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C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本電子材料工業会 (EMAJ)/財団

法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工

業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 61643-1 : 1998,Surge protective

devices connected to low-voltage power distribution systems−Part 1 : Performance requirements and testing

methods を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS C 5381-1

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  クラスⅠ試験を適用する場合の SPD に対する配慮

附属書 B(規定)  TOV 値


C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)  目次

目  次

ページ

序文

1

1.

  一般

1

1.1

  適用範囲

1

1.2

  引用規格

1

2.

  使用状態

4

2.1

  標準の使用状態

4

2.2

  特殊な使用状態

4

3.

  定義

4

3.1

  サージ防護デバイス  (surge protective device) (SPD)

4

3.2

  ポート SPD (one-port SPD)

4

3.3

  ポート SPD (two-port SPD)

4

3.4

  電圧スイッチング形 SPD (voltage switching type SPD)

4

3.5

  電圧制限形 SPD (voltage limiting type SPD)

4

3.6

  複合形 SPD (combination type SPD)

4

3.7

  防護モード  (modes of protection)

4

3.8

  公称放電電流 I

n

 (nominal discharge current)

5

3.9

  インパルス電流 I

imp

 (impulse current)

5

3.10

  最大放電電流 I

max

 (maximum discharge current for class

test)

5

3.11

  最大連続使用電圧 U

c

 (maximum continuous operating voltage)

5

3.12

  待機電力消費 P

c

 (standby power consumption)

5

3.13

  続流 I

f

 (follow current)

5

3.14

  定格負荷電流 I

L

 (rated load current)

5

3.15

  電圧防護レベル U

p

 (voltage protection level)

5

3.16

  測定制限電圧  (measured limiting voltage)

5

3.17

  残留電圧 U

res

 (residual voltage)

5

3.18

  一時的過電圧  (TOV)  特性  (temporary overvoltage characteristic)

5

3.19

  ポート SPD における負荷側サージ電流耐量  

(load-side surge withstand capability for a two-port SPD)

5

3.20

  電圧降下率

Δ

U [voltage drop (in per cent)]

5

3.21

  挿入損失  (insertion loss)

5

3.22

  1.2/50 電圧インパルス  (1.2/50 voltage impulse)

5

3.23

  8/20 電流インパルス  (8/20 current impulse)

5

3.24

  コンビネーション波形  (combination wave)

6

3.25

  熱暴走  (thermal runaway)

6

3.26

  熱的安定性  (thermal stability)

6


C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)  目次

(3) 

ページ

3.27

  劣化  (degradation)

6

3.28

  耐短絡性  (short-circuit withstand)

6

3.29

  SPD 分離器  (SPD disconnector)

6

3.30

  外囲器の保護等級(IP コード)[degrees of protection provided by enclosure (IP code)]

6

3.31

  形式試験  (type test)

6

3.32

  ルーチン試験  (routine tests)

6

3.33

  受入試験  (acceptance tests)

6

3.34

  減結合回路  (decoupling network)

6

3.35

  インパルス試験の分類

6

3.36

  過電流防護  (overcurrent protection)

6

3.37

  漏電遮断器  (RCD) [residual current device (RCD)]

6

3.38

  電圧スイッチング形 SPD の放電開始電圧  (sparkover voltage of a voltage switching SPD)

7

3.39

  クラスⅠ試験における W/R で規定した比エネルギー  (specific energy W/R for class I test)

7

3.40

  電源の推定短絡電流 I

p

 (prospective short-circuit current of a power supply)

7

3.41

  定格続流遮断電流 I

fi

 (follow current interrupting rating)

7

3.42

  漏電電流 I

PE

 (residual current)

7

3.43

  動作表示器  (status indicator)

7

3.44

  出力用接点  (output contact)

7

3.45

  一時的過電圧  (TOV)  故障における挙動 [temporary overvoltage (TOV) failure behaviour] 

7

3.46

  系統の公称交流電圧 U

0

 (nominal a. c. voltage of the system)

7

4.

  分類

7

4.1

  ポートの数

7

4.2

  SPD の設計トポロジー

7

4.3

  SPD のクラスⅠ試験,クラスⅡ試験及びクラスⅢ試験

7

4.4

  設置場所

7

4.5

  接近性

8

4.6

  取付方法

8

4.7

  SPD 分離器

8

4.8

  過電流防護

8

4.9

  JIS C 0920 の IP コードによる外囲器についての保護等級の分類

8

4.10

  温度範囲

8

5.

  標準定格

8

5.1

  クラスⅠ試験のためのインパルス電流 I

imp

の推奨値

8

5.2

  クラスⅡ試験のための公称放電電流 I

n

の推奨値

8

5.3

  クラスⅢ試験のための開回路電圧 U

oc

の推奨値

8

5.4

  電圧防護レベル U

p

の推奨値

8

5.5

  実効値又は直流の最大連続使用電圧 U

c

の推奨値

8

6.

  所要性能

9

6.1

  一般的な所要性能

9


C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)  目次

ページ

6.2

  電気的所要性能

9

6.3

  機械的所要性能

11

6.4

  環境所要性能

13

6.5

  安全所要性能

13

6.6

  入力/出力端子が分離した ポート SPD に対する追加要求事項

13

7.

  形式試験

14

7.1

  一般的な試験手順

14

7.2

  識別及び表示

18

7.3

  端子及び接続部

18

7.4

  感電保護に対する試験

21

7.5

  測定制限電圧の決定

22

7.6

  動作責務試験

25

7.7

  SPD 分離器及び過度の負荷を加えた SPD の安全性能

29

7.8

  ポート SPD 及び分離した入力/出力端子をもつ ポート SPD の試験

32

7.9

  追加試験

33

8.

  ルーチン試験及び受入試験

46

8.1

  ルーチン試験

46

8.2

  受入試験

46

附属書 A(参考)クラスⅠ試験を適用する場合の SPD に対する配慮

47

附属書 B(規定)TOV 

49


日本工業規格

JIS

 C

5381-1

:2004

(IEC 61643-1

:1998

)

低圧配電システムに接続する

サージ防護デバイスの所要性能及び試験方法

Surge protective devices connected to low-voltage power distribution

systems

Performance requirements and testing methods

序文  この規格は,1998 年に第 1 版として発行された IEC 61643-1 : 1998,Surge protective devices connected

to low-voltage power distribution systems−Part 1 : Performance requirements and testing methods 並びに

Amendment 1 (2001)  を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。ただし,追

補 (Amendment) については,編集し,一体とした。

この規格は,サージ防護デバイス(以下,SPD という。

)に対する性能試験を規定している。

三つの試験分類(クラスⅠ試験,クラスⅡ試験,クラスⅢ試験)がある。クラスⅠ試験は,部分的に伝

搬した雷インパルス電流を模擬したものである。クラスⅠ試験の試験方法で試験した SPD は,一般的に高

被雷場所(例えば,雷保護システムによって防護した建築物の入口)に選定することを推薦している。ク

ラスⅡ試験又はクラスⅢ試験の試験方法で試験した SPD は,比較的短時間のインパルスに適用する。これ

らの SPD は,一般的に低被雷場所に選定することを推薦している。

すべての SPD は,基本的に“ブラックボックス”で試験する。試験は最も適切な試験方法を適用するた

めに,製造業者が使用した技術を評価することを含めている。

JIS C 5381-12

では,実際に使用する際の SPD の選定及び適用基準を規定している。

1.

一般

1.1

適用範囲  この規格は,50/60 Hz の交流 1 000 V 以下又は直流 1 500 V 以下の電源回路及び機器に接

続するサージ防護デバイス (SPD) の所要性能,標準試験方法及び定格について規定する。

SPD は,雷などの過渡的な過電圧による間接的及び直接的な影響を与えるサージ電圧を制限し,サージ

電流を分流するために 1 個以上の非線形素子を内蔵する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 61643-1 : 1998

,Surge protective devices connected to low-voltage power distribution systems−

Part 1 : Performance requirements and testing methods (IDT)

1.2

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。これらの引用のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の

規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。

JIS C 60695-2-11 : 1997

環境試験方法−電気・電子−耐火性試験  最終製品に対するグローワイヤ(赤


2

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

熱棒押付け)試験及び指針

備考  IEC 60695-2-1/1 : 1994, Fire hazard testing−Part 2-1/1 : Test methods Sheet 1 : Glow wire

end-product test and guidance が,この規格と一致している。

JIS C 0364-4-442 : 1999

  建築電気設備  第 4 部:安全保護  第 44 章:過電圧保護  第 442 節:高圧

系統の地絡事故に対する低圧設備の保護

備考  IEC 60364-4-442 : 1993, Electrical installations of buildings−Part 4 : Protection for safety−Chapter

44 : Protection against overvoltages−Section 442 : Protection of low-voltage installations against

faults between high-voltage systems and earth が,この規格と一致している。

JIS C 0364-5-534 : 2000

  建築電気設備  第 5 部:電気機器の選定と施工  第 53 章:スイッチギヤ及び

コントロールギヤ  第 534 節:過電圧保護装置

備考  IEC 60364-5-534 : 1997, Electrical installations of buildings−Part 5 : Selection and erection of

electric equipment−Section 534 : Devices for protection against overvoltage が,この規格と一致し

ている。

JIS C 0367-1 : 2003

  雷による電磁インパルスに対する保護−第 1 部:基本的原則

備考  IEC 61312-1 : 1995, Protection against lightning electromagnetic impulse−Part 1 : General principles

が,この規格と一致している。

JIS C 0664 : 2003

  低圧系統内機器の絶縁協調  第 1 部:原理,要求事項及び試験

備考  IEC 60664-1 : 1992, Insulation coordination for equipment within low-voltage systems−Part 1 :

Principles, requirements and tests 及び IEC 60947-1 : 1996, Low voltage switchgear and controlgear

−Part 1 : General rules からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS C 0920 : 1993

  電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級

備考  IEC 60529 : 1989, Degrees of protection provided by enclosures (IP code)  からの引用事項は,この

規格の該当事項と同等である。

JIS C 2134 : 1996

  湿潤状態での固体電気絶縁材料の比較トラッキング指数及び保証トラッキング指

数を決定する試験方法

備考  IEC 60112 : 1979, Method for determining the comparative and the proof tracking indices of solid

insulating materials under moist conditions が,この規格と一致している。

JIS C 3662-1 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下の塩化ビニル絶縁ケーブル−第 1 部:一般的要求事項

備考  IEC 60227-1 : 1993, Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and including 450/750

V−Part 1 : General requirements が,この規格と一致している。

JIS C 3662-2 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下の塩化ビニル絶縁ケーブル−第 2 部:試験方法

備考  IEC 60227-2 : 1979, Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and includeing 450/750

V−Part 2 : Test methods が,この規格と一致している。

JIS C 3662-3 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下の塩化ビニル絶縁ケーブル−第 3 部:固定配線用シース

なしケーブル

備考  IEC 60227-3 : 1993, Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and including 450/750

V−Part 3 : Non-sheathed cables for fixed wiring が,この規格と一致している。

JIS C 3662-4 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下の塩化ビニル絶縁ケーブル−第 4 部:固定配線用シース

付きケーブル

備考  IEC 60227-4 : 1992, Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and including 450/750


3

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

V−Part 4 : Sheathed cables for fixed wiring が,この規格と一致している。

JIS C 3662-5 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下の塩化ビニル絶縁ケーブル−第 5 部:可とうケーブル

(コード)

備考  IEC 60227-5 : 1979, Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and including 450/750

V−Part 5 : Flexible cables (cords)  が,この規格と一致している。

JIS C 3663-1 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下のゴム絶縁ケーブル−第 1 部:一般的要求事項

備考  IEC 60245-1 : 1994, Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including 450/750 V−Part

1 : General requirements が,この規格と一致している。

JIS C 3663-2 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下のゴム絶縁ケーブル−第 2 部:試験方法

備考  IEC 60245-2 : 1994, Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including 450/750 V−Part

2 : Test methods が,この規格と一致している。

JIS C 3663-3 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下のゴム絶縁ケーブル−第 3 部:耐熱シリコンゴム絶縁ケ

ーブル

備考  IEC 60245-3 : 1994, Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including 450/750 V−Part 3 :

Heat resistant silicone insulated cables が,この規格と一致している。

JIS C 3663-4 : 1998

  定格電圧 450/750 V 以下のゴム絶縁ケーブル−第 4 部:コード及び可とうケーブ

備考  IEC 60245-4 : 1994, Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including 450/750 V−Part

4 : Cords and flexible cables が,この規格と一致している。

JIS C 5381-12 : 2004

  低圧配電システムに接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準

備考  IEC 61643-12 : 2002, Surge protective devices connected to low-voltage power distribution systems

−Part 12 : Selection and application principles が,この規格と一致している。

JIS C 8201-1 : 1998

  低圧開閉装置及び制御装置−第 1 部:通則

備考  IEC 60947-1 : 1996, Low voltage switchgear and controlgear−Part 1 : General rules からの引用事

項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS C 8211 : 1999

  住宅用配線用遮断器

備考  IEC 60898 : 1995, Electrical accessories−Circuit breakers for overcurrent protection for household

and similar installations からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS C 8282-1 : 1999

  家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント−第 1 部:通則

備考  IEC 60884-1 : 1994, Plugs and socket outlets for household and similar purposes−Part 1 : General

requirements が,この規格と一致している。

JIS K 7202-2 : 2001

  プラスチック−硬さの求め方−第 2 部:ロックウェル硬さ

備考  ISO 2039-2 : 1987, Plastics−Determination of hardness−Part 2 : Rockwell hardness が,この規格

と一致している。

IEC 60060-1 : 1989

  High voltage test techniques−Part l : General definitions and test requirements

IEC 60999 : 1999

  Connecting devices−Safety requirements for screw-type and screwless type clamping

units for electrical copper conductors

IEC 61180-1 : 1992

  High-voltage test techniques for low voltage equipment−Part 1 : Definitions, test and

procedure requirements


4

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

2.

使用状態

2.1

標準の使用状態

2.1.1

周波数  交流 48∼62 Hz

2.1.2

電圧  SPD の端子間の連続印加電圧は,その最大連続使用電圧を決して超えてはならない。

2.1.3

標高  2 000 m 以下

2.1.4

動作温度及び保存温度

−  通常範囲  −5∼+40  ℃

−  拡張範囲  −40∼+70  ℃

2.1.5

相対湿度  室内温度条件下で 30∼90 %

2.2

特殊な使用状態  SPD を特殊な使用条件下に暴露する場合は,SPD の設計又は用途に特別な配慮が

必要となる場合があり,製造業者に注意を喚起することが望ましい。太陽光又はその他のふく射を被る屋

外用 SPD に対しては,追加事項を要求してもよい。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

サージ防護デバイス  (surge protective device) (SPD)  過渡的な過電圧を制限し,サージ電流を分流す

ることを目的とするデバイス。このデバイスは,1 個以上の非線形素子を内蔵している。

備考  “protective” 及び “protection” に“サージを防ぐ”という意味の場合は防護と表し,“サージか

ら守る”という意味の場合は保護と表す。ただし,慣例的に用いている用語については,保護

又は防護を従来どおりの表記とする。

3.2

1

ポート SPD  (one-port SPD)  防護する回路に対して分流するように接続する SPD。1 ポートデバイ

スとは,1 端子対又は 2 端子をもつ SPD である。入力端子及び出力端子は分離しており,入力端子と出力

端子間に直列のインピーダンスをもたない。

3.3

2

ポート SPD  (two-port SPD)  2 端子対又は 4 端子をもつ SPD。入力端子対及び出力端子対があり,

入力端子対と出力端子対間に直列のインピーダンスをもつ。

3.4

電圧スイッチング形 SPD (voltage switching type SPD)  サージを印加していない場合は,高インピー

ダンスであるが,電圧サージに応答して瞬時にインピーダンスが低くなる SPD。電圧スイッチング形 SPD

に使用する素子の一般的な例は,エアギャップ,ガス入り放電管,サイリスタ形サージ防護素子及び双方

向三端子サイリスタ(トライアック)である。これらは “crowbar-type” と呼ぶ場合がある。

3.5

電圧制限形 SPD (voltage limiting type SPD)  サージを印加していない場合は,高インピーダンスで

あるが,サージ電流及び電圧が増加するのに従い連続的にインピーダンスが低くなる SPD。非直線デバイ

スとして使用する部品の一般的な例としては,バリスタ及び定電圧ダイオードがある。これらの SPD は

“clamping-type”  と呼ぶ場合がある。

3.6

複合形 SPD (combination type SPD)  電圧スイッチング形の素子及び電圧制限形の素子の両方を合わ

せもつ SPD。印加電圧の特性に応じて,電圧スイッチング,電圧制限,又は電圧スイッチング及び電圧制

限の両方の動作をしてもよい。

3.7

防護モード  (modes of protection)  SPD の防護素子がライン−ライン,ライン−接地,ライン−中性

線又は中性線−接地及びそれらの組合せで接続する経路。


5

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

3.8

公称放電電流 I

n

  (nominal discharge current)

  SPD を流れる電流波形が 8/20 である電流の波高値。こ

れはクラスⅡ試験の SPD の分類,並びにクラスⅠ試験及びクラスⅡ試験に対する SPD の前処理のときに

も使用する。

3.9

インパルス電流 I

imp

 (impulse current)

  動作責務試験の手順に従って試験する電流ピーク値 I

peak

及び

電荷 Q。これはクラスⅠ試験を行う SPD の分類に使用する。

3.10

最大放電電流 I

max

 (maximum discharge current for classtest)  クラスⅡ試験の動作責務試験の試験

シーケンスに従った大きさで,SPD に流れる 8/20 波形の電流波高値。I

max

は I

n

より大きい。

3.11

最大連続使用電圧 U

c

 (maximum continuous operating voltage)

  防護モードの SPD に連続して印加し

てもよい最大実効値又は直流電圧。これは定格電圧に等しい。

3.12

待機電力消費 P

c

 (standby power consumption)

  製造業者が定めた方法で接続し,安定した電圧値及

び位相角をもった最大連続使用電圧 U

c

を印加した SPD によって消費する電力。

3.13

続流 I

f

 (follow current)

  電源系統から供給し,インパルス電流が放電終了後に SPD に流れ続ける電

流。続流は連続使用電流 I

c

とは明らかに異なる。

3.14

定格負荷電流 I

L

  (rated load current)

  SPD が防護している出力側に接続した負荷に供給できる最大

連続定格の実効値又は直流の電流。

3.15

電圧防護レベル U

p

 (voltage protection level)

  端子間の電圧を制限するとき,推奨値のリストから選

択する SPD の性能を規定するパラメータ。この値は測定制限電圧の最大値より大きくなければならない。

3.16

測定制限電圧  (measured limiting voltage)  規定した波形及び振幅のインパルスを印加したとき,

SPD の端子間で測定した電圧の最大値。

3.17

残留電圧 U

res

 (residual voltage)

  放電電流の通過によって SPD の端子間に発生する電圧のピーク値。

3.18

一時的過電圧  (TOV)  特性  (temporary overvoltage characteristic)  規定の時間 t

T

だけ一時的過電圧

U

T

を受けたときの SPD の挙動。

以下,一時的過電圧は,TOV という。

備考  この特性は,特性又は機能性において許容できる変化内で TOV に耐えることができるか,7.7.6.2

で規定したように故障するかのいずれかである。

3.19  2

ポート SPD における負荷側サージ電流耐量  (load-side surge withstand capability for a two-port 

SPD)

  SPD の出力側にある負荷に起因するサージに対する,2 ポート SPD の出力端子のサージ電流耐量。

3.20

電圧降下率

Δ

[voltage drop (in per cent)]

    2 ポート SPD に対して求める電圧変動比。次の式で求

める。

%

100

IN

OUT

IN

×

=

U

U

U

∆U

ここに,

  U

IN

入力電圧

U

OUT

最大定格の抵抗負荷を接続した状態で,同時に測定した
出力電圧

3.21

挿入損失 

(

insertion loss

)

  電源供給システムに接続した

SPD

の与えられた周波数における挿入損失

は,試験対象

SPD

を挿入する前後に,挿入点の負荷側の給電線両端に現れる電圧の比。この結果はデシベ

ル単位で表す。

3.22

1.2/50

電圧インパルス 

(

1.2/50 voltage impulse

)

  波頭長が

1.2

µ

s

で,波尾長が

50

µ

s

の電圧インパル

ス。

3.23

8/20

電流インパルス 

(

8/20 current impulse

)

  波頭長が

8

µ

s

で,波尾長が

20

µ

s

の電流インパルス。


6

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

3.24

コンビネーション波形 

(

combination wave

)

  開回路の両端で

1.2/50

の電圧インパルスを,短絡回路

8/20

の電流インパルスを発生する発生器によって与えられる波形。

SPD

に印加する電圧,電流の振幅及

び波形は,発生器及びサージを印加する

SPD

のインピーダンスによって決まる。短絡回路電流のピークに

対する開回路電圧のピークの比は

2

Ωで,これを想定インピーダンス

Z

f

として定義する。短絡回路電流は

I

sc

の記号で表す。開回路電圧は

U

oc

の記号で表す。

3.25

熱暴走 

(

thermal runaway

)

SPD

に生じる電力損失が容器及び接続部の熱消費能力を超え,内部素子

への熱の蓄積増加によって最終的に故障に至る動作状態。

3.26

熱的安定性 

(

thermal stability

)

  温度上昇が起こる動作責務試験後に,

SPD

に規定の周囲温度条件で,

規定の最大連続使用電圧を印加したときに,

SPD

の温度が時間の経過とともに下降した熱的安定状態。

3.27

劣化 

(

degradation

)

SPD

に通常の使用環境又は望ましくない使用環境でサージを印加したことによ

る初期性能値の変化。

3.28

耐短絡性 

(

short-circuit withstand

)

SPD

が耐えることができる推定最大短絡電流。

3.29

SPD

分離器 

(

SPD disconnector

)

SPD

を電源系統から切り離すために必要な(内部及び/又は外部

の)装置。

備考

この分離器は絶縁する能力を備える必要はない。系統の持続的な故障を防ぎ,

SPD

の故障を表

示するものである。例えば,過電流防護機能及び熱保護機能のような複数の分離器の機能があ

ってもよい。これらの機能は一つのユニットに統合したり,独立したユニットで実現してもよ

い。

3.30

外囲器の保護等級(IP コード)[degrees of protection provided by enclosure 

(

IP code

)

]

  危険な部品へ

の接近,固体異物の侵入及び/又は水の浸入に対する外囲器についての保護等級の分類(JIS C 0920 参照)

3.31

形式試験 

(

type test

)

  新しい

SPD

の設計開発の終了時点で実施する試験。試験は代表的な性能を確

立し,関連する基準に合致していることを明らかにするために行う。試験は一度行えば,その性能を修正

するために設計を変更しない限り,これらの試験を繰り返し行う必要はない。この場合には関連する試験

だけ繰り返し行う必要がある。

3.32

ルーチン試験 

(

routine tests

)

  製品が設計仕様に合致していることを保証するのに必要な各

SPD

,部

品又は材料について行う試験。

3.33

受入試験 

(

acceptance tests

)

  注文した

SPD

又は代表試料について試験すべきであると製造業者と使

用者間で合意したときに行う試験。

3.34

減結合回路 

(

decoupling network

)

SPD

の課電試験中に,電源ネットワーク側へ伝搬するサージエネ

ルギーを阻止するためのデバイス。

“バックフィルタ”ということがある。

3.35

インパルス試験の分類

3.35.1

クラスⅠ試験  3.8 に定義した公称放電電流

I

n

3.22 に定義した

1.2/50

電圧インパルス,及び 3.9

に定義したクラスⅠ試験の最大インパルス電流

I

imp

によって実施する試験。

3.35.2

クラスⅡ試験  3.8 に定義した公称放電電流

I

n

3.22 に定義した

1.2/50

電圧インパルス,3.10 に定

義したクラスⅡ試験の最大放電電流

I

max

によって実施する試験。

3.35.3

クラスⅢ試験  3.24 に定義したコンビネーション波形

 (1.2/50, 8/20)

よって実施する試験。

3.36

過電流防護 

(

overcurrent protection

)

SPD

入力側の外部にある,電気設備の一部分である過電流防

護装置(例えば,回路遮断器又はヒューズ)

3.37

漏電遮断器 

(

RCD

)

 [residual current device 

(

RCD

)

]

  規定の条件下で,残留電流又は不平衡電流が規

定の値に達したときに,接点を開放するための機械的遮断装置又は類似の装置。


7

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

3.38

電圧スイッチング形 SPD の放電開始電圧 

(

sparkover voltage of a voltage switching SPD

)

SPD

のギ

ャップ電極間で,放電を起こす直前の最大電圧値。

3.39

クラスⅠ試験における W/R で規定した比エネルギー 

(

specific energy W/R for class I test

)

1

Ωの単位

抵抗に流れるインパルス電流

I

imp

によって消費するエネルギー。これは電流の

2

乗の時間積分

W/R

ò

 i

2

 dt

と定義する。

3.40

電源の推定短絡電流 I

p

(

prospective short-circuit current of a power supply

)

  電源に極めて低いインピ

ーダンスで短絡したときに回路に流れる電流。

3.41

定格続流遮断電流 I

fi

(

follow current interrupting rating

)

SPD

が単独で遮断できる推定短絡電流。

3.42

漏電電流 I

PE

(

residual current

)

製造業者が指定した方法で,

SPD

単体に最大連続使用電圧

U

c

を課

電したときに

P

E

(防護接地)端子を流れる電流。

3.43

動作表示器 

(

status indicator

)

SPD

の動作状態を表示する装置。この表示器は,視覚及び/又は音

響アラームのような局所的なものでもよいし,並びに/若しくは遠隔表示及び/又は出力用接点をもって

いてもよい。

3.44

出力用接点 

(

output contact

)

  主回路から独立した回路に含まれ,

SPD

分離器又は動作表示器と連動

した接点。

3.45

一時的過電圧 

(

TOV

)

故障における挙動 [temporary overvoltage 

(

TOV

)

 failure behaviour]

  JIS C 

0364-4-442

に規定する

TOV

の条件(低電圧系統に影響を与える高電圧系統での短時間地絡故障)によるラ

インと接地間並びに中性線と接地間に接続した

SPD

の挙動。

備考

これらの一時的過電圧は,

SPD

の一時的過電圧耐量

U

T

を超えることができる。

3.46

系統の公称交流電圧 U

0

(

nominal a. c. voltage of the system

)

  系統のラインと中性線間の公称電圧

(実効値)

4.

分類  製造業者は,

SPD

を次のパラメータによって分類しなければならない。

4.1

ポートの数

4.1.1

1

4.1.2

2

4.2

SPD

の設計トポロジー

4.2.1

電圧スイッチング形

4.2.2

電圧制限形

4.2.3

複合形

4.3

SPD

のクラスⅠ試験,クラスⅡ試験及びクラスⅢ試験  クラスⅠ試験,クラスⅡ試験及びクラスⅢ

試験に必要な情報を,

表 に示す。

  1  クラスⅠ試験,クラスⅡ試験及びクラスⅢ試験

試験

必要な情報

試験手順(条項参照)

クラスⅠ試験

I

imp

7.1.1

クラスⅡ試験

I

max

7.1.2

クラスⅢ試験

U

oc

7.1.4

4.4

設置場所

4.4.1

屋内


8

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

4.4.2

屋外

4.5

接近性

4.5.1

接近可能

4.5.2

接近不可[届かない範囲 

(

1

)

(

1

)

届かない範囲とは,道具又は他の装置を使用しないで,充電部分に接近が不可能であることの

意味。

4.6

取付方法

4.6.1

固定形

4.6.2

可搬形

4.7

SPD

分離器

4.7.1

設置場所

4.7.1.1

内部

4.7.1.2

外部

4.7.1.3

両方(一部内部及び一部外部)

4.7.2

保護機能

4.7.2.1

4.7.2.2

漏れ電流

4.7.2.3

過電流

備考

分離器は必ずしも必要でない。

4.8

過電流防護

4.8.1

規定している

4.8.2

規定していない

4.9

JIS C 0920

の IP コードによる外囲器についての保護等級の分類

4.10

温度範囲

4.10.1

通常

4.10.2

拡張

5.

標準定格

5.1

クラスⅠ試験のためのインパルス電流 I

imp

の推奨値

I

peak

 1.0

2

5

10

及び

20 kA

Q

電荷

0.5 1  2.5 5

及び

10 As

5.2

クラスⅡ試験のための公称放電電流 I

n

の推奨値

0.05

0.1

0.25

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

5.0

10

15

及び

20 kA

5.3

クラスⅢ試験のための開回路電圧 U

oc

の推奨値

0.1

0.2

0.5

1

2

3

4

5

6

10

及び

20 kV

5.4

電圧防護レベル U

p

の推奨値

0.08

0.09

0.10

0.12

0.15

0.22

0.33

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.2

1.5

1.8

2.0

2.5

3.0

4.0

5.0

6.0

8.0

及び

10 kV

5.5

実効値又は直流の最大連続使用電圧 U

c

の推奨値

52

63

75

95

110

130

150

175

220

230

240

250

260

275

280

320

420

440

460


9

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

510

530

600

630

690

800

900

1 000

及び

1 500 V

6.

所要性能

6.1

一般的な所要性能

6.1.1

識別  次に示す最小限の情報を製造業者が提供しなければならない。7.

によって試験する。

a

)

製造業者名又は商標及び形名

b

)

設置カテゴリ

c

)

ポートの数

d

)

取付方法

e

)

最大連続使用電圧

U

c

及び公称/定格周波数(各防護モードに対して一つの値)

f

)

製造業者が開示する各防護モードに対する試験クラス分類及び放電パラメータ

クラスⅠ試験

I

imp

クラスⅡ試験

I

max

クラスⅢ試験

U

oc

g

)

クラスⅠ試験及びクラスⅡ試験に対する公称放電電流

I

n

(各防護モードに対して一つの値)

h

)

電圧防護レベル

U

p

(各防護モードに対して一つの値)

i

)

定格負荷電流

I

L

(必要な場合)

j

)

外囲器に関する保護等級の分類(

IP

コード)

IP

20

の場合)

k

)

短絡特性

l

)

過電流防護の最大推奨定格(適用できる場合)

m

)

分離器作動表示(ある場合)

n

)

もし重要である場合の通常使用の位置

o

)

端子の識別(必要な場合)

p

)

取付方法の説明(例えば,接続,機械的寸法,リード長,その他)

q

)

電流の種別(交流,直流又はその両方)

r

)

クラスⅠ試験

  (

7.1.1

)

のための比エネルギー

W/R

s

)

温度範囲

t

)

続流遮断定格(電圧制限

SPD

の場合を除く。

u

)

外部

SPD

分離器への所要性能は,製造業者が指定しなければならない。

v

)

漏電電流(選択)

w

)

一時的過電圧

 (TOV)

特性

6.1.2

表示  6.1.1 の a

)

e

)

f

)

h

)

  j

)

l

)

o

)

及び q

)

は,

SPD

の本体上に表示するか又は本体に

恒久的に取り付ける。

1

ポートの

SPD

のある種の設計については,定格負荷電流を表示しなくてもよい。

表示は,不滅で読み取りやすいものとし,ねじ又は取外し可能なワッシャで取り付けてはならない。適否

は,7.2 の試験によって判定する。

備考

スペースが限定されている場合,製造業者名又は商標及び形名をデバイス上に表示し,他の表

示は最小のパッケージ上に表示することが望ましい。

6.2

電気的所要性能


10

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

6.2.1

電気的接続  端子は,製造業者が指定する最小又は最大断面積をもつケーブルを接続できるように

設計しなければならない。各試験は,最も過酷な構成[すなわち,試験に応じて最大又は最小の断面積(7.

参照)]を用いて合格しなければならない。

SPD

は,電気的な接続をねじ,ナット,プラグ,ソケット又

は同等の手段で行える端子を装備しなければならない。これは,7.3 によって確認する。

6.2.2

電圧防護レベル U

p

SPD

の測定制限電圧は,製造業者が規定する電圧防護レベルを超えてはなら

ない。適否は,7.5 の試験によって判定する。

6.2.3

クラスⅠ試験のインパルス電流試験

SPD

がクラスⅠ試験の所要性能を満足することを製造業者

が指定する場合,クラスⅠ試験を行わなければならない。適否は,7.6.5 の試験によって判定する。

6.2.4

クラスⅡ試験の公称放電電流試験

SPD

は,クラスⅡ試験の所要性能を満足することを製造業者が

指定する場合,クラスⅡ試験を行わなければならない。適否は,7.6.5 の試験によって判定する。

6.2.5

クラスⅢ試験のコンビネーション波形試験

SPD

は,クラスⅢ試験の所要性能を満足することを製

造業者が指定する場合,クラスⅢ試験を行わなければならない。適否は,7.6.7 の試験によって判定する。

6.2.6

動作責務試験

SPD

は,最大連続使用電圧

U

c

を課電中,

SPD

の特性に容認できない変化を生じる

ことなく,規定の放電電流に耐えなければならない。適否は,7.6 の試験によって判定する。

6.2.7

SPD

分離器

SPD

は,

SPD

分離器(内蔵,外部又はその両方であってもよい。

)をもってもよい。

SPD

分離器の動作は,表示しなければならない。

備考

 SPD

に関係しない据付要求事項は,

追加及び/又は低定格の過電流防護装置を要求してもよい。

SPD

分離器は,7.7.1 の動作責務試験中に試験しない漏電遮断器を除き,形式試験のシーケンスによって

SPD

と一緒に試験しなければならない。適否は,7.7 及び 7.8.3 の試験によって判定する。

6.2.8

空間距離及び沿面距離

SPD

は十分な空間距離及び沿面距離を保持しなければならない。適否は,

7.9.5

の試験によって判定する。

6.2.9

耐トラッキング  充電部分を規定の位置に保持するための絶縁材料は,非トラッキング材料で構成

する,又は十分な寸法をもっていなければならない。適否は,7.9.6 の試験によって判定する。

6.2.10

絶縁耐力

SPD

の容器の絶縁耐力は,絶縁破壊及び直接接触に対する防護に関して十分なものでな

ければならない。適否は,7.9.8 の試験によって判定する。

6.2.11

短絡特性

SPD

は,

SPD

そのものによるか,内部又は外部の過電流分離器によるか,又は過電流

防護装置によって遮断するまで,電源の短絡電流を流すことができなければならない。適否は,7.7.3 の試

験によって判定する。

6.2.12

動作表示器の動作  全形式試験の手順を通して,表示器に示した状態は,連動している部分の状態

を明確に表示しなければならない。

中間状態表示付き

SPD

において,その中間状態は表示器の故障とはみなさない。多くの状態表示方法が

ある場合,例えば,局地表示,遠隔表示ではそれぞれの形式の表示を検査しなければならない。製造業者

は,表示器の機能及び状態表示が変化した後の処理に関する情報を提供しなければならない。動作表示器

は,機械的,光学的,音響的,電磁気的などによる結合機構によって連動する二つの部分で構成してもよ

い。その一つは

SPD

の交換のとき取り替え,上記のように試験をしなければならない。動作表示器の取替

えができない部分については,

50

回以上動作できなければならない。

備考

動作表示器の非交換部分を動作する結合機構の動作は,交換する

SPD

交換部分の動作以外の方

法,例えば,独立した電磁石又はばねで代用してもよい。

そこに使用する表示方法に対して適切な規格がある場合,その表示器が

50

回の動作だけの試験の場

合を除いて,その規格は動作表示器の非交換部分に適合していなければならない。


11

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

6.2.13

独立した回路間の隔離  主回路から電気的に隔離した回路をもつ

SPD

に関しては,製造業者は回

路間の隔離,電気的耐電圧及び製造業者が適合すると判断する関連規格についての情報を提供しなければ

ならない。二つ以上の回路がある場合は,各々の組合せについて指定しなければならない。独立した回路

の隔離及び電気的耐電圧は,製造業者の指定に従って試験しなければならない。

6.3

機械的所要性能

SPD

には機械的な安定性を確保するための適切な取付方法を準備しなければなら

ない。試験は 7.9.2 による。

6.3.1

一般的事項

SPD

には,次の手段で電気的接続を行うことが可能な端子を備えなければならない。

ねじ付き端子

ナット

プラグ

ソケット

ねじなし端子

絶縁貫通形締付式接続方法

又は同等の有効な手段

6.3.2

機械的接続

a

)

端子は,ねじ又はナットを用いて適切な強さで

SPD

に取り付ける。工具がねじ又はナットを緩めるた

めに必要である。

b

)

プラグ,ソケット及びコンセントは,JIS C 8282-1 の条項に対応するものでなければならない。

c

)

ねじ,導電部品及びコネクタ

1

)

接続部は,通常使用状態で起こる機械的過負荷に対して,電気的又は機械的に耐えなければならな

い。

据付時の

SPD

を実装するときに使用するねじは,

ねじ切り形であってはならない。

適否は,

7.3.2.1

に従って試験を行い,検査によって判定する。

2

)

電気的接続は,絶縁材料の曲がりやすさ又は収縮性を補うために十分な弾性が金属部分になければ,

接触圧力によって絶縁材(セラミック,純雲母又は他の絶縁材料)を破壊して導電しないように設

計しなければならない。適否は,検査によって判定する。材質は,寸法の安定性を考慮して選定す

る。

3

)

接地導体として意図した部品を含むコネクタ及び導電部品は,次のいずれかによる。

 58

%

以上の銅含有合金(冷間加工品)

 50

%

以上の銅含有合金(非冷間加工品)若しくは他の金属又は適切に被覆した金属で銅より腐

食性及び機械的性質が劣らないもの。

耐腐食性を決定する新しい所要性能及び妥当な試験は検討中である。これらの所要性能は,適切

に被覆されている場合,他の素材を用いてもよい。この条項の所要性能は,接点,磁気回路,ヒー

タ素子,バイメタル,電流制限素材,分流器,電子デバイスの部品やねじ,ナット,ワッシャ,ク

ランピングプレート及び同様の端子部品には適用しない。

d

)

外部導体用のねじ付き端子

1

)

外部導体用の端子は,その導体が必要な接触圧力を恒久的に維持し保証できる接続でなければなら

ない。その取合せは,プラグイン式又はボルト締め式のいずれでもよい。端子は,意図した使用条

件下で直ちに接近できなければならない。適否は,7.3.2.2.2 の試験によって判定する。

2

)

端子に導体を締め付ける方法は,他の部品を固定するための補強として用いてはならない。ただし,


12

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

その方法によって端子を規定の位置に保持するか,端子が回転しないように保持してもよい。適否

は,7.3.2.2.2 の試験によって判定する。

3

)

端子は,適切な機械的強度をもたなければならない。導体を締め付けるねじ及びナットは,メート

ル・ISO ねじ山又はピッチ及び機械的強度において同等のねじ山でなければならない。適否は,

7.3.2.1

及び 7.3.2.2 の試験によって判定する。

暫定的に,

SI

BA

及び

UN

のねじ山も,ピッチ及び機械的強度においてメートル・ISO ねじ山と

事実上同等であれば用いてもよい。

4

)

端子は,導体に過度の損傷を与えないで,その導体を締め付けるように設計しなければならない。

適否は,7.3.2.2.2 の試験によって判定する。

5

)

端子は,確実に,金属間にその導体を締め付けるように設計しなければならない。適否は,7.3.2.1

及び 7.3.2.2.1 の試験によって判定する。

6

)

端子は,締付ねじ又はナットで締め付ける際に,堅い導体又はよ(撚)った導線が滑り出すことの

ないように設計又は配置しなければならない。この所要性能は,ラグ端子には適用しない。適否は,

7.3.2.2.3

の試験によって判定する。

7

)

端子は,締付ねじ又はナットを締め付けたり緩めたりしたときに,

SPD

への取付けで緩まないよう

に固定又は配置しなければならない。これらの所要性能は,その端子が回転又はずれを防ぐように

設計することを包含するものではないが,この規格の所要性能を満足するように,どんな動きにも

十分な制限を設けなければならない。

シール用のコンパウンド又は樹脂の使用は,次の条件の下で,端子の緩みを十分に防ぐことがで

きるとみなす。

通常の使用中,シール用のコンパウンド又は樹脂が応力の影響を受けない場合,かつ,

シール用のコンパウンド又は樹脂の効果が,この規格で規定した最も望ましくない条件で,端

子に伝わってきた温度によって阻害しない場合。

適否は,7.3.2.1 の試験によって判定する。

8

)

防護導体を接続するための端子の締付ねじ又はナットは,偶発的に発生する緩みに対して適切に保

証しなければならない。適否は,手動操作による試験によって判定する。

e

)

外部導体用のねじなし端子

1

)

端子は次のように設計し組み立てなければならない。

各導体は個々に固定するが,各導体は同時に又は別個に接続若しくは分離できるようにする。

取り付ける最大までの数を確実に固定することができる。

適否は,7.3.3 に従って試験を行い,検査によって判定する。

2

)

端子は導体に損傷を与えず,固定するように設計し組み立てなければならない。適否は,検査によ

って判定する。

f

)

外部導体用の絶縁貫通形締付式接続方法

1

)

絶縁貫通コネクタは,確実な機械的接続ができなければならない。適否は,7.3.4 に従って試験を行

い,検査によって判定する。

2

)

接触力を得るためのねじは,他の部品を過度に締め付けてはならない。ただし,

SPD

が回転しない

程度に保持してもよい。適否は,検査によって判定する。

3

)

ねじは,軟らかい又はクリープを起こしやすい金属であってはならない。適否は,検査によって判

定する。


13

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

6.3.3

耐腐食性金属  ねじ以外の固定部品,ナット,クリップ,ワッシャ,ワイヤ及び類似した部材は,

銅,銅合金などの耐腐食性金属で構成しなければならない(IEC 60999 参照)

6.4

環境所要性能

SPD

は,通常の使用状態で規定する環境条件の下で満足に動作するように設計しな

ければならない。適否は,7.9.9 の試験によって判定する。屋外用

SPD

は,ガラス,上薬をかけたセラミ

ック又は,紫外線ふく射,腐食,侵食及びトラッキングに対して耐性のある他の許容する材質でできた耐

候シールドなどに収容しなければならない。

SPD

は,異なる電位の任意の

2

点間で十分な沿面距離をもた

なければならない。

6.5

安全所要性能

SPD

は,推奨する通常の使用条件で動作させたとき安全でなければならない。

6.5.1

感電保護  これらの所要性能は,最大連続使用電圧

U

c

が交流

50 Vr.m.s.

を超える接近可能な

SPD

に適用する。直接接触に対する防護(充電部分に接触できないこと)を行うために,

SPD

は,それを取り

付ける際に,充電部分に触れないような方法で設計しなければならない。適否は,JIS C 0920 の標準試験

方法及び 7.4 の試験によって判定する。

SPD

は,接近不可能なものとして分類している

SPD

を除き,普通

に使用するために結線し取り付けている場合,工具を使わずに取り外せる部品を取り外した後でも,充電

部分に接近できないように設計しなければならない。適否は,検査によって判定し,必要なら,7.4.1 によ

って試験する。接地端子及び接続するすべての接近可能な部品間の接続は,低抵抗でなければならない。

適否は,7.4.2 の試験によって判定する。

6.5.1.1

機械的強度  充電部分への直接接触を防ぐ

SPD

のすべての部品は,十分な機械的強度をもたなけ

ればならない。適否は,7.9.2 の試験によって判定する。

6.5.1.2

耐熱性  直接接触を防ぐ

SPD

のすべての部品は,十分な耐熱性をもたなければならない。適否は,

7.9.3

の試験によって判定する。

6.5.1.3

絶縁抵抗

SPD

の絶縁抵抗は,十分でなければならない。適否は,7.9.7 の試験によって判定する。

6.5.2

耐火性  容器の絶縁部分は,不燃性又は自己消火性でなければならない。適否は,7.9.4 の試験に

よって判定する。

6.5.3

待機電力消費 P

c

  待機電力消費は,製造業者の指定に基づいてすべての

SPD

について,無負荷で

接続し,

SPD

の最大連続使用電圧

U

c

で測定しなければならない。

6.5.4

漏電電流 I

PE

  漏電電流は,防護導体用の端子をもつすべての

SPD

に対して製造業者が無負荷で指

定した方法に基づいて接続し,

SPD

の最大連続使用電圧

U

c

で測定しなければならない。

6.5.5

TOV

特性

SPD

は,7.7.6.2 で規定したように,耐える又は故障する際の指定した値

U

T

に対して,

7.7.6

の試験に合格しなければならない。

U

c

U

T

以上の場合,試験をする必要がない。

試験電圧

U

T

対印加時間

t

T

の組合せは,製造業者が指定しなければならない。JIS C 0364-5-534 

附属書

B

の値を適用する。試験電圧

U

T

対印加時間

t

T

に関して追加の組合せを指定してもよい。

備考

この特性は,

TOV

現象に関連して発生したサージの可能性を考慮していない。

6.6

入力/出力端子が分離した ポート SPD に対する追加要求事項

6.6.1

電圧降下率

Δ

U

  電圧降下率(パーセント)は,製造業者が指定し,7.8.1 に従って試験しなければ

ならない。

6.6.2

定格負荷電流 I

L

  定格負荷電流は,製造業者が指定し,7.8.2 に従って試験しなければならない。

6.6.3

負荷側サージ耐量  負荷側のサージ耐量に対する値を製造業者が指定した場合,7.8.4 に従って試

験しなければならない。


14

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

7.

形式試験  形式試験は,表 に示すように試験シリーズごとに

3

個の試料について実施する。すべて

の試料が一つの試験シリーズに合格した場合,その

SPD

の設計は当該試験シリーズについて合格とする。

試験したこれらの試料は,製造業者の判断で,次の試験シリーズに用いてもよい。

1

個の試料がその試験

シリーズに合格しなかった場合は,その試験シリーズを新しい

3

個の試料について繰り返し行うが,この

場合はどの試料も不合格となってはならない。もしも

SPD

が,

SPD

技術を規定していない別の国際標準規

格が対象とする製品と,本質的に同じ場合は,その別の国際標準規格の所要性能部分は,製品の

SPD

技術

に関係のない所要性能部分に適用しなければならない。

7.1

一般的な試験手順  試験手順に関する基本規格は,特に指定がある場合を除き,IEC 61180-1 に準拠

する。

SPD

は,その製造業者の据付手順に従って電気的に接続する。外部からの冷却及び加熱を行っては

ならない。特に規定がない場合,試験は自由空間で実施し,周囲温度は

20

±

15

℃でなければならない。

製造業者が一体形ケーブルを支給して

SPD

を試験する場合,これらケーブルの全長は,試験用

SPD

一部分を形成しなければならない。試験中,

SPD

の保守又は取外しは認めない。すべての

SPD

分離器は,

製造業者の指定によって選択し接続しなければならない。

一つ以上の保護モード(3.7 参照)をもつ

SPD

において,製造業者が電圧防護レベルを指定する場合,

その試験は製造業者の指定によって選択した値で,毎回新しい試料を用い,各モードで実施しなければな

らない。規定のモードごとの防護部品回路が同一である三相のデバイスに対しては,三相の各々の試験が

3

個の試料の所要性能を満たすことになる。インパルスの試験及び測定には良好な試験技術を要求するこ

とに注意したほうがよい。試験値を正しく記録していることを確認することが必要である。

製造業者が,電源系統の推定短絡回路電流によって外部

SPD

分離器に対して異なった所要性能を与える

場合,すべての関連の試験シーケンスは,要求した

SPD

分離器に相当する推定短絡電流ですべての組合せ

について実施しなければならない。

7.1.1

クラスⅠ試験のインパルス電流試験  試験インパルス電流

I

imp

は,ピーク値

I

peak

及び電荷

Q

で規定

する。試験インパルス電流は,

10 ms

以内の

I

imp

及び

Q

とする。そのパラメータに達することができる代

表的な波形は,

表 による単極性インパルス電流波形である。規定している比エネルギー

  (W/R)

は,試験

後に計算しなければならない。


15

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  2  形式試験の要求事項(検討中)

屋外用

屋内

接近性

非接近性

固定

可搬

試験クラス 試験クラス 試験クラス 試験クラス  試験クラス  試験クラス

試験
シリ
ーズ

試験項目

箇条

Ⅰ  Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ

Ⅲ  Ⅰ  Ⅱ  Ⅲ  Ⅰ Ⅱ Ⅲ

識別及び表示

7.2

7.2.1

7.2.2

×

× × × × × × × × × ×

×

×

×

×

× × ×

端子及び接続

7.3

×  × × × × × × × × × ×

×  ×  ×  ×  × × ×

1

直接接触に対

する防護の試

7.4

7.4.1

7.4.2

× × × × × ×

×

×

×

× × ×

7.5.2

×  ×

× ×

× ×

× ×

×  ×

× ×

7.5.3

×  ×

× ×

× ×

× ×

×  ×

× ×

2

制限電圧の測

7.5.4

×

×

×

×

×

×

続流の予備試

7.6.2

×  × × × × × × × × × ×

×  ×  ×  ×  × × ×

前処理

7.6.4

×  ×

× ×

× ×

× ×

×  ×

× ×

動作責務試験

7.6.5

×  ×

× ×

× ×

× ×

×  ×

× ×

3

7.6.7

×

×

×

×

×

×

次の試験は要求によって実施する。

2 ポート SPD
の追加試験

7.8

電圧降下率  %

の決定

7.8.1

4

定格負荷電流

7.8.2

分離器試験

7.7

動作責務試験

7.6

耐温度試験

7.7.2.1

熱安定性

7.7.2.2

短絡耐量

7.7.3

TOV 不良

7.7.4

5

TOV 特性

7.7.6

追加試験

7.9

可とうケーブ

7.9.1

機械的強度

7.9.2

6

耐熱性

7.9.3

耐火性

7.9.4

空間距離

7.9.5

耐トラッキン

グ性

7.9.6

絶縁抵抗

7.9.7

耐電圧試験

7.9.8

6

環境試験

7.9.9


16

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  3  クラスⅠ試験のパラメータ

I

peak

kA

Q

10 ms 以内の (As)

20 10 
10

5

 5

   2.5

 2

 1

 1

   0.5

表 にあるこれらの数値と異なる場合は,I

peak

及び の関係は計算式 Q  (As)

=0.5 I

peak

で計算する。

電流のピーク値

I

peak

及び電荷

Q

の許容差は,次による。

  I

peak

  ±

10 %

  

  ±

10 %

7.1.2

クラスⅠ試験及びクラスⅡ試験の公称放電電流試験  標準波形は,

8/20

である。電流波形の許容差

は,次による。

ピーク値  ±

10 %

波頭長    ±

10 %

波尾長    ±

10 %

小さいオーバーシュート又は振動は,振動の振幅がピーク値の

5 %

未満の範囲である。電流がゼロに低

下した後の極性反転は,ピーク値の

20 %

以下でなければならない。

2

ポート

SPD

の場合,極性反転の程度は,測定制限電圧に影響を与えないように

5 %

未満でなければな

らない。

SPD

に流れる電流の測定は,±

3 %

の精度で実施しなければならない。

7.1.3

クラスⅠ試験及びクラスⅡ試験の電圧インパルス試験  標準電圧波形は,

1.2/50

である。電圧波形

の許容差は,次による。

ピーク値  ±

3 %

波頭長    ±

30 %

波尾長    ±

20 %

インパルスの波高近傍で振動又はオーバーシュートが発生してもよい。このような振動の周波数が

500

kHz

以上又はオーバーシュートの持続時間が

1

µ

s

未満である場合,測定するために平均曲線を描き,この

曲線の最大振幅を試験電圧のピーク値と規定する。

SPD

の端子での電圧測定は,±

3 %

の精度で実施しな

ければならない。測定装置は

25 MHz

以上の全帯域幅でオーバーシュートは,

3 %

以下でなければならない。

試験発生器の短絡回路電流は,試験対象の

SPD

の公称放電電流の

20 %

未満でなければならない。

7.1.4

クラスⅢ試験のコンビネーション波形試験  コンビネーション波形発生器の標準インパルスは,開

回路条件での出力電圧及び短絡回路条件での出力電流によって特性を規定する。開回路電圧は,

1.2

µ

s

波頭長及び

50

µ

s

の波尾長とする。短絡回路電流は,

8

µ

s

の波頭長及び

20

µ

s

の波尾長とする。

次の値は,減結合回路なしの発生器で測定する。開回路電圧

U

oc

の許容差は,次による。

ピーク値  ±

3 %

波頭長    ±

30 %

波尾長    ±

20 %

波高近傍における電圧オーバーシュート又は振動は,単一のピーク振幅がピーク値の

5 %

未満の範囲で


17

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

ある。一般に使用するインパルス発生回路で,電圧がピーク値の

90 %

を超えない波頭部分での振動は,一

般的に試験結果にはほとんど影響しないので無視してもよい。電圧波形は,本質的に単方向性でなければ

ならない。

短絡回路電流の許容差は,次による。

ピーク値  ±

10 %

波頭長    ±

10 %

波尾長    ±

10 %

電流オーバーシュート又は振動は,波高でのその単一のピーク振幅がピーク値の

5 %

未満の範囲である。

電流がゼロに低下した後の極性反転は,ピーク値の

20 %

以下でなければならない。

2

ポート

SPD

の場合,

電流極性反転の程度は,測定制限電圧に影響を与えないように

5 %

未満でなければならない。発生器の想

定インピーダンスは,公称

2

Ωでなければならない。規定によって,想定インピーダンスは,開回路電圧

U

oc

のピーク値を短絡回路電流

I

sc

のピーク値で除した比である。ピーク開回路電圧

U

oc

及びピーク短絡回

路電流

I

sc

の最大値は,それぞれ

20 kV

及び

10 kA

である。これらの値

  (20 kV/10 kA)

より大きい場合,タ

イプⅡ試験を実施しなければならない。

図 及び図 に従って減結合回路を挿入する。この回路構成は,

SPD

の測定制限電圧を決定するためだ

けに使用する。

  4  クラスⅢ試験のパラメータの許容差

開回路電圧  U

oc

短絡回路電流  I

sc

ピーク値

±3 %

U

oc

/2 Ω±10 %

波頭長 1.2±30 %

8±10 %

波尾長 50±20 %

20±10 %

備考  この表は,減結合回路の効果も含む。

波形パラメータの許容差は,

表 に示すように,図 及び図 に示した回路において

SPD

を接続するポ

ートで満足しなければならない。波形を検証している間,電源線のインピーダンスは,

L

N

及び

PE

の導

体を一括に接続してシミュレートする。

  1  単相電源に対する減結合回路の例

交流(直流)

電源回路網

減結合回路網

SPD

コンビネーション

波形発生器

L

N

PE

L

基準接地


18

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  2  三相電源に対する減結合回路の例

7.2

識別及び表示

7.2.1

識別及び表示の検査  識別及び表示は,7.1.1 及び 7.1.2 のそれぞれの所要性能に対して検査によっ

て確認しなければならない。

7.2.2

表示の不滅性試験  この試験は,刻印,モールド及び彫刻による表示以外のすべてのタイプの表示

に適用しなければならない。試験は,手を使って,水に浸した木綿の布切れで

15

秒間こすり,再度(最大

0.1 vol %

の芳香族成分をもち,カウリブタノール価

29

,初期沸点約

65

℃で比重が

0.68 g/cm

3

をもつ。

)脂

肪族溶剤ヘキサンに浸した木綿の布切れで

15

秒間こする。この試験終了後,表示は,容易に読み取れなけ

ればならない。

7.3

端子及び接続部  内蔵した端子の検証及びその適合性は,7.3.1 の所要性能に従う。

7.3.1

一般試験方法

SPD

は製造業者の推奨によって取り付け,不適切な外部加熱又は冷却から保護する。

特に規定がない限り,

SPD

端子は次に示す最も厳しい条件(最大又は最小の断面積)で導体を配線しなけ

ればならない。

  2

ポート

SPD

及び別々の入力/出力端子をもつ

1

ポート

SPD

については,

表 による。

他の

1

ポート

SPD

に対しては,製造業者の指示に従う。

試験用

SPD

は,厚さ約

20 mm

の黒色に塗装した木板に固定しなければならない。固定方法は,製造業

者指定の取付方法にしなければならない。試験中に試料の整備又は取外しをしてはならない。それにもか

かわらず,クラスⅠ試験によって試験する

SPD

及びクラスⅡ試験によって試験する公称放電電流が

5 kA

以上の

1

ポート

SPD

は,断面積が

4 mm

2

以上の導体を締め付けなければならない。

試験中,試料を保守又は取り外してはならない。

7.3.2

ねじ端子

7.3.2.1

ねじ,通電部分及び接続部の信頼性試験

SPD

時に操作するねじについての適否は,次の試験を

行い,検査によって判定する。

ねじは,次の事項に従って締付け及び緩めを行う。

絶縁材料とねじのかみ合いに対しては,

10

回行う。

他の場合は,

5

回行う。

絶縁材料及びねじ又はナットのかみ合いは,ねじの構造がこれを防止できれば,毎回完全に取り外し再

挿入する。試験は,

表 示すトルクを適用し,適切なドライバ又はスパナによって行う。ねじは,急激に

締めてはならない。ねじを緩めるごとに導体は取り外す。

交流(直流)

電源回路網

減結合回路網

SPD

コンビネーション

波形発生器

L

N

PE

L1

L2

L

基準接地


19

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  5  ねじの呼び径及び加圧トルク

トルク  N・m

ねじの呼び径

mm

2.8 以下

    0.2 0.4

0.4

2.8 を超え    3.0 以下

    0.25 0.5

0.5

3.0 を超え    3.2 以下

    0.3 0.6

0.6

3.2 を超え    3.6 以下

    0.4 0.8

0.8

3.6 を超え    4.1 以下

    0.7 1.2

1.2

4.1 を超え    4.7 以下

    0.8 1.8

1.8

4.7 を超え    5.3 以下

    0.8 2.0

2.0

5.3 を超え    6.0 以下

    1.2 2.5

3.0

6.0 を超え    8.0 以下

    2.5 3.5

6.0

8.0 を超え  10.0 以下

− 4.0 10.0

列Ⅰは,頭のないねじで,そのねじを締め付けて穴から突き出ない場合に適用する。また,その他のね

じでねじの直径よりも幅の広い刃のドライバを用いて,締め付けることができないねじにも適用する。

列Ⅱは,その他のねじで,ドライバを使って締め付けるねじに適用する。

列Ⅲは,ドライバ以外の手段を使って締め付けるねじとナットに適用する。

ねじがドライバで締め付けるためのすりわり付き六角頭をもつ場合で,列Ⅱ及び列Ⅲの数値が異なると

き,試験は二度行う。最初に六角の頭に列Ⅲに規定するトルクを加え,次に,もう一つの試料にドライバ

で列Ⅱに規定するトルクを加える。列Ⅱ及び列Ⅲにある数値が同一のときは,ドライバによる試験だけ行

う。試験中に,ねじ締めした接続が緩んではならない。また,ねじの頭部,ねじ山,ワッシャ,スターラ

ップなどの

SPD

の使用を害する破損があってはならない。外囲器及びカバーも目視検査による検証で損傷

があってはならない。

7.3.2.2

外部導体用端子の信頼性試験  適否は,検査並びに 7.3.2.2.17.3.2.2.2 及び 7.3.2.2.3 の試験によ

って判定する。これらの試験は,適切なドライバ又はスパナによって

表 のトルクを加えて行う。

7.3.2.2.1

端子に 7.3.1 に規定した最小又は最大の断面積をもつ単線又はより線で,いずれか厳しいほうの

銅線を取り付ける。その導体は,規定した最小の距離で,又は距離が指定していない場合は,導体が反対

側にちょうど突き出るところまで,及び線が最も外れやすくなる位置になるよう端子に挿入する。締付ね

じを

表 の対応する列に示した

2
3

のトルクで締め付ける。

次に,各導体に

表 に示すニュートン単位の数値の引張りを加える。引張りは急激なものでなく,導体

の軸方向に

1

分間加える。試験中,導体は,端子において顕著な動きがあってはならない。


20

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  6  ねじタイプの端子又はねじなし端子に接続する銅導体の断面積

締め付ける公称断面積の範囲

(単線)

2 ポート SPD 又は分離した入力/出力端子  (

2

)  を

もつ 1 ポート SPD に対する最大連続負荷電流

A

ISO-mm

2

 AWG-端子

13 以下

1∼2.5 18∼14

13 を超え    16 以下

1∼  4 18∼12

16 を超え    25 以下 1.5∼  6 16∼10 
25 を超え    32 以下 2.5∼  10 14∼ 8 
32 を超え    50 以下

4∼  16 12∼ 6

50 を超え    80 以下 10∼  25

8∼ 3

80 を超え  100 以下 16∼  35

6∼ 2

100 を超え  125 以下 25∼  50

4∼ 1

注(

2

) 50

A 以下の電流定格で,端子は単心の銅線同様に硬より線も締め付けるように設計する。

柔軟な銅線の使用も可能とする。ただし,1∼6 mm

2

の断面積の導体を接続する端子は,単

線の導体だけを締め付けるよう設計してもよい。

  7  引張力

端子に接続できる導体断面積

mm

2

4 以下  4 を超え 6 以下  6 を超え 10 以下  10 を超え 16 以下  16 を超え 50 以下

引張力 N

50 60

80

90

100

7.3.2.2.2

7.3.1

に規定した最小又は最大の断面積をもつ,単線又はより線で,いずれか厳しいほうの銅導

体をその端子に取り付ける。そして,端子のねじを

表 の対応する列に示したトルクの

2
3

で締め付ける。

次に,端子のねじを緩め,端子の影響を受けたと思われる導体部分を検査する。導体は過度の損傷又は線

材の切断こん(痕)跡があってはならない。導体に深い又は鋭い圧痕のこん跡がある場合,導体は過度の

損傷を受けたものとみなす。試験中,端子は緩むことがあってはならない。そして端子の使用を損なうよ

うなねじの破壊又はねじの頭のすりわり,ねじ山,ワッシャ,スターラップなどへの損傷が生じてはなら

ない。

7.3.2.2.3

端子に

表 に適合する硬銅より線を取り付ける。端子に挿入する前に,導体の素線は適切に形

を整える。その導体を,導体が端子の底部に到達するまで,又は導体が反対側にちょうど突き出るところ

まで,そして素線が最も外れやすくなる位置となるように端子に挿入する。次に,締付ねじ又はナットを

表 の対応する列に示した

2
3

のトルクで締め付ける。試験後,素線が

SPD

端子から外れてはならない。


21

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  8  導体の寸法

より線導体

締め付ける導体の断面積

mm

2

素線の本数

素線の直径  mm

1∼2.5 (

3

) 7

0.67

1∼4 (

3

) 7

0.85

 1.5∼6 (

3

) 7

1.04

 2.5∼10 7

1.35

  4∼16 7

1.70

10∼25 7

2.14

16∼35 19

1.53

25∼50

検討中

検討中

注(

3

)  端子が単線の導体[表 注(

2

)  参照]だけを締め付ける場合は,試験しない。

7.3.3

ねじなし端子

a

)

引張試験  適否は,次の試験によって判定する。端子は,そのタイプの 7.3.1 に規定した最小及び最大

の断面積をもつ単線又はより線のうち,いずれか厳しいほうの新しい導体を取り付ける。その後,各

導体は

表 に示す値で引っ張る。引張力は,急激ではなく導体の軸方向に

1

分間加える。試験中に,

端子に接続した導体の移動又は破損があってはならない。

  9  引張力(ねじなし端子)

断面積

mm

2

0.5 0.75 1.0 1.5 2.5  4  6  10  16  25  35

引張力

N

30 30 35 40 50 60 80 90 100 135 190

7.3.4

絶縁貫通形締付式接続方法

7.3.4.1

単心導体用 SPD 端子の引張試験  適否は,次の試験を行い,検査によって判定する。端子には,

7.3.1

に指定した単線又はより線のいずれか不利な,最小又は最大の断面積の新しい銅導体を取り付ける。

ねじは,

表 に従って締め付ける。導体は,毎回新しい導体を使用し,

5

回接続分離を行う。各接続の後

に導体は,

表 に規定した値で導体の軸方向に急激に引かないで

1

分間引っ張る。試験中に,端子に接続

した導体の移動又は破損があってはならない。

7.3.4.2

多心ケーブル又はコード用 SPD 端子の引張試験  個々の心線ではなく,多心ケーブル又はコード

全体に引張力が加わる場合,

多心ケーブル又はコード用

SPD

端子の引張試験は,

7.3.4.1

によって実施する。

引張力は次の式によって計算する。

( )

n

x

F

F

=

ここに,

F

全体の引張力

n

心線数

F

 (

x

)

一つの導体断面積での

1

心線に対する引張力(

表 参照)

試験中に,ケーブル又はコードは,端子から外れてはならない。

7.4

感電保護に対する試験


22

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

7.4.1

絶縁部材  試料は,通常使用するように取り付け,試験は 7.3.1 に規定した最小の断面積をもつ導

体を付ける。そして,最大の断面積をもつ導体を用いて繰り返す。JIS C 0920 による標準試験指を,あら

ゆる可能な場所に接触する。プラグイン

SPD

(工具を使用しないで取替えが可能)においては,試験指を,

プラグをソケットに対し半分接続した状態又は完全に接続した状態で,あらゆる可能な場所に接触する。

40

50 V

の電圧の電気計器を用いて関連部分の導通の有無を表示する。

7.4.2

金属部材

SPD

が通常使用するように結線して取り付けたときに接近可能な金属部分は,充電部分

から絶縁した取付台及びカバー,又はソケットのカバープレートを固定するねじ又は類似部品を除き,低

抵抗接続で接地しなければならない。定格負荷電流の

1.5

倍に等しいか又は

25 A

のいずれか大きいほうの

電流(

12 V

を超えない無負荷電圧をもつ交流電源から発生する)を,接地端子接続可能な金属部分のそれ

ぞれの間に流す。接地端子及び接続可能な金属部分の間の電圧降下を測定し,電流及びこの電圧降下から

抵抗を算出する。抵抗は,

0.05

Ωを超えてはならない。

備考

測定用プローブの先端及び試験対象の金属部材間の接触抵抗が,試験結果に影響を及ぼさない

ように注意したほうがよい。

7.5

測定制限電圧の決定  異なった種類の

SPD

に行う制限電圧測定試験は,

表 10 及び図 のフローチ

ャートに従う。

 10  測定制限電圧を決定するために行う試験

クラスⅠ試験

クラスⅡ試験

クラスⅢ試験

試験  7.5.2

×

×

試験  7.5.3

×(

4

)

×(

4

)

試験  7.5.4

×

注(

4

)  7.5.1 による電圧スイッチング形 SPD にだけ実施する。

次の規定の試験条件を適用する。

a

)

すべての

1

ポート

SPD

は,課電しないで試験しなければならない。すべての

2

ポート

SPD

は,製造

業者がそのデバイスに課電した場合,又は課電しない場合に測定制限電圧の値に差はないということ

を明らかにできる場合を除き,U

c

5 A

以上の公称電流をもつ電圧源で課電して試験する。

b

) 1

ポート

SPD

が別個の負荷端子をもっていない場合,測定制限電圧はサージを印加する端子で測定す

る。

2

ポート

SPD

及び別個の負荷端子をもつ

1

ポート

SPD

では,測定制限電圧は

SPD

の負荷ポート

又は負荷端子で測定する。試験は,

SPD

及び直列接続しているすべての附属部品並びに分離器,光源,

表示器,ヒューズ及び

SPD

の製造業者によって指定した他の部品などに並列負荷となるすべての附属

部品を含んでいなければならない。

c

)

測定制限電圧は,

表 10 及び図 の関連する

SPD

の試験クラスに従って実施した試験の最も高い電圧

値である。


23

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  3  電圧防護レベル U

p

を決定するための試験フローチャート

7.5.1

SPD

内のスイッチング(クローバ)素子の存在を判定する試験手順  この試験は,

SPD

の内部設

計が未知の場合だけに行わなければならない。この試験には新しい試料を使用しなければならない。

標準の

8/20

電流インパルスは,製造業者が指定した I

max

又は I

peak

の大きさをもつ

SPD

のクラスⅠ試験及

びクラスⅡ試験に使用する。

SPD

のクラスⅢ試験に対しては,製造業者が指定する U

oc

に等しい開回路電

圧をもつコンビネーション波形発生器を使用しなければならない。

1

回のインパルスを

SPD

に印加しなけ

クラスⅠ試験 
又はⅡ試験

なし

スイッチング
素 子 が あ る
か?

電圧防護レベ 
ル (U

p

) の選定

6.4

参照)

試験中の最 
大電圧値

あり

1.2/50 インパル
ス電圧で放電開
始電圧を測定

7.5.3

参照)

クラスⅢ試験

8/20 インパルス
電 流 で 残 留 電 圧
を 測 定 す る 試 験

7.5.2

参照)

コ ン ビ ネ ー シ ョ
ン 波 形 で 制 限 電
圧 を 測 定 す る 試
験(

7.5.4

参照)

開 始

どのクラス
試験か?

SPD 内のスイッチン
グ 素 子 の 有 無 を 決
め る た め の 試 験

7.5.1

参照)

試験完了


24

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

ればならない(

2

ポート

SPD

の場合には,そのインパルスは,その入力及び出力端子に印加しなければな

らない。

SPD

両端の電圧をオシログラフで記録しなければならない(

2

ポート

SPD

の場合には,その電

圧測定は,

SPD

の入力端子で行わなければならない。

。記録した電圧波形が急激な下降を示す場合,その

SPD

は,スイッチング(クローバ)素子を含むものとみなす。

7.5.2

8/20

電流インパルスで残留電圧を測定する試験手順

a

)

I

n

の約

0.1, 0.2, 0.5, 1.0

及び

2 (

5

)

倍のピーク値の順で

8/20

電流インパルスを使用しなければならない。

(

5

) 2

倍の I

n

で行う試験で,そのデバイスの I

max

を超える場合,最後の試験の値は,I

n

1.2

倍まで

に緩和できる。

b

)

正極で

1

シーケンス,負極で

1

シーケンスを

SPD

に印加する。

c

)

最後に,I

n

を超える I

max

又は I

peak

を提供する I

max

又は I

peak

のインパルスを

1

回以上,b

)

の試験でより

高い残留電圧を示した極性で,その

SPD

に印加する。

d

)

個々のインパルスの印加間隔は,試料が周囲温度まで冷却するのに十分な長さにしなければならない。

e

)

それぞれのインパルスに対して電流及び電圧のオシログラムを記録しなければならない。そのピーク

値(絶対値)を放電電流対残留電圧の図表にプロットしなければならない。データ点に最もよく適合

する曲線を描かなければならない。I

max

又は I

peak

までに顕著な逸脱がないことを確かめるために,曲

線上には十分多くの点がなければならない。

f

)

測定制限電圧を決定するために使用する残留電圧は,次に示す電流範囲に相当するこの曲線上の最高

電圧とする規定による。

クラスⅠ試験は I

peak

又は I

n

いずれか大きいほうまで

クラスⅡ試験は I

n

まで

7.5.3

1.2/50

電圧インパルスで放電開始電圧を測定する試験手順  標準の

1.2/50

電圧インパルスを使用す

る。

a

)

それぞれの振幅で

10

回のインパルスを

SPD

に印加するが,正極性で

5

回,負極性で

5

回とする。

b

)

個々のインパルスの印加間隔は,試料が周囲温度まで冷却するのに十分な長さにしなければならない。

c

)

予備の試験において,発生器の出力電圧を,放電が開始するまで約

10 %

のステップで増加する。

d

)

放電が開始しない発生器の最後の設定から再スタートして,発生器の出力電圧を,印加する

10

回のイ

ンパルス(各極性で

5

回ずつ)のすべてで放電が開始するまで,

5 %

のステップで増加する。

SPD

端子の電圧をオシロスコープで記録しなければならない。

e

)

測定制限電圧は,

10

回の測定したピーク値(絶対値)の平均である。

7.5.4

コンビネーション波形で制限電圧を測定する試験手順  この試験を行うためにコンビネーション

波形を使用する。

a

)

電源電圧 U

c

を課電している

SPD

にコンビネーション波形を印加する。

b

)

交流電源系統に対してだけ定格をもつ

SPD

に対しては,正弦波電圧波形の

90

±

10

゜の点で正極性の

インパルスを印加し,

270

±

10

゜の点で負極性のインパルスを印加する。

c

)

直流系統で使用する定格をもつ

SPD

に対しては,正極性及び負極性の両極性のインパルスサージを印

加する。

SPD

には直流の U

c

を印加する。

d

)

個々のインパルスの印加間隔は,試料が周囲温度まで冷却するのに十分な長さにしなければならない。

e

)

コンビネーション波形発生器の電圧は,

SPD

の製造業者が指定した U

oc

0.1, 0.2, 0.5, 1.0

倍の開回路

電圧を発生するように設定する。

f

)

これらの発生器を設定して,それぞれの振幅で

4

回のサージを

SPD

に印加する。

2

回は正極,

2

回は


25

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

負極である。

g

)

各インパルスについて,発生器から

SPD

に流れ込む電流及び

SPD

の出力ポートでの電圧を記録しな

ければならない。

h

)

測定制限電圧は,全試験シーケンス中で記録したピーク電圧の中の最大値である。

7.5.5

減結合回路のない,コンビネーション波形試験 

(

7.5.4

)

に対する代替試験  リアクタンス素子をも

2

ポート

SPD

は,減結合回路のリアクタンス素子と相互作用を起こす。このことによって測定制限電圧

が人為的に低い値になる。このような場合の試験では,

図 に示す代替試験の方法を用いなければならな

い。リアクタンス素子をもつ

2

ポート

SPD

に対しては 7.5.4 の試験手順のほかに次の試験手順も採用しな

ければならない。

a

)

試験発生器は

図 のように構成しなければならない。

b

)

交流定格の

SPD

に対しては U

c

2 の直流電圧,直流定格の SPD に対しては,U

c

の直流電圧をダイオ

ードを介して SPD に印加する。インパルスは

図 に従ってダイオード,ガス入り放電管又はバリスタ

を経由して印加する。

c)

インパルスは S

1

が閉じた後,100 ms 以上経過してから印加することが望ましい。直流電圧はインパル

スの印加後 10 ms 以内に切り離すことが望ましい。

d)

逆極性試験は発生器に SPD を逆接続することによって行ってもよい。

e)

個々のインパルスの印加間隔は,試料が周囲温度まで冷却するのに十分な長さにしなければならない。

f)

コンビネーション波形発生器の電圧は,SPD の製造業者によって指定した U

oc

の 0.1, 0.2, 0.5, 1.0 倍の

開回路電圧を得るように設定する。

g)

これらの発生器を設定して,各振幅で 4 回のサージを SPD に印加する。2 回は正極,2 回は負極であ

る。

h)

各インパルスについて,発生器から SPD に流れ込む電流及び SPD の出力ポートの電圧を記録しなけ

ればならない。

i)

測定制限電圧は,全試験シーケンス中で記録したピーク電圧の中の最大値である。

  4  測定制限電圧の代替試験

7.6

動作責務試験  これらの試験は,交流で使用する SPD だけに適用する(直流で使用する SPD は検討

中)

。動作責務試験のフローチャート(

図 5)を参照する。

7.6.1

一般  これは,7.6.3 に規定の交流電源によって最大連続使用電圧 U

c

を印加中の SPD に,定めた回

数の規定インパルスを印加することによって使用状態をシミュレートする試験である。この試験は,どの

試験にも用いていない 3 個の新しい試料で実施しなければならない。

コンビネーション波形
発生器

直流電源

交流の場合 U

c

2

直流の場合 U

c

発生器とバリスタ,ダイオード又
はガス入り放電管で結合する

S

1

制限電圧
の測定

SPD


26

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

500 A 以上

まず,7.5 に規定した試験によって測定制限電圧を決定しなければならない。試料に過度な負荷を与えな

いように,7.5.2 の試験は,I

n

だけで行い,7.5.4 及び 7.5.5 の試験は,U

oc

だけ行う。7.5.3 の試験では 10 個

の測定したピーク値の平均を使用しなければならない。

  5  動作責務試験のフローチャート

7.6.2

続流の大きさを決定するための予備試験  この予備試験は,続流のピーク値が 500 A 以上又は未満

かを判定することを目的としている。SPD の内部設計及び続流のピーク値が既知のときは,この予備試験

は,実施しない。

a)

この試験は,別個の供試品によって行う。

新しい 3 個 
の試料

どのクラス 
の試験か?

7.6.5

による

動作責務試験

7.6.6

の合格

判定基準

試験完了

7.6.4

による

前処理試験

前処理試験及び

7.6.7

による

動作責務試験

クラスⅠ試験及びクラスⅡ試験

クラスⅢ試験

500 A 未満

7.6.2

による

続流の決定

7.5

による測定制

限電圧の決定

7.6.3.2

電源特性

交流動作責務試験

7.6.3.1

電源特性


27

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

b)

推定短絡回路電流は,力率

0

0.05

cos

0.95

φ

I

p

≧1.5 kA でなければならない。

c

) SPD を正弦波交流電圧の商用周波電源に接続する。その端子で測定した商用周波電圧は,連続最大動

作電圧

0

c

5

U

  

  %に最大で等しいものでなければならない。交流電圧電源の周波数は,SPD の定格周波

数に相当しなければならない。

d

)  続流は,8/20 インパルス電流又はコンビネーション波形で始動しなければならない。

e

)  ピーク値は,I

max

I

peak

又は U

oc

に対応しなければならない。

f

)  電流インパルスは,商用周波電圧のピーク前の 60゜で印加しなければならない。その極性は,商用周

波電圧の半波の極性と一致しなければならない。

g

)  この同期点で続流がない場合,続流が発生するかどうかを判定するために,8/20 インパルス電流を各々

10゜ずつ遅らせて印加しなければならない。

7.6.3

前処理用商用周波電源の特性

7.6.3.1

続流 500 A 未満の SPD

  供試品は,商用周波電源に接続しなければならない。電源インピーダン

スは,続流している間,SPD の端子で測定した商用周波電圧のピーク値が U

c

のピーク値よりも 10 %を超

える低下をしてはならない。

7.6.3.2

続流 500 A 以上の SPD

  供試品は,製造業者が指定した

表 11

又は 500 A のどちらか大きい続流

遮断定格の短絡電流を流せる試験回路に接続し,商用周波電圧 U

c

(最大連続使用電圧)を印加しなければ

ならない。

7.6.4

クラス

試験及びクラス

試験の前処理試験

  この試験では,8/20 の正極性電流インパルスを 5

回印加する試験を 1 群とし,3 群で,計 15 回印加する。供試品を

7.6.3

に規定の電源に接続して U

c

を印加

し,各インパルスは,電源周波数に同期し,かつ,同期角は 0゜から始めて,同期角を 30±5゜ごとに増加

させなければならない。試験方法を

図 6

に示す。

クラスⅠ試験の SPD を試験するときは,

I

peak

又は I

n

のいずれか大きいほうのインパルス電流を印加する。

クラスⅡ試験の SPD を試験するときは,I

n

に等しい値のインパルス電流を印加する。

  6  前処理及び動作責務サイクル試験手順

30分

U

c 

5A

I

imp

又は I

max

動作責務サイクル

0.1  0.25  0.5  0.75  1.0 I

max

各インパルス電流で印
加した後電圧 U

c

を 30

分印加する。

前処理

インパルスは 1 分間隔で印加し,

各インパルスは,

位相角 0°から始まり,各インパルスごとに 30°
増加させなければならない。

30分

30分

インパルス電流

U

c

I

n


28

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

インパルス印加の間隔は,50∼60 秒,グループ間の間隔は 25∼30 分である。グループ間の間隔では試

料に U

c

を印加しなくてよい。インパルスごとに電流値を記録し,記録した電流値には試料の破壊及びフラ

ッシオーバのこん跡があってはならない。

7.6.5

クラス

試験及びクラス

試験の動作責務試験

  SPD には 5 A 以上の公称電流容量をもつ電源か

ら U

c

の電圧を課電する。この試験は,SPD を通して電流インパルスを段階的に I

peak

3.9

による)又は I

max

3.10

による)まで増加して実施する。熱的安定状態を確認するため,各インパルス印加後 30 分間商用周

波電圧を印加したままにしておく。I

c

の抵抗成分(実数部)のピーク値,すなわち,電力消費が,電圧 U

c

印加後半の 15 分間で徐々に減少する場合,SPD は熱的安定状態とみなす。

正極性の電流インパルスは,次に従って,課電した供試品に商用周波電圧源の正のピーク値に一致する

ところで加えなければならない。

a

) 0.1(I

peak

又は I

max

)の電流インパルスを 1 回,熱的安定性を確認し,周囲温度まで冷却する。

b

) 0.25(I

peak

又は I

max

)の電流インパルスを 1 回,熱的安定性を確認し,周囲温度まで冷却する。

c

) 0.5(I

peak

又は I

max

)の電流インパルスを 1 回,熱的安定性を確認し,周囲温度まで冷却する。

d

) 0.75(I

peak

又は I

max

)の電流インパルスを 1 回,熱的安定性を確認し,周囲温度まで冷却する。

e

) 1.0(I

peak

又は I

max

)の電流インパルスを 1 回,熱的安定性を確認し,周囲温度まで冷却する。

7.6.6

合格判定基準

  SPD は,

前処理及び動作責務サイクルの各インパルス後に熱的安定が達成した場合,

試験に合格とする。加えて,すべての続流は自己消弧しなければならない。電圧及び電流の両方を記録し,

外観検査で試料に破損及びフラッシオーバの兆候があってはならない。これらの試験中に機械的な損傷が

起きてはならない。

U

c

を 30 分間印加している SPD に I

n

又は U

oc

でのインパルスを更に 1 回印加しなければならない。そし

てインパルスに耐え,熱的に安定することが望ましい。この完全な試験シーケンスに続いて,その試料を

室温近くまで冷却した後,試験シーケンスのはじめに行った制限電圧試験を繰り返さなければならない。

試験前後に測定した制限電圧値が U

p

以下の場合に,SPD は合格である。供試品は,最大連続使用電圧 U

c

及び定格周波数の電源に接続する。試験用の変圧器は,他の値を製造業者が指定しない限り,200 mA 以上

の短絡電流が流せる能力をもっていなければならない。供試品を流れる電流を測定する。その抵抗成分(正

弦波の波高値で測定した。

)は,1 mA の値を超えてはならない。

7.6.7

クラス

試験の動作責務試験

  クラスⅢ試験の SPD の動作責務試験には,

7.6.3

に規定の商用周波

電圧源を使用する。コンビネーション波形発生器を結合コンデンサ(

7.1.4

参照)を介して SPD に接続す

る。波形パラメータの許容差は,SPD が接続点で

表 4

を満足しなければならない。U

oc

の値は製造業者が

指定する。SPD は

7.6.4

の手順に従って前処理を行う。この試験のために,公称放電電流を U

oc

の値に置換

する。電流インパルスは,商用周波電圧と同じ極性で,半サイクルのピーク値で加えなければならない。

動作責務試験は,

7.6.5

に従ってコンビネーション波形発生器を用い,発生器の U

oc

を次のように設定し

て実施する。

a

) 0.1

U

oc

で正インパルス 1 回及び負インパルス 1 回印加し,

熱的安定性の確認後周囲温度まで冷却する。

b

) 0.25

U

oc

で正インパルス 1 回及び負インパルス 1 回印加し,

熱的安定性の確認後周囲温度まで冷却する。

c

) 0.5

U

oc

で正インパルス 1 回及び負インパルス 1 回印加し,

熱的安定性の確認後周囲温度まで冷却する。

d

) 0.75

U

oc

で正インパルス 1 回及び負インパルス 1 回印加し,

熱的安定性の確認後周囲温度まで冷却する。

e

) 1.0

U

oc

で正インパルス 1 回及び負インパルス 1 回印加し,

熱的安定性の確認後周囲温度まで冷却する。

7.6.6

の合格判定基準を満たす場合,SPD は試験に合格とする。


29

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

7.7

SPD

分離器及び過度の負荷を加えた SPD の安全性能

  これらの試験は,すべての SPD で行わなけ

ればならない。試験は SPD の各保護モードについて 1 回ごとに新しい試料を用いて実施する。

7.7.1

SPD

分離器の耐動作責務試験

  SPD 分離器は,動作責務試験中に試験する(

7.6

参照)

。製造業者

によって規定する分離器は,試験中動作してはならない。試験後 SPD 分離器は,順調でなければならない。

7.7.2

SPD

の熱安定性の試験

7.7.2.1

耐温度試験

  SPD を周囲温度 80  ℃±5 K の加熱したキャビネット中に 24 時間保存する。この試

験中,中にある SPD 分離器は動作してはならない。

7.7.2.2

熱安定性試験

a

)

試験設定

  電圧スイッチング素子がある場合,試験中に溶融しない径の銅線で短絡しておく。この試

験は各保護モードで行うことが望ましい。ただし,幾つかの保護モードが同じである場合,最も厳し

い構成となる保護モードだけで試験をしてもよい。この試験は,2 種の異なる組合せ方法がある。

−  電圧制限素子だけを含む SPD,この場合は次の手順

1

)  を適用する。

−  電圧制限素子及び電圧スイッチング素子の両方を含む SPD,

この場合は次の手順

2

)  を適用する。

1

)

他の素子及び直列接続した電圧スイッチング素子をもたない SPD に対する試験手順

  供試品を商

用周波電源に接続する。電圧は SPD に電流が流れるのに十分高くなければならない。この試験にお

ける電流は一定値に設定する。この電流値は,±10 %で規定した値で,次のステップで増加させる。

2, 5, 10, 20, 40, 80, 160, 320, 640, 1 000 mAr.m.s.又はピーク値に相当するもの。

開始点は 2 mA から,もし既知であれば,その素子の最大電力損失まで変化してもよい。各ステ

ップでは熱平衡になる(すなわち,温度変動が 10 分間で 2 K 未満となる。

)まで維持する。試験中,

SPD(接近可能な SPD だけ)の最も熱くなる点の表面温度及び SPD を流れる電流を継続して監視す

る(SPD の最も熱くなる点は最初の試験で決定してもよいし,その代わりに最も熱くなる点を決定

するために,多くの点を監視してもよい。

。この試験は,SPD 分離器が動作したとき中断する。分

離器の誤動作を防ぐため更に電圧を上げないことが望ましい。

SPD 両端の電圧が U

c

より低くなった

場合,電流の調整をやめ,U

c

を 15 分間維持する。このためには,分離器が動作する前にその電流

を制限しない短絡電流容量をもった電源が必要である。

最大電流値は分離器の短絡回路耐容量の最大指定値を超えてはならない。

2

)

他の素子及び直列接続した電圧スイッチング素子をもつ SPD に対する試験手順

  他の素子及び直

列接続した電圧スイッチング素子を短絡する。次の試験手順を適用する。SPD は,製造業者が公表

した過電流防護又は過電流分離器を開放させるのに十分大きい短絡電流をもつ電源を使って,U

c

電圧を課電する。十分な電流が流れない場合は,試験手順

1

)  を使用する。しかしその場合でもス

イッチング素子は,短絡しなければならない。

SPD の保護モードごとに 1 個以上の分離器をもつ場合,試験はすべての分離器が動作するまで続

ける。

b

)

合格判定基準

1

)

屋内用 SPD

  試験中,表面温度は常に 120  ℃  (

6

)  未満であり,分離器の動作後 5 分で 80  ℃  (

6

)  未

満でなければならない。

(

6

)  温度の値 120  ℃及び 80  ℃は,参考値である。

2

)

屋外用 SPD

  SPD の部分に燃焼又は噴出したこん跡があってはならない。

3

)

接近可能な SPD

  試験後,IP 20 と同等又はそれより高い IP コードをもつ SPD には,5 N の力を加

えた標準試験指(

JIS C 0920

参照)で接近可能な充電部分があってはならない。ただし,SPD が通


30

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

常使用するように取り付けたときに接近可能となるものは除く。分離器が動作した場合は,効果的

にまた永久的に切り離されていることを明確にしなければならない。これを確認するために,U

c

2 倍に等しい交流電源電圧を印加しても,0.5 mAr.m.s を超える電流が流れてはならない。

7.7.3

必要な場合,過電流防護を組み合わせた短絡耐量試験

a

)

試験設定

  商用周波電源特性については,SPD 端子での推定短絡電流及び力率を,製造業者が

表 11

に従って提供する。試験電圧は U

c

に設定する。

 11  推定短絡回路電流及び力率

I

p

(kA)

5

0

  %

0

0.05

cos

φ

  

I

p

≦ 1.5

0.95

1.5<I

p

≦ 3.0

0.9

3.0<I

p

≦ 4.5

0.8

4.5<I

p

≦ 6.0

0.7

6.0<I

p

≦10.0

0.5

10.0<I

p

≦20.0

0.3

20.0<I

p

≦50.0

0.25

50.0<I

p

0.2

備考  IEC 60947-1 による回復電圧。

製造業者の指定に従って供試品を取り付けなければならない。SPD そのもの,SPD 分離器及び過電流防

護は,その側面が SPD の外部表面から 50±5 cm 離れるようにして,立方形の木箱の中に置かなければな

らない。この箱の内部表面は,紙  (

7

)  又は布  (

8

)  で覆う。箱の一側面(底面以外)は,製造業者の指示に

従って開放状態にして電源ケーブルを接続できるようにする。

(

7

)  紙は,一般的に壊れやすいものを包むための薄い,柔らかい,やや強いもので,その重さが 12

g/m

2

から 25 g/m

2

の間にあるもの。

(

8

)  布は,重さが約 29∼30 g/m

2

で,1 cm

2

当たり一方向に 13 本,他方向に 11 本の糸の織り目をも

つもの。

b

)

試料準備

  1 個だけの非線形素子で構成する SPD 及び直列に接続した複数の非線形素子で構成する

SPD の場合,すべての電圧制限素子並びに

3.4

及び

3.5

で規定した SPD の電圧スイッチング素子は,

内部の接続,それらの断面,外装材(例えば,樹脂)及び実装状態を変化しない適切な金属(銅)ブ

ロック(ダミー)に置き換えなければならない。

並列に非線形素子を接続した SPD の場合,

3.4

及び

3.5

で規定した 1 個以上の非線形素子で構成す

る SPD すべての電流経路に対して 3 個の試料の別々なセットを準備しなければならない。

備考

  製造業者は,

b

)  の要求に従って試料を提供することが望ましい。

c

)

試験手順

表 11

の該当条件で試料を商用周波電源に接続し,試験電圧を U

c

に設定する。試験は 3 回

行う。取替え又は再装備可能な内部又は外部分離器が動作した場合,そのたびに分離器を取替え又は

再装備しなければならない。分離器が取替え又は再装備できなくなった場合は,試験を中止する。

d

)

合格判定基準

  試験中,短絡電流を 5 秒以内で遮断しなければならない。試験中,紙及び布は発火し

てはならない。さらに,人体,施設のいずれにも爆発又は他の危険が発生してはならない。接近可能

な SPD については,試験後,IP 定格が IP 20 以上のグレードの SPD に,標準試験指を 5 N(

JIS C 0920

参照)の力で加えたとき,接近可能な充電部分があってはならない。ただし,SPD が通常用いている


31

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

状態に取り付けたときに接近可能となるものは除く。

効果的で,恒久的な切離しが明確に確認できなければならない。これを確認するため U

c

に等しい商

用周波電圧を,動作している分離器に 1 分間印加した場合,電流が 0.5 mA を超えてはならない。

7.7.4

TOV

故障試験

  この試験は,製造業者が

JIS C 0364-4-442

に規定している TOV 状態での安全故障

モードを提供する充電端子と接地端子間に接続している SPD に適用する。製造業者の指示に従って,通常

の使用状態で新しい試料を取り付けて使用しなければならない。

SPD は,その側面が SPD の外部表面から 50±5 cm 離した立方形の木箱に入れる。この箱の内部表面を

紙又は布で覆う。箱の一側面(底面以外)は,製造業者の指示に従って開放状態にして電源ケーブルを接

続できるようにする。

SPD の充電端子はすべて一緒に接続し,次に示す TOV を共通点と接地端子間に印加する。

JIS C 

0364-4-442

に規定している値に等しい短期間の TOV は,システムによるが,試験電流を 300 Ar.m.s.に制限

して 200 ms の幅で提案している。試験中,紙又はその同等品が発火しないことが望ましい。試験後,SPD

は壊れてもよい。IP 20 以上の IP 定格をもつデバイスの容器は,その充電部分が標準試験指で接近可能に

なるような損傷を受けてはならない。

7.7.5

待機消費電力及び漏電電流試験

  製造業者の指定に従って最大連続使用電圧 U

c

の電源に SPD を接

続する。SPD が消費する皮相電力(ボルトアンペア)を測定する。PE 端子を流れる漏電電流を測定する。

備考1.

  製造業者が複数の SPD の据付けを認める場合は,すべての設置についてこの試験を実施する

ことが望ましい。

2.

  真の電流実効値を測定することが望ましい。

7.7.6

TOV

特性試験

7.7.6.1

試験手順

  製造業者の指定に従って,新しい試料を用いて,通常の使用状態で取り付けなければ

ならない。SPD は,その側面が SPD の外部表面から 50±5 cm 離した立方形の木箱に入れなければならな

い。この箱の内部表面を紙又は布で覆う。箱の一側面(底面以外)は,製造業者の指定に従って開放状態

にして電源ケーブルを接続できるようにする。供試品を

図 7

に示す U

1

0

5

  %の商用周波数電圧に 5 秒間

0

5

  %接続しなければならない。この電源は,試験中に SPD の公称短絡電流又は SPD 端子の電圧が,U

1

が 95 %以下に降下しない電流のどちらか十分に大きな電流を流すことができなければならない。U

1

の印

加後,100 ms 以内に同じ電流容量をもつ U

c

0

5

  %の電圧を 30 分間供試品に印加しなければならない。


32

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  7  TOV 特性試験を実施するための試験回路例及び時間線図

7.7.6.2

合格判定基準

a

)

TOV

故障モード

  製造業者が指定した値 U

T

において TOV 故障モードを指定する場合,紙又は同等の

ものは,試験中発火してはならない。

IP 定格が IP 20 より大きいグレードの装置の容器は,それらの充電部分が標準試験指で接近するよう

な損傷があってはならない。分離器が動作した場合,効果的で,恒久的な切離しが明確に確認できな

ければならない。これを確認するため U

c

の商用周波電圧を 1 分間印加したとき,電流が 0.5 mA を超

えてはならない。

b

)

TOV

耐量特性

  製造業者が指定した U

T

において TOV 耐量特性を主張し,

次の付加条件を満たすとき,

SPD は,試験に合格とする。

− SPD は,U

c

を印加している間,熱的に安定している。I

c

の抵抗性成分のピーク値又は電力消費が

U

c

の電圧印加の後半 15 分に増加しない場合,SPD は熱的安定状態とみなす。

−  供試品を周囲温度まで冷却した後,製造業者が指定した電圧防護レベルを維持しているか確認す

るために

7.5

の試験方法によって制限電圧を測定しなければならない。ただし,

7.5.2

の試験は,

I

n

だけで,

7.5.4

及び

7.5.5

の試験は U

oc

だけで行う。動作表示器のような補助的回路も正常に動作

しなければならない。

−  外観検査によって供試品に全く損傷がないことを確認しなければならない。

7.8

2

ポート SPD 及び分離した入力/出力端子をもつ ポート SPD の試験


33

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

7.8.1

電圧降下率

Δ

U

を決定するための試験

  電圧 U

c

は入力端子対に印加し,−5 %の範囲内で一定でな

ければならない。この試験は,抵抗性負荷に定格負荷電流を流して実施しなければならない。負荷を接続

した状態で入力電圧及び出力電圧を同時に測定しなければならない。電圧降下率は,次の式で算出する。

%

100

%

IN

OUT

IN

×

=

U

U

U

∆U

この値を記録し,これが製造業者の指定値と合致しなければならない。

7.8.2

定格負荷電流 I

L

7.3.1

で規定した最小断面積をもつケーブルを使って,周囲温度で

7.8.1

に従って

SPD に印加しなければならない。負荷電流を製造業者が指定した定格負荷電流に設定しなければならない。
SPD を強制冷却してはならない。外囲器が熱的安定に達し,通常の使用状態で接近可能な部品の温度が室

内の周囲温度より 40  ℃以上高くならなければ,SPD は,試験に合格とする(

2.1

参照)

7.8.3

負荷側耐短絡容量試験

製造業者が SPD 分離器の接続を要望する場合

7.7.3

による試験は,す

べての部品を短絡しないで

7.3.1

に指定する最も大きい断面の長さ 0.5 m の導体で,すべての負荷端子を短

絡して繰り返し行う。

a

)

合格判定基準

  試験中,短絡電流は 5 秒内で遮断しなければならない。試験中,紙又は布が発火して

はならない。さらに,破裂したり人や設備に危害を与えてはならない。

b

)

接近可能な SPD

  試験後,IP 定格が IP 20 より大きい SPD に標準試験指を 5 N (

JIS C 0920

)  の力で加

えたとき,接近可能な充電部分があってはならない。内部の分離器が全然動作しなかった場合,SPD

は,

7.4.1

及び

7.5

の所要性能を満たさなければならない。SPD 内部分離器が動作した場合,効果的で,

恒久的な切離しを明確に確認できなければならない。

切離しを確認するために次を実施する。

1

)  出力端子に電圧がないことを確認する。

2

)  U

c

の 2 倍の商用周波電圧を,対応する入力と出力端子間に 1 分間印加したとき,0.5 mAr.m.s.以上の

電流が流れない。

試験は,製造業者が指定した直列の補助的な部品を含めなければならない。

7.8.4

負荷側サージ耐量

  製造業者が指定する負荷側サージ耐量と等しい値のインパルス電流を 15 回,

又は開回路電圧 U

oc

のコンビネーションインパルスを 15 回,供試品の出力端子に 5 回のインパルスを 3 グ

ループに分けて印加する。SPD に公称電流 5 A 以上の電源で U

oc

の電圧を印加する。個々のインパルスは

電源周波数に同期しなければならない。同期角度を 0°から始めて,30±5°のステップで増加しなければ

ならない。

インパルスの間隔は,50∼60 秒とし,グループの間隔は 25∼30 分とする。すべての試験中,供試品に

電圧を印加しなければならない。出力端子の電圧を記録しなければならない。

a

)

合格判定基準

7.6.6

の判定基準をすべて満たした場合,SPD は試験に合格とする。

7.9

追加試験

7.9

全体は安全の問題である。

7.9.1

可とうケーブル及びコードがついた可搬式 SPD 並びにその接続

7.9.1.1

  可搬式 SPD には,導体を端子又は終端で接続する点で,ねじりを含む変形を受けないような,更

にそのカバーがはく離しないようなコード止めを備えなければならない。コードの覆いがある場合,コー

ド固定内に締め付ける部所をコード締めに締め付けなければならない。適否は,検査で判定する。

7.9.1.2

  その保持力の効果は,

図 8

に示した装置を用いて,次の試験によって確認する。


34

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

単位  mm

  8  コードの保持力の試験装置

再結線できない SPD は,納入状態で試験する。試験は新しい試料で行う。再結線できる SPD は,製造

業者が指定した公称断面積をもつケーブルで試験する。再結線できる附属品の可とうケーブル又はコード

の導体を端子に導入し,ねじは導体の位置が容易には変わらないように,十分に締め付ける。コード止め

は,通常の方法で使用し,締付ねじを使っている場合,

表 12

に規定したトルクの

2
3

で締め付ける。

 12  締付ねじの締付強度の要求

ねじの公称寸法

mm

トルク

N・m

2.8 以下

     0.2

0.4

2.8 を超え  3.0 以下

     0.25

0.5

3.0 を超え  3.2 以下

     0.3

0.6

3.2 を超え  3.6 以下

     0.4

0.8

3.6 を超え  4.1 以下

     0.7

1.2

1.2

4.1 を超え  4.7 以下

     0.8

1.8

1.2

4.7 を超え  5.3 以下

     0.8

2.0

1.4

試料の再組立後,構成部品は正常に収まらなければならない。ケーブル又はコードを過度に試料内に押

し込んではならない。

その試料は,

ケーブル又はコードの軸が試料に入り込むところで垂直になるように,

試験装置に取り付ける。

次に,ケーブル又はコードに次の引張力を 100 回加える。

−  定格電流が 16 A 以下で定格電圧が 250 V 以下の場合,60 N

−  定格電流が 16 A 以下で定格電圧が 250 V を超える場合,80 N

−  定格電流が 16 A を超える場合,100 N

引張力は,

急激な力を加えないで毎回 1 秒間加える。

同じ引張力が,

可とうケーブルのすべての部分

(心,

95

160

200

クランク

偏心機

試料

30


35

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

絶縁体及びシース)に同時に加わるように注意を払わなければならない。

試験後,ケーブル又はコードは 2 mm より大きくずれていてはならない。再結線できる附属品について

は,導体の端部がその端子において過度に移動していてはならない。再結線できない附属品については,

電気的な接続点において破損があってはならない。

長さ方向の変位の測定において,試験開始前に,引張力を加えるケーブル又はコードに印を付ける。試

料又はコード防護物の端部から約 20 mm 離れたところに印を付ける。再結線できない附属品において,試

料又はコード防護物の明確な端部がない場合,試料の本体上に追加の印をつける。これらの試験後,ケー

ブル又はコードに引張力が加わっている状態で,試料又はコード上の印の変位を測定する。

7.9.1.3

  再結線できない SPD は,SPD 及び関連する機器の最大定格に適した導体断面積をもつ,

JIS C 

3662

-

1

∼-

5

及び

JIS C 3663

-

1

∼-

4

を満足する可とうケーブル又はコードを備えていなければならない。適

否は,検査,測定,及び可とうケーブル又はコードを

JIS C 3662

-

1

∼-

5

及び

JIS C 3663

-

1

∼-

4

によって判

定する。

7.9.1.4

  再結線できない SPD は,その可とうケーブル又はコードが附属品に入り込むところでの過大な曲

げに対して,保護するように設計しなければならない。

この目的のために設けている防護物は,絶縁材料で信頼できる方法で固定しなければならない。ら(螺)

旋状の金属ばねは,むき出し又は絶縁材料で覆っているものでも,心線の防護物に用いてはならない。適

否は,

図 9

に示した曲げ試験用装置によって判定する。


36

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

  9  曲げ試験用装置

この試験は新しい試料で行う。試料は,この装置の振動機構に固定する。したがって,これが中央位置

にあるとき,可とうケーブル又はコードの軸はそれが試料に入り込むところでは垂直になり,振動の軸を

通ることになる。附属品は,振動機構の固定部分と振動運動の軸間の距離の変化によって,試験装置の振

動機構がその全移動長にわたって動くときに,コードの横方向の動きが最小となるような位置をとる。試

験中コードの横方向の動きが最小となる取付位置を実験によって容易に見つけ出すために,曲げ装置は,

振動機構に取り付けた附属品に対する種々のサポートがすぐに調整できるような方法で作るほうが望まし

い。

ケーブル又はコードには,次に示す荷重を加える。

− 0.75

mm

2

を超える公称断面積をもつケーブル又はコードのついた附属品に対しては 20 N

−  他の附属品に対しては 10 N

附属品に対する定格電流と等しい電流又は次に示す電流のいずれか低いほうを導体に流す。

− 0.75

mm

2

を超える公称断面積をもつケーブル又はコードのついた附属品に対しては 16 A

− 0.75

mm

2

の公称断面積をもつケーブル又はコードのついた附属品に対しては 10 A

− 0.75

mm

2

未満の公称断面積をもつケーブル又はコードのついた附属品に対しては 2.5 A

導体間の電圧はこの試料の定格電圧に等しいものとする。

45°

試料固定装置

試料

45°

300

 m

m

以上

おもり


37

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

振動機構は,90°の角度(垂直線の両側 45°ずつ)で振る。曲げ回数は,10 000 回で,曲げの周期は,

毎分 60 回とする。曲げは,後方又は前方へ 1 回とする。円周部分のあるケーブル又はコードのついた試料

は,振動機構において 5 000 回の曲げ後,90°回転する。平たんなコードのついた試料は,導体の軸を含

む平面に対して直角な方向だけに曲げる。曲げ試験中,電流の中断,導体間の短絡があってはならない。

電流が附属品の試験電流の 2 倍に等しい値に達した場合,可とうケーブル又はコードの導体間は,短絡

したとみなす。その定格電流の値をもつ試験電流に対して,各接点とその対応する導体間における電圧降

下は,10 mV を超えてはならない。試験後,防護物がある場合,その防護物が本体から分離したり,可と

うケーブル又はコードの絶縁物にはく離及び摩耗の兆候があってはならない。破損したより線が絶縁物を

貫通して接近してはならない。

7.9.2

機械的強度

7.9.2.1

 SPD は,据付中及び使用中に加わる負荷に耐えるような機械的強度をもっていなければならない。

適否は,試験によって判定する。試料に,

図 10

に示すような衝撃試験装置によって打撃を加える。


38

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

単位  mm

a

)

試験装置

 10  機械的強度試験装置


39

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

単位  mm

b

)

打撃振り子ハンマの打撃エレメント

 10  機械的強度試験装置

続き

打撃エレメントは,打撃面がロックウェル硬さ HR 100 のポリアミドの半径 10 mm の半球状態で質量が

150±1 g のものとする。部品は,垂直面だけで振れるように上端に旋回支点のある,外径 9 mm で壁面の

厚さが 0.5 mm の鋼管の下端に堅く固定する。旋回軸は,打撃エレメント軸の上方 1 000±1 mm とする。

ポリアミドの打撃エレメントのロックウェル硬さは,直径 12.700±0.002 5 mm の球体を用い,初期負荷 100

±2 N で追加負荷 500±2.5 N で決定する。

備考

  プラスチックのロックウェル硬さの決定に関する詳細は

JIS K 7202-2

参照。

この装置は,鋼管を水平位置に保ち,1.9 N∼2.0 N の力が打撃エレメントの面に加わるように設計する。

試料は,厚さ 8 mm で一辺 175 mm の大きさの合板上に装着し,その上端及び下端を金具に固定する。可

搬式の SPD は,固定式の SPD と同様にして試験するが,合板には補助手段によって固定する。

取付板は,質量 10±1 kg で剛体枠に装着しなければならない。取付板は,次のように設計する。

−  打撃点が旋回軸を通る垂直面にあるように試料を装着する。

−  試料を水平にずらすことができ,合板の表面に垂直な軸の周りに回転できる。

−  合板を垂直軸周りに回転できる。

壁埋込取付形 SPD は,合板に固定したホーンビーム又は同様の機械的特性をもつ材質のブロックに作っ

たくぼみに装着する(それらはその関連する取付箱の中では試験しない。

。ブロックとして木材を使用す

る場合,その木材の繊維方向は,衝撃の方向に対して直角としなければならない。

面一ねじ取付 SPD は,ブロックに作られたくぼみの突起へねじで固定しなければならない。面一かぎつ


40

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

め取付 SPD は,かぎつめでブロックに固定しなければならない。打撃を加える前に,ベース及びカバーの

取付ねじを

表 12

に規定したトルクの

2
3

で締め付ける。試料は,打撃点が旋回軸を通る垂直面にあるよう

に装着する。

打撃エレメントは,

表 13

で規定した高さから落下してもよい。

 13  衝撃に対する落下距離

衝撃を加える外囲器の部品

落下の高さ

mm

通常の附属品

他の附属品

100 A 及び B A 及び B 
150 C

C

200 D

D

A :  前面の部品,引っ込んでいる部品も含む。 
B :  通常状態で取り付けた後上記部品 A を除いて,取付表面(壁からの距離)から 15 mm

以上突出しない部分

C :  通常状態で取り付けた後上記部品 A を除いて,取付表面(壁からの距離)から 15 mm

以上 25 mm 未満突出した部分

D :  通常状態で取り付けた後上記部品 A を除いて,取付表面(壁からの距離)から 25 mm

以上突出した部分

試料の,装着表面から最も突き出た部分によって決定する落下の高さを,A 部分を例外として,試料の

全部分に適用する。落下の高さは,振り子を放すときの標点の位置,及びその点の衝撃時点での位置の垂

直距離である。標点は,振り子の鋼管軸及び打撃ハンマ軸の交点を通り,両軸が作る平面に垂直な線がハ

ンマの表面と交わる点に付けた印とする。試料全体に均等に分散する打撃を試料に加える。打撃は“ノッ

クアウト”領域に加えてはならない。

次の打撃を加える。

−  A 部分に対して 5 回の打撃を中心部に 1 回,試料を水平に動かした後,中心と端間の不利な点で各

1 回,次に,試料を合板に垂直な軸の周りに 90°回転させた後,同様な点で各 1 回。

−  B 部分(適用できる場合)

,C 部分及び D 部分に対しては 4 回の打撃を加える。

    ・  合板を 60°回転させた後,試料の 1 側面に 1 回,及び試料を合板に垂直な軸の周りに 90°回

転させて別の側面に 1 回。合板の位置は変えない。

    ・  合板を逆方向に 60°回転させて,試料の異なる 2 側面のそれぞれに 1 回。

試験後,試料は,規格の目的の範囲において,損傷してはならない。特に,充電部分は標準試験指によ

って接近可能であってはならない。ただし,沿面距離又は空間距離を減少しない仕上げでの損傷及び小さ

いくぼみ並びに電撃又は有害な水の浸入に対する防護に不利な影響を及ぼさない小さいきずは無視する。

拡大しないで,裸眼又は矯正視力で見えないひび割れ,繊維強化した成形品及び類似のものの表面ひび割

れは無視する。

7.9.2.2

  可搬形 SPD は,

図 11

に示す回転ドラムの中で試験する。


41

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

単位  mm

 11  回転ドラム

再結線できる SPD には,製造業者が指定した可とうケーブル又はコードを取り付け,その自由長は約

100 mm とする。端子ねじ及び組立ねじは,

表 12

に規定したトルクの

2
3

で締め付ける。再結線できない

SPD は納入状態で試験する。

可とうケーブル又はコードは,自由長約 100 mm が附属品から突き出すように切断する。試料を 500 mm

の高さから,厚さ 3 mm の鋼板上に次に示す回数落下する。

−  ケーブル又はコードを除く試料の質量が 100 g 以下の場合,1 000 回

−  ケーブル又はコードを除く試料の質量が 100 g 超過 200 g 以下の場合,500 回

−  ケーブル又はコードを除く試料の質量が 200 g 超過の場合,100 回

ドラムは 1 分間に 5 回転の割合で回転し,1 分間に 10 回の落下を起こす。ドラムでの試験は 1 回につき

1 個の試料で試験する。試験後,試料に損傷があってはならない。特に,


42

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

−  どの部品も外れたり緩んだりしてはならない

−  標準試験指で 10 N を超えない力で加えた場合,いかなる充電部分にも触れないほうが望ましい。

試験後の検査中は,可とうケーブル又はコードの接続に特別な注意を払う。感電保護に影響を受けてい

ない限り,小片の脱落は不合格としなくてもよい。沿面距離及び空間距離を減少させない仕上げの損傷及

び小さいくぼみは無視する。測定制限電圧は,

7.5

による試験を使い決定しなければならない。

7.5.2

の試験は,I

n

だけを実施し,

7.5.4

及び

7.5.5

の試験は,U

oc

だけを実施する。

7.5.3

の試験では,10

個の測定ピーク値の最大値を使用する。その試料は,

測定制限電圧が U

p

以下の場合その試験に合格とする。

供試品は,最大連続使用電圧 U

c

及び定格周波数の電源に接続する。試験用変圧器は,他の値を製造業者が

用意していない限り,200 mA 以上の短絡電流容量をもっていなければならない。供試品を流れる電流を測

定する。正弦波の波高値での抵抗成分電流は,1 mA の値を超えてはならない。

7.9.3

耐熱性

7.9.3.1

 SPD を 100  ℃±2 K に加熱したキャビネットに 1 時間保存する。内部の組立てに用いているいか

なるシール用コンパウンドも顕著に流れ出してはならない。冷却後,供試品を通常使用のために取り付け

た状態で,標準試験指を 5 N 以下の力で当てたとき,いかなる充電部分にも触れないほうが望ましい。SPD

は,SPD 分離器が開放になっても,試験に合格したものとみなす。

7.9.3.2

  絶縁材で構成する SPD の外部部品は,

図 12

に示す試験装置によってボールプレッシャー試験を

行う。

a

)

b

)

 12  ボールプレッシャー試験装置

試験片

圧子(球形のボール)

試験片受台

荷重

R=2.5 mm

荷重 
ロッド


43

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

電流通電部品及び接地回路の部品を規定の位置に保持するために必要な絶縁材料の部品は,125  ℃±2 K

に加熱したキャビネットで試験する。電流通電部品及び接地回路の部品を規定の位置に保持するのに必要

のない絶縁材料部品は,それらが接触する場合でも,70  ℃±2 K に加熱したキャビネットで試験する。試

験する試料は,その表面を水平にして固定し,直径 5 mm の鋼球を 20 N の力でその表面に押し付ける。1

時間後,鋼球を試料から除去する。試料を冷水に浸すことによって,試料の温度を 10 秒以内に周囲温度ま

で下げる。球体によるくぼみの直径を測定し,それが 2 mm を超えてはならない。

備考

  セラミック部品に対しては,この試験を行わない。

7.9.4

異常加熱及び火災に対する耐熱性

  次の条件に基づき

JIS C 60695-2-11

に従ってグローワイヤ試験

を実施する。

a

)  通電部品及び防護回路部品を規定の位置に保持するために必要な絶縁材料で作った SPD の外部部品

に対しては,850  ℃±15 K の温度で行う。

b

)  絶縁材で作ったその他のすべての外部部品に対しては,650  ℃±10 K の温度で行う。

この試験では,表面取付形 SPD の基台は,外部部品とみなす。この試験は,セラミック材からなる部品

に対して行わない。絶縁部品を同じ材質で作っている場合,試験は,適切なグローワイヤ試験温度に従っ

て,これらの部品の一つに対してだけ実施する。グローワイヤ試験は,規定の試験条件下で電気的に加熱

した試験ワイヤが絶縁部品の引火の原因とはならないことを確認するために適用する。さらに,この試験

は規定の試験条件下で加熱した試験ワイヤで発火するかもしれない絶縁材料が,炎又は試験した部品から

落下した燃焼部品又は飛沫によって火災を拡大することなく燃焼時間を制限できることを確認するために

適用する。試験は,1 個の試料について行う。疑義のある場合,更に 2 個の試料について試験を繰り返す。

試験は,グローワイヤを 1 回だけ用いて行う。試験中試料はその意図した用途で最も厳しい条件の位置に

置かなければならない(表面は垂直位置で試験する。

。グローワイヤの先端は,加熱又は赤熱する素子が

供試品と接触するように意図した使用条件を考慮して供試品の指定した表面に押し当てなければならない。

次の場合,試料は合格とする。

−  炎又は赤熱が見えない場合,又は

−  グローワイヤを取り去ってから,30 秒以内に試料の炎又は赤熱が消える場合

ティッシュペーパ(薄葉紙)が発火したり,松の板が焦げたりしてはならない。

7.9.5

空間距離及び沿面距離の検査

  スパークギャップの電極間隔は,空間距離及び沿面距離を決定する

際に無視しなければならない。

7.9.5.1

屋外用 SPD

  充電部分と接地間では,空間距離及び沿面距離は,

表 14

に示す値より小さくては

ならない。

 14  屋外用 SPD に対する空間距離及び沿面距離

絶縁材料に対する沿面距離  (

9

)

mm

SPD の最大連続使用電圧

U

c

最小空間距離

mm

CTI が 600 を超える

CTI が 400 を超え 600 以下

450 V 以下

      3

 6

              7.5

450 V を超え   600 V 以下

      5.5

12

           15.5

600 V を超え 1 200 V 以下

      8

20

           25

1 200 V を超え 1 500 V 以下

     12.1

30

           40

注(

9

)  汚染度が 4 以下又は汚染試験を行う場合は他の値でよい。

備考  これらは海抜 2 000 m までの高さ,汚染度 4 で非均一電界の場合の JIS C 0704 に基づく値である。

比較トラッキング指数 (CTI) は JIS C 2134 の試験溶液 A で評価する。


44

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

7.9.5.2

屋内用 SPD

  空間距離及び沿面距離は,

表 15

に示す値より小さくてはならない。

7.9.5.2.1

測定

JIS C 0704

参照)  測定は,製造業者が指示した最大断面積の導体がある場合と同様,

導体なしでも実施する。上部が円形でないナット及びねじは最も好ましくない締付位置にあるとみなす。

隔壁が存在する場合,空間距離は隔壁の反対側まで測定する。ここで隔壁が互いに連結していない二つの

部分で構成する場合,空間距離は隔壁間の間げきを含めて測定する。絶縁材からなる外部部品の溝又は穴

による距離は,触れることができる表面の金属はくに対応して測定する。この目的で,この金属はくは穴

の中に押し込まない。標準試験指(

7.8.3

参照)を用いて,金属はくを隅又は同様のものに押し入れなけれ

ばならない。

沿面距離の途中に溝がある場合は,その幅が 1 mm 以上あればその断面だけを考慮する。1 mm より小さ

い溝については,その幅だけを考慮する。互いに接着していない二つの部分で構成する隔壁がある場合,

沿面距離は分離しているギャップ間を測定する。充電部分と取付表面のある隔壁間の空間距離が 1 mm よ

り小さい場合,分離している表面間の距離だけを考慮する。これを沿面距離とみなす。そうでない場合,

全距離,すなわち,空間ギャップと分離している表面間の距離の総和を空間距離と考える。金属部品が少

なくとも 2 mm の厚さの自己硬化樹脂で覆われているか,又は

7.9.8

による試験電圧に耐える絶縁体で覆わ

れている場合,沿面距離及び空間距離は必要ない。

 15  屋内用 SPD に対する空間距離及び沿面距離

SPD 最大連続使用電圧

U

c

100 V

以下

100 V を超え

200 V

以下

200 V を超

え 450 V

以下

450 V を超

え 600 V

以下

600 V を超

え 1 200 V

以下

1 200 V を超

え 1 500 V

以下

空間距離  mm

1)

  異なる極性の充電部分間

2)

  充電部分と次の間

−  SPD を取り付けるために取外

しができるカバーを固定する

ためのねじ及び他の手段

−  止め金具表面  (

11

)

−  SPD を固定するためのねじ又

は他の手段  (

11

)

−  本体  (

10

)

3)

  分離器機構の金属部と次の間

−  本体  (

10

)

−  SPD を固定するためのねじ又

は他の手段  (

11

)

1

1

 


2

1


1

2

2

 


4

2


2

3

3

 


6

3


3

    5.5

    5.5

 

11 
11

    5.5

    5.5 
    5.5

 8

 8

 

16 
16

 8

 8 
 8

12

12

 

24 
24

12

12 
12

沿面距離  mm

4)

  異なる極性の充電部分間

5)

  充電部分と次の間

−  SPD を取り付けるために取外

しができるカバーを固定する
ためのねじ及び他の手段

−  SPD を固定するためのねじ又

は他の手段  (

11

)

−  本体  (

10

)

1

1

 

2

1

2

2

 

4

2

3

3

 

6

3

    5.5

    5.5

 

11

    5.5

 8

 8

 

16

 8

12

12

 

24

12

注(

10

)  定義は 7.9.7.2 参照。

(

11

)  装置の充電部分及び金属の遮へい板又は SPD を取り付けている表面間の空間距離及び沿面距離が,SPD の設

計だけの場合に,SPD が望ましくない位置(たとえ金属の外囲器であっても)に取り付けているときは,そ
れらの値は減少できない。


45

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

7.9.5.2.2

  充てん物は,穴の縁を覆ってはならない。また充てん物は,穴の壁面及びその中の金属部品に

強力に接着していなければならない。試験は,工具を使用しないで充てん物を引き離す検査を行う。

7.9.6

耐トラッキング性

  絶縁材料をセラミックで作っている,又は沿面距離が

7.9.5

で指示した値の 2

倍以上の場合,この試験は適用しない。

JIS C 2134

の試験溶液 A による試験は,試験電圧 175 V で行う。

7.9.7

絶縁抵抗

JIS C 8211

に従って試験する。

7.9.7.1

  供試品は,次のように準備しなければならない。

ケーブル導入用の追加の穴があれば,開いたままにしておく。ノックアウトが幾つかあれば,そのうち

の一つを開く。工具を必要としないで分離することのできるカバー又は他の部分は取り外し,必要なら同

じ加湿処理を行う。加湿処理は相対湿度 91∼95 %の恒温恒湿槽の中で実施する。空気の温度は,供試品を

置くことができる可能性のあるすべての場所で,20∼30  ℃の適切な温度 で±1 K の範囲内に維持する。

供試品を恒温恒湿槽の中に入れる前に,その温度を℃単位で T∼  (T+4)  にしておく。供試品を恒温恒湿

槽の中に入れたまま 2 日間(48 時間)放置しなければならない。

備考1.

  ほとんどの場合,加湿処理の前に供試品をこの温度で 4 時間維持すれば,要求した温度にす

ることができる。

2.

  相対湿度 91∼95 %は,空気との十分な接触面をもった硫酸ナトリウム (Na

2

SO

4

)  又は硝酸カ

リウム (KNO

3

)  などの飽和水溶液を湿度キャビネットの中に入れ達成する。

7.9.7.2

  湿度処理に続いて 30 分又は 60 分間の遅延期間の後,500 V の直流電圧を印加して絶縁抵抗を 60

秒間測定する。試料の測定は,取り外した部品を再装着してから,恒温恒湿槽の中又は定めた温度の部屋

の中で実施する。測定は,次のようにして実施しなければならない。

a

)  相互接続した充電部分及び偶発的に接近する可能性のある SPD 本体との間

この試験方法での“本体”という表現は次のものを意味する。

−  普通に使うものとして装備した後に触れる可能性のある金属部品及び絶縁材料表面上の金属はく

− SPD を実装した表面。必要な場合,金属はくで覆う。

− SPD をその支持体に固定するねじ及びその他の部品

これらの測定において,既存の充てん物の部分を試験する方法として,金属はくを被せるのが効果

的である。

b

) SPD の主回路の充電部分と,もしあれば補助回路の充電部分間

絶縁抵抗は次の値より低くてはならない。

a

)  による測定では 5 M

b

)  による測定では 2 M

7.9.8

耐電圧

  屋外用 SPD は,内部の部品なしで,その容器の端子間で試験する。試験中,この SPD は,

IEC 60060-1

によって注水する。屋内用の SPD は,

7.9.7.2

a

)  及び

b

)  に示すように試験する。SPD は

16

による交流電圧で試験する。要求した交流電圧の半分以下の電圧から始めて,その電圧を 30 秒以内に

要求した交流電圧まで上昇し,そこで 1 分間保持する。


46

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

 16  耐電圧

SPD の最大連続使用電圧

U

c

AC 試験電圧

kV

100 V 以下 1.1 
200 V 以下 1.7 
450 V 以下 2.2 
600 V 以下 3.3

1 200 V 以下 4.2 
1 500 V 以下 5.8

アーク又は貫通が発生してはならないが,部分的な放電は,その放電中の電圧変化が 5 %未満であれば

よい。

試験に使用する電源トランスは,その開放端子で試験電圧に調整した後,端子を短絡して 200 mA 以上

の短絡電流が流れるように設計しなければならない。過電流リレーがある場合,それは試験回路電流が 100

mA を超えたときだけ動作しなければならない。試験電圧を測定する装置は±3 %の精度がなければならな

い。

補助回路は,

JIS C 0704

に従って試験する。

7.9.9

固体の侵入及び有害な水の浸入に対する耐性

  IP コードを確認するために,試験は

JIS C 0920

従って実施しなければならない。

8.

ルーチン試験及び受入試験

8.1

ルーチン試験

  SPD がその性能に合致していることを検証するために適切な試験を実施しなければ

ならない。製造業者は,試験方法を指定しなければならない。I

c

が,規定した U

c

で製造業者が定めた規定

値より低いことを確認する。

8.2

受入試験

  受入試験は,製造業者と使用者間の合意によって実施する。使用者が購入契約書で受入

試験を規定する場合には,次の試験を,供給する SPD の数の三乗根以下で最も近いほうの整数で行わなけ

ればならない。供試品の数又は試験の種類の変更については製造業者と使用者間で協議しなければならな

い。他に指定がない限り,次の試験を受入試験として規定する。

a

)

7.2

による検査で識別を確認する。

b

)

7.2

による検査で表示を確認する。

c

)  電気的パラメータの確認(例えば,

7.5

による測定制限電圧)


47

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

附属書 A(参考)クラスⅠ試験を適用する場合の SPD に対する配慮

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

SPD のストレスを取り扱う場合には,建物の設備内での直撃雷電流の分流を考慮しなければならない。

外部雷保護システムを装備した設備への直撃雷の場合に,SPD を流れる電流分流を決定する目的で接地

設備のオーム抵抗を使用することは,一般的に,十分正確である。例えば,建物,管の接地,配電系統の

接地などである。

図 A.1

は電流分流の代表的な例を示す。個別の評価(例えば,計算による。

)が不可能な

場合,考慮している建築物の雷保護システムの接地終端に全雷電流 の 50 %が流れ込むと仮定する。他の

50 %の電流(I

s

という。

)は,外部の導体部分,電力線及び通信線などの建築物に入る供給源間に分流する。

各供給源に流れる電流値を I

i

とすると,      ,ここで は供給源の数である。

遮へいしていないケーブルで各導体の電流(I

v

と呼ぶ。

)を評価する場合,ケーブル電流 I

i

を導体数 m で

除する。

m

I

I

i

V

=

遮へいしたケーブルの場合,一般的に電流は主に遮へい体を流れる。推奨値 I

peak

は I

v

に相当する。

備考1.

  架空線路に対する直撃雷は同様の方法で考慮してもよい。

2.

IEC 61312-1

に規定する試験パラメータは雷の脅威を表している。

3.

IEC 61312-1

表 C.1

は,W/R が SPD の試験のための第一義的な関係事項のパラメータでは

ないため,本体の

表 3

とは異なる。

n

I

Is

i

=


48

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

 A.1  雷電流の一般的な分流

(詳細は,

JIS C 5381-12

附属書 I  I 1.2

参照)

50/3 %

SPD

100 %

環状接地電極

50 %

金属水道管

金属ガス管

50/3 %

ボンディングバー

電力線

50/3  %

三相 4 線

50/(3×4) %


49

C 5381-1

:2004 (IEC 61643-1:1998)

附属書 B(規定)TOV 値

試験方法は,低電圧電源設備系統に SPD を適用する回路によって,製造業者が示す設備の据付け及び次

表 B.1

に示す値で実施する。

 B.1  TOV 

適用回路

項目に準じる試験

SPD の接続箇所

5 秒間での最小 U

T

(7.7.6.1)

200 ms 間での TOV 値

(7.7.4)

L−(PE) N 間又は L−N 間 1.45U

0

L−PE 間

TN 系統

L−L 間

L−PE 間

3

U

0

 1

200+U

0

L−N 間 1.45U

0

N−PE 間

200

TT 系統

L−L 間

L−PE 間

1

200+U

0

L−N 間 1.45U

0

N−PE 間

200

IT 系統

L−L 間

L−PE 間

3

U

0

1 200+U

0

L−(PE) N 間 1.45U

0

N−PE 間

200

TN,TT 及び IT
系統

L−L 間

備考  中性点接地の単相 3 線系統での SPD の TOV 値,及び三相 4 線系統(共通的に用いている北アメリ

カ設備系統)での SPD の TOV 値は除く。

関連規格

IEC 60099-4 

: 1991  Surge arresters−Part 4 : Metal oxide surge arresters without gaps for a. c.

systems

IEC 60950 

: 1991  Safety of information technology equipment

IEC 61008-1 

: 1996  Residual current operated circuit-breakers without integral overcurrent protection

for household and similar uses (RCCBs)−Part 1 : General rules