2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 5003-1974
電子部品の故障率試験方法通則
General Test Procedure of Failure Rate for Electronic Components
1. 適用範囲 この規格は,本質的に同一設計で連続的に製造され,確立した品質管理によって生産され
る電子部品(以下,部品という。)であって,原則として期待される寿命期間中,一定の故障率を合理的に
仮定できる部品について適用し,計数1回抜取検査方式によって,部品の故障率水準の初期判定,維持,
拡張の原則,測定間隔,試料数,試験時間,得られた結果の処理などの手順について規定する。
備考 故障率を数値で算出する場合の方法及び故障率による方式を不良率による方式に応用する場合
の方法についても附属書に示す。
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次による。
(1) 故障 故障とは,部品が規定の機能を失うことをいう。
(2) 故障率 故障率とは,部品がある期間故障なく動作した後,引き続く単位期間内に故障を起こす割合
をいう。
(3) 故障率水準 故障率水準とは,故障率をいくつかの群,すなわち水準に区分して記号を付けた便宜的
な故障率の区分をいう。
備考 この故障率水準の故障率は,なるべく不合格としたいロットの故障率の上限である。
(4) 信頼水準 信頼水準とは,(3)の故障率水準の故障率のロットが不合格となる確率を百分率 (%) で示
したものをいう。
(5) 故障率加速係数 故障率加速係数とは,二つの異なったストレスで試験したとき,故障原因が変らな
い場合に,ある規定時間における加速状態での故障率と基準状態*での故障率との比基準状態での故障率
加速状態での故障率を
いう。
注*
基準状態の試験とは,部品規格に規定の基準ストレスによる試験をいう。
(6) 総試験時間又は総動作回数 総試験時間又は総動作回数とは,試料の総数についての試験時間又は動
作回数の累計をいう。
備考 総試験時間は,コンポーネント時間ともいう。
3. 故障率の信頼水準 この規格で用いる故障率の信頼水準は,60%及び90%の2種類とし,特に規定が
ない限り60%とする。ただし,故障率水準の維持の確認は,信頼水準10%で行う。
4. 故障率水準 故障率水準は,故障率を103時間当たりの百分率 (%) 又は106総動作回数当たりの故障
数を単位として表し,表1から選ぶ。ただし,原則としてM, P, R, S, Tを使用し,その他は,必要に応じ
て適用する。
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表1
記号
故障率
(%/103h又は10−6/回)
記号
故障率
(%/103h又は10−6/回)
L
5
R
0.01
M
1
E
0.005
N
0.5
S
0.001
P
0.1
H
0.0005
Q
0.05
T
0.0001
5. 試験時間又は動作回数 故障率を算出する場合の試験時間又は試験動作回数は,次による。
(1) 時間の場合,試験時間(延長試験の場合の時間を含む。)は,原則として表2から選ぶ。
なお,規定の試験項目をいくつかの時点で測定する必要がある場合は,原則として表3から選ぶ。
ただし,一定時間(例えば,1000時間)に達した後,一定間隔で測定してもよい。この場合測定した
時間を明記する。
表2
試験時間
(h)
許容差
(h)
48
±4
96
±4
240
±8
500
+24
0
1000
+48
0
2000
+72
0
5000
+72
0
10000
+72
0
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表3
測定点
(h)
許容差
(h)
0
8
±2
24
±4
48
±4
96
±4
240
±8
500
+24
0
700
+24
0
1000
+48
0
2000
+72
0
5000
+72
0
7000
+72
0
10000
+72
0
(2) 回数又はサイクルの場合,試験動作回数(回又はサイクル)(延長試験の場合を含む。)は,原則とし
て表4から選ぶ。
なお,規定の試験項目をいくつかの時点で測定する必要がある場合には,原則として表5から選ぶ。
ただし,一定回数(例えば104回)に達した後,一定間隔で測定してもよい。この場合,測定した動
作回数を明記する。
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表4
試験動作回数
(回又はサイクル)
5000
10000
20000
30000
50000
100000
200000
300000
500000
1000000
2000000
3000000
5000000
10000000
20000000
30000000
50000000
100000000
200000000
300000000
500000000
表5
測定点
〔動作回数(回又はサイクル)〕
0
500
700
1000
2000
5000
7000
10000
20000
30000
50000
70000
100000
200000
300000
500000
700000
1000000
2000000
3000000
5000000
7000000
10000000
20000000
30000000
50000000
70000000
100000000
200000000
300000000
500000000
備考 表4,表5の動作回数(回又はサイクル)の許容差は,±5%とする。
6. 故障率水準の初期判定,維持,拡張
6.1
試験の一般的事項 故障率水準の初期判定,維持,拡張のための試験は,原則として定格で行うこ
ととする。ただし,加速の程度及び根拠が明らかな場合は,加速試験を併用してもよい。加速試験を併用
する場合は,原則として定格に換算した総試験時間又は総動作回数(以下,総試験時間という。)の4分の
1以上は,定格で試験を行う。試験時間は,原則として103時間以上とし,動作回数で表す部品では原則と
して104回以上とする。
また,試験に供する試料数は,原則として10個以上とする。
なお,加速して試験する場合の総試験時間は,試験時間×試料数×故障率加速係数の値とする。
規定の試験以外の原因(例えば取扱不良,事故など)で生じた故障は,故障数の中に含めてはならない。
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また,ある測定期間を過ぎて,次の測定時間で故障を発見したときは,前の測定時間を故障発生時点と
する。
更に,次のことを明確にする。
(1) 試験項目と試験条件
(2) 測定項目とその測定条件(周囲条件,処理条件を含む。)及び測定回数
(3) 故障の判定基準
(4) 信頼水準
(5) 試験時間
(6) (5)に規定した試験時間を超えて試験を続行する場合の延長試験時間
(7) 与えられた総試験時間が,(5)及び(6)の試験時間との関係において満足される試料数
(8) 加速試験を併用する場合は,加速の程度及び定格で行う試験と加速試験に供するそれぞれの試料数
6.2
故障率水準の判定手順 故障率水準の判定は,次の(1)〜(4)の手順で行う。
(1) 初期判定 部品に規定された最も大きい故障率水準及び信頼水準に応じて表6に示す合格判定個数C
及び総試験時間を設定して試験を行い,観測された総故障数rが設定した合格判定個数Cを超えない
とき,その部品は,設定した故障率水準に合格と判定する。ただし,あらかじめ設定した合格判定個
数C及び総試験時間を試験結果により,任意に変更してはならない。
また,表6の値は,故障率水準M (1%/103h=1/105h) に対するものであり,M以外の水準に対して
は,故障率が1/x倍の場合,Mに対する総試験時間をx倍した値を使う。
表6
合格判定個数
C
総試験時間又は動作回数(単位105h又は106回)
60%
90%
0
0.917
2.30
1
2.02
3.89
2
3.11
5.32
3
4.18
6.68
4
5.24
7.99
5
6.29
9.27
6
7.34
10.5
7
8.39
11.8
8
9.43
13.0
9
10.5
14.2
10
11.5
15.4
(2) 故障率水準の維持 (1)により決定された水準は,表7の判定維持期間中に,計画的に実施し,完了し
たすべてのデータ(期間中に実施し,完了したデータ及び初期判定に使用した試料で初期判定を終っ
て,なお,引き続き試験中のデータを含む。)が表7を満足することによって維持されたものとする。
もし,維持期間の終了前に,規定された総試験時間に達したときは,維持の判定を,この時点で行い,
次の維持期間を開始する。
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表7
記号
故障率
(%/103hの場合)
判定維持期間
(月)
総試験時間又は動作回数(単位:105h又は106回)
C=1
C=2
C=3
C=4
C=5
L
5
6
0.107
0.22
0.35
0.486
0.63
M
1
6
0.532
1.1
1.75
2.43
3.15
N
0.5
9
1.07
2.2
3.5
4.86
6.3
P
0.1
12
5.32
11
17.5
24.3
31.5
Q
0.05
18
10.7
22
35
48.6
63
R
0.01
24
53.2
110
175
243
315
E
0.005
24
107
220
350
486
630
S
0.001
36
532
1100
1750
2430
3150
H
0.0005
36
1070
2200
3500
4860
6300
T
0.0001
48
5320
11000
17500
24300
31500
なお,この期間中に実施し完了する試験の試験時間は,原則として初期判定と同じ試験時間とする。
維持の判定は,表7であらかじめ設定した合格判定個数C及び総試験時間において行い,試験結果に
よって任意に変更してはならない。
(3) 維持の失敗 維持期間内において記録された故障数が,合格判定個数Cを超えたときは,その時点で
設定した故障率水準に不合格と判定する。
故障率水準を再設定するには,不合格の判定を受けたデータを含む維持期間中に作り出されたすべ
てのデータを用いて(1)に従って行う。
(4) より低い故障率水準への拡張 より低い故障率水準への拡張は,初期判定試験,維持試験,延長試験
のすべてのデータの累積に応じて,逐次(1)に規定した信頼水準に対応した表6の総試験時間において
判定する。
7. 個別規格に規定すべき事項 信頼度を設定する個別規格には,次の事項を規定する。
(1) 6.1(1)〜(8)に規定する事項
(2) 故障率水準
(3) その他特に必要とする事項
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附属書
1. 故障率の算出方法 この附属書は,一般的に累積された試験データ若しくはフィールドデータから故
障率を算出する場合,又は,単一ロットの試験結果から故障率を算出する場合に適用する。
故障率を算出するには,総試験時間T,すなわち試料の総数についての試験時間の累計及び試験中観測
された総故障数rからr/Tを求め,これに設定した信頼水準及び故障数rに応じ,附属書表1に示す数値
を掛けて求める。
なお,本文の抜取検査手順による故障率水準の判定によらず,参考として算出された故障率から大まか
に故障率水準を知る場合には,算出された数値より大きく,かつ,表1の中で最も近い数値を選べばよい。
附属書表1
故障数
(r)
信頼水準
故障数
(r)
信頼水準
60%
90%
60%
90%
1
2.02
3.89
6
1.22
1.76
2
1.55
2.66
7
1.20
1.68
3
1.39
2.23
8
1.18
1.62
4
1.31
2.00
9
1.16
1.58
5
1.26
1.85
10
1.15
1.54
なお,故障数r=0の場合の故障率上限値 (λu) は,次の式によって求める。
信頼水準90%の場合,λu=2.3/T
信頼水準60%の場合,λu=0.917/T
2. 不良率抜取方式への応用 表6はロット許容故障率 (LTFR) に対応するものであるが,これをロット
許容不良率 (LTPD) による方式に応用する場合には,表6の総試験時間のところをLTPD×サンプルの大
きさと考えれば,附属書表2によってLTPDとサンプルの大きさを求めることができる。
備考 例えばLTPD=10%,信頼水準90%,C=0の場合,附属書表2によって2.30=LTPD×サンプル
の大きさとなる。したがって,サンプルの大きさ=2.30/0.1=23が求められる。
附属書表2
合格判定個数
C
LTPD×サンプルの大きさ
60%
90%
0
0.917
2.30
1
2.02
3.89
2
3.11
5.32
3
4.18
6.68
4
5.24
7.99
5
6.29
9.27
6
7.34
10.5
7
8.39
11.8
8
9.43
13.0
9
10.5
14.2
10
11.5
15.4
8
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電子部会 電子部品信頼性専門委員会 構成表
氏 名
所 属
(委員会長)
米 澤 平次郎
日本電気株式会社
藤 本 和 男
通商産業省機械情報産業局
宮 沢 和 夫
工業技術院標準部
塩 見 弘
工業技術院電子技術総合研究所
真 野 国 夫
東北大学工学部通信工学科
和 野 等
日本電信電話公社武蔵野電気通信研究所
佐 藤 清 俊
社団法人日本電子工業振興協会
藤 野 清一郎
日本電子部品信頼性センター
森 川 貞 重
東京芝浦電気株式会社
桜 井 一 則
横浜電子精工株式会社
山 本 圭 一
沖電気工業株式会社電子通信事業部
井 上 貞 夫
富士通株式会社半導体部
井 上 壽 雄
株式会社日立製作所電子事業本部
清 水 正 之
松下電器産業株式会社固定抵抗器事業部
木 村 十 郎
株式会社タムラ製作所研究開発本部
柳 沢 登
アルプス電気株式会社横浜工場
武 市 武
電子機械工業会
今 本 正
電子機械工業会
富 田 泉
防衛庁装備局
下 平 勝 幸
宇宙開発事業団信頼性管理部
中 村 有 光
日本放送協会総合技術研究所
向 笠 義 雄
日本国有鉄道技術開発室
内 山 友 和
日本電信電話公社技術局
松 田 寧
三菱電機株式会社鎌倉製作所
(事務局)
加 藤 忠 雄
工業技術院標準部電気規格課
坂 本 満
工業技術院標準部電気規格課
穐 山 貞 治
工業技術院脚部電気規格課