C 5064:2020 (IEC 61605:2016)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 固定インダクタの色による表示 ··························································································· 1
3.1 一般事項 ······················································································································ 1
3.2 固定インダクタの色による表示例······················································································ 2
4 インダクタンス値の数字及び文字による表示 ········································································· 3
4.1 一般事項 ······················································································································ 3
4.2 インダクタンス値に対する表示記号の例············································································· 4
5 インダクタンス値の許容差を表す文字記号 ············································································ 4
5.1 正負対称の許容差 ·········································································································· 4
5.2 その他の許容差 ············································································································· 5
6 固定インダクタの製造年月(年週)記号 ··············································································· 5
6.1 1文字記号(年/月) ····································································································· 5
6.2 2文字記号(年/月) ····································································································· 6
6.3 4数字記号(年/週) ····································································································· 6
C 5064:2020 (IEC 61605:2016)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
電子情報技術産業協会(JEITA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本
産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
産業規格である。これによって,JIS C 5064:2009は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
C 5064:2020
(IEC 61605:2016)
電子機器及び通信機器用固定インダクタ−表示記号
Fixed inductors for use in electronic and telecommunication
equipment-Marking codes
序文
この規格は,2016年に第3版として発行されたIEC 61605を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,電子機器及び通信機器用固定インダクタの表示記号について規定する。
固定インダクタの色による表示方法は,箇条3による。ここで用いる数値は,JIS C 60063に規定する
E3からE24までの標準数列に基づいている。
インダクタンス値を数字及び文字で表す記号表示方法は,箇条4による。
インダクタンス値の許容差を文字で表す記号表示方法は,箇条5による。
固定インダクタの製造年月(年週)を文字及び数字で表す記号表示方法は,箇条6による。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61605:2016,Fixed inductors for use in electronic and telecommunication equipment−Marking
codes(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS X 0301 情報交換のためのデータ要素及び交換形式−日付及び時刻の表記
注記 対応国際規格:ISO 8601,Data elements and interchange formats−Information interchange−
Representation of dates and times(MOD)
3
固定インダクタの色による表示
3.1
一般事項
固定インダクタの色による表示は,“色帯”で表示することが望ましい。色帯以外の形状を用いる場合は,
個別規格に形状,配列,及び識別について規定する。
固定インダクタの色帯による表示は,四つの色帯で構成する。最初の三つの色帯は,インダクタンス値
2
C 5064:2020 (IEC 61605:2016)
を表し,最後の色帯は,その許容差を表す。
インダクタンス値は,2桁の有効数字と10のべき数とで表す。
有効数字,10のべき数及び許容差は,表1による。
最初の二つの色帯は,有効数字を表す。
第3色帯は,10のべき数を表す。インダクタンス値は,マイクロヘンリー(µH)単位で表す。第1色
帯は,インダクタの端に最も近い位置とし,各色帯は,読取りに誤りがないような位置及び間隔とする。
固定インダクタに追加する表示は,四つの色帯で表すインダクタンス値及び許容差の表示と混乱しない
表示を用いる。
表1−色に対応する数値
色
有効数字
10のべき数
許容差
%
銀色
−
10−2
±10
金色
−
10−1
± 5
黒
0
100
−
茶色
1
101
± 1
赤
2
102
± 2
だいだい(橙)色
3
103
−
黄
4
104
−
緑
5
105
−
青
6
106
−
紫
7
10−3
−
灰色
8
10−4
−
白
9
−
−
色を付けない
−
−
±20
3.2
固定インダクタの色による表示例
固定インダクタの色による表示例を,図1,図2及び図3に示す。
記号の説明
1 第1色帯:有効数字1桁目の数字,黄の場合は,数字4を表す。
2 第2色帯:有効数字2桁目の数字,紫の場合は,数字7を表す。
3 第3色帯:10のべき数,黒の場合は,べき数×100を表す。
4 第4色帯:許容差,銀色の場合は,許容差±10 %を表す。
図1−47 μH±10 %の例
3
C 5064:2020 (IEC 61605:2016)
記号の説明
1 第1色帯:有効数字1桁目の数字,黄の場合は,数字4を表す。
2 第2色帯:有効数字2桁目の数字,紫の場合は,数字7を表す。
3 第3色帯:10のべき数,金色の場合は,べき数×10−1を表す。
4 第4色帯:許容差,赤の場合は,許容差±2 %を表す。
図2−4.7 μH±2 %の例
記号の説明
1 第1色帯:有効数字1桁目の数字,黄の場合は,数字4を表す。
2 第2色帯:有効数字2桁目の数字,紫の場合は,数字7を表す。
3 第3色帯:10のべき数,灰色の場合は,べき数×10−4を表す。
4 第4色帯:許容差,金色の場合は,許容差±5 %を表す。
図3−4.7 nH±5 %の例
4
インダクタンス値の数字及び文字による表示
4.1
一般事項
公称インダクタンス値は,数字及び文字の三つの記号で表す。
インダクタンス値が10 μH以上の場合は,最初の2数字は有効数字を表し,3番目の数字はべき数を表
す。この場合の,10のべき数に対応する数字は,表2による。
表2−10のべき数に対応する数字
数字
0
1
2
3
4
5
6
10のべき数
100
101
102
103
104
105
106
4
C 5064:2020 (IEC 61605:2016)
インダクタンス値が100 nH以上かつ10 μH未満の場合は,2桁の有効数字及びμHを単位とした小数点
の位置をRの文字で表す。また,インダクタンス値が100 nH未満の場合は,2桁の有効数字とnHを単位
とした小数点の位置をNの文字とで表す。
4.2
インダクタンス値に対する表示記号の例
インダクタンス値に対する表示記号の例を,表3に示す。
表3−インダクタンス値に対する表示記号の例
インダクタンス値
表示記号
0.10 nH
N10
0.47 nH
N47
1.0 nH
1N0
4.7 nH
4N7
10
nH
10N
47
nH
47N
0.10 μH
R10
0.47 μH
R47
1.0 μH
1R0
4.7 μH
4R7
10
μH
100
47
μH
470
100
μH
101
470
μH
471
1.0 mH
102
4.7 mH
472
10
mH
103
47
mH
473
100
mH
104
470
mH
474
1.0
H
105
4.7
H
475
10
H
106
47
H
476
5
インダクタンス値の許容差を表す文字記号
5.1
正負対称の許容差
インダクタンス値の許容差が正負対称な場合の文字記号は,表4による。
5
C 5064:2020 (IEC 61605:2016)
表4−正負対称の許容差に対する文字記号
許容差
文字記号
±0.05 nH
W
±0.1 nH
B
±0.2 nH
C
±0.3 nH
S
±0.5 nH
D
±1
%
F
±2
%
G
±3
%
H
±5
%
J
±10
%
K
±15
%
L
±20
%
M
±30
%
N
これらの表4に示す文字記号は,インダクタンス値の後に付ける。
5.2
その他の許容差
文字記号が規定されていない許容差の表示は,文字記号Aを用いてもよい。文字記号Aは,その許容差
が他の文書に基づいて定めていることを示している。
6
固定インダクタの製造年月(年週)記号
6.1
1文字記号(年/月)
1文字で表す製造年月記号は,表5に示す方法で表し,4年を1サイクルとして繰り返して用いる。
表5−1文字記号の年月表示記号
年
月
文字
年
月
文字
年
月
文字
年
月
文字
2001
2005
2009
2013
2017
2021
2025
2029
2033
2037
・
・
1
A
2002
2006
2010
2014
2018
2022
2026
2030
2034
2038
・
・
1
N
2003
2007
2011
2015
2019
2023
2027
2031
2035
2039
・
・
1
a
2004
2008
2012
2016
2020
2024
2028
2032
2036
2040
・
・
1
n
2
B
2
P
2
b
2
p
3
C
3
Q
3
c
3
q
4
D
4
R
4
d
4
r
5
E
5
S
5
e
5
s
6
F
6
T
6
f
6
t
7
G
7
U
7
g
7
u
8
H
8
V
8
h
8
v
9
J
9
W
9
j
9
w
10
K
10
X
10
k
10
x
11
L
11
Y
11
l
11
y
12
M
12
Z
12
m
12
z
注記1 製造年月は,I及びOを除く1英大文字又は1英小文字で表している。
注記2 1英小文字のc,p,s,u,v,w,x及びzのように,1英大文字と読み誤りやすい又は紛ら
わしい1英小文字の表記には,注意が必要である。小文字の上に横バー(−)を付けるか
又は適切な方法で区別することがある。
1文字記号(年/月)による表示例を,例1及び例2に示す。
6
C 5064:2020 (IEC 61605:2016)
例1 2016年6月は,文字記号tで表す。
例2 2017年11月は,文字記号Lで表す。
6.2
2文字記号(年/月)
2文字で製造年月を表す記号が必要な場合は,表6及び表7の方法による。
表6−2文字記号で用いる年記号
年
文字
年
文字
年
文字
年
文字
年
文字
|
|
2017
J
2026
U
2035
F
2044
S
¯
¯
2018
K
2027
V
2036
H
2045
T
2010
A
2019
L
2028
W
2037
J
2046
U
2011
B
2020
M
2029
X
2038
K
2047
V
2012
C
2021
N
2030
A
2039
L
2048
W
2013
D
2022
P
2031
B
2040
M
2049
X
2014
E
2023
R
2032
C
2041
N
2050
A
2015
F
2024
S
2033
D
2042
P
|
|
2016
H
2025
T
2034
E
2043
R
¯
¯
注記 年を表す文字記号は,20年のサイクルで繰り返している。
表7−2文字記号で用いる月記号
月
記号
月
記号
1
1
7
7
2
2
8
8
3
3
9
9
4
4
10
O
5
5
11
N
6
6
12
D
2文字記号(年/月)による表示例を,例1及び例2に示す
例1 2023年3月は,文字記号R3で表す。
例2 2025年11月は,文字記号TNで表す。
6.3
4数字記号(年/週)
製造年週の表示が必要な場合は,4数字記号とする。初めの2数字は製造年(西暦)の末尾2数字とし,
最後の2数字はその年の何番目の週であるかを表す。週の番号の付け方は,JIS X 0301による。
4数字記号(年/週)による表示例を,例1及び例2に示す。
例1 2019年の第10週は,数字1910で表す。
例2 2024年の第42週は,数字2442で表す。
参考文献 JIS C 5320 電子機器用高周波コイル及び中間周波変成器通則
JIS C 60063 抵抗器及びコンデンサの標準数列
注記 対応国際規格:IEC 60063,Preferred number series for resistors and capacitors(IDT)