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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 2 

1A 引用規格 ······················································································································ 3 

2 用語及び定義 ··················································································································· 3 

3 アクセシビリティ ············································································································· 6 

3.1 一般 ···························································································································· 6 

3.2 アクセシビリティ及び規格 ······························································································ 6 

4 規格作成プロセスにおけるアクセシビリティ ········································································· 7 

4.1 一般 ···························································································································· 7 

4.2 標準化機関による配慮点 ································································································· 7 

4.3 規格作成に関連する配慮点 ······························································································ 8 

5 この規格の適用方法 ········································································································· 10 

5.1 規格においてアクセシビリティに配慮するための二つのアプローチ ········································ 10 

5.2 他の情報源 ·················································································································· 11 

5.3 アクセシビリティを適切に配慮しているかの検証及び確認 ···················································· 12 

6 アクセシビリティ到達目標 ································································································ 12 

6.1 一般 ··························································································································· 12 

6.2 目標 ··························································································································· 14 

7 人間の能力及び特性 ········································································································· 23 

7.1 一般 ··························································································································· 23 

7.2 感覚能力及び特性 ········································································································· 23 

7.3 免疫系の機能 ··············································································································· 27 

7.4 身体の能力及び特性 ······································································································ 28 

7.5 認知能力 ····················································································································· 32 

8 規格でユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点を考慮するための方策 ··························· 34 

8.1 一般 ··························································································································· 34 

8.2 ユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点に基づく要求事項及び推奨事項の作成 ············· 35 

附属書A(参考)アクセシビリティを支援する世界的傾向 ·························································· 40 

附属書B(参考)専門用語の情報源としての国際生活機能分類(ICF) ·········································· 42 

附属書C(参考)アクセシビリティ到達目標を達成するために考慮する課題 ··································· 44 

参考文献 ···························································································································· 48 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。これによって,JIS Z 8071:2003は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 8071:2017 

(ISO/IEC Guide 71:2014) 

規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針 

Guide for addressing accessibility in standards 

序文 

この規格は,2014年に第2版として発行されたISO/IEC Guide 71を基に,技術的内容を変更すること

なく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。 

この規格は,人々が利用するあらゆる種類のシステム(製品,サービス及び建築環境)に直接的又は間

接的に関わる規格において,規格作成者(原案作成委員会又は分科会など)がその内容にアクセシビリテ

ィに関わる事項を取り入れる場合の指針となる。この規格は,アクセシビリティに関する適切な要求事項

及び推奨事項を立案する際に有用な指針である。また,この規格は,規格作成者を対象としているが,製

造者,設計者,サービス提供者及び教育者といった人々に対しても有用な情報を含んでいる。 

この規格は,2003年に発行された“高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針”

(以下,旧規格という。)の第2版であり,“規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針”に改正し

ている。この規格は,2003年以降の考察及び実践の進展を考慮して,よりインクルーシブ(包括的)な視

点を取り入れている。この第2版では,この規格の使いやすさの改善と更なる普及も目指している。 

この規格は,旧規格と同様に,多様なユーザーニーズに合ったシステム開発を支援するために標準化機

関が立案する方策の一部となることを意図している。 

全ての人々が,年齢,身体の大きさ又は能力にかかわらず,できる限り多様なシステムにアクセスする

手段をもつことは,社会全体にとって重要な目標である。アクセシビリティに関して多様なニーズのある

人々(高齢者,子供,能力が低下した人々,障害のある人々など)の数が増大するにつれて,システムへ

のアクセシビリティ及びユーザビリティの課題は,より切実になっている。 

個人の能力及び特性によって,人々のアクセシビリティに関するニーズは様々に異なり,一人の人生に

おいても,子供から大人へと成長し,高齢になる過程でニーズは変容していく。機能障害には,永続的な

もの,一時的なもの,又は日々変化するものがあり,また,それらが十分には認識されないことがある。 

さらに,個々の制約が,軽微なものであっても,それらが組み合わされると,個人がシステムを利用す

るに当たり重要な問題を引き起こす場合がある。この問題は,システム開発の過程で,ユーザーアクセシ

ビリティニーズ及びアクセシビリティに関わる要求事項が認識されなかった場合に特に顕著となる。アク

セシビリティの要求事項に配慮した規格は,より多くのユーザーにとって利用可能なシステムの開発を促

進することができる。 

情報通信技術及び建築環境に関わるアクセシビリティ規格の作成は,世界中で大きく進展したが,他の

分野に関連するアクセシビリティ規格の作成は,必ずしも同様に進んではいない。しかし,国内及び国際

的な反差別法[日本においては,2013年に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

解消法)が制定されている。]における要求事項は,ますます厳格になってきている。それに加えて,国際

連合の“障害者の権利に関する条約”[24](特に,4条,9条,21条及び30条),国際連合の“障害者の権

利委員会”の総評2[25],並びに各国及び地域で新たに作成された調達規則にも推奨事項が含まれている。 

ISO(国際標準化機構)及びIEC(国際電気標準会議)の規格並びにITU-T(国際電気通信連合)の勧

告[16]は,市場の分断化を防ぐとともに,国内規格だけを満たし,他の国々で生産されたシステムと相いれ

ないシステムではなく,互いに調和し合うアクセシブルなシステムを実現する上で重要な役割を果たし得

る。 

標準化及びアクセシビリティに関するIEC/ISO/ITU共同政策宣言[14]は,基本的人権の重要性及び経済面

の根拠を提示し,高齢者,子供及び障害のある人々のニーズを規格作成プロセスで確実に取り入れるため

の基本的原則を定めている。共同政策宣言の核となる概念の一つは“アクセシブルデザイン又はユニバー

サルデザイン”であり,そのデザインは,製品,システム,サービス,環境及び施設を,できるだけ多様

な特性及び能力のある人たちが使用可能になることを目指している。 

この規格は,アクセシビリティに関わる一連の到達目標を示し,人間の能力及び特性を記載することに

よって,多様な使用状況における多様なユーザーのアクセシビリティニーズを規格作成者が特定すること

を支援し,共同政策宣言を補完することを意図している。 

この規格が提供する指針は,汎用的なものである。これは,“規格は一般に特定のデザインに限定的なも

のでないほうがよい。”という原則を考慮したためである。このため,この規格は,特定の解決法を提供す

るのではなく,ユーザーアクセシビリティニーズを特定するための方法を示している。一つの解決策が全

ての人のニーズを満たすことはまれであること,及びアクセシブルにするための配慮が大多数の人々に利

益をもたらすことを理解することが重要である。最適な解決方法は,個々のユーザー及び対象システムの

使用状況によって大きく異なる。また,特定の製品,サービス又は建築環境について,独自の分野規定が

必要となる場合もある。 

適用範囲 

この規格は,人々を対象とする製品,サービス,建築環境及びそれらの組合せ(以下,システムという。)

に直接的又は間接的に関わる規格を作成する者が,その内容にアクセシビリティに関連する要求事項及び

推奨事項を取り入れるための指針を示す。 

この規格は,規格作成者がアクセシビリティに関わる要求事項及び推奨事項を特定する際の一助となる

ように,次の事項に関する指針を示す。 

− アクセシビリティに関連する用語の概要 

− 規格作成プロセスにおいてアクセシビリティに関わる事項の導入の検討を支援するために考慮する課

題 

− (ユーザーアクセシビリティニーズの特定に役立つ)アクセシビリティに関わる一連の到達目標 

− 人間の能力及び特性の概要,並びに対応する設計配慮点 

− 規格の内容にユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点を反映するための方策 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC Guide 71:2014,Guide for addressing accessibility in standards(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1A 引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS S 0137 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針 

注記 対応国際規格:ISO/IEC Guide 37,Instructions for use of products by consumers(IDT) 

JIS X 8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−

第3部:ウェブコンテンツ 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 40500,Information technology−W3C Web Content Accessibility 

Guidelines (WCAG) 2.0(IDT)([26]も併せて参照) 

JIS X 8341-6 高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−

第6部:対話ソフトウェア 

注記 対応国際規格:ISO 9241-171,Ergonomics of human-system interaction−Part 171: Guidance on 

software accessibility(IDT) 

JIS Z 8051 安全側面−規格への導入指針 

注記 対応国際規格:ISO/IEC Guide 51,Safety aspects−Guidelines for their inclusion in standards

(IDT) 

JIS Z 8520 人間工学−人とシステムとのインタラクション−対話の原則 

注記 対応国際規格:ISO 9241-110,Ergonomics of human-system interaction−Part 110: Dialogue 

principles(IDT) 

JIS Z 8521 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引 

注記 対応国際規格:ISO 9241-11,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals 

(VDTs)−Part 11: Guidance on usability(IDT) 

JIS Z 8531-1 人間工学−マルチメディアを用いるユーザインタフェースのソフトウェア−第1部:設

計原則及び枠組み 

注記 対応国際規格:ISO 14915-1,Software ergonomics for multimedia user interfaces−Part 1: Design 

principles and framework(IDT) 

ISO 20282-1,Ease of operation of everyday products−Part 1: Design requirements for context of use and user 

characteristics 

ISO 26800,Ergonomics−General approach, principles and concepts 

ISO/IEC Guide 41,Packaging−Recommendations for addressing consumer needs 

ISO/IEC Guide 50,Safety aspects−Guidelines for child safety in standards and other specifications 

ISO/IEC Guide 59,Code of good practice for standardization 

ISO/IEC Guide 76,Development of service standards−Recommendations for addressing consumer issues 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

システム(system) 

ユーザーがやりとり(interact/interaction)する製品,サービス,建築環境又はそれらの組合せ。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.2 

ユーザー(user) 

システムを利用又はシステムとやりとりする個人。 

(JIS Z 8521,3.7を修正) 

2.3 

多様なユーザー(diverse users) 

能力,特性又はアクセシビリティニーズが異なる個人。 

2.4 

ユーザーアクセシビリティニーズ(user accessibility need) 

システムをアクセシブルにするために必要な機能又は属性に関連したユーザーニーズ。 

注記 ユーザーアクセシビリティニーズは,時間の経過及び使用状況によって変化する。 

2.5 

機能障害(impairments) 

著しい変異,喪失などといった,心身機能又は身体構造上の問題。 

注記 機能障害には,一時的なもの又は恒久的なもの,進行性のもの,回復していくもの又は不変の

もの,さらに,断続的なもの又は継続的なものがあり得る。 

[ICF 2001(世界保健機関)序論4.1参照] 

2.6 

活動制限(activity limitations) 

個人が活動を行うときに生じる難しさ。 

[ICF 2001(世界保健機関)序論4.2参照] 

2.7 

使用状況(context of use) 

システムが使用される物理的環境及び社会的環境(ユーザー,作業,設備装置及び資材を含む。)。 

(JIS Z 8521,3.5を修正) 

2.8 

多様な状況(diverse contexts) 

様々な使用状況及び様々な経済的・文化的・組織的条件。 

2.9 

有効性(effectiveness) 

ユーザーが,指定された目標を達成する上での正確さ及び完全さ。 

(JIS Z 8521,3.2を修正) 

2.10 

効率性(efficiency) 

ユーザーが,目標を正確かつ完全に達成するために費やす資源の程度。 

(JIS Z 8521,3.3を修正) 

2.11 

満足(satisfaction) 

システムの使用に対して不快感がなく,システムの使用に対する姿勢が肯定的であること。 

(JIS Z 8521,3.4を修正) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.12 

ユーザビリティ(usability) 

ある製品について,特定のユーザーが特定の使用状況において,特定の目標を達成するために,有効性,

効率性及び満足を伴って使用できる程度。 

(JIS Z 8521,3.1を修正) 

2.13 

複数の情報表示方法(multiple means of information presentation) 

情報を表示する様々な方法。 

注記 複数の異なる方法で情報を表示することで,システムのアクセシビリティを改善することがで

きる。 

2.14 

複数の操作方法(multiple means of operation) 

取扱い及び操作の様々な方法。 

注記 取扱い及び操作について複数の方法を提供することによって,システムのアクセシビリティを

改善することができる。 

2.15 

福祉機器(assistive product) 

特注品,既製品を問わず,障害のある人自身によって,又は障害のある人のために使用される機器類(用

具,器具,機器,ソフトウェア)で,障害のある人の参加のためのもの,心身機能及び/又は身体構造及

び活動について保護,支援,訓練,検査若しくは代替するもの,又は機能障害,活動制限若しくは参加制

約を防ぐためのもの。 

(ISO 9999[6],2.3参照) 

2.16 

支援機器(assistive technology) 

個人の能力を増強,維持又は改善するために使用される設備,製品システム,ハードウェア,ソフトウ

ェア又はサービス。 

注記1 支援機器は,福祉機器よりも広い包括的な用語である。 

注記2 支援機器には,福祉サービス並びに判定評価,助言及び給付に関する専門的なサービスも含

まれる。 

2.17 

標準化機関(standards body) 

一般に利用できる規格の作成,承認又は採択をその定款の効力によって主要な機能としてもつ,国,地

域又は国際的なレベルで認知された標準化組織。 

注記1 標準化機関は,様々な分野において標準化を引き受ける規格作成委員会,作業グループ又は

他の組織を保持することができる。 

注記2 標準化機関は,他の主要な機能をもってもよい。 

2.18 

ユニバーサルデザイン(universal design) 

調整又は特別な設計を必要とすることなく,最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品,

環境,プログラム及びサービスの設計。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 ユニバーサルデザインは,特定の障害者の集団のための補装具が必要な場合には,これらを

排除するものではない。 

注記2 ユニバーサルデザイン,アクセシブルデザイン,デザイン・フォー・オール,バリアフリー

デザイン,インクルーシブデザイン,トランスジェネレーショナルデザインなどの用語は,

同じ意味で互換的に使用されることが多い。 

(国連の障害者に関する権利条約 第2条を参照。注記2を追加した。) 

2.19 

アクセシブルデザイン(accessible design) 

多様な状況において,システムを容易に使用できるユーザーを最大限まで増やすために,多様なユーザ

ーに焦点を当てた設計。 

注記1 アクセシブルデザインは,次によって達成される。 

a) 修正・改造することなく,ほとんどの人が利用できるようにシステムを設計する。 

b) システムをユーザーに合わせて改造できるように設計する(改造可能な操作部などの提

供)。 

c) インターフェースを標準化し,福祉機器及び支援機器との互換性をもたせる。 

注記2 ユニバーサルデザイン,アクセシブルデザイン,デザイン・フォー・オール,バリアフリー

デザイン,インクルーシブデザイン,トランスジェネレーショナルデザインなどの用語は,

同じ意味で互換的に使用される場合が多い。 

アクセシビリティ 

3.1 

一般 

この規格では,一般的にアクセシビリティが全ての人に役立つものであるという認識に基づき,包括的

な意味で“アクセシビリティ”という用語を用いる。 

標準化における“アクセシビリティ”という用語には,幾つかの定義が存在するが,一般的にはこの用

語は,広い意味で使用されている。 

広く受け入れられている定義では,“特定の使用状況において,特定の目標を達成するために,特性及び

能力の異なる,より多くの人々が,製品,システム,サービス,環境及び施設を使用できる程度”として

いる(ISO 26800,ISO/TR 9241-100[9]及びISO/TR 22411[10]を参照)。 

“アクセシビリティ”及び“ユーザビリティ”の定義には重複する部分があり,幾つかの規格では,“ア

クセシビリティ”という用語を“様々な能力をもつより多くの人々による製品,サービス,環境又は施設

のユーザビリティ”と定義している(JIS X 8341-6,ISO/IEC 25062[8]及びJIS X 8341-2[1]を参照)。 

これは,アクセシビリティが使いやすさ(使いやすさは,作業の効率性及びユーザーの満足度に影響し

得る。),及び正常に使用できること(システムの有効性)の両方に関与することを示している。 

3.2 

アクセシビリティ及び規格 

規格は,システム設計に多大な影響を与えることによってアクセシビリティを向上させ,アクセシビリ

ティを制限するシステムの存在を最小限に抑えることができる。アクセシビリティに対する配慮が規格に

含まれていれば,システム設計者が,設計プロセスの早い段階でアクセシビリティ機能に対するニーズを

認識することができる可能性がある。 

設計プロセスのより早い段階でユーザーのアクセシビリティニーズに対応できれば,生産者は,余分な

費用をほとんど又は全くかけずに,アクセシブルなシステムを設計し,生産することができる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

アクセシビリティ規格に基づく政府の法令は,公共政策,公の手続及び実務に影響をもたらす。 

様々な分野の世界動向が,規格作成におけるアクセシビリティの重要性を増大させる方法へ動いている

(附属書A参照)。 

全く同じ能力及び特性をもつ人は二人といないという認識を,規格作成者がもつことは重要である。人々

の特性は,性別,年齢,身体の寸法,健康状態,機能障害,訓練及び経験によって影響を受ける。 

アクセシブルなシステムは,使用環境(光が強い,騒音がある,近くの人のせわしない動きなどといっ

た)に不利な条件がある場合に有用である。また,アクセシビリティの確保は,安全性の担保と相いれな

い要素として認識されがちである。しかし,ユーザビリティ及び安全の担保には,アクセシビリティの確

保をも考慮し,いかなるユーザーも疎外せず,危害も与えないシステムになるよう留意することが望まれ

る。 

規格作成者は,安全対策を施したシステムが,できる限り多くの多様なユーザーのニーズに対応するよ

う心掛けることが望ましい。 

規格作成プロセスにおけるアクセシビリティ 

4.1 

一般 

この箇条4は,規格作成プロセスにおけるアクセシビリティへの配慮の概要を示す。 

4.2では,規格作成プロセスをアクセシブルにするために,標準化機関が配慮する一般的な事項を示して

いる。 

4.3では,規格作成プロセスの各段階でアクセシビリティに適切に配慮するための留意事項を示している。 

4.2 

標準化機関による配慮点 

標準化機関は,この規格を適用することがプロジェクトにとって有効かどうかを決定するプロセスを構

築することが望ましい。 

標準化機関は,規格作成プロセスの全ての段階がアクセシブルであるように留意することが望ましい。 

これには,規格作成委員会への直接参加又は遠隔参加(例えば,電話会議,インターネット会議)だけ

でなく,規格作成委員会が作成する資料及び情報の形態,並びにこれらの資料及び情報へのアクセス方法

も含まれる。これは,規格作成委員会の委員,及び原案に関して意見をもつ人々が特定のアクセシビリテ

ィニーズをもっている場合があるからである。 

標準化機関は,規格作成プロセスにおいて,関連する利害関係者の参加を奨励し,促進することが望ま

しい。利害関係者には,高齢者及び障害のある人々,並びに子供及びジェンダー[gender(性)]に関連す

るグループ1)のそれぞれを代表する組織からアクセシビリティニーズの知識をもった人々を含むことが望

ましい。 

注1) ユーザー及び潜在的なユーザーの参加に関連する更に詳しい情報は,ISO Guide 82[13],並びに

JIS Z 26000[4]に規定する4.5(ステークホルダーの利害の尊重)及び箇条5(社会的責任の認識

及びステークホルダーエンゲージメント)で確認できる。また,関連規格では,ISO 9241-210[5]

がある。地域によっては,関係者の参加を確保するために,EU規則1025/2012[18]のような特定

の規則がある場合がある。 

標準化機関は,スタッフ及び規格作成委員会の幹事及び委員長に対し,アクセシビリティの重要性を理

解させ,アクセシビリティへの配慮が望ましい規格プロジェクトの特性に関する意識を喚起するために適

切な国内外の仕様に沿った教育を実施することが望ましい。 

標準化機関は,その建物,サービス及び設備をアクセシブルにするために必要な対策をとることが望ま

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

しい。 

これには,次の内容が含まれるが,これらに限定するものではない。 

− 標準化機関のアクセシビリティ配慮方針及び実行計画の作成 

− 組織のウェブサイトの十分なアクセシビリティの確保 

− アクセシビリティニーズに配慮するための適切な方針及び作業手順の確立 

− 標準化機関の建物におけるアクセシビリティの改善 

− アクセシビリティに関して,標準化機関に継続的な助言のできるアクセシビリティ・ユーザグループ

の設置 

4.3 

規格作成に関連する配慮点 

規格作成プロセスは,一般的に次の5段階からなる。それぞれの段階について,アクセシビリティに配

慮するために,主要な参加者を記載し,実施すべき一連の主要な手順を示す。 

4.3.1 

第1段階:規格作成プロジェクトを決定し,この規格の適用可否を決める。 

主要な参加者 

− 規格作成プロジェクトの提案者 

− 規格作成委員会の構成員 

主要な手順[Key Actions (KA)] 

KA1.1 提案された規格が,ユーザーである人間と直接的又は間接的にやりとりする(単一又は複数の)

システムを対象とするものであるかどうかを,適切な注意をもって慎重に判断する。対象としな

い場合は,この規格の適用範囲外である可能性が高い。 

ある規格の作成において,規格作成委員会が,この規格の適用可否を判断できない場合は,明

確な判断がつくまでこの規格を適用しながら作業を進めることが望ましい。また,当初この規格

の適用が不適切と判断した場合であっても,規格原案作成が進んだ段階で,その規格が人間との

直接的又は間接的にやりとりするシステムに関わるものであることが判明する場合がある。この

ような場合,規格作成委員会は,その時点からこの規格を使用し,既に行った作業を再考するこ

とが望ましい。 

KA1.2 人間とシステムとの直接的又は間接的なやりとりの方法を特定する。 

KA1.3 対象となり得るユーザーを特定し,能力及び特性の多様性の範囲を,特定する。 

KA1.4 規格作成に必要な主な関連情報(既存の規則,規格,研究結果など)の所在及びその内容を確認

する。 

KA1.5 作成規格で配慮すべきアクセシビリティ関連事項を決定する。 

この段階での成果 

この規格の適用可否が決定される。また,アクセシビリティ関連情報への手掛かりを得る。 

4.3.2 

第2段階:規格作成委員会への委員の公平な参加が担保できるよう,アクセシブルな作業環境を整

える。 

主要な参加者 

− 標準化機関 

− 規格作成委員会委員長及び幹事 

主要な手順[Key Actions (KA)] 

KA2.1 規格作成委員会の委員構成に,対象利害関係者グループからの十分な参加が得られるようにする。 

KA2.2 規格の作成作業に使用する情報,通信手段及び会議施設(電話会議,オンラインでの通信を含む。)

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

のアクセシビリティを確保する。 

この段階での成果 

アクセシビリティの知識のある個人及び組織が規格作成プロジェクトに参加する。委員会の運営及び会

議の準備において,参加者のアクセシビリティニーズが考慮される。 

4.3.3 

第3段階:規格案を作成する。 

主要な参加者 

− 規格作成委員会委員長及び幹事 

− 専門家(エキスパート) 

− 規格作成委員会の委員 

主要な手順[Key Actions (KA)] 

KA3.1 課題を明確にする。この規格及び他の関連資料を使用し,ユーザーアクセシビリティニーズ(箇

条6を参照)及び/又はアクセシビリティに関する設計配慮点(箇条7を参照)を決定及び/又

は検証する。 

KA3.2 要求事項及び推奨事項の案を作成する。作成規格の要求事項及び推奨事項が,ユーザーアクセシ

ビリティニーズ又は設計配慮点を反映したものとなるよう,現実的な案を決定する。この作業は,

対象システムの使用状況に最も適したアクセシビリティを実現するためにはどのような手段があ

るかを検討し,個々の手段の柔軟性又は代替手段の存在を検討することによって達成され得る(箇

条8を参照)。 

KA3.3 作成された案の内容に無理又は矛盾がないか検討し,要求事項案及び推奨事項案の実現性を判定

する。 

KA3.4 実現性があると判定された要求事項案及び推奨事項案を規格案に反映する。 

KA3.5 要求事項及び推奨事項の妥当性を確認する。アクセシビリティが規格案で適切かつ十分に配慮さ

れているかを確認するために利害関係者の意見を聞く。 

KA3.6 利害関係者からの意見に基づき,この段階における上記の主要な活動の幾つかを必要に応じて繰

り返し行う。 

KA3.7 規格案の参考文献に,この規格を含める。 

この段階での成果 

作成規格案の要求事項及び推奨事項が,その規格によって影響を受ける,より多くのユーザーのアクセ

シビリティを考慮し,それらを規格案に反映したものとなる。 

4.3.4 

第4段階:パブリックコメントの収集及び賛否投票のために,規格案を公開し,必要に応じて,規

格案を修正する。 

主要な参加者 

− 標準化機関及び利害関係者 

主要な手順[Key Actions (KA)] 

KA4.1 全ての規格案をアクセシブルな様式で作成し,公開する。 

KA4.2 多様な利害関係者からの意見を集めるために,原案文書へのアクセス方法を広く知らせる。 

KA4.3 コメント用及び投票用のツールを全てアクセシブルなものにする。 

この段階での成果 

規格案が多様な使用状況にある多様なユーザーを含む,より多くの人々に周知される。 

4.3.5 

第5段階:規格を発行する。 

10 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

主要な参加者 

− 標準化機関 

主要な手順[Key Actions (KA)] 

KA5.1 規格をアクセシブルな様式で発行する。 

KA5.2 新しい規格に関する情報を,より多くの利害関係者,組織及び規格作成委員会に知らせる。 

KA5.3 (対応国際規格では,この細別において,ガイド71を各国内標準化機関が各国語へ翻訳すること

を推奨しているが,この規格では不要であり,不採用とした。) 

この段階での成果 

関係者全員が規格を使用することが可能となる。 

この規格の適用方法 

5.1 

規格においてアクセシビリティに配慮するための二つのアプローチ 

この規格は,作成規格においてアクセシビリティに配慮するため,次の二つの補完的なアプローチを定

める。 

− “アクセシビリティ到達目標のアプローチ”(箇条6を参照) アクセシビリティに関わる到達目標を

明確化することによって,ユーザーアクセシビリティニーズを特定し,特定されたニーズから,標準

化プロジェクトにおけるアクセシビリティの要求事項及び推奨事項を特定する。 

− “人間の能力及び特性のアプローチ”(箇条7を参照) 作成規格に関連する,人間の能力及び特性を

明確化することによって,設計配慮点を特定し,特定された配慮点を元に,標準化プロジェクトにお

けるアクセシビリティの要求事項及び推奨事項を特定する。 

規格作成者は,作成規格でアクセシビリティを配慮するために,これらのアプローチを採用することが

望ましい。両方のアプローチを使用することによって,その規格に最も適切な一連の要求事項及び推奨事

項を立案することができる。それぞれのアプローチをどの程度利用するかは,作成する特定の規格の適用

範囲及び対象システムの使用状況によって異なる。 

箇条6では,アクセシビリティの特定に有用なアクセシビリティ到達目標について記載する。規格作成

者が規定された“考慮する課題”を作成規格の内容に照らして検討することによって,その規格に適した

ユーザーアクセシビリティニーズを特定することができる。“到達目標の詳細”では,その方法について説

明する。 

箇条7では,人間の能力及び特性並びに機能障害の影響に関する情報を,アクセシビリティに関わるそ

れぞれの設計配慮点とともに記載する。 

箇条8では,二つのアプローチの結果に基づいて,規格の要求事項及び推奨事項を立案するための方策

を規定する。また,それぞれの方策を適用することによって得られる要求事項及び推奨事項の例も記載す

る。 

この規格は,他の様々なアクセシビリティ関連の情報源を利用することの有用性も考慮している。 

図1は,この規格の利用方法についての概略を示す。 

background image

11 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1−規格でアクセシビリティに配慮するための二つのアプローチ 

図1は,この規格で提示した,規格によってアクセシビリティに配慮するための二つのアプローチを視

覚的に表現したものである。第一のアプローチは,箇条6に規定するもので,ユーザーアクセシビリティ

ニーズを特定するために有用な一連のアクセシビリティ到達目標を含む。第二のアプローチは,箇条7に

規定するもので,人間の能力及び特性の分類並びにそれらに関連する設計配慮点を含む。 

箇条6及び箇条7のいずれか又は両方のアプローチを用いて得られる結果は,箇条8に規定する単独又

は複数の方策に従って,規格の要求事項及び推奨事項の立案のために利用することができる。 

5.2 

他の情報源 

規格の作成に当たって利用できる情報源は,この規格以外にも多数存在する。それらの情報源も,規格

の適用範囲に応じて,ユーザーアクセシビリティニーズ,設計配慮点及び/又はアクセシビリティ関連の

要求事項及び推奨事項の特定に際して有用である。 

様々な分野(製品,サービス及び建築環境)及びそれらの様々な関連分野には,この規格で提示してい

る以上に,特殊なユーザーアクセシビリティニーズがある場合がある。これらの分野及び関連分野の規格

を作成する委員会は,それらの領域内で規格作成者を支援するために,その分野に特化した詳細な手引書

を作成することが望ましい。また,特定の分野に特化したユーザーアクセシビリティニーズを収集し,ま

とめることも,規格作成者への作業支援として有効な一方策である(ISO/IEC/TR 29138-1[11]及びIEC/TR 

62678[12]を参照)。 

法律などの各種技術基準も,ユーザーアクセシビリティニーズ,設計配慮点及び/又はアクセシビリテ

ィ関連の要求事項に関する有用な情報源となり得る。ただし,規格作成者がそれらを適用する場合は,作

成規格の適用を予定している様々な国又は地域における規則の違いを考慮することが重要となる。 

ISO/TR 22411[10]は,この規格の箇条7に規定する人間の多様な能力及び特性,並びにこれらの設計配慮

点に関する詳細情報を提供している。また,特定の要求事項及び推奨事項を作成する際に,使用できる人

間工学データも提供している。 

世界保健機関の“国際生活機能分類”(ICF)は,規格の中で人間及びその心身機能を説明するために利

用できる情報源である。 

190以上の加盟国に採用されたICFは一貫性があり,明確に定義され,曖昧さがなく,統一された規格

箇条6 

アクセシビリティ到達目標 

ユーザーアクセシビリティニーズ 

箇条7 

人間の能力及び特性 

設計配慮点 

箇条8 

規格でユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点を考慮するための方策 

規格の要求事項及び推奨事項 

12 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

言語及び枠組みの情報源を提供している。世界の主要な言語の大多数で利用できる。 

人間とその心身機能を規格の中で説明するための用語の情報源として,ICFの利用方法を附属書Bに示

す。 

分野に特化したアクセシビリティ関連規格の数は増えている(例えば,JIS X 8341-6,ISO 21542[7])。適

用できるアクセシビリティ関連規格が存在する場合は,引用規格として使用することができる(その他の

規格には,その全体の引用を必須とするもの,及び特定箇条だけの引用を要求するものもある。)。 

規格を使用して開発するシステムの潜在的なユーザーから,直接的又は間接的にユーザーアクセシビリ

ティニーズに関する意見を得ることは有用である。ユーザーアクセシビリティニーズを特定する効果的な

方法は,ユーザーの経験に関する包括的な調査を利用することである。企業の多くは(例えば,製品開発

において),アクセシビリティニーズを特定するのに役立つ,豊富な情報(顧客の苦情,事故データ,マー

ケティングデータ,ユーザビリティの試験結果など)を保有している。 

この規格は,次のJIS及びISO/IECガイドと併せて使用できる。 

− JIS S 0137 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針 

− JIS Z 8051 安全側面−規格への導入指針 

− ISO/IEC Guide 41,Packaging−Recommendations for addressing consumer needs 

− ISO/IEC Guide 50,Safety aspects−Guidelines for child safety in standards and other specifications 

− ISO/IEC Guide 59,Code of good practice for standardization 

− ISO/IEC Guide 76,Development of service standards−Recommendations for addressing consumer issues 

5.3 

アクセシビリティを適切に配慮しているかの検証及び確認 

規格作成者は,作成規格でアクセシビリティを適切に配慮しているかを検証し,確認することが望まし

い。 

検証及び確認は,この規格,その他の規格,文献などを使用し,規格作成に関与していない第三者の規

格作成者が行うことが望ましい。 

検証においては,規格のアクセシビリティの要求事項及び推奨事項と,その作成に用いられた情報源と

に一貫性があるかを確認することが望ましい。 

確認においては,アクセシビリティの要求事項及び推奨事項が,その規格に適合するシステムによって

影響を受ける利害関係者のニーズを満たしていることを定性的に確認することが望ましい。また,影響を

受ける様々なアクセシビリティの利害関係者グループの代表及びその規格が属する分野に関し,知識のあ

るアクセシビリティの専門家からの意見を含めることが望ましい。 

アクセシビリティ到達目標 

6.1 

一般 

6.1.1 

目標の構造 

アクセシビリティ到達目標は,作成規格に含まれるべきアクセシビリティに関連する要求事項及び推奨

事項を特定及び作成するための一つのアプローチを提供する。これを,アクセシビリティ到達目標のアプ

ローチと呼ぶ。この目標は,様々なシステムの設計及び評価の手掛かりとするために様々な規格のアクセ

シビリティの指針の中に含めることができる。 

6.2.1〜6.2.11に規定している11の目標は,それぞれ次の構成となっている。 

a) 到達目標 基本的な目標 

b) 到達目標の詳細 基本的な目標に関する詳細 

13 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 背景 目標の基となった関連文書類 

d) ユーザーアクセシビリティニーズの概要 目標に関連するユーザーアクセシビリティニーズ 

e) 考慮する課題 到達目標を適用するために考慮する課題 

この規格で規定する到達目標は,様々なアクセシビリティの規格(JIS X 8341-6,JIS X 8341-3及びユニ

バーサルデザインの原則[20]を含む。)及び他の関連情報源(JIS Z 8521,JIS Z 8531-1及びISO 26800を含

む。)で使用されている原則に基づいている。アクセシビリティ到達目標の基となった,引用規格及び参考

文献にある情報源を参照することは規格作成者にとって,有益である。到達目標の基となった情報源の多

くは,情報通信技術(ICT: Information and Communications Technology)領域から来ているが,これらの到

達目標は,全ての領域に適用できるように考えられている。一部の到達目標は,特定の領域に適している

場合がある。 

アクセシビリティ到達目標は,規格作成者が,作成している規格が対象としているシステムのアクセシ

ビリティの向上又は阻害をもたらす要因を特定するとともに,特に多様な使用状況における多様なユーザ

ーのアクセシビリティニーズに対応するための方法を特定するために有用である。 

6.1.2 

ユーザーアクセシビリティニーズの特定 

規格作成者は,この箇条で提供する典型的なユーザーアクセシビリティニーズに基づき,到達目標を検

討し,考慮する課題に答えることによってニーズに関する示唆を得ることができる。 

多様なユーザーには,多くの異なるユーザーアクセシビリティニーズがある。しかし,ユーザー及び使

用状況が異なれば,ユーザーアクセシビリティニーズも様々であり,さらに,ある特定のユーザーのニー

ズが,別の環境にいるその他のユーザーにとってのアクセシビリティニーズではない場合があることを認

識する必要がある。 

あるユーザーのアクセシビリティニーズは,他のユーザーのアクセシビリティニーズと相いれない場合

がある。規格作成者は,作成規格に規定する要求事項及び推奨事項が,その規格に適切なユーザーアクセ

シビリティニーズの全てを不足なく満たせるように留意することが望ましい。 

規格作成の場合,要求事項及び推奨事項については,どんなユーザーアクセシビリティニーズも無視す

ることなく,多様な方法を用いて多様なユーザーのユーザーアクセシビリティニーズに確実に配慮するこ

とが重要となる。 

6.1.3 

要求事項及び推奨事項を作成するためのユーザーアクセシビリティニーズの適用 

規格作成者は,作成中の規格に関連するユーザーアクセシビリティニーズを特定することが望ましい。

この箇条で特定される全ての一般的なユーザーアクセシビリティニーズが,全ての規格に関連するわけで

はない。 

規格の内容に対応したユーザーアクセシビリティニーズは,規格作成者が,到達目標又は到達目標と共

に提示される考慮する課題をその規格に適用して活用することによって,特定することができる。また,

この箇条で挙げる一般的なユーザーアクセシビリティニーズを作成する規格に合致するように調整するこ

と,及び規格作成者が,この箇条で挙げられていない重要なユーザーアクセシビリティニーズを確認する

ことが望ましい。規格を作成する上で,ある到達目標が他の目標よりも適用しやすい場合がある。しかし,

適用すべきかどうかが明らかでない到達目標を用いることによって,見逃されがちなユーザーアクセシビ

リティニーズを特定できる場合が多い。 

多くの場合,要求事項又は推奨事項とユーザーアクセシビリティニーズとは一対一の関係ではない。例

えば,複数の要求事項及び推奨事項を組み合わせることによって,一つのユーザーアクセシビリティニー

ズに対応できる場合もある。また,一つの要求事項又は推奨事項を,複数のユーザーアクセシビリティニ

14 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ーズの全て又は一部に対応するために使用してもよい。どの到達目標がどのユーザーアクセシビリティニ

ーズにつながるかは重要ではない。複数の目標が,重複又は対立して調整が必要となる場合がある。一連

のユーザーアクセシビリティニーズが特定されれば,重複又は潜在的な対立には適切に対応できる。目標

が重複する場合は,通常は対処は不要である。しかし,対立する場合には,アクセシビリティ関連の要求

事項の作成において,調整が必要となる場合がある。 

この箇条の到達目標と共に提示されている考慮する課題は,規格作成者が到達目標に関連する重要な課

題及びユーザーアクセシビリティニーズを特定するために役立つ,一般的な課題である。これらの課題を,

附属書Cに示す。 

規格作成者は,到達目標を達成するために,これらの考慮する課題を利用することができる。規格作成

者には,作成中の規格に合わせて既存の課題を調整したり,更に課題を追加することで,一連の考慮する

課題をより適切なものにすることが推奨される。 

注記 箇条6において,“作成規格”という用語は,規定するアクセシビリティ到達目標を考慮して作

成された全ての文書(規格,技術仕様書,技術報告書,公開仕様書,手引,国際電気通信連合

の勧告,ワークショップ協定など)を示している。 

6.2 

目標 

6.2.1 

より多くのユーザーへの適応性 

6.2.1.1 

到達目標 

システムが,多様な状況における多様なユーザーのニーズに対応できるようにする。そのようなシステ

ムには,“より多くのユーザーに適応性”がある。 

6.2.1.2 

到達目標の詳細 

より多くのユーザーは,この規格で定義した多様なユーザーと多様な状況との両方に関連している。 

どんな場合でも,全ての潜在的なユーザーを容易に特定できるわけではないが,アクセシブルな手段が

提供されれば対象ユーザーとなり得る人々が,除外されないように留意することが重要である。 

6.2.1.3 

背景 

3.1に記載したアクセシビリティの様々な定義及びJIS X 8341-6に規定する“最も幅広い層の利用者に対

する利用の適切性”による。 

6.2.1.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− アクセシブルな様式及び使用方法を提供することによって,より多くのユーザーが利用可能になるシ

ステム 

− 複数の機能障害のあるユーザーにとって,また良好でない環境条件下であってもアクセシブルなシス

テム 

6.2.1.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格で配慮すべき潜在的なシステムユーザーは誰か,又は作成規格に関連する人は誰か。 

b) 作成規格の要求事項及び推奨事項によって除外される潜在的なユーザーがいる場合は,どのようなユ

ーザーか。 

c) 作成規格に関連するシステムが使用される状況には,どのようなことがあるか。 

d) 作成規格の要求事項及び推奨事項によって,どのような使用場面が除外されてしまう可能性があるか。 

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2.2 

ユーザーの予測との一致 

6.2.2.1 

到達目標 

システムを,ユーザーの過去の経験,使用状況,法律,規格及び/又は一般的な慣習に基づく予測に合

致するように設計する。そのようなシステムは,“ユーザーの予測と一致”している。 

6.2.2.2 

到達目標の詳細 

ユーザーの予測に合致しないシステムでは,多様なユーザーを混乱させ,誤使用につながる場合がある。

ユーザーは,システムと関わる際,用語,動作,反応,コミュニケーションなど,その多くの側面に関し

て予測する可能性がある。 

ユーザーの予測は,個人の過去の経験に基づいており,(例えば,情報の提供又は訓練によって)それが

変化したり強調されるなど,時間が経つにつれて進化していく場合がある。 

ユーザーの予測は,その時の使用状況によって決まることが多く,異なった状況では変化することがあ

る。ユーザーがシステムにおいて未経験の状況にある場合は,予測はユーザーになじみのある類似の状況

に基づくものとなる。 

この到達目標は,システムとのやりとり及びシステムの操作を予測可能にすることを促す。新しいシス

テムの使用には,新しい知識又は技術の習得が必要になる場合がある。 

ユーザーがなじみのある慣習又は習慣を修正することを要求されると,困難が生じる場合がある。類似

した行為と認識していることを全く異なる方法で実行しなければならない場合は,大きな困難を伴い,そ

れによって使用ができない場合もあるため,このことは特に重要である。 

注記 この到達目標は,新しく発生する予想の排除を意図するものではない。しかし,可能な限りユ

ーザーの既存の予測との一貫性をもたせることが望ましい。 

6.2.2.3 

背景 

JIS Z 8520に規定する“ユーザーの期待への一致の原則”及びユニバーサルデザインの原則[20]の“単純

で直観的な使用”による。 

6.2.2.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− やりとりの結果が,予想外ではないシステム 

− 個人の知識及び経験を適用することによって,円滑なやりとりができるシステム 

− やりとりを円滑に行うために必要な知識を得るための指導又は訓練を受けることができるシステム 

− ヘルプ機能を提供できる場合には,速やかに,かつ,簡単に利用できるヘルプ機能又は詳細な説明を

受けることができるシステム 

6.2.2.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格に関連するシステムを利用する多様なユーザーの予測及び/又は経験はどのようなものか。 

b) 作成規格に関係するシステムの分野において,ユーザーの予測に関連する不便さの情報又は習慣的な

予測に関する情報は入手できるか。 

c) 作成規格を使用することによって,潜在的なユーザーの予測とどのような対立が生じるか。 

d) 作成規格を使用することによって生じるユーザーの新たな予測は,どのようなものか。 

6.2.3 

個々のニーズへの対応 

6.2.3.1 

到達目標 

システムの構成要素,機能又は操作を個々のニーズに合わせて設定することができるようにする。その

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

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ようなシステムは,“個々のニーズに対応”している。 

6.2.3.2 

到達目標の詳細 

全てのユーザー及び使用状況におけるニーズに対応するには,単一のシステム設計では最適ではないこ

とが多いため,システムとやりとりする方法については,複数の選択肢があることが重要となる場合があ

る。 

様々な種類のシステム又はシステムの構成要素(例えば,建築環境)は,ユーザー側で変更できないが,

ユーザーがシステムとのやりとりをする方法をユーザー自身に合わせて設定できれば,そのシステムはよ

り多くのユーザーのニーズに対応可能なものとなる。 

個々のニーズへの対応の目的は,各々のユーザーにとって可能な最善の解決策を得る手段を提供するこ

とである。 

個々のニーズへの対応を実現するために必要なことは,システムとのやりとりをする方法の選択肢(例

えば,操作,やりとりの一連の代替策,やりとり,又は操作の代替的な感覚の種類若しくは認知方策)を

提供すること及び/又はその状況の個人のニーズに合致するやりとりの代替の方法若しくは様式を提供す

ること,又は他のアクセシビリティ方策を実施することである。 

6.2.3.3 

背景 

JIS Z 8520に規定する“個人化への適合性”,JIS X 8341-6に規定する“利用する上での柔軟性”及びユ

ニバーサルデザイン原則[20]の“利用する上での柔軟性”による。 

6.2.3.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− 個々のユーザーにとって最も円滑にやりとりできる方法(組み込まれたアクセシビリティ機能を作動

したり,停止することを含む。)を提供し,選択できるシステム。 

− やりとりするために,利用できる選択肢の情報が提供されているシステム。 

− 個々のニーズに合った機能を選択するアクセシブルな方法を提供し,ユーザー自身が変更するまで,

その選択が保持されるシステム。 

6.2.3.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格に関連するシステムとユーザーとのやりとりにおいて,どの部分をユーザー自身がニーズに

合わせて調整できることが望ましいか。 

b) 作成規格に関連するシステムとユーザーとのやりとりにおいて,個々のニーズに合わせた調整が不可

能な場合,どの部分が,障壁となるか。 

c) 作成規格の中で,システム内に導入可能なものとして推奨できる,既に知られている又は新たな個人

向け設定又は優先設定の組合せには,どのようなものがあるか。 

d) 作成規格を使用する場面が,特定された個々の選択肢又はし(嗜)好にどのように影響を与えるか。 

6.2.4 

アプローチしやすさ 

6.2.4.1 

到達目標 

多様なユーザーが目的の作業を達成するために,身体的又は精神的な障壁を克服でき,直接的な取扱い

又は遠隔からのアクセスができるようにする。そのようなシステムは,“アプローチしやすい”。 

6.2.4.2 

到達目標の詳細 

アプローチしやすさの不足は,一部のユーザーにとって使用の障壁となる場合がある。 

多様な使用状況で多様なユーザーがシステムとやりとりする場合に重要となる要素は,アクセス経路,

17 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

空間,システムの大きさ,デザイン,操作部の配置及びやりとりのための手順の運用である。この要素に

は,システムに適切な形で到達し,システム内を適切に移動し,システムと円滑にやりとりするために適

切な位置及び/又は状態を確保し,システムの使用を終了できることが含まれる。 

システムへのアプローチしやすさを確保する方法には,直接的な方法(例えば,触れる,音声を用いる

など)若しくは遠隔からの方法(電気通信を利用するなど)又は福祉機器及び支援機器を使用する方法が

ある。 

身体的又は心理的な障壁は,ユーザーがシステムにアクセスするのを抑制すること又は妨げることがあ

る。 

過度の負担なく特定でき,除去又は制御できる障壁を考慮することは重要であるが,ある環境では障壁

がどうしても残る場合があるため,代替のシステムを使用する必要が出てくる場合がある。 

6.2.4.3 

背景 

ユニバーサルデザイン原則[20]の“接近又は使用のための大きさ及び空間”による。 

6.2.4.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− ユーザー及びユーザーが使用する福祉機器及び支援機器に適した十分な空間がある。 

− システムの操作部が手の届く範囲内に配置されている。 

− やりとりの方法の選択肢(代替システムの使用など)が明確に提示されている。 

− プライバシー及び安全性が適切なレベルで守られている。 

− システムを直接的にだけでなく遠隔からでも使用できる。 

6.2.4.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格では,多様なユーザーが目的の作業を実行するために,関連システムに物理的及び心理的に

アプローチできることをどのように保証できるか。 

b) 作成規格では,多様なユーザーが目的の作業を実行するために,関連システムに遠隔からアプローチ

できることをどのように保証できるか。 

c) 作成規格では,多様な使用状況における多様なユーザーに対する,物理的若しくは心理的なアプロー

チしやすさ又は遠隔からの操作への制約をどのようにして回避することができるか。 

6.2.5 

知覚しやすさ 

6.2.5.1 

到達目標 

多様な状況における多様なユーザーが,システムが提示する情報又は機能を感知できるようにする。こ

のようなシステムは,“知覚しやすい”。 

6.2.5.2 

到達目標の詳細 

知覚のしやすさは,様々な様式で提示される情報を対応する感覚器官で知覚する人間の身体能力に関連

する。複数の感覚様式(すなわち,視覚,聴覚,触覚,嗅覚又は味覚の二つ以上)を利用することによっ

て,より多様なユーザー及び状況に対して知覚のしやすさを提供できる。単一の感覚様式による情報提供

では,一部の状況における一部のユーザーが情報及び機能を知覚することを妨げることがある。 

6.2.5.3 

背景 

JIS X 8341-6に規定する“知覚できる情報”,JIS Z 8531-1に規定する“知覚及び理解への適合”,JIS X 

8341-3(WCAG 2.0)に規定する“知覚できる”及びユニバーサルデザイン原則[20]の“認知できる情報”に

よる。 

18 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2.5.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− ユーザーが望む特定の感覚(又は特定の感覚の組合せ)の情報知覚の手段としての使用 

− 単一感覚様式において,ユーザーの望みに応じた様々な提示方法の属性の制御 

− 提示されている複数の情報の識別 

− 情報知覚を妨げないように物理的環境の(合理的な範囲で)制御 

6.2.5.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格の適用範囲に照らし,システムからユーザーにどのような情報を提示することが望ましいか。 

b) 作成規格では,多様な状況における多様なユーザーに対して,関連システムの情報の知覚しやすさを

どのように保証できるか。 

c) システムがユーザーに情報を提供するために使用する感覚の種類を,作成規格によってどのように制

限してしまう可能性があるか。 

6.2.6 

理解しやすさ 

6.2.6.1 

到達目標 

システムの情報及び機能を多くのユーザーにとって,理解できるようにする。そのようなシステムは,

“理解しやすい”。 

6.2.6.2 

到達目標の詳細 

理解のしやすさは,知覚した情報の意味を正しく解釈する人間の認知能力によって決まる。多様なユー

ザーの学習と記憶の必要性と労力とをシステムが最小限にすることが重要となる。 

様々なユーザーには,様々な思考様式があり,その違いは提示された情報を理解する能力に影響を与え

る。枠組み及び構想(例えば,目標,原則)の理解を得意とするユーザーが,概念的ではない詳細の理解

に苦慮する場合がある。 

明確な手順,詳細又は例示の理解を得意とするユーザーが,複雑な又は抽象的な枠組み又は構想の理解

に苦慮する場合もある。システムとやりとりする方法を理解するに当たっても,異なるユーザーにはそれ

ぞれの異なったニーズがある。 

状況を理解し,正しい判断をする知識及び認知能力をもつユーザーもいるが,一方で,同じ状況を理解

するために,常に支援又は定期的な教育が必要となるユーザーもいる。受け取った情報を,分析するのに

役立つツールの提供が理解の促進に有効となるユーザーもいる。 

言語及び文化が理解に影響を与える場合もある。提示する情報の中で言語的見地及び文化的見地を使用

する場合には,より多様な使用場面の多様なユーザーを念頭に置くことが重要となる。 

6.2.6.3 

背景 

JIS Z 8520に規定する“自己記述性の原則”,JIS X 8341-6の箇条5(アクセシブルなソフトウェアを設

計するための原則)に規定する“分かりやすい”,JIS Z 8531-1に規定する“知覚及び理解への適合”,JIS 

X 8341-3に規定する“理解可能”及びユニバーサルデザイン原則[20]の“単純で直観的な使用”による。 

6.2.6.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− システム並びにその構成要素及び機能の概要が把握できる。 

− システムが表示する情報が理解できる。 

− 認知能力をサポートする情報がある。 

19 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 目的の作業を達成するためのステップが最小限であり,明確に説明されている。 

− 目的の作業の達成を支援する手掛かりがある。 

− 作業の結果がユーザーに提示される。 

− システムとやりとりする速度を調整できる。 

− 必要なときに利用できるヘルプ機能がある。 

6.2.6.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格の適用範囲内にあるシステムに関して,ユーザーによる理解のために,システムが提示する

ことが望ましい情報及び機能はどのようなものか。 

b) システムの情報及び機能を正確に理解できることを,多様なユーザーに保証するために,作成規格で

はどのような貢献ができるか。 

c) 多様なユーザーが作成規格に関連するシステムの情報及び機能について,その使用方法を学習できる

ようにするために,作成規格では,どのようなサポートが提供できるか。 

d) 作成規格では,システムが対象ユーザーに対して,必要以上に認知的に難しい要求をしないことをど

のように保証できるか。 

6.2.7 

操作しやすさ 

6.2.7.1 

到達目標 

ユーザーが目的の作業を完遂するために必要なやりとりを開始し,完了することができるようにする。

そのようなシステムは,“操作しやすい”。 

6.2.7.2 

到達目標の詳細 

多様なユーザーが思い通りにシステムとやりとりできることが重要である。これは,様々な感覚の種類

(接触,身振り,音声など)を用いてやりとりすることを必要とするシステムの様々な操作機構を扱う場

合に,ユーザーがどのような能力をもっているかによって左右される。複数の操作方法を提示することで,

操作のしやすさを改善できる可能性がある。 

6.2.7.3 

背景 

JIS Z 8520に規定する“可制御性の原則”,JIS X 8341-6に規定する“操作可能”,JIS Z 8531-1に規定す

る“探索への適合”及びJIS X 8341-3に規定する“操作可能”による。 

6.2.7.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− システムとやりとりするために,ユーザーに適した特定の感覚の種類(又は感覚の種類の組合せ)を

使用できる。 

− 身体の様々な部分の使用及び特定の動作によって,目的の作業を実行できる。 

− 一つずつ段階を踏みながら作業ができる。 

− 自分自身のペースでシステムとやりとりができる。 

6.2.7.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格の適用範囲にあるシステムについて,ユーザー自身が開始及び完了できることが望ましい制

御動作には,どのようなものがあるか。 

b) 目的の作業を完遂するための動作を多様な使用状況における多様なユーザーが開始及び完了できるよ

うにするために,作成規格ではどのような貢献ができるか。 

20 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 目的の作業の完遂に必要な動作を開始及び完了するためにユーザーが使用できる感覚の種類への制約

を,作成規格ではどのように回避することができるか。 

6.2.8 

ユーザビリティ 

6.2.8.1 

到達目標 

多様な使用状況における多様なユーザーが目的の作業を有効性,効率性,及び満足を伴って達成できる

ようにする。そのようなシステムには,“ユーザビリティ(使いやすさ)”が備わっている。 

6.2.8.2 

到達目標の詳細 

ある使用状況におけるユーザーにとっての最低限のユーザビリティが提供されない場合は,ユーザーは

そのシステムが十分にアクセシブルでないと考えるかもしれない。ユーザビリティが不十分であると,ユ

ーザーがシステムにアクセスする意欲を失う可能性がある。システムの有効性,効率性及びユーザーの満

足度は,個々のユーザー及び使用状況によって大きく異なる。ユーザビリティは,システムを円滑に使用

するために必要であり,その内容はユーザー及び多様な使用状況によって様々に異なる。 

6.2.8.3 

背景 

ユーザビリティの用語におけるアクセシビリティの定義(3.1を参照),JIS Z 8520に規定する“仕事へ

の適合性の原則”,JIS Z 8531-1に規定する“コミュニケーション目標への適合”,ISO 20282-1に記載され

る“操作しやすさ”及びユニバーサルデサイン原則[20]の“少ない身体的努力”による。 

6.2.8.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− 目的の作業を完了するとき,エラーを避けることができる。 

− 身体的及び認知的に最小限の負担で目的の作業を実行できる。 

− 自分自身の能力に応じた効率的な方法で目的の作業を完了できる(あるユーザーにとって効率的なこ

とが,必ずしも他のユーザーにとって同じように効率的であるとは限らない。)。 

− 利用できる時間内に目的の作業が完了できる。 

− 利用できる資源で目的の作業が完了できる。 

− システムとやりとりした結果にユーザーが満足できる。 

− システムを使用しても好ましくない結果又は許容できない危険には,至らないと確信できる。 

− システムの利用価値について満足できる。 

− システムの使用感が身体的及び心理的に快適である。 

6.2.8.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格に関連するシステムでは,多様な使用状況において多様なユーザーが目的の作業を効果的に

達成できるように,どのような支援ができるか。 

b) 作成規格に関連するシステムでは,多様な使用状況における多様なユーザーが効率的な方法で目的の

作業を達成できるように,どのような支援ができるか。 

c) 作成規格に関連するシステムでは,多様な状況における多様なユーザーが,それぞれが満足できる方

法で目的の作業を達成できるように,どのように支援できるか。 

d) 作成規格に関連するシステムでは,一部のユーザーにユーザビリティの制約を課してしまうことを,

どのように避けることができるか。 

21 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2.9 

エラーの許容性 

6.2.9.1 

到達目標 

予測できるエラーが発生した場合に,修正作業又は好ましくない結果が皆無又は最小限の状態で,多様

なユーザーが意図した目的の作業又は活動を完了できるようにする。そのようなシステムには,“エラーの

許容性”がある。 

6.2.9.2 

到達目標の詳細 

エラーの可能性を最小限にすることが重要であり,かつ,エラーが避けられない場合は,ユーザーへの

影響を最小限にすることが重要である。多様なユーザー及び多様な使用状況においては,様々なエラーが

発生し,こうしたエラーの影響でユーザーが目的の作業を達成できなくなる場合がある。 

6.2.9.3 

背景 

JIS Z 8520に規定する“誤りに対しての許容度の原則”,JIS X 8341-6に規定する“誤りに対する耐性”,

JIS X 8341-3(WCAG 2.0)に規定する“利用者の間違いを防ぎ,修正を支援する”及びユニバーサルデザ

イン原則[20]の“失敗に対する寛大さ”による。 

6.2.9.4 

ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− システムの一部又はその機能を意に反して作動させることなくシステムを使用できる。 

− 身体の制御機能に制約がある場合でも(強さ,震えなど),システムを円滑に操作できる。 

− エラーが起こったときに検知できる。 

− システムとのやりとりから起こったエラーから復旧できる(可能な限り,いかなる場合でも)。 

− エラーの対処方法として,システムを以前の状態又は初期設定に戻すことができる。 

− エラーによる不都合な結果を明確にし,回避しやすく,かつ,起こりにくくすることによって,エラ

ーの発生を避けることができる。 

6.2.9.5 

考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 作成規格に関連するシステムでは,エラーによる不都合を最小限にとどめるために,どのような支援

ができるか。 

b) 作成規格に関連するシステムでは,エラーを回避するために,どのような支援ができるか。 

c) 作成規格に関連するシステムでは,エラーの発生を最小限にとどめるために,どのような支援ができ

るか。 

d) 作成規格では,ユーザーが関連するシステムをエラーから復旧させるために,どのような支援ができ

るか。 

6.2.10 公平な利用 

6.2.10.1 到達目標 

多様なユーザーが,可能な限りいつでも同一の方法で,又は同一の方法が不可能な場合は,同等な方法

で,目的の作業を達成することができるようにする。そのようなシステムは,“公平な利用”を提供できる。 

6.2.10.2 到達目標の詳細 

特定のユーザー又はユーザーグループが自分たちのアクセシビリティニーズによって,差別されないこ

とが重要である。より多くのユーザーに対して,同じシステムの情報及び機能にアクセスし,利用できる

手段が提供されることが期待される。 

22 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2.10.3 背景 

JIS X 8341-6に規定する“使用の公平性”及びユニバーサルデザイン原則[20]の“公平な利用”による。 

6.2.10.4 ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− 他のユーザーとできる限り同様な方法で,作成規格に関連するシステムを使用できる。 

− 他のユーザーとは異なる方法だが,同等な方法で作成規格に関連するシステムを使用できる。 

− 作成規格に関連するシステムとやりとりするための代替様式が利用できる。 

6.2.10.5 考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 多様なユーザーが同一又は同等な方法でシステムとやりとりできるようにするために,作成規格に関

連するシステムは,どのような保証ができるか。 

b) 作成規格に関連するシステムには,あるユーザーが他のユーザーと同一又は同等の方法でやりとりで

きない要素はあるか。 

c) 作成規格に関連するシステムが,一部のユーザーをどのように隔絶,冷遇又は差別する可能性がある

か。 

d) 作成規格の要求事項及び推奨事項は,全てのユーザーグループに同一又は同等のアクセス手段を提供

することによって,共生社会を推進するか。 

6.2.11 他のシステムとの互換性 

6.2.11.1 到達目標 

多様なユーザーが目的の作業を完遂するために,システムとやりとりする手段として他のシステムを使

用できるようにする。そのようなシステムには,“他のシステムとの互換性”がある。 

6.2.11.2 到達目標の詳細 

一部のユーザーは,媒介となる他のシステム(福祉機器,支援機器など)の支援なしではシステムが使

用できない場合がある。全てのシステム自体を全ての人々に対してアクセシブルにすることは不可能であ

るが,システムが互換性を提供することによって,多様なユーザーが福祉機器及び支援機器を使用してシ

ステムを利用できるようになる。 

注記 情報技術の領域における互換性は,相互運用性として言及される場合が多い。 

6.2.11.3 背景 

JIS X 8341-6に規定する“頑健性”及びJIS X 8341-3に規定する“堅ろう(牢)”による。 

注記 追加情報として3.2も参照。 

6.2.11.4 ユーザーアクセシビリティニーズの概要 

ユーザーアクセシビリティニーズには,次を含む。 

− システムの全ての機能とやりとりするために,各人が所有する福祉機器又は支援機器を使用できる。 

− システムが福祉機器及び支援機器の正常な動作を妨げない。 

6.2.11.5 考慮する課題 

考慮する課題は,次による。 

a) 多様なユーザーが,関連するシステムを自身の福祉機器又は支援機器とともに(必要な場合に)利用

できるようにするには,作成規格でどのように規定すればよいか。 

b) 関連するシステムを使用するためにユーザーが福祉機器又は支援機器を(必要な場合に)利用できる

可能性が作成規格によって制約されないようにするには,どのように規定すればよいか。 

23 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 多様なユーザーのアクセシビリティを促進するために,関連するシステムと他のシステムとの互換性

を様々な使用状況で確保するには,作成規格でどのように規定すればよいか。 

人間の能力及び特性 

7.1 

一般 

7.1.1 

概説 

この箇条は,人間の能力及び特性に関する情報及び関連する設計配慮点を提供する。規格作成者は,シ

ステムを使用するために必要となるユーザーの動作並びに関連する人間の能力及び特性を特定することに

よって,システムのユーザーのためのアクセシビリティ配慮に取り組むことができる。設計配慮点は,規

格の要求事項及び推奨事項を立案する際の参考となる。 

人間の能力及び特性に関する情報は,“身体構造”,“心身機能”,“関連する機能障害”並びに“活動制限

及び参加制約の観点から機能全般への影響”という枠組みで整理している。 

この箇条では,ユーザーのアクセシビリティへの配慮を最大にするシステムを設計するための汎用的な

設計配慮点を提供するが,アクセシビリティの課題に対応する設計配慮点を全て網羅しているわけではな

い。 

注記 人間の能力及び特性に関する情報は,ISO/TR 22411[10]を参照。 

この箇条で人間の能力及び特性を表現するためにICFから引用されている専門用語のうち,人間の心身

機能には,ICFコード“ICF: bxxx”を付し,また,人間の身体構造には,ICFコード“ICF: sxxx”を付し

ている。 

人間とその機能に関する記載に役立つ専門用語の情報源としてICFの利用方法を附属書Bに示す。 

7.1.2 

人間の能力及び特性の多様性 

人々の能力及び特性は,子供から高齢になるまで年齢を重ねるにつれて変化し,どの年齢層においても

大きな個人差がある。活動制限及び参加制約は,全ての人々が経験する可能性があり,機能障害又は疾患

のある人々と障壁となる個人的要因,環境的要因などとの間で相互作用がうまく働かないことによって起

こり得る。疾患(例えば,循環器系,呼吸器系,神経系),心身機能及び身体構造の機能障害並びにこれら

に伴う活動制限には,一時的なもの,永続的なもの及び外見では分からないものがあり,一般的に年齢が

上がるにつれて悪化する。重要なことは,感覚的,身体的又は認知的な制約には,比較的軽度のもの(軽

度の難聴,軽度の視力機能障害,軽度の運動機能障害,軽度の記憶喪失など)から重度の制約[ろう(聾),

全盲,麻ひ,重度の記憶喪失など]まで様々な程度があることを認識することである。 

単独では軽度な機能障害であってもそれらが組み合わさると,重大な活動制限が生じることがあり,こ

の状態は加齢に伴って多く見られる。全ての高齢者に機能障害があるわけではないが,障害又は活動制限

のある人々の割合は高齢者層で最も高い。機能障害のある子供についても,個々の障害に起因するそれぞ

れの要求事項があることを認識することも重要である。そのような子供にも,他の子供たちと同様に一般

的なニーズ及びし(嗜)好がある。 

7.2 

感覚能力及び特性 

7.2.1 

一般 

7.2に規定する感覚機能は,次による。 

− 視覚機能(7.2.2を参照) 

− 聴覚機能(7.2.3を参照) 

− 触覚(7.2.4を参照) 

24 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 味覚及び嗅覚(7.2.5を参照) 

感覚能力は,一般的に加齢とともに低下する。 

7.2.2 

視覚機能 

7.2.2.1 

概説 

視覚機能(ICF: b210)は,光の存在,視覚刺激の外観,大きさ,形,コントラスト及び色を感知するこ

と,並びに物体の位置,距離及び速度の識別に関係する機能である。視覚機能は,視力,近方視力2)及び

遠方視力3),焦点調節,視野,色及び距離(又は奥行き)の知覚,光のレベルの変化への順応並びに光の

感受性のような様々な側面から構成される。 

注2) 近方視力(near vision)は,JIS Z 2300[2]の目視試験に“近く(通常30 cm)を見る能力。”と規

定されている。 

3) 遠方視力(distance vision)は,JIS Z 2300[2]の目視試験に“遠く(5 m)を見る能力。”と規定さ

れている。 

7.2.2.2 

機能障害及び活動制限 

視覚の機能障害及び活動制限は,軽度な視覚機能障害から全盲まで様々である。その影響には,次を含

む。 

− 像をはっきりと見て識別する能力の低下 

− 近くの物から遠くの物に対し焦点を変える能力,及び遠くの物から近くの物に焦点を変える能力の低

下 

− 視野の一部分(すなわち,横,上,下又は中央)で物を見る能力の低下 

− 加齢に起因する目の黄変化の影響などによる,色を区別する能力の低下 

− まぶ(眩)しさに耐える能力の低下 

− せん(閃)光又は明滅に耐える能力の低下 

− コントラストを認識する能力の低下 

− 距離及び速度を判断する能力の低下 

− 目が明るさの変化に順応する間の視力の低下 

− 光に対する感受性の低下(より多くの光を必要とする。) 

全盲の人々は,有効な視力が非常に制限されているか,又は全くないと考えられ,聴覚,触覚など他の

感覚機能を使用して,情報を得ることがある。 

視覚機能障害のある人々は,不十分な又はゆがんだ視覚情報を受けることがあり,聴覚及び触覚の刺激

に依存している。物の大きさ,鮮明さ(それ自体の鮮明さ,視野内の配置,目立ち方などの周りの要素と

の関係によるもの),輝度及び色のコントラストのような要素は,知覚に影響を与える。重度の視覚機能障

害(ロービジョン)のある人々は,高いコントラストを必要とする場合が多く,明るい背景に暗い文字よ

りも暗い背景に明るい文字を好む場合がある。そのような人々は,視覚機能を補完するために,聴覚,触

覚など他の感覚機能を使用する。 

不十分な照明,煙,霧など環境条件が良好でない場合は,視認性が低下し,上記と同様の影響の多くが

多数の人々にもたらされる。 

7.2.2.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 視覚情報を補完又は代替するための,聴覚,触覚など複数の情報表示方法 

− 使用状況に適した大きさ,コントラスト,様式,輝度,明るさ及び視距離 

25 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− まぶ(眩)しさの回避 

− 色分けで伝えられる情報を補完,又は置き換えるための代替的な識別情報,例えば,形又は質感によ

る情報表示 

− 個々の使用状況に適した書体及びその配置[大きさ,文字間隔,セリフ(欧文活字の始点又は終点に

付くひげ飾り)の有無,斜字体,文字の太さなど] 

− 視覚情報及び操作部の,目立つ位置への配置,又は位置を移動可能,調整可能とすること,若しくは

複数の位置への配置 

− 視覚的に発作を引き起こすきっかけとなるような,フラッシュ光,点滅する文字若しくは物又はビデ

オ画面のちらつき度合いの回避 

− システム及び/又はシステムの構成部分の各部の識別を容易にするための特色のある形状(上・下,

正面・裏,入口・出口などの方向性を含む。) 

− 段差及び危険な場所に関して,視覚障害のある人への注意を促す,色の付いた床面の標識 

− 階段,ホームの端又は横断歩道への注意を促す触覚式の床面標識 

− 歩行者が安全に道路を渡れる時を知らせる音響装置付き交通信号機 

− 関連する福祉機器及び支援機器との互換性,並びにそれらの機器への配慮 

注記 ロービジョン(弱視)及び全盲の人のための福祉機器,支援機器及び支援行為には,盲導犬,

案内支援,音声機能付GPS(全地球測位システム)装置,専用のソフトウェア(画面上の文章

を人間の合成音声で読み上げる,又は点字で出力するスクリーンリーダーなど)を組み込んだ

コンピュータ,音声時計及び音声体温計,支援用にデザインされたバーコードスキャナー,携

帯用コンピュータ,タブレット型コンピュータなどがある。 

7.2.3 

聴覚機能 

7.2.3.1 

概説 

聴覚機能(ICF: b230)は,音声及びその他の音の存在の感知,並びに音の位置,高さ,大きさ及び質の

識別に関連する機能である。 

7.2.3.2 

機能障害及び活動制限 

聴覚の機能障害及び活動制限は,軽度の聴覚機能障害から完全なろう(聾)まで様々である。その影響

には,次を含む。 

− 全周波数帯域の音,特に高い周波数の音を検知する能力の低下 

− 音源の位置を特定する能力の低下 

− 特に周囲の騒音が大きい,又は音源と聞く人との距離が遠い場合に,低い音量の音を検知する能力の

低下 

− 特に周囲の騒音が大きい,又は音源と聞く人との距離が遠い場合に,音又は音声を聞き分ける能力の

低下 

− 音量の突然の変化に適応する能力の低下 

− 二人以上の人が同時に話している時に,会話を聞き分けて内容を聞き取る能力の低下 

− 特定の周波数及び音量の音に耐える能力の低下(聴覚過敏) 

− 録音物において音声(説明を含む。)を,背景音から分離して聞き取る能力の低下 

ろう(聾)の人々は,情報を得るために視覚,触覚などの他の感覚機能に頼ることがある。ろう(聾)

の人々の中には,書き言葉と話し言葉との両方を理解することが困難な人がいる。 

聴覚機能障害のある人々が聴覚から得る情報は,不十分であるか,又はひずんでいたりする場合がある。

26 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

音量,周波数及び明瞭性は,聞こえに影響を与える重要な要素である。聴覚機能障害のある人々の中には,

速度の速い聴覚情報を理解するのが困難な人がいる。情報入手の手段には,視覚,触覚など,聴覚以外も

利用する。 

騒音がある(鉄道駅,バー,レストランなど),音声メッセージが外国語であるなど環境条件に不都合が

ある場合,聞こえが低下し,上記で挙げたものと同様の影響の多くが多数の人々にもたらされる。 

7.2.3.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 聴覚情報を補完又は代替するための視覚情報(文章又は図),触覚情報などの複数の情報表示方法 

− 使用状況に応じた,適切な音量,高さ及び周波数の音声アナウンス,警告及び警告音 

− 複数の周波数があり,広い範囲で調整可能な音量 

− 急な音量変化のない報知音 

− アナウンスの音量と背景騒音との間の一定の信号対雑音比(SN比) 

− 磁気誘導ループ,赤外線システム,無線システムなどの多人数用補聴器具又はコミュニケーションシ

ステム 

− 聴覚機能障害のある人々の緊急時の危険を軽減する,目に見える文字(場合によっては手話),並びに

適切な音量及び音の高さによる緊急アナウンス 

− 背景音を低下させ,聞こえるべき重要な音を際立たせる良好な音響環境 

− 関連する福祉機器,支援機器及び支援行為との互換性並びにそれらの機器への配慮 

注記 難聴者及びろう(聾)の人々のための福祉機器,支援機器及び支援行為には,手話,コミュニ

ケーション補助者,聴取支援装置(ALDs: assistive listening devices),視覚伝達機器類,同時字

幕,ろう(聾)者用遠隔通信装置[TDD:ろう(聾)者用テレコミュニケーション装置,TTY:

テレタイプ端末],文字電話,音声認識機器類,視覚信号又は振動による注意喚起装置,補聴器

(従来の補聴器及び/又は人工内耳)などがある。 

7.2.4 

触覚 

7.2.4.1 

概説 

触覚(ICF: b265)は,表面,手触り又は質感の感知に関連する機能である。触覚には,温度,震動,震

え,振動,表面の圧迫,深部の圧迫などの刺激を感じる機能を含む。 

7.2.4.2 

機能障害及び活動制限 

触覚の低下及び/又はひずみによる機能障害及び活動制限は,様々である。機能障害及び活動制限の影

響には,次を含む。 

− 物体,表面,手触りなどの違いを感じる能力の低下 

− 温度及び有害な刺激(鋭い先端,腐食性の物質など)を感じる能力の低下 

− 物及び操作具を扱う能力及び操作する能力の低下 

− タッチパネル又は類似の制御装置を使用する能力の低下 

触覚に機能障害のある人々は,視覚,聴覚など触覚以外の感覚を利用して情報を得ることがある。触覚

が過敏な人々は,他の人には不快感をもたらすだけの刺激であっても負傷することがある。 

触覚の感受性が低い人々は,負傷の原因となる鋭い先端,極端に熱い表面,冷たい表面などの刺激の回

避が困難なため,十分な感受性があり,刺激を回避するための行動がとれる人々に比べて負傷しやすい。 

周囲の温度が低いなど,環境条件が良好でない場合は,上記と同様の影響の多くが,多数の人々にもた

らされる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.2.4.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 触覚情報又は生体認証を補完又は代替するための視覚情報,聴覚情報など複数の情報表示方法 

− 目及び声での制御,センサー,自動制御,遠隔制御などの複数の制御方法 

− 鋭い先端,鋭いへり及び危険な突起のある表面の回避 

− (不注意の結果であっても)触れる可能性のある表面が,過度な高温又は低温になることの回避 

− 製品及びその部品の識別を容易にし,それによって,使用,取扱い又は組立を容易にできる,特色の

ある形状 

7.2.5 

味覚及び嗅覚 

7.2.5.1 

概説 

味覚(ICF: b250)は,舌の受容体による五つの基本的な特性,すなわち,苦味,甘味,酸味,塩味及び

滋味(旨味)の感知に関連する機能である。嗅覚(ICF: b255)は,香り及び臭気を感知する鼻の受容体の

使用に関連する。味覚及び嗅覚は,通常,識別可能な香り及び風味を識別するために,一緒に使用される。 

7.2.5.2 

機能障害及び活動制限 

味覚又は嗅覚の低下及び/又はひずみによる機能障害及び活動制限は,様々である。その影響には,次

を含む。 

− 香り及び風味を区別する能力の低下 

− 傷んだ食物,煙の検知など,危険又は有害な物質を特定する能力の低下 

味覚及び嗅覚の機能障害のある人々は,視覚,聴覚,触覚などの他の感覚を利用して,情報を入手する

ことがある。 

一般的な風邪をひいているなど,条件が良好でない場合は,上記と同様の影響の多くが,多数の人々に

もたらされる。 

7.2.5.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 味覚及び嗅覚から得られる情報を補完又は代替する複数の情報表示方法 

− 成分,その使用期限及び有効期限の表示情報 

− 煙又は危険な化学物質の存在を人々に警告する視覚信号及び報知音 

− 強烈な臭い又は味に関して警告する情報の提供又は表示 

− 必要な場合(香り及び味のある食物など)以外の,臭気及び味覚の最小化 

7.3 

免疫系の機能 

7.3.1 

概説 

身体の免疫系の機能(ICF: b435)は,特異的及び非特異的免疫反応による外部物質(感染症を含む。)

に対する防御の機能に関連する。 

7.3.2 

機能障害及び活動制限 

アレルギー(物質に対する免疫反応),過敏症(物質に対する非特異的反応)など,免疫系の機能に関連

する機能障害は多様であり,軽度なもの又は不快な程度のものから生命を脅かす反応を起こすものまであ

る。これらの機能障害は,通常,接触,摂食及び呼吸の3種に分類される。この箇条は,物理的環境にお

ける化学物質への過敏症にも関連している。 

免疫系の機能に関する機能障害の影響には,体に影響する物質への暴露,接触及び/又は摂取に対する

耐性能力が低下することなどがある。そのような物質は,システムを使用する人の障壁となる可能性があ

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る。 

7.3.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 過敏症の誘因として知られるアレルゲン,刺激物質及び化学物質の,製品,食料品及び環境への含有

の回避 

− アクセシブルな様式での成分及び内容(過敏症の誘因として知られるアレルゲン,刺激物質及び化学

物質を含む。)に関する適切な情報提供及び表示。この情報の提供は,主に国内法又は国際基準に従い,

次のものを含む。 

− 成分の一覧 

− 含有されている主要なアレルゲン又は刺激物質を明記した添付の説明書 

− アレルゲン及び刺激物質に関わる,重要な成分の変更などについての警告 

− 空気中のアレルゲンをフィルターで除去する換気システム 

− 屋内湿度レベルの制御,適切な清掃の実施などによる,かびの成長防止 

− 公共の場所でのほこりのたまりやすい備品導入の回避 

− ホテルの禁煙ルーム及びアレルゲンを使用していない部屋,公共交通機関での動物禁止エリアなど,

アレルギーの誘因がない場所の設置 

7.4 

身体の能力及び特性 

7.4.1 

一般 

活動制限は,身体的能力の多様な特性及び機能障害から生じる。また,アクセシビリティの促進に関す

る配慮のないシステムとのやりとりから生じる。 

7.4で扱う身体的能力は,次による。 

− 身体の大きさ(7.4.2を参照) 

− 上半身及び下半身の動作(7.4.3及び7.4.4を参照) 

− 強さ及び持久性(7.4.5を参照) 

− 発声及び発話(7.4.6を参照) 

7.4.2 

身体の大きさ 

7.4.2.1 

人間の身体の大きさ,体形及び関連ニーズ 

人間の身体の大きさは,質量(重量),並びに立位,座位及び腕の力を抜いた状態若しくは腕を広げた状

態で計測する静止線の寸法の範囲の測定データ一式によって表される。人間の身体の大きさには,年齢,

性別,更に世界の地域によって顕著な差異が存在する。 

人間の身体の大きさ及び形状は,手足の切断,低身長,自然な立位の高さ,高身長,肥満などによって

かなり異なっている。一般的に加齢とともに身長が縮む。 

異なる種類の人体測定値は,通常は直接には比例しない(例えば,身体の形状及び質量は,身長からは

計算できない。)。相互に関係のある人体の大きさの値は,アクセシビリティに関連する配慮点に影響を与

える。 

余裕のある空間の必要性は,介助者及び介助する動物[身体障害者補助犬(盲導犬,聴導犬及び介助犬)

又は障害のある個人を援助するように訓練された他の動物]の存在,並びに福祉機器,支援機器及び設備

の有無に関連する場合がある。人間の身体の寸法以上のスペースを必要とする関連装備には,保護用スー

ツ類,装具類,個人用移動補助具,ベビーカー,大きな荷物などがある。 

大きさ,空間及び負荷に関連する設計要求事項及び推奨事項の決定に当たっては,そのシステムとやり

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とりする可能性のある最も小柄な人々及び最も大柄な人々並びにその人たちが使用する装備類の寸法及び

質量の値の範囲が利用できる。一部の人々の大きさ,体型又は質量に適合していないシステムは,それら

の人々にとって非常に不便で危険である可能性があり,全く利用できなくなるおそれがある。 

7.4.2.2 

機能障害及び活動制限 

機能障害及び身体の大きさ並びにそれらに伴って必要とされるスペースの広さは多様であり,引き起こ

される困難も,軽度の不便さから重大な活動制限の範囲まで広範囲にわたる。アクセシビリティに関連す

る機能障害,身体の大きさ及び必要とされる空間の多様性による影響には,次を含む。 

− 移動して,システムを制御する又はシステムとやりとりする能力の低下。これは,手足の切断,成長

程度の違い,座位でいなければならない姿勢上の制約などといった,身体の大きさ又は形状に影響を

与える機能障害に起因する。 

− 非常に小さい身体又は背の低さ,及び体型の特性に起因する,システムに手を伸ばして届く,見る,

足で踏む又は別の方法でシステムとやりとりする能力の低下 

− 非常に大きい身体又は背の高さ,及び体型の特性に起因する,システムの利用,身体への快適な適応

又はその他適切な方法でシステムとやりとりする能力,及び/又は距離を移動する能力の低下 

− 必要な介護者,介助のための動物及び/又は設備を許容する空間の不足に起因する,環境に適応し,

システムとやりとりする能力の低下 

7.4.2.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる大きさ,空間及びシステムの負荷能力に関する設計配慮点には,次

を含む。 

− 建築環境における余裕のあるスペース 

− 保護用スーツ及び個人用の保護装置のためのスペース 

− 複数の大きさでの提供及び/又は調節可能性 

− 背の高い人が入れる高さのスペース 

− 太った人が通れる幅 

− 背の低い人に適した段の高さ及び手の届く距離 

− 福祉機器,支援機器,介助用の動物及び介助者のためのスペース 

− 大きな質量(重量)に耐え得るシステム部品の適切な荷重容量 

− 座位又は立位のユーザーから重要な部分に対して視線を遮るものがないシステム 

− 座位又は立位のユーザーが全ての部位に楽に届くシステム 

− ユーザーの身体の大きさ及び体型の多様性に適合するシステム部品の握りの寸法 

7.4.3 

動作:上半身構造の機能及び手を細かく使用する能力 

7.4.3.1 

概説 

上肢の構造(ICF: s730)は,肩,上腕,肘,前腕及び手を含む。 

手の細かな使用は,器用さ及び操作に関連し,次を含む。 

− 物をつまみあげる,握る,操作する,放す及び物を扱うときの協調動作の実行 

− テーブルから物をつまみあげたり,ダイアル又はノブを回したりするなど,自分の手及び指を使って

物をつまみあげる,操作する及び放す行為 

7.4.3.2 

機能障害及び活動制限 

上半身構造の動作に関連する機能障害は,人の平衡,協調動作,感覚,及び頭・手・体の動きに影響を

与える。機能障害及び活動制限の影響には,次を含む。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 物を回す又は曲げる能力の低下及び手を動かすことに関わる他の機能障害 

− 親指と他の指とを近づける能力の低下又は大きく離す能力の低下 

− 物を押しながら回すといった複雑な操作をする能力の低下 

− 包装を開ける,留め金具を扱う,針に糸を通すなどの協調動作及び正確性を必要とする作業を行う能

力の低下 

− 手の細かい動作を妨げる不注意による動作又は無意識の動き(震えなど) 

− 肩の関節及び/又は肘の関節の動きの範囲が制限されることに起因する,離れたところにある又は床

にある物に手を届かせる能力の低下 

− 上半身の弱さ又は筋骨格の一時的な傷害に起因する,重い又はかさばる物を扱う能力の低下 

− 利き手でない手(左手又は右手)の使用を強いられることによる能力の低下 

7.4.3.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 製品の質量(重量)を減らすための軽量又は低密度の製造素材の使用 

− 片手又は両手でつか(掴)みやすく,持ち上げやすく,かつ,運びやすい形状の製品 

− 握りやすく,手首を回す必要がなく,抵抗が最小限の手動操作具 

− 複数の操作具を同時に操作する必要のない操作具 

− 器用さに制約のある人々の握る動作又は操作の助けとなる滑りにくい表面 

− 摩擦を大きくして,力を入れやすいように工夫したざらつきのある表面加工 

− 不注意によって,意図せず制御装置を作動させてしまうことを防ぐ操作具の設計及び間隔設定 

− 適度に弱い力での操作で簡単に開け閉めできる容器 

− 製品の包装の開封から,製品の組立及び取付け,又は操作に至るまでの単純で簡単な手順 

− 押しながら回すような,二つの動作を同時に行うことの回避 

− 上半身動作の機能障害に適応するための代替操作部 

注記 物の正確な配置が必要な場合,空間の方向を明確に感知して,手でそれを適切及び快適に持つ

ことができるよう配慮する(ISO/TR 22411:2008[10]の7.3.1.1参照)。 

7.4.4 

動作:下半身構造の機能 

7.4.4.1 

概説 

下肢の構造(ICF: s750)には,次を含む。 

− でん(臀)部,もも,膝,すね,足首及び足 

下肢を使用する動作には,次を含む。 

− 体の位置の維持若しくは変更又はある場所から他の場所への移動 

− 歩行,階段の昇降,又は自由に移動する動作(装置,車椅子,歩行器などの福祉機器を必要とする場

合を含む。) 

− 押す,蹴るなどといった,下肢を使った物の移動 

7.4.4.2 

機能障害及び活動制限 

下半身構造の動作に関連する機能障害は,人間の平衡,協調動作,感覚並びに身体,もも,脚,足首及

び足の動作に影響を与える。その影響には,次を含む。 

− 歩く,自由に移動する,階段又ははしごの昇降,及びある場所から他の場所へ移動する能力の低下 

− 運転する能力又は他の交通機関を利用する能力の低下 

− 向きを変える,体を曲げる又はバランスをとるときに身体を制御する能力の低下 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− ひざまずく,座る,起き上がる,立つ,歩く及び/又は階段若しくははしごを上ることの困難 

− 物を動かすために,足全体を使った協調動作を実行する能力の低下 

− 滑る,つまずくなど,転倒につながる平衡感覚障害の可能性の増大 

注記 平衡感覚障害は,関節の回転及び肢の動作の敏しょうな反応を必要とし,バランス制御シス

テムに過大な負荷をかけることがある。ごく小さい隆起又は突起でもつまずくことがある。

また,前庭神経機能障害も,平衡感覚に異常をもたらすことがある。 

− 平衡機能障害に起因する,転倒のおそれの増加 

重い靴,底が滑りやすい靴,ハイヒールなどを履いているように,条件が良好でない場合は,動作が阻

害される可能性がある。 

7.4.4.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 滑りにくい又は敷居のないレイアウト(建物内,舗装された屋外などの環境において) 

− 床面の高さの急な変化,障害物,隆起又は突起の回避 

− エレベータ,昇降システムなどの設備 

− 車椅子,歩行器,歩行補助具などを操作及び使用できる適切な勾配及び十分な空間のある傾斜路 

− 適切な寸法で手すりが両側にある階段 

− 運動・移動に制限がある人々が自動ドアを通過したり,横断歩道を渡るのに十分な時間 

7.4.5 

筋力及び筋の持久性 

7.4.5.1 

概説 

筋力の機能(ICF: b730)は,一つの筋又は筋群の収縮によって生み出される力に関連する。 

筋の持久性機能(ICF: b740)は,筋肉収縮を必要なだけ持続させることに関連する。 

関連する活動には,全身の心身機能を必要とする持ち上げる活動及び登る活動がある。 

7.4.5.2 

機能障害及び活動制限 

身体の筋力の機能障害は,日常の活動及び生活の質に多大な影響を与える。機能障害及び活動制限の影

響には,次を含む。 

− 筋力及び持久性の低下 

− 握力の低下(システムを操作する際の抵抗又は回転による困難又は苦痛をもたらす。) 

− システムの使用に長時間の動作が必要とされる場合の疲労 

− 重い物を地面に下ろす,椅子に座るのが困難となるなどの受動的動作(重力のような外部の力が動き

を生み出す場合)をコントロールする能力の低下 

床が滑りやすい若しくは平らでない,又は重い靴,底が滑りやすい靴,ハイヒールなどを履いているよ

うに,条件が良好でない場合は,上記と同種の影響の多くが,多数の人々にもたらされる。 

7.4.5.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 手全体を使って握ることのできる仕組み(親指,及び人指し指又は中指を使用してつまむよりも少な

い力で負荷をかけることができる。) 

− 持ち上げる,持つ,運ぶ,開くなどの,システムの取扱いに必要な動作に適したシステムの特性(大

きさ,質量など) 

− 長時間にわたる取扱い及び不必要な反復操作の回避 

− 長時間支えがなく,立ったまま待つ長い列の回避 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 下半身の動きで操作できる,自動車の代替的な運転手段 

7.4.6 

音声及び発話 

7.4.6.1 

概説 

声は,発声器官で生み出される音であり,通常は発話(ICF: s398)となる。 

音声機能(ICF: b310)には,構音[話し言葉(音声言語)の音声を産生する機能],音量,流ちょう(暢)

性,速度,韻律,リズムなどの種々の側面がある。 

機能障害は,失声(発声不能),不完全な発声(発声困難),がらがら声,耳障りな声(しわがれ声),及

びきつ(吃)音を含む。 

関連する活動には,話すこと及び会話をすることが含まれる。 

7.4.6.2 

機能障害及び活動制限 

発声及び発話の機能障害は,発話によって意思疎通し,情報を伝える能力に影響を与える。機能障害及

び活動制限の影響には,次を含む。 

− 社会的なやりとりの減少 

− 社会活動への参加の減少 

− 音声入力を使用するシステムとやりとりする能力の低下 

周囲の騒音のレベルが高いなど,環境条件が良好でない場合にも,上記と同様の影響が生じることがあ

る。 

7.4.6.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 文章,顔の表情,手の動き又はジェスチャー,姿勢,その他のボディランゲージなど,コミュニケー

ションのための代替様式 

− シンボル,補助具,技法及び/又は方策に基づく拡大・代替コミュニケーション 

− 音声合成装置,コミュニケーション用アンプ,コミュニケーション用ビデオなどの福祉機器の使用に

対する支援 

− 対話形の音声システム及びインターホンシステムとやりとりするための,リアルタイムテキスト(要

約筆記を含む。)などの代替方式の提供 

7.5 

認知能力 

7.5.1 

概説 

認知は,情報の理解,統合及び処理を行う能力であり,これには,観念の抽象化及び組織化,推論,分

析及び統合(ICF: b164)が含まれる。認知は,複雑であり,次を含む多くの精神機能(ICF: b1)による。 

a) 知性,意識,活力及び動機付けのような全般的精神機能 

b) 次のような個別的精神機能 

− 知覚(刺激を認知し,解釈する能力) 

− 注意(注意を維持,移動,配分及び/又は共有する能力) 

− 学習 

− 記憶(情報を登録し,貯蔵し及び/又は必要に応じて再生する能力) 

− 言語(メッセージを作る能力,及び理解する能力) 

− 推論 

− 問題解決 

− 意思決定 

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− 読解 

c) 感情(情動)機能 

7.5.2 

機能障害及び活動制限 

7.5.1に示した,全般的精神機能,個別的精神機能及び/又は感情機能の障害は,知的機能が平均的又は

それ以上である人々を含むどのような人にでも発生し,活動制限をもたらす可能性がある。 

認知機能障害は,活動遂行能力の低下及び/又は社会的参加の困難さに関連することがある。 

機能障害と関連した活動制限は,次に影響を及ぼす。 

− 活動を計画,開始,遂行及び終了する能力 

− 思考及び活動を整理する能力 

− 注意を維持し,重要な刺激又は情報に集中し,注意が散漫にならない能力 

− 複数の作業を平行処理する能力(複数の操作,作業又は作業の各要素に対して注意を配分する能力) 

− 技能を維持する能力(車の運転技術など) 

− 作業又は活動を遂行し,タイミングよく反応する速度 

− 情報を貯蔵し,再生する能力(時間に関連した出来事を思い出す,事実を思い出すなど) 

− 情報を知覚する能力(正確でスムーズな言葉の認識など) 

− 学習能力 

− 一般化及び関係付けの能力 

− 問題の認識,解決策の確認,選択及び実行,並びに結果の評価を含む,問題解決能力 

− 理解する能力及び/又は自分の考えを表現する能力[理解すること,伝えること,話すこと,流ちょ

う(暢)性,書くこと,反復すること,正確な名称で呼ぶこと,記号及びシンボルを使用することな

ど] 

− 自己制御及び自己動機付けの能力(怒りやすさ,頑固さ,低ストレス耐性,混乱,見当識障害,不安,

孤独及び憂鬱の増幅など) 

− 文章を使用する方法,図形を使用する方法などの様々な学習又は情報理解の方法のし(嗜)好 

刺激が強い環境下[例えば,せん(閃)光の明滅,人混みの中]など,環境条件が良好でない場合,多

くの人々が当惑又は混乱し,上記と同様の影響が多数の人々にもたらされる。 

7.5.3 

設計配慮点 

アクセシビリティの促進につながる設計配慮点には,次を含む。 

− 時間及び場所に関する情報 

− 活動の開始と終了とを示すスケジュール,構成及び合図 

− 詳細情報の提供前に,次に起こることの概要をユーザーに知らせる。 

− プロセス実行中にユーザーの注意が持続するように,支援する適切な反応・合図・催促 

− ユーザーのニーズ及びし(嗜)好に合わせて調節可能な反応 

− 刺激を与えるだけでなく,同時に注意が散漫にならないようにする環境又は表示 

− 個人の状況,能力及びし(嗜)好に適応可能なシステム及び手順 

− 類似種の製品に関する,配置(レイアウト),反応及び制御論理の設計を同じようにする。 

− 操作の順序に関するエラー許容性 

− 情報を理解・吸収し,反応するための柔軟な時間設定 

− 製品包装の開封,組立,取付け,操作などの単純で簡単な手順 

− 複数の情報表示方法(文章の読み上げ,文章への図の追加,広く認識されているシンボルによる提示

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など) 

− ユーザーの使用言語で理解しやすい情報及び説明書 

− システムがユーザーに期待することを明確に伝える。 

− 取扱説明書なしで(可能な限り)使用できるシステム 

− 学習を容易にする方法(一般的に,実際に行いながら学習する方が,説明書を記憶する又は繰り返し

読み聞きするよりは,簡単である。) 

− 直観的かつ簡単にたどれるように設計された緊急避難経路,及び障害のある人々が利用できる代替経

路の明確な表示 

− 関連する各種の支援,福祉機器及び支援機器の適用及び互換性 

注記1 認知機能障害のある人々に対する福祉機器,支援機器及び支援の例には,補助者,専用の支

援ソフトウェアを組み込んだコンピュータ,携帯用コンピュータ,タブレット型コンピュー

タなどがある。 

注記2 対応国際規格では,9番目の細別の内容が8番目の細別と重複しているため,この規格では,

省略した。 

注記3 対応国際規格では,13番目の細別と18番目の細別との内容に重複している部分があるため,

この規格ではこれらの内容を統合して12番目の細別とし,ISO/IEC Guide 71の18番目の細

別を省略した。 

様々な認知機能障害のある人々のための設計配慮点は,認知の負荷を軽減するので,大半の人々に便利

さをもたらす(簡単に記憶できるようにする,エラーを少なくする,複雑な問題を解決しやすくするなど。)。 

規格でユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点を考慮するための方策 

8.1 

一般 

規格作成者がアクセシビリティ到達目標のアプローチを使用してユーザーアクセシビリティニーズを特

定する場合,又は人間の能力及び特性のアプローチを使用して設計配慮点を特定する場合,いずれの場合

であっても,これらのニーズ及び配慮点は,規格の中でアクセシビリティの要求事項及び推奨事項として

規定することができる。 

箇条8では,規格作成者が規格の中で特定のアクセシビリティの要求事項及び推奨事項を規定するため

に適用できる八つの方策を8.2.1〜8.2.8に規定する。 

これらの方策は,特定されたユーザーアクセシビリティニーズ又は設計配慮点を満たすことができる方

法である。規格作成者は,作成中の規格の背景及び詳細を考慮し,ユーザーアクセシビリティニーズ及び

設計配慮点から要求事項及び推奨事項を作成するために最もふさわしい方策を検討し,選択することが望

ましい。 

特定された単一のユーザーアクセシビリティニーズ又は設計配慮点を満たすために複数の方策が必要な

場合もあり,また,単一の方策を適用することで,複数のニーズ及び配慮点に配慮できる場合もある。 

さらに,これらの方策は,システム設計だけではなく,ユーザーとのやりとり,作業及び活動の計画に

も適用することができる。提示された方策は,ユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点に配慮す

るために広く使用される方策であるが,全てを網羅するものではない。 

提示したそれぞれの方策の後には,ある作成規格の中でその方策を適用した結果として想定される要求

事項及び推奨事項の事例を一つ又は複数挙げた。これらの事例は,説明の目的で挙げたものであり,実在

35 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の規格に存在する指針を示すことは意図していない。実際には,規格の要求事項及び推奨事項の詳細さの

レベルは様々である。 

8.2 

ユーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点に基づく要求事項及び推奨事項の作成 

8.2.1 

情報表示及びユーザーとのやりとりの複数の方法の提供 

8.2.1.1 

一般事項 

目的の作業を実行する場合,活動を行う場合,又はサービスを受けたり使用する場合の,いずれの場合

においても,一つの情報を知覚できる二つ以上の表示方法,及びユーザーが目的を達成するためにシステ

ムとやりとりできる複数の方法を使用することが望ましい。 

8.2.1.2 

複数の情報表示方法の提供 

一つの情報を知覚できる複数の表示方法の提供は,次のいずれか又は両方による。 

a) 複数の感覚種類によって情報を提示する(例1参照)。 

b) 同じ感覚種類の二つ以上の様式で情報を提供する(例2参照)。 

この基本的な方策は,代替様式と呼ばれることがある。このように,同じ情報をユーザーに対して聴覚

及び視覚,視覚及び触覚,又は聴覚及び触覚といった組合せによって提供してもよい。また,さほど一般

的ではないが,他の感覚種類(例えば,味覚,嗅覚)を視覚,聴覚又は触覚との組合せで使用してもよい。 

例1 ポケットベルシステムの規格で,ポケットベルの呼出しを振動,及び聴覚又は視覚によって提

示することを要求する。 

例2 録画装置の取扱説明書の規格で,録画装置又はそのリモコンの取扱いに関する文章による説明

の記載とともに,同じ情報の視覚的な図解を提供することも要求する。 

8.2.1.3 

ユーザーとのやりとりの複数の方法の提供 

人々が目的の作業若しくは活動を完了するため,又は同じ目標に向けてシステムとやりとりするために,

複数の方法を利用できることが重要である。規格作成者は,これらの複数の方法を提供することを規格に

規定することができる(例1〜例4参照)。 

例1 ソフトウェアの規格で,キーボード又は音声入力のいずれかをユーザーが選択して,システム

にデータを入力することを可能にすることを要求する。 

例2 家電製品の規格で,器具の操作具を左右どちらの手でも操作可能にすることを要求する。操作

具は,いずれの手でも同様に使用できるようにするのがよい。 

例3 顧客サービスの規格で,電話又はEメールのいずれでも顧客サービスへ連絡可能とすることを

要求する。 

例4 建築の規格で,建物のある階から他の階に移動するための階段とエレベータとの両方を提供す

るように規定する。 

8.2.2 

より多くのユーザーに適用するための固定変数の設定 

例えば,公共の建物のドアの最小幅など,設計変数をある値に固定する必要がある場合,アクセシビリ

ティが制限される人々の数を最も少なくできる値に設定することを考慮することが望ましい。 

設計変数の多くは,一つの特定の値だけにしか設定することができない。例えば,ある建物の標準的な

ドアの幅は一つであり,タブレット型コンピュータのような,ある消費者生活用製品の質量には,特定の

値がある。 

このような場合,規格作成者は,設計値として選択した値が,より多くのユーザーに適用するために最

適な選択かどうかを考慮することが望ましい(例1〜例4参照)。 

最後に,固定値として考えられていた設計値が,次の例3で説明するように,より多くのアクセシビリ

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ティニーズを満たすために,実際に調整できるかどうかを検証することが望ましい。 

例1 洗濯物が乾燥したことを示す洗濯乾燥機の報知音に対する要求事項では,報知音を,中心周波

数を400 Hz〜2 000 Hzの間とする複数の周波数で設定することを規定する。規格作成者は,よ

り多くのユーザーが報知音を聞くことができるように,この仕様が適切であるか検討する。 

例2 公共の建物の規格では,太った人及び/又は車椅子使用者の通過が可能なように,ドアの幅と

して適切な最小幅を規定している。 

例3 医療では,診察室の検査台の高さが固定されている場合が多い。患者と診察者との視点からユ

ーザーアクセシビリティニーズ及び設計配慮点を評価したところ,規格作成者は,検査台の高

さを調節可能とする必要があることを認識した。この場合,固定設計値だったものが調整可能

な設計変数となり,規格の要求事項は,これを反映した方法で規定することになる。 

例4 郵便サービスの規格で,より多くの郵便職員が郵送された小包を持ち上げ,運ぶことができる

ように,配達の小包の質量を(例えば,27 kgでなく18 kgに)制限する。 

8.2.3 

より多くのユーザーに適用するための調整可能な変数の設定 

調整可能な変数の範囲が,より多くのユーザーのアクセスを可能とするために十分かどうかを検討する

ことが望ましい。 

調整の可能性を提供することは,特に,アクセシビリティニーズが特定の設計変数に関して多様である

場合に,アクセシビリティニーズに配慮するために,一般的に使用される方策の一つである(例1及び例

2参照)。 

例1 自動車の運転席の前後調整の制御は,身体とハンドルとの間に通常よりも広い空間が必要な

人々も,足が最も短い又は最も長いドライバーでも快適に適応できるように設計されている。 

例2 ヘッドフォンに提供する音量設定の範囲を,できるだけ多くの聴覚障害に適用できるようにす

る。 

8.2.4 

不必要な複雑さを最小限とする 

8.2.4.1 

一般事項 

ユーザーの作業,活動及びその作業を実行するシステムが複雑になればなるほど,人々はアクセシビリ

ティの問題に悩まされることが多くなり,目的の達成を妨げるエラーを起こしやすくなる。 

複雑さが必要な場合もあり,それが望ましい場合もある。しかし,より多くの人々が目的の作業を遂行

し,サービスにアクセス・利用し,製品を使用し,建築環境を移動又は利用することができるように,不

必要な及び/又は望ましくない複雑さを取り除いて,多くの設計を単純化し,合理化することが重要であ

る。 

システムが複雑で,多くの機能をもつ場合,基本的なシステムの機能を分かりにくくしないように設計

することが重要である。 

設計が全体の複雑さに影響を与える側面は多いので,次に記載するように,不必要な複雑さを減少させ

るために規格作成者が利用できる方法も多数存在する。 

8.2.4.2 

言葉の単純化 

システムの説明書が,専門用語,稚拙な文章構造又はユーザーが理解できる範囲を超える用語を用いた

ものである場合,ユーザーのシステム理解及び使用が阻害される可能性がある。巧みに構成された文章及

び一般的に使用されている用語を使用すること,並びに専用用語の回避によって,アクセシビリティが高

められる(例参照)。 

例 家電製品の取扱説明書に関する規格では,“取扱説明書は12歳の子供のレベルに合わせた文章で

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

書くことが望ましい”と規定している。 

8.2.4.3 

活動及び作業の単純化 

作業を完了するために,ユーザーに長い連続したステップを実行すること,及びそれらのステップを特

定の順番で実行することをシステムが要求すると,エラーの可能性が増大し,一部のユーザーが目的を達

成できる可能性が減少する。不必要なステップを省略できるか,又はユーザーがステップを実行するとき

に柔軟性(休止する,保存して後で再開するなど)がある場合,アクセシビリティは高まる(例参照)。 

注記 この方策は,実行する技術に対してある作業ステップ又は活動を割り当てし直すことが必要と

なる場合がある。 

例 携帯電話の規格で,人の名前を言うか,電話帳に表示された人の名前又は写真を触るだけで電話

をかけることができるようにすることが望ましいと規定する。こうすることで,電話をかけると

きに,電話番号を正しく読む又は覚えることが困難な人,及び身体的に電話に番号を入力するの

が困難な人にとって,厄介な電話番号を入力する作業を省略することができる。 

8.2.4.4 

基本的な機能への容易なアクセス 

任意に選択できる機能が,システムの基本的な機能が分かりにくくなるような方式で組み込まれている

と,アクセシビリティの問題が発生することがある。このような場合,主要なシステムの基本的機能とし

て意図した機能へのアクセス及び使用の妨げとなる。 

この問題を回避する一つの方法は,基本的なシステムの機能をアクセシブルであり,かつ,使いやすい

ものにすることである。すなわち,一部のユーザーにとっては注意をそらす,又は混乱させるだけの任意

選択機能によって,基本機能が分かりにくくならないようにすることである。この方策を実際に適用する

方法は多数あり,その幾つかは,この箇条で紹介する他の方策の使用を必要とするものである(例参照)。 

例 消費生活用製品の取扱説明書作成に関する規格では,基本的な機能の使用に関する説明を最初に

提示し,選択機能又は特殊な機能の説明は,主要なシステム機能性に対する説明とは明確に分離

し,後半部分に掲載することを要求している。複雑な製品に対しては,製品の基本的な操作だけ

に対応する“クイック・スタート”の手引を提供することも規定している。 

8.2.4.5 

情報を使用し決定するための明確な選択肢の提供 

作業又は活動中及びシステム使用中のある時点で,ユーザーがどのような選択肢を利用できるか理解で

きなければ,ユーザーがその選択を決定することは難しい。ユーザーによる情報の利用,及び意思決定を

支援することは,アクセシビリティを高め,全てのユーザーが確実にその目的を達成できるようにするた

めに役立つ。言葉を用いないコミュニケーションの手段(音,ビデオ,アイコンなど)を提供することが

望ましい(例1及び例2参照)。 

例1 音声メッセージシステムの規格では,その時点でどのような選択肢が利用できるか,ユーザー

がいつでもシステムに確認できる機能を,提供すべきであると規定している。 

例2 病院設計の規格には,訪問者を病院内の主要な診療科に案内するための,視覚及び触覚表示に

特化した要求事項が含まれている。 

8.2.5 

システムにアクセスするための個々のニーズへの対応 

個々のニーズへの対応は,個々のユーザーによって異なるユーザーアクセシビリティニーズを満たすこ

とに関係する。この方策を使用することによって,個人に特定なニーズを確実に満たすことができる。個々

のニーズに対応するためには,個人に特有なニーズを確認しなければならない。情報通信技術(ICT)に

制御されているか,又はICTを組み込んだシステムは,個人の要求事項(電子的に蓄積されているか又は

アクセスできる。)に対するアクセスが比較的容易であること,並びに多くのシステム自体の順応性によっ

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て,個々のニーズへの対応によく適した性質を備えている(例1〜例4参照)。多くのサービスも,そのユ

ーザーのユーザーアクセシビリティニーズが確認できる場合には,容易に個々のニーズに対応できる。 

この方策を適用する理由には,個人の安全,機密性,商業的な利便性,尊厳の保持,個々のニーズの対

立などがある。 

例1 タブレット端末のオペレーティング・システムに関連する規格では,一連のプリファレンスを

複数の機器で利用できるようにするため,個人的なアクセシビリティのプリファレンスをクラ

ウド(ネットワーク上のサーバー)に蓄積するためのデータモデル様式を規定している。 

例2 大学の学習管理システムは,それぞれの個人の学習者のアクセシビリティのし(嗜)好及び受

信する機器の特性に合わせたオンラインでの教育内容を配信する。このような学習管理システ

ムは,“学習内容は,し(嗜)好に関する特定の国際規格で規定された様式で提示する個人のニ

ーズ及びし(嗜)好を満たさなければならない”と規定している国内規格に従う。 

例3 ある規格では,クレジットカード及びデビットカード(即時決済取引用カード)の支払いシス

テムが,カードとは別に記録されたアクセシビリティのし(嗜)好を特定し,アクセスする方

法を規定している。これによって,ATM(現金自動預け払い機),支払端末などの機器が,異

なった使用状況で個人の同じし(嗜)好を適用できるようにする。同じ規格の他の部分では,

一連のアクセシビリティのし(嗜)好を作成,編集及び蓄積する方法を規定している。 

例4 支援サービスの提供に関連する品質規格で,“大学管理システムにおいては,特定の授業で特定

の学生に対して手話通訳者及び講義で話されたことを書面による記録で提供できる筆記サービ

スを予約できることが望ましい”,と規定している。可能な場合には,同じ通訳者が,継続して

特定の学生を担当する。また,個々のユーザーアクセシビリティニーズによって必要とされた

場合には,筆記を提供することが望ましいとされている。 

8.2.6 

システムとやりとりする場合の不必要な制限又は制約の排除 

人々は,様々な方法で作業又は活動に従事している。ユーザーがシステムに関わる方法又はシステムと

やりとりする方法を制限してしまうと,アクセシビリティを低下させ,又は一部のユーザーにはアクセス

を不可能にしてしまうことさえある。最も頻繁に遭遇し,しかも不必要なことが多い設計制約の一つは,

ユーザーが目的の作業又は活動を完了させなければならない時間に関する制約である。物事を行うペース

は個人によって異なるので,規格作成者は,アクセシビリティを高める方法の一つとして,時間に関する

制約を排除することを検討してもよい。与えられた制限時間をユーザーが延長できるシステムは,アクセ

シビリティを高める可能性がある(例参照)。 

アクセシビリティを高めるために,規格作成者が排除することを検討できる制約は,そのほかにも存在

する(空間の制約,知識に基づいた制約など)。 

例 電話を使用する顧客サービスの規格では,電話のキーパッド(小形のキーボード)を使用して口

座番号を入力することを要求している。その規格では,口座番号を入力できる時間の長さには制

限がなく,キー入力の速度にかかわらず,口座番号を全桁入力するまでソフトウェアがキー入力

の処理を続行することを規定している。 

8.2.7 

福祉機器及び支援機器との互換性の提供 

システムにアクセスするために,福祉機器及び支援機器を使用する必要がある状況では,規格作成者の

責務は,ユーザーが目標を達成できるように,一般的に使用されている福祉機器及び支援機器との互換性

の提供を確保することである(例1及び例2参照)。 

例1 ソフトウェア製品の規格では,アプリケーションが提示する全ての情報に対して画面読み上げ

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ソフトが利用できなければならないと規定している。 

例2 病院建築設計の規格では,病院のどの区域が車椅子に対してアクセシブルでなければならない

かを規定している。 

8.2.8 

システムの代替版の提供 

規格を作成するかなり前に,企業がシステムの代替版(ある状況においては,製品のシリーズと呼ばれ

る。)の開発に関する決定をしてしまう可能性が高いが,その決定は,アクセシビリティの配慮点に基づい

たものではないかもしれない。規格作成の活動自体によって,アクセシビリティ配慮点に基づく設計変更

の必要性,又はやむを得ず,システムの追加版の必要性が確認される可能性が高い。このため,この方策

をここに提示するものであり,この方策は,規格作成者が設計プロセスで特定されなかった又は満たされ

なかったユーザーアクセシビリティニーズ又は設計配慮点への対応を行うときに利用できる。この方策自

体を実行できるのは設計者だけであることは明らかであるため,規格作成者の役割は,アクセシビリティ

を高める設計のアプローチにおける必要事項を特定すること,及びそれらを実施するために適切な指針を

設計を担う人々に提供することである(例参照)。 

例 ある規格作成委員会は,園芸用具に関する規格を作成するときに,比較的小さな手の人のアクセ

シビリティニーズが,現在入手できる園芸用具の設計では満たされていないことを認識した。こ

のニーズに配慮するために最善な方法を検討したところ,ユーザー全体では手の寸法に非常に大

きな差があるため,代替製品群の導入が最善の案であり,問題解決の唯一の方法であると委員会

は決定した。 

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

アクセシビリティを支援する世界的傾向 

A.1 一般 

ここ何十年の間に,障害及びアクセシビリティに関する理解及び表現には,著しい変化があった。世界

的な高齢化とますます多様化する世界的な消費者市場に対応して,様々な障害のモデルが生まれ,また,

新しい法律・規則,政策及び規格が作られ,設計の動向が出現した。 

注記 対応国際規格では,A.1の箇条が重複していたため,この規格では次の箇条番号を繰り下げて

記載している。 

A.2 世界の人口統計の傾向及び市場の多様性 

“障害に関する世界報告書[27]”(2011年6月に世界保健機関と世界銀行とによって発行された。)による

と,世界人口の約15 %(10億人以上)に,一時的又は恒久的な障害があり,この人達の80 %が発展途上

国で生活している。個人が社会に十分に参加することを妨げる多くの障壁が存在する。 

高齢化に伴い,アクセシブルでユーザブル(使うことができる)なシステムに対する需要は,増大して

いる。 

さらに,様々な国,地域,文化及び人種のユーザーで構成される世界市場においては,様々なシステム

の設計の中で,ユーザーの様々な能力,特性,知識基盤及び期待に配慮することが必要となる。ユーザー

の認識及び経験に基づくシステムのアクセシビリティの要求事項は,システム設計及び開発の重要な原動

力である。 

A.3 障害のモデル 

世界的な障害及びアクセシビリティに対する考え方の変化は,過去何十年の間に生まれた“障害のモデ

ル”に反映されてきた。 

最も初期のモデルは“医学モデル”であり,障害の原因になるとみられる医学的状態を参照して記載し,

障害を説明した。障害管理の焦点は,その原因となっている状態を治療する,又は処置する専門家に当て

られた。 

医学モデルに対応して作成されたもう一つのモデルが,障害の“社会モデル”である。障害は,主とし

て機能障害によって起こるのではなく,社会の成り立ち及び障害のある人々に対応する方法によって起こ

るのであるという主張で,障害の理解に革新をもたらした。社会モデルでは,障害は社会に存在する物理

的,組織的及び考え方による障壁の産物である。 

これらのモデルは,障害の“人権モデル”の作成に影響を与えた。“人権モデル”は,主として国,国家

及び組織が,障害のある人々に対して果たすべき道徳的及び政治的な責任を表している。 

A.4 規制の枠組み,政府の政策及び規格の傾向 

国際連合の“障害者の権利に関する条約(UNCRPD[24])”は,障害のある人々の権利に配慮する基本的

な国際的枠組みである。条約は,2014年末までに約160か国が署名し,約150の国が国内法として批准し

ており,公共施設及びサービスのアクセシビリティの向上を推進することを国の義務としている。 

41 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

“障害者の権利に関する条約”への対応の一環として,多くの国の政府調達規則は,公共調達への参加

資格の前提条件として,製品及びサービスが一定のアクセシビリティの要求事項を満たすことを要求して

いる。 

これらの政府の政策は,アクセシブルな製品及びサービスの市場規模拡大に貢献する。“障害者の権利に

関する条約”の4条(f) 一般的義務は,製品,サービス,設備及び施設に対する規格及び指針の作成におい

て,ユニバーサルデザインを推奨している[24], [25]。 

世界的にみると,一般的な傾向として,アクセシビリティに対するアプローチは,障害のある人々を分

類し,分離するという国家的なアプローチから,ユーザーを様々な個別のニーズをもつ個人として認識す

る,国際的な統合アプローチに移行している。このことは,W3Cウェブコンテントアクセシビリティの指

針[26],米国リハビリテーション法第508条[23],ISO/IEC JTC 1アクセシビリティの特別ワーキンググルー

プ[15]の作業,欧州指令376,420,及び473[17]並びにこの規格を含み,アクセシビリティと密接に関連した

アプローチを考案するための主導的な取組が発展したことによって示されている。 

A.5 デザインの傾向 

ユニバーサルデザイン及びこれと同じような概念(インクルーシブデザイン,デザイン・フォー・オー

ルなど)は,システムを最も広い範囲のユーザーにユーザブル(使うことができる)にすることを指して

いる。これらの概念は,障害のある人とない人との区別をなくすことによって,また,全ての人々を多様

なグループにおける潜在的なユーザーとして含めることによって,バリアフリーデザインのような概念を

超えるものとなっている。これらの概念が意図するのは,“主流な”システムができるだけ多くの人々にユ

ーザブル(使うことができる)になるということである(ただし,全てのユーザーが同じ方法でシステム

を使用することが期待できることを意味するものではない。)。 

これらの概念では,生活の様々な状況で人間がアクセシブルなシステムから利益を受けることが認識さ

れている。製品及びサービスを障害のある人々にとってユーザブル(使うことができる)にする機能は,

その他の全ての人にとっても,便利かつ簡単な使用を可能にする。これは,人々が眼鏡をなくした,足を

骨折した,ベビーカー又はかさばった荷物を持って旅行する場合など,一時的に困難がある場合に特に役

立つ。このため,アクセシビリティ及びユーザビリティが向上すれば,全ての人にとってよりよい製品及

びサービスとなることが多い。 

注記 これらのそれぞれの用語の意味は,世界中で使用する多くの人々及び組織の間で若干の違いが

ある。ただし,近年,ユニバーサルデザイン,アクセシブルデザイン,デザイン・フォー・オ

ール,バリアフリーデザイン,インクルーシブデザイン,トランスジェネレーショナルデザイ

ンなどの用語は,同じ意味で互換的に使用されることが多い。 

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

専門用語の情報源としての国際生活機能分類(ICF) 

B.1 

専門用語の情報源としてのICFの機能 

この規格の一部において,人間の能力及び特性を説明するために,ICF 2001に記載されている専門用語

及び関連参照コードを使用している。ICFの分類は,規格のある部分で使用できる専門用語の情報を提供

する。 

ICFの専門用語は,健康,障害,リハビリテーション(社会復帰),保健医療福祉,保険,社会保障制度,

雇用,教育,経済,社会政策,法令,建築環境設計・変更などの広い分野で使用されている。 

B.2 

ICFの情報ツール 

ICFを初めて使用する規格作成者は,ICFの使用開始に当たり,次のウェブサイトの紹介及びユーザー

ガイド(利用者手引)の情報を確認することができる。“ICFブラウザー”は,規格で使用する専門用語を

確認するために使用できる用語の検索ツールである。 

ICFの紹介及びユーザーガイド(利用者手引)教材は,“ICFイラスト(図解)図書館”で参照できる。 

 http://www.icfillustration.com/icfil̲eng/top.html 

ICFの用語及びコードの場所を確認する用語検索ツールは,“ICFブラウザー”で参照できる。 

 http://apps.who.int/classifications/icfbrowser/ 

ICFブラウザー検索ツールは,世界保健機関の主たるウェブサイトからも参照できる。 

 www.who.int 

B.3 

ICF構成要素の専門用語及び参照コード 

ICF構成要素の用語の定義及びその参照コード文字は,次による。 

− 心身機能('b')とは,身体系の生理的機能(心理的機能を含む。)である。 

− 身体構造('s')とは,器官,肢体,その構成部分などの,身体の解剖学的部分である。 

− 活動('d')とは,課題又は行為の個人による遂行のことである。 

− 活動制限とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。 

− 参加('d')とは,生活・人生場面への関わりのことである。 

− 参加制約とは,個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのことである。 

− 環境因子('e')とは,人々が生活し,人生を送っている物的な環境,社会的環境,及び態度による環

境を構成する因子のことである。 

− 機能障害とは,著しい変異,喪失などといった,心身機能又は身体構造上の問題である。 

ICF参照コード文字の後ろには,ICF構成要素の一連のコード番号が続く。ICFコード番号のそれぞれの

追加の桁は,ICF分類の,より詳細な情報の下位レベルを示している。ICF分類の第1レベルの例は,“b2 

感覚機能”であり,第2レベルは,“b230 聴覚機能”である。 

B.4 

ICFで検索用語として使用する人間の能力及び特性 

表B.1は,ICFで使用する専門用語の検索を容易にするため,“ICFブラウザー”の検索語入力欄で使用

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43 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

することができる用語の一覧表によって,この規格の一部で使用する能力及び特性用語の一覧表を示す。 

表B.1−この規格の人間の能力及び特性のICFブラウザーで使用する検索用語 

この規格で使用する 

能力及び特性用語 

“ICFブラウザー”の検索語入力欄に入力する検索用語: 

http://apps.who.int/classifications/icfbrowser/ 

感覚能力 

感覚 

視覚機能 b210 

見る,視野,目,凝視する,コミュニケーション 

聴覚機能 b230 

聞く,耳,音,傾聴する,コミュニケーション 

触覚 b265 

触る,肌,触覚の,振動,圧力 

味覚及び嗅覚 b250,b255 

味,匂い,舌,感じること,臭気 

免疫系の機能 b435 

免疫のある,アレルギー性の,感受性,物質 

身体的能力 

構造,機能 

体の大きさ 

神経筋骨格,体重,空間 

上半身 s730 

動作,関節,腕,手,手の届く範囲 

下半身 s750 

動作,移動,筋,足,歩行 

強さ・持久性 b730,b740 

動作,筋,持久性 

音声及び発話 b398,b310 

音声,発話,高低 

認知能力 

精神機能 

全般的精神的 b110〜b139 

見当識,知的,個性,活力 

個別的精神的 b140〜b189 

注意,記憶,知覚,言語 

B.5 

専門用語参照枠組みのICF以外の追加の情報源 

規格中で概念を表現するための適切な専門用語がICFに記載されていない場合は,個人的要素又は建築

環境に関する用語に対する,次の国際的な用語分類の利用を推奨する。 

個人的要素を記載する用語は,国際医療用語集(SNOMED-CT)[19]で参照できる。 

 http://www.ihtsdo.org/snomed-ct/ 

物理的環境及び建築環境の構成要素を記載する用語は,オムニクラス[21](建設産業分類システム)及び

ユニクラス[22](建設産業統合分類)の枠組みで参照できる。 

 http://www.omniclass.org/background.asp 

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

アクセシビリティ到達目標を達成するために考慮する課題 

表C.1は,規格作成者が箇条6のアクセシビリティの目標に関連する様々な考慮する課題に対し,回答

し,適用する際に使用できるチェックリストを示す。箇条6の考慮する課題は,“質問”の表題で左の欄に

示す。中央の“回答”の欄は,これらの質問のそれぞれに対する答えを記録するために使用でき,これら

の答えを導いた情報源を記載することができる。右の“作成規格の箇条/細分箇条”の欄は,質問に対す

る答えの影響を受ける作成規格の特定の部分を記録するために使用できる。 

注記 “作成規格”という用語は,箇条6で規定するアクセシビリティ到達目標を考慮して作成され

た全ての種類の文書(規格,技術仕様書,技術報告書,公開仕様書,手引,国際電気通信連合

の勧告,ワークショップ協定など)を示している。 

表C.1−アクセシビリティ到達目標に関連する考慮する課題のチェックリスト 

質問 

回答 

作成規格の箇条/細分箇条 

6.2.1.5 a) 作成規格で配慮すべき潜在的
なシステムユーザーは誰か,又は作成規
格に関連する人は誰か。 

6.2.1.5 b) 作成規格の要求事項及び推奨
事項によって除外される潜在的なユー
ザーがいる場合は,どのようなユーザー
か。 

6.2.1.5 c) 作成規格に関連するシステム
が使用される状況には,どのようなこと
があるか。 

6.2.1.5 d) 作成規格の要求事項及び推奨
事項によって,どのような使用場面が除
外されてしまう可能性があるか。 

6.2.2.5 a) 作成規格に関連するシステム
を利用する多様なユーザーの予測及び
/又は経験はどのようなものか。 

6.2.2.5 b) 作成規格に関係するシステム
の分野において,ユーザーの予測に関連
する不便さの情報又は習慣的な予測に
関する情報は入手できるか。 

6.2.2.5 c) 作成規格を使用することによ
って,潜在的なユーザーの予測とどのよ
うな対立が生じるか。 

6.2.2.5 d) 作成規格を使用することによ
って生じるユーザーの新たな予測は,ど
のようなものか。 

6.2.3.5 a) 作成規格に関連するシステム
とユーザーとのやりとりにおいて,どの
部分をユーザー自身がニーズに合わせ
て調整できることが望ましいか。 

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Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1−アクセシビリティ到達目標に関連する考慮する課題のチェックリスト(続き) 

質問 

回答 

作成規格の箇条/細分箇条 

6.2.3.5 b) 作成規格に関連するシステム
とユーザーとのやりとりにおいて,個々
のニーズに合わせた調整が不可能な場
合,どの部分が,障壁となるか。 

6.2.3.5 c) 作成規格の中で,システム内
に導入可能なものとして推奨できる,既
に知られている又は新たな個人向け設
定又は優先設定の組合せには,どのよう
なものがあるか。 

6.2.3.5 d) 作成規格を使用する場面が,
特定された個々の選択肢又はし(嗜)好
にどのように影響を与えるか。 

6.2.4.5 a) 作成規格では,多様なユーザ
ーが目的の作業を実行するために,関連
システムに物理的及び心理的にアプロ
ーチできることをどのように保証でき
るか。 

6.2.4.5 b) 作成規格では,多様なユーザ
ーが目的の作業を実行するために,関連
システムに遠隔からアプローチできる
ことをどのように保証できるか。 

6.2.4.5 c) 作成規格では,多様な使用状
況における多様なユーザーに対する,物
理的若しくは心理的なアプローチしや
すさ又は遠隔からの操作への制約をど
のようにして回避することができるか。 

6.2.5.5 a) 作成規格の適用範囲に照ら
し,システムからユーザーにどのような
情報を提示することが望ましいか。 

6.2.5.5 b) 作成規格では,多様な状況に
おける多様なユーザーに対して,関連シ
ステムの情報の知覚しやすさをどのよ
うに保証できるか。 

6.2.5.5 c) システムがユーザーに情報を
提供するために使用する感覚の種類を,
作成規格によってどのように制限して
しまう可能性があるか。 

6.2.6.5 a) 作成規格の適用範囲内にある
システムに関して,ユーザーによる理解
のために,システムが提示することが望
ましい情報及び機能はどのようなもの
か。 

6.2.6.5 b) システムの情報及び機能を正
確に理解できることを,多様なユーザー
に保証するために,作成規格ではどのよ
うな貢献ができるか。 

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46 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1−アクセシビリティ到達目標に関連する考慮する課題のチェックリスト(続き) 

質問 

回答 

作成規格の箇条/細分箇条 

6.2.6.5 c) 多様なユーザーが作成規格に
関連するシステムの情報及び機能につ
いて,その使用方法を学習できるように
するために,作成規格では,どのような
サポートが提供できるか。 

6.2.6.5 d) 作成規格では,システムが対
象ユーザーに対して,必要以上に認知的
に難しい要求をしないことをどのよう
に保証できるか。 

6.2.7.5 a) 作成規格の適用範囲にあるシ
ステムについて,ユーザー自身が開始及
び完了できることが望ましい制御動作
には,どのようなものがあるか。 

6.2.7.5 b) 目的の作業を完遂するための
動作を多様な使用状況における多様な
ユーザーが開始及び完了できるように
するために,作成規格ではどのような貢
献ができるか。 

6.2.7.5 c) 目的の作業の完遂に必要な動
作を開始及び完了するためにユーザー
が使用できる感覚の種類への制約を,作
成規格ではどのように回避することが
できるか。 

6.2.8.5 a) 作成規格に関連するシステム
では,多様な使用状況において多様なユ
ーザーが目的の作業を効果的に達成で
きるように,どのような支援ができる
か。 

6.2.8.5 b) 作成規格に関連するシステム
では,多様な使用状況における多様なユ
ーザーが効率的な方法で目的の作業を
達成できるように,どのような支援がで
きるか。 

6.2.8.5 c) 作成規格に関連するシステム
では,多様な状況における多様なユーザ
ーが,それぞれが満足できる方法で目的
の作業を達成できるように,どのように
支援できるか。 

6.2.8.5 d) 作成規格に関連するシステム
では,一部のユーザーにユーザビリティ
の制約を課してしまうことを,どのよう
に避けることができるか。 

6.2.9.5 a) 作成規格に関連するシステム
では,エラーによる不都合を最小限にと
どめるために,どのような支援ができる
か。 

6.2.9.5 b) 作成規格に関連するシステム
では,エラーを回避するために,どのよ
うな支援ができるか。 

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47 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1−アクセシビリティ到達目標に関連する考慮する課題のチェックリスト(続き) 

質問 

回答 

作成規格の箇条/細分箇条 

6.2.9.5 c) 作成規格に関連するシステム
では,エラーの発生を最小限にとどめる
ために,どのような支援ができるか。 

6.2.9.5 d) 作成規格では,ユーザーが関
連するシステムをエラーから復旧させ
るために,どのような支援ができるか。 

6.2.10.5 a) 多様なユーザーが同一又は
同等な方法でシステムとやりとりでき
るようにするために,作成規格に関連す
るシステムは,どのような保証ができる
か。 

6.2.10.5 b) 作成規格に関連するシステ
ムには,あるユーザーが他のユーザーと
同一又は同等の方法でやりとりできな
い要素はあるか。 

6.2.10.5 c) 作成規格に関連するシステ
ムが,一部のユーザーをどのように隔
絶,冷遇又は差別する可能性があるか。 

6.2.10.5 d) 作成規格の要求事項及び推
奨事項は,全てのユーザーグループに同
一又は同等のアクセス手段を提供する
ことによって,共生社会を推進するか。 

6.2.11.5 a) 多様なユーザーが,関連する
システムを自身の福祉機器又は支援機
器とともに(必要な場合に)利用できる
ようにするには,作成規格でどのように
規定すればよいか。 

6.2.11.5 b) 関連するシステムを使用す
るためにユーザーが福祉機器又は支援
機器を(必要な場合に)利用できる可能
性が作成規格によって制約されないよ
うにするには,どのように規定すればよ
いか。 

6.2.11.5 c) 多様なユーザーのアクセシビ
リティを促進するために,関連するシス
テムと他のシステムとの互換性を様々
な使用状況で確保するには,作成規格で
どのように規定すればよいか。 

48 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS X 8341-2 高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−

第2部:パーソナルコンピュータ 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 29136,Information technology−User interfaces−Accessibility of personal 

computer hardware(IDT) 

[2] JIS Z 2300 非破壊試験用語 

[3] JIS Z 8002 標準化及び関連活動−一般的な用語 

注記 対応国際規格:ISO/IEC Guide 2,Standardization and related activities−General vocabulary(IDT) 

[4] JIS Z 26000 社会的責任に関する手引 

注記 対応国際規格:ISO 26000,Guidance on social responsibility(IDT) 

[5] ISO 9241-210,Ergonomics of human-system interaction−Part 210: Human-centred design for interactive 

systems 

[6] ISO 9999,Assistive products for persons with disability−Classification and terminology 

[7] ISO 21542,Building construction−Accessibility and usability of the built environment 

[8] ISO/IEC 25062,Software engineering−Software product Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−

Common Industry Format (CIF) for usability test reports 

[9] ISO/TR 9241-100,Ergonomics of human-system interaction−Part 100: Introduction to standards related to 

software ergonomics 

[10] ISO/TR 22411,Ergonomics data and guidelines for the application of ISO/IEC Guide 71 to products and 

services to address the needs of older persons and persons with disabilities 

[11] ISO/IEC/TR 29138-1,Information technology−Accessibility considerations for people with disabilities−Part 

1: User needs summary 

[12] IEC/TR 62678,Audio, video and multimedia systems and equipment activities and considerations related to 

accessibility and usability 

入手先:<http://www.iec.ch/webstore/freepubs/iec62678{ed1.0}en.pdf> 

[13] ISO Guide 82,Guidelines for addressing sustainability in standards 

[14] IEC/ISO/ITU Joint Policy Statement on Standardization and Accessibility 

入手先:<accessibility.worldstandardscooperation.org> 

[15] ISO/IEC JTC 1 Special Working Group on Accessibility 

入手先:<http://www.jtc1access.org/> 

[16] ITU-T Recommendation F.790 (01/2007),Telecommunications accessibility guidelines for older persons and 

persons with disabilities 

入手先:<http://www.itu.int/rec/T-REC-F.790-200701-I/en> 

[17] EN 301549,Accessibility requirements suitable for public procurement of ICT products and services in Europe 

入手先: 

<http://www.etsi.org/deliver/etsi̲en/301500̲301599/301549/01.01.01̲60/en̲301549v010101p.pdf> 

(最新版の入手先: 

<http://www.etsi.org/deliver/etsi̲en/301500̲301599/301549/01.01.02̲60/en̲301549v010102p.pdf>) 

49 

Z 8071:2017 (ISO/IEC Guide 71:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[18] European Commission. European Union Regulation 1025/ 2012 on European Standardization 

入手先: 

<http://ec.europa.eu/enterprise/policies/european-standards/standardisation-policy/general-framework/ 

index̲en.htm> 

[19] International Health Terminology Standards Development Organization. Systematized Nomenclature of 

Medicine−Clinical Terms (SNOMED-CT) 

入手先:<http://www.ihtsdo.org/snomed-ct/> 

[20] North Carolina State University Center of Design. Principles of Universal Design 

入手先:<http://www.ncsu.edu/ncsu/design/cud/about̲ud/udprinciples.htm> 

[21] OmniClass. A strategy for classifying the built environment 

入手先:<http://www.omniclass.org/> 

[22] Uniclass, Unified classification for the construction industry 

入手先:<http://www.cpic.org.uk/uniclass/> 

[23] United States Government. Section 508 of the Rehabilitation Act 

入手先:<http://www.section508.gov/section508-laws/> 

[24] United Nations. United Nations Convention on the Rights of Persons with Disabilities (UNCRPD) 

入手先:<http://www.un.org/disabilities/convention/conventionfull.shtml及び 

http://www.un.org/disabilities> 

[25] United Nations. United Nations Committee of the Rights of Persons with Disabilities, General Comment 2 

入手先:<http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRPD/Pages/GC.aspx> 

[26] W3C, Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0 

入手先:<http://www.w3.org/TR/WCAG20/> 

[27] World Health Organization, World Bank. 2011), World Report on Disability, Geneva 

入手先:<http://www.who.int/disabilities/world̲report/2011/en/index.html> 

[28] ICF 2001,World Health Organization. International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF) 

[29] ISO/TR 7250-2,Basic human body measurements for technological design−Part 2: Statistical summaries of 

body measurements from national populations