
圧の百分率で表した一致性。
備考 特定の最大又は最小出力電圧比が要求され
ているときは,基準直線の傾斜及び位置が制
限される。単独直線性をCとすると,そのポ
テンショメータの抵抗変化特性(出力変化特
性)は,次の式で表される。
C
Q
P
V
V
A
ac
ab
±
+
=
θ
θ
independent linearity
ここに,
Vac: 全印加電圧
Vab: 出力電圧
θA:
有効電気的操作範囲の実測
値
P: 偏差を最小にするように選
定した直線の傾斜。もし,最
小及び(又は)最大出力比に
ついて要求条件がある場合
は制限を受けることがある。
Q: θ=0における不特定の値
2614
バックラッシ【ポテ
ンショメータの】
実質的に同じ出力をもつ点へ,異なった方向からシャフ
トを近付けるときに発生するシャフトの位置の差の最大
値。
backlash
13
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2615
位相調整点
その位置で多連結ポテンショメータの各セクションの抵
抗変化特性を,相対的に整列させる目的で,各セクショ
ンごとに指定したしゅう動接点の位置。
備考1.
各セクションの抵抗変化特性が異なると
きは,指定するしゅう動接点の位置は,各
セクションごとに異なることがある。
2. 通常,最小有効抵抗値若しくは指定出力電
圧比に対応するしゅう動接点の位置又は
タップ位置で指定する。
phasing point
2616
位相調整
多連結ポテンショメータの各セクションの位相調整点を
相対的に整列させる操作。
備考 通常,第1セクションを基準として整合させ
る。
phasing
2617
同時一致性位相調
整
共通の位相調整点で整列させた後,更にすべてのセクシ
ョンの出力比が全有効電気的操作範囲にわたって各各の
一致性の限度内に収まるように,多連結ポテンショメー
タの各セクションを相対的に整列させる操作。
simultaneous conformity
phasing
(2.7) サーミスタ(NTCサーミスタ) NTCサーミスタとPTCサーミスタで共通な用語については2701
〜2709に記載する。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2701
サーミスタ
温度変化に対して極めて大きな抵抗変化を示す抵抗器。
備考 一般に抵抗値変化が非直線性であるものが
多い。
themistor
2702
直熱形サーミスタ
電流により自己加熱又は周囲温度の変化によって,抵抗
変化が得られるサーミスタ。
directly heated thermistor
2703
傍熱形サーミスタ
サーミスタ素子に密に接し,一般に電気的に絶縁された
ヒータに電流が流れることによって,抵抗変化が得られ
るサーミスタ。
indirectly heated thermistor
2704
ゼロ負荷抵抗値
測定の総合誤差に比べ,自己加熱による抵抗変化が無視
できるような十分低い消費電力において,規定温度で測
定した場合のサーミスタ素子の直流抵抗値。無負荷抵抗
値ともいう。
zero-power resistance
2705
公称ゼロ負荷抵抗
値
規格値を代表するゼロ負荷抵抗値。
nominal zero-power resistance,
rated zero-power resistance
2706
抵抗−温度特性
ある温度範囲でのゼロ負荷抵抗値と温度との関係。
resistance/temperature
characteristic
2707
[ゼロ負荷]抵抗比
ある温度のゼロ負荷抵抗値を基準温度(通常25℃)のゼ
ロ負荷抵抗値で除した値。
zero-power resistance ratio
2708
抵抗−電流特性【傍
熱形サーミスタの】
ある一定温度の静止空気中において,ヒータに流した電
流とサーミスタ素子が熱平衡に達したときのゼロ負荷抵
抗値との関係。
resistance/current characteristic
2709
最大許容電力
ある周囲温度において連続負荷し得る電力の最大値。
maximum permissible power
2710
NTCサーミスタ
温度の上昇に伴い抵抗値が減少するサーミスタ。
negative temperature coefficient
(NTC) thermistor
14
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2711
B定数
(びいじょうすう)
抵抗−温度特性における任意の2温度間の温度に対する
抵抗変化の大きさを表す定数。次の式で表される。
2
1
2
1
1
1
ln
ln
T
T
R
R
B
−
−
=
B
B-value
ここに,
B: B定数 (K)
R1: 絶対温度T1 (K) におけるゼロ
負荷抵抗値 (Ω)
R2: 絶対温度T2 (K) におけるゼロ
負荷抵抗値 (Ω)
2712
熱放散定数
(ねつほうさんじ
ょうすう)
【直熱形サーミス
タの】
直熱形サーミスタにおいて,熱平衡状態でサーミスタ素
子の温度を自己加熱によって1℃上げるために必要な電
力。サーミスタの消費電力と素子の温度変化との比とし
て求める。
δ
dissipation constant (factor) of
the directly heated thermistor
2713
熱放散定数
(ねつほうさんじ
ょうすう)
【サーミスタ素子
の自己加熱による
傍熱形サーミスタ
の】
傍熱形サーミスタにおいて,熱平衡状態でサーミスタ素
子の温度をサーミスタ素子の自己加熱によって1℃上げ
るために必要な電力。サーミスタの消費電力と素子の温
度変化との比として求める。
δth
dissipation constant (factor) of
thermally-sensitive element
2714
熱放散定数
(ねつほうさんじ
ょうすう)
【ヒータ加熱によ
る傍熱形サーミス
タの】
傍熱形サーミスタにおいて,熱平衡状態でサーミスタ素
子の温度をヒータ加熱によって1℃上げるために必要な
電力。サーミスタのヒータの消費電力と素子の温度変化
との比として求める。
δch
dissipation constant (factor) of
the heater element
2715
熱時定数
(ねつじていすう)
【自己加熱による
直熱形サーミスタ
の】
直熱形サーミスタの負荷電流をゼロ負荷抵抗の状態に急
変させたとき,サーミスタ素子の最初の温度と周囲温度
との温度差の63.2%変化するのに要する時間。
τ
thermal time constant
2716
熱時定数
(ねつじていすう)
【周囲温度変化に
よる直熱形サーミ
スタの】
ゼロ負荷の状態において,直熱形サーミスタの周囲温度
を急変させたとき,サーミスタ素子の最初の温度と最終
到達温度との温度差の63.2%変化するのに要する時間。
τa
thermal time constant due to
ambient temperature change
2717
熱時定数
(ねつじていすう)
【自己加熱による
傍熱形サーミスタ
の】
傍熱形サーミスタのサーミスタ素子の負荷電流をゼロ負
荷の状態に急変させたとき,サーミスタ素子の最初の温
度と周囲温度との温度差の63.2%変化するのに要する時
間。
τth1
intrinsic thermal time constant
2718
熱時定数
(ねつじていすう)
【ヒータ加熱によ
る傍熱形サーミス
タの】
傍熱形サーミスタのヒータ負荷電流をゼロ負荷の状態に
急変させたとき,サーミスタ素子の最初の温度と周囲温
度との温度差の63.2%変化するのに要する時間。
τth2
thermal time constant due to the
heater element
15
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2719
抵抗温度係数【サー
ミスタ素子の】
任意の温度における1℃ {1K} 当たりのゼロ負荷抵抗変
化率を表す係数。次の式で表される。
100
100
1
2×
−
=
×
=
T
B
dT
dR
R
α
α
temperature coefficient of zero
power resistance
ここに,
α: 抵抗温度係数 (%/℃)
R: 絶対温度T (K) におけるゼロ
負荷抵抗値 (Ω)
B: B定数 (K)
2720
電圧−電流特性
【NTCサーミスタ
の】
ある一定温度の静止空気中において,サーミスタに一定
電流を流し,サーミスタが熱平衡に達したときの電流と,
サーミスタ端子間電圧との関係。
voltage/current characteristic
2721
熱容量【サーミスタ
素子の】
サーミスタ素子の温度を1℃上昇させるために必要な熱
量。次の式で推定できる。
熱容量 (mJ/℃) =熱放散定数 (mW/℃) ×自己加熱によ
る熱時定数 (s)
Cth
calorific capacity, heat capacity
(2.8) サーミスタ(PTCサーミスタ)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2801
PTCサーミスタ
温度の上昇に伴い抵抗値が増加するサーミスタ。
positive temperature coefficient
(PTC) thermistor
2802
スイッチング温度
抵抗値が急激に増加し始める温度。
switching temperature
2803
熱放散定数
(ねつほうさんじ
ょうすう)
【PTCサーミスタ
の】
熱平衡状態でサーミスタの温度を自己加熱によって1℃
上げるために必要な電力。サーミスタの消費電力と素子
の温度変化との比として求める。
δ
dissipation factor,
dissipation constant
2804
熱時定数
(ねつじていすう)
【PTCサーミスタ
の】
ゼロ負荷の状態で周囲温度を急激に変化させたとき,そ
の温度差の63.2%にサーミスタの温度が変化するために
必要な時間。
τ
thermal time constant
2805
熱容量【PTCサーミ
スタの】
サーミスタの温度を1℃上昇させるために必要な熱量。
Cth
calorific capacity,
heat capacity
2806
抵抗温度係数【ゼロ
負荷時の】
正の温度係数の領域における任意の温度の1℃当
たりのゼロ負荷抵抗変化率を表す係数。次の式で
表される。
100
1
=
dT
dR
R
α
α
temperature coefficient at
zero-power of the resistance
ここに,
α: 抵抗温度係数 (%/℃)
R: 温度T (℃) におけるゼロ負荷
抵抗値 (Ω)
備考 一般に,αは次の式で表される。
100
1
log
log
1
1
2
1
2
−
=
T
T
R
R
e
α
ここに, R1: 温度T1 (℃) におけるゼロ負荷
抵抗値 (Ω)
R2: 温度T2 (℃) におけるゼロ負荷
抵抗値 (Ω)
16
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2807
電流−電圧特性
ある一定温度(通常25℃)の静止空気中において,サー
ミスタに電圧を印加し,サーミスタが熱平衡に達したと
きの,端子間電圧と電流との関係。
current/voltage characteristic
2808
電圧効果
印加電圧に依存してサーミスタの抵抗値が変化する現
象。VDR効果ともいう。
voltage effect,
voltage dependent resistor
(VDR) effect
2809
最大使用電圧【PTC
サーミスタの】
標準温度25℃の静止空気中において,スイッチング温度
を超えた後,連続してサーミスタに印加できる最大電圧。
maximum voltage
(2.9) バリスタ
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2901
バリスタ
印加電圧の上昇に伴い,非直線的に抵抗値が減少する抵
抗器。
varistor
2902
バリスタ電圧
基準電流におけるバリスタの端子間電圧。
voltage at reference current
2903
電圧−電流特性【バ
リスタの】
バリスタの電流と端子間電圧との関係。
voltage/current characteristic
2904
電圧非直線指数
バリスタに流れる電流の電圧依存性を表す次の式におけ
る指数。
I=kVα
voltage non-linearity index
ここに,
I: 直流電流 (A)
k: 定数
V: 直流電圧 (V)
α: 電圧非直線指数
2905
電流非直線指数
バリスタの端子間電圧の電流依存性を表す,次の式にお
ける指数。
V=k′Iβ
current non-linearity index
ここに,
V: 直流電圧 (V)
k′: 定数
I: 直流電流 (A)
β: 電流非直線指数
2906
制限電圧
サージ電圧がバリスタによって抑制され,バリスタ端子
間に残留する電圧の波高値。
voltage under pulse condition,
clamping voltage
2907
制限電圧比
制限電圧をバリスタ電圧で除した値。
clamping voltage ratio
2908
バリスタ電圧温度
係数
バりスタ電圧の温度依存性を表す係数。周囲温度が上昇
したときの1℃当たりのバリスタ電圧の変化率で表す。
次の式で表される。
バリスタ電圧温度係数 (%/℃)
100
1
1
2
)
(
)
(
)
(
1
1
2
−
−
=
T
T
V
V
V
T
cm
T
cm
T
cm
A
A
A
temperature coefficient of
voltage at reference current
ここに, VcmA (T1): T1 (℃) におけるバリスタ
電圧
VcmA (T2): =T2(℃)におけるバリス
タ電圧
ただし,T2 (℃) >T1 (℃) とする。
2909
定格電力【バリスタ
の】
バリスタに連続して負荷できる電力の最大値。
rated power dissipation
17
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
2910
サージ電流耐量
バリスタが処理できるインパルス電流の最大波高値。
maximum peak current,
surge current withstand
2911
エネルギー耐量
バリスタが処理できるインパルスの最大エネルギー。
maximum energy,
surge energy withstand
(3) コンデンサ 固定コンデンサと可変コンデンサで共通な用語については,(3.6)可変コンデンサに記載
せずに(3.1)[固定コンデンサ(基本)]に記載する。
(3.1) 固定コンデンサ(基本)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3101
静電容量
電荷を蓄える能力。
備考1.
対向した電極の面積,電極間に介在する誘
電体の誘電率に比例し,電極間の間隔に反
比例する。
2. 測定は,一般に規定周波数の交流電圧によ
って行う。
C
capacitance
3102
直流静電容量
コンデンサに蓄積されている電荷を端子間で測定される
直流電圧で除して得られる静電容量。
次の式で表される。
U
Q
C=
C
d. c. capacitance
ここに,
C: 静電容量 (F)
Q: 電荷 (C)
U: 直流電圧 (V)
3103
コンデンサ
一般的には,対向した電極をもち,電極間に誘電体が介
在する部品。
備考 電極間が,真空又は空気である場合がある。
capacitor
3104
固定コンデンサ
電極の対向面積,電極間隔及び誘電体の誘電率を固定的
に構成したコンデンサ。
fixed capacitor
3105
誘電体
電界を加えたときに電気分極を生じる物質。
dielectrics
3106
誘電率
電束密度と電界との関係を
D=εE
と表すときの比例定数。
ε
dielectric constant,
permitivity
ここに,
D:
電束密度 (C/m2)
ε:
誘電率 (F/m)
E: 電界 (V/m)
備考 等方性物質では,一般に定数である。また,
ε=ε0・εrと表し,ε0は真空の誘電率といい定
数 (8.854187×10-12F/m) であり,εrは物質に
よって固有の数値をもち,これを比誘電率と
いう。
18
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3107
誘電体損失,
誘電損
誘電体に交流電界を加えたときにエネルギーが熱として
失われる電力損失。
次の式で表される。
P=U・Icosφ
ただし,
φ
π
δ
−
=2
が十分に小さければ,次の近似式で表される。
P=U・Itanδ
dielectric loss
ここに,
P: 損失電力 (W)
U: 交流電圧 (V)
I: 交流電流 (A)
tanδ: 誘電正接
cosφ: 力率
備考 コンデンサの場合には,誘電体での電力損失
以外に電極部,電極と端子との接続部,端子
部などでの抵抗分によって,これらの部での
電力損失が加わる。
3108
誘電体損失角,誘電
損角
誘電体に交流電界を加えたとき,電流の位相は,理想状
態では電圧より90°進むが,誘電体損失が原因して90°
から遅れる角度。
備考 コンデンサの場合には,誘電体以外に電極
部,電極部と端子との接続部,端子部などで
の抵抗分による遅れが加わる。
δ
dielectric loss angle
3109
損失角【電解コンデ
ンサの】
電解コンデンサに交流電界を加えた場合,電流の位相は,
理想コンデンサのときは電圧より90°進むが,誘電体損
失,電解質の抵抗分などの直列抵抗分が原因して90°か
ら遅れる角度。
δ
loss angle
3110
誘電正接
(1) 誘電体損失角の正接。
次の式で表される。
X
R
=
δ
tan
tanδ
tangent of loss angle
ここに,
tanδ: 誘電体損失角の正接
R: コンデンサの等価直列抵抗
(Ω)
X: コンデンサのリアクタンス
(Ω)
(2) コンデンサに規定周波数の正弦波電圧を加えた場
合,コンデンサの電力損失をその無効電力で割った
値。
3111
損失角の正接【電解
コンデンサの】
電解コンデンサの損失角の正接。
備考 誘電正接を電解コンデンサでは,損失角の正
接という。
tanδ
tangent of loss angle
3112
漏れ電流
(1) コンデンサに流れる電流のうち,充電電流及び吸収
電流以外の非可逆的な一定値の電流。
(2) 直流電圧を印加したときに流れる伝導電流。
備考 電解コンデンサの場合は,端子間に規定の直
流電圧を印加し規定の時間経過したときの
電流の値。
leakage current
3113
表面漏れ電流
コンデンサの表面を通して流れる漏れ電流。
surface leakage current
19
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3114
絶縁抵抗【コンデン
サの】
コンデンサの端子間又は端子・外装間に直流電圧を印加
し,規定の時間経過したときに示す電気抵抗。
Ri
insulation resistance
3115
絶縁破壊電圧
絶縁破壊に必要な最小の電圧。
breakdown voltage
3116
耐電圧【コンデンサ
の】
コンデンサの規定の電圧(直流又は交流)に耐える能力。
voltage proof,
withstand voltage
3117
充電
符号が異なる同量の電荷がコンデンサの両電極に蓄えら
れる作用又は現象。
charge
3118
充電電流
コンデンサを充電するときに流れる電流。
charging current
3119
放電
コンデンサの両電極上にある,符号が異なる電荷を全部
又は部分的に中性化する作用。
discharge
3120
放電電流
コンデンサを放電するときに流れる電流。
discharge current
3121
誘電吸収
誘電体の電気分極が外部電界(印加電界)の変化に対し
速やかに追従できずに,時間的に遅れをもつため,コン
デンサの端子間に直流電圧を印加した場合,時定数によ
って決まる過渡電流(充電電流)と時間に無関係な一定
の電流(漏れ電流)が流れる現象とは別に,誘電体の緩
慢な分極によって比較的長い時間かかって電流が徐々に
減衰しながら流れる現象。
備考 短時間放電の後では,コンデンサの両端子間
に残留電圧(回復電圧)を発生させる原因と
なる。
dielectric absorption
3122
残留電圧,
回復電圧
コンデンサを放電した後,端子間を開放状態にしたとき,
端子間に現れる誘電吸収に起因する電圧。
residual voltage,
recovery voltage
3123
Q【コンデンサの】
誘電正接 (tanδ) の逆数。
Q
Q
Q-factor
3124
等価直列抵抗
コンデンサのインピーダンスを等価的に抵抗分とリアク
タンス分の直列回路で表したときの抵抗分。
次の式で表される。
2
2
X
Z
R
−
=
equivalent series resistance
ここに,
R: 等価直列抵抗 (Ω)
Z: インピーダンス (Ω)
X: 等価リアクタンス (Ω)
3125
損失率
コンデンサに交流電圧を加えたときのコンデンサの損失
電力(有効電力)をコンデンサの皮相電力で除した値。
次の式で表される。
S
P
=
λ
λ
loss factor
ここに, λ:
損失率
S: コンデンサの皮相電力 (VA)
P: コンデンサの損失電力(有効電
力) (W)
3126
自己回復作用
金属化コンデンサの誘電体が局部的に絶縁破壊した直
後,コンデンサの電気的特性が絶縁破壊前と同等の状態
に復帰する作用。
self-healing
3127
陽極【コンデンサ
の】
有極性コンデンサの正電極。
anode
20
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3128
陰極【コンデンサ
の】
有極性コンデンサの負電極。
cathode
3129
電解質
電解コンデンサ又は電気二重層コンデンサにおいて,誘
電体と接し陰極の一部として用いる非固体又は固体の導
電物質。
electrolyte
3130
熱平衡【コンデンサ
の】
コンデンサを規定温度に保ち,5分間隔で測定した場合,
連続した2回の静電容量値に,ほぼ変化がなくなったと
きの状態。
thermal stability
(3.2) 固定コンデンサ(用途)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3201
交流用コンデンサ
主として交流電圧で使用することを目的としたコンデン
サ。
a. c. capacitor
3202
直流用コンデンサ
主として直流電圧で使用することを目的としたコンデン
サ。
d. c. capacitor
3203
パルス用コンデン
サ
主としてパルス電流又はパルス電圧で使用することを目
的としたコンデンサ。
pulse capacitor
3204
ブロッキングコン
デンサ
主として直流を阻止する目的で使用するコンデンサ。
blocking capacitor
3205
カップリングコン
デンサ
異なる直流レベルをもつ二つ以上の交流回路を結合する
目的で使用するコンデンサ。
coupling capacitor
3206
バイパスコンデン
サ,
デカップリングコ
ンデンサ
ある周波数以上の電流に対し比較的低インピーダンスの
導通路を作る目的で使用するコンデンサ。
bypass capacitor,
decoupling capacitor
3207
サージ制限コンデ
ンサ
サージ電圧に対し低インピーダンスとなり,サージ電圧
を吸収する目的で使用するコンデンサ。
surge limiting capacitor
3208
温度補償用コンデ
ンサ
静電容量の温度による変化が直線的でかつ再現性があ
り,その変化によって回路中の温度による特性の変化を
補償する目的で使用するコンデンサ。
temperature compensating
capacitor
21
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3209
雑音防止用コンデ
ンサ
電子機器,電気器具から発する無線周波の雑音を防止す
る目的で,主として交流電源回路に使用するコンデンサ。
備考1.
IEC 384-14(電子機器用雑音防止用コンデ
ンサ)に従った雑音防止用コンデンサの区
分は,安全性能によって次の三種類であ
る。
U−コンデンサ
X−コンデンサ
Y−コンデンサ
2. 1.の区分とは別に,回路上の接続に次の区
分を使用することもある。
アクロス ザ ライン コンデンサ
ライン バイパス コンデンサ
3. 1.及び2.の区分の一例を次の図に示す。
区分(備考1.による場合)
コンデンサA及びコンデンサBを使用電圧125V以下
の場合は,U−コンデンサという。
使用電圧125Vを超え250V以下の場合は,Y−コンデ
ンサという。
コンデンサCをX−コンデンサという。
区分(備考2.による場合)
コンデンサA及びコンデンサBをライン バイパス
コンデンサという。
コンデンサCをアクロス ザ ライン コンデンサとい
う。
radio interference suppression
capacitor
3210
U−コンデンサ
コンデンサが故障すると感電のおそれがある回路に用い
る,交流電圧125Vまで使用できる雑音防止用コンデン
サ。
備考 使用電圧を限定しない場合
ライン バイパス コンデンサ (line-bypass
capacitor) ともいう。
capacitor of ciass U
3211
X−コンデンサ
コンデンサが故障しても感電のおそれがない回路に用い
る雑音防止用コンデンサ。
備考 アクロス ザ ライン コンデンサ
(across-the-line capacitor) ともいう。
capacitor of class X
3212
Yコンデンサ
コンデンサが故障すると感電のおそれがある回路に用い
る交流電圧125Vを超え250Vまで使用できる雑音防止用
コンデンサ。
capacitor of class Y
備考 使用電圧を限定しない場合
ライン バイパス コンデンサ (line-bypass
capacitor) ともいう。
3213
アクロスザライン
コンデンサ
電源回路の電源線間に挿入して使用する雑音防止用コン
デンサ。
備考 番号3211参照。
across-the-line capacitor
22
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3214
ラインバイパスコ
ンデンサ
電源回路の電源線と大地間又はきょう体間に挿入して用
いる雑音防止用コンデンサ。
備考 番号3210及び3212参照。
line-bypass capacitor
3215
双極性コンデンサ
主に極性が反転する回路に用いることを目的とする電解
コンデンサ。
bi-polar electrolytic capacitor
(3.3) 固定コンデンサ(構造)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3301
液体含浸コンデン
サ
常温において流動性がある含浸材料を,コンデンサ素子
に含浸したコンデンサ。
liquid impregnated capacitor
3302
固体含浸コンデン
サ
常温において流動性がない含浸材料を,コンデンサ素子
に含浸したコンデンサ。
solid impregnated capacitor
3303
無含浸コンデンサ
含浸材料をコンデンサ素子に含浸しないコンデンサ。
non impregnated capacitor
3304
液体充てんコンデ
ンサ
常温において流動性がある充てん材料をコンデンサのケ
ースの全容積に満たしたコンデンサ。
備考 ケース内部に温度変化によって充てん材料
が膨脹できるすきまがあるものを含む。
liquid filled capacitor
3305
固体充てんコンデ
ンサ
常温において流動性がない充てん材料をコンデンサのケ
ースの全容積に満たしたコンデンサ。
solid filled capacitor
3306
金属化コンデンサ
紙,プラスチックフィルムのいずれか又はこれらの複合
体を誘電体とし,これに金属を蒸着して電極としたコン
デンサ。
備考 一般に巻回構造のコンデンサに適用され,自
己回復性がある。
metallized capacitor
3307
金属はくコンデン
サ
紙・プラスチックフィルムのいずれか又はこれらの複合
体を誘電体とし,金属はくを電極としたコンデンサ。
metal foil capacitor
3308
貫通コンデンサ
内部電極の導体が中央部を貫通し,外部電極が接地でき
る構造のコンデンサ。
feed-through capacitor,
lead-through capacitor
3309
チップコンデンサ
コンデンサ素子に電極を設け,主として面実装に適する
角形又は円筒形の小形のコンデンサ。
備考 一般にリード線端子をもたない。
chip capacitor
3310
積層コンデンサ
金属電極と誘電体を交互に積み重ねた構造のコンデン
サ。
備考1.
代表的な誘電体としては,磁器,ガラス,
マイカ,プラスチックフィルムなどがあ
る。
2. 構造の一例
multilayer capacitor
3311
絶縁形コンデンサ
すべての端子と外装との間に規定の電圧を印加できるコ
ンデンサ。
insulated type capacitor
23
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3312
非絶縁形コンデン
サ
すべての端子と外装との間に規定の電圧を印加できない
コンデンサ。
non-insulated type capacitor
3313
有極性コンデンサ
本質的に極性をもつコンデンサ。
備考 このコンデンサとしては,電解コンデンサが
ある。
polar capacitor
3314
無極性コンデンサ
本質的に極性をもたないコンデンサ。
備考 電解コンデンサ以外のコンデンサは,無極性
コンデンサである。
non-polar capacitor
(3.4) 固定コンデンサ(誘電体)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3401
空気コンデンサ
空気を誘電体としたコンデンサ。
air capacitor
3402
紙コンデンサ
紙を誘電体としたコンデンサ。
paper capacitor
3403
プラスチックフィ
ルムコンデンサ
プラスチックフィルム(ポリエステル,ポリスチレン,
ポリプロピレン,ポリカーボネートなど)を誘電体とし
たコンデンサ。
plastic film capacitor
3404
複合フィルムコン
デンサ
コンデンサ紙とプラスチックフィルム又は異種のプラス
チックフィルムを誘電体としたコンデンサ。
mixed dielectric capacitor,
bi-film capacitor
3405
磁器コンデンサ
磁器(酸化チタン磁器,チタン酸バリウム磁器,ステア
タイト磁器など)を誘電体としたコンデンサ。
備考 特性によって種類1,種類2及び種類3に分類
している。
ceramic capacitor
3406
磁器コンデンサ
種類1
電子機器の共振回路用及びその他一般にQが高く,温度
などに対する静電容量の安定性が必要で主に温度補償用
に用いる磁器を誘電体とするコンデンサ。
備考 温度補償用磁器コンデンサともいわれてい
る。
ceramic capacitor class 1
3407
磁器コンデンサ
種類2
電子機器の側路用及び回路の結合用のようにQの値や静
電容量の安定性があまり必要でない用途に用いる磁器を
誘電体としたコンデンサ。
備考 高誘電磁器コンデンサともいわれている。
ceramic capacitor class 2
3408
磁器コンデンサ
種類3
電子機器の側路用及び回路の結合用のようにQの値や静
電容量の安定性があまり必要でない用途に用いる半導体
化した磁器を利用して小形化したコンデンサ。
備考 半導体磁器コンデンサともいわれている。
ceramic capacitor class 3
3409
半導体磁器コンデ
ンサ
一般に磁器コンデンサ種類3 (class 3) といわれており,
半導体化した磁器(チタン酸バリウム,ストロンチウム
系などの磁器)の表面又は粒界表面に形成した薄い絶縁
層を利用又は誘電体としたコンデンサ。
備考 構造によって,次の3種類に大別される。
(1) 堰層形半導体磁器コンデンサ
(barrier layer ceramic capacitor)
(2) 粒界層形半導体磁器コンデンサ
(boundary layer ceramic capacitor)
(3) 表層形半導体磁器コンデンサ
(surface layer ceramic capacitor)
semiconducting ceramic
capacitor
24
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3410
堰層形半導体磁器
コンデンサ
(えんそうがたは
どうたいじき)
半導体磁器と電極との間に生じる障壁容量を利用したコ
ンデンサ。
barrier layer ceramic capacitor
3411
粒界層形半導体磁
器コンデンサ
半導体磁器の絶縁化した結晶粒界層を利用したコンデン
サ。
boundary layer ceramic
capacitor
3412
表層形半導体磁器
コンデンサ
半導体磁器の表面に形成した酸化皮膜を誘電体としたコ
ンデンサ。
surface layer ceramic capacitor
3413
電解コンデンサ
一般に陽極表面に陽極酸化によって形成した酸化皮膜を
誘電体とし,固体又は非固体の電解質をこの誘電体に密
着して陰極の一部としたコンデンサ。
備考1.
通常は,有極性である。
2. 陽極に使用される金属材料としては,アル
ミニウム,タンタルなどがある。
electrolytic capacitor
3414
アルミニウム電解
コンデンサ
アルミニウムの表面に陽極酸化によって形成した酸化皮
膜を誘電体とし,固体又は非固体の電解質をこの誘電体
に密着して陰極の一部としたコンデンサ。
Aluminium electrolytic
capacitor
3415
アルミニウムはく
形非固体電解コン
デンサ
アルミニウムはくの表面に陽極酸化によって形成した酸
化皮膜を誘電体とし,紙,繊維などに含浸させた液体電
解質をこの誘電体に密着して陰極の一部としたコンデン
サ。
Aluminium foil electrolytic
capacitor with non-solid
electrolyte
3416
アルミニウム固体
電解コンデンサ
アルミニウムのはく,線又は焼結体の表面に陽極酸化に
よって形成した酸化皮膜を誘電体とし,固体電解質をこ
の誘電体に密着して陰極の一部としたコンデンサ。
Aluminium solid electrolytic
capacitor
3417
タンタル電解コン
デンサ
タンタルの表面に陽極酸化によって形成した酸化皮膜を
誘電体とし,固体又は非固体の電解質をこの誘電体に密
着して陰極の一部としたコンデンサ。
Tantalum electrolytic capacitor
3418
タンタルはく形非
固体電解コンデン
サ
タンタルはくの表面に陽極酸化によって形成した酸化皮
膜を誘電体とし,紙,繊維などに含浸させた液体電解質
をこの誘電体に密着して陰極の一部としたコンデンサ。
Tantalum foil electrolytic
capacitor with non-solid
electrolyte
3419
タンタル焼結体非
固体電解コンデン
サ
タンタルの焼結体の表面に陽極酸化によって形成した酸
化皮膜を誘電体とし,充てんさせた液体電解質をこの誘
電体に密着して陰極の一部としたコンデンサ。
Tantalum sintered slug
electrolytic capacitor with
non-solid electrolyte
25
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3420
タンタル固体電解
コンデンサ
タンタルのはく,線又は焼結体の表面に陽極酸化によっ
て形成した酸化皮膜を誘電体とし,固体電解質をこの誘
電体に密着して陰極の一部としたコンデンサ。
Tantalum solid electrolytic
capacitor
3421
電気二重層コンデ
ンサ
二種の異なる物質の境界面にできる電気二重層の電荷蓄
積作用を利用したコンデンサ。
electric double layer capacitor
3422
マイカ コンデンサ
マイカを誘電体としたコンデンサ。
備考 銀電極を焼き付けたマイカを誘電体とした
ものをシルバードマイカコンデンサともい
う。
mica capacitor
3423
集成マイ カコンデ
ンサ
巻回したフィルム状マイカを誘電体としたコンデンサ。
reconstituted mica capacitor
3424
ガラス コンデンサ
ガラスを誘電体としたコンデンサ。
glass capacitor
(3.5) 固定コンデンサ(性能等)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3501
巻回構造
(けんかいこうぞ
う)
誘電体と電極はくを重ねて巻き取った構造。
winding structure
3502
無誘導構造
巻回構造のコンデンサにおいて,実効インダクタンスを
できるだけ少なくなるようにした構造。
non-inductive structure
3503
はくはみ出し構造
巻回構造のコンデンサにおいて,電極はくを誘電体の幅
方向にそれぞれ反対側にはみ出させ,この部分を一括し
て電極とした構造。
備考 無誘導構造の一種である。
extended foil structure
3504
タブ構造
巻回構造のコンデンサにおいて,引出し片又は引出し線
を巻き取られた電極はくと誘電体の間に挿入した構造。
tab structure
3505
公称静電容量
静電容量の公称値。
CR
nominal capacitance,
rated capacitance
3506
周囲温度
コンデンサの置かれている周囲の空間の温度。ただし,
コンデンサが他の熱源からの熱放射や熱伝導を受け,ま
た,印加電圧の交流分によって温度上昇するときには,
コンデンサ表面温度を周囲温度とみなす。
ambient temperature
3507
使用温度範囲,
カテゴリ温度範囲
【コンデンサの】
コンデンサを連続して使用できる周囲温度の範囲。
備考 定格温度(定格電圧使用最高温度)を含み,
最高使用温度と最低使用温度との間とする。
category temperature range
3508
最高使用温度,
カテゴリ上限温度
【コンデンサの】
コンデンサを連続して使用できる周囲温度の最高値。
upper category temperature
3509
最低使用温度,
カテゴリ下限温度
【コンデンサの】
コンデンサを連続して使用できる周囲温度の最低値。
lower category temperature
3510
定格温度,
定格電圧使用最高
温度【コンデンサ
の】
コンデンサに定格電圧を印加し連続して使用できる周囲
温度の最高値。
TR
rated temperature
26
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3511
定格電圧【コンデン
サの】
定格温度(定格電圧使用最高温度)においてコンデンサ
に連続して印加できるせん頭電圧(直流電圧及び許容交
流せん頭電圧の和)の最大値。
備考1.
交流用コンデンサでは,連続して印加でき
る規定周波数の交流電圧の実効値とする。
2. パルス用コンデンサでは,連続して印加で
きる規定周波数の規定波形の電圧の最大
値とする。
UR
rated voltage
3512
温度軽減電圧【コン
デンサの】
定格温度を超える温度(最高使用温度の範囲内)におい
て,コンデンサに連続して印加できる電圧の最大値。
temperature derated voltage
3513
カテゴリ電圧
最高使用温度において,コンデンサに連続して印加でき
る電圧の最大値。
UC
category voltage
3514
定格周波数【コンデ
ンサの】
コンデンサの使用上決められた周波数。
rated frequency
3515
定格リプル電圧
規定の温度において,コンデンサに連続して直流電圧に
重畳して印加できる規定周波数の最大許容交流電圧の実
効値。
rated ripple voltage
3516
逆電圧【電解コンデ
ンサの】
有極性コンデンサの端子に極性が逆になるように印加す
る電圧。
備考 電解コンデンサにだけ適用する。
reverse voltage
3517
サージ電圧【電解コ
ンデンサの】
規定時間の周期でコンデンサに直流電圧を規定回数加え
たとき,電解コンデンサが耐え得る最大直流電圧。
備考 一般に6分間の周期で直流電圧を30秒間加
える。
surge voltage of electrolyte
capacitor
3518
定格電流【コンデン
サの】
定格温度において,交流用コンデンサに連続して印加で
きる定格周波数の交流電流の実効値。
次の式で表される。
I=2πf CU
rated current
ここに,
I: 定格電流 (Arms)
f: 定格周波数 (Hz)
C: 静電容量 (F)
U: 定格電圧 (Vrms)
3519
定格リプル電流
規定の温度において,コンデンサに連続して印加できる
規定周波数の最大許容交流電流の実効値。
備考 電解コンデンサだけに適用する。
rated ripple current
3520
最大許容リプル電
流
定格温度の範囲内において,コンデンサに定格電圧を印
加する場合に連続して許容できる規定周波数の最大リプ
ル電流。
備考 電解コンデンサにだけ適用する。
maximum allowable ripple
current
3521
特性
コンデンサの性能のうち特に取り上げられたものであっ
て,ある条件のもとで定量的又は定性的に区分したもの。
characteristic
3522
コンデンサの温度
特性
ある温度範囲で周囲温度を変化させたときのコンデンサ
の特性の変化と温度との関係。
temperature characteristic of
capacitor
3523
温度による静電容
量の変化
静電容量の温度による変化。
次のいずれかで表す。
1.
静電容量温度特性
2.
静電容量温度係数及び静電容量のずれ
variation of capacitance with
temperature
27
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3524
静電容量温度特性
基準温度20℃の値に対する使用温度範囲における静電
容量の変化率 (%)。
備考 静電容量の温度による変化が非直線的なコ
ンデンサに適用する。
temperature characteristic of
capacitance
3525
静電容量温度係数
コンデンサの使用温度範囲内で,基準温度 (20℃) と規
定の温度との間における1℃当たりの静電容量の変化
率。
備考1.
静電容量の温度特性が直線又は直線的で
あるコンデンサに適用する。
2. 静電容量温度係数は,ppm/℃ (10-6/℃) で
表す。
temperature coefficient of
capacitance
3526
静電容量のずれ
コンデンサを下表の温度サイクルを1回行ったときの段
階1,段階3及び段階5の20℃(基準温度)のそれぞれの
静電容量の差異。
備考1.
静電容量の差異は,変化率 (%) 又は変化
量で表す。
2. 変化量で表す場合は,基準温度における静
電容量の最大値と最小値との差とする。
3. 変化率で表す場合は,一般に2.の変化量を
段階2の静電容量で割った値とする。
temperature cyclic drift of
capacitance
3527
等級
ある条件の下でコンデンサの性能を保証できる程度によ
って区分したもの。
grade
3528
主共振周波数
2端子コンデンサに正弦波電圧を印加したときに,その
インピーダンスが極小になる周波数のうちの最低の周波
数。
main resonant frequency
(3.6) 可変コンデンサ
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3601
可変コンデンサ
静電容量の機械的な可変機構をもつコンデンサ。
variable capacitor
3602
段
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の固定電
極とそれに対応する可変電極とからなる一組の部分。
section,
stage
3603
段数
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の基準段
及び連動段の数。
number of section,
number of stage
3604
基準段
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の各段の
うち局部発振回路に使用する段。
備考 多段可変コンデンサの可変静電容量の基準
とする段。
reference section,
reference stage
28
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3605
連動段
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の基準段
以外の段。
備考 一般に同調回路に使用する段をいう。
matching section,
ganged stage
3606
回転指度
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の回転子
(ロータ)の回転角度180度を100%とし,各回転角度
をパーセントで表した値。
備考 静電容量を測定するとき,測定位置を定める
ために用いる。
rotational index
3607
バックラッシ【コン
デンサの】
可変コンデンサの回転子(ロータ)を,時計方向に回転
した場合と反時計方向に回転した場合の規定された同一
回転角度(回転指度)における静電容量の差をいずれか
大きい静電容量で除した値。
backlash of a capacitor
3608
セッティングドリ
フト
可変コンデンサの回転子(ロータ)を,数往復回転させ
規定の回転角度(回転指度)に固定した直後の静電容量
と,規定の時間放置した後の静電容量との変化量。
capacitance drift after
adjustment
3609
メカニカルインデ
ックス法,
M・I法
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)を指定さ
れた回転指度に機械的に固定し,連動段の可変静電容量
を測定する方法。
mechanical index method
3610
エレクトリカルイ
ンデックス法,
E・I法
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の基準段
の可変静電容量が規定値となるよう電気的に定めた位置
における連動段の可変静電容量を測定する方法。
electrical index method
3611
同調用可変コンデ
ンサ,
タイプAコンデン
サ
主に,使用する都度静電容量を変化させ,同調用に使用
する可変コンデンサ。
tuning capacitor
3612
微調整用可変コン
デンサ,
タイプBコンデン
サ
主に,静電容量の可変量が小さく,静電容量の微調整に
使用する可変コンデンサ。
備考 トリマともいう。
trimming capacitor
3613
半固定コンデンサ,
タイプCコンデン
サ
主に,静電容量を調整した後は,固定して使用する可変
コンデンサ。
備考 プリセットコンデンサともいう。
pre-set capacitor
3614
回転可変コンデン
サ
回転機構をもち,静電容量を最小から最大まで連続的に
変えられる可変コンデンサ。
rotary variable capacitor
3615
差動可変コンデン
サ
二つの分離された固定電極と一つの回転電極とによって
構成し,一方の固定電極と回転電極の間の静電容量が増
加すると他方の固定電極と回転電極との間の静電容量が
減少し,全体としては静電容量が一定となっている可変
コンデンサ。
differential capacitor
3616
多段可変コンデン
サ
複数個の段をもち,一つの操作軸で複数段の静電容量を
変える可変コンデンサ。
multi-section capacitor,
multi-stage capacitor
3617
AM段
長中波及び短波 (3〜30MHz) に用いられる同調用可変
コンデンサ(タイプAコンデンサ)の段。
A. M section,
A. M stage
3618
FM段
超短波 (30〜300MHz) に用いられる同調用可変コンデ
ンサ(タイプAコンデンサ)の段。
F. M section,
F. M stage
3619
分割固定電極可変
コンデンサ
一つの共通な回転電極と直列に機能する二つの分割した
固定電極からなる可変コンデンサ。
split stator capacitor
29
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
3620
パディングコンデ
ンサ
スーパーヘテロダイン受信機の局部発振回路に直列に接
続し,同調段とのトラッキングを得るために用いるコン
デンサ。
padding capacitor
3621
トラッキングレス
バリコン
基準段及び連動段がいかなる回転指度においても,規定
の受信周波数範囲内において局部発振回路にパディング
コンデンサを使用しないで規定の中間周波数が得られる
ように設計された可変係数をもつ同調用可変コンデンサ
(タイプAコンデンサ)。
trackingless variable capacitor
3622
最大静電容量
可変範囲において最大となる静電容量。
maximum capacitance
3623
最小静電容量
可変範囲において最小となる静電容量。
minimum capacitance
3624
公称最大静電容量
最大静電容量の公称値。
nominal (rated) maximum
capacitance
3625
公称最小静電容量
最小静電容量の公称値。
nominal (rated) minimum
capacitance
3626
段間結合静電容量
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の二つの
段間の静電容量。
inter-section coupling
capacitance,
inter-stage coupling capacitance
3627
最大可変静電容量
最大静電容量から最小静電容量を引いた値。
capacitance swing
3628
可変静電容量
各回転指度における静電容量から最小静電容量を引いた
値。
variable capacitance
3629
静電容量変化特性
回転指度と静電容量との関係。
備考 直線容量形,直線波長形,直線周波数形など
がある。
capacitance law
3630
可変係数
同調用可変コンデンサ(タイプAコンデンサ)の最大可
変静電容量を100%とした場合における,各回転指度に
おける可変静電容量をパーセントで表した値。
備考 静電容量変化特性を表す。
coefficient of variable
capacitance
3631
有効回転角度
最小静電容量から最大静電容量に変化させるために必要
な回転子(ロータ)の回転角度。
effective angle of rotation
3632
公称回転角度
回転角度の公称値。
nominal angle of rotation
3633
全回転角度
機械的に回転可能な全角度。
total angle of rotation
(4) コイル・変成器・変圧器
(4.1) コイル・変成器・変圧器(基本)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4101
コイル
一般的には,絶縁体の表面上に導体を巻いて作った自己
インダクタンスをもつ部品。
備考 渦巻き状に形成されたプリントコイルを含
む。
coil
30
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4102
変成器
共通の磁気回路とこれに鎖交する複数の巻線をもち,電
磁誘導作用によって一方の巻線から受けた交流信号を変
成して他方の回路に伝達する部品。
transformer
4103
理想変成器
損失が全くなく,変成作用だけを行う変成器であって,
次の条件を満足するもの。
(1) 巻線のインピーダンスが無限大(磁心の透磁率が無
限大)。
(2) 巻線の抵抗値が零。
(3) 一次,二次の巻線の結合が完全であって,漏れ磁束
がない。
(4) 分布容量が存在しない。
備考 一方の巻線にあるインピーダンスを接続し
て,他方の巻線端子から見たインピーダンス
は完全に巻数比の平方に比例して変換され,
損失なしに電力を伝達し,周波数特性をもた
ない。
ideal transformer
4104
整合変成器,整合ト
ランス
インピーダンス整合の目的で用いる変成器の総称。
備考 入力変成器,出力変成器,マッチングコイル
など。
matching transformer
4105
変圧器
共通の磁気回路とこれに鎖交する複数の巻線をもち,電
磁誘導作用によって一方の巻線から受けた交流電力を他
方の回路に供給する部品。
transformer
4106
磁気回路
磁束密度を電流密度に,磁界を電界に,透磁率を導電率
に,磁性体を導体に見立てることによって電気回路と類
似の関係が成立し,起磁力を起電力に,磁気抵抗を電気
抵抗に対比させることでオームの法則,キルヒホッフの
法則などが磁束に対して適用できる回路。
magnetic circuit
4107
変圧比,
変成比
二次巻線の端子電圧を一次巻線の端子電圧で除した値。
transformation ratio
4108
巻数比
一次巻線の巻数と二次巻線の巻数の比又は一次若しくは
二次巻線の巻数とタップの巻数の比。
tuns ratio
4109
静電遮へい【コイ
ル・変成器の】
一次巻線と二次巻線及び引出部に生じる静電結合を防止
するため,巻線間に導体を挿入したり,またコイルや変
成器を外部からの静電結合を除去するよう導体をもって
遮へいすること。
electrostatic shielding
4110
磁気遮へい【コイ
ル・変成器の】
コイル・変成器から発生する磁力線又は外部からの磁力
線の影響を除去するため金属材料又は磁性材料によって
遮へいすること。
magnetic shielding
(4.2) コイル・変成器・変圧器(一般)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4201
ユニバーサルコイ
ル,
ハネカムコイル
多層巻線のコイルにおいて,巻線間の分布容量と誘電体
損失を減少させ,かつQを高くするために,上下の互い
に重なる層の巻線が相互に交差するように巻いたコイ
ル。
universal coil,
honey-comb coil
31
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4202
ソレノイド巻きコ
イル
円筒状に導体を巻いたコイル。一層に巻いたものを単層
ソレノイド巻きコイル,多層に巻いたものを多層ソレノ
イド巻きコイルという。
solenoidal coil
4203
バンク巻きコイル
巻線の層間の分布容量を減らすためには,層間の電位差
を小さくする必要がある。そのためには,一層に巻くこ
とがよいが,しかし一層では巻き切れないときに用い,
二層巻きの場合図のように巻いたコイル。
bank wound coil
4204
バイファイラ巻き
コイル
一次,二次巻線相互間の結合を密にするために,一次及
び二次の導線を並列に巻いたコイル。
bifilar wound coil
4205
スペース巻きコイ
ル
巻線のピッチを大きくして,分布容量を減らしたコイル。
space wound coil
4206
空心コイル
磁心を用いないコイル。
air-core coil
4207
磁心[入り]コイル
磁心を用いたコイル。
magnetic core coil
4208
可変コイル
インダクタンスの可変機構をもつコイル。
variable coil
4209
固定コイル
インダクタンスの可変機構をもたないコイル。
備考 インダクタ又はチョークコイルともいう。
fixed coil
4210
プリントコイル
絶縁板上に渦巻き状などの導体膜を形成することによっ
て得られるコイル。
printed coil
4211
チップコイル
磁器,プリント基板などの絶縁体に面実装するのに適し
た構造をもったコイル。
備考 インダクタンスの可変機構をもったものを
可変形チップコイル,可変機構をもたないも
のを固定形チップコイルという。(チップイ
ンダクタということもある。)。
chip coil
4212
トロイダルコイル
リング状磁心に導体を巻いて作ったコイル。
toroidal coil
4213
エンキャプシュレ
ート変成器
耐候性及び絶縁性を向上するため,巻線や磁心を合成樹
脂で被覆した変成器。
encapsulated transformer
4214
エンキャプシュレ
ートインダクタ
耐候性及び絶縁性を向上するため,巻線や磁心を合成樹
脂で被覆したインダクタ。
encapsulated inductor
4215
ハイQコイル
高いQ(高い誘導性リアクタンスをもち,かつ低損失)
のコイル。主にフィルタ用として使用する。
high Q coil
4216
遮へいコイル
電子回路に誘導される妨害電圧を軽減するのに用いる変
成器。
shielded coil
4217
高周波コイル
主としてラジオ,テレビジョン受信機などの電子機器の
高周波回路に用いるコイル。
備考 高周波用として設計したコイルを低周波で
使用することもあり,またその逆もある。
high frequency coil
32
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4218
高周波変成器,
高周波トランス
主としてラジオ,テレビジョン受信機などの電子機器の
高周波回路に用いる変成器。
備考 RFコイル (radio frequency coil) ということ
もある。
high frequency transformer
4219
中間周波変成器,
中間周波トランス
スーパーヘテロダイン方式の受信機で中間周波増幅回路
に用いる変成器。
備考 LFTともいう。
intermediate frequency
transformer
4220
低周波コイル
可聴周波数帯以下の比較的低い周波数帯に用いるコイ
ル。
low frequency coil
4221
低周波変成器,
低周波トランス
可聴周波数帯以下の比較的低い周波数帯に用いる変成
器。
audio frequency transformer
low frequency transformer
4222
電源変圧器,
電源トランス
電源電圧を昇圧又は降圧の目的で用いる変圧器。
商用周波数用とスイッチングレギュレータ用とがある。
power [supply] transformer
4223
段間変成器
トランジスタ増幅器又は電子管増幅器で,インピーダン
スが異なる二つの線路を接続するときに昇圧,降圧又は
インピーダンス整合に用いる変成器。
inter-stage transformer
4224
入力変成器,
入力トランス
トランジスタ,電子管などを用いた増幅回路の入力側に
接続し,線路又は外部装置と増幅器とのインピーダンス
整合に用いる変成器。
input transformer
4225
出力変成器,
出力トランス
トランジスタ,電子管などを用いた増幅回路の出力側に
接続し,外部負荷回路のインピーダンスをトランジスタ
や電子管の負荷の最適負荷インピーダンスに変換する変
成器。
output transformer
4226
広帯域変成器,
広帯域トランス
使用できる周波数帯域が極めて広い値をもつ変成器。
wide band transformer
4227
多巻線変成器
一つの信号を多配分するための変成器。
multi-winding transformer
4228
絶縁形変成器,
分雛形変成器,
絶縁形トランス
一次巻線と二次巻線が静電的に分離してある変成器。
isolation transformer
4229
油入り変成器
鉄心及び巻線が絶縁油内に浸してある変成器。
oil filled transformer
4230
単巻変成器,
単巻トランス
一つの連続した巻線をもち,その一部が一次側と二次側
の回路に共通となる構造をもつ変成器。
auto transformer
4231
同調変成器,
同調トランス,
同調コイル
コンデンサと変成器で共振回路を形成し,単一の周波数
を低損失で選択する目的で用いる変成器。
tuning transformer,
tuning coil
4232
発振コイル
増幅した出力の一部を適当な位相で入力側に帰還させ
て,特定の周波数を発振させる回路(LC発振回路)に
使用するコイル。
備考 特にパルス発振に用いるものは,ブロッキン
グコイル (blocking coil) 又はロッキングコ
イル (locking coil) ということもある。
oscillation coil
4233
ピーキングコイル
テレビ映像増幅回路や広帯域増幅器などにおいて,高周
波領域における増幅利得を補償するために,負荷に並列
又は直列に挿入し,特定の周波数だけに共振させ,総合
的に周波数帯域を拡大するコイル。
peaking coil
33
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4234
ハイブリッドトラ
ンス
2線式線路と4線式線路との結合に使用する変成器。
備考 このトランスは,下図に示すように,このト
ランスの巻線比によって定められた負荷で
各端子を終端すると,Aからの入力電力は,
Dに伝達されず,BとCには巻線比に比例し
て電力が分配する。またBからの入力電力
は,Cには伝達されずAとDに電力が分配
される。またCからの入力電力は,Bには伝
達されずAとDに電力が分配されるので電
力分配器として用いられる。
hybrid transformer
4235
チョークコイル
比較的高い周波数の電流を阻止し,直流又は比較的低い
周波数の電流だけを通過させることを目的としたコイ
ル。
choke coil
4236
アンテナコイル
電気信号を電磁波として空間に放射する装置,又は放射
された電磁波を捕そくする装置に接続されるコイル。
antenna coil
4237
ラインフィルタコ
イル
電源回路を通し,機器の内部に侵入する雑音,又は機器
の内部から電源回路を通し,外部に漏れる雑音を阻止す
るために電源回路に挿入するコイル。
line filter coil
4238
フライバック変成
器,
フライバックトラ
ンス
テレビジョン受信機の水平偏向出力回路などで,水平偏
向コイルに対する出力トランスとして動作するととも
に,偏向電流の帰線期間での急速な電流変化を利用して
高圧パルスを発生し,受像管陽極の高圧電源としての役
目をもたせた変成器。
flyback transformer
4239
バラン
平衡形伝送回路を不平衡形伝送回路にインピーダンス変
換する変成器。
balun
4240
装荷コイル
回路に挿入してインダクタンスを増大し,信号の減衰量
を小さくするためのコイル。
loading coil
4241
ソレノイド
主に,プランジャ,アーマチュアなどに用いるソレノイ
ド巻きコイル。
solenoid
4242
遅延線
コイルとコンデンサで構成された回路の中を電気信号が
伝達するときの時間の遅れを利用した部品。
備考 ディレイラインということもある。
delay line
4243
パルス変成器,
パルストランス
パルス波形伝送又はパルス波発生のために使用する変成
器。
pulse transformer
4244
シールドケース
コイル・変成器から発生する磁力線が外部に放出しない
ように,また外部からの磁力線又は静電結合の影響を除
去するためにコイル・変成器の外部を覆う金属容器。
shielding case
4245
ボビン
電線を巻くための巻枠。
bobbin
4246
センタタップ
巻線の中心から出した口出線端子。
center tap
34
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4247
中性点
ふたつの巻線の極性の異なる端末を接続して構成した電
位的平衡点。多相変圧器において星形結線を行った巻線
の共通接続点。
備考 この点を基準として二つの巻線の問題とす
る定数の平衡度を規定する。
neutral point
(4.3) コイル・変成器・変圧器(性能)
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4301
インダクタンス
自己インダクタンス及び相互インダクタンスの総称。
inductance
4302
自己インダクタン
ス
コイルに流れる電流の変化によって,コイル自身に電流
の変化を妨げるように生じた起電圧の値 (E) を電流変
化率 (dI/dt) で除した値。次の式で表される。
L
self inductance
−
=
dt
dI
E
L
ここに,
L: 自己インダクタンス
E: 起電圧の値
dI/dt: 電流変化率
4303
相互インダクタン
ス
近接して置かれた2個のコイルがあるとき,一方のコイ
ルに電流Iが流れるとき,他方のコイルに生じる誘導起
電圧Eを電流変化率 (dI/dt) で除した値。次の式で表さ
れる。
M
mutual inductance
−
=
dt
dI
E
M
ここに,
M: 相互インダクタン
ス
E:
誘導起電圧の値
dI/dt:
電流変化率
4304
定格インダクタン
ス,
公称インダクタン
ス
規格値を代表するインダクタンス値。
rated inductance,
nominal inductance
4305
短絡インダクタン
ス
複数の巻線がある場合,一方の巻線を短絡して,他方の
巻線から測定したインダクタンス。
short-circuit inductance
4306
漏れインダクタン
ス
変成器及び変圧器の一次,二次巻線間でそれぞれ流れる
電流による全磁束が必ずしも巻線のすべてに鎖交すると
は限らず,一方又は一部の巻線に鎖交し,両巻線の電磁
結合に寄与しない漏れ磁束によるインダクタンス。
備考 巻線をそれぞれ1,2で示し,λ11,λ21をそれ
ぞれ1,2による磁束の鎖交数とし,1,2の
巻線をN1,N2,巻線を流れる電流をi1とす
ると,巻線2について,巻線1の漏れインダ
クタンスLは
1
21
2
1
11
i
N
N
L
∂
−
∂
=
λ
λ
となる。
leakage inductance
4307
定格周波数【コイ
ル・変圧器の】
規定された動作のために定められた周波数。
rated frequency
4308
定格電圧【コイル・
変圧器の】
定格周囲温度において,連続して印加できる電圧の最大
値。
rated voltage
35
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4309
定格電流【コイル・
変圧器の】
定格周囲温度において,連続して負荷できる電流の最大
値。
rated current
4310
励磁電流
電圧を印加したとき,巻線を鎖交する磁束を作るために
巻線を流れる電流。
備考 巻線内に蓄えられる電磁エネルギーに対応
し,電圧と直角位相を示す磁化電流とコイ
ル・変成器の損失に対応する電圧と同相の成
分の損失電流とのベクトル和。
exciting current
4311
直流[重畳]特性
直流電流を加えたときの特性値の変動。
d. c. characterisitics
4312
無負荷電圧
定格周波数において,変圧器の一次巻線に定格入力電圧
を加え,すへての二次巻線を開放したときに,各二次巻
線に誘起する電圧。
no-load voltage
4313
電圧変動率
変圧器の無負荷における二次巻線電圧をE0,二次側に定
格電流を流したときの二次巻線の電圧をEとする
とき
(
)100
0
×
−
E
E
E
(%)の値。
備考 規定の電流,力率及び周波数において二次巻
線の端子電圧を定格値に保つように,一次巻
線の電圧を調整し,これを変えずに変圧器を
無負荷にしたときの二次巻線の電圧の変動
率。
voltage regulation
4314
電圧偏差
一次巻線に定格周波数,定格電圧を印加し,定格出力電
流を流すとき,二次巻線の電圧から定格出力電圧を引い
た値と定格出力電圧との比をパーセントで表したもの。
voltage deviation
4315
無負荷電流
定格周波数において,変圧器の一次巻線に定格入力電圧
を加え,すべての二次巻線を開放したときに一次巻線に
流れる電流。
no-load current
4316
Q【コイルの】
コイルの品質を表す係数。次の式で表される。
r
L
Qω
=
Q
quality factor
ここに,
ω: 角周波数
L: インダクタンス値
r: 実効抵抗値
4317
同調容量
定格周波数において,コイルのインダクタンスと共振さ
せるための静電容量値。
Co
tuning capacitance
4318
分布容量
巻線相互間及びアース間に分布している静電容量値。
Cd
distributed capacitance
4319
自己共振周波数
コイルの分布容量とインダクタンスとで共振する周波
数。
self resonant frequency
4320
挿入損失
理想変成器を回路に挿入した場合の出力P′と変成器を
回路に挿入した場合の出力Pとの比。
P
P
ai
′
=
log
10
(dB)
insertion loss
4321
動作減衰量
電源の内部インピーダンスに等しいインピーダンスを電
源(信号源)に接続した場合,負荷に供給される電力P′
と整合変成器を回路に挿入した場合の出力Pとの比。
P
P
ab
′
=
log
10
(dB)
transmission loss
36
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4322
不整合減衰量
回路に整合する純抵抗Rsで成端した場合に得られる電
力とインピーダンスZの変成器で成端した場合の反射量
との比。
)
(
)
(
log
20
s
s
F
R
Z
R
Z
a
−
+
=
(dB)
備考 Zは定格インピーダンスで成端したとき入力
側から見たインピーダンス。Rsは公称インピ
ーダンス(通常は純抵抗)とする。
mismatching attenuation
4323
無負荷損失
定格周波数において,変圧器の一次巻線に定格入力電圧
を加え,すべての二次巻線を開放したときに消費される
電力。
no-load loss
4324
全損失
定格周波数において,変圧器の一次巻線に定格入力電圧
を加え,すべての二次巻線に定格出力電流を流したとき,
変圧器内で消費される電力。
total loss
4325
高調波ひずみ,
ひずみ率
磁心の非直線性に起因する伝送波形のひずみ率。
備考 通常高調波電圧の二乗の和の平方根を基本
波電圧で除した値で,パーセントで表したも
の。
harmonic distortion,
distortion factor
4326
長岡係数
図に示すソレノイド巻きコイルの半径 (rcm),長さ
(lcm),巻数 (N) とするときのインダクタンスL (H) の値
を求める次の式における係数KN。
(
)
9
2
2
10
2
−
×
=
N
K
l
r
L
N
π
(H)
備考 単層巻線のとき
2
02
.0
9.0
1
1
−
+
=
l
r
l
r
KN
Nagaoka coefficient
4327
結合係数
一次巻線と二次巻線間の結合の度合を示す係数。次の式
で表される。
k
coupling coefficient
ここに,
L1・L2:
自己インダクタンス
M:
相互インダクタンス
4328
終端抵抗[値],
成端抵抗[値]
動作特性を決めるための端子に接続する特定のインピー
ダンス値。
備考 一般に純抵抗を用いる。
terminating resistance [value]
4329
静電容量不平衡
同一巻線の二つの巻線端とアース間との静電容量の差。
static capacity unbalance
4330
センタタップ[不]
平衡
巻線の両端子とセンタタップとの間に現れる電圧の差と
巻線端子間の電圧との比をパーセントで表したもの。
center tap [un] balance
37
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
意味
参考
量記号
対応英語
4331
絶縁抵抗
コイル,変成器,変圧器の異なる巻線の端子間又は端子・
外装間における絶縁体の電気抵抗値。
insulation resistance
4332
耐電圧【コイル・変
成器の】
コイル,変成器,変圧器の異なる巻線の端子間又は端子・
外装間における絶縁体が絶縁破壊を起こさずに規定時間
保持できる規定された電圧。
voltage proof,
dielectric withstanding voltage
4333
温度係数
使用温度範囲において,基準温度から周囲温度を変化さ
せたとき,特性の変化率をその温度差で除した値をパー
セントで表したもの。
temperature coefficient
4334
温度特性
使用温度範囲において,周囲温度を変化させたときの特
性の変化をその温度差で除した値をパーセントで表した
もの。
備考 特性の変化率が非直線性を示すものに適用
する。
temperature characteristics
4335
スプリアス特性
規定された同調周波数以外の周波数において,入力信号
が出力側の負荷に現れる現象。
備考 通常,同調周波数における出力電圧とそれ以
外の周波数における出力電圧との比をdBで
表す。
spurious characteristics
4336
大入力特性
信号電流のレベルによって示される特性値の差。
large signal behavior
characteristics
4337
磁界特性
磁界に放置された磁心を用いたコイルの,磁界から脱し
た後に残る特性。
magnetic influence
38
C 5602-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
電子部会 電子回路部品用語専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
武 藤 時 雄
広島工業大学
青 島 哲 夫
東光株式会社
今 本 正
社団法人日本電子機械工業会
岩 田 武
東京特殊印刷工業株式会社
内 山 友 和
日本電信電話株式会社
太 田 健一郎
工業技術院標準部
梶 川 馨
日本コンデンサ工業株式会社
木 村 十 郎
株式会社タムラ製作所
黒 田 英太郎
株式会社村田製作所
嵯峨野 俊 夫
大同電気工業株式会社
島 弘 志
通商産業省機械情報産業局
下 岡 靖 次
東京コスモス電機株式会社
鈴 木 信 博
TDK株式会社
中 島 總一郎
株式会社芝浦電子製作所
中津川 功
帝国通信工業株式会社
長 沢 成 之
東洋大学
野 沢 敏 矩
日本電信電話株式会社
的 場 重 房
田淵電機株式会社
武 藤 俊 範
松尾電機株式会社
山 村 淳 一
松下電子部品株式会社
山 本 克 巳
ソニー株式会社
山 本 圭 一
進工業株式会社
(事務局)
潮 田 成 一
工業技術院標準部電気・情報規格課
福 井 正 弘
工業技術院標準部電気・情報規格課
後 藤 博 幸
工業技術院標準部電気・情報規格課