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日本工業規格

JIS

 Z

0321-

1997

銅及び銅合金用気化性腐食抑制紙

Volatile corrosion inhibitor paper for copper and copper alloys

1.

適用範囲  この規格は,銅及び銅合金の腐食抑制に用いる気化性腐食抑制紙について規定する。

備考1.  気化性腐食抑制紙は,銅及び銅合金の腐食抑制に効力をもち,常温で昇華性がある化合物又

はその化合物を主成分とする混合物を,含浸又は塗布することによって包装紙に保持したも

の。

2.

この規格の,引用規格を,次に示す。

JIS H 3100

  銅及び銅合金の板及び条

JIS H 3110

  りん青銅及び洋白の板及び条

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 1503

  アセトン

JIS K 3351

  工業用グリセリン

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 6251

  研磨布

JIS R 6252

  研磨紙

JIS R 6253

  耐水研磨紙

JIS Z 1514

  ポリエチレン加工紙

JIS Z 1522

  セロハン粘着テープ

JIS Z 1524

  包装用布粘着テープ

2.

用語の定義  この規格に用いる主な用語の定義は,JIS K 0050 によるほか,次による。

(1)

銅合金  黄銅及びりん青銅

(2)

接触腐食抑制性  気化性腐食抑制紙で,銅又は銅合金を密着包装したとき,それが銅又は銅合金の変

色及び腐食の防止に効果を発揮する性質。

(3)

気相腐食抑制性  気化性腐食抑制紙が,気相状態で銅又は銅合金の変色及び腐食の防止に効果を発揮

する性質。

3.

種類  気化性腐食抑制紙の種類は,その使用範囲によって,表 のとおり分類する。

表 1  気化性腐食抑制紙の種類

種類

使用範囲

1

銅に限り使用可能なもの

2

銅及び銅合金に使用可能なもの


2

Z 0321-1997

4.

品質  品質は,5.によって試験したとき,表 のとおりとする。

表 2  気化性腐食抑制紙の品質

種類

ポリエチレン加

工紙との共存性

銅に対する

接触腐食抑制性

銅合金に対する

接触腐食抑制性

銅に対する

気相腐食抑制性

銅合金に対する

気相腐食抑制性

1

異常がないこと

A

級又は B 級

A

級又は B 級

2

異常がないこと

A

級又は B 級

A

級又は B 級

A

級又は B 級

A

級又は B 級

注  A 級及び B 級の表示は,表 による。

5.

試験方法

5.1

一般事項  試験において共通する一般事項は,JIS K 0050 による。

5.2

ポリエチレン加工紙との共存性

5.2.1

要旨  ポリエチレン加工紙をポリエチレン面を内側にした袋とし,この中に気化性腐食抑制紙を入

れ,規定温度に規定時間保持した後,袋を開封して,ポリエチレン加工紙の異常の有無を調べる。

5.2.2

材料  ポリエチレン加工紙は,JIS Z 1514 に規定する 3 級  片面  SS50。

5.2.3

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

恒温槽  65±2℃に調節できるもの。

(2)

おもり  底の平らな質量 5kg のもの。

(3)

銅板  JIS H 3100 に規定する C1100P の 40×60×3.0mm のもの。

5.2.4

試験体  試験体は,ポリエチレン加工紙を 150mm 角の大きさに切り,ポリエチレン面を内側にし

て半分に折り畳み,折り目に対し均一に荷重が掛かるようにおもりを 30 秒間載せ,次に,75mm の 2 辺を

熱封かんして作製した袋の中に,150mm 角の気化性腐食抑制紙で銅板を包んだものを入れ,余分な空気を

手で追い出した後,口を熱封かんし組み立てたもの。

5.2.5

操作  試験体を 65±2℃に保った恒温槽に入れ,5 日間保持した後,取り出して室温まで放冷し,

熱封かん部を切り取り,銅板を包んだ気化性腐食抑制紙を取り除き,ポリエチレン加工紙を開く。このポ

リエチレン加工紙のポリエチレン面を上にして,固定した直径約 6mm のガラス棒又は金属棒に,その長

手方向が直角になるようにして,180 度折り曲げ,棒に押しつけるようにしてその両端を数回交互に引っ

張る。

次に,これを広げて,ポリエチレン加工紙のはく離,膨潤,割れなどの異常の有無を調べる。この試験

は 3 個の試験体について同時に行い,3 枚のポリエチレン加工紙中 2 枚以上に異常が認められた場合は,

異常が発生したものと判定する。

また,3 枚中 1 枚に異常が認められた場合は更に試験を繰り返し,再び 3 枚中 1 枚以上に異常が認めら

れた場合は,異常が発生したものと判定する。

5.3

接触腐食抑制性

5.3.1

要旨  銅又は銅合金試験片を気化性腐食抑制紙で包み,規定温度,規定湿度で規定時間保持した後,

その変色又は腐食の有無を調べる。

5.3.2

試薬及び材料  試薬及び材料は,次のとおりとする。

(1)

アセトン  JIS K 1503 に規定するもの。

(2)

グリセリン水溶液 (23vol%)  JIS K 3351 に規定する精製グリセリンの 1 号を用いて調製したもの。

(3)

銅板  JIS H 3100 に規定する C1100P。

(4)

黄銅板  JIS H 3100 に規定する C3713P。


3

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(5)

りん青銅板  JIS H 3110 に規定する C5191P。

(6)

研磨布  JIS R 6251 に規定する A, P400。

(7)

研磨紙  JIS R 6252 に規定する A, P400。

(8)

耐水研磨紙  JIS R 6253 に規定する C, P400。

(9)

包装用布粘着テープ  JIS Z 1524 に規定するもの。

5.3.3

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

恒温槽  50±2℃に調節できるもの。

(2)

デシケーター  内容積 500ml 以上のもの 1 個及び内容積 9 000ml 以上のもの 2 個。

5.3.4

試験片及び試験体  試験片及び試験体は,次のとおりとする。

(1)

試験片

(1.1)

試験片の作製  1 種については 60×80×1.0mm の大きさに切った銅板を,2 種については 60×80×

1.0mm

の大きさに切った銅板,黄銅板及びりん青銅板を用意する。

(1.2)

試験片の調製  試験片の調製は,次のとおり行う。

(a)

研磨  研磨紙又は研磨布で試験面を初め短辺方向に,次いで長辺方向に研磨し,約 1 日,内容積 500ml

以上のデシケーター中に保持する。試験に先立ちこれを取り出し,水 100∼200ml を流しながら,

耐水研磨紙で長辺方向に約 1 分間研磨する。

(b)

清浄  研磨を終えた試験片を,直ちに洗瓶に入れたアセトンで洗い流し,次いで 200ml のアセトン

中で,研磨面を清浄なガーゼなどでぬぐい,更に温アセトンに浸し,引き上げて風乾する。この操

作は 1 枚ごとに行う。

(2)

試験体  気化性腐食抑制紙を 140×110mm の大きさに切り,図 のとおり試験片の試験面が紙と接触

するように包装し,最終的に,裏面を 70×50mm の大きさに切った,包装用布粘着テープで接着密封

したもの。

図 1  試験片の包み方

5.3.5

操作  相対湿度を 95%に調整するため,グリセリン水溶液 (23vol%) を,内容積 9 000ml 以上のデ

シケーター下部全面に 10mm の深さまで入れる。

デシケーターは,50±2℃に調整した恒温槽に入れる。

このデシケーター中から中板を取り出し,

試験体のテープ面を下側にして載せ,デシケーター中に戻し,


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Z 0321-1997

銅試験片及び黄銅試験片については 7 日間,りん青銅については 3 日間 50±2℃に保持する。

その後,試験体を取り出し,室温に戻した後,目視によって試験面の変色又は腐食の状態を調べる。そ

の評価は

表 のとおりとする。

表 3  試験片の評価

等級

目視評価

A

全く変化がないもの

B

極くわずかに変色したもの

C

わずかに変色したもの

D

はっきり変色したもの

E

激しく変色又は腐食したもの

この試験は,3 個の試験体について同時に行い,3 枚中 2 枚以上が C 級以下と評価された場合は,変色

又は腐食したものと判定する。

また,3 枚中 1 枚だけが C 級以下と評価された場合は試験を繰り返し,再び 3 枚中 1 枚以上が C 級以下

と評価された場合は,変色又は腐食したものと判定する。

この試験には,気化性腐食抑制紙用原紙で包装した空試験を同時に行い,空試験の試験片が 3 枚中 1 枚

でも A 級又は B 級と評価された場合は,試験をやり直す。空試験は,別のデシケーター中で行う。

5.4

気相腐食抑制性

5.4.1

要旨  気化性腐食抑制紙を内ばりした広口瓶の底部に水を入れ,試験片は広口瓶のゴム栓からつる

し,この試験体を規定温度に規定時間保持した後,試験片の変色又は腐食の有無を調べる。

5.4.2

試薬及び材料  試薬及び材料は,次のとおりとする。

(1)

アセトン  5.3.2(1)に規定するもの。

(2)

銅板  5.3.2(3)に規定するもの。

(3)

黄銅板  5.3.2(4)に規定するもの。

(4)

りん青銅板  5.3.2(5)に規定するもの。

(5)

研磨布  5.3.2(6)に規定するもの。

(6)

研磨紙  5.3.2(7)に規定するもの。

(7)

耐水研磨紙  5.3.2(8)に規定するもの。

(8)

包装用布粘着テープ  5.3.2(9)に規定するもの。

(9)

セロハン粘着テープ  JIS Z 1522 に規定するもの。

5.4.3

装置及び器具  装置及び器具は,次のとおりとする。

(1)

恒温槽  循環加熱型で,50±2℃に調節できるもの 1 台,5±2℃に調節できるもの 1 台及び 30±2℃に

調節できるもの 1 台とし,このうち,30±2℃に調節できる恒温槽は,50±2℃に調節できるもの及び

5

±2℃に調節できるもののいずれかを共用してもよい。

(2)

広口共栓瓶  JIS R 3503 に規定する 1 000ml のもの。

(3)

ゴム栓  黒色ゴム栓又はシリコーンゴム栓の#23。

(4)

フック  径約 1mm,ステンレス鋼製。

5.4.4

試験片及び試験体  試験片及び試験体は,次のとおりとする。

(1)

試験片

(1.1)

試験片の作製  1 種については 40×60×3.0mm の大きさに切った銅板を,2 種については 40×60×

3.0mm

の大きさに切った銅板,黄銅板及びりん青銅板を用意する。


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なお,各金属板は短辺近くの中央部に,つり下げ用の直径約 3mm のあなをあける。

(1.2)

試験片の調製  試験片の調製は,次のとおりとする。

(a)

研磨  5.3.4(1.2) (a)による。

(b)

清浄  5.3.4(1.2) (b)による。

(2)

試験体  試験体は,次のとおり組み立てる。

(a)

気化性腐食抑制紙を 71.5×280mm の大きさに切り,包装用布粘着テープ又はセロハン粘着テープで

広口瓶の内壁にはり付ける。

(b)

試験片はゴム栓の中央に通したステンレス鋼製フックによって,ゴム栓の底部からその上部が約

50mm

の位置にくるようにつり下げる。

(c)

広口瓶は(b)のゴム栓をし,30±2℃の恒温槽中で 18 時間保持した後室温に 1 時間保持し,その後,

調湿のため水 20ml を広口瓶の底部に入れる。その状態は

図 に示す。

図 2  気相腐食抑制性試験用試験体

5.4.5

操作  この試験体を,5±2℃に保った恒温槽に 2 時間,50±2℃に保った恒温槽に 3 時間,再び 5

±2℃に保った恒温槽に 16 時間,50±2℃に保った恒温槽に 3 時間,順次保持する。試験後,試験体を室温

に戻した後試験片を取り出し,アセトンに浸してから引き上げて風乾し,目視によって試験面の変色又は

腐食の状態を調べる。その評価は

表 のとおりとする。

この試験は,3 個の試験体について同時に行い,3 枚中 2 枚以上が C 級以下と評価された場合は,変色

又は腐食したものと判定する。

また,3 枚中 1 枚だけが C 級以下と評価された場合は試験を繰り返し,再び 3 枚中 1 枚以上が C 級以下

と評価された場合は,変色又は腐食したものと判定する。

この試験には,気化性腐食抑制紙用原紙で内ばりした空試験を同時に行い,空試験の試験片が 3 枚中 1

枚でも A 級又は B 級と評価された場合は,試験をやり直す。


6

Z 0321-1997

6.

検査  検査は,5.25.4 の試験を行ったとき,表 の規定に合格しなければならない。

7.

包装  紫外線及び外気を透過しないように,かつ,気化性腐食抑制剤が散逸しないように,適切な方

法で包装し,包装の単位は,原則としてロール物は 50m 又はその倍数とし,定尺物は 50 枚又はその倍数

とする。

8.

製品の呼び方  製品の呼び方は,規格の名称及び種類による。

例  銅及び銅合金用気化性腐食抑制紙  1 種

9.

表示  気化性腐食抑制紙の包装には,次の事項を見やすいところに表示しなければならない。

(1)

規格名称及び種類

(2)

製造業者名又はその略号

(3)

製造年月又はその略号

(4)

包装の単位(m 又は枚)

JIS Z 0321

  銅及び銅合金用気化性腐食抑制紙工業標準新規原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

高  橋  教  司

高橋技術士事務所

細  川  幹  夫

通商産業省基礎産業局化学製品課

橋  本  城  二

通商産業省生活産業局紙業印刷業課

岡  林  哲  夫

工業技術院繊維化学規格課

加  山  英  男

財団法人日本規格協会技術部調査研究課

小  林  健  三

慶應義塾大学

阿  部      要

社団法人日本包装技術協会包装研究所

深  町  一  彦

社団法人日本銅センター(日鉱金属株式会社倉見工場)

鈴  木  竹  四

日本伸銅協会(三菱伸銅株式会社開発センター)

坂  野      乗

東光電気株式会社機器製造部

飯  田  純  三

日本電気株式会社マイクロ波事業部

外  川  靖  人

日本テストパネル工業株式会社

守  屋  正  裕

株式会社大林組技術研究所

大  井  康  生

太平製紙株式会社

浜  田  弘  介

王子製紙株式会社研究所

山  内  敏  行

城北化学工業株式会社

伊  藤      勝

日本加工製紙株式会社

正  木  征  史

株式会社大和化成研究所

藤  田  敏  雄

キレスト株式会社商品開発研究所

(事務局)

神  尾  和  男

社団法人日本防錆技術協会

○印は、小委員会の委員を兼ねる。