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Z8526

:2006(ISO 9241-16:1999)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本人間工学会(JES)/財団法人日本規格協

会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審

議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本 工 業 規 格 を 基 礎 に し た 国 際 規 格 原 案 の 提 案 を 容 易 に す る た め に , ISO 9241-16:1999 , Ergonomic

requirements for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 16: Direct manipulation dialogues を基礎

として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。

JIS Z 8526

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)適用可能性及び適合を査定する手順例


Z 8526

:2006 (ISO 9241-16:1999)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

3

4.

  この規格の適用 

4

4.1

  直接操作対話が適切な場合 

4

4.2

  推奨事項の適用

5

4.3

  製品の評価 

5

5.

  一般

6

5.1

  比ゆ表現 

6

5.2

  直接操作で使用するオブジェクトの外観 

7

5.3

  フィードバック

8

5.4

  入力装置 

9

6.

  オブジェクトの操作

10

6.1

  全般

10

6.2

  ポイントし,選択する動作 

11

6.3

  ドラッグ動作 

13

6.4

  オブジェクトの寸法変更動作

15

6.5

  回転

15

7.

  テキストオブジェクトの直接操作に関する追加推奨事項

16

7.1

  ポイント動作及び選択動作 

16

7.2

  テキストの寸法変更動作 

16

8.

  ウィンドウの直接操作に関する追加推奨事項

16

8.1

  総説

16

8.2

  ポイント動作及び選択動作 

17

8.3

  ウィンドウの寸法変更 

17

9.

  コントロールアイコンの直接操作についての追加推奨事項

18

9.1

  ポイント動作及び選択動作 

18

附属書 A(参考)適用可能性及び適合を査定する手順例 

19

 


日本工業規格

JIS

 Z

8526

:2006

(ISO 9241-16

:1999

)

人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−

直接操作対話

Ergonomics

Office work with visual display terminals (VDTs)

Direct manipulation dialogues

序文  この規格は,1999 年に第 1 版として発行された ISO 9241-16,Ergonomic requirements for office work

with visual display terminals (VDTs)

−Part 16: Direct manipulation dialogues を翻訳し,技術的内容及び規格票

の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

この規格は,直接操作とよばれる方式を採用した対話(以下,直接操作対話という。

)を人間工学の見地

から望ましいものに設計する上での推奨事項を扱う。直接操作対話では,ユーザーは,物理的実体を扱う

のと似た方法で,表示されたオブジェクトに対し働きかける形で,

仕事の遂行に必要な種々の作業を行う。

この規格は,次の人を対象とする。

a)

ユーザインタフェースの設計者:この規格を開発過程で適用する。

b)

購買担当者:製品購入段階でこの規格を参照する。

c)

評価担当者:製品がこの規格に適合することを確かめる責任がある。

d)

ユーザインタフェース開発ツールの設計者:ユーザインタフェース開発ツールの開発者の作ったツー

ルをユーザインタフェースの設計者が利用する。

e)

ユーザー:この規格を適用することで実現される恩恵を得る。

この規格は,直接操作対話に関する多数の推奨事項からなり,その多くは条件付き推奨事項である。条

件付き推奨事項とは,無条件にどのような場合にも当てはめようとするのではなく,その推奨事項を当て

はめることがふさわ(相応)しい特定の状況“例えば,ある種のユーザー,仕事(task)

,作業環境及び採

用技術”においてだけその推奨事項を満たしているかどうかを検討すればよい事項である。

JIS Z 8520: 1999

の人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−対話の原則では,直接操作対話を設

計するときにも重視すべき対話の原則を規定している。これらの原則は,設計者及び評価者に対して,こ

の規格中の推奨事項の説明では理解しきれない人間工学的な根拠を提供しており,この規格中の優先度を

考慮すべき各推奨事項間の折り合いを付けるのに役立てることができる。しかし,折り合いを付ける上で

は,これら対話の原則以外の考慮も同様に必要である。

1. 

適用範囲  この規格は,直接操作対話を設計するうえでの手引きとなる事項について規定する。直接

操作対話では,ユーザーは,オブジェクトに対して,又は操作すべきオブジェクトを表現したものに対し

て,直接的に働きかける。働きかけ方の具体的な例としては,例えば,入力装置を介してオブジェクトを

指し示したり,オブジェクトを移動したり,オブジェクトの物理的特性(又は値)を変更するなどがある。

この場合のオブジェクトは,典型的には,抽象的なソフトウェア構成要素又は機能を具象的に表現したも


2

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のであり,図表現であることが多い。大別すると次の 2 種類に分類できる。

a)

仕事オブジェクト  ユーザーが仕事を遂行する上で,扱う実世界の人工物(例えば,書類,ペン,ス

パナ,グラフ)を比ゆ的に表現したもの。

b)

インタフェースオブジェクト  ユーザーが,アプリケーション又はシステムを利用していく上での操

作を行えるように,ユーザインタフェース中にとり入れたオブジェクト。実世界のオブジェクトの場

合もあるが,ユーザーの実際の仕事目的とは直接的に関連しない比ゆ表現である(例えば,ボタン,

スライダ,ウィンドウ,画面)

オブジェクトそのものと,そのオブジェクトの表示された表現の両方を,両者の明確な区別が必要な場

合を除いて,ともにオブジェクトと呼ぶ。

立体視を利用するインタフェース,又は仮想現実形のインタフェースは,この規格では扱わない。

参考1.  直接操作という用語は,実際上,グラフィカルユーザインタフェース(GUI)と同義に用い

ることが多い。しかし,GUI では,直接操作対話と併せて,メニュー対話又はコマンド対話

のような他の対話技法をも組み込むことがしばしばある。GUI は,直接操作の特徴を多く備

えてはいるが,GUI におけるユーザーの入力すべてを直接操作とみなせるわけではない。例

えば,ある文書を印刷しようとして,その文書のアイコンをプリンタアイコン上へと移動さ

せることよりは,

“印刷”と見出しのついた押ボタンをマウスでクリックする方が直接操作と

しての意味合いは弱い。

この規格は,直接操作対話の使いやすさの問題を扱う。GUI 要素についての推奨事項は,直接操作の働

きに明確にかかわるものだけを規定する。

参考 2.  逐次に段階を踏んで入力していく直接操作対話の性質が効率的ではない場合もある(例えば,

文字“d”で始まる名前をもつファイルすべてを削除したい場合。

。したがって,コマンド入

力又はメニュー対話などのより適切な他の対話手法を併用して,直接操作を補うこともある。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 9241-16:1999

,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−Part

16: Direct manipulation dialogues (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Z 8524

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話

備考 ISO 

9241-14

  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−Part

14: Menu dialogues

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

ISO 9241-12

  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−Part 12:

Presentation of information

ISO 9241-13

  Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−Part 13: User

guidance

ISO/IEC 11581-1

  Information technology − User system interfaces and symbols − Icon symbols and

functions

−Part 1: Icons−General

ISO/IEC 11581-2

  Information technology − User system interfaces and symbols − Icon symbols and


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functions

−Part 2: Object icons

ISO/IEC 11581-3

  Information technology − User system interfaces and symbols − Icon symbols and

functions

−Part 3: Pointer icons

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

属性(Attribute)  オブジェクトの,又はオブジェクトを表現したものの固有の特性(例えば,色)。

何らかの状況においては,ユーザーの動作によって変更可能なものもある。

3.2

選択リスト(Choice list)  ユーザーがその中から選択できる幾つかの項目を含むリスト。

備考  選択リストには,項目を一つしか選択できないものと複数の項目を選択できるものとがある。

項目数は常に一定である場合も,対話途中で変化する場合もある。

3.3

クリック動作(Clicking)  ポインティングデバイスのボタンを押し,指している選択領域からポイ

ンタを移動させずに,すぐにボタンを離す動作。

3.4

コントロ−ル(Control)  ダイアル,ラジオボタンなどの物理的なコントロールに似せた図形で,

データその他のオブジェクト,又はそれらオブジェクトの属性を,ユーザーが直接的に操作するのに使う

もの。

3.5

カーソル(Cursor)  文字を入力する位置を視覚的に示すもの。

3.6

直接操作(Direct manipulation)  画面上のオブジェクトに対して,ユーザー自身が直接働きかけて

いるとユーザーに感じさせるような対話手法。例えば,入力装置を使ってオブジェクトを指し示す,オブ

ジェクトを移動させる,及び/又はオブジェクトの物理的特性(又は値)を変化させる対話手法。

3.7

ドラッグ動作(Dragging)  オブジェクト又はオブジェクトの一部分とポインタとを結合させて,そ

のオブジェクトを移動又は変化させること。

3.8

ダブルクリック動作(Double clicking)  所定の時間内で二度続けてポインティングデバイスのボタ

ンを押しすぐ離す動作。

3.9

ハンドル(Handle)  オブジェクトの制御に用いる箇所を図的に示すもの。常時表示されるものと,

状況に応じて一時的に表示されるものとがある。

3.10

アイコン(Icon)  オブジェクト,動作又は機能を表現する画面上の図形。

3.11

入力フォーカス(Input focus)  ある入力装置からのユーザーの入力が向けられるオブジェクトを指

摘する表示。

3.12

比ゆ表現(Metaphor)  ユーザーにとってなじみがあり,ユーザーがそれに基づいてシステムの働

き,振る舞い及び構成を予測できるような概念及び性質の利用。

3.13

オブジェクト(Object)  対話中でユーザーに対して提示される実体。

備考  仕事に関連した実体(例えば,手紙,注文,電子部品,結線図)と,ユーザインタフェースに

関連した実体(例えば,アイコン,ウィンドウ,押しボタン)との双方ともオブジェクトとみ

なす。オブジェクトの種類には,テキストオブジェクト,図オブジェクト及びコントロールオ

ブジェクトがある。ユーザーが直接的に操作できるオブジェクトもある。

3.14

ペイン(Pane)  ウィンドウ枠内の作業領域。

備考  ペインを更に分割して,一つのウィンドウ内で複数個のペインを作る場合もある。

3.15

ポインタ(Pointer)  ポインティングデバイスの操作に応じて,画面上を移動する図形記号。

備考  ポインタを画面上に表示された要素の位置まで動かし,直接操作を開始することで,ユーザー

はその要素とのやり取りを行う。


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3.16

ポイント動作(Pointing)  ポインティングデバイスを用いて,ポインタを何らかのオブジェクトの

上に,又はある位置に置く操作。

3.17

ポインティングデバイス(Pointing device)  人の制御動作を表示上の制御動作へと転化する装置。

備考  機械装置だけではなく,人の体の部分(例えば,指,腕)をもポインティングデバイスとして

利用する技術もある。

3.18

拡大縮小動作(Scaling)  縦横比を保ちながら寸法変更を行う動作。

3.19

スクロールバー(Scroll bar)  オブジェクトの大きさが,表示するウィンドウ又はリストの大きさ

以上の広がりをもつ場合に,表示領域へオブジェクトの一部を出し入れすることで,ユーザーが希望する

オブジェクトの一部を眺めることを可能にするコントロール。スクロールバーは,また現在見えているほ

かに,見えていないオブジェクトの部分があるかの情報をも示す。

3.20

選択動作(Selecting)  表示されたオブジェクトから,そのうちの一つ又は複数個のオブジェクトを

選ぶ動作。

3.21

選択指摘(Selection indication)  表示されているオブジェクトが,現在選択されていることを示す

視覚上の又はその他の目印。通常,それ以降のユーザーの操作対象となる。

3.22

寸法変更動作(Sizing)  オブジェクトの寸法を縦横比を保たずに任意に変える動作。

3.23

オブジェクトの状態(State of objects)  オブジェクトの状態で,そのオブジェクトに加えることの

できる変更と関連するもの。

例  オブジェクトの状態には,“作動中”,“利用可能”,“選択済み”,“利用不可”などがある。

3.24

ウィンドウ(Window)  表示画面上の独立に操作できる領域で,オブジェクトを提示したり,及び

/又はユーザーと対話を行ったりするのに用いるもの。

4.

この規格の適用

4.1

直接操作対話が適切な場合  直接操作対話は,次の条件に該当する場合,特に適している。条件は,

ユーザー,仕事及びシステムに関して分類する。より多数の条件に該当するほど,適用可能性は増大する。

a)

ユーザーの特性

1)

ユーザーは,必ずしも適切な読み書き技能をもつとは限らないが,直接操作のために必要な感覚運

動能力はもっている。

2)

想起の助けとなる視覚的手掛かりが与えられると,ユーザーの作業成績は向上する。

3)

文章記述よりも,図表現を用いたほうがユーザーの作業成績は優っている。

b)

仕事の特性(

1

)

注(

1

)

次の特性を備えていると,直接操作時に,ユーザーはオブジェクトの知覚及びオブジェクトと

のやり取りを効果的に行うことができる。

−  ユーザーは,視覚的に表示された実体を直接的に操作する形で情報の入力が行える(例え

ば,ポインティングデバイスの動きと直接に関連を保ちながら,ある表示されたオブジェ

クトを画面上で動かせる。

−  迅速なフィードバックによって入力と出力との関係が明確である(例えば,あるアイコン

の動きは連続的に画面上に表示され,いきなり最初の位置から目標の位置へ飛ぶことはな

い。

−  表示されたオブジェクトの変更の仕方が,実世界の体験と対応している(例えば,従来の

機械式タイプライタの左右境界に似た目印の位置を変化させることで,表示文書の左右境


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界を変更できる。

1)

実世界の仕事オブジェクト,その性質及び操作を模擬できる,すなわち,アプリケーションに対し

ての適切な比ゆ表現が可能である。

参考  例えば,描画されたオブジェクトの一部を消去するという行為が,紙に書かれた絵の一部を消

しゴムで消すという実世界の体験と対応している。

2)

対象となるものの属性が複雑で,日常語では一言で表現しにくい(例えば,ある模様を言葉で記載

することよりも,模様そのものを指し示す方が容易である。

3)

仕事の順序をあらかじめ決めることができず,仕事を完了するのに融通性が必要である。

4)

仕事上,ユーザーがオブジェクトに働きかけ,それを制御できる必要がある。

5)

入力すべきもの(例えば,あるコマンド)は表現しにくく,覚えにくいが,視覚化することは容易

である。

6)

オブジェクトを視覚化し,それを直接操作する方が,仕事をより一層容易に遂行できる。

7)

仕事の内容が,オブジェクトの視覚的な属性を変えることである。

8)

たまにしか行わない仕事である。

9)

複数の実体を一まとまりのものとして,直接操作ができると好都合であり,かつ,それらの実体を,

個別に直接操作する必要の少ない仕事である。

c)

システム能力

1)

正確で精密な直接操作が可能となるような画面解像度及び入力装置を備えている。ほとんどの場合,

これは,グラフィック機能とポインティングデバイスとを備えたハードウェアを意味する(英数字

表示とカーソルキーしか使えない場合でも,直接操作インタフェースを設計することはあるが)

2)

オブジェクトの図表現を,十分に能率よく生成する能力をもっている。

3)

ユーザーの直接操作に対して,即座にフィードバックを与えるだけの十分な能力をもっている。

4.2

推奨事項の適用  全般的な人間工学設計目標は,5.9.にそれぞれよる。これらの目標を達成するた

めの各推奨事項には,その推奨事項を当てはめるのに適した具体的な状況(例えば,ユーザー,仕事,環

境,技術の種類)があり,それに添って適用することが望ましい。各推奨事項の記述形式は,推奨事項,

備考,例及び参考とする。備考,例及び参考は,必ずしもすべての推奨事項にはない。

推奨事項に対し与えている例は,大体が推奨事項を具体的に実現した例であるが,あるものは望ましい

実現案を示している。

個々の推奨事項が,適用可能かを評価し,適用可能と判断すれば,該当する直接操作対話中に,その推

奨事項を具体化することが望ましい。ただし,結果として設計目標に外れたり,使いやすさを全体的に低

下させないという確証があれば,必ずしも推奨事項に従い具体化しなくてもよい。適用可能かを決定する

場合,推奨事項は,一般には該当する箇条における記載順で評価するとよい。適用可能な推奨事項に従っ

ているかを判定する場合,評価者は,ユーザーが直接操作対話システムを使って仕事を行う状況で製品を

評価するか,又は製品の代表的なユーザーを観察することが望ましい。

適用可能性を決定する上での,

及び推奨事項に従っているかを判定する上での助けとなる見本の手順を,

附属書 に示す。

4.3

製品の評価  ある製品を,この規格中の適用可能な推奨事項に適合していると主張するには,その

直接操作対話の要求事項を設定するときに用いた手順,並びにその直接操作対話を開発する及び/又は評

価するときに用いた手順を,明確に指定しなければならない。手順指定の詳細度は,関係者間の協議事項

とする。


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5.

一般

5.1

比ゆ表現  比ゆ表現は,仕事に直結したオブジェクトに働きかけているという印象を与えるもので

あることが望ましい。

比ゆ表現を直接操作対話の設計で助けになるものとして利用することが多い。しかし,実世界での制御

の仕方が必ずしも直接操作対話の方法として適切であるとは限らない。実世界での手順をより一層効率化

するインタフェースを目指す場合には,特にそうである(例えば,ある主題を電子ブックで見ようとする

場合に,

“本”の比ゆ表現に従ってページを追って探していく方が,キーワードをクリックして直ちに該当

箇所へと移るよりも,かえって効率的ではない場合がある。

ユーザーになじみがあり,システムについてのユーザーの理解を容易にする概念を与えることで,シス

テムの使い方を,ユーザーが予想できるようにする比ゆ表現を用いることが望ましい。採用した比ゆ表現

は,ユーザーが仕事の計画を立てる上で,及び仕事を実行していく上において手引きとなることが望まし

い。

5.1.1

枠組みの提供  比ゆ表現を使う場合,その比ゆ表現が,実世界との類推と整合した概念の枠組み及

び状態についての情報とを提供すること,及びどんな直接操作が可能で,その及ぼす効果は何かについて

のユーザーの理解をその比ゆ表現が支援することが望ましい。

1.  “部屋”の比ゆ表現では,開いているドアでユーザーが,その部屋の中のものを扱えることを

示す。

2.  文書のアイコンをプリンタアイコンへ移動して印刷を開始する。文書が印刷されている間,プ

リンタアイコンは,用紙が出てくる形の表現に変わる。

3.  顧客管理のアプリケーションでは,“見出しつまみのついた帳面”の比ゆ表現を用いて,顧客の

いろいろな関連データを分類整理し,見出しつまみを利用して必要データを取り出せるように

している。

4.  “オフィス環境”の比ゆ表現では,ある文書の削除は,ユーザーがその文書を選択し,それを

くずかごアイコンまでドラッグして,捨てることで実現できる。

5.1.2

認知しやすい比ゆ表現  ある比ゆ表現を使う場合,その比ゆ表現は,十分に認識しやすいものであ

ることが望ましい。

例  “帳面”の比ゆ表現を使う場合,データシートはページに似た外見に設計し,ナビゲーションに

用いるコントロールは,

“見出しつまみ付き仕切りページ”に似たものとして,特定のページに移

るために,ユーザーが直接的に選択できるように設計する。

5.1.3

比ゆ表現の当てはまる範囲  比ゆ表現がシステムのある部分には当てはまらない場合,このことを

ユーザーに対して明りょうに指摘することが望ましい。比ゆ表現の当てはまる範囲に関して,ユーザーの

混乱が生じそうな場合,比ゆ表現を利用することが適切かどうかを再検討することが望ましい。

1.  “デスクトップ”の比ゆ表現では,場所を動かせるオブジェクトにも,場所を変えられないア

クションボタンにもアイコンを用いている。両者の違いをアイコン外周の枠の形を変えて指摘

する。

2.  “デスクトップ”の比ゆ表現では,あるオブジェクトをあるフォルダへとドラッグする同じ操

作が,行き先となるフォルダの違いによって異なる結果(移動か,複製か)となる。移動とな

るか,複製となるかの違いが分かるように,システムからのメッセージでユーザーに対して明

りょうに指摘する。

3.  “デスクトップ”の比ゆ表現では,文書を表すアイコンをシュレッダアイコンへとドラッグし


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て,ある文書を削除できるが,アプリケーションソフトウェアの場合には,シュレッダアイコ

ンへとドラッグすることでは削除できず,別の手段を用いて行うべきであることを,システム

からのフィードバックで指摘する。

5.2

直接操作で使用するオブジェクトの外観  直接操作対話では,オブジェクトを扱う,探す,見分け

る,理解するなどの作業をユーザーが行う上で,及び直接操作を容易に,正確にユーザーが行う上で助け

となるような情報を提示することが望ましい。このために,この箇条中の推奨事項を適用することが望ま

しい。さらに,ISO 9241-12 の 4.1“Characteristics of presented information”を適用することが望ましい。

5.2.1

操作領域の適切な大きさ  ユーザーが,迅速,かつ,正確にポインタで選択できるように,選択領

域及び操作領域は,十分な大きさをもつことが望ましい[JIS Z 8524 の 7.5.1 b)参照]

備考  ポインタ,入力装置(例えば,指,マウスポインタ)などの種類,及び利用の状況に応じて,

操作領域の適切な大きさは異なる。

5.2.2

オブジェクトと直接操作用コントロールアイコンとの間の見分けやすさ  直接操作インタフェー

スにおける視覚設計は,直接に操作できるものと変更できないその他の要素とを,ユーザーがはっきり識

別できるようにするだけでなく,選択したオブジェクトに対して,どんな種類の直接操作が可能なのかを

明りょうに示すものであることが望ましい。

1.  直接的には操作できないテキスト形の要素と,テキストオブジェクトとを,囲み枠を使って区

別する。さらに,ポインタが操作可能なテキストオブジェクトの領域に入った場合だけ,ポイ

ンタをアイビームの形に変える。

2.  ある図形オブジェクトが直接操作できるかどうかを,このオブジェクトを選択した場合に,表

示するハンドルの種類を変えることで,及びポインタがそのオブジェクトのハンドル上にある

ときのポインタの形を変えることで示す。

5.2.3

利用できないオブジェクト及びコントロールアイコンの外観  ある時点で利用できないオブジェ

クト,属性又は直接操作用コントロールアイコンでも,仕事上適切であれば,表示したままにするのがよ

い。一時的に利用できないことを示すには,同一アプリケーション内に組み込まれたほかの対話手法(例

えば,メニュー対話)で使われている指示の仕方に対して整合した表現方式を利用することが望ましい。

1.  現在用紙が無くなっているプリンタを表すアイコンを暗く表示し,その時点でプリンタが使え

ないこと,及びプリント命令は実行できないことを示す。

2.  現在選択されているオブジェクトと組み合わせては押せないボタンを,暗く表示する。

5.2.4

重要度の低いオブジェクトを隠す  仕事上適切であれば,一時的にあまり重要でないオブジェクト

を,直接操作の結果として,他のオブジェクトの下にしたり,隠したり,表示領域の隅に置いたりしても

よい。

a)

そのオブジェクトの状態は,ユーザーがそのオブジェクトに対し,次の入力を行うまで変えないこと

が望ましい。

b)

再びそのオブジェクトが必要になった場合に,そのオブジェクトを扱う何らかの手段を用意すること

が望ましい。

例  表計算ソフトのシート中の選択されたセルは,ユーザーが文書をスクロールし,その選択された

セルが表示領域を外れて見えなくなっても,選択された状態を維持する。セルの選択状態が変わ

るのは,ユーザーが別のセルを選択したときだけである。

5.2.5

オブジェクトの提示  処理すべきオブジェクトの数又は寸法によって,仕事の完了が困難となる場

合は,オブジェクトの提示方法を,そのどれもが直接操作を可能にする幾つかの提示方法のうちから,ユ


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ーザーが選べるようにすることが望ましい。

例  含まれているオブジェクトをアイコンとして表示することは,多種のオブジェクトが少数含まれ

る場合には適切である。ほとんどが同種の非常に多数のオブジェクトが含まれる場合には,アイ

コンとして表示すると見分けがつきにくく,また,広い表示領域を必要とする。この場合には,

オブジェクトをテキスト表現した方がより効率よく扱える。より多数のアイコンが見えるように

表示領域を拡張することも,ユーザーの能率を向上させる。

5.3

フィードバック  フィードバックは,各直接操作の影響と結果に関する動的な及び状況に関連した

情報をユーザーに提供し,ユーザーが必要な対話段階を踏む上での手引きとなることが望ましい。この目

標を満たすために,箇条中の推奨事項を適用することが望ましい。さらに,ISO 9241-13 の 7.(フィード

バック)の推奨事項を適用するのがよい。

5.3.1

直接操作の種類を示すポインタ  あるオブジェクトの,又はオブジェクトのある部分の直接操作が,

あらかじめ明確に決まっているシステム動作をもたらすなら,ポインタの形でその動作を示すことが望ま

しい(ポインタを扱う ISO/IEC 11581-3 及び ISO 9241-12 の 6.2 参照)

例  −  ポイント動作が行われることを,矢印形のポインタで示す。

−  オブジェクトを一つ移動させる動作は,矢印にオブジェクトの小型版を添えたポインタで示

    す。

−  複数個のオブジェクトを移動させる動作は,オブジェクトの小型版を重ねたものを添えた矢

    印で示す。

−  大きさの変更動作が行われることを,両向き矢印形のポインタで示す。

−  描画動作が行われることを,鉛筆形のポインタで示す。

−  ハイパーテキスト中の相互参照へのジャンプができることを,横向き矢印形ポインタで示す。

5.3.2

利用不可であることを示すポインタ  あるオブジェクトに対して直接操作を施すことができるか

どうかを,ポインタの形で示すことが望ましい。

1.  ポインタを砂時計又は時計の形に変えて,現在行っている処理をアプリケーションが完了する

までこれ以上の直接操作はできないことを示す。

2.  ドラッグ操作の途中で,ドロップできない位置にポインタがあるときは,ポインタを禁止標識

の形に変える。

5.3.3

必す(須)選択肢の催促  ある作業で,直接操作で指定できる以上のデータが必要となる場合は,

次による。

a)

システムがこのようなデータの入力を促すことが望ましい。

b)

システムに余力があり,仕事上適切であれば,システムが選択可能な選択肢を,ユーザーに対して示

すことが望ましい。

c)

システムが既定値をユーザーに示すこと,及び確認を求めることが望ましい。

例  ユーザーがある文書アイコンをプリンタ上へドロップすると,アプリケーションは,部数,印刷

箇所その他のデータの指定を催促する。この場合,プリンタ一覧では,あるプリンタが選択され

ていて,既定値として全ページを部数 1 で印刷することが示される。

5.3.4

直接操作の各段階に対しての即時の及び継続的なフィードバック  システムは,次による。

a)

直接操作の進行に関してのフィードバックを,継続的に与えることが望ましい。

b)

直接操作の各段階が完了したことを示すフィードバックを,直ちに与えることが望ましい。

1.  継続的なフィードバック。ウィンドウ,アイコンなどのオブジェクトを,ある場所から他の場


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所にドラッグする場合は,オブジェクト又はオブジェクトの輪郭を,ポインティングデバイス

の動きに対応させながら画面上で連続的に移動させる。

2.  即時のフィードバック。ユーザーがある文書アイコンを選択したらすぐに,そのアイコンを強

調表示し,それが選択されたことを示す。ある文書が削除されたらすぐに,表示から消す。

3.  即時,かつ,継続的なフィードバック。画面の押しボタンの上にマウスポインタを移動させた

とき,押しボタンの周りに枠が現れて,その部分が何らかの操作の対象であることを示す。マ

ウスボタンを押すとすぐに,画面の押しボタンを強調表示して,選択されたことを示す。マウ

スのボタンを押したままで,ポインタを画面の押しボタンの外へ移動させると,画面押しボタ

ンの周りの枠が消えて,選択が取り消されたことを示す。ポインタを強調表示された押しボタ

ン上に置いた状態でマウスボタンを離すと,強調表示された領域は,二度明滅して何らかの働

きが始まり,システムの処理が開始されたことを示す。

5.3.5

新しく作られた,又は開かれたオブジェクトの表示  仕事上ふさわしくない場合を除いて,オブジ

ェクトを生成する直接操作又はオブジェクトを開く直接操作の結果得られたオブジェクトは,表示の前面

に表示すること,及びそのオブジェクトをユーザーの直接操作しやすい位置に置くことが望ましい。

例  新しくウィンドウを開いた場合,そのウィンドウを,画面上にある他のすべてのオブジェクトよ

りも前面に表示し,キーボードからの入力が,そのウィンドウに入るようにする。

5.4

入力装置  マウス,トラックボール,タッチパネルの場合の指などのような入力装置を適切に選ん

で,仕事で要求される操作に,直接さと自然さの感覚を与えることが望ましい。この目標を満たすために,

この箇条の推奨事項を適用することが望ましい。

5.4.1

代替装置  一つのポインティングデバイスによって,すべての直接操作が行えることが望ましい。

もし,ポインティングデバイス以外の代替的な装置が利用できる場合には,直接操作のうちで代替装置を

使って行う方が適している種類の直接操作は,

その代替装置を使っても行えるようにすることが望ましい。

例  オブジェクトを大きく移動させるような操作にはマウスを使用する。オブジェクトの精確な位置

決めのような直接操作には,カーソルキーを使ってポインタを動かす。

5.4.2

等価なキー操作  ポインティングデバイス(例えば,マウスなど)を扱いにくいと感じるユーザー

のために,キーボード又はキーボードと同等の装置を用いたのと同じ結果の得られる相当手法を,準備す

ることが望ましい。その場合の手法は,必ずしも直接操作に基づくものでなくともよい。

例  文書を開くのに,ポインティングデバイスを用いて,文書アイコン上でダブルクリックして開く

ことができる。その代わりに,タブキーを使って文書アイコンを選択し,カーソルキーを使って

その文書を開くメニュー項目を選び,リターンキーでその文書を開くこともできる。

5.4.3

入力装置間の切り替えを最少に  直接操作対話は,異なる入力装置の間をユーザーが切り替える必

要を最小限とするように,設計することが望ましい。

例  書式に記入して完成させるのに,ユーザーは,各欄をマウスで選択し,入力候補値一覧から項目

を選ぶ。慣れるにつれて,タブキーで各欄へカーソルを移動させ,キーボードでテキストを入力

する。このようにして,ユーザーが入力装置間を切り替える必要を減らし,効率を向上させる。

参考  入力装置間の切り替えは,生理的負担のかかり方に変化をもたらし,その結果,長時間同一動

作がもたらすおそれのある筋骨格系障害の危険性を,減らす手段となることもある。

5.4.4

複数ボタン  入力装置が複数個のボタンをもつ場合は,選択動作を,第 1 ボタンとされているもの

(慣習的に,又はユーザーの好みで)に割り当てるのがよい。


10

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:2006 (ISO 9241-16:1999)

6.

オブジェクトの操作

6.1

全般  オブジェクトの直接操作に基づく対話は,学習時間が少なくて済み,ユーザーの作業成績を

向上させるように設計することが望ましい。ユーザーは,直接操作を行ったらすぐにその結果を見ること

ができ,また,容易に他の直接操作へと移行できることが望ましい。ユーザーが,オブジェクトを自分に

合わせて作り変えることのできる度合,及びオブジェクトを直接的に操作できる度合は,オブジェクトの

属性の個数とその値で決まる。したがって,ユーザインタフェースの設計は,属性をユーザーが容易に扱

え,変更できるようにすることが望ましい。この目標を満たすために,次の推奨事項を適用することが望

ましい。

6.1.1

総括的な直接操作  仕事上,色々な種類のオブジェクトに対して類似した操作が必要であれば,一

貫した総括的な直接操作を用意することが望ましい。

1.  テキストオブジェクトでも,ファイルオブジェクトでも,そのオブジェクトを選択し,くずか

ごへとドラッグして削除できる。

2.  ページレイアウトに関するテキストの特性(両端,段,タブ間隔)は,ドキュメント内で対応

するハンドル,マーカーなどを直接動かすことで変更できる。

6.1.2

オブジェクトに対しての直接操作の手順  仕事の上で,別の順序が求められるのでなければ,オブ

ジェクトの変更は,一貫して“まずオブジェクトの選択,次に直接操作”の順で行われることが望ましい。

例  ドキュメントを選択してから“印刷”のコントロールアイコンを起動する。

6.1.3

適切なオブジェクト又は直接操作の自動的な操作  ユーザーが,予期した順序に従わずに操作した

(オブジェクトを選択せずに,直接操作を行おうとした)場合は,システムがユーザーに通用する選択肢

の範囲を提示して操作を促すか,選択肢の範囲の決め方についての情報を提供するのがよい。

例  電話システムでは,人のアイコンは顧客を,電話のアイコンは電話をかける操作を表す。想定し

ている入力手順は,電話アイコンを起動する前に,顧客を選ぶことであるが,もし,ユーザーが

先に電話アイコンを起動した場合には,システムは,エラーメッセージを出さずに,顧客一覧を

提示して選択を求める。

6.1.4

出力の直接操作  仕事上適切であれば,直接操作の結果は,更に直接操作によって変更可能な形式

で表現されることが望ましい。

1.  表計算ソフトでは,データから棒グラフを作成できる。データは,表計算ソフトの中で入力で

きるし,棒グラフの棒の高さを,ポインティングデバイスで直接的に変えることによっても入

力できる。

2.  コンテナオブジェクトを表すアイコンをダブルクリックすると,含まれているオブジェクトの

一覧を表示するウィンドウが開く。含まれている各オブジェクトも,また同様に,直接的に操

作(例えば,複製,移動,編集)できる。

3.  ユーザーがテキスト文書を作成する場合,まだそれに名前を付けていない間は,システムは,

“無題 1”のような既定の名前を付けておいて,ユーザーが直接に上書きできるように選択状

態にしておく。

6.1.5

直接操作を施す前の状態への復帰  復帰可能な場合には,直前の直接操作を施す以前の状態に復帰

させるのに,ユーザーが直接操作を利用できることが望ましい。

1.  あるオブジェクトが選択された場合,選択取消が可能である。

2.  あるファイルが,くずかごへとドラッグされた場合,くずかごを空にする操作が実行されない

限り,ドラッグして戻すことができる。


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備考  この推奨事項があるからといって,設計者は,以前の状態に復帰するための他の方法を考えな

くても済むわけではない(例えば,アンドウ機能,エラー管理についての詳細は,ISO 9241-13

の 9.を参照。

6.1.6

属性の直接操作  能率を重視する場合,及び仕事上適切である場合には,オブジェクトの目に見え

る属性を直接操作して,オブジェクトの外観を直ちに変えられることが望ましい。その他の目に見える形

で表示されない属性は,別のウィンドウ又はメニューで扱えればよい。

1.  棒グラフの棒の高さを,棒の上辺を希望する値へドラッグすることで変更できる。

2.  必要なデータすべてを,同時に表示するように設計されているウィンドウがある。このような

場合,ユーザーは,ウィンドウの“位置”属性を直接的に変える(ウィンドウを移動させる)

ことはできるが,ウィンドウの高さ及び幅の変更は許されない。

3.  単色画面を用いている場合,オブジェクトの色は直接には表示できないので,別の場所に,現

行の又は既定の色の色彩値表現(例えば,RGB 値)を別の場所に表示してもよい。

備考  オブジェクトの目に見える属性を別のウィンドウを使って変更する場合,そのウィンドウを開

いたままにしておいて,ユーザーがそれ以後にも属性値を変更,訂正できるようにすると役立

つ場合もある。

6.2

ポイントし,選択する動作  ユーザーが,ポイントし,選択する動作によって,直接操作可能なオ

ブジェクトを,容易に選ぶことができるようにすることが望ましい。この目標を満たすために,次の推奨

事項を適用することが望ましい。

6.2.1

ポイント動作及び選択動作の視覚化  一連の適切な視覚的手掛かりを通じて,ポイント動作及び選

択動作に関する状況を,ユーザーが把握できるようにすることが望ましい。具体的には,次のことがユー

ザーにとって明らかであるのがよい。

a)

ポイント動作中:ポインタの現在位置ではどの要素が選択されることになるか。

例  ポインタの下に表示されているどの要素が選択されるかは,矢印形ポインタの先端の位置で決ま

る。

b)

選択動作中:そのとき選択されつつあるオブジェクト。

例  マウスのボタンを押しながらポインタを動かすと,点線で四角形が表示されて,その四角形領域

中に含まれるオブジェクトを選択しようとしていることを示す。

c)

選択段階の後:最終的に選択されたオブジェクト。

例  マウスのボタンを放すと,四角形が消え,選択されたオブジェクトが強調表示される。

6.2.2

オブジェクトをポイントする動作及びオブジェクトの間をポイントする動作  仕事上適切であれ

ば,入力位置を定めるために,オブジェクトをポイント及び選択できるだけでなく,オブジェクト以外の

領域をポイントできることが望ましい。

1.  テキストを挿入するために,ユーザーは,文字と文字との間にテキストカーソルを置くことが

できる。

2.  あるファイルをその入っている場所からデスクトップ上に複製しようとして,ユーザーは,デ

スクトップの他のファイルアイコンの間の場所を,ポインティングデバイスで複製先位置とし

て選択できる。

6.2.3

オブジェクトを一つだけ選択する仕組み  ユーザーが,選択肢一覧から一つだけ選択肢を選ぶ,又

はオブジェクト群から一つだけオブジェクトを選ぶ必要がある場合,どれかを選んだときには,それ以前

に選択されていたものを,自動的に取り消すことが望ましい。さらに,全く選択しないことも許される場


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合には,選択を取り消す仕組みを用意することが望ましい。

6.2.4

複数のオブジェクトを選択する仕組み  ユーザーが,選択肢一覧から複数個の選択肢を選ぶ,又は

オブジェクト群から複数のオブジェクトを選ぶ場合,複数個選択できることを示す視覚的手がかりを与え

ることが望ましい。さらに,次の両方を満たす仕組みを用意することが望ましい。

a)

一連の項目を選択できる。

b)

任意の項目の組合せを選択できる。

例  項目一覧から選択する場合,第 1 要素から第 5 要素まで選択指摘をドラッグして,連続した五つ

の項目が選択できる。この他に,まず第 1 要素,次に第 4 要素,更に第 6 要素というような,別

の形で項目の任意の部分を選択することもできる。

6.2.5

複数個のオブジェクトの同時直接操作  仕事上及び/又は扱うオブジェクトの性質上適していれ

ば,それぞれのオブジェクトに対して適用可能な直接操作は,同種の複数個選択されたオブジェクトに対

しても適用可能であることが望ましい。

例  複数個のファイルをまとめて選択し,プリンタアイコンへドラッグすることで,それら複数のフ

ァイルを印刷できる。

6.2.6

オブジェクトを直接操作するための選択領域  オブジェクトを直接操作できるようにするために,

直接操作可能なオブジェクトには,次の条件を満たす領域をもたせることが望ましい。

a)

その領域が選択可能であることを,ユーザーにはっきりと分かりやすく示す。

b)

選択操作がしやすい。

1.  大きさを変えられる図形オブジェクトには,その縁にハンドルを付ける。高さ,長さ,径及び

角度を変えるのに,それぞれのハンドルを用いる。

2.  大きさを変えられるウィンドウには,枠の隅の何箇所かに目印を付けて,そのウィンドウの大

きさ変更が可能であることを示す。ポインタが大きさ変更の操作ができる位置にきたときには,

ポインタの形を変えてそのことを示す。

6.2.7

オブジェクト選択の組織化  オブジェクトの数又は大きさが,選択及び直接操作しやすい範囲を超

えた場合,グループ化などの組織化機能を用意することが望ましい。

例  複数の文書アイコンがフォルダに入っている場合,このフォルダを選択し,直接操作することで,

このフォルダ中のすべての文書の選択,移動などの直接操作ができる。

参考  より身近な例としては,描画ソフトでは,複数の図形要素をグループ化し,それらをまとまっ

た図形オブジェクトとして組織化することによって,グループ化したすべての図形要素に対し,

容易に直接操作(移動,サイズ変更など)できる機能がある。

6.2.8

隠れたオブジェクトへのアクセス  あるオブジェクトの一部又は全部が,他のオブジェクトと重な

って隠れている場合,ユーザーは,このオブジェクトを表示の最前面へもってきたり,それを隠している

オブジェクトを,直接操作によって,移動又は削除できることが望ましい。

1.  ユーザーが文書中のつづりを検査するために辞書を起動した場合,処理している文書のテキス

トが一部分隠れてしまう。そのときユーザーは,辞書のウィンドウを動かして,その文書が再

び見えるようにできる。

2.  システムは,進行状況表示をもつメッセージウィンドウを自動的に画面中央に表示する。この

メッセージウィンドウは,閉じることも,別の場所に動かすこともできるので,ユーザーは,

メッセージウィンドウで隠れた情報を用いる作業を続けることができる。

6.2.9

効率向上の仕組み  仕事の性質及びユーザーの経験水準から見て適切であれば,システムは,近道


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をとる仕組みを提供することが望ましい。

1.  一つのオブジェクトの幾つかの属性を個別に変える代わりに,単一の直接操作で,他のオブジ

ェクトからそれら属性をまとめて複写することができる。

2.  オブジェクトの選択をある階層構造内で拡張する場合,複数回のクリックを用いる(文字の選

択から単語の選択へと拡張するのにダブルクリックする,文の選択へと拡張するのにトリプル

クリックするなど。

3.  データベースアプリケーションでは,同一の探索条件を適用しながらレコードを探すことが多

い。この場合に,ユーザーは,探索条件を記述したフィルタオブジェクト(アイコンとして表

示される。

)を作り,探索条件をその都度入力する代わりに,フィルタオブジェクトをデータベ

ースオブジェクトの上へと動かすだけで,探索を開始できる。

6.2.10

ダブルクリック動作の利用  ダブルクリック動作によって,あるオブジェクトの選択とその起動と

の両方を,一動作で併せて指示できるようになっている場合にも,オブジェクトの選択とその起動とを明

確に,別々の動作で行う余地をユーザーに提供することが望ましい。

6.2.11

ユーザーによる複数回クリックの時間間隔設定  ある直接操作を複数回のクリック動作で指示す

る場合には,複数回のクリック動作として扱うためのクリック間の時間間隔を,ユーザーが変更できるこ

とが望ましい。

6.2.12

オブジェクトの選択状態の継続  仕事上適切であれば,直接操作を施した後もオブジェクトの選択

状態を維持して,ユーザーが選択し直さなくても,直接的な操作を続けられるようにすることが望ましい。

6.2.13

入力フォーカスの置き直し  あるオブジェクトを画面から消した場合,システムは入力フォーカス

をユーザーが最も使いそうなオブジェクトに,自動的に置き直すことが望ましい。その予想がつかない場

合には,利用できるオブジェクトのうちから合理的な基準で選択したものに,入力フォーカスを自動的に

置き直すのがよい。

1.  ユーザーがあるアプリケーションで一群の文書を扱っていて,そのうちの一つを閉じた場合,

閉じた文書の直前に使っていた同じアプリケーションの別の文書ウィンドウに入力フォーカス

を置く。

2.  デスクトップ上のオブジェクトを開いて表示したウィンドウ中にあるデータを,ユーザーが変

更中で,他にアプリケーションは開いていない。そのオブジェクトのウィンドウをユーザーが

閉じると,入力フォーカスはデスクトップへ移り,ユーザーがアイコンを選択し直さずとも直

接操作を継続できるように,以前に開かれていたオブジェクトのアイコンが選択される。

6.3

ドラッグ動作  表示自体を配置し直すためにも,システムコマンドを直接的に起動するためにも,

表示されているオブジェクトの位置を,ユーザーが,ドラッグ動作によって変えることができることが望

ましい。この目標を満たすために,6.3.16.3.8 の推奨事項を適用することが望ましい。

6.3.1

ドラッグ動作の視覚化  ドラッグ動作中は,直接操作の進行を,一連の適切な視覚的手がかりで説

明することが望ましい。次のようなことをユーザーに示すことが望ましい。

a)

ドラッグ動作の開始前には,選択されたオブジェクト。

b)

ドラッグ動作中には,ドラッグされているオブジェクト。

c)

ドラッグ先となり得る画面上の場所又はオブジェクト。

d)

ポインタの現在位置で,オブジェクトをドロップできるかどうか。

例  印刷を実行するためには,ある文書を“プリンタ”にドラッグする。次のようなシステムの動き

によって直接操作を明らかに説明する。文書が選択されると,その文書アイコンを強調表示する。


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文書アイコンをドラッグしている間は,アイコンをグレー表示し,アイコンの外枠をポインタに

追随させ,プリンタアイコンへと動かす。文書をドロップしても意味がないオブジェクトの上を

ポインタが動いている間は,ポインタは“禁止”シンボルに変わる。ポインタがプリンタアイコ

ンの上を動いている間,そこがターゲットであることを示すために,アイコンの周りに枠を表示

する。

6.3.2

複数オブジェクトのドラッグ動作  選択した複数のオブジェクト間の空間的な関係が仕事上で重

要ならば,この関係をドラッグ動作中及び動作後も維持することが望ましい。

6.3.3

ドラッグ動作の意味の違い  選択したオブジェクトを移動させる以外の目的に,ドラッグ動作を用

いる場合には,そのことを示す視覚的手掛かりを与えることが望ましい。

例  ユーザーが表示されているオブジェクトの(移動ではなく)複製を直接操作によって行いたい場

合には,このオブジェクトをドラッグするときに,修飾子キーを押しながら行う。この場合,複

製元のオブジェクトは変化せず,オブジェクトの複製がドラッグされる。ポインタの形を変える

ことによって,複製動作中であることを示す。

6.3.4

オブジェクト間の規定された相互作用  あるオブジェクトを別のオブジェクトを使って直接的に

操作する動作は,用いている比ゆ表現に照らして適切であることが望ましい。

1.  あるファイルをプリンタへ送るためには,ファイルアイコンをプリンタアイコンにドラッグし,

プリンタアイコンをファイルアイコンへはドラッグしない。

2.  図の一部を消去するためには,消しゴムアイコンを図の上でドラッグする。

3.  あるファイルをフォルダへ入れるには,ファイルアイコンをフォルダアイコンへとドラッグし,

フォルダアイコンをファイルアイコンへはドラッグしない。

6.3.5

オブジェクト位置のユーザーによる制御  仕事の性質及び用いている比ゆ表現に適しているなら,

例えお互いに重なっても,画面上で自由な位置にオブジェクトを置けることが望ましい。

1.  両方を画面に表示するには大きすぎる二つのウィンドウで,二つの文書を処理しているとき,

ユーザーは,一方のウィンドウを一部分,他方の上に重ねることができる。

2.  ある図又はテキストの部分を,文書内の別の位置へ置くために,選択したオブジェクトを,直

接的にドキュメント内の目的とする位置へとドラッグさせることができる。

6.3.6

隠れたオブジェクトの扱い方  オブジェクト又はオブジェクトの一部が隠れたり,表示画面の外へ

出たりする場合でも,ユーザーが隠れたオブジェクトを扱うことができ,見える位置に置き直すことがで

きることが望ましい。

1.  スクロールバーを直接的に操作して,フォルダ中の隠れて見えないファイルアイコンを,見え

る領域中へと置き直すことができる。

2.  大きな地図をウィンドウ中に表示していて,地図がウィンドウ領域よりも大きい場合には,ユ

ーザーは,ウィンドウの表示倍率を変えたり,ウィンドウの寸法を変えたり,地図をスクロー

ルして表示面中に移動したりできる。これらの操作はすべてドラッグ動作で実行できる。

6.3.7

オブジェクトのウィンドウ内での自動表示  オブジェクトの属性又はオブジェクトを入れるコン

テナの属性によって,オブジェクト間のある位置関係が必要となる場合には,次による。

a)

ドラッグしたオブジェクトは,自動的に位置決めされることが望ましい。

b)

ドラッグしたオブジェクトを含むウィンドウの部分を,自動的に表示することが望ましい。

例  英字順に表示するよう設定したファイルブラウザ中に,ファイルアイコンをドラッグすると,ド

ロップした位置にかかわりなく,英字順で自動的に位置決めされる。そのファイルが見えるよう


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に,ウィンドウは自動的に表示し直される。

6.3.8

オブジェクトのウィンドウ内での人手による配置  オブジェクトの属性又はオブジェクトを入れ

るコンテナの属性が,オブジェクト間のある位置関係を必要としない場合には,ドラッグしたオブジェク

トは,ユーザーがドロップした場所にそのまま置くことが望ましい。

例  ユーザーが円を,ある図から別の図へドラッグした場合には,円図形は,ドラッグ動作の最後で

ポインティングデバイスのボタンを離した場所に置かれる。

6.4

オブジェクトの寸法変更動作  画面自体を再整理するため,又は表示されたオブジェクトを直接操

作するために,寸法変更の動作によって,ユーザーが表示されたオブジェクトの寸法を変更できるように

することが望ましい。この目標を満たすために,次の推奨事項を適用することが望ましい。

6.4.1

寸法変更動作の視覚化  寸法変更動作中は,直接操作の進行を,一連の適切な視覚的手掛かりで説

明することが望ましい。次のようなことをユーザーに示すことが望ましい。

a)

寸法変更をするには,選択されたオブジェクトのどの部分を操作すればよいかの手掛かり。寸法変更

動作の前だけでなく後にも,この指摘が与えられることが望ましい。

b)

もし,そうした方が適切である場合には,寸法変更動作中に,オブジェクトのはじめの寸法,及びど

こまで変更されているかという現状の寸法。

例  製図アプリケーションでユーザーがだ円を選択した場合,ハンドルが表示され,それを用いてユ

ーザーがだ円の寸法を変更できるようになる。

寸法変更動作の間,元のだ円は始めのままの寸法で表示されつづけ,その一方で点線の枠がポ

インタの動きにつれて連続的に変化しながら表示され,寸法変更の状況を示す。

寸法変更作業が完了すると,変更した寸法のだ円に,再びハンドルが表示される。

6.4.2

寸法変更の仕組み  オブジェクトの寸法変更が要求される仕事では,システムは,一つの次元の寸

法変更及び複数の次元を同時に寸法変更できるようにすることが望ましい。

例  四角形オブジェクトの隅を選択すると,高さと幅が同時に寸法変更でき,辺を選択すると,その

辺の次元に関してだけ寸法変更ができる。

6.4.3

寸法表示  寸法変更操作時に,ユーザーが,オブジェクトの寸法を正確に監視する必要がある場合

は,寸法変更操作中のオブジェクトの寸法を連続的に示す定量的な表示を,提供することが望ましい。

6.4.4

寸法変更の相補操作  図形オブジェクトの寸法変更を行う直接操作は,寸法の増減両方向に適用で

きることが望ましい。

6.4.5

拡大縮小動作  仕事上適切であれば,ユーザーが,オブジェクトの表示倍率を変更して,適切な詳

しさで扱える,又はオブジェクトの表現を一操作で直接的に拡大縮小できるのがよい。

6.4.6

伸縮比の直接操作  オブジェクトの拡大縮小が要求される仕事では,伸縮比を直接操作する仕組み

を提供して,ユーザーの直接操作に対応して,寸法の変化が滑らかで連続した動きとして表示されること

が望ましい。

例  ウィンドウ内に表示されているものを拡大縮小する手法には,スライダを用いる,ズームイン/

アウトボタンを用いるなどが考えられる。

6.5

回転  画面を再整理するため,又は表示されたオブジェクトを直接操作するため,回転動作によっ

て,ユーザーがオブジェクトの向きを変更できるようにすることが望ましい。この目標を満たすために,

次の推奨事項を適用することが望ましい。

6.5.1

回転の視覚化  回転動作中は,直接操作の進行を,一連の適切な視覚的手掛かりで説明することが

望ましい。次のようなことをユーザーに示すことが望ましい。


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a)

回転動作の前及び後に,選択されたオブジェクトを回転するには,そのオブジェクトのどの部分を操

作すればよいか。

b)

回転動作中に,オブジェクトのはじめの向きと,どこまで変更されているかという現在の向き。

6.5.2

オブジェクトの回転  仕事上適切であれば,オブジェクトの向きを直接操作する仕組みを提供し,

ユーザーの直接操作に対応して,回転の様子が滑らかで連続した動きとして表示されることが望ましい。

7.

テキストオブジェクトの直接操作に関する追加推奨事項

7.1

ポイント動作及び選択動作  直接操作対話でテキストを編集する場合は,文字,単語,文,段落と

同様に,文字も等しくオブジェクトとして扱うことが多い。ポイント動作及び選択動作によって,ユーザ

ーが仕事に適したテキストオブジェクトを容易に選択できることが望ましい。この目標を満たすために,

7.1.1

及び 7.1.2 を適用することが望ましい。

7.1.1

テキストカーソルを置く位置  ポインティングデバイスを用いることによって,ユーザーは,テキ

ストカーソルを,文字又は文字と文字との間に置けることが望ましい。

7.1.2

テキストオブジェクト選択の効率化  テキストを能率よく直接操作するためには,ユーザーになじ

(馴染)みのあるテキストオブジェクトを参照しながら,テキストを選択する仕組みを備えることが望ま

しい。

例  テキストを処理するプログラムは,はん(汎)用的な選択の仕組みのほかに,単語(ダブルクリ

ックで)

,文(トリプルクリックで)

,行,段(多段組の場合)

,段落,ページ及び文書全体を一操

作で選択する仕組みを備えている。

7.2

テキストの寸法変更動作  寸法変更動作は,図形オブジェクトの直接操作に類似した直接操作を用

いることによって,ユーザーがテキストの配置寸法を変更するのに適した手段である。この目標を満たす

ために,7.2.1 及び 7.2.2 を適用することが望ましい。

7.2.1

ページ配置属性の直接変更  仕事上適切であれば,文書内に置かれたハンドル,マーカなどを直接

操作することによって,ユーザーは,ページ配置の属性(例えば,両端境界,段,タブ間隔)を簡単に変

更できることが望ましい。

7.2.2

テキスト属性の直接操作  仕事上適切であれば,ユーザーは,テキストオブジェクトの属性を図形

オブジェクトを扱うように,直接的に操作(例えば,寸法,形状の変更及び拡大縮小)できることが望ま

しい。

例  描画アプリケーションでは,テキストオブジェクトは,四角形,円などと同様に扱われる。オブ

ジェクトを選択すると,ハンドルが表示されて,ユーザーはそれを用いてオブジェクトの寸法変

更ができる。テキストオブジェクトのハンドルをドラッグすれば,テキストオブジェクトの寸法

は徐々に増減する。

8.

ウィンドウの直接操作に関する追加推奨事項  8.18.3 は,ウィンドウの直接操作にかかわる推奨事

項を提供する。このほかに,ウィンドウの表示設計,ウィンドウ配置及びウィンドウ内での情報の提示に

ついての推奨事項(ISO 9241-12 の 5.3 参照)を適用することが望ましい。

8.1

総説  仕事上関連のある複数のデータ及びオブジェクトを,ユーザーが同時に扱えるようにするた

めに,ウィンドウを使用する。ウィンドウは,ユーザーが作業環境に適応し,個別の仕事領域を区別する

上での助けとなることが望ましい。この目標を満たすために,次の規定を適用することが望ましい。

8.1.1

ウィンドウ内容の多段階移動  ユーザーが,ウィンドウの内容を垂直又は水平方向に動かすことが


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可能で,関連する情報が,そのときのウィンドウの大きさで表示できる量を大きく超えていれば,適切な

量でスクロールする仕組みを提供することが望ましい。

例  テキストを一行,又は一段落単位のほか,一度に 1 ページ分,又はそのときのウィンドウ枠の大

きさ分スクロールできる。

8.1.2

ウィンドウ内容のスクロールバーによる移動  スクロールバーを使って,ウィンドウ内容を動かす

場合は,視野枠を動かす方式,すなわち,視野枠が表示データの上を移動する方式を適用することが望ま

しい。

例  ウィンドウの縦スクロールバーの上向き矢印をクリックすると,見えているデータは下方へ動き,

下向き矢印をクリックすると,上方へ動く。

8.2

ポイント動作及び選択動作  ポイント動作及び選択動作によって,ユーザーがウィンドウを,直接

操作可能なウィンドウ部分を,及び直接操作可能なウィンドウ内容を選択できるようにすることが望まし

い。この目標を満たすために,次の規定を適用することが望ましい。

8.2.1

ユーザーの選択動作に応じたウィンドウ内容の再整理  ユーザーが直接操作で選択しているオブ

ジェクトの範囲が,そのときのウィンドウ表示領域を超える場合は,ユーザーが選択動作を止めるまで,

ウィンドウ内容を自動的に移動又はスクロールすることが望ましい。

例  選択指摘をテキスト上でドラッグすることで,テキスト部分を選択できる。選択指摘がウィンド

ウの端に達してもまだ選択を続けていれば,自動的にスクロールして必要なテキスト部分が表示

され,選択部分が拡張される。

8.2.2

最小限のユーザー入力  ウィンドウで多用する直接操作は,最小限のマウスクリック,打けん(鍵),

及び/又はカーソル操作で開始できるようにすることが望ましい。

例  ユーザーは,

−  ウィンドウの見えている一部をクリックすることによって,ウィンドウの隠れた部分を見る

ことができる,

−  ウィンドウの“隠す”アイコンを起動するだけで,そのウィンドウを隠すことができる。

8.3

ウィンドウの寸法変更  ウィンドウ中の作業領域を直接的に変更することで,ユーザーが扱うオブ

ジェクトを適切に増減できるような,ウィンドウの寸法変更動作が望ましい。この目標を満たすために,

次の規定を適用することが望ましい。

8.3.1

ウィンドウ寸法の直接操作  ウィンドウ中の作業領域を直接的に変更することで,ユーザーが扱う

オブジェクトを,適切に増減できるようなウィンドウの寸法変更動作が望ましい。この目標を満たすため

に,次の規定を適用することが望ましい。

例  ウィンドウの辺(この場合は,縦か横かのどちらか一方向),又はウィンドウの隅(この場合は,

両方向同時)を別の場所までドラッグすることによって,ウィンドウの高さ及び幅を変更する。

8.3.2

ウィンドウ寸法の上下限  システムは,ユーザーが仕事上適切なウィンドウ寸法の最大及び最小限

界を超えてまで,ウィンドウ寸法を直接操作できないようにすることが望ましい。

8.3.3

寸法変更の迅速化手段  ウィンドウの寸法を,最大,最小又は仕事に適した大きさに一操作で変更

する仕組みを提供することが望ましい。

例  クリックするだけで,ウィンドウを最大の大きさに変更するアイコンを,ウィンドウ枠上に置く。

8.3.4

拡大縮小動作  仕事上適切であれば,ユーザーがウィンドウ中の作業領域を,一操作で直接的に拡

大縮小できるようにすることが望ましい。

8.3.5

寸法変更に伴うウィンドウ表示の寸法調節  ウィンドウの寸法を変更した場合,ユーザーの仕事に


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:2006 (ISO 9241-16:1999)

最も適切な方式を次のうちから選定して,ウィンドウの内容表示の調整を行うのが望ましい。

a)

方式 1  ウィンドウ自体と同じ拡大縮小率で,ウィンドウの表示内容を拡大縮小する。ウィンドウ中

に見える内容の範囲は変わらないが,見かけの大きさは異なる。

b)

方式 2  ウィンドウ内の表示内容の大きさはそのままで,変更後のウィンドウ寸法に収まるように並

べ直す。ウィンドウの寸法変更以前に見えていたものの一部が,見えなくなる場合も起こる。

c)

方式 3  ウィンドウ内の各表示内容の大きさはそのままで,変更後のウィンドウ寸法に合わせた並べ

直しを行わない。一部分が見えなくなる場合も起こる。

9.

コントロールアイコンの直接操作についての追加推奨事項  9.1 では,コントロールアイコンの直接操

作についての推奨事項を提供する。代表的なコントロールアイコンに関しては,ISO/IEC 11581 も参照す

る。

9.1

ポイント動作及び選択動作  どんな直接操作が可能かをユーザーが認識しやすくするために,コン

トロールアイコンを用いる場合は,あいまいさのない,ユーザーの期待に合った,仕事に適切な形でコン

トロールアイコンを表現し,ユーザーが扱えるようにすることが望ましい。この目標を満たすために,次

の規定を適用することが望ましい。

9.1.1

コントロールアイコンの起動  コントロールアイコンで表現した直接操作は,ポインティングデバ

イスを用いて実行できることが望ましい。

9.1.2

直接操作の種類の指摘  各コントロールアイコンをどのように直接操作するかを指摘する視覚的

な手掛かりを,ユーザーに対して与えることが望ましい。

1.  押しボタンを立体的に表示してクリックできることを示す。

2.  回転ノブで回転できることを示す。

3.  スライダでドラッグできることを示す。

9.1.3

ユーザーの仕事の比ゆ表現  コントロールアイコンに採用している比ゆ表現が,ユーザーの仕事と

明確に関連していることが望ましい。

1.  押しボタンでユーザーにコマンドを実行させる。

2.  回転ノブ又はスライダを音量設定に使う。

9.1.4

利用可能であるかの指摘  ユーザーに対して,あるコントロールアイコンが利用可能かどうかの指

摘を与えることが望ましい。

例  その時点で利用できないコントロールアイコンそのもの,又はその見出しを薄く表示することに

よって,ユーザーに,そのコントロールの選択及び実行ができないことを示す。

9.1.5

選択及び起動の分離  コントロールアイコンを不用意に起動することを防ぐためには,コントロー

ルアイコンの選択(すなわち,ポインタ又はカーソルをそのコントロールアイコン上に置く。

)と起動の動

作とを,ユーザーに別々に行わせることが望ましい。

9.1.6

適切なコントロールの利用  コントロールの直接操作が,表示データに一貫した効果を与えるよう

に,コントロールアイコンを使用することが望ましい。

例  “本”の比ゆ表現を使ったハイパーテキストアプリケーションにおいて,左向き矢印のついた押

しボタンは,ドイツ語環境では,前のページに移るのに用い,日本語環境(縦書き)では,次の

ページに移るのに用いる。


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附属書 A(参考)適用可能性及び適合を査定する手順例

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

A.1

一般  この附属書は,本体の適用可能な推奨事項が満たされているかを決める手順の例を示す。記

述してある手順は,手引きとしてのものであり,本体そのものの代用として使用すべき厳密な過程ではな

いことに留意する。この手順は,二つの段階からなる。

1)

該当する推奨事項を決める。

2)

該当推奨事項へ適合しているかを決める。

インタフェースの設計は,仕事,ユーザー,環境及び利用可能な技術に依存する。したがって,本体は,

インタフェースの設計及び利用の状況の知識なしには適用不可能であって,全部をそのまま当てはめる規

範的規則群として使うように意図したものではない。それよりも,設計者が,仕事の内容及びユーザーの

要求事項についての適切な知識をもち,技術の使い方を理解していることを前提としている(これには,

資格をもつ人間工学専門家との相談も,実際のユーザーで実験する経験も必要かもしれない。

評価手順は,代表的ユーザーの分析,その代表的及び重要な仕事の分析,並びに代表的利用環境の分析

に基づくことが望ましい。直接操作対話の評価は,一般に次の二つの場合に分けられる。

a)

ユーザー及びユーザーの仕事が既知の場合,代表的な利用環境で,代表的な及び重要な仕事を行って

いる状況下で,評価者が製品を評価又は製品の典型的ユーザーを観察する。

b)

具体的ユーザー及び利用環境が未知の場合,評価者が評価対象である製品中のすべての種類の直接操

作を評価する。

ある製品が,ある推奨事項を満たしているかどうかの決定は,上述の評価中で扱われた種類の直接操作

に基づくのがよい。この規格中の推奨事項を満たすもの以上に優れていることを示すことのできる直接操

作対話も,この規格の推奨事項を満たすものとして受け入れる。

本体のユーザーは,次の項目を列挙して,対象とする直接操作対話が推奨事項を満たしているかを示し

てもよい。

−  評価する直接操作の一覧,

−  適用可能かどうかを決めるのに用いた方法(A.2 に記載)

−  適合しているかを判定するのに用いた方法(A.3 に記載)

−  その結果。

A.2

適用可能性  推奨事項の適用可能性は,次の二つの要因に基づく。

a)

条件部分が含まれていれば,その条件部分の条文が成立するかどうか。条件部分の条文が成立すると

きにはその推奨事項を適用し,成立しないときにはその推奨事項を適用しない。

b)

設計環境:ユーザー集団が未知である,仕事に差異がある,オフィスに騒音が多い,画面の分解能が

異なる,ポインティングデバイスが用意されていないなどのユーザー,仕事,環境及び技術上の制約

で,推奨事項が適用できない場合がある。しかし,設計環境が,ある推奨事項で言及しているユーザ

ー特性,仕事,又は技術上の特徴に該当すれば,その推奨事項は適用可能とする。

ある推奨事項が,適用可能であるかを決める上で利用できる方法には,次のものがある。


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−  システム資料の分析

−  資料的論拠

−  観察

−  分析的評価

−  経験的評価

A.3

に,適用可能性の決定手法について詳しく記載する。

A.3

適用可能性手法

A.3.1

システム資料の分析  システム資料の分析とは,直接操作対話の全般的又は個別的性質を記載して

あるすべての文書の分析を指す。それらには,システム及びユーザー要求事項を含んだ設計資料,操作説

明書,ユーザーの手引き(ユーザガイド)などが含まれる。

A.3.2

資料的論拠  資料的論拠とは,仕事の要求事項及び特性,作業の流れ,ユーザーの技能,適性,習

慣及び癖,類似システムの設計からの試験データなど,文書化された関連する情報すべてを指す。このよ

うな情報は,ある推奨事項が適用可能かの判定に役立つ情報として使えることもある。

A.3.3

観察  観察とは,ある観察可能な性質をもつかについて,直接操作対話を検討又は点検することを

意味する。観察は,直接操作対話を系統立てて調べ,ある推奨事項の適用可能性に関連する特定の性質が

あるか,を判定するのに必要な技能をもっていれば,誰にでも可能である。もともと自明なものだから,

観察結果は,別の人間によって直ちに確認できる。

A.3.4

分析的評価  分析的評価とは,直接操作対話の性質についての該当する(すなわち,その性質に関

しての)専門家による“有識者的”判断のことである。この方法は,一般に,他の情報又は知識の文脈の

下でだけ判断できるような性質の評価に使われる。他にも,分析的評価は,システムが設計文書の形でだ

け存在したり,経験的評価用にユーザー母集団が得られなかったり,時間又は資源に限りがある場合に適

切であろう。分析的評価は,ある推奨事項が適用可能かを決定するのに使うことができる。

分析的評価は,直接操作対話の関連する性質を判断するのに必要な技能及び経験をもつ適切な資格者な

ら,誰でも行うことができる。性質が人間工学的原理の適用にかかわる場合は,専門家はソフトウェア人

間工学に通じている必要がある。性質が,作業環境,システム特性,その他の設計の側面にかかわる場合

は,判定者はその関連領域の専門家である必要がある。

A.3.5

経験的評価  経験的評価とは,代表的なユーザーが用いた推奨事項の適用可能性を判定するための

試験手続きの適用を指す。この方法は,試作システム又は実システムが利用でき,予想される又は実際の

ユーザー層を代表するユーザーが参加できる場合に最適である。多種の試験手続きを使用できるが,どの

場合でも,被験者は,ユーザー集団を代表するもので,結果をユーザー集団全体に一般化できるほど十分

な人数とする必要がある。

経験的評価は,試験方法とその評価方法に適切な技能をもつ者が,実施すべきであることを留意するの

がよい。

A.4

適合  ある推奨事項が,A.2 に記載した判定基準に基づき適用可能な場合,次にその推奨事項が満た

されているか否かを判定する必要がある。適合性は,次にあげる幾つかの方法を用いて決定する。

備考  各推奨事項について適合を決める上で適した方法は,付表 A.1 のチェックリスト中に,推奨事

項ごとに示してある。

−  測定


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−  観察

−  資料的論拠

−  分析的評価

−  経験的評価

適用可能性判定の結果は,しばしば適合を判定する上で重要であることを注意しておく。A.5 に種々の

適合手法について詳しく記載する。

A.5

適合手法

A.5.1

測定  測定とは,直接操作対話の性質に関する何らかの変量を測ること又は算出することを指す。

適合は,測定から得られた値を,推奨事項での値と比較することで判定する。

A.5.2

観察  観察とは,ある観察可能な条件が満たされているかを確認するため,直接操作対話を検討又

は点検することを意味する。観察は,直接操作対話を系統立てて調べ,観察可能な性質についての条文に

従っているかを,判定するのに必要な技能をもつ誰にでも可能である。観察された性質と推奨事項とを比

較して,適合を判定する。

A.5.3

資料的論拠  適合の場合には,資料的論拠は,条件付き推奨事項に対する直接操作対話の適合に関

連した文書情報すべてを指す。情報には,ユーザーの習慣又は癖,試作品での試験データ,類似システム

の設計からの試験データなどが含まれる。

A.5.4

分析的評価  A.3.4 に記載したように,分析的評価とは,直接操作対話の性質についての該当する

(すなわち,その性質に関しての)専門家による“有識者的”判断のことである。一般にこの方法は,他

の情報又は知識の文脈でだけ判断できるような性質の評価に用いる。他にも,分析的評価は,システムが

設計文書の形でだけ存在したり,経験的評価用にユーザー母集団が得られなかったり,時間又は資源に限

りがある場合に,適合を査定する適切な方法となる。

A.3.4

に記載したように,分析的評価は,直接操作対話の関連する性質を判断するのに必要な技能及び経

験をもつ適切な資格者なら,誰でも行うことができる。適合の場合には,専門家は,設計案の適切さと使

いやすさを確実に判断するのに必要な技能及び知識をもまた,もたなければならない。分析的評価は,設

計の筋道の正しさを検証できても,設計結果を検証できないことを注意するとよい。結果の検証は,経験

的評価を使用してだけ行うことができる。

A.5.5

経験的評価  経験的評価とは,代表的な最終ユーザーを用いての,推奨事項の適合性を判定する試

験手続きの適用を指す。A.3.5 に記載したように,この方法は,試作品又は実際のシステムが利用でき,予

想される又は実際のユーザー層を代表するユーザーが得られる場合に最適である。多種の試験手続きを使

用できるが,どの場合でも,被験者は最終ユーザー集団を代表するもので,結果をユーザー集団全体に向

けて一般化できるほど十分な人数とする必要がある。直接操作対話を利用しているユーザーの作業成績を

分析することによって,種々の条件付き推奨事項の適合を判定することもできる。そのような試験は,開

発過程(例えば,手早く試作システムを作って)で行われることも,システムの設計及び具体化の後(シ

ステム評価手法を用いて)で行われることもある,また,主観的又は客観的なユーザデータを基盤として

行われることもある。ある推奨事項の適合を測る特別な試験を計画することもある。

通常は,実験的評価を用いて,そのテスト結果と,ある直接操作対話の推奨事項とを比較し適合を判定

する。しかし,有効性の観点,すなわち,直接操作対話が作業能率を改善したり,難しい作業を少しでも

容易にしたり,できない仕事をできるようにしたりして,ユーザーを支援するなどの観点から,テスト結

果を評価することもしばしば必要である。


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A.6

手順  ある直接操作対話を本体中の推奨事項に照らして評価する場合に,次の手順(図 A.1 も参照)

に従って行ってもよい。

適用可能性

                            適合

 A.1

A.6.1

もし−の場合”型条件付き推奨事項

a)

適用可能性  条件付き推奨事項は,推奨事項の本文中に,又は細分箇条の標題部に,“もし−の場合”

型条件をもつ。各条件付き推奨事項では,

“もし−の場合”型条件が成立するかを調べる方法として,

適用しない事
を決めた方法

ユーザー,仕事,
技術及び環境に
ついての資料

次の箇条へ

Yes 

指針は条件部を
含んでいるか?

含む

この規格の箇条
は適用可能か?

推奨事項は適用
可能か

可能

次の推奨事項へ

その理由

条件は成立する

適用する事を決めた方法

適合を検討するのに用いた
方法

適用できない
理由

適合の可否

成立


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提案されている方法を用いて,

“もし−の場合”型推奨事項が適用できるかどうかを決める。さらに,

複数の条件付き推奨事項が該当する場合,そのうちどれを選択するかは,提案されている方法によっ

て決めるのがよい。

b)

適合  a)によって適用すると決めたすべての推奨事項に対し,提案された方法によって適合の検討を

行う。

A.6.2

他の条件付き推奨事項

a)

適用可能性  “もし−の場合”  型でない条件付き推奨事項は,一般にすべての直接操作対話に当ては

まる。しかし,多くの推奨事項の箇条は,その特徴を採用している特定の直接操作対話にだけ適用可

能である。

b)

適合  a)で適用可能性が決まった“もし−の場合”  型でない条件付き推奨事項では,A.6.1 b)に記

載したような推奨事項への適合についての情報が必要である。推奨事項に従わない理由がある場合に

は,その理由と選択した設計案とは,この規格の使用者にとっての関心ごとである。

以上の手順を適用する手助けとして,チェックリストを

付表 A.1 に示す。

A.7

チェックリスト

備考  本体の利用者は,附属書中のチェックリストを,チェックリストの意図した用途に用いるため

に自由に複製してもよいし,完成したチェックリストを刊行してもよい。

付表 A.1 のチェックリストは,本体中の各条件付き推奨事項の適用可能性及び適合を決定する場合に,

直接操作対話の設計者及び評価者の補助となるよう意図したものである。このチェックリストは,本体中

のすべての推奨事項の縮約版を含み,適用可能性を決定する上での助けとなる論理的構造を提供する。

A.7.1

チェックリスト

A.7.1.1

条件付き推奨事項の列  チェックリストの第一列は,縮約版の条件付き推奨事項を含み,論理接

続記号で結ばれ,細分箇条ごとに分かれている。各条件付き推奨事項には,細分箇条の番号が付けられて

いるので,チェックリストを利用する者は,容易に各条件付き推奨事項の全文を当該細分箇条に見ること

ができる。

A.7.1.2

適用可能性の列  この中の“結果”部分の二つの列は,適用可能かどうかの結果を,“可”列及

び“否”列にチェックマークで示し記録するようになっている。さらに,各条件付き推奨事項に対して,

適用の可能性を調べるには,どの方法が適切かを示し,設計者及び評価者が用いた方法にチェックマーク

を付ける列を提供する。ある推奨事項の適用可能性を調べるのに適切でない方法の列に網掛けを施して,

使いやすくしてある。適用の可能性を調べる方法の記号は:

−  S=システム文書の分析

−  D=資料的論拠

−  O=観察

−  A=分析的評価

−  E=経験的評価

− DM=その他の方法

他の方法を使用した場合は(DM にマークした場合)

,その方法を注釈列に記載してもよい。用いた方法

にマークを付けることは,このチェックリストでは随意とされていることを指摘しておく。

A.7.1.3

適合の列  チェックリストの“用いた手法”の各列は,各条件付き推奨事項に適合しているか決

定するのに,どの方法が適切かを示し,設計者及び評価者によって使われた方法に,チェックマークを付


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ける列を用意する。適合しているかどうかの検査結果が,肯定的なら“適”列にチェック,否定的なら“否”

列にチェックする。

適合しているかどうかの検査方法の記号は

−  M=測定

−  O=観察

−  D=資料的論拠

−  A=分析的評価

−  E=経験的評価

− DM=その他の方法

適用可能性と同様,他の方法を使用した場合は(DM にマークした場合)

,その方法を注釈列に記述する。

適用可能性で指摘したように,用いた方法にマークを付けることは,このチェックリストでは随意であ

る。

A.7.1.4

注釈  注釈列は,各条件付き推奨事項に関する付加的な文及び注釈を記入する。また,別の方法

を使用した場合,その方法の解説を記入したり,査定時の情報(専門家の名前,資料の表題など)を示す

のにも使ってもよい。ある状況では,別の方法が適切な場合もあるので,そのような独自の解決案を注釈

列に記入するとよい。この記述には,解決案が直接操作対話設計の推奨事項,及び該当する対話の原則に

どのように関連しているかを含めてもよい。

A.7.2

要約データ  本チェックリストを利用する者は,評価の結果を適合指数(AR:Adherence Rating)

を算出することで要約できる。AR は,適用可能な推奨事項のうちの,適合しているものの割合である(す

なわち,

“適”列のチェック数を“可”列のチェック数で除したもの)

。AR 値と一緒に,すべてのデータ

(すなわち,

“適”の数と“可”の数)を報告することを強く推奨する。直接操作対話の複雑さによっては,

システムの各直接操作ごとにチェックリストを記入し,各直接操作ごとの AR を平均して,直接操作対話

全体の平均 AR を決めた方が有益であるかも知れない。しかし,直接操作対話の AR は,算術的な計数値

にすぎず,各項の重み(それ自体での,及び利用の状況下での)を考慮しなければ,適用可能な推奨事項

がどれほど適合しているかの信頼すべき測定値とはなり得ないことに注意した方がよい。


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付表 A.1  適用性及び適合のチェックリスト

適用可能性

適合

結果

用いた手法

用いた手法

結果

推奨事項

可  否

S

D

O

A

E

DM

M O

D

A

E

DM

適  否

注釈

(資料源
を含む)

5

一般

5.1

比ゆ表現

5.1.1

枠組みの提供

5.1.2

認知しやすい比ゆ表現

5.1.3

比ゆ表現の当てはまる範囲

5.2

オブジェクトの外観

5.2.1

操作領域の適切な大きさ

5.2.2

オブジェクト及びアイコン

の見分けやすさ

5.2.3

利用できないオブジェクト

の外観

5.2.4

重要度の低いオブジェクト

5.2.5

オブジェクトの提示

5.3

フィードバック

5.3.1

直接操作の種類を示すポイ
ンタ

5.3.2

利用不可を示すポインタ

5.3.3

必す(須)な事項の催促

5.3.4

継続的及び即時のフィード
バック

5.3.5

新たなオブジェクトの表示

5.4

入力装置

5.4.1

代替装置

5.4.2

等価なキー操作

5.4.3

装置間の切り替えを最少に

5.4.4

複数ボタン

6.

オブジェクトの操作

6.1

一般

6.1.1

総括的な直接操作

6.1.2

オブジェクト操作の順序

6.1.3

適切なオブジェクトの自動
催促

6.1.4

出力の直接操作

6.1.5

以前の状態への復帰

6.1.6

属性の直接操作

6.2

ポイントし選択する動作

6.2.1

ポイント動作,選択動作の視
覚化

6.2.2

オブジェクト及びオブジェ
クト間のポイント

6.2.3

一つだけ選択する仕組み

6.2.4

複数のオブジェクトを選択
する仕組み

6.2.5

複数オブジェクトの同時直

接操作


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付表 A.1  適用性及び適合のチェックリスト(続き)

適用可能性

適合

結果

用いた手法

用いた手法

結果

推奨事項

可  否

S

D

O

A

E

DM

M O

D

A

E

DM

適  否

注釈

(資料源
を含む)

6.2.6

オブジェクトの選択領域

6.2.7

オブジェクト選択の組織化

6.2.8

隠れたオブジェクトの扱い

6.2.9

効率向上の仕組み

6.2.10

ダブルクリック動作の使用

6.2.11

複数クリックの時間間隔設

6.2.12

オブジェクトの選択状態維

6.2.13

入力フォーカスの置き直し

6.3

ドラッグ動作

6.3.1

ドラッグ動作の視覚化

6.3.2

複数オブジェクトのドラッ

グ動作

6.3.3

ドラッグ動作の意味の違い

6.3.4

オブジェクト間の規定の動

6.3.5

オブジェクトの位置の制御

6.3.6

隠れたオブジェクトの扱い

6.3.7

オブジェクトのウィンドウ
内の自動表示

6.3.8

オブジェクトのウィンドウ
内での人手による配置

6.4

オブジェクトの寸法変更動

6.4.1

寸法変更動作の視覚化

6.4.2

寸法変更の仕組み

6.4.3

寸法表示

6.4.4

寸法変更の相補操作

6.4.5

拡大縮小動作

6.4.6

伸縮比の直接操作

6.5

回転

6.5.1

回転の視覚化

6.5.2

オブジェクトの回転

7.

テキストオブジェクトの直
接操作

7.1

ポイント動作及び選択動作

7.1.1

テキストカーソルを置く位

7.1.2

テキストオブジェクト選択

の効率化

7.2

テキストの寸法変更動作

7.2.1

ページ配置属性の直接操作

7.2.2

テキスト属性の直接操作


27

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付表 A.1  適用性及び適合のチェックリスト(続き)

適用可能性

適合

結果

用いた手法

用いた手法

結果

推奨事項

可  否

S

D

O

A

E

DM

M O

D

A

E

DM

適  否

注釈

(資料源
を含む)

8.

ウィンドウの直接操作

8.1

一般

8.1.1

ウィンドウ内容の多段階移

8.1.2

ウィンドウ内容のスクロー

ルバーによる移動

8.2

ポイント動作及び選択動作

8.2.1

ユーザー選択に応じてのウ
ィンドウ内容の再整理

8.2.2

最小限のユーザー入力

8.3

ウィンドウの寸法変更

8.3.1

ウィンドウ大きさの直接操

8.3.2

ウィンドウ寸法の上下限

8.3.3

寸法変更の迅速化手段

8.3.4

拡大縮小動作

8.3.5

寸法変更に伴うウィンドウ
表示の調節

9.

コントロールアイコンの直
接操作

9.1

ポイント動作及び選択動作

9.1.1

コントロールアイコンの起

9.1.2

直接操作の種類の指摘

9.1.3

ユーザーの仕事の比ゆ表現

9.1.4

利用可能であるかの指摘

9.1.5

選択及び起動の分離

9.1.6

適切なコントロールの利用

記号

可=適用可能          S=システム文書の分析        A=分析的評価        M=測定 
否=適用外            D=資料的論拠                E=経験的評価        適=適合 
                      O=観察                      DM=その他の方法    否=不適合