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Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本人間工学会  (JENC)  /財団法人日本規

格協会  (JSA)  から,日本工業規格を制定すべきとの申し出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,通

商産業大臣が制定した日本工業規格である。

JIS Z 8530

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  参考規格

附属書 B(参考)  ユーザビリティ評価に関するレポートの構成例

附属書 C(参考)  この規格への適合を示すための手順の例


日本工業規格

JIS

 Z

8530

: 2000

 (I

13407

: 1999

)

人間工学−

インタラクティブシステムの

人間中心設計プロセス

Human-centred design processes for interactive systems

序文  この規格は,1999 年に発行された IS0 13407,  Human-centred design processes for interactive systems

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

人間中心設計は,システムを使いやすくすることに特に主眼をおいたインタラクティブシステム開発の一

つのアプローチである。それは,ヒューマンファクタ及び人間工学の知識,更に技術を組み合わせた多様

な職種に基づいた活動である。ヒューマンファクタ及び人間工学をインタラクティブシステムの設計に適

用することによって,効果と効率を向上させ,人間の作業条件を改善し,更には人の健康,安全及び達成

度に与える使用上の悪い影響を緩和することができる。システムの設計に人間工学を適用することは,人

の能力,技能,限界及びニーズを考慮することも含んでいる。

人間中心のシステムは,ユーザーをサポートし,ユーザーに学習意欲をもたせる。その効用は,生産性の

向上,作業品質の向上,サポート及び訓練費用の削減,及びユーザーの満足度の改善に及ぶ。このような

設計プロセスがどのように組織化され効果的に活用されるかに関しては人間工学の知識の十分な蓄積が存

在するが,ほとんどの情報は,この分野での専門家だけに知られている。この規格は,ハードウェア及び

ソフトウェア設計プロセスの管理に責任をもつ人々に対して,人間中心設計活動を効果的,かつ,タイム

リーに見つけ,計画することを助ける目的をもっている。この規格は,既存の設計のアプローチ及び方法

を補うものである。

1.

適用範囲  この規格は,コンピュータを応用したインタラクティブシステムの製品ライフサイクル全

般に対する人間中心の設計活動の指針について規定する。設計プロセスの管理者を対象とし,人間中心の

アプローチに関連する情報源及び標準に基づく指針を規定する。

この規格は,インタラクティブシステムのハードウェア及びソフトウェア構成要素の双方について規定

する。

この規格は,人間中心設計における計画と管理について規定するもので,プロジェクト管理のすべての

側面について規定するものではない。

参考1.  コンピュータを応用したインタラクティブシステムの規模又は複雑さは様々である。例えば,

市販の(パッケージ)ソフトウェア製品及び業務用システム,工場監視システム,自動化さ

れたバンキングシステム及び消費者向け製品などがある。

この規格は,人間中心の設計活動の概要を提供するものである。人間中心設計に必要とな


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る方法及び技術(技法)の詳細を提供するものでも,健康及び安全性について詳細に言及す

るものでもない。

2.

この規格の主なユーザーは,プロジェクトマネージャーである。したがって,この規格では,

人間工学の技術的な項目に対して,管理者が,設計プロセス全体の中で,その関連性及び重

要性を理解するのに必要な程度までしか言及していない。こういった項目については,ISO 

9241

の中で,より包括的に取り扱われている。ISO 9241 は,この規格を補い,システムの開

発者,仕様決定者,及びシステムの購入担当者を対象としている。しかし,システムの実際

のユーザーを含む人間中心システム開発にかかわるすべての人たちは,この規格にある指針

が自分たちにも関係するものであることを理解すべきである。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)とする。

ISO 13407 : 1999

  Human-centred design processes for interactive systems (IDT)

2.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

2.1

インタラクティブシステム (interactive system)   ユーザーの仕事の達成をサポートするために,人

間のユーザーからの入力を受信し,出力を送信する,ハードウェアとソフトウェアの構成要素によって結

合されたもの。

備考  “インタラクティブシステム”よりも“システム”という用語をしばしば使用する場合がある。

2.2

プロトタイプ (prototype)   ある面で限定して作成されているが,評価に使用できる製品若しくは

システムの一部又は全体を表現しているもの。

2.3

ユーザビリティ (usability)   ある製品が,指定されたユーザーによって,指定された利用の状況下

で,指定された目標を達成するために用いられる際の,有効さ,効率及びユーザーの満足度の度合い。

ISO 9241-11 : 1998,定義 3.1

2.4

有効さ (effectiveness)   ユーザーが,指定された目標を達成する上での正確さと完全さ。

ISO 9241-11 : 1998,定義 3.2

2.5

効率 (efficiency)   ユーザーが,目標を達成する際に正確さと完全さに費やした資源。

ISO 9241-11 : 1998,定義 3.3

2.6

満足度 (satisfaction)   不快さのないこと,及び製品使用に対しての肯定的な態度。

ISO 9241-11 : 1998,定義 3.4

2.7

利用の状況 (context of use)   ユーザー,仕事,装置(ハードウェア,ソフトウェア及び資材),並

びに製品が使用される物理的及び社会的環境。

ISO 9241-11 : 1998  定義 3.5

2.8

ユーザー (user)   システムと対話する個人。

ISO 9241-10 : 1996,定義 2.2

3.

この規格の構成(参考)  4.では,人間中心の設計プロセスを採用すべき理由について概説する。こ

れらは,人間中心の方法を利用する根拠を提示するため,又はプロジェクトで資源配分する際の優先順位

を決定するために利用できる。

5.

では,人間中心設計の原則に関する指針を与える。6.では,人間中心の設計活動を計画する際に検討す

べき項目を掲げるとともに,これらをシステムの設計目標にどのように関連させるべきかを説明する。


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7.

が,この規格の中心内容である。そこでは,設計プロセスにおいて実施すべき人間中心設計活動に必

す(須)の四つの項目について説明する。8.では,人間中心活動を報告する際の詳細な指針を与える。

4.

人間中心設計プロセスを適用する根拠  すべての作業システムは ISO 6385 : 1981 で規定されている人

間工学の原則に準拠することが望ましい。

参考  インタラクティブシステムをより人間中心的にすることによって,多くの経済的,社会的利益

がもたらされる。ほとんどの国では,健康及び安全性に対するリスクからユーザーを保護する

ように経営者及びシステム提供者は法的義務を課されている。ユーザー及び組織のニーズに適

合させながら,システムのユーザビリティを向上させることは,これらの目標に寄与すること

を意味し,ユーザー及び組織のニーズにより合致する。このようなシステムは,

a)

理解及び使用を容易にし,訓練及びサポート費用を削減する。

b)

ユーザーの満足度を向上させ,不満及びストレスを緩和する。

c)

ユーザーの生産性及び組織の運用効率を改善する。

d)

製品の品質を改善し,ユーザーにアピールし,商品の競争力を有利にすることができる。

人間中心設計による完全な恩恵は,構想,設計,実現,サポート,使用及び保守を含む開発ライフサイ

クルの総費用を考慮することによって,決定することが望ましい。

5.

人間中心設計の原則

5.1

一般

参考  コンピュータを応用したインタラクティブシステムを設計するための工業規格又は独自標準に

よる方法は多く存在している。

この規格は,一つの標準的な設計プロセスを想定していないし,効果的なシステム設計を保証するため

に必要となるあらゆる活動を包含しているわけではない。この規格は,既存の設計方法を補うものとし,

特定の状況に対して,適切になるように様々な設計プロセスへの統合を可能にする人間中心の見通しを提

供する。7.で明確にされるすべての人間中心設計活動は,程度の差こそあれ,システム開発のどの段階に

おいても適用可能とする。

設計プロセス又は責任及び役割の分担がどのようなものであれ,人間中心のアプローチは(導入した場

合,それをとりこむことは)

,次の特徴を備えることとする。

a)

ユーザーの積極的な参加,及びユーザー並びに仕事の要求の明解な理解。

b)

ユーザーと技術に対する適切な機能配分。

c)

設計による解決の繰返し。

d)

多様な職種に基づいた設計。

5.2

ユーザーの積極的な参加,及びユーザー並びに仕事の要求の明解な理解(参考)  ユーザーの開発

プロセスへの参加によって,利用の状況及び仕事,そしてユーザーが製品及びシステムを使ってどのよう

に働くようになるかについての知識に関する価値ある情報源を得ることができる。ユーザー参加の有効さ

は,開発者とユーザーのインタラクションが増すにつれ大きくなる。ユーザー参加の度合いは,実施され

る設計活動の内容によって異なってくる。

特定の仕様の製品を開発している場合は,想定されたユーザーの実現すべき仕事を開発プロセスに直接

結びつけることができる。そのシステムを購入しようとしている組織は,設計を始めてから,直接影響を

与えることができ,実際にそのシステムで作業する予定の人々が設計結果を評価することもできる。この


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ようなユーザーの参加は,ユーザーの受容度及び責任の度合いを高めることにつながる。

一般的な製品又は市販品が開発される場合,ユーザー層は広い範囲にわたっており,容易にはユーザー

と接触できない。この場合にも提案された関係するユーザー及び仕事からの要求事項をシステムの仕様に

盛り込むために特定し,また,

提案された設計による解決案をテストを通じてフィードバックするために,

ユーザー及びその適切な代表者が開発に参加することは重要である。

5.3

ユーザーと技術に対する適切な機能配分(参考)  人間中心設計における重要な原則の一つは,機

能を適切に配分−ユーザーが分担する機能と,技術が受けもつ機能を特定−することである。設計に対す

るこうした決定によって,対象となる職務及び仕事,機能,又は責務のどこまでを,自動化するか又は人

間に割り当てるかを定めることができる。

この決定には,様々な要素に基づく検討が必要である。例えば,信頼性,速さ,正確さ,強度,反応の

柔軟性,経費,順調に完了させる重要性,ユーザーの安全衛生などの点から,人間と技術との能力及び制

約の相対的な比較を行う。技術でできることを安易に機器に割り当て,残された機能をシステムを機能さ

せるため人間の適応性に頼って,ユーザーに安易に割り当てない方がよい。結果として,人間に割り当て

られる機能は,意味のある仕事の集合であるのが望ましい。通常,ユーザーの代表がこれらの決定に参加

するのが望ましい。詳細の指針については,ISO 9241-2 及び ISO 10075-1 を参照。

5.4

設計による解決の繰返し(参考)  繰返し設計をするアプローチでは,ユーザーからのフィードバ

ックが最も重要な情報源となる。この繰返しは,積極的なユーザーの参加と一体化するときユーザー及び

組織の(潜在的な又は明確に指定することが難しい要求事項も含めた)要求事項にシステムが適合しない

という危険を最小限におさえるための効果的な手法を提供する。設計過程の繰り返しは,繰り返した結果

を徐々に改善してゆく設計に反映させながら,予備的な設計による解決を“現実世界のシナリオ”に対し

て評価することを可能とする。

設計過程の繰返しは,他の設計アプローチに導入することも可能である。ウォータフォールモデルのよ

うに設計における決定がトップダウン構造であり,それぞれの設計段階の関係が繰返しを妨げるような場

合であっても,ある一つの設計段階の中で,繰り返すことが可能である。

5.5

多様な職種に基づいた設計  人間中心設計は,様々な技能を必要とする。設計の人間的な側面につ

いては,様々な技能をもった人々を必要とする。このためユーザー中心の設計プロセスには必然的に多様

な職種に基づいたチームが関与するのが望ましい。このチームは,小規模でも,流動的なものでもよく,

プロジェクトの期間だけ存在するものでもよい。各チームの編成には,技術開発部門と顧客との間の関係

を反映させるのが望ましい。チームの役割は,次のような要員によって編成する。

a)

実際のエンドユーザー

b)

購買者,ユーザーを管理する立場の人

c)

アプリケーション分野の専門家,経営アナリスト

d)

システムアナリスト,システムエンジニア,プログラマ

e)

マーケティング担当者,販売員

f)

ユーザインタフェースデザイナー,ビジュアルデザイナー

g)

人間工学の専門家,ヒューマンコンピュータインタラクションの専門家

h)

テクニカルライター,訓練及びサポート担当者

チームのそれぞれのメンバーが,複数の技能の範囲及び立場を担当してもよい。多様な職種に基づいた

チームは必ずしも大きな規模のものでなくてもよいが,設計におけるトレードオフの判断を正しく行うの

に十分な多様性をもたなければならない。


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6.

人間中心の設計工程計画  計画は,人間中心の活動をシステム開発プロセス全体に対して,どのよう

に適合させるかを明示するように作られることが望ましい。

計画で特定することが望ましい点は,次のとおりとする。

a)

7.

において記述されている人間中心設計プロセスの活動。すなわち,利用の状況の把握と明示,ユー

ザーと組織の要求事項の明示,設計による解決案の作成及びユーザーの判断基準に基づいた設計の評

価など。

b)

他のシステム開発活動(

例:分析,設計,テストなど)をこれらの活動に統合するための手順。

c)

人間中心設計活動に責任を負う個人及び組織と,その技能及び視点の範囲など。

d)

人間中心設計活動が他の設計活動に影響を及ぼすように,フィードバックとコミュニケーションを確

立するための有効な手順とこれらの設計活動を文書化するための方法。

e)

人間中心設計活動を設計と開発プロセス全体に統合するための適切なチェックポイント。

f)

フィードバック及び起こりうるデザイン変更をプロジェクト日程に組み込むことができる適切な期間

設定。

この人間中心設計プロセスの計画は,システム開発プロジェクト計画全体の一部を形成し,また一貫し

て運用され効果的に実施されることを確実にする他の主要な活動と同じプロジェクト規則(すなわち,責

任及び変更管理)に添うことが望ましい。計画は,変更される要求事項に対して改訂され活動の進捗に対

応して更新されることが望ましい。

プロジェクトの計画は,反復作業とユーザーからの反応の統合を考慮に入れることが望ましい。時には

デザインチーム関係者間の効果的なコミュニケーション及び,取捨選択と起こりうる対立を調整すること

を要求する。プロジェクトは広範囲な機能を備えたチームメンバーによる反復作業から生みだされるアイ

デアと創意工夫から成果を得る。

参考  プロジェクトの早期に問題を発見し解決するための十分なコミュニケーション及び議論が,変

更のコスト負担が大きい後工程での大幅な節約につながる。

設計組織には,既存の工程と開発標準の中に人間中心設計を組み込むことが望ましい。これには,プロ

トタイピング及び,テスト,適切なユーザー参加の方法の確立,開発チームにおいて技能及び能力を正し

く融合させることなどの組織編成の方法などを含む。

開発組織が,システム開発における品質システム及び関連品質計画をもっていれば,具体的な計画が,

開発工程及び品質管理基準に合致する人間中心設計プロセスに盛り込まれることが望ましい。

7.

人間中心設計活動

7.1

一般  人間中心設計には四つの活動があり,これらはシステム開発プロジェクトを通じて実施され

ることが望ましい。

これらの活動は,次による。

a)

利用の状況の把握と明示。

b)

ユーザーと組織の要求事項の明示。

c)

設計による解決案の作成。

d)

要求事項に対する設計の評価。

図 に示すように,人間中心設計プロセスは,プロジェクトの最も早い段階(例えば,製品又はシステ

ムの最初のコンセプトが作られるとき)から始め,システムが要求事項を満たすまで繰り返して行われる

ことが望ましい。人間中心設計アプローチの必要性は,例えば,ユーザビリティに関する顧客の要求事項


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を満足するようなシステムの運用目的から定義する。

図 1  人間中心設計活動の相互依存性

システム開発プロジェクトを計画するとき,それぞれのタスクとそのサブタスクの記述は,人間中心設

計の方法及びその技法を開発又は選択し,進捗状況及び結果を報告する際の指針として,検討され使用さ

れることが望ましい。

備考  7.で述べられているすべての人間中心設計活動(図 1)は一般的にはすべての製品に関連するが,

どの活動に焦点を当て,投資を配分するかは,製品のタイプ及び規模によって決まってくるの

で,例えば,大規模なプロジェクトを推進したり,新しい製品又は新しいシステムを開発する

ときには,それぞれ関連した役割に対するメンバーを含めた多様な職種に基づいたチームを編

成し,7.で推奨されたすべての人間中心設計活動を実現してもよい。一方小規模なプロジェク

トを推進したり,古くからある既存の製品及びシステム,すき間市場又は小規模市場を対象に

した製品又はシステムを開発するときには,個々のメンバーが複数の担当をもった小規模の設

計チームが編成され,活動をサポートするための方法及び技法をより限定された範囲で利用し

てもよい。

7.2

利用の状況の把握及び明示

7.2.1

利用の状況の定義  ユーザー,仕事,組織環境及び物理環境の特徴が,システムを利用する状況を

定義する。

備考  初期のデザイン決定を導き,そして評価の基盤を提供するためには,この状況の詳細を理解し

特定することを重要とする。

新製品及び新システムの場合は,利用の状況に関する情報を収集することが望ましい。既存

のシステムが更新されるか,機能強化される場合は,この情報は既に存在しているかもしれな

いが,その情報を再度確認することが望ましい。

参考  ユーザーのフィードバック,お客様窓口からの報告書,その他のデータから多くの結果が得ら

れるならば,システムの改良及び変更に対し,それらがユーザーの要求事項に優先順位を付け


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るための基盤を与えることになる。システムが利用される際の状況は,次の事項に関して特定

されることが望ましい。

a)

対象とするユーザーの特性  ユーザーに関連した特性には,知識,技能,経験,教育,訓練,身体的

特性,習慣,好み及び能力などを含んでもよい。必要に応じて,異なるユーザータイプ,例えば,異

なる経験の度合い又は異なる役割(保守,設置など)

,の特性を定義してもよい。

b)

ユーザーが行う仕事  記述には,システムの利用に対する全体的な目標を盛り込むことが望ましい。

ユーザビリティに影響を及ぼす仕事の特性(例えば,発生回数及び作業の持続時間)は記述されるこ

とが望ましい。コンピュータ制御された製造機械の動作をコントロールするときのように安全衛生と

のかかわり合いがある場合には,それが記述されることが望ましい。記述には,人と技術の間の操作

ステップと活動の役割分担が盛り込まれることが望ましい。仕事は,単に製品,システムの機能及び

特徴の観点からだけで記述されないほうがよい。

c)

ユーザーがシステムを利用する環境  ハードウェア及びソフトウェア,資料を含む。それらの記述は,

人間中心の仕様と評価に焦点をあてた一つかそれ以上の製品群という観点でもよい。又はハードウェ

ア,ソフトウェア及びその他の資料の属性と性能特性の観点でもよい。

物理的及び社会的環境に関連した特性もまた記述した方がよい。これらには,関連する規格,より広い

意味での技術的な環境(

例:ローカルエリアネットワーク)の属性,物理的環境[例:仕事場,じゅう(什)

器]

,周囲の環境(

例:気温,湿度),法制上の環境(例:法律,条例,指令),社会的文化的環境(仕事の

習慣,組織の構造及び風土)

,を含んでもよい。

7.2.2

利用の状況の記述  この活動からの成果は,システム設計に対して重要な影響力があると定義され

たユーザー,仕事,環境に関連した特徴の記述であることが望ましい(利用の状況とサンプルの報告書に

ついての,より詳しい情報は ISO 9241-11 を参照)

参考  この記述は,一度だけの作成で終了することは難しい。むしろ,初めは概要だけが記述され,

続いて設計及び開発のプロセスを通じて見直され,維持改訂され,拡充及び更新が行われる書

類である。

備考  利用の状況の記述には,以下を含むことが望ましい。

a)

設計活動をサポートするために,対象とするユーザー,仕事,環境の範囲が設計活動をサポートする

に十分詳細にわたっていることの記述。

b)

適切な情報源から導き出されていることの記述。

c)

ユーザー,又はもしそれが確保できない場合は設計プロセスにおいてその立場を代表する者によって

確認されていることの記述。

d)

適切に文書化されていることの記述。

e)

設計活動をサポートするために適切な時期と形式で設計チームに提供されていることの記述。

7.3

ユーザーと組織の要求事項の明示

7.3.1

要求事項の特定  ほとんどの設計プロセスにおいて,製品及びシステムに関する機能とその他の要

求事項を明示するのが主要な活動であるが,人間中心設計では,この活動を拡大して,利用の状況の記述

に関連してユーザーと組織の要求事項を明確にすることが望ましい。関係する要求事項を特定するために

は,次のような側面を考慮することが望ましい。

a)

運用面及び財政面の目的に対する新しいシステムの要求性能。

b)

安全衛生を含んだ,関連した法制上の要求事項。

c)

ユーザーとその他の関係者との間の協力,及びコミュニケーション。


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d)

ユーザーの職務(仕事の割振り,ユーザーの福利及び動機づけ,を含む)

e)

仕事の達成度。

f)

作業の設計と組織。

g)

変更管理,関連する教育訓練と人事を含む。

h)

運用及び保守管理の実現性。

i)

人とコンピュータのインタフェースと作業設備の設計。

7.3.2

要求事項の記述  ユーザー及び組織の要求事項を導き出し,様々な要求事項の間で特定された適切

なトレードオフによって目的が設定されることが望ましい。これによって,

“機能の配分”を定義すること

が望ましい。

“機能の配分”とは,システムの仕事を人による遂行とテクノロジーによる遂行に区分するこ

とをいう。これらの要求事項は,後から試験が実施できるように記述されていることが望ましく,またプ

ロジェクトが存続されている間に確認され,又は更新されることが望ましい。

参考  ソフトウェアを試験できる形に仕様化する特定の指針は,ISO/IEC 14598-1 に含まれている。

ユーザーと組織の要求事項に関する記述は,以下を満たすことが望ましい。

a)

設計の際に関連するユーザーとその他関係者の範囲を特定することの記述。

b)

人間中心設計の目標を明言することの記述。

c)

様々な要求事項に対し適切な優先順位を設定することの記述。

d)

新しい設計案を試験するための測定可能な基準を用意することの記述。

e)

設計プロセスにおいて,ユーザー又はその立場を代表する者によって確認されていることの記述。

f)

法制上の要求事項を盛り込むことの記述。

g)

適切に文書化されていることの記述。

7.4

設計による解決案の作成

7.4.1

一般  設計による解決案は,確立された最先端の技術及び,関係者の経験及び知識,そして利用の

状況の分析結果などに基づき描き出す。したがって,この段階での活動は次による。

a)

多様な職種に基づいた検討で設計提案を開発するために,既存の知識を用いる。

b)

シミュレーション,モデル,モックアップなどを使用して,設計による解決案をより具体化する。

c)

ユーザーに,設計による解決案を提示し,仕事又は模擬的な仕事をさせる。

d)

ユーザーのフィードバックに応えて設計を変更し,人間中心設計の目標が達成されるまで,この過程

を繰り返す。

e)

設計による解決の繰返しを管理する。

7.4.2

多様な職種に基づいた検討で設計提案を開発するために,既存の知識を用いる(参考)  設計によ

る解決案を導き出すのに使える,人間工学及び心理学,認知科学,製品設計,及びその他関連する学問か

ら得られる科学的知識及び理論には,相当の蓄積がある。多くの企業,官公庁及びその他の組織では,ユ

ーザインタフェースのスタイルガイド,製品知識及び市場情報を内部で保有しており,それらは,初期設

計,特に同種の製品の初期設計の支援に有用である。一般的な人間工学の設計手引き及び標準は,各国の

国家標準化機関及び国際標準化機構から入手できる。関連規格とその他の詳細情報に関しては,

附属書 A

と参考文献を参照。

7.4.3

シミュレーション,モデル,モックアップなどを使用して,設計による解決案をより具体化する(参

考)  シミュレーション,モデル,モックアップ及びその他の形式のプロトタイプを使うことで,設計者

は,ユーザーとより効果的に対話することができ,製品開発の後の工程(場合によっては顧客に出荷した

あと)で発生するやり直し作業の必要性とその費用を,削減することができる。


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この設計手法には次のような利点がある。

a)

設計における決定をより明確にすることができる(これによって,設計チームの人員は,設計プロセ

スの早い段階からお互いの意思疎通が図れる)

b)

設計者は,設計コンセプトを一つに絞る前に,幾つかの設計コンセプトを探究することができる。

c)

開発過程の早い段階でユーザーからのフィードバックを設計に取り入れることができる。

d)

変更された複数の設計及び代替設計を評価することができる。

e)

機能設計仕様の質と完成度を向上できる。

利用の状況の情報に基づいた初期の設計アイデア(例えば,シナリオを用いて)から,開発が詳細まで

実質的に完了した製造前段階でのプロトタイプに至るまでのほとんどの段階で,プロトタイプの作成は可

能である。プロトタイプには,鉛筆を使った簡単な下書き図面から,実際の製品とほとんど違いのないコ

ンピュータによるシミュレーションなどの複雑なものまで,様々な形態を利用することができる。

7.4.4

ユーザーに,設計による解決案を提示し,仕事又は模擬的な仕事をさせる(参考)  静的な紙ベー

スのモックアップを利用することによって,設計の非常に早期の段階からユーザーを参加させることがで

きる。これには,製品及びシステムがどのように見えるかの画面イメージをユーザーにスケッチなどで提

示し,ユーザーの実際の状況に即して,それらを評価してもらうことも含まれる。幾つかの設計項目(例

えば,メニュー階層がどのくらい簡単に利用できるかなど)は,短期間,かつ,低費用で評価できる。ハ

ードウェアの製品に関しては,三次元のモデルを簡易な材料で作成することによって,同様の効果が期待

できる。

簡易なプロトタイプは,初期の段階で,設計による解決の代替案を探求する際に有効である。設計によ

る解決案をできる限り現実に近い形で作成することには多くの利点があるが,変更がしにくくなる可能性

が高くなるため,この時点では,厳密なプロトタイプを作成するために費用及び時間を投入しないことが

重要である。

人間中心のアプローチにおいては,プロトタイプは,単に設計の事前審査のためだけにユーザーに提示

するのではなく,ユーザーのフィードバックを得るためにも利用し,そうして得たフィードバックは,そ

の後設計プロセスを推進するために使用される。

設計の初期の段階で,ユーザーにプロトタイプを提示することが難しい場合(秘密の厳守が必要な場合

など)は,専門家によって評価を実施することもできる。専門家による評価は,効果的で費用効率もよく,

ユーザーテストを補うことができる。しかし,人間中心の設計プロセスとするためには,

(少なくとも)最

終の試験は,実際のユーザーを用いて実施するのが望ましい。

設計評価に関する詳細は,7.5 を参照。

7.4.5

ユーザーのフィードバックに応えて設計を変更し,人間中心設計の目的が達成されるまで,この過

程を繰り返す(参考)  プロトタイプのレベル及び設計過程の繰返しの回数は,設計の最適化の重要性な

ど幾つかの要因によって変化する。ソフトウェアの開発では,プロトタイプ作りは,画面デザインを紙の

上に描くことから始まり,幾つかの繰返しの段階を経て,ユーザーの仕事の一部を支援するのに十分な機

能性を備えたインタラクティブソフトウエアに進むことができる。設計プロセスの後期では,プロトタイ

プをより現実的な状況のもとで評価してもよい。最大の効果を得るには,幾つかの繰返しのプロセスをユ

ーザーとともに実施するのが最良である。すべての目的に適合しているかを判断するには,より正式な評

価を現実に即した条件下で実施するのが望ましい。例えば,ユーザーの評価を,評価担当者からの手助け

及び介入なしに現実に則した条件で実施することなどが挙げられる。

ユーザーのコメント及びプロトタイプを使う際の問題点は,システムのユーザビリティを改善するため


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Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

の機能設計に関する変更の指針を与えてくれる。幾つかの場合では,そうしたフィードバックは,インタ

ラクティブシステムの適用範囲及び目的をより良くしていく助けになる(7.5.1 参照)

7.4.6

設計による解決の繰返しを管理する(参考)  繰返し設計の進行を管理するには,7.4.2 から 7.4.5

の活動の結果を記録することが望ましい。これらの記録は,すべて文書として保存してもよいし,また,

幾つかのハードウェア及びソフトウェアのプロトタイプを設計成果物として,それらとともに保存しても

よい。これらには,次のものが含まれる。

a)

用いた知識及び使用している規格情報。また,それらをどのようにして取り入れたか(また,それら

になぜ従っていないかも必要に応じて記述)

b)

プロトタイプが主要な要求事項に適合し,良い事例に従っていることを確認したステップ。

c)

特定された問題の性質とそれによる設計の変更。

7.5

要求事項に対する設計の評価

7.5.1

一般  評価は,人間中心設計における必す(須)のプロセスであり,システムのライフサイクルの

すべての段階で実施することが望ましい。評価は,次の目的のために実施する。

a)

設計を改善するために利用されるフィードバックの提供。

b)

ユーザー及び組織の目的が達成されてきていることの確認。

c)

製品及びシステムの長期的な使用のモニター。

設計の初期の段階で重視すべきことは,設計の方向付けに利用されるフィードバックを得ることとする。

他方,より完成度の高いプロトタイプを利用する設計の後期の段階では,ユーザー及び組織の目的(7.3

参照)が達成されているかを測定してもよい。

開発及び設計のプロセスの初期段階では,変更は比較的安価であり,プロセスが進行し,システムがよ

り具体的に定義されればされるほど,変更を加えることはより高価となるため,評価はできるだけ早く開

始することを重要とする。

7.5.2

評価計画  次の事項に関連する評価計画を作成することが望ましい。

a)

人間中心設計の目標。

b)

評価責任者。

c)

評価されるべきシステムの構成要素とその評価方法。例えば,試験のシナリオ,モックアップ,又は

プロトタイプの使用など。

d)

評価の実施方法と試験の手順。

e)

結果の評価及び分析に必要な資源,及びユーザーとのやりとり(必要に応じて)

f)

評価活動のスケジュールとプロジェクトの日程との関連。

g)

他の設計活動への評価結果のフィードバックと利用。

評価で使用する技法における形式へのこだわり,厳格さ及びユーザー関与の度合いは,評価が実施され

る環境によって変化するので評価技法の選択は,財政的及び時間的な制約,開発における段階,及び開発

しているシステムの性質によって決定する。

7.5.3

設計へのフィードバック  ユーザーに提供されるシステムに反映させるためには,評価は,システ

ムのライフサイクルのすべての段階で実施されるのが望ましい。

個々の評価目標は,次の目的のうち,一つ又は複数を反映したものであることが望ましい。

a)

システムが組織の目標とどの程度合致しているかを評価する。

b)

潜在的問題を診断し,インタフェース,支援用資料,作業環境,又は訓練方法の改善の必要性を特定

する。


11

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

c)

機能及びユーザーの要求事項に対し,最適な設計案を選択する。

d)

ユーザーからフィードバック及び新たな要求事項を引き出す。

参考  専門家による評価は迅速,かつ,経済的なものであり,主要な問題点を特定するのに適してい

るが,目標に合ったインタラクティブシステムの実現を保証するためには十分ではない。

附属書 に掲げた規格,ガイドライン及び参考文献は,この種の評価の基礎として利用でき

るプロセス及び基準を提供している。

被験者を用いた評価は,設計のあらゆる段階において設計へのフィードバックを得るために

利用してもよい。また,初期の段階では,ユーザーはシナリオ,簡単な紙を用いたモックアッ

プ,又は部分的なプロトタイプの評価に参加してもよい(プロトタイピングと繰返しの詳細に

ついては,7.4.5 を参照)

設計による解決が進むにつれて,ユーザーが参加した評価は,より完成に近づいた,より具

体的なシステムに基づいたものとなる。人間中心設計の目的に向けてプロトタイプを改善して

ゆくときには,問題が発生した際に評価者がユーザーと話し合う共同評価が有効である。詳細

は参考文献を参照。

7.5.4

目的達成度の評価  評価は次の事項に利用してもよい。

a)

設計が人間中心の要求事項に合致していることを示す。

b)

国際規格,国家規格,地域規格,企業規格,又は法的規格との適合性の評価を行う。

評価基準に関する詳細は

附属書 を参照。

妥当性のある結果を得るためには,評価は,現実的な仕事を行っているユーザーの代表を用いた適切な

方法を使用することが望ましい。

備考  人間中心設計の目標に向けた評価基準の選択は,製品の要求事項及び基準を制定している組織

の必要性に依存するものとする。

評価目的は,主目標(

例,文章を作成する),又は下位目標(例,項目の検索と置換),及び二次的目標

例,保守性)に関係づける。

最も重要なユーザーの目標に合わせて目的を設定することは,他の機能を無視することにつながるが,

通常は最も実用的なアプローチとする。

特定の下位目標に対する目的の設定は,開発プロセスの初期の評価を可能にする。許容可能な最低レベ

ルと達成されるべき目標レベルの両方に対して基準を設定してもよい。

詳細は ISO 9241-11 を参照。

7.5.5

フィールドにおける妥当性検証  フィールドにおける妥当性検証のねらいは,最終システムの機能

がユーザー,仕事,及び環境の要求事項を満たしているかを試験することとする。

試験で用いる主要な技法では,お客様窓口からの報告書,フィールドレポート,実ユーザーからのフィ

ードバック,達成度データ,健康への影響に関するレポート,設計改善のレポート,及び変更要求のレポ

ートなどを利用する。

7.5.6

長期間のモニタリング  製品とシステムの利用を長期間モニターするための計画とプロセスがあ

ることが望ましい。

備考  人間中心設計のプロセスでは,ユーザーから情報を体系的に収集することを設計と評価の活動

の一部として必要とする。

長期間のモニタリングとは,長期間にわたって,様々な方法でユーザーからの情報を収集することとす

る。


12

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

参考  短期間の評価と長期間の評価には,重要な違いがある。

インタラクティブシステムを使った仕事の影響は,そのシステムをある一定期間使用するま

で現れないものや,業務上の予期できない変更など,外的要因によってもたらされるものがあ

る。

達成基準及び健康に関するレポートは,長期的な評価プロセスに対する審査指標を提供する。

設計段階において人間中心設計の原則に着目することによって,これらの指標を審査するために最も重

要な指標を特定できるものとする。

達成基準は,単純明快なものでもよい。

例:システムは生産性の目標を達成しているか)

審査に利用できる情報は,経済分析及びマーケティング調査,サポート費用の分析,修正要求及びその

他のデータから得てもよい。

達成基準及び測定結果は,次の設計の初期段階で,システムの不具合及びシステムの問題を特定するた

めに十分な感度をもっていることが望ましい。

備考  安全でない動作が特定された場合は事故として記録し,また,精神的又は生理的過負荷が認め

られた場合も,健康上の問題として記録することが望ましい。

7.6

結果報告  繰返し設計の進ちょく(捗)管理を行うためには,評価結果を体系的に記録することが

望ましい。

附属書 はユーザテストを基にした設計に,フィードバックを提供するための報告書の構造を

例示したものである。

設計プロセスが,この国際規格の推奨事項に適合した設計プロセスであることを主張する場合は,顧客

か,第三者の評価団体か,供給者自身が十分な評価を実施したことを示す適切な証拠を必要とする。

十分な評価を実施したことを示す適切な証拠に関しては,

附属書 及び参考文献に掲載されている規格

の例を参照しなさい。

特に次のような適切な証拠があることが望ましい。

a)

十分な人数のユーザーがテストに参加しており,これらのユーザーが利用の状況において特定された

ユーザーの代表であること。

b)

主要な人間中心の目的に対してテストが実施されたこと。

c)

テスト及びデータ収集の方法について妥当性があること。

d)

テストの結果が適切に処理されていること。

e)

テスト条件が適切であること。

参考  設計プロセスにおいて役に立つ評価報告には三つのタイプがある。それらは評価の目的が設計

へのフィードバックであるのか,特定の規格に対するテストであるのか,又は(例えば,ユー

ザビリティ又は,健康と安全といった)人間中心設計の目標に対する達成度の証拠を提供する

ためのいずれかである。

7.6.1

設計にフィードバックを与える報告は,次のようであるのが望ましい。

−  開発プロセスの中の適切な時期に実施される。

−  ユーザーからの意見及び設計レビューなどの,評価のための適切な情報源に基づく。

−  設計へのフィードバックを,設計における意思決定をサポートする形式で提供する。

−  その結果がシステムへの変更に適用できる。

7.6.2

特定の規格に対して設計をテストしたときの報告は,次のようであるのが望ましい。

−  関連する規格を特定し,それらを使用する根拠を提供する。

−  審査が,適格な人によって適切な手順で実施されたという証拠を示す。


13

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

−  システム全体にとって意味のある結果を得るために,システムの十分な部分に関してテストが実施さ

れた証拠を示す。

−  不適合とされた事項が,設計においてどのように処理されたかを報告する。

−  適用可能な規格から外れている項目があれば,その理由を示す。

7.6.3

ユーザーテストの報告は,次のようであるのが望ましい。

−  評価のために用いた利用の状況を定義する。

−  ユーザー及び組織の要求事項に関する情報を提供する。

−  試験した製品及びその特性の記述がある。例えば,生産用プロトタイプである,など。

−  採用した測定方法,ユーザー,用いた方法の記述がある。

−  関連する統計解析結果を含む。

−  要求事項に関して合格か不合格かの判断が明示されている。

8.

適合条件  開発プロセスがこの規格に適合していると宣言するためには,使用された手順,収集され

た情報,及び結果をどう利用したかが明記されていなければならない。

手順に関する仕様の水準及び収集した情報の報告に関する詳細さの水準は,参加した関係者で打ち合わ

せた上で調整し決定する。

この規格の利用者は,

附属書 に記載された手順及び書式を利用してもよいし,特定の開発又は環境に

合わせた手順を別途作成してもよい。


14

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

附属書 A(参考)  参考規格

A.1

一般事項  人間中心設計に関連する規格は次の二つの範ちゅう(疇)に分類される。

−  プロセスを対象とした規格:実施すべき手順とプロセスを定めた規格

−  製品を対象とした規格    :ユーザインタフェースに必要とされる属性を定めた規格

製品を対象とした幾つかの規格は,製品の属性よりも達成度の観点から要求事項を定めたものである。

これらの規格は,ユーザー,仕事,及び利用の状況を記述するとともに,ユーザーの達成度及び満足度と

いう視点でユーザビリティを評価するものである。

A.2

プロセスを対象とした規格

ISO 6385 : 1981, Ergonomic principles in the design of work systems.

ISO 6385

は,作業システムの設計に適用すべき人間工学の原則を規定している。ISO 13407 はこの原則に

よっており,ISO 6385 に記述されている人間工学のねらいと目的に関する記述を基礎にしている。

JIS Z 8511 : 1999

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−通則

備考  ISO 9241-1 : 1997, Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)  −

Part 1 : General introduction

が,規格と一致している。

JIS Z 8511

は,複数のパートで構成された ISO 9241 の概要を説明する。ISO 9241 は,オフィス業務におい

て視覚表示装置を使用する際の人間工学的な要求事項であり,幾つかの基本原則が説明されている。この

パートは,ISO 9241 の使用方法の手引きであるとともに,ISO 9241 の各パートの適合条件がどのように記

述されることが望ましいかが説明されている。

ISO 9241-2 : 1992,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 2 :

Guidance on task requirements.

ISO 9241-2

は,視覚表示装置を利用した仕事及び職務の設計を取り扱っている。このパートは,個々の組

織において,作業の要求事項がどのように特定化及び詳細化され,それがシステムの設計及び実現プロセ

スにどのように組み込まれるのかについて記述している。

JIS Z 8521 : 1999

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引

備考  ISO 9241-11 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)  −

Part 11 : Guidance on usability

が,規格と一致している。

JIS Z 8521

は,ISO 13407 で使用するユーザビリティについての定義を与えている。

JIS Z 8521

は,ユーザーの達成度及び満足度を測定するという観点からユーザビリティを指定又は評価す

る際に考慮する必要がある情報をどのように特定するかを説明している。また,製品(ハードウェア,ソ

フトウェア又はサービス)の利用の状況の記述方法及び明示的な方法でのユーザビリティの測定方法に関

する手引きが与えられている。そして,製品のユーザビリティが,品質システム(例えば,ISO 9001 に適

合するというようなもの)の一部として特定及び評価される方法について説明されている。

さらに,ユーザーの達成度及び満足度の測定が,システムの各構成要素がシステム全体に,どのように影

響を与えるかの測定に使用することができるということも説明している。

ISO 10075 : 1991, Ergonomic principles related to mental work-load

−General terms and definitions.

ISO 10075

では,精神的作業負荷の分野における用語が説明され,その定義が与えられている。


15

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

ISO/IEC 14598-1 :

1)

, Information technology

−Software product evaluation−Part 1 : General overview.

1)

 To

be

published.

利用品質の概念は,ISO/IEC 14598-1 の中で使用されており,ソフトウェアの固有の特性としての品質

と,ソフトウェアが特定の条件,すなわち,特定の利用の状況で利用された場合に達成される品質を区別

するものである。この利用品質に関する定義は,JIS Z 8521 におけるユーザビリティの定義と非常によく

似ている。したがって,利用品質という用語の使用は,ソフトウェアの評価において人間中心性を考慮す

ることが必要であることを暗に示している。

備考  利用品質の定義は,“特定のユーザーが,ある製品を,特定の利用の状況の下で,特定の目標を

効率的,効果的,かつ,満足いくかたちで達成するというニーズに適合するよう使用すること

ができるという品質”である。

プロセスを対象とした規格は,次の活動をサポートするために使用することができる。

−  総括的な品質とユーザビリティの要求事項の規定,及びその要求事項に対する評価(JIS Z 8521 及び

ISO/IEC 14598-1

−  品質システムへのユーザビリティの導入  (JIS Z 8521)。

A.3

製品を対象とした規格  製品を対象とする観点では,ユーザビリティは,ソフトウェアの品質に寄与

する比較的独立した項目として考えられている。そして,ユーザビリテイは,ISO/IEC 9126, Information

technology

−Software product evaluation−Quality characteristics and guidelines for their use(情報技術−ソフト

ウェア製品の評価−品質特性及びその利用要領)において,

“特定の又は想定されるユーザーによる,ソフ

トウェアの使用において必要とされる努力及びそのような使用の個別の審査に影響をあたえるソフトウェ

アの属性の集まり”として定義されている。

使いやすい製品は,特定の利用の状況においてユーザーの利益になることが明らかになっている製品の

機能及び属性を組み入れることによって設計される。ISO 9241 は,ユーザビリティに寄与するハードウェ

ア,ソフトウェア及び環境の特性に関連する要求事項及び推奨事項を提供するとともに,それらの基礎と

なっている人間工学の原則を提供する。ISO 9241 のパート 3 から 9 では,ハードウェアに対する設計要求

事項と指針が記述されており,それらはソフトウェアにおいても参考になる。ISO 9241 のパート 10 から

17

及びその他の規格は,主にソフトウェアの属性を扱っている。

ISO 9241-3 : 1992,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 3 :

Visual display requirements.

ISO 9241-3

は,オフィス作業において,快適,安全,かつ,効率的な読み取りをもたらす表示画面に対す

る,人間工学の要求事項を定義している。この規格は,主に表示装置を職場で使用する場合を取り扱って

いるが,職場と同様の環境で用いられるべき一般的な表示装置を必要とする多くの利用場面に対しても適

用できるものである。

ISO 9241-4 : 1998,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 4 :

Keyboard requirements.

ISO 9241-4

では,オフィス作業において,快適,安全,かつ,効率的な読み取りをもたらす英数字キーボ

ードに対する人間工学的設計の要件を定義している。キーボードのレイアウトについては,ISO/IEC 9995,

Information processing

−Keyboard layouts for text and office systems(情報処理−文書作成及び業務システムに

対するキーボードレイアウト)の幾つかのパートにも個別の説明がある。

ISO 9241-5: 1998,

Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 5 :


16

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

Workstation layout and postural requirements.

ISO 9241-5

は,ユーザーが,快適で,効率の良い姿勢をとることができる視覚表示装置が置かれた作業空

間に対する,人間工学的な要求事項を定義している。

ISO 9241-6 :

1)

,

Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 6 :

Guidance on the work environments.

ISO 9241-6

は,ユーザーに,快適,安全で生産性の高い作業条件を提供する視覚表示装置が置かれた作業

環境に対する,人間工学的な要求事項を定義している。

JIS Z 8517 : 1999

,人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−画面反射に関する表示装置の要求事項

備考  ISO 9241-7 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)  −

Part 7 : Requirements for display with reflections

が,この規格と一致している。

JIS Z 8517

は,視覚表示装置の表面処理を含む,表示画面におけるグレアと反射の測定方法を定義してい

る。この規格は,画像品質の劣化を防止するために反射対策を導入する表示装置製造者が用いることを意

図している。

JIS Z 8518 : 1998

,人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−表示色の要求事項

備考  ISO 9241-8 : 1997, Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)  −

Part 8 : Requirements for displayed colours

が,この規格と一致している。

JIS Z 8518

は,多色視覚表示装置に対する要求事項を定義しており,大部分は,パート 3 で規定している

単色視覚表示装置の要求事項の補足である。

ISO 9241-9 :

1)

,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 9 :

Require-ments for non-keyboard input devices.

ISO 9241-9

は,視覚表示装置で利用されることの多いキーボード以外の入力装置に対する人間工学的な要

求事項を定義している。これらの装置には,マウス,トラックボール及びその他の指示装置がある。また,

この規格には性能試験に対する規定が記述されている。

なお,音声入力については規定していない。

JIS Z 8520 : 1999

,人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−対話の原則

備考  ISO 9241-10 : 1996, Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)  −

Part 10 : Dialogue principles

が,この規格と一致している。

JIS Z 8520

は,人間と情報システムの間の対話に適用される人間工学的な一般原則について取り扱ってい

る。原則に採択されているものには,仕事への適合性,学習への適合性,個人への適合性,利用者の期待

との一致,自己記述性,制御可能性,エラーへの寛容さがある。

ISO 9241-12 : 1998,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 12 :

Presentation of information.

ISO 9241-12

は,視覚表示装置上で情報を提示又は表現するための推奨事項について定義している。ここ

では,英数字及び図形/記号コード,画面レイアウト及びウィンドウを使用した場合のような画面デザイ

ンを使用した,複合的な情報の表示方法に関する手引きが説明されている。

ISO 9241-13 : 1998,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 13 :

User guidance.

ISO 9241-13

は,プロンプト,フィードバック,状況表示,オンラインヘルプ及びエラー管理を含むソフ

トウェアユーザインタフェースにおける利用者案内にかかわる属性の設計及び評価に対する推奨事項を提

示している。


17

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

JIS Z 8524 : 1999

,人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話

備考  ISO 9241-14 : 1997, Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)  −

Part 14 : Menu dialogues

が,この規格と一致している。

JIS Z 8524

は,ユーザーとコンピュータ間の対話で使用されるメニューに関する人間工学的設計の推奨事

項を提供している。この推奨事項は,ウィンドウ,パネル,ボタン及びフィールドなどの様々な技法によ

って実現される,メニューの構造,ナビゲーション,オプションの選択と実行,メニューの提示方法をカ

バーしている。JIS Z 8524 の主たる利用者は設計者に置かれているが,メニューの設計者と評価者の双方

に使用されることを意図している。

ISO 9241-15 : 1997,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 15 :

Command dialogues.

ISO 9241-15

は,ユーザーとコンピュータの間の対話で使用されるコマンド言語に関する人間工学的設計

の推奨事項を提供している。この推奨事項は,コマンド言語の構造と文法,コマンドの表記方法,入力と

出力の検討,フィードバック及びヘルプをカバーしている。ISO 9241-15 は,コマンドによる対話形式に

かかわる設計者と評価者の双方に使用されることを意図しているが,主眼は設計者に置かれている。

ISO 9241-16 :

1)

,

Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 16 :

Directmanipulation dialogues.

ISO 9241-16

は,直接操作対話に関する人間工学的設計の推奨事項を提供し,オブジェクトの操作方法,

メタファ,オブジェクト及び属性の設計を含んでいる。また,他の ISO 9241 のパートでは説明されていな

い直接操作可能なグラフィカルユーザインタフェースについてカバーしている。ISO 9241-16 は,コマン

ドによる対話形式にかかわる設計者と評価者の双方に使用されることを意図しているが,主眼は設計者に

置かれている。

ISO 9241-17 : 1998,  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 19 :

Form filling dialogues.

ISO 9241-17

は,穴埋式書式における対話に関する人間工学的設計の推奨事項を提供している。この推奨

事項は,書式の構成及び出力形式の検討,入力形式の検討,書式のナビゲーションについてカバーしてい

る。ISO 9241-17 は,コマンドによる対話形式の設計者と評価者の双方に使用されることを意図している

が,主眼は設計者に置かれている。

ISO/IEC 10741-1 : 1995,  Information  technology

− User system interfaces − Dialogue interaction − Part 1 :

Cursor control for text editing.

ISO/IEC 10741-1

は,カーソル制御キー又は他の入力装置に対応してカーソルが画面上をどのように移動

できるようにするかについて規定している。

ISO/IEC 11581-1 :

1)

, Information

technology

−User system interfaces−Icon symbols and functions−Part 1

Icons : General.

ISO/IEC 11581-1

は,アイコンの開発と設計に対するフレームワークを含んでいる。そのなかには,すべ

てのアイコンに適用できる基本的な要求事項と推奨事項が記述されている。

ISO/IEC 11581-2 :

1)

, Information

technology

−User system interfaces−Icon symbols and functions−Part 2 :

Object icons.

ISO/IEC 11581-2

は,オブジェクトへの関連付けによって機能が割り当てられ,移動したり,開いたりす

ることができるアイコンに対する要求事項と推奨事項を含んでいる。また,20 種類のアイコンに関する機

能と外観の仕様も含んでいる。


18

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

ISO/IEC 11581-3 :

1)

, Information

technology

−User system interfaces−Icon symbols and functions−Part 3 :

Pointers.

ISO/IEC 11581-3

は,画面上のポインタとのユーザーのインタラクション及びポインタの外観を記述して

いる。また,ユーザーにフィードバックを与えるために,ポインタが画面上でどのように外観を変えるか

についても記述されている。

この規格は,次のような目的に使用することができる。

−  ユーザインタフェースの外観と動作に関する詳細な指定

−  ユーザインタフェースの設計に対する詳細な手引き

−  ユーザインタフェースの評価基準の提供

ただし,ユーザビリティに対して要求される製品の属性は,ユーザー,仕事及び環境の条件に依存するも

のである。製品には固有のユーザビリティが備わっているわけではなく,特定の状況において使用される

能力だけが備わっている。JIS Z 8521 が,特定の属性が必要となる特定の状況を理解する助けとして利用

できる。


19

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

附属書 B(参考)  ユーザビリティ評価に関するレポートの構成例

B.1

一般  これは,大規模な国際金融機関で使用されているユーザビリティ評価レポートの構成の例であ

る。レポートは詳細なものであり,当該プロジェクトにおいて将来必要とされる意思決定を行うに十分な

データを提供するものである。レポートの構成と記述の詳細さは,関与した人々の間の話合いによって決

められる。

B.2

要約  B.2 では,プロジェクトの特定の段階における設計評価の概要の提供,評価目的の詳細化を行

うとともに,推奨事項のまとめを記述する。

B.3

評価対象製品  B.3 では,評価の対象となった物理的な製品又はシステムの範囲を記述し,評価によ

ってカバーされる機能分野を細分化して記述する。

B.4

評価の目的  B.4 では,評価の目的及び特定の関連する分野について記述する。例えば,次のような

ものである。

a)

観察,記録,及び測定によって,適切なレベルでアプリケーションソフトウェアを効率よく使用する

想定ユーザーの能力を評価する。

−  明確に定義された一連の仕事に関するユーザーの効率

−  ユーザーの異なった経験レベル

b)

主観的反応,態度及び満足度を次のような方法で採点することによって評価する。

−  構造化された質問

−  ユーザーの製品の認知度についての質問

B.5

利用の状況  B.5 では,次の項目を記述する。

−  実施された評価がシステムの想定された使用と合致することを確認するために実施される利用状況

の分析

−  利用状況の分析の中で特定された仕事を組み入れるために開発されたシナリオ

−  実際の作業環境と評価環境との相違

B.6

測定計画

B.6.1

ユーザー  B.6.1 では,選出された被験者と,利用の状況に関する記述の中で特定されたユーザーと

の比較を行う。

B.6.2

方法  B.6.2 では,評価において使用した測定方法の概要を記述する。次に例を示す。

−  ユーザビリティの専門家による観察とビデオ分析

−  実作業の観察。

−  ユーザビリティの専門家によるユーザーと顧客のインタビュー

−  ユーザーと顧客に対する質問紙調査。


20

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

B.6.3

手順  B.6.3 では,1 日の間に実施する種々の活動の詳細とスケジュールを記述する。具体的には,

あいさつ(挨拶)

,説明,課題の練習,課題前の打合せ,課題の実施,質問紙への記入,口頭報告,終了な

どである。

B.7

結果

B.7.1

一般  B.7.1 が,評価レポートの主要部分である。ここでは,対象とするユーザーの母集団から抽出

された少人数の結果であることを示す注意書きを含む。

B.7.2

ビデオ分析  各セッションの詳細分析では,各課題ごとに記録する。また,各操作を実施している

際に,課題の手順を探したり,課題の実施が滞ったり,課題に関する質問があった場合は,各参加者ごと

にそのタイミングを記録する。結果は,図によって説明されることが望ましい。

B.7.3

ユーザインタフェースの設計  個々のアプリケーションの画面設計に関連するユーザビリティにか

かわる事項を記録する。例としては,整合性の問題,課題との不一致,及びユーザーに修正すべき状況を

伝えるエラーメッセージの必要性などがある。また,画面上での色の使用及び情報の詰め込みすぎなど,

一般的な設計に関する問題も,ここに含まれる。

B.7.4

作業の流れとプロセス  プロセスの中におけるステップの数に関連する問題点が,観察及び被験者

の意見によって指摘される。

B.7.5

訓練  B.7.5 では,ユーザーの達成度の観察結果に基づき,将来の訓練に対するユーザーの要求事項

を特定する。

B.7.6

ユーザーからの報告  プロジェクトに限定した質問に対して各々の被験者が答えた結果が詳述され

る。そこには,引用の例示を含めることができる。

B.7.7

ユーザーの認識についての質問  ユーザービリティチェックリストの得点及び回答に対する解釈が

含まれる。

B.8

推奨事項  結論の B.8 では,前出の結果の分析から得られた推奨事項が列挙される。推奨事項につい

ては,重要,かつ,実現が容易な順序にならべて列挙し,実施されない場合にユーザー及び業務に与える

影響の予測を併記すること。それらを支持する証拠がある場合,設計による解決案の例を検討用に提案し

てもよい。

B.9

付録

課題の詳細化

ユーザーの達成度に関するビデオ記録の分析

製品の認知度についての質問でのユーザー回答の分析

製品の認知度についての質問での顧客回答の分析


21

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

附属書 C(参考)  この規格への適合を示すための手順の例

C.1

序文  この附属書では,この規格に記載されている人間中心プロセスが,インタラクティブシステム

の開発に適用されているかを判断するための手順例を示す。ただし,C.2 に記述されている手順は手本で

あり,この他の手順を選択してもよい。チェックリストは単独で使用されることを想定してはいない。チ

ェックリストは,この規格全文との関係を考慮しながら使用することが望ましい。

この附属書では,次の実施事項に対して,チェックリストに依拠した手順を示す。

a)

インタラクティブシステムの開発における個々の人間中心活動によって作成される情報を特定する。

b)

これらの情報の作成がどのようにして保証されるべきかについて記述する。

c)

審査プロセスの実施結果を記録する。

備考  この手順は,あらゆる人間中心設計プロジェクトで利用することができる。小規模なプロジェ

クトでは,上記の情報の幾つかは必要とされないかもしれないし,容易に取得でき,正式な文

書化はほとんど必要とされないかもしれない。

C.2

文書化  チェックリストは,次のように記入する。

a)

プロジェクトに対する情報の関連性を評価することが望ましい。

b)

情報の所在及び審査方法の欄は,活動が実施される前までにすべて記入しておく。

c)

人間中心プロセスが手順に適合しているかを審査する過程においては,審査者は各情報項目に対して

定められた審査方法を使用して,適合性を審査する。

d)

適合性及び所見の欄には,審査者が記入する。

この規格の使用者は,

表 C1 から表 C5 に記載されている項目によって,この規格に,どのように従って

いるかを示すことができる。これらの表は,プロジェクト及び設計のライフサイクルにおいて,人間中心

の活動に関連する情報が正しく作成され,管理され,適用されていることを示す証拠になる。ISO 又は JIS

規格の転載には許可が必要であるが,このチェックリストは自由に複製して差し支えない。

チェックリストの見出しの説明を次に示す。

−  項目:この欄には,規格が人間中心設計のプロセスを通じて,作成すべきであると推奨している情

報の項目が含まれている。各々の項目は,その情報を生成する活動及び使用する活動を記述する条

項によって表現されている。

−  情報の所在:この規格で記述されている文書は,多くのプロジェクトに適合するだろうが,人間中

心活動によって作成され使用される情報の各項目は,プロジェクト及び開発のライフサイクルの性

質に応じて,様々な種類の文書,ファイル,データベースなどに記録することができる。チェック

リストのこの欄は,特定のプロジェクト又はライフサイクルにおける,情報の所在又は要求される

書式,詳細さの水準などを記録するために使用することができる。

−  関連性:この欄は,情報項目が当該プロジェクトに関連するかどうかを示す。

−  評価方法:各情報項目の収集,作成,記録の手順及び品質を保証するための手順が検査されること

が望ましい。注文設計された製品では,評価方法は購入者と供給者との間で合意によって決定する

ことができる。一般の製品では,組織内のプロジェクト部門と品質保証部門との間,又はプロジェ

クトの管理者と人間工学サービスの提供者との間で合意することができる。審査方法の例としては,


22

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

文書管理システムから収集された証拠,レビュー,試験の繰返し,インタビュー又は監査などを挙

げることができる。

−  適合性:この欄は,任命された審査者が審査結果を記録するために使用することができる。審査方

法に記述されている保証の程度に応じて,審査者は,プロジェクトメンバー,内部監査員,購入者,

又は外部の監査組織から派遣される監査員の中から任命することができる。審査後,この欄は,こ

の規格の推奨に対する人間中心活動の検査の証拠を示すことになる。

−  所見:評価者が,観察結果及び非適合事項についての要約を記録するための欄。


23

Z 853

0 : 2

000 (ISO

 1340

7 : 1

9

99)

表 C.1  人間中心プロセスの計画

情報項目(関連する条項)

情報の所在

関連性

審査方法

適合性

所見

実施すべき人間中心設計活動のリスト(6.)。

人間中心設計活動を他の開発活動に統合するための手順(6.)。

人間中心設計活動の担当者又は担当組織,及びそれらが提供する技能と視点の
範囲(6.)。

他の設計活動に影響を与える人間中心設計活動に対して,フィードバック及び
連携を確立する手順又は,これらの活動を記録する方法(6.)。

設計・開発のプロセスにおける工程指標(6.)(繰返しが許される)

設計日程にフィードバックの工程を盛り込むことを許容する,適切なタイムス

ケール(6.)(初期の工程を含む)

表 C.2  利用の状況の詳細な記述

情報項目(関連する条項)

情報の所在

関連性

審査方法

適合性

所見

対象とするユーザー,仕事,及び環境の範囲の詳細な記述(7.2)。

利用の状況の情報源(7.2)。

利用の状況の情報が確認されたことを示す証拠(7.2)。

利用の状況の情報が設計チームに提供されたことを示す証拠(7.2)。

設計プロセスにおいて利用の状況が使用されたことを示す証拠(7.4.1)。


24

Z 853

0 : 2

0

00 (ISO

 1340

7 : 1

9

99)

表 C.3  ユーザーと組織の要求事項の詳細な記述

情報項目(関連する条項)

情報の所在

関連性

審査方法

適合性

所見

ユーザー及び設計にかかわった人々の範囲又は関連性(7.3)。

人間中心設計の目標についての記述(7.3)。

異なる要求事項に対する優先付け(7.3)。

設計されたものをテストするための評価基準(7.3)。

ユーザー又はその代表者によって,上記の内容が確認されたことを示す記録(

7.3

)

法的要求事項(7.3)。

設計プロセスにおいて要求事項が使用されたことを示す記録(7.4.1)。

表 C.4  設計による解決案の作成及び試験

情報項目(関連する条項)

情報の所在

関連性

審査方法

適合性

所見

使用した規格及び他の情報源と,どのようにそれらが反映されているか(又は,
それらがなぜ反映されていないか)に関する記述(7.4.2)。

プロトタイプが主要な要求事項を満たし,かつ,ユーザーの習慣に従うことを
確実にするために,手順が踏まれたことを示す記録(7.4.3 から 7.4.5

評価対象となった製品及びシステムのバージョンと機能(7.4.6)。

評価の実施時期(7.6.1)。

評価のフィードバックについての情報源(7.6.1)。

次に実施すべき推奨事項,発見された事項の優先順位,及び活動の合意/実施

などからなる,設計者へのフィードバック(7.6.1)。

プロトタイプ及び評価の結果がシステムの改善及び修正に取り入れられたこ
とを示す記録(7.6.1)。


25

Z 853

0 : 2

000 (ISO

 1340

7 : 1

9

99)

表 C.5  ユーザーの要求事項に対する設計の評価

情報項目(関連する条項)

情報の所在

関連性

審査方法

適合性

所見

評価すべき人間中心設計の目標(7.5.2)。

適切な評価計画を作成し,それに従ったことを示す記録(7.5.2)。

評価責任者(7.5.2)。

特定の設計規格に対するテスト:

使用した規格とそれらを用いた理由(7.6)。

審査者の能力と,適切な手順が選出され使用されたことの記録(7.6)。

システム全体にとって意味のある結果を得るために,システムの十分な部分に
対してテストが実施されたことを示す記録(7.6)。

重度若しくは軽度の不適合事項と,観察結果,及び全体評価についての報告(

7.6

)

不適合とされた事項が,設計においてどのように処理されたかの報告(7.6)。

特定のユーザー要求に合致させるために規格から逸脱した事項の理由(7.6)。

ユーザーテスト:

評価の基盤として使用した利用の状況の定義(7.6.3)。

ユーザー又は組織の要求事項の記述(7.6.3)。

テストした製品及びその状態の記述(7.6.3)。

採用した測定とユーザー,使用した方法についての記述(7.6.3)。

使用した手法及び尺度と,その選択理由(7.6)。

結果と関連する統計的分析  (7.6.3 

要求事項に関連した合否の決定  (7.6.3 


26

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

参考文献 

1

ISO 90041 : 1994, Quality systems

−Model for quality assurance in design, development, production,

installation and servicing.  

2

ISO IEC 9126 : 1991, Information technology

−Software product evaluation−Quality characteristics

and guide-lines for their use.  

3

ISO 9241-1 : 1997, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

1 : General introduction.  

4

ISO 9241-2 : 1992, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

2 : Guidance on task requirements.  

5

ISO 9241-3 : 1992, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

3 : Visual display requirements.  

6

ISO 9241-4 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

4 : Keyboard requirements.  

7

ISO 9241-5 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

5 : Workstation layout and postural requirements.

8

ISO 9241-6 :

2)

, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

6 : Guidance on the work environment.

9

ISO 9241-7 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

7 : Requirements for display with reflections.  

10

ISO 9241-8 : 1997, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

8 : Requirements for displayed colours.  

11 ISO 

9241-9 

:

2)

, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

9 : Requirements for non-keyboard input devices.

12

ISO 9241-10 : 1996, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

Part 10 : Dialogue principles.  

13

ISO 9241-11 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

Part 11 : guidance on usability.

14

ISO 9241-12 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

Part 12 : Presentation of information.  

15

ISO 9241-13 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

Part 13 : User guidance.  

16

ISO 9241-14 : 1997, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

Part 14 : Menu dialogues,

17

ISO 9241-15 : 1997, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

Part 15 : Command dialogues.  

18

ISO 9241-16 :

2)

, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

−Part

16 : Direct-manipulation dialogues.  


27

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

19

ISO 9241-17 : 1998, Ergonomic requirements for office work with visual display terminal (VDTs)

Part 17 : Form filling dialogues.  

20

ISO 9995 : 1994, Information technology

−Keyboard Layouts for text and office systems.

21

ISO 10075 : 1991, Ergonomic principles related to mental work-load

−General terms and definitions.

22

ISO/IEC 10741-1 : 1995, Information technology

−User System Interfaces−Dialogue interaction−Part

1 : Cursor control for text editing.

This part specifies how the cursor could move on the screen in response to the use of cursor control keys.

23

ISO/IEC 11581-1 :

2)

, Information technology

−User System Interface−Icon symbols and functions

−Part 1 : Icons : General.

This part contains a framework for the development and design of icons, including general requirements

and recommendations applicable to all icons.

24

ISO/IEC 11581-2 :

2)

, Information technology

−User System Interfaces−Icon symbols and functions

−Part 2 : Objet icons.

This part contains requirements and recommendations for icons that represent functions by association

with an object, and that can be moved and opened. It also contains specifications for function and

appearance of 20 icons.

25

ISO/IEC 1158-3 :

2)

, Information technology

−User System Interfaces−Icon symbols and functions

−Part 3 : Pointers.

This part describes user interaction with and appearance of pointers on the screen it also specifies how

pointers on a screen change appearance to give users feedback.

26

ISO/IEC 14598-1 :

2)

, Information technology

−Software product evaluation−Part 1 : General

overview.

27

BAILEY, R. W. , Human Performance Engineering, Prentice Hall, New Jersey (1989).

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BIAS, R. G. and MAYHEW, D. J. Cost

−Justifying Usability, Academic Press Ltd. (1994).

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EASON, K. D. , Information Technology and Organizational Change, Tailor & Francis, London (1988).

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  HELANDER, M. (ed.), Handbook of Human Computer Interaction, 2nd ed, (1997).

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JORDAN et al. Editors, Usability Evaluation in Industry, Taylor and Francis (1995).

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NIELSEN, J. , Usability Engineering, Academic Press, San Diego (1993).

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NIELSEN, J. , Usability Laboratories, Special Issue of Behaviour and Information Technology, Vol.13,

Numbers 1 and 2, January to April, Taylor and Francis (1994).

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NEILSEN, J. and Mack, R. L. Editors Usability Inspection Methods, John Wiley & Sons, Inc. , New

York (1994).

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NORMAN, D. A. and DRAPER, S. W. , User Centred System Design : A new perspective on Human

Computer Interaction, LAWRENCE ERLBAUM & Associates, Hillsdale, N. J. (1986).

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PRECE, J. , A Guide to Usability, Addison Wesley, Wokingham, England (1993).

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Interaction (1987).

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WIKLUND, M. E. , Usability in Practice, AP Professional, Cambrige MA (1994).

2

  To be published.


28

Z 8530 : 2000 (ISO 13407 : 1999)

JIS Z 8530

(人間工学−インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス)原案作成委員会本委員会  構

成表

氏名

所属

(委員長)

林      喜  男

慶應義塾大学

(幹事)

中  野  義  彦

沖電気工業株式会社

渡  辺  武  夫

通商産業省工業技術院

橋  本      進

財団法人日本規格協会

中  込  常  雄

中込技術士事務所

堀  野  定  雄

神奈川大学

山  本      栄

東京理科大学

黒  須  正  明

静岡大学

吉  武  良  治

日本アイ・ビー・エム株式会社

堀  部  保  弘

株式会社三菱総合研究所

青  木  和  夫

日本大学

谷  井  克  則

武蔵工業大学

栃  原      裕

九州芸術工科大学

米  村  俊  一 NTT 東日本株式会社

(事務局)

森      みどり

日本人間工学会(神奈川大学)

JIS Z 8530

(人間工学−インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス)原案作成委員会分科会  構成

氏名

所属

(主査)

黒  須  正  明

静岡大学

(幹事)

堀  部  保  弘

株式会社三菱総合研究所

渡  辺  武  夫

通商産業省工業技術院

橋  本      進

財団法人日本規格協会

中  込  常  雄

中込技術士事務所

堀  野  定  雄

神奈川大学

中  野  義  彦

日本電子工業振興協会(沖電気工業株式会社)

橋  爪  文  彦

社団法人日本産業機械工業会(有限会社高橋木箱製作所)

三  樹  弘  之

沖電気工業株式会社

平  沢  尚  毅

小樽商科大学

伊  東  昌  子 NTT アドバンストテクノロジ株式会社

松  原  幸  行

富士ゼロックス株式会社

早  川  誠  二

社団法人日本事務機械工業会(株式会社リコー)

大  矢  富  保

日本電子機械工業会(三菱電機株式会社)

大  澄  義  正

日本自動車工業会(トヨタ自動車株式会社)

宇田川  順  一

日本電機工業会(株式会社東芝)

森  谷  紘  機

財団法人ソフトウェア情報センター

岩  本  守  久

日本自動車工業会(株式会社本田技術研究所)

松  田  浩  一

日本自動車工業会(日産自動車株式会社)

備考  本委員会の○印は,分科会委員会を兼ねる。