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Z 8823-2

:2016

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義並びに記号  

2

3.1

  用語及び定義  

2

3.2

  記号  

2

4

  原理 

2

5

  装置 

3

5.1

  ディスク形セルによる光透過式遠心沈降法  

3

5.2

  角形セルによる光透過式遠心沈降法  

3

5.3

  補助器具  

5

6

  サンプリング方法  

5

7

  調製 

5

7.1

  試料調製  

5

7.2

  温度  

5

7.3

  分散  

5

8

  手順 

5

8.1

  ラインスタート法  

5

8.2

  一様沈降法  

6

9

  再現性及びバリデーション  

6

9.1

  再現性  

6

9.2

  バリデーション  

6

10

  結果の計算  

7

10.1

  概要  

7

10.2

  粒子径の計算  

7

10.3

  質量基準積算分率の計算  

7

11

  測定結果の報告  

7

附属書 A(参考)測定例  

9

附属書 B(参考)吸光曲線例−酸化チタン  

12

附属書 C(参考)半径方向希釈効果  

13

附属書 JA(参考)バリデーションに用いることができる粒子  

14

参考文献  

15

附属書 JB(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

16


Z 8823-2

:2016

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本

粉体工業技術協会(APPIE)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業

規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業

規格である。これによって,JIS Z 8823-2:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS Z 8823

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS Z 8823-1

  第 1 部:測定原理及び指針

JIS Z 8823-2

  第 2 部:光透過式遠心沈降法


日本工業規格

JIS

 Z

8823-2

:2016

液相遠心沈降法による粒子径分布の測定方法−

第 2 部:光透過式遠心沈降法

Determination of particle size distribution

by centrifugal liquid sedimentation methods-Part 2: Photocentrifuge method

序文 

この規格は,2007 年に第 2 版として発行された ISO 13318-2 を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JB に示す。

警告  この規格は,危険な材料の操作及び機器に関わることがある。この規格は,その使用に関連し

て全ての安全上問題を取り扱おうとするものではない。この規格の使用者は,適切な安全及び

健康のための方策を立て,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなけれ

ばならない。

適用範囲 

この規格は,粉体材料の粒子径分布を,光透過式液相遠心沈降法によって測定する方法について規定す

る。粒子濃度は,光ビームの減衰量によって求められる。求めた信号は,粒子径分布に変換できる。

通常,約 0.1 μm∼5 μm の粒子径分布の測定に使用できる。

この規格に規定する粒子径分布測定方法は,液体中で分散できる粉体,スラリー状態の粉体及びエマル

ションに適用できる。また,この方法は,同じ密度で形状が似た粉体についても適用できる。粒子は,懸

濁液中で化学的又は物理的な変化があってはならない。通常,粒子の密度は,液体の密度より大きくなけ

ればならない。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 13318-2:2007

,Determination of particle size distribution by centrifugal liquid sedimentation

methods−Part 2: Photocentrifuge method(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Z 8823-1

  液相遠心沈降法による粒子径分布の測定方法−第 1 部:測定原理及び指針

注記  対応国際規格:ISO 13318-1,Determination of particle size distribution by centrifugal liquid


2

Z 8823-2

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sedimentation methods−Part 1: General principles and guidelines(IDT)

JIS Z 8824

  粒子径測定のための試料調製−粉体の液中分散方法

注記  対応国際規格:ISO 14887,Sample preparation−Dispersing procedures for powders in liquids

(MOD)

用語及び定義並びに記号 

3.1 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8823-1 によるほか,次による。

3.1.1 

ストリーミング(streaming)

試料懸濁液が透明液の表層に注入されたとき,懸濁液が小球となって透明液中を急速に沈降すること。

3.2 

記号 

この規格で用いる主な記号は,JIS Z 8823-1 によるほか,次による。

D

:光学濃度

E

i

:直径 x

i

の粒子の吸光係数

G

:装置の構造,光ビームの寸法,粒子の形状などによる装置定数

I

:沈降開始から時間 経過後の透過光量

I

0

:粒子が存在しないときの透過光量

M

:回転軸から測定位置までの距離(mm)

n

i

:光ビーム中の直径 x

i

の粒子個数

R

:回転軸から遠心壁までのディスクの内径(mm)

S

:回転軸から試料の気液界面までの距離(mm)

x

0

:光ビーム中の最小粒子径(

μm)

x

St

:光ビーム中の最大粒子径(以下,ストークス径という。

(μm)

x

St, t

:時刻 におけるストークス径(μm)

原理 

既知の半径位置で,安定した照射領域が厳密に定義された粒子の沈降方向と直角な平行ビームは,回転

ディスク又は角形セルを透過し,沈降中の粒子を検出する。通常,白色光源(白熱ランプ)

,発光ダイオー

ド(LED)又は単色コヒーレント光源(レーザ)からの光ビームは,懸濁液を透過し,フォトダイオード

又は光電子増倍管で検出される。ディスク形セルによる光透過式遠心沈降法は,ラインスタート法又は一

様沈降法で操作できるのに対して,角形セルによる光透過式遠心沈降法は,一様沈降法だけで操作する。

透過光量は,測定時間中継続して検出される。光ビーム中に存在する試料の質量分率は,透明な液だけ

が存在するときの透過光量と,試料粒子が存在するときの透過光量との関係から決定される。

ラインスタート法では,最初にディスク形セルに粒子を含まない透明な液を満たす。  このとき最大透過

光量を与える。試料の注入によって,試料の懸濁液が透明な液の表層に浮いて薄い層を形成し,遠心方向

に沈降を始める。存在する最大粒子が光ビームに到達すると,透過光量は低下し,存在する最小粒子が光

ビームを通過し終わると元の透過光量に戻る。

通常は,中間層又は緩衝層を,透明液と試料懸濁液との間に形成させ,ストリーミングとして知られる

懸濁液と透明液との境界の破壊を防止する。


3

Z 8823-2

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また,サンプルセルに平行に配列されたライン光源及びラインセンサ検出システムで構成された光透過

式遠心沈降法の装置によっても粒子径分布の測定ができる。この装置では,遠心時における光透過度の変

化が,沈降ゾーン全体にわたり,時間及び場所の関数として同時に測定される。粒子径分布は,サンプル

セル内の任意の位置における吸光度の時間的な推移から求める[10.3.1 の式(1)参照]か,又は任意の時間

におけるサンプルセル内の吸光度の沈降方向分布から,解析的な積分によって求めることができる[1]。

装置 

5.1 

ディスク形セルによる光透過式遠心沈降法 

遠心室は,回転軸と同軸の注入口をもつ中空円盤とで構成する(

図 参照)。

この遠心室は,通常,鉛直又は鉛直から少し傾けてモータの軸に取り付け,モータはディジタル制御に

よって,約毎分 500 回∼15 000 回の範囲で回転できるものとする。白色光源又は白色発光ダイオードと検

出器との組合せで,透過光量を時間の関数として測定する。

装置は,ラインスタート法又は一様沈降法で使用できる。ラインスタート法及び一様沈降法ともに,幾

何光学則が適用できなくなると,吸光係数の補正が必要である。

さらに,一様沈降法を用いた場合,半径方向への広がりによる希釈効果に対する補正が必要である。市

販の装置には,データを直接粒子径分布に変換するソフトウェアが用意されている。したがって,粒子径

に対する質量基準積算分率の表又はグラフが得られる。

図 1−ディスク形光透過式遠心沈降法のディスク断面 

5.2 

角形セルによる光透過式遠心沈降法 

この方法では,ディスクに均一濃度の懸濁液を入れた角形のセルを使用する(

図 参照)。半径方向希釈

効果及び吸光係数の補正が必要である。

角形セルによる光透過式遠心沈降法は,通常,自然沈降及び遠心沈降の両方で測定できる。

さらに,幾つかの装置では,測定時間を短縮するために,測定中に遠心を加速する加速モードがある。


4

Z 8823-2

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図 2−角形セルによる光透過式遠心沈降法のブロックダイアグラムの例 

ライン光源及びラインセンサ検出システムで構成される装置を用いて粒子径分布を測定する場合,全沈

降ゾーンにわたり,透過率の沈降方向分布の時間変化が測定される(

図 参照)。

1  回転軸 
2  照射光 
3  試料セル 
4  遠心力 
5  ロータ 
6  透過光 
7  ライン検出アレー 
8  ある時間における

光量と位置の測定値

図 3−ライン光源及びラインセンサによって透過光分布が測定可能なキュペットタイプの 

光透過式遠心沈降法の装置の例 


5

Z 8823-2

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5.3 

補助器具 

補助器具は,次のものを用いる。

−  適切な大きさの分散容器

−  スパチュラ

−  超音波槽若しくは超音波プローブ又は振とう機若しくは毎分 500 回転∼1 000 回転のかくはん機

サンプリング方法 

サンプリング方法は,JIS Z 8823-1 による。

調製 

7.1 

試料調製 

JIS Z 8823-1

によって,測定用試料を調製する。必要な量及び濃度は,遠心ディスク(又はセル)の容

量,電子系の感度,光学系の感度,及びラインスタート法(ディスク形だけ)又は一様沈降法によって異

なる。試料濃度は,通常,他の沈降法よりも低い濃度が要求される。通常,体積基準で 0.25 %以下である

が,透過光量が,試料がない透明な液だけの場合から 20 %∼30 %程度に減衰するように調製する。

7.2 

温度 

透明液(ラインスタート法)又は懸濁液(一様沈降法)の温度は,JIS Z 8823-1 に従って,測定前後に

測定し,記録する。透明な液及び懸濁液の粘度及び密度は,測定時の温度で記録しなければならない。温

度は,JIS Z 8823-1 に従って維持しなければならない。

注記  装置によっては,上記の温度測定を必要としないものもある。

7.3 

分散 

分散方法は,JIS Z 8823-1 及び/又は JIS Z 8824 による。

手順 

8.1 

ラインスタート法 

8.1.1 

概要 

ラインスタート法では,試料懸濁液の層が透明な液の上に形成される。すなわち,全ての粒子が,同じ

初期半径位置から沈降を開始すると考えられる。しかし,試料懸濁液は,小球となって透明な液に急速に

流れ込む傾向がある。このストリーミング現象は,試料懸濁液の外側への不均一な広がりによるものであ

る。試料懸濁液を注入する際,境界面の表面張力で,粒子が濃縮されることがある。二層法では,低密度

の上に高密度の領域が作られ,その結果,濃縮懸濁液が,全体として透明な液へ移動する傾向がある。こ

のため,通常は広範な試料の種類に対応できる三層法が使用される(8.1.2 参照)

。三層法は,透明液に粒

子が入るときに受ける衝撃をやわらげ,円滑な粒子の沈降を得るためのものである。

流体力学的に安定な沈降は,一般的には三層法又は緩衝ラインスタート法によって達成できる。

8.1.2 

三層法 

遠心ディスクに既知量の透明な液(通常,約 15 mL)を満たし,所定の回転速度に達するまで待つ。光

源を必要なサンプリング半径位置(M)にセットする。ベースラインが安定したとき,最大の透過光量(I

0

を示す。透明な液より密度が小さい少量の液体を,通常,0.5 mL 又は 1 mL をディスクに入れる。回転半

径(S)を決める。これは,ディスクの各寸法と投入した液体の総体積とが分かっていれば求められる。必

要量の懸濁液(通常は 0.25 mL,濃度は体積基準で 1 %)をディスクに入れ,タイマをスタートさせる。


6

Z 8823-2

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なお,懸濁液の注入に先立って,粒子径既知の標準粒子を用いて校正を行うことも可能である。

三層法で期待される効果は,試料懸濁液の注入によって起こる乱れが,中間層で抑制され,かつ,試料

の混合もよくなることである。例えば,三層の液は,透明な液として体積基準で 10 %(体積分率)の水性

グリセロール 15 mL,緩衝層として水 0.5 mL,その上に試料懸濁液 0.25 mL からなる。ストリーミングが

起こる場合には,試料を更に少なくしてもよい。例えば,ストリーミングが収まらない場合には,緩衝液

と試料懸濁液とをそれぞれ 0.1 mL とすることによって,ストリーミングを抑制する方法がしばしばとられ

る。

ラインスタート法が正確であるためには,懸濁液の厚さが,回転半径(S)からサンプリング半径(M

までの距離に比べて薄くなければならない。懸濁液層の厚さは,

MS)の 5 %を超えてはならない。

粒子が外側へ遠心沈降するに従い,光ビームが減衰し,その結果として透過量の変化が記録される。透

明な液が再度透明になり,記録がベースラインに戻るまで測定を続ける。大量の微粒子を含む試料では,

記録がベースラインに戻るまでに,かなり時間がかかる場合がある。このような条件では,便法として,

より早い時期,例えば,信号が最大振れの 10 %になった時点で測定を打ち切ってもよい。2 回目の測定で

は,測定範囲の微粒子側をカバーするため,1 回目よりも速い回転速度で行ってもよい。

8.1.3 

緩衝ラインスタート法 

三層法の変形である。透明な液の層と懸濁液の層との間に,緩衝層として,懸濁液と同じ液体を薄く挿

入する。緩衝層を入れた後,一時的にディスクを減速し,透明な液の表層で緩衝層と混合されるようにす

る。試料懸濁液を混合層の表面に注入し,ディスクを同期速度に戻す。後は 8.1.2 と同じ手順で行う。

8.2 

一様沈降法 

遠心ディスクに純粋な分散液を満たし,所定の速度で回転させ,I

0

値を記録する。ディスクを空にする。

ディスクを所定の速度で回転させ,試料懸濁液を注入口から注ぐ(又は,注射器で注入する。

。充塡が完

了したら,遅滞なくタイマをスタートさせる。

角形セル光透過式遠心沈降法の一例を,

図 に示す。遠心モードでは,2 個のセルが用いられる。透明

な液を入れた参照セルと懸濁液セルとの信号差を,各回転ごとに記録する。参照セルには,透明な液を満

たし,懸濁液セルには,よく分散した懸濁液を満たす。回転を開始させると同時に,タイマを始動し,デ

ータを記録する。

再現性及びバリデーション 

9.1 

再現性 

同じ実験室の試料から抜き出した代表的な試料について,繰り返し試験をする。結果は,同じストーク

ス径での質量分率が,2 %以上異ならないことが望ましい。

9.2 

バリデーション 

バリデーションは,JIS Z 8823-1 による。

標準試料の使用には注意する。吸光係数は,粒子径だけでなく試料の物性に依存する。

注記  粒子径分布が既知の球形粒子を用いて,正確さの検証をすることができる。附属書 JA に,入

手可能な粒子を示す[2]。

なお,粒子を液中に分散するための前処理方法として,粉体と分散剤とに若干の水分を加え

てペースト状にした後に十分に混練するペースト法と超音波分散法との併用操作がある[3],[4]。


7

Z 8823-2

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10 

結果の計算 

10.1 

概要 

光透過式遠心沈降法は,測定開始からの時間の関数として,懸濁液の光学濃度を測定する。一様沈降法

では,光学濃度を正規化し,半径方向希釈効果[JIS Z 8823-1 の 5.3.3(一様沈降区分法)を参照]を補正

した後,質量基準ふるい下積算分率を求める(幾何光学を適用した場合)

10.2 

粒子径の計算 

ストークス径は,JIS Z 8823-1 に従って計算する。

10.3 

質量基準積算分率の計算 

10.3.1 

概要 

平行光ビーム中の懸濁粒子によって減衰する光と粒子濃度との関係は,式(1)で与えられる。

i

i

i

E

x

n

G

I

I

2

0

ln

Σ

=

  (1)

E

i

は,直径 x

i

の粒子によって減衰された光と,この系に対して,幾何光学の法則が有効であるとした場

合の光との強度比である。単色光を使用しているとした場合,粒子径と照射光の波長 λ との比が約 100 よ

り大きければ,E

i

は基本的に定数である(

附属書 参照)。しかし,この比が小さければ,E

i

は x

i

/λ,粒子

と媒体との相対屈折率,粒子形状,測定機器の物理的な寸法などの複雑な関数になる。E

i

の変動は,白色

光源及び広角度の受光器を用いれば小さくできるが,照射光の波長に近い粒子に対しては有効とは限らな

い。したがって,異なった粒子径に対応する E

i

を,計算によるか,使用する機器に対して実験的に求めな

ければ,この方法で得られた結果の精度は保証されない。ただし,沈降時間と光ビームの減衰との関係は,

沈降懸濁液の特性であり,比較測定用として,また,品質管理用として使用できる。

10.3.2 

ラインスタート法(質量分率) 

ラインスタート法では,粒子が同じ半径位置から沈降するため,時刻 に測定領域に存在する粒子の直

径は,x

St,  t

である。光ビームは有限の幅をもち,ビーム中の粒子は,x

St

に比例した粒子径範囲をもってい

る。時刻 での光学濃度,D

t

=−log

10

 (I

t

/I

0

)  は,n

t

 x

St, t

3

に比例する。

注記  光学濃度と x

St, t

との変化を時間間隔で示した表を,

附属書 に示す。

透過データは,絶対値である必要はなく,結果は最後には質量分率として表現されるので,常用対数を

用いてもよい。その場合,log

10

  (I

t

/I

0

)  の値を x

St, t

に対してプロットする。と粒子形状係数とを定数とみ

なせば,このグラフは質量頻度曲線になり,面積で積分すれば質量基準ふるい下積算分率となる(JIS Z 

8823-1

参照)

10.3.3 

一様沈降法(質量分率) 

光透過式遠心沈降法では,測定開始からの時間に対する懸濁液の光学濃度を測定する。一様沈降法の場

合,半径方向希釈効果を補正してから縦軸(光学濃度)を正規化し,横軸をストークス径に変換して,ス

トークス径に対する光学濃度の曲線を描く(

附属書 参照)。この形式のデータは,相互比較用にしてい

る。正規には,粒子径による幾何光学則が適用できなくなる場合は,粒子径による吸光係数補正[例えば,

ミー(Mie)理論]を行う。測定される面積濃度(nx

2

)は,式(1)を使って決定する。半径方向希釈効果の

補正(JIS Z 8823-1 の 5.3.3 参照)は,面積によるふるい下分率を得るために行う。体積基準ふるい下分率

は,Q(面積基準積算分率)に x

St

を乗じて総和を求め,100 %とすることで得られる(

表 A.1 参照)。

11 

測定結果の報告 

報告事項は,JIS Z 8823-1 に規定する要求事項に準拠しなければならない。測定結果は,ストークス径


8

Z 8823-2

:2016

に対する質量基準積算分布で,0.1 %まで表示しなければならない。図示する場合は,粒子径を横軸に,質

量基準積算分率を縦軸にとる。

報告事項には,次の事項を含むことが望ましい。

a)

関連する規格

b)

測定機関名

c)

測定の日付

d)

報告番号

e)

測定者名

f)

使用機種

g)

測定の方法(ラインスタート法,一様沈降法)

h)

試料番号

i)

試料粉体名及びその密度(必要ならばその質量)

j)

分散液及びその温度,密度,粘度(必要ならばその体積)

k)

分散剤及びその濃度

l)

懸濁液の分散方法

m)

緩衝層(必要ならば種類及び体積)

n)

回転数

o)

ディスクの内径(R

p)

ミー補正を適用したか否か

q)

この規格に規定されていないその他の事項

さらに,製造業者によって決定され,装置ソフトウェアに前もって組み込まれた,次の装置特性値を附

属的に表示してもよい。

−  測定半径(M

−  ディスクの内径(R

−  ディスクの厚さ(内寸法)

(沈降開始半径の計算に用いる)


9

Z 8823-2

:2016

附属書 A

(参考)

測定例

ラインスタート法による光透過式遠心沈降法の測定例を,次に示す。

関連する規格

JIS Z 8823-2

測定機関名 ABC

測定の日付 2014-09-23

報告番号

カーボン 123

測定者名

○○  △△

使用機種

モデル P123

測定モード

ラインスタート

試料番号 C-B  No.1

試料粉体名

カーボンブラック

試料密度

1 960 kg/m

3

分散液

分散液温度 293.1 K

分散液密度

1 065 kg/m

3

分散液粘度 2.10

mPa・s

分散液体積 10

mL

ミー補正

表 A.1 は補正なし:図 A.2 は補正あり

分散剤及びその濃度

蒸留水中 0.5 mg/mL ポリメタリン酸ナトリウム

緩衝層

グリセリン/水

1)

 20/80

緩衝層体積 1

mL

回転数

8 000 rpm

測定半径(M) 4.81 cm

ディスクの内径(R) 5.07 cm

ディスクの厚さ

0.623 4 cm

水冷式ジャケット容器中で超音波プローブによって 1 分間調製。

注記  回転半径(S

542

.

4

4

623

.

0

π

10

)

4

623

.

0

(

)

073

.

5

(

π

2

=

=

S

 cm

1)

  ポリメタリン酸ナトリウム 0.05 %(体積分率)を含む蒸留水。


10

Z 8823-2

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表 A.1−ラインスタート法による光透過式遠心沈降法の場合の 

測定光量の質量基準ふるい下積算分率への変換:ミー補正なし 

時間

min

光学濃度

log (I

0

/I)

ストークス径

x

St

μm)

質量基準ふるい下

積算分率  %

33 
32 
31 
30 
29 
28 
27 
26 
25 
24 
23 
22 
21 
20 
19 
18 
17 
16 
15 
14 
13 
12

11

10










0.5 
0.25 
0

0.000 
0.000 
0.001 
0.002 
0.003 
0.004 
0.006 
0.007 
0.008 
0.011 
0.012 
0.015 
0.019 
0.022 
0.025 
0.029 
0.032 
0.037 
0.045 
0.054 
0.062 
0.073 
0.087 
0.103 
0.123 
0.146 
0.174 
0.210 
0.249 
0.287 
0.320 
0.279 
0.166 
0.083 
0.039 
0.000

0.089 
0.091 
0.092 
0.094 
0.095 
0.097 
0.099 
0.101 
0.103 
0.105 
0.107 
0.110 
0.112 
0.115 
0.118 
0.121 
0.125 
0.128 
0.133 
0.137 
0.142 
0.148 
0.155 
0.162 
0.171 
0.182 
0.194 
0.210 
0.230 
0.257 
0.296 
0.366 
0.513 
0.726 
1.027

0.0 
0.0 
0.0 
0.0 
0.0 
0.0 
0.0 
0.0 
0.0 
0.1 
0.1 
0.1 
0.2 
0.2 
0.3 
0.3 
0.4 
0.6 
0.7 
0.9 
1.2 
1.6 
2.0 
2.7 
3.6 
5.0 
6.9 
9.8

14.5 
22.1 
35.5 
59.4 
83.2

100.0 
100.0

注記 1  1 欄は,測定の始めからの経過時間,2 欄は測定光学濃度である。 
注記 2  これらのデータを,図 A.1 に示す。


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Z 8823-2

:2016

図 A.1−ラインスタート法による光透過式遠心沈降法の時間に対する 

光学濃度変化の生データ曲線 

図 A.2−ラインスタート法による光透過式遠心沈降法のふるい下質量積算分率に 

対する光散乱のミー補正を行う場合と行わない場合との比較 


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Z 8823-2

:2016

附属書 B

(参考)

吸光曲線例−酸化チタン

光透過式遠心沈降法によって得た生データは,光量の減衰対時間である。このデータは,装置のソフト

ウェアを使用して粒子径分布に変換される。ソフトウェアは,通常はこの規格に表された式に基づいてい

る。生データに対して光散乱に対する補正が行われない場合,得られた粒子径分布は正確ではないが,そ

こで得られたデータは,同じタイプの試料を比較するために使用してもよい。補正曲線は,理論(例えば,

ミー理論)に基づくか,又はキャリブレーションによってもよい。白色光源に対する代表的な曲線例は,

0.26

μm の酸化チタン粒子が,0.13 μm 粒子の 6 倍の光を遮断することを示している。したがって,これら

の粒子が同じ量ずつある場合,吸光補正を省略すると,大きい粒子の数が小さい粒子の 6 倍あることにな

る(

図 B.1 参照)。

図 B.1−白色光源を使用した場合の酸化チタンに対する吸光曲線 


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Z 8823-2

:2016

附属書 C 
(参考)

半径方向希釈効果

一様沈降法による光透過式遠心沈降法の半径方向希釈効果(光散乱に対するミー補正なし)(JIS Z 

8823-1

参照)を,

図 C.1 に示す。

図 C.1−一様沈降法で測定した光透過式遠心沈降法の測定濃度に関する半径方向希釈効果 

(光散乱に対するミー補正なし) 


14

Z 8823-2

:2016

附属書 JA

(参考)

バリデーションに用いることができる粒子

正確さの検証に用いる標準粒子としては,

“トレーサブルな球形”粒子であり,

“分布の幅として x

90

/

x

10

比が少なくとも 1.5 であるような既知の粒子径分布を構成しているとともに,通常の密度及び光学的特性

をもつ”ことが必要である。上記の条件を満足する認証標準物質 CRM として,JIS Z 8900-1[5]に規定する

粒子径範囲の異なる次の粒子が入手可能である。

・  標準物質名:JIS 粒子径測定装置検定用粒子(材質:バリウムチタネートガラス)

MBP 3-30

(粒子径分布の概略値:3 μm∼30 μm)

MBP 1-10

(粒子径分布の概略値:1 μm∼10 μm)

・  頒布機関:一般社団法人日本粉体工業技術協会

1 μm 以下の粒子径領域における粒子径分布測定装置の試験用粒子として,一般社団法人日本粉体工業技

術協会規格 SAP 13-11[6]に規定する粒子径範囲の異なる 3 種類の粒子が入手可能である。

・  試験用粒子名:APPIE サブミクロン試験用粒子(材質:溶融シリカ)

FSTP 0.3-1.5

(粒子径分布の概略値:0.3 μm∼1.5 μm)

FSTP 0.2-0.7

(粒子径分布の概略値:0.2 μm∼0.7 μm)

FSTP 0.09-0.2

(粒子径分布の概略値:0.09 μm∼0.2 μm)

・  頒布機関:一般社団法人日本粉体工業技術協会


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Z 8823-2

:2016

参考文献

[1]  Detloff T., Sobisch T., Lerche D. Particle size distribution by space or time dependent extinction profiles

obtained by analytical centrifugation. Part and Part. Syst. Charact., 23, pp. 184-187 (2006)

[2]  Yoshida H., Mori Y., Masuda H., and Yamamoto T. Particle size measurement of standard reference particle

candidates and theoretical estimation of uncertainty region. Advanced Powder Technology, 20, pp.145-149

(2009)

[3]  サブミクロン及びナノ領域における検定用粒子の作製と標準化の研究開発,平成 19 年度成果報告書,

新エネルギー・産業技術総合開発機構,p. 20 (2008)

[4]  Yoshida H., Masuda H., Fukui, K., and Tokunaga Y., “Particle size measurement of standard reference particle

candidates with improved size measurement devices”. Advanced Powder Technology, 14 (1), pp.17-31 (2003)

[5]  JIS Z 8900-1  標準粒子−第 1 部:粒子径測定装置検定用粒子 
[6]  一般社団法人日本粉体工業技術協会規格 SAP 13-11:2011  サブミクロン領域の粒子径分布測定装置試

験用粒子


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Z 8823-2

:2016

附属書 JB

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS Z 8823-2:2016

  液相遠心沈降法による粒子径分布の測定方法−第 2 部:光透

過式遠心沈降法

ISO 13318-2:2007

, Determination of particle size distribution by centrifugal liquid

sedimentation methods−Part 2: Photocentrifuge method

(I)JIS の規定

(II)国際 
規格番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

2  引用規格

3  用語及び
定義並びに
記号

3.1  用語及び定義 
3.2  記号

 3

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

の用語及び定義に意味のとりに

くい“ストリーミング”を追加した。
また,記号に“x

St, t

”を追加した。

利用者の利便を図ったもの。

記号の“x

St, t

”は,ISO 規格改正の

際に追加を求める。

4  原理

測定の原理を記載

4  JIS とほぼ同じ

追加

JIS

で は 光 源 に 発 光 ダ イ オ ー ド

(LED)を追加した。

現在の市販装置に使用されている

ので,追加した。ISO 規格改正の

際に追加を求める。

5  装置 5.1

ディスク形セル

に よ る 光 透 過 式 遠

心沈降法

 5.1

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では光源に白色発光ダイオード

を追加した。

現在の市販装置に使用されている
ので,追加した。ISO 規格改正の

際に追加を求める。

 5.2

角形セルによる

光 透 過 式 遠 心 沈 降

 5.2

JIS

とほぼ同じ

変更

図 3 は,ISO 規格ではセンサで検出

された透過光強度分布が階段状で
あるが,実際には連続的に変化する

ので変更した。また,強度の時間的

な変化も追加した。

図 3 は,ISO 規格改正の際に変更

を求める。

7  調製 7.2

温度

7.2

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では,7.2 で,温度測定を必要

としない装置もあり,注記に付記し

た。

7.2 について,ISO 規格改正の際に
変更を求める。

8  手順 8.1.2

三層法

 

 8.1.2

 
8.1.4

JIS

とほぼ同じ

 
外部勾配法

追加 
 
削除

JIS

では,8.1.2 で,標準粒子による

沈降時間の校正方法を追加した。 
また,ISO 規格の“8.1.4”を削除し

た。

日本の実情による。

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Z 8

823

-2


20
16


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Z 8823-2

:2016

(I)JIS の規定

(II)国際 
規格番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

9  再現性及
びバリデー
ション

9.2  バリデーション

9.2  BCR 及び NIST 標準粒子

を提示。

変更

JIS

では,ISO 規格にある標準粒子

に関する記述を削除し,校正方法を
注記として追加した。

ISO

規格改正の際に,JIS に記述

した標準粒子を検定に用いること
が可能であることを加えるととも

に,BCR 及び NIST の粒子に関し

て検定用として確認された粒子の
詳細な情報を記載するように求め

る。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 13318-2:2007,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

−  削除  国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

−  追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
−  変更  国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

− MOD

国際規格を修正している。

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-2


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