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Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本人間工学会(JES)/財団法人日本規格協

会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審

議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成と日本

工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 14915-3:2002,Software ergonomics for

multimedia user interfaces

−Part 3: Media selection and combination を基礎として用いた。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS Z 8531-3

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)型を分類するための決定ツリー

附属書 B(参考)メディアの組合せのための指針

附属書 C(参考)メディアの組合せ類型の例

附属書 D(参考)設計上の問題及び認知的背景

JIS Z 8531

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

Z

8531-1

  第 1 部:設計原則及び枠組み

JIS

Z

8531-2

  第 2 部:マルチメディアナビゲーション及び制御

JIS

Z

8531-3

  第 3 部:メディアの選択及び組合せ


Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  この規格の適用

4

4.1

  この規格が対象とする人

4

4.2

  推奨事項の適用

5

4.3

  この規格へ適合していることの報告

5

5.

  メディアの選択及び組合せに関する一般的な推奨事項

5

5.1

  一般

5

5.2

  仕事の支援

5

5.3

  コミュニケーション目標の支援

5

5.4

  ユーザーの知識との整合

5

5.5

  ユーザーの特性に合ったメディアの選択

6

5.6

  ユーザーのし(嗜)好による選択

6

5.7

  利用状況の考慮

6

5.8

  重要な情報の冗長提示

6

5.9

  知覚機能の衝突の回避

6

5.10

  意味の衝突の回避

6

5.11

  簡潔な設計

7

5.12

  異なる視点でのメディアの組合せ

7

5.13

  情報を更に詳しく説明するメディアの組合せ

7

5.14

  情報劣化の保護

7

5.15

  選択したメディアのプレビュー

7

5.16

  重要なメッセージにおける静的メディアの利用

7

6.

  情報の型に合ったメディアの選択

8

6.1

  一般

8

6.2

  情報の型の考慮

10

6.3

  複数の情報の型の考慮

10

6.4

  メディアの選択及び組合せ

10

7.

  メディアの統合

11

7.1

  一般

11

7.2

  設計課題

12

7.3

  メディア統合の指針

12

8.

  ユーザーの注意誘引

13


Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)  目次

(3)

ページ

8.1

  一般

13

8.2

  主要な主題の連結に対する直接接続点の利用

13

8.3

  連結された要素間には直接接続点を用いる

14

8.4

  間接接続点

14

8.5

  主題の流れに合わせて一連の接続点を配置する

14

8.6

  メディアの組合せに適した接続点形式に関する指針

14

附属書 A(参考)型を分類するための決定ツリー

20

附属書 B(参考)メディアの組合せのための指針

24

附属書 C(参考)メディアの組合せ類型の例

33

附属書 D(参考)設計上の問題及び認知的背景

34

参考文献

37


Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

 

白      紙


日本工業規格

JIS

 Z

8531-3

:2007

(ISO 14915-3

:2002

)

人間工学−マルチメディアを用いる

ユーザインタフェースのソフトウェア−

第 3 部:メディアの選択及び組合せ

Ergonomics

−Software for multimedia user interfaces−

Part 3: Media selection and combination

序文  この規格は,2002 年に第 1 版として発行された ISO 14915-3:2002,Software ergonomics for multimedia

user interfaces

−Part 3: Media selection and combination を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,様々なメディアの統合及び同期によって構成する対話的なインタフェースの

設計並びにメディアの選択及び組合せに関する推奨事項について規定する。さらに,互いに異なるメディ

アを組み入れて統合したり,同期するようなアプリケーションのユーザインタフェースを扱う。ここでい

うメディアは,文章,図,静止画像のような静的メディア,及び音響,アニメーション,動画像のような

動的メディアを含む。単一のメディアに閉じた詳細な設計事項(例えば,アニメーション用の図の設計な

ど)については,ユーザーに対して人間工学的な影響の及ぶ範囲内で扱う。

この規格は,次の対象に適用する。

−  コンピュータを利用した一般的なマルチメディアアプリケーションによる情報提示技術。個別又はネ

ットワーク接続されたアプリケーションの主要な目標が,ユーザーの仕事,又は情報提供の支援であ

る場合を含む。

−  ソフトウェアのユーザインタフェース設計。

−  推奨事項が効果的な情報伝達をもたらす,訓練用及び個別指導用マルチメディア。

この規格は,個別指導用アプリケーションを用いた教授法に関する設計,入出力機器などのハードウェ

アの問題は扱わない。また,ゲームのように娯楽を目的とするようなアプリケーションには具体的には言

及しない。さらに,マルチメディアによる情報提示の問題に重点を置いている。例えば,音声とポインテ

ィング動作とを組み合わせて情報を入力するようなマルチメディアを用いる入力については,この規格で

は考慮していない。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 14915-3:2002

,Software ergonomics for multimedia user interfaces−Part 3: Media selection and

combination (IDT)


2

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Z 8531-1

  人間工学−マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア−第 1 部:設

計原則及び枠組み

備考  ISO 14915-1,Software ergonomics for multimedia user interfaces−Part 1: Design principles and

framework

が,この規格と一致している。

JIS Z 8531-2

  人間工学−マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア−第 2 部:マ

ルチメディアナビゲーション及び制御

備考  ISO 14915-2,Software ergonomics for multimedia user interfaces−Part 2: Multimedia navigation

and control

が,この規格と一致している。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

メディア(mediummedia)  ユーザー向けに情報提示を行う際の各種形態(JIS Z 8531-1 から引用)。

例  文章,動画,図,アニメーション,音響など。

3.2

マルチメディア(multimedia)  静的メディア及び/又は動的メディアを組み合わせたもの。アプリ

ケーション内での同時提示と相互作用的な制御が可能である(JIS Z 8531-1 から引用)

例  文章と動画との組合せ,音響とアニメーションとの組合せなど。

3.3

静的メディア(static media)  時間が経過してもユーザーへの提示内容が変化しないメディア(JIS Z 

8531-1

から引用)

例  文章及び図。

3.4

動的メディア(dynamic media)  ユーザーに対する提示内容が時間経過とともに変化するメディア

JIS Z 8531-1 から引用)

例  動画,音楽,アニメーションなど。

3.5

コンテンツ(content)  コミュニケーション目標に従って,発信者からユーザーにマルチメディアア

プリケーションを使って伝達される情報(JIS Z8531-1 から引用)

3.6

情報の型(information type)  コンテンツ及び部品を構成する,メディアに依存しない情報分類の記

述。

備考  情報の型は,マルチメディアアプリケーションの中で伝達されるメッセージを特定するのに用

いる。メディアの型と同様に,情報の型には次元と分類があり,情報の部品を情報の型へと分

類する方法の例を

附属書 に示す。そこでは,はじめに部品が物理的か概念的か,次に静的(不

変)か動的か,最後に情報の型というように見ていく決定ツリー(

附属書 図 参照)を提供

する。

3.6.1

因果情報(causal information)  出来事の原因と結果を記述する情報。一連の出来事の因果関係を

含む。

例  熱は液体を沸騰させる。望む結果に帰着するアルゴリズムの振る舞い。

3.6.2

概念情報(conceptual information)  物理的実態をもたない対象物に関する事実,意見又は情報。

例  動植物の分類学上の種類。政治に関する意見。

3.6.3

動作を連続的に表現する情報(continuous action information)  対象の動作を時間の経過とともに

連続的に表す情報。

例  食事を作っている様子。車を運転している情報。


3

Z 8531-3

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3.6.4

記述的情報(descriptive information)  対象物,実体,エージェントなどを記述する情報。

例  赤いりんご,石の質感など。

備考  これには,対象物の状態及び履歴を含める。

3.6.5

動作を飛び飛びに表現する情報(discrete action information)  ある時点で発生したことが知覚さ

れるような動き及び活動を記述する情報。対象の動作を時間の経過とともに飛び飛びに表す情報。

例  コンピュータを起動する。金庫に施錠する。

備考  動作の離散的表現はステップの集合である。

3.6.6

出来事情報(event information)  状態の変化に関する情報で,動きの発生又は系の大きな変化を

伝える情報。

例  電話が鳴る。電子メールが届きました。電子メールを送りました。

備考  出来事は,対象物において発生するのと同様に環境でも発生する。

3.6.7

物理情報(physical information)  有形物の現象に関する情報。物理的実体をもつ対象物,エージ

ェント及びシーン。

例  いす(椅子),机,風景など。

3.6.8

手続情報(procedural information)  目的達成のために組織化された一連の動作に関する情報。

例  組立用部品を用いて本棚を作るための取扱説明など。

3.6.9

関係情報(relationship information)  対象物,エージェント相互の関係に関する情報。

例  座面及び足はいすの部品である。製品は工場で作られる。

3.6.10

空間情報(spatial information)  空間の特性に関する情報。例えば,通路,構造物の大きさ,空間

的配置,場所など。

例  部屋の中での家具の配置。地下鉄駅の方向など。

3.6.11

状態情報(state information)  一定時間保持されるような,環境,対象物,エージェントの特性に

関する情報。

例  音楽が流れている。人が眠っている。

3.6.12

数量情報(value information)  対象物の特性を記述する量的な情報。

例  身長 1.8 m。

備考  複数の数量の関係はグラフ及びチャートで表現可能(3.6.9 も参照)。

3.7

メディアの型(media type)  ユーザーに情報提示する際に用いるメディアの種類。

備考  メディアの型は,ユーザーが各メディアを知覚する際の心理的な特性を反映する。

附属書 図 と決定ツリー(附属書 図 3)は,後述するメディアの細分型を用いてメディア

を分類する際の助けとなる。

3.7.1

聴覚メディア(audio media)  聞くことのできるメディア(聴覚器官を通じて受け取る。)。

例  犬のほえ声,音楽,交通騒音,音声など。

3.7.2

言語メディア(language-based medium)  自然言語又は形式言語に基づくコンテンツを含むメディ

ア。

例  英数文字。音声。例えば,象形文字,数式,化学式などの表現。

3.7.3

動画像メディア(moving image medium)  人間の視聴者に,連続的な画像として見えるように伝

送速度を決められた視覚的メディア。

例  動画,映画,動く図,シミュレーションなど。

備考  例えば,ちらつき消失周波数(the flicker fusion frequency)である毎秒 30 フレーム以上の更新速度


4

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

を用いる。

3.7.4

非写実メディア(non-realistic medium)  ユーザーによって,自然世界を忠実に再現していないと

知覚されるメディア。

例  図,グラフ,漫画など。

3.7.5

写実メディア(realistic medium)  ユーザーによって,自然世界を忠実に再現していると知覚され

るメディア。

例  自然の音,写真,人,自然を写した映画など。

備考  写実メディアは,自然世界を模擬した幻影でもよい。例えば,恐竜の写実的なアニメーション

など。

3.7.6

静止画像メディア(still-image medium)  連続して提示しない視覚的メディア。ユーザー及びシス

テムによって,連続して見えないように間隔をおいて表示される複数フレーム。

例  写真,画,グラフなど。

3.8

エージェント(agent)  動作を遂行したり出来事を発生させる人又は機械。

例  ユーザー,設計者,計算機プログラムなど。

3.9

共メディア(concurrent media)  情報提示の一定期間,同時並列に利用される 2 種以上のメディア。

例  動画の中の動作と重ねて音声で説明。

3.10

  直接接続点(direct contact point)  ある提示効果とともに,接続元と接続先との双方に組み込まれ

た 2 種のメディアの主題間連結。

例  文章による見出しと強調表示された画像とが,矢印によって結ばれているなど。

3.11

  間接接続点(indirect contact point)  ある提示効果とともに,接続元だけに組み込まれた 2 種のメ

ディアの主題間連結。

例  “図 参照”という指示で図を参照している文章など。

3.12

  メディアの組合せ(media combination)  二つ以上のメディアの連続的又は同時の組合せ。

例  静止画像を表示しているウインドウの中にもう一つのウインドウがあり,そこに動画が表示され

ている。音声が,そのとき上映されている動画の紹介を行う。

3.13

  継時的情報提示(sequential presentation)  時間的に重複しない形で次々に表示される,二つ以上

のメディアの配置。

例  動画が上映され,続いて文章が要約を表示するなど。

3.14

  主題連結(thematic link)  二つのメディア間で,ユーザーの視聴の順番を方向付ける要求。

備考  実装する際には,接続点 3.10 と 3.11 を参照。

4.

この規格の適用

4.1

この規格が対象とする人  この規格は,次のような人を対象としている。

−  開発過程でこの規格を適用する,ユーザインタフェースとマルチメディア設計者。

−  製品がこの規格に適合しているかどうかを検証する,品質保証の責務を負っている評価者。

−  適切に設計されたマルチメディア製品を選ぶ,購買者。

−  ユーザインタフェース開発者及びマルチメディア開発者が利用する,マルチメディア開発ツールの設

計者。


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4.2

推奨事項の適用  この規格で提示する推奨事項は,JIS Z 8531-1 で記述されている原則を拡張したも

のである。マルチメディアを用いるユーザインタフェースは,JIS Z 8531-1 及びこの規格で規定する原則

に即して設計することが望ましい。状況(例えば,仕事,ユーザーのグループなど)によっては,最適な

設計を達成するために一方の推奨事項を犠牲にしてもう一方を採用することを余儀なくされることもある。

4.3

この規格へ適合していることの報告  製品がこの規格に適合していると主張したいのであれば,マ

ルチメディアを用いたユーザインタフェースを開発及び評価するための要求事項を決定するまでの手続を

規定しなければならない。手続の詳細度は,関係各者間での協議事項とする。この規格は多部構成である

ため,規格への適合はこの規格全体ではなく個々の規格の範囲とする。

5.

メディアの選択及び組合せに関する一般的な推奨事項

5.1

一般  この箇条では,メディアの選択及び組合せに関する一般的な推奨事項を規定する。続く箇条

において,効果的な情報提示のための情報の型とメディアの型とを対応付けるような,より詳細な推奨事

項を規定している。JIS Z 8531-1 の原則は,以下に示すガイドラインを解釈する基礎を与える。二つ以上

の複数メディアは,それらによる情報提示が同時であれば組み合わせていると考える。また,メディアは,

そのコンテンツが密接に関係する場合,又はウインドウが隣接していたり連続して表示されるなどメディ

アが明示的にグループ化されている場合には,組み合わせている又は連続していると考える。例えば,絵

の表示に続いて文章による説明を行う場合などである。メディアの組合せは,ユーザーに様々な利益をも

たらす。まず,現実世界に近い形で情報提示するようなユーザインタフェースが構築できる。システム利

用の文脈に合わせて,ユーザーの仕事を簡単で自然なものにできる。特に,情報の特性がユーザーの現実

世界での経験と適合する場合にその効果は顕著である。例えば,波の音とともに提示される砂浜の絵は,

絵又は音を単独で提示した場合よりも素材に対する強い記憶を喚起する。また,メディアの組合せは,情

報の型がユーザーの嗜好に適応することを助ける。例えば,絵とともに文章を示すことによってユーザー

の好みをいずれにでも適合させられる。

5.2

仕事の支援  ユーザーの仕事を支援するようにメディアを選択し,組み合わせることが望ましい。

例  二つの景色を比較するため,ビルの側面と正面の写真に対応する建築家の画を並べて置いてみる。

備考  メディアの組合せによる利益は,仕事によって異なる。もしユーザーの仕事が学習に関係して

いたら,又は,具体的な情報に対する注意喚起に関係していたら,ユーザーは情報を冗長に提

示するメディアの組合せから利益を得られる。しかしながら,ユーザーの仕事が主に一つのメ

ディアに注意すべきものならば,例えば,図を視覚的に検査するような仕事では,メディアの

組合せによる利益は得られないであろう。ユーザーの仕事の性質は,情報提示の順序と同時性

とに影響する。例えば,もし 2 枚の絵の比較が必要であれば 2 枚の画像を同時に表示する必要

がある。

5.3

コミュニケーション目標の支援  アプリケーションにおけるコミュニケーション目標の達成を支援

するよう,メディアを選択することが望ましい。

例  安全にかかわる重要なアプリケーションにおけるコミュニケーション目標とは,ユーザーに警告

を与え,危険から守ることである。航空機における非常脱出の実演では,音声は脱出用ルートを

示す図とともに,それを説明するために利用される。

5.4

ユーザーの知識との整合  ユーザーの既知の知識と整合する方法でコンテンツを伝達できるようメ

ディアを選ぶことが望ましい。

例  放射能標識は,適切な知識をもったユーザーに危険を知らせるために用いられる。建築図面は,


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建築家と設計技術者とに対して建物の構造的な配置を伝達するために用いられる。

特定のメディアによって伝達されるメッセージを理解するユーザーの能力は,メディアの選択に影響を

与える。このことは,情報の解釈がユーザーの知識及び文化に依存する非写実画像メディア(図及びグラ

フ)で特に重要である。

5.5

ユーザーの特性に合ったメディアの選択  メディアを選択する際,対象とするユーザー層の特性を

考慮することが望ましい。

例  視覚に特別な配慮が必要な人に対しては,音声は文章の代替手段となる。高齢のユーザーに対し

ては,文章を読み上げるとともに,大きなサイズの文字で書かれた文章を提示する。

備考  ユーザーは,心理学的な質問紙調査に基づいて視覚指向型(視覚依存者)と聴覚指向型(聴覚

依存者)に分類してもよい。この情報は,視覚的メディアか言語メディアかを選択する助けと

して用いてもよい。

5.6

ユーザーのし(嗜)好による選択  仕事上必要であれば,ユーザーが好きなメディアを選択する,

又は,特定のメディアを止めるという選択肢を与えられることが望ましい。

備考  特定のメディアを用いてシステムと対話することを好むユーザーがいる。ユーザーが,低解像

度又は高解像度の表示装置を選択できるといったように,ユーザーの能力とユーザーが利用す

る機器の特性は重要である。

5.7

利用状況の考慮  メディアの選択及び組合せは,システム利用の状況に適していることが望ましい。

例  銀行口座の詳細に関する情報提示では,視覚的な表示に加えて音声を利用することはユーザーの

プライバシーをさらけ出すことになるため,不適切なメディアの組合せである。

“これは正しくあ

りません”という音声とともに動作を提示するような教材動画は,騒音環境下で音声が聞き取り

にくい場合には不適切である。

備考  環境によっては,特定のメディアによる情報の知覚は,その環境によって邪魔されてしまう。

例えば,音声による警告は,それが騒音環境下で成されれば聞こえないだろう。

5.8

重要な情報の冗長提示  提示しようとする情報が重要な場合には,同じ伝達内容を,複数のメディ

アでそれぞれ表現して,提示することが望ましい。

例  目覚まし時計で,時間が来たことを,音だけでなく目に見える形でも通知する。語学学習アプリ

ケーションでは,単語を発声するとともに,その単語を文字表示する。

備考  類似しているが同一ではない内容を,それぞれのメディアで冗長に提示すると効果的である。

冗長提示は,訓練及び教育目的のアプリケーションに役立つ。

5.9

知覚機能の衝突の回避  動的メディアを,同一の知覚経路(例えば,視覚又は聴覚)で,同時並行

に提示することは避けることが望ましい。

例  ユーザーが複数のメディアから情報を引き出す必要がある場合,複数の関連のない動画を再生す

ることで,互いに妨害し合い,ユーザーの気を散らさせるので避ける。

備考  複数の動的メディアを同時並行に提示すると,統合しやすい情報でない限り,ユーザーはそれ

ぞれのメディアからの情報を知覚しにくい。この規格の例外として,ポピュラー音楽の販売促

進で二つの無関係の動画を流すといった娯楽目的のアプリケーションがある。

5.10

意味の衝突の回避  組み合わせたメディアそれぞれの提示内容に,食い違いがないことが望ましい。

例  “青のボタンを押してください”と,音声で提示しているのに,表示画面には,灰色の画像が出

ている。

備考  それぞれのメディアから,食い違った情報が提示される場合,特に同時並行に提示される場合,


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ユーザーはそれらを統合して理解できない。

5.11

簡潔な設計  組み合わせるメディアの数は,ユーザーの仕事で必要な情報を伝える,最小限とする

ことが望ましい。

例  音楽の指導アプリケーションでは,演奏音と楽譜とを組み合わせて提示すれば十分である。その

上更に,演奏会の動画を加えても,与える情報はほとんどなく,ユーザーの気を散らせるだけで

ある。

備考  組み合わせるメディアの数が多くなると,ユーザーがそれぞれのメディアに注意を向け,その

情報を処理するのに必要な労力も,各メディアの情報を相互に参照する労力も増大する。簡潔

さとメディアの組合せ効果との兼ね合いは,ユーザーの特性,仕事の特性に依存する(5.2 及び

5.3

参照)

5.12

異なる視点でのメディアの組合せ  仕事上適切であれば,同じ主題を異なる観点から扱ったメディ

アの組合せによって提供することが望ましい。

例  ある交響曲の構成に関する作曲者の見方を,図表中の楽譜で伝え,その構成についての演奏者の

見解を音声注釈で与え,音楽演奏で美的な側面を伝える。同一画面を異なる視点,一つはサッカ

ー競技の遠景,もう一つは,遠景中の二人の選手の反則場面を望遠で撮った近影の二つの映像を,

別々のウインドウに並べて表示する。

備考  メディアを組み合わせて様々な観点から提示すると,ユーザーが同じ主題に関連する情報を理

解する助けとなる。

5.13

情報を更に詳しく説明するメディアの組合せ  仕事上適切であれば,情報を更に詳しく説明するよ

うなメディアの組合せとすることが望ましい。

例  太陽の周りを回っている惑星の図を示し,更に重力と運動量について音声で説明する。

備考  ある主題に対し,更に情報を加えるためにメディアの組合せを用いる。その一方で,一つの主

題の異なる側面を示すため,異なる観点から見たメディアの組合せを用いる。

5.14

情報劣化の保護  選択したメディアで情報配信する場合,提示品質の劣化及び我慢できない応答時

間とならないよう,技術的制約を考慮することが望ましい。

例 Web ページをダウンロードする際の遅延を避けるために,動画像を分割してストリーボードに入

れスライドショーとして表示する。動画像表示は,フレームレートを下げるよりも,表示領域を

小さくする。写真品質の画像ではなく,狭帯域で伝送可能な単純な画像を用いる。ユーザーに,

送信の遅れを通知する。

備考  分散環境では,帯域幅及びネットワーク上の制約があると,視覚メディア,特に動画像は条件

悪化が生じやすい。条件悪化の結果,画像品質が低下したり,動画像のフレームレートが許容

限界より下がったり,音響品質が劣化する。

5.15

選択したメディアのプレビュー  仕事上適切であれば,選択候補となるメディアのプレビュー機能

を用いて情報を見られることが望ましい。

例  ダウンロードする前に,小さな動画で見本を見られるように,Web ページ上の動画への連結を作

る。

備考  メディアの選択をユーザーにゆだねた場合,プレビュー機能と,メディアの取込速度の選択機

能とを組み合わせてもよい(制御に関しての手引は,ISO 14915-2 参照)

5.16

重要なメッセージにおける静的メディアの利用  緊急を要する警告を除き,重要な情報には静止画

像及び文章を用いるのがよい。


8

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例  エンジン組立作業の要点を,静止画像及び箇条書きの文章で示す。

備考  動画及び音声の場合は,詳細はほとんど記憶されない。ユーザーに警告を伝えるため及び重要

な情報にユーザーの注意を引くために動的メディアを使うこともあるが,この場合でも,その

詳細については静的メディアで伝える。

6.

情報の型に合ったメディアの選択

6.1

一般  この箇条では,メディア選択の推奨事項を示す。情報を伝える物理的メディアとは無関係な

形で,情報を論理的に規定してユーザーの求める情報を明確にする。

メディア選択のための一つの方法は,次による。

―  タスクとユーザーの要求に合わせて,コンテンツを情報の要素に区分する。

附属書 図 1,附属書 図 の決定ツリー及び本体 3.6 の定義を用いて,各情報の要素に情報の型を

割り当てる。

表 及び 6.26.4 までの推奨事項を用いて各情報の型に対するメディアの型を選択する。

多くの場合,一つの情報の型に,複数の種類のメディアが選択可能である。

表 では,ある情報の型に

対して選択可能なメディアの組合せを例示している。6.26.4 までの指針では,情報の型と,それに対応

する主要なメディアの型を示している。

表 は,選択した情報,選択可能なメディアの型という順序で選

択の指針を図示している。


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Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

  1  情報の型に対するメディアの型の選択及び組合せの例

情報の型

メディアの型

因果関係

概念

連続した動き

記述的

飛び飛び動作

事象

物理的

手順

関係

空間的

状態

数量

写実音響

雨,風の音

スキーをしている音

田 園 地 帯 の

スイッチを入れ
る音

“用意,ドン”の銃

竜巻の音 

関係種の鳥のさ
えずり

洞窟内での反響

いびきの音

音 符 で の 数 量
表現

非写実音響

上昇する音程で磁
力の増加を表現

動 作 が 進 行 中 で あ る
こ と を 示 す 連 続 し た
信号音

船 を 表 す モ
ールス符号

ドアを開閉する

警報サイレン 

二つの対象物が
連携した音

ソナー及びドッ
プラー効果

心拍モニター
の連続音

モ ー ル ス 符 号
での数値表現

音声

エ ル ニ ーニ ョ 発
生の理由を話す 

宗教上の信念を語

ス キ ー の 回 転 が ど ん
なものかを話す

言 葉 で の あ
る人の描写

コンピュータの
起動法を説明す

レース開始を伝える

嵐 の 中 で は ど ん
な感じかを話す

エ ン ジ ン の 組 立 て
方を話す

ジャックとジル
との関係を話す

駅の場所と行き
方を話す

ジェーンが睡
眠中と話す

数値,図を口頭
で報告する

写実静止画像

エ ル ニ ーニ ョ の
嵐と海流の写真 

“自由”を表現す
る自由の女神像の

写真

動 作 ス テ ッ プ を 示 す
組写真

車 の 全 体 及
び詳細写真 

コンピュータ起
動ボタンの写真

レース開始の写真

顔写真 

エ ン ジ ン 組 立 て を
示す写真 

並置した双子の
写真

風景の写真 

寝ている人の
写真

非写実静止画像

エ ル ニ ーニ ョ を
説 明 す る潮 流 と

海水温の図表 

植物分類の階層図  ス キ ー タ ー ン の 動 き

を 描 写 す る 矢 印 を 用

いた図表

年 齢 層 の ヒ
ストグラム

どのスイッチを
どう押すかを説

明する図

レース進行表の事象
シンボル

組 立 て 順 付 き の エ
ンジン展開図

グラフ, 
ヒストグラム,

ER

 

地図 

レース進行表
の待ち状態の

シンボル

チャート,グラ
フ,散布図 

文章

エ ル ニ ーニ ョ に
よ る 嵐 の理 由 説

 

動物分類の解説 

ス キ ー の 回 転 動 作 の
説明

人 の 容 姿 の
描写 

コンピュータ起
動法の説明

レース開始の報告

嵐の特徴の報告

エ ン ジ ン 組 立 て 手
順の箇条書き 

兄弟関係の記述 

部屋の寸法の記

人が眠ってい
ることの報告

数 字 列 に よ る
数値表現 

写実動画像

エ ル ニ ーニ ョ の

嵐と海流の動画 

スキー回転の映画 

飛 ん で い る

飛行機

レース開始の映画 

嵐の映画 

エ ン ジ ン 組 立 て 手

順の動画 

家族の世代を追

った映像

風景の中の飛行

人が眠ってい

る動画

非写実動画像

海 水 温 の変 化 及
び 海 流 逆流 の ア

ニメーション 

重力作用のアニメ
ーション

マ ネ キ ン の ス キ ー 回
転アニメーション

− On ス イ ッ チ 操

作法のアニメー

ション

開始を示すシンボル
のアニメーション

部 品 組 立 て 手 順 の
アニメーション 

ER

図 の 関 係 リ

ンクのアニメー

ション

ビル構造図のア
ニメーション

グラフ,チャー
ト の ア ニ メ ー

ション

数式,数値

原因 と 結果 を 表
す方程式,関数

概念を表す記号,
例えばπ 

デ ー タ 型 の
定義

有限状態オート
マトン

事象着目表記

手続型論理,プロセ
ス代数

関数,方程式,
文法

グラフ理論,ト
ポロジー

状態着目表記

数値記号

備考 1.  表中の太字体は,好ましい組合せを示す。

2.

  “―”は,通常用いない組合せを示す。


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Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

6.2

情報の型の考慮  メディアの選択及び組合せでは,情報の型を考慮することが望ましい。

備考  メディア選択の際は,ユーザーの特性とユーザーの仕事とを考慮する。JIS Z 8531-15.2 及び

5.5

を参照。

6.3

複数の情報の型の考慮  ユーザーが必要とする情報が複数の情報の型から成る場合,メディアの組

合せを考慮することが望ましい。

例  物理的な作業手順を説明する場合,最初に写実画像メディアを選択し,次に一連の画像と文章で

説明する。

備考  情報の型には,物理的なものと概念的なものとの区別,静的なものと動的なものとの区別があ

る。メディアの組合せについては,5.85.12 で規定している。

6.4

メディアの選択及び組合せ

6.4.1

物理的情報  物理的情報には,ユーザー特性又は仕事の特性上の理由で選択できない場合を除き,

写実静止画像又は動画像を選択することが望ましい。

例  国立公園の景色を描写するのには写真が使われる。

備考  建物の寸法のような,物理的な詳細を正確に伝える必要がある場合,画像上に言語メディアを

重ねて提示してもよい。物理的情報を部分的に抽象化したい場合は,非写実画像を用いる(例

えば,スケッチ及び図表)

6.4.2

概念的情報  概念的な情報には,言語メディア(文章及び音声)及び/又は非写実画像メディアを

考慮することが望ましい。

例  マーケット戦略の販売目的と解説は,箇条書き文章又は音声によって伝える。化学処理の機能を

表現するのにフローチャートを用い,詳細の機能は音声で説明する。動物の分類は,樹形図で示

す。

備考  複雑な関係をもつ概念的な情報は,非写実画像(グラフ,スケッチ及び図表)又は文章が埋め

込まれた写実画像によって示してもよい。また,概念的情報は,虹の写真でスペクトルの色を

説明するように,写実画像及びメタファを用いて伝えてもよい。

6.4.3

記述的情報  説明情報には,言語メディア(文章及び音声)及び/又は写実画像メディアを考慮す

ることが望ましい。

例  塩のような化学化合物の特性を説明文書で記述する。りんごの属性と性質とを,赤いりんごの写

真に,

“有機栽培”の見出しを付けて示す。

備考  対象物の挙動又は動きを説明する際,写実動画像メディアを使う場合もある。

6.4.4

空間的な情報  空間的な情報では,写実及び/又は非写実静止画像を用いることが望ましい。

例  船の積荷の位置を,図によって示す。

備考  詳細な空間情報は,例えば写真のような写実画像で表現してもよい。複雑な経路を含んだ空間

情報は,経路が動くような動画像で伝えてもよい。しかしながら,位置,方位及び経路の情報

は,動画像よりも静止画像の方が記憶に残りやすい。

6.4.5

数量情報  数値と定量的な情報では,言語メディア(数字文章及び表)を用いることが望ましい。

例  身長及び体重は,1.80 m,75 kg のように示される。

備考  作業記憶に多くの数字を保持するのは困難なため,たくさんの数字を伝えるのに音声を利用す

ることは有効ではない。仕事を実施している間中,数量情報が視覚的に確認できるよう,持続

性のあるメディアを推奨する。

6.4.6

関係情報  数量的な集合の,一つの群の中での要素間の関係,複数の群の間の関係,又は複数の概


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念の関係を表示する場合,非写実画像(チャート,グラフ,図表など)を用いることが望ましい。

例  ロンドンの各月の降水量を,ヒストグラムを用いて表示する。類義語辞典の単語間の関係を,ハ

イパーテキストの図表として示す。

6.4.7

動作を飛び飛びに表現する情報  不連続な動きに関する情報には,写実静止画像メディアを用いる

ことが望ましい。

例  コーヒーマシンのパーコレータに水を入れる動きを,人がコーヒーマシンに水を入れている画像

で示す。

備考  離散した動きに対して静止画像メディアを用いることで,動き,動きの対象,及び動く主体の

関係が分かる。概念的な動き(例えば,心理過程)を,音声又は文章で表してもよい。

6.4.8

動作を連続的に表現する情報  複雑な又は連続した動きに対しては,動画像メディアを用いること

が望ましい。

例  スキーの曲がり方を,動画で示す。

備考  複雑で物理的な動きは,非写実的なメディア(アニメーション)でうまく描画できる。非写実

メディアによって,動きの流れが分かるようになる。

6.4.9

事象情報  重要な出来事の情報を与える場合又は注意を発する場合には,ユーザーに対する警告と

して聴覚メディア(例えば,音声及び音)を用いることが望ましい。

例  警報を鳴らすことで,火災発生を伝える。

備考  火災警報を鳴らした後に,建物の図面上に赤色の目印で火災発生の場所を示す場合のように,

事象の状況に関する情報を更に伝えるために写実在又は非写実静止画像を用いてもよい。

6.4.10

状態情報  状態の提示では,静止画像及び言語メディアを用いることが望ましい。

例  天気情報を,晴れた日の写真で示す。

備考  抽象的な状態は,言語メディア及び図表で説明してもよい。一連の不連続な状態を示す必要が

ある場合,アニメーション及び連続した静止画像をスライドショーとして用いてもよい。

6.4.11

因果情報  因果関係を説明する場合,静止画像及び動画像メディアを言語メディアと組み合わせる

ことを考慮することが望ましい。

例  多量の降雨を説明する文章と,地面に降った雨が川に流れ込んで,川の水位を上げ堤防を超すア

ニメーションとを組み合わせて,洪水の原因を説明する。

備考  より複雑な情報の型の場合,メディアの組合せによって複雑なパターンを定型化してもよい。

言語メディアを用いて主題を紹介したり,解説のために静止画像と言語メディアとの組合せに

よって原因と結果とを示したり,声の解説と動画像でメッセージをまとめたり,箇条書き文章

を用意したりすることで,物理現象の因果関係を説明してもよい。

6.4.12

手続情報  手続の情報を提示するには,説明文付の一連の静止画像を選択することが望ましい。

例  一式の部品から本棚を組み立てる手順を,各作業段階ごとに文章見出し付きの画像で示す。

備考  手順を示すのには,静止画像に文章を添える,手順全体のアニメーションを後に続ける,など

のように,メディアを組み合わせることが必要な場合もある。物理的でない手順(例えば,意

思決定手順)は,箇条書きのような書式を整えた文章で表示してもよい。

7.

メディアの統合

7.1

一般  メディアを選択しても,マルチメディアインタフェース設計の素材が得られるだけである。

選んだメディアを組み合わせ,統合して,首尾一貫した内容が伝わるような,一連の提示を作り上げるこ


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とが望ましい。メディアを組み合わせ,提示を順序立てて行く上で,次の事柄を考慮に入れることが望ま

しい。

7.2

設計課題  この箇条及び 7.3 では,特定の情報の型を効果的に伝達するための,メディアの組合せを

選ぶ際の設計方針について示す。重要な情報が確実に知覚されるように,ユーザーの読解及び視認の順序

をどのように誘導するかの問題についても扱う。

メディアを選択した後には,

ユーザインタフェース上で,

それをどのように提示するかの問題がかかわる。この問題は,視覚的メディアの場合に特に大きな影響を

与える。例えば,文章を画像とは別のウインドウ中に表示することもあり,画像上に説明文として重ねて

表示することもある。前者の場合,ユーザーは文章と画像とを別々のものと見なすことが多いのに対し,

後者の場合では,通常,画像と説明文は一体化したものとして見る。いずれを採用するかで,ユーザーの

読解及び視認の順序は変わる。別々のウインドウに表示したメディアは,順次に眺める傾向があるのに対

し,説明文はそれが解説する画像と一体化して見え,画像が過度に複雑になり,情報の抽出をより困難な

ものにする欠点をもつ。この一体化は,実景画像の上に図表を重ねた場合に一層効果的に生じることを念

頭に置くとよい。動的メディア(音声及び動画)を,同時並行に提示する場合には,タイミングと同期が

設計上の重要事項となる。JIS Z 8531-2 では,更に詳細な手引を規定している。

7.3

メディア統合の指針

7.3.1

一般  この箇条では,メディアを統合するための一般的な指針を示す。附属書 では,メディア

の活用を示す詳細な例を述べる。

7.3.2

先行オーガナイザ  言語メディアを,他のメディアによる情報提示に先立つ紹介で用いることが望

ましい。

例  音声で動画の主題を紹介した後,動画を流す。

備考  最初のメディアで,それに続くメディアの内容が詳しく述べる主題を紹介する。後続のメディ

アの内容にユーザーが不慣れである場合,先行するメディアで提示する内容によって,予備知

識を与える。

7.3.3

関連するメディアの同期  関連する内容をもち,同時並行に提示されるメディアは,ユーザーが知

覚しやすいように同期させるのがよい。

例  映画でのくちびる(唇)の動きは,俳優の話と 70 ms 以内に同期させる。音声及び文章の表示は,

単語単位で同期させる。

備考  ネットワーク環境では,厳密な同期は必ずしも可能ではない。

7.3.4

音の情報源の分離  二つの聴覚メディアを組み合わせる場合は,情報源を聞き分けられるように,

それぞれのメディアが異なって知覚されるようにすることが望ましい。

例  鳥の鳴き声の録音に,別種の鳥の鳴き声に変わったことを伝える音信号を重ねる。

7.3.5

聴覚メディア内での干渉の回避  二つの聴覚メディアを提示する場合,背景となる音が主要な音を

邪魔する,又は遮へい(蔽)するおそれがあれば,同時並行に提示しないことが望ましい。

例  鳥の鳴き声を聞く妨げとならないように,音声による解説は,鳥の鳴き声の合間に織り込む。

7.3.6

聴覚メディア及び言語メディアの組合せにおける音声中断の制限  非写実音響による中断は,短い

ものとし,音声中の息継ぎ,又は文,若しくは文節の区切りの部分に入れる。又は,ユーザーによる特定

の指示で開始することが望ましい。

例  音声メールのメッセージ間の区切り音。

7.3.7

写実画像及び非写実画像との統合  写実画像による提示を非写実画像で補完する場合には,関連す

る主題の簡潔な画像とすることが望ましい。


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例  エンジンの写真に,単純化した構成要素の図を重ねて提示する。

備考  非写実画像が 2 枚あり,その双方が複雑な場合,非写実画像同士の相互参照を困難にする。い

ずれの非写実画像を複雑にするか,単純化するかの選択は,ユーザーの仕事によって決まる。

7.3.8

画像説明文の利用  画像の重要度が高ければ,文章を別に提示するより,簡潔な説明文を画像中に

付けるのがよい。

例  ある情景を,写真と組み合わせて文章で記述する場合,風景写真中において擬態して見にくい鳥

を説明文で指摘する。

備考  相互参照が求められる場合,画像と文章とを同時並行で提示し,画像上の説明文で重要箇所に

ユーザーの注意を向けてもよい。

8.

ユーザーの注意誘引

8.1

一般  マルチメディアを用いるユーザインタフェース設計で重要なことは,伝えたいことを,異な

るメディアにわたって,途切れなく連結させることである。この箇条は,ユーザーに対してどのような順

序で読解と視認を行わせるかを立案するための推奨事項,及びそれらの推奨事項を提示方法の設計におい

てどのように実現するればよいかの指針を与える。しかし,メディア間の連結を実現する対話手法及びナ

ビゲーションの方法によって,ユーザーが読解と視認を行う順序を制御してもよい。両者の本質的な違い

は,タイミング及びユーザーによる主体的な制御の度合いである。提示方法の設計では,ユーザーの読解

と視認の順序及びそのタイミングは設計者が設定する。

ユーザーの注意は,時間的に変化するメディアに対しては順序的であり,ユーザーが読解する順序は,

文化的背景によって異なるが文章の配置で決まる。例えば,西欧言語では左から右に読むのに対して,ア

ラビア語では反対方向に読む。

一方,

ユーザーの注意を誘導するような特定の設計が行われていなければ,

画像中の情報を見ていく順序の予想は困難である。情報提示の設計において,考慮に入れる事項には次の

ものがある。

a)

提示又は対話全体にわたって,伝えようとする事柄の主題的な流れを立案する。

b)

ユーザーの注意が,重要な情報に向くようにする。

c)

分かりやすい読解及び視認の順序を作る。

d)

ある主題が,複数の表示メディアにわたる場合には,明りょう(瞭)な連結手段を用意する。

マルチメディアを用いるユーザインタフェース設計で重要なことは,ユーザーが大事な情報に気付くよ

うに,ユーザーの読解と視認の順序を制御することである。伝えようとする主題が複雑であり,かつ,連

結させるもの相互の参照が不可欠である場合には,連結元メディア及び連結先メディアの両方にユーザー

の注意が向くように設計する必要がある(直接接続点)

。そうでなければ,ユーザーの注意を連結元メディ

ア中の関連情報に向けるだけで十分である(間接接続点)

。メディアとして画像を用いる場合には,特に,

ユーザーの注意の向け方に関する設計が重要である。メディアに対するユーザーの注意の時間的変化は,

メディア自体によって決定される。例えば,音声とアニメーションが提示されていれば,ユーザーは提示

されたとおり視聴するしか選択肢がない。接続点を,各種のメディア上でどのように具体化するかについ

ては,JIS Z 8531-2 に規定している。

8.2

主要な主題の連結に対する直接接続点の利用  2 種のメディア中の情報が重要な結び付きをもって

いる場合,直接接続点を利用することが望ましい。

例  “地図を見てください。ロンドンへの道路は...(ロンドンへの経路を地図上で強調表示する。)”

と,音声が継続している間は強調表示するというように画像中のある対象にユーザーの注意を引


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くために音声を用いたり,又は,ロンドンへの経路を指した矢印に添えて見出し文を提示する。

備考  直接接続点は,ユーザーの注意をコマンドによって引く場合,連結元メディア中の刺激と連結

先メディア中の刺激との間の関連性を用いて引く場合とがある。直接接続点は,メディア間の

連結を強調表示するが,多用すると邪魔になることもある。

8.3

連結された要素間には直接接続点を用いる  連結させる両方のメディア中の要素が重要であり,見

逃されてはならない場合には,直接接続点を用いるのがよい。

例  “写真に示す点火プラグを見付けなさい”

(音声で)

:点火プラグを強調表示する(画像中で)

“プ

ラグ本体をまわ(廻)して,すき間を調節します”

(音声で)

:すき間部分を強調表示する(画像

中で)

:画像中に説明見出しを重ねて表示する。

備考  連結先メディア中の伝達内容及び情報項目がそれほど重要ではない場合,連結元メディアにお

ける注意の制御だけで十分な場合がある。

8.4

間接接続点  二つのメディアの情報間を関連付けることは必要ではあるが,連結先メディア中の要

素を意識することがそれほど重要視されない場合,間接接続点を用いるとよい  。

例  注意を後続のメディア中の要素に向ける:“図 1 を見てください”。画像を表示しながらある対象

に関して話す。ある対象についての説明の間,動画を一時停止し表示する。

備考  間接接続点は,ユーザーの読解及び視認の順序を乱すことが少ないので,直接接続点に比べる

と多用しても邪魔にはなりにくい。

8.5

主題の流れに合わせて一連の接続点を配置する  一つのメディア中に複数の接続点がある場合,主

題に沿うような合理的な順序でそれらを配置することが望ましい。

例  生物学の教育で,細胞の各部の解説音声を,図の上から下,左から右の順序で織り込んで細胞の

各部分を解説する。

8.6

メディアの組合せに適した接続点形式に関する指針

8.6.1

一般  8.6.28.6.7 では,ユーザーの注意を,接続点に向けるための手法に関する指針を規定する。

まず,各メディア特有の指針,その次にメディアの組合せ(連結元メディア及び連結先メディア)に関す

る指針の順序で規定する。場合によっては,連結元及び連結先のメディアが並行して提示されることもあ

るが,その場合でも主題となる項目は連結元メディアの中で先に表示する。

連結元及び連結先メディアにおいて,適切に注意を引くように直接接続点をどのように組み込むかとい

う観点から指針を述べる。間接接続点に関する指針は,連結先メディアにおける注意の問題を無視する形

で,各直接接続点の指針から導出できる。

表 は,各種メディア間に接続点を組み込む場合の設計手法の

まとめである。8.6.28.6.7 では,

表 の内容を詳述するが,類似の指針を含むメディアの組合せについて

は重複を避けて一つに併合してある。


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  2  メディアの組合せによる効果的な接続点例の概要

写実音響

非写実音響

音声

写実静止画像

非写実静止画像

文章

写実動画像

非写実動画像

写実音響

直 接 に 関 連 付 け る こ と
はありえない。しかし,

あ る 部 分 を 示 す た め に
大 き さ の 変 化 を 用 い て
もよい。

直接に関連付けることは
ありえない。しかし,あ

る部分を示すために大き
さ の 変 化 を 用 い て も よ
い。

写実音響のある部分を,そ
の部分の音量を変えて示し

ながら再生し,音声でその
部分の説明を与える。

イメージ上のホットスポットが
写実音響の音色に連結する;音量

を大きくして,又は繰り返し再生
して対応部分を強調する。

写実音響のある部分を,音
量を大きくして,又は繰り

返し再生して,対応部分を
強調する。

文章の強調や音声への文章
の連結に応じて写実音響を

止める又は再生する。

写実音響を止める又は再生するこ
とによって写実音響に連結した映

画のフレームは停止する。

写実音響を止める又は再生すること
によって映画のフレームは停止する

又は場面が変わる。

非写



音程の印によって続く非

写実音響につなげる。

非写実音響の連結を操作す

る音声指令,音程による音
声があることを知らせる。

イメージ上のホットスポット・ボ

タンは非写実音響に連結し,非写
実音響の終了はイメージに連結
する。

音楽はイメージを紹介する

ために利用され,イメージ
上のホットスポット・ボタ
ン は 非 写 実 音 響 に 連 結 す

る。

非写実音響の音程によって

文章があることをユーザー
に知らせる。

イメージ上のホットスポット・ボ

タンは非写実音響に連結し,非写
実音響の終了はイメージに連結す
る。

映画のフレームが非写実音響に連結

し,フレームが停止しボタンが非写実
音響に連結する。

音声

音声は続く韻律的な強調を
伴う音声群を指示する。

音声指令が画像に連結する。画像
のホットスポットは音声につな
がる。

音声指令が連結して画像を
強調する。

文書が音声のきっかけとな
り,音声のキーワードが文書
への連結を有効にする。

画像上のホットスポットボタンが
音声に連結し,音の終了が音声に
連結する。

音声は漫画を紹介する。映画のフレー
ムが音声への引き金となる。静止画像
となる。

写実




ホットスポット・ボタンが画像に
双方向で連結する。

ホットスポット・ボタンが
画像に双方向で連結する。

文書が画像に連結する。画像
上のホットスポットボタン

が文書に連結する。

映画のホットスポット・ボタンが
静止画像に連結し,静止画像上の

ホット スポ ット が映 画に 連 結す
る。

映画のホットスポット・ボタンが静止
画像に連結し,静止画像上のホットス

ポットが映画に連結する。

非写



止画

ホットスポット・ボタンが
画像に双方向で連結する。

文書が画像に連結する。画像
上のホットスポットボタン

が文書に連結する。

映画のフレームが画像への連結の
引き金を引き,静止させ,ボタン

が画像 への 連結 のき っか け にな
る。画像上のホットスポットは映
画に連結する。

映画のフレームが画像への連結の引
き金を引き,静止させ,ボタンが画像

への連結のきっかけになる。画像上の
ホットスポットは映画に連結する。

文章

文書による連結へのきっか
けは双方向である。

文書は映画への連結を有効にする
きっかけとなる。映画の停止した

フレームボタンは文書への連結と
なる。

文書は映画への連結を有効にするき
っかけとなる。映画の停止したフレー

ムボタンは文書への連結となる。

写実動


映画のフレームは自動的に次の映

画に連結し,停止したフレームと
ボタンが連結を有効にする。

映画のフレームは自動的に次の映画

に連結し,停止したフレームとボタン
が連結を有効にする。

非写




映画のフレームは自動的に次の映画
に連結し,停止したフレームとボタン

が連結を有効にする。


16

Z 8531-3

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8.6.2

連結元のメディアが写実音響である場合

8.6.2.1

一般  このメディアは,自然界の音を含む。音の大きさを変えることで,接続点を組み込んでも

よい。しかし,周波数を変えると,音の自然さを損なうので,写実音響から他のメディアへの接続点を組

み込もうとする場合には,8.6.2.28.6.2.5 の設計上の効果を考慮に入れることが望ましい。

8.6.2.2

写実音響から非写実音響への連結  直接に関連付けることはありえないが,ある部分を示すため

に大きさの変化を用いてもよい。

例  鳥の鳴き声の一部を大きく再生し,その鳴き声部分の長さを示す人工音をその後に鳴らす。

8.6.2.3

写実音響から音声への連結  写実音響のある部分を,音量を変えながら再生し,音声でその部分

の説明を与える。

例  鳥の鳴き声のある部分を,大きな音量で再生する,又はその部分を繰り返し再生し,次にその部

分の意味を説明する音声(

“今お聞きのように,高い音色がこの鳥の特徴です”

)を出す。

8.6.2.4

写実音響から画像(静止画像と動画像)への連結  写実音響のある部分を,音量を大きくする,

又は繰り返し再生し,その後,必要に応じて対応部分を強調表示させて画像を表示する。

例  猿の声を記録したものを 2 度再生し,その後にその猿の画像を表示する。

8.6.2.5

写実音響から文章への連結  写実音響を繰り返し聞かせる,又はある部分の音の大きさを変えて

注意を引き,その後,必要に応じて文章を強調表示する。

例  飛行機の飛行音を録音したものを,飛行機の種類を示す文章見出しとともに繰り返し再生する。

8.6.3

連結元メディアが非写実音響である場合

8.6.3.1

一般  このメディアは音楽を始めとして人為的に生成した音すべてを含む。大きさ及び周波数の

変化,音の間隔の変化,音色の変化を注意を引くのに用いてもよい。音楽は,注意を引く上で強力な効果

をもつが,その効果は音楽の種類に応じて個人によっても文化によっても異なる。非写実音響から他のメ

ディアへの接続点を組み込もうとする場合には,8.6.3.28.6.3.5 の設計上の効果を考慮に入れることが望

ましい。

8.6.3.2

非写実音響から写実音響への連結  音楽の一部分でユーザーに注意を促し,次に自然音を再生す

る。

例  “ジョーズ”のテーマ音楽を流し,次に不幸な犠牲者がさめ(鮫)に襲われる音を聞かせる。

8.6.3.3

非写実音響から音声への連結  ある音でユーザーの注意を引き,次に音声を流す。

例  語学教育において,“私の話すとおりに発声して”の指示の前に,ある音を流す。

8.6.3.4

非写実音響から画像(静止画像又は動画像)への連結  音楽を画像の紹介に用いる。

例  ベートベンの第九交響曲の“歓喜の歌”テーマを演奏し,次に EU 国旗の画像,又は EU 議会の

映画を表示する。

8.6.3.5

非写実音響から文章への連結  短い音を鳴らし,次に文章の一部を強調表示する。

例  ワードプロセッサでは,短い警告音でユーザーにつづりの間違いを警告する。

8.6.4

連結元メディアが音声である場合

8.6.4.1

一般  ユーザーの注意を引くコマンドが出せるため,このメディアは強力である。注意を引くた

めの明示的なコマンドの表現には,連結先メディアによって多様な構文形式がある。声の大きさと高さの

変化,話者の違い,明示的なコマンドを用いて,注意を引いてもよい。音声から他のメディアへの接続点

を組み込もうとする場合には,8.6.4.28.6.4.5 の設計上の効果を考慮に入れることが望ましい。

8.6.4.2

音声から画像への連結  声の調子を変えて,画像の一部又は画像全体を参照しながら,連結先の

要素を強調表示する。


17

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

例  “写真の...を見てください”と音声を流し,対応する画像を強調表示する。

備考  音声のある部分を,声の質,大きさ,高さを変えて強調してもよい。“次の図を見てください”

のような音声を,間接接続点として用いてもよい。

8.6.4.3

音声から動画像への連結  動画像の部分又は動画像全体を,音声で参照し,動画像中の参照先の

部分を,スローモーション又は静止画像切出しで表示する。

例  “次に見るように,最初の登場人物はハムレットです”と音声を流し,直接接続点として,スロ

ーモーション又は一時停止画像を利用する。

“次は,第 1 場の登場人物です”の後に,間接接続点

として一連の画像を提示する。

備考  動画像中の要素を参照する場合には,参照する要素が確実に見えているかを確かめる必要があ

る。参照する対象になじみがなく,提示される長さが短い場合,接続点としての効果は失われ

る。接続点として作用させることが困難な場合,再演機能をもたせてもよい(JIS Z 8531-2 

参照)

8.6.4.4

音声から文章への連結  文章中の単語又は文節を,その箇所を強調表示しながら音声で参照する。

例  音声で,“文章中の第 3 行目に注目してください”と流し,文章中のその行を強調表示する。

備考  音声及び文章は,両者の内容に食い違いがなければ理解しやすい。音声を聞くことと,文章を

読むこととを同時に行うのは困難である。音声を聞かせ,わずかに遅れて対応部分の文章を表

示すると理解しやすい。

8.6.4.5

音声から写実音響への連結  話し手の声の高さ又は大きさを変化させて,後続の音に注意を向け

させる。

例  “次の音を聞いてください”,鳥の鳴き声を聞かせる。

“ひばりの高い鳴き声が聞こえますね”

,次

の鳴き声を聞かせる,

“この後,鳴き声は低くなります”

備考  両者が共に伝えるべき主題を含んでいる場合,両者とも人間の聴覚処理資源の使用で競合する

ため,音声と音とを同時に扱うべきではない。まず音声を聞かせて,音への注意を引いてもよ

い。音の一部の大きさを変えて,その部分を強調表示してもよい。音声による説明を音の中に

織り込んで直接参照してもよい。

8.6.5

連結元メディアが静止画像である場合

8.6.5.1

一般  この箇条で規定する注意喚起の効果は,写実画像,非写実画像に対して共に適用してもよ

い。視覚上の注意を引くには,対象を強調表示する,矢印,引出線などの記号を用いる,類似した記号で

連結する,などの方法がある。色を用いる,大きさ及び形を変えることによっても強調表示できる。静止

画像から他のメディアへの接続点を組み込もうとする場合には,8.6.5.28.6.5.5 の設計上の効果を考慮に

入れることが望ましい。

8.6.5.2

静止画像から静止画像への連結  連結元の画像の部分と,連結先の画像の部分とを強調表示して

連結していることを示す。

例  ある写真と図表から,別の写真と図表へ注意を移すのに矢印を使うことができる。二つの画像の

それぞれの抵抗部品を強調表示し,回路設計に対してそれらを比べるのに役立てる。

備考  強調表示の開始時点又は矢印の向きは,いずれが連結元でいずれが連結先であるかという,注

意の移行する方向を誘導する。各画像中の要素の強調表示は,順次の場合も,同時の場合もあ

る。

8.6.5.3

静止画像から動画像への連結  画像又はその一部分を強調表示して,注意を動画の一区間に向け

る。動画像の一区間が知覚しにくかったり,短いものであれば,一時停止してその部分を強調する。


18

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

例  俳優の写真を示し,次に映画を一時停止して,人込みの中のその俳優を矢印で示す。

備考  静止画像,動画像の両方に出てくる対象を強調表示して,注意を引いてもよい。静止画像から,

動画像表示のウインドウに向けた,又は参照する対象を示すために動画像中に重ねて表示した

目印に向けた矢印で注意を引いてもよい。しかし,動画の中の線で示すことは,情報内容を不

明りょうにする場合がある。

8.6.5.4

静止画像から文章への連結  画像中の要素とそれに対応する文章の部分とを強調表示する又は

画像の要素を文章中で太字で参照する。

例  写真の中の鳥の部分と,文章中のその鳥の説明箇所とを強調表示する。写真の鳥の部分と,それ

を説明する文章の箇所とを線で結ぶ。

備考  画像又は画像の一部と,対応する文章又は文章の一部とを線で結んで示してもよい。線による

画像と文章との連結では,通常,文章から画像への連結が用いられることが多い。画像から文

章への連結は,強調表示に比べて効果が小さい。連結元,連結先の関係を,強調表示を開始す

るタイミングによって決めてもよい。ユーザーにとって,説明文章を読まなければ画像に注目

する理由が分からない場合には,静止画像を連結元とし言語メディアを連結先とする接続点は,

混乱を生じる可能性がある。

8.6.5.5

静止画像から音声及び写実音響と非写実音響への連結  画像の一部を強調表示し,連結先メディ

ア中の対応部分を,声の質,音の大きさ,高さに変化をつけて強調しながら,音声で説明する。

例  地図中の危険箇所を強調表示し,音声で“地図の赤で塗られている部分に示すように,軍事地域

がこの近くにあります”と伝える。

備考  強調表示による情報提示は,必ずしも音声が提示される前とは限らない。画像のある部分を強

調表示した後に,それについて音声で説明を与えることを,ユーザーが不自然に感じる場合が

ある。人が話す場合には,言葉によって画像を参照するのが通例で,画像によって言葉を参照

することは少ない。強調表示した対象を同時並行に提示すると,二つの表示メディア間の連結

が分かりやすい(例えば,鯨の声を聞かせながら,該当する生物種の絵を強調表示する。

8.6.6

連結元メディアが文章である場合

8.6.6.1

一般  音声と同様に,文章で注意を引くのに言語メディアを利用する。しかし,文章は矢印及び

他の図表現と組み合わせて他メディアへの見出しとしても利用される。字体を大きくする,別の字体を用

いる,色を用いる,太字にする,下線を引くなどの強調表示は,単語を目立たせる効果がある。文章から

他のメディアへの接続点を組み込もうとする場合には,8.6.6.28.6.6.5 の設計上の効果を考慮に入れるこ

とが望ましい。

8.6.6.2

文章から静止画像への連結  文章の見出しは,強調表示した画像までを線又は矢印で結んで連結

する。

例  “図 1 の対象を見てください”の後に,“この対象は,その構成要素の一つで...”といった説明

文を,図中の強調表示した対応部分を指し示す線とともに表示する。

備考  文章で,画像中の対象又は画像全体を,その名前で参照してもよい。画像部分への直接接続点

として順序立った説明文を表示することは,ユーザーが複雑な画像を見ていく順序を誘導する

上で有効な手段である。複数の文章見出しと連結画像とを同時に表示した場合,ユーザーが混

乱することがある。

8.6.6.3

文章から動画像への連結  動画像中の要素の説明に,見出し文を用いる。動画像中の要素が知覚

しにくかったり,すぐに見えなくなる短いものであれば,一時停止画像を表示する。


19

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

例  “今,動画で見たように,最初にカバーを外し,次にヒューズ部分を取り出し...”,カバーを外

すところまで映画を再生し,そこで一時停止する。

備考  情景解説の説明文は,映画再生に先立って表示する場合(無声映画のストーリボードがプライ

ミング効果を発揮するように)も,再生する映画上に重ねて表示する場合もある。

8.6.6.4

文章から音声への連結  文章箇所を強調表示し,音声の対応部分を,別の声で聞かせる,又は声

の大きさを変えるなどで強調する。

例  “次の話を聞きなさい”と表示し,外国語での音声部分を再生する。

備考  方言,抑揚などの音声そのものの特性を説明するのに,文章を用いてもよい。文章とそれに対

応する音声とは,逐次提示する方が有利なことが多いが,同時に提示することが役立つ場合も

ある。

8.6.6.5

文章から音響(写実音響及び非写実音響)への連結  連結先の音響内容に関する文章箇所を強調

表示し,その音響を聞かせる。

例  “次の鳥の声を聞いて,その鳥の名を当てなさい”文を表示し,音を聞かせる。

備考  文章と音響とを同時に提示することは,文章の読解と音響の聴取との間で注意資源(附属書 D

参照)の競合を起こすため,ユーザーの情報取得を妨げる。音響から得る情報がそれほど重要

でなければ,美的感覚の見地から,文章と音響とを同時に提示してもよい(例えば,文章表示

の間,背景音楽を流す。

8.6.7

連結元メディアが動画像である場合

8.6.7.1

一般  動画像の情報内容は速く変化し,注意を引きつける効果が持続的であるため,動画像から

注意を引くことは難しい。映画が終わった時点で注意を他のものに切り替えるため,動画の順序配置を工

夫する。しかしながら,音声を使って動画の中で注意を引くことができる。一時停止画面,動画像中の要

素の拡大表示及び強調表示などを,動画像のある場所から他のメディアに注意を向けるのに利用してもよ

い。動画像(実在,非実在を問わず)から他のメディアへの接続点を組み込もうとする場合には,8.6.7.2

及び 8.6.7.3 の設計上の効果を考慮に入れることが望ましい。

8.6.7.2

動画像から音声及び写実音響及び/又は非写実音響への連結  音声及び音響の韻律(音声)及び

高さ(音響)又は大きさを変えて強調しながら,動画像(動的図表及び漫画)中の対象を強調表示する。

例  硫黄を加熱すると茶色に変色する動画を流す。音声では,

“動画で見るように化学反応の第一段階

では,硫黄は茶色に変わります”と提示する。

備考  同じように音と動的対象とを連結させてもよい。

8.6.7.3

動画像から静止画像及び文章への連結  動画像(動的図表及び漫画)中の対象を,文章及び画像

中の対応部分を強調しながら強調表示する,又は一時停止する。

例  ダンスの映画を流し,一時停止する。踊るときの手足の位置を詳しく説明する説明文を付けた,

踊り手の画像を表示する。

備考  動画像,表示画像中の両方で,対象を強調表示させることも考えられるが,ユーザーの注意は,

動画の方に強く引かれて,並行して表示した情報はうまく理解しにくい。


20

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

附属書 A(参考)型を分類するための決定ツリー

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1.

情報部品とメディア資源の分類  この規格の本体の 3.(定義)では,アプリケーションのための様式

(モード)に依存しない要求を定義する情報の型,及びコンテンツが取ることができる表現形態を記述す

るためのメディアの型を分類している。コンテンツを様式(モード)に依存しない情報型に分類する理由

は,メディアを選択する前に明確に提示しておく必要がある情報の型について記述するためである。情報

の型は,アプリケーションコンテンツの部品に適用される。情報の部品をどの程度まで細分化するかは,

仕事と伝達(コミュニケーション)目標に依存する。詳細な指示のためには小さな部品が必要であり,概

要の紹介には大きな部品がより適しているであろう。情報の型とは,その型の情報によって伝えられる論

理的な内容であり,言語学の機能性理論と知識工学の存在論とに基づいている。ここでは,この規格のね

らいに応じて,情報の型を単純化して扱う。情報の構成要素を,どの情報の型に分類するかの決定は,情

報の型の定義と,次の切分けとを念頭に置きながら,決定ツリーをたど(辿)っていくことで行う(

附属

書 図 参照)。

−  部品に含まれている情報は物理的か又は概念的か。

−  情報は静的か又は動的か。すなわち,提示している間に変化するか否か。

−  情報部品はツリーの末端の枝のどの型に属するか。

最初の二つの質問項目は,情報の種類を細分化するもので,3 番目の質問項目で具体的な情報の型と結

び付ける。一つの情報の部品が,複数の情報の型に分類される場合がある,ということを念頭に置くこと

は重要である,例えば,駅への行き方の案内は,手続情報(左に曲がり,真っすぐ進み,

)を含むとも,

また,空間情報又は記述情報(駅は広場の角にあり,青く塗られていて,

)を含むとも見なせる。情報

の型は,思考のための道具であり,伝えるべき情報の内容を分類して詳細指定するのにも,またどんな内

容の情報が必要かを考えるのにも利用できる。このことを,駅への道筋を教えるという作業を例にとって

説明する。情報の内容が,最低限,

“駅への行き方”を指定すればよいとすると,この場合,情報の型を考

えることで “仕事の目標を果たす上で,どのような情報をユーザーは必要としているか”が,明確になる。

その一方で,伝えるべき情報内容が,目的地への行き方の筋書き,目的地への道しるべ,目的地の記述と

して指定される場合もある。この場合,筋書きを情報の部品へと区分するのに,情報の型が利用できる。

伝えようとする内容が含む情報の各部品は,通常は,幾つかの情報の型に属する。構成要素へと分解する

部品の細かさは,設計する人の選択事項であり,アプリケーションで求められる詳しさにも,また関係す

る。情報の型を決める手順を,次に例示する。

a)

コミュニケーション目標:組立用部品から書棚を組み立てる方法を説明する。

b)

情報部品 1

−  書棚の部品,側板,背板,棚,接続用ねじ。

−  情報の型の割付け。

−  物理的−静的−記述型,書棚の部品は実体としてあるもので,変化しないで,説明を必要とする。

−  物理的−静的−空間型,部品の寸法,部品の構成。

−  物理的−静的−関係型,どの部品とどの部品が組み合わさるか。

c)

情報部品 2


21

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

−  部品の組立方の指示。

−  情報の型の割付け。

−  物理的−動的−離散的動作型。

−  物理的−動的−手続型。

−  物理的−静的−状態型,書棚の完成型。

情報の型によって,メディアの型の割付けが容易にできるようになる。

附属書   1  情報の型を分類するための決定ツリー

2

. メディアの分類  メディアを分類して,そのメディアが知覚に及ぼす性質を抽象的に記述し,情報の

型に適したメディアは何かを考えやすいようにする。具体的なメディアは,メディアの定義を組み合わせ

た形で記述できる。例えば,音声は,聴覚型と言語型のメディアであり,漫画映画は,非写実の,及び動

画像型メディアである。メディアの定義は,

附属書 図 に図示する二つの軸,一つは,メディアを作る

上での設計の関与する度合い:写実−非写実,二つ目は,変化の速さ:静的−動的でとらえる。メディア

の定義の第三の側面は,モダリティであり,視覚型及び聴覚型に大別され,それぞれまた言語型と非言語

型に細分される。写実−非写実,静−動,及びかかわるモダリティというとらえ方は,厳密に直交した分

類基準ではなく,ファセット型分類体系となっている。したがって,すべてのメディアを,<実在性,変

化の速さ,感覚様態>の三つ組みで記述する。


22

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

附属書 図 2  メディア資源分類の次元

メディア分類の進め方は,分類のもつ性質を反映した次の観点から,決定ツリー(

附属書 図 3)をた

どっていく。

−  メディアは写実的であると知覚されるか否か。例えば,風景の写真,鳥の鳴き声の録音のように,現

実世界から直接獲得したメディア資源は,通常は写実的である。しかし,写実的な風景画は,このメ

ディア分類の軸に関しては,いずれに分類するかの判断が必要である。

−  メディアは,時間の経過とともに変化するか,定常か?

この場合,変化の速さが,アニメーションの場合に特に,この分類での判断境界となる。人によっては,

毎秒 10 フレームの速さでは,動画像と感じ,毎分 5 枚のスライドショーは,一連の静止画像と感じる。

−  メディアは,どのモダリティにかかわるか?

この場合,視覚−聴覚の分類は,直交しているが,映画が視覚と聴覚の両方にかかわるように,あるメ

ディアが,複数の感覚に提示される場合がある。

メディアの種類分けには,別の観点からの用途もある,例えば,教師が図の解説をしている映画は,非

写実の静止画像メディアについての,写実動画像メディアとして分類もできる。この規格は,メディアに

含まれるメディアは扱わないから,この例の場合,動画像だけが考慮の対象である。メディアの分類を行

うと,情報の型とメディアとを対応させるのが容易となるが,選択の過程で,適切なメディアを新たに入

手又は作成する必要が生じることがある。メディアを選ぶ過程で,設計者が使える範囲外のメディアが必

要になった場合,この規格を利用すると,どんなメディアを新たに入手・作成する必要があるかがはっき

りする。この際には,当然費用についての折り合いを考慮する。最後に,メディアの分類は,メディアラ

イブラリの索引を作る上で役立つ働きをもっている。

附属書 図 の例に従って情報の型をメディアの型に割り付けると次のようになる。

a)

情報部品 1

−  書棚の部品,側板,背板,棚,接続用ねじ,

−  情報の型に応じたメディアの型への割付け,


23

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

−  物理的−静的−記述型…..→写実−画像−静止画像型,

−  物理的−静的−空間型…..→写実−画像−静止画像型,

−  概念的−静的−関係型…..→説明文,図。

b)

情報部品 2

−  部品の組立方の指示,

−  情報の型に応じたメディアの型への割付け,

−  物理的−動的−離散的動作型…..→写実−画像−静止画像型(それぞれの動作のためのスナップ写真

の連続)

−  物理的−動的−手続型…..→文章,音声付静止画像,一連の静止画像を統合したアニメーション,要

約文,

−  物理的−静的−状態型…..→静止画像,説明文。

附属書 図 3  メディアの型を分類するための決定ツリー


24

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

附属書 B(参考)メディアの組合せのための指針

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1

. 一般  メディアの具体的な組合せに対して,その組合せを使うのに適した条件,及び適さない条件に

ついての手引を与える。具体的な作業・アプリケーションの状況に照らして,これらの手引の意味するとこ

ろをく(汲)み,手引の内容が,もし具体的状況と両立しないなら,無視してもよい。

なお,

附属書 表 は,メディアの組合せ例を示す。

2

. 写実音響及び写実音響

効果:この組合せは,一般には美的見地から,又は説明効果を求めて採用される。注意を引くために,又

は直接的に参照するために,一方の音を際立たせるステレオとして利用する場合もある(それぞれを片耳

ずつ聞かせる。

周波数域の違う音同士の方が,

類似した周波数域の音同士よりも効果的な組合せとなる。

それぞれの音は,

同程度の大きさにして,

一方の音だけが聞きにくくならないようにすることが望ましい。

例  鳥の鳴き声と飛行機の音との組合せ。

一般的に適切:音を聞き損っても仕事の成績の低下につながらないような場合。美的な目的。娯楽。情景

設定。

不適切:詳細な情報を表現する。後になって正確に思い出す必要のある情報を伝える。

3

. 写実音響及び非写実音響

効果:この組合せは,自然音のある箇所に,非写実音響を重ねる形で実現する。一般的に,写実音響は絶

えず聞こえているが,非写実音響は,ところどころで聞こえる。この組合せを使う場合,非写実音響は,

写実音響と聞き分けられるように,内容的に似たものにしないこと,及び音源の区別を,提示に先立って

明示することが望ましい。

例  鳥の鳴き声の録音に,信号音を重ねて,別の種の鳥が鳴き始めたことを示す。

一般的に適切:写実音響のある側面に対して,言語的手段によらず注意を引こうとする場合。状態の変化

についての警告を,言語的手段によらず与えようとする場合,例えばカセットレコーダで,

“電池切れ間近”

を示すビーッという音。

不適切:後になって正確に思い出す必要のある情報を伝えようとする場合。写実音響が冗長である場合。

4

. 写実音響及び音声

効果:この組合せは,背景音に音声を重ねる形で利用する。音声に含まれる情報は,背景音と調和してい

るのがよい。

例  語り,注釈音声。

一般的に適切:写実音響のある側面を説明したり,それに注意を向けようとする場合。状態が変化したこ

とを明示しようとする場合。写実音響の始まりと終わりを示そうとする場合。

不適切:写実音響が冗長である場合。音声を後になって,写実音響なしで正確に思い出す必要がある場合。

5

. 写実音響及び写実静止画像


25

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

効果:写真を説明し,情報を更に与えるのに,自然音を用いる。

例  鯨の写真及び鯨の鳴き声

一般的に適切:写真に更に情報を付加する。画像中の対象又は主体が発する音の場合,特に有効である。

不適切:音と画像内容とがふさわしくない場合。音が画像への気持ちの集中を乱す場合。

6

. 写実音響及び非写実静止画像

効果:音楽を用いて,画像中の要素を説明しようとする場合,又は画像とのやり取りで意味を伝える場合。

例  “肝臓はどこか?”の問いに応じて,学生が解剖図のある箇所を指したときに,正答・誤答を示

すのに楽音を用いる。

一般的に適切:図中の要素を説明する音響を追加しようとする場合。

不適切:写実音響が,うるさい環境では聞きにくい場合,又は実在型音が何ら有効な付加情報をもたらさ

ない場合。

7.

写実音響及び文章

効果:自然音を用いると,文章に対して関心を引きやすくなる。文章中で参照している対象・主体が発す

る音を使って,それらを説明する。同時並行に提示すると,文章と音響との相互参照が困難になる。した

がって,まず,読んでいる文章からユーザーの注意をそらさせてから音を鳴らすのがよい。

例  動物の声についての解説する文章,及び録音した音を聞くようにという指示を含んだ文章。

一般的に適切:画像メディアの画質が悪いとき・低下したとき,音を出している対象又は主体が,文章で説

明するのに適している場合。例えば,抽象的なものを自然音で類比させて説明する場合。

8.

写実音響及び写実動画像

効果:この組合せは,動画と音響とを統合しようとする,又は映像に音響を重ねる場合に用いる。記録時

に音響を一緒に録音する動画もある。

例  自然音を添えた映画。動物の鳴き声の入った自然観察の映画。

一般的に適切:実世界・自然界の事象を提示する場合。動的な情報を提示する場合。伝える情報が聴覚的

と視覚的要素の両方を含んでいる場合。内容から見て,情報の提示を,人を引き付けるものに,又は娯楽

的なものにする必要がある場合。

不適切:情報が本来静的である場合。ユーザーが絶えずすべての情報を扱う必要がある場合。音響が使え

ない環境の場合。

備考  提示を設計するときに,又はメディアを提示するときに,いずれかのメディアの提示の質を落

とす必要が生じた場合,音響の質よりも,動画の質を落とす(例えば,音響の何箇所かを削る

よりも,動画のフレームレートを下げる。

)方が通常は適切である。

9.

写実音響及び非写実動画

効果:音が漫画映画や動く図表の質を高める。

例  漫画の犬を映している映画に犬のほえる声を付ける,整備不良の車の図にエンジン音やバックフ

ァイヤーの音を付ける,心臓の鼓動の仕組みの説明図に録音した鼓動音を付けるなど。

一般的に適切:アニメーションや図解の説明に自然音を使う。音と画像に含まれている対象物・エージェ

ントとがうまく協調しているときに有用である。


26

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

不適切:

音と描かれている対象物・エージェントとの結び付きが乏しい。

10.

非写実音響及び非写実音響

効果:一方の音で他方の音を参照する,又は他方の音を補足説明する。

例  向きを知らせるために,複数の音をステレオで聞かせる。視覚障害者向けの天びん(秤)で,い

ずれがどれだけ傾いているかを音の高さを変えて通知する。

一般的に適切:二つの音響が互いに邪魔し合わず,相補的である場合。一方の音響が短くて,他方の音響

の一部に重ねることができる場合。連続した音響系列中の一点又は一事象を知らせる場合。

不適切:二つの音響が干渉し合う場合,又は同時に提示するのに支障がある場合。

11.

非音響及び音声

効果:情報が両方のメディアによって提示される。

例  音声メッセージ間の区切り音。

一般的に適切:言語的音響の説明をしたり,それに注意を向けさせる。状態の変化をはっきりと知らせる。

言語を用いた提示の始まりか終わりかを知らせる。

不適切:聴覚メディアが干渉し合う場合。ある音響チャンネルが他をさえぎってしまう場合(例えば,音

が大きすぎて他と共存しない。

備考  非写実音響による割込みがユーザーの音声を理解しようとすることを邪魔するので,この組合

せが実行されるのは通常短時間かつ必要なときだけである。

12.

非写実音響及び写実静止画像

効果:画像の芸術的印象を高めるために音楽を使う。画像又はそこにある構成要素をイヤコン(earcon)で参

照する。

例  原子力発電所の写真画像の危険地域が選択されると鳴る警告音。休日の海辺の写真の芸術的訴え

を高める音楽。

一般的に適切:音響が,ある画像の構成要素の記述の質を高めるか,その構成要素に注意を向けさせるこ

とができるとき。画像が指し示されるとイヤコンが音を出す。聴覚メディアが簡単に画像を理解させたり

結び付けたりするときに有用である。さらに,聴覚メディアが画像の芸術的価値を高めるとき。

不適切:音響の意味が容易に理解できない,又は画像と結び付きにくい。

備考  音楽が画像その他のメディアと一緒に映写されるとき,音楽は学習効果に有害であるか効果が

ないこともある。

13.

非写実音響及び非写実静止画像

効果:画像の芸術的印象を高めるために音楽を使う。画像又はそこにある構成要素と関連付けられる音(イ

ヤコン)

例  汚染地区の危険地域を指し示すと警告音が鳴る。音楽が新車のデザインスケッチのそれらしさを

奏でる。

一般的に適切:音響がある画像の構成要素の記述の質を高めるか,その構成要素に注意を向けさせること

ができるとき。画像が指し示されるとイヤコンが音を出す。聴覚メディアが簡単に画像を理解させたり結

び付けたりするときに有用である。さらに,聴覚メディアが画像の芸術的価値を高めるとき。


27

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

不適切:音響チャンネルの手法が画像を簡単に分からせない又は協調していないとき。

14.

非写実音響及び文章

効果:文章の芸術的印象を高めるために音楽を使う。文章又は文と関連のある音(イヤコン)。

例  単語,文,段落を対話的に選択するための音色。複数選択のクイズに答えるときにフィードバッ

クとして鳴らすイヤコン。

一般的に適切:一覧の文章の読上げを音響が邪魔しないとき,文章の意味が同じであることを表したり,

項目に印を付けたり,対話的に編集したりするために短い音響切り抜き又は低音域の音を使う。

不適切:音響が文章の読上げを邪魔するとき(音響がうるさかったり連続している。),又は音響が文章の

構成要素と容易に協調できないとき。

15.

非写実音響及び写実動画

効果:映画の芸術的印象を高めるために音楽を使う。イメージに関連した音又は構成要素の中に埋め込ま

れた音(イヤコン)

例  映画のサウンドトラックの音楽,教育映画での出来事又は場面の切替りを知らせる音(音階によ

る警報)

。映画での演技の動きを強調するため音階を変える,例えば鯨が深く潜っていくときに音

階をだんだん下げる。

一般的に適切:音が,動画の対象物又はエージェントの理解を高めたり,容易に協調することができる場

合。

不適切:音響が画像を理解することを邪魔するか不調和なとき。

16.

非写実音響及び非写実動画

効果:漫画映画や動く図表の芸術的印象を高めるために音楽を使う。注意を引くか補足するために,図表

の構成要素に関連するように作られた音(イヤコン)

例  一連の漫画のための音楽。出来事や場面の境界に付けられた音階又はイヤコン。図式的な物理実

験で電圧が上がったり抵抗が焼き切れるときの警告音。

一般的に適切:聴覚メディアがアニメーション全体の質を高めるとき。アニメーションのエージェン又は

対象物を理解しやすくなるように聴覚メディアが強調できるとき。

不適切:画像の理解を音響が邪魔する,又は画像と音響が不調和なとき。

17.

音声及び音声

効果:一つの音声系列と見なせる自然会話は別として,二つの音声を同時に聞くことは難しいため,この

組合せは避けた方がよい。

例  二つの政党が討論をしているとき。音声に対して背景となる会話。

一般的に適切:強調(同調)するため。(一連の)対話を表現するため。

不適切:指示情報を与えようとする場合,内容が一つに混同されやすい場合。

備考  人間は幾つかの音声を区別できるが,一時に一つの音声からしか情報を抽出できない(カクテ

ルパーティ効果)

18.

音声及び写実静止画像


28

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

効果:音声が画像にある情報を強調するか,そこにある構成要素に注意を向けさせる。

例  美術館での声による写真の説明。観光案内所内の都市の写真に付けた声による説明。

一般的に適切:写真の構成要素に説明が必要だったり構成要素を指摘する場合,又は画像全体の説明が必

要な場合。画像を見ることを邪魔する文章の代わりとして有用,追加情報をいつまでも付け加える必要が

ない場合,又は大量の補足説明が一つの画像に必要なときに対話的に利用するため。

不適切:ずっと補足情報が必要なとき,又はそれが重要なとき。

19.

音声及び非写実静止画像

効果:音声が図表の情報を強調する,又はそこにある構成要素に注意を向けさせる。

例  図表に付けた声による解説,ジェットエンジンの図表の音声による説明。

一般的に適切:画像の構成要素の説明が必要なとき,構成要素を指摘するとき,又は画像全体の説明が必

要なとき。文章が画像を見ることを邪魔するとき,ずっと追加情報が必要でないとき,又は大量の補足説

明が一つの画像に必要なときに対話的に利用するため。

不適切:ずっと補足情報が必要なとき,図表の説明が難しいとき。

20.

音声及び文章

効果:この組合せは,音声の要素を文章によって,又はその反対に,文章の要素を音声によって,強調す

る。提示の方法には,重複した情報を用いる場合と,相補的な情報を用いる場合とがある。

例  文章を表示し,それを朗読者が読み上げる。

一般的に適切:この組合せで情報量が増える。書かれた文章の発音や韻律を伝える。

不適切:この二つのメディアのコンテンツ同士が関連がないとき。この二つのメディアが同期できないと

き。

21.

音声及び写実動画

効果:音声は映画の中の情報を強調させる,及びそこにある構成要素に注意を向けさせる。

例  人が話している映画の切抜き

一般的に適切:教育動画。動画を説明する(ナレーション)。

不適切:話をしている人の動画と音声が同期できないとき。

22.

音声及び非写実動画

効果:音声は漫画映画の中の情報を強調させる,かつ,そこにある構成要素に注意を向けさせる。

例  漫画映画の音声。動く図表の音声による説明。

一般的に適切:動画の中のエージェント・対象物の理解を対話で補足する場合。一連の演技,動きなどに

ついて図表やアニメーションの中で説明が必要なとき。

不適切:情報が重要で,いつまでも続く必要がある場合,演技又は動きを音声で説明することが難しいと

き。

23.

写実静止画像及び写実静止画像

効果:二つの画像を比較するため。幾つかの画像で一連の流れや現時点の順番を表現するため。異なる大

きさは相対的な重要性を表すこともある。異なる画像を組み合わせるため,提示の配置又は一連の流れは


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:2007 (ISO 14915-3:2002)

重要な意味をもつ。

例  一つの例から得られた二つの場面を比較する。事故前後の写真を比較する。

一般的に適切:動画の一連の流れを代表的な静止画像で見せる。画像を比較するため。

不適切:仕事が画像の一つのある特定の属性を思い出させてしまうところ。

24.

写実静止画像及び非写実静止画像

効果:現実の画像の特色を非現実的静止画像が説明する,又は現実の画像から抽象的な情報へと注意を向

かせる。

例  エンジンの図表とエンジンの写真とを一緒に見せる。

一般的に適切:言語に頼らない方法で,現実の画像の特定の属性に注意を向ける。現実の画像を補足する

ための言語に頼らない情報を用意する。現実の画像と関連のある具体的な概念を説明する。

不適切:画像に関連性がないところ。

25.

写実静止画像及び文章

効果:文章で画像を説明する,又は画像中の情報を文章で補足する。

例  場面の解説を写真とともに文章で行う。風景写真で,景色に紛れて見えにくい鳥を説明文で指摘

する。

一般的に適切:現実の画像の特定の属性に注意を向ける。現実の画像を補足する情報を用意する。画像と

関連する抽象的な概念を説明する。

不適切:画像と文章に関連性がないところ。

26.

写実静止画像及び写実動画

効果:映画の中で情報を強調して,映画の中のエージェント及び/又は対象物に関連付ける。

例  映画又は動画内に小さなウインドウとして挿入される写真。映画の中の原作者・監督の写真,映

画のキャラクターの写真,どこから撮影されたかを説明する画像。

一般的に適切:演技,動き又は場面を完全に補足するために付加的な静止情報を用意する。映画に(画像

及び音声の)解説を用意する。拡大された静止画像によってエージェント又は対象物を更に詳しくする。

不適切:写真の主題が映画と合っていない。映画の画面の大部分が静止画像でふさがれてしまう場合。

27.

写実静止画像及び非写実動画

効果:漫画映画の中の情報を強調し,動く図表の構成要素及び/又は対象物を詳しく説明する。

例  アニメーションに合成された漫画映画の中のエージェント・対象物の写真。アニメーションの原

作者の写真。飛行動作の図表の付いた鳥の写真。

一般的に適切:付加情報又はアニメーション中に登場するエージェント・対象物の違う角度からの見え方

を用意する。映画の細部について確認するためにスクリーン又は対象物を拡大する。

不適切:写真の主観的な事柄がアニメーション・漫画映画のコンテンツに合わない。

28.

非写実静止画像及び非写実静止画像

効果:二つの漫画映画,又はアニメーションを比較できる。同じ動きの場面を違う角度から見せられる。

例  同じ対象物を二つの角度から専門家が描いた図面。


30

Z 8531-3

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一般的に適切:もっと複雑な画像から特徴を抽出して単純化する場合。同じ対象物の異なる角度からの見

え方を示す場合。

不適切:画像に関連性がなく複雑な場合。

29.

非写実静止画像及び文章

効果:文章による記述を図表で説明できる。一般的に,あるメディアが他を説明するために使われるので,

一つのメディアによって提示される情報は他のメディアよりもっとシンプルになる。

例  ポンプの部品を説明文で説明しつつ,ポンプ操作の説明文によってポンプの図表を解説する。

一般的に適切:単純な概念を図で説明する場合。非現実的画像を補足するために説明的な情報を用意する。

概念を強調する。

不適切:各メディアで提示する情報に,異なる複雑な概念が含まれており,画像と文章に関連性がない。

30.

非写実静止画像及び写実動画

効果:映画の中の,又は映画そのものに関する抽象的な情報を,図表で説明若しくは要約できる。ある場

面のエージェント及び対象物の関係を示す図表。

例  サッカーの試合の映画でオフサイド領域と選手の動きを示すのと同じような,一連の動きを説明

する図表。

一般的に適切:映画の構成又はそこにいるエージェント・対象物に関連する付加的な,抽象的な,静止し

ている情報を用意する。映画でのエージェント・対象物の関係を説明する。

不適切:動きが不明りょうなら,図表をかぶせるべきではない。例えば,動きによって図表の構成要素と

動画の構成要素との対応関係が理解しにくい場合には,分離した図表は使わないことが望ましい。

31.

非写実静止画像及び非写実動画

効果:アニメーション内の対象物,又はアニメーション全体を図表で説明するか概説する。

例  漫画映画のある場面構成を説明する図表。太陽系にある惑星の特徴を惑星の動きのアニメーショ

ンとともに示す図表。

一般的に適切:アニメーションの構成又はそこにいるエージェント・対象物に関連する,付加的な,抽象

的な,静止している情報を用意する。アニメーションでのエージェント・対象物の関係を説明する。演技

及び動きを違った角度から見せる。

不適切:図表をかぶせると動きが不明りょうになる。動きによって図表の構成要素と動画の構成要素との

対応関係が理解しにくい場合。

32.

文章及び文章

効果:二つの文章を比較できる,又は一方の文章が他の文章の情報を補足する。

例  例えば原語と翻訳又は同じ文章を二つの異なるフォントで比較するように,二つの文章を並列に

並べて比較する。例えば古い写本に加えられた注釈のように,説明文,脚注,ハイパーテキスト

の拡張ボックスを写本の本文の背景に重ねて説明する。

一般的に適切:二つの文章の属性を比較する。主体となる文章に補足情報を用意する。

不適切:比較する目的が不鮮明。文章の説明文が主体となる文章の重要な構成要素を覆い隠す場合。


31

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

33.

文章及び写実動画

効果:文章が映画の情報を要約する,記述する又は補足する。

例  映画の字幕。映画に合成された音声吹出しの文章。映画の中のエージェント,対象物又は場面に

結び付けられた説明文。

一般的に適切:音声が利用できない場合。周りの雑音で音声を聞き取りにくいとき,映画の構成又はそこ

にあるエージェント及び対象物の補足的情報を維持し続ける場合。

不適切:文章内の情報と映画とを関連付けることが難しいとき。文章を読むことと映画の演技を見ること

との両立が破たんする場合。

34.

文章及び非写実動画

効果:文章が漫画映画の情報を要約するか,記述するか,又は補足する。

例  字幕。アニメーションに合成された吹出しの文章。漫画映画の中のエージェント,対象物又は場

面と結び付けられた説明文,例えば太陽系の図表の惑星を説明する説明文がユーザーの求めに応

じて表示される。

一般的に適切:音声が使えない場合。周りの雑音で音声が聞き取りにくいとき,アニメーションの構成又

はそこにあるエージェント及び対象物の補足的情報をずっと維持する。

不適切:文章内の情報及び映画を関連付けることが難しいとき。アニメーション内の文章を読むことと演

技を見ることとの両立が破たんする場合。

35.

写実動画及び写実動画

効果:二つの映画を比較する,又は芸術的な魅力を高め合う。

例  同じ場面を違う角度から見せるために別ウインドウに分けて二つの映画を映す。例えば,二つの

映画が映され,一つは全体の映像が見えるように,もう一つは近づいた詳細な映像を見せる。サ

ッカーの試合で全体を映し,もう一つは 2 人の選手に近づいてファールのプレイを映す。

一般的に適切:同じ情報を異なる視点から見えるようにする。芸術的な目的から,演技,エージェント又

は対象物の全体の前後関係と詳細部分とを見せる。

不適切:二つの視点がお互いに補完しない場合。ユーザーが役立つ情報を得るため同時に両方の画像に注

意しなければならないとき。

36.

写実動画及び非写実動画

効果:映画と漫画とを比較できる,又はアニメーションが映画の情報を抽象的に見せることができる。

例  動作,運動又は映画の中の対象若しくはエージェント間の関係を図で説明する。馬の映画と早足

で歩く馬の骨格図とを並べて表示する。サッカーの試合の映画にアニメーションを合成して選手

の戦術を説明する。

一般的に適切:映画又はエージェントの構造に関する抽象的,動的情報及びそこにある関係を分かるよう

にする。自然界の例を使って,演技及び動きの抽象的説明を図表で行う。

不適切:二つの視点がお互いに補完し合わない場合。ユーザーが役立つ情報を得るため同時に両方の画像

に注意しなければならないとき。

37.

非写実動画及び非写実動画


32

Z 8531-3

:2007 (ISO 14915-3:2002)

効果:異なる視点から見せることによって二つのアニメーションを比較し,又は互いに質を高め合うこと

ができる。

例  例えば,ジェットエンジン内の気流の速度と温度のように,二つのアニメーションが補完的な見

え方を示す。

一般的に適切:エージェント又は対象物の演技,動き又は状態の変化について二つの視点が要求される場

合。抽象的情報について二つの視点を比べる必要があるとき。二つの画像の変化の具合を,ユーザーが容

易に関連付け理解できる場合。

不適切:二つの視点がお互いに補完し合わない場合。ユーザーが役立つ情報を得るため同時に両方の画像

に注意しなければならないとき。

附属書 1  メディアの組合せ例の概要

主体となるメディア

サブとなるメディア

メディアの組合せ例

写実音響

写実音響 
非写実音響

音声 
写実静止画像 
非写実静止画像

文章 
写実動画像 
非写実動画像

飛行機の音と鳥の鳴き声とを組み合わせる 
音楽と自然環境の音

ボイスメッセージの音色 
鳥の写真と鳥の鳴き声 
図表の部分を説明する音楽

自然についての研究を説明する環境音 
サウンドトラック付き映画 
漫画映画のサウンドトラックと環境音

非写実音響

非写実音響 
音声 
写実静止画像

非写実静止画像 
文章 
写実動画像

非写実動画像

眼の見えない人のための重み付けされた二つの音色 
強調のための音声付き信号音 
写真を説明する音楽

音楽の音階の図表を説明する音色 
文章によって説明される図表 
音楽のサウンドトラック付きの映画

漫画映画の音楽と効果音

音声

音声

写実静止画像 
非写実静止画像 
文章

写実動画 
非写実動画像

背景に会話を伴う音声

写真を解説する声 
回路図を説明する音声 
俳優によって読まれ,暗唱される文章

俳優の音声付きの映画のサウンドトラック 
キャラクタの音声付きの漫画映画のサウンドトラック

写実静止画像

写実静止画像 
非写実静止画像 
文章

写実動画像 
非写実動画像

二つの場面の比較:夏と冬の写真 
エンジンの図表と一緒の写真 
場面説明の文章,写真と一緒

俳優が演じている映画と俳優の写真 
アニメーションマンガとキャラクタを演じている人の写真

非写実静止画像

非写実静止画像 
文章 
写実動画

非写実動画像

同じものを違う角度から描いた専門家の絵 
文章で説明された図表 
各段階的に動画映像による説明が付いた流れ図

一連のアニメーションと絵コンテの図表

文章

文章 
写実動画像

非写実動画像

二つの文章の比較:ギリシャ語とラテン語 
無声映画の字幕

動く流れ図にある文章の説明文

写実動画

写実動画

非写実動画像

同一テーマに関連した二つの映画:忠臣蔵

動く解剖図を添えた走る人の映画

非写実動画

非写実動画像

テーマに関連する二つの漫画映画:二つのアニメーション様式を比

較する


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附属書 C(参考)メディアの組合せ類型の例

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1.

一般  この附属書は,よく用いられるメディアの組合せを,その組合せにおいて生じる設計上の問題

についての手引とともに,解説している。メディアは,伝えようとする目標を達成するために,同時又は

順次に動作するように組み合わされる。

2.

動画像,音及び音声  音声と音とを伴う動画像は,映画で馴染みのある組合せである。この組合せは,

画像に関する追加情報を音で与えながら,視覚情報を音声で説明するのに効果的である。

例  音声による指示と迫真さを与える火災発生演出音とを添えた火災非難手順の動画。

3.

静止画像,音声及び文章  写真又は図表は,解説又は説明文を別に添えることで表現力が向上する。

音声は画像の特別な部分に注意を引いたり,文章の重要な部分へ注意を向けるのに利用される。

この組合せでは,重要情報は文章で伝達され,音声は補助的な説明として利用される。

例  旅行者案内所では,風景写真を音声で説明し,その中の興味深い重要地点を文書で指摘する。

4.

静止画像,音声及び音  この組合せでは聴覚器官の衝突が発生する可能性があり,音声と音が適切に

統合されるように注意することが望ましい。音声解説を加えながら,画像に関する情報を音によって伝え

てもよい。

例  鳥の写真に,鳥の鳴き声及び鳥の種類を説明する音声を添える。

5.

複数の静止画像,音声及び文章  画像にユーザーの注意を重要情報に引き付けるような文章及び音声

を付け,複数の画像を比較したり順序立てて見せる。

例  二つの似通った花が示されており,ユーザーの注意は文章及び音声解説によって両者の違いに向

けられる。

6.

複数の文章及び音声  音声を用いてユーザーの注意を重要な単語又は文節に引き付け,異なる文章を

比較したり関連付けたりする。この組合せは,一つの単語又は文節を探さなければならないときに利用す

ることができる。しかし,一度に一つしか文章を読めないので,文章全体を理解しなければならないよう

な場合には,この組合せは使わない方がよい。

例  現代ギリシャ語の文章は全く同じ主題の古代ギリシャ語の文章と一緒に表示できるので,記述さ

れた言語の違いが分かるように音声で指摘することができる。


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附属書 D(参考)設計上の問題及び認知的背景

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1.

一般  この附属書の目的は,認知心理学の簡潔な概略とマルチメディア設計におけるその影響を読者

に示し,指針の解釈を助けることである。

2.

知覚と理解  私たちの目は,特定の領域に目を止まらせる注視を織り込みながら,サッケード(saccades)

と呼ばれる一連の速い跳躍運動で画像を走査している。注視することによって画像の細部を調べているの

で,画像をどのように詳細点検していたかが,視線追跡によって分かる。

一般に我々の目は動くものに引き付けられ,次に,複雑なもの,変わったもの,色鮮やかな対象に引き

付けられる。

見たものをどう理解するかは,

“あなたが見たものをどう理解するかは,

目に入ってきたもの,

それに関する知識で決まる”というようにまとめることができる。マルチメディア設計者は,動き,強調

表示及び目立つアイコンを使うというような技術によって,ユーザーの注意を制御することで,何をユー

ザーが見るかに影響を与えることができる。しかし,設計者は,人々が画像から何を理解するかは,何を

見付けたいか,その領域をどの程度良く知っているかに依存するということを知っていなければならない

(Treisman

,1988)。

熱帯雨林で,専門植物学者であれば気が付く植物の奇種に,初心者は気が付かないこともある。したが

って,見せる内容の選択では,ユーザーの知識と仕事とを考慮しなければならない。

さらに,視覚には絶えず情報が流れ込んでくるので,作業記憶の書換えが生じる (Baddeley,1986)。

これは,ユーザーが画像を見て理解する時間が与えられない限り,視覚に伝えられる情報の記憶は必ず

しも有効とは限らないことを意味する。さらに,ユーザーは,動画像から非常に高水準の,すなわち主旨

的な情報だけを抽出する。

視覚情報を理解するには,記憶の働きが必要である。写実画像においてはこの処理過程は自動的に行わ

れるが,しかし,例えば図表のような非写実画像では意味については注意深く考えることが必要となる。

画像からの情報の抽出は迅速であるが,画像の複雑さとその領域に関してどの程度知っているかによって

抽出される情報は違ってくる。

音声は時間とともに消えるメディアである。そのため,手早く処理しない限り伝えるべきことは失われ

てしまう。人々は話された言語を驚くほどうまく理解し,話以外の音響も素早く解釈できるのだが,話以

外の音響が主要な伝達内容と競争しやすいことから,聴覚メディアは干渉しやすい。音が時間とともに消

えることから,話に含まれる情報は,詳細には取り入れられず,その主旨だけが記憶される (Gardiner と

Christie

,1987)。

3.

選択的注意  我々は一度には限られた数の入力にしか注意を向けられない。人々は異なる感覚(例え

ば,映画を見ながら音声を聴く。

)から受け取る情報を統合することに特に優れているが,情報処理過程の

心理学によって説明される限界がある(Wickens ほか,1983)

我々の注意は選択的であり知覚と密接に関連している。例えば,パーティで多くの人の会話から,特定

の人の会話を聞き分けることができる(カクテルパーティ効果)

。さらに,選択的注意は個人個人によって

異なり学習因子によって強化することができる。例えば,指揮者ならオーケストラの各楽器を聞き分けら


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れるが,大抵の聴衆には無理である。

しかしながら,人間の認知資源に限界があり,別々の感覚で受け取った情報(例えば,映像と音)でも,

その資源を奪い合うことになる。例えば,音声と印刷文書は共に言語理解資源を必要とする。一方,動画

と静止画像とは画像解釈資源を使う。情報処理アーキテクチャーの認知モデル(例えば,相互作用する認

知サブシステム:Barnard,1985)によれば,あるメディアの組合せとメディア設計は,同一認知資源に対

して競合して,処理のボトルネックを作ってしまうから,効果的理解に結び付かないことを示すことがで

きる。

我々は情報を受け取るための二つの主要知覚経路,すなわち,視覚及び聴覚をもっている。これらの経

路を通ってきた情報は,理解した後,利用できるようになる。音声又は文書のいずれかの言語形式で受け

取られる情報がある。手書きの情報は画像で見ることもできるし映画で見ることもできる。それらの入力

すべてが言語理解資源を競合するので,音声及び文書読取りを同時に行うことは難しい(Barnard,1985)

附属書 図 は情報処理の認知アーキテクチャー及びマルチメディアの使いやすさの要因となる資源の

限界を示す。

これは Model Human Processor(Card ほか,1983)に基づく。

附属書 1  人間をコンピュータシステムに例えた人間情報処理過程の近似モデル

容量飽和(

附属書 図 1)は,短時間に多すぎる情報が発生した場合,情報を理解し,まとまりを作り,

それを記憶したり,又は,利用したりするユーザーの限られた作業記憶と認知処理能力を忙殺したときに

生じるであろう。要は情報を受け取る歩調をユーザーに制御させることが対策となる。

統合問題(2)は二つのメディア上の伝達内容が異なり,作業記憶での両者の統合を難しくする場合に発生

する。このことから,主題の一致原則が導かれる。競合問題(3)は,動的メディアの衝突によって発生する。

すなわち,同じ認知資源に対して競合する入力,例えば,音声と文書が言語理解を要求したときに発生す

る。理解力(4)は主題の一致に関係している。我々は,獲得済みの長期間記憶を使ってその意味をく(汲)

み取る世界を理解できる。結果としてマルチメディア資料に馴染みがなければ,それらの意味をく(汲)

み取ることができない。最後に,多重課題(5)は認知過程に対して更なる要求を課すので,出力作業を一方

で実施しながらマルチメディア入力に気を配ることの難しさを感じることになる。

マルチメディア提示において主題を明確にするには,異なるメディア領域にまたがるユーザーの読解及

び視認の順序を誘導する必要がある。

ユーザーがどのように読み・眺めていくかの順序を予測することは困


36

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難である。文章及び音声は大抵順次に処理される。しかし,画像メディアの眺め方は,ユーザーの仕事と

意欲と同様に,画像の大きさ及び複雑さ,内容に関するユーザーの知識に依存する(Norman と Shallice,

1986

文書は,言語の構文習慣によって読む順序がある程度決まる。しかし,静止画像でユーザーがどこを見

るかは予測しにくい。結局,静止画像中の対象を見る順序は,ユーザーの仕事,意欲,領域に関する知識,

目立たせ方の設計に依存する。

注意を引き付ける設計効果は,部分に気付いたり理解されたりする保障は与えられないものの,ユーザ

ーが画像の部分に注意を向ける可能性を高める。相互参照は二つのメディアの接続点を確立する。そのよ

うな接続点をどのように設計するかは,連携元のメディア及び連携先のメディアに依存する。一般に,言

語を基にしたメディアでは,言語が直接的なコマンドを与えることから,注意の制御が容易である。

4.

学習及び記憶  学習は,個別指導マルチメディアの分野において最優先の対象である。学習には,技

能訓練と概念学習との 2 種がある。技能訓練は,操作課題を効果的に,失敗なしに遂行することを目的と

する。概念学習は,知識のより深い理解が目標である。

両方の場合において,

主要目標は,将来容易に取り出せる豊富な記憶の枠組みを作り上げることである。

能動的な問題解決,又は実地学習によって効果的に学習することができる。この進め方は,構成主義学習

理論(Papert,1980)の中核であり,個別指導型マルチメディアアプリケーションへと応用できる。ユーザー

がシミュレーションと対話することによって学習する,又はシミュレーションを構築及び検討する形で学

習できる相互作用型の小世界は,よりよい記憶を形成する更なる経験を与える(Rogers ほか,1998)

多様な観点からの提示は,同一の問題の様々なとらえ方を提示するので,部分から統合して全体概念を

作り上げられる,豊富な記憶の枠組みを作り上げる。エンジンの構造を説明する例では,続いて,どのよ

うに操作するか説明し,なぜ動作するかの因果関係モデルを最終的に説明する。枠組みの統合の結果,個

別だった観点が一つにまとまる。

5.

ユーザーの仕事  メディアの選択,及びユーザーの注意の誘導に関する推奨事項は,ユーザーの仕事

と設計目標に従って解釈されなければならない。例えば,旅行者案内所情報システムのように情報提供が

主要設計目標ならば,情報の持続性,及び特定の項目に注意を向けることは個別指導アプリケーションほ

ど重要である必要はない。我々は,表示されているものの主旨,又は概要を覚えているだけであり,動的

メディアは詳細情報を伝えるには一般に効果的ではない (Dwyer,1967)。しかし,設計目標が単に概略的

な活動計画をユーザーに伝えるだけであれば,映画,音声でも足りる。


37

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参考文献

[1]  Alty

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