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Z 8519

:2007 (ISO 9241-9:2000)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本人間工学会(JES)/財団法人日本規格協

会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審

議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 9241-9:2000,

Ergonomic requirements

for office work with visual display terminals (VDTs)

−Part 9: Requirements for non-keyboard input devices を基礎

として用いた。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS Z 8519

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)入力装置の選択,ユーザビリティ試験及び解析

附属書 B(参考)効率及び有効性の試験

附属書 C(参考)快適性の査定

附属書 D(参考)その他の評価方式


Z 8519

:2007 (ISO 9241-9:2000)

(2)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  指針原則

10

4.1

  一般

10

4.2

  操作のしやすさの原則

10

4.3

  ユーザーによる制御の原則

10

4.4

  生体力学的負荷についての原則

11

5.

  達成の判断基準

11

6.

  設計上の要求事項及び推奨事項

11

6.1

  入力装置全般についての要求事項及び推奨事項

11

6.2

  特定の入力装置に関する要求事項及び推奨事項

13

7.

  適合性を測る試験方法

16

7.1

  一般

16

7.2

  試験方法の種類

16

7.3

  要求事項ごとの適合性検討

17

7.4

  文字・記号の視認性及び図記号の識別

17

8.

  適合性

18

附属書 A(参考)入力装置の選択,ユーザビリティ試験及び解析

19

附属書 B(参考)効率及び有効性の試験

22

附属書 C(参考)快適性の査定

30

附属書 D(参考)その他の評価方式

34

 


    

日本工業規格

JIS

 Z

8519

:2007

(ISO 9241-9

:2000

)

人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−

非キーボードの入力装置の要求事項

Ergonomics

−Office work with visual display terminals (VDTs)−

Requirements for non-keyboard input devices

序文  この規格は,2000 年に第 1 版として発行された ISO 9241-9,Ergonomic requirements for office work

with visual display terminals (VDTs)

−Part 9: Requirements for non-keyboard input devices を翻訳し,技術的内容

及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

対話型のオフィスコンピュータシステムを用いて行う作業では,キーボード(この入力装置は,文字情

報の入力を主とする。

)以外の入力装置(以下,非キーボードの入力装置という。

)を多用する。したがっ

て,入力装置の設計によっては,行う作業の効率,有効さ及び満足度に大きな影響が及ぶ可能性があるの

で,人間工学的原則に基づいた非キーボードの入力装置に関する要求事項及び推奨事項を規定する。

附属書 Aには入力装置の試験に用いる方法についての情報を記載し,試験機関又は個人が一層妥当

な試験方法を考案する研究を進めることを奨励している。

1.

適用範囲  この規格は,非キーボードの入力装置の設計に関する要求事項及び推奨事項について規定

する。この規格は,人間工学的情報が十分公表されている装置だけを対象としている。

この規格は,据え置きで使用する種類の非キーボードの入力装置に適用する。この規格は,マウス,パ

ック,ジョイスティック,トラックボール,タブレット,オーバレイ,タッチスクリーン,スタイラス及

びライトペンを対象として,入力装置についての人間工学的要素に基づいた指針を提供する。さらに,標

準的なオフィス作業でこれらの装置を使用するときのユーザーの限界及び能力に配慮した設計を行うため

の指針を提供する。この規格は,観察及び作業成績試験を通して,並びに装置の物理的属性の測定によっ

てこの規格への適合性を判別する方法を詳細指定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 9241-9:2000

,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals(VDTs)−Part

9: Requirements for non-keyboard input devices (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成

するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最

新版(追補を含む。

)を適用する。


2

Z 8519

:2007 (ISO 9241-9:2000)

    

JIS Z 8513:1994

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−視覚表示装置の要求事項及び追補

1

(2006)

備考  ISO 9241-3:1992,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−

Part 3: Visual display requirements

及び Amd 1(2000)からの引用事項は,この規格の該当事項と

同等である。

JIS Z 8515:2002

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ワークステーションのレイアウト

及び姿勢の要求事項

備考  ISO 9241-5:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−

Part 5: Workstation layout and postural requirements

が,この規格と一致している。

JIS Z 8517:1999

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−画面反射に関する表示装置の要求

事項

備考  ISO 9241-7:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−

Part 7: Requirements for display with reflections

が,この規格と一致している。

JIS Z 8518:1998

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−表示色の要求事項

備考  ISO 9241-8:1997,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−

Part 8: Requirements for displayed colours

が,この規格と一致している。

JIS Z 8528-2

  人間工学−フラットパネルディスプレイ(FPD)を用いる作業−第 2 部:FPD の人間工

学的要求事項

備考  ISO 13406-2:2001,Ergonomic requirements for work with visual displays based on flat panels−Part

2: Ergonomic requirements for flat panel displays

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等

である。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

備考  この箇条に記載した装置の図は,この規格で規定している設計に関する要求事項及び推奨事項

を必ずしも表しているとは限らない。

3.1

動作

3.1.1

クリック(click)  入力装置のボタン又は作動箇所を,指で押して離す操作。

3.1.2

ドラッグ(drag)  ディスプレイ上の対象要素を,ポインタで決めた経路に沿って移動させる動作。

3.1.3

フリーハンド入力(free-hand input)  ユーザーの手の動きのとおりにカーソルが何の制約も課さ

れずに動く状態の入力。

3.1.4

ポインティング(pointing)  入力装置を用いて小画像(ポインタなど)をディスプレイ上の特定

の場所に移動させる操作。

3.1.4.1

直接ポインティング(direct pointing)  システムからのフィードバックを利用しない目標物のポ

インティング。

例  移動先を指又はスタイラスで直接的に指示する。

3.1.4.2

間接ポインティング(indirect pointing)システムからの表示フィードバックを用いる目標物のポ

インティング。

例  マウスの移動に応答して画面ポインタを制御しているシステムの場合。

3.1.5

選択(selecting)  ディスプレイ上で一つ又はそれ以上の項目を選択する操作。

3.1.6

タッチ方式(touch strategies)


3

Z 8519

:2007 (ISO 9241-9:2000)

    

3.1.6.1

接触開始によるタッチ方式(first-contact touch strategy)  ディスプレイ表面に触れたときに表示

領域を変化させる接触感知の方式。

3.1.6.2

接触終了によるタッチ方式(last-contact touch strategy)  ディスプレイ表面から離れたときに表

示領域を変化させる接触感知の方式。

3.1.7

トレース(tracing)  画像の線又は形状の上でカーソル又は入力装置を移動させて画像の輪郭を追

従する操作。

3.1.8

トラッキング(tracking)  目標物に追従するように,ポインタ又は規定された記号をディスプレ

イ画面上で移動させる操作。

3.2

フィードバック

3.2.1

フィードバック(feedback)  動き(入力装置の移動,ボタンの起動など)について,触覚,聴覚,

視覚などを通じてユーザーに通知する情報。

備考  ディスプレイフィードバックとは,入力装置の移動又は起動操作に伴うディスプレイ上の表示

結果の変化を指す。

3.2.1.1

筋運動感覚フィードバック(kinesthetic feedback)  関節,筋肉及びけん(腱)の機械的刺激受容

器によって感知される動作。

参考  その結果として,手足そのほかの身体箇所の位置,動き,重さ及び抵抗値が認識される。

3.2.1.2

触覚フィードバック(tactile feedback)  ユーザー動作の結果を触覚を通して伝える情報。

3.3

ハードウェア

3.3.1

ボタン(button)  ユーザーの押す動作に反応して押されたことをコンピュータに伝える働きをも

つ入力装置に附属する機械部品。

3.3.2

測角器(goniometer)  関節の角度を測定する計測器。

3.3.3

入力装置(input device)  情報をシステムに伝えるための,ユーザーが制御する装置。

3.3.4

ジョイスティック(joystick)  レバーに加える力(レバーが可動でない場合)の方向及び大きさ,

又は操作で生じるレバーの変位(レバーが可動の場合)の方向及び大きさに応じて,ポインタを動かす働

きをもつ入力装置の固定部分に取り付けられたレバー(

図 参照)。

  1  ジョイスティックの側面図

3.3.4.1

変位ジョイスティック(displacement joystick)  加えられた操作によるレバーの変位の方向及び

大きさに比例して,ディスプレイ上のポインタを移動する働きをもつレバーを備えたジョイスティック。

3.3.5

ライトペン(light-pen)  ディスプレイ上のある位置を指すと,その位置座標情報をシステムに伝

える光学反応式の入力装置(

図 参照)。


4

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:2007 (ISO 9241-9:2000)

    

  2  ライトペンをディスプレイに当てた例

3.3.6

マウス(mouse)  平面上を移動させることによってディスプレイ上のポインタを動かすことがで

き,備えた一個又は複数個のボタンと組み合わせて,種々の選択オプション又は命令を選択実行できるコ

ンピュータ入力装置。

3.3.7

オーバレイ(overlay)  タブレット表面上の薄いテンプレート(図 参照)。ユーザーが利用可能

なグラフィック機能の表示に使用する。

  3  グラフィックオーバレイ(矢印で示す)を備えたタブレットの上面図

3.3.8

パームレスト(palm rest)  入力装置の使用時にたなごころ(掌)を支える面(図 参照)。

参考  パームレストは,たなごころ(掌)及び手首の両方又は手首を支えるためのリストレストより

も小さい。

  4  マウスと組み合わせたパームレスト使用時の上面図及び側面図

3.3.9

ポインタ(pointer)  入力装置によって動かされる入力位置又は選択位置を,画面上に表示する記

号。


5

Z 8519

:2007 (ISO 9241-9:2000)

    

3.3.10

パック(puck)  手で操作する点はマウスと同様だが,焦点板を備えており,一般的にタブレット

と組み合わせて使用する入力装置(

図 参照)。

  5  二つの形式パック例の上面図

3.3.11

焦点板(reticle)  パックの位置を画像上の位置に合わせるために使用する,パックレンズ内の十

字線(

図 参照)。

  6  焦点板を備えたパックの上面図(左側は,焦点板の拡大図を示す)

3.3.12

セレクタボタン(selector button)  入力装置に設けられている作動ボタン。

3.3.13

スタイラス(stylus)  ディスプレイ又はグラフィックスタブレットに触れながら(図 参照),先

端を軽く押し付けるか又は側面に付いているボタンを作動することによって,ディスプレイ上に画像を描

く又は表示された対象を選択するペン形状のポインティング装置。

  7  グラフィックスタブレット上にスタイラスを当てて操作する例の側面図

3.3.14

タブレット(tablet)  入力装置(スタイラス,パックなど)と組み合わせて,選択,描画又は表

示する画像位置の指示に使用する特殊な平面(

図 参照)。


6

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3.3.15

タッチスクリーン(touch-sensitive screen :TSS)  ディスプレイに指を触れる,ディスプレイから

指を離す,又はディスプレイ上で指を動かす操作によって位置及び選択入力信号を発生する入力装置。

3.3.16

トラックボール(trackball)  指で任意の方向に回すことでポインタの移動を制御できるボール,

固定された収納部に入っていて,多くはボールの近くにボタンをもつ。

図 参照)。

  8  ボタン付きトラックボール装置例の上面図

3.3.17

ワークステーション(workstation)  表示装置,用途に応じた附属品,周辺装置及び極めて身近な

作業環境からなる集合体。表示装置は,キーボード,入力装置,及び/又はユーザインターフェイスを決

定するソフトウェアを備えた中央処理装置をもつこともある。

3.4

測定項目

3.4.1

生体力学的負荷(biomechanical load)  作業姿勢による影響と,筋骨格系に加わる労力。

3.4.2

色差(colour difference)  二つの色刺激間の差。ClE1 976L*u*v*空間中の色刺激を表す 2 点間のユ

ークリッド距離として定義する。

備考  JIS Z 8518:1998 を参照。

3.4.3

設計基準姿勢(design reference posture)  ワークステーション設計のために,相対的な位置及び寸

法を定義するために規定された姿勢。

備考  JIS Z 8515:2002 を参照。

3.4.4

設計視距離(design viewing distance)  製造業者又は販売業者が指定した,作業者の目と画面との

間の距離,又は距離の範囲であって,表示画面上の画像が,文字寸法,ラスタ変調度,充てん率,空間的

不安定性(ジッタ)及び時間的不安定性(フリッカ)など,この規格の要求事項に合致する距離。

備考  JIS Z 8513:1994 から採用。

3.4.5

ゲイン(gain)  入力装置の操作部分の移動とディスプレイ上の指示部の移動又は変化との関係。

3.4.6

対象ユーザー群(intended user population)  製品又はワークステーションの設計対象となる人の集

団。

例  年齢 45 才∼65 才の東南アジア地域の男性及び女性作業者。

3.4.7

移動時間(movement time)  ポインティング機器をその開始位置から目標位置まで移動させる所

要時間であり,刺激表示時間及びボタン作動時間を除く。

3.4.8

視差(parallax)  見る位置を変えたときの対象物の見掛け上の相対位置の相違。

3.4.9

分解能(resolution)  ディスプレイ上のポインタ位置の変位をもたらす入力装置の最小移動量又は

作動力。


7

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3.4.10

基本動作要素(task primitive)  非キーボードの入力装置の使用に関連した基本的な動作(ポイン

ティング,選択,ドラッグなど)

備考  ユーザーの作業は,通常,基本動作要素の組合せとして構成される。

3.4.11

スループット(throughput)  ユーザーがディスプレイ上のポインタを制御するために入力装置を

操作しているときの情報転送速さの指標。

備考  スループットは毎秒当たりのビット数を単位として測定する。

参考  附属書 を参照。

3.5

姿勢

3.5.1

腕の外転(abduction of the arm)  身体から離れる向きの腕の横方向の動き又は回転,並びにこの

運動後の腕及び肩の位置。

3.5.2

腕の内転(adduction of the arm)  身体に近づける向きの腕の横方向の動き又は回転,並びにこの

運動後の腕及び肩の位置。

3.5.3

偏位(deviation)  手の平面が前腕軸から離れる方向の手の動き又は回転,及びこの運動後の手の

位置。

3.5.4

変位(displacement)  ある基準座標に照らした座標位置の変化。

3.5.5

背側(dorsal)  手の甲に関すること(図 参照)。

  9  手の甲

3.5.6

伸展(extension)  手の背側方向への動き,並びにこの運動後の手の部分及び関節の位置(図 10

参照)

 10  手の伸展動作例

3.5.7

屈曲(flexion)  腕の内側方向の動き[例えば,手及び指のたなごころ(掌)方向への動作],並

びにこの運動後の手の部分及び関節の位置(

図 11 参照)。


8

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 11  手の屈曲

3.5.8

中位姿勢(neutral posture)  完全なし(弛)緩状態,すなわち,意識して関節を曲げない場合を想

定した身体(及び身体箇所)の位置。

3.5.9

たなごころ(掌)(palm)  手首から指の付根までの手の内側範囲(図 12 参照)。

 12  たなごころ(掌)の範囲(円で示す)

3.5.10

回内(pronation)  前腕の内側への回転(内旋)(図 13 参照)。

 13  回内(矢印で示す回転)

3.5.11

手のとう(橈)側偏位(radial hand deviation)  手首を起点に,手を親指の方向に曲げる動作(図

14

参照)


9

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 14  手のとう(橈)側偏位(矢印で示す方向)

3.5.12

手の到達域(reach envelope)  対象ユーザー群にとって,特定のユーザー位置を基準として到達可

能な最適又は最大空間。

3.5.13

回外(supination)  前腕の外側への回転(外旋)(図 15 参照)。

 15  回外(矢印で示す回転)

3.5.14

尺側偏位(ulnar deviation)  手首を起点に,手を小指の方向に曲げる動作(図 16 を参照)。

 16  手の尺側偏位(矢印で示す方向)

3.6

ユーザビリティ指標

3.6.1

有効さ(effectiveness)  ユーザーが,指定された目的を達成する上での正確さ及び完全さ[JIS Z 

8521:1999

参照]


10

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3.6.2

効率(efficiency)  ユーザーが,目的を達成する場合に正確さと完全さに関連して費やした資源[JIS 

Z 8521:1999

参照]

3.6.3

満足度(satisfaction)  不快さのないこと,及び製品使用に対しての肯定的な態度[JIS Z 8521:1999

参照]

3.6.4

ユーザビリティ(usability)  ある製品が,指定されたユーザーによって,指定された利用の状況

下で,指定された目的を達成するために用いられる場合の,有効さ,効率及び満足度の度合い[JIS Z 

8521:1999

参照]

4.

指針原則

4.1

一般  この箇条では,すべての入力装置にあてはまり,かつ,6.に規定する要求事項及び推奨事項の

基礎となる人間工学的原則を規定する。

4.1.1

適切性  実施する作業及び対象とする作業環境において効率,有効さ及び満足度を提供する入力装

置を,適切性をもつ入力装置として設計では目指す。

参考  入力装置の適切性はソフトウェアによって高めることができる。

4.2

操作のしやすさの原則

4.2.1

明白さ  その入力装置がどの基本動作要素に用いられるかを,すぐに見て分かるように設計する。

4.2.2

予想のつきやすさ  対象ユーザー群の期待に応じて操作及び反応するように入力装置を設計する。

4.2.3

一貫性  類似の使い方をするときに,入力装置が同様の作動及び応答をするように設計する。

4.2.4

適合性  対象とするユーザーの人体寸法的特性及び生体力学的能力に適合するように入力装置を

設計する。

4.2.5

効率  最小限の時間及び労力で働かせることができるように入力装置を設計する。

4.2.6

有効さ  ユーザーの作業成績を,正確さ及び完全さの面で向上又は最適化するように入力装置を設

計する。

4.2.7

フィードバック  ユーザーの操作に対して装置が応答していることを,即座に知覚及び理解できる

情報をユーザーに与えるように入力装置を設計する。

4.2.8

満足度  不快さがなく,製品の使用に対するユーザーの態度が肯定的に向上するように入力装置を

設計する。

4.3

ユーザーによる制御の原則

4.3.1

応答性  操作に応じた一貫した,正確なフィードバックをユーザーに与えるように入力装置を設計

する。

4.3.2

非妨害性  入力装置そのものが,それ自体の使用を妨害することがないように入力装置を設計する。

例えば,使用時にユーザーの手又は腕が赤外線ビームを遮断したり,装置の移動又は制御操作でケーブル

が邪魔になるなど。

4.3.3

グリップ表面  意図した使用時に操作具の把持部分の偶発的なスリップを防止するように入力装

置の操作具を設計する。

4.3.4

装置へのアクセス  入力装置を握る動作,位置決め及び取扱いを作業成績に悪影響を及ぼさずに迅

速,かつ,容易に実行できるように入力装置を設計する。

備考  装置の位置決めはその装置の設計,ワークステーションの設計及び調節,並びにユーザーの位

置に依存する。


11

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4.3.5

操作具へのアクセス  入力装置の操作具を,迅速,かつ,容易に位置を見つけ作動できるように入

力装置を設計する。

4.4

生体力学的負荷についての原則

4.4.1

姿勢  ユーザーが中立姿勢から大きく外れずに操作できるように入力装置を設計する。

4.4.2

労力  過剰な労力を伴うことなく操作できるように入力装置を設計する。

4.4.3

ユーザーの訓練  ユーザーに入力装置の正しい使用方法に関する知識を伝え,このような情報を活

用できるように入力装置を設計する。これによって,ユーザーは過剰な労力を回避し,作業成績を向上さ

せることができる。

5.

達成の判断基準  入力装置は,それを用いて行う作業に対してユーザビリティを備えていなければな

らない。ユーザーがある特定の作業で満足すべき作業成績を達成でき,労力及び満足度を受け入れ可能な

レベルに維持できる場合に,入力装置はユーザビリティを備えていると判断する。4.の指針を考慮にいれ,

更に 6.の要求事項すべてを満足するだけでなく,6.の推奨事項についても配慮すれば,ユーザビリティを

備えた入力装置を提供できると考える。

6.

設計上の要求事項及び推奨事項  この箇条では,入力装置の設計上の要求事項及び推奨事項について

規定する。

6.1

入力装置全般についての要求事項及び推奨事項  入力装置が要求事項に適合しているかを評価する

ための適切な試験方法の種類は,7. による。

6.1.1

操作する体の部位の安定  微細な精度の位置決めに用いる入力装置を設計する場合は,入力装置又

は作業面の上に,指,手,手首又は腕の一部を落ち着かせて,手と動作ポイント間の安定した関係を確保

できるようにしなければならない。

6.1.2

分解能  入力装置は,基本動作要素に必要な精度の達成を助ける分解能をもつように設計すること

が望ましい。

参考  機器全体の分解能は,ハードウェアとソフトウェア両者の組合せで決まる。

6.1.3

配置変更  入力装置の使用に当たってその配置変更が必要な場合は,道具を使用することなく手作

業で配置を変更できるようにしなければならない。

6.1.4

ボタンの設計

6.1.4.1

ボタンの作動  入力装置のボタンが意図した使用時に不用意に作動しないように設計すること

が望ましい。

6.1.4.2

ボタンの形状  ボタンは,その上に指を置くのに,及びボタンを押すのに適した形状とすること

が望ましい。

6.1.4.3

ボタンの押下力  ボタンを作動させるための押し下げ力は,0.5∼1.5 N の範囲内であることが望

ましい。

備考  ボタンの押下力は,小さすぎてユーザビリティを損なわない範囲で小さいことが望ましい。

6.1.4.4

ボタンの押し下げ量  筋運動感覚フィードバックを与えるようにボタンを設計する場合,ボタン

の押し下げ量は少なくとも 0.5 mm であることが望ましい。押し下げ量は 6 mm を超えてはならない。

6.1.4.5

不注意によるポインタ移動  入力装置は,不注意なボタン作動によって意図しないポインタ移動

が起こらないように設計することが望ましい。


12

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6.1.4.6

ボタンのロック  ドラッグ,トレース,フリーハンド入力などの基本動作要素を実行するときに

押し下げ続ける必要のあるボタンは,ハードウェア又はソフトウェアによってロックできるように,設計

しなければならない。

6.1.5

利き手の配慮  入力装置はどちらの手でも操作できることが望ましい。又は,右利き用及び左利き

用の機器を利用できることが望ましい。

6.1.6

圧迫箇所  入力装置は,その使用時に不便さ又は能率の低下の原因が,圧迫箇所によって引き起こ

されないように設計することが望ましい。

6.1.7

保持の安定性  グリップ表面は,スリップを防止する上で十分な寸法,形状及び質感とすることが

望ましい。

6.1.8

アクセス  入力装置の設計では,ユーザーの手の到達域の範囲内に入力装置を配置して,利用可能

とすることが望ましい。

6.1.9

配線  入力装置に取り付けるケーブルは,入力装置使用の妨げにならないように配置又は取り付け

ることが望ましい。ケーブルの質量,柔軟性,張り具合及び取付位置,並びにもつれる可能性をケーブル

配線の設計時に考慮することが望ましい。

6.1.10

ポインタの動き  入力装置の動きとディスプレイ上に表示されるポインタの動きとの関係は,左右,

及び上下(又は前後)の方向において,ユーザーの期待と一致するものでなければならない。

6.1.11

フィードバック

6.1.11.1

事象フィードバック  ボタンが作動したこと又はデータの入力が完了したことに対してフィー

ドバックを提供しなければならない。

6.1.11.2

信号速度  入力装置から発生した信号は,20 ms 以内にシステムへと伝えられることが望ましい。

参考  動作の結果を目で見ながら行う場合は,動作とその目に見える応答との間に遅延があると,ユ

ーザーの作業成績低下の原因になることがある。最大 20 ms までの遅延は一般的に感知されな

いので,これによってユーザーの作業成績が低下することはない。感知できる程度の遅延がな

い状況と比較して,ユーザーの作業成績は,遅延が 40 ms の場合には,10  %,100 ms の場合

には 50  %それぞれ低下する。

6.1.12

上し(肢)及び頭部の姿勢  手,指,腕,肩及び頭部がそれぞれの自然な無理のない位置から過度

にずれた状態で作業しなくても済むように,入力装置を設計することが望ましい。

6.1.13

形状及び寸法  指先で操作する,又は手で持って若しくは手で握って操作する入力装置は,対象ユ

ーザー群の手の寸法に対応するように設計することが望ましい。

6.1.14

安定性  通常の操作の範囲では,ぐらついて入力操作の正確さが低下しないように,入力装置は十

分な安定性を備えていることが望ましい。

参考  入力装置のすわりが悪く安定していないと,作業成績,快適性及び生体力学的負荷に悪影響を

及ぼす可能性がある。

6.1.15

表面温度  10 分以上にわたってユーザーの皮膚が接触する装置表面の温度が 40  ℃を超えること

がないことが望ましい。

6.1.16

視差の配慮  目標画像の視差及び屈折変位が生じる場合のある入力装置(ライトペン又はタッチス

クリーンのような)及びソフトウェアアプリケーションは,ユーザーがこれらの光学的特性をもつ目標位

置を感知できるように設計することが望ましい。

6.1.17

質量  平行移動,回転,ボタン作動などの操作時に,入力装置の質量,すなわち慣性によって,装

置操作の正確さが低下しないことが望ましい。


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6.1.18

ゲイン  間接ポインティングを行う入力装置(すなわち,入力装置がそのときどこをポイントして

いるかは,システムからの表示を介して与えられる。

)のゲインは,作業に適した大きさであること,及び

その大きさをユーザーが調節できることが望ましい。

6.1.19

スループット  間接ポインティング,選択及びドラッグ操作に使用する入力装置は,それらの操作

に求められる正確さの範囲内で,

表 に示すスループットをユーザーが達成できるように設計することが

望ましい。入力装置は,操作する手(手首)及び指の筋肉の機能発揮を妨げないことが望ましい。

  1  手(手首)及び指で制御する入力装置のスループット例

コントローラ

スループット

ビット/秒

指 3

手(手首) 2

6.1.20

保守性  装置の清掃又は調節をユーザーが特殊な工具を用いなくとも行えるように,入力装置を設

計しなければならない。

6.2

特定の入力装置に関する要求事項及び推奨事項

6.2.1

マウス

6.2.1.1

センサ位置  運動感知ポイント(標準的なマウスの下側に収められている回転ボールなど)は,

たなごころ(掌)の下ではなく,指の下に来るように配置することが望ましい。

備考  指には親指を含む。

6.2.1.2

ボタンの操作  装置の所定の使用時に,手の自然な姿勢から過度の偏移を起こすことなく指をボ

タンに触れて作動できるように,装置を設計するのがよい。

備考  “過度”とは,例えば操作の正確さを損なう,筋肉の痛みを引き起こすなどをいう。

6.2.1.3

ボタンの作動  ボタンを作動させる動きが,ポインティング,トレースなどのマウスの操作を妨

げないこと望ましい。

6.2.1.4

分解能の一貫性  マウスの分解能は,作業面上の装置の位置及びディスプレイ上のポインタ位置

の双方に依存しないことが望ましい。

備考  マウスの分解能は,ソフトウェア又はユーザーによって変更できることが多い。

6.2.2

パック

6.2.2.1

ボタンの操作  装置の通常の使用時に手の自然な姿勢からの過度の偏移を起こすことなく指を

ボタンに触れて作動できるように,装置を設計するのがよい(6.2.1.2 

備考を参照)。

ボタンの接触表面は,ボタンの変位方向及び屈曲時の指の動きに対して垂直であることが望ましい。

6.2.2.2

ボタンの作動  意図しない動きを引き起こすことなく,パックのボタンを押すことができるのが

よい。

6.2.2.3

焦点板ウィンドウ  焦点板ウィンドウは,適切な視認性が確保されるように十分に透明,かつ,

収差のないことが望ましい。

6.2.2.4

焦点板の位置  焦点板ウィンドウは,ユーザーが頭部を 15°以上も極端に動かす(屈曲)必要な

く操作できるように,パック上に配置し設計することが望ましい。

6.2.2.5

滑り出しの防止  パックを傾斜面の上で使用する場合にも,ユーザーが意図しないのに滑り出す

ことがないように適切な抵抗を備えていることが望ましい。


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6.2.2.6

目標の妨害  入力装置の寸法は,目標の視認を妨げてユーザーの作業成績を損なわないような大

きさであることが望ましい。

6.2.3

ジョイスティック

6.2.3.1

作動力  指操作ジョイスティックの変位に要する力は,0.05∼1.1 N の範囲内が望ましい。

6.2.3.2

変位  手によって操作する変位ジョイスティックの場合,その変位は左右方向で 45°,前方向(ユ

ーザーから離れる方向)で 30°,後方向(ユーザーに向かう方向)で 15°をそれぞれ超えないことが望ま

しい。

6.2.3.3

ボタンの位置  指によって操作するジョイスティックの機能ボタンは,人差し指で作動できるよ

うに,ハンドルの最上部位置に配置することが望ましい。

手操作ジョイスティックの機能ボタンは,親指,人差し指又は中指で作動できるように,最上部又は側

面に配置することが望ましい。

6.2.4

トラックボール  トラックボールを選択するときには,次の要素について考慮する。

−  ポインタの動き,

−  作業で要求される精度,及び

−  指(親指を含む)を常に同じ位置に置いて作業できる。

6.2.4.1

寸法  トラックボールの露出領域の弦長は,最低でも 25 mm とすることが望ましい。トラックボ

ールの中心から測定した露出円弧は,100∼140°までの範囲内とするのがよい(

図 17 参照)。露出円弧の

推奨値は 120°とする。

 17  トラックボールの弦長及び露出円弧

6.2.4.2

回転力  トラックボールの回転力は,0.2∼1.5 N が望ましい。

6.2.4.3

始動抵抗値  トラックボールの始動抵抗値は,0.2∼0.4 N が望ましい。

6.2.5

タブレット及びオーバレイ

参考  立位姿勢で操作する大きなディジタイザタブレットの場合には,この 6.2.5.16.2.5.15 の要求事

項及び推奨事項に適合できるように,ユーザーが横方向に移動できると仮定している。


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6.2.5.1

タブレットの高さ及び傾き  タブレットの設計(高さ,奥行及び傾き)では,タブレットをワー

クステーションの中に組み込んだ場合に,ユーザーが設計基準姿勢を取ることができるよう配慮すること

が望ましい。

6.2.5.2

タブレット及びオーバレイの接触面  タブレット及びオーバレイのユーザー接触面は,平たん

(坦)

,かつ,滑らかなものが望ましい。

6.2.5.3

タブレット及びオーバレイの表面反射  タブレット及びオーバレイ表面からの反射又はグレア

によって,タブレット又はオーバレイの文字が見えにくくなったり,視覚的効率又は快適性が低下するこ

とがないようにするのがよい。

6.2.5.4

タブレット又はオーバレイの作動力  タブレット又はオーバレイに対して断続的な入力が必要

な機能の場合には,入力に必要とされる最大力が 1.0 N を超えないことが望ましい。

6.2.5.5

コントロールディスプレイゲイン  コントロールディスプレイゲイン(操作変化量対表示変化量

の比)を,ユーザー特性及び作業の必要性に応じて調節できることが望ましい。

6.2.5.6

文字・記号及び図記号の視認性  タブレット及びオーバレイ上に表記するすべての文字・記号を,

設計視距離から読み取ることができるようにしなければならない。図記号は,設計視距離から識別できる

ことが望ましい。

6.2.5.7

文字・記号及び図記号の寸法  タブレット及びオーバレイ上に表記する記号名称,大文字及び数

字の高さは,設計視距離において最小でも視角 16'としなければならない。文字(記号名称,大文字及び数

字等)の知覚できる高さは,ユーザーの位置も含めて考慮する。文字・記号及び図記号の高さの推奨値は,

視角 20'である。

6.2.5.8

文字・記号の幅対高さ比  大文字(i の大文字である I を除く)の幅対高さ比は 0.5:1∼1:1 ま

での範囲内としなければならない。

6.2.5.9

文字・記号の高さと線の太さとの比  大文字の高さと線の太さとの比は,5:1∼14:1 までの範

囲内としなければならない。

6.2.5.10

文字・記号及び図記号の輝度比  主要な文字・記号及び図記号の最小輝度比を,少なくとも 3:1

としなければならない。主要なもの以外の文字・記号及び図記号については,色差によって認識可能であ

ることが保証される限りにおいて,上記の輝度比よりも小さくしてもよい。

6.2.5.11

文字・記号及び図記号の色  情報を見分けるために色を用いる場合は,色の違いが明白であり,

かつ,容易に知覚できることが望ましい。

6.2.5.12

機能のグループ化  オーバレイ又はタブレット上の機能グループは,容易かつ迅速に区別できる

ようグループ化されていることが望ましい。

6.2.5.13

オーバレイの取付け  オーバレイのタブレットヘの着脱が容易かつ簡単であることが望ましい。

6.2.5.14

偶発的なオーバレイの移動  通常の操作時にオーバレイが偶発的にタブレットから離れること

がないことが望ましい。

6.2.5.15

オーバレイの平たん(坦)さ  タブレット上に置いたオーバレイは,平たん(坦)であるのがよ

い。

6.2.6

スタイラス及びライトペン

6.2.6.1

握り表面  スタイラス及びライトペンのグリップ表面は,滑りにくいものであることが望ましい。

6.2.6.2

作動力  スタイラスを連続的な入力に使用する場合,タブレット上でスタイラスを作動するため

に必要な力が 1.5 N を超えないことが望ましい。

6.2.6.3

セレクタボタンの作動力  セレクタボタンの作動力は,0.3∼1.5 N までの範囲内であるのがよい。


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6.2.6.4

セレクタボタンの接触領域  セレクタボタンの接触面は,直径が少なくとも 5 mm の円形領域を

含むのがよい。

6.2.6.5

寸法  円筒形のスタイラス及びライトペンは,長さを 120∼180 mm まで,また,その直径を 7∼

20 mm

までの範囲とするのがよい。

6.2.6.6

質量  スタイラス及びライトペンの質量は,10∼25 g までの範囲がよい。

6.2.7

タッチスクリーン

6.2.7.1

目標の位置  ユーザーに向かって垂直方向に設置したタッチスクリーンでは,触れる対象を肩の

高さよりも低い位置に配置しなければならない。

参考  この要求事項を満たせば,腕及び/又はひじ(肘)を作業面で支えた状態で,対象ユーザーの

手の届く範囲で操作することが,垂直方向のタッチスクリーンの傾斜,位置及び高さを調節す

れば,可能となる。

ユーザーに対して水平方向に設置したタッチスクリーンでは,触れる対象をひじ(肘)の高さ,又はそ

れよりも低い位置に,及び対象ユーザー群の手の到達域範囲内に,配置しなければならない。

6.2.7.2

接触感知領域  接触開始によるタッチ方式を使用するシステムの場合は,接触感知領域の大きさ

を男性の末しょう(梢)関節幅(第 2 関節幅)の 95 百分位数の値より大きくとることが望ましい。視差に

よって作業成績が低下する場合は,接触感知領域を更に大きくするのがよい。

6.2.7.3

文字寸法及び輝度比  タッチスクリーンに表示する文字の寸法及び輝度比は,JIS Z 8513JIS Z 

8517

JIS Z 8518 及び JIS Z 8528-2 の該当する要求事項又は推奨事項に準拠しなければならない。

6.2.7.4

自動繰返し接触機能の開始遅延  繰り返し触れる操作を自動的に行う機能を備えている場合は,

偶発的な作動を防止するために,500∼750 ms までの範囲の長さ触れるとはじめて自動繰り返し接触機能

が作動し始めることが望ましい。

6.2.7.5

目標の非作動空間  接触開始によるタッチ方式を使用するタッチスクリーンは,各接触目標の周

囲に少なくとも 5 mm 幅の非作動空間を設けることが望ましい。

備考  接触終了によるタッチ方式を使用するタッチスクリーンの場合は,非作動空間の幅は 5 mm よ

りも小さくしてよい。

6.2.7.6

目標への追従  ドラッグ操作を行っている場合には,指又はスタイラスの動きに対して,ドラッ

グ対象又はポインタが遅れずに及び離れずに追従することが望ましい。

6.2.7.7

静電気  スクリーンに触れるときの静電気放電によるユーザーの不快感を回避又は減らすため

に,タッチスクリーンには静電気防止処理を施すことが望ましい。

7.

適合性を測る試験方法

7.1

一般  この箇条では,6.の各要求事項のそれぞれに対してその要求事項を満足するか否かを判断する

ための情報を,次の項目について規定する。

−  適切な試験方法の種類

−  試験方法の具体的な内容

指定した方法の試験を実施した結果から,試験対象の入力装置が各要求事項を満足するか否かを判定す

る。

7.2

試験方法の種類

7.2.1

測  計測とは,標準的な計測器又は工具を用いてある特性の定量的測定値を得ることをいう。


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7.2.2

観察  観察とは,一人の又は何人かの観察者が個々に,入力装置についてある特性を調べ,検討す

ることをいう。通常,観察の結果は,ある特性が見られるか否かに応じての二値判定(例えば,

“該当”又

は“該当せず”

)となる。

7.2.3

作業成績試験  作業成績試験とは,ある要求事項の規定に対して,入力装置がそれに対応する特性

を使用時に発揮し得るかをユーザーを関与させた実験を通して判定する方式である。作業成績試験を使用

する場合は,実験の立案,実施,分析及び結果解釈に必要となる情報を用意しなければならない。

7.3

要求事項ごとの適合性検討

7.3.1

微細な位置決め精度作業に対する支援

適切な試験方法の種類:観察

装置,作業面又は支持面のいずれかの上に,操作を安定させ,細かな位置決めが可能となるように指,

手,手首又は腕の一部を安定して置くことができるかどうかを確認する。

7.3.2

配置変更

適切な試験方法の種類:観察

道具を使用せずに入力装置の配置を変更できるかどうかを確認する。

7.3.3

ボタンのロック

適切な試験方法の種類:観察

ハードウェア又はソフトウェアのボタンロックが用意されているかどうかを確認する。

7.3.4

ポインタの動き

適切な試験方法の種類:観察

左,右,前・上,及び後・下の基本方向に関して,ポインタの動く方向がユーザーが期待している方向

と整合しているかどうかを確認する。

7.3.5

事象フィードバック

適切な試験方法の種類:観察

入力装置のボタンが作動したことを示すフィードバックが与えられるかどうかを確認する。

7.3.6

保守性

適切な試験方法の種類:観察

特殊な道具を使用せずに製造業者が指定する機器に関する保守作業を実施できるかどうかを確認する。

7.4

文字・記号の視認性及び図記号の識別

適切な試験方法の種類:観察又は作業成績試験

設計視距離からすべての文字・記号を読み取り,すべての図記号を識別することができるかどうかを確

認する。

作業成績試験については,JIS Z 8513:1994,追補 1(2006)を参照。

7.4.1

文字・記号及び図記号の寸法

適切な試験方法の種類:計測,観察又は作業成績試験

文字・記号及び図記号の寸法が,設計視距離に対して適切なものであるかを測定又は確認する。

7.4.2

文字・記号の幅対高さ比

適切な試験方法の種類:測定

大文字(

“I”を除く)の幅及び高さをその隅から測定し,その比を計算する。

7.4.3

文字・記号の高さと線の太さとの比

適切な試験方法の種類:測定


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大文字の線の太さ及び高さを測定し,その比を計算する。

7.4.4

文字・記号及び図記号の輝度比

適切な試験方法の種類:測定

文字・記号及び図記号の輝度とその背景の輝度とを測定し,輝度比を計算する。

7.4.5

タッチスクリーン:目標の位置

適切な試験方法の種類:測定

ユーザーに対して垂直方向に設置したタッチスクリーンは,目標の位置が対象ユーザー群の肩の高さに

関する人体寸法データに対応しているかどうかを確認する。

ユーザーに対して水平方向に設置したタッチスクリーンは,目標の位置が対象ユーザー群のひじの高さ

に関する人体寸法データに対応しているか又はその位置よりも低いかどうかを確認する。

7.4.6

文字の寸法及び輝度比

適切な試験方法の種類:観察

JIS Z 8515

に準拠しているワークステーション設備を使用し,文字の寸法及び輝度比が JIS Z 8513JIS 

Z 8517

JIS Z 8518 又は JIS Z 8528-2 の該当する要求事項に準拠しているかどうかを確認する。

8.

適合性  この規格との適合は,6.の要求事項すべてを満足するかどうかで決定する。6.の要求事項は,

その要求事項を満たすかどうかを試験する方法とともに,7.に規定してある。


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附属書 A(参考)入力装置の選択,ユーザビリティ試験及び解析

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

A.1

序文  この附属書は,この規格の規定部分で記述している基本動作要素についての内容を更に詳細に

補足する。この附属書が目指すのは,入力装置の試験に用いる方法について情報を提供すること,及び試

験機関又は個人によって,試験方法の妥当性向上への研究が進められるように促進することである。

A.2

入力装置の選択基準  どの入力装置を選ぶかは,入力装置を用いる作業と動作環境とで決まる。どの

基本動作要素には,どの入力装置が適切であるかの例を

表 A.1 に示す。使い方に柔軟性がある入力装置及

び使用上の必要に合わせて構成可能な入力装置の場合には,

表 A.1 に示す基本動作要素とそれに適切な入

力装置との対応は変わる場合がある。さらに,適切なソフトウェア(デバイスドライバの改善,ソフトウ

ェアによる機能の実現など)を使用することによっても,

表 A.1 に示す対応は変わる場合がある。

表 A.1  作業に適切な入力装置の例

基本動作要素

入力装置

ポインティング

マウス,パック,トラックボール,タブレット,スタイラス,
ライトペン,タッチスクリーン

選択

マウス,パック,ジョイスティック,タブレット,スタイラス,
ライトペン,タッチスクリーン

ドラッグ

マウス,パック,タブレット

フリーハンド入力

タブレット

トレース

パック,タブレット,スタイラス,ライトペン

A.3

ユーザビリティ試験及び査定

A.3.1

一般  ある特定の状況における効率,有効さ及び満足度を評価するために,ユーザビリティ試験を

行う。

ユーザビリティは,効率,有効さ及び満足度の三つの側面でとらえるものであるから,これらをすべて

同時に考察及び評価するのが適切である。

効率,有効さ及び満足度を評価するための方法例を,

附属書 Bに記述する。附属書 には,効率及

び有効さを評価するための試験方法を記述する。

附属書 には満足度を査定するための方法を記述する。

附属書 では,生体力学の観点からの評価方法を検討する。

既存の及び新たに設計する入力装置のユーザビリティの側面及び人間工学的な側面を,設計者,製造業

者及びシステムインテグレータが査定するときの助けとなることを,

附属書 Bは目的としている。こ

れらの査定方法は,ある入力装置がユーザビリティに関する要求事項を満足するかを判定するのにも利用

できる。

入力装置のユーザビリティ試験は,ユーザビリティ試験の手法,統計解析手段及び計測手段に関して適

切な知識をもつ者が行うことが望ましい。被験者を用いて行う試験に関する倫理規則に従うことが望まし

い。


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A.3.2

  環境  試験を行う場所は,静かで注意をそらすものがない状態が望ましい。理想的には,ユーザビ

リティ研究施設などの専用の場所であることが望ましい。

試験の前に少なくとも 15 分間被験者を試験環境

に順応させるのがよい。試験の実施中には,被験者をこの順応した状態に保っておくことが望ましい。

A.3.3

  温熱条件  周囲温度は,20∼24  ℃の範囲内とし,試験中に温度が 2  ℃以上変動しないことが望ま

しい。相対湿度は 30∼70  %の範囲がよい。気流速度は 0.15 m/秒よりも小さくすることが望ましい。

A.3.4

  照明  周囲の照明は,最大で 250+250cos(A)とするのがよい。A は,ディスプレイの中心点にお

ける接平面と水平面との間のなす角度である。表面反射率の推奨値を,

表 A.2 に示す。

表 A.2  表面反射率

対象

反射率

天井 70

%∼80  %

壁 30

%∼50  %

床 20

%∼30  %

じゅう(什)器 20

%∼50  %

ディスプレイが発光型[陰極線管(CRT)など]の場合には,文字又は背景のうちで輝度の高い方を約

100 cd/m

2

,他方(低い方)の輝度を 35 cd/ m

2

以上とし,文字と背景との輝度比は最低でも 3:1 を保つこ

とが望ましい。ディスプレイが非発光型[液晶ディスプレイ(LCD)

,電界ルミネッセンスディスプレイ

(ELD)など]の場合には,文字又は背景の輝度(どちらか高い方)は,文字と背景との輝度比を最低で

も 3:1 に保つ一方で,最低でも 35 cd/m

2

であることが望ましい。照明器具又は窓からの光による目立つグ

レアがディスプレイ上に起こらないことが望ましい。

A.3.5

  試験用の作業設備  作業設備は,JIS Z 8515 の要求事項すべてに適合することが望ましい。

試験用の作業設備として,次のものを含むのがよい。

a)

座面高さ及び背もたれの角度を調節できるいす(椅子)

b)

高さを調節できる作業台

c)

被験者の水平視線よりも 20∼50°低い範囲に中心の位置を調節できるディスプレイ

d)

原稿台(必要に応じて)

e)

フットレスト

f)

十分な作業空間

A.3.6

  被験者  入力装置を用いると想定するユーザーに関しての輪郭情報(概要情報)を,試験の立案者

及び/又は実施者に対して提供することが望ましい。被験者は,入力装置を用いると想定するユーザー集

団をできるだけ代表することが望ましい。被験者を選ぶときに,性別,年齢,視覚特性(眼鏡の使用)

,利

き手,手の大きさ,入力装置の使用経験などのユーザー特性を考慮することが望ましい。

A3.7

  試験装置  試験装置は,次の機能を備えていることが望ましい。

a)

視覚刺激の表示

b)

入力操作結果の取り込み及び保存

c)

実験手順の時間的管理

d)

入力操作結果及びエラーの分類整理,印刷又は表示

被験者が用いるディスプレイは,JIS Z 8513 の要求事項すべてに適合することが望ましい。試験しよう

とするどの入力装置に対しても,画像を表示するのに同じディスプレイを使用するのがよい。別のディス


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プレイを用いる必要がある場合は,表示極性と表示フォントとをそろえるのがよい。試験の対象となる各

装置で使用するソフトウェアドライバ(ポインタの速度設定)は,統一するのがよい。

A.3.8

試験手順

A.3.8.1

装置の割当て  新しく設計した入力装置は,ユーザー集団によって一般的に受け入れられている

市販の入力装置と比較する形で試験するとよい。

同じ種類であるが設計の異なる二つの装置(大きさ又は形状の異なる二つのマウスなど)又は種類の異

なる二つの装置(マウスとトラックボールなど)の比較をすることが好ましいことがある。このほかに,

種々の基本動作要素に関しての装置の比較が求められることもある。

二つ以上の装置の間で比較試験を実施する場合は,どの被験者も比較する装置すべてを使用して試験を

行うのが望ましい。入力装置にその装置を見分けるためだけのラベルをは(貼)り(例えば,"A","B"な

ど)

,装置を特定できるロゴ及びラベルはすべて隠すことが望ましい。試験対象装置の提示の順番を工夫す

ることによって,提示順序の影響が打ち消しあうようにすることが望ましい。

A.3.8.2

  試験時間  一人の被験者は,一日当たり休憩を含めて 4 時間以上被験者とならないことが望まし

い。1 時間ごとに 5 分の休憩を入れるとよい。試験時間は,統計的に妥当な量の作業成績結果を得るのに

十分な長さとすることが望ましい。

A.3.8.3

  統計処理  適切な検出力及び信頼水準が確保できるような,通常の統計手法を適用する。検定結

果はすべて,有意水準 α=0.05 で評価することが望ましい。

A.3.8.4

  機密性  各個人の試験データに関する機密性を確保することが望ましい。個々の被験者を特定で

きるデータを試験機関から公表しないことが望ましい。


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附属書 B(参考)効率及び有効性の試験

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

B.1

  序文  この附属書は,既存の又は新しい入力装置の効率及び有効さを評価するための作業成績試験の

方法について説明する。入力装置の試験に用いる方法について情報を提供すること,及び試験機関又は個

人によって,試験方法の妥当性向上への研究が進められるように促進することを,この附属書は目指して

いる。

試験ではスループットの測定を行う。すべての入力装置及びそれらのすべての使用状況を,単一の作業

成績試験手順だけでは扱えないので,この附属書は複数の試験手順を記述する。

B.2

手順の概要  入力装置の試験は,その装置を用いると想定する作業を対象として実施することが望ま

しい。この附属書に含まれている試験は,次の基本動作要素を評価するように設計されている。

−  ポインティング

−  選択

−  ドラッグ

−  トレース

−  フリーハンド入力

装置を用いると想定する作業にすべての基本動作要素が必要不可欠であると判断されない限り,入力装

置の試験を基本動作要素すべてについて行う必要はない(

表 A.1 を参照)。しかしながら,複数の入力装置

を適切に比較するには,どの入力装置にも同じ試験方法をそれぞれ適用する必要がある。

試験システムに使用するソフトウェアによって,被験者の作業性が妨害されないことが望ましい。例え

ば,

ネットワークに接続したシステムを用いる場合には,

着信メールの通知を無効にすることが望ましい。

B.3

  特別な訓練  新しい設計の入力装置に被験者がなじんでいない可能性がある場合,信頼性の高い作業

性試験を実施するためには,事前に被験者の訓練が必要になることがある。訓練を必要とする場合,被験

者の作業速度及び正確さが十分に向上するまで,各被験者に入力装置の使用法を習得させることが望まし

い。安定した習熟効果が得られるように,被験者には十分な練習時間を与えることが望ましい。安定した

習熟効果が得られたかどうかを,統計的な手続き[例えば,ダンカンの多重範囲検定(Duncan’s Range test)

によって検証するとよい。

各被験者には,試験の開始に先立って統一した指示を与えておくとよい。その指示に,できるだけ早く

かつ正確な動作に努めること,及び誤りに気付いても修正せずそのままにしておくことを含めるとよい。

B.4

基本動作要素の特定及び選択  試験対象の入力装置を用いて行うと想定した作業に対して,どの基本

動作要素(A.2 を参照)が当てはまるかを特定することが望ましい。さらに,作業の詳しい種類及び条件

を選択するとよい(

表 B.1 を参照)。


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表 B.1  作業及び条件の種類

作業

条件

移動

単一方向(x 又は y 方向)

往復方向(x 又は y 方向)

任意の方向(すべての角度)

フィードバック及び

位置に関する視覚的フィードバックの有無

プロンプト

視覚的プロンプトの有無

目標地点到達に関するフィードバックの有無

目標地点到達

目標地点到達をユーザーが自分でシステムに知らせる手動型

ユーザーのポインティングが規定の範囲内にあるかで自動判別

B.5

  入力装置のスループット計算

B.5.1

目標幅(w)  目標幅とは,ディスプレイ上に表示される目標の幅のことである。

備考  選択,ポインティング又はドラッグ作業の場合,移動の方向に沿って目標幅を測定する。

トレース作業の場合は,移動の方向に対して垂直に目標幅を測定する。

B.5.1.1

実効目標幅(w

e

)  実効目標幅とは,ポインティング・タッピング試験において,被験者がポイ

ントした点群の広がり幅である。実効目標幅は,次の式によって求める。

w

e

=4.133s

x

ここに,s

x

: 被験者がポイントした点群の座標位置の標準偏差である(座標位置

は,移動の方向に沿って取る,すなわち,水平タッピング試験の場

合は x 軸座標)

B.5.1.2

困難さ指標(ID)  困難さ指標は,その作業で必要なユーザー動作の正確さを,ビットを単位と

して表したものである。選択,ポインティング又はドラッグ作業の場合は,次の式によって求める。

w

w

d

ID

+

=

2

log

トレース作業の場合は,次の式によって求める。

w

d

ID

=

ここに,  ID:  困難さ指標

d:  目標までの距離

w:  目標幅  選択,ポインティング又はドラッグ作業の場合は移動

の方向に沿って測った目標の幅であり,トレース作業の場合は,

移動の方向に対して垂直に測ったトレース経路の幅である。

B.5.1.3

実効困難さ指標  実効困難さ指標は,作業を終えて結果として達成したユーザーの正確さを,ビ

ットを単位として,測定したものであり,次のいずれか一つとして表される。

選択,ポインティング又はドラッグ作業の場合は,次の式によって求める。

e

e

2

e

log

w

w

d

ID

+

=

トレース作業の場合は,次の式によって求める。

e

e

w

d

ID

=


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ここに,  ID

e

:  実効困難さ指標

d:  目標までの距離

w

e

:  実効目標幅

備考  選択,ポインティング又はドラッグ作業の場合,実効困難さ指標は,及び w

e

の対数関数とな

る。トレース作業の場合,実効困難さ指標は,及び w

e

の一次関数となる。

B.5.1.4

作業精度  作業精度は,ポインティング,選択又はドラッグの基本動作要素において必要となる

正確さを表すものであり,困難さ指標を用いて定量化する。

備考  作業精度は,次の三つの精度レベルに分類できる。

a

)

低:困難さ指標の値が 4 以下。

b

)

中:困難さ指標の値が 4 よりも大きく 6 以下。

c

)

高:困難さ指標の値が 6 よりも大きい。

B.5.2

スループットの計算  選択,ポインティング,ドラッグ及びトレース作業の場合の入力スループッ

トを求めるには,次の式による。

m

e

t

ID

移動時間

実効困難さ指標

スループット=

ここに,  ID

e

:  移動作業の実効困難さ指標

t

m

:  移動時間,すなわち入力装置を動かし始めてから目標を選択す

るまでの時間。

ある移動作業に関して,移動時間を横軸に,実効困難さ指標を縦軸にプロットすると,一般に,両者の

間に直線的な関係が見られる(

図 B.1 を参照)。

直線の傾きが,装置のスループットを表している(単位は,ビット/秒)

図 B.1  実効困難さ指標と移動時間との関係

B.6

試験

B.6.1

全般  この箇条で説明する試験のうちでどれを用いるかは,入力装置をどのような作業に利用しよ

うとするかによる。さらに,作業の移動方向,フィードバック及びプロンプトの有る無し,及び目標地点

到達の判定方法によって,どの試験方法を選ぶかは変わってくる。入力装置が使われそうな状況に対応し

た何段階かの困難さで,試験を行うことが望ましい。


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B.6.2

タッピング試験

B.6.2.1

一方向のタッピング試験  この試験は,縦又は横のどちらか一方向にポインタを動かす場合の入

力装置の評価に使用できる。

この試験結果を適用できる具体的作業は,次のものがある。

a

)

水平又は垂直のラバーバンディング

b

)

文字列中のある位置にカーソルを挿入

c

)

縦に又は横に並んだ情報の選択

試験手順:中心間距離が 離れた,幅 の二つの長方形を,被験者に対して表示する(図 B.2 を参照)。

縦又は横のどちらか一つの軸に沿って,各長方形を 25 回ポイントし,クリックするのがユーザーに課さ

れた作業である。被験者が最初にカーソルを一つの長方形の中に移動し,ボタンを作動させたときに,試

験セッションを開始する。

1

ポインタオブジェクト

d

目標距離

w  目標幅

 B.2  一方向のタッピング作業

この試験は,目標距離(d)と目標幅(w)との両方を変化させて,何段階かの困難さ指標で実施すると

よい。実効困難さ指標が,約 1∼6 ビットの範囲内で等間隔に変化するように,目標距離(d)と目標幅(w

とを変化させるのがよい。その結果を B.5.1.3 の式に従って計算するとよい。

備考  この試験での実効困難さ指標(ID

e

)は,ID

e

=1og

2

(d+w

e

)/w

e

の式によって求める。

B.6.2.2

多方向のタッピング試験  この試験は,様々な方向にポインタを動かす場合の入力装置の評価に

使用できる。

この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。

a

)

画面上の様々な場所へカーソル位置を動かす

b

)

表計算アプリケーションのセル選択

c

)

無作為に配置されているアイコンの選択

試験手順:被験者は,番号が付けられた目標へ,その番号順にカーソルを移動させることを求められる

図 B.3 を参照)。目標(例えば,正方形)を,円周上に等間隔に配置する。番号順に目標へとカーソルを

移動するとき,次の目標への移動距離が円の直径とほとんど等しくなるように,目標の番号を付ける,及

び目標を配置することが望ましい。


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被験者が進むべき次の目標を強調表示するとよい。各試験セッションは,被験者が最上部の目標をポイ

ントしたときに始まり,被験者がすべての操作系列を終了(最上部の目標に戻る)したときに終了する。

この試験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,円の直径,つまり目標正方形間の距

離を試行ごとに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ

指標の変化を同一に保つようにする。その結果を B.5 の式に従って計算するとよい。

1

開始/終了

図 B.3  多方向のタッピング作業

B.6.3

ドラッグ試験  この試験は,対象をクリックし,ある場所までドラッグする場合の入力装置の評価

に使用できる。

この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。

a

)

クリックしてプルダウンメニューを表示し,プルダウンメニュー内をドラッグして項目を選択する

b

)

あるウィンドウ内の対象物をクリックして選択し,別のウィンドウにドラッグして移動する

試験手順:目的に応じて一方向試験又は多方向試験のどちらかを使用する。さらに,フィードバック及

びプロンプトの有る無し,並びに目標地点到達の通知を自動で行うか否かと組み合わせた試験を行っても

よい。その結果に式 B.5.1.3 を適用して求めることが望ましい。

B.6.4

経路追従試験  この試験は,2 点間の決められた経路を忠実になぞる作業を行う場合の入力装置の

評価に使用できる。

この試験結果は,対象物をトレースする作業に対して適用できる。

試験手順:この作業内容は,長さ 及び間隔 の平行した境界線の間(トラック)を,境界線に触れる

ことなく幅 の対象物(円など)を,移動させる作業である(

図 B.4 を参照)。対象物が境界線に触れた場

合,作業をそこで中断し,再度作業をやり直す。被験者がトラックの一端から反対側の端まで,対象物を

境界両端に触れずに移動し終わるまでの所要時間を記録する。


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d

目標の距離

k

トラックの幅

b

対象物の幅

 B.4  経路追従作業−一方向

この試験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,トラックの幅(k)及び対象物の幅(b

を試行ごとに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ指

標の変化を同一に保つようにする。その結果を B.5.1.2 の式に従って計算するとよい。

この試験についての困難さ指標は,次の式によって求める。

w

d

ID

=

                      ここで,幅(w

kb

この試験についての実効困難さ指標は,次の式によって求める。

中心線からの偏差の平

d

ID

=

e

B.6.5

トレース試験(任意方向)  この試験は,ある対象をクリックし,ある場所までドラッグする場合

の,及び図形をなぞって複製する場合の入力装置の評価に使用できる。

この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。

a

)

タブレット上の画像(例えば,プリント回路基板のレイアウト)のトレース

b

)

直線及び図の複製

c

)

対象物の一様な塗りつぶし

試験手順:半径が 及び(rk)の二つの同心円を被験者に対して表示する(図 B.5 を参照)。作業内容

は,幅 の対象物を幅 のトラック内で境界線に触れることなく円に沿って移動させることである。


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1

開始/終了

k

トラックの幅

b

対象物の幅

r

円の半径

 B.5  トレース作業

この試験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,トラックの幅(k)及び円の半径(r

を試行ごとに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ指

標の変化を同一に保つようにする。

この試験についての困難さ指標は,次の式によって求める。

w

d

ID

=

                      ここで,幅(w):kb

この試験についての実効困難さ指標は,次の式によって求める。

中心線からの偏差の平

d

ID

=

e

B.6.6

フリーハンド入力試験  この試験は,手書きの文字又は記号の品質を,入力装置及び入力の様式と

の関係で評価するのに使用できる。

この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。

a

)

描図

b

)

手書きのテキスト入力

c

)

手書き文字認識作業

この試験は,試験入力装置で作成される画像を,筆と紙による従来の入力手段で作成される画像に対し

て比較することを目的としている。

試験手順:被験者に対して,水平に並べた複数の枠を表示する。枠の大きさはどの入力装置の場合にも

同一とする。被験者に対して,各枠中に記号(英数字又は英記号)を読み取れる範囲で可能な限り速く書

き込むことを求める(

図 B.6 を参照)。すべての枠に記入し終わるまでの所要時間を記録し,各入力装置ご

とに比較する。


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 B.6  フリーハンドの記号入力作業

被験者に対して,どの入力装置でも同じ形状のものを書き込むように指示することが望ましい。この試

験は,何段階かの困難さ指標で実施するとよい。すなわち,長方形のサイズ及び各長方形の間隔を試行ご

とに変えて,困難さ指標を変化させることが望ましい。ただし,どの被験者に対しても困難さ指標の変化

を同一に保つようにする。

B.6.7

入力装置の取り上げ及び戻し置き作業  この試験は,キーボードと非キーボード入力装置とを組み合

わせて使用する作業の場合の入力装置の評価に使用できる。

この試験結果を適用できる具体的作業には次のものがある。

a

)

テキスト編集

b

)

グラフィックデザイン

c

)

表計算での数値データ入力

入力装置を手に取る所要時間,入力作業が終わったらそれを元の場所に戻す所要時間が,入力作業の重

要な特性となる場合がある。このような作業では,非キーボード入力装置と主要な入力装置(キーボード

など)とを代わる代わる使用するが,一般に,主要な入力装置と比べて非キーボード入力装置の使用頻度

は低い。

試験手順:被験者は,簡単なポインティング作業とキーボード上の一つのキー押しとを同じ手で代わる

代わる行う。

取上げ時間とは,入力装置を使う必要のある情報が表示されてから入力装置を手に取るまでの所要時間

である。戻し置き時間とは,入力装置を用いる作業が完了した後に入力装置から手を離すまでの所要時間

である(すなわち,入力装置を置き台に置くまでの時間も含まれる)

。入力装置の取り上げ,戻し置き動作

を含む作業及びこれと同等のポインティング作業との時間差が,取上げ時間及び戻し置き時間である。


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附属書 C(参考)快適性の査定

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

C.1

  序文  この附属書では,快適性を評定する尺度について記述する。入力装置の試験に用いる方法につ

いて情報を提供すること,及び試験機関又は個人によって,試験方法の妥当性向上への研究が進められる

ように促進することを,この附属書は目指している。

この附属書は,被験者による入力装置の評定に基づいて快適性及びユーザビリティを査定する評定尺度

について記載する。被験者の評定は,入力装置個々に対して行うものと,幾つかの入力装置を相対的に比

較して行うものとがある。評定尺度は,最も望ましい装置が最高得点を得るように設計されている。どの

評定尺度を用いる場合でも,尺度は,肯定的方向をもつ,すなわち高い得点が肯定的な印象と結びつく,

ような形式にすることが望ましい。

C.2

  個別評定  個別評定尺度(表 C.1 を参照)は,試験の対象となる各入力装置の印象度の査定に使用す

る。被験者がある入力装置を使用して一連の作業を完了した後で個別評定を実施する。被験者は,使用し

た入力装置の各特性についての印象を最もよく表す番号を丸で囲む。入力装置の間ではっきりと差のある

評定項目について比較することで,比較評定を行うこともできる。

C.3

  比較評定  比較評定尺度(表 C.2 及び C.3 を参照)は,どの入力装置が最も望ましいかを決定するの

に使用する。この評定尺度は,二つの装置を相対的に査定するように設計されているが,三つ以上の入力

装置にも拡張して使用することが可能である。

ある入力装置(例えば,機器 A)での作業が完了した後に,被験者に対し回答用紙を渡し,もう一方の

入力装置(例えば,装置 B)での作業が完了した後で再び回答用紙を渡す。最初の入力装置を使用したと

きは,被験者は第 1 段階の欄に回答する。評定する入力装置を表す部分(すなわち,

“A”又は“B”

)にチ

ェックを入れ,さらに,入力装置に関する印象を最もよく表す欄の下に印を付ける。

被験者は 2 番目の入力装置を使用した後で,第 2 段階の欄に回答する。評定する入力装置を表す部分(す

なわち,

“A”又は“B”

)にチェックを入れ,さらに,最初の入力装置と比較して 2 番目の入力装置に関す

る印象を最もよく表す欄の下に印を付ける。


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表 C.1  個別評定尺度

1.

  作動に必要な力

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常に不快

    非常に快適

2.

  操作時の円滑性

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常に悪い

    非常に良い

3.

  操作に必要な労力

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常に多い

    非常に少ない

4.

  正確さ

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常に不正確

    非常に正確

5.

  操作速度

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      満足できない

    満足できる

6.

  全般的な快適性

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常に快適でない

    非常に快適である

7.

  入力装置の操作全般

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      使いにくい

    使いやすい

8.

  指の疲労

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常にある

    ない

9.

  手首の疲労

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常にある

    ない

10.

  腕の疲労

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常にある

    ない

11.

  肩の疲労

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常にある

    ない

12.

  首の疲労

 1……………….2……………….3……………….4……………….5……………….6……………….7

      非常にある

    ない


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表 C.2  比較評定尺度

一般指標

第 1 段階:

第 2 段階:

最初の入力装置

2

番目の入力装置

□A  又は  □B

□A  又は  □B

最も

最も

否定的

肯定的

悪い

同じ

良い

   1

2

3

4

5

−1 0 +1

1.

  作動に必要な力

2.

  操作時の円滑性

3.

  操作に必要な労力

4.

  正確さ

5.

  操作速度

6.

  全般的な快適性

7.

  全体的な操作性

疲労指標

最初の入力装置

2

番目の入力装置

□A  又は  □B

□A  又は  □B

極度の疲労

なし

悪い

同じ

良い

   1

2

3

4

5

−1 0 +1

8.

  指の疲労

9.

  手首の疲労

10.

腕の疲労

11.

肩の疲労

12.

首の疲労

C.4

  労力の査定  ある入力装置(又は作業)にどの程度の労力が必要と主観的に感じるかを,労力の感じ

方を評定する尺度を用いて数量化できる。その一例が Borg 尺度であり,これは全身労力及び大きな筋肉系

統労力の水準に関する意見データの収集用に設計されたものである。これは腕,肩,首などの大きな筋肉

系の査定に用いられるものなので,微細な調節を伴う動きに使用する小さな筋肉系の評価には適さない場

合がある。

Borg

尺度は 12 段階の評点を用いる(

表 C.3 を参照)。この評点は,ある特定の労力に必要な筋肉強度の

最大筋肉強度に対しての割合[最大随意筋収縮(MVC: maximum voluntary muscle contraction)に対しての

百分率]を表す。評点に対応する労力の表現は筋肉作業に関連するものであり,括弧の中は全身労力の場

合の表現である。


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Z 8519

:2007 (ISO 9241-9:2000)

    

表 C.3  Borg 尺度

評点

労力の表現

(    )10

極度に強い(ほぼ最大)

(    )9

(    )8

(    )7

非常に強い

(    )6

(    )5

強い(負担が大きい)

(    )4

やや強い

(    )3

普通

(    )2

弱い(負担が小さい)

(    )1

非常に弱い

(    )0.5

極度に弱い(感じる程度)

(    )0

全くない

この規格に合わせて,Borg 尺度を

表 C.4 のように変形してもよい。

表 C.4  腕,肩,首の労力の Borg 尺度

労力

労力

(    )10

(    )10

(    )10

極度に強い(ほぼ最大)

(    )9

(    )9

(    )9

(    )8

(    )8

(    )8

(    )7

(    )7

(    )7

非常に強い

(    )6

(    )6

(    )6

(    )5

(    )5

(    )5

強い(負担が大きい)

(    )4

(    )4

(    )4

やや強い

(    )3

(    )3

(    )3

普通

(    )2

(    )2

(    )2

弱い(負担が小さい)

(    )1

(    )1

(    )1

非常に弱い

(    )0.5

(    )0.5

(    )0.5

極度に弱い(感じる程度)

(    )0

(    )0

(    )0

全くない

C.5

  統計解析  C.1 及び C.2 での評定には,間隔尺度データが得られる評定尺度が採用されている。基本

となる仮定を満たしていれば,標準的な分散分析を使用してこのデータを分析できる。ただし,仮定を満

たしていない場合は(すなわち,標本数が少ない場合,又は正規分布をしない場合)

,ノンパラメトリック

手法(順序統計量)による仮説検定を利用することが望ましい。この場合は,計算の複雑さが緩和される

傾向がある。


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Z 8519

:2007 (ISO 9241-9:2000)

    

附属書 D(参考)その他の評価方式

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。 

D.1

序文  入力装置の試験に用いる方法について情報を提供すること,及び試験機関又は個人によって,

試験方法の妥当性向上への研究が進められるように促進することを,この附属書は目指している。

非キーボードの入力装置の評価に使用できるその他の方法には,姿勢分析及び生体力学的負荷の測定が

ある。この二つの試験方法は,非キーボードの入力装置の評価に用いる方法として現在検討中であり,ま

だ十分な措置が確立されていない。したがって,これらの評価方法については,その概要を紹介するだけ

にとどめる。

D.2

姿勢分析  姿勢分析は,中立姿勢からどの程度外れた作業姿勢であるかを決定する客観的な手法であ

る。作業姿勢が中立姿勢から外れる頻度及びその量が,生体力学的ストレスの指標となる。作業姿勢の中

立姿勢からのずれを,人手で,又は電子的な測角器によって慎重に測定するのが望ましい。人手による姿

勢の測定は,自動化測定システムを使用する場合よりも時間を要する。

D.3

生体力学的負荷の測定  入力装置を用いるときに感じる労力の大きさを,生体力学的負荷によって客

観的に測ることができる。生体力学的負荷は,二つの非侵襲的方法,すなわち筋肉の活動,及び強度を測

定指標とすることによって査定が可能となる。生体力学的負荷の測定の利点は,満足度の評定又は姿勢の

測定では分からないことが多い入力装置使用時の労力の大きさがこの方法によって示される点である。

生体力学的負荷の測定及び分析には,生体力学,生理学,計測機器,校正,数学及び統計学の知識が要

求される。したがって,生体力学的負荷の測定には,慎重な校正を必要とする高度なデータ収集計測機器

に加えて,特別に訓練を受けた試験管理者も必要となる。

関連規格  JIS Z 8521:1999  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引

備考  ISO 9241-11:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 11: Guidance on usability が,この規格と一致している。