>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

1.1

  一般

1

1.2

  アセスメントの種類

1

1.3

  アセスメント  ライフサイクル

2

1.4

  IT の側面に関する焦点 

2

1.5

  原則

3

1.6

  適合性

3

2

  引用規格

4

3

  用語及び定義 

4

4

  指針原則

8

5

  アセスメントコンテンツと IT 配信との間のインタフェース 

8

5.1

  アセスメント主催者の責任 

8

5.2

  アセスメント頒布者の責任 

9

6

  アセスメントの IT 頒布一般

9

6.1

  相互運用性 

10

6.2

  ハードウェア,ソフトウェア及び通信に関する考慮事項

10

6.3

  制限時間のあるアセスメント

11

6.4

  セキュリティ機能

11

6.5

  アセスメント  ソフトウェアの検証 

13

7

  アセスメント IT 配信のためのソフトウェア−ナビゲーション及びユーザビリティの課題 

14

7.1

  適切なナビゲーション機能の提供 

14

7.2

  受検者への情報及びヘルプの提供 

15

7.3

  ユーザビリティ

15

7.4

  支援技術との連携

16

7.5

  ユーザビリティ用のソフトウェアの試用 

16

8

  即時自動採点,結果判定及びフィードバック

17

8.1

  回答の採点 

17

8.2

  結果決定のためのソフトウェア

18

8.3

  フィードバック提示ソフトウェア 

19

8.4

  試行中の受検者データの機密性の確保 

19

9

  アセスメントコンテンツ及び正答の準備及び伝達 

19

9.1

  利用するアセスメントコンテンツ及び正答の準備 

20

9.2

  アセスメントコンテンツ及び正答の伝達 

20


X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)  目次

(2)

ページ

10

  アセスメント頒布者が行う,受検者の個人情報,回答の記録,伝達のためのソフトウェア 

    及び手順,並びにそれらの保管のためのソフトウェア及び手順 

21

10.1

  相互運用性 

21

10.2

  回答記録及び回答と受検者識別情報とのリンク 

21

10.3

  アセスメント頒布者への回答ファイルの伝達

22

10.4

  アセスメント頒布者による回答ファイルの保管 

22

11

  テスト会場のための指示及びアセスメント固有情報の提供

22

11.1

  技術情報及び支援

22

11.2

  アセスメント固有の情報 

22

11.3

  一般的指示 

23

11.4

  異議申立て 

23

12

  受検者のための情報及び操作練習の提供 

23

12.1

  受検者に対するアセスメント固有情報の事前提供 

24

12.2

  操作練習の提供

24

12.3

  障害をもつ受検者のための備え

25

12.4

  受検者に対するアセスメントセキュリティ情報の提供

25

13

  回答の保管を含むテスト会場の機器及び設備

25

13.1

  受検設備 

25

13.2

  ハードウェア及びソフトウェア

26

13.3

  テスト会場機器におけるソフトウェアの検証

26

13.4

  その他の設備 

26

13.5

  アセスメント及び機器のセキュリティ 

27

13.6

  テスト会場における回答ファイルの保管

27

14

  テスト会場のスタッフ配置 

27

14.1

  スタッフの職務及び人員数

28

14.2

  スタッフの教育訓練 

28

15

  アセスメントセッションの準備

29

15.1

  部屋及び設備の準備 

29

15.2

  アセスメントの準備 

29

15.3

  受検者に関する準備 

29

16

  アセスメントセッションの実施

30

16.1

  試験監督 

30

16.2

  受検者に対する支援 

31

16.3

  出席記録 

31

16.4

  試験の終了 

31

17

  非常事態,技術的障害及び不正行為に関する手順 

31

17.1

  非常事態 

31

17.2

  技術的障害及び遅延 

31

17.3

  想定外の中断後の再開 

32


X 7221

1 (ISO/IEC 23988

:2007)

(3)

ページ

17.4

  記録

32

附属書 A(参考)シナリオ

33

参考文献

36

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

目次


X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)  目次

(4)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び財団

法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 X

7221

:2011

(ISO/IEC 23988

:2007

)

アセスメント提供における

情報技術(IT)利用の規範

A code of practice for the use of information technology (IT)

in the delivery of assessments

序文 

この規格は,2007 年に第 1 版として発行された ISO/IEC 23988 を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO/IEC 23988:2007

, Information technology− A code of practice for the use of information

technology (IT) in the delivery of assessments

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

1.1 

一般 

この規格は,受検者に対するアセスメントの提供及びその回答の記録・採点における情報技術(IT)の

使用に関する推奨事項を示す。その適用範囲は三つの次元で定義される。すなわち,アセスメントの種類,

アセスメント  ライフサイクルの段階,及びこの規格が特に焦点を置く IT の側面である。

1.2 

アセスメントの種類 

この規格は,次のような幅広いアセスメントを対象とする。

−  義務教育及び義務教育以後の教育,訓練,及び健康,安全,又は金融サービスに関連する法律に対す

る法律遵守のためのアセスメント。

−  知識,理解,及びスキル(技能)のアセスメント,すなわち,達成度テスト。ただし,適性又は性格

に関する心理テストを除く。

−  試験結果の重要性が高い試験(ハイステークス  アセスメント,high-stakes assessments)

,並びに進捗

のフィードバック,学習ニーズの把握,自己アセスメント,及び補習のために行われる試験結果の重

要性が低い試験(ローステークス  アセスメント,low-stakes assessments)

注記  ハイステークス  アセスメントについては 3.13 を,ローステークス  アセスメントについては

3.19

を参照。

−  フィードバックを含むアセスメント,及び結果だけを提供するアセスメント。

−  期 日指定,期 間指定 ( test-windows assessment ), 及び 期日 指定の な いアセ スメ ント( on-demand

assessment


2

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

注記  オンライン  アセスメントにおいては,アセスメントの実施期間(test-windows)を設定(例え

ば,3 か月ごとなど)して,その期間中は再受検ができないようにスケジュールを決めること

がある。

−  コンピュータで採点可能な質問項目,及び IT を使って配信されるが採点者によって参照されなければ

ならない質問項目・問題の配信(採点作業を含まない。

。長文の自由記述テキスト回答,すなわち,

エッセイ,及びそれに類するものの採点における IT の使用は除く。

−  多岐選択又は他の質問項目種類の入力フォーマットを用いた客観的テストだけでなく,キーボードス

キル又はソフトウェア利用のアセスメントを含む,広範囲のコンピュータ採点可能なアセスメント。

注記  質問項目はグラフィックス,マルチメディア,データへのアクセス,ケーススタディなどを含

む場合がある。しかし,この規格は,例えば,工業プロセス又は自動車の運転,飛行機の操縦

などの,専門的なシミュレーションは含まない。

−  大学などの学校,訓練センタ,テスト会場におけるアセスメント及び学習センタ又は職場における非

公式なアセスメント。

−  単一の組織,例えば,大学又は企業内で,設定,実施,採点されるアセスメント,及びアセスメント

コンテンツに責任をもつ組織とは別の組織で実施されるアセスメント。

−  オンライン,

ローカルネットワーク,

パソコン単体などを含む様々な方法で配信されるアセスメント。

この規格の箇条 は,受検者の学習課題の頒布における IT の使用にも適用される。

1.3 

アセスメント  ライフサイクル 

アセスメントの手順は様々だが,典型的なアセスメントのライフサイクルは,次の段階からなる。

a)

アセスメントを行うニーズの特定

b)

成果及びアセスメント手法の設計

c)

準備及びこう(較)正(キャリブレーション)

d)

事前登録(費用の支払いを含む。

e)

頒布

1)

f)

認証(本人確認を含む。

1)

g)

配信

1)

h)

回答の送信

1)

i)

採点,結果判定,及び/又はフィードバック

1)

j)

データ送信

1)

k)

分析

l)

異議申立て

1)

m)

証明交付

1)

  この規格で取り扱う。

アセスメントコンテンツの準備は,この規格の対象範囲外であるが,プリテストに IT を使って提供を行

う場合,この規格の関連する項目を考慮することが望ましい。

1.4 IT

の側面に関する焦点 

この規格では,IT の導入によって追加又は変更することが望ましい基準を重視している。ペーパーでの

提供と IT での提供とで共通の基準は,省略するか又は一般的な意味でだけ扱っている。

この規格では,アセスメントの準備又は採点における純粋に教育学的な側面は扱わないが,教育学的判

断を行うための IT の利用,

及びアセスメントコンテンツと IT 配信との間のインタフェースは対象とする。


3

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

アセスメントコンテンツ及び採点手順の品質は,最終結果の妥当性及び信頼性に重大な影響をもつが,こ

の規格の対象範囲外とする。

この規格に適合しても,アセスメントが教育学的に適切であるとは限らない。この規格は,アセスメン

ト主催者が,標準化,妥当性及び信頼性を考慮した優良事例に習ってアセスメント開発を行う必要性を軽

減するものではない。

この規格では,人的な採点は対象としないが,次の項目は対象としている。

−  後で採点者による見直しを受けるかもしれない IT による採点。

−  部分的又は完全に人的な採点を伴うアセスメントの,IT による頒布及び配信,並びに採点のための回

答結果の返送。

この規格は,IT による自動フィードバック及び即時結果の提供は対象とするが,人間による判断又は介

在を要する結果判定は対象としない。

1.5 

原則 

この規格の目的は,原則と実施基準とを設定することであるが,それらの実現方法の詳細には言及しな

い。したがって,様々な技術的・手続的手法で推奨事項を実施することが可能となる。この規格は,特定

のハードウェア基盤又はソフトウェア基盤に固有のものではない。

多くの分野で,この規格で示した原則に対して,アセスメント頒布者固有の規制による補足がなされる

であろう。

1.6 

適合性 

アセスメント主催者,アセスメント頒布者,及びテスト会場は,それぞれの役割に適用される全ての箇

条又は細分箇条(

表 参照)に適合すれば,この規格に対する適合性を主張してもよい。

箇条の注記では,箇条が適用される役割を示している。

この規格は,ハイステークス  アセスメント及びローステークス  アセスメントに適用されるが,幾つか

の箇条又は細分箇条は,ハイステークス  アセスメントだけに適用される。これを

表 に示す。

表 1JIS X 7221 の適用 

役割

アセスメントの種別

関連する箇条又は細分箇条

アセスメント主催者

ハイステークス及びローステークス

5.1 

アセスメント頒布者

ハイステークス

5.2

,箇条 6∼箇条 12

アセスメント頒布者

ローステークス

5.2

6.16.26.36.5,箇条 7,箇条 89.19.2.1

10.1

10.211.111.212.112.2 及び 12.3

テスト会場

ハイステークス

箇条 13,箇条 14,箇条 15,箇条 16 及び箇条 17

テスト会場

ローステークス

13.1

13.213.3 及び 13.4 

附属書 のシナリオは,様々な種類の組織がこの規格の箇条にどのように適合しなければならないかを

示している。


4

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Q 27002:2006

  情報技術−セキュリティ技術−情報セキュリティマネジメントの実践のための規

注記  対応国際規格:ISO/IEC 17799:2005,Information technology−Security techniques−Code of

practice for information security management

(IDT)

JIS Z 8513

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−視覚表示装置の要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9241-3:2000,Ergonomic requirements for office work with visual display

terminals (VDTs)

−Part 3: Visual display requirements(MOD)

JIS Z 8514

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−キーボードの要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9241-4,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 4: Keyboard requirements(IDT)

JIS Z 8515

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ワークステーションのレイアウト及び

姿勢の要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9241-5,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 5: Workstation layout and postural requirements(IDT)

JIS Z 8518

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−表示色の要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9241-8,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 8: Requirements for displayed colours(IDT)

JIS Z 8519

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−非キーボードの入力装置の要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9241-9,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 9: Requirements for non-keyboard input devices(IDT)

JIS Z 8521

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引

注記  対応国際規格:ISO 9241-11,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 11: Guidance on usability(IDT)

JIS Z 8522

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−情報の提示

注記  対応国際規格:ISO 9241-12,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 12: Presentation of information(IDT)

JIS Z 8523

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−ユーザー向け案内

注記  対応国際規格:ISO 9241-13,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 13: User guidance(IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

アセスメント(assessment)

テスト,試験,又はそれらに類するもので,定義された領域における受検者の知識,理解度,又は技能

を評価するために設計されるもの。


5

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

注記 1  ハイステークス又はローステークスの区別がある(3.13 及び 3.19 参照)。

注記 2  この規格では,評価のサイクル全体をアセスメントと呼ぶ場合と,評価に用いるアセスメン

トコンテンツなどを含む測定手段をアセスメントと呼ぶ場合とがある。

3.2 

テスト会場(assessment centre)

アセスメントを実施するために公式に設定された場所。アセスメント専用である必要はない。

注記  テスト会場には,アセスメントの実施及びセキュリティを担当する職員が存在している。テス

ト会場は,しばしば,アセスメント頒布者から離れた場所にあり,異なる組織に属しているこ

とが多い。ハイステークス  アセスメントの場合,通常,アセスメント頒布者がテスト会場を承

認したり,モニタリングする。ある種のアセスメント,特にローステークスのものは,正式に

設定されたテスト会場外で実施することもできる。

3.3 

アセスメントコンテンツ(assessment content)

アセスメント中に受検者に提示される質問及び関連画像,又は追加情報。

3.4 

アセスメント頒布者(assessment distributor)

(特にハイステークス  アセスメントにおいて)アセスメントの頒布を担当する組織で,テスト会場の監

督を行う場合があるが,アセスメントコンテンツには必ずしも責任を負う必要はない。

3.5 

アセスメントフォーム(assessment form)

アセスメントの質問項目の集合。一つのアセスメントで,同じ知識,理解度又は技能を評価するように

設計された,それぞれが異なる質問項目の組合せを含む二つ以上の異なるアセスメントフォームが用意さ

れることがある。

注記  アセスメントフォームでは,質問項目の個数,提示順,提示方法,回答方法などを定義する。

3.6 

アセスメント  ソフトウェア(assessment software)

受検者にアセスメントを提示し,受検者の回答を記録するソフトウェア。

注記  多数の異なるアセスメントを実行できる汎用的なものとアセスメントコンテンツに統合されて

いるものとがある。必ずではないが,通常,アセスメント質問項目を開発・保存し,受検者登

録を記録し,アセスメントセッションを管理するソフトウェアとは別のものである。

3.7 

アセスメント主催者(assessment sponsor)

アセスメントコンテンツを決定し,資格又はその他の正式な認可の審査を行う組織。

注記  アセスメント主催者は,しばしば,アセスメントの頒布をアセスメント頒布者に委ねる。

3.8 

支援技術(assistive technology)

障害(例えば,感覚障害又は身体的障害)をもつ人などのユーザの IT の利用を容易にする機能ユニット

又はサービス。

3.9 

受検者(candidate)


6

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

アセスメントを受ける人。

3.10 

正答(correct response)

正の得点を与える回答として事前に決めておくもの。

注記  この用語の使用は,質問項目ごとに正答が一つしかないことを意味するものではない(3.18 

び 3.20 を参照)

3.11 

配信プラットフォーム(delivery platform)

受検者へアセスメントを配信することと,コンピュータの保持する情報(例えば,回答)を採点のため

に特定の場所へ返送することとを支援する,コンピュータハードウェア,システムソフトウェア,通信ソ

フトウェア及び関連機器。

3.12 

公平性(fairness)

テストが特定の受検者のグループに対して偏っていないこと。

注記  コンピュータによる配信及び採点は全ての受検者に対して公平で,可能な限り,評価の対象と

なる知識,理解度,又は技能に関係のない要素,例えば,高度なコンピュータ技能の不足によ

ってどの受検者にも不利益をもたらさないことが望ましい。

3.13 

ハイステークス  アセスメント(high-stakes assessment)

結果が受検者又は組織にとって重要であるため,信頼性及び妥当性が高くなければならないアセスメン

ト。

注記 1  ハイステークス  アセスメントには,資格取得のためのコース修了試験(及び全体の結果に影

響するモジュールのアセスメント)

,能力試験,及び免許試験のほとんどが含まれる。また,

安全性評価のように,組織の評価が従業員又は学生・生徒の能力に依存する場合,アセスメ

ントはハイステークスであるとみなされる(3.19 を参照)

注記 2  ハイステークス  アセスメントの事例については,附属書 を参照。

3.14 

ICT

(information and communications technology)

情報通信技術。

3.15 

IT

(information technology)

情報技術。

3.16 

試験監督(invigilation)

アセスメントの実施を監視するプロセス,特にアセスメントのセキュリティが確保され,不正行為がな

いことを保証するプロセス。

注記  プロクタリング(Proctoring)は,インビジレーション(Invigilation)と同義である。この規格

では対象としないが,アセスメント主催者が了承すれば,監視装置を使って遠隔で試験監督を

実施することができる。


7

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

3.17 

試験監督官(invigilator)

試験監督を行う者。

注記  プロクタ(Proctor)は,インビジレータ(Invigilator)と同義である。

3.18 

質問項目(item)

アセスメントにおいて,独立して存在する最小の質問単位,及び質問に関連する情報又は課題。

注記  選択式質問,回答構築式質問,小論文,課題遂行(例えば,文章への題名付与)などが想定さ

れる。

3.19 

ローステークス  アセスメント(low-stakes assessment)

受検者又は関連組織にとって,結果があまり重要でないアセスメント。

注記 1  形成的アセスメント又は診断形アセスメントは,通常ローステークスである(3.13 を参照)。

注記 2  ローステークス  アセスメントの事例については,附属書 を参照。

3.20 

構築式回答,記述式回答(open-ended response)

選択肢からの選択に限定されない回答。

注記  回答構築式質問項目は,通常テキスト入力が必要であるが,数値入力又はコンピュータグラフ

ィックスを要求する場合もある(3.10 及び 3.24 を参照)

3.21 

信頼性(reliability)

アセスメントによる測定の安定性。

例  二つのアセスメントフォームの難易度及び範囲が異なっていたり,採点手順又は採点報告に誤り

がある場合,そのアセスメントの信頼性は低い。

3.22 

回答(response)

受検者の質問項目への答え。

注記  回答には,与えられた選択肢からの一つ以上の選択,IT で採点可能な構築式回答,より複雑な

IT

で採点可能な活動,人的に採点することが望ましいが IT で送信可能な文章の作成が含まれ

る。音声による回答の記録も含まれる(3.10 及び 3.18 を参照)

3.23 

結果(result)

受検者が受けたアセスメントから導かれた成績・成果(outcome)

注記  結果は,合格・不合格として,評点として,比率として,又は診断若しくは形成的アセスメン

トにおける質問項目若しくはシラバス単位のフィードバックのような方法で,表される。

3.24 

得点(score)

アセスメント全体又は個々の質問項目についての,受検者の達成度の数値尺度。

3.25 

妥当性(validity)


8

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

アセスメントが,

測定対象とした内容を測定し,

当初想定した目的に合致した有用な結果をもたらして,

アセスメントがその目的を達成している度合。

注記  明記されたアセスメントの目的と無関係な技能に,結果が不当に影響を受けている場合,アセ

スメントの妥当性は低い。

3.26 

受検設備(workstation)

テスト会場で個々の受検者に提供される,IT ハードウェア,座席,机,又はテーブルの空間を含む設備。

指針原則 

この規格の基礎であり,全ての該当組織に関係する指針原則は,次のとおりである。

a) IT

を使ったアセスメントの配信又は採点によって,そのアセスメントの妥当性及び信頼性が損なわれ

ないことが望ましい。

b)

コンピュータ配信及び採点は,全ての受検者にとってできる限り公平なことが望ましい。また,評価

対象の知識,理解又は技能に無関係な要因(例えば,テスト内容が高度なコンピュータ技能に無関係

なのに,そのような技能を回答に必要とするような場合)の結果として,受検者に不利益がないこと

が望ましい。

c)

身体に障害のある受検者に対しては,その受検者を実質的に不利にしないよう,受検者のニーズに応

じて適切な調整をすることが望ましい。

注記  身体の障害及び特殊ニーズに関する領域特有の全ての法令に注意を払うことが望ましい。

d)

受検者,又はアセスメントの開発,手配若しくは実施に当たる者の健康及び安全を危険にさらさない

ことが望ましい。

e)

アセスメントコンテンツ及び正答の機密性が重要な要求事項である場合,アセスメントサイクル全体

を通じ,機密性を維持するための手順を設けることが望ましい。これは,質問項目の予備テストにも

適用することが望ましい。

f)

全体を通じ,受検者データの機密性及び完全性を維持できることが望ましい。

注記  データ保護,プライバシー又は情報公開に関する領域特有のあらゆる法令に注意。

g)

いかなる照会又は不正行為も調査できるよう,監査記録を維持することが望ましい。

h)

特にハイステークス  アセスメントにおいて,受検者が不利とならないよう,予備手段及び代替手段を

設け,混乱を最小限に抑えることが望ましい。

アセスメントコンテンツと IT 配信との間のインタフェース 

注記  この箇条 は,アセスメントコンテンツとアセスメント  ソフトウェアとの相互関係について示

すものであり,アセスメントの教育学的要求事項を定義するアセスメント主催者,及びソフト

ウェアの開発又はカスタマイズを担当するアセスメント頒布者の両方に関係する。アセスメン

ト主催者は 5.1 に,アセスメント頒布者は 5.2 に従うことが望ましい。

この箇条 は,ハイステークス  アセスメント及びローステークス  アセスメント,並びに多

種のアセスメントを実行できる汎用アセスメント  ソフトウェア及び単一のアセスメント又は

アセスメント群だけに使用するソフトウェアに適用する。

5.1 

アセスメント主催者の責任 

5.1.1

  アセスメント主催者は,次のことができるように,検討中のソフトウェア又は使用予定のソフトウ


9

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

ェア,及び関連する配信プラットフォームを熟知していることが望ましい。

a)

利点及び限界を理解する。

b)

アセスメント及び個々の質問項目の妥当性及び信頼性に,IT 配信が及ぼし得る影響を認識する。

c)

意図したアセスメントに適したソフトウェア機能(例えば,質問項目種類,マルチメディア機能)を

使用する。

d) IT

配信に適さなかったり,他のアセスメント方法による補完が必要なアセスメントを識別する。

5.1.2

  アセスメント主催者は,それぞれのアセスメントに必要な次のような要素を明確に規定することが

望ましい。

a)

使用する質問項目の数及び種類

b)

各アセスメントセッションにおける質問項目の選択方法(例えば,

項目固定式アセスメントフォーム,

コンピュータによる項目バンクからの選択,選択に関する各種の制限)

c)

時間の制限

d)

質問項目間のナビゲーションの制限(7.1 参照)

e)

持込み許可資料及び持込み禁止資料に関する規則を含むアセスメント実施規則

6.4.3 及び 7.3.3 参照)

f)

回答構築式質問項目の採点規則を含めた個々の質問項目及び結果全体の計算(該当する場合)に関す

る採点規則(8.1 及び 8.2 参照)

g)

提供されるフィードバック(8.3 参照)

5.1.3

  アセスメント主催者は,開発期間中にそのアセスメント(すなわち,ソフトウェアとコンテンツと

の組合せ)を試験的に実施し,実用に供する前にもう一度,その配信,採点及びフィードバックの全側面

が意図したとおりに,教育上の要求事項に従って機能することを検証することが望ましい。

注記  一部の“既製の”項目バンク及び配信ソフトウェアを使用する場合は,上記を適用しなくても

よい。

5.1.4

  アセスメントコンテンツの開発に当たり,アセスメント主催者は,障害をもつ受検者に関する次の

ような課題を検討することが望ましい。

a)

障害をもつ受検者に,IT を使用しない代替案を提供すべきかどうか。

b)

質問項目の妥当性に関して支援技術を使用することの影響(例えば,グラフィックスに代えて文章を

使用した場合,その質問項目の性質の変化)

注記  アセスメント中に,支援技術の使用を制限する可能性のある他のソフトウェアの使用を禁止す

るようにデスクトップをロックするシステムもある。

5.1.5

  いかなる受検者も,システム障害で不利とならないよう,アセスメント頒布者から選んだシステム

が,アセスメントに関する要求に確実に対応できるよう,十分に堅固で拡張性があることを確認する。

5.2 

アセスメント頒布者の責任 

アセスメント頒布者は,アセスメント主催者に,次のものを提供することが望ましい。

a)

アセスメントの教育学的側面に関連する,使用予定のソフトウェア及び付随する配信プラットフォー

ムの能力,制限及び機能についての十分な情報。

b)

アセスメント主催者が規定した各要素のチェックリスト(5.1.2 参照)

アセスメントの IT 頒布一般 

注記  この箇条 は,アセスメント  ソフトウェアを開発,指定,購入又は適用するアセスメント頒布

者に適用する。また,この箇条 は,ソフトウェア設計者及び開発者にも参考になる。6.16.5


10

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

は,ハイステークス  アセスメントに適用する。6.16.26.3 及び 6.5 は,ローステークス  ア

セスメントにも適用する。この箇条 は,多種のアセスメントを実施できる汎用アセスメント

ソフトウェア及び単一のアセスメント又はアセスメント群だけに使用するソフトウェアに適用

する。

6.1 

相互運用性 

6.1.1

  アセスメント  ソフトウェアの設計に当たっては,例えば,IMS の質問及び試験相互運用性規格を

使用するなど質問項目及び回答データを他のアセスメント使用者と円滑に交換する必要性を考慮すること

が望ましい。

この対象にはアセスメント主催者の受検者追跡又は営利組織の学習管理システムも含まれる。

注記 IMS の正式名称は,IMS Global Learning Consortium Inc.,質問及び試験相互運用性規格の原名称

は,Question & Test Interoperability Specification である。

6.1.2

  質問項目が頒布されるテスト実施組織では,受検者の使用するハードウェア及びソフトウェアで正

しく動作することを確認することが望ましい。

6.2 

ハードウェア,ソフトウェア及び通信に関する考慮事項 

6.2.1 

受検者が利用できる ICT 設備の考慮 

アセスメントの IT 配信のためのソフトウェアを設計するに当たり,テスト会場において対象受検者が利

用できる ICT 設備を考慮することが望ましい。考慮する内容には,次の事項が含まれる。

a)

多くのテスト会場で利用できる ICT 設備の仕様より高度なものを,アセスメント  ソフトウェアが必

要とする場合のアセスメント実施に及ぼす影響。

b)

テスト会場の配信プラットフォームが,アセスメント  ソフトウェアの動作速度に与える影響。

c)

複数の配信プラットフォームのために,バージョンの異なるアセスメント  ソフトウェアを提供する必

要性。

d)

インターネットの接続速度が,使用可能な質問項目種類に影響を及ぼす可能性。

6.2.2 

配信プラットフォームの仕様 

アセスメント  ソフトウェアの配信プラットフォームの仕様には,

次の事項に関する情報を含めることが

望ましい。

a)

ネットワーク及び周辺機器を含む最小限のハードウェア

b)

キーボード(例えば,英国用,米国用)

c)

表示面の解像度及びカラー解像度

d)

オペレーティングシステム(一つ以上)

。利用可能なバージョン範囲を含む。

e)

オペレーティングシステムの言語(例えば,英語,フランス語など)

。これは,例えば,日付及び小数

点の付いた数値の表示並びに文字コードのビット数に影響する場合がある。

f)

アセスメント  ソフトウェアのほかに必要なソフトウェア(例えば,ブラウザソフトウェア,プラグイ

ン,特殊フォント)

,該当する場合は,ソフトウェアのバージョンを含む。

g)

通信リンク

h)

アセスメント  ソフトウェアが連携する特殊な設定又はハードウェアを含む支援技術。

6.2.3 

要求事項の一貫性 

アセスメント頒布者は,異なるアセスメント及び時間の経過によって必要となる配信プラットフォーム

の変更を,可能な限り最小限にとどめることが望ましい。

6.2.4 

ネットワーク配信のためのサーバ及び接続に関する要求事項 

6.2.4.1

  アセスメントが,ネットワーク又はイントラネット上で配信される場合,サーバ及びネットワー


11

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

ク接続は,受検者のコンピュータ又は端末において適切なレスポンスタイムが得られるよう,次の点を考

慮に入れることが望ましい。

a)  1

回のアセスメントにおける受検者とサーバとの間の平均トラフィック(頻度及びトランザクション

サイズ)

b)

ある時点において予想される最大受検者数。

6.2.4.2

  インターネットを介しているなどで接続スピードが保証されない状況において,アセスメントを

配信する場合,接続スピードが遅いことによって受検者が不利とならない措置を講じることが望ましい。

状況によって,次のうちの一つ以上の措置があり得る。

a)

アセスメントが始まる前に,ローカルネットワーク又はハードディスクにアセスメント全体をダウン

ロードする。

b)

不必要なマルチメディアの利用を止める。

c)

制限時間がある場合,遅れを補償するため時間を延長する。ただし,一部のアセスメントについては,

この方法は有効な選択肢とはならない。

d)

遅れが生じた場合の明確な異議申立て手続を設ける。

6.2.5 

特殊文字 

6.2.5.1

  アセスメント配信時に,必要な特殊文字又はフォーマットが正しく表示されるよう注意を払うこ

とが望ましい。例えば,次のような場合に必要となることがある。

a)

外国語の技能に関するアセスメント

b)

他の言語媒体を通じて配信されるアセスメント

c)

通貨記号(例えば,ユーロ,円)

d)

下付き文字及び上付き文字を含む一部の数学記号又は科学記号

e)

数式の表示

6.2.5.2

  外国語技能のアセスメントの場合,又は数学記号若しくは科学記号を表示する場合のように,受

検者が指定されたキーボード上で使用できない文字を入力することをアセスメントが要求した場合,例え

ば,ショートカットキー,コピー,ドラッグアンドドロップ可能な一定範囲の文字を与えるなどによって,

簡単な入力方法を提供し,情報提供ヘルプシステムによって支援をすることが望ましい。

6.3 

制限時間のあるアセスメント 

アセスメントに制限時間がある場合,受検者が冒頭の指示及び情報を読み終わる前に,計時を開始しな

いことが望ましい。

アセスメントに制限時間がある場合,次の事項に考慮を払う必要がある。

a)

支援技術を使用する受検者のための時間の延長(3.7 参照)

b)

システムのパフォーマンス劣化のために発生した時間の遅れに対する配慮。

c)

予定した休息がある場合は,計時の停止及び再開。

d)

例えば,非常事態,技術的要因などによって,予定外の中断が生じた後,試験監督官が計時をリセッ

トできる用意。

6.4 

セキュリティ機能 

6.4.1 

アセスメント  ソフトウェアのセキュリティ 

アセスメント  ソフトウェアは,

開発中及び使用中にそのコード又はパラメタが無許可で変更されること

のないように保護されることが望ましい。開発手順及び保守手順は,JIS Q 27002:2006 の 12.412.5 及び

12.6

に従って実施されることが望ましい。


12

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

6.4.2 

質問項目及び正答のセキュリティ 

6.4.2.1

  アセスメント  ソフトウェアには,質問項目及び(該当する場合)正答のセキュリティ及び整合性

を保護するための機能を取り入れることが望ましい。ハイステークス  アセスメントの場合,次の機能を含

めることが望ましい。ただし,これらだけに限らない。

a)

異なるレベルにおけるパスワード保護

b)

個別ユーザ ID 及びパスワード

c)

質問項目及び正答ファイルの暗号化

6.4.2.2

  セキュリティ対策が講じられて,一つのユーザ ID でアセスメントに 1 回しかアクセスできないよ

うになっている場合,

受検者が予定された休憩又は予定外の中断の後で再開できるように,

試験監督官が,

この制限を無効にする措置を講じることができることが望ましい。

6.4.2.3

  採点アルゴリズム,正答などをテスト会場に置く場合,これらは無許可アクセスに対して保全を

行い,アセスメント頒布者は,テスト会場においていかなるセキュリティ対策をも現実に実施できるよう

にすることが望ましい。

6.4.3 

外部情報及び補助手段への受検者の無許可アクセスの防止 

注記  この 6.4.3 は,アセスメント規則によって禁じられている補助手段について示すものであり,例

えば,受検者がインターネットで情報を検索しなければならないような場合には適用されない。

アセスメント  ソフトウェアが,可能な補助手段をもたない独立形のコンピュータだけで使用さ

れる場合,この 6.4.3 に示す予防策は不要である。これらの予防策は,ハイステークス  アセス

メントにおいて最も重要性をもつが,ローステークス  アセスメントにおいては,結果の信頼性

を確保するために使用を検討することが望ましい。

6.4.3.1

  アセスメント  ソフトウェアは,アセスメント規則によって認められていない次のような補助手段

に,受検者がアセスメント中に電子的にアクセスすることを防ぐための機能を可能な限り備えることが望

ましい。

−  インターネットを含む情報源及びネットワーク上の他所に保存している受検者自身のファイル。

−  計算機,スペルチェッカ,辞書などの補助手段。

−  他の受検者を含む他者との連絡。

機能としては,次のものを含む。

a)

補助手段ヘのアクセスを提供するナビゲーションツールバーなどを全て隠す。

b)

アクセスを提供するショートカットキーを使用不能にする。

c)

他のプログラムにアクセスした場合,アセスメント  ソフトウェアに戻れなくする。

d)

ブラウザのソースコードをのぞけないようにする。

e)

使用が認められた情報又は補助手段に同様の保護を適用する。

6.4.3.2

  無許可アクセスを防止する機能をソフトウェアに付与することができない場合,監督手順によっ

て,アクセスを探知するための対策を講じることが望ましい。

外部の情報及び補助手段ヘの,無許可アクセスを検出するソフトウェア機能の使用も検討することが望

ましい。これには,次の方法がある。

a)

打鍵をモニタする。

b)

各質問項目に要した時間を記録する。

過去に遡って監視することを可能とし,不正行為を示す通常とは,異なる事項の発生を検出することが

できる。


13

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

注記  受検者には,打鍵がモニタされていることを伝えることが望ましい。

6.4.4 

アセスメント中の無許可開示の防止 

ソフトウェアは,可能な限り,受検者又はその他の者が,アセスメント中にアセスメント内容を許可な

く開示することを防ぐために,例えば,次のことを防止する機能を備えることが望ましい。

a)

アセスメント質問項目を印刷する。

b)

アセスメント質問項目を別のソフトウェアアプリケーションへコピーする。

c)

アセスメント質問項目ファイルを別のコンピュータに送信する。

ソフトウェアにこのような機能を組み込むことができない場合は,試験監督手順によって対処すること

が望ましい。アセスメント中に記したメモ又は計算過程が持ち出されることがないように管理することが

望ましい。

6.4.5 

休憩の準備 

6.4.5.1

  1.5 時間を超えるアセスメントで,受検者がほぼ全期間,表示面に向かって作業を行う場合,アセ

スメントの目的又は妥当性に弊害をもたらさない限り,受検者に休憩を与えることが望ましい。

6.4.5.2

  休憩が必要な場合は,その休憩中にセキュリティ及び監督に関する規則違反が発生しないことを

確実にする対策を講じることが望ましい。アセスメントの性質に従って,これらの対策には,次の方法が

考えられる。

a)

アセスメントを複数の独立した小アセスメントへ分割。

b)

セッションの中断及び再開を可能とするソフトウェア機能及び手順。

c)

休憩中の受検者の監視

6.4.5.3

  予定した休憩又は予定外の中断の別を問わず,休憩中に受検者又はその他の者がアセスメントヘ

の無許可アクセスを行わないように対策を講じることが望ましい。試験監督官は,休憩後のアセスメント

ヘのアクセスを管理することが望ましい。

6.5 

アセスメント  ソフトウェアの検証 

6.5.1 

頒布者による検証 

6.5.1.1

  ソフトウェアの検証は,次の条件を満たすことが望ましい。

a)

体系的である。

b)

計画的である。

c)

文書化されている。

d)

この規格に列挙した詳細な要点を網羅するよう設計されている。

6.5.1.2

  アセスメント  ソフトウェアの性能は,次の点について徹底的に検証されることが望ましい。

a)

適しているとされる全ての配信プラットフォーム上で。

b)

ソフトウェアの全ての代替バージョンについて(該当する場合)

c)

起こり得る最大負荷において。

検証では,次の点を確認することが望ましい。

1)

アセスメントが教育上の要求事項を満たしている。これは,教育専門家自身,又は教育専門家が作

成した仕様書を参照することによって検証することが望ましい。

2)

テキスト及びグラフィックスの両方の正しい表示,マルチメディア要素の正しい機能,並びに周辺

機器及び支援技術のナビゲーション及びオペレーションを含めて,ソフトウェアが意図したとおり

に機能する(7.4 参照)

3)

ワークステーション間の動作スピードの差を十分に小さくし,受検者が要する時間全体に影響を及


14

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

ぼさない(ネットワーク上の接続時間については,6.2.4 を参照)

注記  ローステークス  アセスメントの場合,又はアセスメントに制限時間がない場合,動作速度の多

少の差は,許容することができる。

6.5.1.3

  汎用ソフトウェアを使用する場合,実際の使用に先立って,特殊文字又はフォントの使用及びテ

キスト以外の機能(例えば,グラフィックス)の使用など,特殊機能に特に注意を払い,個々のアセスメ

ント又はアセスメント群の運用を検証することが望ましい。

6.5.2 

テスト会場のための情報及び検証の機会 

6.5.2.1

  アセスメントセッションよりできるだけ前に,ハードウェア,ソフトウェア及び通信に関する要

求事項の変更を含む要求事項の情報をテスト会場に提供することが望ましい。情報には,次の事項を含め

ることが望ましい。

a)

意図した配信プラットフォーム(6.2.2 及び 6.2.4 参照)

b)

支援技術を含め,アセスメント  ソフトウェアの動作が頒布者によって検証されているハードウェア及

びソフトウェアの組合せ。

c)

ローカルハードウェア及びネットワークに保存するファイルサイズ。

6.5.2.2

  アセスメントセッションの実施前に,テスト会場で通信リンク及び配信プラットフォームのアセ

スメント  ソフトウェアとの適合性を検証することが望ましい。

6.5.2.3

  各アセスメント(又は各群の類似アセスメント)について,実際のアセスメントセッションの前

に,テスト会場が使用を計画している全ての機器で全ての機能が十分働くことを検証できるようサンプル

アセスメントを提供することが望ましい。テキスト以外の機能又は特殊文字が含まれる場合は,特に重要

となる。

6.5.2.4

  テキスト以外の機能を取り入れたアセスメントが,様々な ICT プラットフォームで,その全ての

上で十分に検証されることが保証できない場合,関連する非テキストオブジェクトにアクセスできない場

合は,技術支援を求めるよう,質問項目の文中において受検者に伝えることが望ましい。

アセスメント IT 配信のためのソフトウェア−ナビゲーション及びユーザビリティの課題 

注記  この箇条 は,ソフトウェアを開発,指定,購入又は適用するアセスメント頒布者,並びにハ

イステークス  アセスメント及びローステークス  アセスメントの両方に適用する。また,この

箇条 は,ソフトウェアの設計者及び開発者並びに試験,クイズ又は自己アセスメントを含む

公開学習教材及び復習のための補助教材についても関係する。

7.1 

適切なナビゲーション機能の提供 

7.1.1

  アセスメント  ソフトウェアは,アセスメント規則の制約の範囲内において,受検者が円滑にアセス

メントへの回答を進めることができるよう,簡単,明確及び一貫性のあるナビゲーション機能を備えてい

ることが望ましい。

7.1.2

  受検者が質問項目をとばすか無回答のままにできる場合,その方法は,簡単及び明確であることが

望ましい。無回答の質問項目に後で戻って回答することが可能である場合,当該の質問項目を見つけて,

戻る方法も簡単及び明確であることが望ましい。

7.1.3

  アセスメント全体又は定められた質問項目のサブセットの中で,受検者が質問項目にどのような順

序で答えてもよい場合は,

a)

質問項目間を前後する手順は,簡単及び明確でなければならず,一つずつ質問項目を前後進するため

の簡単な方法を設け,かつ,アセスメント又はサブセット中の現在の質問項目番号を明確に表示する


15

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

ことが望ましい。

b)

最初の質問項目又は最後の質問項目に直接移動する方法,又は番号によって任意の質問項目に移動す

る方法の提供を検討することが望ましい。

c)

受検者がある質問項目に戻って,回答を変更することが許される場合,手順は,簡単及び明確である

ことが望ましい。

7.1.4

  個々の質問項目又は質問項目群への回答の提出が取消し不能の場合,特に,一部の質問項目が無回

答のままである場合,回答の提出が確定したものであることを受検者に確認することを検討することが望

ましい。

7.1.5

  受検者が,制限時間以前にアセスメントを中止することが許される場合,特に,一部の質問項目が

無回答のままである場合,回答の提出が確定したものであることを受検者に確認することを検討すること

が望ましい。

7.2 

受検者への情報及びヘルプの提供 

ソフトウェアは,通常,受検者のために次の内容を含むような十分な情報及びヘルプを提供することが

望ましい。

a)

アセスメント開始前に,質問項目ヘの回答,移動,及び中止の方法に関する情報。

b)

アセスメント開始前に,アセスメント自体,すなわち,質問項目数,質問項目の種類,制限時間(該

当する場合)

,アセスメント採点方法に関する情報。

c)

アセスメント実施中に,回答済み又は未回答の質問項目数,

(該当する場合)経過時間又は残時間に関

する継続的な情報。

d)

制限時間がある場合は,アセスメント終了前の適切な時点における警告メッセージ(10 分前を推奨)

e)

簡単にアクセスできるヘルプ

7.3 

ユーザビリティ 

7.3.1 

ユーザビリティのための設計 

アセスメント  ソフトウェアの設計に当たっては,

ユーザビリティに関する次の事項を含むような要求事

項を考慮することが望ましい。

a)

ユーザ(受検者)のニーズ及び特性,特に予想される IT スキルのレベルに合った設計(JIS Z 8521 

照)

b)

配信プラットフォームの取決め及びユーザの感覚に合った仕様の順守(JIS Z 8521 参照)

c)

教育上又は測定上の要求事項と矛盾しない範囲での,表示に対するユーザの制御(JIS Z 8518 参照)

d)

一貫した画面デザイン,レイアウト及び配色(JIS Z 8518JIS Z 8521 及び JIS Z 8522 参照)

e)

一貫したボタン及びアイコンのナビゲーション,機能性,配置及び名称,並びにメッセージの配置及

び用語(JIS Z 8521JIS Z 8522 及び JIS Z 8523 参照)

f)

可能な場合,他の入力方式又はナビゲーション方式(例えば,矢印キー又はマウスの選択,数字キー

パッド又は標準数字キーの使用)

JIS Z 8521 参照)

g)

色覚多様性の受検者用を含め,読みやすい配色及びフォントの選択(JIS Z 8518 参照)

7.3.2 

フェイルセーフ機能 

7.3.2.1

  アセスメント  ソフトウェアには,次を含めたフェイルセーフ機能を取り入れることが望ましい。

a)

不適切なキーの無効化

b)

回答の大文字,小文字を区別する教育上の理由がある場合を除き,大文字及び小文字両方の受入れ。

c)

受検者が誤って終了してしまうことを防ぐ手段(例えば,ダイアログボックス)


16

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

d)

認められない回答パターン(回答が一つだけしか必要でないにもかかわらず,二つの回答に印を付け

るなど)を防ぐ手段。

7.3.2.2

  IT 配信によるアセスメントを紙によるアセスメントと等価の代替手段とする場合,IT 配信を利用

した受検者が有利又は不利になる可能性があるため,フェイルセーフ機能について,教育専門家と協議す

ることが望ましい。

7.3.3 

画面上のデータ及び補助手段ヘのアクセス 

アセスメントで画面上のデータ,問題説明又は補助手段(例えば,計算機)へのアクセスを認めている

場合,これらは,次を満たすことが望ましい。

a)

明確に表示されている。

b)

質問項目の画面から直接アクセスできる。

c)

部分的にでも,質問項目と同時に表示できる。

d)

必要に応じて簡単に移動又はスクロールできる。

7.4

  支援技術との連携 

注記  はっきりとした読みやすい画面,一貫性のあるボタン配置など,優れた設計の幾つかの面は,

障害をもつユーザだけでなく,全てのユーザに有効である。障害者の IT アクセスに関するアド

バイスについては,参考文献を参照。

7.4.1

  アセスメント  ソフトウェアの設計に当たっては,

インタフェースの容易化を次のことを含めて検討

することが望ましい。

a)

画面拡大機能,画面読上げ機能,ヘッドフォン,点字出力作成パッケージなどの代替拡張出力装置。

b)

音声認識ソフトウェア,タッチスクリーン,キー押打の聴覚確認などの代替補助入力装置。

7.4.2

  代替拡張出力装置の使用を容易にするための方法としては,次のものが含まれる。

a)

グラフ及びチャートを含むイメージと同じ内容を表すテキスト及びマルチメディア。

b)

使用言語を示すタグ。

c)

ユーザが表示形式を変更できるスタイルシートの使用。

7.4.3

次の点については特に,支援技術におけるインタフェースの影響を考慮することが望ましい。

a)

支援技術とのインタフェースの使用が不適切であると,質問項目の性質を変化させたり,障害をもつ

受検者に不当に有利に働いたりする可能性がある。例えば,イメージの説明で質問項目の答えが分か

ってしまう場合がある。

b)

代替補助入力装置の使用は,通常の方法より時間がかかる可能性があるので,制限時間がある場合,

その結果の妥当性を損なう可能性がある。

c)

一部のアセスメント及び質問項目によっては,別のアセスメント方式(例えば,口頭試問)が,支援

技術を用いるよりも望ましい可能性がある。

注記  職業固有のアセスメントにおいては,何らかの特別なニーズをもつ受検者が除外されている

場合など,状況によっては,支援技術の利用が不必要又は不適切な場合がある。

7.5 

ユーザビリティ用のソフトウェアの試用 

7.5.1

  アセスメント  ソフトウェアは,次の事項を確認するために,予想される最終ユーザを典型的に代表

する受検者によって試用されることが望ましい。

a)

使用容易性

b)

堅ろう(牢)性

c)

安全性


17

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

試用には,支援技術を必要とする受検者を含めることが望ましい。

7.5.2

  アクセス容易性を検証するため,可能な場合,適切なアクセス容易性分析ツールを利用することが

望ましい。

即時自動採点,結果判定及びフィードバック 

注記  この箇条 は,自動採点,結果判定,フィードバックを行うソフトウェアの開発,仕様決定,

購入,導入を行うアセスメント頒布者に適用される。また,ソフトウェア設計者及び開発者に

も適用される。これは,ハイステークス  アセスメント及びローステークス  アセスメントの両

方に適用される。ただし,回答及び受検者データの記録については,箇条 10 で詳しく示す。

8.1 

回答の採点 

8.1.1 

教育学的配慮に基づいた設計 

受検者の回答を採点するためのソフトウェアは,採点規則において教育学的判断を支援するように設計

されることが望ましい。特に次の点に考慮することが望ましい。

a)

正答の定義

注記  正答の定義とは,どのような回答を正答とみなすか,の定義である。特に構築式回答に対し

ては,正答の定義に注意を払うことが望ましい(8.1.3 参照)

b)

個々の質問項目又は項目種類への配点

c)

部分的に正答している回答への部分点付け

d)

全体得点の計算又は結果の算出

e)

当て推量による正答の補正

注記  選択肢形式のテストでは,正答が分からなくても,当て推量でいずれかの選択肢を選べば正

答する可能性がある。例えば,個の選択肢から一つを選ぶ場合,当て推量でも 1/の確率

で正答する可能性がある。一部のテストでは,当て推量によって正答した分を見積もって見

掛けの正答数から除く補正を行う場合がある。このような場合,項目反応理論(Item Response

Theory

)という数学モデルを用いて当て推量の影響を補正して受検者の能力推定を行うこと

ができる(参考文献[10]参照)

。当て推量による受検者の正答確率を数学モデルに組み入れた

3-

パラメタ・ロジスティック・モデル(3-parameters-logistic model)と呼ばれる項目反応理論

が用いられる。また,正答項目数だけの補正には,次のような簡易法が用いられる。全ての

質問項目が 個の選択肢から一つ選ぶ形式のテストにおいては,補正前の(見掛けの)正答

項目数 C_original,誤答項目数 だったとする。当て推量によって得た正答数を見積もって

見掛けの正答項目数から減算すると,真の実力で得た正答項目数 C_correct は,次の式で見積

もることができる。ただし,無回答の項目数は に含めない。は回答したが誤答だった項

目数である。

C_correct

C_original−W / (K−1)

これらのソフトウェアは,次の点を考慮する必要があるかもしれない。

1)

ソフトウェアによる質問項目の無作為選択

2)

質問項目の出題順序の並べ替え

3)

選択肢の提示順序の並べ替え

4)

質問項目への乱数の挿入

注記  質問項目への乱数の挿入とは,計算を要求する質問項目において,項目中の定数数値を乱


18

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

数によって発生することをいう。例えば,二つの整数 と との和を計算させる質問項目

において,と とを乱数によって発生させるという場合が挙げられる。

採点規則は,可能な限り簡潔で,受検者に説明が可能で,教育学的な裏付けがなされていることが望ま

しい。

8.1.2 

自動採点の試用 

自動採点は,それが一貫して意図どおりに動作することを確認するため,広い範囲の受検者の回答に試

用することが望ましい。

8.1.3 

構築式回答の採点 

注記 IT を用いた論述式項目及び人間による採点だけを想定して設計された質問項目の採点は,ここ

で挙げられる規格の範囲外である。

8.1.3.1

  構築式回答(例えば,受検者が回答をタイプして入力する場合)に対する採点ソフトウェアは,

もし採点者であれば,正答とするであろう全ての回答に得点が与えられることを,特に配慮した設計及び

試用を行うことが望ましい。配慮が必要な点としては,次の事項を許容することが挙げられる。

a)

表記のゆれ又は誤字脱字

b)

大文字及び小文字の使用法

c)

同義語

d)

句読点

e)

“又は”と“/”

“及び”と“・”

“でない”と否定形の表現,また,他言語においての対応語。

f)

数値での回答における単位の記入又は省略。

8.1.3.2

  質問項目が数値的回答の計算又は推定を要求している場合,計算時の四捨五入のミス,小数点以

下の桁数の違いなどを考慮して,正答として認める回答範囲を配慮することが望ましい(質問項目に記載

がない場合)

8.1.3.3

  難読症と分かっている受検者の回答構築式記述項目への回答は,正しいつづりが教育学的に必要

とされない場合には,手作業によって採点を精査することが望ましい。

8.1.3.4

  正答が非常に厳密に定義されている場合を除いて,ハイステークス  アセスメントの場合には,IT

を用いた回答構築式の記述式項目の自動採点は,人によって精査することが望ましい。この作業は,教育

学的な観点から協議しながら行うことが望ましいが,全ての予想外の回答,若しくはこれらの代表サンプ

ル,又はテスト結果が著しく影響を与える受検者だけに行われてもよい。

8.1.3.5

  試用又は実際の使用からのフィードバックは,正答,誤答の定義及び(該当する場合は)採点ア

ルゴリズムの精緻化に用いることが望ましい。

8.1.4 

受検者に対する情報 

採点に関する情報は,受検者のアセスメント戦略に影響する可能性があるので,アセスメントの前に受

検者が入手できるようにすることが望ましい。

注記  これは,採点に関する情報がアセスメントの妥当性を損なわない場合及び受検者を不必要に混

乱させないような場合に限って行われることが望ましい。

8.2 

結果決定のためのソフトウェア 

ソフトウェアが受検者の回答から自動的にテスト結果,例えば,合格又は不合格を計算する場合,これ

は,少なくとも一般的な用語を用いて,受検者に周知した明確なルールに従ったものであることが望まし

い。

ソフトウェアの動作は,

それが意図どおりの結果を出すかを確認するために検証されることが望ましい。


19

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

注記  採点及び結果決定が全て自動的に行われ,その結果が受検者に“著しく重大な影響”を与える

アセスメントに用いられる場合,それらは領域固有のデータ保護又はプライバシーに関する法

令の対象となる可能性がある。

8.3 

フィードバック提示ソフトウェア 

8.3.1 

提示されるフィードバックのレベル 

自動的に受検者又はテスト会場スタッフに提示されるフィードバックのレベルは,教育学的判断及びア

セスメントの目標に一致することが望ましい。フィードバックのレベルとしては,総括的結果だけ,アセ

スメント全体の得点,大問ごとの部分得点,個々の質問項目への得点,正答及びその理由又は説明,より

深い学習のためのヒント,並びに学習教材又は情報源への照会が挙げられる。

8.3.2 

信頼性の度合 

与えられるフィードバックは,教育理論の見地からも測定理論の見地からも正当化されたものであるこ

とが望ましい。例えば,少なすぎる質問項目のサンプルに基づいたフィードバックは,望ましくない。フ

ィードバック提示のためのソフトウェアは,受検者が回答した質問項目数が不十分である場合に提示を抑

止するか,そのまま提示するかを決定する手順の組込みを必要とするかもしれない。

8.3.3 

フィードバックの提示 

8.3.3.1

  フィードバックの提示(それが画面,紙面を問わず,また,文章,図,その他の提示手法にかか

わらず)は,明確で解釈が容易にでき,最低限の説明が示されることが望ましい。

注記  アセスメント主催者が規定した試験後の期間(例えば,24 時間)の間,その結果は仮のもので

あるとするのがよいとされている。これによって,起こり得るあらゆるアセスメントセキュリ

ティ侵害の調査が可能となる。

8.3.3.2

  ハイステークス  アセスメントの場合,フィードバックは,質問項目の機密性を保持することが望

ましい。

8.3.3.3

  形成的評価からのフィードバックは,学習及び学習者の発達を促すことを目的とすることが望ま

しい。

8.3.3.4

  フィードバックが,受検者を落胆させるような内容の場合,自動的ではなく,専門家がフィード

バックを提供するか,カウンセリング施設を利用できるよう配慮することが望ましい。

8.3.4 

試行 

フィードバック提示ソフトウェアは,それが一貫性をもち,教育学的必要性に従って動作することを確

認するために,広い範囲の受検者の回答によって試用することが望ましい。

8.4 

試行中の受検者データの機密性の確保 

実際の受検者の回答が得点,結果判定,フィードバックを提供するソフトウェアの試用のために用いら

れる場合,全ての受検者に関連する個人情報は,機密性が保持されるように消去又はダミーデータへの差

し替えを行うことが望ましい。

アセスメントコンテンツ及び正答の準備及び伝達 

注記 1  この箇条 は,アセスメント頒布者に適用するものであり,運用及びそのアセスメントを実

施する会場への伝達のためのアセスメントコンテンツ及び回答の準備を扱う。アセスメント

準備とアセスメント配信とは,通常異なる場所で行われることを想定しているが,それらが

遠隔地でも同一の建物の異なる部屋で行われてもよい。アセスメント配信は,指定されたテ

スト会場で行われることもあるし,1 人の受検者が,小さなラーニングセンタ又は図書館で


20

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

ローステークス  アセスメントを受けるために行われる場合もある。

注記 2  この箇条 は,採点が IT によって行われるか,採点者によって行われるかにかかわらず,IT

配信のためのアセスメントコンテンツの伝達に適用するものである。

注記 3  この箇条の 9.1 及び 9.2.1 は,ハイステークス  アセスメントの場合にもそうでない場合にも

適用される。9.2.2 及び 9.2.3 は,ハイステークス  アセスメントの場合だけに適用される。

注記 4  テスト会場でのアセスメントコンテンツの保管については,13.5.2 を,回答ファイルの保管

については,13.6 を参照。

9.1 

利用するアセスメントコンテンツ及び正答の準備 

9.1.1 

真正性及び整合性 

アセスメント頒布者は,

次の事項を確認することによって,

実際に用いられるアセスメントコンテンツ,

質問項目及び正答の真正性と整合性とを確認するための手続を確立することが望ましい。

注記  真正性(authenticity)とは,アセスメントコンテンツ,質問項目及び正答が改ざんされていな

いことを指す。

a)

アセスメントフォーム及び個々の質問項目が,意図されたアセスメントに対応している。

b)

認可されたアセスメントフォーム及び質問項目の最新版だけが,用いられている。

c)

個々のアセスメントフォームが,

正しい数の質問項目をもっており,その他の要求にも適合している。

d)

正答に関する情報は,正確,かつ,該当する質問項目に正しく結び付けられている。

e)

必要な場合,正答の記録及び関連アルゴリズムは,項目バンクからの質問項目の選択,項目の出題順

序の並べ替え,回答群の順序の並べ替え,質問項目への乱数の挿入などを考慮している。

9.1.2 

機密性 

アセスメントコンテンツ及び正答に関する機密性は,それらの公開準備のために必要な全ての手続期間

中,保持されることが望ましい。

注記  準備の初期段階でのアセスメント素材の機密性については,それが必要であったとしても,こ

の規格では扱わない。

9.2 

アセスメントコンテンツ及び正答の伝達 

9.2.1

  アセスメント頒布者は,アセスメントコンテンツ(アセスメントフォーム,質問項目,正答など)

の頒布側と受信側との伝達中におけるセキュリティ保護の手続を確立することが望ましい。これらの方法

は,次の事項が確認できるように設計されることが望ましい。

a)

アセスメントコンテンツが意図された受信者に受け取られている。

b)

アセスメントの真正性が確認されている。

c)

アセスメントの整合性が保持されている。

d)

アセスメントコンテンツが未許可の者に知られることがない。

9.2.2

  ハイステークス  アセスメントの場合,次の事項を配慮することが望ましい。

a)

発信及び受信の通知

b)

物理的な輸送(例えば,CD-ROM など)が用いられる場合,紙を用いたアセスメントと同様のセキュ

リティ対策。

c)

電子的に送信されるアセスメントコンテンツへの暗号技術の利用(公衆回線を介した場合は特に)

d)

あらかじめ設定された電話番号だけへのアセスメントコンテンツの送信(テスト会場からの要請によ

って伝達を行う場合は“ダイヤルバック”機能を使用)

e)

記録の整合性を確認するための伝達プロトコルの使用。


21

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

f)

テスト会場スタッフが記録の真正性と整合性とを確認するための手続。

g)

受信したアセスメントコンテンツの整合性を検証するためのメッセージ認証。

9.2.3

  ハイステークス  アセスメントで,遠隔地のサーバからオンライン頒布を行う場合,技術的問題が発

生した場合のためにバックアップサーバの必要性について配慮することが望ましい。

10 

アセスメント頒布者が行う,受検者の個人情報,回答の記録,伝達のためのソフトウェア及び手順,

並びにそれらの保管のためのソフトウェア及び手順 

注記 1  この箇条 10 は,アセスメント頒布者に適用される。10.110.4 は,ハイステークス  アセス

メントの場合に対応し,10.1 及び 10.2 は,そうでない場合にも対応している。

注記 2  “回答記録”は,選択式項目及び回答構築式項目への回答を含み,直接又はアセスメント頒

布者を介して採点者へ転送される論述式項目などへの回答を含む場合もある。

注記 3  この箇条 10 は,受検者へ課題を電子的に伝送するためのソフトウェア及び手順にも適用でき

る。

10.1 

相互運用性 

ファイル及び記録の形式を設計する場合,次の事項を容易に行えるよう配慮することが望ましい。

a)

受検者の個人情報及び/又はテスト結果と,組織での学習者の記録,学習管理システム及び/又は資

格審査機関の形式との情報交換。

b)

他のアセスメント(例えば,IMS の質問及び試験相互運用性規格など)のユーザとの質問項目及び回

答データの交換。

c)

回答及び得点のデータベース,スプレッドシート又は統計ソフトウェアへの分析のための書出し。

10.2 

回答記録及び回答と受検者識別情報とのリンク 

10.2.1

  受検者の回答記録のためのソフトウェアは,次の事項に関する機能をもつことが望ましい。

a)

受検者の個人情報:これらは既存の記録(例えば,アセスメント申込みの記録)から読み込んでも,

アセスメント開始直前に記録してもよい。

b)

無作為に発生させたパラメタを含め,受検者に提示されたアセスメント,アセスメントフォーム,個々

の質問項目の詳細。

c)

(たとえそれがコンピュータによる自動採点であったとしても)回答構築式項目への全文を含む個々

の質問項目への受検者の回答。

d)

(必要な場合)所要時間

e)

アセスメント終了時に得られる結果及びフィードバックの情報。

f)

アセスメント又はテスト会場に対する受検者の全てのコメント。

注記  形成的評価及び質問項目の試行では,受検者の氏名を記録する必要はないかもしれないが,

項目評価及びモニタリングを支援するために他の個人情報(例えば,年齢,性別及び教育を

受けた期間)を記録する必要性は残されている。ハイステークス  アセスメントでは,照会又

は申立てに備えた証跡として,受検者に提示される質問項目及びその回答の詳細が必要であ

る。

10.2.2

  可能な場合,アセスメント中は回答を頻繁に(10 分おき,各質問ごと,又は質問群ごとに)保存

し,技術的障害又はその他のアセスメントの中断が発生した場合に,それまでにどのような作業が行われ

たかの記録を提供し,できるだけ多くのデータを回復した上で再開できるような配慮をすることが望まし

い。


22

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

10.2.3

  ソフトウェアの動作は,受検者の個人情報,質問項目の詳細及び回答が必ず正しく関連付けられる

ように,様々な状況で検証されることが望ましい。検証は,可能な場合ダミーデータを用いて実際の受検

者の個人データの機密を守ることが望ましい。

10.3 

アセスメント頒布者への回答ファイルの伝達 

10.3.1

  アセスメント頒布者は,テスト会場からアセスメント頒布者に伝達された回答記録の機密性,真正

性を維持するための手順を確立することが望ましい。状況に応じて次の事項を考慮することが望ましい。

a)

発信及び受信の通知

b)

(例えば,フロッピィディスクなどによる)物理的輸送が用いられる場合,紙によるアセスメントと

同様のセキュリティ対策。

c)

電子的に送信される回答への暗号技術の使用(公衆回線を介した場合は特に)

d)

記録の整合性を確認するため伝送プロトコルの使用。

e)

アセスメント頒布者のスタッフが受け取った記録の真正性と整合性とを確認するための手続。

f)

少なくとも受信が確認されるまで,テスト会場において安全な状態で保管するバックアップ手順。

10.3.2

  セキュリティ対策は,

アセスメント頒布者と採点者との間の回答記録の伝送に対しても行うことが

望ましい。回答が採点のために採点者に転送され,氏名を伏せて採点を行わなければならないとき,採点

者は,受検者の個人情報を受信しないが,後にその採点結果がどの受検者のものであるかを正しく照合で

きる手順を確立することが望ましい。

10.4 

アセスメント頒布者による回答ファイルの保管 

アセスメント頒布者による受検者及び回答データの保管手順は,次の点を考慮することが望ましい。

a)

受検者からの照会又は異議申立てが行われた場合に備え,受検者の個人情報及び回答データの詳細な

全ての情報をあらかじめ定められた期間にわたって保持しておくことが必要となる。

b)

データ保護の法律に基づき,受検者に関連する個人情報を保護することが必要となる。

c)

合格した受検者の記録を無期限に保持する必要が生じる可能性がある。

d)

継続的な追跡調査と分析のために,回答データ及び一部の個人情報を保持する必要が生じる可能性が

ある。その場合,これらのデータでは,名前を伏せることが望ましい。

e)

分析のために構築式回答の全文データを保持し,その結果起こり得る採点規則の変更を通知する必要

が生じる可能性がある。

f)

保持データの安全なバックアップが必要となる。

11 

テスト会場のための指示及びアセスメント固有情報の提供 

注記  この箇条 11 は,アセスメント頒布者に適用する。11.111.4 は,ハイステークス  アセスメン

トの場合に適用し,11.1 及び 11.2 は,ローステークス  アセスメントにも適用する。

11.1 

技術情報及び支援 

11.1.1

  アセスメント頒布者は,関連する管理用ソフトウェアを含むアセスメント  ソフトウェアをどのよ

うに読み込み,設定するか,また,アセスメントをどのように開始し終了するかについて,テスト会場ス

タッフに対して明確な指示を与えることが望ましい。

11.1.2

  必要に応じてアセスメント  ソフトウェアの初期設定時及びアセスメントセッション中に,テスト

会場スタッフが技術支援を利用できるようにすることが望ましい。テスト会場への情報には,ヘルプライ

ンの電話番号及びトラブルシューティングのためのヒントを含めることが望ましい。

11.2 

アセスメント固有の情報 


23

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

アセスメント頒布者は,テスト会場に対して,各アセスメントに固有の情報を事前にできる限り早く提

供することが望ましい。また,この情報は,次の事項を含むことが望ましい。

a)

受検者に提供する情報(12.1 参照)

b)

そのテスト会場に通常要求される最低基準と異なる場合,ハードウェア,ソフトウェア,周辺機器及

び通信リンクに関する最低限の仕様。

c)

ハードウェア又はソフトウェアの構成に関する特別な要求事項(例えば,特殊フォント又は特殊文字

セットに関する要求事項,使用する商用ソフトウェアからのヘルプファイル及びスペルチェック機能

の取外しに関する要求事項など)

d)

テスト会場が用意しなければならない参考資料及び補助手段(例えば,電卓)

e)

予定した休憩に関する全ての特別な手続。

f)

受検者に作業を定期的に保存するように伝える必要性の有無。

g)

トラブルシューティングを支援するため,専門家の教員及びインストラクタをテスト会場に同席させ

ることの可否。

11.3 

一般的指示 

アセスメント頒布者は,この規格の箇条 13∼箇条 17 に従ってテスト会場(及び新たに加わる可能性の

あるテスト会場)に,設備,スタッフ及びテスト会場の運用に関する明確かつ適切な指示を与えることが

望ましい。さらに,より詳細又は固有の要求事項を含めてもよい。

テスト会場への指示は,次の事柄を含むことが望ましい。

a)

受検設備の設計及び受検設備の間隔。

注記  これは,受検者が同一のアセスメントを受ける場合,受検者が他の受検者の近くにいて気が

散る可能性が高い場合,又は受検者同士が協調作業を行うことがアセスメントで特に要求さ

れていない場合だけに該当する。

b)

ハードウェア,ソフトウェア,周辺機器及び通信リンクのための要求仕様。

c)

受検設備のレイアウト及び試験室の環境。

d) IT

配信アセスメントのためにテスト会場で必要となるその他の設備。

e)

(該当する場合)アセスメントコンテンツ,受検者の回答などに対するセキュリティ対策。

f)

テスト会場のスタッフの業務及び技能に関する要求事項。

g)

各アセスメントセッションにおける,受検者に対する試験監督官数の最低比率。

h)

アセスメントセッションの実施手順,緊急事態及び不正行為の処理に関する手順。

11.4 

異議申立て 

アセスメント頒布者は,次の事項を含む異議申立て手順を明示することが望ましい。

a)

あらゆる技術障害,遅延,及び異議申立てのきっかけとなり得る受検者の苦情を試験監督官が記録す

るための準備。

b)

受検者が異議申立てを行った場合の自動採点及び結果判定の人による見直しの準備。

12 

受検者のための情報及び操作練習の提供 

注記  この箇条 12 は,アセスメント頒布者に適用する。12.112.4 は,ハイステークス  アセスメン

トの場合に適用し,12.112.2 及び 12.3 は,そうでない場合にも適用する。情報は,それを受

検者に提供する責任を負うテスト会場又はコース開発者を通じて提供するか,アセスメント頒

布者が受検者に直接手渡してもよい。


24

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

12.1 

受検者に対するアセスメント固有情報の事前提供 

12.1.1

  アセスメントに関する情報は,アセスメントの開始前に受検者に提示することが望ましい。ハイス

テークス  アセスメントの場合,アセスメント実施日より前に提示することが望ましい。一部のローステー

クス  アセスメントでは,アセスメント当日に情報を与えれば十分の場合もある。

アセスメントの整合性を損なわない場合,情報に次の内容を含めてもよい。

a)

教育学的判断に従ったアセスメントの範囲(例えば,評価する知識又は技能の範囲)

b)

質問項目数及び種類

c)

項目内容又は質問項目の種類に基づくアセスメントの構成区分。

d)

質問項目への回答がどのように採点され,それらの得点がどのように組み合わされて総合的な結果が

計算されるかの情報。これには,異なる項目種類及び項目トピックに応じた得点の重み付け,当て推

量による影響の補正,

“方法”すなわち,操作順序に対する採点などを含む(8.2 参照)

注記  “方法”すなわち,操作順序とは,何らかの操作の手順を要求する質問項目に対する回答を

指す。例えば,数字を大きさの順に並べ替える最少の手順などが該当する。

e)

無配点の質問項目の有無,及びある場合はその理由。

f)

制限時間(該当する場合)及び起こり得るシステム遅延を埋め合わせるための方策。例えば,インタ

ーネット経由で伝達を行うなど,技術的解決が不可能な場合は,試験監督官にあらゆるシステム遅延

を報告するように受検者に助言することが望ましい。

g)

回答方法,回答を訂正する方法,テスト画面のナビゲーション方法,及び終了の方法。これらは,操

作練習の提示によって支援される(12.2 参照)

h)

操作練習を行うための方法。

i)

テスト画面ナビゲーションの制限(7.1 参照)及び制限の理由。

j)

要求されるコンピュータ技能レベル(例えば,キーボードを使う必要の有無)

k)

コンピュータ端末で提供される,使用可能なデータ,情報又は補助手段(例えば,電卓)

l)

テスト会場で提供されるか,

又は受検者自身で用意しなければならない,持込みが許可されるデータ,

情報又は補助手段。

m)

支援技術を使用する受検者のための準備。

n)

異議申立て手続。これには,技術的障害及び遅延の申立て,並びに(該当する場合には)自動結果決

定に対する異議申立てが含まれる。

12.1.2

  長時間にわたるコンピュータ端末使用の影響を軽減するため,

“小休止”をとるよう(筋肉をリラ

ックスさせ,表示面から目を離すよう)受検者に助言することが望ましい。

12.2 

操作練習の提供 

12.2.1

  アセスメント開始の前に,

実際のアセスメントと同様の操作練習の機会を提供することが望ましい。

ハイステークス  アセスメントの場合,

この練習は,

アセスメント実施日より前に提供することが望ましい。

ローステークス  アセスメントの場合,アセスメント当日に提供しても十分な場合がある。操作練習は,次

の事項を含むことが望ましい。

a)

ソフトウェアの全ての関連機能

b)

実際のアセスメントで用いる全ての質問項目の種類

c)

内容,形式,及び難易度の点で,実際のテストと類似した例題。ただし,必ずしも実際のテストを完

全に模倣する必要はない。

d)

結果及びフィードバックの例


25

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

12.2.2

  操作練習では,

ソフトウェアのヘルプ機能及びフェイルセーフ機能への注意を喚起することが望ま

しい。

12.2.3

  操作練習は,受検者のニーズに応じて,二つ以上の形式で(例えば,インターネット経由で,ロー

カルディスクで,テスト会場で,ラーニングセンタで,また,助言者がいたりいなかったりで)行えるよ

うにすることが望ましい。

12.3 

障害をもつ受検者のための備え 

障害をもつ受検者のニーズに応じた適切な備えが取れていることを確実にするため,そのような受検者

には,事前に十分余裕をもってテスト会場に連絡するよう助言することが望ましい。

12.4 

受検者に対するアセスメントセキュリティ情報の提供 

受検者には,事前に次のことを知らせておくことが望ましい。

a)

アセスメントプロセスの諸規則。それには,アクセスしてよい情報又は補助手段,及びそれが守られ

なかったとき適用され得る罰則又は懲戒処分を含む。

b)

(該当する場合)アセスメント中の休憩に適用する規則。

c)

ビデオによる監視又はキーボードストロークの監視が行われるかの情報,行われる場合は,その理由。

d)

技術的な問題が発生した場合の備え

e)

必要とされる身分証明の方法。テスト会場での本人確認に写真撮影又は指紋採取が含まれる場合,そ

の旨を記載し,理由を説明することが望ましい。

f)

他者又は他の組織に伝えられるか否かの情報を含めた,テスト得点及び結果の用途。

13 

回答の保管を含むテスト会場の機器及び設備 

注記 1  この箇条 13 は,テスト会場に適用する。13.113.213.3 及び 13.4 は,ハイステークス  ア

セスメントの場合,ローステークス  アセスメントの場合の双方に適用する。13.5 及び 13.6

は,ハイステークス  アセスメントの場合だけに適用する。

注記 2  この箇条 13 は,専門のテスト会場の利用を前提としていない。テスト会場として利用する施

設は,別の機会には,別の目的で使用されることもある。

注記 3  この箇条 13 の IT 特有の推奨事項に加え,テスト会場は,アセスメント頒布者のより一般的

な要求事項,並びに健康及び安全の要求事項を順守するとともに,健康及び障害に関連する

情報を含む受検者の個人データの機密を保護する必要がある。

13.1 

受検設備 

13.1.1

  各受検設備は,JIS Z 8515 の人間工学に基づく設計に関する推奨事項に適合することが望ましい。

受検設備の設計には,次の事項が含まれる。

a)

予測される受検者が成人か子供かを考慮した座席の高さ及び調整の可能性。

b)

受検設備の天板及び表示面の高さ

c)

表示面の反射防止

d)

左利きの受検者を含め,キーボード,マウス及び表示面の最適配置のために十分なスペースが取れる

ような受検設備の幅及び奥行き。

e)

アセスメントに必要な印刷物,その他の資料,又は器具のためのスペース。

f)

下書きすることが許される場合,そのためのスペース。

13.1.2

  受検設備間には,快適な作業ができるだけの間隔があることが望ましい。隣り合う受検者が,同じ

アセスメントを受けるか,アセスメント中で他者とのやり取りが一切許されていない場合は,お互いの表


26

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

示面が見えないような対策を講じることが望ましい。

具体的には,次の対策が考えられる。

a)

受検設備間に十分な間隔をとる。最低 1.25 m が望ましい。

b)

受検設備間に仕切りを設ける。

13.1.3

  テスト会場は,障害のある受検者を想定して,幾つかの受検設備に追加のスペース及び機器を設け

る必要性を考えることが望ましい(例えば,車椅子,特別の機器,大きめのモニタの用意,支援技術への

リンクなど。

13.2 

ハードウェア及びソフトウェア 

13.2.1

  各受検設備には,実施されるアセスメントのための規格に従うと同時に JIS Z 8513JIS Z 8514 

び JIS Z 8519 に適合したハードウェア,ソフトウェア,周辺機器,及び通信リンクが装備されることが望

ましい。

13.2.2

  アセスメントの一環又は特別支援が必要な受検者を支援するために音声出力を行う場合,

他の受検

者の邪魔にならないようヘッドフォン又は別の試験室を提供することが望ましい。

13.2.3

  テスト会場は,

予想される受検者のニーズに基づいて様々な支援技術の必要性を考慮することが望

ましい。

13.2.4

  ハイステークス  アセスメントの場合は,特に機器の故障が起きた場合の適切な備えを講じること

が望ましい。それらには,次のようなものが挙げられる。

a)

要求仕様を満たした予備の受検設備。

b)

交換が容易な品目(例えば,マウス,ディスプレイ)の予備。

c)

テスト会場独自のネットワークでアセスメントを配信する場合は,バックアップサーバの準備。

13.2.5

  アセスメント中に障害が起きる可能性を最小限にとどめるため,

ハードウェアの保守を行うことが

望ましい。

13.2.6

  最新のウイルス防止対策を行うことが望ましい。

13.3 

テスト会場機器におけるソフトウェアの検証 

13.3.1

  テスト会場のスタッフは,

テスト会場で使用される全てのハードウェア及びソフトウェアの構成に

おいて,アセスメント  ソフトウェアが正しく機能することを,アセスメント頒布者から提供された資料を

用いて検証することが望ましい。

数多くのアセスメントに対して一般的な配信ソフトウェアを用いる場合,各アセスメント又はアセスメ

ント群で動作を個々に検証することが望ましい。

13.3.2

  アセスメントがテスト会場のサーバから実行される場合,

実際のアセスメントを行う前に試行を行

い,予想される受検者数に対して応答速度が適していることを確認することが望ましい。この試行は,異

なる特性をもつアセスメントに対して繰り返し行うことが必要となるかもしれない。

13.4 

その他の設備 

13.4.1 

環境 

快適なアセスメント環境を確保するために,コンピュータ利用の影響,特に次の必要性に留意すること

が望ましい。

a)

機器から生成される熱に対する換気の強化。

b)

表示面上及び表示面外双方での作業に適した照明設定。

13.4.2 

追加試験室 

アセスメント及び予想される受検者の性質から必要に応じて,テスト会場にアセスメントが実施されて


27

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

いる主試験室とは,別の試験室を設営することが望ましい。このような試験室が必要になるのは,次の場

合である。

a)

他の受検者の気を散らす可能性のある特別な支援,又は設備を必要とする受検者のために別の試験室

を設ける場合(例えば,筆記者の補助又は音響出力の使用)

b)

宗教的理由での分離が必要な場合。

c)

アセスメント練習の機会を与える場合。

13.5 

アセスメント及び機器のセキュリティ 

13.5.1

  受検設備の配置及び試験監督官の机の位置(ビデオによる監視を用いる場合は,その位置)は,受

検者の不正行為(例えば,他者との会話,不正な参考資料の利用など)を発見しやすいようにすることが

望ましい。

13.5.2

  アセスメントコンテンツ,正答,受検者の回答,及び受検者の個人情報をアセスメントセッション

の前後でテスト会場において保管する場合,次の事項を含む十分なセキュリティ設備があることが望まし

い。

a)

書類又は取外し可能な電子媒体のための物理的セキュリティ対策。

これには,

一般に金庫が含まれる。

b)

ネットワーク上にある全ての情報の電子的な保護。

c)

機密資料をネットワークに読み込んだ後の,テスト会場,関連するサーバ,及び通信室の安全確保。

アセスメント主催者又はアセスメント頒布者が公開を承認しない限り,アセスメント実施直前及び終了

後も,アセスメント内容を不正アクセスから保護することが望ましい。受検者の個人情報及び回答は,常

にセキュリティが保たれることが望ましい。

13.5.3

  各アセスメントセッションの直後に,全ての機密データ(テスト内容,回答,受検者の個人情報な

ど)を公衆ネットワークから取り除く必要性を検討することが望ましい。

13.6 

テスト会場における回答ファイルの保管 

13.6.1

  受検者の回答記録をテスト会場で保管する場合は,

次のように記録のセキュリティ保護のための対

策を講じることが望ましい。

a)

不正アクセスの防止

b)

回答,得点の改ざん,及び差し替えの防止。

c)

合意されたスケジュールに基づくファイルの消去。例えば,アセスメント頒布者による情報の受領が

確認された時点,異議申立て可能期間の満了時などでの消去。

セキュリティ対策には,必要に応じて次の手段が含まれる。

1)

コンピュータ又はネットワークへのアクセスに関するユーザ ID 及びパスワードによる保護。

2)

データの暗号化

3)

アセスメントセッションの終了後,実行可能な限り速やかなネットワークからの記録の移動。

4)

取外し可能なコンピュータ媒体の金庫への保管。

5)

消去すべき記録を識別するための手順。

13.6.2

  回答をテスト会場で保存しない場合は,

受検者のマシンに不用意にキャッシュされないような対策

を講じることが望ましい。

14 

テスト会場のスタッフ配置 

注記 1  この箇条 14 は,テスト会場に適用され,ハイステークス  アセスメントに関連するものであ

る。この箇条 14 は,テスト会場に割り当てられる必要のあるスタッフに関連するものである。


28

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

そのスタッフ全員又は誰かがその仕事をフルタイムで行うことを想定しているものではない。

注記 2  この箇条 14 の IT 特有の推奨事項に加え,テスト会場は,アセスメント頒布者のより一般的

な要求事項,並びに健康及び安全の要求事項に従う必要がある。

14.1 

スタッフの職務及び人員数 

14.1.1

  各テスト会場には,

個人又は共同で次に示す範囲の職務を負うスタッフのチームを置くことが望ま

しい。

a)

アセスメント頒布者との連絡窓口業務。

b)

受検者の登録,本人確認,テストの開始終了などを行う管理業務。

c)

アセスメントセッションを監視し,受検者間の不正なやり取り及び不正な情報の入手がないことを確

認する試験監督業務。

d)

ハードウェア及びソフトウェアのセットアップ及び保守を行うとともに,技術的な援助及びトラブル

シューティングを行う技術的業務。

14.1.2

  チームのスタッフの人数は,

アセスメントセッションの頻度又は各セッションの受検者の数に適し

たものであることが望ましい。

14.1.3

  個々のアセスメントセッションのスタッフ配置計画については,

次に示す事項を考慮することが望

ましい。

a)

予想受検者数

b)

特別支援が必要な受検者

c)

アセスメント頒布者固有の規則,例えば,試験監督官と受検者との比率など。

d)

テストの結果に利害関係をもつ試験監督官の割当てに関する固有の制約。例えば,受検者の教師,親

戚など。

e)

利用可能なスタッフの知識及び経験。14.1.1 で示した,管理的技能,技術的技能,及び試験監督官と

しての技能の組合せが要求される。

注記  技術的な援助又はトラブルシューティングの必要性が考えられることから,必要なスタッフの

数は,紙を用いた同規模の受検者数のアセスメントと比べて多くなる可能性がある。

14.2 

スタッフの教育訓練 

14.2.1

  テスト会場の全てのスタッフは,次のことを身につけていることが望ましい。

a)

公正なアセスメントの原則の全般的な理解。

b)

セキュリティの重要性の理解及び IT によって配信されるアセスメントに要求されるセキュリティ対

策の知識,特に各自の会場に適用される対策についての知識。

c)

各テスト会場で使用するアセスメント  ソフトウェア又は配信プラットフォームについての全般的な

習熟。

d) IT

によって配信されるテストにおいて起こり得る不正行為,及びそれを防止又は検知するために必要

な予防策の認識。

e)

特別支援の必要性の理解,並びに IT によって配信されるテストに用いる各自の会場が利用可能な特別

支援のための機器及び設備の知識。

f)

会場運営に関する領域特有の事項,並びに法律及び実践規範に関する認識。

14.2.2

  テスト会場のスタッフは,また,各自の業務に応じて次に示す知識のいずれか又は全てをもってい

ることが望ましい。

a)

関連するアセスメント頒布者固有の規則。


29

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

b)

自分が関連しているアセスメントにおける固有の規則。例えば,参考資料の使用に関する規則など。

c)

アセスメント頒布者及び/又はアセスメントに固有のアセスメントの開始手順,終了手順,及びセキ

ュリティ手順。

d)

アセスメントに固有のハードウェア,ソフトウェア,及び構成の要求。

14.2.3

  テスト会場の全てのスタッフが,

各自の役割に応じた初期の教育訓練及び再訓練を確実に受けられ

るようなスタッフの教育訓練プログラムを設けることが望ましい。

15 

アセスメントセッションの準備 

注記 1  この箇条 15 は,テスト会場に適用され,ハイステークス  アセスメントに関係するものであ

る。

注記 2  この箇条 15 の IT 特有の推奨事項に加え,テスト会場は,アセスメント頒布者のより一般的

な要求事項,並びに健康及び安全の要求事項を順守するとともに,健康及び障害に関連する

情報を含む受検者の個人データの機密を保護する必要がある。

15.1 

部屋及び設備の準備 

アセスメントセッションを行う前の部屋及び設備の事前準備として,次に示すことを行うことが望まし

い。

a)

部屋のレイアウト及び受検設備が箇条 13 に適合していることを確認する。これは,その部屋が他の目

的に使われていた場合は特に必要となる。

b)

予備があるときそれも含め必要な全てのコンピュータ及び周辺機器の電源を入れ,それらが動作する

ことを確認する。

c)

該当する場合は,伝送路の動作を確認する。

d)

コンピュータの日付及び時刻が正しいことを確認する。

e)

必要に応じて,テストエンジン又はその他必要なソフトウェアを読み込む。

f)

必要に応じて,テストの要求に従って,ソフトウェアの設定又は設定の確認を行う。例えば,ヘルプ

画面,スペルチェックなどの無効化がこれに含まれる。

g)

可能な場合,アセスメント  ソフトウェアと結果の記憶装置とが正しく動作することを確認する。

h)

可能かつ要求されている場合,例えば,web アクセス又は電子メールのような,テストのセキュリテ

ィを脅かす不正なソフトウェアが使えないようにする。

15.2 

アセスメントの準備 

アセスメントの準備として,次の項目が自動化されていない場合,それらを行うことが望ましい。

a)

アセスメントの読込み,ログオン又は開始。

b)

受検者に対して正しいアセスメントであることの検証。

c)

必要な場合,最新版のアセスメントであることの確認。

d)

適切な場合,アセスメントの整合性の検証。

e)

許可されている場合,必要な追加資料又は下書きのための用紙の用意。

15.3 

受検者に関する準備 

15.3.1

  受検者の本人確認を行うことが望ましい。試験監督官が受検者をよく知っている場合を除き,身分

証明書が少なくとも一種類は必要である。

注記  アセスメント頒布者は,後日の問合せに備え,写真又は指紋の記録の取得を含んだより厳格な

要求を行ってもよい。


30

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

15.3.2

  アセスメント頒布者によって自動的に提供されない場合は,

アセスメントセッションが始まる前に,

受検者個人詳細情報及び/又は受検者登録番号と使用する受検設備とを,対応させ検証することが望まし

い。これは受検者の回答が,正しい名前に対応付けて記録されるようにするためである。例えば,

“ドロッ

プイン(事前予約なし)

”形のテスト会場などで,受検者個人詳細情報を入力する必要がある場合は,入力

をアセスメントを行う部屋の外で行うのが最もよいだろう。

15.3.3

  テスト会場のスタッフは,受検者が次のとおりであることを確認することが望ましい。

a)

快適に着座できている。

b)

承認されている全ての支援技術が提供され,その使い方を知っている。

c)

アセスメントの指示,手順,及び規則をよく知っている。質問項目をどのようにナビゲートし,どの

ように答えるかも含む(箇条 12 参照)

d)

(設定されている場合)制限時間,及びアセスメントがどのように終了するかを知っている。

e)

技術的又は非常時の援助をどのように求めればよいか知っている。

15.3.4

  アセスメント頒布者から要求された場合は,

アセスメント内容を開示しない旨の誓約書に署名する

ように受検者に求めることが望ましい。

16 

アセスメントセッションの実施 

注記  この箇条 16 は,テスト会場に適用され,ハイステークス  アセスメントに関係するものである。

この箇条 16 の IT 特有の推奨事項に加え,テスト会場は,アセスメント頒布者のより一般的な

要求事項,並びに健康及び安全の要求事項を順守するとともに,健康及び障害に関連する情報

を含む受検者の個人データの機密を保護する必要がある。

16.1 

試験監督 

16.1.1

  アセスメントセッションを通して,各試験室には,少なくとも 1 名の試験監督官を置くことが望ま

しい。1 名の試験監督官しかいない場合,その試験監督官が必要なときに迅速に,技術的なものを含めた

援助を求められるようにすることが望ましい。受検者が 1 名である場合を除き,試験監督官は,技術的援

助を与えなければならないことによって,試験監督業務から注意がそ(逸)らされるようなことがないこ

とが望ましい。

16.1.2

  試験監督官は,試験の規則が守られていることを確認することが望ましい。特に次の点で確認が必

要である。

a)

アセスメントの一部として許されている場合を除き,例えば,携帯電話又は電子メールを利用して受

検者が他の受検者又は外部の人間と連絡を取ろうとすることがないようにする。

b)

例えば,他の受検者の画面を読むなどのことによって他の受検者の回答を写すことがないようにする。

c)

画面上又はその他の手段で,受検者が許可されていない情報又は支援にアクセスしないようにする。

d)

許可された休息は,試験の規則に従ってとるようにし,かつ,他の受検者に対しての迷惑が最小限に

なるようにする。

e)

全ての時間制限を適用する。

f)

遅刻及び早退に関する全ての規則を順守する。

試験監督官は,その役割を遂行するため,通常は,試験室を巡回することによって受検者の画面を監視

する必要がある。

16.1.3

  受検者の外部の情報又は援助に対する許可されないアクセスが,

ソフトウェアの中で技術的又は操

作的に防ぐことが不可能な場合(6.4.3 参照)

,許可されない活動を検知するために全ての打鍵の監視及び


31

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

記録を行うことを考慮することが望ましい。

16.2 

受検者に対する支援 

16.2.1

  ハードウェア又はソフトウェアの問題が生じた場合に備え,

アセスメントを通じた技術的援助を可

能にしておくことが望ましい。その他,アセスメントの規則に従いアセスメントセッションを通して受検

者に提供される支援には,次のようなものがある。

a)

受検者に対するナビゲーション方法,回答の記録方法などの支援。ただし,IT 技能のアセスメントの

ようなアセスメントの規則で禁止される場合を除く。

b)

機器の操作方法及びアセスメントの規則の説明。

c)

障害をもつ受検者の支援。これは通常,アセスメント頒布者との事前の合意に従って行うことが望ま

しい。

16.2.2

  アセスメントの規則で特別な許可が与えられていない限り,受検者は,質問項目に対する理解及び

回答を助けるいかなる援助も受けないことが望ましい。

16.3 

出席記録 

テスト会場のスタッフは,アセスメント頒布者が要求する必要な出席記録を全てとるか,又は可能な場

合ログイン記録と受検者数とが一致しているかを照合することが望ましい。

16.4 

試験の終了 

テスト会場のスタッフは,アセスメントの終了時に次の事項を確認することが望ましい。

a)

アセスメント  ソフトウェアが必要に応じて終了されているか。

b)

受検者の詳細情報及び回答が機密を保ち保存されている,又は要求に応じて送信されているか。

c)

必要なバックアップがなされ,機密を保って保存されているか。

d)

持出しが許可されていない資料(例えば,プリントアウト)が,受検者によって試験室から持ち帰ら

れていないか。

17 

非常事態,技術的障害及び不正行為に関する手順 

注記  この箇条 17 は,テスト会場に適用され,ハイステークス  アセスメントに関係するものである。

この箇条 17 の IT 特有の推奨事項に加え,テスト会場は,アセスメント頒布者のより一般的な

要求事項,並びに健康及び安全の要求事項を順守するとともに,健康及び障害に関連する情報

を含む受検者の個人データの機密を保護する必要がある。

17.1 

非常事態 

火災警報,爆破予告などの非常事態に対応するための手順として,次のことを準備しておくことが望ま

しい。

a)

アセスメントコンテンツ及び回答のセキュリティを保護する。例えば,ソフトウェアを終了せずに避

難を行った試験室は施錠する。

b)

アセスメント中断中の受検者同士が共謀したり他者と連絡をしたりする機会を最小限にとどめる。

c)

受検者がアセスメントの作業時間を完全に確保できることを保証する。

d)

非常事態に該当する場合は,サーバ室へのアクセスを保護する。

17.2 

技術的障害及び遅延 

17.2.1

  個々の受検設備又は全体のネットワークに影響を及ぼすハードウェア,

ソフトウェア及び通信の障

害に対応するための手順として,通常,受検者が作業時間を失わないようにするために,必要に応じて異

なる受検設備を用いるか,後に機会を設けるかの形で試験を継続できるようにすることが望ましい。


32

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

他に手段がない場合に備え,紙を用いたアセスメントを用意することが望ましい。

17.2.2

  技術的障害による中断を最小限にとどめるために,次のことを考慮することが望ましい。

a)

ハードウェアの保守

b)

予備の受検設備及び/又は容易に交換可能な部品の準備(13.2.4 参照)

17.2.3

  試験監督官は,システムの遅延に関する受検者の全ての苦情を記録し,報告しなければならない。

17.3 

想定外の中断後の再開 

想定外の中断(すなわち,非常事態又は技術的障害の発生)後の再開の手順では,試験監督官は,次の

事項を確実に行わなければならない。

a)

再開を制御する。

b)

必要な場合,計時をリセットする。

c)

技術的に可能であり,試験の規則として許可されている場合,受検者が既に行った回答に再びアクセ

スできることを保証する(10.2.2 参照)

17.4 

記録 

全ての非常事態,技術的障害及び不正行為は,その対処も含めて記録し,手順に従ってテスト会場の管

理者及び/又はアセスメント頒布者に報告しなければならない。

不正行為には,

アセスメントコンテンツ,

正答,及び受検者の回答のセキュリティに対し脅威があったか又は実際に行われた破壊行為,並びに未遂

又は実際に行われた不正行為を含む。


33

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

附属書 A

(参考) 
シナリオ

A.1

  一般 

この附属書に記されているシナリオでは,IT によって提供されるアセスメントの様々な利用方法,及び

関与する組織がどのようにこの実践基準への適合を主張してもよいかを示す。

A.2

  シナリオ 1,資格審査機関 

組織 A は,数多くの学校又は大学で採用されている IT 技能検定のオンデマンドアセスメントを提供し

ている。これは,ハイステークス  アセスメントである。組織 A は,アセスメントの内容に責任をもち,

ゆえに,アセスメント主催者としての役割をもち,独自のソフトウェアの開発及び頒布に関する責任をも

ち,ゆえに,アセスメント頒布者としての役割ももつ。

アセスメント主催者としての役割において,組織 A は,5.1 に従うことが望ましく,アセスメント頒布

者としての役割において,5.2 及び箇条 6∼箇条 12 に従うことが望ましい。アセスメントを行う学校又は

大学は,テスト会場となり,箇条 13∼箇条 17 に従うことが望ましい。

A.3

  シナリオ 2,資格審査機関 

専門家の業界団体である組織 B は,オンデマンドで受検できる健康及び安全知識の検定試験を提供して

いる。その業界の一部においては,このアセスメントに合格した作業者だけがその職に就くことができた

り,作業者がこの検定資格を取得している事実が,雇用者の法的責任,並びに本人の保険料及び請求権に

影響を及ぼす。アセスメントの内容は,極めて容易ではあるが,それでもこれはハイステークス  アセスメ

ントである。組織 B は,アセスメントの内容に責任をもち,ゆえに,アセスメント主催者としての役割を

もつが,頒布は,商業アセスメント頒布者に委託する。その頒布者は,独自の配信ソフトウェアをもち,

フランチャイズ契約のテスト会場をもつ。

アセスメント主催者としての役割において,組織 B は,5.1 に従うことが望ましい。アセスメント頒布

者は 5.2 及び箇条 6∼箇条 12 に従うことが望ましく,テスト会場を監視する責任をもつ。テスト会場は箇

条 13∼箇条 17 に従うことが望ましい。

A.4

  シナリオ 3,大学 

大学 C は,学位認定のアセスメントの一部として学生に受検させる一連の総括的アセスメントを提供し

ている。全ての学生は,定められた日にアセスメントを受検する。それらは重要な資格に加算されるので,

ハイステークス  アセスメントである。大学 C は,独自開発のソフトウェアを利用し,アセスメントの IT

面に対して責任をもつ中央部局によって学内でアセスメントの準備及び頒布を行う。ゆえに,大学 C は,

アセスメント主催者 (個別の学科がアセスメントの内容に責任をもつ。

,アセスメント頒布者(中央部局

がこの機能を果たす。

,及びテスト会場(試験期間中はラーニングリソースセンタがこの目的で利用され

る。

)としての役割をもつ。

アセスメント主催者としての役割において,大学 C は,5.1 に従うことが望ましく,アセスメント頒布


34

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

者としての役割において 5.2 及び箇条 6∼箇条 12 に従うことが望ましい。テスト会場としての役割におい

ては箇条 13∼箇条 17 に従うことが望ましい。ソフトウェア作成者自身はコンプライアンス順守を求めら

れないが,作成するソフトウェアは,この大学がコンプライアンス順守を達成できるものでなければなら

ない。

A.5

  シナリオ 4,大学 

大学 D は,初年度の単位取得に不可欠な準備となる,例えば,計算,数学技能,外国語などの,知識又

は技能の自己評価アセスメントを数多く作成している。大学 D は,この目的のために独自のソフトウェア

を開発している。学生は,希望に応じてこれらのアセスメントにアクセスし,利用できる。これらは強制

ではなく,アセスメントの結果は単位には加算されないが,その大学では,そのアセスメントを受けてい

る学生が,一般に,よりよい成績を得ていることが分かっている。したがって,そのアセスメントは,ロ

ーステークスである。これらの評価は,ラーニングセンタで監督なしに行われる。大学 D は,アセスメン

ト主催者(個別の学科がアセスメントの内容に責任をもつ。

,アセスメント頒布者,及びアセスメント会

場としての役割をもつ。

大学 D は,アセスメント主催者としての役割において 5.1 を,ローステークス  アセスメントのアセスメ

ント頒布者としての役割において 5.26.16.26.36.57.17.27.37.47.58.18.28.38.4

9.1

9.2.110.110.211.111.212.112.2 及び 12.3 に従うことが望ましい。テスト会場としての役割

においては,13.113.213.3 及び 13.4 に従うことが望ましい。

A.6

  シナリオ 5,企業 

企業 E は,金融サービス企業であり,金融サービスに関する法令の要求を順守していることを証明する

ために,自社のセールスマンの金融サービス商品及び規則に関する知識を評価するオンデマンドのコンピ

ュータ提供アセスメントを利用している。これはハイステークス  アセスメントであり,セールスマンは,

このアセスメントに合格しなければ職を失う可能性がある。企業 E は,独自開発のソフトウェアを利用し

て社内でアセスメントを準備し,それらを自社のネットワークを利用して地方の支店に頒布し,管理及び

監督された条件の下で実施する。ただし,一度に試験を受けるのは,1 人又は 2 人のセールスマンである

ことが多い。

企業 E は,アセスメント主催者(本社でアセスメントの項目を設定する。

,アセスメント頒布者,及び

テスト会場としての役割をもつ。したがって,この規格の全ての箇条に従う必要がある。ソフトウェア作

成者自身は,コンプライアンス順守を求められないが,作成するソフトウェアは,この企業がコンプライ

アンス順守を達成できるものでなければならない。

A.7

  シナリオ 6,企業 

企業 F は,小売りチェーンであり,地方の研修センタにおいてスタッフに対して各種手順及び商品知識

に関する社内研修を運用している。それぞれのコースの終わりに従業員は,センタでアセスメントを受け

る。これは,そのコースを真剣に受講させる動機付けになり,かつ,コースの有効性を図るためにも用い

られる。これは総括的アセスメントではあるが,ローステークスである。企業 F は,この目的のために独

自のソフトウェアを作成し,アセスメント主催者(研修部門でアセスメントの項目を設定する。

,アセス

メント頒布者,及びテスト会場としての役割をもつ。

アセスメント主催者としての役割において,その企業は,5.1 を,アセスメント頒布者としての役割にお


35

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

いて 5.26.16.26.36.57.17.27.37.47.58.18.28.38.49.19.2.110.110.211.1

11.2

12.112.2 及び 12.3 に従うことが望ましい。ローステークス  アセスメントのテスト会場としての役

割において,13.113.213.3 及び 13.4 に従うことが望ましい。

A.8

  シナリオ 7,テスト企業 

テスト企業 G は,

コンピュータベースドテストでオンデマンドの語学能力アセスメントを提供している。

そのアセスメントには,クラス分け(比較的ローステークス)から採用面接の予備審査(比較的ハイステ

ークス)まで様々な用途がある。この企業は,アセスメントの内容に責任をもち,ゆえに,アセスメント

主催者としての役割をもつ。アセスメント頒布者の役割として,相互運用可能な形式でアセスメントフォ

ームを直接,認可されたテスト会場に頒布する。テスト会場は,アセスメントフォームを受検者に配信す

るために,それぞれの会場でもつ汎用のアセスメント配信ソフトウェアを使用する。

アセスメント主催者としての役割において,テスト企業 G は,5.1 に従うことが望ましい。ハイステー

クス  アセスメントに対するアセスメントフォームのセキュリティを維持するため,テスト企業は,アセス

メント頒布者としての役割において,独自又はテスト会場の汎用ソフトウェアを認証することによって,

5.2

及び箇条 6∼箇条 12 に従うことが望ましい。このアセスメントをハイステークスの目的に利用する場

合は,テスト会場は,箇条 13∼箇条 17 に従うことが望ましい。このアセスメントをローステークスの目

的に利用する場合は,テスト会場は,13.113.213.3 及び 13.4 にだけ従えばよい。

A.9

  シナリオ 8,オープンラーニング提供者 

オープンラーニング提供者 H は,オンラインで配布され,地方の学習センタ及び自宅又は職場での独習

の双方で利用される教材を開発している。その教材は,幅広い題材をカバーしており,幾つかのコースは,

外部の認証(検定)につながるように設計されている。一つの例としては,IT コースを受講した学習者が

ハイステークス  アセスメントである A.2 で示した検定試験を受けることを望む可能性がある。

そのようなアセスメントへのアクセスを容易にするために,オープンラーニング提供者 H は,自宅で学

んでいる者も含むアセスメントの受検を希望する学習者のため,テスト会場のネットワークがアクセス可

能となるように当該の資格授与機関と交渉した。そのネットワークには,従来の学習提供者(学校,単科

大学,及び総合大学)に加え,より小さなラーニングセンタ又は図書館までもが含まれる。

ハイステークス  アセスメントのセキュリティ要求を満たすために,テスト会場は,箇条 13∼箇条 17 

従うことが望ましい。ただし,それらの一部は,一つの受検設備及び 2 人のスタッフというような極めて

小規模な形で運用されるだろう。


36

X 7221

:2011 (ISO/IEC 23988:2007)

参考文献

規格 

[1]  JIS Z 8511

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−通則

注記  対応国際規格:ISO 9241-1,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 1: General introduction(IDT)

[2]  JIS Z 8516

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−作業環境に関する指針

注記  対応国際規格:ISO 9241-6,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 6: Guidance on the work environment(IDT)

[3]  JIS Z 8517

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−画面反射に関する表示装置の要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9241-7,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 7: Requirements for display with reflections(IDT)

[4]  JIS Z 8520

  人間工学−人とシステムとのインタラクション−対話の原則

注記  対応国際規格:ISO 9241-10,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 10: Dialogue principles(IDT)

[5]  JIS Z 8524

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-14,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 14: Menu dialogues(IDT)

[6]  JIS Z 8525

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−コマンド対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-15,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 15: Command dialogues(IDT)

[7]  JIS Z 8526

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−直接操作対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-16,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 16: Direct manipulation dialogues(IDT)

[8]  JIS Z 8527

  人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−書式記入対話

注記  対応国際規格:ISO 9241-17,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals

(VDTs)

−Part 17: Form filling dialogues(IDT)

[9]  BS 7925-2

,Software testing−Part 2: Software component testing

その他 

[10]

豊田秀樹,項目反応理論  入門編,朝倉書店,2002

[11]

日本テスト学会,テスト・スタンダード−日本のテストの将来に向けて,金子書房,2007