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Z 8520 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1  適用範囲

1

2  引用規格

2

3  用語及び定義 

3

4  対話の原則及び推奨事項 

4

4.1  概要

4

4.2  対話の原則間の関係

4

4.3  仕事への適合性の原則 

5

4.4  自己記述性の原則

6

4.5  ユーザーの期待への一致の原則

7

4.6  学習への適合性の原則 

8

4.7  可制御性の原則

9

4.8  誤りに対しての許容度の原則

10

4.9  個人化への適合性の原則 

11

5  対話の原則及び推奨事項を利用するための枠組み 

13

5.1  一般

13

5.2  この規格のインタラクティブシステム分析への利用例

14

5.3  この規格のインタラクティブシステム設計への利用例(JIS Z 8523JIS Z 8527 との関係) 

15

5.4  この規格のインタラクティブシステム評価への利用例

15

6  この規格と JIS Z 8521 及び JIS Z 8522 との関係

16

参考文献

17

 


 
Z 8520 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

(2)

まえがき

この規格は,

工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,

日本人間工学会(JES)

及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS Z 

8520:1999 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。


日本工業規格

JIS

 Z

8520

:2008

(ISO 9241-110

:2006

)

人間工学−人とシステムとのインタラクション−

対話の原則

Ergonomics of human-system interaction Part 110:Dialogue principles

序文 

この規格は,

2006 年に第 1 版として発行された ISO 9241-110 を基に技術的内容及び対応国際規格の構成

を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

この規格は,人間工学的に望ましいインタラクティブシステムの設計法を扱い,そのために必要となる

七つの対話の原則について規定する。

これらの原則を特定の対話技法に限定されない一般的な形で,

また,

インタラクティブシステムの分析,設計及び評価に適した形で規定する。

対話の原則は,ユーザインタフェースの開発に大きな影響を及ぼす。この規格で規定する対話の原則

は,ユーザーがユーザインタフェースにおける使いにくさの問題に直面する事態を回避する助けとなる。

ユーザインタフェースにおける使いにくさの問題を,次に示す。 

−  仕事で本来必要とされる手間以上に,余計な手間がかかる。

−  誤解しやすい情報を受け取る。

−  不十分な情報及び/又は適切でない情報を受け取る。

−  インタラクティブシステムから予想外の応答を受け取る。

−  得られるはずの情報,使えるはずの機能にたどり着きにくい。

−  誤りからの回復に時間及び手間がかかる。

この規格の構成は,次による。

a)  対話の原則

b)  各対話の原則に対応する推奨事項

c)  分析,設計及び評価時の要求仕様を決めるうえでの枠組み。

この枠組みは,次の手引として役立つ。

−  この規格によってインタラクティブシステムを設計するときに,対話の原則に基づいて対話要件を詳

細に指定する。

−  各対話技法を,JIS Z 8524JIS Z 8527 に沿って適用する場合,推奨事項に基づいて適切な設計案を詳

細に指定する。

−  対話要件に照らしてインタラクティブシステムを評価する。

適用範囲 

この規格は,一般的な表現(利用の場面,アプリケーション,環境又は技術に言及しない。

)を用いて人



Z 8420 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

間工学的な設計原則を規定し,それらの原則をインタラクティブシステムの分析,設計及び評価に応用す

る枠組みについて規定する。

この規格は,すべてのインタラクティブシステムへの適用が可能であるが,特定の利用の状況(例えば,

安全重視のシステム及び協同作業)に特化した内容は規定しない。

この規格は,次の人を対象とする。

−  ユーザインタフェース開発ツール及びスタイルガイドの設計者:ユーザインタフェース開発ツールを

設計する場合に利用する。

−  ユーザインタフェースの設計者:システムの開発過程で,この規格を適用する。

−  システム開発者:システム設計及び実装過程でこの規格を適用する。

−  購買担当者:製品購入段階でこの規格を参照する。

−  評価担当者:製品がこの規格中の推奨事項に沿っていることを確認する。

注記  この規格中のすべての推奨事項は,どのような場合にも無条件に適用するものではなく,適用

の可否は評価対象の利用の状況に応じて異なる。

この規格は,人間工学に基づいて人とインタラクティブシステムとの対話を設計する場合に必要となる

対話の原則に重点を置きそれ以外の設計上の側面,例えば,マーケティング,感性,企業イメージなどは

考慮しない。この規格で規定する 4.1 の対話の原則それぞれで規定する推奨事項は,必ずしも,各対話の

原則にかかわるすべての側面を網羅していない。 

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 9241-110:2006,Ergonomics of human-system interaction−Part 110: Dialogue principles (IDT)

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Z 8521  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引

注記  対応国際規格:ISO 9241-11,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)−Part 11: Guidance on usability (IDT)

JIS Z 8522  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−情報の提示

注記  対応国際規格:ISO 9241-12,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)−Part 12: Presentation of information (IDT)

JIS Z 8523  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ユーザー向け案内

注記  対応国際規格:ISO 9241-13,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)−Part 13: User guidance (IDT)

JIS Z 8524  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-14,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)−Part 14: Menu dialogues (IDT)

JIS Z 8525  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−コマンド対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-15,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)−Part 15: Command dialogues (IDT)

JIS Z 8526  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−直接操作対話


3

Z 8520 :2008 (ISO 9241-110:2006)

注記  対応国際規格:ISO 9241-16,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)−Part 16: Direct manipulation dialogues (IDT)

JIS Z 8527  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−書式記入対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-17,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)−Part 17: Form filling dialogues (IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

利用の状況  (context of use)

ユーザー,仕事,装置(ハードウェア,ソフトウェア及び資材)並びに製品が利用される物理的及び社

会的環境[JIS Z 8521 の 3.5(利用の状況)を参照]

3.2

対話  (dialogue)

目標達成に向けた,人とインタラクティブシステムとの相互作用(ユーザーによる情報入力行為及びシ

ステムによる応答の連鎖)。

注記  ユーザーの行為には,データを入力する行為だけではなく情報を求めて探し回る行為をも含む。

3.3

対話の原則  (dialogue principles)

対話を設計するための,幾つかの一般的な目標。

注記  対話の原則は,特定の技術又は技法に関係するものではない。

3.4

対話要件 (dialogue requirement)

特定の利用の状況において,ユーザーの必要性を満たす対話の特性。

3.5

目標  (goal)

意図する結果[JIS Z 8521 の 3.8(目標)を参照]。

3.6 

インタラクティブシステム  (interactive system)

ユーザーが遂行する仕事の能率を上げるように,ユーザーからの情報入力を受け取り,ユーザーに出力

の伝達を行う,ハードウェア及びソフトウェアの組合せ[JIS Z 8530 の 2.1(インタラクティブシステム)

を参照]。

注記 1  単にシステムと呼ぶこともある。

注記 2  インタラクティブシステムという言葉は,JIS Z 8521 に規定する作業システムとは異なる。

3.7 

仕事  (task)

目標を達成するために必要な活動[JIS Z 8521 の 3.9(仕事)を参照]。

注記  この規格での“仕事”という言葉は,JIS Z 8521 での使い方と同じく広い意味で使用し,必ず

しも対話を通じて行うことだけに限らない。

3.8 



Z 8420 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

ユーザー  (user)

インタラクティブシステムと対話する人。

注記  JIS Z 8521 の 3.7(利用者)に準じる。

3.9 

ユーザインタフェース  (user interface)

インタラクティブシステムを用いて特定の仕事を遂行するユーザーに対して,

情報及び制御を提供する,

インタラクティブシステムにおけるすべての構成要素。

対話の原則及び推奨事項 

4.1 

概要 

この箇条は,対話の原則について規定する。また,個々の対話の原則を説明する推奨事項を記載する。

インタラクティブシステムを設計し,評価するうえで重要なものとして,次の七つの原則を掲げる。これ

らの原則は,対話を設計し評価するうえで目指すべき目標となる。

−  仕事への適合性

−  自己記述性

−  ユーザーの期待への一致

−  学習への適合性

−  可制御性

−  誤りに対しての許容度

−  個人化への適合性

注記  上記における原則の記載順序は,優先度を示すものではない。

この規格は,対話の原則がそれぞれの理解の助けとなる一連の推奨事項を規定する。推奨事項は,各対

話の原則で扱うべき側面を必ずしもすべて網羅していない。また,推奨事項としての記載内容の詳しさも

一様ではない。対話を推奨事項に従って設計することは,使いにくさの問題にユーザーが直面するのを防

止する助けとなる。

この規格の七つの原則は,インタラクティブシステムの設計において使いやすさに大きく影響する要素

が何であるかを特定するための一つの見方を示す。使いやすさに大きく影響する要因を特定するうえで違

った見方を取ることを,すなわち,この規格の原則群とは別の原則群を適用することをこの規格では妨げ

ない。この規格の対話の原則及び関連する推奨事項は,それを用いれば詳細な設計仕様を案出できる処方

としての指針ではない。

4.34.9 の各推奨事項には,具体的な利用の状況における例を記述する。この規格の推奨事項は,具体

的な利用の状況において,対話に求められるもの(対話要件)は何かを特定し詳細指定する助けとなる。

この規格は,インタラクティブシステムにおける詳細な対話要件又は設計仕様を規定するものではない。

推奨事項には,それが当てはまる利用の状況がある。この利用の状況は,ある推奨事項が適用できるかど

うかを判断する主要な情報である。この規格の推奨事項は,あらゆる利用の状況に当てはまるものばかり

ではない。

ある利用の状況で生じるユーザーの必要性に対応しない推奨事項は,その利用の状況に対しては当ては

まらない。ある原則に関連する推奨事項のうちの一つを設計案に適用したからといって,必ずしもその原

則を十分に適用したことにはならない。

設計案を具体的に考案する基礎として役立つ対話要件を作り上げるための枠組みは,

箇条 に規定する。


5

Z 8520 :2008 (ISO 9241-110:2006)

4.2 

対話の原則間の関係 

対話の原則は,厳密に独立ではなく内容的に重複する部分をもつ。使いやすさの向上を目的として原則

間での折り合いを付ける必要が生じる場合がある。各原則が当てはまるか又はどの原則をどの原則より優

先させるかは適用業務,ユーザー及び選択した対話技法によって異なる。原則の当てはめ方及び優先順位

の決定は,次による。

−  組織の目標

−  想定するユーザーが必要とするもの

−  支援しようとする仕事

−  利用可能な技術及び資源

利用の状況に応じて当てはまる原則が決まり,当てはまる複数の原則の中でどの原則をどの原則より優

先させるかも利用の状況に応じて判断する。対話の分析,設計及び評価には,4.1 の七つの原則すべてを検

討する必要があるが原則間の相対的重要さは,利用の状況及びそれ以外の設計要件に依存する。インタラ

クティブシステムを設計する具体的状況の中で妥協案を探ることになる。

例 1  可制御性を重視して設計すると,誤りに対しての許容度をもたせようとする設計又は学習を容

易にしようとする設計に抵触する。

例 2  可制御性と誤りに対しての許容度(誤りの防止,誤りからの復帰及び誤りの許容)との間の対

立が,電子メールソフトウェアを用いるときに生じる。自動設定を利用すると電子メールソフ

トウェアの安全性機能を制御しにくくなる。ユーザーに安全性機能を制御させると可制御性は

増すが,一方,思いがけない結果をもたらす設定をユーザーにさせないようにすることは難し

くなるので誤りに対する許容度は低くなる。

4.3 

仕事への適合性の原則 

インタラクティブシステムが,ユーザーが仕事を完了するうえでの助けとなり完了を促進する場合,そ

のインタラクティブシステムは,仕事への適合性の原則にかなっている。すなわち,機能性及び対話が仕

事で使用する技術ではなく仕事の特性に立脚している場合,インタラクティブシステムは,仕事への適合

性の原則にかなっている。

4.3.1 

対話はユーザーに対し,仕事の完了に結びつく情報を提示することが望ましい。 

注記  ユーザーに与える情報の質,量及び種類は,仕事で何が必要かによって決まる。

例 1  受信メールのうちの幾つかに処理期限がある状況では,対話システムは各メールについて処理

期限を表示する。

例 2  オンライン店舗では,対話システムが注文の完了で必要な手順を説明する状況対応形のヘルプ

を提供する。

4.3.2 

対話は,仕事の完了に必要ない情報をユーザーに提示するのを避けることが望ましい。 

注記  適切でない情報を与えると仕事の成績低下及び不必要な精神的負担をもたらす場合がある。

例  旅行者がホテルを予約しようとしている状況では,対話システムは希望日に空室のあるホテルだ

けを表示する。既に満室の周辺のホテルについての情報,観光地などの旅行についての余分な情

報は,ユーザーの要求に応じて表示する。

4.3.3 

入力及び出力の形式は,仕事に適していることが望ましい。 

例 1  旅行者用の通貨両替アプリケーションは,両替先の通貨に適した金額表示(多くの通貨は,小

数点以下 2 けた)とする。

例 2  国内市場だけを対象とする対話は,そのことをユーザーに明示する。



Z 8420 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

4.3.4 

仕事上入力の典型値がある場合,その値をわざわざ入力しなくてもユーザーが利用できることが望

ましい。

例 1  鉄道利用者のほとんどは乗車駅で切符を購入すると想定した場合には,券売機の乗車駅入力を

その券売機の設置駅に事前に設定しておく。

例 2  ユーザー名とパスワードとに基づいてユーザーの認証を行った後では,そのユーザーの電子メ

ールアドレスが対話で必要になったときに,ユーザーに代わってシステムが入力する。

4.3.5 

対話に必要となる手順は,仕事の遂行に適することが望ましい。すなわち,必要な手順は含み,不

必要な手順は含まないことが望ましい。

注記 1  システムに自動的に行わせたほうが適切な手順は,不必要な手順に該当する。

注記 2  同様な仕事又は手順を何度も繰り返す必要がある場合,繰返しの手順数を最小限にとどめる

ようユーザーを支援する対話を提供してもよい。

例 1  留守番電話機能を多用する携帯電話では,すぐに録音メッセージを聞けるようにして不必要な

手順を省いている。

例 2  郵便番号及び都道府県名の二つの入力欄をもつ連絡先管理ソフトウェアでは,どちらかの欄に

値を入れると他方の欄に適切な値を自動的に補うことで不必要な手順を省いている。

例 3  自国ユーザー又は他国ユーザーを問わない対話では,自国ユーザーだけに当てはまるデータ入

力を要求しない。

4.3.6 

原文書を用いる仕事の場合,原文書の特性と食い違いの少ないユーザインタフェースとすることが

望ましい。

注記  この推奨事項では,既存の文書の形式を固定的に考え,それに沿ったユーザインタフェースと

することを推奨しているが,文書の形式をよりいっそう仕事に適したものに改良する積極的な

方策を否定しているわけではない。

例  保険会社では,コンピュータへの入力情報源として紙の書類を利用している。入力項目の順序,

グループ分け,入力する値の単位などの点で紙の書類と一貫性をもたせるように書式記入形対話

の画面を設計する。 

4.3.7 

システムとの対話で使用する感覚器官及び運動器官は,仕事に適したものであることが望ましい。

例  コンピュータ支援設計 (CAD) アプリケーションにおいてユーザーは,手を主としてポインタを

動かすのに使うため単純な操作は音声による指令で実行する。

4.4 

自己記述性の原則

ユーザーがシステムとの対話において,自分が何についての対話をしているか,対話のどのステップに

いるのか,どのような操作が許されてどのように操作を実行すればよいかが常に明らかである場合,その

対話は自己記述性の原則にかなっている。

注記  この原則は,JIS Z 8522 に規定された情報の提示についての特性と関連する。

4.4.1 

ユーザーに与える情報は,対話のどの段階においても対話を完了する方向にユーザーを導くことが

望ましい。

注記  ここでいう情報には案内,フィードバック,状態表示などを含む。

例  ホテル予約システムにおいてユーザーは,各段階で必要なデータを入力しながら“次へ”,“前

へ”のボタンを使ってホテルの予約を完了するまでの対話手順をたどって行くことができる。

4.4.2 

インタラクティブシステムの利用中にユーザマニュアル及び他の外部情報の利用を最小限とする

ことが望ましい。


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Z 8520 :2008 (ISO 9241-110:2006)

例 1  留守番電話と転送機能とを備えた電話機では,“通話の録音”,“転送先指定”などの分かり

やすい見出しを付けたボタンを押すだけで留守番電話機能及び自動転送機能を起動できる。

例 2  ソフトウェアが何に使えるかを分かりやすく説明する情報をすぐに提示できるようにする。

4.4.3 

インタラクティブシステムにおいて,次に規定する状態変化を絶えずユーザーが把握できることが

望ましい。

−  システムが入力を求めていることを示す。

−  対話の中で現時点以降にたどる対話手順の概要を示す。

例 1  留守番電話機能と転送機能とを備えた電話機では,留守番電話機能,転送電話機能のどちらが

作動中であるかを分かりやすく示す。

例 2  電子商取引アプリケーションは,製品を購入するまでの各段階をユーザーに対して明確に示す。

対話の開始から終了までずっと,その時々にどの段階にあるかを分かりやすく示す。

4.4.4 

インタラクティブシステムは,ユーザーに入力を求めるときにどのような入力を期待するかの情報

をユーザーに与えることが望ましい。

例  電子商取引アプリケーションでは,クレジットカードの有効期限入力欄に入力させたい形式を,

“月/年”と示す。

4.4.5 

ユーザーがインタラクティブシステムとのやり取りを,はっきりと理解できるように対話を設計す

ることが望ましい。

例 DVD を再生するアプリケーションでは,“再生”,“停止”,“一時停止”,“早送り”などを,

従来から使われている絵柄のアイコンを用いて操作できる。

4.4.6 

インタラクティブシステムは,どのような書式に従って入力するかについての情報及び単位につい

ての情報を提供することが望ましい。

例  文房具を販売するシステムでは,商品の販売単位(例えば,用紙では 1 000 枚)を明示して,発

注する総量を把握しやすくする。

4.5 

ユーザーの期待への一致の原則

対話が状況に応じて予想されるユーザーの必要性及び広く受け入れられている習慣と調和している場合,

その対話はユーザーの期待への一致の原則にかなっている。

注記 1  既存の慣習に合わせることは,ユーザーの期待への一致の一側面にすぎない。

注記 2  一貫性をもたせると一般に対話の予想しやすさは向上する。

注記 3  この原則は,JIS Z 8522 に規定された情報の提示についての特性と関連する

4.5.1 

インタラクティブシステムは,仕事を遂行するうえでユーザーになじみのある語い(彙)又はユー

ザーのもつ知識に基づく語いを用いることが望ましい。

注記  この推奨事項は,既存の言葉遣いをよりいっそう仕事に適したものに改善することを阻むもの

ではない。

例 1  銀行用のアプリケーションでは,電信扱い,定期性預金など銀行用語を採用する。

例 2  様々な国籍のユーザーが使うクレジットカードを扱うアプリケーションでは,個人の名前を入

力する欄に付ける見出しは,“苗字”及び“名前”ではなく“前のほうの名前”,“後のほう

の名前”とする。

4.5.2 

フィードバックによってユーザーが戸惑わない場合,ユーザーの操作に対し直ちに適切なフィード

バックを与えることが望ましい。

例  システムにソフトウェアを組み込むときに,組込みがうまく完了したことをユーザーに知らせる。



Z 8420 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

4.5.3 

システムの応答時間がユーザーの予想と大幅に異なりそうな場合には,ユーザーにそのことを通知

することが望ましい。

例  旅行代理店のウェブサイトで航空便の空席を求めて検索ボタンを押したときに,“空席を探して

いますが,利用者多数のため結果表示までに 60 秒近くかかるかも知れません”と表示する。

4.5.4 

対話はユーザーにとって自然に感じられるデータ構造及び形式を反映することが望ましい。

例  百貨店のオンライン店舗では,実際の店舗の商品配置(区分及び場所)に似せて商品を配置する。

4.5.5 

書式は,文化的及び言語上の適切な慣例に従うことが望ましい。

例  英語では左横書きで,アラビア語では右横書きで文を表示する,又は文を入力させる。

4.5.6  フィードバック又は解説の形式及び長さは,ユーザーの必要性に基づいて決定することが望ましい。

例 1  フィードバック又は解説の形式について:ビデオプロジェクタの電源を切る場合,操作する人

は投影スクリーンを見てはいないので,“電源を切るにはボタンを二度押してください”のメ

ッセージは,投影画面に出さずに見出しとして入/切ボタンの下に表示する。

例 2  フィードバック又は解説の長さについて:複雑な仕事を支援するソフトウェアのヘルプ情報

は,ソフトウェアを用いてどのように仕事が完了するのかを細大漏らさぬ書き方で解説する。

一方,必ず入力する情報の入力形式についてのヘルプ情報は,求める形式だけを表示する。

4.5.7 

インタラクティブシステムにおける対話の見かけ及び振る舞いは,各仕事間で一貫していること及

び類似の仕事にわたって一貫していることが望ましい。

注記 1  類似の仕事にわたって一貫性をもたせると,仕事を行ううえでの共通の手順をユーザーが形

成しやすい。

注記 2  仕事間で一貫性をもたせようとしても,仕事に求められること及び利用の状況から求められ

ることとの折り合いを付けなければならない場合もある。

例 1  あるアプリケーションソフトウェア中で,“OK”及び“キャンセル”のボタンを常に同じ場所

におく。

例 2  ファイルの圧縮と解凍とを行うソフトウェアでは,圧縮も解凍も類似した対話手順となるよう

に設計する。

4.5.8 

ユーザーが,情報入力をどの場所で行えばよいか予想できる場合,その情報入力をユーザーの予想

どおりの場所で行えることが望ましい。

例  ソフトウェアを組み込む手続きでは,ユーザーの操作を必要とする各対話段階をキーボードの

“Enter”キーを押すことで完了させ,次の段階へと進行させる。

4.5.9 

ユーザーに提示するフィードバック及びメッセージは,客観的で建設的な文体とするのがよい。

注記  娯楽などに向けた分野は例外で,主観的及び/又は感情的な文体を用いることがある。

例  日付の入力形式が誤っている場合, “年/月/日の形式で入力してください”とメッセージを表

示する。

4.6 

学習への適合性の原則

対話において,ユーザーがシステムの使い方を学習することを支援しその案内を与える場合,その対話

は,学習への適合性の原則にかなっている。

4.6.1 

学習に役立つ規則及び基礎概念を,ユーザーが入手できることが望ましい。

注記  この推奨事項にかなう対話では,ユーザーが操作を覚えるうえでの各自の方策及び学習様式を

作り上げやすい。

例  ファイル圧縮ソフトウェアは,ユーザーに対して(例えば,使い始めの説明の一部として)アー


9

Z 8520 :2008 (ISO 9241-110:2006)

カイブ圧縮書庫の概念を紹介する。

4.6.2 

ユーザーがシステムをたまにしか使用しないため又はユーザー特性のため,対話方法の学習し直し

が必要であれば,再学習を促進する支援を与えることが望ましい。

例  ある簿記ソフトウェアは,年次の貸借対照表作成に必要な対話手順を手引するヘルプシステムを

用意している。

4.6.3 

インタラクティブシステムは,ユーザーが対話になじむのを助ける適切な支援を提供することが望

ましい。

注記  必要な支援は,どのユーザーも同じとは限らない。

例  あるソフトウェアは,決まったヘルプキーを押すとメニュー項目の使い方を説明する。

4.6.4 

ユーザーが,インタラクティブシステムを概念的に把握するのを助けるフィードバック又は解説が

望ましい。

注記  インタラクティブシステムの使い方を習得する段階にあるユーザーがフィードバックに求める

ことと,熟練ユーザーがフィードバックに求めることは同じではない。システムがユーザーの

専門知識を確実に査定できないため及びあるシステムに対するユーザーの専門知識は,一様と

は限らないため,初心者にも熟練者にも適するように対話を設計することが最も望ましい。

例  文書をスキャン入力するソフトウェアでは,書類をスキャンし電子ファイル化するための各手順

の相互関係,順序を含めた手順の全体像とそのときにユーザーが取っている手順との両方を示す。

4.6.5 

ユーザーが完了できた操作から学べるように,操作の中間及び最終結果についての十分なフィード

バックを与えるよう対話を設計することが望ましい。

例  ホテルの予約システムで部屋の予約をとる対話では,問合せを段々と絞っていく各段階に関する

フィードバック及び予約できた部屋についての詳細をユーザーに対して与える。

4.6.6 

仕事上及び学習目標に照らして適している場合,ユーザーが対話手順を有害な結果をもたらすこと

なく試用できるインタラクティブシステムとすることが望ましい。

注記  この推奨事項は,安全を最重要視するシステムには当てはまらない。

例 1  ある倉庫の貨物の配送計画システムは,ユーザーが日程をあらかじめ仮想的に変動させて変更

した場合の悪影響を査定することができる。

例 2  写真画像処理のソフトウェアでは,画像に加えた変更を,“元に戻す”機能を使って何段階か

前まで戻すことができる。

4.6.7 

ユーザーが必要最小限の情報を入力すれば,システムが必要に応じて情報を追加してユーザーが少

ない学習で目的を果たすことができるインタラクティブシステムであることが望ましい。

例  文書スキャンソフトウェアでは,“文書走査”ボタンをユーザーが押すだけで文書走査の仕方を

詳細に指定しなくても,既定の設定値で補って文書の走査ができる。

4.7 

可制御性の原則

ユーザーが目標を達成するまで,やり取りの方向及びペースを主導し制御できる場合,対話は可制御性

をもつ,すなわち,可制御性の原則にかなっているという。

注記  やり取りの方向とは,ユーザーからシステムへの働きかけかシステムからユーザーへの働きか

けかの区別をいう。

4.7.1 

ユーザーがやり取りするペースは,インタラクティブシステムの動きに影響されないことが望まし

い。ユーザーがやり取りするペースは,ユーザーの必要性及び特性に従ってユーザーが制御できることが

望ましい。


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Z 8420 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

注記 1  時間を問題にするテストのように,ユーザーの制御を許さない場合がある。

注記 2  利用状況によっては,やり取りのペースの上限及び下限が決められている場合がある。

注記 3  会社の方針によって,“2 時間利用しなければログオフ”のように対話のペースが制限され

る場合がある。

例  メール機能をもつ携帯電話において,メッセージを送る,保存する又は削除するかをユーザーが

決めるまでメッセージ作成にどれほど時間がかかっても作成途中のメッセージを表示し,編集で

きる状態のままにしておく。

4.7.2 

ユーザーは,対話の続け方を制御できることが望ましい。

例 1  着信番号表示機能をもつ電話機は,通話相手の名前と一緒にその電話番号を電話帳に追加でき

る機能を利用できるようにする。

例 2  会計ソフトで入金処理を行う場合,システムは,最も古い未払い分を自動的に選択するがユー

ザーが他の未払い分も選択できるようにする。

4.7.3 

仕事の性質上ユーザーによる再開時点の決定が許される場合,対話の中断が生じたときには,ユー

ザーが対話を再開する時点を決定できることが望ましい。

例  経営資源計画ソフトでは,ユーザーは入力途中の発注をいったん保存し,より優先度の高い他の

発注処理を済ませた後で中断した発注を再開することができる。

4.7.4 

操作に可逆性があり利用の状況が許す場合,少なくとも対話の最後のステップを元に戻せることが

望ましい。

例  テキスト編集アプリケーションでは,直前の編集操作を取り消して直前の状態に戻す専用の手段

を用意する。

4.7.5 

仕事に関係するデータ量が多い場合,表示するデータをユーザーが制御できることが望ましい。

例  カレンダーソフトにおいて,表示項目を日,週,月又は“ある顧客との約束すべて”などユーザ

ーが指定できる。

4.7.6 

ユーザーは,利用可能な入出力装置を必要に応じて利用できることが望ましい。

例  検索フォームでは,マウスを用いても,キーボードの“ENTER”キーを用いても,検索機能を開

始できる。

4.7.7 

仕事上適切な場合,ユーザーは既定値を変更できることが望ましい。

例  電子メールソフトでは,添付ファイルを保存する場所の設定を変更できる。

4.7.8 

仕事上必要な場合,ユーザーはデータが変更されたときにも変更前のデータを利用できることが望

ましい。

例  顧客情報管理ソフトでは,顧客データが変更され公式な変更記録が必要な場合,変更前のデータ

を残しておく。

4.8 

誤りに対しての許容度の原則

入力で明らかな間違いがあったにもかかわらず,ユーザーによる最小限の修正で意図する結果が得られ

る場合の対話は,誤りに対しての許容度をもつ。すなわち,誤りに対しての許容度の原則にかなっている。

誤りに対しての許容度を対話にもたせるには,生じる誤りに対しての次の取組み方がある。

−  誤りの制御(被害の最小化)

−  誤りの修正

−  誤りの管理


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4.8.1 

インタラクティブシステムは,入力時の誤りを見付け出し,避けるためにユーザーを支援すること

が望ましい。

例  電子商取引ソフトは,必す(須)項目が入力されていない場合,ユーザーにその旨を指示する。

4.8.2 

インタラクティブシステムは,想定外の状態に陥ったり故障したりするようなユーザーの操作を防

止することが望ましい。

例  文書のページ数が 35 ページの場合,ユーザーが印刷のために入力できるページ数は,1∼35 とす

る。

4.8.3 

誤りが生じたとき,説明を見てユーザーが誤りを修正できることが望ましい。 

例  DVD プレイヤーで,ユーザーに対して“再生ボタンが押されましたが,DVD が入っていません。

再生したい DVD を入れてください。”のメッセージを表示する。

4.8.4 

誤りが頻繁に発生する場所では,誤りを修復するための積極的な支援を行うことが望ましい。 

例  修正が必要な位置に,カーソルを置いておく。

4.8.5 

インタラクティブシステムで自動的に誤りを修正できる場合,ユーザーに誤りが自動的に修正され

るのを知らせること及びユーザー自身が修正する機会を与えることが望ましい。 

例  スペルチェック機能では,誤りのある単語にマークが付く。スペルチェック機能では,ミススペ

ルのある単語に複数の選択肢を提供し,ユーザーが選択肢以外の修正をする機会も与える。

4.8.6 

修正しないままでも対話を進めることができる誤りであれば,誤りの修正を後回しにできる又は未

修正のままにしておけることが望ましい。

例  郵便番号の入力が必要なデータベースソフトの場合,無効な郵便番号が入力されていても,他の

項目を入力することができる。

4.8.7  可能であれば,誤りの修正に関係する追加情報をユーザーの求めに応じて提供することが望ましい。 

例  誤り及びユーザーによる誤りの修正方法について,簡潔なエラーメッセージを提示する。この提

示に加え,ハイパーリンクを用いてより詳細な誤り情報を入手することが可能である。

4.8.8 

インタラクティブシステムでは,データの妥当性及び/又は正当性の検証を行ってから,その入力

の処理を始めることが望ましい。

例 1  メールソフトでは,メールアドレスをアドレス帳に保存する前に,そのアドレスがメールアド

レスの形式規則に合っているかを確かめる。

例 2  ユーザーが添付ファイルを付け忘れがちな場合は,本文中に“添付”という単語が入っている

かどうかを調べメールを送信する前に“ファイルを添付しますか?”というメッセージを出す。

4.8.9 

誤りの修正に必要な手順は,最小限に抑えることが望ましい。

例  書式記入対話で入力するアプリケーションでは,誤りを見付けると誤りのある入力欄に自動的に

カーソルを置いてその欄の誤りを直ちに修正できる。

4.8.10    ユーザーの操作が重大な結果を生じる場合操作を実行する前に,その説明及び確認要求をするこ

とが望ましい。

例  複数のファイルを削除する場合,一つのファイルごとに削除の確認をする。

4.9 

個人化への適合性の原則

個人の能力及び必要性に応じてインタラクション及び情報の提供を変更できるとき,対話は,個人化に

適している。すなわち,個人化への適合性の原則にかなっているという。

注記 1  ユーザーが自分に合わせて対話を変えることを可能にするのは,多くの場合望ましいことで

はあるが,人間工学上の見地から望ましく対話を設計することそのものの代用とはならない。


12 
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また,個人化は一定の範囲内で行われることが望ましく個人化が不快な状況を生じさせない

ことが必要である。不快な状況とは,例えば,聴覚フィードバックのレベルが過剰な雑音で

あったりする場合を指す。

注記 2  個人化への適合性は,広い範囲のユーザーを受け入れやすくすることでアクセシビリティを

高める手段になり得る。

4.9.1 

ユーザー間の多様性が予想される場合には,その広い違いを考慮に入れるように,インタラクティ

ブシステムの特性を変更できる機構を用意することが望ましい。

注記  ユーザー間の多様性は,言語,文化,仕事についての知識及び経験,並びに知覚能力,感覚運

動能力及び認知能力の違いが原因となって生じる。

例  テキストベースのソフトで,読解能力に制限があるユーザーに対してアイコン及び図を用いる。

4.9.2 

幾つかの表現形式の中からそれぞれのユーザーの必要性に応じて適したものを,ユーザーが選択で

きるインタラクティブシステムとすることが望ましい。

例 1  画面読み上げソフトを利用すると,画面上の情報が音声で読み上げられ,視覚表示で特別な配

慮が必要な人でも画面内容を把握することができる。

例 2  発注システムは,多くの会社員が利用する。先に利用したユーザーが自分になじんだ設定に変

えて,次のユーザーがシステムの動きが想定外であると感じた場合には,既定値に戻すことが

できる。

4.9.3 

ユーザーの知識水準に応じて説明量(誤りを通知する詳しさ,ヘルプが与える内容など)を調節で

きることが望ましい。

例  上級ユーザーは,システム主導形のヘルプを止めることができる。

4.9.4 

ユーザーが,対象及びシステム操作に対して,自分が使い慣れた語いを組み込んで名前を付けられ

ることが望ましい。

例  仕事で利用するソフトにおいて,企業に適した専門用語を利用するために,メニュー項目の名前

を付け替えることができる。

4.9.5 

それがユーザーの仕事などに適していれば,自分の必要性に合うように入出力のスピードを設定で

きることが望ましい。

例  ポインティングデバイスの感度は,ユーザーの必要性に応じて調整できる。

4.9.6 

それがユーザーの仕事などに適していれば,用いる対話手法を異なる対話手法のうちから選択でき

ることが望ましい。

例  駅の券売機でユーザーは,駅名を直接に文字入力することも駅名の一覧から選択することもでき

る。

4.9.7 

個人の必要性に一番適したやり取りの方法を,ユーザーが選択できることが望ましい。

例  ワープロソフトで文書を保存するとき,メニューから選択する方法,アイコンをクリックする方

法及びキーボードのショートカットを利用する方法がある。

4.9.8 

入出力データの表示方法(形式及び種類)を,ユーザーが選択できることが望ましい。

例 1  ワープロソフトでは,背景色と文字色とを選択できる。ユーザーが好んだ色ではあるが,読み

にくく間違えやすい場合もある。その場合,そのような選択をさせないことも必要となる。

例 2  ある業務用アプリケーションでは,ユーザーは必要に応じて文字の大きさを調節できる。

4.9.9 

ある仕事を行うとき,その仕事を特に支援する対話の要素及び機能を,ユーザーが追加したり再配

置したりできることが望ましい。


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例  ワープロソフトでは,太字,斜字及び下線のボタンの近くに取消線のボタンを追加することがで

きる。

4.9.10   対話の個人化では,ユーザーが設定を以前の状態に戻せること及び最初の設定に戻せることが望

ましい。

例  色の使い方を自分に合わせて変更した場合でも,オペレーティングシステムが本来提供するもと

もとの色の使い方にユーザーが戻すことができる。

対話の原則及び推奨事項を利用するための枠組み

5.1 

一般

この規格の対話の原則及び推奨事項は,インタラクティブシステムの仕様決定,開発又は評価を行う場

合に,次の作業のはん(汎)用的な指針として役立つ。

−  利用の状況に基づいて対話要件を定めるうえでの支援。

−  JIS Z 8524JIS Z 8527 で規定する対話技法に基づいて対話要件を特定して詳細を定めるための手引。

−  JIS Z 8522JIS Z 8527 に従う設計案の考案支援。

−  実際の設計案を対話要件に照らして評価する場合の支援。

あるアプリケーションに対する対話要件を具体的に詳細指定できるように,推奨事項はユーザーが行う

仕事の経過で生じる必然的な要求に基づき,

ユーザーにとってどうあるべきかの観点から記載している

(例

えば,4.8.9  誤りの修正に必要な手順は,最小限に抑えることが望ましい。

)又は製品の具体的な利用の状

況の観点から記載している(例えば,4.5.5  書式は,文化的及び言語上の適切な慣例に従うことが望まし

い。

。利用の状況は,いろいろな方法で識別・記述できる(JIS Z 8521 に規定がある。

。この規格は,利

用の状況分析の詳細な手引を目指すものではない。

対話要件を定めるには,

利用の状況データを徹底的に分析して,

対話要件の出所を特定する必要がある。

したがって,対話要件を定めるための基本情報を幅広く提供するには,利用の状況をユーザーの視点から

できるだけ包括的に定めることが肝要である。

利用の状況と対話要件との関連性を示す例は,JIS Z 8521 

附属書 に記載されている。

インタラクティブシステムの分析,設計及び評価を行ううえで対話の原則及びそれに対応する推奨事項

を活用する枠組みを

図 に示す。図 に示す矢印は,対話要件の詳細を定めるだけでなく設計案の詳細を

定める場合にも関係する構成要素間の依存関係を示している。

この規格は,対話要件を定めるための枠組みを提供するが,対話要件自体を定めることはしない。対話

要件は,設計しようとする及び/又は評価しようとするインタラクティブシステムの利用の状況に依存す

るため,その特定の利用の状況に対応する形で対話要件を作り上げる必要がある。 

利用の状況は,対話要件を導き出す主要な情報源である。この規格の対話の原則は,利用の状況に基づ

いて対話要件を定めるうえで活用されることを目指している。利用の状況の情報及び対話要件自体は,こ

の規格の範囲ではない。

ユーザインタフェースを設計するには,利用の状況を明確に理解することに加え,その利用の状況に含

まれる対話要件を明らかにする必要がある。したがって,利用の状況に即したユーザインタフェースの設

計に役立つように,JIS Z 8522JIS Z 8527 中の多くの推奨事項は,適用条件を指定する“∼の場合”条件

句をもつ条件付き推奨事項として記載している。

“∼の場合”条件句を明示的に含まない場合でも,対話要

件を詳細指定するうえで考慮に入れた利用の状況に応じて推奨事項を適用することが必要である。


14 
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図 1−この規格を適用するための枠組み 

5.2 

この規格のインタラクティブシステム分析への利用例 

この箇条は,対話の原則に基づく対話要件を特定するためにこの枠組みを活用した例を説明する。一般

的に対話要件は,特定の利用の状況におけるユーザーの必要性に合わせて推奨事項を変換することによっ

て作成できる。対話要件の分析においてはユーザーがだれであるか,その仕事は何か及びその仕事を達成

する社会的環境及び組織的環境から利用の状況を特定して詳細を定める。利用の状況データは,それを検

討して対話要件を特定するためのものである。

次に示す例は,利用の状況の説明及びこの規格の推奨事項に基づいて対話要件を定めるうえで,対話の

原則“仕事への適合性”がどのように役立つかを示している。

鉄道の駅の券売機の設計において,利用の状況分析が行われていると想定している。利用の状況分析の

一環で,鉄道利用者は,長距離切符を旅行の起点となる鉄道の駅で買う傾向にあることが判明している。

ここに示した例は,すべての利用の状況を説明するものではなくほんの“一部”の利用の状況を説明する

ものになっている。実際の利用の状況分析では,ユーザー,仕事,機器及び環境を考慮した利用の状況を,

すべて特定し定めることが重要である。

利用の状況(抜粋) 

鉄道旅行者は,旅行の起点となる鉄道の駅で切符を購入するのが典型である。

対応するこの規格の推奨事項 

“仕事上,入力の典型値がある場合,その値をわざわざ入力しなくてもユーザーが利用できることが望


15

Z 8520 :2008 (ISO 9241-110:2006)

ましい。”

4.3.4 参照)

利用の状況及びこの規格の適切な推奨事項の両方を考慮して得られた対話要件 

券売機が設置されている駅が出発駅として前もって設定されている状態で,対話を開始することが望ま

しい。

5.3 

この規格のインタラクティブシステム設計への利用例(JIS Z 8523JIS Z 8527 との関係) 

この箇条は,JIS Z 8523JIS Z 8527 を参照することによって,これまでに明確になっている対話要件を

実際の設計作業に展開する方法を説明する。設計案を作成する基礎とするために,対話要件を検討してそ

れぞれの対話要件に適した対話技法を決める。適切な対話技法が明らかになった時点で,その対話技法に

関係する適切な推奨事項を参照する。

該当する推奨事項は,

設計者にとって設計案を考案する手引となる。

この規格をユーザインタフェース設計に適用した例を,次に示す。この規格を適用することによって対

話要件を抽出でき,更に,

JIS Z 8523JIS Z 8527 の推奨事項を参照することによって決定した対話要件を,

適切な設計案に展開することができる。

この規格が,JIS Z 8527 と組み合わせることによって,両規格から引き出される対話要件に応じた対話

の設計の仕様案を決定するうえでどのように役立つかを例示する。提案する設計案は,両規格に準拠する

唯一のものではない。異なる進め方に基づき,同様に対話要件を満たし求める使いやすさを実現する代案

も考えられる。

利用の状況と,その利用の状況に該当する推奨事項との両方を考慮して得られた対話要件 

“券売機が設置されている駅が出発駅として前もって設定されている状態で,対話を開始することが望

ましい。

5.2 参照)

選択した対話技法 

書式記入対話(JIS Z 8527

対応する推奨事項[JIS Z 8527 の 6.1.3 a) 

“既定値が得られ,既定値を与えることが仕事上適していれば,既定値を欄中に含ませることが望まし

い。

JIS Z 8527 の 6.1.3 a)  に対応して定めた対話要件 

書式記入画面を利用してユーザーが出発駅を入力する場合には,その入力の既定値は券売機が設置され

ている出発駅に設定することが望ましい。

設計案 

券売機では,出発駅を既定値とする書式を,購入プロセスの開始時点から提供する。

この規格の推奨事項を読んでも,設計の経験をもたなければそれを設計案にまでつなげることは難しい。

JIS Z 8523JIS Z 8527 では,推奨事項を通じて対話の質を確保することを意図していて,設計の教科書に

することは意図していない。

JIS Z 8523JIS Z 8527 に規定されたどの対話技法を使用するかについては,適用可能な手引が存在しな

い状況もある。このような状況にあっては特定の利用の状況に適切な手引がほかにあれば,それを参照す

ることが望ましい。また,利用の状況及び対話の原則を使って利用の状況に合致した詳細な対話要件を作

り出すことが必要となる場合がある。

5.4 

この規格のインタラクティブシステム評価への利用例 

この箇条は,この規格を使いやすさの評価に適用する例を説明する。

ある鉄道駅の券売機の使いやすさを検討した結果,使いにくさが指摘されていると仮定する。テストユ

ーザー全員の一致した意見は,出発駅及び到着駅を選択するための手間がかかりすぎるということであっ


16 
Z 8420 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

た。したがって,出発駅を選択するうえでの券売機の利用の状況を調べ,この規格に基づいて定めた対話

要件とを比較する。

インタラクティブシステムの使いにくさをもたらすとされた問題 

テストした券売機は,一つは出発駅,もう一つは到着駅を選ぶ二つの駅名一覧を備えている。両方の一

覧では同じ既定値が表示されていて,五十音順で最初の都市になっている。

利用の状況と,その利用の状況に該当する推奨事項との両方を考慮して得られた対話要件 

“券売機が設置されている駅が出発駅として前もって設定されている状態で,対話を開始することが望

ましい。

5.2 と比較)

対話要件に照らして券売機を検討すると,対話要件を満たしていないことが分かった。したがって,券

売機は,利用の状況及びこの規格の対話の原則である“仕事への適合性”と関連している適切な推奨事項

の両方に基づいて特定された対話要件を満たしていない。

この規格と JIS Z 8521 及び JIS Z 8522 との関係 

図 にこの規格と JIS Z 8521 及び JIS Z 8522 との関係を示す。JIS Z 8522 は,提示情報の特性について

規定してあり対話の一部として情報提示をどのように行うか,すなわち,情報提示の設計についての手引

を示す。

この規格で規定する対話の原則は,JIS Z 8522 から得られる情報を活用しながら,インタラクティブシ

ステムとユーザーとがどのようにやりとりを行うかの設計,すなわち,インタラクション設計を主として

支援する。

JIS Z 8522 に規定する提示情報の特性は,特に“自己記述性”及び“ユーザーの期待への一致”原則の

実現に役立つ。この規格中の原則と JIS Z 8522 中の原則とを適用することによって,JIS Z 8521 で定める

有効さ効率及び満足度の観点からの使いやすさ(使用性)向上に役立つ。


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図 2−この規格と JIS Z 8521 及び JIS Z 8522 との関係 

使用性の概念(JIS Z 8521

ある製品が,指定された利用者によって,指定された利用の状況下で,指定された目
的を達成するために用いられるときの,有効さ,効率及び利用者の満足度の度合い。

提示情報の特性(JIS Z 8522

情報設計は,インタラクション設計を支援

明りょうさ

見分けやすさ

簡潔さ

一貫性

気付きやすさ

視認性

把握しやすさ

対話の原則(この規格 JIS Z 8520

仕事への

適合性

自己記述性

ユーザーの

期待への一致

学習への

適合性

可制御性

誤りに対して

の許容度

個人化への

適合性

有効さ

効率

満足度

インタラクション設計は,使いやすさ(使用性)を 
支援


18 
Z 8420 : 2008 (ISO 9241-110:2006)

参考文献

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display requirements

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Introduction

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[19]  ISO/IEC 9995-3, Information technology − Keyboard layouts for text and office systems − Part 3:

Complementary layouts of the alphanumeric zone of the alphanumeric section

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19

Z 8520 :2008 (ISO 9241-110:2006)

[21]  ISO/IEC 9995-5, Information technology−Keyboard layouts for text and office systems−Part 5: Editing

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[22]  ISO/IEC 9995-6, Information technology−Keyboard layouts for text and office systems−Part 6: Function

section

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used to represent functions

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[37]  JIS Z 8530  人間工学−インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス 

注記

対応国際規格:ISO 13407

,Human-centred design processes for interactive systems (IDT)