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Z8404-1:2006 (ISO /TS 21748

:2004)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準

原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大

臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO /TS 21748:2004,Guidance for the use

of repeatability,reproducibility and trueness estimates in measurement uncertainty estimation を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。

JIS Z 8404-1

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)不確かさの二つの評価方法

附属書 B(参考)実験による不確かさの評価

附属書 C(参考)不確かさの計算例


Z 8404-1

:0000 (ISO /TS 21748:2004)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

2

2.

  引用規格

2

3.

  定義

3

4.

  記号

5

5.

  原則

7

5.1

  個々の測定結果及び測定プロセスのパフォーマンス 

7

5.2

  再現精度の値の適用性 

7

5.3

  統計的モデルの基本式 

7

5.4

  併行精度の値 

8

6.

  併行精度,再現精度及び真度の推定値を用いた不確かさの評価 

8

6.1

  測定の不確かさの評価の手順

8

6.2

  予想される精度と現実の精度との差 

9

7.

  測定方法のパフォーマンス値と特定の測定プロセスから得られる測定結果との関連性の確認 

9

7.1

  一般

9

7.2

  かたよりの試験所成分の管理状態の実証 

9

7.3

  併行精度の確認

11

7.4

  パフォーマンスの継続的検証

12

8.

  試験品との関連性の確認 

12

8.1

  一般

12

8.2

  サンプリング 

12

8.3

  試料の調製及び前処理 

13

8.4

  試験品の種類の変更

13

8.5

  応答水準による不確かさの変化

13

9.

  付加的な要因 

14

10.

  合成標準不確かさの一般的表現

14

11.

  共同実験結果に基づく不確かさのバジェット表

14

12.

  合成された結果に対する不確かさの評価 

15

13.

  不確かさの情報の表現 

16

13.1

  一般的表現 

16

13.2

  包含係数の選択

16

14.

  方法のパフォーマンス値と不確かさとの値の比較 

17

14.1

  比較のための基本となる仮定

17

14.2

  比較手順 

17

14.3

  差異の原因 

17


Z 8404-1

:0000 (ISO /TS 21748:2004)

(3)

附属書 A(参考)不確かさの二つの評価方法 

18

附属書 B(参考)実験による不確かさの評価 

23

附属書 C(参考)不確かさの計算例

24

参考文献

28

 


1

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

日本工業規格(案)

JIS

 Z

8404-1

:2006

(ISO /TS 21748

:2004

)

測定の不確かさ−第 1 部:測定の不確かさの

評価における併行精度,再現精度及び

真度の推定値の利用の指針

Measurement uncertainty

Part 1: Guidance for the use of repeatability

reproducibility and trueness estimates in measurement uncertainty

estimation

序文  この規格は,2004 年に第 1 版として発行された ISO /TS 21748,Guidance for the use of repeatability,

reproducibility and trueness estimates in measurement uncertainty estimation を翻訳し,技術的内容及び規格票の

様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

測定結果の不確かさについての知識は,結果の解釈にとって不可欠である。不確かさの定量的評価を行

わない限り,観察した結果間の差が実験のばらつき以上のものを反映しているか,試験項目が仕様に従っ

ているか,又は法律の限界値に抵触しているかを判断することができない。不確かさに関する情報がなけ

れば,結果を誤って解釈するおそれがある。このような根拠に基づいて誤った判断を下せば,産業界に不

必要な支出が生じたり,法律による不当な訴追がなされたり,健康面又は社会面に悪影響を及ぼすなどの

結果を引き起こす危険性がある。

JIS Q 17025

の認定及び関連システムに基づいて運営する試験所は,測定及び試験結果に関して,測定の

不確かさを評価し,適宜,不確かさを報告することを求められる。ISO が発行している“計測における不

確かさの表現のガイド(GUM)”は,広く採用されている標準的な方法である。しかし,これは,測定プロ

セスのモデルが利用できる場合に適用するものである。一方,非常に多くの標準的な試験方法は,JIS Z 

8402-2

に基づく共同実験を用いている。この規格は,これらの試験方法の結果の不確かさを評価するため

の,適切,かつ,経済的な方法論を示す。この方法論は,共同実験によって得られた試験方法のパフォー

マンスの推定値を考慮しており,GUM の原則に完全に適合している。

この規格で用いる一般的な方法においては,次のことが必要である

−  JIS Z 8402-2 に基づく共同実験によって得た,使用する方法の併行精度,再現精度及び真度の推定値

を,使用する試験方法に関する公開情報から入手できるようにする。これらは,方法の真度に関する

不確かさの算定値とともに,試験所内及び試験所間の分散成分に関する推定値を提供する。

−  試験所自らのかたより及び精度を試験所がチェックすることによって,試験方法の確立されたパフォ

ーマンスに沿った試験方法が実施されていることを確認する。これによって,公開された推定値が試

験所の測定結果に対して適用可能であることを確認する。

−  共同実験によって十分に取り扱わなかった測定結果への影響を確認し,これらの効果に起因する測定


2

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

結果の変化を定量化する。

不確かさの算定値は,GUM で規定しているように,該当する分散の推定値の合成によって得られる。

方法を十分に理解しているかどうかの試験として,共同実験において得られた結果のばらつきを,GUM

の手順を用いて得た測定の不確かさと比較することは有用である。共同実験データを用いて同一のパラメ

ータを推定するために一貫した方法を採用すれば,こうした比較はより有効である。

1.

適用範囲  この規格は,次のことについての指針を示す。

−  JIS Z 8402-2 に従って実施した実験から得られた値を利用した測定の不確かさの評価。

−  共同実験による結果と不確かさの伝ぱ(播)則を用いて得られた測定の不確かさ(MU)との比較(14

参照)。

JIS Z 8402-3

は,中間精度の実験に関する追加モデルを提供している。ただし,こうした追加モデルの

使用にこの規格と同じ一般的な方法を適用できるが,これらのモデルを使用した不確かさの評価は,この

規格には取り入れていない。

この規格は,結果の不確かさを求めなければならない,すべての測定及び試験の分野において適用可能

である。

この規格は,再現精度の値が存在しない場合における併行精度の値への適用には触れていない。

参考  この規格では,“repeatability”を“併行精度”として訳している。JIS Z 8103 では,“繰返し

性”としている。

この規格は,認識された,無視できない系統効果が補正されていることを前提としている。補正は,測

定方法の一部としての数値補正の適用,又は系統効果の原因の調査及び除去のいずれかによって行う。

この規格の推奨事項は,主として指針である。ここに示す推奨事項は,多くの目的に対して有効な不確

かさの評価方法であるが,その他の適切な評価方法を採用してもよい。

一般にこの規格で,測定結果,方法及びプロセスについて示すことは,試験の結果,方法及びプロセス

にも同様に適用されるものとみなされる。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO/TS 21748: 2004

,Guidance for the use of repeatability,reproducibility and trueness estimates in

measurement uncertainty estimation (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Q 0033

  認証標準物質の使い方

備考  ISO Guide 33  Uses of certified reference materials が,この規格と一致している。

参考  この規格は原国際規格で参考文献となっているが,規格本体で規定事項として引用されている

ので,引用規格に追加した。

JIS Z 8101-1

  統計−用語と記号−第 1 部:確率及び一般統計用語

備考  ISO 3534-1  Statistics−Vocabulary and symbols−Part 1: Probability and general statistical terms

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS Z 8101-2

  統計−用語と記号−第 2 部:統計的品質管理用語


3

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

備考  ISO 3534-2  Statistics−Vocabulary and symbols−Part 2: Statistical quality control からの引用事

項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS Z 8402-2

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 2 部:標準測定方法の併行精度及

び再現精度を求めるための基本的方法

備考  ISO 5725-2  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 2: Basic

method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement method

が,この規格と一致している。

JIS Z 8402-3

  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 3 部:標準測定方法の中間精度

備考  ISO 5725-3  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 3:

Intermediate measures of the precision of a standard measurement method が,この規格と一致して

いる。

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。また“中間精度条件”については,JIS Z 8402-3

による。

3.1

かたより (bias)  観測値・測定結果の期待値から真の値を引いた差。

備考  現実には,真の値の代用として参照値又は合意値が用いられる(JIS Z 8101-2 参照)。

参考  原国際規格の定義は,“試験結果の期待値と認められた参照値との差”である。

3.2

合成標準不確かさ (combined standard uncertainty) 

)

(

y

u

  測定の結果が幾つかの測定量以外の量

の値から求められるときの,測定の結果の標準不確かさであり,これらの各量の変化に応じて測定結果が

どれだけ変わるかによって重み付けした,測定量以外の量の分散又は共分散の和の正の平方根に等しい

GUM 参照)

3.3

包含係数 (coverage factor)

  拡張不確かさを求めるために,合成標準不確かさの乗数として用い

られる数値係数。

備考  包含係数 は,代表的には 2∼3 の範囲にある(GUM 参照)。

3.4

拡張不確かさ (expanded uncertainty)

U

測定の結果について,合理的に測定量に結び付けられ得

る値の分布の大部分を含むと期待される区間を定める量。

備考1.  この区間の比率は,包含確率又は区間の信頼水準と考えてもよい。

2.

特定の信頼水準と拡張不確かさによって定められる区間とを関連付けるには,測定結果とそ

の合成標準不確かさとによって特徴付けられる確率分布に関する陽又は陰の仮定を必要とす

る。このような仮定が正当化できる範囲に限って,この区間の信頼水準を知ることができる。

3.

Recommendation INC-1 (1980)

の第 5 項では,拡張不確かさは,総合不確かさと呼ばれている

GUM 参照)

3.5

精度 (precision)  同一試料に対し,定められた条件の下で得られる独立な観測値・測定結果のばら

つきの程度。ばらつきが小さい方が,より精度がよい又は高いという。

備考1.  精度は偶然誤差の分布にだけ依存し,真の値又は特定の値には関係しない。

2. 

独立な観測値とは,同一又は類似した測定対象物の過去の観測値の影響を受けない観測値の

ことをいう。独立な測定結果も同様である。精度の大きさは,繰返しに関する条件に依存す

る。併行条件及び(室間)再現条件は,繰返しに関する条件の例となる(JIS Z 8101-2 参照)

参考1.  原国際規格の定義は,“所定の条件の下で得られた独立した試験結果のばらつき”である。

2. 

備考 2.  は,意味が不明りょうなため,次のように補足する。 


4

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

“独立した測定結果”とは,同一又は類似の試験対象のそれ以前に得られた結果によって影

響を受けない測定結果のことをいう。精度の大きさは,定められた条件によって大きく左右

される。併行精度及び再現精度の条件は,極端な定められた条件の特別な例である。

3.6

繰返し性/併行精度 (repeatability)  併行条件による観測値・測定結果の精度。標準偏差で表した場

合には併行標準偏差,分散で表した場合には併行分散という。

備考  概念を表す場合には,併行精度を併行性又は繰返し性という(JIS Z 8101-2 参照)。

参考  原国際規格の定義は,次のとおりである。

併行条件下,すなわち,独立した試験結果を,短期間のうちに,同一の操作者が,同一の機器

を使用し,同一の試験所において,同一の試験品について,同一の方法によって得るという,

条件下での精度。

3.7

併行標準偏差  (repeatability standard deviation)  併行条件下で得られた試験結果の標準偏差。

備考  これは,併行条件下における,試験結果分布のばらつきの尺度である。同様に,“繰返し性分

散”及び“繰返し性の変動係数”を,併行条件下における試験結果のばらつきの尺度として定

義して,使用することができる(JIS Z 8101-2 参照)

3.8

再現精度 (reproducibility)  室間再現条件による測定結果の精度。標準偏差で表した場合には(室間)

再現標準偏差,分散で表した場合には(室間)再現分散という。室間再現精度を室間精度ともいう。

備考  概念を表す場合には,再現精度を再現性という(JIS Z 8101-2 参照)。

参考  原国際規格の定義は,次のとおりである。

再現性の条件,すなわち,異なる操作者が,異なる機器を使用し,異なる試験所において,同

一の試験品に関し,同一の方法で試験結果を得るという条件下での精度。

3.9

再現標準偏差  (reproducibility standard deviation)  再現条件下で得られた試験結果の標準偏差。

備考  これは,再現条件下での,試験結果分布のばらつきの尺度である。同様に“再現性分散”及び

“再現変動係数”を,再現条件下での試験結果のばらつきの尺度として定義して,使用するこ

とができる(JIS Z 8101-2 参照)

3.10

標準不確かさ (standard uncertainty)

)

(

i

x

u

  標準偏差で表される,測定の結果の不確かさ(GUM 

照)

3.11

真度 (trueness)  真の値からのかたよりの程度。かたよりが小さい方が,より真度がよい又は高いと

いう。

備考  現実には,真の値の代用として参照値又は合意値が用いられる(JIS Z 8101-2 参照)。

参考  原国際規格の定義は,“十分多くの数の試験結果から得られた平均値と,認められた参照値との

間の一致の程度”である。

3.12

不確かさ (uncertainty)  測定結果に付随した,合理的に測定量に結び付けられ得る値のばらつきを

特徴付けるパラメータ。

備考1.  このパラメータは,例えば,標準偏差(又はそのある倍数)であっても,又は信頼水準を明

示した区間の半分の値であってもよい。

2.

測定の不確かさは,一般に多くの成分を含む。これらの成分の一部は,一連の測定の結果の

統計分布から推定することができ,実験標準偏差によって特徴付けられる。その他の成分は,

標準偏差によっても特徴付けられるが,経験又は他の情報に基づいて,確率分布を想定して

評価される。

3.

測定の結果は,測定量の値の最良推定値であること,また,補正及び参照標準に付随する成


5

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

分のような系統効果によって生じる成分も含めた,すべての不確かさの成分は,ばらつきに

寄与することと理解される(GUM 参照)。

3.13

不確かさのバジェット表  (uncertainty budget)  不確かさの原因及びそれに伴う標準不確かさの明

細表であり,測定結果の合成標準不確かさの評価のためにまとめたもの。

備考  この明細表は,感度係数(結果に影響する量の変化に対する,結果の変化率),各標準不確か

さの自由度,タイプ A 又はタイプ B 評価による各標準不確かさの評価方法などの追加情報を含

むことが多い。

4.

記号

a   実験によって得られた関係式

bm

a

s

R

+

=

ˆ

の切片を示す係数

B  

かたよりの試験所成分

b  

実験によって得られた関係式

bm

a

s

R

+

=

ˆ

の傾きを示す係数

c  

実験によって得られた関係式

d

R

cm

s

=

ˆ

における係数

c

i

 

感度係数

i

x

y

∂ /

d  

実験によって得られた関係式

d

R

cm

s

=

ˆ

における指数を示す係数

e  

偶然誤差

e

r

 

併行条件下での偶然誤差

k  

拡張不確かさ

U

を求めるために,合成標準不確かさ

u

の乗数として用いる数値係数。

l  

試験所番号

m  

測定値の平均値

N  

合成標準不確かさの計算に含まれる寄与成分の数

n

′   共同実験結果に加え,合成標準不確かさの計算に取り入れる寄与成分の数。

n

l

 

試験所

l

による一つの水準での反復回数

n

r

 

反復測定の回数

p  

試験所の数

Q

 

十分大きなバッチから取った試験品の数

q  

共同実験において合意によって定めた値の数

r

ij

x

i

x

j

との相関係数。−1∼+1 の範囲にある。

b

s

 

標準偏差で表した分散のグループ間成分

2

b

s   分散のグループ間成分

s

D

  かたよりの管理をチェックするために使用する標準物質の繰返し測定から得られた結果の推定標準偏

差又は実験標準偏差

参考  この標準偏差は,認証値からの偏差の二乗の平均値の正の平方根(二乗平均)に相当している。

s

i

 

自由度 v

i

の併行標準偏差

s

inh

  サンプルの不均質性による標準偏差

2

inh

s

  サンプルの不均質性による分散成分

s

L

  試験所間の実験標準偏差又は推定標準偏差

L

ˆs

  寄与要因が応答に依存するときの,B  に関連する補正をした後の標準偏差


6

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

参考  原国際規格では“不確かさ”となっているが,この規格では“標準偏差”とした。

2

L

s   B の推定分散

s

r

  試験所内の標準偏差

r

sˆ   寄与要因が応答に依存する場合の,試験所内の標準偏差の調整後の推定値

2

r

s

  e

r

の推定分散

R

s   再現標準偏差の推定値

R

s

′   再現標準偏差の調整後の推定値

R

sˆ

  寄与要因が応答に依存するときの,実験的モデルから計算した調整済みの再現標準偏差

w

s

  反復又はその他の繰返し性の実験から導き出した試験所内の標準偏差

2

w

s

  分散のグループ内成分(分散の試験所内成分の場合が多い。)

s

(

y

)   通常の方法と基準方法との比較による試験所の標準偏差

x

i

    結果の決定における

i

番目の入力量の値

'

i

x

i

番目の入力量の,公称値

x

からの偏差

x

j

    結果の決定における

j

番目の入力量の値

)

ˆ

(

δ

u

   認証値

µ

ˆ をもつ参照標準又は標準物質の測定による

δ

の推定の不確かさ

)

ˆ

(

µ

u

   認証値

µ

ˆ の不確かさ

)

y

u

å

=

=

n

i

i

i

x

u

c

y

u

.

1

2

2

)

(

)

(

のときの,

y

の合成標準不確かさ

)

(Y

u

[

]

å

=

i

i

i

y

u

c

Y

u

2

)

(

)

(

のときの,結果

Y

 =

f

(

y

1

y

2

, ...)の合成標準不確かさ

u

2

(

y

)   分散で表された,

y

の合成標準不確かさ。

u

inh

    サンプルの不均質性による不確かさ

U

    拡張不確かさ。合成標準不確かさ

u

k

倍に等しい。

U

(

y

)

y

の拡張不確かさ。

k

を包含係数としたとき,

U

(

y

) =

 ku

(

y

)

y

i

方法の比較において,基準方法によって得られた試験品

i

の結果。

i

y

ˆ

  方法の比較において,通常の試験方法によって得られた試験品

i

の結果。

y

0

  技能試験において付与された値

  試験所のかたより

l

  試験所

l

のかたよりの推定値。試験所の平均値

m

から認証値

µ

ˆ を減じた値に等しい。

y

  通常の方法と基準方法との比較による試験所のかたよりの平均値

δ

  用いる測定方法に固有のかたより

δ

ˆ   推定したかたより又は測定したかたより

µ

  理想的な結果に関する未知の期待値(真の値)

µ

ˆ   標準物質の認証値

0

σ

  技能試験の標準偏差

D

σ

  かたよりの管理のために使用する標準物質の繰返し測定から得た結果の標準偏差の真の値


7

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

参考  この標準偏差は,認証値からの偏差の二乗の期待値の正の平方根(二乗平均)に相当している。

L

σ

  試験所間の標準偏差(

B

の標準偏差)

2

L

σ

B

の分散(試験所間の分散)

r

σ

  試験所内の標準偏差(

e

r

の標準偏差)

2

r

σ

e

r

の分散(試験所内の分散)

w

σ

 グループ内の標準偏差

w0

σ

  十分なパフォーマンスを得るために必要な標準偏差(JIS Q 0033 参照)

eff

v

   入力量の値

x

i

の標準偏差,又は入力量の値

x

i

の不確かさの有効自由度。

i

v  

自由度の数

5.

原則

5.1

個々の測定結果及び測定プロセスのパフォーマンス

5.1.1

測定の不確かさは,個々の測定結果に関するものである。これに対し,併行精度,再現精度及びか

たよりは,測定又は試験プロセスのパフォーマンスに関するものである。JIS Z 8402 のすべての部に基づ

く共同実験において,測定又は試験プロセスとは,実験に参加するすべての試験所によって用いられる単

一の測定方法である。この規格では,VIM(国際計量基本用語集)で定義されているように,測定方法が

一つの詳細な手順の形で規定されていることを前提としている。また,方法のパフォーマンスに関する検

討から導き出したプロセスのパフォーマンスに関する数値は,いずれもプロセスによって生成した個々の

測定結果のすべてに当てはまることを暗黙の前提としている。この前提が成り立つためには,測定プロセ

スに関する適切な品質管理及び保証のデータの形での裏付けが必要である(7.参照)。

5.1.2

後に示すように,個々の試験品ごとの違いを更に考慮する必要がある場合もあるが,この点を念頭

に置いたうえで,既によく調べられていて完成度の高い測定プロセスについては,個々の試験品に関する

個別の詳細な不確かさの検討を行う必要はない。

5.2

再現精度の値の適用性  この規格は,次の二つの原則に基づいている。

−  第一に,共同実験において得られた再現標準偏差を,測定の不確かさの評価のための基礎とする(

属書 の A.2.1 参照)。

−  第二に,共同実験の枠組みにおいて検討対象でなかった要素については,無視できることを証明する

か,又は明確な形で再度考慮しなければならない。後者の場合は,共同実験に用いられる基本モデル

を拡張することを意味する(

附属書 の A.2.3 参照)。

5.3

統計的モデルの基本式

5.3.1

この指針の基礎となる統計的モデルは,式(1)による。

e

x

c

B

y

i

i

+

+

+

+

=

å

δ

µ

 (1)

ここに,

y:  式 f(x

1

,  x

2

,  …,  x

n

)による計算で仮定される観測結果

µ

:  理想的な結果に対する(未知の)期待値

δ

:  測定方法に固有のかたよりを表す項

B:  かたよりの試験所成分

x'

i

:  x

i

の中心値からのずれ

c

i

 

i

x

y

に等しい感度係数 


8

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

e  誤差項 

B

及び

e

は,期待値がゼロで分散がそれぞれ

2

L

σ

2

r

σ

の正規分布に従うと仮定する。これらの項は,共

同実験データの分析のための JIS Z 8402-2 において用いるモデルを構成している。

方法のかたより

δ

,試験所のかたより

B

,及び残差

e

に対して得られる標準偏差は,共同実験の条件下

におけるばらつきの全体的な指標であるので,

å

i

i

x

c

  は,

δ

B

又は

e

に含まれているもの以外の変動を

示す効果についてとる。したがって,この和は,共同実験の過程では実施しなかった操作の影響を組み込

む方法を提供する。こうした操作の例を,次に示す。

a)

通常は,それぞれの試験時に行うが,共同実験の場合には,試料配布に先立って実施する試験品の前

処理。

b)

共同実験の対象となる試験品が,よくあるように,実験の前に均質化されるときに実行されるサブサ

ンプリングの効果。x'

は,期待値ゼロ及び分散 u

2

(

x

i

)の正規分布に従うものと仮定される。このモデ

ルの論理的根拠を,

附属書 に示す。

備考  一般に,誤差は,基準値と結果との差と定義される。GUM では,“誤差”(一つの値)と“不

確かさ”(複数の値の分散)とを明確に区別している。しかし,不確かさの評価では,偶然効

果に起因するばらつきを明確にし,これらを明示的にモデルに含めることが重要である。式(1)

のように,期待値ゼロの“誤差項”を含めることによって,この目的を実現できる。

5.3.2

モデルが式(1)で与えられると,観測結果の不確かさ

)

(

y

u

は,式(2)によって算定することができる。

2

2

2

2

L

2

2

)

(

)

ˆ

(

)

(

r

i

i

s

x

u

c

s

u

y

u

+

+

+

=

å

δ

 (2)

ここに,

2

L

B

の分散の推定値

2

r

s

e

の分散の推定値

)

ˆ

(

δ

u

δ

の不確かさであり,認証値

µ

ˆ の参照計測標準又は標準

物質の測定によって,

δ

を推定する場合の不確かさに起因

するもの。

 

)

(

i

x

u

x

i

の不確かさ

 

再現標準偏差

R

s

は,

2

2

L

2

r

R

s

s

s

+

=

なので,

2

2

L

r

s

s

+

2

R

s

で置き換えることができ,式

(

2

)

は,式

(

3

)

となる。

)

(

)

ˆ

(

)

(

2

2

2

2

2

å

+

+

=

i

i

R

x

u

c

s

u

y

u

δ

 (3)

5.4

併行精度の値  この規格では,併行精度の値は,主に精度に対するチェックの目的で用いる。この

チェックとは,他の検討と併せて,特定の試験所の再現精度の値及び真度の値が,不確かさの評価に使え

るかどうかを確認するためのものである。また,併行精度の値は,不確かさの再現精度の要素の計算にも

用いる(7.3 及び 11.参照)。

6.

併行精度,再現精度及び真度の推定値を用いた不確かさの評価

6.1

測定の不確かさの評価の手順  この規格の基礎となる原則(5.1 参照)から,測定の不確かさを評価

する手順を,次のように示す。

a) 

用いる方法に関して公開されている情報から,その方法の併行精度,再現精度及び真度の推定値を入

手する。

b)

測定値に対する試験所のかたよりが,6.1 a)において入手した推定値から予想される範囲内にあるか否


9

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

かを確認する。

c)

現在の測定で実現されている精度が,6.1 a)において入手した併行精度及び再現精度の推定値から予想

する範囲内にあるか否かを確認する。

d)

6.1 a)

における検討では適切に取り入れていない,測定に対するあらゆる効果を明確化し,各効果の感

度係数と不確かさとを考慮に入れて,これらの効果によって生じ得るばらつきを定量化する。

e)

かたより及び精度が,6.1 b)及び c)で確認したような管理状態にある場合は,再現精度の推定値

[

6.1 a)

]

と,真度の不確かさ

[

6.1 a)

及び b)

]

及び付加的な成分の影響

[

6.1 d)

]

とを合成して,合成不確かさを評価

する。

これらの各手順については,7.11.で詳しく示す。

備考

この規格は,かたよりが管理状態にない場合には,プロセスを管理状態に置くための是正措置

を講じることを前提としている。

6.2

予想される精度と現実の精度との差  現実の精度が 6.1 a)の検討から予想されるものとは異なる場

合,その不確かさへ寄与する要素を修正することが望ましい。また,精度が応答の大きさに比例する場合

についての再現精度の推定値の修正の仕方を,8.5 に示す。 

7.

測定方法のパフォーマンス値と特定の測定プロセスから得られる測定結果との関連性の確認

7.1

一般  共同実験の結果から,パフォーマンスの指標(

s

R

s

r

)が得られ,場合によっては,測定方法の

かたよりの推定値が得られる。パフォーマンスの指標及び測定方法のかたよりの推定値は,測定方法のパ

フォーマンスに関する“仕様”を構成する。特定の目的のための測定方法を採用するに当たり,試験所は,

通常,この“仕様”を満たしていると確認することが期待される。この確認は,通常,併行精度が管理状

態にあるか(7.3 参照)及びかたよりの試験所成分が管理状態にあるか(7.2 参照)の実証を目的とした検

討,並びに継続的なパフォーマンスチェック[品質管理及び保証(7.4 参照)]によって達成する。

7.2

かたよりの試験所成分の管理状態の実証

7.2.1

一般要求事項

7.2.1.1

試験所は,測定方法を実行するに当たり,かたよりが管理されていること,すなわち,かたより

の試験所成分が,共同実験から予想される範囲内にあると実証することが望ましい。

次の説明においては,

実際に日常的試験を行う試料になるべく近い参照値をもつ試料を使って,かたよりのチェックが実施され

ていることを前提としている。かたよりのチェックに使用される試料の参照値が,日常的に試験される試

料の値からかけ離れている場合には,8.4 及び 8.5 に従って,得られた不確かさの寄与を修正することが望

ましい。

7.2.1.2 

一般に,かたよりの試験所成分のチェックは,試験所の結果と何らかの参照値との比較であり,

B

の推定である。式

(2)

は,

B

の変動に伴う不確かさが

L

s

で表されることを示しており,

L

s

自体は

R

s

に含

まれる。しかし,かたよりのチェックをすること自体に不確かさが存在するので,この比較に伴う不確か

さが,その測定方法を将来使って得られる結果の不確かさを増大させる。このため,かたよりのチェック

に伴う不確かさは,

R

s

に比べて小さいこと(理想的には

0.2

R

s

未満)が重要である。したがって,次の指針

は,かたよりのチェックに伴う不確かさが無視できることを前提としている。これが実際に成立し,かつ,

かたよりの試験所成分が予想より大きいという証拠が見つからない場合には,式

(3)

を修正せずに適用でき

る。かたよりのチェックに伴う不確かさが大きい場合には,例えば,不確かさのバジェット表(3.13)に項目

を追加して,式

(3)

に基づいて評価した不確かさを大きくすることが賢明である。

共同実験による真度の調査から,その測定方法に無視できないかたよりがあることが判明している場合


10

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

には,試験所のかたよりを評価するとき,例えば,測定結果からその方法のかたより分を補正することに

よって,判明しているその方法のかたよりを考慮することが望ましい。

7.2.2

かたよりの試験所成分が管理状態にあることを実証する方法

7.2.2.1

一般  かたよりの管理は,例えば,次の方法のいずれかによって実証することができる。この規

格では,一貫性をもたせるため,かたよりのすべての検定において同一の一般的な基準を使用する。もち

ろん,より厳格な検定を行ってもよい。

 

7.2.2.2

認証標準物質又は参照標準の利用  試験所

l

は,併行条件の下で参照標準に対する

n

l

回の繰り返

し測定を行い,この標準について,かたよりの推定値

l

(試験所平均

m

から認証値

µˆ

を減じた値に等しい。)

を求める。実行可能ならば,不確かさが

R

s

n

s

l

0.2

<

2

w

となるような

n

l

を選択することが望ましい。一般

に,この参照標準は,測定方法の真度を評価する場合に用いられる計測標準と同じではない。さらに,

l

は,一般に

B

とは等しくない。JIS Q 0033 に従って(ただし記号を適宜変更したうえで),もし,式(4)

D

2

σ

∆ <

l

 (4)

が成立しているならば,測定プロセスは,管理状態にあると判断する。式

(4)

σ

D

の近似として,式

(5)

s

D

を代入する。

l

n

s

s

s

2

w

2

L

2

D

+

=

 (5)

ここに,

  n

l

試験所

l

による繰返し回数

s

w

  n

l

回の繰返し測定又はその他の併行実験から求めた試

験所内標準偏差

s

L

 

試験所間標準偏差

(4)

の基準を満たしていることは,かたよりの試験所成分

B

が,共同実験において示された値の母集団

に含まれることの裏付けと考えられる。ここでは,標準物質又は参照標準は,校正用標準としてではなく,

独立のチェック又は管理用物質として使用されていることに注意する必要がある。

備考1.

試験所は,

2

より小さい係数を用いるか,又はかたよりに対する別のもっと感度の高い検定

を実施することによって,式

(4)

より厳格な基準を任意に採用してもよい。

2.

この手順では,参照値の不確かさは,

σ

D

と比べて小さいと仮定している。

7.2.2.3

不確かさが既知の基準試験方法との比較  試験所

l

は,基準試験方法と試験所で用いている試験

方法との両方を用いて,適切な数

n

l

個の試験品を試験し,

n

l

対の値(

y

i

y

ˆ

)を得る。ここで,

y

i

は,試験品

i

”に対して確立した方法から得た結果で,

i

y

ˆ は,試験品“

i

”に対して日常の試験方法から得た値で

ある。次に,試験所は,かたよりの平均値

y

を式

(

6

)

から,また,

y

i

i

y

ˆ との差の標準偏差

s

(∆

y

)を計算す

る。

å

=

=

l

n

i

i

i

l

y

y

y

n

,

1

)

ˆ

(

1

 (6)

もし実行可能ならば,不確かさが

R

l

y

s

n

s

2

.

0

<

)

(

2

となるように

n

l

を選ぶ。式(4)及び式(5)と同様に,

D

2s

y

<

(

1

)のとき,測定プロセスは,適正に稼動していると考えられる。ただし,

l

y

n

s

s

s

)

(

2

2

L

2

D

+

=

ある。この場合には,式(3)を修正せずに用いる。

(

1

)

原国際規格では,この式の左辺の絶対値記号が抜けている。

備考1.  試験所は,2 より小さい包含係数を用いるか,又はかたよりに対する別のもっと感度の高い


11

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

検定を実施することによって,式(4)より厳格な基準を任意に採用してもよい。

2.

この手順では,基準法の不確かさは

σ

D

と比べて小さいと仮定している。

7.2.2.4

同じ方法を使用する他の試験所との比較  もし試験所

l

が,かたよりを推定することができるそ

の他の共同実験(例えば,JIS Q 0043-1 において定義されているような技能試験)に参加している場合に

は,そのデータをかたよりの管理状態の確認に利用してもよい。次の二つの事例が考えられる。

a)

その実験が,独自の付与値及び不確かさをもつ参照標準又は標準物質について試験を行うケース。こ

の場合,7.2.2.2 の手順がそのまま適用できる。

b)

比較試験によって,y

1

y

2

,...,  y

q

の q(

≧1)個の値が合意の下に付与されるケース。この場合,試験

所は,この試験結果

1

ˆ

2

, ....,

q

yˆ

から,式(7)によってかたよりの平均値

y

を,また,付与され

た値との差の標準偏差

)

(

y

s

を求めることができる。

å

=

=

q

i

i

i

y

y

y

q

,

1

)

ˆ

(

1

 (7)

もし

D

2s

y

<

(

2

)であれば,その試験所の測定プロセスは適切と考えられる。ここで,

q

s

s

s

y

)

(

2

2

L

2

D

+

=

である。この場合,式(3)を修正せずに用いてよい。

(

2

)

原国際規格では,この式の左辺の絶対値記号が抜けている。

備考1.  この手順では,付与された値は,よりも多数回の結果に基づいており,そのため,付与さ

れた値の不確かさは無視できると仮定している。

2.

技能試験では,付与された値 y

0

との差をとり,技能試験の標準偏差

σ

0

で除すことによって,

回答された結果を,z-スコア  z

i

 = (y

- y

0

)/

σ

0

  に変換する場合(JIS Q 0043-1)がある。この場合,

技能試験の標準偏差がその方法について既定の

R

以下であり,個の付与された値から得ら

れる平均 z-スコアが

q

2

±

の範囲内にあれば,その試験所のかたよりが管理状態にあること

の十分な証拠となる。

7.2.3

有意なかたよりの試験所成分が検出された場合  適用範囲で示したとおり,この規格はかたよりの

試験所成分が管理状態にあることが実証可能である場合にだけ適用できる。過大なかたよりが検出された

場合,測定を行う前に,そのかたよりを必要な範囲内に収めるための措置を講じなければならない。こう

した措置とは,通常かたよりの原因を調査して除去することである。

7.3

併行精度の確認

7.3.1

試験所は,その試験所の併行精度が,共同実験で得られた併行標準偏差と整合していることを示す

ことが望ましい。整合性の実証には,一つ又は複数の適切な試験試料を繰り返し分析し,(必要に応じて

結果をプールして)自由度

i

の併行標準偏差

i

を得ることによって行う。

i

の値は,必要であれば信頼度

95  %のF検定を用い,共同実験から導かれた併行標準偏差

r

と比較する。できれば,

i

≧15を満たす十分

な回数の繰返しを行うことが望ましい。

7.3.2

i

r

より有意に大きいことが判明した場合,その試験所は,原因を特定し是正するか,又はこ

の規格を使って計算されるすべての不確かさの評価において,

r

の代わりに

i

を使用することが望ましい。

この場合,

2

2

L

r

R

s

s

s

+

=

は,

2

2

L

i

R

s

s

s

+

=

によって置き換えられるため,再現標準偏差の推定値

R

の増加を

招くことに特に注意する。ここで,

R

s

′ は,再現標準偏差の修正後の推定値である。逆に,

i

r

より有意

に小さい場合,その試験所は,

r

の代わりに

i

を用いて不確かさの算定値を小さくしてもよい。

精度の検討では,どのような場合でもデータが予想外の傾向をもたないことを確認し,標準偏差

w

がさ

まざまな試験品に対して一定かどうかをチェックすることが重要である。

標準偏差

w

が一定でない場合は,


12

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

異なるクラスの試験品のそれぞれについて,精度を個別に評価するか,又は依存性についての(8.5 のよう

な)一般的なモデルを導き出すことが妥当であろう。

備考  特定の精度の値が必要な場合,JIS Q 0033 には,必要な精度の値を

0

w

σ

として

=

2

c

χ

2

w0

w

÷÷ø

ö

ççè

æ

σ

s

基づく検定の詳細が記載されている。

7.4

パフォーマンスの継続的検証  かたよりと精度との事前の推定に加えて,試験所は,測定手順が統

計的手法によって,その管理状態が維持されていることを確認するための必要な手段を講じることが望ま

しい。特に,次のようなことが必要である。

−  かたより及び精度の定期的チェックを含む適切な測定の質の管理。これらのチェックには,適性で安

定した均質な試験品又は材料を使用するのがよいであろう。管理図の使用を強く推奨する(文献[8]及

び[9]参照)。

−  適切な管理システムの中で活動する十分に訓練を受けた適任の要員の配置を含む,測定の質の保証手

段。

8.

試験品との関連性の確認

8.1

一般  共同実験,又は JIS Z 8402-2 及び JIS Z 8402-3 に基づく中間精度の推定においては,均質な

材料又は少ない種類の試験品に関して値を測定するのが普通である。また,調製された材料を配布するの

が一般的な方法である。一方で,日常の試験品は多様であったり,試験に先立って追加の処理が必要とな

ることがある。例えば,環境試験試料は,共同実験の目的に対しては,乾燥し,細かく粉末化及び均質化

したものが提供されることが多いが,日常の試験における試料は,湿っていて,不均質で,分割の仕方も

粗い。したがって,こうした差異を調べ,必要に応じて考慮することが必要である。

8.2

サンプリング

8.2.1

サンプリングプロセス  共同実験にサンプリング処理を含むことはまれであるが,社内で使用する

方法にサブサンプリングを含む場合,又は日常的に使用する手順が少量の試料からバルクの特性を評価す

る場合には,サンプリングによる効果を調べることが望ましい。ISO 11648-1

[10]

又は特定の目的に適したそ

の他の規格でサンプリングに関する文書を参考にするとよい。

8.2.2

不均質性  一般に,不均質性は,通常は複数の試験品の反復測定結果に対する分散分析(ANOVA)

から分散の推定値を求めることができる均質性試験によって実験的に調べることができ,分散の試験品間

成分である

2

inh

s

が不均質性の影響を表す。(所定の均質化を行った後)試験材料が有意に不均質であること

が判明した場合は,この分散の推定値を,そのまま標準不確かさとすること(すなわち,

inh

inh

s

u

=

)が望

ましい。状況によっては,特に,大きいバッチから抜き取った 個の試験試料に対する不均質性の標準偏

差及び結果の平均値を,同一バッチの他のものに適用するような状況においては,不確かさの寄与は予測

区間に基づく[すなわち,

(

)

Q

Q

s

u

1

inh

inh

+

=

]。サンプリングプロセスに関する知識及びサンプリング分

布に関する適切な仮定を用いることによって,不均質性の効果を理論的に推定することも可能である。


13

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

8.3

試料の調製及び前処理  多くの実験において,試料は配布される前に均質化され,更には安定化さ

れることがある。社内で適用される試料に対する特定の前処理手順が及ぼす影響を調べ,考慮に入れるこ

とが必要であろう。一般には,こうした調査は,近似的に又は正確に定められた特性をもつ材料について

調べることで,測定結果に対して手順が及ぼす効果を明らかにする。この効果は,ばらつき又は系統効果

の変化として現れるだろう。その効果によって,ばらつきが増すものと想定される場合は,不確かさのバ

ジェット表に適切な項を加えることによって,ばらつきの有意な変化を考慮に入れることが望ましい。有

意な系統的な影響として現れる場合には,その影響に対する上限値を設けるのが最も簡便である。GUM

の推奨に従って,この上限値は,く(矩)形分布又はその他の適切な有限対称分布の限界値であるとみな

し,その分布の半値幅を適切な係数で除すことによって,標準不確かさを評価する。

8.4

試験品の種類の変更  共同実験で用いた試験品と比べて,種類又は組成が異なることに起因して生

じた不確かさは,適切な場合,調べることが望ましい。一般に,こうした効果は,バルク特性に起因する

立証された効果を基に予測し,GUM の基本アプローチを使って不確かさを評価するか,試験品の種類又

は組成を,計画的又は任意に変更することによって調べることが望ましい(

附属書 参照)。

8.5

応答水準による不確かさの変化

8.5.1

s

R

の調整  ある特定の測定に関して,不確かさの一部又は大部分の寄与が測定量の値に依存するの

はよくあることである。JIS Z 8402-2 では,特定の正の値

m

に対する再現標準偏差が,次のモデルのいず

れかによって十分に表されるような,三つの単純なケースを考察している。

bm

s

R

=

ˆ

 (8)

bm

a

s

R

+

=

ˆ

 (9)

d

R

cm

s

=

ˆ

 (10)

ここに,

R

sˆ : 近似モデルから計算された調整済みの再現標準偏

ab及び d: 異なる平均応答 をもつ 5 個以上の試験品に対す

る実験から求めた実験的係数(a及び は正の
数)

式(8)∼式(10)のいずれかを適用する場合,不確かさは,適切なモデルを用いて計算した再現精度推定値

に基づいて求めることが望ましい。

7.3

を適用する場合,

R

sˆ にも,併行精度の項

r

の変化後の寄与を反映することが望ましい。大半の場合

には,

R

sˆ に対する単純な比例変化で十分である,すなわち,

2

w

2

L

2

2

L

)

(

s

s

s

s

bm

a

s

i

R

+

+

+

=

 (11)

ここで,

R

s

は 7.3 と同じ意味である。

8.5.2

不確かさに対する他の寄与の変化  一般に,不確かさに対する寄与が,予測可能な形で測定された

応答とともに変化する場合には,これに応じて

y

に関連する標準不確かさも調整することが望ましい。

備考

不確かさに対する多くの寄与が

y

に厳密に比例する場合には,すべての重要な効果を,

y

に対

するかけ算の効果に換算して表し,すべての不確かさを相対標準偏差の形で表すのが便利であ

ることが多い。


14

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

9.

付加的な要因  8.では,共同実験と日常の試験との間で変化しそうな主な要因について考察している。

特定の場合には,その他の影響が作用することがあり得るが,これは共同実験の間,制御変数が偶然又は

故意に一定だったためか,又は日常の試験においてとり得る条件のすべての範囲が共同実験における選択

範囲内に十分に含まれていなかったためである。

共同実験の間,一定に保たれていた要因又は変化が不十分だった要因による効果は,実験による変動又

は確立された理論に基づく予測によって,別個に推定することが望ましい。これらの効果が無視できない

場合には,これらの要因の不確かさを評価し,記録し,そして通常の方法で,すなわち,式

(3)

の伝ぱ(播)

則に従って,他の寄与と合成することが望ましい。 

10.

合成標準不確かさの一般的表現  8.で示した要因を見越して,

2

R

s

の代わりに調整した推定値

2

ˆ

R

s

を使用

する必要性を考慮に入れると,式

(3)

は,結果

y

の合成標準不確かさ

)

y

u

を評価するための一般的表現であ

る式

(12)

となる。

[

]

å

=

+

+

=

n

i

i

i

R

x

u

c

u

s

y

u

,

1

2

2

2

2

2

)

(

)

ˆ

(

ˆ

)

(

δ

 (12)

ここで,

)

ˆ

(

δ

u

は,式

(13)

によって求める。式

(

A.8

)

も参照。

p

s

n

s

s

u

r

R

2

2

ˆ

)

1

1

(

)

ˆ

(

=

=

δ

δ

 (13)

ここに,

  p

試験所の数

n

各試験所における反復測定回数

(12

)には変数

)

(B

u

がないが,これは,

B

の不確かさ

L

s

が既に

2

ˆ

R

s

に含まれているためである。添え字

i

”は,8.及び 9.において確認した効果を含んでいる(これらに,

1

から

n

までの連続する見出し番号を

割り当てると仮定する。)。

R

s

に比べて効果及び不確かさが小さいものがある場合,ほとんどの現実的な

目的では明らかにこれらを無視できる。例えば,

0.2

R

s

未満の不確かさは,全体の不確かさの評価におい

ては

0.02

R

s

未満の変化量となる。

11.

共同実験結果に基づく不確かさのバジェット表  この規格は,基本的に,測定又は試験の結果に対し

て式

(3)

の一つのモデルだけを仮定している。モデルへの継続的信頼性を裏付けるために必要な証拠は,さ

まざまな情報源から求めることができるが,その試験に関連する不確かさ成分がそのまま無視できる場合

は,式

(3)

を用いる。しかし,特に,再現精度又は併行精度の項が応答に依存する場合には,式

(3)

の形式が

やや変わるような状況も存在する。関係する範囲にわたって,不確かさが基本的に応答と独立な場合は,

不確かさのバジェット表は,

表 のようになり,不確かさが応答に依存する場合は,表 のようになる。

 
 
 
 
 
 


15

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

  1  応答から独立した不確かさの寄与

効果

の標準不確かさ(

3

)

コメント

δ

)

ˆ

(

δ

u

かたよりに対する補正が共同実験に組み込まれ,かつ,
不確かさが無視できない場合にだけ含まれる。 

B

s

L

表 参照。 

e

r 

r

s

方法(

4

)の

r

n

回の反復の平均値が試験品に対して実際に

使われた場合,

e

r

の不確かさは

r

r

n

s

となる

x

i 

)

(

i

i

x

u

c

 8.

及び

附属書 を参照。

(

3

これらの標準不確かさの単位は,

y

と同じである。

(

4

方法自体が,反復を指示する場合がある。

r

n

は,こうした反復を含めた方法全体の繰返しに関係があ

る。

  2  応答に依存する不確かさの寄与

効果

y

の標準不確かさ(

5

)(

6

)

コメント

δ

)

ˆ

(

ˆ δ

δ

u

y

かたよりに対する補正が共同実験に組み込まれ,かつ, 
不確かさが無視できない場合にだけ含まれる(補正が単なる加

減ではない場合を網羅するため,微分係数を含む。)。 

B

m

b

a

s

L

L

L

ˆ

+

=

L

a

及び

L

b

が,

L

s

及び平均応答

m

の間に仮定される直線関係

の係数である場合は,式(9)と同様になる。

この形式が適用可能なのは,

m

に対する

L

s

の依存性が確認

されている場合に限る。依存性が確認されていない場合は,

1

B

及び

e

r

に関する合成推定値を使用する。

e

m

b

a

s

r

r

r

+

=

ˆ

a

r

及び

b

r

が,

r

s

及び平均応答

m

の間に仮定される直線関係の

係数である場合は,式(9)と同様になる。

  方法(

7

)の

n

r

回の反復の平均値が試験品に対して実際に使わ

れた場合,

e

r

の不確かさは

r

r

n

s

となる。

  この形式が適用可能なのは,

m

に対する

r

s

の依存性が確認

されている場合に限る。依存性が確認されていない場合は,

1

B

及び

e

r

に関する合成推定値を使用する。

, e

bm

s

R

=

ˆ

又は

bm

a

s

R

+

=

ˆ

又は

d

R

cm

=

ˆ

a

及び

b

が,

s

R

及び平均応答

m

の間で確認された適正な関係

の係数である場合は,式(9)及び式(10)に示すとおりである。

m

に対する

L

s

及び

r

s

の個別の依存性が確認されていない

場合は,この合成推定値を,

B

及び

e

r

に関する個別の推定値

表 参照)の代わりに使用することが望ましい。

i

x

)

(

i

i

x

u

c

8.

及び

附属書 参照。

(

5

これらの標準不確かさの単位は,

y

と同じである。

(

6

この記述は,式(9)の形式の単純な直線依存性を想定している。

(

7

方法それ自体が,反復を指示する場合がある。

r

n

は,こうした反復を含めた方法全体の繰返しに関係

がある。

12.

合成された結果に対する不確かさの評価

12.1

“合成された結果”は,共同実験によって特徴付けられた幾つかの異なる試験結果から得る。例え

ば,

“食肉成分”の計算では,一般に,窒素定量から計算するたんぱく質含有量と,それぞれ異なる標準の

方法によって測定する脂肪及び水分含有量とを合成する。


16

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

12.2

各寄与因子となる結果

i

y

の不確かさ

)

(

i

y

u

は,この規格で示す原則を用いて求めるか,適宜,

附属書

A

の式

(

A.1

)

又は式

(

A.2

)

を用いて直接求められる。よくあるように,入力値

i

y

が独立している場合,結果

,...)

,

(

2

1

y

y

f

Y

=

に対する合成不確かさ

)

(Y

u

は,式

(14)

で表される。

[

]

å

=

i

i

i

y

u

c

Y

u

2

)

(

)

(

 (14)

結果

i

y

が独立していない場合は,GUM[式

(

A.2

)

を使用]を参照して,相関関係について十分考慮する

ことが望ましい。

13.

不確かさの情報の表現

13.1

一般的表現  GUM の原則に従えば,不確かさは,合成標準不確かさ

)

(

y

u

又は拡張不確かさ

)

(

)

(

y

ku

y

U

=

[ここで,

k

は包含係数(13.2 参照)]と表してもよい。また,例えば,変動係数又は報告

された結果に対する割合で表す拡張不確かさのような相対値で不確かさを表現すると便利なことがある。

参考

原国際規格では,

combined expanded uncertainty

であり,これは拡張不確かさの意味なので,こ

こでは“拡張不確かさ”とした。

13.2

包含係数の選択

13.2.1

一般  拡張不確かさを評価するとき,包含係数

k

を選択するに当たっては,次の事項を考慮するこ

とが重要である。

13.2.2

望ましい信頼水準  多くの現実的な場合には,約

95

  %の信頼水準に対応するように,拡張不確か

さを表すことが望ましい。しかし,信頼水準の選択は,適用の重大性,誤った結果が及ぼす影響などの要

因によって左右される。

k

の選択に当たっては,適用に関連する指針又は法的な要求事項と併せて,これ

らの要因を十分に考慮することが望ましい。

13.2.3

算定値の自由度

13.2.3.1

95

%の信頼水準が要求され,不確かさに対する支配的な寄与の自由度が大きい(

>10

)ような,

多くの現実的な場合においては,

2

=

k

を選択することによって,起こり得る値の範囲に対して十分に信頼

できる表示が得られる。しかし,これは,式

(12)

において,一つ以上の重要な項の自由度が

7

未満と推定さ

れる場合には特に,有意な過小評価につながる状況も考えられる。

13.2.3.2

自由度

i

v

をもつ一つの項

)

y

u

i

が支配的である場合[表示レベルが,

)

(

y

u

i

0.7

)

y

u

,通常は,

)

y

u

の有効自由度

eff

v

は,

i

v

とすれば十分である。

13.2.3.3

複数の重要な項がほぼ同じ大きさであり,いずれも限られた自由度(すなわち,

i

v

10

)である

場合は,ウエルチ=サタスウェイトの式[式

(15)

]を使って,有効自由度

eff

v

を求める。

å

=

=

N

i

i

i

v

y

u

v

y

u

,

1

4

eff

4

)

(

)

(

 (15)

k

の値は,必要な信頼水準と自由度

v

eff

に対するスチューデント

t

分布の両側検定値とを用いることによ

って,

v

eff

から選択する。一般に,

v

eff

が整数値でないときは,小数点以下を切り捨てるのが最も安全であ

る。

備考

測定及び試験の多くの分野では,統計的外れ値の頻度が,正規分布からの期待値と比べてかな

り高いため,その分布についての十分な知識をもたずに高い信頼水準(

>95

%)を推定すると

きには,極めて慎重な配慮が必要である。


17

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

14.

方法のパフォーマンス値と不確かさとの値の比較

14.1

比較のための基本となる仮定  この規格に基づく測定の不確かさの評価によって,基本的には再現

精度又は中間精度の推定値に基づきながら,これらの精度推定値のよりどころとなる実験の間は,一定に

保たれている要因に十分に配慮した標準不確かさが得られる。通常,得られた標準不確かさ

)

(

y

u

は,測定

プロセスの詳細な数学的モデルから得られる標準不確かさと等しくなるはずである。利用可能であれば,

この二つの異なる算定値を比較することによって,双方の算定値の信頼性に対する有効な検定が行われる。

14.2

に示す検定手順を推奨する。しかし,この手順は,次の二つの重要な仮定に基づいていることに注意

が必要である。

第一に,有効自由度

v

eff

をもつ標準不確かさ

)

(

y

u

をどのように評価したとしても,それは,自由度

n

1

をもつ標準偏差

s

の正規分布に従う[すなわち,

)

)(

1

(

2

2

σ

s

n

は,自由度

n

1

χ

2

分布をとる。]。

この仮定によって,通常の

F

検定が利用できる。しかし,合成不確かさには,さまざまな分布からの

さまざまな大きさの分散をもつ項の不確かさが含まれるため,検定は指示的なものとして取り扱い,

それによって示される信頼水準を十分慎重に見ることが望ましい。

第二に,比較する二つの不確かさの算定値は,完全に独立している。しかしまた,幾つかの要因は両

方の算定値に共通しているであろうから,実際には考えにくい(既知の試験所間パフォーマンス値の

影響を受ける不確かさの判断に関しては,複雑な影響が現れる傾向にあるが,この影響を避けるため

の十分な注意を払っていると仮定する。)。重要な要因が二つの不確かさの算定値に共通する場合,

二つの算定値は,一つの場合よりもはるかに高い頻度で,明らかに類似するであろう。このような場

合,次に示す検定で有意差が発見できないからといって,その結果を,測定モデルの信頼性を示す強

力な証拠とみなすべきではない。

14.2

比較手順  自由度が,それぞれ

1

v

及び

2

v

である二つの算定値

1

)

y

u

及び

2

)

y

u

を,大きい方を

1

)

y

u

し,信頼水準

α

(例えば,信頼率

95

  %に対しては,

=

α 0.05

)として,次のように比較する。

a)

[

]

2

2

1

)

(

)

(

y

u

y

u

F

=

を計算する。

b)

上側棄却限界値

)

,

,

2

(

2

1

crit

v

v

a

F

F

=

を調べるか,又はソフトウェアから値を得る。上側及び下側の限

界値が与えられている場合は,常に

1

より大きい上側の限界値を選ぶ。

c)

crit

F

の場合,

1

)

y

u

2

)

y

u

よりも有意に大きいと考えることが望ましい。

14.3

差異の原因  合成不確かさの算定値の間に有意差が生じるには,次のようなさまざまな理由があり

得る。

試験所間の真の能力の違い。

測定に及ぼす重要な効果のうち,モデルに含まれていないものがある。

不確かさに対する重要な寄与の過大評価又は過小評価。

 
 
 
 
 

 


18

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

附属書 A(参考)不確かさの二つの評価方法

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

A.1

GUM

の方法  国際標準化機構(ISO)が発行した“計測における不確かさの表現のガイド(GUM)”

は,ある測定プロセスのモデルから得られた結果

y

に関連する測定の不確かさを評価するための方法を定

めている。GUM の方法論は,国際度量衡局(

BIPM

)の勧告に基づいている。この勧告は,Recommendation 

INC-1(

1980

)として引用されることがある。この勧告は,第一に,不確かさの成分は一連の観測値の統計的

解析(

“タイプ

A

評価”

,又は,例えば,公表された標準物質又は計測標準を利用する若しくは必要に応

じて,専門的判断にゆだねるなどの手段(

“タイプ

B

評価”

)によって評価されると認識している。それぞ

れの成分は,評価の方法を問わず,標準偏差の形で表し,必要に応じて合成する。

BIPM

の勧告を取り入れた GUM の実施は,

)

,...,

,

(

2

1

N

x

x

x

f

y

=

の形の測定モデルで始まる。これは,測

定結果

y

と入力量

i

x

とを関係付けたものである。さらに,GUM は,式

(A.1)

に示すように,独立した入力

量の場合についての不確かさ

)

(

y

u

を求めている。

å

=

=

N

i

i

i

x

u

c

y

u

,

1

2

2

)

(

)

(

(A.1)

ここに,

i

c

i

i

x

y

c

=

から評価した感度係数,

i

x

に関

する

y

の偏微分

)

(

i

x

u

及び

)

(

y

u

: 標準不確かさ,すなわち,標準偏差で表し

た測定値の不確かさ

変数が独立していない場合,関係は,式

(A.2)

に示すように更に複雑になる。

å

å

=

=

+

=

N

i

j

i

N

j

i

j

i

j

i

i

i

x

x

u

c

c

x

u

c

y

u

,

1

,

1

,

2

2

)

,

(

)

(

)

(

(A.2)

ここに,

)

,

(

j

i

x

x

u

i

x

j

x

との間の共分散

i

c

及び

j

c

(A.1)

の感度係数

実際には,共分散は,式

(A.3)

に示すように相関係数

ij

r

と関連することが多い。

ij

j

i

j

i

r

x

u

x

u

x

x

u

)

(

)

(

)

,

(

=

(A.3)

ここに,−

1

ij

r

1

測定モデルに著しい非線形が含まれる場合,式

(A.1)

は,より高次の項を含むように拡張する。この問題

は,GUM で詳しく説明している。

(A.1)

∼式

(A.3)

を用いて合成標準不確かさを計算した後,

)

(

y

u

に包含係数

k

を乗じることによって,拡

張不確かさを計算する。包含係数は,

)

(

y

u

の推定自由度をもとに選択することができる。これについては,

本体の 13.参照。

一般に,GUM の方法においては,入力量が測定又は指定されることが暗黙の了解となっている。測定

可能な量という点で容易に定義されない影響(測定者による影響など)が生じた場合には,その影響を考

慮に入れた合成標準不確かさ

)

(

y

u

(

9

)

を求めるか,又は別の変数を式

)

,...,

,

(

2

1

N

x

x

x

f

y

=

に含めると便利であ


19

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

る。

この方法は,個々の入力量を重視しているため,不確かさ評価の“ボトムアップ”アプローチと呼ばれ

ることがある。

)

(

y

u

の物理的解釈が,完全に直接的に行えるというわけではない。

)

(

y

u

には,判断によって評価される

項が含まれることがあるため,

)

(

y

u

を“確信の程度を表す”関数であると考えるのが最も適切であろう。

この関数は,実際には,観測できる場合とできない場合とがある。しかし,すべての入力変数が想定され

る分布に従って,実際にランダムに変化する場合に得られた実際の分散を用いて,

)

(

y

u

が計算されたので

あれば,より直接的な物理的解釈が可能である。通常,これは,すべての入力量がランダムに変化し得る

という条件の下で観測可能であり,また,測定可能である。

(

9

)

原国際規格の

)

(

i

x

u

は,誤記である。

A.2

共同実験方法

A.2.1

基本モデル  共同実験の計画,構成及び統計的処理については,JIS Z 8402 の第

1

部∼第

6

部に示

す。共同実験データの統計的処理の前提となる最も単純なモデルを,式

(A.4)

に示す。

r

e

B

m

y

+

+

=

(A.4)

ここに,

m

  y

の期待値

B

併行条件の下でのかたよりの試験所成分。通常,平均

0

,標準偏差

σ

L

で分布すると仮定する。

r

e

併行条件の下での偶然誤差。通常,平均値

0

,標準偏

σ

W

で分布すると仮定する。

さらに,

B

r

e

とには相関関係がないものと仮定する。

この単純なモデルに式

(A.1)

を適用し,試験所間実験で得られた併行標準偏差

r

s

によって

σ

w

が仮定され

ることに着目すると,一つの結果

y

に対して,式

(A.5)

が求められる。

r

r

s

e

u

s

B

u

=

=

)

(

)

(

L

及び

(A.5)

また,式

(A.6)

から,この結果に関連する合成標準不確かさ

)

(

y

u

が求められる。

2

2

L

2

2

2

)

(

)

(

)

(

r

r

s

u

e

u

B

u

y

u

+

=

+

=

(A.6)

JIS Z 8402-2

と比較すると,式

(A.6)

は,まさしく再現標準偏差

R

s

の推定値である。

このアプローチは,方法全体のパフォーマンスを重視しているため,“トップダウン”アプローチと呼

ばれることがある。

各試験所は,

m

の推定値を,式

,....)

,

(

2

1

x

x

f

y

=

から計算していることに注意する。この式は,測定量の

y

の試験所の最良推定値と仮定する。いま,

,....)

,

(

2

1

x

x

f

y

=

が測定システムの特徴を表し,

m

を計算す

るために用いる完全な測定モデルであるとすると,

L

s

及び

r

s

によって特性化されるばらつきは,数量

n

x

,....,

1

のばらつきから生じることが期待される。

再現条件では,

上記の

)

(

y

u

の物理的解釈を考慮に入れ,

すべての大きな影響を与える量がランダムにばらつくことを前提として,式

(A.6)

)

(

y

u

が,式

(A.1)

又は式

(A.2)

によって表される

)

(

y

u

の算定値であることが分かる。

したがって,この規格がよりどころとする第一の原則は,共同実験で得られた再現標準偏差が,測定値

の不確かさ評価のための有効な根拠だという点である。


20

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

A.2.2

真度推定値の組込み  一般に,真度は,立証された参照値に関するかたよりとして測定される。幾

つかの共同実験において,特定の測定システム(通常は

SI

)に関する方法の真度は,認証標準物質(

CRM

)

又はそのシステムの単位で表した標準値

µ

をもつ計測標準についての共同実験によって検証されている

(JIS Z 8402-4)。その結果得られた統計モデルは,式

(A.7)

で表される。

e

B

y

+

+

+

=

δ

µ

(A.7)

ここに,

µ

基準値

δ

測定方法のかたより

共同実験によって,式

(A.8)

に示すように,測定したかたより

δˆ

,及びこれに関連する標準偏差

δ

ˆ

s

の計算

値が求められる。

(

)

p

s

n

s

s

r

R

2

2

ˆ

1

1

=

δ

(A.8)

ここに,

p

試験所の数

n

各試験所における反復回数

このかたよりに関連する不確かさ

)

ˆ

(

δ

u

は,式

(A.9)

から求められる。

)

ˆ

(

)

ˆ

(

2

2

ˆ

2

µ

δ

δ

u

s

u

+

=

(A.9)

ここに,

)

ˆ

(

µ

u

共同実験における真度推定に用いられる基準値

µˆ

に関連する不確かさ

共同実験によって推定されたかたよりが,試験所の結果の計算に含まれる場合,推定されたかたよりに

関連する不確かさが無視できないものでなければ,不確かさのバジェット表に含めることが望ましい。

A.2.3

その他の影響−合成モデル

実際には,もちろん,

R

及び

)

ˆ

(

δ

u

に,測定結果を左右するすべての

影響の変動が含まれるわけではない。共同実験の性質上,幾つかの重要な要因が欠けている。また,偶然

又は意図的に一部の要因が欠けていたり,過小評価されていたりする。この規格がよりどころとする第二

の原則は,共同実験の枠組みにおいて観測しなかった影響は,明らかに無視できるか又は明らかに許され

るという点である。

これは, の推定値を求めるために必要な公称値

x

i

を基に偏差

x

'

i

の影響を検討し,その影響の近似直

線性を想定することによって,最も簡単に達成される。この合成モデルは,式(A.10)で表す。

e

x

c

B

y

i

i

+

+

+

+

=

å

δ

µ

(A.10)

ここに,総和を求めた項は,B

δ

及び

e

で表す影響を除くすべての影響を網羅する。

こうした影響の例としては,サンプリングの影響,試験品の調製,個々の試験品の組成,タイプの変動

などが挙げられる。厳密にいえば,これは最も一般的なモデルを線形化した形である。すなわち,必要に

応じて,GUM が示すとおり正確に,より高次の項又は相関項を取り入れることが可能である。

i

x

′ の中心化は

)

(

i

x

u

に影響を及ぼさないため,

)

(

i

i

x

u

x

u

=

であるという点に着目すると,式(A.10)から推

定された

y

の不確かさは,式(A.11)によって求められる。

)

(

)

ˆ

(

)

(

2

2

2

2

2

L

2

i

i

r

x

u

c

u

s

s

y

u

å

+

+

+

=

µ

(A.11)

ここに,総和は,他の項で扱わない影響に限定される。

測定のパフォーマンス評価という枠組みにおいては,中間精度条件も式(A.10)で表せるといってよいが,


21

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

中間条件の下では,

再現条件の下よりもランダムに変化する変数が少ないため,

総和に含まれる項の数は,

それに対応して増える。ただし,一般に,式(A.10)は,総和をとる対象となる影響を適切に選択すること

によって,すべての精度条件に適用される。当然,s

r

及び s

L

の項がゼロで,全体的かたよりの不確かさが

判断できないといった条件が存在するような極端なケースでは,式(A.11)は,式(A.1)と同じになる。

次の二つの推論が存在する。

−  第一に,共同実験で得られた定量的な結果が,検討中の試験結果に直接関係することを立証すること

が必要である。

−  第二に,共同実験の結果が直接関係しているとしても,その他の影響[式(A.10)における

i

]を十分

考慮した上で,有効な不確かさの値を測定するためには,更なる共同実験及び配慮が必要となる場合

がある。その他の影響を考慮するに当たっては,式(A.1)の適用が想定される。

最後に,この規格は,JIS Z 8402 のすべての部で示す手順によって得られる併行精度,再現精度及び真

度の推定値を検討することで測定の不確かさの評価が確実に行えることを断言するに当たり,JIS Z 8402

と同じ前提を用いている。

a)

再現精度を使用する場合は,すべての試験所のパフォーマンスが同様であると仮定する。特定の試験

品に関する試験所の併行精度は同じであり,かたよりの試験所成分[式(A.10)において の項で表さ

れる]は,共同実験においてサンプリングしたものと同じ母集団から導き出された。

b)

共同実験において割り当てられた一つ又は複数の試験物質は,均質,かつ,安定している。次の A.3

では,その他の影響が無視できることを検証するための方法及び,その他の影響が無視できない場合

は,生じた不確かさを結果の不確かさ評価に取り入れる方法を示す。

A.3

方法間の関係  上記の説明では,二つの明らかに異なる不確かさ評価の方法を示した。GUM の方法

は,一方において,数学的モデルへの入力に関連する分散に基づき,分散の形で不確かさを予測する。他

方においては,これらの同じ影響が再現性実験の過程において典型的に変化する場合,観測したばらつき

は,同じ不確かさの直接的な評価になるという事実を利用している。実際には,異なる方法によって求め

た不確かさの値は,次のことを含むさまざまな要因によって異なる。

a) 

不完全な数学モデル(例えば,未知の影響の存在)

b)

再現性評価における,すべての影響の不完全な変動又は非典型的な変動。

したがって,二つの異なる算定値の比較は,測定モデルの完全性の評価として有効である。ただし,観

測した併行又はその他の精度の推定が,GUM の方法においてさえ,不確かさに別個に寄与すると解釈さ

れる場合が非常に多いという点に注意が必要である。同様に,個々の影響は,一般に,再現性を評価する

前に重大性がチェックされるか,又は定量化される。したがって,実際的な不確かさの評価は,しばしば

双方の要素を用いる。

解釈の一助として,不確かさの値が結果とともに与えられる場合には,各方法の欠陥を是正することが

重要である。実際のところ,モデルが不完全である可能性は,一般に,保守的な評価を行うことと,模範

的な不確かさに関する配慮を加えることとで明らかに解決される。この規格において,入力量の影響によ

るばらつきが不十分である可能性は,その他の影響を評価することによって解決される。これは,“トッ

プダウン”評価と“ボトムアップ”評価との要素を合成したハイブリッドアプローチを意味する。

 
 


22

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

附属書 B(参考)実験による不確かさの評価

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

B.1

感度係数推定のための実践的手順  入力量

i

が該当領域全体にわたって連続的に変化する可能性が

ある場合には,こうした変化の影響を直接検討すると便利である。

i

に対し結果がほぼ直線的に変化する

と想定した場合の単純な手順を,次に示す。

a)

変数

i

が変化する適切な領域を選択する。

i

は,最良推定値(又は測定方法によって定められた値)

を中央の値とすることが望ましい。

b)

i

の五つ以上のレベルのそれぞれにおいて,必要に応じて反復することで測定手順全体(又はそのう

ちの

i

の影響を受ける部分)を実行する。

c)

i

を横軸,測定結果を縦軸として,線形モデルを結果に当てはめる。

d)

こうして得た直線の傾きは,式(A.1)又は本体の式(12)における係数

i

である。

このアプローチは,異なる試験品に対して異なる感度係数を示す場合がある。これは,特定の品目又は

試験品の種類の総合的な検討においては利点となり得るが,感度係数が幅広い事例に適用する場合には,

さまざまな品目が十分類似性のある挙動を示すことの検証が重要である。 

B.2

ランダムな効果による不確かさを評価するための簡単な手順  入力量

j

が不連続である場合,又は

容易に制御できない場合は,その不確かさを,変数がランダムに変化する実験結果を解析することによっ

て導き出すことができる。例えば,環境分析において,土壌の種類は分析測定に予想外の影響を与える可

能性がある。偶然誤差が目的成分の量のレベルに対しほぼ独立している場合は,確定値が入手できるか,

又は既知の変化を引き起こす複数の試験品を使って,変動に起因する誤差の分散を検証することが可能で

ある。

一般的な手順を,次に示す。

a)

併行精度条件の下で,代表として選択した試験品に対して,等しい反復回数の全体測定を繰り返し実

行する。

b)

それぞれの測定値について,既知の値との差を計算する。

c)

(目的物質の量によって分類された)結果に対して分散分析を行い,平方和を用いて群内変動の推定

2

w

s

及びグループ間分散の推定値

2

b

s

を求める。

j

x

の変化に起因する標準不確かさ

)

(

j

x

y

u

は,

b

s

に等

しい。

備考  異なる試験品又は試験品の種類が,その量に対して異なった影響を示す場合(すなわち,量と

試験品の種類とに相互関係がある場合。),その相互関係は,

b

の値を上昇させる。こうした

状況の詳しい処理は,この規格の適用範囲外である。

参考  “相互関係”は,統計用語では“交互作用”である。

 


23

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

附属書 C(参考)不確かさの計算例

この附属書は,本体及び附属書に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

C.1

自動車排気ガス中の一酸化炭素(CO)の測定

C.1.1

序文  乗用車は,発売前に型式検査を受け,その車種の,エンジン及び一酸化炭素汚染ガスの排気

システムからの排気に関する法的要求事項への適合を確認することを義務付けられている。認可の上限値

は,2.2 g/km である。試験方法は,欧州指令 70/220 に示されている。同指令には,次のような仕様がある。

−  走行サイクル(Euro96)は,速度(km/h),時間(秒)及び連動ギアの関数として与えられている。試験対

象の車両は,サイクル実行のため規定のローラーベンチに載せる。

−  測定機器は,規定の一酸化炭素(CO)分析装置である。

−  環境は,規定の汚染監視室で管理する。

−  要員は,規定の教育訓練を受けている。

このような適合性試験は,自動車製造業者の生産施設にある試験所又は独立の試験所において実施する

ことが可能である。

C.1.2

共同実験の結果  こうした試験方法を採用し,日常的に使用する前に,試験方法の結果(さらに,

最終的には,試験結果の不確かさ。)に影響を及ぼす要因又は原因を評価することが必要である。さまざ

まな試験所においては,このように実施された実験に基づいて,評価が行われる。試験方法を管理するた

め,JIS Z 8462-2 に従って,試験所間実験が計画され,実施される。この試験所間実験の目的は,その試

験方法を,決められた複数の試験所において日常的に適用した場合の精度を推定することにある。精度の

推定は,試験所間実験で収集したデータに,JIS Z 8462-2 に従って実施した統計的解析を加えることによ

って行われる。共同実験は,各参加者が,測定実施に必要なすべてのプロセスを行い,関係するすべての

影響要因を考慮に入れる形で実施される。

試験所の併行精度に大差はなく,

試験方法の併行標準偏差は 0.22 g/km と推定し得ることが実証された。

試験方法の再現性標準偏差は,0.28 g/km と推定できる。

C.1.3

かたよりの管理  真度の推定(標準に対するかたよりの管理)には,方法論的及び技術的な問題が

ある。標準物質という意味での,“標準車両”は存在しない。したがって,真度は,試験システムの校正

によって管理しなければならない。例えば,CO 分析装置の校正は,標準ガスによって行うことができる。

また,ローラーベンチの校正は,時間,長さ,速度,加速度などの量について行うことが可能である。さ

まざまな速度における排出速度に関する知識及びこれに類する情報から,これらの校正に関連する不確か

さは,測定結果に伴う重大な不確かさの原因にならないことが確認されている(すなわち,すべての計算

で求めた不確かさは,再現標準偏差をはるかに下回る。)。したがって,かたよりは,適切な管理下にあ

ると考えられる。

C.1.4

精度  ある試験所による代表的な二重試験走行の結果,併行標準偏差は約 0.20 g/km であることが

実証された。これは,試験所間で確認された併行精度の範囲内である。したがって,精度は良好な管理下

にあると考えられる。


24

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

C.1.5

試験品の妥当性  この方法の適用範囲は,これが“乗用車”の適用範囲に属するすべての車両に適

していることが明らかになっている。ほとんどの車両は,適合性を比較的容易に達成し,低い排気レベル

では不確かさが小さい傾向にあるが,規制限界に近いレベルでは,不確かさが重要となる。したがって,

低い CO 排出レベルについては,規制限界に近いレベルで評価した不確かさが,妥当でやや保守的な算定

値であると判断された。試験の結果,ある車両が限界を実質的には超える排気ガスを排出したことが判明

した場合,比較が重要な意味をもつ場合には不確かさの検討を更に行う必要があることが明らかになるか

もしれないという点に注意する。ただし,実際には,そのような車両が,改良を加えずに販売されること

はあり得ない。

C.1.6

不確かさの評価  過去の検討によって,試験所内でかたより及び精度が適切に管理されていること

が実証され,共同実験で行われなかった作業については他の要因が発生していなかったことから,標準不

確かさの評価に再現標準偏差を使用し, = 2 として,拡張不確かさ = 0.56 g/km を得た。

備考  適合性試験の分野における不確かさに関する結果の解釈については,ISO 10576-1

[24]

で検討され

ている。

C.2

食肉成分の定量 

C.2.1

序文  食肉製品は,食肉成分が正確に表示されることを確実にするように規制されている。食肉成

分は,窒素含有量(総たんぱく質質量に換算)と脂肪含有量との組合せとして定量される。この例では,各

要因が,

本体の 12.で示した再現性の推定値に主として起因する不確かさのさまざまな要因を合成するため

の原則を示す。

C.2.2

基本式  総食肉成分含有量

meat

W

は,式(C.1)で定義する。

fat

pro

meat

W

W

W

+

=

(C.1)

ここに,

pro

W

質量百分率で表した総食肉たんぱく質

fat

: 質量百分率で表した総脂肪

食肉たんぱく質

pro

W

は,式(C.2)で求められる。

N

mN

pro

100

f

W

W

=

(C.2)

ここに,

N

: その材料に固有の窒素係数

mN

W

総食肉窒素含有量

この場合,

mN

W

は,ケルダール分析法で定量された総窒素含有量

tN

に等しい。

C.2.3

食肉成分含有量の定量における実験手順  食肉成分の定量に必要な実験の手順は,次による。

a)

脂肪含有量

fat

を定量する。

b)

ケルダール法によって,窒素含有量

mN

W

を定量する(複数の測定値の平均)。

c)

“脱脂食肉”の成分含有量

pro

W

及び

N

を計算する[式(C.2)]。

d)

食肉成分含有量

meat

W

を計算する[式(C.1)]。

C.2.4

不確かさの成分  検討すべき不確かさの成分は,C.2.3 に挙げたそれぞれの量に関連するものであ

る。最も重要なものは,

meat

W

の質量の約 90  %を構成する

pro

W

に関係する。

pro

W

に関連する最大の不確

かさ成分は,次の要因によって生じる。

a)

材料に関する知識が不十分なことによって生じる,因子

N

の不確かさ。

b)

実験と実験との間で,また,長期間をかけた詳細にわたる実施で生じる,方法の再現性の変動。


25

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

c)

方法のかたよりに伴う不確かさ。

d)

脂肪含有量

fat

の不確かさ。

備考  不確かさ a),b)及び c)は,それぞれサンプル,試験所及び分析方法に関連する。全体の不確か

さ及び手順の個々の段階に必要な考慮事項を明確化する場合には,これら三つの要因をそれぞ

れ検討するのが好都合なことが多い。

C.2.5

不確かさ成分の評価

C.2.5.1

N

の不確かさ

N

の不確かさは,公表された値の範囲から評価する。参考文献

[20]

は,牛肉の窒

素係数が,食肉のさまざまな産地及び切断部位によって大きく変動する事実に関する幅広い調査結果につ

いて示している。この調査では,更に参考文献

[20]

は,

N

について観察された標準偏差が 0.052 であり,

より幅広いサンプルの種類については相対的標準偏差が 0.014 となることを認めている。

備考  参考文献

[20]

での窒素係数の測定にはケルダール法を用いているため,ここでの目的に直接適用

可能である。

C.2.5.2

tN

の不確かさ

二つの共同実験の試行

[21][22]

における情報から,再現精度又は方法の実施にお

ける誤差に起因する不確かさの評価が可能となる。試行の条件を詳しく検証したところ,第一に,優秀な

能力ある代表的な試験所によって各試行が幅広いサンプルの種類に関して実施されていること,第二に,

再現標準偏差

R

s

が窒素レベルと高い相関があることが明らかになった。両方の試行について,最も当ては

まる式は,

R

s

=0.021

tN

であった。同時に,併行標準偏差が

r

s

=

0.018

tN

,試験所間標準偏差が

L

=

0.011

tN

と,

tN

にほぼ比例することも示された。

この方法は,それぞれ二重測定を行い,平均値をとるように規定している。このため,単一の結果の併

行精度の推定値である併行精度の項は,試験所における二つの結果を平均することの影響が考慮されるよ

うに補正しなければならない(本体の

表 

r

に関するコメントを参照)。したがって,窒素含有量に関

連する不確かさ

)

(

tN

W

u

は,式(C.3)のようになる。

tN

2

2

tN

2

1

L

tN

tN

017

.

0

2

018

.

0

011

.

0

2

)

(

W

W

s

s

W

W

u

r

=

+

=

+

=

(C.3)

式(C.3)は,方法の実施における妥当な変動に起因する不確かさ

tN

の最良の算定値である。

併行精度の値は,個々の試験所の精度を合否判定するための基準としても使用できる。この方法は,二

つの測定値の差が 95  %信頼区間(1.96

2

r

s

にほぼ等しい)の外にある場合は,結果を不合格とするべき

であると規定している。こうしたチェックによって,試験を行う試験所の試験所内精度が,共同実験にお

いて確認された精度に適合することが確認される。

備考  このチェックが,回数の約 5  %を超える頻度で失敗する場合は,精度が十分な管理下にない可

能性があるため,手順を改善するための措置が必要になる

また,分析方法における未知のかたよりによって生じた

W

tN

の不確かさに対しても,何らかの考慮をす

る必要がある。信頼できる標準物質がない場合は,基本的に異なる原則に基づいて行われる別の方法との

比較が,かたよりの推定の確立された手段である。さまざまなサンプルの種類について,ケルダール法と

全窒素燃焼法とを比較したところ,0.01

W

tN

の差が実証された。これは,十分に,JIS Q 0033 が規定する

基準 2

σ

D

の範囲内であることから[本体の式(4)]

,かたよりに伴う不確かさは,再現精度において十分考

慮されていることが確認された。


26

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

C.2.5.3

fat

W

の不確かさ  脂肪分析に関するその他の共同実験試行の結果

[23]

は,再現標準偏差値を

0.02

fat

と推定している。ここでも,分析は二重に行われ,その差が適切な併行精度の限界の範囲内であ

る場合に限って結果が認められ,それによって,試験所の精度が管理されていることが確認される。脂肪

の定量に適した標準物質についての事前の検証作業によって,かたよりに伴う不確かさが再現精度の数値

によって十分考慮されていることが実証された。

C.2.6

合成不確かさ  附属書表 C.1 には,上記の数値を用いて計算した個々の値及び不確かさを示す。

附属書表 C.1  食肉成分に関する不確かさのバジェット表

i

x

の値

)

(

i

x

u

i

i

x

x

u

/

)

(

脂肪含有量,

fat

W

 5.50

0.110

0.020

窒素含有量,

mN

W

 3.29

0.056

0.017

窒素係数,

N

f

3.65 0.052

0.014

食肉たんぱく質,

pro

W

90.1 90.1

× 0.022 = 1.98 

022

.

0

014

.

0

017

.

0

2

2

=

+

総 食 肉 成 分 含 有 量 ,

meat

W

95.6 

98

.

1

110

.

0

98

.

1

2

2

=

+

0.021 

約 95  %の信頼水準が求められている。合成標準不確かさに包含係数 =2 を乗じ,(2 けたに丸めると)

食肉成分の拡張不確かさ

U

=4.0  %となり,

約 95  %の信頼水準が得られる。

すなわち,

meat

W

=95.6±4.0  %。

備考  製品によっては,“食肉成分含有量”は合法的に 100  %を超えることがあり得る。


27

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

参考文献

[1]  JIS Z 8101-2  統計−用語と記号−第 2 部:統計的品質管理用語

備考 ISO 

3534-2

  Statistics−Vocabulary and symbols−Part 2: Statistical quality control からの引用事項

は,この規格の該当事項と同等である。

[2]  JIS Z 8101-3  統計−用語と記号−第 3 部:実験計画法

備考 ISO 

3534-3

  Statistics−Vocabulary and symbols−Part 3: Design of experiments が,この規格と一致

している。

[3]  JIS Z 8402-1  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 1 部:一般的な原理及び定義

備考 ISO 

5725-1

  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 1: General

principles and definitions が,この規格と一致している。

[4]  JIS Z 8402-2  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 2 部:標準測定方法の併行精度及

び再現精度を求めるための基本的方法

備考 ISO 

5725-2

  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 2: Basic

method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement method が,

この規格と一致している。

[5]  JIS Z 8402-4  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 4 部:標準測定方法の真度を求め

るための基本的方法

備考 ISO 

5725-4

  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 4: Basic

methods for the determination of the trueness of a standard measurement method が,この規格と一致

している。

[6]   JIS Z 8402-5  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 5 部:標準測定方法の精度を求め

るための代替法

備考 ISO 5725-5   Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results − Part 5:

Alternative methods for the determination of the precision of a standard measurement method が,この

規格と一致している。

[7]  JIS Z 8402-6  測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第 6 部:精確さに関する値の実用的

な使い方

備考 ISO 

5725-6

  Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 6: Use in

practice of accuracy values が,この規格と一致している。

[8]  ISO/TR 7871  Cumulative sum charts−Guidance on quality control and data analysis using CUSUM

techniques

[9]  JIS Z 9021  シューハート管理図

備考 ISO 

8258

  Shewhart control charts からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

[10] ISO 11648 (all parts)  Statistical aspects of sampling from bulk materials

[11] JIS Q 17025  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

備考 ISO/IEC 

17025

  General requirements for the competence of testing and calibration laboratories が,こ

の規格と一致している。

[12] Guide to the expression of uncertainty in measurement [計測における不確かさの表現のガイド(GUM)]


28

Z 8404-1

:2006 (ISO /TS 21748:2004)

BIPM/IEC/IFCC/ISO/IUPAC/IUPAP/OIML

,1993(修正及び再刷,1995)

[13] International vocabulary of basic and general terms in metrology[国際計量基本用語集(VIM)]

BIPM/IEC/IFCC/ISO/IUPAC/IUPAP/OIML

,1993

[14] JIS Q 0043-1  試験所間比較による技能試験  第 1 部:技能試験スキームの開発及び運営

備考 ISO/IEC 

Guide 

43-1

  Proficiency testing by interlaboratory comparisons−Part 1: Development and

operation of proficiency testing schemes が,この規格と一致している。

[15] JIS  Q  0043-2  試験所間比較による技能試験  第 2 部:試験所認定機関による技能試験スキームの選

定及び利用

備考 ISO/IEC 

Guide 

43-2

  Proficiency testing by interlaboratory comparisons−Part 2: Selection and use of

proficiency testing schemes by laboratory accreditation bodies が,この規格と一致している。

[16] JIS Z 8103  計測用語 
[17] AFNOR FD X07-021 (1999 年 10 月),Fundamental standards  −  Metrology and application of statistics  −

Help to the process for the estimation and use of measurement and test results uncertainty

[18] Recommendation INC-1 (1980),BIPM 
[19] KAARLS R. Proc - Verbal Com. Int. Poids et Mesures,49 (1981),BIPM,pp A.1-A.12 

C.2

の例の参考文献

[20]   Analytical Methods Committee. Analyst

118 (1993)

,p. 1217

[21]   SHURE B.,CORRAO P.A.,GLOVER A.,MALINOWSKI A.J. J. AOAC Int.

65 (1982)

, p. 1339

[22]   KING-BRINK M.,SEBRANEK J.G. J. AOAC Int.

76 (1993)

, p. 787

[23]   BREESE JONES D. US Department of Agriculture Circular No. 183(1931 年 8 月)

[24]   ISO 10576-1  Statistical methods−Guidelines for the evaluation of conformity with specified requirements

−Part 1: General principles