C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
1.1 適用範囲 ······················································································································ 1
1.2 SPDの構成 ··················································································································· 1
1.3 この規格の使用方法 ······································································································· 2
2 引用規格························································································································· 6
3 用語及び定義 ··················································································································· 7
4 使用及び試験条件 ············································································································ 10
4.1 使用条件 ····················································································································· 10
4.2 試験温度及び湿度 ········································································································· 11
4.3 SPD試験 ····················································································································· 11
4.4 波形の許容値 ··············································································································· 12
5 要求事項························································································································ 12
5.1 一般的な要求事項 ········································································································· 12
5.2 電気的要求事項 ············································································································ 13
5.3 機械的要求事項 ············································································································ 15
5.4 環境条件 ····················································································································· 16
6 形式試験························································································································ 17
6.1 一般的な試験 ··············································································································· 17
6.2 電気的試験 ·················································································································· 17
6.3 機械的試験 ·················································································································· 28
6.4 環境試験 ····················································································································· 30
6.5 受入試験 ····················································································································· 31
附属書A(参考)電流制限素子だけをもつデバイス ··································································· 45
附属書B ···························································································································· 46
附属書C ···························································································································· 46
附属書D(参考)測定精度 ···································································································· 47
附属書E(参考)レットスルー電流(Ip)の決定 ······································································· 48
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電子
情報技術産業協会(JEITA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業
規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業
規格である。
これによって,JIS C 5381-21:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 5381の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 5381-11 第11部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの要求性能及び試験方
法
JIS C 5381-12 第12部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの選定及び適用基準
JIS C 5381-21 第21部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス(SPD)の要求性能及び試
験方法
JIS C 5381-22 通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
JIS C 5381-311 低圧サージ防護デバイス用ガス入り放電管(GDT)
JIS C 5381-321 低圧サージ防護デバイス用アバランシブレークダウンダイオード(ABD)の試験方法
JIS C 5381-331 低圧サージ防護デバイス用金属酸化物バリスタ(MOV)の試験方法
JIS C 5381-341 低圧サージ防護デバイス用サージ防護サイリスタ(TSS)の試験方法
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日本工業規格 JIS
C 5381-21:2014
(IEC 61643-21:2009)
低圧サージ防護デバイス−
第21部:通信及び信号回線に接続するサージ防護
デバイス(SPD)の要求性能及び試験方法
Low voltage surge protective devices-
Part 21: Surge protective devices connected to telecommunications and
signalling networks-Performance requirements and testing methods
序文
この規格は,2009年に第1.1版として発行されたIEC 61643-21を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。ただし,追補(amendment)及び正誤票(technical corrigendum)
については,編集し,一体とした。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
1.1
適用範囲
この規格は,雷又は一時的過電圧の直接及び間接的影響に対し通信及び信号回線のサージ防護のための
デバイス(以下,SPDという。)の,要求性能及び試験方法について規定する。
これらのSPDの目的は,公称システム電圧が交流1 000 V(実効値)以下又は直流1 500 V以下の通信及
び信号回線に接続する電子装置を保護することである。
注記1 日本の電圧は,電気設備に関する技術基準を規定する省令において,低圧は交流600 V以下,
直流750 V以下と規定している。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61643-21:2009,Low voltage surge protective devices−Part 21: Surge protective devices
connected to telecommunications and signalling networks−Performance requirements and
testing methods(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
1.2
SPDの構成
この規格に規定するSPDの構成を図1に示す。各SPDは,1個以上の電圧制限素子で構成し,電流制限
素子を追加する場合もある。
注記 電流制限素子だけで構成するSPDは参考として附属書Aに示すが,この規格の対象外である。
2
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a) 2端子SPD
b) 3端子SPD(1)
c) 3端子SPD(2)
d) 4端子SPD
e) 5端子SPD
f) 多端子SPD
V
:電圧制限素子
V,I
:電圧制限素子又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
X1,X2….Xn
:端子
Y1,Y2….Yn
:防護端子
C
:共通端子
注a) 共通端子Cがない場合もある。
図1−SPDの構成
1.3
この規格の使用方法
この規格は,二つの基本的な構成のSPDを考慮している。
第1のSPDの形態は,ハウジング内に1個以上の電圧制限素子をもち,かつ,電流制限素子をもたない
構成である。この構成をもつ全てのSPDを,図1に示す。これらのSPDは,5.1,5.2.1及び5.3(表1参
X1
SPD
(V)
X1
Y1
C
SPD
(V, I)
X1
X2
C
SPD
(V)
X1
X2
Y2
Y1
SPD
(V, I)
X1
X2
Y1
Y2
C
SPD
(V, I)
X2
SPD
(V, I)
X1
Xn
Y2
Y1
Yn
C a)
3
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照)に規定する要求事項を満足しなければならない。図1のb),d),e) 及びf) のSPDは,端子と対応す
る防護端子との間に線形素子をもっていてもよい。これらのSPDは,更に5.2.2の要求事項を満足しなけ
ればならない。
第2のSPDの形態は,ハウジング内に電圧制限素子及び電流制限素子をもつ。図1のb),d),e) 及び
f) に示すSPDは,電圧制限素子及び電流制限素子の両方をもつSPDに適用できる。このSPDは,5.1,5.2.1,
5.2.2及び5.3(表1参照)に規定する要求事項を満足しなければならない。電流制限素子だけの防護デバ
イスの構成は,附属書Aに示す。
SPDには,使用状況によって5.2.3及び5.4(表1参照)に規定する追加の要求事項を満足しなければな
らない場合がある。
5.2.3は,通信及び信号回線の用途によっては,SPDが適合する必要が出てくる可能性のある伝送試験に
ついて,規定する。SPDに適用する伝送試験は,5.2.3に規定する試験から選定する。表1に適用可能な伝
送試験の選定方法について一般的な手引きを示す。
5.4に規定する環境要求事項は,4.1に規定する温湿度を管理しない環境条件だけで使用するSPDに適用
する。このSPDは,受渡当事者間の協定によって,これらの環境要求事項を満足しなければならない。表
1に,SPDの分類ごとに満足しなければならない要求事項の例を示す。
4
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表1−SPDの一般要求事項
試
験
群
d)
試験項目
箇条番号
SPDのタイプ
電圧制限
機能を備
えたSPD
電圧制限
及び電流
制限機能
を備えた
SPD
端子間に
線形素子
があり,か
つ,電圧制
限機能を
備えた
SPD
高速伝送
能力があ
り,かつ,
電圧制限
及び電流
制限機能
を備えた
SPD
拡張範囲
の環境で
用いるこ
とを意図
した電圧
制限機能
だけを備
えたSPD
拡張範囲
の環境で
用いるこ
とを意図
した電圧
制限及び
電流制限
機能の両
方を備え
たSPD
1
一般的な試験
6.1
−
−
−
−
−
−
識別及び仕様書
6.1.1
A
A
A
A
A
A
表示
6.1.2
A
A
A
A
A
A
伝送試験
6.2.3
−
−
−
−
−
−
静電容量試験
6.2.3.1
A
O
O
O
A
O
挿入損失試験
6.2.3.2
O
A
A
A
O
A
リターンロス試験
6.2.3.3
O
O
O
A
O
O
縦バランス試験
6.2.3.4
O
O
O
A
O
O
ビットエラー率(BER)
試験
6.2.3.5
O
O
O
O
O
O
近端漏話(NEXT)試験
6.2.3.6
O
O
O
A
O
O
機械的試験
6.3
−
−
−
−
−
−
端子及びコネクタ
6.3.1
A
A
A
A
A
A
一般試験方法
6.3.1.1
A
A
A
A
A
A
ねじ端子試験
6.3.1.2
A
A
A
A
A
A
ねじなし端子試験
6.3.1.3
A
A
A
A
A
A
絶縁貫通形締付式接続
方法
6.3.1.4
A
A
A
A
A
A
単心導体用SPD端子の
引張り試験
6.3.1.4.1
A
A
A
A
A
A
多心ケーブル又はコー
ド用SPD端子の引張り
試験
6.3.1.4.2
A
A
A
A
A
A
機械的な強度(取付け)
試験
6.3.2
A
A
A
A
A
A
固形物の侵入及び水の
浸入に対する耐性試験
6.3.3
A
A
A
A
A
A
直接接触保護試験
6.3.4
A
A
A
A
A
A
耐火性試験
6.3.5
A
A
A
A
A
A
環境試験
6.4
−
−
−
−
−
−
高温高湿耐久性
6.4.1
O
O
O
O
A
A
インパルス・サージを
伴う環境サイクル試験
6.4.2
O
O
O
O
A
A
交流通電を伴う環境サ
イクル試験
6.4.3
O
O
O
O
A
A
5
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表1−SPDの一般要求事項(続き)
試
験
群
d)
試験項目
箇条番号
SPDのタイプ
電圧制限
機能を備
えたSPD
電圧制限
及び電流
制限機能
を備えた
SPD
端子間に
線形素子
があり,か
つ,電圧制
限機能を
備えた
SPD
高速伝送
能力があ
り,かつ,
電圧制限
及び電流
制限機能
を備えた
SPD
拡張範囲
の環境で
用いるこ
とを意図
した電圧
制限機能
だけを備
えたSPD
拡張範囲
の環境で
用いるこ
とを意図
した電圧
制限及び
電流制限
機能の両
方を備え
たSPD
2
電圧制限試験
6.2.1
−
−
−
−
−
−
最大連続使用電圧Uc試
験
6.2.1.1
A
A
A
A
A
A
絶縁抵抗試験
6.2.1.2
A
A
A
A
A
A
電圧制限機能に対する
インパルス耐久性試験a)
6.2.1.6
A
A
A
A
A
A
インパルス制限電圧試
験b)
6.2.1.3
A
A
A
A
A
A
スイッチングタイプの
インパルスリセット試
験
6.2.1.4
A
A
A
A
A
A
電圧制限機能に対する
交流耐久性試験a)
6.2.1.5
O
O
O
O
O
O
多段SPDのブラインド
スポット試験
6.2.1.8
A
A
A
A
A
A
過負荷故障モード試験
6.2.1.7
A
A
A
A
A
A
3
電流制限試験
6.2.2
−
−
−
−
−
−
定格電流試験
6.2.2.1
N.A.
A
A
A
N.A.
A
直列抵抗試験
6.2.2.2
N.A.
A
A
A
N.A.
A
電流応答時間試験
6.2.2.3
N.A.
A
N.A.
A c)
N.A.
A c)
電流復帰時間試験
6.2.2.4
N.A.
A
N.A.
A c)
N.A.
A c)
最大遮断電圧試験
6.2.2.5
N.A.
A
N.A.
A c)
N.A.
A c)
動作責務試験
6.2.2.6
N.A.
A
N.A.
A c)
N.A.
A c)
電流制限機能に対する
交流電流耐久性試験a)
6.2.2.7
N.A
A
N.A.
A c)
N.A.
A c)
電流制限機能に対する
インパルス耐久性試験a)
6.2.2.8
N.A.
A
N.A.
A c)
N.A.
A c)
4
受入試験
6.5
O
O
O
O
O
O
A
適用する
N.A. 適用しない
O
任意
注a) 複数のカテゴリのインパルス試験を行う場合は,それぞれの試験に新しい試料(3個一組)を用いてもよい。
b) インパルス制限電圧(6.2.1.3)の測定は,インパルス耐久性(6.2.1.6)の試験中に行ってもよい。
c) 端子間に線形素子がある場合は,この試験は適用しない。
d) 各試験群は,3個の試料で実施する。
6
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
注記 対応国際規格:IEC 60529,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)(IDT)
JIS C 5381-11 低圧サージ防護デバイス−第11部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ
イスの要求性能及び試験方法
注記 対応国際規格:IEC 61643-11,Low-voltage surge protective devices−Part 11: Surge protective
devices connected to low-voltage power systems−Requirements and test methods(IDT)
ただし,IEC 61643-1は既に廃止され,IEC 61643-11に置き換えられたため,ここでその
対応JISであるJIS C 5381-11を引用規格とする。
JIS C 60068-2-30:1988 環境試験方法(電気・電子)温湿度サイクル(12+12時間サイクル)試験方
法
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-30:1980,Environmental testing−Part 2: Tests. Test Db and guidance:
Damp heat, cyclic (12+12-hour cycle)(IDT)
JIS C 60695-2-11:2004 耐火性試験−電気・電子−最終製品に対するグローワイヤ燃焼性試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60695-2-11:2000,Fire hazard testing−Part 2-11: Glowing/hot-wire based test
methods−Glow-wire flammability test method for end-products(MOD)
JIS C 61000-4-5 電磁両立性−第4-5部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験
注記 対応国際規格:IEC 61000-4-5,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-5: Testing and
measurement techniques−Surge immunity test(IDT)
IEC 60060-1:1989,High-voltage test techniques. Part 1: General definitions and test requirements
IEC 60950:1999,Safety of information technology equipment
IEC 60999-1:1999,Connecting devices−Electrical copper conductors−Safety requirements for screw-type
and screwless-type clamping units−Part 1: General requirements and particular requirements for clamping
units for conductors from 0.2 mm2 up to 35 mm2 (included)
IEC 61083-1,Instruments and software used for measurement in high-voltage impulse tests−Part 1:
Requirements for instruments
IEC 61180-1:1992,High-voltage test techniques for low voltage equipment−Part 1: Definitions, test and
procedure requirements
ITU-T Recommendation G.821:2002,Error performance of an international digital connection operating at a
bit rate below the primary rate and forming part of an Integrated Services Digital Network
ITU-T Recommendation G.992.3:2009,Asymmetric digital subscriber line transceivers 2 (ADSL2)
ITU-T Recommendation G.993.1:2004,Very high speed digital subscriber line transceivers (VDSL)
ITU-T Recommendation K.30:1993,Positive temperature coefficient (PTC) thermistors
ITU-T Recommendation K.44:2003,Resistibility tests for telecommunication equipment exposed to
overvoltages and overcurrents−Basic recommendation
ITU-T Recommendation K.55:2002,Overvoltage and overcurrent requirements for insulation displacement
connectors (IDC) terminations
7
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ITU-T Recommendation K.65:2004,Overvoltage and overcurrent requirements for termination modules with
contacts for test ports or SPDs
ITU-T Recommendation O.9:1999,Measuring arrangements to assess the degree of unbalance about earth
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
形式番号(model number)
SPDを識別するために用いる仕様書などの文書に記載,又はSPD本体に表示するコード。
3.2
推奨値(preferred values)
各種の試験における表中のパラメータの値。パラメータの利用は,試験の統一性を促進し,様々なSPD
の比較手段を提供するという意味で推奨している値である。また,パラメータは,通信及び信号回線で用
いるSPDの使用者及び製造業者に有益な共通の技術用語を提供する。ただし,特定の用途では表の推奨値
以外の値を要求してもよい。
3.3
過負荷での故障モード(overstressed fault mode)
モード1(mode 1) SPDの電圧制限部分を分離した状態。電圧制限機能はないが,回線は使用できる。
モード2(mode 2) SPDの内部で非常に低いインピーダンスによって,電圧制限部分を短絡した状態。
短絡回路で設備を防護しているが,回線は使用できない。
モード3(mode 3) SPDの電圧制限部分に対してネットワーク側回路を切り離した状態。回線を切り離
したことによって設備を防護しているが,回線は使用できない。
3.4
防護(protection)
設計したインタフェースに電気エネルギーストレスの伝ぱを防ぐ手段及び方法。
注記 “protective”及び“protection”に“サージを防ぐ”という意味がある場合は,防護と表し,“サ
ージから守る”という意味がある場合は,保護と表した。ただし,慣例的に用いている用語に
ついては,保護又は防護を従来どおりの表記とした。
3.5
電流応答時間(current response time)
特定の電流及び温度で動作するための電流制限素子への要求時間。
3.6
最大連続使用電圧,Uc(maximum continuous operating voltage)
SPDの伝送特性が劣化することなく,SPDに印加できる最大電圧(直流,又は交流の実効値)。
3.7
最大断続電圧(maximum interrupting voltage)
SPDの特性が劣化することなく,電流制限素子に印加することができる最大電圧(直流,又は交流の実
効値)。この電圧は,SPDのUcと等しい,又はSPD内の電流制限素子の構成によってはUcより高くなる。
3.8
サージ防護デバイス,SPD(Surge Protective Device)
8
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
特定のポート又は複数のポート間において,サージによって発生し,かつ,あらかじめ設定した値を超
える電圧を制限するデバイス。
注記1 端子電流を制限するための電流制限のような第2の機能を組み込んでいる場合がある。
注記2 通常,防護回路は,一つ以上の非線形の電圧制限サージ防護素子をもつ。
注記3 SPDは,回路導体へ接続する端子をもつ完成品である。
3.9
電圧制限(voltage limiting)
あらかじめ設定した値を超える全ての電圧を低減させるSPDの動作。
3.10
電流制限(current limiting)
一つ以上の非線形の電流制限素子を含み,あらかじめ設定した値を超える電流を制限するSPDの動作。
3.11
(削除)
注記 本文中でこの用語を用いていないため,この規格では削除した。
3.12
復帰可能な電流制限(resettable current limiting)
動作後に手動で復帰が可能なSPDの電流制限動作。
3.13
自動復帰可能な電流制限(self-resetting current limiting)
異常電流がなくなった後で自動復帰するSPDの電流制限動作。
3.14
(削除)
注記 本文中でこの用語を用いていないため,この規格では削除した。
3.15
電圧スイッチング形SPD(voltage-switching-type SPD)
高いインピーダンスをもち,かつ,SPDのしきい値を超える電圧サージ値に応じてインピーダンスが瞬
間的に大きく減少するSPD。
注記 電圧スイッチング形SPDに用いている素子の例:エアギャップ,ガス入り放電管(GDT)及び
サージ防護サイリスタ(TSS)。
3.16
電圧防護レベル,Up(voltage protection level)
端子間電圧を制限するパラメータ。SPDの性能を示す。この電圧値は,インパルス制限電圧の最大値よ
りも大きく,製造業者が指定する。
3.17
多段SPD(multi-stage SPD)
複数の電圧制限素子をもつSPD。SPDの電圧制限素子は,直列接続した素子によって電気的に分離して
いる場合と,分離していない場合とがある。電圧制限素子は,スイッチング形又は制限形のいずれかであ
る。
3.18
ブラインドスポット(blind spot)
9
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
最大連続使用電圧Uc以上の電圧でSPDが不完全な動作となる状態。SPDの不完全な動作とは,インパ
ルス試験中に多段SPDの全ての動作が起こらない場合をいう。ブラインドスポットは,SPD内の素子に過
負荷を与える場合がある。
3.19
交流耐久性(a.c. durability)
指定回数に対し,特定の大きさ及び時間の交流電流を通電できるSPDの性能。
3.20
インパルス耐久性(impulse durability)
指定回数に対し,特定の波形及びピーク値のインパルス電流を通電できるSPDの性能。
3.21
電流復帰時間(current reset time)
自動復帰可能な電流制限素子が定常又は休止状態に戻るために必要な時間。
3.22
定格電流(rated current)
電流制限素子のインピーダンスが変化することなく,電流制限形SPDへ連続的に通電できる最大電流。
注記 これは直列の線形素子にも適用する。
3.23
絶縁抵抗(insulation resistance)
SPDの端子間にUcを印加したときのSPDの抵抗値。
3.24
リターンロス(return loss)
反射係数の逆数。一般にデシベル(dB)で表す。
注記 インピーダンスを定義することができる場合,デシベル(dB)単位のリターンロス(RL)は,
次の式によって算出する。
2
1
2
1
10
L
log
20
Z
Z
Z
Z
R
−
+
=
ここに,
Z1: 電源及び負荷の不連続点において,不連続な伝送路の電源
側の特性インピーダンス又は電源の内部インピーダンス
Z2: 負荷のインピーダンス又は負荷側の特性インピーダンス
(IEV 702-07-25を修正)。
3.25
ビットエラー率,BER(bit error ratio)
所定の時間間隔の中で伝送したビットの総数に対するビットエラー数の比率。
3.26
挿入損失(insertion loss)
伝送システムに,SPDを挿入することによって発生する損失。SPDを挿入する前にSPDの後段に供給す
る電力と,SPD挿入後に同一箇所に供給する電力との比率。挿入損失は,通常デシベル(dB)で表す。
3.27
近端漏話,NEXT(near-end crosstalk)
10
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
妨害を与える伝送路の電流が伝搬する,及び逆方向の妨害を受ける伝送路へ伝搬する漏話。
近端漏話が発生し妨害を受ける伝送路の端子は,通常妨害を与える伝送路の端子の近くである。
3.28
縦バランス(アナログ音声周波数回路)[longitudinal balance(analogue voice frequency circuits)]
大地に対して一対を構成する二つの線の電気的な対称性。
3.29
縦バランス(データ伝送)[longitudinal balance(data transmission)]
平衡回路の二つ以上の導体と大地(又はコモン)との間のインピーダンスの対称性の度合い。この用語
は,コモンモード妨害への影響度を表現するために用いる。
3.30
縦バランス(通信及び制御ケーブル)[longitudinal balance(communication and control cables)]
妨害を与える大地に対するコモンモード(縦)電圧実効値(Vs)と試験中のSPDのディファレンシャル
モード(横)電圧実効値(Vm)との比。デシベル(dB)で表す。
注記 縦バランス(LB)(dB)は,次の式によって算出する。
m
s
10
B
log
20
V
V
L=
ここでは,VsとVmは同じ周波数で測定する。
3.31
縦バランス(通信)[longitudinal balance(telecommunications)]
妨害を与えるコモンモード(縦)電圧実効値(Vs)と試験中のSPDのディファレンシャルモード(横)
電圧実効値(Vm)との比。デシベル(dB)で表す。
3.32
サージ(通信回線)[surge(telecommunications)]
外部の電源から通信回線に結合することによって発生する過渡電圧及び/又は過渡電流。
注記1 代表的な外部の電源は,雷及び交流又は直流電源である。
注記2 外部の電源との結合は,電気,磁気,電磁気及び伝導の一つ以上である。
4
使用及び試験条件
4.1
使用条件
4.1.1
通常使用条件
4.1.1.1
気圧及び標高
気圧は,80 kPa〜106 kPaとする。これらの値は,海面からそれぞれ+2 000 m〜−500 mの標高に対応す
る。
4.1.1.2
周囲温度
周囲温度の範囲は次による。
− 標準的な範囲:−5 ℃〜+40 ℃
注記1 この範囲は,通常,室内で用いるSPDを対象とする。これは,IEC 60364-5-51に規定する
コードAB4と一致する。
− 拡張範囲:−40 ℃〜+70 ℃
注記2 この範囲は,通常風雨に対する保護のない屋外使用のSPDを対象としており,IEC
11
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
60721-3-3のクラス3K7である。
− 保存範囲:−40 ℃〜+70 ℃
注記3 範囲外の全ての値は,製造業者が指定する。
4.1.1.3
相対湿度
相対湿度の範囲は次による。
− 標準的な範囲:5 %〜95 %
注記1 この範囲は,通常室内で用いるSPDを対象とする。これは,IEC 60364-5-51に規定するコ
ードAB4と一致する。
− 拡張範囲:5 %〜100 %
注記2 この範囲は,通常,風雨に対する保護のない屋外使用のSPDを対象としている(例えば,
耐候性のあるきょう体の中のSPDを含む。)。
4.1.2
異常な使用条件
異常な使用条件下へのSPDの暴露は,SPDの設計又は適用には,特別な考慮が必要となる場合があり,
製造業者は,注意を喚起しなければならない。
注記 異常な使用条件とは,4.1.1に規定する“気圧及び標高”,“周囲温度”及び“相対湿度”の3種
の条件から外れる条件であり,さらに次に示す環境での使用を含む。
− 油が直接掛かる又は蒸気の雰囲気
− 水及び塩水が直接掛かる又は結露
− 腐食性ガスなどの雰囲気
− 極端な振動及び衝撃
4.2
試験温度及び湿度
ある特性を試験する場合に,SPDの技術的背景によって,温度の影響を受けないことが明らかな場合は,
温度23 ℃±2 ℃かつ相対湿度45 %〜55 %で試験を行ってもよい。その他の温度の影響があるSPDの試験
では,想定する用途によって選定する温度範囲の上限及び下限温度で試験を実施する。設定する温度範囲
は,想定する用途によっては,4.1.1.2に規定する全ての温度範囲より狭くなってもよい。
あるSPD技術では,選定する温度範囲の上限又は下限温度のどちらか一方の温度が最悪試験条件となる
ことが,明らかな場合がある。この場合の試験温度は,最悪試験条件となる選定した温度範囲の上限又は
下限温度のどちらか一方の温度でなければならない。試験温度は,箇条6に規定するそれぞれの試験温度
と異なっていてもよい。
高温又は低温で試験する場合,SPDは,熱衝撃を受けないように十分な時間を掛けて,規定する試験温
度まで加熱又は冷却する。その他の規定がない場合には,室温から試験温度までの時間は,1時間以上と
することが望ましい。SPDは,試験前に熱平衡に達するのに十分な時間,規定する試験温度中に保持する。
その他の規定がない場合,保持する時間は15分間以上とすることが望ましい。
4.3
SPD試験
この規格に基づくSPDは,SPDを現場へ実際に設置する場合,その場で用いる接続部材又は端子を用い
て試験を実施する。さらに,測定は,SPDの接続部又は端子部で実施する。基台又はコネクタとともに用
いて試験する場合には,その基台又はコネクタも試験の対象の一部として含める。通信用途の場合,ITU-T
Recommendation K.65(避雷器ホルダ)及びITU-T Recommendation K.55(終端モジュール)に要求事項
を示している。
試験に基台を用いる場合,測定は,できるだけSPD端子の近くで実施する。測定に用いるオシロスコー
12
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
プは,IEC 61083-1の規定による。
注記 オシロスコープの設定は,附属書Dを参照する。
図1のc),e) 及びf) のSPDは,全インパルス電流を流す共通の電流経路(防護素子又は相応の内部部
材)をもつ場合がある。製造業者は,この電流経路に対するインパルス最大電流値を明示しなければなら
ない。インパルス電流値は,各々の回線端子の最大電流許容値のn倍未満であってもよい。ここにnは,
回線端子数である。これらのSPDは,共通の端子に対して,全ての回線端子を同時に試験する。
試料数及び許容故障率は,受渡当事者間で協定しなければならない。
4.4
波形の許容値
波形パラメータA/Bの定義は,Aが波頭長(μs),Bが波尾長(μs)であり,IEC 60060-1による(JIS C
61000-4-5も参照)。この規格の中で用いる波形の許容値を表2に示す。
表2−波形許容値
単位 %
波形
1.2/50又は10/700開回路電圧
8/20又は5/300短絡回路電流
その他の波形
ピーク値
±10
±10
±10
波頭長
±30
±20
±30
波尾長
±20
±20
±20
5
要求事項
5.1
一般的な要求事項
次の要求事項は,この規格を適用する全てのSPDに適用する。
5.1.1
識別及び仕様書
次のa)〜n) に示す情報は,5.1.2に規定するSPD の本体又は添付書類若しくは包装に表示しなければな
らない。略語を用いる場合は,仕様書などで説明しなければならない。箇条6によって行うSPDの各試験
での試験条件は,添付書類に記載しなければならない。
a) 製造業者名又はその商標
b) 製造年月,製造年週又は製造ロット番号
c) 形式番号
d) 使用条件
e) 最大連続使用電圧Uc
f)
定格電流
g) 電圧防護レベルUp
h) インパルスリセット(適用する場合)
i)
交流耐久性
j)
インパルス耐久性
k) 過負荷故障モード
l)
伝送特性
m) 補足情報(代替可能な素子及び放射性同位元素の使用についての適用項目がある場合)
n) 直列抵抗(適用する場合)
5.1.2
表示
13
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
SPD本体には,5.1.1のa),b),c) 及びe) の事項を明瞭に表示する。表示材料は,通常のSPDの使用に
対して耐溶剤性及び耐拭性がなければならない。特殊な扱いについての注意事項は,仕様書に記載又は包
装上に示さなければならない。
適否は,6.1.2の規定に従って試験を行い,検査によって判定する。
5.2
電気的要求事項
SPDは,箇条6の規定に従って試験したとき,次の要求事項を満足しなければならない。
5.2.1
電圧制限の要求事項
電圧制限素子だけで構成するSPDは,5.2.1に規定する全ての要求事項に適合しなければならない。電
圧制限素子及び電流制限素子で構成するSPDの場合,5.2.1に規定する全ての要求事項及び5.2.2に規定す
る全ての該当する要求事項に適合しなければならない。端子と防護端子との間に線形素子をもつSPDは,
5.2.2に規定する全ての該当する要求事項に適合しなければならない。
5.2.1.1
最大連続使用電圧Uc
製造業者は,用途によって,交流の実効値又は直流でのSPDの最大連続使用電圧を示さなければならな
い。適否は,6.2.1.1の規定に従って試験を行い,検査によって判定する。
5.2.1.2
絶縁抵抗
この特性は,製造業者が指定しなければならない。適否は,6.2.1.2の規定に従って試験を行い,検査に
よって判定する。
5.2.1.3
インパルス制限電圧
表3に規定する試験条件で試験したとき,SPDは,規定したインパルス電圧に制限しなければならない。
測定した抑圧電圧は,規定した電圧防護レベルUpを超えてはならない(IEC 61180-1参照)。
5.2.1.4
インパルスリセット
この要求事項は,スイッチング形SPDだけに適用する。表3から選定したインパルス波形をSPDに印
加後,SPDは消弧する又は不動作状態に復帰しなければならない。このインパルス波形を印加する場合に
は,表4から選定した電圧及び電流の条件でSPDに印加する。その他の規定がない場合,SPDは,30 ms
以下の時間で高インピーダンス状態に復帰しなければならない。
5.2.1.5
交流耐久性
SPDは,表5から選定した電流を用いて,6.2.1.5の規定に従って試験した後に,適用できる場合,5.2.1
及び5.2.2に規定する適切な要求事項を満足しなければならない。
5.2.1.6
インパルス耐久性
SPDは,表3から選定した電流及び電圧の波形を用いて,6.2.1.6の規定によって試験した後に,適用で
きる場合,5.2.1及び5.2.2に規定する適切な要求事項を満足しなければならない。
5.2.1.7
過負荷での故障モード
SPDは,6.2.1.7の規定に従って試験したとき,火災,爆発又は電気的な危険を起こすことなく,また,
有毒ガスを放出してはならない。製造業者は,6.2.1.7に規定する故障モードに至るインパルス電流(8/20)
の値,及び交流の値を示さなければならない。
5.2.1.8
ブラインドスポット
製造業者から適用できるブラインドスポットに関する情報がない場合,及び製造業者の情報の検証が必
要な場合,多段SPDの試験は,6.2.1.8の規定に従って実施する。
5.2.2
電流制限の要求事項
電圧制限素子及び電流制限素子で構成するSPDの場合,電流制限素子は,5.2.2に規定する全ての適用
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C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
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可能な要求事項を満足しなければならない。その端子間に線形素子(例えば,抵抗器及びインダクタ)を
もつSPDは,5.2.2.1,5.2.2.2,5.2.2.7及び5.2.2.8に規定する要求事項を満足しなければならない。
5.2.2.1
定格電流
製造業者は,定格電流を指定する。この定格電流値を確認するために,SPDは,6.2.2.1の規定に従って
試験を実施する。試験中に,SPDの電流制限素子の動作特性が変化してはならない。
5.2.2.2
直列抵抗
製造業者は,任意の直列抵抗の値及びその許容値を指定する。全ての直列抵抗の値及びその許容値を確
認するために,SPDは,6.2.2.2の規定に従って試験を実施する。
5.2.2.3
電流応答時間
6.2.2.3に従って試験するとき,電流制限素子は,製造業者が指定した応答時間の値又はそれ以下の値で
動作しなければならない。試験電流の推奨値を,表6に規定する(ITU-T Recommendation K.30参照)。
5.2.2.4
電流復旧時間
自動復旧電流制限素子を1個以上もっているSPDは,6.2.2.4の規定に従って試験を実施する。復旧時間,
すなわち,電流制限素子が動作前の状態に戻るために必要な時間は,その他の規定がない場合120秒間未
満でなければならない。この要求は,手動で復旧させる電流制限素子をもつSPDには適用しない。
5.2.2.5
最大遮断電圧
この要求は,自動復旧,又は手動で復旧させる電流制限素子をもつSPDだけに適用する。製造業者は,
SPD内の電流制限素子の最大遮断電圧を指定する。最大遮断電圧は,6.2.2.5に規定する試験を実施して決
定する。試験後,電流制限素子の動作特性に劣化があってはならない。
5.2.2.6
動作責務試験
自動復旧,又は手動で復旧させる電流制限素子をもつSPDだけに適用する。
SPDには,最大遮断電圧を繰り返し印加する。電流は,電流制限素子が動作するのに十分な値を表7か
ら選定する。これらの試験後,電流制限素子は,5.2.2.3及び5.2.2.4に規定する要求事項を満足しなければ
ならない。
5.2.2.7
交流耐久性
SPDに,規定の電流を繰り返し印加する。表8は,交流電流の推奨値を示す。これらの電流を通電後,
SPD内の電流制限素子は,5.2.2.1,5.2.2.2及び5.2.2.3に規定する要求事項を満足しなければならない。
5.2.2.8
インパルス耐久性
SPDに,規定のピーク電流のサージを規定する回数印加する。推奨値を表9に規定する。6.2.2.8の規定
に従ってサージを印加後,SPDの電流制限素子は,5.2.2.1,5.2.2.2及び5.2.2.3に規定する要求事項を満足
しなければならない。
5.2.3
伝送要求事項
SPDは,5.2.1及び5.2.2に規定する要求事項に加えて,通信及び信号回線の用途(例えば,音声,デー
タ及びビデオ)によっては,5.2.3に規定する特定の要求事項に適合することが必要となる場合がある。適
用できる伝送試験の選定のガイダンスを表1に示す。
5.2.3.1
静電容量
製造業者は,指定した端子間の静電容量値を示さなければならない。適否は,6.2.3.1の規定に従って試
験を行い,検査によって判定する。
5.2.3.2
挿入損失
試験システムへのSPD の挿入が信号発生器と測定器との間で電圧の減少をもたらすかどうかを決定す
15
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るために,SPDは,6.2.3.2の規定に従って試験を実施する。
5.2.3.3
リターンロス
規定する周波数範囲内で,平衡伝送路にSPDを挿入することによって起こる信号発生器への反射信号の
量を決定するために,SPDは,6.2.3.3の規定に従って試験を実施する。
5.2.3.4
縦バランス
平衡回路の中で用いるSPDの縦バランスの最小許容レベルを決定するために,SPDは,6.2.3.4の規定に
従って試験を実施する。縦バランスは,関連のある周波数範囲内で測定する。
5.2.3.5
ビットエラー率(BER)
デジタル伝送システムにSPDを挿入することでビットエラーを起こすかどうかを決定するために,SPD
は,6.2.3.5の規定に従って試験を実施する。
5.2.3.6
近端漏話(NEXT)
SPDの挿入によって一つの回路から別の回路へ影響する信号の量を決定するために,SPDは,6.2.3.6の
規定に従って試験を実施する。
5.3
機械的要求事項
5.3.1
端子及びコネクタ
SPDは,次の機械的要求事項を満足しなければならない。
a) 端子及びコネクタは,取付けねじ又はロックナットを,締めたりまた緩めたりしても,緩まないよう
な方法でSPDに固定する。ねじ又はナットを緩めるために工具を用いてもよい。
b) ねじ,導電部品及びコネクタ
1) 接続部は,通常使用状態で起こる機械的負荷,及び高電流サージによって起こる機械的負荷に対し
て,電気的又は機械的に耐えなければならない。据付時,SPDの実装に用いるねじは,ねじ切り形
(タッピンねじなど)であってはならない。適否は,6.3.1.2の規定に従って試験を行い,検査によ
って判定する。
2) 電気的な接続については,絶縁材料の曲がりやすさ又は収縮性を補うための十分な弾性が金属部分
にない場合,接触圧力によって絶縁材[セラミック,純雲も(母)又はその他の絶縁材料]を破壊
して導電しないように設計しなければならない。適否は,検査によって判定する。材質は,寸法を
考慮して選定する。
3) 接地導体として意図した部品を含むコネクタ及び導電部品の材質は,次のいずれかによる。
− 銅
− 58 %以上の銅含有合金(冷間加工品)
− 50 %以上の銅含有合金(非冷間加工品),その他の金属又は適切に被覆した金属で銅よりも腐食
性及び機械的性質が劣らないもの。
特殊な端子の機械的接続要求事項は,JIS C 5381-11の規定による。
c) 外部導体用ねじなし端子
1) 端子は,次のように設計し組み立てなければならない。
− 各導体は個々に固定する。また,各導体は同時に又は別個に,接続又は分離ができるようにする。
− 取り付ける最大までの数を確実に固定することができる。
2) 端子は,導体に過度な損傷を与えることなく固定するように,設計し組み立てなければならない。
適否は,検査によって判定する。
d) 外部導体用絶縁貫通形締付式接続方法
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1) 絶縁貫通コネクタは,確実な機械的接続ができなければならない。適否は,6.3.1.4の規定に従って
試験を行い,検査によって判定する。
2) 接触力を得るためのねじは,その他の部品を過度に締め付けてはならない。ただし,SPDが回転し
ない程度で保持してもよい。適否は,検査によって判定する。
3) ねじは,硬くかつクリープを起こしにくい金属でなければならない。適否は,検査によって判定す
る。
e) 耐腐食性金属
固定部品(ねじ以外),ナット,クリップ,ワッシャ,ワイヤ及び類似した部材は,耐腐食性金属で構成
しなければならない(IEC 60999-1参照)。
5.3.2
機械的強度(実装)
SPDは,機械的安定性を保証するために適切な固定手段を備えていなければならない。
5.3.3
固形物の侵入及び水の浸入に対する耐性
SPDは,4.1に規定する使用条件下で十分に動作するように設計する。屋外環境設置のSPDは,紫外線
劣化,浸食及びトラッキングに対し耐性をもつ耐候保護ガラス,陶磁器又はその他の許容できる材質に収
容しなければならない。電位の異なる二つの部品間は,十分な沿面距離を確保する。
5.3.4
直接接触保護
直接接触保護(充電部分へ接近不可)のため,SPDの通常の使用条件では,充電部分に触れることがで
きないように設計する。
この要求事項は,Ucが交流50 V(実効値)以上又は直流71 V以上の接近可能なSPDに対し適用する。
接近不可と分類したSPD以外のSPDは,通常使用状態で配線実装する場合,例えば,工具を用いないで
取外しできる部品(6.3.4の分離部品試験によって確認する。)を取り外した後でも,充電部分には接近で
きないように設計しなければならない。
接地端子間相互の接続,及びそれに接続する全ての接近可能な部品の接続は,低抵抗でなければならな
い(JIS C 0920参照)。
5.3.5
耐火性
きょう体の絶縁部材は,不燃性又は自己消火性のいずれかの部材とする。
5.4
環境条件
4.1に規定する温湿度を管理していない条件で用いるSPDは,使用者及び製造業者間の協議後,次の環
境条件に従わなければならない。
5.4.1
高温高湿の耐久性
SPDは,80 ℃及び相対湿度90 %で試験を実施する。試験時間は,表15から選定する。
この試験は,温湿度を管理していない条件で用いるSPDだけに実施し,6.4.1による。試験後に,SPD
の電圧制限素子は,5.2.1.2及び5.2.1.3に規定する要求事項を満足しなければならない。試験するSPDが
電流制限素子を含んでいる場合,これらは5.2.2.2及び5.2.2.3に規定する要求事項を満足しなければなら
ない。
製造業者のSPD製品シリーズが,Uc値を除いて同一な場合,すなわち,シリーズ品のSPDのUc値に相
当する電圧制限素子及び電流制限素子の電圧定格の違い以外の構成部品が同一の場合,最も高い電圧防護
レベルのSPDだけを試験する。
5.4.2
インパルスサージを伴う環境サイクル試験
SPDは,インパルス電流通電中に高湿度で温度サイクル試験を実施する。温度サイクル試験の条件は,
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表16から選定する。
温度サイクル試験中及び試験後に,SPDの電圧制限素子は,5.2.1.2及び5.2.1.3に規定する要求事項を満
足しなければならない。試験中のSPDが電流制限素子を含んでいる場合,5.2.2.2及び5.2.2.3に規定する
要求事項を満足しなければならない。
この試験は,温湿度を管理していない条件で用いるSPDだけに実施し,6.4.2による。
ある製造業者のSPD製品シリーズの特性値がUc値を除いて同一,かつ,構成部品が,特定のSPDの
Uc値に合わせるための電圧制限素子及び電流制限素子の電圧定格の違いだけの場合,最も電圧防護レベル
が高いSPDだけを試験しなければならない。
5.4.3
交流通電を伴う環境サイクル試験
SPDは,交流電流を通電中に,高湿度で温度サイクル試験を実施する。この電流値及び時間条件は,表
5から選定する。温度サイクル試験条件は,表16から選定する。サイクル試験中及び試験後に,SPDは,
5.2.1.2及び5.2.1.3に規定する要求事項を満足しなければならない。
ある製造業者のSPD製品シリーズの特性値がUc値を除いて同一,かつ,構成部品が,特定のSPDの
Uc値に合わせるための電圧制限素子及び電流制限素子の電圧定格の違いだけの場合,最も電圧防護レベル
が高いSPDだけを試験しなければならない。
6
形式試験
6.1
一般的な試験
6.1.1
識別及び仕様書
SPD本体への表示及び添付書類は,5.1.1に規定する要求事項を満足しなければならない。
6.1.2
表示
表示は,検査によって確認する。成形及び刻印によるもの以外の表示には,次の耐拭性試験を適用する。
表示部を,水に浸した木綿の布切れを手で15秒間こすり,その後,ヘキサン(芳香族成分の体積分率
0.1 %以下,カウリブタノール価29,初期沸点約65 ℃,比重0.68)を浸した木綿の布切れを手で15秒間
こする。この試験後,表示は容易に判読できなければならない。
6.2
電気的試験
6.2.1
電圧制限試験
6.2.1.1
最大連続使用電圧Uc試験
Ucは,6.2.1.2に規定する絶縁抵抗試験の間に確認する。
6.2.1.2
絶縁抵抗試験
絶縁抵抗は,一対の端子間の両極性を測定する。試験電圧は,Ucと等しくする。試験端子間に流れる電
流を測定する。絶縁抵抗値は,試験電圧値を測定電流値で除した値であり,製造業者が指定した値以上と
する。
6.2.1.3
インパルス制限電圧試験
SPDは,表3のカテゴリCから選定した一つのインパルス波形を適切な端子に印加して試験を実施する。
電流レベルは,インパルス耐久性試験(6.2.1.6参照)で決定するSPDのエネルギー耐量に基づいて選定す
る。インパルス制限電圧及びインパルス耐久性試験の両方は,同じインパルスで実施する。表3に規定す
る値は,最低限の要求事項であり,その他のサージ電流定格は,ITU-T Recommendationなどで確認する
ことができる。
追加試験は,SPDの文書(5.1.1参照)に示したものだけでなく,カテゴリA1,B,C及びDから選定
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した波形を用いて実施するのが望ましい。ただし,これらの試験は任意であり,SPDの適用ごとに適切に
選定することが望ましい。電流レベルは,製造業者が規定するSPDのエネルギー耐量に基づいて選定する。
その他の規定がない場合,各インパルス試験は,正極性5回,及び負極性5回のインパルスを印加する。
用いるインパルス発生器は,表3から選定した開回路電圧及び短絡電流をもたなければならない。
負荷なしで各インパルスに対する制限電圧を測定する。適切な端子間で測定する最大電圧は,規定する
電圧防護レベルUpを超えてはならない。熱の蓄積を防ぐために,インパルス間に十分な時間がなければな
らない。SPDが異なれば,熱特性も異なるため,インパルス間隔も異なる。
インパルスの記録方法の詳細は,附属書Dを参照する。
線間試験の要求がある場合,インパルスは,図1のc) 及びe) に示すSPDの端子X1及びX2に印加して
もよい。
図1 c) 及び図1 e) に示すSPDの試験は,各対の端子間(X1−C及びX2−C)を同時に同極性で,又は
別々に試験してもよい。共通の分流素子(4.3参照)をもつSPDは,インパルスを印加しない端子の電圧
を測定し,その電圧はUpを超えてはならない。
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表3−インパルス制限電圧に対する電圧及び電流波形
カテ
ゴリ
試験の種類
開回路電圧a)
短絡回路電流
最小印加回数
試験する端子
A1
非常に遅い
上昇率
1 kV以上
0.1 kV/s〜100 kV/sの
上昇率
10 A,
1 000 μs以上(継続時間)
適用しない
X1−C
X2−C
X1−X2 b)
A2
交流
表5から試験を選定
単サイクル
B1
遅い上昇率
1 kV
10/1 000
100 A
10/1 000
300
B2
1 kV〜4 kV
10/700
25 A〜100 A
5/300
300
B3
1 kV以上
100 V/μs
10 A〜100 A
10/1 000
300
C1
速い上昇率
0.5 kV〜2 kV未満
1.2/50
0.25 kA〜1 kA未満
8/20
300
C2
2 kV〜10 kV
1.2/50
1 kA〜5 kA
8/20
10
C3
1 kV以上
1 kV/μs
10 A〜100 A
10/1 000
300
D1
高い
エネルギー
1 kV以上
0.5 kA〜2.5 kA
10/350
2
D2
1 kV以上
0.6 kA〜2.0 kA
10/250
5
Upの確認では,上記のカテゴリCの一つのインパルス波形は必須であって,カテゴリA,B及びDは任意とする。
その他の規定がない場合,正極性5回,負極性5回のインパルスを印加する。
インパルスリセット試験ではカテゴリB,C又はDから選定する。その他の規定がない場合,正極性3回,負極
性3回のインパルスを印加する。
インパルス耐久性の測定は,カテゴリCの一つのインパルス波形が必須であり,カテゴリA1,B及びDは任意
とする。
注記1 表3に規定する値は,最低の要求事項である。その他のサージ電流定格は,その他の規格を用いてもよく,
例えば,ITU-T Recommendation K群でも確認することができる。
注a) 1 kVと異なる開回路電圧を使用してもよいが,試験中のSPDを動作させるのに十分な電圧とする。
b) X1−X2端子は,要求がある場合には,試験を実施する。
全ての保護導体に同時に流れるサージ
多端子SPDは,全インパルス電流を大地に流す共通の防護素子を用いる場合がある。図16に,二つの
例を示す。全ての保護したラインには,全インパルス電流をライン数で除したインパルス電流が等しく流
れる。共通の防護素子が,十分な電流耐量をもっていることを確認するために,インパルス電流を全ての
ライン端子へ同時に印加する。試験後,SPDは劣化してはならない。また,この試験によって,SPD内部
の接続が十分な電流耐量をもっていることを確認する。
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a) スター防護回路
b) ダイオードステアリングブリッジ回路
X1,X2及びXn :ライン端子
1 :個別の防護素子
Y1,Y2及びYn :防護端子
2 :共通の防護素子
C
:共通端子
図16−共通の防護素子をもつ多端子SPDの例
図4の試験回路に用いる結合用電流分流器(CD)の要求事項を次に示す。
− 結合回路は,試験のインパルスに影響を与えてはならない。4.4に規定するサージ波形の全てのパラメ
ータは,結合回路の出力端子に適用する。
− サージ電圧(開回路)及びサージ電流(短絡回路)の波頭長及びパルス継続時間は,結合回路の出力
端子で確認する。
− 短絡回路のサージ電流波形は,トロイダル電流変圧器又は電流測定抵抗で測定できる。
− 可能な場合は,結合回路には,抵抗を用いることが望ましい。
− 電流分流器の各導体が負担する電流は,それぞれの試験試料を接続する前に,その他の導体を短絡し
個別に試験を実施する。この試験結果は,SPDを接続した試験回路において,電流が等しく分流しな
い場合がある。
− 同一の試験の中において,全てのサージ防護部品が故障することなく,共通の防護素子が全インパル
ス電流を通電することを確認する。
6.2.1.4
インパルスリセット試験
SPDは,図2に規定するように接続する。電源の電圧及び電流は,表4から選定することができるがこ
れに限定するものではない。これらの電源は,一般に用いているシステムの値を表す。新しい用途の場合
には,インパルスリセット試験は,意図する用途で用いる電源の電圧及び電流条件で実施する。
インパルス電圧及び電流波形は,表3のカテゴリB,C及びDから選定する。電圧制限素子が動作する
ように,開放ピーク電圧は十分な大きさとする。また,インパルス電圧の極性は,電源の極性と同じとす
る。リセット時間は,SPDにインパルスを印加してから高インピーダンス状態へ復帰するまでの時間とし
て定義する。
3回のインパルスを1分間以下の間隔で印加し,各インパルスに対してリセット時間を測定する。試験
は,反対の極性で繰返し実施する。
Xn
X2
X1
Xn
X2
X1
Yn
Y2
Y1
Yn
Y2
Y1
1
2
2
C
C
C
C
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表4−インパルスリセット試験の電源電圧及び電流
開回路電圧b)
V
短絡回路電流
mA
12
500
24
500
48
260
97
80
135
200 a)
注a) SPDは,135 Ω〜150 Ωの抵抗と0.08 μF〜0.1 μFのコンデンサとの直列組合せを,
並列に接続してもよい。
b) 許容差(リプルを含む)
0
10
+
%
6.2.1.5
電圧制限機能に対する交流耐久性試験
SPDは,図3に従って接続する。交流短絡電流は,表5から選定する。被試験素子に熱が蓄積するのを
防ぐために十分な時間間隔で,規定する回数の電流を印加する。開回路電圧は,SPDが完全な導通を引き
起こすために十分な大きさとする。試験前及び要求回数の交流印加後に,SPDは,5.2.1.2,5.2.1.3,5.2.1.4
(適用できる場合)及び5.2.2.2に規定する要求事項を満足しなければならない。
表5から選定した電流値を適切な端子に印加する。
表5−交流耐久性試験の電流推奨値
48 Hz〜62 Hz
各試験端子の短絡電流
(実効値)a)
A
継続時間
s
印加回数b)
試験端子
0.1
1
5
X1−C
X2−C
X1−X2 c)
0.25
1
5
0.5
1
5
0.5
30
1
1
1
5
1
1
60
2
1
5
2.5
1
5
5
1
5
10
1
5
20
1
5
注a) 表5に規定する値は最低要求事項である。
b) 異なる印加回数は,その他の規格,例えばITU-T Recommendation K群で確認
することができる。
c) 要求がある場合だけ,X1−X2端子の試験を実施する。
線間試験の要求がある場合,インパルスは,図1 c) 及び図1 e) に示すSPDの端子X1及びX2に印加し
てもよい。
図1 c) 及び図1 e) に示すSPDの試験は,各対の端子間(X1−C及びX2−C)を別々に試験してもよい。
共通の分流素子をもつSPDは,4.3の規定を参照する。また,多端子SPDの場合は,各ライン端子及び
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共通端子に対し別々に試験を実施する。
6.2.1.6
電圧制限機能に対するインパルス耐久性試験
SPDは,表3のカテゴリCから選定したインパルスを,表3から選定した適切な端子に印加して試験を
実施する。同じインパルスを6.2.1.3に規定するインパルス制限電圧試験に用いる。追加の試験は,SPDの
仕様書に記載したものだけでなく,カテゴリA1,B,C及びDから選定したその他のインパルスを用いて
実施してもよい。ただし,これらの試験は,任意であり,SPDの適用に応じて適切な条件で行う。
SPDは,図4に示すように接続する。試験中の装置の熱蓄積を防ぐために印加間隔を十分にとり,表3
に規定する最小印加回数のインパルス電流を印加する。規定する試験回数の半分は一つの極性で,また残
りの半分の回数は反対の極性で試験する。又は,試料の半分は一つの極性で試験し,残りの半分を反対の
極性で試験してもよい。試験前及び試験後,SPDは,5.2.1.2,5.2.1.3(各極性で1回のインパルス),5.2.1.4
(適用できる場合)及び5.2.2.2(適用できる場合)に規定する要求事項を満足しなければならない。
要求がある場合,インパルスは,図1のc) 及びe) に示すSPDの端子X1−X2に印加してもよい。
図1のc) 及びe) に示すSPDの試験については,各端子対(X1−C及びX2−C)を別々に試験してもよ
い。
6.2.1.7
過負荷故障モード試験
インパルス過負荷及び交流過負荷電流による過負荷をSPDに印加する。図1 c),図1 e) 及び図1 f) に
示すSPDの試験について,各端子対(X1−C及びX2−C)は別々に試験してもよい。図1 f) に示すSPD
は,代表的なサンプルとして二つの端子を選び試験する。インパルス試験及び交流試験は異なるSPDで行
う。
絶縁抵抗,制限電圧及び直列抵抗(適用可能な場合)試験は,SPDが3.3に規定する許容可能な過負荷
故障モードに達したかどうか判定するために実施しなければならない。SPDは,火災,爆発,電気的な危
険又は有毒ガスの放出を起こさない安全な状態で過負荷故障モードに達しなければならない。
a) インパルス過負荷SPDは,図4に示すように接続する。製造業者が規定する8/20のインパルス電流
inは,次に示す方法でSPDに印加する。
itest=in (1+0.5 N)
試験シーケンスは,N=0(itest=in)から始めなければならない。その後の試験シーケンスは,Nが
1ずつ増加する。このシーケンスは,N=6が上限である。SPDがこれらの印加回数の後に過負荷故障
モードに達しない場合,SPDは交流の過負荷故障モードの試験を実施する。
b) 交流過負荷 SPDは,図3の規定に従って接続する。交流の過負荷電流試験は,製造業者が指定する。
電流は,15分間通電する。開回路電圧(50 Hz又は60 Hz)は,SPDが完全な導通を引き起こすよう
に十分な大きさとする。試験が終了した時点で,取付台は,別のSPDを装着できなければならない。
6.2.1.8
ブラインドスポット試験
多段SPDにブラインドスポットが存在するかどうかを決めるために,新しい試料を用いて次の試験を実
施する。
a) Upを決定するために用いるインパルス波形を選定する。このインパルスを印加中に,オシロスコープ
でインパルス制限電圧,及び電圧−時間の波形を測定する。
b) 開回路電圧をa) で用いる値の10 %まで減少し,オシロスコープで制限電圧を確認しながらSPDに正
極のインパルスを印加する。制限電圧波形は,a) で得たものとは異なることが望ましい。異ならない
場合,より低い開回路電圧を選定する。ただし,この電圧はUcより大きくなければならない。
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c) 制限電圧波形を確認しながら,a) で用いた値の20 %,30 %,45 %,60 %,75 %及び90 %である正極
のインパルス電圧を印加する。
d) 開回路電圧の各パーセンテージの波形において,a) で決定した制限電圧波形に戻った時点で,印加を
中止する。
e) 開回路電圧を5 %減少させて,再試験する。b) に規定する波形を得るまで開回路電圧を,5 %のステ
ップで減少させ続ける。
f)
開回路電圧のこの値で,2回の正極性インパルス及び2回の負極性インパルスを印加する。
a)〜f) を試験した後に,SPDは,5.2.1.2に規定する要求事項を満足しなければならない。
6.2.2
電流制限試験
6.2.2.1
定格電流試験
SPDは,図5に示すように接続する。試験の電圧供給源は,定格電流を十分供給できなければならない。
周波数は,0 Hz(直流),50 Hz又は60 Hzとする。
定格電流試験中に,電流を制限する機能が動作してはならない。各SPDへの試験電流は,Rs又はRs1及
びRs2の抵抗を調整して印加する。試験中の電流制限機能は,定格電流を1時間以上通電できなければな
らない。この試験中,人が触れる部分は過度な温度に達してはならない(IEC 60950の5.1参照)。
6.2.2.2
直列抵抗試験
SPDは,図5に従って接続する。試験電圧は,製造業者が指定する最大遮断電圧未満とする。周波数は,
0 Hz(直流),50 Hz又は60 Hzとする。試験電流は,Rs又はRs1及びRs2の抵抗で調整して,定格電流と等
しくしなければならない。直列抵抗の値は,図5に示す供給電圧e及び電流計によって測定した定格電流
Iによって,次の式で算出する。
I
IR
e
s
−
6.2.2.3
電流応答時間試験
SPDは,図5に従って接続する。供給電圧は,製造業者が指定する最大遮断電圧未満とする。周波数は,
0 Hz(直流),50 Hz又は60 Hzのいずれか一つとし,適用箇所によって選定する。
デバイスは4.2の規定に従って,適切な温度で試験を実施する。試験間隔は,デバイスが次の試験の前
までに,試験温度まで冷める十分な時間をとる。また,冷却のための待ち時間をなくすため,別のデバイ
スを用いることができる。表6に規定する試験電流を供給するために,Rs又はRs1及びRs2を調整する。各
試験電流に対する電流制限機能の応答時間を記録する。応答時間は,電圧印加から電流が定格電流の10 %
に減少するまでの時間とする。試験電流が電流制限素子の最大電流耐量を超える場合,最大の試験電流は,
電流制限素子の最大電流耐量と等しくする。
表6−応答時間に対する試験電流
試験電流
A
1.5×定格電流
2.1×定格電流
2.75×定格電流
4.0×定格電流
10.0×定格電流
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6.2.2.4
電流復帰時間試験
SPDは,図5に従って接続する。供給電圧は,製造業者が指定する最大遮断電圧未満とする。周波数は,
0 Hz(直流),50 Hz又は60 Hzとする。
各SPDへの,初期の負荷電流は,Rs又はRs1及びRs2の抵抗を調整して得た定格電流とする。SPDは,
定格電流で安定動作していなければならない。安定動作後,負荷電流がSPDの電流制限機能が動作するレ
ベルまで増加するような値になるように,Rs又はRs1及びRs2の抵抗を減少させる。この試験条件は,電流
を定格電流の10 %未満に減少させたあと,15分間維持する。
その後,Rs又はRs1及びRs2の抵抗を初期の値に増加させる。負荷電流が定格電流の90 %以上に戻る時
間を記録する。この時間は120秒間未満とする。用途によっては,試験は,自動復旧の電流制限機能のた
めに定格電流よりも低い電流で行ってもよい。復帰可能な電流制限素子は,供給電流を120秒間未満の時
間中断する。この後に,復帰可能な電流制限機能は,電流を制限する機能がその元の状態に戻ったことを
保証するために5分間定格電流を通電する。
6.2.2.5
最大遮断電圧試験
SPDは,図5に従って接続する。試験電圧は,製造業者が指定する最大遮断電圧とする。周波数は0 Hz
(直流),50 Hz又は60 Hzとする。SPDの電流制限素子の動作を引き起こす値に,Rs又はRs1及びRs2の抵
抗を調整する。この試験条件を,1時間維持する。1時間後に,SPDの電流制限機能は,5.2.2.2,5.2.2.3及
び5.2.2.4に規定する要求事項を満足しなければならない。
6.2.2.6
動作責務試験
SPDは,図5に従って接続する。試験電圧は,製造業者が指定する最大遮断電圧とする。周波数は,0 Hz
(直流),50 Hz又は 60 Hzとする。
各々のSPDへの負荷電流は,SPDを一時的に短絡回路に置き換え,表7から選定した値に調整(Rs又は
Rs1及びRs2の抵抗によって)する。選定した値は電流制限機能を十分動作させなければならない。回路中
にSPDを挿入後,定格電流の10 %未満に減少するまで試験電流を通電する。
各々のSPDが動作後,2分間以上又は電流制限素子が元の状態に戻るまで電源を取り外す。試験電流を
印加するサイクルは,電源供給がない期間後に継続して,表7に規定する回数繰り返す。最終サイクルの
後に,SPDは,5.2.2.2,5.2.2.3及び5.2.2.4に規定する要求事項を満足しなければならない。
表7−動作責務試験での電流推奨値
電流(直流又は実効値)
A
印加回数
0.5
60
1
10
3
5
5
5
10
3
6.2.2.7
電流制限機能に対する交流電流耐久性試験
SPDは,図6に従って接続する。交流短絡電流は,表8から選定する。SPDに熱が蓄積するのを防ぐた
めに十分な時間間隔で,規定する回数の電流を印加する。交流電源の最大電圧は,製造業者が規定する最
大遮断電圧以下とする。試験前及び印加試験終了後,SPDは,5.2.2.1,5.2.2.2及び5.2.2.3に規定する要求
事項を満足しなければならない。
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電流は,表8から選定する適切な端子に印加する。3端子SPD及び5端子SPDにおいて要求がある場合,
電流は端子X1−X2に印加してもよい。3端子SPD及び5端子SPDの試験の場合,防護していない側の端
子の各対(X1−C及びX2−C)は,同時に同極性で,又は別々に試験してもよい。
表8−交流電流耐久性試験の電流推奨値
48 Hz〜62 Hz
短絡電流(実効値)
A
継続時間
s
印加回数
試験端子
0.25
1
5
X1−C
X2−C
X1−X2
0.5
1
5
0.5
30
1
1
1
5
1
1
60
2
1
5
2.5
1
5
5
1
5
6.2.2.8
電流制限機能に対するインパルス耐久性試験
SPDは,図7に従って接続する。インパルス電圧及び電流は,表9から選定する。SPDに熱が蓄積する
のを防ぐために十分な時間間隔で,規定する回数の電流を印加する。規定する試験回数の半分は一つの極
性で,また残りの半分回数は反対の極性で試験する。又は,試料の半分は一つの極性で試験し,残りの半
分を反対の極性で試験してもよい。試験前及び印加試験終了後,SPDは,5.2.2.1,5.2.2.2及び5.2.2.3に規
定する要求事項を満足しなければならない。
インパルス電流は,表9から選び,適切な端子に印加する。3端子SPD及び5端子SPDの場合,インパ
ルス電流は,端子X1−X2に印加してもよい。3端子SPD及び5端子SPDの試験の場合,防護していない
側の各対(X1−C及びX2−C)を同時に同極性で,又は別々に試験してもよい。
低電流ヒューズは,試験中,SPDの定格内において,I2tレベルで小さいことを要求する場合がある。電
流制限器は,最小保護負荷インピーダンス又は電圧(例えば,ガス入り放電管のアーク状態)で動作する
ように設計してもよい。要求がある場合,これを試験回路に加えなければならない。
表9−インパルス耐久性の電流推奨値
開回路電圧
短絡回路電流
印加回数
試験端子
1 kV
100 A,10/1 000
30
X1−C
X2−C
X1−X2
1.5 kV 10/700
37.5 A,5/300
10
最大遮断電圧
25 A,10/1 000
30
最大遮断電圧
ITU-T Recommendation K.44の
図A3−1
10
4 kV,1.2/50
2 kA,8/20
10
注記 対応国際規格において,ITU-T Recommendation K.17の図1と規定しているが,このITU-T
Recommendationは廃止されている。廃止となったK.17の技術内容を引き継いでいるものが,
K.44であるため修正した。
6.2.3
伝送試験
26
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2.3.1
静電容量試験
SPDの静電容量は,1 MHzで1 V(実効値)の周波数信号発生器を用いて,規定する端子間で測定する。
一対の端子を測定し,測定に関与しない端子は,全てまとめて接続し,周波数信号発生器の接地端子に接
続する。直流バイアスは印加しない。一部のSPDの静電容量は,バイアス電圧に依存することに注意する。
一部の用途においては,このバイアス電圧が通信回線の1回線だけに現れ,重大な静電容量の不均衡を生
じる場合がある。
6.2.3.2
挿入損失試験
挿入損失はデシベルで表し,適切な特性インピーダンスをもつ1 m以下のリード線を用いて測定する。
測定は,図8の回路を用い,SPDを短絡回路に置き換えて行う。その後,SPDを挿入してデシベル測定を
行う。挿入損失は,この二つの測定間のベクトル差である。表10に特性インピーダンス,周波数範囲及
びケーブルの種類を示す。推奨試験レベルは−10 dBmである。
図8の試験リード線及び結合するバランの測定損失は,伝送周波数帯域内で3 dB以下でなければならな
い。挿入損失は,SPDを用いる伝送の周波数帯域内で測定し記録する。
表10−図8のための標準パラメータ
周波数範囲
特性インピーダンスZ0
ケーブルの種類
300 Hzを超え4 kHz以下
600 Ω
対より線
4 kHzを超え250 MHz以下
100 Ω,120 Ω又は150 Ω
対より線
1 GHz以下
50 Ω又は75 Ω
同軸
1 GHzを超えるもの
50 Ω
同軸
6.2.3.3
リターンロス試験
リターンロスはデシベルで表示し,適切な特性インピーダンスをもつ1 m以下のリード線を用いて測定
する。測定は,図9の回路を用い,SPDを短絡回路に置き換えて行う。その後SPDを挿入してデシベル測
定を行う。表10に,特性インピーダンス,周波数範囲及びケーブルの種類を示す。推奨試験レベルは,
−10 dBmである。
SPDに信号を印加して,インピーダンスの不連続によって反射する信号を,信号を印加する端子で測定
する。リターンロスは,SPDを用いる伝送周波数帯域内で測定し記録する。
6.2.3.4
縦バランス又は縦コンバージョンロス(LCL)試験
次に示す式によって算出する縦バランスは,ITU-T Recommendation O.9:1999に規定する縦コンバージ
ョンロス(LCL)と等しい。
図10は,3端子,4端子及び5端子SPDの縦バランス試験の接続を示す。4端子及び5端子SPDは,ス
イッチS1の開及び閉の両方を行う。縦バランスは,SPDに発生する電圧Vmに対する供給した縦電圧Vsの
比率で,次の式を用いて算出し,デシベルで表示する。
m
s
10
log
20
V
V
LCL=
ここに,
LCL: ITU-T Recommendation O.9:1999に規定する縦コンバー
ジョンロス(dB)
Vs: 供給した縦電圧
Vm: SPDに生じる電圧
Vs及びVmに用いる信号は同じ周波数とする。
27
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
高周波における正確な測定のため,バランを試験回路の図10に示す抵抗器の代わりに用いてもよい。線
間インピーダンスZ1及び縦インピーダンスZ2の試験ブリッジ構成は,実際には全ての状態を表現してい
ない。終端インピーダンス及び測定周波数のための,特別に考慮する周波数範囲及び電圧のような,想定
できる伝送特性値及び範囲は,関連するITU-T Recommendationに示す。190 kHzまでの異なる周波数範
囲における値及びインピーダンスの例を,表11に規定する。その他の規定がない場合,測定は周波数を増
加させて実施する。例えば,アナログ回線に用いる場合は,200 Hz,500 Hz,1 000 Hz及び4 000 Hzで行
い,デジタルISDN回線に用いる場合は,5 kHz,60 kHz,160 kHz及び190 kHzで行う。測定回路自体の
縦バランスはSPDの縦バランス値に比べ20 dB以上大きいことが望ましい。SPDの縦バランスが直流バイ
アスに依存する場合,各SPD端子に適切な直流バイアス電圧を印加して試験する。測定回路に要求に対す
る事項は,ITU-T Recommendation O.9に規定する。
表11−縦バランス試験に対するインピーダンス値
周波数f
回線
インピーダンスZ1 a)
インピーダンスZ2 b)
4 kHz以下
アナログ
300 Ω
150 Ω
190 kHz以下
ISDN
55 Ω又は67.5 Ω
20 Ω〜40 Ω
30 MHz以下
ADSL2+,VDSL
67.5 Ω
20 Ω〜40 Ω
注a) 試験回路と実際の縦バランスとの違いは,僅かに存在する端子の入力インピーダンスである。そのため,
この解析方法は,ほぼ全て論理的な入力インピーダンスを適用する。Z1及びZ2の規定の詳細は,関連製
品の規格を参照する。
b) Z2は,Z1の半分と等しい。
縦コンバージョンロスがSPDの直列抵抗の整合性に依存する場合,バランスは,直列抵抗間の最大の抵
抗又は百分率の差として規定してもよい。
6.2.3.5
ビットエラー率(BER)試験
ビットエラー率(図11参照)は,ビットエラー数を全ビット数で除した値であって,伝送装置又はデー
タ記憶装置の性能確認として用いる。例えば,100 000ビットの出力のうち,2.5の誤ったビットがあった
場合,105出力中2.5又は2.5×10−5となる。異なる伝送レートでの試験時間例を,表12に規定する。
BER試験はSPDの接続による変化を測定するため実施している。BER試験は,ITU-T Recommendation
G群(例えば,ISDNではITU-T Recommendation G.821,ADSL2ではITU-T Recommendation G.992.3,
VDSLではITU-T Recommendation G.993.1など)に規定がある。
表12−ビットエラー率試験のための試験時間
擬似乱数のビットパターン(R)
試験時間
64 kbit/s未満
1 h
64 kbit/s以上 1 554 kbit/s未満
30 min
1 554 kbit/s以上
10 min
6.2.3.6
近端漏話(NEXT)試験
漏話は,図12に示す回路で,SPDに終端した平衡のとれた短い試験用リード線で測定する。平衡のと
れた入力信号をSPDの妨害する側の回線に印加し,影響を受ける回線上に誘導した信号を試験リード線の
近端で測定する。推奨する試験信号は,−10 dBmである。結合バラン及び試験リード線の損失は,伝送周
波数帯域内で3 dB以下とする。近端漏話は,SPDを用いる伝送周波数帯域内で測定し記録する。
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6.3
機械的試験
6.3.1
端子及びコネクタ
接続用の端子が5.3.1に規定する要求事項を満足することを確認する。
6.3.1.1
一般試験方法
SPDは,製造業者が推奨する方法によって取り付け,不適切な外部加熱又は冷却から保護する。その他
の規定がない場合,SPD端子は,次に規定する最も厳しい条件(最大又は最小の断面積)で導体を配線す
る。
− 端子及び防護端子の両方をもつSPDに対しては,表13による。
− その他のSPDに対しては,製造業者の指定に従う。
試験用SPDは,厚さ約20 mmの黒色に塗装した木板に固定する。固定方法は,製造業者が指定する取
付方法に従う。試験中に試料の整備又は取外しは行わない。
6.3.1.2
ねじ端子試験
SPDに接続する場合のねじの操作の適否は,次の試験を行い,検査によって判定する。
ねじは,次の事項に従って締付けと緩めを実施する。
− 絶縁材料のねじ山とねじのかみ合いに対しては,10回実施する。
− その他の場合は,5回実施する。
絶縁材料のねじ山とかみ合うねじ又はナットは,毎回完全に取り外してから再挿入する。試験は,製造
業者が指定するトルクを適用し,適切なドライバ又はスパナを用いて実施する。ねじは,急激に締めては
ならない。ねじを緩めるごとに導体を取り外す。試験中に,ねじ締めした接続が緩んではならない。また,
ねじの破損及びねじの頭部,ねじ山,ワッシャ,スターラップなどのSPDの使用を害する損傷があっては
ならない。外囲器及びカバーも同様に損傷してはならない。
表13−ねじ端子又はねじなし端子に接続可能な銅導体の断面積
SPDの最大定格電流
A
銅導体の公称断面積
mm2
AWG−端子(参考)
1以下
0.1〜1
18〜26
1を超え 13以下
1〜2.5
14〜18
13を超え 16以下
1〜4
12〜18
6.3.1.3
ねじなし端子試験
適否は,次の試験を行い,検査によって判定する。
2ポートSPDは,表13によって,1ポートSPDは製造業者の指定する値によって,最小及び最大断面
積の新しい導体を端子に取り付ける。その後,各導体は,表14に規定する値で引っ張る。引張り力は,
急激ではなく導体の軸方向に1分間加える。試験中に,端子に接続した導体の移動又は損傷があってはな
らない。
表14−引張り力(ねじなし端子)
断面積
mm2
0.5
0.75
1.0
1.5
2.5
4
引張り力
N
30
30
35
40
50
60
29
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6.3.1.4
絶縁貫通形締付式接続方法
6.3.1.4.1
単心導体用SPD端子の引張り試験
適否は,次の試験を行い,検査によって判定する。
端子には,6.3.1.1に規定する単心又はより線の最小又は最大の断面積のいずれか厳しいほうの新しい銅
導体を取り付ける。ねじの締付けは,製造業者の推奨方法がある場合にはそれに従う。導体は,毎回新し
い導体を使用し,5回接続分離を行う。各接続の後に,導体を表14に規定する値で導体の軸方向に急激で
はなく1分間引っ張る。試験中に,端子に接続した導体の移動又は損傷があってはならない。
6.3.1.4.2
多心ケーブル又はコード用SPD端子の引張り試験
個々の心線ではなく,多心ケーブル又はコード全体に引張り力が加わる場合を除き,多心ケーブル又は
コード用SPD端子の引張り試験は,6.3.1.4.1によって実施する。引張り力は,次の式によって算出する。
()n
x
F
F=
ここに,
F: 全体の引張り力
n: 心線数
F(x): 一つの導体断面積での1心線に対する引張り力
(表14参照)
試験中に,ケーブル又はコードは,端子から外れてはならない。
6.3.2
機械的な強度(取付け)試験
設置又は使用中に受けるストレスに耐えるために,SPDは,適切な機械的な強度があることを検査によ
って確認する。
6.3.3
固形物の侵入及び水の浸入に対する耐性試験
IPコードを確認するための試験は,JIS C 0920による。
6.3.4
直接接触保護試験
a) 絶縁部材 試料は,通常用いるように取り付け,表13に規定する最小の断面積をもつ導体を取り付け
る。試験は最大の断面積をもつ導体を用いて繰り返す。JIS C 0920に規定する標準試験指を,接触で
きる全ての場所に接触させる。プラグインSPD(工具を使用しないで取替えが可能)は,プラグを部
分的に又は完全にソケットに接続した状態で,試験指をあらゆる可能な場所に接触させる。40 V〜50 V
の電圧の電気計器を用いて関連部分の導通の有無を確認する。
b) 金属部材 SPDを通常用いるように結線して取り付けたときに接近可能な金属部分は,充電部分から
絶縁した取付台及びカバー,又はソケットのカバープレートを固定するねじ若しくは類似部品を除き,
低抵抗接続で接地しなければならない。定格電流の1.5倍に等しいか,又は25 Aのいずれか大きい方
の電流値(12 V以下の無負荷電圧をもつ交流電源から供給する。)を,接地端子と接近可能なそれぞ
れの金属部分の間に順に流す。接地端子と接近可能な金属部分との間の電圧降下を測定し,電流及び
この電圧降下から抵抗値を算出する。抵抗値は,0.05 Ωを超えてはならない。
注記 測定用プローブの先端と試験対象の金属部材との間の接触抵抗が,試験結果に影響を及ぼさ
ないように注意することが望ましい。
6.3.5
耐火性試験
次の条件に基づきJIS C 60695-2-11に規定する4.〜10. の規定に従ってグローワイヤ試験を実施する。
− 通電部品及び防護回路部品の位置を保持するために必要な絶縁材で作ったSPDの外部部品に対して
は850 ℃±15 ℃の温度で行う。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 絶縁材で作ったその他の全ての外部部品に対しては650 ℃±10 ℃の温度で行う。
この試験では,表面取付形SPDの基台は,外部部品とみなす。この試験は,セラミック材からなる部品
に対して行わない。同じ材料の絶縁部品の場合,試験は,適切なグローワイヤ試験温度で,これらの部品
の一つに対してだけ実施する。
グローワイヤ試験は,規定する試験条件下で電気的に加熱した試験ワイヤが絶縁部品の引火の原因とは
ならないことを確認するために適用する。又は,この試験は規定の試験条件下で加熱した試験ワイヤで発
火の可能性のある絶縁材料が,炎又は試験部品から落下した燃焼部品又は飛まつによって燃焼を拡大する
ことなく燃焼時間を制限できることを確認するために適用する。
試験は,1個の試料について行う。判定に疑義が生じた場合,更に2個の試料について試験を繰り返す。
試験は,グローワイヤを1回だけ用いて実施する。試験中,試料は,その意図した用途の中で最も厳しい
条件の位置に置く(表面は垂直位置で試験する。)。グローワイヤの先端は,加熱又は赤熱する素子が試料
と接触するように意図した使用条件を考慮して,規定する試料の表面に押し当てる。
次のうちいずれかの場合,試料は合格とする。
a) 炎又は赤熱が見えない場合。
b) グローワイヤを取り去ってから,30秒間以内に試料の炎又は赤熱が消える場合で,ティッシュペーパ
(薄葉紙)が発火したり,松の板が焦げたりしない。
6.4
環境試験
6.4.1
高温高湿耐久性試験
SPDは,表15から選定した期間,高温高湿度条件に保持する。温度は,80 ℃±2 ℃,相対湿度は,9006
+ %
とする。
SPDは,図13に示す適切な試験回路を用いて試験する。試験中は直流又は交流を供給する。供給電源
電圧は,5.2.1.1に規定する最大連続使用電圧と等しくしなければならない。この電源は,試験中にSPDに
流れる電流を供給するのに十分な能力をもたなければならない。暴露試験後,SPDは,23 ℃±2 ℃の周
囲温度に冷却する。
表15−高温高湿耐久性に対する試験時間の推奨値
試験時間(日)
10
21
30
56
6.4.2
インパルス・サージを伴う環境サイクル試験
SPDは,表16から選定したサイクルに対応する期間,結露しない環境サイクルに暴露する。暴露試験
中は,表3に規定する特性をもつインパルスの発生器を,表3に規定するカテゴリCから選定した十分な
開回路電圧を印加するために用いる。
サイクルAを選定する場合,2回のインパルス電流を連続した5日間の各サイクルで印加する。続く2
日間は印加なしで行う。代替案としてサイクルBを選定する場合,2回のインパルス電流は,最初の日及
び最後の日に印加する。サージを印加する日ごとに,1回のインパルス電流を表16に規定する高温度T1
の条件下で,また,もう1回を表16に規定する低温度T2の条件下で印加する。各々のインパルス電流は,
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低温度及び高温度で,放置している時間の中心の1時間以内に印加する。印加する日のインパルス電流は,
同じ極性を印加し,次の試験日は,極性を反転して印加する。この手順は,環境サイクル試験の完了まで
繰り返し行う。
SPDは,図13の適切な試験回路を用いて試験を実施し,SPDには,環境サイクル試験を通して直流電
圧を供給する。直流電源の正極性又は負極性の電圧レベルは,5.2.1.1に規定する定格電圧を超えてはなら
ない。SPDにインパルス電流を印加するときには,直流電源を取り外す。
表16−環境サイクル試験の温度及び期間の推奨値
サイクル
高温度(T1)
℃
低温度(T2)
℃
サイクル回数
サイクルA−図14
32±2
4±2
30
サイクルB−図15(JIS C 60068-2-30:1988の6.3.3の方法2
に基づく)
40又は55±2
25±3
5
インパルス電流を印加するごとに,インパルス制限電圧を測定する。絶縁抵抗は,各インパルス電流印
加後の1時間以内に測定する。SPDが直流電源の極性に依存することが分かっている場合,正極性及び負
極性で絶縁抵抗試験を実施する。環境サイクル試験の終了後 1時間以内に,SPDは,5.2.1.2及び5.2.1.3
の要求事項を満足しなければならない。
6.4.3
交流通電を伴う環境サイクル試験
SPDは,表16から選定したサイクルに対応する期間,結露しない環境サイクルに暴露する。暴露試験
中は,表5から選定した短絡電流を流すことができる電源を用いて開回路電圧を印加する。
サイクルAを選定する場合,2回のインパルス電流を連続した5日間の各サイクルで印加する。続く2
日間は印加なしで行う。代替案としてサイクルBを選定する場合,2回のインパルス電流は,最初の日及
び最後の日に印加する。サージを印加する日ごとに,1回のインパルス電流を表16に規定する高温度T1
の条件下で,また,もう1回を表16に規定する低温度T2の条件下で印加する。交流サージは,低温度及
び高温度で,放置している時間の中心の1時間以内に印加する。この手順は,環境サイクル試験の完了ま
で実施する。
SPDに交流電圧を印加するときには,図13の適切な試験回路を用いて試験し,環境サイクル試験を通
して直流電源で駆動する。直流電源の正極性又は負極性の電圧レベルは,5.2.1.1に規定する定格電圧を超
えてはならない。SPDに,交流電流を印加するときには直流電源を取り外す。
電流サージを印加するごとに交流制限電圧を測定する。絶縁抵抗は,各交流サージ印加後の1時間以内
に測定する。SPDが直流電源の極性に依存することが分かっている場合,正極性及び負極性で絶縁抵抗試
験を実施する。環境サイクル試験の終了後1時間以内に,SPDが,インパルス制限電圧及び絶縁抵抗の要
求事項を満足しなければならない。
6.5
受入試験
受入試験は,製造業者と使用者との間の合意によって行う。
32
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O,O1及びO2 :オシロスコープ
V
:電圧制限素子
E,E1及びE2 :直流電源
V,I
:電圧制限素子,
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
G
:インパルス発生器
C
:共通端子
IE
:隔離要素
X1及びX2 :端子
Rs,Rs1及びRs2 :無誘導抵抗
Y1及びY2 :防護端子
図2−インパルスリセット時間試験回路
E
Rs
G
IE
V,I
X1
Y2
Y1
O
X2
E1
Rs1
G
IE
X1
C
X2
V,I
E2
Rs2
O1
O2
IE
Y1
Y2
Rs1
X1
X2
Rs2
O1
O2
C
E1
E2
G
IE
IE
V
X1
C
Y1
V,I
G
IE
E
Rs
O
E
Rs
G
IE
V
X1
X2
O
a) 2端子SPD
b) 3端子SPD(1)
c) 3端子SPD(2)
d) 4端子SPD
e) 5端子SPD
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A,A1及びA2 :電流計
V
:電圧制限素子
E
:交流電源
V,I
:電圧制限素子,
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
Rs,Rs1及びRs2 :無誘導抵抗
X1及びX2 :端子
Y1及びY2
:防護端子
C
:共通端子
図3−交流耐久性及び過負荷での故障モード試験回路
A
V
E
X1
X2
Rs
A
V, I
E
X1
C
Rs
Y1
A
E
X1
X2
Rs
Y1
Y2
V, I
E
C
Rs1
Rs2
A1
A2
X1
X2
Y1
Y2
V, I
V
E
X1
X2
C
Rs1
Rs2
A1
A2
a) 2端子SPD
b) 3端子SPD(1)
c) 3端子SPD(2)
d) 4端子SPD
e) 5端子SPD
34
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
O,O1及びO2 :Upモニタ用オシロスコープ
V
:電圧制限素子
G
:インパルス発生器
V,I
:電圧制限素子,
X1,X2 … Xn :端子
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
C
:共通端子
Y1,Y2 … Yn :防護端子
CD
:電流分流器
図4−インパルス耐久性及び過負荷での故障モード試験回路
G
V
X1
X2
O
O
G
X1
Y2
Y1
X2
V,I
G
O1
O2
C
O
X1
C
Y1
G
V,I
C
CD
1 2 3
n
X1
X2
X3
Xn
Y1
Y2
Y3
Yn
G
V,I
・
・
・
O1
O2
G
C
X1
X2
V
a) 2端子SPD
b) 3端子SPD(1)
c) 3端子SPD(2)
d) 4端子SPD
e) 5端子SPD
X1
X2
Y1
Y2
V,I
f) 多端子SPD
35
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A,A1及びA2 :電流計
V,I
:電圧制限素子,
E,E1及びE2 :直流又は交流電源
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
Rs,Rs1及びRs2 :無誘導抵抗
X1及びX2 :端子
Y1及びY2 :防護端子
C
:共通端子
図5−定格電流,直列抵抗,電流応答時間,電流復旧時間,最大遮断電圧及び動作責務試験の試験回路
V, I
E
X1
C
Rs
Y1
A
X1
X2
Y1
Y2
E2
E1
V, I
A2
A1
Rs1
Rs2
a) 3端子SPD(1)
b) 4端子SPD
c) 5端子SPD
Rs1
Rs2
C
V, I
X1
X2
Y1
Y2
E2
E1
A2
A1
36
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A,A1及びA2 :電流計
V,I
:電圧制限素子,
E
:交流電源
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
Rs,Rs1及びRs2 :無誘導抵抗
X1及びX2 :端子
Y1及びY2
:防護端子
C
:共通端子
図6−交流耐久性試験回路
A
V, I
E
X1
C
Rs
Y1
A
E
X1
X2
Rs
Y1
Y2
V, I
E
X1
X2
Y1
Y2
A1
A2
Rs1
Rs2
V, I
E
X1
X2
Y1
Y2
C
A1
A2
Rs1
Rs2
V, I
a) 3端子SPD(1)
b) 4端子SPD(横)
c) 4端子SPD(縦)
d) 5端子SPD
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C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
O,O1及びO2 :オシロスコープ
V,I
:電圧制限素子,
G
:インパルス発生器
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
X1及びX2
:端子
Y1及びY2 :防護端子
C
:共通端子
図7−インパルス耐久性試験回路
G
V, I
X1
Y2
Y1
O
X2
G
X1
X2
V, I
O1
O2
Y1
Y2
G
X1
X2
V, I
O1
O2
Y1
Y2
C
G
V, I
C
Y1
O
X1
a) 3端子SPD(1)
b) 4端子SPD(横)
c) 4端子SPD(縦)
d) 5端子SPD
38
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
N:ネットワークアナライザ
B:バラン
図8−挿入損失試験回路
N :ネットワークアナライザ
R :反射ブリッジ
B :バラン
Z1 :100 Ω,120 Ω又は150 Ωの終端インピーダンス
図9−リターンロス試験回路
N
SPD
B
R
Z1
N
SPD
B
B
39
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Vs
:コモンモード(縦)電圧
V
:電圧制限素子
Vm
:ディファレンシャル(横)電圧
V,I
:電圧制限素子,
Z1,Z2 :インピーダンス
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
Y1,Y2 :防護端子
X1,X2 :端子
C
:共通端子
図10−縦バランス試験回路
Vs
Z1
Z1
V, I
X1
X2
Y1
Y2
Vm
Z1
Z1
Z2
S1
C
V
Vs
X1
X2
Z1
C
Z1
Vm
Vs
Z1
Z1
V, I
X1
X2
Y1
Y2
Vm
Z1
Z1
Z2
S1
a) 3端子SPD(2)
b) 4端子SPD
c) 5端子SPD
40
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
T
:BER測定器
V
:電圧制限素子
V,I
:電圧制限素子,又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
X1及びX2 :端子
Y1及びY2 :防護端子
C
:共通端子
図11−ビットエラー率試験回路
T
V
X1
X2
T
V,I
X1
Y1
C
T
V
X1
X2
C
T
V,I
X1
X2
Y1
Y2
T
V,I
X1
X2
Y1
Y2
C
a) 2端子SPD
b) 3端子SPD(1)
c) 3端子SPD(2)
d) 4端子SPD
e) 5端子SPD
41
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
N
:ネットワークアナライザ
B
:バラン
Z1,Z2 :インピーダンス
図12−近端漏話試験回路
N
B
B
SPD
Z1
Z2
42
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
E
X1
X2
Rs
V
E
X1
C
Rs
V,I
Y1
E
V,I
X1
Y2
Y1
X2
Rs
E1
V,I
X1
Y2
Y1
X2
Rs1
E2
Rs2
C
a) 2端子SPD
b) 3端子SPD(1)
X1
X2
Rs
V
C
E
c) 3端子SPD(2)
d) 4端子SPD
e) 5端子SPD
E,E1及びE2 :直流又は交流電源
V
:電圧制限素子
Rs,Rs1及びRs2 :無誘導抵抗
V,I
:電圧制限素子,
又は電圧制限素子と電流制限素子との複合素子
X1及びX2
:端子
Y1及びY2 :防護端子
C
:共通端子
図13−高温高湿耐久性及び環境サイクル試験回路
43
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
0
35
30
25
20
15
10
5
0
環
境
温
度
(
T
A
)
℃
時間 t h
2
4
6
8
10 12 14
16 18 20 22 24
図14−湿度90 %以上の環境サイクルA
44
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
T1 :上限温度,+40 ℃又は+55 ℃
t1 :温度上昇の最後
t2 :温度下降の開始
図15−環境サイクルB
湿
度
(
H
)
%
70
80
90
100
90 %
96 %
95 %
15
min
80 %
95 %
t1 h
t2 h
時間t h
環
境
温
度
(
T
A
)
℃
T1 ℃+2 ℃
T1 ℃−2 ℃
T1
25
28 ℃
22 ℃
0.5 h
3 h
12±1/2 h
3 h
6 h
24 h
15
min
15
min
0.5 h
45
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
電流制限素子だけをもつデバイス
電流制限素子だけを備えたデバイスの構成を,図A.1に示す。このようなデバイスは,5.2.2に規定する
適用可能な要求事項について試験することが望ましい。6.2.2に規定する試験で用いる電源電圧は,製造業
者が指定する最大断続電圧に等しいか,又はそれ以下の値とする。電流防護デバイスは,更にその用途に
応じて,6.3に規定する試験,及び6.2.3に規定する選定した試験を実施する。
a) 2端子電流制限器
b) 3端子電流制限器
c) 4端子電流制限器
d) 5端子電流制限器
I
:電流制限素子
X1及びX2 :端子
Y1及びY2 :防護端子
C
:共通端子
図A.1−電流制限素子だけを備えたデバイスの構成
I
Y1
X1
Y2
X2
C
Y1
I
X1
I
Y1
X1
C
I
Y1
X1
Y2
X2
46
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(この附属書は,対応国際規格でも削除のため,この規格でもそのまま削除とした。)
附属書C
(この附属書は,対応国際規格でも削除のため,この規格でもそのまま削除とした。)
47
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(参考)
測定精度
IEC 61083-1は,アナログ式インパルスレコーダ,及びプローブが付随しているデジタルオシロスコー
プといったデジタル式インパルスレコーダの測定精度を規定している。アナログレコーダは,信号の上昇
時間よりも5倍速い上昇時間を検出できる性能をもたなければならない。これは,表示した立ち上がり時
間における2 %未満の誤差を保証する。デジタルレコーダは,30/TX以上のサンプル時間をもたなければ
ならない。TXは測定するための時間間隔である。インパルスのパラメータの評価の場合は,フルスケー
ルの偏差の0.4 %(2−8のフルスケールの偏差),又はより高い定格分解能を推奨する。記録の比較を行う
参考試験には,フルスケールの偏差の0.2 %(2−9のフルスケール偏差)の定格分解能又はそれ以上のもの
を用いる。IEC 61083-1は,規定する波形における追加の精度パラメータも取り扱っている。
48
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E
(参考)
レットスルー電流(Ip)の決定
SPDの出力端子の最大レットスルー電流IPを決定するために,入力端子は表3から選定した規定のイン
パルス試験を実施するように,露出させることが望ましい。短絡回路(図E.1〜図E.6)の出力電流波形を
測定する。測定波形が表3によって与える波形と等しい場合,IP値は,測定電流のピーク値となる。測定
波形が,表3に規定する波形から外れる場合,図1 b)〜図1 f) で測定した最大電流がIPに相当する。図1 a)
では,IPは,発生器の短絡回路電流に等しい。協調の正確な推定値を得るためには,エネルギー通過方法
(LTE)(JIS C 5381-12のF.5,又はJIS Z 9290-4のC.4)を用いる。
SPDの協調を推定するには,このレットスルー電流(IP)の判定を用いる(JIS C 5381-22の附属書E図
1参照)。
幾つかの試験インパルスが決まっていれば,それぞれのインパルス試験のためにUPとIPの最大値を示
すことが望ましい。SPDのタイプによって,試験a),b) 又はc) を選んでもよい(1.2参照)。
a) 差動モードのIPを決定するための試験インパルスの非対称適用例(図E.1参照)。試験インパルスは,
SPDの入力側に印加する。
b) コモンモードのIPを決定するための試験インパルスの対称のない適用例(図E.2参照)。試験インパ
ルスは,SPDの入力側に印加する。
c) 差動モードのIPを決定するための試験インパルスの対称適用例(図E.3参照)。試験インパルスは,
電流分配器(1:2)によってSPDの入力側に印加する。
d) 差動モードのIPを決定するための試験インパルスの非対称適用例(図E.4参照)。試験インパルスは,
SPDの入力側に印加する。
e) コモンモードのIPを決定するための試験インパルスの対称適用例(図E.5参照)。試験インパルスは,
電流分流器(1:2)によってSPDの入力側に印加する。
f)
コモンモードのIPを決定するための試験インパルスの対称適用例(図E.6参照)。試験インパルスは,
電流分流器(1:n)によってSPDの入力側に印加する。
注記 IPの値は,発生器のサージ電流と同じである。
図E.1−2端子SPDの差動モード レットスルー電流の決定
Ip
[ 図1 e) ]
A
G
SPD
[ 図1 のa) ]
X1
X2
49
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図E.2−3端子SPD(1)のコモンモード レットスルー電流の決定
図E.3−3端子SPD(2)の差動モード レットスルー電流の決定
図E.4−4端子SPDの差動モード レットスルー電流の決定
図E.5−5端子SPDのコモンモード 最大レットスルー電流の決定
図E.6−多端子SPDのコモンモード 最大レットスルー電流の決定
Ip
A
C
X1
Y1
G
SPD
[ 図1のb) ]
[ 図1 e) ]
A
C
X1
X2
G
SPD
[ 図1の c) ]
Ip
CD
Y2
A
X1
X2
Y1
G
SPD
[ 図1の d) ]
Ip
Ip
[ 図1 e) ]
A
C
X1
X2
Y1
Y2
G
SPD
[ 図1 のe) ]
CD
A
C
X1
Xn
・
・
・
Y1
Yn
・
・
・
G
SPD
[ 図1 のf) ]
Ip
CD
50
C 5381-21:2014 (IEC 61643-21:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献 JIS C 5381-12 低圧サージ防護デバイス−第12部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防
護デバイスの選定及び適用基準
注記 対応国際規格:IEC 61643-12,Low-voltage surge protective devices−Part 12: Surge
protective devices connected to low-voltage power distribution systems−Selection and
application principles(IDT)
JIS C 5381-22 通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準
注記 対応国際規格:IEC 61643-22,Low-voltage surge protective devices−Part 22: Surge
protective devices connected to telecommunications and signalling networks−Selection and
application principles(IDT)
JIS C 60068-1:1993 環境試験方法−電気・電子−通則
注記 対応国際規格:IEC 60068-1:1988,Environmental testing, Part 1: General and guidance
(IDT)
JIS C 60068-2-38:1988 環境試験方法(電気・電子)温湿度組合せ(サイクル)試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-38:1974,Environmental testing, Part 2: Tests, Test Z/AD:
Composite temperature/humidity cyclic test(IDT)
JIS Z 9290-4:2009 雷保護−第4部:建築物内の電気及び電子システム
注記 対応国際規格:IEC 62305-4:2006,Protection against lightning−Part 4: Electrical and
electronic systems within structures(IDT)
ISO/IEC 11801:1995,Information technology−Generic cabling for customer premises
IEC 60050 (702):1992,International Electrotechnical Vocabulary−Chapter 702: Oscillations, signals
and related devices
IEC 60050 (726):1982,International Electrotechnical Vocabulary, Transmission lines and waveguides
IEC 60060-2:1994,High voltage test techniques−Part 2: Measuring systems
IEC 60364-5-51:2005,Electrical installations of buildings−Part 5-51: Selection and erection of
electrical equipment−Common rules
IEC 60721-3-3:1994,Classification of environmental conditions−Part 3: Classification of groups of
environmental parameters and their severities−Section 3: Stationary use at weatherprotected
locations
IEEE C62.36:1994,IEEE Standard Test Methods for Surge Protectors Used in Low-Voltage Data,
Communications, and Signaling Circuits (ANSI)
IEEE C62.64:1997,IEEE Standard Specifications for Surge Protectors Used in Low-Voltage Data,
Communications, and Signaling Circuits
ITU-T Recommendation K.12:1995,Characteristics of gas discharge tubes for the protection of
telecommunications installations
ITU-T Recommendation K.20:1996,Resistibility of telecommunication switching equipment to
overvoltages and overcurrents
ITU-T Recommendation K.21:1996,Resistibility of subscriber's terminal to overvoltages and
overcurrents
ITU-T Recommendation K.28:1993,Characteristics of semi-conductor arrester assemblies for the
protection of telecommunications installations