Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによって JIS Z 8202-1985 は廃止され,JIS Z 8202-0∼JIS Z 8202-10,JIS Z 8202-12
及び JIS Z 8202-13 に置き換えられる。
今回の改正では,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格を作成するため
に,ISO 31-0 : 1992, Quantities and units−Part 0 : General principles を基礎として用いた。
ただし,ISO 31-0 の
附属書 B は,JIS Z 8401(数値の丸め方)として制定されている。
また,ISO 31-11 : 1992, Quantities and units−Part 11 : Mathematical signs and symbols for use in the physical
sciences and technology
は,JIS Z 8201(数学記号)として制定されている。
JIS Z 8202-0
には,次に示す附属書がある。
附属書 A(参考) 物理量の名称に用いる用語に関する指針
附属書 B(参考) 数の丸め方に関する指針
附属書 C(参考) 量及び単位の分野における国際機関
JIS Z 8202
の規格群には,次に示す部編成がある。
第 0 部:一般原則
第 1 部:空間及び時間
第 2 部:周期現象及び関連現象
第 3 部:力学
第 4 部:熱
第 5 部:電気及び磁気
第 6 部:光及び関連する電磁放射
第 7 部:音
第 8 部:物理化学及び分子物理学
第 9 部:原子物理学及び核物理学
第 10 部:核反応及び電離性放射線
第 12 部:特性数
第 13 部:固体物理学
日本工業規格
JIS
Z
8202-0
: 2000
(ISO 31-0
: 1992
)
量及び単位−
第 0 部:一般原則
Quantities and units
−
Part 0 : General principles
序文 この規格は,1992 年に第 3 版として発行された ISO 31-0, Quantities and units−Part 0 : General
principles
及び Amendment 1 (1998) を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であ
る。ただし,追補 (Amendment) については,編集し,一体とした。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1.
適用範囲 この規格のこの部は,物理量,方程式,量記号及び単位記号並びに一貫性のある単位系,
特に国際単位系 (SI) に関する原則についての一般事項について規定する。
この規格のこの部で示される原則は,科学及び技術の各種の分野で一般的な使用及び JIS Z 8202-1∼JIS
Z 8202-10
,JIS Z 8202-12 及び JIS Z 8202-13 に対する一般的な説明を意図している。
2.
量及び単位
2.1
物理量,単位及び数値 この規格では,物理現象の量的な表記に用いる物理量だけを取り扱う。慣
行的な尺度,例えば,ビューフォート階級,リヒター階級,色度の目盛及び慣行的な試験,例えば,耐食
性の結果のような表記は取り扱わないし,通貨又は情報容量についても同様に取り扱わない。
物理量は,相互に比較できる量の種類に分類することができる。長さ,直径,距離,高さ,波長などが
このような一つの種類を構成する。相互に比較できる量は,
“同一種類の量”という。
そのような種類からの一つの量の具体的な例を,単位と呼ばれる基準量として選べば,この種類からの
他のいかなる量もこの単位によって,この単位と一つの数の積として表すことができる。この数は,この
単位で表わした量の数値と呼ばれる。
例 ナトリウム線の中の 1 本の波長は,次による。
m
7
10
896
.
5
−
×
=
λ
ここに,
λ
は物理量である波長の記号
m
は長さの単位メートルの記号
及び
5.896
×
10
-7
はメートルで表記した波長の数値
量と単位との式の扱い方は,次の式によって表す。
]
[
}
{
A
A
A
⋅
=
ここに,
A
は物理量の記号,
{A}
は単位記号
{A}
は単位[A]で表した量 A の数値ベクトルとテンソルに対しては,各成分を上記のように表す
2
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
量である。
ある量を最初の単位の k 倍である他の単位で表すならば,新しい数値は最初の数値の 1/k 倍と
なる。数値と単位の積である物理量は,このように単位の選択には無関係である。
例 波長の単位を,メートルからメートルの 10
-9
倍であるナノメートルに変えると,メートルで表記
された量の数値の 10
9
倍の数値が得られることになる。
ここに,
λ
=5.896×10
-7
m
=5.896×10
-7
×10
9
nm
=589.6nm
数値の表記方法についての注意事項 量自体と特定の単位で表した量の数値との間の区別をすることが
重要である。特定の単位で表した量の数値は,量記号を波括弧“{ }”で囲み,単位を下付添字として示
すことによっても表すことができる。しかし,
数値は単位に対する量の比として明確に表記するのがよい。
例
λ
/nm
=589.6
備考 この表記方法は,グラフ及び表の欄の見出しにおいて,特に有用である。
2.2
量及び式
2.2.1
量に関する数学的演算方法 2 個以上の物理量は,相互に比較できる量の同一の種類に属していな
い限り,加えたり減じたりすることはできない。
物理量は,代数の原則に従って,互いに乗除演算することができる。二つの量,A と B との積又は商に
ついては,次の式が成立する。
]
][
[
}
}{
{
B
A
B
A
AB
⋅
=
]
[
]
[
}
{
}
{
B
A
B
A
B
A
⋅
=
ここに, 積{A}{B}は,量 AB の数値{AB}
積[A][B]は,量 AB の単位[AB]
同様に商{A}/{B}は,量 A/B の数値{A/B}
商[A]/[B]は,量 A/B の単位[A/B]
例 等速運動中のある粒子の速度
υ
は,次の式で示される。
t
l
=
υ
ここに,
l
は時間 t の間に進む距離
したがって,
この粒子が時間 t=2s の間に距離 l=6m を進むと,
速度
υは次の式のとおりとなる。
s
m
s
m
t
l
3
2
6
=
=
=
υ
指数関数,対数関数,三角関数などの変数は,数,数値又は量の次元
1
の組合せである(2.2.6 を参照)
。
例
exp
(W/kT)
,
In (p/kPa)
,
sin
α
,
sin (
ωt)
備考
同じ種類の二つの量の比と,その比のある種の関数,例えば,その比の対数とは異なる量であ
る。
2.2.2
量方程式及び数値方程式 科学及び技術においては,
2
種類の式が用いられる。文字記号が物理量
(すなわち,数値×単位)を表す量方程式と数値方程式とである。数値方程式は,単位の選択に依存する
のに反して,量方程式はこの選択に無関係であるという利点をもつ。したがって,通常は量方程式を用い
ることが望ましい。
例
一つの簡単な量方程式は,2.2.1 で述べたように,次の式である。
t
l
=
υ
例えば,速度,長さ及び時間の単位として,それぞれキロメートル毎時,メートル及び秒を使
えば,次の数値方程式を導くことができる。
3
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
s
m
h
km
t
l
}
/{
}
{
6
.
3
}
{
/
=
υ
この方程式中にある数
3.6
は,選ばれた特定の単位によるものである。これと異なる選択をす
れば,数は一般に異なるものとなる。
この方程式において,単位を示す添字を省略すると
}
/{
}
{
6
.
3
}
{
t
l
=
υ
が得られるが,この数値方程式は単位の選択に無関係とならないので,その使用は推奨しない。
しかし,あえて数値方程式を用いるならば,その文脈中に単位を明確に示さなければならない。
2.2.3
実験的定数 実験的関係は,特定の物理量の数値方程式として表す。そのような関係は,種々の物
理量が表記される単位に依存する。
数値の間の実験的関係は,一つ又はそれ以上の実験的定数を含む物理量の量方程式に変換することがで
きる。そのような物理量の量方程式は,方程式の形式が単位の選択に無関係であるところに利点がある。
しかし,そのような方程式に出てくる実験的定数の数値は,その他の物理量におけると同様に,その数値
が表記される単位に依存する。
例
数個の振り子のそれぞれの各観測点における長さ
l
及び周期
T
は,次の量方程式で表される。
2
/
1
l
C
T
⋅
=
この式において,実験的定数
C
は
2
/
1
/
006
.
2
m
s
C
=
であることが分かる(理論は式
C
=
2
πg
-1/2
であることを示しており,
g
はその地点での自由落下
の加速度である。
)
。
2.2.4
量方程式における数値因数 量方程式は,数値因数を含むことがある。これらの数値因数は,その
方程式に含まれる量の定義に依存する。
例1.
質量
m
及び速度
υ
の粒子の運動エネルギー
E
k
は,
2
2
1
υ
m
E
k
=
2.
誘電率
ε
の媒体中にある半径
γ
の球の静電容量
C
は,
πεγ
4
=
C
2.2.5
量の体系及び量方程式:基本量及び組立量 物理量は,自然法則又は新しい量を定義する方程式を
通じて相互に関係付けられる。
単位系を定義し,次元の概念を導入するためには,ある量を相互に独立したものと考えるのが便利であ
る。すなわち,これらの量を基本量とみなし,基本量によって他の量が方程式を通じて定義又は表現され
ると考えるのである。この場合,他の量は組立量と呼ばれる。
幾つの量,また,どの量を基本量とみなすかは選択の問題である。
JIS Z 8202-1
∼JIS Z 8202-10,JIS Z 8202-12 及び JIS Z 8202-13 に含まれる物理量の全体の集合は,七つ
の基本量:長さ,質量,時間,電流,熱力学温度,物質量及び光度に基づいているとみなされる。
力学の分野においては,三つの基本量に基づく量の体系及び方程式が一般的に用いられる。JIS Z 8202-3
では用いる基本量は,長さ,質量及び時間である。
電気及び磁気の分野においては,四つの基本量に基づく量の体系及び方程式が一般的に用いられる。JIS
Z 8202-5
では用いる基本量は,長さ,質量,時間及び電流である。
しかし,同じ分野において,三つの基本量(長さ,質量及び時間)に基づく単位系,特に“ガウス”単
位系,すなわち,対称系も広く用いられてきた(JIS Z 8202-5
: 2000
,
附属書 A を参照)。
4
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
2.2.6
量の次元 いかなる量
Q
も方程式という手段によって他の量で表記できる。これは複数の項の和
からなることもある。これらの項は,いずれも数値因数
ξ
と選ばれた集合である基本量
A
,
B
,
C
……の累
乗との積として
ξA
α
B
β
C
γ
……という形式で表記できる。この場合,指数の集合
(
α
,
β
,
γ
……
)
は,各項に
ついて同一である。
量
Q
の次元は,このように次元の積
Λ
Λ
γ
β
α
C
B
A
Q
=
dim
で表される。
ここに,
A
,
B
,
C
……は基本量
A
,
B
,
C
の次元を表し,
α
,
β
,
γ
……は次元指数と呼ばれる。
これらの次元指数のすべてが
0
である量は,無次元量と呼ばれる。この次元の積又は次元は,
A
0
B
0
C
0
…
…=
1
,このような次元
1
の量は,数として表される。
例
三つの基本量(長さ,質量,及び時間)の次元が,それぞれ
L
,
M
,及び
T
によって表されると
すれば,仕事の次元は
dimW
=
L
2
MT
-2
によって表され,次元指数は
2
,
1
及び−
2
である。
七つの基本量(長さ,質量,時間,電流,熱力学温度,物質量及び光度)に基づく単位系においては,
基本次元はそれぞれ,
L
,
M
,
T
,
I
,
Θ
,
N
及び
J
によって表され,このときの量
Q
の次元は,一般に次に
よって表す。
η
ζ
ε
δ
γ
β
α
J
N
I
T
M
L
Q
Θ
=
dim
量
次元
速度
LT
-1
角速度
T
-1
力
LMT
-2
エネルギー
L
2
MT
-2
エントロピー
L
2
MT
-2
Θ
-1
電位
L
2
MT
-3
I
-1
誘電率
L
-3
M
-1
T
4
I
2
磁束
L
2
MT
-2
I
-1
照度
L
-2
J
モルエントロピー
L
2
MT
-2
Θ
-1
N
-1
ファラデー定数
TIN
-1
例
相対密度
1
JIS Z 8202
の各部では,量の次元は明示しない。
2.3
単位
2.3.1
一貫性のある単位系 単位を任意に選ぶこともできるが,各量に対する単位を独立して選択すると,
数値方程式に余分な数値因子が出現する。
しかし,数値方程式が(数値因子を含んで)対応する量方程式と全く同一の形式をもつように単位系を
選ぶことが可能であり,また,実用上もより便利である。このように定義される単位系は,関連する量の
体系と方程式に関して,一貫性があるという。
SI
は,そのような単位系である。対応する量の体系を JIS Z
8202-1
∼JIS Z 8202-10,JIS Z 8202-12 及び JIS Z 8202-13 に示す。
特定の量の体系と方程式について,一貫性がある単位系を得るには,まず基本量に対する単位,すなわ
ち基本単位を定義する。次に各組立量について,基本単位から組立単位を定義するには,基本次元の記号
を対応する基本単位の記号に置き換えることによって,次元の積(2.2.6 を参照)から得られる代数的表現
5
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
による。特に,次元
1
の量には単位
1
が付与される。そのような一貫性がある単位系においては,基本単
位を用いた組立単位の表記で
1
以外の数値因子が表れることはない。
例 量
方程式
次元
組立単位の記号
速度
dt
dl
=
υ
LT
-1
m/s
力
2
2
dt
l
d
m
F
=
MLT
-2
kg
・m/s
2
運動エネルギー
2
2
1
υ
m
E
k
=
ML
2
T
-2
kg
・m
2
/s
2
位置エネルギー
E
p
=mgh ML
2
T
-2
kg
・m
2
/s
2
エネルギー
mgh
m
E
+
=
2
2
1
υ
ML
2
T
-2
kg
・m
2
/s
2
相対密度
0
ρ
ρ
=
d
1 1
2.3.2
SI
単位及びその 10 の整数乗倍 国際単位系という名称及びその国際的略号
SI
は,
1960
年に第
11
回国際度量衡総会
(CGPM)
で採択された。
この体系は,次の単位からなる。
−
基本単位
−
組立単位
これらは,ともに
SI
単位の一貫性のある体系を形成している。
2.3.2.1
基本単位 七つの基本単位を
表 1 に示す。
表 1 SI 基本単位
SI
基本単位
基本量
名称
記号
長さ
メートル m
質量
キログラム kg
時間
秒 s
電流
アンペア A
熱力学温度
ケルビン K
物質量
モル mol
光度
カンデラ cd
2.3.2.2
組立単位 基本単位による一貫性がある組立単位の表記は,次の形式的な置き換えによって,次
元の積から得られる。
L
→
m
Θ
→
K
M
→
kg N
→
mol
T
→
s J
→
cd
I
→
A
特に,次元
1
は,単位
1
,記号
1
に対応する(2.3.1 参照)
量
七つの基本単位によって
表記される SI 単位の記号
速度
m/s
力
kg
・
m/s
2
エネルギー
kg
・
m
2
/s
2
例
エントロピー
kg
・
m
2
/ (s
2
・
K)
6
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
電位
kg
・
m
2
/ (s
3
・
A)
誘電率
A
2
・
s
4
/ (kg
・
m
3
)
磁束
kg
・
m
2
/ (s
2
・
A)
モルエントロピー
kg
・
m
2
/ (s
2
・
K
・
mol)
ファラデー定数
A
・
s/mol
相対密度
1
SI
組立単位の中には,固有の名称及び記号をもつものがある。
CGPM
によって承認されたものを
表 2 及
び
表 3 に示す。単位の複雑な組合せでは,固有の名称及び記号を使用することが有利な場合が多い。
備考
1960
年に
CGPM
は,
SI
単位のラジアン
rad
及びステラジアン
sr
をそれぞれ平面角及び立体角
に対して,
“補助単位”として分類した。
1980
年に
CIPM
は,
SI
における補助単位の分類を“無次元”組立単位の分類とみなすことを
決定し,
CGPM
はこれに関して,
SI
の組立単位としての表示の中にそれらを含めるか否かの選
択の自由を残した。
1995
年に,
CGPM
は
1980
年の
CIPM
の見解を承認し,
SI
における補助単位という階級を削
除した。
このような見解の結果として,平面角及び立体角に対する一貫性のある単位は数
1
であるが,
数
1
の代わりに固有の名称である,ラジアン
rad
及びステラジアン
sr
を使用するほうが実用上
多くの場合に便利である。
例
量 SI 単位の記号
角速度
rad/s
ここに,
1rad
=
1
よって,又は
s
-1
照度
cd
・
sr/m
2
ここに,
1sr
=
1
よって,又は
cd/m
2
モ ル エ ン ト ロ ピ
ー
J/ (K
・
mol)
ここに,
1J
=
1m
2
・
kg/s
2
誘電率
s
・
A/ (m
・
V)
ここに,
1V
=
1m
2
・
kg/ (s
3
・
A)
7
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
表 2 固有の名称をもつ SI 組立単位
SI
組立単位
組立量
固有の名称
記号 SI 基本単位及び組立単
位による表し方
平面角
ラジアン rad 1rad=1m/m=1
立体角
ステラジアン sr
1sr
=1m
2
/m
2
=1
周波数
ヘルツ Hz
1Hz
=1s
-1
力
ニュートン N
1N
=1kg・m/s
2
圧力,応力
パスカル Pa 1Pa=1N/m
2
エネルギー,仕事,熱量
ジュール J 1J=1N・m
電力,放射束
ワット W
1W
=1J/s
電荷,電気量
クーロン C 1C=1A・s
電位,電位差,電圧,起電力
ボルト V
1V
=1W/A
静電容量
ファラド F 1F=1C/V
電気抵抗
オーム
Ω
1
Ω=1V/A
コンダクタンス
ジーメンス S
1S
=1
Ω
-1
磁束
ウエーバー Wb 1Wb=1V・s
磁束密度
テスラ T 1T=1Wb/m
2
インダクタンス
ヘンリー H 1H=1Wb/A
セルシウス温度
セルシウス度(
1
)
℃
1
℃=1K
光束
ルーメン lm 1lm=1cd・sr
照度
ルクス lx
1lx
=1lm/m
2
注(
1
)
セルシウス度は,セルシウス温度での値を示す際に用いる単位ケルビンに代わる
単位固有の名称である(JIS Z 8202-4 : 2000 4-1.a 及び4-2.a を参照)
。
参考 第 21 回 CGPM(1999 年)は,組立量“酵素活性”を表す組立単位“モル毎秒 (mol/s)”
に対して,固有の名称と記号“カタール (kat)”の導入を決定した。したがって,
今後の改訂版では,この単位が上表に加えられることになる。
表 3 人の健康保護のために認められる固有の名称をもつ SI 組立単位
SI
組立単位
組立量
固有の名称
記号 SI 基本単位及び組立
単位による表し方
(放射性核種の)放射能
ベクレル Bq
1Bq
=1s
-1
吸収線量,質量エネルギー分与,カ
ーマ,吸収線量率
グレイ Gy
1Gy
=1J/kg
線量当量
シーベルト Sv 1Sv=1J/kg
2.3.2.3
SI
接頭語
SI
は,大きなけたの又は小さなけたの数値を避けるために,一貫性のある体系に
SI
単位の
10
の整数乗倍群を加えた枠組みを構成する。これらは,
表 4 に示す接頭語によって構成する。
表 4 SI 接頭語
接頭語
乗数
名称
記号
10
24
ヨタ Y
10
21
ゼタ Z
10
18
エクサ E
10
15
ペタ P
10
12
テラ T
10
9
ギガ G
10
6
メガ M
8
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
接頭語
乗数
名称
記号
10
3
キロ k
10
2
ヘクト h
10
デカ da
10
-1
デシ d
10
-2
センチ c
10
-3
ミリ m
10
-6
マイクロ
µ
10
-9
ナノ n
10
-12
ピコ p
10
-15
フェムト f
10
-18
アト a
10
-21
ゼプト z
10
-24
ヨクト y
接頭語の使用に関する情報は,3.2.4 を参照。
SI
単位及び接頭語の使用によって作られるその
10
の整数乗倍単位を推奨する。
2.3.3
単位 1 次元
1
のある量に対する一貫性がある
SI
単位は,単位
1
,記号
1
である。そのような量を
数値的に表す場合には,一般に記号としての単位
1
は明示しない。
例
屈折率
n
=
1.53
×
1
=
1.53
しかし,このような量の中の特定のものでは,単位
1
が固有の名称をもつものがあり,この単位は状況
に応じて使用する。
例
平面角
α
=
0.5rad
=
0.5
立体角
Ω
=
2.3sr
=
2.3
場の量のレベル
L
F
=
12Np
=
12
単位
1
の
10
の整数乗倍は,
10
の累乗によって表す。記号
1
に接頭語を付けて表してはならない。場合
によっては,記号
%
(パーセント)は,数
0.01
の代わりに用いる。
例
反射率
r
=
0.8
=
80%
備考1.
国によっては,‰(
“パーミル”又はパーサウザンド)の記号を,数
0.001
の代わりに用いる。
この記号は,避けるほうがよい。
2.
パーセントもパーミルも数であるから,質量パーセント,体積パーセントと称することは意
味がない。したがって,例えば,
% (m/m)
,
% (
υ/υ)
というような付加情報は,記号に付けて
はならない。
質量分率を表す方法は,
“質量分率は
0.67
である”又は“質量分率は
67%
である”であり,
また,推奨する体積分率を表す方法は,
“体積分率は
0.75
である”又は“体積分率は
75%
で
ある”とする。質量分率及び体積分率は,また,
5
µg/g
又は
4.2ml/m
3
という形式で表すこと
もできる。
ppm
,
pphm
及び
ppb
のような略号は,使用してはならない。
2.3.4
その他の単位系及び種々の単位 力学単位の
CGS
系は,三つの基本量(長さ,質量及び時間)に
対する基本単位をセンチメートル,グラム及び秒とする一貫性のある系である。
慣行的にこの系は,基本量である熱力学温度,光度及び物質量に対する基本単位として,ケルビン,カ
ンデラ及びモルを加えることによって拡大された。
電気及び磁気で使用する単位は,
CGS
系において選ばれた量と方程式の系に応じて,幾つかの方法で定
9
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
義されてきた。三つの基本量に基づく“ガウス”系,すなわち,対称な量系と方程式に対して一貫性があ
る
CGS
“ガウス”単位系,すなわち,
CGS
対称系が広く使用されてきた。この系についての情報は,JIS Z
8202-5
: 2000
,
附属書 A を参照。
ダイン,エルグ,ポアズ,ストークス,ガウス,エルステッド及びマクスウェルのような
CGS
組立単位
の固有の名称及び記号は,
SI
と併用してはならない。
JIS Z 8202-1
∼JIS Z 8202-10,JIS Z 8202-12 及び JIS Z 8202-13 においては,
CGS
組立単位の固有の名称
がこの規格の本体部分とは別の参考情報として,附属書に示す。例えば,分,時及び電子ボルトのように,
SI
と併用するために保持することが必要なものとして,
CIPM
によって認められている
SI
以外の特定の単
位がある。これらの単位を
表 5 及び表 6 に示す。
表 5 SI 単位と併用してよい単位
単位
量
名称
記号
定義
時間
分 min
1min
=60s
時 h 1h=60min
日 d 1d=24h
平面角
度
°
1
°= (
π/180) rad
分
′
1
′= (1/60) °
秒
″
1
″= (1/60) ′
体積
リットル
l
,L(
3
) 1l
=1dm
3
質量
トン(
4
) t
1t
=10
3
kg
注(
3
)
リットルの二つの記号は,同等な立場にある。しかし,CIPM では,
二つの内の一方を抑制できるか否かを検討するため,二つの記号の
使用の状況について調査を行うことになっている。
(
4
)
英語では,metric ton とも呼ばれる。
参考 SI 文書第 7 版では,SI と併用されるが SI に属さない単位(この規
格では上表に相当)に量“
(工率又は振幅の)レベル差”に対する
単位“ネーパ (Np)”及び“ベル (B)”が追加されている。
“ベル”
と“ネーパ”の対応関係は,1B= [(1/2) ln10] Np である。
“ベル”
は音圧レベル及び音響パワーレベルに対する単位としても用いら
れるが,このときにはネーパとの対応関係はない。
表 6 SI 単位と併用してよい単位で,その SI 単位による値は実験的に得られる単位
単位
量
名称
記号
定義
エネルギー
電子ボルト eV
電子ボルトは,真空中で 1 ボルトの電位
差を通過する電子によって得られる運
動エネルギーである。
.
10
602177
.
1
1
19
J
eV
−
×
≈
質量
(統一)原
子質量単位
u
(統一)原子質量単位は,核種
12
C
の原
子の質量の(1/12)に等しい。
.
10
660540
.
1
1
27
kg
u
−
×
≈
その他の一貫性のある単位系も定義されている。例えば,単位フート,ポンド及び秒に基づ
く単位系,また,単位メートル,質量キログラム及び秒に基づく単位系がある。
これらとは別にその他の,例えば,気圧,海里,キュリーのように,一貫性のある単位系の
どれにも属さない単位が定義されている。
10
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
3.
記号及び数値の印刷に関する推奨事項
3.1
量記号
3.1.1
記号 量記号は,一般的にラテン語又はギリシャ語のアルファベットの一文字であるが,場合によ
っては,添字又はその他の修飾用符号を付けることができる。これらの量記号は,
(本文の他の部分で使用
されている書体とは関係なく)イタリック体(斜体)で印刷する。
例えば,文章の末尾におけるような通常の句読点以外は,記号の後に終止符を付けない。
備考1.
量記号は,JIS Z 8202-1∼JIS Z 8202-10,JIS Z 8202-12及び JIS Z 8202-13で示す。
2.
ベクトル量及びその他の非スカラー量用の表記法は,数学記号に関する JIS Z 8201 による。
3.
例外的に,
2
文字からなる記号がときに次元
1
の量の組合せに用いられる(例えば,レイノ
ルズ数,
Re
)
。このような
2
文字の記号が積の因数として表すときは,それらを他の記号か
ら離すことが望ましい。
3.1.2
添字の印刷についての規則 与えられた一つの文脈中で,異なる量が同一の文字記号をもつとき,
又は一つの量に対して,異なる用途又は異なる値が対象となるときは,添字の使用によって区別をするこ
とができる。
添字の印刷については,次の原則を推奨する。物理量に対して記号を表す添字は,イタリック体(斜体)
で印刷する。
その他の添字は,ローマン体(直立体)で印刷する。
例
直立体添字
斜体添字
C
g
(
g
:気体)
C
p
(
p
:圧力)
g
n
(
n
:標準状態)
Σ
n
a
n
θ
n
(
n
:順序数)
µ
r
(
r
:相対的)
Σ
x
a
x
b
x
(
x
:順序数)
E
k
(
k
:運動学的)
g
ik
(
i
,
k
:順序数)
x
e
(
e
:電気的)
p
x
(
x
:
x
座標)
T
1/2
(
1/2
:半分)
I
λ
(
λ
:波長)
備考1.
添字としての数は,ローマン体(直立体)で印刷する。ただし,数を意味する添字としての
記号の文字は,通常イタリック体(斜体)で印刷する。
2.
添字の使用については,JIS Z 8202-6 及び JIS Z 8202-10 の特記事項も参照。
3.1.3
量記号の合成量の基本演算 量記号が積として組み合わされるときには,組合せの演算は次のいず
れかの方法によって表す。
ab
,
a b
,
a
・
b
,
a
×
b
備考1.
ある分野,例えば,ベクトル解析においては,a
・b と a
×
b
とは区別する。
2.
数の乗法については,3.3.3 を参照。
3.
字体が限定されている表示装置では,中付きの点の代わりに,下付きの点を使用することが
できる。
一つの量を他の量で除するときには,次のいずれかの方法によって表す。
b
a
,
a/b
又は
a
及び
b
-1
の積,例えば
a
・
b
-1
のように表記する。
この方法は,分子及び分母,又はその双方がそれ自体積又は商であるような場合にも拡大適用できる。
しかし,そのような組合せにおいては,あいまいさを避けるために,括弧を使用しない限り,乗算記号又
は除算記号は同一の行中で斜線
(/)
の後ろには付けない。
11
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
例
1
/
−
=
=
abc
c
ab
c
ab
1
1
/
)
/
(
/
−
−
=
=
c
ab
c
b
a
c
b
a
,ただし,
a/b/c
とはしない。
しかし
bc
ad
d
c
b
a
=
/
/
bc
a
c
b
a
bc
a
/
)
/(
=
⋅
=
,ただし,
a/b
・
c
とはしない。
斜線は,分子及び分母が加算又は減算を行う場合には,括弧(又は角括弧“
[ ]
”又は波括弧“
{ }
”
)を
使用することを条件として,使用することができる。
例
(a
+
b) / (c
+
d)
は
d
c
b
a
+
+
を意味する。括弧は必要である。
a
+
b/c
+
d
は
d
c
b
a
+
+
を意味する。しかし,これを
a
+
(b/c)
+
d
と表すことによって誤解をさけ
ることができる。
括弧は,また,数学的演算のための特定のその他の記号の使用によるあいまいさをなくすためにも使用
しなければならない。
3.2
単位の名称及び単位記号
3.2.1
単位に対する記号 単位に対して国際的に用いる記号が存在する場合には,その他のものではなく,
その記号を使用しなければならない(
5
)
。このような記号は,ローマン体(直立体)で(本体の他の部分で
使用されている書体とは関係なく)印刷され,複数でも変形せず,例えば,文の末尾に用いる通常の句読
点を除いて,終止符(ピリオド)を付けずに表記する。
量の特別な性質又は関与した測定状況に関する情報を示す手段として,単位記号にどんな修飾記号であ
れ付加することは正しくない。
例
U
max
=
500V
(
U
=
500V
max
とはしない)
注(
5
)
字体が限定されている表示装置の使用による単位の表示については,使用者は,ISO 2955
: 1983
(Information processing
−
Representation of SI and other units in systems with limiteel character sets)
を参照。
単位記号は,単位の名称が固有名詞によるときにその最初の文字を大文字で記載することを
除いて,一般に小文字で記載する。
例
m
メートル
s
秒
A
アンペア
Wb
ウエーバ
3.2.2
単位記号の合成 二つ以上の単位の乗法によって組立単位を構成するときは,この単位は,次のい
ずれかの方式で表す。
N
・
m
N m
備考1.
字体が限定されている装置では,中付きの点の代わりに下付きの点を使用することができる。
2.
後者の方式は,単位記号の一つが接頭語記号と同一であるときに特別の注意を払うことを条
件に,間隔抜きで表すことができる。
12
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
例
mN
は,ミリニュートンを意味し,メートルニュートンではない。
一つの単位を他の単位で除すことによって組立単位が形成されたときは,この単位は,次
のうちの一つの方式で表す。
1
s
m
m/s,
,
s
m
−
⋅
あいまいさを避けるために,括弧が挿入されない限り乗算記号又は除算記号は,同一の行
中で斜線
(/)
の後ろに付けてはならない。
3.2.3
単位記号の印刷 単位記号を印刷するローマン体(直立体)に関しては,何らの推奨もしない。
備考
このシリーズの刊行物で,そのような場合に用いる書体は,通常関連する本体の書体であるが,
これは推奨を意味するものではない。
3.2.4
接頭語の印刷及び使用 接頭語記号は,ローマン体(直立体)で,接頭語記号と単位記号との間を
あけずに印刷する。
複合した接頭語を使用してはならない。
例
10
-9
m
に対して,
nm
(ナノメートル)と記載し,
m
µm
とはしない。
接頭語記号は,その接頭語が直接付けられる単一の単位記号と組み合わされ,その単位記号と
ともに(
10
の整数乗倍単位の)新しい記号を形成するものとみなされる。この新しい記号は,正
又は負の累乗にすることも,また,他の単位記号と組み合わせて組立単位を構成することもでき
る(3.2.2 を参照)
。
例
1cm
3
=
(10
-2
m)
3
=
10
-6
m
3
1
µs
-1
=
(10
-6
s)
-1
=
10
6
s
-1
1kA/m
=
(10
3
A) /m
=
10
3
A/m
備考
歴史的理由から,質量の基本単位の名称キログラムは,
SI
接頭語の名称“キロ”を含んでいる。
質量の単位の
10
の整数乗倍単位の名称は,
“グラム”という語に接頭語を加えて,例えば,ミ
リグラム
(mg)
とするが,マイクロ・キログラム
(
µkg)
とはしない。
3.2.5
英語における単位の名称のつづり 英語において単位の名称のつづりに相違があるときには,
Oxford English Dictionary (Oxford Clarendon Press)
に記載されているつづりを,ISO 31-0∼ISO 31-13 までの
英語版に使用する。これはその他の英語国において使用されているつづりに対する優先性を意味するもの
ではない。
3.3
数
3.3.1
数値の印刷 数値は通常,ローマン体(直立体)で印刷する。
大きいけたの数値の読み取りを容易にするため,数値は小数点記号から左右に適切なけたのグループ,
望ましくは
3
けたずつに分離してよい。この分離は小さな間隔をあけることで行う。決してコンマ,点又
はその他の手段によって分けてはならない。
3.3.2
小数点の記号 小数点を表す場合には,小数点は下の点とする。
1
未満の小数には,小数点の前に
0
(ゼロ)を置く。
なお,国際一致規格などで複雑又は大量の数値表,式などをそのまま複製して使用する場合には,下の
点の代わりに“,
”を使用してもよい。この場合には,備考でその旨を明記する。
例
0.375
(
0
゚
375
,
0
・
375
及び
.375
は用いない。
)
参考
原国際規格では,次のとおり規定されている。
小数点の記号は,下付きのコンマとする。
13
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
数の大きさが
1
より小さいときには,小数点の記号の前に
0
を付ける。
備考
英語の文書には,コンマの代わりに点が用いられることが多い。点が用いられるときには,そ
の点は下付きとする。ISO 理事会の決定に従って,ISO の文書における小数点の記号はコンマ
である。
3.3.3
数の乗法 数の乗算の記号は,カケル印
(
×
)
又は中付きの点
(
・
)
である。
備考1.
中付きの点を乗法の記号として用いるときは,コンマを小数点の記号として用いなければな
らない。小数点記号として点を用いるときは,カケル印を乗算の記号として用いなければな
らない。
2.
ISO
の文書においては,数と数との乗算には中付きの点を用いない。
3.4
量の表示 単位記号は,量の表現における数値の後に置き,数値と単位記号との間に間隔をあける。
この規則によればセルシウス度を示す℃の記号は,セルシウス温度を表すときには,その前に間隔をあけ
なければならないことに留意する。
この規則に対する唯一の例外は,平面角に対する度,分及び秒の単位であり,この場合には,数値と単
位記号との間に間隔をあけてはならない。
表す量が量の和又は差であるときには,数値をまとめるために括弧を使用し,共通の単位記号を全数値
の後に付けるか,又はその表示は量の表示の和又は差として表す。
例
l
=
12m
−
7m
=
(12
−
7) m
=
5m
t
=
28.4
℃±
0.2
℃=
(28.4
±
0.2)
℃
(
28.4
±
0.2
℃とはしない。
)
λ
=
220
×
(1
±
0.02) W/ (m
・
K)
3.5
化学元素及び核種の記号 化学元素の記号は(この記号の部分以外の本文に使われる書体に関係な
く)ローマン体(直立体)で表す。この記号の後には,例えば,文章の末尾における通常の句読点以外に
は終止符を付けない。
例
H
He
C
Ca
化学元素記号の完全な一覧表は,JIS Z 8202-8
: 2000
の
附属書 A,及び JIS Z 8202-9
: 2000
の
附
属書 A に記載する。
核種又は分子を指定する上付き又は下付き添字(記号)は,次に示す意味と配置場所をもつ。
核種の核粒子数(質量数)は,左の上付き添字で示す。例えば,
14
N
分子内の核種の原子数は右の下付き添字で示す。例えば,
14
N
2
陽子数(原子番号)は左の下付き添字で示す。例えば,
64
Gd
必要な場合,イオン化又は励起状態を右の上付き添字(記号)で示す。
例
イオン化の状態:
Na
+
−
−
3
4
3
4
)
PO
(
PO
又は
電子励起状態:He
*
,NO
*
核励起状態:
110
Ag
*
,
110
Ag
m
3.6
数学記号
物理科学及び技術における使用のために推奨される数学記号は,
JIS Z 8201
に記載する。
3.7
ギリシャ語アルファベット(直立体及び斜体)
14
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
アルファ
Α
α
Α
α
ベータ
Β
β
Β
β
ガンマ
Γ
γ
Γ
γ
デルタ
△
δ
△
δ
エプシロン
Ε
ε,
Ε
ε,
ジータ
Ζ
ζ
Ζ
ζ
イータ
Η
η
Η
η
シータ
Θ
ϑ,θ
Θ
ϑ,θ
イオタ
Ι
ι
Ι
ι
カッパ
Κ
,
κ
Κ
,
κ
ラムダ
Λ
λ
Λ
λ
ミュー
Μ
µ
Μ
µ
ニュー
Ν
ν
Ν
ν
クサイ
Ξ
ξ
Ξ
ξ
オミクロン
Ο
ο
Ο
ο
パイ
Π
π,ϖ
Π
π,ϖ
ロー
Ρ
,
ρ
Ρ
,
ρ
シグマ
Σ
σ
Σ
σ
タウ
Τ
τ
Τ
τ
ユプシロン
Υ
υ
Υ
υ
ファイ
Φ
ϕ,φ
Φ
ϕ,φ
カイ X
χ
X
χ
プサイ
Ψ
ψ
Ψ
ψ
オメガ
Ω
ω
Ω
ω
ギリシャ語アルファベットの小文字の印刷におけるベースラインとの関係位置を次に示す。
α_β_γ_δ_ε_ _ζ_η_ _θ_ι_ _κ_λ_µ_ν_ξ_ο_π_ _ _ρ_σ_τ_υ_ _φ_χ_ψ_ω_
15
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
附属書 A(参考) 物理量の名称に用いる用語に関する指針
A.1
概要
ある物理量に特定の名称がない場合には,
その名称は通常,
coefficient
,factor,parameter,ratio,
constant
などの用語と組み合わせて構成する。同様に,
specific
,density,molar
などの用語が他の関連量
又は組立量を表すために,物理量の名称に加えられる。適切な記号の選択と同様に,物理量の命名方法に
も何らかの指針が必要である。
厳格な規則を提示したり,又は種々の科学用語に用いられている比較的頻繁にみられる混用を排除する
ことは,この指針の意図ではない。
しかし,これら用語の使用についての何らかの指針は有用である。指針に基づいて選んだ特定の量の名
称によって,その量の性質についてより多くの情報を示すことは可能である。量の新しい名称を導入する
とき,この指針に準拠すること及び新しい名称に変えるときに古い名称を見直したりする場合には,この
指針からの逸脱を厳格に調査することを望む。
備考
この附属書のほとんどの例は,現存の実例からの引用であり,推奨を意図するものではない。
A.2
coefficients
,factors
もし特定の条件の下で,ある量 A が他の量 B に比例するならば,この関係は乗
法の A=k・B によって表す。この式における乗数である量 k は,coefficient 又は factor と呼ばれることが多
い。
A.2.1
coefficient
という用語は,二つの量 A と B が異なる次元をもつときに使用するのがよい。
例
Hall
coefficient
(ホール係数)
:A
H
E
H
=A
H
(B
×J)
linear expansion coefficient
(線膨張係数)
:
α
l
dl/l=
α
l
dT
diffusion coefficient
(拡散係数)
:D J=−D grad n
備考
modulus
という用語が coefficient という用語の代わりに用いられることもある。
例
modulus of elasticity
(弾性係数)
:E
σ=Eε
A.2.2
factor
という用語は,二つの量が同一の次元をもつときに使用するのがよい。つまり factor は,次元
1
の乗数である。
例
coupling
factor
(結合係数)
:
n
m
mn
L
L
k
L
k
=
quality factor
(キュー)
:
Q
|
X
|=
QR
friction factor
(摩擦係数)
:
µ
F
=
µ
F
n
A.3
parameters
,numbers,ratios
A.3.1
方程式において起こる物理量の組合せは,新しい量を構成すると見られることがある。そのような
量は,parameters と呼ばれることがある。
例
Grüneisen
parameter
(グリューナイゼン係数)
:
γ γ=α
V
/
κ
c
V
ρ
A.3.2
輸送現象の記述における次元 1 の物理量の組合せの中には,characteristic number(特性数)と呼ばれ
るものがあり,その名称には,number という語を付ける。
例
Reynolds
number
(レイノルズ数)
:
Re
Re
=
ρυ
l
/
η
Prandtl number
(プラントル数)
:
P
γ
P
γ=η
c
p
/
λ
16
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
A.3.3
二つの量の次元 1 の商は,ratio と呼ばれることが多い。
例
heat capacity ratio
(比熱容量の比)
:
γ γ=
C
P
/
C
V
thermal diffusion ratio
(熱拡散比)
:
k
T
k
T
=
D
T
/
D
mobility ratio
(易動度比)
:
b
b
=
µ
−
/
µ
+
備考
fraction
という用語が,1 より小さい ratio の代わりに用いられることもある。
例
mass
fraction
(質量分率)
:
w
B
w
B
=
m
B
/
Σ
A
m
A
packing fraction
(パッキングフラクション)
:
f
f
=
⊿
r
/
A
備考
index
(指数)という用語が,ratio の代わりに使われることがある。この用法を拡大することは
推奨できない。
例
refractive
index
(屈折率)
:
n
n
=
c
0
/
c
A.4
Levels
量
F
とその量の基準値
F
0
との比の対数は,level と呼ばれる。
例
level of a field quantity
(場の量のレベル)
:
L
F
L
F
=ln (
F
/
F
0
)
A.5
Constant (s)
A.5.1
あらゆる条件の下において同一の値をもつ物理量は,universal constant(普遍定数)と呼ばれる。そ
の名称が特別に存在しない場合には,その名称には“constant(定数)
”という用語を明示的に含む。
例
gravitational
constant
(重力定数)
:
G
Planck constant
(プランク定数)
:
h
A.5.2
特定の物質についてあらゆる条件の下において同一の値をもつ物理量は,constant of matter(物質定
数)と呼ばれる。ここでも−特別の名称がないことを前提として−その量の名称には,
“constant(定数)
”
という用語を含む。
例
decay constant for a particular nuclide
(壊変定数)
:
λ
A.5.3
特定の条件の下においてだけ同一の値を維持する場合,又は数学的計算によって導かれるその他の
物理量に,
“constant(定数)
”という用語を含む名称が与えられることがある。この用法を拡大することは
推奨できない。
例
equilibrium constant for a chemical reaction (which varies with temperature)
(平衡定数)
:
K
P
Madelung constant for a particular lattice
(マーデルング定数)
:
α
A.6
一般的に使用される用語
A.6.1
massic
又は specific という形容詞は,ある量を質量で除したものを表すためにその量の名称に付けら
れる。
例
massic heat capacity
,specific heat capacity(比熱容量)
:
c
c
=
C
/
m
massic volume
,specific volume(比体積)
:
υ υ=
V
/
m
massic entropy
,specific entropy(質量エントロピー,比エントロピー)
:
s
s
=
S
/
m
massic activity
,specific activity(質量放射能,比放射能)
:
a
a
=
A
/
m
A.6.2
volumic
という形容詞又は density という用語は,ある量を体積で除したものを表すために,その量
の名称に付けられる(
A.6.4
も参照)
。
例
volumic
mass
,mass
(
1
)
density
(密度)
:
ρ ρ=
m
/
V
volumic charge
,charge density(体積電荷,電荷密度)
:
ρ ρ=
Q
/
V
17
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
volumic energy
,energy density(エネルギー密度)
:
w
w
=
W
/
V
volumic number
,number density[体積分子(粒子)数,分子(粒子)数密度]
:
n
n
=
N
/
V
注(
1
)
この場合の用語 mass は,省略されることが多い。
A.6.3
lineic
という形容詞,又は linear……density という用語は,ある量を長さで除したものを表すために
その量の名称に付けられる。
例
lineic
mass
,linear mass
(
1
)
density
(線密度)
:
ρ
l
ρ
l
=
m
/
l
linear electric current
,linear electric current density(電流の線密度)
:
A
A
=
I
/
b
備考
linear
という用語は,類似する量の間の識別のために,ある量の名称に付けられることもある。
例
mean linear range
(平均線飛程)
:
R
R
=
ΣRi
/
n
mean mass range
(平均質量飛程)
:
R
ρ
R
ρ
=
R
ρ
linear expansion coefficient
(線膨張係数)
:
α
l
α
l
=
l
-1
d
l
/d
T
cubic expansion coefficient
(体膨張係数)
:
α
V
α
V
=
V
-1
d
V
/d
T
linear attenuation coefficient
(線減弱係数)
:
µ µ=−
J
-1
d
J
/d
x
mass attenuation coefficient
(質量減弱係数)
:
µ
m
µ
m
=
µ/ρ
A.6.4
areic
という形容詞又は surface……density という用語は,あるスカラー量を表面積で除したものを表
すために,その量の名称に付けられる。
例
areic
mass
,surface mass
(
1
)
density
(面密度)
:
ρ
A
ρ
A
=
m
/
A
areic charge
,surface charge density(表面電荷密度)
:
σ σ=
Q
/
A
density
という用語は,束又は流れを表す量を断面積で除したものを表すために,その量の名称に付けら
れる(
A.6.2
も参照)
。
例
density of heat flow rate
(熱流密度)
:
q
q
=
Φ/
A
electric current density
(電流密度)
:
J
J
=
I
/
A
magnetic flux density
(磁束密度)
:
B
B
=
Φ/
A
A.6.5
molar
という用語は,ある量を物質量で除したものを表すために,その量の名称に付けられる。
例
molar
volume
(モル体積)
:
V
m
V
m
=
V
/
n
molar internal energy
(モル内部エネルギー)
:
U
m
U
m
=
U
/
n
molar mass
(モル質量)
:
M
M
=
m
/
n
A.6.6
concentration
という用語は,混合物質中の特にある成分のある量を全体積で除したものを表すために,
その量の名称に付けられる。
例
amount-of-substance
(
2
)
concentration of B
(物質 B のモル濃度)
:
c
B
c
B
=
n
B
/
V
molecular concentration of B
(分子数濃度)
:
C
B
C
B
=
N
B
/
V
mass concentration of B
(質量濃度)
:
ρ
B
ρ
B
=
m
B
/
V
注(
2
)
amount-of-surface
という用語は,省略されることが多い。
spectral concentration
という用語は,分光分布(又は,スペクトル)関数を表すために使用される(
JIS Z
8202-6
の
序文
の
0.5.1
を参照)
。
18
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
附属書 B(参考) 数値の丸め方に関する指針
この附属書は,
JIS Z 8401
(数値の丸め方)を抜枠し,参考として記載したもので規定ではない。
B.1
丸めるとは,与えられた数値を,ある一定の丸めの幅の整数倍がつくる系列の中から選んだ数値に置
き換えることである。この置き換えた数値を丸めた数値と呼ぶ。
例1.
丸めの幅:0.1
整数倍:12.1,12.2,12.3,12.4,……
例2.
丸めの幅:10
整数倍:1 210,1 220,1 230,1 240,……
B.2
与えられた数値に最も近い整数倍が一つしかない場合は,それを丸めた数値とする。
例1.
丸めの幅:0.1
与えられた数値
丸めた数値
12.223 12.2
12.251 12.3
12.275 12.3
例2.
丸めの幅:10
与えられた数値
丸めた数値
1 222.3
1 220
1 225.1
1 230
1 227.5
1 230
B.3
与えられた数値に等しく近い,二つの隣り合う整数倍がある場合には,次の規則 A が用いられる。
規則 A
丸めた数値として偶数倍のほうを選ぶ。
例1.
丸めの幅:0.1
与えられた数値
丸めた数値
12.25 12.2
12.35 12.4
例2.
丸めの幅:10
与えられた数値
丸めた数値
1 225.0
1 220
1 235.0
1 240
備考
規則 A
には,例えば,一連の測定値をこの方法で処理するとき,丸めによる累積誤差が最小に
なるという特別な利点がある。
参考1.
B.3
の場合,次の規則 B が用いられることもある。
規則 B
丸めた数値として大きい整数倍のほうを選ぶ。
例1.
丸めの幅:0.1
与えられた数値
丸めた数値
12.25 12.3
12.35 12.4
19
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
例2.
丸めの幅:10
与えられた数値
丸めた数値
1 225.0
1 230
1 235.0
1 240
参考2.
規則 B は,電子計算機による処理において広く用いられている。
3.
丸めの幅を
d
×10
k
(
d
,
k
は整数,ただし,1≦
d
≦9)とすれば,有効数字は丸めた数値の 10
k
以上の位の数字列として表す。例えば,丸めの幅を 10
-2
=0.01 とすれば,10
-2
以上の位,すな
わち,小数点以下 2 位までの数字列が有効数字となる。
4.
丸めの幅を 10
k
(
k
は整数)とすれば,規則 B はいわゆる四捨五入である。
なお,丸めの幅を 5×10
k
(
k
は整数)とした二捨三入・七捨八入も特定の分野で用いられ
ている。
5.
この規格では対象となる数値として正の数値しか想定していない。負の数値を対象とする場
合は,その絶対値に適用しなければならない。
B.4
規則 A,B を 2 回以上使って丸めることは,誤差の原因となる。したがって,丸めは,常に 1 段階で
行わなければならない。
例
12.251
は,12.3 と丸めるべきであって,まず 12.25 とし,次いで 12.2 としてはならない。
B.5
規則 A,B は,丸めた数値の選び方について何の考慮すべき基準もない場合にだけ適用すべきである。
安全性の要求又は一定の制限を考慮しなければならないときは,例えば,常に一定方向へ丸めるほうがよ
いことがある。
B.6
丸めの幅を表示することが望ましい。
20
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
附属書 C(参考) 量及び単位の分野における国際機関
C.1
BIPM
−CGPM−CIPM
国際度量衡局 (BIPM) は,
1875
年 5 月 20 日に締結されたメートル条約によって設立されたものであり,
フランスのセーブルに所在している。この機関は,メートル条約加盟国の共同の財政負担によって維持さ
れている。1992 年 1 月 1 日現在で 47 の加盟国がある。BIPM の使命は物理測定の国際的統一を確保するこ
とにある。
BIPM
は,異なる加盟国からの 18 名の科学者によって構成される国際度量衡委員会 (CIPM) の全面的な
監督の下に業務を行っている。
CIPM
は,4 年に 1 回,すべてのメートル条約加盟国の代表が会合して開かれる国際度量衡総会 (CGPM)
の監督のもとに業務を行う。CGPM の責任は,次のとおりである。
− メートル系を継承した国際単位系 (SI) の普及及び改良を確保するため必要な施策を遂行する。
− 新しい基礎的な計量学上の決定の結果を確認する。
− BIPM の組織とその拡充に関する重要な決定を行う
ことにある。
CIPM
は,1927 年以降,専門化した問題について CIPM に対し助言を受けるため,かつ,それぞれの担
当分野における国際的業務を調整・統合する勧告を提案させるための九つの諮問委員会を設置している。
C.2
OIML
−BIML−CIML
国際法定計量機関 (OIML) は,1955 年に調印された国際条約に基づいている。1992 年 1 月 1 日現在で
加盟国の数は 49 か国であり,準加盟国の数は 34 か国となっている。この国際機関の主要な目的は,
− 法定計量の基本的原則を決定する。
− 法定計量の立法的及び行政的な面における問題を研究する。
− 計量器に関する典型的な法律と規則の案を作成する。
ことにある。
この機関を構成する組織は,次のとおりである。
− フランスのパリに所在する国際法定計量事務局 (BIML)
− 国際法定計量委員会 (CIML)
− 諸専門委員会(幹事事務局及び協力事務局)をもつ国際法定計量会議
である。
C.3
ISO
−ISO/TC12
国際標準化機構 (
ISO
)
は,各国標準化機関の世界的な連合組織である。この機構は 1946 年に設立され
た。ISO の会員は各国の国家標準化機関である。1991 年 12 月 31 日現在で 72 の正会員及び 18 の通信会員
がある。
ISO
中央事務局は,
ISO
の諸活動を統括している。所在地は,スイスのジュネーブである。
ISO
は,国際規格の発展のために,
(1991 年 12 月現在で)174 の専門委員会 (TC) と,630 の分科会 (SC)
及び 1 827 の作業グループ (WG) を運営している。
21
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
ISO
の専門委員会の作業の結果として,およそ 8 200 の国際規格を刊行している。
ISO
の専門委員会及
び分科会の事務局の所在地は,
ISO
の会員の所在地にある。
ISO
の,量,単位,記号及び換算率に関する第 12 専門委員会 (ISO/TC12) は,科学及び技術における量
及び単位に関する国際規格の進展について設置された委員会である。
ISO/TC12
は,1947 年に設立され,
その事務局はデンマークにあったが,1982 年に同事務局はスウェーデンに移された。
国際規格
ISO 31
(14 分冊)及び
ISO 1000
並びに
ISO
ハンドブック 2 がこの委員会における活動の所産
である。
C.4
IEC
−IEC/TC25
国際電気標準会議 (
IEC
)
は,1906 年に設立された。この機関は,電気及び電子工学の国際規格の権限
をもつ組織である。1992 年 1 月現在で,IEC は 42 の各国標準化機関で構成されている。
IEC
の中央事務局は,スイスのジュネーブの
ISO
中央事務局の近くに所在している。
規格は,84 の専門委員会,117 の分科会及び約 750 の作業グループによって作成される。
IEC
の量及び
単位並びにその文字記号に関する,第 25 専門委員会 (
IEC/TC25
)
は,電気技術において使用される量及
び単位に関する国際規格の作成を担当している。これらの規格は,定義,名称,文字記号,量及び単位が
表される関係箇所並びにそこで使用される符号及び記号に関連している。
刊行物:
IEC27
,電気技術に使用される文字記号,第 1 部∼第 4 部。
C.5
IUPAP
−SUN
国際純粋・応用物理学連合 (IUPAP) は,1922 年にブリュッセルにおいて設立された。この連合の目的
は次のとおりである。
− 物理学における国際協力の促進
− 記号,単位,名称及び標準の使用についての国際的合意の推進
にある。
IUPAP
は,各国を代表する国内委員会の参加によって構成されている。加盟国の数は,1992 年 1 月 1 日
現在で 43 である。総会が連合の業務を統括し,理事会を任命し,連合の業務を担当する委員会を設定して
いる。
1931
年に,記号,単位及び名称の分野における国際的合意を推進し,国際的提言を行うために,記号,
単位,及び名称委員会(SUN 委員会)が設立された。1978 年に IUPAP は,SUN 委員会を同連合の原子質
量・基礎定数委員会と統合することを決定した。直近の刊行物は,U.I.P.20 (1978) に代わる“物理学にお
ける記号,単位,名称及び基礎定数”と題する,I.U.P.A.P.-25 (1987) である。
C.6
IUPAC
−IDCNS
国際純正・応用化学連合 (IUPAC) は,1919 年に設立され,他の科学分野と並んで,化学を代表する国
際機関である。その目的は次のとおりである。
− 同連合の加盟国の化学者の間の継続的な協力を推進する。
− 規制,標準化及びコード化を必要とする純正及び応用化学における国際的に重要な課題について研究
する。
− 化学の課題と取り組んでいるその他の国際的組織と協力する。
− 純正及び応用化学のあらゆる部門における進歩に貢献する
22
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
ことにある。
1992
年 1 月 1 日現在で,44 の加盟国があり,更に 13 のオブザーバー会員国がある。IUPAC はまた,会
員メンバー組織を有し,約 5 000 名の化学者が在籍している。IUPAC の業務はその総会によって統括され
るが,総会は 2 年に 1 回会合し,理事会を任命し,関連委員会を設定する。
IUPAC
は,オックスフォード(イギリス)に事務局を置く。
IUPAC
は,化学の名称,用語,記号,元素のモル質量及び関連事項に関しての国際的権限を世界中に認
められている。記号,用語及び単位に関する,物理化学部の第 I.1 委員会が
ISO/TC12
の作業に関する提言
について主として責任をもつものであるが,その他の委員会(特に臨床化学部の第 VII.2 委員会)もまた,
この分野について貢献している。両委員会の作業は,名称及び記号に関する各部連絡委員会 (IDCNS) に
よって連携が図られている。
刊行物:物理化学における量,単位,及び記号,国際純正・応用化学連合,Blackwell Scientific Publications,
Oxford (1988)
。
23
Z 8202-0 : 2000 (ISO 31-0 : 1992)
JIS Z 8202
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
○ 今 井 秀 孝
通商産業省工業技術院計量研究所計測システム部
(委員)
○ 今 村 徹
通商産業省工業技術院計量研究所力学部
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術標準部
小 川 実 吉
横河電機株式会社センサー事業部フィールド機器 MK 部
宇賀神 守
日本電信電話株式会社技術部
桑 田 浩 志
トヨタ自動車株式会社設計管理部
○ 小 泉 袈裟勝
日本計量機器工業連合会顧問
佐 藤 義 雄
文部省初等中等教育局
畠 山 昭士郎
清水建設株式会社技術研究所建設技術研究部
馬 場 秀 俊
通商産業省機械情報産業局
○ 増 井 敏 郎
財団法人日本計量協会参与
村 井 喜 一
株式会社大林組土木技術本部
森 下 昇
日本鋼管株式会社鉄鋼技術センター鉄鋼技術総括部
○ 山 本 弘
愛知時計電機株式会社東京支店
○ 渡 辺 英 雄
通商産業省工業技術院計量研究所計測システム部
吉 田 邦 夫
社団法人日本ガス協会技術部
千 坂 文 武
通商産業省工業技術院機械技術研究所
村 田 重 夫
通商産業省工業技術院物質工学工業技術研究所
遠 藤 忠
通商産業省工業技術院電子技術総合研究所基礎計測部
吹 上 浩 朗
電気事業連合会工務部
(事務局)
山 村 修 造
財団法人日本規格協会技術部
木 村 茂
財団法人日本規格協会技術部
備考
○印は,分科会を兼ねる。