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日本工業規格

JIS

 Z

8753

-1989

熱伝導真空計による圧力測定方法

Measuring Methods of Low Pressures

by Thermal Conductivity Gauge

1.

適用範囲  この規格は,気体分子による熱伝導を使う真空計(以下,真空計という。)を用いて圧力を

測定する場合の一般的方法について規定する。

備考  対流による熱伝達を利用する真空計による方法は,この規格には含めない。

引用規格: 

JIS Z 8126

  真空用語(基礎)

JIS Z 8127

  真空用語(真空ポンプ及び関連用語)

JIS Z 8128

  真空用語(真空計及び関連用語)

JIS Z 8750

  真空計校正方法

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS Z 8126[真空用語(基礎)],JIS Z 8127[真空

用語(真空ポンプ及び関連用語)

]及び JIS Z 8128[真空用語(真空計及び関連用語)

]によるほか,次に

よる。

(1)

感圧素子  測定子の中にある素子で,電流で加熱されるフィラメントなど。

(2)

外囲器  測定子の一部で,感圧素子を収容する容器。

(3)

真空システム  圧力を測定する対象となる真空装置。

(4)

制御計測部  測定子を動作させる電源と,抵抗などを測定して圧力を表示する機能とを併せもった測

定器。

3.

測定原理  電流で加熱された感圧素子から,周囲の気体分子による熱伝導によって失われる熱量が圧

力に依存することを利用して,圧力を電気的に測定する。

参考  感圧素子からの熱損失量は,その周囲の気体圧力に依存すると同時に,気体の種類,感圧素子

と外囲器及び感圧素子支持器との温度差,感圧素子表面及び外囲器内面とそれらに衝突する分

子との間の熱エネルギー交換に関する係数(熱適応係数)

,感圧素子表面の放射率にも依存する。

4.

真空計の種類及び構成

4.1

真空計の種類及びその測定圧力範囲  真空計には,ピラニ真空計,熱電対真空計などがあり,それ

ぞれは測定子と制御計測部とから構成されている。

表に真空計の種類及びその主な測定圧力範囲を示す。


2

Z 8753-1989

表  真空計の種類及びその測定圧力範囲

単位 Pa

真空計の種類

測定圧力範囲

定電圧形

10

∼10

-1

ピラニ真空計

定温度形

10

3

∼10

-1

熱電対真空計 10

2

∼10

-1

4.2

ピラニ真空計  ピラニ真空計の構成及び測定原理は,次による。

(1)

測定子の構成  測定子は,タングステン,白金,ニッケルなどの抵抗温度係数が大きい金属のフィラ

メントと,ガラス又は金属の外囲器とから成る。

(2)

測定原理  測定原理は,フィラメントを電流によって加熱して外囲器温度より約 50∼300K 高い温度

に保ち,気体によって生じるフィラメントからの熱損失量を抵抗値の変化によって検出するものであ

る。そのため,測定子を

図 に示すようにブリッジ回路の一辺として構成するのが普通である。

図 1  ピラニ真空計の構成例

(a)

定電圧形  定電圧形は,ブリッジ回路に加える電圧を一定に保った場合の圧力変化によるフィラメ

ントからの熱損失量を,ブリッジ回路の不平衡電圧で検出することによって圧力を測定するもので

ある。

(b)

定温度形  定温度形は,圧力の変化によらず,ブリッジ回路が常に平衡を保つために必要な電力か

ら,気体によるフィラメントからの熱損失量を測定して,圧力を測定するものである。この場合,

フィラメントの抵抗は一定に保たれるので,フィラメントの温度が変わらない。

参考  雰囲気温度の変化を補償するために,定電圧形では測定子と同形で一定圧力に封止した補償管

(ダミー管)を,定温度形では温度補償抵抗を,

図 の D の位置に組み込むことがある。

4.3

熱電対真空計  熱電対真空計の構成及び測定原理は,次による。

(1)

測定子の構成  測定子は,タングステン,白金,ニッケルなどの金属フィラメント,それに点溶接さ

れた熱容量が小さい熱電対及びガラス又は金属の外囲器とから成る。

(2)

測定原理  測定原理は,ピラニ真空計と同様にフィラメントを電流で加熱し,気体によって生じる温

度変化を熱電対で測定することによって,圧力を測定する。

図 に熱電対真空計の構成例を示す。


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Z 8753-1989

図 2  熱電対真空計の構成例

5.

測定方法

5.1

測定子の接続  一般に,真空システムは位置によって圧力が異なるので,測定子は,測定したい位

置の近くに取り付ける必要がある。接続方法によって圧力指示値が異なることがあるので,次の事項に注

意して測定する。

(1)

測定子の導管の開口面は,導管の軸に直角にする。

(2)

測定子の導管は,

図 に示すように測定位置の側壁に対して直角に取り付ける。開口面は,原則とし

て真空システムの壁面と合わせる。

また,真空システム内に流れがある場合には,導管の開口面は流れの方向に対して直角にすること

が望ましい。

(3)

導管の径と長さは,原則として校正に用いたものと同じとする。

(4)

測定子を取り付けるために用いるガスケットなどには,気体放出が少ないものを用いる。途中にゴム

管及び内部の汚れた導管を用いてはならない。グリースなどの気体放出が多い材料は用いない。

図 3  Oリングを用いた接続方法の例

5.2

測定操作  真空計が動作開始の後,測定子の温度が平衡に達し,かつ,指示が安定したときの値を

測定値とする。

5.3

測定条件  真空計は,定められた動作状態で校正しておく。動作条件及び環境によって指示が変化

するので,次の点に注意して測定する。


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Z 8753-1989

(1)

校正時と同じ電気的条件で測定する。

(2)

原則として校正時と同じ温度で測定する。

(3)

光,熱線,風など外界の熱的条件の影響を受けないように測定子に遮へいなどの対策を行う。

参考  圧力変化が速い場合には,感圧素子の温度変化が圧力変化に追従できないため,指示に遅れを

生じ,正しい圧力を示さないことがある。

6.

検査及び校正

6.1

検査及び校正の時期  真空計は,定期的に検査を行い,必要に応じて校正を行う。ただし,測定子

が汚染されたおそれのある場合,機械的衝撃などによって感圧素子に変形などが生じたと思われる場合,

特に精度がよい測定を行う場合などには,検査及び校正を行う。

6.2

検査項目及び検査方法  検査項目及び検査方法は,次によって測定子及び制御計測部が校正時の条

件を満足していることを確かめる。

(1)

測定子の汚れ及び内部構造の変形  測定子の汚れ及び内部構造の変形は,目視可能な場合は目視で調

べる。

(2)

測定子の電気的導通及び絶縁  フィラメント及び熱電対の導通,並びにそれらと外囲器との絶縁を調

べる。

(3)

測定子の真空漏れ  測定子を動作状態にし,試験ガスを用いて真空漏れ試験を行う。

(4)

制御計測部の電気的条件  測定子を動作状態にし,制御計測部の電気的条件が校正時と同じであるこ

とを調べる。

(5)

フルスケール及び零点の確認  真空システムの圧力を十分低い圧力及び高い圧力にしたときに,それ

ぞれ指示が所定の値を示すことを確認する。所定の値を示さない場合は,その真空計に指定してある

方法で調整する。

6.3

校正  真空計の校正は,JIS Z 8750(真空計校正方法)による方法によって行う。

7.

測定値の表示  真空計の感度は,気体の種類によって異なるので,その気体について得られた校正曲

線を用いて圧力を表示する。空気のときは,窒素とみなした圧力で表示しても差し支えない。

また,気体の種類と組成が不明なときは,窒素相当圧で表示する。

参考  一般に真空計は,窒素で校正してある。


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Z 8753-1989

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

久  武  和  夫

実践女子大学

池  田  順  一

財団法人日本規格協会

伊  藤  嘉  規

日本真空工業会(株式会社徳田製作所)

上  田  新次郎

株式会社日立製作所機械研究所

魚  住  清  彦

青山学院大学理工学部

小  野  雅  敏

工業技術院電子技術総合研究所

加  藤  康  宏

工業技術院標準部

辻          泰

東京大学生産技術研究所

角  田  龍  爾

日本酸素株式会社

富  永  五  郎

東邦大学理学部

中  村  静  雄

日本真空技術株式会社

野  間      空

フジ精機株式会社

林      義  孝

日電アネルバ株式会社

平  田  正  紘

工業技術院電子技術総合研究所

古  市  靖  孝

株式会社島津製作所

堀  越  源  一

高エネルギー物理学研究所

松  岡  俊  英

大亜真空技研株式会社

松  沢      功

神港精機株式会社

三  浦  忠  男

株式会社東芝総合研究所

美  馬  宏  司

大阪市立大学工学部

村  上  義  夫

日本原子力研究所那珂研究所

吉  田      清

工業技術院計量研究所

(事務局)

佐久間  伸  夫

日本真空協会