W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
日本工業規格
JIS
W
7110
: 2000
(I
1467
: 1973
)
航空機−一般用プッシュプル単極
サーキットブレーカ−性能要求事項
Aircraft
−General purpose push-pull single-pole circuit-breakers
−Performance requirements
序文 この規格は,1973 年に第 1 版として発行された ISO 1467 を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式
を変更することなく作成した日本工業規格である。
1.
適用範囲 この規格は,プッシュプル単極のトリップフリーサーキットブレーカの性能要求を規定す
る。このサーキットブレーカは,公称直流電圧 28V 及び/又は単相 400Hz 115V 交流電源(三相 400Hz 200V
交流システムのラインとニュートラルとの間)に使用するものであり,35A 以下の公称定格で,時間対過
電流逆特性をもつものである。
備考1. 単相サーキットブレーカは,線間200V 交流回路に使用することを想定していない。サーキッ
トブレーカを,そのように使用する場合には,この規格の適用範囲外の試験を必要とする。
2.
この規格の対応国際規格を次に示す。
ISO 1467 : 1973
Aircraft−General purpose push-pull single-pole circuit-breakers−Performance
requirements
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの
規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(又は発行年)を付
記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
ISO/TR 224, Standard form of declaration of performance of aircraft electrical equipment.
ISO 2635 : 1979 Aircraft
−Conductors for general purpose aircraft electrical cables and aerospace applications
−Dimensions and characteristics.
JIS W 7109 : 2000
航空機−一般用プッシュプル単極サーキットブレーカ−寸法
備考 ISO 530 : 1975, Aircraft−General purpose push-pull single-pole circuit-breakers−Dimensions が,
この規格と一致している。
JIS W 7001 : 1991
航空宇宙−航空機電気系統の特性
備考 ISO 1540 : 1984, Aircraft electrical power systems−Characteristics が,この規格と一致している。
JIS W 0811
航空機−搭載機器の環境条件及び試験手順通則
備考 ISO 7137 : 1987, Aircrfat−Environmental conditions and test procedures for airborne equipment が,
この規格と一致している。
2
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
3.
定義
3.1
プッシュプルサーキットブレーカ 押し込んで接続に,引き出して遮断することによってブレーカ
の開閉ができる 1 個のボタンがついているサーキットブレーカ。
3.2
トリップフリーサーキットブレーカ 押しボタンを閉位置でおさえた状態でもトリップ可能で,そ
の場合には,トリップ後いったん押しボタンを開位置にしてトリップ機構をリセットしない限り内部で再
接続できないように設計されたサーキットブレーカ。
4.
設計要求
4.1
サーキットブレーカは,−40℃∼+55℃の周囲温度,及び 18 300m までの高度での使用に適するも
のとする。
4.2
サーキットブレーカは,1 個のボタンによって操作できなければならない。回路を接続するときはこ
のボタンを押し,遮断するときは引く。ボタンは取付けパネルの面に対して垂直とする。サーキットブレ
ーカが閉じているときに見えるボタンの部分は黒とし,サーキットブレーカが開いているときにはボタン
の白色帯が現れるものとする。
4.3
サーキットブレーカは,パネルを貫通させて取り付ける方法に適したもので,なるべく 1 個の穴で
固定でき,どのような姿勢に取り付けても完全に作動しなければならない。
4.4
サーキットブレーカは,トリップフリーで,過電流自動遮断機構を内蔵するものとする。
4.5
サーキットブレーカの接点は,9.に規定する電流値で,規定の制限時間内に自動的に開き,押しボタ
ンは,開位置に動くものとする。
4.6
サーキットブレーカは,過負荷でトリップしたら,自動的に再閉することがないように設計する。
5.
寸法 サーキットブレーカの外形及び固定部の寸法は JIS W 7109 に従うのがよい。
6.
構造
6.1
押しボタンはすべての通電部分から絶縁され,中間位置にとどまったり,誤った表示をすることが
あってはならない。
6.2
サーキットブレーカは,手動で操作するのに必要な力が次の値を超えないようにしなければならな
い。
閉−55N
開−40N
特殊な設計のサーキットブレーカでは,実際の値は,制限値に近づけられるよう考慮される。
6.3
取り付けたときに見えるサーキットブレーカの部分は,つや消し仕上げにする。
6.4
サーキットブレーカの構造は,装置を分解するか又はシールを壊すかしなければ設定条件を変更す
ることができないようなものでなければならない。
6.5
各端子のねじ又はスタッドのサイズは,M4 又は No.6-32UNC とし,それぞれ,2 個のタグ型端子を
取り付けることができるものとする。
6.6
サーキットブレーカは,JIS W 7109 に規定するパネルの取付け用穴に使用するのに適したねじを切
ったブッシュによって取り付ける。
2
個の六角ナット,
1
個の位置決めワッシャ及び 1 個の耐振ワッシャを,
各サーキットブレーカに付ける。
3
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
7.
電圧・電流の定格
7.1
電圧 サーキットブレーカは,JIS W 7001 に規定する特性をもつ公称直流電圧 28V 及び/又は単相
400Hz
公称電圧 115V 交流電源(三相 400Hz 200V 交流システムのラインとニュートラルとの間)で作動す
るのに適したものとする。
7.2
電流定格 サーキットブレーカの電流定格は,1-2-3-5-7.5-10-15-20-25 又は 35A が好ましい。
8.
環境 サーキットブレーカは,JIS W 0811 の要求事項に従わなければならない。これには,振動,加
速度,クラッシュランディング,気候,防爆及び磁気の影響についての事項が含まれる。サーキットブレ
ーカは,かびを成長させてはならないし,長期にわたる熱帯での保存後でも劣化してはならない。
9.
時間/電流特性 各サーキットブレーカの時間/電流特性は,表 1 に示す限度内でなければならない。
この表は,すべての製品を包含した特性を示している。各製造業者のサーキットブレーカの限度は,より
狭い許容範囲にあるのがよい。
表 1 時間/電流特性の限度
サーキット
ブレーカ
定格電流
(線当たり)
周囲温度
トリップ電流
トリップ時間
A
℃
定格電流比 (%)
s
1
∼35
20
±2
200
400
600
1 000
12
∼60
2
∼7.5
1
∼3.5
0.35
∼1.2
1
∼5
−40±2
200
400
600
1 000
70
∼350
5
∼15
2
∼6
0.7
∼2
7.5
∼35
−40±2
200
400
600
1 000
27
∼200
3.5
∼12
1.5
∼5
0.5
∼1.75
1
∼35
55
±2
200
400
600
1 000
8
∼45
0.8
∼7
0.6
∼3
0.2
∼1
10.
開閉容量 13.15 に規定する条件下で試験するとき,サーキットブレーカは,表 2 及び表 3 に示す該当
するカテゴリに適した開閉容量をもたなければならない。
表 2 直流カテゴリ
遮断容量カテゴリ
校正試験電流 (A)
(想定電流)
1.5D
−
−
1 500
1 000
3D
−
3 000
1 500
1 000
6D
6 000
3 000
1 500
1 000
4
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
表 3 交流カテゴリ
遮断容量カテゴリ
校正試験電流 (A)
(想定電流)
1A
−
− 1
000*
750**
2A
−
− 1
000**
750**
3.5A 3
500*
2 000** 1 000**
750**
注
*
0.4
∼0.5 の遅れ力率
**
力率 1
11.
耐久性 サーキットブレーカは,通電した状態で,1 分当たり完全な 2 サイクル以上のできるだけ速
い速度で 10 000 サイクルの手動開閉操作に耐えなければならない。このとき,閉と開の時間割合は,13.14
に規定する条件下で,およそ 1 : 1 にする。
12.
試験
12.1
この規格で定めるサーキットブレーカの購入者に対しては,供給するサーキットブレーカが 13.によ
り実施した形式試験に合格したものである証明を示し得るようにしておかなければならない。品質基準を
維持するために,製造業者は 14.に従って生産試験を,また 15.に従って品質試験を実施しなければならな
い。
12.2
カバーがあるものについては,カバーをしたままで試験を行う。別途試験回路を規定する開閉容量
試験(13.15 参照)を除くすべての試験は,ISO 2635 に適合する銅心ケーブルのうち,
表 4 に示すサイズ
の中から適当なものを選び,サーキットブレーカの各端子に接続して行う。
表 4
サーキットブレーカ定格
A
ケーブルサイズ
1
∼5 22
7.5 20
10 18
15 16
20 14
25 12
35 10
それぞれのケーブルは,最低 915mm の長さとし,承認された設計の圧着端子によってサーキットブレ
ーカに接続するものとする。
12.3
その他 特に指定がない限り,次による。
a)
各校正試験の前に,サーキットブレーカ及びそれに接続するケーブルを試験開始前 1 時間適切な温度
に保つ。
b)
校正試験以外は,15∼30℃の温度で,13.3,13.4,13.6,13.7,13.8,13.10,13.11,13.14,13.15,15.3
及び 15.5 の試験を行う。
13.
形式試験
13.1
特定の試験を省略することの了承を得ていない限り,サーキットブレーカの個々の設計及び定格ご
との代表的サンプルを試験しなければならない。
5
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
13.2
かび試験(13.5 参照)では,別なサーキットブレーカを使用してもよいこと以外は,13.3,13.4.1
,
及び 13.5 に記載する試験を,示された順序で,同一のサーキットブレーカで行う。13.10 及び 13.14.2 又は
13.14.3
の試験は 1 個のサーキットブレーカで行うが,13.4.2,13.7∼13.16 の試験は,別の 1 個又は複数の
サーキットブレーカで行ってもよい。形式試験用のすべてのサーキットブレーカは,前もって生産試験(14.
参照)に合格していなければならない。各試験の終わりに,13.6.2 に従って絶縁抵抗試験を行い,その後,
分解して 15.6 に従って検査する。
13.3
振動試験 サーキットブレーカは,JIS W 0811 に規定する適切な振動試験をする。
共振点加振試験を,サーキットブレーカの開と閉の両方の位置で実施する。このとき,公称電圧又は定
格電流のいずれか適切なほうを加えるが,いずれの場合もオシロスコープを使用して,試験中に接続が偶
発的に開になったり閉になったりすることがないことを確認する。振動耐久性試験(疲労試験)の 10%は
サーキットブレーカの開の位置で行い,90%は,閉の位置で定格の 100%の電流をかけて行う。閉位置での
試験中 3 時間以内の間隔で,サーキットブレーカの端子間の電圧降下を測定する。この値は,
表 6 に示す
限度を超えてはならない。
この後,2 時間以上の冷却期間をおき,定格の 200%の電流で校正試験を行う。トリップは,
表 1 の 20℃
に示す制限時間内で生じなければならない。
13.4
加速度試験
13.4.1
サーキットブレーカに,JIS W 0811 に規定する適切な加速度試験を 1 分間以上行う。このとき,適
切な公称電圧又は定格電流を加えて,サーキットブレーカを開,閉両方の位置について試験する。試験中
に接続の偶発的な開閉がないことを確認する。
試験終了時に,自然の空気中で 2 時間冷却期間をおく。このあと,定格の 200%の電流で校正試験をす
る。トリップは,
表 1 の 20℃に示す制限時間以内で生じなければならない。
13.4.2
サーキットブレーカに JIS W 0811 に規定する適切なクラッシュ試験を行う。この試験は,閉位置
で正常定格電流を流した場合と,開位置での場合の両方について行う。
いずれの場合でも試験中は,閉又は開の状態のままでなければならない。
13.5
耐候性試験 サーキットブレーカに JIS W 0811 に規定する適切な耐候性試験を実施する。
耐候性試験中に,該当する国家規格の要求事項に従って,次の a),b)及び c)に規定する機能試験を行う。
熱帯暴露試験及びかび試験終了後,a),b)及び c)の試験をする。
a)
定格の 200%の電流での,校正試験。トリップは,
表 1 に示す特定の周囲温度に適する制限時間以内
で生じなければならない。
b)
公称電圧及び定格の 100%の電流,又は,70℃で抵抗負荷をかけて試験をする場合には公表した電流
で,開閉操作を 1 分間に 10 回行う。サーキットブレーカ端子での電圧降下は,定格の 100%の電流を
かけながら測定する。そのときの値は,
表 6 に示す限度を超えてはならない。
c)
サーキットブレーカは,70℃の周囲温度で公表した電流を 1 時間流しても,トリップを生じてはなら
ない。
13.6
高電圧及び絶縁試験 サーキットブレーカを 13.6.1 及び 13.6.2 に従って試験する。
13.6.1
高電圧試験 50Hz 又は 60Hz で 1 400Vr.m.s.,又は公称使用電圧の 8 倍のどちらか大きいほう以上
の試験電圧を 5∼10 秒間,次に示す箇所の間にかける。
a)
開位置で,サーキットブレーカの両端子間
b)
通常の取付け方法でサーキットブレーカを固定している金属製取付けパネルと相互に接続した両端子
との間。このとき,サーキットブレーカは,開及び閉位置。
6
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
c)
相互に接続した両端子とすべての露出している金属部品との間。
d)
押しボタンの先端とサーキットブレーカと相互に接続した両端子との間。このとき,サーキットブレ
ーカは,開及び閉位置。
電圧は,なだらかに上昇,降下させる。
13.6.2
絶縁抵抗試験 13.6.1 に示す試験の直後に,13.6.1 a)∼d)と同じ箇所で直流電圧 500V で絶縁抵抗を
測定する。その結果は,JIS W 0811 の該当する要求事項に適合しなければならない。
13.7
防爆試験 防爆装置に対して,JIS W 0811 に規定する試験をサーキットブレーカに行う。
13.8
磁界特性の測定 定格の 100%の電流をかけたときに,コンパスに影響を与えないサーキットブレー
カまでの距離を,JIS W 0811 に規定する方法で測定する。
13.9
温度上昇及び限界トリップ電流の最小限度及び最大限度試験
13.9.1
流れのない空気中で,サーキットブレーカに,
表 5 に示す試験を行う。最終試験完了直後,周囲温
度 55℃でまだ熱い状態のサーキットブレーカを 13.6.2 に従って試験を行う。
表 5 トリップ電流及びトリップ時間
周囲温度 トリップ電流
℃
定格電流比 (%)
トリップ時間
+20±2 115 >1h(
備考参照)
+20±2 140
<1h
−40±2 140
>1h
−40±2 180
<1h
+55±2 100
>1h
+55±2 130
<1h
備考 この試験では,外側部分の温度上昇を測定する。その値は,13.9.2 及び 13.9.3 に示す値を超え
てはならない。
取り付けたケーブルの温度上昇(絶縁体の端から 25mm の位置で,絶縁体の下の導線の表面で,温度の
読みが安定してきたとき,適当な熱電対で測定する。
)は,55℃を超えてはならない。
13.9.2
運航中,航空機乗員が通常手を触れたり,又はうっかり触れる可能性があるサーキットブレーカの
構成部品の温度は,最高周囲温度時でも 100℃を超えてはならない。
13.9.3
手で扱う必要がある部分,及び熱伝導のよくない材料で作られた,又はそれで覆われている部分の
温度上昇は,20℃を超えてはならない。金属製の部分の場合には,温度上昇は,10℃を超えてはならない。
13.10
操作力試験 開位置及び閉位置でのサーキットブレーカの操作に必要な最大及び最小の力を測定し
公表する。その力は,押しボタンが動く方向に加える。サーキットブレーカを操作するのに必要な力は,
6.2
に規定する値を超えてはならない。
この試験中,サーキットブレーカが確実な動きをし,開及び閉位置にしたときボタンが中間位置にとど
まっていないことを確認しなければならない。接続が開閉する前に最大操作力点が現れること及びその後
急速に操作力が減少することも確認しなければならない。
13.11
機械的強度試験
13.11.1
端子の強度 次の試験をすべての端子に,1 分間以上にわたって行う。
a)
次の各方向に,45N の力で引っ張る。
− 端子ねじの長軸に平行
− 端子ねじの長軸に直角
b) 1.8Nm
のトルクを端子ねじにかける。
7
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
13.11.2
押しボタンの強度 次の条件下で 90N の力を,1 分間以上にわたって押しボタンの可動軸にかける。
この間,サーキットブレーカを電気的に接続し,コンタクト作動状態を検査する。
a)
サーキットボタンを開及び閉位置にして,押しボタンの可動軸に,直角で,サーキットブレーカ本体
の長辺方向及び短辺方向の軸に沿った両方向
b)
押しボタンの全可動範囲で,サーキットブレーカ本体に向かう方向及び離れる方向
a)
の試験では,押しボタンの端から 3mm の位置に負荷をかける。
13.11.3
パネル取付けブッシュの強度 パネルに取り付けられ,位置決めワッシャ及びキー溝によって位置
が決められたサーキットブレーカの取付けナットに 3.6Nm の締付けトルクを 1 分間以上かける。
13.11.4 13.11.1
,13.11.2 及び 13.11.3 に規定する試験の結果,ねじ,キー溝,位置決めワッシャ,ロックナ
ット,又はサーキットブレーカに損傷又はゆがみが生じてはならない。また,これらの試験の直後に,サ
ーキットブレーカは,次を満足しなければならない。
a)
絶縁抵抗試験(13.6.2)の要求事項を満たす。
b) 20
±2℃の温度で 1 時間,定格の 100%の電流を流したとき,トリップしない。
c)
定格の 200%の電流を流したときに,
表 1 に示す 20℃の制限時間以内にトリップする。
13.12
過負荷トリップ校正試験
13.12.1
サーキットブレーカに 20±2℃,−40±2℃及び 55±2℃の周囲温度で一連のトリップ試験を行い,
表 1 に示す性能要求事項に適合していることを確認する。
13.12.2
さらに,この特性を完全に確定するために,定格 3∼10A のサーキットブレーカにおいては,定格
電流の 20 倍及び 30 倍の電流に対してトリップ時間を記録し,公表する。各トリップ時間は,最低 3 回測
定し,測定の間に 2 時間以上の冷却期間をおく。
13.13
過負荷及び再閉試験
13.13.1
サーキットブレーカを,定格の 200%の電流を流すように調整用抵抗負荷を接続し,次のように操
作する。
閉−自動トリップ−自動トリップから 20 秒以内の再閉
この操作を 50 回繰り返す。
13.13.2 13.13.1
の最終操作終了時のサーキットブレーカ再閉の直後に,負荷を定格電流の 115%にまで下げ
て,1 時間電流を流す。この間,自動トリップしてはならない。
この試験の終わりに定格の 100%の電流を流してサーキットブレーカ端子での電圧降下を測定する。そ
の値は,13.14 に規定する限界値を超えてはならない。
13.13.3 13.13.1
及び 13.13.2 に規定する試験の終了時に,
2
時間以上の冷却期間を置く。
その後,
定格の 200%,
400%
及び 600%の電流で,そのサーキットブレーカの校正試験をする。トリップが,
表 1 に示す制限時間
以内に生じなければならない。
13.14
耐久試験
13.14.1 1
個のサーキットブレーカが,限界トリップ(13.9 参照)及び操作力試験 (13.10) の限界値につい
ての要求事項に従っているかを点検し,1 分当たり完全な 2 サイクル以上のできるだけ速い速度で,13.14.2
又は 13.14.3 に示すように分類した 10 000 サイクルの手動の開閉操作を行う。サーキットブレーカが交流
及び直流の両方の定格をもつ場合には,この試験に別々の供試品を使用してよい。閉時間は,開時間とほ
ぼ同じとする。
手動操作を機械で行ってもよいが,その場合には,設計の特徴であるオーバトラベルを含めてサーキッ
トブレーカの正常手動操作を模擬しなければならない。
8
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
試験中のどの時点においても,機構又は接点に対して調整を行ってはならない。
13.14.2
直流試験条件
1)
海面高度相当圧力,定格の 100%の電流・抵抗負荷で 2 400 サイクル
2)
海面高度相当圧力,1A,0.6H の誘導負荷で 2 500 サイクル
3)
高度 18 300m 相当圧力,定格の 100%の電流・抵抗負荷で 2 500 サイクル
4)
高度 18 300m 相当圧力,1 A,0.6H の誘導負荷で 2 500 サイクル
5)
海面高度相当圧力,定格の 100%の電流,
表 6 に示す誘導負荷で,50 サイクル
6)
高度 18 300m 相当圧力,定格の 100%の電流,
表 6 に示す誘導負荷で,50 サイクル
試験電圧は,直流 28
0
2
+
V
を最後まで維持する。
13.14.3
交流試験条件
1)
海面高度相当圧力,定格の 100%の電流・抵抗負荷で 2 500 サイクル
2)
海面高度相当圧力,力率 0.75 の遅れ回路において定格の 100%の電流で,2 500 サイクル
3)
高度 18 300m 相当圧力,定格の 100%の電流・抵抗負荷で 2 500 サイクル
4)
高度 18 300m 相当圧力,力率 0.75 の遅れ回路において定格の 100%の電流で 2 500 サイクル
試験電源は,380∼420Hz 交流電圧 115
0
10
+
V
を最後まで維持する。
13.14.4 13.14.2
又は 13.14.3 の試験では,試験開始前,操作 500 回ごとに,また試験の終了時に,定格の 100%
の直流電流でサーキットブレーカ端子での電圧降下を測定する。この値は,どの時点においても
表 6 に示
す限界値を超えてはならない。
耐久性試験の終了時に,13.9 に示すサーキットブレーカの限界トリップ電流の最小限界値及び最大限界
値について校正試験を行う。定格の 200%の電流でトリップ時間を測定する。その値は,
表 1 に示す 20℃
の限界値内でなければならない。
表 6 電圧降下及び負荷のインダクタンス
正常定格
電流
端子での
電圧降下
最大
直流試験用負荷の
インダクタンス
A mV
H
1 1
500
1.0
2 1
000
0.5
3 750 0.4
5 300 0.2
7.5
300
0.15
10 300 0.1
15 225 0.07
20 200 0.05
25 200 0.04
35 160 0.03
備考 誘導負荷用には,空心のコイルを用いるのが望ましい。強磁性回路を使う場合には,適切な電
圧の直流電流を用いてインダクタンスを測定する。
13.14.5 13.14.1
∼13.14.4 の試験終了時に,サーキットブレーカを 13.10 に従って再試験する。
13.15
開閉容量試験
13.15.1
試験するサーキットブレーカの公表されている遮断容量に対応した
表 2 又は表 3 に示す想定試験電
流で試験を行う。
9
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
これらの試験には,1 個以上のサーキットブレーカを使用してもよいが,ある特定の試験電流及び気圧
下での試験は,同一の供試品で行う。
サーキットブレーカを,海面高度及び高度 18 300m 相当の気圧の下で,校正した試験回路に入れて,次
の順序で試験する。
試験電流を切る。−試験電流を入れて,切る。−試験電流を入れて,切る。
備考 サーキットブレーカが正常に閉位置に到達できるように操作ボタンに十分な力を加える。ボタ
ンの最低操作速度は,12.7mm/s が適当である。
校正試験中,通常,ケーブル端子は,中間結合部品を使わないで,試験するサーキットブレーカに接続
する。細いヒューズワイヤ(直径 0.122mm)を,サーキットブレーカの取付け面とシステムの中性点又は
負側との間に接続する。代表的試験回路を図に示す。
校正試験中,試験電流の実際の上昇時間を記録し,この値を試験報告書に記載する。
これらの試験中試験電流のオシログラフ記録をとる。
安定状態に戻った後,最低 5 秒間サーキットブレーカ端子で開回路電圧を維持する。この間,コンタク
ト間に電流の流れ又は放電があってはならない。
試験中,細いヒューズワイヤが溶けることによって分かるような電流の漏れがあってはならない。
13.15.2
直流試験条件 表 2 に規定する値の電流を供給できる電源を次の要求事項に適合するよう校正す
る。
a)
開回路電圧は,直流 28
0
4
+
V
とする。
b)
試験電流中断後の開回路回復電圧は,次による。
− 0.002 秒以内に 28V に戻る。
− 最大電圧は 50V 以下である。
− 続いて起こる公称電圧を上下する電圧変動は,減衰振動をする。
c)
該当する想定電流値に次のように到達する。
− 0.005 秒以内に 3 000A までの電流
− 0.010∼0.030 秒で 6 000A の電流
13.15.3
交流試験条件 表 3 に規定する値の電流を供給できる電源を次の要求事項に適合するよう校正す
る。
a)
開回路の電圧は,400±20Hz で 115
0
10
+
Vr.m.s.
とする。
b)
試験電流の中断後,開回路回復電圧は,3 サイクル以内に 120V,6 サイクル以内に 150V になり,165V
を超えてはならない。
c)
該当する想定電流に 10∼25 サイクルの間に到達する。
d)
試験中の周波数は 350∼450Hz とする。
13.15.4 13.15.2
及び 13.15.3 の試験終了時から 1 時間以上の冷却期間をおいた後,各サーキットブレーカの
トリップ時間は,
表 1 に規定する最大時間の 120%及び最小時間の 80%以内でなければならない。その後,
13.6
に規定する高電圧及び絶縁抵抗試験を繰り返す。
13.16
低温での自動再閉試験 −50±2℃の周囲温度で過負荷状態にあるとき,サーキットブレーカは自動
的にトリップしなければならない。この温度にサーキットブレーカを 1 時間保持し,その間自動再閉があ
ってはならない。
14.
生産試験 製造したすべてのサーキットブレーカは,14.1 及び 14.2 の試験に合格しなければならない。
10
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
14.1
校正試験
14.1.1
製造業者は,サーキットブレーカ製品の校正設定に必要な最も適した方法を使用してよい。試験装
置は,サーキットブレーカを手早く扱うのに適した接続を使用してよい。12.に従ったケーブル及び圧着端
子を使用して試験したときと同じサンプルに対しては同じ結果が得られるように校正する。
14.1.2
各サーキットブレーカ端子での電圧降下を,定格の 100%の電流の下で測定する。その値は,13.14.4
に規定する限界値を超えてはならない。
14.1.3
各サーキットブレーカを定格の 200%の電流で試験し,20℃で
表 1 に示す制限時間内にトリップす
ることを確認する。トリップの 20 秒以内に,サーキットブレーカに電流を通さずに再閉し,ラッチインで
きなければならない(すなわち,トリップ機構は,20 秒以内のリセット機能をもっていなければならない。
)
。
この試験を 2 回行う。
14.1.4 14.1.3
の試験後,サーキットブレーカは定格の 200%の電流で閉になり,押しボタンを閉位置に保
持しておいても,自動的にトリップしなければならない。解除すると,押しボタンは,正しい方法で,開
位置に戻らなければならない。この試験後,サーキットブレーカは手動で再閉できなければならない。
14.1.5
各サーキットブレーカは,定格の 115%の電流を流したとき,1 時間はトリップしてはならない。
14.1.6
その後,14.1.3 に規定する試験を定格の 150%,200%及び 300%の電流で繰り返す。
14.2
高電圧及び絶縁試験 各サーキットブレーカに 13.6 に規定する試験を行う。
15.
品質試験
15.1
サンプルの選択 10 個又はロットの 0.1%のどちらか大きい個数のサンプルを,サーキットブレーカ
の各ロットから無作為に選ぶ。これらのサンプルは,そのロットの定格を代表するものでなければならな
い。ロット生産のシステムは製造業者と,購入者又は検査機関のいずれか適切なほうとの間で合意し,公
表する。前もって 14.に規定する生産試験をし,合格したサーキットブレーカからサンプルの選択を行う。
次の試験については,サーキットブレーカの接続を,12.で要求するようなケーブル及び端子で行う。万一,
これらの試験中に不合格があった場合には,そのバッチはこの規格に合致しないものとみなす。
15.2
極限トリップ電流の最小及び最大限度試験 サーキットブレーカの各サンプルに,13.9 に規定する
試験をする。このとき温度上昇は,測定しない。
15.3
操作力試験 サーキットブレーカの各サンプルに,13.10 に規定する試験を行う。サーキットブレー
カを操作するのに必要な力は,13.10 に従って公表する限界値以内でなければならない。
15.4
過負荷トリップの校正試験 サーキットブレーカの各サンプルに,13.12 に規定する試験を 20±2℃
だけで行う。
15.5
振動試験 省略許可を認証機関から得ていない限り,ロットの中の各定格のサーキットブレーカの
サンプル 1 個を 13.3 に従って振動耐久試験を行う。その後,形式認証試験で得られた各共振周波数でそれ
ぞれ 10 時間試験する。
15.6
分解検査及び報告書 生産品質試験終了後,各サーキットブレーカのサンプルを分解して,劣化の
有無を調べる。各サーキットブレーカの状態についての報告書を検査機関に提出する。
16.
公表 (Declaration) ISO/TR 224 に従って製造業者が行う公表には,次のことを含むことが望ましい。
a)
開閉容量(
表 2 及び表 3 参照)に関するサーキットブレーカのカテゴリ
b)
表 1 にあげる各温度でのサーキットブレーカの各定格ごとの時間/電流特性曲線
c)
1
∼10A 容量のサーキットブレーカの,定格電流の 20∼30 倍でのトリップ時間
11
W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
d)
温度 70℃でトリップしないで,1 時間連続してサーキットブレーカに流せる最大電流
e)
サーキットブレーカを手動で操作するのに必要な最大及び最小の力
f)
品質試験用サンプリングに使用した抜取検査方式
17.
表示
17.1
次の情報を各サーキットブレーカにはっきりと消えないように表示する。
a)
規格番号
b)
製造業者名又は識別
c)
製造業者の形式番号
d)
電流及び公称電圧
17.2
サーキットブレーカの電流の定格値を押しボタンの先端に消えないように表示する。
備考 すべての接続は,できるだけ短くし,抵抗を少なくする。システムサーキットブレーカは,繰り返し入り切り
ができるものとし,規定の最大試験電流でも性能劣化のないものとする。
図 1 遮断容量試験用代表的試験回路
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W 7110 : 2000 (ISO 1467 : 1973)
航空専門委員会 構成表(順不同)
氏名
所属
(委員会長)
東 口 實
東京工科大学
岩 村 敬
運輸省航空局
海老原 正 夫
科学技術庁航空宇宙技術研究所
榊 達 郎
社団法人日本航空技術協会
山 田 秀治郎
社団法人日本航空宇宙工業会
森 迫 勝
石川島播磨重工業株式会社
宮 崎 崇 男
富士重工業株式会社
香 春 民 生
日本航空株式会社
諏訪部 洋 光
全日本空輸株式会社
大 宮 英 明
三菱重工業株式会社
土 屋 美 則
東芝株式会社
金 子 敦
川崎重工業株式会社
宮 脇 紘 一
株式会社日本エアシステム
小 泉 一 哉
社団法人日本航空技術協会
穐 山 貞 治
工業技術院標準部
(事務局)
池 川 澄 夫
工業技術院標準部
規格原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
松 木 正 勝
日本工業大学
(副委員長)
渡 辺 晃
日本飛行機株式会社開発部
(委員)
桑 原 哲
通商産業省機械情報産業局
池 川 澄 夫
通商産業省工業技術院標準部
鵜 飼 博
運輸省航空局
寺 田 敏 洋
海上保安庁装備技術部
寺 岡 憲 吾
防衛庁装備局
伊 藤 誠 一
科学技術庁航空宇宙技術研究所
小 泉 一 哉
社団法人日本航空技術協会
中 込 常 雄
日本工業標準調査会
久木田 実 守
航空システムコンサルタンツ
徳 永 俊 二
日本航空株式会社技術研究部
木 原 政 則
株式会社日本エアシステム整備本部
服 部 博
石川島播磨重工業株式会社航空宇宙事業本部
麹 盛 謙 二
川崎重工業株式会社航空宇宙事業本部
谷 口 哲 夫
株式会社島津製作所航空機器事業部
多和田 孝 造
帝人製機株式会社航空機技術部
曽 我 章
日本航空電子工業株式会社航空機事業部
飯 塚 芳 夫
富士重工業株式会社航空宇宙事業本部
清 田 紀 男
三菱電機株式会社鎌倉製作所
八 代 充 造
三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所
宇田川 知 行
横河電機株式会社航空宇宙特機事業部
播 磨 克 彦
アエロスペック研究会
山 田 秀次郎
社団法人日本航空宇宙工業会
(専門委員)
門 原 健 男
株式会社潤工社
(事務局)
井 上 一 彦
社団法人日本航空宇宙工業会技術部