C 5533-1:2008
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 2
3 用語,定義,説明及び定格値 ······························································································ 3
3.1 用語及び定義 ················································································································ 3
3.2 ジッタの説明 ················································································································ 5
3.3 定格値 ························································································································· 5
4 測定条件 ························································································································· 5
4.1 環境条件 ······················································································································ 5
4.2 電源 ···························································································································· 5
4.3 測定信号周波数 ············································································································· 6
4.4 標準設定 ······················································································································ 7
4.5 プリコンディショニング ································································································· 7
4.6 測定装置 ······················································································································ 8
5 測定方法(デジタル入力−アナログ出力) ··········································································· 13
5.1 入出力特性 ·················································································································· 13
5.2 周波数特性 ·················································································································· 14
5.3 雑音特性 ····················································································································· 14
5.4 ひずみ特性 ·················································································································· 15
6 測定方法(アナログ入力−デジタル出力) ··········································································· 16
6.1 入出力特性 ·················································································································· 16
6.2 周波数特性 ·················································································································· 16
6.3 雑音特性 ····················································································································· 17
6.4 ひずみ特性 ·················································································································· 18
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 19
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人製品評価技術基盤機構 (NITE) 及
び独立行政法人産業技術総合研究所 (AIST) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS C 5533の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 5533-1 第1部:一般事項
JIS C 5533-2 第2部:一般消費者用機器
JIS C 5533-4 第4部:パーソナルコンピュータ
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日本工業規格 JIS
C 5533-1:2008
オーディオ機器及びオーディオビジュアル機器−
デジタルオーディオ部−音響特性の基本測定方法−
第1部:一般事項
Audio and audiovisual equipment-Digital audio parts-
Basic measurement methods of audio characteristics-
Part 1 : General
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたIEC 61606-1を基に,技術的内容及び対応国際規格の構
成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
1
適用範囲
この規格は,一般消費者用機器,専門家用機器及びパーソナルコンピュータを含むすべてのオーディオ
機器及びオーディオビジュアル機器のデジタルオーディオ部について,基本的な音響特性の測定方法につ
いて規定する。
この規格で規定する共通の測定条件及び測定方法は,標本化周波数の約1/2の帯域をもつオーディオ帯
域で作動する機器に適用する。これらの機器の測定対象では,オーディオ情報はデジタルデータの形式で
処理する。例えば,コンパクトディスク (CD) プレーヤ,デジタルオーディオテープレコーダ(DATレコ
ーダ),デジタル処理アンプ,デジタル音声放送受信機,デジタル音声を用いるテレビジョン受信機などが
ある。この規格で規定する測定方法は,データ損失の生じる圧縮デジタル信号を用いたシステムには適用
しない。
この規格は,入力はデジタル信号で出力がアナログ信号である装置,及び入力はアナログ信号で出力が
デジタル信号である装置の測定方法を規定する。この規格の将来の改正では,デジタル入力−デジタル出
力,及びアナログ入力−アナログ出力の測定も適用範囲に含める予定である。
この規格は,パワーアンプには適用しない。
注記1 デジタル信号処理されるアナログ入力及びアナログ出力をもつデジタルオーディオシステム
は,オーディオ信号の標本化並びに内蔵A/D変換器及びD/A変換器に起因する影響によって,
純粋なアナログオーディオシステムとは異なる性能をもつ可能性がある。IEC 60268-3で規
定する測定方法は,デジタルシステムに適用した場合,正しい測定結果が得られないことが
ある。
注記2 この測定方法は,主として32 kHz以上の標本化周波数に基づいて規定する。
注記3 デジタル入力−デジタル出力をもつ装置及びアナログ入力−アナログ出力をもつシステムの
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測定方法については,AES 17を参照する。
注記4 この規格は,IEC 61606,AES 17及びJEITA CP-2150に記述するデジタルオーディオ装置の
測定方法を整合し,産業界に提供することを意図する。
注記5 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61606-1 : 2003,Audio and audiovisual equipment−Digital audio parts−Basic measurement
methods of audio characteristics−Part 1 : General (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1509-1 電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第1部:仕様
注記 対応国際規格:IEC 61672-1,Electroacoustics−Sound level meters−Part 1 : Specifications (IDT)
JIS C 5533-2 オーディオ機器及びオーディオビジュアル機器−デジタルオーディオ部−音響特性の
基本測定方法−第2部:一般消費者用機器
注記 対応国際規格:IEC 61606-2,Audio and audiovisual equipment−Digital audio parts−Basic
measurement methods of audio characteristics−Part 2 : Consumer use (IDT)
JIS C 5533-4 オーディオ機器及びオーディオビジュアル機器−デジタルオーディオ部−音響特性の
基本測定方法−第4部:パーソナルコンピュータ
注記 対応国際規格:IEC 61606-4,Audio and audiovisual equipment−Digital audio parts−Basic
measurement methods of audio characteristics−Part 4 : Personal computer (MOD)
IEC 60038,IEC standard voltages
IEC 60107-5,Recommended methods of measurements on receivers for television broadcast transmissions−
Part 5 : Electrical measurements on multichannel sound television receivers using the NICAM two-channel
digital sound system
IEC 60268-2,Sound system equipment−Part 2 : Explanation of general terms and calculation methods
IEC 60268-3,Sound system equipment−Part 3 : Amplifiers
IEC 60958 (all parts),Digital audio interface
IEC 61079-4,Methods of measurement on receivers for satellite broadcast transmissions in the 12 GHz band
−Part 4 : Electrical measurements on sound/data decoder units for the digital sub-carrier NTSC system
IEC 61079-5,Methods of measurement on receivers for satellite broadcast transmissions in the 12 GHz band
−Part 5 : Electrical measurements on decoder units for MAC/packet systems
IEC 61606-3, Audio and audiovisual equipment−Digital audio parts−Basic measurement methods of audio
characteristics−Part 3 : Professional use
IEC 61883-6,Consumer audio/video equipment−Digital interface−Part 6 : Audio and music data
transmission protocol
IEC 61938,Audio, video and audiovisual systems−Interconnections and matching values−Preferred
matching values of analogue signals
ITU-R BS 468-4,Measurement of audio-frequency noise voltage level in sound broadcasting
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AES 17,AES standard method for digital audio engineering−Measurement of digital audio equipment
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用語,定義,説明及び定格値
3.1
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1.1
デジタルオーディオ信号 (digital audio signal)
標本化したデータで表現したデジタル信号列。
注記 このデータは,リニアPCM (Linear Pulse Code Modulation) データで構成する。
3.1.2
符号化形式 (coding format)
IEC 60958規格群,IEC 61883-6又はその他のオーディオビジュアルインタフェースで用いる,供試装置
が対応する規格に適合した制御情報をもつデータビット列。
注記 この規格では,符号化語は2の補数信号で表現する。
3.1.3
測定用デジタルインタフェース (digital interface for measurement)
IEC 60958規格群,IEC 61883-6又はその他のオーディオビジュアルインタフェース及び測定に用いる入
力又は出力デジタルインタフェースの形式。
注記 詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3で定義する。
3.1.4
信号語長 (word length)
データ要素のビット長。
注記 データ要素の最小有効ビットまで無視しないほうがよい。
3.1.5
標本化周波数 fs (sampling frequency)
1秒間当たりのサンプルデータ数。
3.1.6
基準フルスケール値 (full-scale level)
デジタルオーディオ信号で表現できる最大の振幅をもつ正弦波の実効値。波形のプラス側の最大レベル
がデジタル信号のプラス側の最大値であり,マイナス側の最大値がデジタル信号のマイナス側の最大値か
ら1だけ少ない。
例 信号語長が16ビットの場合,プラス側の最大値は7FFFHであり,マイナス側の最大値は8001H
である。
3.1.7
信号レベル (signal level)
この規格では信号レベルを20 log10(A/B) として扱う信号レベル。単位は単にdBで表すが,この場合は,
基準は常に基準フルスケール値であり一般の比率を表すdBとは異なる。
ここに,
A: 測定信号の実効値レベル
B: 基準フルスケール値のアナログ信号の場合,アナログフルスケール電圧
注記 この規格では,信号レベルの表示とは別に特性値をdBで表示するものがあるが,信号レベル
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の場合と常識的な比率を表す場合との両方があり,これらは共にdBで表示するので使用者に
誤解のないように運用する必要がある。
3.1.8
アナログフルスケール電圧 (analogue full-scale amplitude)
デジタル基準フルスケール値に相当する,供試装置へ入力するアナログ信号の実効値電圧。
3.1.9
デジタルゼロ (digital zero)
すべてのサンプルをゼロ値で構成する信号。
3.1.9A
量子化単位 (quantization unit)
デジタルオーディオ信号の振幅を表すデジタルデータの最小ビットの“1(LSBで表す)”で,量を指す。
3.1.10
基準測定レベル (normal measuring level)
信号レベルが−20 dBの信号値。
3.1.11
基準信号源インピーダンス (normal source impedance)
供試装置の入力端子に接続するインピーダンス。具体的な値は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C
5533-4で規定する。例えば,IEC 61938で規定する値をJIS C 5533-2に適用する。
3.1.12
基準負荷インピーダンス (normal load impedance)
供試装置の出力端子に接続するインピーダンス。具体的な値は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C
5533-4で規定する。例えば,IEC 61938で規定する値をJIS C 5533-2に適用する。
3.1.13
折返し周波数 (folding frequency)
デジタルシステムの標本化周波数の1/2の周波数。
注記 これより高い周波数の信号を入力端子に与えると,折返し信号が発生する。
3.1.14
帯域内周波数 (in-band frequency range)
4 Hzから帯域上限周波数までの周波数範囲。
3.1.15
帯域上限周波数 (upper band-edge frequency)
fs×0.46で与えられる周波数。
注記 標本化周波数が44.1 kHzより高いとき,製造業者は帯域上限周波数を20 kHzからfs×0.46まで
の範囲内に設定してもよい。この場合,製造業者は帯域上限周波数を明示することが望ましい。
3.1.16
帯域外周波数 (out-of-band frequencies)
折返し周波数から500 kHzまでの周波数範囲。
注記 この周波数範囲の信号を入力端子に与えると,折返し信号が発生する。
3.1.17
折返し信号成分 (aliasing components)
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折返し周波数より高い周波数の入力信号を標本化することによって,折返し周波数より低い周波数に生
成される周波数成分。
3.1.18
デジタル信号発生器 (digital signal generator)
デジタル信号発生器の総称。デジタル正弦波信号発振器,パッケージメディア(テスト信号を記録した
コンパクトディスクなど)又は高周波信号発生器を含む。パッケージメディアの再生器は,供試装置に内
蔵する場合がある。
3.1.19
供試装置 (equipment under test)
この規格で規定する方法で測定する装置。
注記 この規格では,略語“EUT”は使用しない。
3.1.20
ジッタ (jitter)
クロック信号の理論的な又は正規のタイミングからの変動。
3.2
ジッタの説明
アナログ信号及びデジタル信号の変換処理の性能は,同期入力信号,デジタルオーディオ入力又はそれ
ら両方の入力に存在するジッタに潜在的な影響を受ける。例えば,供試装置内のA/D変換器の標本化クロ
ックを同期入力信号又はデジタルオーディオ入力のどちらかから得る場合及びそれにロックする場合,入
力に存在するジッタが変換精度を低下させる。
考慮すべきジッタの影響には様々な種類がある。例えば,アナログ信号からデジタル信号への変換時に
起こる影響,デジタル信号からアナログ信号への変換時に起こる影響及びデジタル信号処理で発生する影
響である。この問題に関する詳細は,AES 17を参照する。
3.3
定格値
次の用語は,IEC 60268-2による。製造業者は,デジタルオーディオ装置にかかわる,次の定格条件を
指定することが望ましい。
− 定格電源電圧
− 定格電源周波数
− 定格プリエンファシス及びデエンファシス特性
− 定格デジタル入力の信号語長
− 定格の標本化周波数
4
測定条件
4.1
環境条件
環境条件は,次による。
− 気圧:96 kPa±10 kPa
− 周囲温度:15 ℃〜35 ℃
− 相対湿度:(60±15)%
4.2
電源
4.2.1
電源電圧
IEC 60038で規定する定格電源電圧を使用する。電源電圧の許容差は±1 %以内であることが望ましい。
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測定結果に影響を与えない場合,+10 %〜−10 %の誤差が許容できる。
注記 国内では,単相100 V,200 Vなどがある。
4.2.2
電源周波数
製造業者が指定する電源周波数を使用する。周波数の許容差は±2 %以内であることが望ましい。製造
業者が規定すれば,直流電源を用いてもよい。
4.2.3
電源の高周波及び高調波成分(リプル)
電源の高周波成分は,測定結果に影響を与えないレベルであることが望ましい。
4.3
測定信号周波数
測定信号の周波数は,表1に示す実際の周波数から選択する。数値の精度を要求しないとき又はそのこ
とを明示するときは,同表の公称周波数を用いてもよい。特に指定がない限り,基準の測定周波数は997 Hz
とする。この値は,厳密性を要求しない場合には1 kHzと記述してもよい。
周波数掃引信号を用いる場合,掃引周波数範囲は16 Hz〜1/2×fs Hzとする。
表1−測定に用いる信号の周波数
単位 Hz
公称
周波数
実際の周波数
fs=
32 000
fs=
44 100
fs=
48 000
fs=
88 200
fs=
96 000
fs=
176 400
fs=
192 000
4
4
4
4
4
4
4
4
8
7
7
7
7
7
7
7
16
17
17
17
17
17
17
17
32
31
31
31
31
31
31
31
63
61
61
61
61
61
61
61
125
127
127
127
127
127
127
127
250
251
251
251
251
251
251
251
500
499
499
499
499
499
499
499
1000
997
997
997
997
997
997
997
2000
1999
1999
1999
1999
1999
1999
1999
4000
3997
3997
3997
3997
3997
3997
3997
8000
7993
7993
7993
7993
7993
7993
7993
10000
10007
10007
10007
10007
10007
10007
10007
12000
12503
‒
‒
‒
‒
‒
‒
14000
13999
‒
‒
‒
‒
‒
‒
14500
14501
‒
‒
‒
‒
‒
‒
16000
‒
16001
16001
16001
16001
16001
16001
18000
‒
17997
17997
‒
‒
‒
‒
20000
‒
19997
19997
19997
19997
19997
19997
22000
‒
‒
22001
‒
‒
‒
‒
30000
‒
‒
‒
30011
30011
‒
‒
35000
‒
‒
‒
34981
34981
‒
‒
40000
‒
‒
‒
40009
40009
40009
40009
44000
‒
‒
‒
‒
43997
‒
‒
50000
‒
‒
‒
‒
‒
49999
49999
70000
‒
‒
‒
‒
‒
70001
70001
80000
‒
‒
‒
‒
‒
79999
79999
88000
‒
‒
‒
‒
‒
‒
88001
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4.4
標準設定
4.4.1
供試装置の標準入力条件
4.4.1.1
アナログ入力
基準信号源インピーダンスの出力をもつ測定装置を供試装置に接続する。
4.4.1.2
デジタル入力
供試装置が対応できるデジタルインタフェースに,その供試装置を接続する。
4.4.1.3
無線周波数入力
IEC 60107-5,IEC 61079-4及びIEC 61079-5を参照。
4.4.2
供試装置の標準出力条件
4.4.2.1
アナログ出力
他の機器と接続するための供試装置のアナログ出力端子は,基準負荷インピーダンスで終端する。
4.4.2.2
デジタル出力
デジタルオーディオ出力端子は,その機器の出力インタフェース形式に適した方法で終端する。
4.4.3
各種の制御手段並びに入力端子及び出力端子の標準設定
各種の制御手段並びに入力端子及び出力端子の標準設定は,次による。
a) 供試装置のすべてのチャネルを,標準入力条件及び標準出力条件に設定する。
b) 音量調整器の設定は,次による。
アナログ信号入力の場合:997 Hzの基準測定レベルの正弦波信号を供試装置のアナログ入力端子に
与えたとき,デジタル出力端子から基準測定レベルの信号が得られるように音量調整器を調整する。
このような設定ができない(出力がこのレベルに達しない)場合,音量調整器は最大位置に設定する。
デジタル信号入力の場合:997 Hzの基準測定レベルの正弦波信号を供試装置のデジタル入力端子に
与えたとき,基準負荷インピーダンスで終端したアナログ出力端子から基準測定レベルのアナログ出
力信号が得られるように音量調整器を調整する。
c) 供試装置にバランスコントロールを装備する場合,中心位置に設定する。
d) プリエンファシス及びデエンファシスの設定:プリエンファシス及び/又はデエンファシスが選択可
能な場合,それらは切っておく。プリエンファシス又はデエンファシス時の測定結果が必要な場合は,
その結果を別に表示し,エンファシス特性を併記する。
e) その他の制御手段の設定:トーンコントロール,チャネル間のバランスコントロール及びその他の制
御手段は,供試装置の周波数特性が平たんになるように,製造業者の指定する位置に設定する。ラウ
ドネスコントロール及びフィルタ類は,可能な場合切っておく。切ることが不可能な場合は,それを
結果とともに表示する。測定結果に影響を与える可能性があるその他すべての制御手段は,測定結果
とともに表示しなければならない。
4.5
プリコンディショニング
供試装置は,測定に先立って,製造業者の指定するプリコンディショニング時間のあいだ,通常の動作
条件で動作させる。これは,供試装置の動作を安定させるためのものである。製造業者がプリコンディシ
ョニング時間を指定していない場合は,1時間動作させる。動作上プリコンディショニングができない場
合は,製造業者はそのことを記述する。
測定の途中で供試装置への電源を切らなければならない場合は,再び安定した状態になるまで十分なプ
リコンディショニング時間をとる。
注記 プリコンディショニングは,通常ウォーミングアップとも呼ばれるが,この規格では測定を開
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始する前に増幅器に通電することを指す。
4.6
測定装置
4.6.1
信号発生器
4.6.1.1
単一正弦波発生器
4.6.1.1.1
アナログ信号発生器
アナログ信号発生器の標準設定は,次による。
− 出力インピーダンス:基準信号源インピーダンス
− 周波数誤差:±2 %未満
− 出力信号電圧:アナログフルスケール電圧の3 dB以上まで
− ひずみ率:信号発生器のひずみ率は,供試装置の性能に影響しない程度に小さくする。
4.6.1.1.2
デジタル正弦波発生器
デジタル正弦波発生器は,適切な符号化形式でデジタル信号を発生できなければならない。信号は,理
想的な正弦波形から計算しなければならない。
デジタル正弦波発生器の標準設定は,次による。
− 出力インタフェース形式:測定用デジタルインタフェース
− 周波数誤差:1/fs未満
− 出力信号レベル:ゼロから基準フルスケール値まで
− 出力レベル誤差:LSBの1/2未満
4.6.1.2
混変調ひずみ率測定用信号発生器
混変調ひずみ率測定用の信号発生器は,60 Hz(又は70 Hz)及び7 kHzの二つの正弦波を4 : 1の振幅比
で混合した,基準フルスケール値の最大値に等しい信号を発生できなければならない。CCIF混変調ひずみ
率測定信号 (11 kHz+12 kHz) も発生できることが望ましい。
4.6.1.3
群遅延時間測定信号発生器
4.6.1.3.1
アナログ信号
群遅延測定用のアナログ信号発生器は,図1の波形をもつ測定信号を発生できなければならない。
注記 T1=1/fs
図1−アナログ測定信号波形
− 出力インピーダンス:基準信号源インピーダンス
信号の繰返し周期は,通常,4 Hzとする。アナログ群遅延時間測定器へ入力する信号レベルが測定範囲
外の場合,表2のインパルスの周期を用いてもよい。
1.41 V
0.707 V
0 V
T1
9
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.6.1.3.2
デジタル信号
デジタルインタフェース,パッケージメディア及びデジタル放送の群遅延特性測定用のデジタル信号発
生器は,図2の波形をもつ測定信号を発生できなければならない。
注記 T1=1/fs
図2−デジタル測定信号波形
信号の繰返し周期は,通常,4 Hzとする。デジタル群遅延時間測定器へ入力する信号レベルが測定範囲
外の場合,表2のインパルスの周期を用いてもよい。
デジタル群遅延信号発生器は,デジタル信号波形と同期して同じ波形のアナログ信号を出力できること
が望ましい。
4.6.1.4
測定用パッケージメディア
デジタル正弦波発生器,混変調ひずみ率測定信号発生器又は群遅延測定信号発生器と同じ信号を発生す
るデジタルパッケージメディアを用いてもよい。
4.6.1.5
無線周波数信号発生器
デジタル正弦波発生器,混変調ひずみ率測定信号発生器又は群遅延測定信号発生器と同じ変調出力デー
タが得られる場合,無線周波数信号発生器を用いてもよい。
4.6.2
フィルタ
4.6.2.1
低域通過フィルタ(アナログ)
低域通過フィルタ(アナログ)の標準設定は,次による。
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
− 出力インピーダンス:基準信号源インピーダンス
− 伝送ひずみ:測定結果への影響が観察されてはならない。
− 帯域通過特性
− 通過帯域:4 Hzから帯域上限周波数まで
− リプル:±0.3 dB未満
− 遮断帯域:0.55 fs以上
− 減衰量:60 dBより大きくなければならない。帯域上限周波数がfs×0.46でない場合,遮断帯域
は帯域上限周波数+fs×1/10以上とする。
4.6.2.2
帯域外通過フィルタ(アナログ)
帯域外通過フィルタ(アナログ)の標準設定は,次による。
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
4000H
2000H
0000H
T1
10
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 出力インピーダンス:基準信号源インピーダンス
− 伝送ひずみ:測定結果への影響が観察されてはならない。
− 通過帯域
− 周波数帯域:(帯域上限周波数+1/10×fs)〜500 kHz
− リプル:±0.3 dB未満
− 低域側遮断帯域
− 周波数範囲:帯域上限周波数より低い周波数範囲
− 減衰量:60 dBより大きくなければならない。
− 500 kHzを超える高域側遮断帯域
− 減衰量:18 dB/オクターブより大きくなければならない。
4.6.2.3
狭帯域通過フィルタ(アナログ及びデジタル)
4.6.2.3.1
入出力特性
アナログ信号用の特性は,次による。
a) 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
b) 出力インピーダンス:基準信号源インピーダンス
デジタル信号用の特性は,次による。
− 測定用デジタルインタフェースに適合する特性とする。
4.6.2.3.2
伝送ひずみ
測定結果への影響が観察されてはならない。
4.6.2.3.3
伝送特性
伝搬特性の標準設定は,次による。
− 通過帯域:測定周波数におけるリプルは,±0.3 dB未満とする。
− 遮断帯域:減衰量は,測定周波数の1/2倍及び2倍の周波数で−60 dBより大きくなければならない。
4.6.2.3.4
フィルタの中心周波数
狭帯域通過フィルタの中心周波数は,表1の値とする。
4.6.2.4
重み付け(聴感補正)フィルタ
重み付け(聴感補正)フィルタは,ITU-R BS 468-4又はJIS C 1509-1に規定する周波数重み付け(聴感
補正)特性Aとするが,後者の場合,許容差は帯域内周波数でJIS C 1509-1の設計目標値の±1.0 dBの範
囲内とする。
4.6.3
レベルメータ
4.6.3.1
デジタルレベルメータ
デジタルレベルメータは,信号レベルをdBで表示する。
デジタルレベルメータの標準設定は,次による。
− 周波数範囲:帯域内周波数
− 測定範囲:LSBからデジタルオーディオ信号で表現できる最大の値まで。
− 許容誤差:表示値の1 %未満又はLSBの1/2の値のどちらか大きい値未満とする。
注記 測定結果に影響がなければ,帯域内周波数だけでなく全帯域のレベルを表示してもよい。
4.6.3.1.1
入力インタフェース形式
測定用デジタルインタフェースに適合する形式とする。
11
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.6.3.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3及びJIS C 5533-4による。
4.6.3.2
帯域内アナログレベルメータ(電圧計)
帯域内アナログ電圧計は,実効値を示す。標準設定は,次による。
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
− 測定範囲:+30 dB〜−115 dB。この場合0 dBは実効値電圧1 Vを基準とする。
− 許容差:4 Hzから帯域上限周波数までの測定範囲において,フルスケール値の2 %未満とする。
帯域内アナログ電圧計が十分な測定範囲をもたない場合,帯域内アナログ電圧計の前にアンプを加えて
もよい。
4.6.3.3
帯域外アナログレベルメータ(電圧計)
帯域外アナログ電圧計は,実効値を示す。標準設定は,次による。
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
− 許容差:帯域上限周波数から500 kHzまでの測定範囲において,フルスケール値の2 %未満とする。
− 測定範囲:0 dB〜−100 dB。この場合0 dBは実効値電圧1 Vを基準とする。
帯域外アナログ電圧計が十分な測定範囲をもたない場合でも,測定結果に影響がなければ,その帯域外
電圧計を用いてよい。
4.6.4
ひずみ率計
4.6.4.1
アナログひずみ率計
ひずみ率計は,基本周波数成分を除いた高調波及び雑音を測定できなければならない。測定データは,
高調波及び雑音の実効値を信号全体の実効値で除した値を百分率 (%) で表示する。
許容誤差は,測定範囲のフルスケール値の±3 %未満とする。
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
4.6.4.2
デジタルひずみ率計
全信号出力に対する雑音及び高調波成分の比を計算する。結果は,百分率 (%)で表示する。全信号出力
は,4 Hzから帯域上限周波数までの信号の実効値として計算する。雑音及び高調波成分は,4 Hzから帯域
上限周波数までの信号から入力信号を除いた実効値として計算する。
4.6.4.2.1
入力インタフェース形式
測定用デジタルインタフェースに適合する形式とする。
4.6.4.2.2
測定範囲
フルスケールの1/4の値〜LSBとする。
4.6.4.2.3
精度
許容差は,読取値の3 %又はLSBのどちらか大きい方の値未満とする。
4.6.4.2.4
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3,及びJIS C 5533-4による。
4.6.5
周波数計
許容差は,1 %未満とする。
4.6.6
群遅延時間測定器
4.6.6.1
デジタル群遅延時間測定
フーリエ変換によって,997 Hz信号の位相
R
φ°を算出し,遅延時間
R
τを求める。これは,次の式で計
算する。
12
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
×
−
=
997
1
360
R
R
φ
τ
フーリエ変換によって,対象とする周波数の位相
C
φ°を算出し,遅延時間
C
τを求める。これは,次の
式で計算する。
×
−
=
f
1
360
C
C
φ
τ
群遅延時間τは,次の式で計算する。
R
Cτ
τ
τ
−
=
通常,1秒間当たりのサンプル数より多いデータを用いる。群遅延時間測定器への入力信号レベルが十
分に大きくない場合は,表2に示すデータ数を用いてもよい。
表2−インパルスの条件及び測定範囲
インパルスの条件
インパルスの幅
4T (T=1/fs)
1T (T=1/fs)
処理データ数
8 192
1 024
標本化
周波数
44.1 kHz又は
48 kHz
測定周波数範囲
5.4 Hz〜100 Hz
100 Hzから帯域上限周波数まで
インパルスの周期
4 Hz
40 Hz
88.2 kHz又は
96 kHz
測定周波数範囲
11 Hz〜200 Hz
200 Hzから帯域上限周波数まで
インパルスの周期
8 Hz
80 Hz
176.4 kHz又は
192 kHz
測定周波数範囲
21 Hz〜400 Hz
400 Hzから帯域上限周波数まで
インパルスの周期
16 Hz
160 Hz
4.6.6.1.1
入力インタフェース形式
測定用デジタルインタフェースに適合する形式とする。
4.6.6.1.2
精度
処理精度は,フルスケールの1/8より大きいインパルス応答信号に対して0.1 µs未満とする。
4.6.6.2
アナログ群遅延時間測定
入力信号は,16ビットより高い精度でデジタルデータに変換することが望ましい。
フーリエ変換によって,997 Hz信号の位相
R
φ°を算出し,遅延時間
R
τを求める。これは,次の式で計
算する。
×
−
=
997
1
360
R
R
φ
τ
フーリエ変換によって,対象とする周波数の位相
C
φ°を算出し,遅延時間
C
τを求める。これは,次の
式で計算する。
×
−
=
f
1
360
C
C
φ
τ
群遅延時間τは,次の式で計算する。
R
C
τ
τ
τ
−
=
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
4.6.6.2.1
精度
処理精度は,フルスケールレベルの1/8より大きいインパルス応答信号に対して0.1 µs未満とする。
13
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.6.7
アナログスペクトラムアナライザ
スペクトラムアナライザは,50 kHzまでのアナログ信号の周波数スペクトルを十分な周波数精度とダイ
ナミックレンジで表示する能力とをもつものでなければならない。スペクトラムアナライザは,群遅延時
間測定信号の応答波形を測定して,供試装置からの出力信号の群遅延時間を測定する能力をもつものでな
ければならない。
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンスの10倍
4.6.8
デジタル波形モニタ
デジタル波形モニタは,実際に伝送するデジタルオーディオデータを表示するものでなければならない。
表示は,リアルタイムでもメモリに蓄積したデータを示すものでもよい。
時間軸はX軸で表示し,オーディオデータの振幅はY軸で表示する。時間軸の最小分解能は1/fsとし,
最大フルスケールの信号レベル(表示する最大の信号レベル)はフルスケールレベルとする。デジタル波
形モニタは,アナログ信号も表示できることが望ましい。
− 入力インタフェース形式:測定用デジタルインタフェースに適合しなければならない。
4.6.9
測定用増幅器
測定用増幅器の特性は,次による。
− 入力インピーダンス:基準負荷インピーダンス
− 周波数範囲:4 Hzから帯域上限周波数まで
− 利得:60 dB±0.1 dB
− 最大出力:実効値電圧2 Vより大きくなければならない。
− ひずみ及び雑音:供試装置のひずみ及び雑音よりも十分に小さくなければならない。
注記 測定用増幅器は,ひずみ率計が十分なダイナミックレンジ(感度が低い)をもたない場合に
使用することができる。また,測定用増幅器は,帯域内電圧計が十分な測定範囲(感度が低
い)をもたない場合に使用することができる。
4.6.10 標準デジタル再生装置
標準デジタル再生装置は,パッケージメディアに供試装置で記録したデジタルオーディオ信号を再生し,
その信号を変化させることなくデジタルインタフェースへ転送できなければならない。標準設定は,次に
よる。
a) 入力データ:供試装置によって記録媒体に記録した測定信号。
b) 出力信号:記録データは,記録形式に従って再生し,測定用デジタルインタフェースを通して他の装
置に転送する。
c) 標準記録媒体に誤りが発生しないように,記録形式に従った誤り訂正を行わなければならない。
5
測定方法(デジタル入力−アナログ出力)
この箇条では,測定方法の基本概念を示す。具体的な測定手順は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C
5533-4による。
5.1に示す測定方法は,入力信号がデジタルオーディオ信号であり,かつ,出力信号がアナログ信号の装
置に適用する。供試装置が二つ以上のチャネルをもつ場合,すべてのチャネルを同じ方法で測定すること
が望ましい。
5.1
入出力特性
5.1.1
最大出力電圧
14
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.1.1.1
測定の基本概念
この測定では,動作装置からの出力が飽和することなく負荷にかけられる最大出力電圧を測定する。入
力信号は,997 Hzのフルスケールレベルをもつ。供試装置が音量調整器をもつ場合,最大出力電圧にはひ
ずみ率1 %のひずみが含まれていてもよい。
供試装置が音量調整器をもたない場合,最大出力電圧はフルスケールレベルの入力信号を与えたときの
出力レベルとする。
5.1.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
5.1.2
チャネル間利得差及びトラッキングエラー
5.1.2.1
測定の基本概念
この測定では,供試装置が二つのチャネルをもつ場合,左チャネルと右チャネルとの利得差を測定する。
供試装置がマルチチャネルをもつ場合,この測定では利得が最大のチャネルと最小のチャネルとの利得差
を測定する。この測定は,基準測定レベルの997 Hzの入力信号を用いる。利得差は,音量調整器を最大位
置に設定したときの値である。トラッキングエラーは,連動した音量調整器を装置に内蔵し,それを調節
したときの利得差である。
5.1.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
5.2
周波数特性
5.2.1
出力周波数特性
5.2.1.1
測定の基本概念
この測定では,供試装置のオーディオチャネルの出力周波数特性を測定する。入力信号のレベルは,
−20 dBの基準測定レベルとする。基準周波数は,997 Hzとする。測定周波数における出力周波数特性は,
基準周波数での利得と測定周波数での利得との差である。
5.2.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
5.2.2
群遅延時間(位相直線性)
5.2.2.1
測定の基本概念
この測定では,997 Hzの信号と測定周波数の信号との間の遅延時間差を測定する。初めに,供試装置に
インパルス信号を与えて,997 Hzの信号と測定周波数の信号との位相遅延量を計算する。この信号は,群
遅延測定用の信号発生器から与える。次に,これらの位相遅延量から遅延時間を計算する。これによって,
測定周波数の群遅延時間は,997 Hz信号の遅延時間との差として計算できる。測定周波数での位相直線性
を求める場合は,その測定周波数での群遅延時間から位相を逆算する。
5.2.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
5.3
雑音特性
5.3.1
信号対雑音比(無信号時の雑音)
5.3.1.1
測定の基本概念
この測定では,入力信号がない状態での雑音に対する997 Hzのフルスケールレベル信号の比を測定する。
デジタルゼロの信号が入力されたとき,D/A変換器を内蔵する装置のアナログ信号処理回路は動作してい
ない。この状態での信号対雑音比は,入力信号がないときにも動作する信号処理回路をもつ通常のアナロ
15
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
グ装置の特性とは異なる。
5.3.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
5.3.2
ダイナミックレンジ
5.3.2.1
測定の基本概念
この測定では,供試装置の信号処理回路が動作状態にあるときの雑音レベルを測定する。入力信号レベ
ルは,非直線ひずみの発生を防ぐために−60 dBとする。ひずみ及び雑音はひずみ率計で測定し,これを
dB値に換算してA dBとする。この測定は主に雑音信号を測定するので,ひずみ率計の前にA特性重み付
け(聴感補正)フィルタを用いる。ダイナミックレンジは,(A+60) dBで計算する。
5.3.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
5.3.3
帯域外雑音
5.3.3.1
測定の基本概念
この測定は雑音の比を測定するものである。それは997 Hzのフルスケール信号のレベルと帯域外周波数
の雑音レベルとで計算する。
5.3.3.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
5.3.4
チャネルセパレーション
5.3.4.1
測定の基本概念
この測定では,他のチャネルから発生する妨害信号の出力レベルを測定する。供試装置がマルチチャネ
ルの装置のとき,この測定をすべての入力端子について行い,最悪値をチャネルセパレーションとする。
この測定では,妨害信号はD/A変換器で変換されているため,測定値は妨害信号の漏えいを示す。測定信
号は妨害信号の基本波成分であり,高調波を含まない。
5.3.4.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
5.4
ひずみ特性
5.4.1
入出力直線性
5.4.1.1
測定の基本概念
この測定は,入力信号レベルと出力信号レベルとの間の直線関係の変化を測定する。測定する出力信号
は入力信号の基本波成分であり,雑音又はひずみは含まない。測定周波数は,997 Hzである。
5.4.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
5.4.2
総合ひずみ率 (THD+N)
5.4.2.1
測定の基本概念
この測定では,百分率 (%) で表される雑音及びひずみを測定する。この雑音及びひずみは,特定の周波
数における雑音及びひずみのレベルに対する全出力レベルの比から得られる。雑音及びひずみの周波数範
囲は,帯域内周波数の範囲である。
5.4.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
16
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.4.3
混変調ひずみ率
5.4.3.1
測定の基本概念
この測定では,IEC 60268-3に規定する大振幅の信号に対する非直線性効果によって発生する混変調ひ
ずみを測定する。
5.4.3.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
6
測定方法(アナログ入力−デジタル出力)
この箇条では,測定方法の概念を示す。具体的な測定手順は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4
による。
6.1
入出力特性
6.1.1
アナログレベル及びデジタルレベルの校正
6.1.1.1
測定の基本概念
この測定は,アナログ入力信号とデジタル出力信号との関係を規定するものである。この測定は,アン
プの線形範囲で入力アナログ信号の値と出力デジタル信号の値との関係を求め,アナログフルスケール値
を規定する。このレベルは,−20dBのデジタル出力信号について求める。
6.1.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.1.2
最大許容入力電圧
6.1.2.1
測定の基本概念
この測定では,供試装置の音量調整器をどの位置に設定しても許容可能なアナログ入力信号電圧を測定
する。この電圧値は,被入力装置の飽和レベルを示す。この飽和レベルは,1 %のひずみを含む振幅であ
る。
6.1.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.1.3
利得差及びトラッキングエラー
6.1.3.1
測定の基本概念
この測定では,供試装置が二つのチャネルをもつ場合,左チャネルと右チャネルとの利得差を測定する。
供試装置が三つ以上のチャネルをもつ場合,この測定では利得が最大のチャネルと最小のチャネルとの利
得差を測定する。この測定は,出力信号レベルを−20 dBの基準測定レベルで一定に保つように行う(こ
の条件は,デジタル入力−アナログ入力測定の場合と異なる。)。利得差は,音量調整器を最大位置に設定
したときの値である。トラッキングエラーは,装置に内蔵した音量調整器を調節したときの利得差である。
6.1.3.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.2
周波数特性
6.2.1
出力周波数特性
6.2.1.1
測定の基本概念
この測定では,供試装置のオーディオチャネルの出力周波数特性を測定する。入力信号のレベルは,
−20 dBの基準測定レベルである。基準周波数は,997 Hzである。測定周波数における出力周波数特性は,
基準周波数での利得と測定周波数での利得との差である。
17
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.2.2
群遅延時間
6.2.2.1
測定の基本概念
この測定では,997 Hzの信号と測定周波数の信号との間の遅延時間差を測定する。
初めに,供試装置にインパルス信号を与えて,997 Hzの信号と測定周波数の信号との位相遅延値を計算
する。この信号は,群遅延測定用の信号発生器から与えられる。次に,これらの位相遅延値から遅延時間
を計算する。これによって,測定周波数の群遅延時間が,997 Hz信号の遅延時間との差として計算される。
測定周波数での位相直線性を計算する場合は,その測定周波数での群遅延時間から位相を逆算する。
6.2.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
6.3
雑音特性
6.3.1
信号対雑音比(無信号時の雑音)
6.3.1.1
測定の基本概念
この測定では,アナログ入力の端子が基準信号源インピーダンスで終端されたときの不要な雑音成分を
測定する。比率は,フルスケール出力レベルを基準とする。人の聴感に対応させて雑音信号を補正するた
めに,雑音成分の測定ではA特性重み付け(聴感補正)フィルタを使用する。この点が,雑音信号がしば
しばA/D変換器から発生するデジタル入力−アナログ出力システムの測定と異なる。6.3.1の信号対雑音
比の測定は,アナログ機器の測定とほぼ同じである。
6.3.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.3.2
ダイナミックレンジ
6.3.2.1
測定の基本概念
この測定では,供試装置の信号処理回路が動作状態にあるときの雑音レベルを測定する。入力信号レベ
ルは,非直線ひずみの発生を防ぐために−60 dBとする。ひずみ及び雑音をひずみ率計で測定し,これを
dB値に換算してA dBとする。この測定は主に雑音信号を測定するので,ひずみ率計の前にA特性重み付
け(聴感補正)フィルタが用いられる。ダイナミックレンジは,(A+60) dBで計算する。
6.3.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.3.3
折返し雑音
6.3.3.1
測定の基本概念
この測定では,fs/2より高い周波数の信号をアナログ入力端子に与えたとき,帯域内周波数の範囲に発
生する不要な雑音信号を測定する。入力信号電圧は,アナログフルスケール電圧である。
6.3.3.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3に規定する。
6.3.4
クロストーク
6.3.4.1
測定の基本概念
この測定では,非関連チャネルから漏えいした不要な信号のレベルを測定する。測定信号は,フルスケ
ールレベルの妨害信号が非選択入力端子に与えられたとき,選択チャネルの出力端子に現れた妨害信号の
基本波成分である。この点は,非選択入力チャネルからA/D変換器への漏えいがある,デジタル入力−ア
18
C 5533-1:2008
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ナログ出力装置の場合と異なる。この測定では,アナログ回路の特性を測定する。
6.3.4.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
6.3.5
チャネルセパレーション
6.3.5.1
測定の基本概念
この測定では,関連する他のチャネルからの妨害信号の出力レベルを測定する。供試装置がマルチチャ
ネルの装置のとき,この測定はすべての入力端子について行われ,その最悪値をチャネルセパレーション
とする。この測定では,妨害信号はD/A変換器で変換されたアナログ信号であり,測定値は妨害信号の漏
えいを示す。測定信号は,妨害信号の基本波成分であり,高調波は含まない。
6.3.5.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.4
ひずみ特性
6.4.1
入出力直線性
6.4.1.1
測定の基本概念
この測定では,入力信号と出力信号との直線関係の変化を測定する。測定する出力信号は入力信号の基
本波成分であり,雑音又はひずみは含まない。測定周波数は,997 Hzである。
6.4.1.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
6.4.2
総合ひずみ率(THD+N)
6.4.2.1
測定の基本概念
この測定は,百分率 (%) で表すひずみ及び雑音を測定する。このひずみ及び雑音は,特定の周波数にお
ける雑音及びひずみのレベルに対する全出力レベルの比である。雑音及びひずみの周波数範囲は,帯域内
周波数範囲である。
6.4.2.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2,IEC 61606-3又はJIS C 5533-4による。
6.4.3
混変調ひずみ率
6.4.3.1
測定の基本概念
この測定は,IEC 60268-3に規定する大振幅の信号に対する非直線性効果によって発生する混変調ひず
みを測定する。
6.4.3.2
詳細
詳細は,JIS C 5533-2又はIEC 61606-3による。
19
C 5533-1:2008
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS C 5533-1 : 2008 オーディオ機器及びオーディオビジュアル機器−デジタルオ
ーディオ部−音響特性の基本測定方法−第1部:一般事項
IEC 61606-1 : 2003,Audio and audiovisual equipment−Digital audio parts−Basic
measurement methods of audio characteristics−Part 1 : General
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語,定
義,説明及
び定格値
3.1.7 信号レベル
他
3.1.7
JISにほぼ同じ
変更
単位はdBであるが,IECでは
信号レベルをdBにFSを下付
きで付けたもので表し,比率に
対応するデータはdBで表示す
る。JISではdBに統一した。
JISにはdBに下付きの添字を書く
ことができなかったため。
分かりやすいようにdBにFSを下
付きにしているものに下線を引い
ている。
4 測定条
件
4.2 電源
4.2
JISにほぼ同じ
追加
IECにない電源を追加した。
国内の電源事情による。
4.6.2.4 重み付け(聴
感補正)フィルタ
4.6.2.4
JISにほぼ同じ
追加
重み付けフィルタにA特性の
フィルタを規定しているJIS C
1509-1を追加。
IECにはA特性を規定していなか
ったので追加した。
IECの改訂版において追加予定。
4.6.3.2 帯域内アナ
ログレベルメータ
4.6.3.2
JISにほぼ同じ
変更
IECではVにr.m.sと下付きに
しているが,JISでは明確に実
効値電圧1 Vとしている。
JISでは単位に下付きの添字を書
くことができなかったため。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 61606-1 : 2003,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加………………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更………………国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ……………国際規格を修正している。
2
C
5
5
3
3
-1
:
2
0
0
8
2
C
5
5
3
3
-1
:
2
0
0
8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。