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日本工業規格

JIS

 Z

8752

-1989

熱陰極及び冷陰極電離真空計による圧力測定方法

Measuring Methods of Low Pressures by Hot Cathode

and Cold Cathode Ionization Gauges

1.

適用範囲  この規格は,熱陰極及び冷陰極電離真空計(以下,真空計という。)を用いて圧力を測定す

る場合の一般的方法について規定する。

引用規格: 

JIS Z 8126

  真空用語(基礎)

JIS Z 8127

  真空用語(真空ポンプ及び関連用語)

JIS Z 8128

  真空用語(真空計及び関連用語)

JIS Z 8750

  真空計校正方法

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS Z 8126[真空用語(基礎)],JIS Z 8127[真空

用語(真空ポンプ及び関連用語)

]及び JIS Z 8128[真空用語(真空計及び関連用語)

]によるほか,次に

よる。

(1)

外囲器  測定子の一部で,電極を収容する容器。

(2)

真空システム  圧力を測定する対象となる真空装置。

(3)

制御計測部  測定子を動作させる電源と,電流などを測定して圧力を表示する機能とを併せもった測

定器。

3.

測定原理  気体分子を電離して生じるイオン電流又は放電電流が圧力に依存することを利用して,圧

力を電気的に測定する。

4.

真空計の種類及び構成

4.1

真空計の種類及びその測定圧力範囲  真空計には,熱陰極電離真空計及び冷陰極電離真空計があり,

それぞれは測定子と制御計測部とから構成される。

表に主な真空計の種類及びその主な測定圧力範囲を示

す。

表  真空計の種類及びその測定圧力範囲

単位 Pa

真空計の種類

測定圧力範囲

三極管形 10

-1

∼10

-5

B-A 10

-1

∼10

-8

熱陰極電離真空計

中真空用 10

∼10

-3

ペニング

1

∼10

-4

冷陰極電離真空計

マグネトロン

10

-1

∼10

-8


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Z 8752-1989

4.2

熱陰極電離真空計  熱陰極電離真空計の測定子の構成及び測定原理は,次による。

(1)

測定子の構成  測定子は,熱電子を放射する熱陰極,この電子を加速して捕える集電子電極及び生成

したイオンを捕える集イオン電極とから成る。

なお,測定子には,外囲器を備えた通常の測定子と外囲器がなく電極をフランジに直接取り付けた

裸真空計とがある。

(2)

測定原理  加速された電子は,気体分子に衝突して,それを電離する。定まった条件の下では,単位

時間に生成されるイオンの数は,電子電流の大きさと気体の密度とに比例するので,この生成イオン

を集めたイオン電流から圧力を測定する。この関係を式(1)に示す。

e

i

I

I

S

p

=

1

 (1)

ここに,

p

:  圧力 (Pa)

I

i

:  イオン電流 (A)

I

e

:  電子電流 (A)

S

:  電離真空計係数 (Pa

-1

)

備考  電離真空計係数は,気体の種類,電極の構造及び動作条件によって異なる。

4.3

冷陰極電離真空計  冷陰極電離真空計の測定子の構成及び測定原理は,次による。

(1)

測定子の構成  測定子は,放電用の電極と放電を持続させる磁石とから成る。

(2)

測定原理  磁界内に置かれた電極間で放電を起こさせる。定まった条件の下では,その放電電流は気

体の密度とほぼ比例関係にあるので,この放電電流から圧力を測定する。この関係を式(2)に示す。

s

I

p

d

=

 (2)

ここに,  I

d

:  放電電流 (A)

s

:  感度係数 (A・Pa

-1

)

備考  感度係数は,気体の種類,電極の構造,磁界の強さ及び動作条件によって異なる。

5.

測定方法

5.1

測定子の接続  一般に,真空システムは位置によって圧力が異なるので,測定子は測定したい位置

の近くに取り付ける必要がある。接続方法によって圧力指示値が異なることがあるので,次の事項に注意

して測定する。

(1)

測定子の導管の開口面は,導管の軸に直角にする。

(2)

測定子の導管又は測定子の取付部は,

図 1に示すように測定位置の側壁に対して直角に取り付ける。

開口面は,原則として真空システムの壁面と合わせる。

また,真空システム内に流れがある場合には,導管の開口面は,流れの方向に対して直角にするこ

とが望ましい。


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図 1  リングを用いた接続方法の例

図 2  コバール接続を用いた接続方法の例

(3)

導管及び測定子取付部の径と長さは,原則として校正に用いたものと同じとする。

(4)

測定子を取り付けるために用いるガスケットなどには,気体放出が少なく,測定子の脱ガスのときの

温度上昇にも耐えるものを用いなければならない。途中にゴム管及び内部の汚れた導管を用いてはな


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らない。

グリースなどの気体放出が多い材料は用いない。

また,超高真空領域で圧力を測定するときには,コバール接続又は裸真空計を用いたほうがよい。

5.2

測定操作

5.2.1

熱陰極電離真空計  10

-3

Pa

以上の圧力を測定しようとするときには,一般に熱陰極の点火後 5 分以

上を経過した後の読みを測定値とする。

10

-3

Pa

未満の圧力を測定しようとするときには,電子衝撃や直接通電によって電極及び外囲器の脱ガス

をして,指示が安定するのを待って測定する。その後の測定は,このまま連続点火の状態で行うことが望

ましい。測定子が汚染されていない場合には真空計を連続点火させて,指示が安定したときの値を測定値

とする。

5.2.2

冷陰極電離真空計  真空計が動作開始の後,指示が安定したときの値を測定値とする。

5.3

測定条件  真空計は,定められた動作状態で校正しておく。動作条件及び環境によって指示が変化

するので,次の点に注意して測定する。

(1)

電子電流,電極電圧,磁界の強さ,磁極と電極との相互位置などは,真空計の感度に著しい影響を及

ぼすので,校正のときに定められた条件を守る。

(2)

測定子の雰囲気の温度は,校正時と同じとする。

(3)

測定子が強い電界や磁界,又は強い放射線の照射を受けるおそれがある場合は,これらの影響を少な

くするため,測定子に遮へいなどの対策を行う。

(4)

真空システム内に電子又はイオンの強い発生源があるときは,これらの影響を少なくするため,測定

子に遮へいなどの対策を行う。

(5)

測定子の外囲器が強い風及び熱放射を直接受けないようにする。

(6)

測定したい箇所が著しく高温又は低温の場合には,必要に応じて熱遷移に対する補正ができるように

温度を記録しておく。

参考  圧力変化が速い場合には,その気体の吸着・脱離のため指示に遅れを生じ,正しい圧力を示さ

ないことがある。

6.

検査及び校正

6.1

検査及び校正の時期  真空計は,定期的に検査を行い,必要に応じて校正を行う。ただし,測定子

が汚染されたおそれがある場合,機械的衝撃などによって電極又は磁極に変形などが生じたと思われる場

合,特に精度がよい測定を行う場合などには,検査及び校正を行う。

6.2

検査項目及び検査方法  検査項目及び検査方法は,次によって測定子及び制御計測部が校正時の条

件を満足していることを確かめる。

(1)

測定子の汚れ及び電極・磁極の変形  測定子の汚れ及び測定子の電極・磁極の変形及びそれらの相対

位置の変化は,目視可能な場合は目視で調べる。

(2)

測定子の電気的導通及び絶縁  フィラメントの導通及び動作温度における電極間の絶縁を調べる。

(3)

磁石の磁界  磁界の向き及び磁極の中心又は所定の位置における磁界の強さを調べる。

(4)

測定子の真空漏れ  測定子を動作状態にし,試験ガスを用いて真空漏れ試験を行う。

(5)

制御計測部の電気的条件  測定子を動作状態にし,制御計測部の電気的条件が校正時と同じであるこ

とを調べる。

6.3

校正  真空計の校正は,JIS Z 8750(真空計校正方法)による方法によって行う。


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7.

測定値の表示  真空計の感度は,気体の種類によって異なるので,気体の種類及び組成が明らかであ

るときにはその補正を行う。気体の種類及び組成が不明なときには,窒素相当圧で表示する。

備考  気体の種類及び組成が明らかであるときの補正方法を式(3)に示す。

S

S

0

 (x

1

r

1

x

2

r

2

+……x

i

r

i

)  (3)

ここに,

S

:  電離真空計係数 (Pa

-1

)

[又は感度係数 (A・Pa

-1

)

S

0

:  窒素の電離真空計係数 (Pa

-1

)

[又は感度係数 (A・Pa

-1

)

x

i

:  気体の組成比

r

i

:  気体の窒素に対する比感度係数

参考  一般に真空計は,窒素で校正されている。

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

久  武  和  夫

実践女子大学

池  田  順  一

財団法人日本規格協会

伊  藤  嘉  規

日本真空工業会(株式会社徳田製作所)

上  田  新次郎

株式会社日立製作所機械研究所

魚  住  清  彦

青山学院大学理工学部

小  野  雅  敏

工業技術院電子技術総合研究所

加  藤  康  宏

工業技術院標準部

辻          泰

東京大学生産技術研究所

角  田  龍  爾

日本酸素株式会社

富  永  五  郎

東邦大学理学部

中  村  静  雄

日本真空技術株式会社

野  間      空

フジ精機株式会社

林      義  孝

日電アネルバ株式会社

平  田  正  紘

工業技術院電子技術総合研究所

古  市  靖  孝

株式会社島津製作所

堀  越  源  一

高エネルギー物理学研究所

松  岡  俊  英

大亜真空技研株式会社

松  沢      功

神港精機株式会社

三  浦  忠  男

株式会社東芝総合研究所

美  馬  宏  司

大阪市立大学工学部

村  上  義  夫

日本原子力研究所那珂研究所

吉  田      清

工業技術院計量研究所

(事務局)

佐久間  伸  夫

日本真空協会