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日本工業規格

JIS

 W

4601

-1996

航空ターボジェットエンジン及び

ターボファンエンジン通則

General specification of turbojet engines and turbofan engines for aircraft

1.

適用範囲

1.1

適用範囲  この規格は,航空ターボジェットエンジン及びターボファンエンジンに対する性能,作

動特性,設計の特徴,詳細なインタフェース形態の定義及び装備範囲について規定する。

また,エンジンの予備飛行定格試験 (PFRT) と認定試験 (QT) の満足な完了と領収のために発注者が要

求する実証,試験,報告書,検査手順,その他のデータについても規定する。さらに,この規格は,両者

のモデルエンジンの量産型製品の領収試験 (AT) を満足に完了するために必要な試験,手続及びデータに

ついて規定する。PFRT,QT 又は AT のため,この規格が規定するエンジンの性能又は作動特性の個々の

点の試験による立証に対する要求事項にかかわらず,エンジンの製造業者又は受注者は,運転範囲全域に

わたって,エンジンのすべての特徴,特性及び性能に対して,該当する契約によって要求される範囲まで,

継続して十分に責任を負わなければならない。この規格は,また,6.5 に従ってエンジン仕様書を作成する

に当たって,エンジン受注者が用いるべき内容と形式について規定する。

備考  この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,メートル系従来単位によるもので

あって,参考として併記したものである。

参考  この規格の内容は,MIL-E-5007D (Engine, Aircraft, Turbojet and Turbofan, General Specification for)

AMENDMENT 2 を含む。

)に相当する。

2.

関連規格

2.1

この規格の関連規格を次に示す。これらの規格を使用するときは,最新版による。

MIL-BULLETIN-343

  Documents Applicable to Aircraft Engines and Propellers, Use of

3.

要求事項

3.1

項目の定義  エンジンの顕著な特徴を,エンジン仕様書に,簡潔に記述する。圧縮機の段数・可変

機構・バイパス比・加速中の抽気,燃料噴射方式を含む燃焼器の形式,タービン構成部品の段数・冷却方

式・推力増強方式,可変機構の特徴を含むジェットノズル,スラストリバーサ,エンジン制御方式,補機

歯車装置,潤滑及び排油系統の種類,始動及び点火系統,主軸受の個数及び位置,計装及び性能指示装置

などの構成部品の記述で,該当するものはこの記述に含む。

性能定格を,

表 及び表 に従ってエンジン仕様書に規定しなければならない。表 及び表 に示すよ

うな詳細なエンジン特性の概要を含む。用語,記号及びその定義は,6.に従わなければならない。

3.1.1

品目図表 (Item Diagrams)   品目図表は,使用機関が要求するときは提出しなければならない。


2

W 4601-1996

3.1.2

インタフェースの定義  インタフェースの要求事項には,エンジンの装着に必要なすべての物理的

な 装 着 要 求 事 項 と 性 能 要 求 事 項 を 含 め る 。 す べ て の イ ン タ フ ェ ー ス の 定 義 は , エ ン ジ ン の 形 態

(configuration)

及び外形 (envelope) 図又は該当する機能系統を,記述する文書中に示さなければならない。

3.1.2.1

図面  次の図面を,エンジン仕様書の一部に図として入れなければならない。これらの図の縮小

版を,エンジン仕様書に入れなければならない。

(a)

エンジンの形態及び外形図  この図面には,エンジンの物理的インタフェースの特徴を示し,更に

識別するため,すべての面の詳細な外形を示さなければならない。図面は,エンジンとすべての装

備品に対する取付けの詳細と許容差,個々に取外しを必要とする補機と構成部品の装着と取外しの

ためのすきま,調整と他の整備作業のための接近,完成した裸エンジンの重心,及び補機インタフ

ェースに全補機を装備した場合のエンジンの重心を示さなければならない。この図面には,許容差

並びに製作,熱の影響,振動,運用荷重及び外部から加わる荷重による寸法変化を起こしたエンジ

ンが必要とする最大空間を示さなければならない。

(b)

電気装備接続図  この図面には,すべてのエンジンシステムの外部電気回路と装備インタフェース

接続部の詳細とを示し,識別するものでなければならない。

3.1.2.2

実大模型  使用機関が要求するときには,実物大の模型を製作しなければならない。実大模型の

検査は,ANA Bulletin No. 406 に従って行わなければならない。

3.1.2.3

装着の変更  エンジン装着インタフェースに影響するエンジンの特徴は,エンジン仕様書に示さ

なければならない。変更(追加,削除又は改修)は,該当する契約書で要求するとおり,協力する受注者

間の調整が終わった後にだけ,使用機関に提出し,承認を受けなければならない。

3.1.2.4

完備エンジンの質量慣性モーメント  重心に原点を置く互いに垂直な 3 軸の周りの,完備した乾

燥エンジンの最大有効質量慣性モーメント [kg・m

2

 (lb

・ft

2

)]

を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

また,各エンジンロータの合成回転軸の周りの最大有効質量慣性モーメント [kg・m

2

 (lb

・ft

2

)]

を,排気出

口から前方を見たときの回転の方向とともに,規定しなければならない。

3.1.2.5

外部から加わる力  エンジンは,3.1.2.6 と図 に規定する条件のもとで,満足に機能を果たし,

しかも永久変形がなく,これらの条件に耐えなければならない。

また,エンジンは,それらの値の 1.5 倍に相当する静荷重を受けたとき,破損してはならないが,その

後,満足に作動する必要はない。エンジンに装着するすべての補機と作動流体を考慮し,この特定の重量

だけ増加させたエンジンの乾燥重量からなる重量要素 (weight factor) に基づいて,制限荷重を定めなけれ

ばならない。

また,機体構成部品がエンジンによって支持される装備では,これらの構成部品の重量を重量要素に含

める。報告書は,PFRT の開始前に使用機関に提出しなければならない。この報告書には,この箇条,3.1.2.5.1

及び 3.1.2.6 に規定する荷重に耐える能力に関して,エンジン全体についての詳細な構造解析を含めなけれ

ばならない。

3.1.2.5.1

ジャイロモーメント  最大許容定常状態エンジン回転速度で,ジャイロモーメントが次の条件

で課せられたとき,エンジンは満足に作動しなければならない。

(a)

+1G か−1G のどちらかの垂直荷重倍数と組み合わせて,ロータ軸に垂直な平面内の任意の軸周り

の 3.5rad/s の定常角速度が合計 15 秒間働いたとき。

(b)

ロータ軸に垂直な平面内の任意の軸周りの 1.4rad/s の定常角速度と

図 に示す最大荷重倍数が,無

限回数働いたとき。


3

W 4601-1996

3.1.2.6

エンジンマウント  各個の取付点の位置,インタフェース寸法及び最大許容荷重限界を,エンジ

ンの形態及び外形図に示さなければならない。

3.1.2.6.1

地上取扱用マウント  エンジンに取り付けるすべての機器,補機,構成部品及び作動液のため

増加したエンジンの重量を支持するために,エンジンに地上取扱用マウントを備えなければならない。地

上取扱用マウントは,上に定義したエンジンの重量に基づいて,荷重倍数が軸方向に 4G,横方向に 2G,

垂直方向に 3G の荷重に,永久変形なしに,耐えなければならない。それぞれの地上取扱用マウントの位

置と寸法は,エンジンの形態及び外形図に示さなければならない。使用機関が規定する地上取扱用機器と

両立できるような配置でなければならない。

3.1.2.7

パッド及び駆動装置  パッド及び駆動装置に関する要求事項は,次のとおりとする。

(a)

エンジン構成部品・航空機用補機の取付け及び駆動に適するパッド及び駆動装置は,エンジン仕様

書に規定する基本形態及び定格要求事項に従い,

さらに,

表 に示すように表さなければならない。

(b)

エンジン構成部品駆動系統及び補機駆動系統(エンジン補機駆動歯車装置及び出力抽出駆動装置)

は,各駆動装置が個々の駆動装置に対して規定されている最大許容トルク又は定格出力を受けると

きに,すべての駆動装置が同時に作動できるものでなければならない。

(c)

すべての駆動スプライン軸は,エンジン滑油によって強制的に潤滑するか,又は補機製造者・エン

ジン製造者が供給する MS 14184 若しくは MS 14169 に記されているような非金属製の軸継手を取り

付けられるようにするか,しておかなければならない。補機に必要な非金属製軸継手は,補機仕様

書で明確にしなければならない。

(d)

駆動パッドのすべての寸法及び詳細を,余裕空間とともに,エンジンの形態及び外形図に示さなけ

ればならない。歯車装置のどの部分も,これらの駆動装置に取り付けられている補機を単独に取り

外すときに妨げになってはならない。

(e)

航空機用補機及びエンジン構成部品に用いるパッド及び駆動装置は,該当する規格 MS 3325

MS 

3329

の規定に適合しなければならない。

(f)

標準回転速度計発電機を,3.7.6.8 に従って速度表示用に用いている場合には,回転速度計発電機駆

動装置は,AND 20005 の規定に適合しなければならない。回転速度計発電機駆動スプライン軸は,

強制的にエンジン滑油によって潤滑したり,非金属製軸継手を取り付けたりする必要はない。

3.1.2.7.1

出力抽出 (PTO)   離れて取り付けられた航空機補機を駆動するために,出力抽出軸を設けた

場合には,定格,すきま範囲,寸法,パッドと接続部との詳細及び接近性と心合せとの要求事項を,エン

ジン仕様書とエンジン形態及び外形図に規定しなければならない。出力抽出軸の設計と形態は,3.1.2.7 

3.7.9

の該当部分の規定に適合させなければならない。

3.1.2.8

エンジンの表面温度及び放熱  エンジンの最大運転表面温度と放熱率を,エンジン仕様書の附属

書で規定しなければならない。補機パッド荷重,圧縮機抽気条件,滑油系統冷却要求事項及びエンジンケ

ースフランジと分割線 (split lines) からの空気とガスの漏れのような要因は,エンジン放熱率を定める際

に考慮しなければならない。

表面温度と放熱率は,

図 に示すようなグラフ形式で示さなければならない。

エンジンの周囲の条件,エンジン出力の状態及び滑油系統温度を表面温度に対応させて示さなければなら

ない。エンジンの表面上の構成部品と補機に対して,規定の構成部品と補機の表面温度と発熱曲線は,

2

に破線で示すようにエンジン温度と異なってもよい。エンジン表面の放熱率は,

図 に示すように表さ

なければならない。放熱と表面温度のデータは,次に記載する条件に対して示さなければならない。次に

記載するものと異なる飛行及び地上運転条件中の放熱率が,重要か制限的であれば,そのデータもまた示

さなければならない。


4

W 4601-1996

(a)

最大出力,海面上,静止で 52℃,日中

(b)

最大出力,海面上,周囲温度 39℃,最大よどみ点入口空気温度

(c)

最大出力,11km,最大よどみ点入口空気温度

3.1.2.8.1

エンジン構成部品制限温度  エンジンに取り付けるエンジン構成部品は,次の条件にある静止

空気中で,その許容温度を超えてはならない。

(a)

最大よどみ点温度の大気における連続運転。

(b)

飛行中の最も不利な条件からエンジンを停止して,最大よどみ点温度の大気中に連続放置。

(c)

強制換気,冷凍又はロータの回転のような特別の冷却をしないで,海面上標準大気温度で地上にお

けるエンジン停止。

各構成部品の最大周囲空気温度とすべての構成部品の制限表面温度の表を,作成しなければならない。

これらの温度は,最大よどみ点温度とエンジン表面温度との加熱の影響を反映しなければならない。構成

部品の 3 座標軸に関して,周囲空気温度と表面温度とが最大である特定の測定点を,エンジン仕様書に規

定しなければならない。受注者は,構成部品ごとに,意図する使用のうち最も過酷な条件に該当する表面

及び空気の温度並びに時間間隔を,表で示さなければならない。

3.1.2.8.2

放熱及び冷却試験報告書  エンジン放熱及び冷却要求事項試験報告書は,PFRT の開始前に,使

用機関に提出しなければならない。試験データに基づくこの報告書は,3.1.2.8 に述べた放熱及び表面温度

の解析データを立証しなければならない。

3.1.2.9

空気及びガスの漏れ  エンジンの漏れの場所,その量,温度及び圧力を,エンジン仕様書に規定

しなければならない。漏れの流れが,安全性に危険を与えるか又は装備要求事項に影響するほどの高い温

度で集中して吹き付けるような場所があってはならない。

3.1.2.10

エンジン空気入口系統

3.1.2.10.1

空気入口の設計及び寸法  エンジンは,空気取入口取付フランジを備え,さらに,このフラン

ジは,使用機関が規定するとおりに,軸方向通しボルト又は急速着脱式クランプのいずれかが取り付くよ

うに設計しなければならない。入口ダクトの取付寸法を,エンジン形態及び外形図に示さなければならな

い。

3.1.2.10.2

入口結合部の許容応力  エンジン入口フランジにおけるせん断荷重,軸方向荷重及び片持ちモ

ーメント荷重についての最大許容値を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.1.2.10.3

変移時の空気流量  変移(過渡)時のエンジン所要空気流量は,エンジン運転範囲に対して規

定しなければならない。これらの変移時には,出力レバーの前後操作とともに,スラスト増強装置をもつ

場 合 は そ の 着 火 と 停 止 を 含 め る 。 変 移 状 態 に 対 す る 動 的 空 気 流 量 の 正 負 の 行 過 ぎ 量 の 時 間 変 化 率

(time-rate-of-change)

の許容差は,エンジン仕様書にグラフの形式で示さなければならない。客用抽気量と

抽出動力の影響を含めなければならない。

3.1.2.10.4

入口空気流ディストーション限界  入口空気流ディストーション限界を定めるために,使用機

関の随意によって,次の手順のうちの一つを用いる。

手順 

(a)

入口流れのディストーションデータと対応するエンジン運転条件の 5 組以上を定義し,エンジン仕様

書に規定しなければならない。これらの条件に対して,エンジンは安定に作動しなければならない。

定義し,規定するインレットディストーションの基準は,使用機関の選択によって,次の中の一つ以

上から,定めなければならない。

(1)

機体受注者とエンジン受注者との間の技術的調整。


5

W 4601-1996

(2)

発注者の指定。

(3)

エンジン受注者に決定を委任。

規定の条件における圧縮機サージ又はストールは,飛行安全項目と考えなければならず,また,

許容してはならない。規定された入口流れのディストーションデータの各組に対して,マッハ数,

高度,出力設定,客用抽気,抽出動力などの項目のうち該当するものによって,エンジンインタフ

ェース運転条件を決定しなければならない。エンジン入口全圧,温度及び流量変化の測定は,エン

ジン仕様書に定めるエンジンと空気取入口の空気力学的インタフェースで行わなければならない。

空気流量・圧力・温度の測定に使用されるすべての入口の計装,配置,箇所,応答及び計測精度を,

エンジン仕様書に定義し,規定しなければならない。規定された入口流れのディストーションデー

タの各組に対して,全空気流量,平均全圧回復度及び各個の検出器に現れる圧力と温度を,エンジ

ン仕様書に表として示さなければならない。

手順 II 

(a)

エンジンが,運転範囲全域にわたって,サージを起こさないで作動するような最大のディストーショ

ン限界を示すディストーション指数 (index) を,エンジン仕様書に定めなければならない。この指数

は,定常状態のときと時間とともに変わるときとの入口空気の全圧と全温度の変化量によって表す。

ファン及び(又は)ガスジェネレータに及ぼすジェットノズルの背圧の効果が,入口空気圧力の変化

に対するエンジンの許容値に影響する場合には,その効果を,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。

また,エンジンがサージを起こさずに作動をする最大定常圧力ディストーション限界を,インレッ

トディストーション状態に対し,さらに,次に定義するディストーションパラメータで,エンジン仕

様書に規定しなければならない。

(1)

定常状態の円周方向の圧力ディストーションに対しては,

(

)(

)

[

]

(

) (

)

[

]

2

/

1

2

/

1

/

/

/

Reference

/

2

/

p

q

p

q

p

q

K

π

θ

=

θ

ここに,  ディストーション時定数 [(

θ

/2

π

) (q/p)

1/2

] Reference

θ

=90°と 180°

の扇形で定義される。

θ

平均より小さい全圧をもつ圧縮機面での部分扇形の角度

p

ディストーションされた扇形の中の全圧

q

ディストーションされた扇形の中の動圧

p

圧縮機面での平均全圧

q

圧縮機面での動圧

(2)

定常状態のハブ及びチップの半径方向の圧力ディストーションに対しては,

(

)

(

)(

) (

)

Surge

Tip

&

Hub

/

/

Surge

Tip

&

Hub

/

1

2

h

t

t

r

r

r

r

r

r

p

p

 
−サージにおけるハブ及びチップデ
ィストーションの半径方向範囲を定
める。

ここに,

pp

  (P

min

− ) / 

r

h

r

t

圧縮機第一段ハブとチップ半径

r

1

r

2

圧縮機ハブに最も近い及びハブから最も遠い低圧力
域の半径方向境界

r

低圧力域の中心までの半径方向距離


6

W 4601-1996

(b)

安定して作動する入口流れのディストーションデータと対応するエンジン運転条件の 5 個以上の組を,

エンジン受注者が定め,エンジン仕様書に規定されなければならない。規定の条件のもとでの圧縮機

サージ又は失速は,許容してはならない。規定された入口流れのディストーションデータの各組に対

して,マッハ数,高度,出力設定値,客用空気抽気,抽出動力などの項目のうち該当するものによっ

て,エンジンインタフェース運転条件を定めなければならない。エンジン入口全圧,温度及び流量変

化の測定は,エンジン仕様書に定めるエンジン又は入口の空気力学的インタフェースで行わなければ

ならない。空気流量・圧力・温度の測定に使用するすべての入口計装,配置,箇所,応答及び計測精

度を,エンジン仕様書に定義し,規定しなければならない。規定された入口流れのディストーション

データの各組に対して,全空気流量,平均全圧回復度及び各個の検出器に現れる圧力と温度を,エン

ジン仕様書に表として示さなければならない。

3.1.2.10.5

圧力及び温度の変化率  失速,サージ,フレームアウト又は機械的損傷が起こらないエンジン

入口全圧と全温度の最大許容変化率を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.1.2.10.6

特殊ガスの吸込み  特殊ガスを吸入しても,エンジンが,失速,サージ,フレームアウト又は

機械的損傷を起こすことなしに作動しなければならない。特殊ガスによって発生する機能不良を防止する

ため,エンジンに取り入れるいかなる手段も,エンジン仕様書に規定しなければならない。使用機関が特

に指定しない限り,実証のためのエンジン運転条件と,特殊ガスの状態と特性とは,次のとおりでなけれ

ばならない。

(a)

エンジン出力設定

中間

高度

11 000m (36 089ft)

マッハ数 0.7

ロケット質量流量 13.6kg/s

(30lb/s)

ロケット燃焼時間 0.1s

ロケットの位置

ロケットの排気がエンジン面に垂直で,エンジンの中心線上にあり,エンジン

入口面から 4.6m (15ft)

推進薬の特性

アルミニウムを添加しないダブルベース

(b)

次の点以外は,上記(a)と同じ。

推進薬の特性

アルミニウムを添加したコンポジット

(c)

エンジン出力設定

中間

高度

2 286m (7 500ft)

マッハ数 0.7

ロケット質量流量 36.3kg/s

(80lb/s)

ロケット燃焼時間 0.1s

ロケットの位置

ロケットの排気がエンジン面に垂直で,エンジンの中心線上にあり,エンジン

入口面から 4.6m (15ft)

推進薬の特性

アルミニウムを添加しないダブルベース

(d)

次の点以外は,上記(c)と同じ。

推進薬の特性

アルミニウムを添加したコンポジット


7

W 4601-1996

3.1.2.11

抽気系統  エンジンは,航空機に使用するため,圧縮機又はファンから客用抽気を行うことに対

し,備えがなければならない。すべての客用抽気口の位置,数及びインタフェース寸法は,エンジン形態

及び外形図に示さなければならない。圧縮機空気抽出中は,エンジンの運転範囲内でエンジンの安定性と

限界を維持するために,出力レバーの調整を必要としてはならない。すべての運航高度,空気入口温度及

び飛行速度において,アイドルから最大出力までの抽気の圧力と温度,及び抽気口を幾つか使ってこの抽

気を行うときでもエンジン性能に及ぼす影響を 3.2.1.2.1 の性能計算機プログラムに含めなければならない。

抽気の最高温度と最高圧力及び抽気が行われる段(ステージ)は,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。各抽気口の最大連続流量の能力は,全流量の百分率で,エンジン仕様書に規定しなければならない。

高圧の抽気が低圧の抽気口に入らないような対策を取らなければならない。航空機の抽気系統に単一の故

障が起こった場合に,エンジンの故障とはならないように,すべての抽気口の寸法を定めなければならな

い。外面の温度が 371℃ (700

°F)  を超える抽気ダクトは,可燃性流体の漏れによる危険を防止するため,

保護しなければならない。抽気口の内部抽出点は,砂とダスト,油,水分又は抽気に入るおそれがある空

気中に混在するその他の異物が最も入りにくい場所に置かなければならない。エンジンに設けられる抽気

抽出系統は,エンジンの上流の機能不良によって,規定の汚染限界を超えないことを保証しなければなら

ない。

3.1.2.11.1

抽気継手部許容荷重  客用抽気継手部において許容できる最大の軸方向荷重,せん断及びモー

メント荷重を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.1.2.11.2

始動及び加速抽気  加速抽気空気流の機外配管が必要な場合は,対策を講じなければならない

空気流の条件を,エンジン仕様書に規定しなければならない。配管の取付詳細は,エンジン形態及び外形

図に示さなければならない。圧縮機のサージを避けるために,サージに敏感な領域でのエンジンの定常運

転中に連続作動する圧縮機抽気については,関係する運転範囲及び燃料消費率の損失に関して,エンジン

仕様書に規定しなければならない。

3.1.2.11.3

抽気の汚染  抽気に含まれるエンジン生成物質は,次に規定する初期限界値内になければなら

ない。エンジンの製造業者は,抽気のサンプルの分析によって,物質に対して規定された初期限界を超過

しないことを実証しなければならない。記載したもの以外の物質が,エンジン運転による抽気に入ってい

る場合には,エンジンの製造業者は,最大限界を決定するため使用機関に,その物質と質量百万分率 (ppm)

で汚染度を報告しなければならない。二つ以上のエンジン生成物質が存在するときには,その組み合わせ

た影響を,決定し,報告しなければならない。これとは反対に,情報がない場合には,異なる物質の組合

せの影響は,それぞれの和と考えなければならない。通常のエンジン整備中に使用する洗浄液について規

定してあるときには,その液が抽気の汚染に与える影響を考慮する必要がある。

  物質 ppm

炭酸ガス 5

000.0

一酸化炭素 50.0

エタノール 1

000.0

ふっ素 0.1

過酸化水素 1.0

航空燃料 250.0

メチルアルコール 200.0

臭化メチル 20.0

窒素酸化物 5.0


8

W 4601-1996

  物質 ppm

アクロレン 0.1

油分解生成物(例:アルデヒド) 1.0

オゾン 0.1

空気中に含まれる 1

µm 以下のエンジン生成粒子は,合計 5mg/m

3

以下でなければならない。

3.1.2.12

レーダ断面積  エンジン入口と排気系統の最大レーダ断面積 (RCS) を,2∼18GHz の周波数範囲

にわたり,m

2

の単位で,エンジン仕様書に規定しなければならない。10 度間隔上の RCS の中央値は,規

定値より小さくなければならない。中央値が得られる 10 度の間隔は,前方の半球については入口でエンジ

ン中心線から,後方の半球については排気の位置でエンジン中心線で測定するとき,方位角と仰角とも,

少なくとも±60 度の範囲に広がらなければならない。可変ジェットノズル方式を使用している場合,又は

赤外線抑制装置がノズル系統に組み込まれている場合には,受注者は,系統の作動に適当な各モードで,

これらの装置に対する RCS 値を規定しなければならない。RCS を減少するための特別な装置があれば,

エンジン仕様書に記載しなければならない。

3.1.2.13

接続部  エンジン形態及び外形図に示される計装,燃料,滑油,空気及び電気のすべての接続部

を指示するため,エンジンに,永久的に消えないマークを施さなければならない。相互に極めて近くに置

かれている接続部は,物理的に互換性がないように造らなければならない。

3.1.3

主要構成部品表  構成部品認定試験を要するエンジンの主要構成部品又は構成部品機能部分系統

を,エンジン仕様書に示さなければならない。

3.1.4

発注者支給品表  発注者支給品は,エンジンの設計に組み入れるべきではない。

3.1.5

発注者貸与品表  発注者貸与品は,エンジンの設計に組み入れるべきではない。

3.2

特性

3.2.1

性能特性  エンジン受注者によって,エンジン仕様書の中に定められているエンジン性能特性は,

エンジン受注者が使用機関に納入する予定のエンジンで,最も性能が劣るエンジンのものでなければなら

ない。特に指定がない限り,エンジン性能特性は,次の各項に基づかなければならない。

(a)

燃料は,42 800kJ/kg (18 400BTU/lb) {10 225cal/g}  の低発熱量をもち,その他は 3.7.3.2.1 に規定する

燃料と,3.7.7.2 に規定する滑油に適合するものであること。

(b)

アメリカ合衆国標準大気 1962 (ASTIA 401813)  [JIS W 0201(標準大気)

(c)

入口空気ディストーションがないこと。

(d)

入口圧力回復度が,次の式と条件によって定めるものであること。

P

t2

 (ref) /P

t0

=1.0,マッハ数 0∼1.0

P

t2

 (ref) /P

t0

=1.0−0.075 (M

0

−1)

1.35

,マッハ数 1.0∼5.0

P

t2

 (ref) /P

t0

935

M

800

4

0

,マッハ数 5.0 以上

ここに,

P

t2

 (ref)

圧縮機入口での基準全圧

P

t0

自由流れの全圧

M

0

飛行マッハ数

(e)

排気管とジェットノズル及びファン出口ダクトとファンノズルは指定されたものであること。

(f)

客用抽気がないこと。

(g)

エンジンの連続運転に必要なもの以外には,補機出力は抽出しないこと。


9

W 4601-1996

(h)

仕様書に規定されたエンジン制御系統を用いて,性能を決定しなければならない。この場合の性能

は,最小性能を出す制御系統の変動に対する公差に基づいて,決定しなければならない。

3.2.1.1

定格性能  定格性能は,表 及び表 に従って,エンジン仕様書に規定しなければならない。増

強装置によって得られる定格は,そのように指摘しなければならない。

3.2.1.2

性能表示−定常状態  エンジン性能データは,二つの形式で作成しなければならない。一つは,

エンジン仕様書における標準日曲線の形式で,他の一つは,自動ディジタル計算機の使用に適した計算機

プログラムの形式とする。計算機プログラムは,エンジン仕様書中の主要なものであり,さらに,それは,

エンジン仕様書の一部をなし,また,エンジン仕様書において明確にしなければならない。性能データは,

エンジンの運転範囲全域にわたらなければならない。

表 及び表 のエンジン定格点並びに曲線は,計算

機プログラムと一致しなればならない。定格性能の各点は,曲線上で明確にしなければならない。エンジ

ン仕様書には,6.の記号一覧表及び位置(ステーション)の添え字を示す図解を含めなければならない。

3.2.1.2.1

性能表示−ディジタル計算機プログラム  定常状態の性能計算プログラムを作成し,使用機関

に提出する。この計算機プログラムは,エンジン仕様書の一部をなし,さらに,エンジン型式名称など適

当な識別及び日付をもたなければならない。公式のエンジン性能データを得るためにそのプログラムを使

用する計算機の製造業者,型式及び配置を,エンジン仕様書に規定しなければならない。使用機関の領収

前に,サンプルデータを用いた計算機プログラムの編集 (compilation) と実行を,規定の計算機において実

証しなければならない。計算機プログラムは,次に示す修正事項のほか,ARP 681(ディジタル計算機プ

ログラムに対するガスタービンエンジン定常状態性能表示)の要領に従って,作成しなければならない。

(a)

プログラム要求事項  性能プログラムは,その中に構成部品の同一性が維持される熱力学サイクル

シミュレーションでなければならない。例えば,圧縮機,タービン及び燃焼器は,正確なシミュレ

ーション(例えば,ファンと圧縮機の失速特性,バーナブローアウト及びレイノルズ数の影響)が

なされ,かつ,維持されるために必要に応じて,モデルロジックの中でそれぞれが識別されなけれ

ばならない。計算機プログラムは,規定された計算機と両立できる原始言語 (source language) を用

いて,提出しなければならない。

(b)

プログラムの能力  プログラムは,エンジン運転範囲全域にわたり適用することができなければな

らない。各々異なる適用に対して編集 (compilation) が必要であってはならない。機体への装備の影

響を計算できる能力が,計算機プログラムに含まれていなければならない。ディストーション,ラ

ム圧回復度,客用抽気,客用抽出動力,ノズル効果,附随する流れ (parasitic flow) ,エンジン防氷,

液体噴射,風車状態,逆スラスト及び可変機構の影響を,該当エンジンに対して含める。

(c)

文書要求事項  使用者用マニュアルとソースデッキを,計算機プログラムとともに提出しなければ

ならない。

(1)

使用者用マニュアル  ARP 681 に規定の項目に加えて,使用者用マニュアルには,シミュレーシ

ョン方法の概要の記述,全体モデルの概略的な流れ図,主プログラム及び各構成サブルーチンの

詳細な流れ図並びにすべてのエンジン構成部品に対する計算過程及び関連する仮定の明確な説明

を含めなければならない。エンジン仕様書に記載されているすべてのパラメータの制限値の一覧

表とすべてのエンジン制限値の引用,例えばガス温度,毎分回転数などは,使用者マニュアルに

含めなければならない。更に,使用者用マニュアルには,構成部品性能図表,使用するすべての

実験的に求めた機能のグラフ,正規化されたパラメータの基準値 (reference values) ,それらの機

能を含むサブルーチンの索引並びにすべてのテストケースのプログラム入力及びそれに対応して

求められる出力のリストを含めなければならない。


10

W 4601-1996

(2)

ソースデッキ  原始プログラムのカードデッキとプログラムリストを,提出しなければならない。

これらには,サブルーチンとモデル論理を識別するため,注釈カードを付けたすべてのプログラ

ムサブルーチンを含めなければならない。ソースデッキにあるすべてのカードは,連続番号を付

け,製造業者名,エンジン名称,該当するエンジン仕様書番号,改正及び日付並びにカードデッ

キ識別番号を明確に記入しなければならない。

(d)

入力及び出力  プログラムは,入力データが出力データとは別個に印字されるように組まなければ

ならない。すべてのプログラム入力は,独立に変化でき,また,そのプログラムは,計算機入力に

対して多様な,数値的変更を順次に受容できるものでなければならない。ARP 681 に記載される入

力に加えて,プログラムは,エンジン仕様書に規定のとおりに燃料発熱値 (FHV) 及び測定ガス温

度 (GT) を与えなければならない。プログラムは,ARP 681 に規定されている定格コード及び出力

レバー角度又は出力コードを任意に選択するほかに,測定ガス温度 (GT) ,エンジン圧力比 (P5Q2)

及び該当する軸回転速度の入力のオプションを用いて,ARP 681 の要求出力パラメータのすべてを

計算できなければならない。構成部品性能の評価と計算に用いる空力−熱力学サイクルパラメータ

は,プログラムを組み直さないで,出力として使用できなければならないが,それは,単なる情報

であり,仕様書のデータとしてはならない。

3.2.1.2.2

性能曲線  海面上,エンジンの絶対高度までの各 3 048m (10 000ft)  ずつ高い高度及び 11 000m

(36 089ft)

で高度の影響(圧力水準及びレイノルズ数)を含み,標準状態の下でのエンジン性能を示す曲

線を提出しなければならない。内挿法を規定し,しかもそれは,曲線中のいかなる不連続部分も補完し,

計算機プログラムと矛盾してはならない。各性能曲線は,次の出力設定値に対して,マッハ数による正味

スラストの変化を示さなければならない。すなわち,最大,最小スラスト増強,他の二つのスラスト増強

状態,中間,最大連続,最大連続の 90%,75%及び 60%並びにアイドルがそれである。曲線には,kg/s (lb/s)

単位で空気流量(ターボファンエンジンに対しては,高温,低温及び全体の空気流量を示すこと。

,kg/h/N

(lb/h/lbf) {kg/h/kgf}

単位で燃料消費率並びにエンジンスラストの指標として測定され,表示されるエンジ

ン回転速度及びその他の変数(エンジン圧力比など)を示さなければならない。これらの曲線は,

図 

従って書かなければならない。海面上,高度 762m (2 500ft)  及び 1 524m (5 000ft)  で,マッハ数が 0,0.1

及び 0.2 のとき得ることができる最大逆スラストを,大気温度に対する曲線として提出しなければならな

い。明確化のため,又はエンジンの特別の特性を記述するために,使用機関が要求するときには追加の曲

線を提出しなければならない。一組の曲線は,エンジンデータの視覚的内挿が容易にできるように,示さ

なければならない。すなわち,運転の境界や制限を超えて伸ばしたり,エンジン限界の外側に線を追加し

たりすることなどである。エジェクタノズルが組み込んであるエンジンに対しては,エジェクタの全圧と

関連する二次空気流の特性曲線は,次のように表さなければならない。

(a)

上に規定した高度とスラスト状態に対して,マッハ数による二次空気流量 (Was) の変化(

図 参照)。

(b)

上に規定した高度とスラスト状態に対して,マッハ数による二次空気の全圧回復度の変化(

図 

照)

(c)

上に規定した高度とスラスト状態に対して,ノズル冷却のため,又は定格性能を出すために必要な

最小二次空気流量。

3.2.1.3

性能の立証  表 及び表 の性能を立証する方法は,使用機関の承認を受けなければならない。

3.2.1.4

運転限界  すべてのエンジンの定常状態と過渡状態での運転限界(最大,最小)を規定しなけれ

ばならない。規定する限界は,エンジンの最も不利な許容差で,決定しなければならない。


11

W 4601-1996

3.2.1.4.1

運転範囲 (Operating Envelope)   空気熱力学的と機械的の限界によって定まるエンジン運転

限界を,

図 と図 に示す形式に従って,エンジン仕様書に規定しなければならない。これらの運転限界

は,エンジンを 3.7.3.2.1 に規定する燃料を用いて運転するとき,その中でエンジンがすべての定常及び変

移性能特性を満足しなければならない制限条件である。

3.2.1.4.2

海面上運転限界  標準日と MIL-STD-210 の低温日と高温日の海面上の運転に対するエンジン

ラム圧力比限界を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.4.3

絶対高度  標準日状態で適用できるエンジンの絶対高度とラム圧力比の範囲を,エンジン仕様

書に規定しなければならない。

3.2.1.4.4

始動限界  始動及び運転限界を,図 と図 に従って,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。エンジンは,海面上から少なくとも 3 048m (10 000ft)  まで,ラムがない条件で始動しなければなら

ない。最低空中始動容認可能高度限界は,エンジン仕様書に規定するとおりでなければならない。

“高温”

(hot)

及び“低温” (cold) エンジンに対する高度始動限界の差を,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。

“低温”エンジンとは,始動が行われる前にエンジン燃焼器出口温度がエンジン圧縮機入口温度の

55

℃以内になるまで,

規定の試験条件で風車回転させられたエンジンとして定義しなければならない。

“高

温”エンジンとは,フレームアウト又は停止の後,10 秒以内に始動を行う場合のエンジンとして,定義し

なければならない。エンジン仕様書には,また,客用最大抽気量と客用最大抽出動力に対する始動限界を

規定しなければならない(アフタバーナ付きエンジンに関しては,アフタバーナの始動と運転限界を規定

しなければならない。

3.2.1.4.5

エンジン温度限界  定常状態のもとでの燃焼器出口における最大許容平均ガス温度を,エンジ

ン仕様書に規定しなければならない。

また,最大許容燃焼器出口温度に対応する最大許容平均定常状態測定(ガス又は金属)温度とその測定

箇所を,エンジン仕様書に規定しなければならない。最大許容燃焼器出口平均定常ガス温度は,

表 及び

表 の定格性能を得るために必要な最高平均燃焼器出口定常ガス温度より 28℃ (50

°F)  以上高くなければ

ならない。

また,エンジン受注者は,最高平均燃焼器出口定常ガス温度を生じるエンジン運転条件(圧縮機入口温

度を含む。

)を,エンジン仕様書に規定しなければならない。最大許容過渡測定(ガス又は金属)温度(始

動と加速)を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.4.6

ロータ回転速度限界  定常と過渡の最大許容エンジンロータ回転速度を,エンジン仕様書に規

定しなければならない。

3.2.1.4.7

燃料流量限界  最大と最小のエンジン燃料流量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.4.8

滑油圧力及び温度限界  最大と最小の作動滑油圧力限界と,最大過渡と最大許容定常との滑油

温度限界を,エンジン仕様書に規定しなければならない。−54℃  (−65

°F)  で始動と初期運転中の 2

000mm

2

/s (2 000cSt)

の滑油粘度に基づく最大と最小の滑油圧力を,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。始動と初期運転中の最小と最大の滑油圧力は,2.5 分以上継続させてはならない。

3.2.1.4.9

滑油消費限界  あらゆる形態の滑油の損失を含む滑油消費量は,エンジン仕様書に規定する量

を超えてはならない。認定試験中の平均滑油消費量が,規定値の

3

1

より少ないときは,仕様書の滑油消費

量は,認定試験の平均の 3 倍以下の値に修正しなければならない。


12

W 4601-1996

3.2.1.4.10

振動限界  エンジン圧縮機とタービンのケース,補機歯車装置ケース及び該当する場合は内部

構造の上の各加速度計の取付位置における最大許容エンジン振動限界[全周波数域の速度で表した限界値

(真の rms 値)

]を,エンジン仕様書に規定しなければならない。各加速度計に対して規定する全周波数域

の速度限界は,10 000Hz の周波数まで適用できなければならない。

3.2.1.4.11

圧縮機抽気及び補機抽出動力限界  補機パッド又は客用抽気口によるエンジン負荷のすべての

限界を,エンジン仕様書に規定しなければならない。限界は,各抽気口とパッドに個々に,また,すべて

の可能な組合せに対して,規定しなければならない。

3.2.1.5

運転特性

3.2.1.5.1

運転姿勢及び条件  エンジンは,図 に示される非斜線部の区域では,満足な連続運転が,斜

線の区域では,少なくとも 30 秒間の運転ができなければならない。エンジンは,負の “g” の条件で少な

くとも 60 秒間,ゼロ “g” の条件で少なくとも 30 秒間満足に作動しなければならない。エンジンは,

図 9

の非斜線部の区域内で示されるどのような姿勢でも,

始動,

停止及び格納 (stowed) できなければならない。

エンジンの姿勢の変化を必要とする垂直又は短距離離着陸機 (V/STOL) に適用されるエンジンについて

は,始動と停止の姿勢限界は,機首上げ 105°以上,機首下げ 20°以上及び両側にそれぞれ 30°以上でな

ければならない。

3.2.1.5.2

始動  3.7.9(始動系統)を参照。

3.2.1.5.3

停止  エンジンの停止(燃焼の流れの停止)は,0.5 秒未満の単独の出力レバーの操作で,達成

されなければならない。

また,どのような運転状態からでも,この方法でエンジンを停止できなければならない。スラスト増強

装置の停止は,出力レバーを,スラスト増強範囲以外のどの位置においても,達成されなければならず,

しかも,好ましくないスラストの変動を伴ってはならない。前述の方法での燃料供給の遮断から,又はエ

ンジン入口接続部への燃料供給の遮断から,エンジンのどのような運転状態中にも,エンジンに対する損

傷が発生してはならない。エンジンの正規の停止装置が,機械式以外の系統を含む場合には,完成エンジ

ンへの燃料の流れをすべて遮断するために,完全に機械式の非常装置を付加的に備えなければならない。

仕様書には正規の停止方法を,また,該当するときには,非常装置を示さなければならない。

3.2.1.5.4

アイドル  出力レバーをアイドル位置におき,客用抽気又は抽出動力がないとき,使用機関が

特に規定しない限り,スラストは,3 048m (10 000ft) まで,標準日状態で得られる中間スラストの 5%を

超えてはならない。海面上と高度 3 048m (10 000ft)  の間の,アイドルスラスト及び回転速度の温度による

変化を示す曲線を,エンジン仕様書に示さなければならない。高度 3 048m (10 000ft)  と絶対高度の間のア

イドルスラストは,性能曲線で示さなければならない。エンジンに付加的な,低アイドル出力設定を装備

するときには,その達成方法,スラストレベル,対応する回転速度及びアイドルスラストを回復するのに

要する時間について,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.5.5

安定性  定常運転状態では,全運転範囲にわたって,エンジンスラストの変動は,アイドルと

最大連続スラストの状態の間では,最大連続スラストの±1.0%又はその出力レバー位置と運転状態で得ら

れるスラストの±5%のうち,

いずれか小さい方を超えてはならない。

最大連続スラスト以上の運転中には,

変動は,その状態で得られるスラストの±1.0%を超えてはならない。定常運転状態では,分離された周波

数変動の間の時間は,5 秒以上でなければならない。抽気系統の作動中の安定性に関する追加の要求事項

については,3.1.2.11 参照。


13

W 4601-1996

3.2.1.5.6

スラストの変移特性  出力レバーの位置を選ぶとき,どのような順序でも,また,どのような

速さで行っても,規定の変移(過渡)限界を超える過回転又は過昇温度がなく,しかもメインバーナ,ス

ラスト増強装置,ファン又は圧縮機の不安定があってはならない。出力レバーを 0.5 秒以下で動かしたと

きの,スラストの変化が 95%に達するまでに要する時間は,下記に規定する値を超えてはならない。規定

されるすべての変移は,標準日状態で,客用抽出動力,客用抽気又はエンジン防氷空気抽気はないが,す

べての他のエンジン系統の抽気要求事項(例えば,加速空気抽気,冷却空気抽気)はあるという条件に基

づかなければならない。規定した変移をそれぞれ完了して安定した運転に達するまでに要する全時間は,

記述した時間に 10 秒を加えた時間でなければならない。安定した運転は,3.2.1.5.5 に定義するとおりでな

ければならない。

(a)

アイドルから,利用可能な中間スラストまでは,指示対気速度 278km/h (150kt)  までは 5 秒,海面上

から 3 048m (10 000ft)  までの指示対気速度 278km/h (150kt)  を超えては 4 秒。

(b)

アイドルから利用可能な中間スラストまでは,3 048m (10 000ft)  から絶対高度まで 12 秒。

(c)

アイドルから利用可能な最大逆スラストまでは,海面上から 3 048m (10 000ft) まで指示対気速度

278km/h (150kt)

までで 5 秒。

(d)

アイドルから利用可能な最大スラストまでは,海面上から 3 048m (10 000ft)  まで 7 秒。

(e)

中間スラストの 30%から利用可能な中間スラストまでは,海面上から 3 048m (10 000ft)  まで,指示

対気速度 278km/h (150kt)  以下のときは 4 秒。

(f)

最大スラストから利用可能な最大逆スラストまでは,すべての運転条件で 2 秒。

(g)

最大逆スラストから利用可能な中間スラストまでは,すべての運転条件で 2 秒。

(h)

最大スラストから利用可能な中間スラストまでは,すべての運転条件で 2 秒。

(i)

中間スラストから利用可能な最大スラストまでは,すべての運転条件で 2 秒。

(j)

中間スラストから利用可能なアイドルスラストまでは,指示対気速度が最小限 278km/h (150kt)  で,

海面上から 3 048m (10 000ft)  まで 5 秒。

(k)

 20

%の中間スラストから 30%中間スラストまで,及び 20%中間スラストから 10%中間スラストま

では,海面上標準状態で 278km/h (150kt)  以下のときは 0.5 秒。出力レバーの操作は,対応する定常

状態変化を得るために要する操作の 125%を超えてはならない。

アイドルと中間スラストの 10,20,30,40,50%から中間スラストと最大スラストまでのスラスト対時

間の関係は,標準大気状態で,海面上から高度 3 048m (10 000ft)  まで,

図 10 に示すように,エンジン仕

様書に示さなければならない。

スラスト変移時間は,次の単独又はどのような組合せの条件でも,上記(a)から(k)の条件に対する時間の

125

%を超えてはならない。全運転範囲にわたる非標準日状態,客用抽出動力,客用抽気,エンジン防氷空

気抽気,インレットディストーション,着氷環境。

3.2.1.5.7

エンジン風車能力  エンジンは,エンジンに損傷がなく,滑油の過大な消耗がなく,また,空

中再始動と運転の能力に影響することなく,全運転範囲にわたって,少なくとも 5 時間の連続風車運転が

できなければならない。次の内容は,エンジン仕様書に規定しなければならない。

(a)

ロータの風車回転速度と風車抗力との飛行マッハ数に対する関係を示す曲線を含む風車運転の限界。

(b)

風車運転中の時間当たりの滑油消費量。

(c)

滑油供給を停止後の風車運転の継続時間と限界。

(d)

風車運転中に得られる客用抽出動力と客用抽気。


14

W 4601-1996

3.2.1.5.8

逆スラスト  エンジンは,逆スラスト状態で,エンジン仕様書に規定する限界まで満足に作動

しなければならない。スラストリバーサ系統は,すべてのエンジン出力設定において,更にリバーサ作動

領域にわたって,完全に格納した位置から完全に展開した位置まで 2 秒以内で,完全に展開した位置から

完全に格納した位置まで 5 秒以内で作動ができなければならない。スラストリバーサの作動範囲は,エン

ジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.2

物理的特性

3.2.2.1

完成エンジンの乾燥質量  完成エンジンの乾燥質量は,エンジン仕様書に規定した質量を超えて

はならない。仕様書の値が,公式の認定試験エンジンの乾燥質量を 2%以上超えるときは,仕様書の値は,

試験エンジンの乾燥質量の 1.5%以下に減らすように改めなければならない。

エンジンに取り付けられてい

ないエンジン構成部品の質量は表にし,エンジン乾燥質量に含めなければならない。

3.2.2.2

残留液体質量  エンジンの主ロータ軸が水平面に対してただ一つの規定された姿勢にある状態

で運転を終了し,ドレン排出後,エンジン内に残留する液体の質量を,エンジン仕様書に規定しなければ

ならない。

3.2.3

信頼性  エンジンの故障モード影響解析は,PFRT 前に実施し,QT 前に必要ならば修正しなけれ

ばならない。解析には,各故障モードに割り当てた故障頻度の予想値を示さなければならない。すべての

認定試験の完了後に,受注者は,全開発及び認定活動に基づき,また,受注者の信頼性プログラムによっ

て集めたデータに基づく信頼性報告書を作成しなければならない。使用機関が要求するときには,エンジ

ン仕様書に規定され,

表 に示すように表された信頼性数値の実証がなされなければならない。信頼性数

値は,6.に規定する故障の定義と除外項目に従うものでなければならない。

3.2.4

整備性  エンジンは,補給と整備が容易にできるように,設計しなければならない。エンジンは,

規定の手順及び人員・資材に従って整備を実施するとき,規定の時間内に作動できる状態や使用に適する

状態に維持できるか,又は修復できるような設計特性をもたなければならない。

3.2.4.1

数値上の要求事項  使用機関が要求する場合には,整備性値は,エンジン仕様書に規定し,表 7

に示すように表さなければならない。これらの値は,系統整備性の配分から定め,更に,計画する体系の

使用率と任務の頻度 (mission mix) に基づかなければならない。初期整備性値は,エンジン仕様書に規定

し,

表 に示すように表さなければならない。使用機関が要求する場合には,これらの値は,使用機関が

指定した条件の下で実証しなければならない。整備性を数量的に評価するに当たり主要なパラメータは,

エンジン飛行時間当たりの整備工数 (MMH/FH) でなければならない。整備性に適用する他の用語及び意

味は,MIL-STD-721 による。

3.2.4.1.1

適用する整備作業  次の整備,修理及び検査の各作業は,整備指数 (index) を決定するときに

適用しなければならない。

(a)

飛行前と飛行後の検査

(b)

高温部分の検査を含む定期的検査

(c)

故障探究 (trouble shooting) ,調整,修理及び(又は)取外し・交換に要する時間を含め,不定期の

組織的,中間水準の整備

(d)

すべてのエンジンのオーバホールと構成部品の修理

(e)

エンジンの整備補給

3.2.4.1.2

除外する整備作業  次の整備と修理の作業は,整備指数計算からは除外しなければならない。

(a)

エンジン性能の向上やその他の仕様書の要求事項の変更に関係する場合の,技術指令や期限付技術

指令に従う作業。


15

W 4601-1996

(b)

エンジンの整備を実施するため,エンジン以外の支給機器の取外しと装着(例えば,受注者による

エンジンやナセルに取り付けるアクセスパネルや部品)

(c)

エンジン燃料の補給

(d)

航空機におけるエンジン取外しや交換,ただし,次の理由によって要求される場合を除く。

(1)

エンジン自体に責任があるエンジンの故障や機能不良。

(2)

エンジンの設計上必要な点火器,燃料フィルタ,滑油フィルタなどのような品目に日常の整備を

実施するための取外し。

(e)

エンジンに起因しない故障や不具合から起こるすべての整備作業

(f)

地上器材の配置や航空機の移動に必要なすべての整備作業

3.2.4.2

整備,検査及び修理の周期  オーバホールを含む整備,検査及び修理の推定周期を,これらの作

業を実施するに要する工数で推定した時間とともに,エンジン仕様書に規定しなければならない。3.5.1.1

に示されるモジュール及び燃料ポンプ,燃料制御装置,点火プラグなどのような個々に取外しができ,エ

ンジンの外側に取り付けられているすべての構成部品について,取外しと交換に要する時間を表にして,

エンジン仕様書に示さなければならない。

3.2.5

環境条件

3.2.5.1

周囲温度条件  完全なエンジンは,次の条件で,エンジン仕様書に規定する燃料及び滑油を使用

して満足に始動し,作動しなければならない。

(a)

海面上から始動範囲に対して規定された最高高度まで,71℃ (160

°F)  の周囲温度に 10 時間さらし

た後,93℃ (200

°F)  の燃料と 52℃ (125°F)  の入口空気を供給するとき。

また,海面上から始動範囲に対して規定した最高高度まで,135℃ (275

°F)  の周囲温度に 15 分間

さらした後,93℃ (200

°F)  の燃料と 52℃ (125°F)  の入口空気を供給するとき,満足に再始動し,作

動すること。

(b)

海面上から始動範囲に対して規定された最高高度まで,−54℃  (−65

°F)  の周囲温度に 10 時間さら

した後,滑油,空気及び MIL-T-5624 のグレード JP-4 燃料をすべて−54℃  (−65

°F)  で供給すると

き。

また,MIL-T-5624 でグレード JP-4 以外の燃料が指定されている場合は,エンジンは,海面上か

ら始動範囲に対して規定された最高高度まで,10 時間さらした後,空気と規定の燃料をすべて

12mm

2

/s (12cSt)

以上の燃料動粘度に対応する温度で供給するとき,満足に始動し,作動しなければ

ならない。

(c)

  MIL-STD-210

の表 2 及び表 3 に示す周囲空気温度範囲全域にわたり,及びエンジン仕様書に規定す

る対気速度と高度運転限界全域にわたり,MIL-T-5624 の燃料を,グレード JP-4 の場合は−54℃  (−

65

°F)  又は MIL-T-5624 の他のグレードに対しては 12mm

2

/s (12cSt)

の燃料動粘度に対応する温度か

らエンジン仕様書に規定された燃料入口最高温度までの間のあらゆる温度で供給するとき。

3.2.5.2

着氷条件  エンジンは,図 11 及び図 12 に示す気象条件で満足に作動しなければならない。この

とき,50%最大連続出力設定値以上のすべての運転条件で,利用できるスラストの 5%以下の全損失と燃

料消費量の全増加量が 5%以下であること。50%未満の最大連続出力における運転は,50%最大連続出力

を超える要求スラストの 95%を,規定する加速時間内で達成することができるようなものでなければなら

ない。規定する環境条件で,上記の性能を満足するために,防氷系統が要求されるときには,防氷系統は,

3.7.1

に従わなければならない。


16

W 4601-1996

3.2.5.3

耐かび性  エンジン構成部品は,耐かび性がなければならないが,これは,かびに対して抵抗力

がある非滋養材料の選定によって,また,構成部品の認定を満足に完遂することによって判定する。

3.2.5.4

耐湿性  エンジン構成部品は,長期間 95%以上の高い湿度の状態に置く場合,機能不良と劣下に

耐えなければならない。

これは,

構成部品の認定を満足に完遂することによって実証しなければならない。

3.2.5.5

耐腐食性  塩分を含んだ空気の中で運転するとき,又はそれにさらされたり,95%以上の湿度の

状態にさらされたりした後にも,エンジンは,満足に性能を発揮し,更に,耐久性と耐用寿命が不利な影

響を受けてはならない。

また,選定した材料と表面被覆について,エンジンの運転,取扱い及び貯蔵におけるエンジンの最終使

用を適切に模擬したエンジンの環境条件で,腐食試験を行わなければならない。この試験の報告書は,PFRT

の開始前に,使用機関に提出しなければならない。受注者は,材料試験の開始前に,試験計画案を提出し

なければならない。

3.2.5.6

異物の吸込み能力

3.2.5.6.1

鳥の吸込み  使用機関が要求するときには,エンジンは,次に規定するような鳥の速度とエン

ジン回転速度で,規定の羽数と大きさの異なる鳥を吸い込むことができなければならない。(a)(b)及び(c)

の条件で,

エンジン部品に損傷が起きてもよいが,

エンジンを停止させるような故障を生じてはならない。

エンジンフレームアウトは起こらないものとし,(a)(b)(c)の各項に対してエンジン仕様書に規定する時

間内に,鳥吸込み前の運転条件に,エンジンが回復しなければならない。(d)項に対しては,航空機に損傷

をもたらすようなエンジン故障が生じてはならない。

(a)

質量 56.7∼113.4g (2∼4oz)  の鳥(一度に最大 16 羽)と質量 0.91kg (2lb)  の鳥(一度に 1 羽)が,離

陸飛行速度に等しい鳥の速度で最大定格回転速度にあるエンジンに吸い込まれる。

(b)

質量 56.7∼113.4g (2∼4oz)  の鳥(一度に最大 16 羽)と質量 0.91kg (2lb)  の鳥(一度に 1 羽)が,巡

航飛行速度に等しい鳥の速度で,最大連続回転速度にあるエンジンに吸い込まれる。

(c)

質量 56.7∼113.4g (2∼4oz)  の鳥(一度に最大 16 羽)と質量 0.91kg (2lb)  の鳥(一度に 1 羽)が,降

下飛行速度に等しい鳥の速度で,対応するエンジン回転速度にあるエンジンに吸い込まれる。

(d)

質量 1.8kg (4lb)  の鳥が,最も不利な飛行速度に等しい鳥の速度で,最大定格回転速度にあるエンジ

ンに吸い込まれる。

(e)

吸い込まれる鳥の羽数は,ファンや圧縮機の前面面積に基づかなければならない。吸い込まれる鳥

の羽数は,各 323cm

2

 (50in

2

)

又はその 50%を超える広さの各部分に対して 56.7g (2oz) 又は 113.4g

(4oz)

の鳥 1 羽,各 1 452cm

2

 (225in

2

)

又はその 50%を超える広さの各部分に対して 0.91kg (2lb)  の

鳥 1 羽,及び各 2 581cm

2

 (400in

2

)

又はその 50%を超える広さの各部分に対して 1.8kg (4lb) の鳥 1

羽でなければならない。鳥は,不規則な間隔で吸い込まれ,エンジン入口面積の上に不規則に分散

されなければならない。もし,上記の寸法の鳥のいずれかが入口を通り抜けることができないとき

は,その部分の要求事項は,適用してはならない。

3.2.5.6.2

異物による損傷 (FOD)   ファンと圧縮機の動翼と静翼が応力集中係数 (Kt) 3 以上の損傷を与

える異物を吸い込んだ後,エンジンは,1 検査間隔の 2 倍又はエンジン仕様書に規定する時間の間,作動

しなければならない。


17

W 4601-1996

3.2.5.6.3

氷の吸込み  フレームアウト,出力回復に対する長時間の消費,その運転状態でのスラストの

10%

を超える持続的出力損失又は破滅的若しくは危険なエンジン故障を起こすことなしに,エンジンは,

ひょうやエンジン入口部分に付着するどのような氷も吸込みができなければならない。出力回復に要する

時間は,エンジン仕様書に規定しなければならない。使用機関が要求するときには,エンジンは,また,

氷板を吸い込むことができ,しかも 4.6.4.6(b)の氷板の吸込み試験を行わなければならない。

3.2.5.6.4

砂の吸込み  空気 1m

3

当たり砂 53mg(空気 1ft

3

当たり砂 3.3×10

6

lb

)までの濃度の砂とダスト

を含有する空気をもつ地上環境条件で,エンジンは,すべての構成部品を含めて,その運転範囲全域にわ

たり満足に作動しなければならない。砂とダストの規定の濃度状態で,全部で 10 時間,5%以下のスラス

トの損失,5%以下の燃料消費量の増加で,しかもスラストを変移する能力に被害がなく,エンジンとその

構成部品は,最大連続スラストで運転できなければならない。規定の砂の含有量は,次のような全粒子寸

法の分布をもつ粉砕した石英から構成されなければならない。

粒子の大きさ

µm

量,指定した大きさより細か

い粒子の質量  %

1 000

100

900 98-99

600 93-97

400 82-86

200 46-50

125 18-22

75 3-7

3.2.5.6.5

大気中の水滴の吸込み  エンジンは,高度 13 716m (45 000ft)  まで,アイドルから最大スラスト

までの出力設定で,全運転範囲にわたり,全空気流質量の 5.0%までの水(液体及び蒸気)でその液水の

50

%が入口面積の

3

1

に等しい部分を通ってエンジン入口に入る状態で,満足に作動しなければならない。

3.2.5.7

騒音レベル  エンジンは,すべての運転条件で,エンジンの全騒音の分離周波数 (discrete

frequency)

及び広帯域騒音成分が最小になるように作動しなければならない。

表 の定格における近地点

と遠地点のエンジン騒音レベルを,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.5.8

排気ガス汚染

3.2.5.8.1

排気煙放出  エンジンは,エンジンに対して規定されている主燃料を使用するとき,エンジン

運転範囲全域にわたり,いかなる出力設定でも,目に見える排煙を放出してはならない。

図 13 から決定さ

れるように,ARP 1179 の方法によって測定し,さらに,体積で 15%の芳香族炭化水素を含有する

MIL-T-5624

のグレード JP-4 の燃料を用いるときの最大許容煙放出レベルを,エンジン仕様書に規定しな

ければならない。要求される芳香族炭化水素含有量に達するため,トルエンを燃料に加えてもよい。

3.2.5.8.2

目に見えない排気の放出質量  最大,中間及びアイドルの各出力設定で,燃料 1kg 中の炭化水

素,一酸化炭素及び酸化窒素 (NO

x

)

の各放出量を kg で,エンジン仕様書に規定しなければならない。エ

ンジンが放出する排気の成分の量を測定する手順は,ARP 1256 に規定するとおりでなければならない。炭

化水素は,メタンを,また,酸化窒素は,二酸化窒素を基礎に規定しなければならない。

3.2.6

輸送性  エンジンは,使用機関が指定する標準航空エンジン用輸送トレーラ上での移動が適切で,

しかも,それと両立できなければならない。エンジンの寸法と質量が,標準の取扱器材の能力を超えてい

ないときには,上記の要求事項を適用しなければならない。適切な定置式及び可動式地上設備の上に取り

付けることができ,また,それを使用できるように,適切な地上取扱用パッドなどを備えなければならな

い。


18

W 4601-1996

3.3

設計及び製造

3.3.1

材料,工程及び締結部品

3.3.1.1

材料及び工程  材料と工程に関するエンジンの製造業者の文書が使用されるときには,その文書

は,PFRT の開始前に,使用機関によって審査されなければならない。そして個別に不承認にならない限

り,文書は,PFRT と QT の承認によって発行許可される。発注者のものでない文書の使用は,発注者の検

査権を放棄することになってはならない。発注者は,製造のいかなる工程とすべての工程を検査する権利

を保有する。マグネシウムの使用には,使用機関の個別使用承認を必要とする。エンジンの作動中に燃料

か滑油に直接接触するエンジン部品には,銅又はカドミウムを使用してはならない。MIL-STD-889JIS W 

2015

(航空機における異種金属の取扱方法)

]で定義する異種金属は,相互に直接接触させて使用してはな

らない。

3.3.1.1.1

接着材及びシーラント  いかなる場所でも,接着材又はシーラントコンパウンドの使用は,エ

ンジンの設計に取り入れる前に,使用機関の承認を得,しかも,少なくとも MS 18069 (ASG)  に記載する

制限によって管理しなければならない。

3.3.1.1.2

保管寿命  すべての弾性部品は,無期限の保管寿命をもつ材料で製造しなければならない。

3.3.1.1.3

O

リングシール及びパッキング  エンジンに使用するすべての非金属 “O” リングとパッキン

グは,専門業者供給構成部品を含み,MS 33666 と MS 33668 に示す該当寸法と許容差に従わなければなら

ない。燃料や滑油にさらされる材料は,燃料又は滑油系統の繰返し温度の全範囲にわたり,このような液

体と両立できなければならない。このとき,適正な機能を害するか又は機能を害さないようにするため,

交換を必要とする膨張,収縮その他の形式の材料の劣化が起こってはならない。

3.3.1.1.4

腐食防止  完成エンジンの設計と製造に用いる材料,被覆及び工程は,耐腐食性でなければな

らない。エンジン受注者は,エンジン仕様書にすべての防食処理を明確に示さなければならない。

3.3.1.1.5

非金属ホース  非金属ホースを使用するときには,MIL-H-27267 に従わなければならない。ホ

ースアセンブリは,MIL-H-25579 の規定に適合しなければならない。可燃性液体を送るホースは,3.3.6.1

の規定に適合しなければならない。

3.3.1.2

締結部品

3.3.1.2.1

戻り止めボルト  MIL-B-23964 による戻り止めボルトは,制御系統の継手や単一の取付部,及

びボルトの喪失が飛行の安全性又はエンジンを制御する能力に影響する箇所に使用しなければならない。

戻り止めボルトは,MS 33602 に従って使用しなければならない。

3.3.1.2.2

締結部品の固定  安全線(からげ線)又はコッタピンで締結部品を固定する場合には,MS 33540

に示す要領に従わなければならない。MS 33588 に規定する戻り止めナットの一般的設計と使用制限を,適

用しなければならない。

3.3.1.2.3

クランプ  316℃ (600

°F)  未満で使用する単一ループの管支持クランプは,MS 9825 又は MS 

9826

から選ばなければならない。

3.3.1.2.4

ねじの十字穴  すべてのねじの十字穴は,MS 33750MS 33781 又は MS 9006 の規定に適合す

るものとする。

3.3.1.2.5

ヘリカルコイルインサートの取付け  ヘリカルコイルインサートとともに使用する意図がある

母材のねじの寸法と許容差は,MS 33537 の規定に適合しなければならない。

3.3.1.2.6

ねじ  すべてのねじは,MIL-S-8879 のクラス 3A 又は 3B の要求事項に適合しなければならな

い。次のものに使用するねじに対しては,MIL-S-7742 の使用は,随意とする。

(a)

電気接続部


19

W 4601-1996

(b)

直径が 3.5mm (0.138in)  以下のねじ

(c)

植込みボルトの取付端部又はインサートのおねじ及びそれらのはめあいタップ穴のような用途に,

MIL-S-7742

のねじが適当な場合の,締りばめなどの適用。

ねじの形だけが異なる同一形状の部品は,認めない。

3.3.1.2.7

締結部品の外側駆動  ソケットレンチは,12 ポイントねじ締結部品に対しては SAE AS 870,ス

プライン駆動に対しては MS 33787

及び六角頭ねじ締結部品に対しては該当する MS 図面の規定に適合し

なければならない。

3.3.2

電 磁 干 渉  (EMI)   す べて の エ ン ジ ン の 電 気 ・ 電 子 の 系 統 と 構 成 部 品 は , MIL-STD-461 

MIL-STD-462

の機器クラス 1D の規定に適合しなければならない。エンジンは,MIL-STD-461 のクラス

1D

に規定する限界を超えて干渉を起こしたり,妨害に敏感であったりしてはならない。MIL-STD-461 

よって要求される EMI 制御計画と EMI 又は EMC(電磁制御)試験計画は,PFRT と QT の前に作成しなけ

ればならない。

3.3.3

銘板及び製品の表示

3.3.3.1

製品の識別及び表示  機器,組立品,モジュール及び部品は,MIL-STD-130 に従って,識別の表

示をしなければならない。エンジンデータ板には,

(a)

製造業者の名称

(b)

エンジンの一連番号  (MIL-STD-1559)

(c)

注文番号又は契約番号

(d)

エンジンの型式名称  (MIL-STD-879)

を含めなければならない。

使用サイクルや使用時間に限度がある部品には,一連番号を付け,さらに,サイクル回数と各オーバホ

ール時期の間の累積時間を表示するために指定したスペースを設けなければならない。

3.3.3.2

図面改定表示  識別表示に加えて,部品の製造図面の改定符号を,すべての部品に表示しなけれ

ばならない。

3.3.4

ワークマンシップ  ワークマンシップは,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.3.5

互換性  同じ製造業者部品番号をもつすべての部品は,装着と性能に関して相互に,機能的及び寸

法的に,互換性と置換性がなければならない。ただし,必要な場合には,組合せ部品又は選択はめあいの

使用を認める。組合せ部品と選択はめあいの使用は,最少にとどめなければならない。このような組合せ

部品や選択はめあい部品は,識別し,しかも PFRT と QT の前に,一覧表を使用機関に提出しなければな

らない。

3.3.6

安全性  使用機関が要求するときには,MIL-STD-882 の安全性基準と考慮事項を,エンジンの安

全性設計の特徴を設定するのに使用する。

3.3.6.1

可燃性流体系統  可燃性流体を導くすべての外部管路,継手及び構成部品は,第二種耐火性[1

090

℃ (2 000

°F)  で 5 分間]でなければならない。ただし,滑油系統と油圧系統の構成部品は,第一種耐火

性[1 090℃ (2 000

°F)  で 15 分間]でなければならない。上述の条件にさらされた状態で,管路と構成部

品は,エンジンの全運転範囲中の最悪な場合の流れ状態(すなわち,最低流量,最高圧力及び最高温度)

で,流体を導くことができなければならない。

3.3.6.2

防火壁の取付け  使用機関が要求するときには,防火壁の取付けのため,エンジンに準備しなけ

ればならない。取付けの種類,位置,寸法及び取付面における許容荷重を,エンジン形態及び外形図に示

さなければならない。


20

W 4601-1996

3.3.6.3

防爆性  すべての電気構成部品(点火プラグ電極を除く。)は,機器を取り巻くいかなる爆発性

混合物にも点火するものであってはならない。

3.3.6.4

流体の漏れ  エンジンのいかなる部分からも,漏れがあってはならない。ただし,この目的のた

めに設けられたドレンにおける漏れを除く。3.3.6.5 に規定する場合を除き,すべてのドレンからの漏れの

量は,アフタバーナ付きエンジンに対して 5ml/min を超えてはならない。

3.3.6.5

可燃性流体ドレン  各始動の失敗の後に燃焼区域から可燃性流体を自動的に取り除くため,及び

エンジンを水平位置,15 度機首上げ又は 20 度機首下げのいずれかの状態でエンジン停止後,余分の可燃

性流体が燃焼区域に入ることを防止するための手段を講じなければならない。

また,エンジンの運転中又は運転後に,可燃性流体が集積する可能性があるすべての通気区域及び他の

ポケット又は区画室は排出のために,手段を講じなければならない。使用機関が要求するときには,垂直

位置にあるエンジンに対して,これらの同じ手段を講じなければならない。正規の運転から,及び該当す

るときはスラスト増強運転からエンジンを停止した後,エンジンのドレンから排出する可燃性流体の最大

許容量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.3.6.6

地上安全性  該当するときには,高電圧点火系統とその他の高電圧電源,放射性装置及び爆発性

装置に対して,警告掲示板を設けなければならない。

3.3.6.7

残存性及びぜい弱性  (削除)

3.3.7

人間工学  人間工学の理論,判断基準及び手順は,適用される契約要求事項に従って,エンジンの

設計に適用させなければならない。

3.3.8

構造性能

3.3.8.1

構造寿命  エンジンは,系統寿命要求事項と矛盾しない構造寿命をもつように,修理を考慮して

設計しなければならない。受注者は,エンジン仕様書に,構造寿命を時間で規定しなければならない。運

用上の要求事項が定められているときには,構造寿命は,使用機関が規定する適当な使用率に基づかなけ

ればならない。系統運用上の要求事項が定められないときには,構造寿命は,

表 に規定する要求事項と

使用率に対する出力設定の分布,さらに,

図 14 に示す周囲温度分布に対する出力設定の分布に基づかなけ

ればならない。受注者は,仕様書に,次のような消耗部品に対して,時間で表した部品寿命を含めなけれ

ばならない。

点火プラグ

O

リング

ガスケットとシール

フィルタエレメント

3.3.8.2

高サイクル疲労寿命  エンジンのすべての部品は,少なくとも次の高サイクル疲労寿命をもって

いなければならない。

(a)

鋼製部品

10

7

サイクル

(b)

非鉄合金部品

3

×10

7

サイクル

3.3.8.3

低サイクル疲労寿命  エンジンの最小運用低サイクル疲労 (LCF) 寿命は,表 に規定するとお

りでなければならない。LCF 寿命要求事項は,エンジンのすべての部品に適用し,しかも圧力と温度のサ

イクルの影響のいずれも含む。構成部品と完全なエンジンの両方に対して,LCF 試験を実施しなければな

らない。LCF 試験を必要とするすべての構成部品は,LCF 寿命に対して

表 に規定する寿命値の 2 倍まで

試験しなければならない。構成部品の修理は,1 寿命の完了したとき許可する。さらに,1LCF 寿命に相当

する完全なエンジンの試験を実施しなければならない。


21

W 4601-1996

3.8.8.4

エンジンの圧力の釣合い  エンジンの運転範囲の全域にわたるすべての出力設定において,軸受

に滑り損傷を生じさせないため,エンジンの圧力釣合い系統には,十分な 1 方向のスラスト荷重を与えな

ければならない。荷重の解析を行い,これらの荷重を立証する報告書を,PFRT 前に使用機関に提出しな

ければならない。

3.3.8.5

エンジン圧力容器及びケースの設計  各エンジンケースとガス圧力が加わるエンジンの各構成

部品は,破壊することなく,その最大作動圧力の少なくとも 2 倍の圧力に耐えなければならない。

3.3.8.6

強度及び寿命解析  強度と寿命の解析を実施し,更に PFRT 前に単に情報として報告書を提出し,

QT

前に最新のものに改めなければならない。応力解析には,エンジンケース,ディスク,ベーン,ブレ

ード,マウント,燃焼器ライナ,軸受支持部,歯車,ブラケット及び配管などの品目を含めなければなら

ない。報告書には,エンジンの LCF 試験に対して必要な LCF 試験の使用率と使用時間を設定した根拠を

示さなければならない。

3.3.8.7

設計材料特性  材料の許容強度及び寿命特性は,負の 3

σ

値に基づかなければならない。材料を選

ぶときには,破壊じん性  (Fracture toughness properties)  を考慮しなければならない。

3.3.8.8

クリープ  エンジンの静止部品と回転部品は,表 に規定する運転条件と寿命時間に対して,エ

ンジンの運転ができない程度に,クリープしてはならない。

また,クリープは,エンジンの分解と再組立に影響を与えてはならない。認定の耐久試験と LCF 試験で

運転時間とともに変化する部品は,その伸び率  (rate of part growth)  を,エンジン仕様書に示さなければな

らない。

3.3.8.9

コンテインメント及びロータ構造の完全性

3.3.8.9.1

コンテインメント  エンジンは,最大許容変移ロータ回転速度で,プラットフォーム上の翼面

フィレットで,ファン,圧縮機又はタービンの動翼断面が破損した場合に,破損翼を外部に出してはなら

ない。さらに,エンジンは,単独の翼の破損によって損傷し,放出されたすべての部品をエンジンの外部

に出してはならない。エンジンは,大事故を防止するため,次の各項を含め,フェールセーフ設計を取り

入れなければならない。

(a)

ファン,圧縮機及びタービンのディスクは,過回転速度又は過昇温度という機能不良のときに,ま

ず翼を破損させることによって,保護しなければならない。

(b)

主ロータ軸軸受又は潤滑系統の故障が,軸の分離又は連結の外れを起こしてはならない。

(c)

軸の連結が外れた場合に,タービンの過回軸速度を防止するため,タービンを止めるように,ター

ビン動翼は,タービンノズル翼に接触しなければならない。

(d)

回転質量を支持する構造は,ロータ軸受の故障の場合に,エンジン回転部品の全体の偏心を生じる

確率が最小になるように設計しなければならない。

3.3.8.9.2

ロータの完全性  ロータの構造の完全性に必要な余裕を与えるため,ロータは,次の異常な状

態に耐えるに十分な強度をもたなければならない。

(a)

  5

分間,最大許容測定ガス温度で,最大許容定常回転速度の 115%のロータ回転速度。

(b)

  5

分間,最大許容測定ガス温度を少なくとも 42℃ (75

°F)  超えた測定ガス温度で,最大許容定常ロ

ータ回転速度。

3.3.8.9.3

ディスク破断回転速度  ディスク設計破断回転速度は,最大許容定常回転速度の 122%以上で

なければならない。


22

W 4601-1996

3.3.8.10

振動  エンジンの運転範囲全域にわたり,定常及び変移(過渡)運転を含むすべてのエンジン回

転速度とスラストで,エンジンには,破壊的な振動があってはならない。エンジンの機械的振動限界は,

3.2.1.4.10

に規定しなければならない。規定の振動数範囲外のエンジンによって起こる振動は,エンジンの

運転に有害であってはならない。この限界は,次の動力学的特性をもつ懸架装置に取り付けたエンジンに

基づかなければならない。すなわち,エンジンを取り付けた懸架装置の固有振動数は,ローマの残留不釣

合いによって誘発される可能性があるすべてのモードの振動で,ロータのアイドル回転速度の 80%以下で

なければならない。加速度のスペクトル図は,運転範囲(明確に定めなければならない。

)における最高の

振動水準とエンジンの各定格点で,作成しなければならない。これらのスペクトル図は,エンジンの振動

監視のためエンジン形態及び外形図に示す各加速度計から得られるべきものである。エンジンの重要な構

成部品は,各スペクトル図で識別しなければならない。各スペクトル図は,5Hz∼10kHz の周波数範囲に

わたり,また,ピーク加速度でピーク加速度データを示さなければならない。

3.3.8.10.1

危険回転速度 (Critical Speeds)   最大運転速度を超える基本危険回転速度をもつ設計に対して

は,最大運転速度と危険速度との間に,少なくとも 20%の余裕がなければならない。もし,エンジンがア

イドル以下の危険回転速度を通過するならば,適切なダンピングの手段を講じなければならない。

3.3.8.10.2

振動及び応力解析  ファン,圧縮機,タービン軸及び高い振動と応力が生じるその他の構成部

品を含めて,ファン,圧縮機及びタービンの段のブレード,ディスク及びベーンの設計には,振動と応力

の解析を行わなければならない。振動応力の分布と複合モードを含む種々の振動モードとを求めなければ

ならない。危険回転速度,励振周波数及び振動応力分布と節の配置に対する応力値を決定し,さらに,そ

れらを強度と寿命の解析と関連付けなければならない。報告書には,実際のエンジン運転の結果,又はそ

れができないときには,構成部品の試験と解析研究による結果を含めなければならない。データの解析に

は,ケーシング,ブレード,ベーン,ディスク,軸,スペーサ,エンジンマウント,その他の計測された

部品の高応力部分の測定応力値と基準応力値を含めなければならない。使用したすべての解析方法に関す

る方程式と計算例を,報告書に含めなければならない。データには,エンジンの運転範囲全域にわたって,

振動が応力水準に及ぼす影響を示さなければならない。報告書には,各構成部品の設計に対して,修正グ

ッドマン線図とキャンベル線図を示さなければならない。主要な次数の励振と振動のモードを示す励振周

波数対ロータ回転速度のグラフには,測定応力と基準応力を示す点を図示しなければならない。すべての

危険回転速度の要約を報告書に示さなければならない。振動及び応力解析報告書は,PFRT 前に提出しな

ければならない。

3.3.9

設計管理

3.3.9.1

標準化  エンジンの設計や性能と妥協することなく,できる限り最大限に,標準化の原理,標準

の部品,材料,工程,治工具,部分系統及び構成部品を使用しなければならない。発注者,業界又は受注

者の標準として認められているか否かにかかわらず,すべての部品,材料及び工程は,ここに規定する認

定の一部として,その用途に対して認定しなければならない。既に発注者の目録にある品目は,その目的

に適当な場合には,

できる限り最大限に使用しなければならない。

類似の構成部品又は部品のばらつきは,

極力最少限にとどめなければならない。工業所有権がある設計は,最少限にとどめなければならない。生

産の経済性が標準化の目標と矛盾する場合には,後者(標準化)のグループを優先するか,又は使用機関

に,使用に適した構成部品を選択することを要求しなければならない。

3.3.9.1.1

設計規格  適用できる場合には,MS と AND の設計規格を使用しなければならない。


23

W 4601-1996

3.3.9.1.2

標準部品  航空エンジンに使用するため特別に開発された発注者の標準部品は,いかなる他の

発注者の標準部品よりも優先しなければならない。外形寸法又は認定品目表 (QPL) によって定まる一般

用標準部品を重要な箇所又は高強度を要する箇所に使用する場合には,それらは,専門業者又はエンジン

の製造業者の部品番号によって識別しなければならない。検査又は選定に基づくだけで,一般用標準部品

から得られる部品は,エンジン製造業者の部品番号によって識別し,さらに,すべての以前の識別表示を

取り除かなければならない。

3.3.9.2

部品表  PFRT か QT のいずれかを完了し,合格したエンジンの部品表は,使用機関に納入する

同じ種類と型の後続のいずれのエンジンの承認部品表も構成しなければならない。承認済みのエンジン部

品表に対する変更は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.3.9.3

構成部品及び部品の組立  構造的又は機能的に互換性がない機器,部品及び構成部品は,物理的

に互換性があってはならない。部品及び構成部品は,それらを後向きに,上下反対に,組立を逆に,又は

組立で間違った位置に取り付けることが物理的に不可能であるように設計しなければならない。相互に近

接して位置する接続部は,物理的に互換性がないようにしなければならない。

3.3.9.4

設計及び製造の変更

3.3.9.4.1

設計変更  承認されたエンジン部品表に記載の部品の設計又は材料には,何ら変更を行っては

ならない。ただし,このような変更が適用する契約要求事項に従うものであるときは,この限りではない。

3.3.9.4.2

専門業者又は製造工程の変更  認定試験に用いられる部品の専門業者,製造元又は製造工程の

変更は,次の手順に従わなければならない。代替の専門業者の製造元又は工程を認定するために立証試験

を要する部品,構成部品及び組立品の一覧表は,受注者が作成し,使用機関に提出しなければならない。

エンジン部品として認定するため,その能力を立証するに必要とされる個別試験を,明確に定めなければ

ならない。この一覧表には,選定した専門業者の構成部品の製造元と工程を含める。この一覧表は,その

完全さと試験の妥当性に関して,使用機関による審査と承認を受ける。その後,その立証一覧表にあるす

べての部品,構成部品及び組立品が,認定されている製造元と工程の規定に適合していること,及びそれ

らの製造元や工程の変更が有効に管理されていることを,受注者は,責任をもって保証しなければならな

い。受注者は,満足な代替の専門業者又は製造元や工程を,設定するための立証試験を実施することに責

任をもたなければならない。製造元とは,部品,構成部品又は組立品を生産する主たる物理的源泉という

意味である。個々の専門業者の他の工場へというような製造場所の変更は,製造元の変更とみなさなけれ

ばならない。

3.4

文書  提出すべき文書は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.5

後方補給

3.5.1

整備

3.5.1.1

モジュールの概念  使用機関が要求するときには,エンジンは,モジュールの概念を導入して,

主要なエンジン部分の交換を容易にするように,設計しなければならない。個々のモジュールは,エンジ

ン仕様書に一覧表にしなければならない。


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W 4601-1996

3.5.1.2

整備検査手法  エンジンは,非破壊検査法及び一般の試験・検査装置を最大限に使用できるよう

に設計しなければならない。エンジンのファン,圧縮機,燃焼器及びタービン部分に関しては,ボアスコ

ープ(又は同等の装置)で,装着エンジンの検査ができなければならない。ボアスコープ検査を容易にす

るため,ロータ系統をゆっくりと回転させることができるような確実な手段を講じなければならない。完

全に組み立てられたエンジンに対しては,放射線透過検査ができなければならない。上記の手法によって

可能な検査の範囲を,仕様書に記述しなければならない。装着エンジンに対してポートへの接近と放射線

検査のための接近が容易にできるように,検査ポートなどの位置を定めなければならない。接近範囲を含

む検査手段を,エンジン形態及び外形図に示さなければならない。

3.5.1.3

補給整備及び接近性  定例補給整備の,点検,調整又は頻繁な交換を要するエンジンの部品には,

他の部品や構成部品を取り外さず,また,エンジンを分解しないでも容易に接近できなければならない。

3.5.1.4

工具  エンジンは,補給整備,調整,組立及び分解に対して,標準工具(使用機関が指示するも

の)を最大限に使用するように,設計しなければならない。標準工具が使えない場合には,使用機関が示

すように,入手でき,しかも他の使用中の推進系統に用いている特殊工具及び試験装置を,可能な限り,

設計上指示しなければならない。新しい特殊工具,ジグ及び試験装置に対する要求は,絶対的に最少限に

とどめなければならない。

3.5.1.5

修理手順及び摩耗限界  QT の前に受注者は,運転後摩耗の限界と標準,及び部品修理手順を設

定しなければならない。

3.5.2

補給  補給体制は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.5.3

施設及び設備  現在の施設に対する変更又は新しい設備が必要な場合には,該当する契約要求事項

に従わなければならない。

3.6

要員及び訓練  要員と訓練に関する要求事項は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.7

主要構成部品の特性

3.7.1

防氷系統  エンジン防氷系統は,3.2.5.2 に規定する着氷条件で運転するとき,いかなるエンジン部

品にも,氷がたい積するのを防止しなければならない。3.2.5.2 に規定する 5%の性能の全損失には,着氷

環境における運転の影響を含めなければならない。無着氷環境中の防氷系統の作動の影響を,エンジン仕

様書に規定しなければならない。

3.7.1.1

防氷インタフェース

3.7.1.1.1

防氷系統の作動  系統の作動は,自動又は手動のいずれかによって行い,また,系統の作動に

対する信号要求事項を,エンジン仕様書に規定しなければならない。着氷検出器がエンジンから物理的に

離れて設けてあるときには,エンジン防氷系統を自動的に作動させる方法を要求しなければならない。系

統が自動的に作動するときには,手動のオーバライド装置を備えなければならない。防氷系統は,その防

氷系統が作動していることを示す信号を出さなければならない。

3.7.1.1.2

防氷入口ドーム又は補機部分  顧客が支給する入口ドーム又は補機部分を防氷するため,エン

ジンの正面に,防氷手段を講じなければならない。接続部の詳細は,エンジン形態及び外形図に示さなけ

ればならない。圧縮機抽気がこの目的に使用されるときは,それは,3.1.2.11 に規定する量の一部とみなさ

なければならない。


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W 4601-1996

3.7.1.2

防氷の種類  系統の記述を,エンジン仕様書に含めなければならない。防氷系統に故障が起こっ

たときには,この系統は,防氷モードを続けるか,又は防氷モードに戻らなければならない。運転範囲全

域にわたって防氷系統を連続作動させても,エンジンを損傷させてはならない。防氷抽気を使用するとき

のエンジンの加速性能は,3.2.1.5.6 に規定するとおりでなければならない。電気式防氷系統に対しては,

エンジンは,

その防氷系統とすべてのその他のエンジン電気系統との同時作動が可能でなければならない。

3.7.2

エンジン制御系統  エンジン制御系統には,燃料制御装置,可変面積ジェットノズル制御装置,圧

縮機抽気又は幾何形状制御装置,温度制御装置,アフタバーナ制御装置,入口案内翼制御装置及びエンジ

ンの適正で完全な自動又は手動制御に対し必要なその他の制御機器など,すべての制御機器を含めなけれ

ばならない。エンジン制御系統は,エンジンの完全な自動制御装置と使用機関が要求するときには,エン

ジンの手動制御装置を備えなければならない。自動と手動の系統とも,完全に自立していて,しかも機体

電気系統からの外部電源を必要としてはならない。運用中に必要と思われるすべての調整に対して,遠隔

操作装置が容易に取付けできるように,エンジン制御系統には,手段を講じなければならない。使用機関

が要求するときは,電子式出力制御系統構成部品には,妨害電波装置に対する保護装置を付けなければな

らない。エンジン制御系統は,エンジン仕様書で説明し,さらに,各制御機器をその機能とともにエンジ

ン仕様書に一覧表としなければならない。

3.7.2.1

エンジン制御系統インタフェース

3.7.2.1.1

出力レバー

3.7.2.1.1.1

出力レバー角度  スラストを調節するため,エンジンに,1 個の出力レバーを設けなければな

らない。出力レバーは,130+1°の全行程をもち,また,燃料遮断装置を備えていなければならない。ド

ウェルバンドは,この規格で規定するとおりに配置しなければならない。容易に目視できる目盛板を,出

力レバー入力の所に設けなければならない。ドウェルバンドの長さは,3.0+0.25°でなければならない。

確実なストッパを 0°及び 130°の位置に設けなければならない。リギングピンの位置は,アイドルと中間

スラストに設け,また,必要なときには,他のリギングピンの位置を,エンジン仕様書に規定しなければ

ならない。

出力レバー

スラスト増強エンジン  スラストリバーサ付き

スラスト増強エンジン

スラスト増強なしのエ
ンジン

スラストリバーサ付き
スラスト増強なしのエ
ンジン

出力レバー角度

最大

最大

最大

最大

      127∼130°

中間

       95∼ 98°

中間

       81∼ 84°

アイドル

アイドル

       35∼ 50°

アイドル

アイドル

       15∼ 18°

オフ

最大逆スラスト

オフ

最大逆スラスト

          0∼    3°

スラストリバーサをもつエンジンに対しては,下記のような燃料遮断を行う 90±1°の全行程をもつ別

のレバーを設けなければならない。確実なストッパを,0°と 90°に配置しなければならない。

シャットオフレバー

遮断

        0∼40°

      55∼90°

シャットオフレバーに対しては,容易に目視できる目盛板を設けなければならない。


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W 4601-1996

3.7.2.1.1.2

レバーのトルク  行程の全範囲でエンジン出力レバーを作動するに要するトルクは,2.8N・m

(25lbf

・in) {0.29kgf・m}  を超えてはならない。外部トルクが加えられないときは,出力レバーは,運転して

いるエンジンに対して動いてはならない。運転範囲全域にわたり出力レバーを動かすのに,操作トルクに

急激な変化があってはならない。

また,トルク変化の最大許容量は,1.1N・m (10lbf・in) {0.12kgf・m}  を超えてはならない。あらゆる追加

のレバーを操作するに要する最大トルクは,2.8N・m (25lbf・in) {0.29kgf・m}  を超えてはならない。エンジ

ンが回転していないときにトルクが異なる場合には,これをエンジン仕様書に規定しなければならない。

出力レバートルクと出力レバー角度の関係は,

図 15 の例のように示さなければならない。最大許容軸方向

荷重,最大許容ねじりモーメント及び片持ちモーメント並びにスロットルシャフトがその行程ストッパに

突き当たるときの最大許容スロットルシャフト荷重を N・m (lbf・in) {kgf・m}  で,エンジン仕様書に規定し

なければならない。

3.7.2.1.2

制御信号  使用機関が要求するとおり,エンジン制御系統には,外部入力装置 (external inputs)

を備えなければならない。エンジン制御系統は,また,エンジンの外部の系統からの入力に対して必要な

出力信号を供給しなければならない。制御入力と出力の要求事項,入力と出力の変数及び関係機能は,エ

ンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.2.2

エンジン制御系統の性能  エンジン制御系統は,エンジン仕様書に規定する定常と変移のエンジ

ン性能を得るように,エンジンの運転を制御しなければならない。エンジン制御系統は,エンジンの全運

転範囲にわたり,エンジンがその限界のいずれをも超えることを自動的に防止しなければならない。電気

的故障が生じた場合,エンジンは,正規に得られる最小スラストの少なくとも 80%まで,作動しなければ

ならない。エンジン制御系統は,エンジンの全運転範囲にわたり,出力レバー位置と制御するエンジン変

数の間に適正な関係を与えなければならない。出力レバー位置の許容差は,制御する変数のいかなる与え

られた数値に対しても,±2.5°でなければならない。

3.7.2.2.1

スラストの調整  スラストと出力レバー位置の間の関係は,十分に調整された種類のもので,

急激な変化がなく,しかも,スラスト増強の開始又は終了時に中間定格スラストの 4%以下のスラストの

変化率の範囲で本質的に線形でなければならない。スラストリバーサがエンジンの一部分として設けられ

ているときには,逆スラストと逆スラストレバー位置の間の関係は,急激な変化がなく,本質的に線形で

なければならない。

3.7.2.2.2

機能を制限する制御の領域  高温,標準及び低温の周囲条件に対する高度とマッハ数の関数と

しての,

中間出力と最大出力における機能を制限する制御の領域は,

図 16 のように示さなければならない。

種々の領域を設定するために使用する制限値は,図上で規定しなければならない。

3.7.2.2.3

手動燃料制御  使用機関が手動燃料制御装置を要求するときには,次に定める範囲まで,自動

系統とは独立に燃料流量を制御しなければならない。

(a)

アイドルに,標準状態で海面上から高度 9 144m (30 000ft)  まで正規に得られる中間出力の 5%を加

えたものと,90%の間でエンジン出力を調節できなければならない。

(b)

エンジンを空中始動させ,更に,その後,(a)に従ってそれを運転できなければならない。

(c)

設定した限界を超えてエンジンが作動することを防止できなければならない。防止作動は,エンジ

ンに損傷が起こらないような時間内で,可能でなければならない。


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3.7.2.3

エンジン制御系統の設計  エンジン制御系統の設計には,調整の簡単さや接近の容易さを備えな

ければならない。燃料制御装置の設計は,その装置をいかなる入力系統(入口温度受感系統のような)か

らも別個にエンジンから取外しでき,しかも,このような入力系統との校正又は整合を行うことなく交換

できるものでなければならない。

3.7.2.3.1

エンジン制御系統の調整  制御装置に対する外部調整は,組み立てたエンジンに対して正しく

実施でき,また地上におけるエンジンの運転特性だけを用いて正確に実施できる調整に限定しなければな

らない。これらの調整は,中央トリムパネルで行い,かつ,このパネルは,明確に表示され,接近でき,

エンジンを運転しながら調整できなければならない。

また,調整部は,すべての運転条件で,戻り止めになっていなければならない。他のすべての調整は,

手を触れないように保護しなければならない。いったん調整すれば,エンジンの全運転範囲にわたって限

界内の運転を行うようにするために,更に調整を必要としてはならない。すべての調整の手段は,エンジ

ン形態及び外形図に示さなければならない。

3.7.2.3.1.1

燃料等級に対する調整  エンジンには,比重に対する自動又は手動のいずれかの調整の特徴

を備えていてもよい。調整の全範囲は,最大 360°の弧の中になければならない。異なる燃料に対する停

止手段は,燃料の種類と比重による等級とに対する平均設定値を示す複式目盛りの上に,明確に示さなけ

ればならない。比重に対する調節可能範囲は,エンジン仕様書に規定しなければならない。各規定燃料等

級の仕様書範囲内の比重の変動に対しては,調整を必要としてはならない。

3.7.2.3.1.2

アイドル回転速度の調整  アイドルロータ回転速度は,規定のアイドル回転速度の±5%の範

囲内に調整できなければならない。この調整は,最大回転速度設定値とは独立で,しかも,それに影響を

及ぼしてはならない。

3.7.2.3.1.3

最大回転速度の調整  最大エンジンロータ回転速度は,中間定格値の±5%の範囲内に調整で

きなければならない。エンジンが 2 個以上のロータをもち,さらに,各ロータの回転速度が調整できると

きには,エンジン仕様書に,調整の範囲と調整の方法を規定しなければならない。

3.7.2.3.1.4

測定エンジン温度の調整  調整可能なときには,最大測定エンジン温度は,中間定格値の±

5%

範囲内に調整できなければならない。

3.7.2.3.2

冷却装置  エンジンが 3.1.2.8.1 の要求事項を満足するため,構成部品環境制御系統 (ECS) を必

要とするときは,受注者は,その種類を規定し,使用する系統を記述しなければならない。

3.7.3

燃料系統

3.7.3.1

燃料系統のインタフェース

3.7.3.1.1

燃料流量計  エンジン燃料系統でスラスト増強なしのエンジンの,燃焼室への燃料流量を測定

できる箇所に,燃料流量計発信器を取り付けるための手段を講じなければならない。増強装置を含むエン

ジンに対しては,増強燃料流量を測定する手段は使用機関の要求があるとき,ここに規定しなければなら

ない。流量計の種類,装着の準備及び装着の形状をエンジン仕様書に記述し,さらに,エンジン形態及び

外形図に示さなければならない。

3.7.3.1.2

最大燃料流量  全運転範囲にわたり,加速オーバシュート要求事項に対し必要な流量を含む最

大燃料流量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.3.1.3

燃料入口

3.7.3.1.3.1

燃料入口の寸法  エンジン燃料入口接続部の位置とインタフェース寸法を,エンジン形態及

び外形図に示さなければならない。


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W 4601-1996

3.7.3.1.3.2

燃料入口接続部許容荷重  燃料入口接続部にかかる最大許容荷重を,エンジン仕様書に規定

しなければならない。

3.7.3.1.3.3

燃料の入口圧力及び温度  燃料の最大及び最小入口圧力を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。連続運転に対し許容できる燃料の最大入口温度は,93℃ (200

°F)  以上とし,エンジン仕様書

に規定しなければならない。連続運転に対する最大許容温度として規定した温度を超える燃料温度は,特

別の運転条件と制限された持続時間に対して,規定しなければならない。燃料の最小入口温度は,3.2.5.1

に従わなければならない。

3.7.3.2

燃料

3.7.3.2.1

主燃料  エンジン仕様書に規定するグレードに関する MIL-T-5624 に適合し,しかも,

MIL-T-5624

が許容する特性上のいかなる変化をもつ燃料を使用するときにも,エンジンは,すべての定常

及び変移運転条件に対して,その全運転範囲にわたり満足に機能を果たさなければならない。

3.7.3.2.2

代替燃料  使用機関の要求があるときに,エンジンは,規定する代替燃料を使用して始動と運

転ができなければならない。代替燃料を使用するとき,エンジン仕様書に規定する運転限界,スラスト及

びスラスト変移が,悪影響を受けてはならない。代替燃料を使用するとき,エンジンの性能特性に及ぼす

影響,燃料消費量 (SFC) の変化,始動及び停止時間の変化並びに航空機の任務に及ぼす影響を規定しなけ

ればならない。3.2.4.2 でエンジンに対して設定したオーバホール時間に影響を及ぼしてはならない。

3.7.2.3.1.1

で許される外部調整だけは,この要求事項を満足するために,許さなければならない。

MIL-I-27686

による防氷添加物を,体積濃度で 0.15%まで加えた規定の代替燃料で,エンジンは,満足に

機能を果たさなければならない。

3.7.3.2.3

非常燃料  使用機関が要求するときには,エンジンは,また,規定する非常燃料を使用して始

動と運転ができなければならない。MIL-G-5572MIL-G-3056 及び VV-G-76 の規定に適合する燃料を使用

するとき,エンジンは,海面上から高度 10 668m (35 000ft)  まで,少なくともアイドルから最大スラスト

の 90%までの範囲にわたって,仕様書の定格又は予測の燃料消費量の 120%以下で,少なくとも 6 時間満

足に機能を果たさなければならない。3.7.2.3.1.1 で許される外部調整だけは,この要求事項を満足するため

に,許容される。該当するときは,この燃料を使用する結果として必要な運転限界,特別検査又は整備作

業を規定しなければならない。

3.7.3.3

燃料系統の性能

3.7.3.3.1

燃料系統校正限界  燃料系統構成部品に対して燃料流量の校正が必要なときには,MIL-G-7024

のタイプ II による試験液を使用したときのこの校正に適用する限界を使用機関に提出しなければならない。

3.7.3.3.2

燃料の汚染  表 10 に規定する範囲までのいかなる量で汚染された燃料でも,これを使用すると

き,エンジンは,満足に機能を果たさなければならない。

3.7.3.3.3

外部の補助をもつ燃料系統の性能  エンジン燃料系統は,始動とスラスト増強(設置されてい

るとき)とを含む全運転範囲にわたり,エンジンの運転に必要な圧力で,必要な量の燃料を,エンジンの

燃料入口接続部において次の条件で,供給できなければならない。

(a)

燃料温度  最低の−54℃  (−65

°F) (MIL-T-5624 のグレード JP-4 燃料を使用するとき)又は 12mm

2

/s

(12cSt)

の燃料動粘度に対応する温度(MIL-T-5624 のグレード JP-5 燃料を使用するとき)から,

3.7.3.1.3.3

に規定する最高温度まで。

(b)

燃料圧力  最小は,燃料の真の蒸気圧を 35kPa {0.35kgf/cm

2

}

超える圧力から,最大は,蒸気液体比

が零でゲージ圧力 350kPa {3.5kgf/cm

2

}

まで。


29

W 4601-1996

3.7.3.3.4

外部の補助がない燃料系統の性能  エンジン燃料系統は,次の条件で,海面上から高度 9 144m

(30 000ft)

までの(設置されているときはスラスト増強を含む。

)エンジン運転,及び高度 3 048m (10 000ft)

までの地上と空中での始動に対して必要な圧力で,必要な量の燃料を供給できなければならない。

(a)

少なくとも入口ラム圧力比が海面上での 1.15 から,9 144m (30 000ft)  での 1.70 まで直線的に変化す

るのに対応する条件までのすべての燃料流量要求事項。

(b)

大気温度は標準日状態とする。

(c)

燃料温度は,燃料入口接続部において,少なくとも 57℃ (135

°F)  までとする。

(d)

燃料の蒸気液体比は,エンジン燃料入口接続部において 0 から 0.45 までとする。

3.7.3.3.4.1

ポンプのプライミング  21kPa (3.0psi) {0.21kgf/cm

2

}

を超えない燃料リード蒸気圧をもつ燃料

を用いて,

ポンプ入口で,

入口絶対圧力が 30kPa (9inHg) {229mmHg}  で,

燃料温度が少なくとも 38℃ (100°

F)

までの状態で,0.3m (1ft)  の乾燥揚程を課したとき,エンジン燃料ポンプは,それ自体で燃料を供給で

きなければならない。この箇条の要求事項は,非常燃料による運転には適用してはならない。

3.7.3.3.5

過度の燃料蒸気の状態での燃料系統の性能  燃料入口で 0.45 を超える蒸気液体比の状態では,

エンジン燃料系統には,エンジン運転に対し,必要な量の燃料を供給することができなくてもよい。ただ

し,3.7.3.3.4 に規定する条件が再設定された後は,通常の始動を実施できなければならない。

3.7.3.3.6

耐燃料性  エンジンと構成部品とに使用する材料と設計は,TT-S-735 のタイプ I 及び II の試験

液を用いて試験するとき,いかなる順序で使用しても,満足なものでなければならない。

3.7.3.4

燃料フィルタ  1 500

µm より微細な燃料ろ過を必要とするときには,燃料フィルタをエンジンの

部品として装備しなければならない。エンジンの主燃料フィルタの種類及びろ過定格を,エンジン仕様書

に規定しなければならない。フィルタは,

表 10 に規定するように汚染された燃料を清浄化することなく使

用して,

海面上の中間スラストで最小 12 時間の連続エンジン運転に相当する累積燃料流量を通すに十分な

容量をもたなければならない。フィルタ組立は,圧力リリーフバイパスを備え,さらに,バイパスを通っ

てフィルタの汚染要因物質が放出するのを防止する設計でなければならない。フィルタ組立は,フィルタ

バイパスの遠隔表示のための信号を備える。フィルタ組立は,また,赤色の指針を上げて,バイパスが近

付いたことの目視警報を与える差圧作動のポップアウト装置を内蔵しなければならない。いったん作動す

れば,赤色の指針は,フィルタエレメントを取り外した後,内部で手動で再設定するまで,引き続いてそ

の状態を保持しなければならない。フィルタエレメント室を排液し,また,フィルタエレメントの交換に

引き続いて燃料系統から空気を抜くため,フィルタ組立の低い所にドレン弁を設けなければならない。

3.7.4

電気系統

3.7.4.1

電力  エンジンの始動中と全運転範囲にわたり,エンジンの点火と制御系統の作動に必要な主要

な電力を,エンジンによって供給しなければならない。

3.7.4.1.1

直流発電機又は交流発電機  エンジンの直流発電機又は交流発電機は,規定する最小着火速度

から最大エンジン回転速度まで,必要な電力を供給しなければならない。直流発電機又は交流発電機は,

すべての電気負荷がかかった状態で,最大許容エンジン回転速度の 106%に相当する直流発電機又は交流

発電機回転数の連続作動によって,悪影響を受けず,また,電気負荷がない状態で,最大許容定常エンジ

ン回転速度の 115%に相当する過速度で 5 分間の作動に耐えなければならない。直流発電機又は交流発電

機のケースは,最大設計回転速度で作動するとき,機械的破損が起こった場合,すべての損傷を完全に包

み込まなければならない。


30

W 4601-1996

3.7.4.2

代替電力  自蔵の電源系統に,いかなる機能も満足に動作させないような電力故障が起こった場

合には,エンジンは,外部の電源に切り換えることができなければならない。エンジンの電気機器は,外

部電力を使用するときには,MIL-STD-704JIS W 7001(航空宇宙−航空機電気系統の特性)

]の使用カ

テゴリ B に定める電力で動作しなければならない。この状態でのエンジンの電気的要求事項を,エンジン

仕様書に規定しなければならない。

3.7.4.3

電気的インタフェース

3.7.4.3.1

外部電力  通常,外部電力を使用するエンジン電気機器は,MIL-STD-704 (JIS W 7001)  の使用

カテゴリ B に定める電力で動作しなければならない。この電気機器が必要とする外部電源から得る電力の

種類と量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。外部供給電力を失った場合に,エンジンは,満

足に空中始動を達成し,また,アイドル以上のすべてのエンジン回転速度において,及び全スラスト範囲

にわたり,安全に作動しなければならない。外部供給電力を失うことによって起こる機能のすべての制限

又は損失を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.4.3.2

電気コネクタ及びケーブル  電気コネクタは,MIL-STD-454 の要求事項 10 に適合しなければ

ならない。−54℃  (−65

°F)  の温度で,日常の整備中に電気ケーブルや導線に損傷を与えずにこれらを曲

げること,さらに,通常の整備手順を用いて電気コネクタを接続又は切断することができなければならな

い。

3.7.4.4

電気及び電子機器  すべての電気及び電子構成部品は,4.に規定するとおり,構成部品認定試験

を受けなければならない。定期点検又は日常の点検を必要とする電気及び電子機器は,接近が容易なよう

に,エンジンに配置し,しかも,エンジンから取り外さないで点検が容易にできるように試験用接続部を

設けなければならない。

3.7.4.5

電気的ボンディング  内部と外部のボンディングと接地の要求事項と設計は,エンジン仕様書に

記述しなければならない。

3.7.4.6

充てん剤  充てん剤は,使用承認を得るため,すべて使用機関に提出しなければならない。

3.7.5

点火系統

3.7.5.1

点火系統インタフェース  エンジン点火系統には,その外部からの作動及び停止が行える手段を

備えなければならない。インタフェース要求事項を,電気装備結線図に示さなければならない。

3.7.5.2

点火系統の性能  エンジン点火系統は,外部電力を必要としないで,電気的に自立したものでな

ければならない。点火系統は,最小 2 個の別々の点火器と 2 個の独立の励振器出力回路を備えなければな

らない。

また,各別個の点火器と回路は,すべての地上及び空中始動要求事項に対して十分なエネルギーを出さ

なければならない。エンジン点火系統(A/B 点火系統を除く。

)は,連続使用能力をもたなければならない。

点火系統は,エンジンの全運転範囲にわたって満足に機能を果たさなければならない。点火系統を動作し

ないようにする方法を設け,それをエンジン仕様書に記述しなければならない。点火系統とその電源につ

いては,スパーク当たりのジュールとスパークの周波数で各点火器に対する充電エネルギー水準と放電エ

ネルギー水準を示す定格を含めて,エンジン仕様書に記述しなければならない。

また,スパーク当たりのジュールで表した最小充電エネルギー及び最小放電エネルギー並びにスパーク

の最小周波数を,これらの最小特性が起こる始動範囲の中の点で,規定しなければならない。出力増強装

置の点火は,

出力増強範囲におけるいずれの点に出力レバーを置いても自動的に作動しなければならない。


31

W 4601-1996

3.7.5.3

自動再着火  使用機関が要求するときは,エンジンは,フレームアウトが起こった後,直ちにバ

ーナの作動を再設定できるような自動急速再着火系統を装備しなければならない。系統の応答時間,感度

及び作動開始後の点火持続時間を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.6

計器系統

3.7.6.1

計器のインタフェース

3.7.6.1.1

状態の表示  エンジンには,安全なエンジンの運転と設定した運転限界内の運転とを行わせる

ための,情報を提供することを要求された感知器(センサ)

(圧力,温度,量,警報など)を備えなければ

ならない。計器の範囲,系統の精度,時間応答及び各変数に対する電気特性を,エンジン仕様書に表の形

式で示さなければならない。

3.7.6.1.2

エンジンの状態の監視  使用機関が要求するときは,エンジンには,飛行中のエンジンの機械

的状態と性能とを監視するため,及び地上での解析能力と状態点検能力とを与えるために,装置を設けな

ければならない。早期に故障の兆候や性能の低下を発見し,欠陥を隔離させ,さらに,長期の故障の傾向

に関する情報を与えるために,十分なエンジンパラメータが入手できなければならない。状態感知器の範

囲,限界,出力信号特性及び精度は,それらの位置とともに,エンジン仕様書に規定しなければならない。

電気接続と回路の詳細は,電気装備結線図に示さなければならない。

3.7.6.2

圧力接続部  燃料,滑油及び作動油の圧力発信器を取り付けるためのエンジンの接続部は,MS 

33649-12

の規定に適合し,また,MS 33587 によるすきま範囲を備えなければならない。空気圧力を発信

するためのエンジンの接続部は,MS 33649-4 の規定に適合しなければならない。

3.7.6.3

特殊整備用計測装備  使用機関が要求するときは,領収試験とオーバホール試験で,エンジンの

性能を評価するために必要な,特殊な計測感知装置に対する手段を講じなければならない。

3.7.6.4

温度受感系統  エンジンの温度受感系統は,航空機の計器系統に信号を与え,また,要求される

ときは,エンジン出力・制御及び状態監視系統に信号を与えなければならない。温度信号入力を必要とす

る各構成部品又は系統には,電気的に独立な温度受感系統を設けなければならない。温度の関数としての

感知装置の出力と通常の作動範囲を,

エンジン仕様書に示さなければならない。

熱電対を使用するときは,

温度と出力信号との関係は,国家機関の該当する校正に従わなければならない。実際の測定温度に関する

信号の精度と過渡時間応答特性を規定しなければならない。エンジン仕様書には,回路,構成,熱電対の

個数又は測定装置の個数及びそれらの位置を含む各受感系統の簡単な記述を含めなければならない。ガス

温度の測定のためマルチプローブ熱電対系統を設けるときは,その系統は,整備上の温度分布の点検と故

障探究のため,個々の熱電対プローブの読みを与えなければならない。地上試験装置と接続するのに便利

な場所にある熱電対ハーネスには,コネクタを設けなければならない。光学高温計又は放射高温計の温度

受感系統は,清浄化のため,頻繁に取外しを必要としてはならない。清浄化の間隔は,エンジン仕様書に

規定しなければならない。

3.7.6.5

振動測定  エンジンの振動は,加速度計振動検出器を用いて測定しなければならない。エンジン

には,エンジンケースと補機歯車装置の上の適当な位置において,互いに直角な 3 平面内の振動を測定す

るため,準備(ブラケット,取付け架台)をしなければならない。外部又は内部の追加の場所(例えば,

主軸受の位置)を,特別のエンジン設計に対して必要に応じて規定してもよい。振動検出器の取付け点を,

エンジン形態及び外形図に示さなければならない。エンジン受注者は,エンジンの部品としてのいずれの

振動感知器についても出力信号特性を規定しなければならない。

3.7.6.6

スラストの表示  エンジンは,スラストを計算するための信号を出さなければならない。これら

の信号からスラストを計算する方法を,エンジン仕様書に示さなければならない。


32

W 4601-1996

3.7.6.7

低サイクル疲労計数器  使用機関が要求するときは,エンジンには,エンジン低サイクル疲労

(LCF)

のサイクルを記録するディジタル計数器を設けなければならない。LCF 計数器は,

表 に記載のよ

うな LCF 事象を少なくとも 4 件,別々に数えるための手段をもたなければならない。計数器は,地上の整

備要員にとって,読取りが便利であるように位置させなければならない。計数器と系統の簡単な記述と,

計数器を作動させる方法をエンジン仕様書に示さなければならない。

3.7.6.7.1

相対的損傷図表  受注者は,そのロータ系統で最も過酷な構成部品に基づいて各ロータ系統に

対して,離陸損傷の百分率で,

表 の各 LCF 事象に関する損傷評価(マイナの法則を用いて)を示す相対

的損傷図表を提出しなければならない。この図表は,QT の開始前に提出しなければならない。

3.7.6.8

回転速度の表示  エンジンは,ロータ回転速度 (rpm) を表示するため,信号を出さなければなら

ない。信号は,MIL G-26611 の規定に適合する標準回転速度計発電機からの信号と同じ特性をもつものと

する。多軸エンジンに関しては,信号は,各ロータ系統から各々出さなければならない。各ロータが 100%

の回転速度のときの信号は,4 200rpm で作動している標準回転速度計発電機からの信号と同じ特性でなけ

ればならない。各ロータの 100%の回転速度 (rpm) を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.7

エンジン潤滑系統  潤滑系統は,潤滑剤の交換なしに,エンジンの全運転範囲にわたり,エンジン

を満足に潤滑しなければならない。完備した潤滑系統は,滑油冷却器と滑油リザーバを含み,エンジンの

一部として装備されなければならない。エンジン滑油系統は,その他の機体用の補機や構成部品のための

機能を与えてはならない。エンジン潤滑系統は,燃料その他の流体が滑油系統へしみ出て,滑油を汚染す

るのを防止するように設計しなければならない。

3.7.7.1

潤滑系統インタフェース

3.7.7.1.1

滑油系統の装備及び補給  滑油リザーバ注入口ふた,圧力充てん口,ドレン,滑油レベル指示

及び通気のような滑油系統インタフェースの位置並びに関連がある特徴を,エンジン形態及び外形図に示

さなければならない。

3.7.7.2

滑油  エンジンには,MIL-L-7808 と MIL-L-23699 の規定に適合し,特性においてこの滑油の規

格が許容する何らかの変動をもつ滑油を使用しなければならない。エンジンに対する全環境温度範囲と運

転範囲にわたり,始動と運転に関して,滑油予熱器や滑油希釈器のような特別の装置を必要としてはなら

ない。ただし,MIL-L-23699 の滑油に関しては,滑油の動粘度が 13 000mm

2

/s (13 000cSt)

に対応する温度

未満の滑油温度で,運転は要求しない。

3.7.7.3

潤滑系統の性能  滑油リザーバに,“使用不能”と定義される滑油の量を超える滑油があるとき

は,エンジンは,全運転範囲にわたり,さらに,3.1.2.5 及び 3.2.1.5.1 の飛行運動力と姿勢のいかなるもの

においても,満足に機能を果たさなければならない。潤滑系統は,3.2.1.4.8 の滑油の圧力と温度の限界内

で機能を果たし,3.2.1.4.9 に規定する滑油消費量を超えてはならない。

3.7.7.3.1

滑油流量及び放熱  滑油系統の熱平衡のサンプル計算を含む滑油系統と関連する冷却装置の性

能と冷却要求事項を,エンジン仕様書に記述しなければならない。滑油流量と,3.1.2.8.1 の最高制限温度

に基づく放熱データと通気空気流量を,エンジン仕様書に示さなければならない。滑油−空気熱交換器を

用いるときには,すべての適用対気速度,高度及び周囲温度条件に対して必要な空気流量と圧力降下を規

定しなければならない。燃料−滑油冷却器を用いるときには,熱平衡データは,可能な最良の計画燃料消

費率をもつエンジンが遭遇する各運転条件に対する最小燃料流量とともに,エンジンの燃料入口接続部に

おける温度が,15℃ (59

°F),57℃ (135°F)  及び最高燃料温度に基づかなければならない。完全な滑油系統

の熱平衡は,3.1.2.8.1 の最高制限温度並びに 15℃ (59

°F),57℃ (135vF) 及びエンジン仕様書に規定する最

高滑油冷却器冷媒温度を用いて,エンジン仕様書に示さなければならない。


33

W 4601-1996

また,熱平衡は,補機歯車装置の最大荷重の影響,エンジン内部冷却要求事項の変化,抽気及び系統に

関する最大の冷却要求事項を課す見込みがある条件を考慮しなければならない。エンジン仕様書に示す熱

平衡解析を立証する報告書は,認定耐久試験の開始前に使用機関に提出しなければならない。滑油系統の

性能を評価するための計装要求事項と感知器の位置は,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.7.3.2

滑油の内部漏れ  潤滑系統は,エンジン内の滑油の漏れが,エンジン停止に続く始動時にエン

ジンからの滑油の流出を生じないもの,滑油の供給量の測定に悪い影響を与えないもの,抽気の汚染をも

たらさないもの,エンジン内に残留火災を起こさないもの,又はたい積物の原因とならないものでなけれ

ばならない。

3.7.7.3.3

滑油流れの中断  エンジンは,エンジン滑油ポンプ入口に 30 秒間滑油を供給しないで,中間出

力で作動しなければならない。この作動の結果として,滑油流れの中断時間中に,又はその後のエンジン

運転中に,エンジンに有害な影響があってはならない。

3.7.7.3.4

滑油ぬれ面  滑油ぬれ面と通気口とにおける流れの特性と温度は,炭火物と汚泥のたい積を防

止するようなものでなければならない。

3.7.7.4

潤滑系統の構成部品及び特徴

3.7.7.4.1

滑油リザーバ  エンジンに取り付ける滑油リザーバと取付け架台は,リザーバの加圧によって生

じる応力,

エンジンの振動並びに周囲圧力の変動及びリザーバの内圧の変動によって生じる周期的応力に,

永久変形を生じることなく,

耐えることができる耐食材料から製造しなければならない。

滑油リザーバは,

正と負の 103kPa (15psi) {1.05kgf/cm

2

}

の差圧又はエンジンの運転範囲内の最大リザーバ作動差圧の 2 倍の

いずれか大きい方に,目視できる漏れや変形を生じることなく,耐えなければならない。

また,リザーバは,目視できる漏れや永久変形を起こすことなく,エンジンの運転範囲内の最大リザー

バ作動圧力で,10 000 回の圧力反転に満足に耐えなければならない。滑油リザーバは,3.3.6.1 の要求事項

を満足しなければならない。

3.7.7.4.1.1

滑油リザーバの容量  滑油リザーバの全包囲容量,使用可能滑油容積,ガルピング滑油容積,

使用不能滑油容積及び膨張空間を,リットル(ガロン)で,エンジン仕様書に規定しなければならない。

滑油リザーバは,リザーバの全滑油量の 20%以上の膨張空間をもたなければならない。滑油リザーバは,

次の事項を満足するのに十分な容量をもたなければならない。

(a)

エンジン仕様書に規定する 1 時間当たり最大滑油消費量の少なくとも 12 倍に等しい“使用可能”滑

油量を供給すること。

(b)

“使用可能”滑油供給量の最大

2

1

を消費するまで,3.1.2.5 及び 3.2.1.5.1 の力及び姿勢でエンジン運

転範囲内では,低液面警報が作動しないことを保証すること。

3.7.7.4.1.2

滑油リザーバの外部的特徴  滑油リザーバは,滑油レベルを決定し,ドレンとリザーバを整

備補給するために必要な次の外部的特徴をもたなければならない。

(a)

使用機関が規定する大きさで,機外へのドレンをもつ排油口と MIL-C-38373 によるポートキャップ

を含む重力給油ポート

(b)

タンクに補給する必要があるとき、整備要員に知らせる表示装置で、滑油リザーバの上又は中にあ

る表示装置。

(c)

遠隔給油とオーバフローの装置。圧力給油接続部は,MS-24476-1 に従い,オーバフロー戻り接続部

は,MS-24476-2 に従わなければならない。

(d)

低液面滑油警報装置を設け,滑油リザーバに組み入れなければならない。この装置は,1 時間分の

“使用可能”滑油がリザーバに残っているとき,操縦室の警報灯に警報信号を送らなければならな


34

W 4601-1996

い。

(e)

使用機関が指定するときには,操縦室の数量読取計器と接続するように装備する連続的滑油量測定

系統を備えなければならない。この系統は,

“使用可能”滑油量を超える測定範囲と“使用可能”滑

油容積の±4%以内の精度とをもたなければならない。

設ける系統の種類をエンジン仕様書に記載し

なければならない。

(f)

滑油リザーバを排油するために容易に接近できる戻り止めドレン弁を,設けなければならない。

3.7.7.4.2

滑油のドレン  エンジンが,水平姿勢から 15 度機首上げ及び 20 度機首下げの範囲の姿勢にあ

るとき,エンジン滑油を排油するため,滑油系統の適当な低い点に排油口を設けなければならない。分光

分析用の滑油の代表的サンプルを得るために,滑油系統の最適の位置に,容易に接近できる戻り止めドレ

ン弁を設けなければならない。これらのドレンの位置は,エンジン形態及び外形図に示さなければならな

い。

3.7.7.4.3

滑油のろ過  エンジン滑油系統には,その圧力部分と排油部分の両方に,次のようにろ過の手

段を講じなければならない。

(a)

圧力側のろ過は,フィルタ組立を用いて行わなければならない。エレメントの種類,

µm によるろ

過定格及び容量をエンジン仕様書に規定しなければならない。フィルタ組立は,圧力リリーフバイ

パスを備え,しかも,バイパスを通ってフィルタの汚染要因物質が排出するのを防止する設計でな

ければならない。フィルタケースには,フィルタボールを取り外したとき,滑油の排出を防止する

自動遮断装置を備えていなければならない。フィルタ組立は,エレメントの前後の差圧が規定の値

を超えたとき,赤色の指針を上げて,切迫したバイパスについて目視できる警報を与える差圧作動

のポップアウト装置を備えていなければならない。いったん作動すれば,赤色の指針はフィルタエ

レメントを取り外した後,内部で手動で再設定するまで引き続きその状態を保持しなければならな

い。

(b)

排油側のろ過は,各軸受室からの出口に配置されるのが望ましいストレーナ又はスクリーンを用い

て行ってもよい。各ストレーナ又はスクリーンは,排油の流れを妨げてはならず,また,予想され

る破片を収集し,蓄積による詰まりを防止するのに十分な面積をもたなければならない。

3.7.7.4.4

チップ検出器  電気的連続性の点検ができるという特徴をもつ自閉回路設計の磁気チップ検出

器を,すべての滑油排油口又は滑油の中の鉄磁性粒子が最もたい積しそうな重要な箇所に取り付けなけれ

ばならない。これらのチップ検出器の電気的特性を,エンジン仕様書に記載しなければならない。

3.7.7.4.5

滑油冷却器  滑油系統に使用する滑油冷却器の種類と個数を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。滑油冷却器は,圧力リリーフバイパス弁を備え,洗浄と検査のため冷却器の分解ができる特

徴を備えなければならない。

3.7.7.4.6

摩耗率の解析  特定モデルのエンジンで,化学成分に対する滑油の分光分析についての,指導

方針と傾向解析データを与える報告書を,PFRT と QT の耐久試験前に,使用機関に提出しなければならな

い。この報告書には,滑油の分光分析を含む試験と整備作業の間に使用するため,滑油にぬれるすべての

系統内における化学成分とこれらの成分の位置を一覧表にしなければならない。

3.7.8

エンジンの油圧及び空気圧系統

3.7.8.1

油圧系統  エンジン油圧系統は,エンジンの一部分として設け,それはエンジン燃料又は滑油の

いずれかを使用しなければならない。3.1.2.53.2.1.5.1 及び 3.2.5.1 のそれぞれのエンジン飛行運動荷重,

運転姿勢及び環境の極限のもとでのエンジン環境で,系統は適正に作動しなければならない。エンジン油

圧系統の簡潔な記述をエンジン仕様書に含めなければならない。


35

W 4601-1996

3.7.8.1.1

油圧系統のインタフェース

3.7.8.1.1.1

油圧試験の準備  油圧系統には,容易に接近でき,また,地上試験装置を取り付けるためエ

ンジン上の便利な位置に,一組のセルフシール継手とシールキャップを備えなければならない。

3.7.8.1.1.2

作動油圧力及び温度の表示  使用機関が要求するときには,油圧系統は,作動油の作動圧力

と温度を表示するための手段を備えなければならない。その位置とインタフェース接続部は,エンジン形

態及び外形図に示さなければならない。

3.7.8.1.2

油圧系統の性能及び限界  系統作動圧力の呼び値及び最大値並びに最大運転作動油温度をエン

ジン仕様書に規定しなければならない。系統の作動のいかなる段階から生じるピーク圧力(小波動又はサ

ージ)も,最大系統作動圧力の 135%を超えてはならない。油圧系統は,最大系統作動圧力の 2 倍までの

保証圧力試験に耐えなければならない。

3.7.8.1.3

油圧系統の火災及び安全上の危険  油圧系統の設計は,系統の配管と構成部品とが熱源と電気

機器に接近していることによって起こる火災の危険を最小にするようなものでなければならない。管路と

機器の着脱継手からの可燃性流体の不用意な漏えい源を防護し,流体が点火しないようにしなければなら

ない。可燃性流体を運ぶすべての管路と構成部品は,3.3.6.1 の要求事項を満足しなければならない。エン

ジンの安全な運転に不可欠なすべての油圧作動装備は,冗長性をもった設計にするか,又は緊急作動に対

する準備をしていなければならない。

3.7.8.1.4

作動油  油圧系統に用いる作動油を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.8.1.5

油圧系統の設計  滞留した空気が油圧系統の適正な作動を妨げる場合には,この空気を取り除

くための手段(ブリーダ弁のような)を設けなければならない(管路の接続を外したり,管継手を緩めた

りすることは,容認できない。

。機器と系統の形態は,実施できる限り,作動が影響されないで放出が容

易に実施できるリザーバ又はその他の空気集合点に自動的に自由空気を排出するように,設計しなければ

ならない。動力作動ポンプを用いる系統には,圧力調整装置と独立な過大圧力制限手段を使用しなければ

ならない。

3.7.8.1.5.1

作動油フィルタ  油圧系統のフィルタは,次のように設けなければならない。

(a)

系統圧力管路中のフィルタは,エンジンポンプと地上試験装置圧力接続部からのすべての作動油が,

系統の構成部品に入る前に,ろ過されるように配置すること。

(b)

戻り回路中のフィルタは,すべての作動油が,戻り管路リリーフ弁,ポンプ又はリザーバに入る前

に,フィルタを通って循環するように位置すること。

(c)

フィルタの保護が必要な場合には,重要な構成部品の場所に追加のフィルタを設けなければならな

い。

µm で示すフィルタのろ過定格の呼び値と絶対値をエンジン仕様書に規定しなければならない。

各フィルタケースには,フィルタエレメントの取外し中の液体の排出を防止するため,自動遮断装

置を設けなければならない。各フィルタ組立は,エレメント前後の差圧が規定の値を超えるとき,

赤色の指針を上げて,目視できる警報を与える一体構造の差圧作動ポップアウト装置を備えなけれ

ばならない。いったん作動すれば,赤色の指針は,ボールを取り外した後,内部で手動で再設定す

るまで,引き続きその状態を保持しなければならない。

3.7.8.1.5.2

作動油リザーバ  作動油リザーバの全容積及び使用可能量を,リットル(ガロン)でエンジ

ン仕様書に規定しなければならない。


36

W 4601-1996

3.7.8.2

空気圧系統  空気圧系統を使用するときには,エンジンの一部分として,完備した系統を備えな

ければならない。この系統については,エンジン仕様書に記述し,これには圧力,温度及び流量の要求事

項を示さなければならない。

3.7.8.2.1

空気圧系統の空気汚染  ファン又は圧縮機空気を必要とする空気系統構成部品は,3.2.5.6.4 

定めるエンジン入口空気汚染の状態で満足に作動しなければならない。上の要求事項を満足するために,

空気フィルタを使用してもよい。

3.7.9

始動系統

3.7.9.1

始動系統のインタフェース

3.7.9.1.1

始動トルク及び回転速度の要求事項  必要なスタータトルクと駆動速度を,エンジン仕様書に

含め,また,

図 17 に示すように表さなければならない。図には,エンジンの抗力と客用補機歯車装置の抗

力を明確にし,含めなければならない。図には,周囲温度,海面上から 3 048m (10 000ft)  までの高度及び

代替燃料の影響を,単独及び組合せで示さなければならない。図は,次の各々に対して表さなければなら

ない。

(a)

客用抽気なし,客用抽出動力なし。

(b)

最大許容抽気で,客用抽出動力なし。

(c)

客用抽気なし,客用抽出動力はエンジン仕様書に規定のとおり。

(d)

最大許容抽気で,客用抽出動力はエンジン仕様書に規定のとおり。

3.7.9.1.2

回転部品の慣性モーメント  スタータ駆動装置に関係して,スタータによって回転されるエン

ジン回転部品の最大有効質量慣性モーメントと,

スタータパッドと駆動されるロータ系統の間の速度比は,

エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.9.1.3

ねじりばね定数  スタータ駆動パッドにおけるエンジン始動駆動系統のねじりばね定数 N・

m/rad (lbf

・in/rad) {kgf・m/rad}  を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.9.1.4

始動装置列バックラッシ  スタータ駆動パッドにおける始動駆動系統の最大バックラッシは,

ラジアン (rad) で,規定しなければならない。

3.7.9.2

始動要求事項  3.7.9.3 の始動手順を用いて,3.2.1.4.43.2.1.5.1 及び 3.2.5.1 の運転範囲,高度,

姿勢,温度,抽気及び抽出動力限界の中で,エンジンは,常に満足な始動を行わなければならない。満足

な始動とは,次の条件で,3.7.9.3 に規定する手順を用いるとき,静止又は風車回転速度からアイドル回転

速度まで,エンジンロータが加速される始動でなければならない。

(a)

エンジンは,運転限界内にあるものとする。

(b)

海面上から高度 3 048m (10 000ft)  まで,ラムなしで行う始動の全始動時間は,

図 18 に規定する値

以下でなければならない。

(c)

風車始動の全始動時間は,60 秒以下とする。30 秒以内でエンジンが着火し,全経過時間が 60 秒以

内でアイドル回転速度に加速するときだけ,風車始動は容認できるとみなす。始動時間は,始動手

順の開始から安定した未修正エンジンアイドルロータ回転速度へ到達するまで測定しなければなら

ない。風車始動中はエンジンロータ荷重は,

表 に示す駆動装置に対して規定する全最大補機駆動

荷重の少なくとも 5%でなければならない。

(d)

最小援助トルクをエンジン仕様書に規定のとおり,スタータ又はラム空気によって与える。

3.7.9.2.1

再始動時間  エンジンの停止から地上始動までの間の最小許容時間,又はエンジンの制限事項

によって定まる始動の間の最小許容時間を,

エンジン仕様書に規定しなければならない。

規定する時間は,

いかなる場合でも,駆動されるロータ系統が回転を停止した後 30 秒を超えてはならない。


37

W 4601-1996

3.7.9.3

始動手順  始動手順は,簡単なものであって,危険なタイミングを必要としてはならない。通常

の始動に対しては,出力レバーをアイドル位置にし,始動手順の開始後,燃料制御装置は,地上と空中で

の始動と,安定したアイドル運転状態まで満足な加速を与えなければならない。エンジンは,出力レバー

をアイドルとそれ以上に置いて始動し,始動手順の開始後,直ちに選択したいかなる定常運転状態にも加

速できなければならない。これは,規定するエンジン運転限界内で,エンジンの耐久性又は構造完全性に

有害な影響を及ぼすことなく実施できなければならない。すべての始動の間に,スイッチやレバー又はそ

れらの組合せの同時手動操作又は作動を必要としてはならない。エンジンがスラスト増強の装備をしてい

るときには,増強の開始は,出力レバーをスラスト増強範囲の任意の位置に動かすことだけで,自動的に

達成できなければならない。

3.7.9.4

始動駆動装置列  エンジンの始動駆動装置列には,エンジン始動駆動系統の最も弱い点であるせ

ん断断面を含めなければならない。このせん断断面は,エンジン始動トルク受入れ能力を少なくとも 10%

超えるせん断強度をもたなければならない。エンジン始動トルク受入れ能力は,3.7.9.1.1(d)で規定された

海面上静止,15℃ (15

°F)  に基づく条件で,始動開始から最小スタータ切離し回転速度までの 15 秒間の加

速を行うのに必要な始動トルクの少なくとも 3.33 倍でなければならない。スタータ駆動パッドの特性は,

表 に含めなければならない。その回転の方向は,エンジン上の始動パッドに向かい合ったとき,時計方

向でなければならない。

3.7.10

ジェットノズル系統

3.7.10.1

ジェットノズルの取付け

3.7.10.1.1

排気系統接続部許容荷重  エンジンと,エンジンと一緒に供給されない排気系統の部品との間

のいかなる接続部に対しても,最大許容せん断荷重,軸方向荷重及び片持ちモーメントを,エンジン仕様

書に規定しなければならない。ジェットノズルの取付けは,ボルト取付け型でなければならない。

3.7.10.2

ジェットノズル(エンジンとともに供給)  ジェットノズルについては,取付けの方法も含めて,

簡単な記述をエンジン仕様書に含めなければならない。

3.7.10.2.1

ジェットノズル外部非対称空気圧力荷重  エンジンは,ノズルと排気系統上の外部流れの場の

圧力分布から生じる非対称空気圧力荷重に,永久変形を生じないで耐えなければならない。この限界は,

エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.10.2.2

ジェット後流ダイアグラム  海面上静止状態でアイドル,中間及び最大の出力設定値で,ジェ

ット後流中の温度と速度の輪郭を示すジェット後流ダイアグラムを,エンジン仕様書に示さなければなら

ない。

3.7.10.2.3

ジェットノズルの操作  ジェットノズルの操作とあらゆるインタフェース要求事項は,非常又

は手動装置,ノズルの位置の表示及びインタフェースに伴う他の特性を含み,エンジン仕様書に規定し,

さらに,エンジン形態及び外形図に示さなければならない。

3.7.10.2.4

可変ジェットノズル  可変形状ノズルに対しては,ノズル作動の方法,作動装置の種類と個数,

制御感知変数,ノズル位置フィードバック装置,冷却装置,フェールセーフ特性,方向制御をするときに

はその変位角,ノズルの空気力学的抗力又は全スラストに影響することがある幾何学的外形及び表面の異

常並びに特定の設計に対する独特な他のいかなる特徴も,記述しなければならない。制御可能なノズルの

作動機構のいかなる単一部品の故障でも,ノズルに対して非対称なスラストを発生してはならない。方向

可変ノズルの作動機構におけるいかなる単一部品の故障から生じる作動モード及び限界も,規定しなけれ

ばならない。地上整備点検,組立調整及び調整のため,エンジンを運転しないでノズルを作動させる手段

を講じなければならない。


38

W 4601-1996

3.7.10.3

赤外線放射 (IR)   次の方位角,仰角,バンドパス,高度及びエンジン出力設定値に対する最大

IR

レベルは,PFRT 前に使用機関に提出しなければならない。

(a)

方位角  0°,5°,10°,15°,20°,30°,40°,60°,90°,135°及び 180°(エンジンの後

方への中心線の延長が,方位角 0°及び仰角 0°の位置と定義しなければならない。方位角 0°,仰

角 0°及び中心線は,水平地平面に平行な平面内にあるものと定義する。放射パターンが中心線の

周りに対称ならば,対称を示す表示法をもつ極座標を使用してもよい。

(b)

仰角  0°,5°,10°,15°,20°,30°,40°,60°及び 90°(水平面の上及び下)。

(c)

  IR

バンドパス条件  1∼3

µm 及び 3∼5µm,8∼10µm,10∼12µm 並びに 12∼14µm。

(d)

高度  海面上,11 000m (36 089ft)  及びエンジンに対する絶対高度。

(e)

エンジン出力設定  最大,中間及び最大連続。

放射パターンと測定装置の両方に対する基準として用いる標準放射源を規定しなければならない。

3.7.10.3.1

赤外線抑止系統  使用機関が赤外線抑止系統を要求するときには,3.7.10.3 に従い,抑止をする

場合と,抑止しない場合の最大 IR レベルを,エンジン仕様書に含めなければならない。作動の方法,抑止

モードの作動限界及びフェールセーフの手段を含んで系統を説明しなければならない。IR 抑止系統作動が

スラスト,SFC 及び他の性能変数に及ぼす詳細な影響は,エンジン性能計算プログラムに含めなければな

らない。

3.7.11

スラストリバーサ系統  使用機関が要求するときには,スラストリバーサを設けなければならない。

3.7.11.1

スラストリバーサインタフェース  ナセルの装着,すきま及び接続に対して必要なインタフェー

スの寸法は,エンジン形態及び外形図に示さなければならない。リバーサ機構は,リバーサがロックされ

ていない状態にあるときは,それを指示する信号を出さなければならない。

3.7.11.2

スラストリバーサ  スラストリバーサ系統は,エンジン仕様書に規定する最小全作動寿命サイク

ルに対して設計しなければならない。

また,航空機の任務要求事項と矛盾しないサイクルを規定しなければならない。制御系統の系統故障又

は不注意な作動があった場合に,リバーサが展伸位置に展張しないように,確実な機械的ロック装置を設

けなければならない。地上運転だけ又は飛行中と地上運転とに使用するスラストリバーサ系統は,いかな

る予期される飛行状態及び地上状態でも,スラストリバーサ系統の単独故障又は機能不良が不要な逆スラ

ストを生じないように,設計しなければならない。飛行中に使用するスラストリバーサ系統は,全運転範

囲にわたり,不注意な使用の結果,危険な状態が生じないように,設計しなければならない。

3.7.12

水噴射系統  使用機関が要求するときには,水噴射系統を設けなければならない。

3.7.12.1

水噴射系統のインタフェース  水噴射系統に対して必要なインタフェース寸法を,エンジン形態

及び外形図に示し,また,電気接続と回路の詳細は電気装備結線図に示さなければならない。

3.7.12.2

水噴射系統の特性  水噴射系統の記述を,エンジン仕様書に含め,その中には次のような情報を

含めなければならない。水噴射系統流量限界,精度,調整,温度と圧力の限界及び系統の制限事項。

3.7.12.3

流体  水噴射系統に使用する流体について,エンジン仕様書に規定しなければならない。流体を

調製するのに使用する水は,次の純度限界を超えてはならない。

不純度

合固形物(最大)ppm 35

溶解固形物(最大)ppm

25

pH

指数 6.5∼7.5


39

W 4601-1996

3.8

優先順位  この規格は,エンジンに対する要求事項を設定するものであり,参照する文書から優先

させなければならない。

3.9

品質の立証

3.9.1

技術評価試験  解析を支持し,また,PFRT と QT を満足に完了することができるエンジンの形態

を確定するために,計算結果を実証するデータ(安全,装備,整備性,品質などに関する)を得る目的で,

技術評価試験を実施しなければならない。各供試品の形態と,それと PFRT 又は QT 用エンジン形態との

相違は,各試験報告書で識別し,さらに,正当であることを証明しなければならない。技術評価試験報告

書は,各試験に関する該当試験要求事項若しくは試験項目によって要求されるとおりに提出するか,又は

納入期日が規定されていないときは,PFRT と QT のどちらか該当する方の試験に先立って提出しなければ

ならない。すべての必要な技術評価試験を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.9.2

予備飛行定格試験 (PFRT)   実験飛行試験に用いるエンジンの合格可能性は,4.5 による PFRT 試

験の満足な完了と,使用機関が PFRT に要求するすべての試験報告書と解析の容認に基づいて判定しなけ

ればならない。

3.9.3

認定試験 (QT)   量産型としての完成エンジンの認定は,4.6 による認定試験の満足な完了と,す

べての要求された認定試験報告書,検査報告書及び解析の使用機関による容認に基づいて判定しなければ

ならない。どのような試験でも故障又は欠陥は,エンジン型式の認定ができないものとみなす。

3.9.4

領収試験  発注者に納入する各エンジンには,試験を実施し,また,試験は,4.7 に規定する領収

試験要求事項から構成しなければならない。技術評価試験,PFRT 又は QT を受けるエンジンは,領収試験

を受ける必要はない。エンジン受注者は,4.7 に従って詳細な領収試験手順を作成し,発注者に提出して承

認を得なければならない。

4.

品質保証条項

4.1

一般  エンジンが 3.に規定する要求事項を満足していることを立証するには,検査,解析,実証又

は試験によって行い,また,それは,この章に規定するとおりでなければならない。

4.1.1

責任  エンジン受注者は,すべての立証要求事項と品質保証条項の実施に対して責任を負う。

4.2

品質確認検査  エンジン,構成部品及び試験装置は,必要な情報を与えられている認可された発注

者の職員と,この規格の規定に適合することが確認されている設備による検査を受けなければならない。

4.2.1

品質証拠  品質証拠とそれらの記録は,該当する契約書によって要求されたとおりに保存しなけれ

ばならない。

4.3

試験及び報告の方法

4.3.1

試験の監督  ここで記述する各々の試験と実証は,認可された発注者の代表者によって立会いを受

けなければならない。試験の前の都合がよい時期と分解検査の間に,エンジンと構成部品がそれらの製造

の根拠である契約書と仕様書のすべての要求事項に適合していることを判定するために,審査を行わなけ

ればならない。PFRT 又は QT の期間中のどの時期においても,エンジン又は構成部品のどの部品も発注者

の代表者の事前承認なしに分解,調整,洗浄,取替え又は取外しを行ってはならない。


40

W 4601-1996

4.3.2

供試品の形態  各供試品の形態は,個別部品表で明確にしなければならない。各供試品の形態と,

その PFRT 又は QT 用耐久エンジンの形態との相違点は,各詳細試験手順中において明確にし,しかも,

正当であることを示さなければならない。PFRT 又は QT の試験を首尾よく完了したエンジンの部品表は,

そのエンジン型式に対する公式の部品表を構成しなければならない。開発試験によって立証した設計の修

正や改善は,各試験エンジンの部品の相違を明示することによって許可される。しかし,ディスクに組み

込んだ翼のように,同じか又は異なる設計の部品の混合や,分割静翼組立のような多くの構成要素からな

る組立品に異なる専門業者の構成部品や部品を混合することは許されない。

4.3.2.1

試験エンジン  個々の試験又は実証に用いる特定のエンジンは,試験開始前に受注者が公式に指

定しなければならない。

4.3.3

試験装置

4.3.3.1

自動記録装置  時間に対してエンジンの変化を評価する必要がある試験の部分を実施している

期間中,データを記録するのに自動連続記録装置を使用しなければならない。

4.3.3.2

振動測定装置及び応答特性  エンジンの振動は,加速度計型振動検出器によって測定しなければ

ならない。振動測定及び解析装置は,少なくとも 5Hz から 10 000Hz の周波数バンドにわたって動作し,

実証された精度の信頼水準が 95%で加速度スペクトル記録を作らなければならない。スペクトル解析装置

の最大許容有効フィルタ帯域幅は,30Hz でなければならない。振動測定装置は,完全な系統の状態におい

て校正しなければならない。加速度計ピックアップに既知の正弦波運動を用いて校正したとき,系統の周

波数応答は,5Hz から 10000Hz までの周波数の既知の正弦波形入力から±3dB を超える偏差があってはな

らない。振動測定システムで全体速度レベルを測定するときに,もしも高域フィルタが必要となれば,そ

れは,次の特性をもたなければならない。フィルタは,オクターブ当たり少なくとも 18dB のロールオフ

で,30Hz,70Hz,110Hz のうち該当する周波数で 3dB 下がらなければならない。高域フィルタは,加速度

スペクトルを作るのに使用してはならない。

4.3.3.3

試験架台の動的特性  振動の速度と加速度は,次に示す動的特性をもつ試験架台上で運転するエ

ンジンで測定しなければならない。エンジンを搭載した試験架台の固有振動数は,ロータの残留不釣合い

によって励振されるおそれがあるすべての運動モードにおいて,アイドルロータ回転速度の 80%以下でな

ければならない。

4.3.3.4

スタータ  PFRT と QT の期間中,始動は図 17 に示す最小必要トルクの 5%以内のトルク特性を

もつスタータで実施しなければならない。

4.3.4

試験条件

4.3.4.1

補給

4.3.4.1.1

滑油の補給  滑油系統は,個別のエンジンの試験又は実証の開始時に排油し,新しい滑油を注

入しなければならない。滑油は発注者の代表者によって認可されたときだけ,系統から排油しなければな

らない。外部滑油フィルタの使用を許可してはならない。

4.3.4.2

入口ダクト及び排気ダクトの接続部  4.6.1 及び 4.6.6.6 の試験中に,入口ダクト及び排気ダクト

接続部には,3.1.2.10.2 及び 3.7.10.1.1 に規定するとおりに,負荷しなければならない。

4.3.4.3

抽気接続部  4.6.1 及び 4.6.6.6 の試験中に,抽気接続部の荷重は,3.1.2.11.1 で規定するとおりで

なければならない。

4.3.4.4

補機駆動歯車装置  4.5.1.3 及び 4.6.1.3 の試験中,エンジン補機駆動歯車装置及び動力抽出装置

(PTO)

には,3.1.2.7 に規定する定格荷重と片持ちモーメントを負荷しなければならない。


41

W 4601-1996

4.3.4.5

規定試験時間  より短い時間が試験要求事項である場合を除き,15 分より短い増加分による試験

時間を当該時間の増加分として認可してはならない。

4.3.4.6

試験用燃料の性質  PFRT と QT に使用する燃料は,特定の試験項目に特記されている場合を除

き,

表 11 によらなければならない。

4.3.5

データ  次の細目箇条に従って,試験中にデータを提出又は記録しなければならない。

4.3.5.1

試験前のデータ  次に示すデータは,4.44.5 及び 4.6 で要求されている個別の試験用エンジン,

試験構成部品又は試験構成部品組立について実施すべき各試験又は各実証の開始前に使用機関に提出し,

承認を受けなければならない。各試験に対して一つの文書が必要であり,これには次のものを含める。

(a)

試験要員が試験実施中に用いる詳細試験手順

(b)

  4.3.2

によるエンジン,構成部品又は組立品の適切な形態の明示。

4.3.5.2

予備データ  乾燥エンジン質量,重心位置,写真及びその他の関連資料は,そのエンジンの試験

準備中に入手し,記録しなければならない。質量は,燃料又は滑油をエンジンに補給する前に測定しなけ

ればならない。

4.3.5.3

データの精度  すべてのエンジンと構成部品の校正と試験又は実証に対する報告データは,以下

に示す許容差の範囲内で安定した精度を維持しなければならない。変移データの精度とそれに対応する計

器の校正方法は,使用機関の承認を受け,試験報告書に記載しなければならない。すべての計器と装置に

関しては,要求された範囲の精度を維持していることを保証するために必要な場合には,校正しなければ

ならない。

データの項目

ロータ回転速度

最大定格で得られた値の±0.2%

最小増強スラスト以上におけるスラストと

燃料流量

測定値の±1.0%

中間スラスト以下におけるスラストと燃料
流量

中間スラストで得られた値の±1.0%

空気流量

測定値の±0.5%

温度

測定値の±1.0%

エンジン質量

測定質量の±0.45kg (1.0lb) 又は±0.1%の
どちらか大きい方

振動速度

エンジン規定限界の±5.0%

その他のすべてのデータ

最大定格で得られた値の±2.0%

4.3.5.4

定常データ  各々の規定定常状態で運転中で,性能の安定後のデータを表 12 に規定するとおり

に記録しなければならない。

4.3.5.5

変移データ  運転中に実施する変移運転に対しては(該当するときは逆スラスト運転の場合も),

表 12 に規定するとおりにデータを記録しなければならない。

4.3.5.6

始動データ  高空試験と海面上静止状態試験中,表 12 に規定するとおりにデータを記録しなけ

ればならない。

4.3.5.7

その他のデータ  日付,試験項目,エンジン型式名称及び製造番号を,各記録用紙に記録しなけ

ればならない。

4.3.5.8

試験記録 (test notes)   漏れ,振動及びその他加速中のフラットスポットのようなエンジンや装

置の機能不良などに関するすべての運転中の出来事と採用した是正方法を記録用紙に記録しなければなら

ない。


42

W 4601-1996

4.3.5.9

気圧計の読み  気圧計の読みは,温度に対して修正し,3 時間を超えない間隔で読み,記録しな

ければならない。

4.3.5.10

燃料及び滑油データ  4.5.1 及び 4.6.1 の試験の始めと終わり,並びに他の試験で該当するものに

対して,燃料と滑油の試料を採取しなければならない。燃料と滑油の試料は,該当する燃料及び滑油の仕

様書並びに

表 11 の規定に適合していることを確認するために,物理的及び化学的性質を分析しなければな

らない。これらの分析結果は,最終の耐久試験報告書の一部として,さらに,該当する場合には他の試験

報告書にも含めなければならない。

4.3.6

報告書

4.3.6.1

試験報告書  別々のエンジンや構成部品の試験や実証,又はいかなる単一組立品や構成部品に対

して行われた一連の試験や実証の完了の後にも,報告書を提出しなければならない。発注者の代表者が試

験の適正な実施であると証明したこれらの報告書は,個別の試験の承認のための基礎となる。各々の報告

書は,次の項目を含まなければならないが,これに限るものではない。

(a)

表紙(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,日付,著者名及び契約番号)

(b)

表題ページ(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,日付,著者名及び契約番号)

(c)

要約(目的を含む報告書の内容の簡潔な説明)

(d)

目次の表

(e)

付図の一覧表(すべての付図に,図番と見出しを付けること。写真,図表及びグラフは,付図とし

て扱い,図番を付ける必要がある。

(f)

概要(エンジン仕様書の該当箇条を参照しながら,目的,手順,結果,結論及び推奨事項を含む実

施した試験の簡単な要約)

(g)

報告書の本体

(1)

エンジン又は構成部品の簡潔で一般的な説明と,もしあれば,前の型式から異なるすべての特徴

の詳細な説明。

(2)

既に試験の承認を得ている構成部品又は組立品との類似性に基づいて,試験をしないで承認を得

ようとする場合には,その構成部品に対する試験要求事項についての物理的又は機能的な非類似

性又は相違と承認された構成部品の試験報告書の引用句とを含めなければならない。

(3)

試験の方法(試験実施のために使用された試験設備,装置及び方法の一般的な記述)

(4)

試験の記録(すべての試験に関するあらゆる事象と出来事の日付順の履歴で,それにはすべての

漏れ,振動及びその他の異常な機能,並びにすべての調整,修理,部品の交換及びそれに対応す

るすべてのエンジンの運転時間についての詳細も含む。

(5)

結果の解析(故障又は異常な摩耗に対する想定される理由,前の型式との性能の比較,一般的な

作動の解析,及び工学的見地からの重要なあらゆる事項などのすべての試験段階における完全な

記述)

(6)

合格限界を含む校正及び再校正データ(もし該当すれば,無修正及び修正データを適切な曲線で

示さなければならない。3 平面の振動特性の図表は,校正と再校正の運転の両方に対して作成しな

ければならない。

(7)

4.5.3

と 4.6.3 に規定する高空試験に対しては,3.2.1.3 においてエンジンに対して規定される修正方

法を適用してデータを修正しなければならない。

(8)

試験中に読み取ったすべての必要な計器の読みと,すべての要求されている計器の読みの表示デ

ータ。


43

W 4601-1996

(9)

各々の確認された不具合に対して,分解検査におけるエンジン又は構成部品の状態の説明と材料

の不具合の説明を行わなければならない。

(10)

エンジン又は構成部品の試験の承認に関する結論と推奨事項で,それは,また,それらを正当化

するために必要な文書によって補われたもの。

(h)

附属書(承認された最終の試験手順)

4.3.6.2

概要報告書 (Summary Reports)   ここに規定する予備飛行定格要求事項と認定要求事項につい

ての試験完了後に,それぞれに対して概要報告書を作成しなければならない。これらの報告書には,次に

示す項目を必ず含めなければならない。

(a)

表紙(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,日付及び秘密表示)

(b)

表題ページ(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,著者名及び契約番号)

(c)

要約(目的を含む報告書の内容の簡潔な説明)

(d)

目次の表

(e)

概要(各試験の題目,試験報告書番号,試験項目,試験の日時及び結果の一般的な説明を述べる実

施した各試験の簡潔な概要)

(f)

結論と推奨事項

4.4

技術評価試験

4.4.1

客用抽気  耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンには,3.1.2.11 に従って

航空機系統用として供給することができる全圧,全温度及び有効抽気流量を確認するために,ファン又は

圧縮機抽気試験を課さなければならない。海面上,入口空気温度が−54℃  (−65

°F)  から 52℃ (125°F) (最

低 5 種の試験温度)に対して,アイドルから最大出力まで確認を行わなければならない。試験は,有効な

抽気量が加速やエンジン防氷のようなエンジン系統に対して必要な量を超えることを実証する方法で行う。

最終報告書は,予備飛行定格耐久試験を開始する前に提出しなければならない。

4.4.2

エンジンの放熱及び滑油の冷却  滑油系統を含むエンジンの放熱・冷却要求事項のデータは,PFRT

耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンから入手する。このデータには,冷却要求

事項,放熱率並びに種々のエンジン構成部品及びエンジン位置に対し,それに対応する表面温度を含めな

ければならない。装着状態の冷却要求事項を規定するのに必要なデータは,種々のエンジンの作動状態,

抽出馬力,及びエンジン作動範囲全域における抽気状態に対して入手しなければならない。上記の冷却要

求事項に対する報告書は,計算例を含め,3.1.2.8.2 と 3.7.7.3.1 の要求事項に従って提出しなければならな

い。

4.4.3

滑油遮断試験  PFRT 耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンには,滑油遮

断試験を課さなければならない。このエンジンは,滑油ポンプ入口に空気だけを供給し,中間出力に設定

した状態で 30 秒間作動しなければならない。エンジンは,滑油遮断期間中,損傷なく作動し,その後正常

な潤滑に回復させて 30 分間損傷なく作動しなければならない。エンジンは,分解し,損傷が生じていない

ことを確認するため検査をしなければならない。

4.4.4

エンジン電力故障試験  PFRT 耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンは,

3.7.2.2

3.7.4.2 及び 3.7.4.3.1 の規定に適合することを実証するため,以下の試験を受けなければならない。

(a)

中間スラストで 5 分間エンジンを作動させ,制御系統への電力を切ること。エンジンが安定し,通

常得られる最大スラストの 80%以上で 5 分間作動させた後,代替電力に切り替え,5 分間で安定し

た中間スラストに戻すこと。最大連続出力に減速し,エンジンが供給する電力にスイッチを戻すこ

と。


44

W 4601-1996

(b)

加速中,最も過酷な点で制御装置への電力を切ること。

(c)

減速中,最も過酷な点で制御装置への電力を切ること。

(d)

アイドルとそれ以上でエンジンを作動させ,通常供給される外部電力を切り,機能の限界又は喪失

を点検すること。

(e)

エンジンを停止した後,代替電力を入れ,エンジン電力を切って再始動し,アイドルまで加速する

こと。得られる最大スラストまで加速し,そこで 5 分間作動させること。アイドルまで減速し,ア

イドルで 2 分間作動した後停止すること。

4.4.5

エンジン振動調査  3.2.1.4.10 及び 3.3.8.10 の要求事項に適合していることを実証する振動調査を

実施し,報告書を PFRT の耐久試験の開始前に使用機関に報告書を提出しなければならない。振動調査に

は,作動範囲で最も振動の高い点(識別しなければならない。

)と各エンジン定格点で,各加速度計位置と

内部に取り付けられた各加速度計に対して,真の rms 速度スペクトル記録とピーク加速度スペクトル記録

を示すデータを含めなければならない。ただし,それだけに必ずしも限定されるものではない。スペクト

ル記録は,少なくとも 5Hz から 10 000Hz までの振動範囲を示さなければならない。エンジンの重要な構

成部品は,速度と加速度の両スペクトル記録で明らかにしなければならない。速度スペクトル記録から全

周波数域の真速度 rms 値と最大許容全周波数域真速度 rms 値限界を定める方法を記述しなければならない。

4.4.6

始動トルク  PFRT を開始する前に,エンジンは,3.7.9.1.1 の始動トルクと回転速度の要求事項を

実証するために試験を行わなければならない。この実証を行うための手順は,試験開始前に使用機関に提

出し,承認を得なければならない。試験報告書は,PFRT 開始前に使用機関へ提出しなければならない。

4.4.7

修正係数の立証  エンジン性能データを標準状態に換算するときに修正係数を使用する場合には,

性能データを修正するのに使用する修正係数を立証するために必要な範囲の環境状態について,海面上及

び高度試験を行わなければならない。試験報告書は,PFRT の開始前に,使用機関へ提出しなければなら

ない。

4.4.8

整備性及び整備の実証  整備性と整備の実証においては,3.2.4 と 3.5.1 の規定に適合していること

を実証するため,実質的に QT 耐久試験エンジンと同一で,累積運転時間が 300 時間以上をもつエンジン

について,受注者が行わなければならない。実証活動は,個別に取外しができるエンジンモジュールとエ

ンジン構成部品との取外しと交換とに要した時間と手順の実証を含めて,エンジンの完全分解から再組立

までを行わなければならない。この実証中には,エンジンの分解と再組立に使用できる標準工具の範囲,

及びすべての特殊工具の適当性も実証しなければならない。

ボアースコープ,放射線その他の特殊な検査装置を含むエンジン整備用検査装置の実証は,位置や接近

が適切な検査ができるようなものであることを実証するために実施しなければならない。

エンジンの再組立後に,使用機器,点検手順及び許容差の範囲を評価するために,エンジン組立調整手

順(制御装置,ジェットノズル,案内翼など)の実証を行わなければならない。そのほかに,燃料と滑油

のフィルタ,点火プラグ,滑油タンク給油キャップなどのように使用中において,定期的に又は比較的に

高頻度で取外しと交換を必要とするすべての構成部品について,少なくとも 100 回の取外しと再組立を行

わなければならない。

上記実証の完了直後,再組立てしたエンジンは,試験架台に装着し,定常状態と変移状態の性能を確認

するために必要な時間をかけて試験運転を行わなければならない。

4.4.9

材料腐食試験  材料腐食試験は,3.2.5.5 に従って選定された材料と皮膜について行わなければなら

ない。試験後,試験片には反応生成物があってはならない。

4.5

予備飛行定格試験 (PFRT) 


45

W 4601-1996

4.5.1

耐久試験

4.5.1.1

試験前確認事項

4.5.1.1.1

エンジン乾燥質量  校正運転を始める前に,3.2.2.1 に規定されたエンジンの乾燥質量を 4.3.5.2

に従って確認しなければならない。

4.5.1.1.2

出力レバーのトルク  耐久試験を始める前に,出力レバーのトルクを,3.7.2.1.1.2 の立証のため

に測定しなければならない。

4.5.1.2

校正

4.5.1.2.1

温度受感系統の校正  エンジン温度受感系統は,エンジンの作動状態全域にわたって,その適

正な機能及び校正を確認するために台上とエンジン上で検査しなければならない。その性能は,3.7.6.4 

許容範囲と熱応答特性を満足しなければならない。

4.5.1.2.2

エンジン制御系統の校正  4.5.1.2.3 に規定するエンジンの校正を始める前に,すべての燃料ノ

ズル及びエンジン制御系統の構成部品とは,3.7.3.3.1 による試験流体を使って台上校正を行わなければな

らない。系統は,適用する設計仕様書で要求する設計許容範囲に適合しなければならない。

4.5.1.2.3

エンジンの校正  エンジンの校正中の手順は,完成エンジンの性能特性を確立するものでなけ

ればならない。校正を始める前にすべてのエンジン制御装置を調整し,校正の間には再調整をしてはなら

ない。校正は,連続エンジン運転に必要なもの以外の客用補機抽出動力と抽気とがない状態で,始めに行

わなければならない。校正中は,エンジン入口空気は,エンジン定格に対して規定された温度に制御しな

ければならない。4.3.5.4 と 4.3.5.5 における校正で示されたデータを記録しなければならない。校正中に

3.3.6.4

の漏えい要求事項と 3.3.6.5 のエンジン停止ドレン要求事項に適合することを実証しなければならな

い。

また,次のデータを得なければならない。

(a)

エンジン仕様書の

表 の海面上の定格性能の規定に適合していることを立証するために必要なデー

タ。

(b)

  3.2.1.5.6

(スラストの変移特性)と 3.7.9(始動系統)の規定に適合していることを立証するために

必要なデータ。

(c)

最大許容抽気量での項目  “(a)”,“(b)”  の繰り返し。

(d)

使用機関が規定した補機抽出動力の状態で項目  “(c)  の繰り返し。

4.5.1.2.3.1

圧縮機抽気の分析  圧縮機の抽気は,最大連続スラスト運転中に,それぞれの抽出空気出口

からサンプルを採らなければならない。圧縮機の入口に入る空気のサンプルは,抽気サンプルと同時に取

り出さなければならない。サンプルは,汚染レベルが 3.1.2.11.3 で規定する限界内にあるか否かを確認する

ために実験室での分析を通して適正に分類し,処理しなければならない。分析の結果並びに使用した方法

及び試験装置は,エンジン試験報告書に詳細に記述しなければならない。


46

W 4601-1996

4.5.1.3

耐久試験の手順  校正運転に続き,出力レバーを最大スラスト位置に置き,エンジンは,3.2.1.4.5

で規定する最大許容定常状態平均測定ガス温度より少なくとも 8℃ (15

°F)  高い平均定常状態測定ガス温

度を得るように調整しなければならない。この値は,各サイクルの始めに再設定しなければならない。必

要な調整回数を記録しなければならない。エンジンは,1 部及び 2 部に従って各 6 時間の 10 サイクルから

なる耐久試験を受けなければならない。各サイクルは,2 時間停止後始めなければならない。各サイクル

中の試験運転は,定められた順序で行わなければならない。スラストの変化に要した時間は,低い方の出

力設定の持続時間に入れなければならない。すべての出力レバーの動きについては,出力レバーは,0.5

秒以下で進めるか又は戻すか,いずれか該当する方で動かさなければならない。発生スラストは,エンジ

ン制御装置によって設定されたものでなければならない。エンジンが増強スラストを供給しない場合は,

最大スラストは,試験スケジュールを通して,増強スラストの代わりとしなければならない。

2

サイクル目及び 7 サイクル目は,最大許容抽気の状態(客用とエンジン系統)で行い,その他の全サ

イクルは,客用抽気なしで行わなければならない。

滑油圧力は,もし調整可能であれば試験開始時に 3.2.1.4.8 に規定する最大定格エンジン回転速度での最

小定常状態値に,調整しなければならない。それ以上の調整は,使用機関によって認可された場合を除い

て,試験中に行ってはならない。滑油消費量は,各サイクルの後で測定し,報告しなければならない。校

正運転の後と各耐久サイクルの完了時に,滑油のサンプルを採り,分光分析を行わなければならない。い

ずれの一つのサンプルの分析と報告も,

実際のサンプリングから 3 サイクルを超えて遅らせてはならない。

分析のために抜いた滑油は,エンジン滑油消費量とはしないで,同じ量の新しい滑油を補給しなければな

らない。

エンジン制御系統が手動制御を含んでいる場合は,この部分は,耐久試験スケジュールの間に試験しな

ければならない。5 サイクル目及び 10 サイクル目でエンジンは,第 1 部の(a)(e)の運転の際に指定され

た時間を手動モード制御で運転しなければならない。

点火系統は,正規の始動順序が完了した後は,いつでも作動しなければならない。

補機パッドには,定格荷重と片持ちモーメントを課さなければならない。耐久試験中に課した実際のト

ルク荷重と片持ちモーメントは,試験報告書に記載しなければならない。

試験は,次のような二つの部分から構成しなければならない。

第 

第 1 部は,周囲温度にある入口燃料及び空気を使用して,下記に示すスケジュールに従って実施する 8

サイクルから構成しなければならない。

(a)

最大−アイドルスラスト運転  この運転は,出力レバーを最大スラスト位置に置いて 5 分間,及び

アイドル位置に置いて 5 分間の計 10 分間で 6 回の連続する周期からならなければならない。エンジ

ンが防氷装置を備えている場合は,最大スラストでの各周期の終わりに,出力設定を変える前に最

大防氷抽気で 1 分間防氷制御装置を作動させなければならない。

第 5 サイクル及び第 10 サイクルで,

各 5 分間周期のうちの最大で 3 分間は,手動モードで制御し,運転しなければならない。変移デー

タ記録装置は,制御を自動モードから手動モードへ切り換えるときと,手動モードから自動モード

へ戻すとき作動させる。

(b)

回転速度増加運転  この運転は,最大ロータ回転速度とアイドル回転速度状態の間を,おおよそ同

等の回転速度増加となるように各 8 分間の持続時間の 12 段階から構成しなければならない。

本質的

に一定の回転速度で作動しているエンジンに対しては,回転速度の代わりに,スラストを増強しな

い全範囲にわたってスラストを変化させてもよい。顕著なピーク振動点がアイドルと最大回転速度


47

W 4601-1996

の間に,又はスラスト増強をしない範囲のいずれか該当する方のいかなる状態でも存在する場合に

は,選定された増加分の数は,使用機関の判断で,回転速度増加運転の全運転時間の 50%を超えな

い時間まではピーク振動点での運転時間を増加するように変えてもよい。

(c)

推力変移運転  この運転は,次のような 39 分の推力変移運転から構成しなければならない。

(1)

アイドル出力レバー位置で 4 分,最大出力レバー位置で 30±3 秒の二つの周期。

(2)

全体で 6 分で,それぞれが 3 分間の運転からなる二つの周期。各周期は,次のように運転しなけ

ればならない。出力レバーはアイドルスラスト位置に置き,中間出力レバー位置に進めること。

そして,エンジンが最小サージマージン(すなわち,回転速度又はガス温度)の状態に達すると

直ちに,出力レバーをアイドルスラスト位置に戻すこと。

(3)

それぞれ 3 分間の作動からなる二つの周期と最後の周期にアイドルで 2 分を追加し,

全体で 8 分。

各周期は,次のように運転しなければならない。出力レバーをアイドルスラスト位置に置き,最

大出力レバー位置に進め,エンジンが最小サージマージン(すなわち,回転速度又はガス温度)

の状態に達すると直ちに,出力レバーをアイドルスラスト位置に戻すこと(アフタバーナ付きエ

ンジンでは,エンジンがアフタバーナに点火した後最小サージマージンの状態に達すると直ちに,

出力レバーをアイドルスラスト位置に戻すこと。

(4)

それぞれ 3 分間の作動からなる二つの周期と最後の周期に最大定格での 2 分を追加し,全体で 8

分。各周期は,次のように運転しなければならない。出力レバーを最大スラスト位置に置き,ア

イドル出力レバー位置に戻し,エンジンが最小サージマージン(すなわち,回転速度又はガス温

度)の状態に達すると直ちに,出力レバーを最大スラスト位置に進めること(アフタバーナ付き

エンジンでは,エンジンが中間出力レバー位置より下で,最小サージマージンの状態に達すると

直ちに,出力レバーを最大スラスト位置に進めること。

(5)

それぞれ 3 分間の作動からなる二つの周期と最後の周期に中間スラストで 2 分追加し,全体で 8

分。各周期は,次のように運転しなければならない。出力レバーを中間スラスト位置に置き,ア

イドル出力レバー位置に戻すこと。エンジンが最小サージマージン(すなわち,回転速度又はガ

ス温度)の状態に達すると直ちに,出力レバーを中間スラスト位置に進めること。

(d)

逆スラスト運転  この運転は,9 分間の作動からなり,出力レバーの位置と持続時間の順序は,次

のように行わなければならない。1 分間のアイドル,3 分間の最大逆スラスト,1 分間の最大スラス

ト,3 分間の最大逆スラスト及び 1 分間のアイドル。エンジンが逆スラストを供給しない場合は,

この運転中の最大逆スラストを中間スラストに置き換えること。

(e)

中間スラスト運転  この運転は,出力レバーを中間スラスト位置に置く 30 分間からならなければな

らない。5 サイクル目及び 10 サイクル目では,この周期の 26 分間は,手動モードの制御で運転し

なければならない。変移データ記録装置は,制御を自動モードから手動モードへ切り換えるとき,

また手動モードから自動モードへ戻すとき作動させるべきである。

(f)

最大連続スラスト運転  この運転は,出力レバーを最大連続スラスト位置に 20 分間置かなければな

らない。

(g)

中間スラスト運転  この運転は,出力レバーを中間スラスト位置に 15 分間置かなければならない。

(h)

最大連続スラスト運転  この運転は,出力レバーを最大連続スラスト位置に 15 分間置かなければな

らない。

(i)

増強スラスト調整運転  この運転は,次の百分率の増強スラスト(供給される最大と最小の増強ス

ラストの差)を生じる出力レバー位置で,それぞれ 6 分間から構成しなければならない。80,60,


48

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40

,20,及び最小で,この順序を行うこと。この調整は,すべての奇数番号のサイクルに対して上

記に従い,行わなければならない。偶数番号のサイクルでは,スケジュールの順序は逆で,最小ス

ラスト増強での運転から始めなければならない。もし,エンジンがスラスト増強の調整機能を備え

ていなければ,この運転は,中間出力レバー位置と最大出力レバー位置の間に交互に変わる 5 分間

の 6 回の周期から構成しなければならない。もし,エンジンがスラスト増強装置を備えていなけれ

ば,この運転は,中間出力レバー位置と最大出力レバー位置の間を交互に変わる 5 分間の 6 回の周

期からならなければならない。

(j)

最大連続スラスト運転  この運転は,出力レバーを最大連続スラスト位置に 16 分間置かなければな

らない。

(k)

中間−最大スラスト運転  この運転は,中間スラスト位置に出力レバーを置いて 15 分間,続いて最

大スラストに出力を設定した 15 分間から構成しなければならない。エンジンが 15 分間未満に制限

された最大スラスト定格をもっている場合は,最大スラストは,その持続時間内とし,残りの時間

は,中間スラスト位置に出力レバーを置かなければならない。運転中に 5 分間の間隔で,最大防氷

抽気で 1 分間防氷制御装置を作動させなければならない。

第  

この第 2 部は,第 1 部で行ったような始めの 8 サイクルと同じ 6 時間サイクルの 2 回から構成しなけれ

ばならない。ただし,(e)(j)の運転中の作動に対しては,エンジン入口空気とエンジンの周りを通過する

空気は,エンジン定常状態飛行運用範囲内のあらゆる高度と飛行速度条件で飛行中に可能な最大定常状態

よどみ温度に対応する模擬飛行温度状態にならなければならない。(k)の運転中の作動に対しては,エンジ

ン入口空気は,エンジンの飛行作動範囲内のあらゆる高度と飛行速度条件で,飛行中実現できる最大よど

み温度及び圧力に対応する模擬飛行温度及び圧力状態でなければならない。両方の全サイクルにわたり,

入口燃料は,3.7.3.1.3.3 で規定する最小圧力及び最大温度になければならない。運転(e)(k)中の全作動に

対しては,滑油温度は,3.2.1.4.8 に規定する最大滑油温度以上に保持しなければならない。

4.5.1.3.1

始動  最小 60 回の始動を,耐久試験エンジンで行わなければならない。60 回の耐久試験始動

に加えて,5 回の誤始動(着火させないが,始動が成功するような始動手順で,許容エンジンドレン時間

の経過直後に行われるもの。

)と 5 回の再始動(停止から最大 14 分間以内の始動)を行わなければならな

い。全部で 60 回の始動耐久を行うために必要な追加始動は,耐久運転の終わりに行ってもよい。これらの

追加始動中に,エンジンがアイドル回転速度に達した後に,最大連続状態までの急加速は,エンジン出力

レバーをアイドルから最大連続スラスト位置までに 0.5 秒以内で動かすことによって達成しなければなら

ない。エンジンは,最大連続で 30 秒間保持し,それから停止しなければならない。追加始動の間の停止時

間は,最小 45 分から最大 90 分まで変化させなければならない。始動は,使用機関が容認できるスタータ

で実施しなければならない。

4.5.1.4

再校正

4.5.1.4.1

エンジンの再校正  4 5.1.3 と 4.5.1.3.1 で規定する試験の完了後,4.5.1.2.3 と 4.5.1.2.3.1 の要求事

項に従う再校正点検は,耐久試験エンジンで行わなければならない。再校正点検運転は,定格入口温度状

態のもとで,最初の校正中に得られたスラスト値を生じるように調整されたエンジンで行わなければなら

ない。再校正は,試験前データの中で概要が述べられ,さらに,受注者が現地使用のため推奨している洗

浄手順を適用している間に行われる規定された運転の後に実施してもよい。


49

W 4601-1996

4.5.1.4.2

温度受感系統の再校正  エンジンの再校正完了後,エンジン温度受感系統は,4.5.1.2.1 に従っ

て適正な機能と校正を確証するために再点検しなければならない。性能は,3.7.6.4 の許容範囲と熱応答特

性を満足しなければならない。

4.5.1.4.3

エンジン制御系統の再校正  エンジンの再校正完了後,燃料ノズルを含むエンジン制御系統の

全構成部品は,適用する設計仕様書で要求された設計許容範囲の規定に適合することを確認するために台

上再校正を受けなければならない。この再校正に対しては,エンジン制御装置の外部調整は,それらの台

上校正に先立ち,物理的な設定で実施しなければならない。

4.5.1.5

エンジンの分解及び検査  耐久試験を完了したエンジンは,全部品の検査のために完全に分解し

なければならない。洗浄前に,エンジン部品は,漏れ,滑油炭化物,異常な加熱模様及び他の異常状態の

有無を検査するために“洗浄前検査 (Dirty Inspection)”を行わなければならない。

“洗浄前検査”の次にエ

ンジン部品を洗浄し,過度の摩耗又は変形の検査のため,必要に応じて測定を行わなければならない。こ

れらの測定値は,エンジン製造業者の図面の寸法及び公差並びに試験前に行った類似の測定値と比較しな

ければならない。すべての部品は,目視検査と状態の評価からなる“洗浄後検査 (Clean Inspection)”を受

けなければならない。

4.5.1.6

耐久試験の完了  耐久試験は,以下の場合に,満足に完了したとみなすものとする。

○  エンジンが 4.5.1 の耐久試験を完了し,しかも,エンジン校正中に,定常状態測定ガス温度が,最初の

校正で得られた測定ガス温度にエンジン仕様書に規定した最大許容定常状態測定温度と

表 及び表 の定

格性能を得るように規定した最高測定温度との差の 30%の値を加えた値を超えないとき。

○  修正燃料消費率が初期校正値の 102.5%を超えないとき。

○  エンジンが,

校正手順によって点検できるその他のすべての規定された性能要求事項を満足するとき。

○  使用機関の判断によって,試験エンジンと構成部品が,試験の終わりに満足に作動しており,再校正

で過度の性能低下を示さず,また,分解検査で部品の破損が現れず,又は,飛行の安全を危うくするおそ

れがある切迫した故障が見つからないとき。

部品は,60 時間の耐久試験全体を満足に完了するまでは,耐久試験に合格したと判定しない。エンジン

温度の低下と燃料消費率の増加は,同じ定格スラスト値で確認しなければならない。

4.5.2

エンジン構成部品の試験  PFRT の耐久試験に使用されたのと同じ部品表と形態による構成部品に

対し,次の試験を実施しなければならない。

4.5.2.1

既承認の構成部品  構成部品が他のエンジンに使用するため,以前に使用機関によって承認され

ている場合は,

ここで規定する試験を必要とするエンジン構成部品に対しては,

使用機関の随意によって,

これらの試験を行わなくてもよい。すべてのそのような構成部品は,以前に承認された構成部品と同じ部

品表と形態に適合しなければならない。


50

W 4601-1996

4.5.2.2

耐 爆 性 試 験   気 密 に シ ー ル さ れ て い な い 電 気 コ ネ ク タ を 含 む す べ て の 電 気 構 成 部 品 は ,

MIL-STD-810

,方法 511 手順 I に従って耐爆性試験を受けなければならない。試験の間,構成部品には,

最大入力電圧を加え,その最大負荷で連続作動させなければならない。各高度の状態中に,すべての開閉

接点は,少なくとも 10 回作動させなければならない。過電圧電力供給変移状態を各高度の状態で少なくと

も 4 回構成部品に課さなければならない。少なくとも 4 回のこの電力供給変移状態を開閉接点の動作中に

課さなければならない。電力供給変移は,MIL-STD-704 (JIS W 7001)  に規定する回数だけ,過電圧を加え

ることによって行わなければならない。過電圧を加えるために選ばれた 4 点は,次のものの 10%以内の点

を含めなければならない。交流では,rms 値で線・中性点間 150V,140V,130V  及び 125V,又は直流 80V,

60V

,40V 及び 34V。点火構成部品又は系統は,連続的に作動しなければならない。火花点火装置の電極

は,

試験槽内の爆発性蒸気に触れないように装着しなければならない。

電気的に自立できる点火系統には,

電源変移の適用を免除しなければならない。

4.5.2.3

燃料ポンプ高度試験  すべての独立して個々に交換可能な燃料ポンプは,9 144m (30 000ft)  の標

準高度で設計最大エンジン性能に必要な状態に対応する流量と圧力状態で 5 時間作動しなければならない。

この実証試験の間に,蒸気と液体 (V/L) の比 0.45 以上を,ポンプ入口でポンプに課さなければならない。

校正運転によって確認された試験実施中のポンプの性能と性能の劣化とは,適用設計仕様書によって設定

された要求事項に適合し,

エンジン性能に悪影響を及ぼしてはならない。

V/L

の比の定義と計算は,

ARP 492

に基づかなければならない。

4.5.2.4

滑油リザーバの圧力試験  給油キャップを装備しているタンクには,3.7.7.4.1 に従って 30 分間,

正の差圧及び負の差圧を課さなければならない。漏れ又は変形が起こってはならない。

4.5.2.5

耐火試験 (Fire Test)   エンジンとともに供給される滑油タンクを含む可燃性流体を運ぶ管路,

管継手及び構成部品は,3.3.6.1 の規定に適合していることを立証するため,試験を実施しなければならな

い。個々の管路,管継手,構成部品又は組立品は,全エンジン作動範囲にわたり起こり得る最低流量,最

高系統圧力及び最高流体温度で流体を運ばせながら,

ARP 1055

に規定されているとおりに試験を行わなけ

ればならない。もし試験終了時に漏れがなければ,3.3.6.1 の要求事項は,立証されたものとみなさなけれ

ばならない。

4.5.3

高空試験  耐久試験エンジンと同じ部品表と形態に適合するエンジンは,エンジンに対して規定し

た作動限界範囲内の幾つかの選定した状態と少なくとも

図 19 に示すようなエンジン仕様書中に指定する

状態とで,作動及び空中始動試験からなる高空試験を受けなければならない。試験点は,抽出動力,入口

ラム回復度,抽気及び入口ディストーションがエンジンの性能と安定性に与える影響を含めなければなら

ない。試験中に取得し,記録すべきデータは,

表 12 に規定するとおりでなければならない。制御系統の調

整は,発注者の代表者の承認なしに行ってはならない。高空試験は,

表 11 による MIL-T-5624,等級 JP-5

とエンジン仕様書に規定する滑油を用いて実施しなければならない。燃料温度は,すべての予想されるエ

ンジン作動環境を含むに十分な範囲にわたり変化させなければならない。連続点火系統は,始動順序が終

わった後は,いつでも作動状態になければならない。

全周波数域の真の rms 速度の測定値と加速度スペクトル記録は,エンジンケースと補機歯車装置ケース

に装着された個々の加速度計によって,試験のために選んだエンジンの回転速度とスラストにおいて得な

ければならない。選ばれた測定点は,少なくとも高空定格点と作動範囲内で最高のエンジン振動水準が発

生する点とを含めなければならない。エンジンの最も危険な構成部品は,個々のスペクトル記録で識別し

なければならない。


51

W 4601-1996

4.5.3.1

高空エンジン校正  4.5.3.2 に記述した試験の開始前に,エンジンは,4.5.1.2.3 と 4.5.1.2.3.1 に従

って校正しなければならない。この校正の始めに初期調整を行った後は,制御装置の再調整を行ってはな

らない。

4.5.3.2

高空試験手順  各試験点の運転では,エンジンを安定させ,エンジンの性能と作動特性を確証す

るのに十分な時間作動させなければならない。制御系統中に手動制御モードが含まれている場合は,この

特徴を評価し,エンジンの性能と作動特性に及ぼすその影響を試験運転の間に確認しなければならない。

次のデータを得るために,運転を行わなければならない。

(a)

高空定格点  試験条件は,エンジン仕様書の表 の中の高空定格に対して規定されたものでなけれ

ばならない。定格状態での作動と性能特性を確証するために,十分な数のエンジンスラストの設定

が各々の規定高空試験点に対して選定されなければならない。抽気と抽出動力の定常性能へ及ぼす

影響を,各々の規定試験点で取得しなければならない。アイドル,最大連続,中間及び最大スラス

トの設定出力の経過時間対エンジン回転速度,エンジン温度及び燃料流量を,安定性の立証のため

に取得しなければならない。安定性の立証のための時間は,各々の設定出力において最低 5 分でな

ければならない。

(b)

変移作動  3.2.1.5.6 で規定する適用される変移性能,及び 3.1.2.10.3 で規定する変移空気流量性能を

実証しなければならない。変移性能に及ぼす最大抽気と抽出動力との,単独と組合せにおける影響

を確認しなければならない。

(c)

機能試験  エンジンの作動範囲は,作動範囲の端でエンジンを運転することによって立証しなけれ

ばならない。エンジンの定常及び変移特性は,設定出力範囲にわたる各試験点で確認しなければな

らない。入口ディストーションの変移作動と定常状態性能とに及ぼす影響を確認しなければならな

い。エンジン作動特性の確認は,客用抽気と動力の抽出を行う場合と行わない場合について行わな

ければならない。エンジンが増強装置を備えている場合は,増強装置のブローアウト(フレームア

ウト)限界を確認しなければならない。

(d) 

始動及び再始動  エンジン停止後,スタータの補助の有無にかかわらず,エンジンの空中始動と再

始動を,

図 19 に示す各始動試験点で達成しなければならない。

また,自動再点火系統を備えている場合は,この系統を用いて,エンジンの再始動を実証しなけ

ればならない。各再点火試験状態は,四つの設定出力,すなわち,アイドル,最大連続,中間及び

最大で達成しなければならない。試験は,客用抽気と,抽出動力とがある場合とない場合について

行わなければならない。エンジンが増強装置を備えている場合は,増強装置の再始動限界を決めな

ければならない。

4.5.3.3

高空試験の完了  エンジン仕様書の規定に適合することを確認するために,使用機関に容認でき

る方法で,試験中に得られた観測データと規定された性能と作動特性との比較を行わなければならない。

使用機関の判断によって,次の場合には試験は満足に完了したとみなさなければならない。

(a)

最低のエンジン性能が,エンジン仕様書の

表 に規定されたとおりであり,しかも,高空での測定

性能の海面上での測定性能に対する比が,規定する高空性能の規定海面上性能との比以上であると

き。

(b)

試験中行われた高空での始動と変移がエンジン仕様書の要求事項に従っているとき。

(c)

機能試験点で,満足なエンジン作動が実証され,しかも,定格点,高空始動データ及び変移データ

にいかなる不一致も示さないとき。

(d)

試験に対し規定されたディストーションと風車状態のもとで,エンジンが満足に作動するとき。


52

W 4601-1996

4.5.4

細部の試験  PFRT の耐久試験エンジンと部品表及び形態が同じエンジン又は構成部品を,次の試

験に使用しなければならない。

4.5.4.1

エンジン耐圧試験  各エンジンケースと,圧縮機出口圧力を受けるすべてのガス圧力がかかるエ

ンジンの構成部品は,3.3.8.5 の要求事項を立証するために,破壊せずに最大作動圧力の 2 倍まで試験しな

ければならない。これらの試験は,構成部品の最大許容温度で実施するか,又は試験圧力を試験温度にお

ける材料特性に合わせなければならない。

4.5.4.2

ロータの構造完全性

4.5.4.2.1

過回転速度  タービンと圧縮機のロータには,最大許容測定ガス温度で,最大許容定常状態回転

速度の 115%で,少なくとも 5 分間の安定した時間,エンジン運転を課さなければならない。試験後,部

品と組立品は,許容寸法限界内にあり,切迫した故障の兆候があってはならない。

4.5.4.2.2

過昇温度  4.5.4.2.1 の過回転速度試験を成功裏に完了したとき,同じエンジンを最大許容平均

定常状態測定ガス温度より少なくとも 42℃ (75

°F)  高い平均定常状態測定ガス温度で,しかも,最大許容

定常状態回転速度以上で 5 分間作動させなければならない。試験後,部品と組立品は,許容寸法限界内に

あり,切迫した故障の兆候があってはならない。

4.5.4.2.3

ディスク破断試験  エンジンのすべての重要な回転ディスク構成部品については,スピンピッ

ト (spin pit) 試験を行わなければならない。その構成部品は,ボア部の金属が最大設計ボア部金属温度で

最大許容定常状態回転速度の最低 122%まで,故障又は切迫した故障の兆候がなく作動しなければならな

い。

4.5.4.3

エンジン静荷重試験  耐久エンジンの形態のエンジンケースとマウントには,3.1.2.5 と 3.1.2.6 

要求事項を立証するため,静的試験を課さなければならない。エンジンとその支持部について,3.1.2.5 

規定する最大外部力にいかなる構成部品も永久変形することなく耐え,また,それらの力の 1.5 倍でいか

なる構成部品も破損せずに耐える能力を実証するために,適用エンジンの静止構造を利用する静的装置

(static rig)

試験を行わなければならない。この試験では,最大スラスト荷重, “g” 荷重,ジャイロモーメ

ント,トルク及びエンジンの反作用荷重を,別々に及びその後で組み合わせて加える。応力と変位のデー

タは,解析と予備応力皮膜試験で決定された標定箇所で得る。

4.5.4.4

姿勢試験  エンジンは,3.2.1.5.1 と 3.7.7.3 の要求事項に適合することを実証するために,姿勢試

験を受けなければならない。エンジンは,

図 の空白部分内に示す 6 個の試験点の各々で始動し,中間出

力レバー位置で少なくとも 30 分間作動しなければならない。エンジンは,また,

図 の斜線部分内の 2

個の試験点の各々で,中間出力レバー位置で少なくとも 30 秒間作動しなければならない。使用機関の判断

によって,エンジンが満足に始動し,すべての作動限界内に維持され,機械的損傷の証拠がない場合に,

この試験は満足に完了したとみなすものとする。

4.5.4.5

電磁干渉及び妨害感受性試験  耐久試験の開始に先立ち,エンジンのすべての電気及び電子構成

部品又は系統に対し,電磁干渉と妨害感受性試験を行わなければならない。構成部品又は系統は,

MIL-STD-461

に記述される計測装置を使用し,MIL-STD-461 に述べるその機器のクラス 1D に対する要求

事項と試験限界を満足しなければならない。試験は,MIL-STD-462 の方法,手順及び技法に従って実施し

なければならない。

4.6

認定試験 (QT) 


53

W 4601-1996

4.6.1

耐久試験  耐久試験は,次に述べる校正と耐久試験のスケジュール・手順に従って,2 台のエンジ

ンそれぞれについて実施する 150 時間の二つの部分からならなければならない。もしエンジンの仕様書に

2

種類以上の燃料が規定されている場合には,1 台のエンジンについては,1 種類の燃料を用いて試験を行

い,2 台目のエンジンは,他種の燃料を用いて試験しなければならない。

4.6.1.1

試験前確認事項

4.6.1.1.1

エンジン乾燥質量  校正運転を始める前に,3.2.2.1 に規定するエンジンの乾燥質量は,4.3.5.2

に従って確認しなければならない。

4.6.1.1.2

電磁干渉及び妨害感受性試験  耐久試験の開始に先立ち,エンジンのすべての電気及び電子構

成 部 品 又 は 系 統 に つ い て 電 磁 干 渉 及 び 妨 害 感 受 性 試 験 を 行 わ な け れ ば な ら な い 。 エ ン ジ ン は ,

MIL-STD-461

に記述される計測装置を使用し,MIL-STD-461 に述べるその機器のクラス 1D に対する要求

事項と試験限界を満足しなければならない。試験は,MIL-STD-462 の方法,手順及び技法に従って実施し

なければならない。

4.6.1.1.3

出力レバーのトルク  耐久試験の開始に先立ち,3.7.2.1.1.2 を立証するために,出力レバートル

クを測定しなければならない。

4.6.1.2

校正

4.6.1.2.1

温度受感系統の校正  エンジンの温度受感系統を,エンジンの作動範囲全域にわたって適正な

機能と校正を確立するために,台上とエンジンにおいて点検しなければならない。その性能は,3.7.6.4 

規定する許容範囲と熱応答特性を満足しなければならない。

4.6.1.2.2

エンジン制御系統の校正  4.6.1.2.3 に規定するエンジンの校正の開始に先立ち,すべての燃料

ノズル及びエンジン制御系統の構成部品と,3.7.3.3.1 による流体を使って台上の校正を行わなければなら

ない。制御系統は,適用する設計仕様書によって要求される設計許容範囲に適合しなければならない。

4.6.1.2.3

エンジンの校正  エンジン校正中の手順は,完成エンジンの性能特性を確立するようなもので

なければならない。校正の開始に先立ち,すべてのエンジン制御装置を調整し,校正中には再調整しては

ならない。校正は,最初はエンジンの連続運転に必要とされる以外の客用補機抽出動力と抽気流量なしで

行わなければならない。校正の間は,エンジン入口空気は,エンジン定格に対する温度に制御しなければ

ならない。校正に対して 4.3.5.4 と 4.3.5.5 に指示するデータを記録しなければならない。校正の間に,3.3.6.4

の漏れに関する要求事項と 3.3.6.5 のエンジン停止ドレン要求事項に適合していることを実証しなければな

らない。

次のデータを取得しなければならない。

(a)

エンジン仕様書の

表 の海面上定格性能に適合していることを立証するために必要なデータ。

(b)

 3.2.1.5.6

のスラストの変移と 3.7.9 の始動の規定に適合していることを立証するために必要なデータ。

(c)

最大許容抽気量で(a)項及び(b)項を繰り返すこと。

(d)

使用機関が規定した補機抽出動力で(c)項を繰り返すこと。

4.6.1.2.3.1

圧縮機抽気の分析  耐久試験の開始に先立って,圧縮機抽気の分析を実施しなければならな

い。圧縮機の抽気は,最大連続スラスト運転中に,それぞれの抽気出口から抜き取らなければならない。

抽気のサンプルを採ると同時に,圧縮機入口から入る空気のサンプルも採らなければならない。サンプル

は,適正に識別し,その汚染度が 3.1.2.11.3 に規定する限度以内かどうかを確認するために,実験室での分

析を通して処理しなければならない。分析結果,使用した方法及び試験装置は,エンジンの試験報告書に

詳述しなければならない。


54

W 4601-1996

4.6.1.3

耐久試験の手順  校正運転に続いて,出力レバーは,最大スラスト位置に置き,3.2.1.4.5 に規定

する最大許容定常状態平均測定ガス温度より,少なくとも 8℃ (15

°F)  高い平均定常状態測定ガス温度にな

るようにエンジンを調整しなければならない。この値は,各サイクルの開始に当たって再設定しなければ

ならない。必要とした調整の回数を記録しなければならない。

エンジンは,以下に示すスケジュールに従って,6 時間ずつ 25 のサイクルからなる耐久試験を受けなけ

ればならない。各サイクルは,2 時間の停止後行わなければならない。各サイクルにおける試験運転は,

指定の順序に従って行わなければならない。スラスト変化に要した時間は,低い側の設定の時間に入れな

ければならない。すべての出力レバーの作動については,出力レバーは,0.5 秒以内に進めるか,戻すかい

ずれか該当する方に動かさなければならない。発生スラストは,エンジンの制御によって設定されたもの

でなければならない。もし,エンジンが増強スラストを供給しない場合には,試験スケジュールを通して,

増強スラストを最大スラストに換えなければならない。(e)から(j)に至る運転中の作動については,エンジ

ンの入口空気とエンジンの周りを通過する空気は,エンジンの定常状態飛行運用範囲内のいかなる高度と

飛行速度状態においても飛行中に起こり得る最大定常状態よどみ温度に対応する模擬飛行温度状態になけ

ればならない。(k)の運転中の作動については,エンジン入口空気は,エンジンの飛行運用範囲内のいかな

る高度と飛行速度状態においても飛行中に起こり得る最大のよどみ温度と圧力とに対応する模擬飛行温度

と圧力状態になければならない。

入口燃料は,試験を通じて,規定した最低燃料圧力に保持しなければならない。耐久試験の 5 回の連続

したサイクルの間は,燃料温度を 3.7.3.1.3.3 に規定する最高温度に保持しなければならない。

第 4 回,9 回,14 回,19 回及び 24 回のサイクルは,最大許容抽気(客用とエンジン系統)によって達

成しなければならない。ほかのすべてのサイクルは,客用抽気なしとしなければならない。エンジンの連

続運転に必要な抽気量及び上記サイクル中に取る最大許容抽気量並びに抽気温度及び圧力は,試験報告書

中に記述しなければならない。

(e)

から(k)に至る運転中のすべての作動については,滑油温度は,3.2.1.4.8 に規定する最大滑油入口温度

以上の温度に保持しなければならない。滑油圧力は,もし調整可能ならば,試験の開始に当たり最大定格

エンジン回転速度で 3.2.1.4.8 に規定する最小定常値に調整しなければならない。使用機関が認可する場合

を除いては,試験中の再調整を許可してはならない。滑油消費量は,各サイクル後に測定し,報告しなけ

ればならない。滑油のサンプルは,校正運転の後とそれぞれの耐久サイクルの終了時に,採取し,分光分

析を実施しなければならない。いずれの一つのサンプルの分析と報告も,実際のサンプリングから 3 サイ

クルを超えて遅らせてはならない。分析のため排油した滑油は,エンジンの滑油消費量とはしないで,そ

れと等量の新しい滑油を補給しなければならない。

エンジンの制御系統が手動制御を含んでいる場合には,エンジンは,第 5 回目のサイクルごとの(a)及び

(e)

の運転の間,手動モード制御によって指定の時間運転しなければならない。

点火系統は,各サイクルの間,いつでも作動状態になければならない。

補機パッドには,定格荷重と片持ちモーメントを課さなければならない。耐久試験中に課した実際のト

ルク荷重と片持ちモーメントは,試験報告書に記載しなければならない。

試験の間,排気ダクト,入口ダクト及び抽気ダクトの接続部には,エンジン仕様書に規定するとおりに

負荷しなければならない。

エンジンに赤外線抑止系統が装備されている場合には,(e)(f)の運転中に,連続的にそれを作動させな

ければならない。エンジンが,燃料加熱器,表示灯及びスイッチ機能のような特殊な特徴をもっている場

合には,これらの部品は,使用機関が承認した詳細試験手順に規定されているとおりに,選定した試験運


55

W 4601-1996

転中に作動させなければならない。エンジンにエンジン状態の監視系統を組み込んでいる場合には,その

系統は,耐久試験を通じて,作動状態になければならない。

各サイクルは,次の運転によって構成しなければならない。

(a)

最大−アイドルスラスト運転  この運転は,出力レバーを最大スラスト位置にして 5 分間,及びア

イドル位置にして 5 分間の計 10 分間で 6 回連続する周期から構成しなければならない。

エンジンが

防氷装置を備えている場合には,最大スラストでの各周期の終わりに,出力設定を変える前に最大

防氷抽気で 1 分間防氷制御装置を作動させなければならない。5 回,10 回,15 回,20 回及び 25 回

目のサイクルでは,最大スラストでの各 5 分間のうち 3 分間は,手動モードによる制御で運転しな

ければならない。変移データ記録装置は,制御を自動モードから手動モードに切り換えるときと,

手動モードから自動モードに戻すときに,作動させる。

(b)

回転速度増加運転  この運転は,最大ロータ回転速度とアイドル回転速度の間で,同等の回転速度

増加となるように各 8 分間の持続時間の 12 段階から構成しなければならない。本質的に一定な回転

速度で作動しているエンジンに対しては,回転速度の代わりに,スラスト増強をしない全範囲にわ

たってスラストを変化させてもよい。顕著なピーク振動点がアイドルと最大回転速度の間に,又は

スラスト増強をしない範囲のいずれか該当する方のいかなる状態でも存在する場合には,選定され

た増加分の数は,使用機関の随意によって,回転速度増加運転の合計時間の 50%を超えない時間ま

では,ピーク振動点での運転時間を増加するように変えてもよい。

(c)

推力変移運転  この運転は,次のような 39 分間の推力変移運転から構成しなければならない。

(1)

アイドル出力レバー位置で 4 分間,最大出力レバー位置で 30±3 秒の二つの周期。

(2)

それぞれ 3 分間の運転からなる 2 周期で計 6 分間。各周期は,次のように運転しなければならな

い。出力レバーをアイドルスラスト位置にし,次に中間出力レバー位置に進め,エンジンが最小

サージマージンの状態(すなわち,回転速度又はガス温度)に達すると直ちに,出力レバーをア

イドルスラスト位置に戻す。

(3)

それぞれ 3 分間の運転からなる 2 周期で,最後の周期の次にはアイドルで 2 分間追加し,合計 8

分間。各周期は次のように運転しなければならない。出力レバーをアイドルスラスト位置にし,

次に最大出力レバー位置に進め,エンジンが最小サージマージンの状態(すなわち,回転速度又

はガス温度)に達すると,直ちに出力レバーをアイドルスラスト位置に戻す(アフタバーナ付き

エンジンについては,アフタバーナに点火後エンジンが最小サージマージンの状態に達すると直

ちに,出力レバーをアイドルスラスト位置に戻す。

(4)

それぞれ 3 分間の運転からなる二つの周期で,最後の周期の次には最大出力レバー位置で 2 分間

追加し,合計 8 分間。各周期は次のように運転しなければならない。出力レバーを最大スラスト

位置にし,次にアイドル出力レバー位置に戻し,エンジンが最小サージマージンの状態(すなわ

ち,回転速度又はガス温度)に達すると直ちに,出力レバーを最大スラスト位置に進める(アフ

タバーナ付きエンジンについては,エンジンが中間出力レバー位置より下で,最小サージマージ

ンの状態に達すると直ちに,出力レバーを最大スラスト位置に進める。

(5)

それぞれ 3 分間の運転からなる二つの周期と最後の周期の次には中間位置で 2 分間追加し,合計 8

分間。各周期は,次のように運転しなければならない。出力レバーを中間スラスト位置にし,次

にアイドル出力レバー位置に戻し,エンジンが最小サージマージンの状態(すなわち,回転速度

又はガス温度)に達すると直ちに,出力レバーを中間スラスト位置に進める。

(d)

逆スラスト運転  この運転は,次のような出力レバー位置と持続時間の順序で 9 分間の作動から構


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W 4601-1996

成しなければならない。1 分間のアイドル,3 分間の最大逆スラスト,1 分間の最大スラスト,3 分

間の最大逆スラスト及び 1 分間のアイドル。エンジンが逆スラストを供給しない場合には,この運

転において,最大逆スラストを中間スラストに置き換える。

(e)

中間スラスト運転  この運転は,出力レバーを中間スラスト位置に置く 30 分間から構成しなければ

ならない。5 回,10 回,15 回,20 回,及び 25 回目のサイクルにおいては,この周期のうちの 26

分間は手動モードの制御で運転しなければならない。変移データ記録装置は,燃料制御装置を自動

モードから手動モードへ切り換えるとき,

また手動モードから自動モードへ戻すとき,

作動させる。

(f)

最大連続スラスト運転  この運転は,出力レバーを最大連続スラスト位置に置く 20 分間から構成し

なければならない。

(g)

中間スラスト運転  この運転は,出力レバーを中間スラスト位置に置く 15 分間から構成しなければ

ならない。

(h)

最大連続スラスト運転  この運転は,出力レバーを最大連続スラスト位置に置く 15 分間から構成し

なければならない。

(i)

増強スラスト調整運転  この運転は,次の百分率の増強スラスト(供給される最大と最小の増強ス

ラストの差)を生じる出力レバー位置での 6 分間から構成しなければならない。80,60,40,20 及

び最小で,この順序で行う。奇数回目のサイクルについては,上記の順序に従って調整を実施しな

ければならない。偶数回目のサイクルについては,スケジュールの順序は逆で,最小スラスト増強

での運転から始めなければならない。

もしエンジンがスラスト増強の調整装置を備えていなければ,

この運転は,中間出力レバー位置と最大出力レバー位置の間に交互に変わる 5 分間の 6 回の周期か

ら構成しなければならない。もしエンジンがスラスト増強装置を備えていなければ,この運転は,

中間出力レバー位置と最大出力レバー位置の間で交互に変わる 5 分間の 6 回の周期から構成しなけ

ればならない。

(j)

最大連続スラスト運転  この運転は,出力レバーを最大連続スラスト位置に置く 16 分間から構成し

なければならない。

(k)

中間−最大スラスト運転  この運転は,出力レバーを中間スラスト位置に置いて 15 分間,次に出力

を最大スラストに設定した 15 分間から構成しなければならない。エンジンが 15 分間未満の時間に

制限された最大スラスト定格をもっている場合には,最大スラストは,その持続時間内とし,残り

の時間は,出力レバーを中間スラスト位置に置かなければならない。運転中に 5 分間の間隔で,最

大防氷抽気で 1 分間,防氷制御装置を作動させなければならない。

4.6.1.3.1

始動  最小 200 回の始動を,耐久試験エンジンにおいて行わなければならない。耐久試験の 200

回の始動に加えて 10 回の誤始動(着火させないが,始動が成功するような始動手順で,許容エンジンドレ

ン時間の経過直後に行われるもの。

)と,10 回の再始動(停止から最大 14 分間以内の始動)を行わなけれ

ばならない。耐久試験における始動を合計 200 回まで行うために必要な追加の始動は,耐久試験の終わり

に行ってもよい。これらの追加の始動中に,エンジンがアイドル回転速度に達した後,最大連続状態への

急加速は,エンジン出力レバーをアイドルから最大連続スラスト位置まで 0.5 秒以内で動かすことによっ

て達成しなければならない。エンジンは,30 秒間最大連続スラストに保ってから停止しなければならない。

追加始動の間の停止時間は,最小 45 分から最大 90 分まで変化させなければならない。始動は,使用機関

が容認できるスタータを用いて実施しなければならない。

4.6.1.4

再校正


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W 4601-1996

4.6.1.4.1

エンジンの再校生  4.6.1.3 と 4.6.1.3.1 に規定する試験の完了後,4.6.1.2.3 と 4.6.1.2.3.1 の要求事

項に従った再校正点検を耐久試験エンジンにおいて行わなければならない。再校正点検運転は,定格入口

温度条件のもとで最初の校正の間に得られたスラスト値を生じるように調整されたエンジンについて行わ

なければならない。この再校正は,試験前のデータ中に概略が述べられ,受注者が現地使用のために推奨

している洗浄手順を適用している間に行われる規定された運転の後に実施してもよい。

4.6.1.4.2

温度受感系統の再校正  エンジンの再校正完了後,エンジン温度受感系統は,4.6.1.2.1 に従っ

て適正な機能と校正を確立するために,再点検しなければならない。その性能は 3.7.6.4 の許容範囲と熱応

答特性を満足しなければならない。

4.6.1.4.3

エンジン制御系統の再校正  エンジンの再校正完了後,燃料ノズルを含むエンジン制御系統の

すべての構成部品は,適用する設計仕様書で規定された許容使用限界の規定に適合していることを確認す

るために,台上再校正を受けなければならない。この再校正に対しては,エンジン制御装置の外部調整は,

これらの台上校正に先立ち,物理的な設定で実施しなければならない。

4.6.1.5

エンジンの分解及び検査  150 時間の耐久試験を完了した各エンジンは,全部品の検査のため,

完全に分解しなければならない。洗浄に先立って,エンジン部品は,漏れ,滑油炭化物,異常な加熱模様

及びその他の異常な状態の有無を検査するために,洗浄前検査を行わなければならない。洗浄前検査に引

き続いて,エンジン部品を洗浄し,過度の摩耗又は変形を検査するために必要に応じて測定を行わなけれ

ばならない。これらの測定値は,エンジン製造業者の図面の寸法と公差,さらに,試験に先立って行った

同様な測定値と比較しなければならない。次に全部品は,目視検査と状態の評価からなる洗浄後検査を受

けなければならない。

4.6.1.6

エンジンの再組立及び再試験  洗浄後,分解検査に引き続いて,それぞれのエンジンは,再組立

てし,4.6.1.24.6.1.3 及び 4.6.1.4 に従って 2 回目の耐久試験を受けなければならない。2 回目の耐久試験

が完了した時点で,各エンジンは 4.6.1.5 に従って 2 回目の分解検査を受けなければならない。

4.6.1.7

耐久試験の完了  耐久試験は,以下の場合に,満足に完了したとみなす。すなわち,両方のエン

ジンが 4.6.1 の耐久試験の両方の試験を完了し,最終的な各エンジン再校正の間に,定常状態測定ガス温度

が初期の校正で得られた測定ガス温度に,エンジン仕様書に規定された最大許容定常状態測定温度と,

1

及び

表 の定格性能を得るように規定された最大測定温度との差の 30%を加えた値を超えないとき。

修正燃料消費率が,初期の校正値の 102.5%を超えないとき。

エンジンが校正手順によって点検し得るその他のすべての規定性能要求事項を満足するとき。

使用機関の判断で,試験エンジン及び構成部品が試験の終わりに満足に作動しており,再校正で過度の

性能低下を示さず,分解検査で部品の破損や切迫した故障を示さないとき。部品は,150 時間の耐久試験

を両方とも満足に完了するまで,耐久試験に合格したとは判定しないものとする。エンジン温度の上昇と

燃料消費率の増加は,同じ定格スラスト値において確認しなければならない。

4.6.2

エンジン構成部品の試験  エンジン仕様書の 3.1.3 であげられているすべての構成部品について,

次の試験を実施しなければならない。すべての構成部品は,耐久試験エンジンに使用されたものと同じ部

品表と形態に適合しなければならない。

4.6.2.1

既承認の構成部品  ここに規定する試験を必要とするエンジン構成部品は,もしその構成部品を

他のエンジンに使用することが,既に使用機関によって承認されている場合には,使用機関の随意によっ

てこれらの試験を中止してもよい。すべてのそのような構成部品は,既に承認された構成部品と同じ部品

表と形態に適合させなければならない。


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W 4601-1996

4.6.2.2

構成部品の模擬運転試験  次の試験は,燃料系統,点火系統,エンジン防氷系統,油圧系統並び

に温度受感構成部品及び作動構成部品を含むエンジン制御系統に関連する。試験は,記載した順序で行わ

なければならない。すべての模擬運転試験は,エンジンにおける通常の関係と機能を模擬するように配置

し,結合した関連する構成部品のグループからなる同じ試験組立品について行わなければならない。しか

し,ある系統の部分組立品又は構成部品は,もしそれを分離することが,構成部品又は部分組立品の完全

な機能を模擬することを妨げないならば,別々に試験してもよい。できる限り,構成部品は,エンジンに

取り付けられているのと同じように正規の位置に取り付けなければならない。いかなる調整も,構成部品

の校正の後には行ってはならない。

4.6.2.2.1

構成部品の校正  模擬運転試験の開始に先立って,入力と出力の関係を確立する機能をもった各

構成部品を校正しなければならない。校正は,エンジンにおける構成部品のエンジンの定常状態及び動的

状態の全運転範囲にわたるように十分広範囲なもので,また,構成部品が設計の許容範囲に適合している

ことを示さなければならない。エンジン制御用構成部品は,構成部品試験手順に述べる精度,安定性及び

応答性の要求事項に適合していることを示さなければならない。それぞれの校正は,記録しなければなら

ない。校正を受けない構成部品は,満足に機能を果たすことを実証するために,通常の作動条件のもとで

作動させなければならない。

4.6.2.2.2

構成部品試験の手順  試験の開始に先立って,すべての構成部品は,滑油,グリースその他の

腐食防止剤を洗浄しなければならない。試験組立品又は構成部品には,エンジン上で受ける荷重を模擬し

た作動荷重を課さなければならない。各構成部品の性能を示すためと,適用される試験スケジュールが要

求するとおりに構成部品相互の機能上の関係が維持されていることを示すために,十分な計装を行わなけ

ればならない。校正した構成部品が,許容使用限界を超えてその校正が変化していないことと,校正され

なかった構成部品の機能が低下していないことを示すために,

各々の試験又は一連の試験の終わりの時点,

又は受注者の随意によって他の時点で,機能の点検を行わなければならない。すべての構成部品には,通

常それらに使用するか,又は接触しているような流体を供給しなければならない。ただし,通常燃料に接

触している構成部品には,個別の試験に対して規定されている試験流体を供給しなければならない。すべ

ての軸駆動補機は,駆動パッドで最大許容軸方向偏心と角度のずれがある状態で作動させなければならな

い。

4.6.2.2.3

構成部品試験のサイクル  燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除くすべてのエンジ

ン構成部品は,受注者によって定められ,試験前のデータとして使用機関に提出された試験サイクルを課

さなければならない。試験サイクルは,次の要求事項と矛盾してはならない。

(a)

各構成部品は,それぞれのサイクル中に少なくとも 1 回はその機能の最大の範囲を通過しなければ

ならない。

(b)

試験組立品中の構成部品は,エンジンにおけるそれらの正規の運転順序で機能を果たさなければな

らない。

(c)

サイクルは,試験組立品又は構成部品に対する模擬入力を変化させることによって制御しなければ

ならない。出力レバー位置のような操縦者が制御する入力は,それらの範囲一ぱいにわたって一段

階で変化させ,かつ,すべての変数が要求値に達するまでは再び変化させてはならない。エンジン

が与える入力は,構成部品の出力に対する通常の関係で変化させなければならない。

(d)

高空圧力のような,他の制御入力から実質上独立している入力変数は,これらの独立変数のそれぞ

れの値において,あらゆる構成部品が結果的にその機能のそれぞれの部分を達成するために,基本

的な機能上のサイクルより速いか又は遅い速度で周期変化させなければならない。


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W 4601-1996

(e)

ある作動モードから他の作動モードへの手動又は自動の変換手段が講じられている場合には,サイ

クル中に変換を行うためにこの手動又は自動手段を使わなければならない。

(f)

エンジンがその運転限界を超えることを防ぐために設計されているが,正常な運転では作動しない

構成部品は,その入力変数をその作動を必要とする値の範囲に到達させることによって,それぞれ

のサイクルで少なくとも 1 回は作動させなければならない。

4.6.2.2.3.1

燃料ポンプの試験サイクル  燃料ポンプの試験に使うサイクルは,ここに規定するとおりで

なければならない。燃料流量は,燃料ポンプへの入口で測定する。燃料圧力は,ポンプの入口と出口の両

方で測定する。ポンプの回転速度,加速燃料流量及びその他の規定されていない変数は,過渡的な外乱に

対して正常に応答することを妨げてはならない。過渡変化は,規定された定常燃料流量表状態を達成する

ために,通常の系統に対する入力を変えることによって達成しなければならない。ポンプの入力から実質

上独立している高度,圧力,燃料温度などの入力変数は,これらの独立変数のそれぞれの値において,ポ

ンプが結果的にその機能のそれぞれの部分を達成するために,基本的な機能上のサイクルより速いか又は

遅い速度で周期的変化をさせなければならない。試験組立品の中の燃料ポンプは,エンジンにおけるのと

同様にほぼその正規の作動順序で機能を果たさなければならない。二重の要素,すなわちバックアップポ

ンプ系統のような特殊な非常用の装置をポンプが含んでいる場合には,これらの装置は,4.6.2.2.6(b)にお

ける 300 時間に加えて,室温で 100 時間の周期的変化をさせる。

(a)

定容量形ポンプについては,サイクルは,次に規定するとおりでなければならない。各 12 分間のサ

イクルのうち 10 分間は,認定運転時間である。過渡状態について以下に規定された時間は,認定運

転時間には入れてはならない。

(1)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大

流量の 0%から 60%まで,回転速度及び(又は)流量を 45±5 秒間に直線的に増加し,さらに,

この点で 2 分間保持すること。スラスト増強モードはオフにする。

(2)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大

流量の 60%から 100%まで,回転速度及び(又は)流量を 25±5 秒間に直線的に増加し,さらに,

この点で 2 分間保持すること。スラスト増強モードはオンにする。

(3)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大

流量の 100%に,回転速度及び(又は)流量を 1 分間保持すること。スラスト増強モードはオフに

する。

(4)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大

流量の 100%から 90%まで,回転速度及び(又は)流量を,10±5 秒間に直線的に減少し,さらに,

この状態を 1 分間保持すること。スラスト増強モードはオフにする。

(5)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大

流量の 90%から 60%まで,回転速度及び(又は)流量を,15±5 秒間に直線的に減少し,さらに,

この点で 2 分間保持すること。スラスト増強モードはオフにする。

(6)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大

流量の 60%から 0%まで,回転速度及び(又は)流量を,45±5 秒間以内に直線的に減少し,さら

に,最低 2 分間停止状態を保つこと。スラスト増強モードはオフにする。

(b)

可変流量又は可変容量形燃料ポンプについては,10 分間の認定運転時間をもつ試験サイクルをエン

ジン受注者が試験前データ中に定めて,使用機関に提出しなければならない。このサイクルにおい

ては,すべてのバルブ,クラッチ及びその他ポンプのいかなる可変流量又は可変容量の特徴も,そ


60

W 4601-1996

れらの正常な作動を模擬させるような方法で周期変化させなければならない。

4.6.2.2.3.2

エンジン制御系統の試験サイクル  エンジン制御系統は,その主要な機能がエンジンを制御

することである構成部品のグループとみなさなければならない。エンジン制御系統が必要とするすべての

入力装置又は感知器は,試験の中に含めなければならない。受注者は,次の要求事項と矛盾しない 10 分間

のサイクルを定め,試験前のデータ中に記載し,使用機関に提出しなければならない。

(a)

すべての入力変数は,試験前のデータ中に述べるサイクルに従って周期変化させなければならない。

それぞれの制限機能は,10 サイクルごとに少なくとも 1 回は,設計が要求するとおりの制限を与え

ることを実証しなければならない。

(b)

エンジンから独立している入力変数(エンジン前面の全温や全圧など)は,あらゆる構成部品がこ

の独立変数のそれぞれの値で,その機能の各部分を結果的に達成させるために,その基本的な機能

上のサイクルより速いか又は遅い速度で周期変化させなければならない。

(c)

サイクルは,試験組立品又は構成部品に対する模擬入力を変化させることによって制御しなければ

ならない。操縦者が制御する入力(出力レバー位置など)は,それらの範囲の極限まで 1 回の変化

で変え,しかも,すべての変数がそれらの要求値に達するまでは,再び変化させてはならない。エ

ンジンが与える入力は,構成部品の出力に対して通常の入力の関係において変化させなければなら

ない。

(d)

ある運転状態から他の状態への自動変換装置が装備されている場合には,サイクル中に変換を実行

するためにその自動装置を使用しなければならない。

試験前のデータには,周期変化する入力,各入力に対応する範囲及び試験で用いる手順の一覧表

を含めなければならない。燃料圧力や抽気量の変動などのかく乱作用を,入力のリスト中に含めな

ければならない。試験の全期間にわたり,時間に対する入力と出力の変数を記録した連続的なデー

タを取得しなければならない。

4.6.2.2.3.3

点火系統の試験サイクル  内蔵式点火系統又は試験用構成部品組立品を,次のような 4 時間

のスケジュールに従って試験しなければならない。

これらの試験のために,

最小と最大の電圧と周波数は,

点火系統に満足に機能を果たさせることに対して,エンジンに許される極限状態に対応しなければならな

い。エンジンの受注者は,点火系統の出力特性を,試験報告書の中に示さなければならない。点火系統は,

エンジンに用いられているのと同じ本数の点火装置を連結して試験しなければならない。点火装置は,適

当な槽(チャンバー)内に取り付け,この槽は,試験前のデータ中に規定する速度で空気又は窒素で清浄

にしなければならない。槽の圧力は,最低の風車圧力からエンジン飛行範囲内で点火装置が遭遇する最大

圧力までのエンジンの内部圧力を模擬するように調整しなければならない。完成した点火系統を,高温試

験中に, (95±5)%の相対湿度の条件を模擬するような適当な槽内に置かなければならない。点火系統は,

下にあげたスケジュールに従って,試験しなければならない。

(a)

連続作動点火系統  連続始動及びスラスト増強装置の点火系統は,規定されたスケジュールに従っ

て同時に周期変化させなければならない。

始動点火系統については,それぞれのサイクルは,次のものから構成しなければならない。

オン

オフ

(1)

定格電圧

1

時間 20 分

(2)

最高電圧 40 分 20 分

(3)

最低電圧 30 分 20 分

(4)

定格電圧 40 分 10 分


61

W 4601-1996

連続的に作動するスラスト増強装置の点火系統については,それぞれのサイクルは,次のもの

から構成しなければならない。

オン

オフ

(1)

定格電圧

5

分 20 分

(2)

定格電圧

5

5

(3)

定格電圧

5

分 40 分

(4)

最高電圧

5

分 15 分

(5)

最高電圧

5

5

(6)

最高電圧

5

分 25 分

(7)

最低電圧

5

分 10 分

(8)

最低電圧

5

分 30 分

(9)

最高電圧

5

5

(10)

最高電圧 25 分 15 分

(b)

断続的点火系統  断続的なスラスト増強装置の点火系統は,次のスケジュールに従って周期変化さ

せなければならない。

条件

オン

オフ

繰返し回数

(1)

最低電圧 30 秒

4

2

1

分 4

(2)

最高電圧 30 秒

4

2

1

分 4

(3)

最高電圧

5

5

分 1

(4)

定格電圧

5

5

分 1

(5)

最低電圧

5

5

分 2

(6)

定格電圧

1

2

分 7

(7)

最低電圧

5

5

分 2

(8)

最低電圧

5

4

分 1

(9)

最高電圧 30 秒

4

2

1

分 6

(10)

最低電圧

5

5

分 1

(11)

最高電圧

5

5

分 1

(12)

 10

分間オフ

(13)

最高電圧

1

4

分 4

(14)

 10

分間オフ

(15)

定格電圧

5

5

分 2

4.6.2.2.4

促進老化  構成部品の校正を完了した後,非金属部品を含むすべての構成部品は,空気炉中で

乾燥した状態に置き,最小 168 時間,71℃ (160

°F)  以上の周囲温度に保持しなければならない。構成部品

は,個々に又は試験組立品の中で,老化させてもよい。

4.6.2.2.5

高温  促進老化を完了したうえで,必要な試験組立品は組み立て,各試験組立品又は構成部品

は,次の項目に規定するように作動させなければならない。通常,燃料に触れている構成部品は,エンジ

ン仕様書に規定している少なくとも 25%の芳香族化合物含有量をもつ燃料を供給しなければならない。必

要な芳香族化合物含有量に達するため,燃料にトルエンを加えてもよい。

(a)

エンジン構成部品(燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除く。)  各試験組立品又は構成

部品は,100 時間又は 600 サイクルのどちらか長い期間の方で,適切な試験サイクルに従って作動


62

W 4601-1996

させなければならない。一つの構成部品がエンジン耐久試験の高温部分を通して,その構成部品の

制限温度にさらされている場合には,この高温試験は,20 時間又は 120 サイクルのどちらか長い期

間の方に減少しなければならない。このサイクル中,周囲温度と流体温度は,次のように保持しな

ければならない。

(1)

周囲温度は,71℃ (160

°F)  に 60 分間保持しなければならない。それから,周囲温度は,1 分以内

に,エンジン仕様書に規定する構成部品の最高温度まで上昇し,この温度に 120 分間保持しなけ

ればならない。それから周囲温度は,5 分以内に 71℃ (160

°F)  へ戻さなければならない。この手

順は,試験の完了まで繰り返さなければならない。

(2)

通常燃料に触れている構成部品には,3.7.3.1.3.3 に規定する最高温度に制御されている燃料を供給

しなければならない。

(3)

冷却又は制御のために使用する他の流体は,それらの最高許容温度に保持しなければならない。

(b)

燃料ポンプ  各燃料ポンプは,4.6.2.2.3.1 に規定する試験サイクルに従って,100 時間又は 600 サイ

クルのどちらか長い期間の方で作動させなければならない。このサイクル中では,周囲温度と流体

温度は,上記(a)で述べたとおりに保持しなければならない。

(b)

エンジン制御系統  エンジン制御系統は,4.6.2.2.3.2 に従って,100 時間又は 600 サイクルのどちら

か長い期間の方で作動させなければならない。このサイクル中では,周囲温度と流体温度は,上記 

(a)

で述べたとおりに保持しなければならない。

(d)

点火系統  点火系統は,3.1.2.8.1 で指定する構成部品最高制限温度で,4.6.2.2.3.3 で概説した該当ス

ケジュールに従って,300 時間のサイクルを作動させなければならない。各サイクル後,3.1.2.8.1(c)

の要求事項に対応する温度条件で,2 時間停止を行わなければならない。試験の終わりに,絶縁抵

抗,過電圧能力及び点火装置出力エネルギーを点検しなければならない。

4.6.2.2.6

室温耐久  各試験組立品又は構成部品には,次の項目に従って,機能サイクル試験を課さなけ

ればならない。通常燃料に触れている構成部品を含む試験組立品には,流体タンクの下流で少なくとも

3.7.3.3.2

で規定する汚染要因物質量で汚染された TT-S-735 タイプ I の規定に適合する流体を供給しなけれ

ばならない。固形の汚染要因物質は,再循環させてはならない。上記の試験中には,燃料フィルムは,も

しエンジン燃料系統に設けてある場合には,エンジン製造業者が推奨するとおりに,しかも,累積燃料流

量が中間定格スラストでの 12 時間の連続作動において得られる累積燃料流量以上に相当する流量を示す

間隔で,保守しなければならない。

抽気を利用するか,又は空気圧入力信号を必要とする構成部品は,エンジン作動範囲全域を通して起こ

る圧力と温度に対応する圧力と温度の値の空気にさらさなければならない。試験の最初の 1 時間目とそれ

に続く各 10 時間目において,この空気は,次のように汚染されなければならない。

エンジン滑油の 3 質量 ppm。

空気の 0.2 質量 ppm の塩濃度(塩は 4%水溶液を使用して導入しなければならない)

1 013hPa (29.92inHg) {760mmHg}

の周囲圧力で,52℃で空気を飽和させた蒸留水。

粉砕された石英,石英の質量 1.46×10

4

kg (lb)

/空気質量 1kg (lb)

粒度

µm

含有率%

 0

-

5

39

±2

5-10 18

±3

10-20 16

±3

20-40 18

±3

40-80 9

±3


63

W 4601-1996

(a)

エンジン構成部品(燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除く。)  各試験組立品又は構成

部品には,少なくとも 300 時間又は 1 800 サイクルのどちらか長い期間の方で,機能サイクル試験

を課さなければならない。この試験サイクルは,4.6.2.2.3 に従わなければならない。周囲温度又は

流体温度の制御は,この試験中に要求してはならない。

(b)

燃料ポンプ  燃料ポンプには,少なくとも 300 時間又は 1 800 サイクルのどちらか長い期間の方で

機能サイクル試験を課さなければならない。試験サイクルは,4.6.2.2.3.1 に従わなければならない。

周囲温度又は流体温度の制御は,この試験中に要求してはならない。この試験中に,各組立品の最

初のポンプの入口圧力は,燃料の真の蒸気圧力プラス 34.5kPa の圧力 (5psi) {35kgf/cm

2

}

を超えては

ならない。

(c)

エンジン制御系統  エンジン制御系統は,4.6.2.2.3.2 に従って,300 時間又は 1 800 サイクルのどち

らか長い期間の方で作動させなければならない。耐久試験を始める前に,エンジン制御系統は,保

管のための準備に使われたあらゆる腐食防止剤を洗浄しなければならない。次の手順は,室温耐久

試験に適用する。

(1)

エンジン制御系統は,サイクル耐久の前に,120 時間清浄な水蒸気の高湿度雰囲気と高温中[(95

±5)%相対湿度と 60±4℃ (140±10

°F)]にさらさなければならない。

(2)

4.6.2.2.3.2

によって,100 時間又は 600 サイクルのどちらか長い期間の方で,エンジン制御系統を

作動させる。温度と湿度の制御は必要としない。

(3)

温度を 120 時間 21±4℃ (70±10

°F)  にすることを除いて,(1)を繰り返す。

(4)

(2)

を繰り返す。

(5)

(1)

を繰り返す。

(6)

(2)

を繰り返す。

(d)

点火系統  点火系統は,4.6.2.2.3.3 で示す該当スケジュールに従って,周囲温度が 38℃ (110

°F)  と

16

℃ (60

°F)  の間で,100 時間のサイクルを作動させなければならない。

4.6.2.2.7

低温  室温耐久試験の完了後に,各試験組立品又は構成部品は,最低 10 時間,−54℃  (−65

°F)

未満の周囲温度に浸せきしなければならない。浸せきが完了した後に,各試験組立品又は構成部品を,次

に詳述するように作動させる間,浸せき温度を−54℃  (−65

°F)  に保持しなければならない。全低温試験

中,TT-S-735  タイプ I の規定に適合する流体は,通常燃料と接触している各試験組立品又は構成部品の部

品中に存在しなければならない。各サイクル期間に先立って,試験流体温度は,−54℃  (−65

°F)  未満に

低下させなければならない。その他の流体温度は,類似の周囲状態での使用作動において予想されるよう

に上昇させてもよい。もしサイクル期間の完了前に,−34℃  (−30

°F)  に達したならば,サイクルは停止

し,流体の温度が−54℃  (−65

°F)  未満に低下したとき,再始動しなければならない。

(a)

エンジン構成部品(燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除く。)  各組立品又は構成部品

には,少なくとも合計 20 時間又は 120 サイクルのどちらか長い期間の方で機能サイクル試験を課さ

なければならない。試験は,4.6.2.2.3 で明確にした各運転の作動サイクルの順序で,少なくとも 10

回の別々の運転から構成しなければならない。

(b)

燃料ポンプ  燃料ポンプには,少なくとも合計 20 時間又は 120 サイクルのどちらか長い期間の方で,

機能サイクル試験を課さなければならない。試験は,4.6.2.2.3.1 で明確にした各運転の作動サイクル

の順序で,少なくとも 10 回の別々の運転から構成しなければならない。

(c)

エンジン制御系統  エンジン制御系統には,少なくとも合計 20 時間又は 120 サイクルのどちらか長

い期間の方で,機能サイクル試験を課さなければならない。試験は,4.6.2.2.3.2 で明確にした各運転


64

W 4601-1996

の作動サイクルの順序で,少なくとも 10 回の別々の運転から構成しなければならない。

(d)

点火系統  点火系統は,−54℃  (−65

°F)  の周囲温度で 24 時間試験しなければならない。この系統

は,4.6.2.2.3.3 で示す該当スケジュールに従って,12 時間サイクルを行い,それに続いて 10 時間の

最小不作動浸せき期間をおいてから最後の 12 時間のサイクルを行わなければならない。

4.6.2.2.8

燃料ポンプのキャビテーション  燃料ポンプのキャビテーション試験に対しては,エンジン入

口から主ポンプと該当するときは増強ポンプまでの燃料系統の部分は,試験組立品において模擬しなけれ

ばならない。この試験組立品には,ポンプ入口状態に影響を与えるおそれがあるポンプ下流の燃料系統の

要素はもちろん,エンジン入口と燃料ポンプ入口の間にある管路,管継手,フィルタ及び該当するその他

の品目を含めなければならない。この試験を始める前に,系統は,最大連続エンジン燃料流量で 2 時間,

3.7.3.3.2

で規定する汚染量の少なくとも 2 倍に汚染された流体を通過させておかなければならない。風雨

にさらされない清浄な流体は,試験の実施に使用してもよい。その流体は,MIL-T-5624 

グレード JP-4

に従わなければならない。主ポンプ及び補助ポンプは,中間定格回転速度で,海面上標準高度絶対状態と

ラム圧力比 1.15 とでエンジンが必要とする最大流量及び吐出し圧力で,

47

時間作動させなければならない。

キャビテーション試験中は,燃料タンクの圧力は,絶対圧力 67.7kPa (20inHg) {508mmHg}  に保持する。必

要な蒸気/液体比を与えるために,ポンプ入口の前に絞りを追加する。その流体の蒸気/液体比は,エン

ジン入口で 0.45 以上に保持しなければならない。さらに,流体の温度は,少なくとも 57℃ (135

°F)  でな

ければならない。スラスト増強装置のポンプは,上記の状態で少なくとも 12 時間連続的に作動させなけれ

ばならない。上記以外の試験手順は,ARP-492 に従わなければならない。

4.6.2.2.9

再校正  前述の試験の完了後,構成部品の校正をもう一度行い,いかなる構成部品も,試験前

のデータで規定された許容限界を超えてその校正値を変化させなかったことを示さなければならない。校

正を受けない構成部品は,満足に機能を果たすことを実証するために,正規の作動状態で作動させなけれ

ばならない。再校正中では,校正におけるものと同じ流体,入力及び作動サイクルを使用しなければなら

ない。そしてすべての構成部品は,完全に分解し,破損又は極端な摩耗の有無を検査しなければならない。

各再校正は,記録しなければならない。

4.6.2.2.10

構成部品試験の完了  模擬した作動試験は,使用機関の判断によって,次の場合に満足に完了

したとみなさなければならない。

(a)

試験中,構成部品の性能と機能が設定限界内にあった場合。

(b)

試験中,エンジン仕様書で規定された性質と量の漏れ以外に,いかなる構成部品からも流体が漏れ

なかった場合。

(c)

再校正で,構成部品が許容使用限界を超えて,その校正値を変化させなかったことを示している場

合。

(d)

構成部品の分解検査で,破損したり,過度に摩耗したり,変形したり,弱くなったりした部品の形

跡がない場合。この分解検査中には,構成部品は,すべての部品の検査のために,完全に分解し,

過度に摩耗したり,変形したり,弱くなったりした部品を明らかにするために必要に応じて測定し

なければならない。これらの測定値は,エンジン受注者の図面の寸法と公差,又は試験の前になさ

れた同様な測定値と比較しなければならない。


65

W 4601-1996

4.6.2.3

構成部品の環境試験  次に述べる試験は,電気コネクタを含む電気的構成部品又は部分構成部品

並びにエンジン制御系統の電気的及び電子的部分に適用する。エンジンに装着されていない電気的構成部

品又は部分構成部品も,これらの環境試験を受けなければならない。そのほかにも,エンジン仕様書の 3.1.3

で表に記載されているすべての非電気構成部品に,4.6.2.3.9 の振動試験を受けなければならない。付加的

構成部品の試験は,エンジン仕様書に規定されているときは,実施しなければならない。同じ形態の構成

部品は,次の試験のすべてを受けなければならない。

4.6.2.3.1

構成部品の校正  次の各試験の前後で,校正を受けるべき各構成部品は,校正しなければなら

ない。これらの校正は,各構成部品がその設計公差範囲内で作動していることを示さなければならない。

校正を受けない構成部品は,満足な機能を実証するために,最大と最小の入力電圧で作動しなければなら

ない。

4.6.2.3.2

構成部品試験の手順  受注者の随意によってこれらの試験は,新しく,しかも,これまでいか

なる試験にも供試されていない試験組立品又は個々の構成部品のいずれかについて実施してもよい。いか

なる試験もその開始に先立ち,すべての構成部品は,保管保護のために使用したあらゆる腐食防止剤を洗

浄しなければならない。構成部品には,エンジンが遭遇する最大作動負荷を模擬する運用負荷を課さなけ

ればならない。電源過渡応答は,ここで必要とする場合には,MIL-STD-704 (JIS W 7001)  で規定する回数

の過電圧を加えなければならない。過電圧性能のために選択した四つの点は,次のものの 10%以内の点を

含めなければならない。すなわち,rms 値で線・中性点間交流 150,140,130 及び 125V,又は直流 80,60,

40

及び 35V。過渡スパイク電圧は,5×10

5

秒間に+200V と−170V のスパイク電圧と,1×10

5

秒間に±

600V

のスパイク電圧とを 1 分以内に各々5 回印加することから構成しなければならない。単一の気密にシ

ールされた構成部品を以下の一連の試験で使用したとき,この構成部品は,このような一連の最後の試験

が完了するまで,検査のために分解する必要はない。このときに,構成部品は,実施したあらゆる試験中

に被った欠陥又は破損に対して検査する。さらに,気密にシールされた構成部品は,耐爆性試験,砂じん

(ダスト)試験及びかび試験を受ける必要はない。分解前に,気密シールの完全性を確認する試験を実施

しなければならない。いかなる試験も実施中に気密シールが故障すれば,その構成部品の認定を取り消さ

なければならない。

4.6.2.3.3

湿気  構成部品は,15 日間ここで規定するような条件とサイクルで,清浄な水蒸気の雰囲気中

で試験しなければならない。

最初の 12 時間の試験サイクル直後に,

すべての構成部品は,

最高規定電圧で,

適正な動作について点検しなければならない。15 日間の試験の最後のサイクル中で,各構成部品は,規定

された各周囲状態の下で,その全作動範囲を通して作動させなければならない。15 日間の試験の終わりに,

構成部品は,50%以上の相対湿度で 21℃ (70

°F)  未満の空気中で 12 時間,強制対流なしで,乾燥させなけ

ればならない。この期間の終わりに,四つの電源過電圧の過渡電圧と過渡スパイク電圧とを,構成部品へ

加えなければならない。再校正後,構成部品は,分解し検査しなければならない。構成部品の機能又は構

造強度に影響する腐食その他の欠陥があってはならない。


66

W 4601-1996

湿度状態試験サイクル 

試験期間

相対湿度

周囲温度

 (h)

 (

%)

 (

℃)

8 95

±5 54±3

4

槽の湿気量を一定に保つ。 54±3 から徐々に 21±3 へ低下させる。

8

槽の湿気量を一定に保つ。 21±3

4 95

±5 まで,槽の湿気量を一定

に保つか,又は要求値に達する

まで蒸気を加える。

21

±3 から一様に 54±3 へ上げる。

4.6.2.3.4

かび  構成部品は,MIL-STD-810,方法 508 に従って,かび試験を行わなければならない。使

用機関が承認した場合は,使用するすべての材料が,かびの生長を助長するものでないという証拠は,こ

の試験の免除に対する理由を構成するものとしなければならない。構成部品は,試験前と試験後の校正又

は機能点検のいずれか該当する試験に供さなければならない。しかし試験中は,作動する必要はない。試

験合格の判定基準は,MIL-STD-810,方法 508 で規定するとおりにしなければならない。

4.6.2.3.5

耐爆性  気密にシールされていないすべての電気的構成部品は,MIL-STD-810,方法 511 手順

I

に従って,耐爆性試験に供さなければならない。試験中に,構成部品は,それに最大入力電圧を加え,

それの最大負荷で連続的に動作されなければならない。各高度状態中で,すべての開閉接点は,少なくと

も 10 回作動させなければならない。過電圧電源の過渡電圧は,各高度状態中で,少なくとも 4 回構成部品

に加えなければならない。これらの電源の過渡電圧のうち少なくとも 4 回は,開閉接点作動中に加えなけ

ればならない。電源の過渡現象は,4.6.2.3.2 で規定しているとおりでなければならない。点火構成部品又

は系統は,連続的に作動させなければならない。火花点火装置の電極は,試験槽内の爆発性蒸気に接触し

ないような方法で装着しなければならない。電気的に自立した点火系統は,電源の過渡現象の適用を免除

しなければならない。不合格判断基準は,MIL-STD-810,方法 511 で規定するとおりでなければならない。

4.6.2.3.6

砂じん(ダスト)  構成部品は,MIL-STD-810,方法 510 に従って,砂じん試験に供さなけれ

ばならない。構成部品は,試験中に作動させる必要はない。しかし,試験の終わりと構成部品のいかなる

洗浄前にも,過渡範囲を包含する四つの電源の過渡電圧を,構成部品に加えなければならない。試験合格

基準は,MIL-STD-810,方法 510 に規定するとおりでなければならない。

4.6.2.3.7

持続加速  構成部品は,MIL-STD-810,方法 513.2 に従って,加速試験に供さなければならな

い。試験項目は,飛行機のカテゴリに対する手順 II 及び表 513.2-2 に従って,動作試験だけを課さなけれ

ばならない。試験時間は,適正な作動を判定するために必要な場合は,規定した最小時間を超えて増加し

てもよい。

4.6.2.3.8

衝撃  構成部品は,MIL-STD-810,方法 516.2 手順 I に従って,衝撃試験に供さなければなら

ない。衝撃パルスの形状は,図 516.2-1 の振幅 a と持続時間 c に従わなければならない。試験は,室内大気

状態で実施しなければならない。構成部品は,試験前と試験後の校正又は機能点検のいずれか該当するも

のに供さなければならないが,試験中に作動させる必要はない。試験後の検査手順は,MIL-STD-810,方

法 516.2 に従わなければならない。

4.6.2.3.9

振動  構成部品は,MIL-STD-810,方法 514.2 に従って,振動試験に供さなければならない。

試験は,機器の分類 “b.1” (表 514.2-2)と曲線 “F” と “L” (図 514.2-2)についての手順 I に従って実

施しなければならない。構成部品は,試験組立品の中で,又は個々のユニットとして試験してもよい。試

験中に,構成部品には,エンジン仕様書に規定する構成部品の最大制限温度を課さなければならない。


67

W 4601-1996

4.6.2.3.10

点火系統の汚れ  次の試験は,その他の環境試験に加えて,すべての点火系統に適用でき,点

火系統が汚れている状態で,エンジンをいつでも始動できることを実証するために要求される。試験のた

めの電力入力は,4.6.2.2.3.3 で定める最低でなければならない。

4.6.2.3.10.1

炭素の汚れ  点火系統試験組立品の点火装置は,MIL-T-5544 の黒鉛ペトロラタム混合物を十

分に使用して,火花すきまを覆い,満たし又は連絡して,点火性能を実証しなければならない。仕様書に

規定するとおりに供給された最小入力電力で,

点火系統が満足に作動することを実証しなければならない。

これらの炭素の汚れの状態で,火花発生率は,最小設計値以上でなければならない。

4.6.2.3.10.2

水汚れ (Water Fouling)   エンジンにおける装着位置を模擬するような位置に置いた点火装

置に,仕様書で規定する最小入力電力を供給しなければならない。点火系統試験組立品の点火装置は,極

限の大気状態を模擬するために,完全に水でぬらさなければならない。このとき,この点火系統は,火花

発生率が最小設計値以上であって,満足に作動することを実証しなければならない。

4.6.2.4

個別構成部品試験

4.6.2.4.1

滑油リザーバ  滑油タンクはエンジンに設置する場合と類似の方法で取り付け,給油キャップ

やその他の継手を装着しなければならない。さらに,全体の試験組立品は,次の試験に供さなければなら

ない。

(a)

繰返し疲労試験  滑油タンクは,3.7.7.4.1 の最小と最大の差圧限界の間で,最低 10 000 回,1 分間

に 4 回以下の割合で繰り返さなければならない。繰返し疲労試験に用いるべき最大差圧は,試験前

のデータの中で規定しなければならない。

この試験の目的に対して,差圧  (

P

)

は,滑油タンクの内部と外部との圧力の差の絶対値を意味

するものでなければならない。最初の 5 000 回の間の滑油リザーバは,呼び作動温度に保持し,最

後の 5 000 回の間は,リザーバの温度は,最大滑油作動温度に保持しなければならない。

この疲労試験の全期間を通じて,滑油リザーバ,給油キャップ又は継手の漏れ又は永久変形が起

きてはならない。

(b)

保証圧力試験  繰返し疲労試験が首尾よく終了した後に,同じ滑油リザーバ組立品は,3.7.7.4.1 

規定に適合していることを実証するために保証圧力試験に供さなければならない。保証圧力は,最

大滑油作動温度において,滑油リザーバに対して最小 10 分間保持しなければならない。受注者は,

保証圧力試験に使用すべき圧力を試験前のデータに規定しなければならない。滑油リザーバ,給油

キャップ又は継手の漏れや永久変形が起きてはならない。

(c)

弁試験  滑油リザーバ組立品が調圧弁 (pressurizing valve) 又は圧力リリーフ弁を備えている場合は,

この組立品は,適正に機能を果たしていることを実証するような方法で試験しなければならない。

受注者は,使用すべき手順を試験前のデータに規定しなければならない。

4.6.2.4.2

補機駆動及び動力テークオフ  エンジン駆動トレイン並びにエンジン構成部品及び客用補機又

は動力テークオフを駆動する外部エンジン歯車装置は,300 時間の実験室耐久試験に供さなければならな

い。この耐久運転に先立って,歯車装置は,静的トルク試験を受けなければならない。この試験では,入

力シャフトは,静止状態を保ち,しかも,すべてのパッド駆動装置には,スタータのパッドを除いて,エ

ンジン仕様書に規定する最大トルク値の 150%までの負荷を 5 秒間,同時にかけなければならない。この 5

秒の間に,スタータ駆動装置は,エンジン仕様書中でこのパッドに対して規定している最大起動トルクの

250

%の負荷をかけ,しかも,その方向は,補機駆動トレインのいかなる他の構成部品からも負荷を取り除

く方向であってはならない。

この静的トルク試験に引き続いて,すべての補機と構成部品を装着した歯車装置には,最大定格パッド


68

W 4601-1996

荷重を含む荷重をアイドルから最大回転速度まで変化させる作動を行っている間に振動調査と共振検査を

課さなければならない。この耐久試験は,すべての補機構成部品を歯車装置に装着した状態で,3.2.1.4.8

で規定する最大滑油入口温度並びに最小滑油流量及び圧力で,規定した滑油を使用して運転しなければな

らない。試験中,すべての駆動部には,少なくともこの駆動部の最大定格片持ちモーメントを負荷し,し

かも,少なくともエンジン仕様書で許容された最大スプライン心ずれを課さなければならない。フィルタ

や滑油リザーバのようなエンジン潤滑系統の構成要素又は構成部品は,系統の特性を模擬するために試験

設備に取り付けてもよい。該当する場合には,パッドシールの排油漏れは,試験中の全期間にわたり監視

しなければならない。記録すべきデータと記録の頻度は,試験前のデータに規定するとおりでなければな

らない。歯車装置の耐久試験は,次のスケジュールに従って運転しなければならない。

(a)

最大定格回転速度運転  試験のこの部分は,最大定格エンジン回転速度に相当する回転速度での 20

時間の連続運転からなり,このとき,すべてのパッド駆動部には,この回転速度条件に対する最大

許容トルク値まで負荷しなければならない。

(b)

アイドル回転速度運転  試験のこの部分は,エンジンアイドル回転速度に相当する回転速度での 15

時間の連続運転からなり,このとき,すべてのパッド駆動部は,呼びトルク値まで負荷しなければ

ならない。この運転中,客用の補機パッド駆動部は,試験前のデータで定める 5 秒間の過荷重条件

を 5 回受けなければならない。

(c)

回転速度変移運転  試験のこの部分は,次のような 15 時間の運転から構成しなければならない。す

なわち,この間に歯車装置には,すべてのパッド駆動部に公称トルク値まで負荷した状態で,アイ

ドル回転速度から最大許容回転速度までの加速とアイドルまでの減速からなる連続する 5 分間の運

転を 180 回課す。各 5 分間の運転中に,歯車装置駆動部の回転速度は,7 秒以内に 1 度アイドルか

ら最高許容回転速度まで加速し,3 分間最大許容回転速度に保持し,それからその運転の残りの間

にアイドル回転速度まで減速しなければならない。

(d)

回転速度増加運転  試験のこの部分は,すべての駆動パッドに各速度状態に対して,最大許容トル

ク値に負荷した状態で,アイドル回転速度から最大許容回転速度まで,ほぼ等しい回転速度増加分

で持続時間各 5 時間の 10 段階から構成しなければならない。最大許容回転速度の運転中には,最大

回転速度の 115%までの過回転速度の 5 分周期を 3 回達成しなければならない。過回転速度の試験

中には,すべての歯車装置パッド駆動部は,公称トルク値を負荷しなければならない。アイドルと

最大回転速度の間の状態で,振動調査中に測定されたような重要なピーク振動点がある場合には,

選択された増加分の個数は,使用機関の随意によって,運転時間の配分を増加運転の合計時間の

50

%を超えない範囲まで,ピーク振動点が得られる回転速度と荷重とに対応する回転速度と荷重と

に対して配分するように変えてもよい。

(e)

連続回転速度運転  試験のこの部分は,すべての歯車装置パッド駆動部にエンジン仕様書に規定す

る最大連続定格トルクまで負荷した状態で,最大定格エンジン回転速度の 70%に相当する速度での

50

時間の連続運転から構成しなければならない。

(f)

最大回転速度  運転この部分は,この回転状態に対する最大許容エンジン定格トルク値に相当する

回転速度で 150 時間の連続運転で構成しなければならない。ただし,各 10 時間の増加分の間に,エ

ンジン仕様書に規定する過負荷定格トルク値まで 5 分間の過負荷状態を課す。この運転中に,歯車

装置の外面は,エンジン仕様書で歯車装置に対して規定する構成部品の最高温度に維持しなければ

ならない。

試験に引き続いて,排油フィルタとマグネティックプラグ残留物は収集し,磁性材料と非磁性材料に分


69

W 4601-1996

けなければならない。それからこの材料は,質量を測り分析し,その結果を報告しなければならない。試

験完了後,歯車装置は,完全に分解し,洗浄し,部品を検査しなければならない。材料の欠陥,過度の摩

耗又は切迫した破損についての形跡があってはならない。3.3.6.4 の流体漏れの要求事項に適合することを

この試験中に実証しなければならない。

4.6.2.4.3

直流発電機及び交流発電機の試験  環境試験のほか,次に述べる試験は,各直流発電機と交流

発電機について行わなければならない。

(a)

過回転速度  直流発電機と交流発電機は,最大許容エンジン回転速度の 115%に相当する回転速度

で 5 分間作動させなければならない。試験終了時に,機械的又は電気的な損傷又は故障の形跡があ

ってはならない。

(b)

負荷試験  直流発電機と交流発電機は,最大定格電気負荷をかけた状態でエンジン最高許容回転速

度の 106%に相当する回転速度で,

1

時間作動させなければならない。

この試験中,

交流発電機には,

その構成部品の最高制限温度を課さなければならない。試験の終了時に,機械的又は電気的な損傷

又は故障の形跡があってはならない。

(c)

コンテインメント (Containment)   直流発電機と交流発電機は,ロータ(回転子)系統の機械的破

損を起こすように,最大設計回転速度で作動させなければならない。すべての損傷は,直流発電機

と交流発電機のハウジングに包み込まなければならない。

4.6.2.4.4

熱交換器  エンジンの流体又は構成部品の冷却用又は加熱用の熱交換器は,次の試験を受けな

ければならない。もし,熱交換器組立品の中に非金属部品が含まれている場合は,4.6.2.2.4 の要求事項に

よって全組立品は,促進老化試験を受けなければならない。

熱交換器組立品がバイパス弁,レギュレータ又は指示装置を備えている場合は,機能を正しく果たすこ

とを実証するために適切な試験を行い,さらに,これを試験前のデータに規定しなければならない。

(a)

流量,圧力及び温度の繰返し試験  熱交換器は,一設計寿命の間,流量,圧力及び温度の繰返し試

験に供さなければならない。この繰返し数は,次のように規定されたサイクルに従って,試験前の

データに規定しなければならない。すなわち,周囲温度と圧力にある両流体を熱交換器へ同時に導

き,それから作動範囲内で遭遇する最高値まで流量を増加させている間に,流体の温度と圧力をそ

れらに相当する最高値まで上げること。いったん,出口の流れの状態を安定させた後で,流量を作

動範囲内で遭遇する最低値に減少させ始め,それとともに流体の温度と圧力をこれらの周囲の値ま

で減少させ始めること。いったん,出口の流れの状態が安定したとき,両流体の流れを止めなけれ

ばならない。試験サイクルの 25%は,熱交換器の構成部品の最高制限温度にある熱交換器を取り囲

む周囲の空気中で運転し,残りのサイクルは,周囲温度にある周囲の空気中で運転しなければなら

ない。この試験の完了時に,漏れ又は永久変形の形跡があってはならない。

(b)

熱交換器の保証圧力  流量,圧力及び温度サイクルが満足に完了した後に,同じ熱交換器を,保証

圧力試験に供さなければならない。熱交換器の各流体側には,個々に少なくとも連続 2 回,その最

大作動圧力の 2 倍の圧力を課し,さらに,各加圧状態で 2 分間保持しなければならない。一方の側

に圧力を加えている間に,他方の要素は乾いていなければならない。このとき,外部漏れ又は乾燥

側への内部漏れの形跡があってはならない。この試験に引き続いて,熱交換器の両側には,少なく

とも連続 2 回同時にこれらの最高作動圧力を課し,さらに,各加圧状態で 2 分間保持しなければな

らない。この試験の完了時に,漏れ又は永久変形の形跡があってはならない。


70

W 4601-1996

4.6.2.4.5

耐火試験  可燃性流体を運ぶ管路,管継手及び構成部品は,エンジンとともに供給される滑油

タンクを含み,3.3.6.1 の規定に適合していることを実証するため,試験を行わなければならない。個々の

管路,管継手,構成部品又は組立品は,全エンジン作動範囲にわたって予想される最小流量,最高系統圧

力及び最高流体温度で流体を運びながら,

ARP 1055

に規定されているとおりに試験を行わなければならな

い。試験終了時に漏れがなければ,3.3.6.1 の要求事項は,実証されたとみなさなければならない。上記の

試験は,4.5.2.5 の試験を満足に完了したものと同一の構成部品に対しては行わなくてもよい。

4.6.2.4.6

油圧系統  完備した油圧系統は,3.7.8.1.2 の要求事項に適合していることを実証するため,試

験を行わなければならない。油圧系統の試験は,完備した系統のリグ試験か,又は QT エンジンと実質的

に同じエンジンに装備した状態のどちらかで行ってもよい。油圧系統の高圧側は,少なくとも連続 2 回最

大作動圧力の 2 倍の圧力までの保証圧力試験に供し,さらに,各々の圧力を受けている状態で 2 分間保持

しなければならない。油圧試験の流体は,最大系統作動温度に維持しなければならない。機器は,試験圧

力を加圧している間に,その正規の機能で作動させなければならない。試験完了時に,外部の漏れ,過度

のひずみ,又は永久変形の形跡があってはならない。異なった要素に,様々な試験圧力を必要とする構成

部品には,試験前のデータに規定したとおり,これらの圧力を別々に又は同時に加えてもよい。

4.6.3

高空試験  耐久試験エンジンと同じ部品表と形態に適合するエンジンで,高空試験を行わなければ

ならない。この高空試験は,そのエンジンに対して規定された作動限界範囲内で選定された条件と少なく

とも

図 19 に示すようなエンジン仕様書中に指定されている条件における作動と空中始動の確認とから構

成しなければならない。試験点には,抽出動力,入口ラム回復,抽気及びインレットディストーションの

エンジンの性能と安定性に及ぼす影響を含めなければならない。制御系統の調整は,発注者の代表者の承

認なしに行ってはならない。高空試験は,エンジン仕様書に規定するすべての滑油と燃料を用いて達成し

なければならない。燃料温度は,すべての予想されるエンジン作動環境を包含するのに十分な範囲にわた

って,変化させなければならない。連続点火系統は,始動過程が完了した後も常時作動していなければな

らない。すべての出力抽出パッドは,特定の試験段階に対しては,使用機関が規定するとおりに負荷しな

ければならない。試験中に採取及び記録すべきデータは,

表 12 に規定するとおりでなければならない。

全周波数域の真の rms 速度測定値と加速度スペクトル記録は,エンジンケースと補機歯車装置ケースに

取り付けられた各加速度計について,その試験のために選ばれたエンジン回転速度とスラストに対して,

取得しなければならない。選定された点は,少なくとも高空定格点と作動範囲中最高のエンジン振動レベ

ルが生じる点とを含まなければならない。エンジンの最も過酷な構成部品は,各スペクトル記録で識別し

なければならない。

圧縮機の抽気は,最大連続スラスト運転中に,各抽気出口からそれのサンプルを採取しなければならな

い。抽気試料の採取と同時に,圧縮機入口に入る空気の試料も採取しなければならない。試料は,正しく

識別され,汚染レベルが 3.1.2.11.3 に規定する限界内にあるかどうかを判定するために,実験室の分析によ

って処理しなければならない。解析結果並びに使用した方法及び試験装置は,エンジン試験報告書に詳述

しなければならない。

4.6.3.1

高空エンジン校正  4.6.3.2 に述べる試験の開始に先立って,エンジンは 4.6.1.2.3 に従って,校正

しなければならない。校正の始めに,最初の調整をした後は,制御の再調整を行ってはならない。

4.6.3.2

高空試験手順  各試験点での運転は,エンジンを安定させ,エンジンの性能と作動特性を確立す

るのに十分な時間をかけなければならない。制御系統に手動制御モードが含まれているときは,試験スケ

ジュール中にこの特徴を評価し,

そのエンジンの性能と作動特性に及ぼす影響を確認しなければならない。

作動は,次のデータを得るために行わなければならない。


71

W 4601-1996

(a)

高空定格点  試験点は,エンジン仕様書の表 の高空定格に対して規定されたものでなければなら

ない。各規定の高空試験条件に対して,各定格点における作動と性能の特性を確立するために,追

加して十分の数のエンジンのスラスト設定を選定しなければならない。抽気と抽出動力とが定常性

能に及ぼす影響は,各規定の試験点で得なければならない。アイドル,連続最大,中間及び最大の

スラストの出力設定での安定性を立証するために経過時間とエンジン回転速度,エンジン温度及び

燃料流量との関係を,得なければならない。安定性立証のための時間は,各出力設定において最低

5

分でなければならない。

(b)

変移作動  3.2.1.5.6 で規定する適用変移性能は,各定格条件について立証しなければならない。

3.1.2.10.3

で規定する変移空気流量性能を立証しなければならない。変移性能に及ぼす最大抽気と抽

出動力の影響を単独に及び組み合わせて確認しなければならない。

(c)

機能試験  エンジンの作動範囲は,作動範囲の端でエンジンを運転することによって立証しなけれ

ばならない。エンジンの定常及び変移特性は,出力設定の範囲にわたる各試験点で確認しなければ

ならない。エンジンの作動特性の決定は,客用抽気と抽出動力のある場合とない場合について行わ

なければならない。もしエンジンが増強装置を備えている場合は,増強装置のフレームアウト限界

を決定しなければならない。

(d)

インレットディストーション  エンジンの空気流れのインレットディストーション限界は,

3.1.2.10.4

で規定する入口条件で実証しなければならない。インレットディストーションの変移作動

と定常状態性能に及ぼす影響を確認しなければならない。

また,客用の抽気と抽出動力が空気流れのインレットディストーションに対するエンジンの許容

値に及ぼす影響も確認しなければならない。

(e)

始動及び再始動  点火系統が作動していない状態でのフレームアウトは,エンジン仕様書に規定す

る方法で達成しなければならない。次の試験は,客用の抽気と抽出動力がある場合とない場合につ

いて行わなければならない。

(1)

エンジンフレームアウト後のエンジンの空中始動と再始動は,スタータの補助のある場合とない

場合について,規定された各空中始動点で達成しなければならない。

(2)

もし,連続点火系統又は自動再着火系統を備えているならば,同じ点で,同じフレームアウト手

法を用いて,しかもこれらの系統を作動させて,追加の実証を行わなければならない。エンジン

は,エンジンの出力レバーの操作なしに再点火し,安全作動に戻ることを実証しなければならな

い。

(3)

もしエンジンがスラスト増強装置を備えているならば,増強装置の着火限界を実証しなければな

らない。

(f)

高空風車試験  高空風車試験は,3.2.1.5.7 (a)(d)の要求事項を立証するために,風車包絡線内で

実施しなければならない。加えて,滑油系統が試験前のデータで定められたような適正な潤滑を行

い,風車作動の間,過度の滑油損失なく作動することを立証するため,試験を行わなければならな

い。

4.6.3.3

高空試験の完了  エンジン仕様書の規定に適合していることを確認するために,使用機関に容認

できる方法で,試験中に得られた観測データと規定された性能及び作動特性との比較を行わなければなら

ない。使用機関の判断によって,次の場合には,試験は,満足に完了したものとみなさなければならない。

(a)

最低のエンジン性能が,エンジン仕様書の

表 に規定するとおりであり,高空での測定性能と海面

上での測定性能との比が,規定する高空性能と規定する海面上性能との比に等しいか又はそれ以上


72

W 4601-1996

であるとき。

(b)

試験中行われた高空での始動と変移が,エンジン仕様書の要求事項に従っているとき。

(c)

機能試験点で,満足なエンジンの作動が実証され,しかも,定格点,高空始動データ及び変移デー

タにいかなる矛盾も示されないとき。

(d)

エンジンが,試験のために規定されたディストーションと風車状態のもとで満足に作動するとき。

4.6.4

エンジンの環境及び吸込み試験  次の細目箇条の試験は,4.6.1 の耐久試験エンジンと同じ部品表

と形態をもつエンジンについて行わなければならない。個別試験で特に指定がない限り,エンジンは,各

試験の前に校正し,試験の後に再校正をしなければならない。ただし,試験の過程中起こった定常又は変

移性能能力のあらゆる劣化を確認するのに必要な範囲にとどめなければならない。試験は,特定の試験に

対しては

表 11 に規定する燃料を用いて実施しなければならない。すべての始動は,4.3.3.4 によるスタータ

を用いて行わなければならない。特定の試験に対して特に指定がない限り,試験は,その試験場における

一般的な周囲条件で行わなければならない。

4.6.4.1

低・高温始動及び加速試験  試験エンジンは,3.2.1.4.83.2.5.13.2.1.5.63.7.9.2 及び 3.7.9.3 

規定に適合していることを実証するために,低温・高温試験を受けなければならない。4.3.5.6 で要求する

全データを,各始動の間記録しなければならない。始動と作動の能力は,エンジン仕様書中に規定するト

ルク荷重を補機駆動パッドに加え,さらに,客用抽気なしで達成されるものでなければならない。再校正

は,要求してはならない。

(a)

低温試験  エンジンは,エンジン仕様書中に規定する滑油を供給して,−54℃  (−65

°F)  の周囲温

度で少なくとも 10 時間浸せきしなければならない。10 時間の浸せき時間は,エンジンの主軸受が

−54℃  (−65

°F)  に達した後に開始しなければならない。低温浸せき期間の終わりには,3.7.4.3.2 

要求事項を立証するために電気コネクタを外し,再び接続しなければならない。さらに,滑油リザ

ーバの給油キャップやその他の補給の特徴を,低温浸せき条件の下での適正な機能を立証するため,

機能的に点検しなければならない。浸せき時間が終わり,−54℃  (−65

°F)  の燃料と入口空気が供

給されたとき,出力レバーをアイドル位置に置いて始動しなければならない。エンジンがアイドル

回転速度に達した後,中間スラストまでの加速は,エンジン出力レバーを 0.5 秒以内にアイドルか

ら中間出力レバー位置まで動かすことによって達成しなければならない。その後,エンジンをアイ

ドルに戻し,停止しなければならない。上記手順は,浸せき時間も含めて 2 回繰り返さなければな

らない。もし,エンジン仕様書中に二つ以上の燃料又は滑油が規定されていれば,上記の完全な試

験をこれらの燃料又は滑油を用いて繰り返さなければならない。浸せき,滑油,空気及び燃料の温

度は,それぞれ 3.2.5.1 と 3.7.7.2 の燃料又は滑油温度の制限を受けなければならない。

試験は,使用機関の判断で,次の場合に,満足に完了したとみなす。

○  上記の三つの連続した始動が,

図 18 で規定する時間限界内で満足に達成されたとき。

○  エンジンが始動又は作動限界を何ら超えることなく,中間スラストまでの加速能力を立証した

とき。

○  燃料又は滑油の漏れがないとき。

○  電気コネクタ及び供給の特徴の機能的点検の結果,作動中の損傷又は困難が見つからなかった

とき。

(b)

高温試験  エンジンは,エンジン仕様書中に規定する滑油を供給して,71℃ (160

°F)  の周囲温度で

少なくとも 10 時間浸せきしなければならない。10 時間の浸せき時間は,エンジンの主軸受が 71℃

(160

°F)  に達した後に開始しなければならない。


73

W 4601-1996

浸せき時間が終わり,93℃ (200

°F)  の燃料と 52℃ (125°F)  の空気が供給されたとき,出力レバー

をアイドル位置に置いて始動しなければならない。エンジンがアイドル回転速度に達した後,中間

スラストまでの加速は,エンジン出力レバーを 0.5 秒以内にアイドルから中間出力レバー位置まで

動かすことによって達成しなければならない。上記の手順は,浸せき時間も含めて繰り返さなけれ

ばならない。もし,エンジン仕様書中に二つ以上の燃料又は滑油が規定されていれば,上記の完全

な試験をこれらの燃料又は滑油を用いて繰り返さなければならない。試験は,使用機関の判断で,

次の場合に,満足に完了したとみなす。

○  上記二つの連続した始動が,

図 18 で規定する時間限界内で満足に達成されたとき。

○  エンジンが始動又は作動限界を何ら超えることなく,中間スラストまでの加速能力を立証した

とき。

○  燃料や滑油の漏れがないとき。

4.6.4.2

環境着氷試験  エンジンは,3.2.5.2 の規定に適合していることを実証するために,環境着氷試験

に供さなければならない。この試験に対して,エンジンは,

表 13 に掲げる自由空気の条件下で作動しなけ

ればならない。各試験運転に対して,液体水分含有量と水滴の大きさを,エンジンの入口面から 1.5m (5ft)

以内で,しかも,エンジンの入口ダクト内にある位置で測定しなければならない。この位置で測定した液

体水分含有量は,

表 13 に規定する自由空気条件に修正しなければならない。この気象データは,各試験運

転中適当な間隔で記録しなければならない。水滴の寸法と水分の収集を,測定する方法と手順は,試験前

のデータ中に規定しなければならない。試験中,スラスト,毎分回転数及び振動を連続的に記録し,さら

に,エンジン入口の高速度写真撮影を行わなければならない。エンジンの性能損失を決定する基準線は,

エンジンを客用抽気又は抽出動力なしで,80∼100%の相対湿度で液体水分含有量が零の空気で

表 13 の入

口温度条件の下で作動させることによって確立しなければならない。スラストと燃料消費率の損失は,

13

で定める着氷条件で作動しているエンジン性能を,前記基準線の値と比較することによって決定しなけ

ればならない。試験は,次の二つの部分から構成しなければならない。

(a)

この部分は,

表 13 の部分 1 の各条件の下で,幾つかのエンジン出力設定のそれぞれにおける二つの

運転から構成しなければならない。エンジンの出力設定には,アイドル,連続最大の 25%,50%,

75

%,連続最大及び中間出力を含めなければならない。各着氷条件と各出力設定で,エンジンは,

10

分以上の期間,作動させなければならない。各期間中,着氷後間隔をおいて,エンジンは,中間

出力へ急加速を行い,加速応答性を実証しなければならない。

(b)

この部分は,スロットルを動かさずにアイドルで 1 時間運転した後,その期間の最後に最大スラス

トまで加速するという運転から構成しなければならない。この運転中,エンジンは,

表 13 の部分 2

に示される条件の下で作動しなければならない。

防氷系統をもつエンジンの場合には,上記試験は防氷系統を用いて行い,3.2.5.2 と 3.7.1 の要求事

項を実証しなければならない。

試験は,使用機関の判断で,エンジンへの損傷がなく,性能が 3.2.5.2 と 3.7.1 の要求事項以内に

あるとき,満足に完了したとみなす。

4.6.4.3

腐食性試験  新製又は新たにオーバホールされた試験エンジンは,3.2.5.5 の規定に適合している

ことを実証するため,腐食性試験に供さなければならない試験の開始に先立って,エンジンを十分に分解

し,通常,大気条件にさらされる全部品の表面状態を検査しなければならない。これらの部品の詳細な写

真撮影を行わなければならない。再組立てされ,性能検査を受けた後,エンジンは,

表 14 に規定する周期

的スケジュールに従って実施される 25 サイクルの試験を受けなければならない。


74

W 4601-1996

指定されたサイクル期間中に注入する噴霧溶液は,1

l

の塩水噴霧溶液をつくるために,蒸留された十分

の水に次の物質を溶かしたものから構成しなければならない。

化学名称

噴霧溶液 1当たりの量

NaCl (c. p. )

23g

Na

2

SO

4

・10H

2

O 8g

原液(ストックソルーション) 20ml

原液(ストックソルーション)は,その 1

λをつくるために,蒸留された十分の水に次の物質を溶かした

ものから構成しなければならない。

化学名称

原液 1当たりの量

KCl (c. p. )

10g

KBr 45g

MgCl

2

・6H

2

O (c. p. )

550g

CaCl

・6H

2

O (c. p. )

110g

試験中,エンジンは,内部部品の腐食の証拠又は腐食の進行を検出するために,エンジン仕様書に規定

する間隔で内部検査を受けなければならない。

試験が完了したとき,性能点検を行い,エンジンを分解し,腐食の有無を検査しなければならない。腐

食の証拠を示す全部品に対して,詳細な写真を撮らなければならない。受注者は,発見された腐食の種類

を完全に特徴付ける供試品の証拠又はや(冶)金学的分析結果を提出しなければならない。試験は,使用

機関の判断で,腐食の程度が構造上の完全性や構成部品の作動に有害だったり,性能やエンジンの耐久性

や部品の寿命を著しく低下させる原因となったりするような程度でないときは,

満足に完了したとみなす。

4.6.4.4

鳥の吸込み試験  試験エンジンは,3.2.5.6.1 の要求事項を立証するような方法で行う鳥の吸込み

試験に供さなければならない。鳥(複数)は,一群との遭遇を模擬するために,不規則な順序で吸い込ま

れ,入口面積にわたって分散させなければならない。使用機関が承認する場合は,人造の“鳥”を試験に

用いてよい。受注者は,試験前のデータ中に,各鳥の大きさに対する最も過酷な目標領域と鳥の吸込みに

用いる手順とを規定しなければならない。入口の高速度撮影が,吸込み試験の間必要である。使用機関の

判断で,3.2.5.6.1 の性能基準が満たされ,エンジンの故障の原因となるおそれがある主たる構造上の損傷

の証拠がないとき,試験は満足に完了したとみなす。

4.6.4.5

異物による損傷試験  試験エンジンは,3.2.5.6.2 の規定に適合していることを実証するために,

異物による損傷試験に供さなければならない。模擬した異物による損傷を,3 枚の第 1 段翼に対して前縁

の 1 か所以上の断面で,エンジンの最大回転速度時の定常及び振動の高応力が生じる位置に,与えなけれ

ばならない。与える損傷は最低限,応力集中係数 (Kt) 3 を生じさせるものでなければならない。異物によ

る損傷の適用に続いて,エンジンは損傷翼を組み込んで 4.6.1.3 の作動サイクルに従って,6 時間の運転サ

イクルを 1 回課さなければならない。この試験には,校正又は再校正を要求してはならない。運転の完了

時に,異物による損傷の結果として翼の破損又はひび割れの証拠があってはならない。

使用機関の承認を受ければ,異物による損傷試験は,完成エンジンの試験の代わりに個々の翼に対する

台上試験,又は実物大のファン若しくは圧縮機構成部品に対するリグ試験で行ってもよい。

試験を構成部品に対して行う場合には,

試験の詳細を試験前のデータに示さなければならない。

しかし,

試験の条件,持続時間及び厳格さは,上述した完成エンジンの試験と同等としなければならない。

4.6.4.6

氷吸込み試験  試験エンジンは,3.2.5.6.3 の要求事項に適合していることを実証するために氷の

吸込み試験に供さなければならない。氷の種類と吸込みの条件は,次のとおりでなければならない。


75

W 4601-1996

(a)

代表的な離陸(最大)

,巡航及び降下条件において,エンジン前面入口面積の各 2 580cm

2

 (400in

2

)

とに,又はそれより小さい面積に対して比重 0.8∼0.9 の“ひょう”で直径 50.8mm (2in)  のもの 1 個

及び直径 25.4mm (1in)  のもの 2 個。

(b)

入口ダクトとリップの氷の形成に対して,使用機関の代表者が承認した代表的な大きさ,形及び厚

さで,離陸及び巡航状態中に吸い込まれそうな量の比重 0.8∼0.9 の氷板。

受注者は,試験前のデータにおいて,エンジン入口での氷の導入に用いるべき手順と,氷やひょうが吸

い込まれるときのエンジンの出力設定と回転速度を規定しなければならない。エンジンの出力回復の時間

を記録しなければならない。試験中,入口の高速度撮影が必要である。試験は,使用機関の判断によって,

3.2.5.6.3

の性能基準が満たされ,エンジンの故障の原因となるおそれがある主構造の損傷の証拠がないと

き,試験は満足に完了したとみなす。

4.6.4.7

砂吸込み試験  試験エンジンには,3.2.5.6.4 による砂汚染要因物質をエンジン入口に導いた状態

で,最大連続スラストで 10 時間の運転を課さなければならない。各 1 時間の運転の間に,0.5 秒以内のス

ロットル操作でアイドルまでの減速と最大連続スラストまでの加速を少なくとも 1 回行わなければならな

い。最初の 1 時間の間,もし備えられていれば,防氷系統の 1 分間作動を 10 回行わなければならない。試

験の全期間中,最大客用抽気をエンジンから抽出しなければならない。この空気は,絶えずろ過し,付着

物の全量を測定し,結果を報告しなければならない。10 時間の運転と試験後の性能点検に続いて,エンジ

ンは,砂による侵食の範囲と砂がエンジンの内部空冷系統の最も重要な部分に入ったかもしれない程度を

検査するために必要なだけ分解しなければならない。使用機関の判断によって,3.2.5.6.4 の性能基準が満

たされ,分解検査で故障又は切迫した故障の証拠が現れないとき,試験は,満足に完了したとみなすもの

とする。

4.6.4.8

大気中の水分吸込み試験  試験エンジンは,3.2.5.6.5 の要求事項に適合していることを実証する

ために,水分吸込み試験に供さなければならない。エンジンが最大スラストで作動している状態で,全空

気流質量の 2,3.5 及び 5%の水分(液体と蒸気)をエンジン入口に導き,その液水の 50%が入口面積の

3

1

等しい部分を通ってエンジン入口に入らなければならない。エンジンは,各条件で 5 分間作動しなければ

ならない。上記手順は,エンジンがアイドルで作動している状態で繰り返さなければならない。試験の間,

水分の吸込みがエンジン性能に及ぼす影響を,書きとめ記録しなければならない。試験の完了時に,エン

ジンを停止し,試験後の性能点検を行う前に周囲温度まで冷却させなければならない。性能点検に引き続

いて,エンジンは,検査のために十分に分解しなければならない。この試験は,使用機関の判断によって

適切なすきまが維持されたために,

試験中損傷を生じる摩擦又は有害な摩擦が起こらず,

性能が劣化せず,

更にガス流路の部品に損傷がないとき,満足に完了したとみなさなければならない。

4.6.4.9

特殊ガス吸込み試験  試験エンジンは,3.1.2.10.6 の規定に適合していることを実証するために,

特殊ガス吸込み試験に供さなければならない。エンジン仕様書中に特に指定がない限り,エンジンの運転

条件と,特殊ガスの状態と特性は,3.1.2.10.6 に従わなければならない。この試験の終了後,再校正を要求

してはならない。使用機関の判断によって,3.1.2.10.6 の要求事項が満足させられたとき,この試験は満足

に完了したとみなされる。


76

W 4601-1996

4.6.4.10

騒音調査  エンジンは,その最も低い部分と地面との間に最低 2.1m (7ft)  の間隔を設けて野外試

験台に装着しなければならない。マイクロホンは,過度の地面吸収特性がない比較的平たんな地形に置か

なければならない。エンジンの騒音場に重大な影響を及ぼす障害物があってはならない天候は,30%から

90%

までの相対湿度で降水はなく,0℃ (32

°F)  から 30℃ (86°F)  の間の周囲温度,2.7m/s (6mile/h)  未満の

風速で温度の逆転又は風の異常な状態であってはならない。試験後のエンジン再校正は必要としない。関

心の対象となる周波数範囲内の各

3

1

オクターブバンドで,信号レベルは,暗騒音レベルより少なくとも 10

dB

大きくなければならない。

(a)

データ表示法  エンジン騒音レベルのデータは,次のように表示しなければならない。

(1)

図 20 と図 21 に示すような等全周波数域音圧レベル曲線(基準音圧は 20

µPa とする。)。

(2)

図 22 に示す点 A から G で,中心周波数 20∼10 000Hz の

3

1

オクターブ周波数スペクトルを一覧表

にしなければならない。すべての近距離場音圧レベルは,エンジンの整備その他の操作の間に,

要員を配置しなければならない場所の頭の高さにおける測定に基づかなければならない。さらに,

修正していないデータ(例えば,天候,地形などに対して)の形での中心周波数が 20∼10 000Hz

3

1

オクターブバンド音圧レベルを,すべてのスラスト条件に対し,さらに,19 の位置に対して

一覧表にしなければならない。この 19 の位置は,エンジンの真正面の 0 度から始まってエンジン

の真後ろの 180 度で終わる 10 度ずつの間隔で,

エンジンの排気面中心から放射状に 75m (250ft)  の

所の測定に基づかなければならない。

(3)

 250

,500 及び 1 000Hz の中心周波数をもつオクターブバンドに対して作図した等音圧レベル曲線

は,最大と最大連続のスラスト状態だけについて

図 22 に示すようなものでなければならない。

(4)

 5dB

ずつ増加させた等価騒音レベル(純音補正した)曲線を,すべてのスラスト状態について

23

に示さなければならない。

(5)

入口騒音と排気騒音に対する 20Hz から 10 000Hz までの 3 種の狭帯域スペクトル図を示さなけれ

ばならない。これらの狭帯域スペクトル図は,解析帯域幅の変更を説明するためにデータを標準

化するスペクトル密度の形(例えば,音圧スペクトルレベル)で表さなければならない(

3

1

オクタ

ーブスペクトルの調査に対し,狭帯域データのための位置と出力設定を決定する必要がある。

(6)

最大スラスト状態で生じた合計音響出力(dB の基準は 10

12

W

(7)

受注者は,報告書の中に,いかなる出力設定においても,エンジン騒音特性の推定を可能にする

十分なデータを提供しなければならない。必要なデータには,ロータ回転速度,翼枚数,ハブ・

チップ比,直径,排出全温,圧力比,出口速度,排気質量流量並びに周囲温度及び周囲圧力を含

める必要がある。

(b)

測定系統  音響測定系統は,次のものに相当する承認された器材から構成しなければならない。

(1)

下記(c)に述べる測定及び解析系統精度と両立できる周波数応答をもったマイクロホン系統。

(2)

測定する音との干渉を最小にする三脚又は類似のマイクロホン保持具。

(3)

下記(c)の応答及び精度要求事項と両立できる特性,周波数応答及びダイナミックレンジをもった

録音・再生装置。

(4)

既知の音圧レベルの正弦波又は広帯域騒音を使った音響校正器。もし広帯域騒音を使う場合は,

信号は,非過負荷信号レベルに対する平均値と最大 rms 値の形で記述しなければならない。

(5)

下記(d)の応答と精度の要求事項を備えた解析装置。

(c)

検出,録音及び再生装置  エンジンで生じる音は,完全なデータの経歴が残るような方法で記録し

なければならない。磁気テープ録音装置は,容認する。


77

W 4601-1996

(1)

系統の特性は,マイクロホン及び増幅器の特性に関する国際電気標準会議の IEC Pub 179 で定め

られた勧告事項に適合しなければならない。

(2)

平面伝播と認められる一定振幅の正弦波に対する完全な系統の応答は,対象となる周波数範囲に

わたって,IEC Pub 179 に規定された公差限界内になければならない。

(3)

装置は,自由音場校正用の設備を用いて,音響的に校正し,また下記(d)に述べるように電子的に

校正しなければならない。

(d)

解析装置  音響信号の周波数解析は,IEC Pub 225 で定めた勧告に適合している

3

1

オクターブフィル

タを用いて実施しなければならない。

(1)

解析器指示装置は,アナログ,ディジタル又は両者の組合せでなければならない。信号処理の優

先順序は,次のとおりとする。

(a)

3

1

オクターブフィルタの出力を二乗。

(b)

合計の平均と線形から対数への変換。

(2)

指示装置は,最小波高率容量  (crest factor capacity) 3 をもち,±1dB の許容差内で,各

3

1

オクターブ

バンド内で信号の真の rms 値のレベルを測定するものでなければならない。もし真の rms 値指示

装置以外のものを使用するならば,それは非正弦信号に対して校正しなければならない。校正に

は,その出力レベルを真の rms 値に変換するための方法を講じなければならない。

(3)

解析器の振幅分解能は,少なくとも 0.25dB でなければならない。

(4)

解析器からの各出力レベルは,入力信号に関して±1.0dB 以内の精度でなければならず,結局,各

出力レベルに対する系統的な誤差は±3dB を超えてはならない。連続フィルタ系統に対しては,

隣接する

3

1

オクターブチャネルの間の系統的な補正は,4dB を超えなくてもよい。

(5)

解析器のダイナミックレンジは,解析器の最大出力レベルと最大雑音レベルとの間の差で表して,

少なくとも 55dB でなければならない。

(6)

完成した電子系統は,マイクロホンが与える信号レベルの範囲にわたる既知の振幅で,関係の範

囲を包含する周波数における正弦波信号又は広帯域信号を用いて,周波数と振幅の電気的な校正

を課さなければならない。もし広帯域信号を用いるならば,それは,非過負荷信号レベルに対す

る平均値と最大 rms 値の形で記述しなければならない。

(7)

狭帯域解析は,20∼500Hz の周波数範囲では 5Hz,500∼5 000Hz の周波数範囲では 20Hz,また,

5 000

∼10 000Hz の周波数範囲では 100Hz の最大帯域幅で行わなければならない。

(e)

騒音測定手順  ターボジェットエンジン及びターボファンエンジンの音響試験に関し均一な実施を

保証するために,次の手順を必要とする。

(1)

各試験の直前と直後に,系統感度を検査し,音響レベルデータ解析のための音響基準レベルを供

給するために,音響校正器を用いて,系統の録音音響校正を現場で行わなければならない。

(2)

装置又は操作者の誤差を最小にするために,エンジンの音響試験データの録音の直前と直後に,

マイクロホンの入力点に既知の信号を入れるための挿入電圧装置の使用を,現場での校正に追加

しなければならない。

(3)

音響的な暗騒音と測定系統の電気的雑音の両者を含んだ周囲騒音を,航空機用エンジン騒音測定

に用いるレベルに調整した系統の利得で,試験場所において,記録し決定しなければならない。

(f)

測定データの報告及び修正  物理的測定値又は測定したデータの修正値を示すデータは,恒久的な

形に記録し,最終報告書に含めなければならない。最終データを得るのに用いた各々の操作に固有

の個別の誤差について,見積りをしなければならない。


78

W 4601-1996

(1)

測定したり,修正したりした音圧レベルは,前項で述べた標準に適合する装置を用いて得られる

3

1

オクターブバンドレベルで表さなければならない。

(2)

すべての音響,気象及びエンジン性能のデータの測定と解析に用いた装置の型式は,報告しなけ

ればならない。

(3)

代表的なマイクロホン位置で,次の大気環境データを測定しなければならない。

(a)

℃  (

°F)  での気温及び百分率で表した相対湿度

(b)

 km/h

(kt)

で表した最大,最小及び平均の風速並びにエンジン中心軸に対する風向き

(c)

hPa (inHg) {mbar}

で表した大気圧

(4)

局地的の地形,地表面状態及び録音の妨げとなるおそれがある事象についての意見を報告しなけ

ればならない。

(5)

すべてのデータは,次に従って修正しなければならない。

(a)

海面上気圧 1 013hPa (1 013mbar) (2 116lb/ft

2

) {76cmHg}

(b)

周囲温度  25℃ (77°F) (ISA+10℃)

(c)

相対湿度  70%

(d)

風速  零

4.6.4.11

排気ガス放出試験

4.6.4.11.1

排気煙放出  エンジンは,3.2.5.8.1 の要求事項に適合していることを実証するために,排気煙

放出試験に供さなければならない。エンジン排気煙の測定は,ARP 1179 に述べてある装置,計装及び試験

手順を適用して行わなければならない。煙のレベルは,4 種類のエンジン出力設定,すなわち,中間,最

大連続,75%最大連続及びアイドルに対して測定する。特定の出力設定での抜取りに先立って,その出力

設定で,10 分間の安定化運転を行うものとする。この試験の後,性能検査を行う必要はない。

4.6.4.11.2

目に見えない排気の放出質量  4.6.4.11.1 の試験中,エンジン排気ガスは,目に見えない汚染物

について,ARP 1256 に述べてある装置,計器及び手順を使用して分析しなければならない。この試験は,

エンジン仕様書の 3.2.5.8.2 に規定する目に見えない排気の放出質量のレベルを実証するために,最大,中

間及びアイドルの出力設定で行わなければならない。この試験の後,性能検査を行う必要はない。

4.6.4.12

耐放射線試験  エンジンは,エンジン仕様書中に規定する放射線に対する残存性とぜい弱性の要

求事項を満足させる能力を確認するための試験に供さなければならない。試験要求事項は,試験前のデー

タで規定されたとおりでなければならない。

4.6.5

エンジン特性及び燃料試験  次の細目箇条の試験は,4.6.1 の耐久試験エンジンと同じ部品表と形

態をもつエンジンについて行わなければならない。個別試験において特に指定がない限り,エンジンを各

試験の前に校正することと試験後再校正することは必要としない。特定の試験に対して特に指定がない限

り,試験は,試験場における一般的な周囲条件でエンジン仕様書中に規定された燃料を用いて行わなけれ

ばならない。

4.6.5.1

始動トルク  エンジンは,3.7.9.1.1 の始動トルクと回転速度に対する要求事項を実証するため,

試験を課さなければならない。測定手順並びに試験装置の校正及び使用法は,試験前のデータの中に明確

にしなければならない。


79

W 4601-1996

4.6.5.2

レーダ断面積 (RCS)   エンジンの RCS は,エンジン仕様書の 3.1.2.12 に規定するレベルを実証

するために,エンジン入口と出口のレーダ反射性を測定することによって決定しなければならない。レー

ダ反射性の測定は,静止と運転中の両方のエンジンを用いて屋外試験場で行わなければならない。エンジ

ンの装着に先立ち,すべての支柱をその場所に立てた状態で背景反射 (background) を測定し,それは,10

°中央値量の少なくとも 20dB 以下でなければならない。校正標準は,球体又は円筒でなければならない。

RCS

の測定は,規定された周波数範囲にわたってオクターブ当たり少なくとも 1 周波数で,しかも,使用

機関が規定した周波数で実施しなければならない。エンジンにおけるレーダ照射場は,詳細に測定し,エ

ンジン垂直面内のパワー密度の変動は,平均値の周りに±0.5dB 未満でなければならない  。前方の半球に

対してはエンジン入口中心線に関し,また後方の半球に対しては模擬したジェットノズル作動位置でエン

ジン中心線に関し,方位角と仰角の両方について±60°で制限された範囲内で 10°間隔にわたって RCS

の中央値の表を作成するために十分なデータを取らなければならない。m

2

で表した(前方と後方の)各半

球に対する最大 RCS 値は,上述した表の中に含まれる中央値の算術平均を求めることで決定しなければな

らない。

4.6.5.3

赤外線放射試験  エンジンのピーク赤外線放射と放射パターンは,3.7.10.3 の要求事項を実証す

るために測定しなければならない。IR(赤外線放射)特性は,未装着エンジンに対して実際の放射の総和

[高温部品+反射+プルーム (plume)]として測定しなければならない。IR 装置の赤外線強度とスペクト

ル応答は,赤外線試験測定の前後の校正で確認し,これらのデータを記録しなければならない。測定計器

は,IR 試験の間の赤外線放射に対する実際の応答を確認するために,野外標準 IR 源を用いて校正しなけ

ればならない。

放射パターンと測定装置の両者の基準として用いる標準源を規定しなければならない。

大気条件

[温度,

湿度,降水量,雲の形成,気象範囲 (meteorological range) ,太陽の位置及び試験場所]は,現場の標準 IR

放射やエンジンの実際の IR 放射を計算する助けとするため記録しなければならない。測定手法は,背景放

射と通常は航空機構造で覆われているエンジン外面部分とからの外部放射を最小にするようなものでなけ

ればならない。エンジンは,野外試験設備に装着し,3.7.10.3 で規定する出力状態で運転しなければならな

い。各出力状態は,IR の読みを取る前に,排気系統の構成部品温度が安定するまで保持しなければならな

い。赤外線放射の測定は,ピーク放射と全放射パターンを決定するために要求される増加分である 3.7.10.3

に規定する角度で行わなければならない。総合 IR 特性は,1∼3

µm,3∼5µm,8∼10µm,10∼12µm 及び

12

∼14

µm の波長に敏感な放射計を用いて帯域ごとに立証しなければならない。さらに,スペクトル測定

は,排気ガスの“プルーム”寄与を確認するために 0 度から 180 度までの各アスペクト角度で少なくとも

0.05

µm の分解能をもつ分光計で行わなければならない。特殊な IR 抑制系統の特徴が組み込まれたエンジ

ンについては,上記の試験は,抑制モードになっているときと,なっていないときに運転するエンジンを

用いて実施しなければならない。

4.6.5.4

代替燃料試験  試験用エンジンは,エンジン仕様書中に規定された代替燃料を用い,それぞれが

4.6.1.3

に従った 6 時間ずつの 10 サイクルからなる 60 時間試験運転に供さなければならない。

エンジンは,

定常状態又は変移状態の性能における何らかの劣化を確認するのに必要な範囲まで試験の前に校正し,そ

の後に再校正しなければならない。試験完了時,高温部の検査を行うのに必要な範囲まで,エンジンを分

解しなければならない。試験は,使用機関の判断によって,エンジン性能が 3.7.3.2.2 に規定する要求事項

を満足し,高温部の検査の結果,異常な高温部不具合がないときには,満足に完了したとみなす。


80

W 4601-1996

4.6.5.5

非常燃料試験  エンジンは,エンジン仕様書に規定された非常燃料を用いて,4.6.1.3 に従う一つ

の 6 時間耐久試験サイクルからなる非常燃料試験に供さなければならない。非常燃料の使用による性能変

化は,試験に先立つ主燃料と非常燃料を用いた校正と,試験後に両方の燃料を用いた再校正によって決定

しなければならない。校正は,性能レベルを確定するのに必要な範囲まで,また,試験前のデータに規定

するとおりに行わなければならない。試験完了時,エンジンは,高温部の検査を行うのに必要な範囲まで

分解しなければならない。この試験は,使用機関の判断によって,エンジン性能が 3.7.3.2.3 に規定する要

求事項を満足し,しかも,高温部の検査の結果,異常な高温部不具合がないときには満足に完了したとみ

なす。

4.6.6

構造試験  QT 耐久試験エンジンの部品表と形態に適合するエンジン又は構成部品を,次の試験に

用いなければならない。

4.6.6.1

エンジン耐圧試験  各々のエンジンケースと,すべての圧縮機出口圧力を受けるエンジンのガス圧

力が加わる構成部品は,最大作動圧力の 2 倍までの保証試験を行い,破壊してはならない。これらの試験

は,構成部品の最高作動温度で行うか,又は圧力を試験温度における材料の性質に合わせて調整しなけれ

ばならない。4.5.4.1 の試験を満足に完了したものと同じ構成部品については,上記の試験は行わなくても

よい。

4.6.6.2

低サイクル疲労試験

4.6.6.2.1

低サイクル疲労構成部品試験  部品は,3.3.8.3 の要求事項に適合していることを試験し,表 9

の適当なデューティサイクルに示される低サイクル疲労 (LCF) 繰返し寿命値の少なくとも 2 倍に等しい

損傷サイクルを課さなければならない。個別の試験手順は,試験前のデータに規定するとおりでなければ

ならない。この試験の間,最初の寿命相当時間の間は修理してはならない。

また,最初の寿命相当時間後の許容できる構成部品修理間隔を,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。これらの試験は,燃焼器について行う試験を除いて,高温で,しかも,エンジンと飛行運動による

荷重条件を模擬する適当な荷重か,又はその試験温度における材料特性に対して調整した荷重のいずれか

で行わなければならない。燃焼器は,高温条件でだけ試験しなければならない。

4.6.6.2.2

低サイクル疲労エンジン試験  エンジンに少なくとも繰返し寿命時間の 1 回分を課す繰返し耐

久試験を実施しなければならない。その試験に先立ち,エンジン制御燃料スケジュールを,始動,再始動

及び加速ができるように,しかも,すべて定格値又は最大値のいずれか該当する方の値以上で始動温度と

加速温度を得るように調整しなければならない。減速燃料スケジュールは,最大熱衝撃を与えるように前

もって設定しなければならない。客用抽気は,最大許容抽気流量を供給するように固定オリフィスを使っ

て設定しなければならない。補機と客用動力抽出パッドには,最大連続荷重が加わるように負荷しなけれ

ばならない。

すべての修理と部品交換について記録し,報告しなければならない。実際の繰返し数,デューティ時間

及び冷却停止時間は,3.3.8.6 の調査に基づくものでなければならず,さらに,少なくとも試験エンジンに

おいて強度と寿命の解析で予測された 1 作動寿命時間と同じ LCF 損傷を受けることを要求されたものでな

ければならない。この 1 寿命についての試験実証は,ある種の部品が 1 寿命時間を超える損傷を受けるこ

とを要求するかもしれない。もし,それらの部品のこの損傷がその部品の要求された作動寿命を超える場

合は,試験を続けるために,部品交換又は修理を実施してもよい。この試験の完了に引き続き,エンジン

は分解し,割れの兆候を検査し,しかもエンジンは,寸法許容限界内になければならない。

デューティサイクルは,

エンジン受注者が規定する時間によって,

次のように定義しなければならない。


81

W 4601-1996

合計時間

スケジュール時間

項目

          秒

          秒

エンジンを始動し,アイドルまで加速

          秒

          秒

アイドルで運転

          秒

          秒

最大回転速度まで加速し,規定しただけ保持

          秒

          秒

最大回転速度からアイドルまで減速し,規定

しただけ保持

          秒

          秒

エンジンの燃料停止と停止までの惰力運転

−冷却

4.6.6.3

コンテインメント  3.3.8.9.1 の要求事項は,実物大エンジン試験又はロータ組立品スピンピット

試験で実証しなければならない。この試験は,解析で最も過酷であると判定されて選ばれた翼の断面にあ

らかじめ定めた回転速度で破損するように切込みを入れたファン,圧縮機及びタービンの翼を用いて,最

大許容ロータ回転速度と構成部品の最大作動温度以上で行わなければならない。この試験は,使用機関の

判断で,すべての損傷が包含された場合,満足に完了したとみなす。

4.6.6.4

ロータの構造完全性

4.6.6.4.1

過回転速度  タービンと圧縮機のロータは,最大許容測定ガス温度で最大許容定常回転速度の

115%

で安定してから少なくとも 5 分間,エンジン運転に供さなければならない。

この試験後,部品と組立部品は,寸法許容限界内にあり,さらに,切迫した破損の兆候があってはなら

ない。この試験は,4.5.4.2.1 の試験を満足に完了している構成部品と同じ構成部品については行わなくて

もよい。

4.6.6.4.2

過昇温度  4.6.6.4.1 の過回転速度試験を満足に完了した後,同じエンジンを,平均定常測定ガ

ス温度が最大許容平均定常測定ガス温度を少なくとも 42℃ (75

°F)  を超える温度で,しかも,最大許容定

常回転速度以上で 5 分間作動させなければならない。この試験後,部品と組立部品は,寸法許容限界内に

あり,切迫した破損の兆候があってはならない。この試験は,4.5.4.2.2 の試験を満足に完了している構成

部品と同じ構成部品については行わなくてもよい。

4.6.6.4.3

ディスク破断試験  QT エンジン形態の中のすべての過酷な回転ディスク構成部品について,ス

ピンピット試験を行わなければならない。構成部品は,ボア金属が最大設計金属温度で破損又は切迫した

破損の兆候がなく,最大許容定常回転速度の最低 122%まで作動しなければならない。これは,4.5.4.2.3

の試験を満足に完了している構成部品と同じ構成部品については行わなくてもよい。

4.6.6.5

エンジン静荷重試験  耐久エンジン形態のエンジンケースとマウントは,3.1.2.5 と 3.1.2.6 の要求

事項を立証するため,静的試験に供さなければならない。適用エンジンの静的構造を利用する静的リグ試

験は,エンジンとその支持部が 3.1.2.5 に規定する最大外力に対し,どの構成部品も永久変形することなし

に,また,これらの力の 1.5 倍でどの構成部品も破損することなしに耐える能力があることを実証するた

めに行わなければならない。この試験では,最大スラスト荷重, “g” 荷重,ジャイロモーメント,トルク

及びエンジン反作用荷重を個々に,更に組み合わせて加える。応力と変位のデータは,解析と予備応力塗

料試験で決定した過酷な箇所で取得する。この試験は,4.5.4.3 の試験を満足に完了したものと同じ構成部

品については行わなくてもよい。


82

W 4601-1996

4.6.6.6

振動及び応力試験  振動と応力の試験は,3.3.8.10.2 の振動と応力の調査報告書と 3.3.8.6 の要求

事項を実証するデータを得るために,エンジンについて行わなければならない。その試験に先立ち,エン

ジンは,試験用計装を行うために十分なところまで分解しなければならない。圧縮機各段の十分な数の動

翼と静翼には,連続的なひずみゲージデータを得るために,ひずみゲージを取り付けなければならない。

各ひずみゲージは,動翼又は静翼上の振動と応力の解析から定めた最高の応力が発生する場所に取り付け

なければならない。主軸受けの適当な位置に,軸受荷重,ゲージの回転及びロータのたわみの測定を可能

にするために,十分な計装を行わなければならない。組立のとき,エンジンは,エンジン回転構成部品と

組立品に対して規定した少なくとも最大許容不平衡状態で組み立てなければならない。燃料制御装置,燃

料ポンプ,バルブ,配管類などのような外部構成部品には,試験前のデータに詳述したとおり,加速度計

振動装置を適切な位置に装着しなければならない。組立後,エンジンは,エンジン受注者が定めたエンジ

ン支持装置と試験台動特性をもち,使用機関の承認を受けた試験台に装着しなければならない。航空機に

装備した場合,エンジンに直接取り付けられるか,又はエンジンで支持される入口系統又は排気系統は,

この試験のために同様な方法で取り付けなければならない。この試験で,解析によって相当な応力又は振

動状態がいずれかの構成部品に生じるすべての過酷なエンジン回転速度を点検しなければならない。振動

と応力の測定は,すべてのエンジン作動モードで行い,しかも,最大インレットディストーション,失速,

該当するときは可変機構行程の境界,最大圧縮機抽気及び抽出動力,エンジンの最高入口圧力及び温度能

力,並びにそれらの組合せの状態を含めなければならないが,これらに限るものではない。

この試験で,全周波数域の真の rms 速度測定値と加速度スペクトル記録を,エンジンコアと外部補機構

成部品に取り付けた各加速度計によって取得しなければならない。

この試験は,

使用機関の判断によって,

振動応力及び荷重測定値が容認できる設計限界内にあるとき満足に完了したとみなす。

4.6.6.7

ジャイロ試験  エンジンは,3.1.2.5.1 の要求事項に適合していることを実証するために,ジャイ

ロ試験に供さなければならない。試験に先立ち,エンジンは,翼(ブレード)とケースの間のすきま並び

に遠心ロータ及び軸流ロータのすきまを測定し,記録することに特別の重点をおいて組み立てなければな

らない。ラブプローブ (rubprobe) を圧縮機とタービンのケースの周囲の対称位置と翼先端位置とに,試験

前のデータに指定したとおりに装着しなければならない。計装は,ジャイロ荷重が作用した場合のロータ

のたわみと変位を十分に測定できるものでなければならない。過酷な箇所での応力を測定するために,ひ

ずみゲージ計装を備えなければならない。試験中に滑油系統の排油能力と適正に機能を果たす能力とを評

価するために,十分な滑油系統の計装を備えなければならない。試験中採取すべき試験データには,上記

の所要データに加えて,3.7.6.5 で規定する位置での振動測定値を含めなければならない。

エンジンは,試験前のデータで指定する入口形態とジェットノズルを付けてジャイロ試験台に装着しな

ければならない。その試験に先立ち,エンジンは,エンジン性能検査を課さなければならない。

試験は,0.5rad/s の段階的増加量で 0.5rad/s から 3.5rad/s まで階段状に作動するジャイロリグを使って行

わなければならない。

各段階で,エンジンは,次のとおりに運転しなければならない。

(a)

  1

分間のアイドル。

(b)

アイドルから最大許容ロータ回転速度までの 30 秒以内の加速。

(c)

 10

秒又はデータを記録するのに十分な時間だけの最大許容ロータ回転速度での保持。

(d)

最大許容ロータ回転速度からアイドルまでの 30 秒以内の減速。

(e)

こすれ (rub) の目視検査のためのリグとエンジンの停止。

備考 1.5rad/s を超えるジャイロ荷重では,長時間かけないために急加減速を行ってもよい。


83

W 4601-1996

上記試験は,一方向に回転するジャイロリグを用いて行い,次に反対方向に回転するリグを使って試験

を繰り返さなければならない。試験完了後,エンジンは,試験後の性能検査を行い,その後,検査のため

に分解しなければならない。

試験は,使用機関の判断で,試験後の校正で,重大な性能劣化がないことが示され,試験の間エンジン

とその系統が適正に作動し,構造荷重が許容限界内にあり,分解検査で過度の翼のこすれや切迫した破損

の形跡がないことが示された場合には,満足に完了したとしなければならない。

4.7

領収試験  ここに規定する領収試験は,納入する各エンジンについて実施しなければならない。エ

ンジン受注者は,詳細な領収試験手順を作成し,提出して使用機関の承認を受けなければならない。PFRT

又は認定試験に供するエンジンは,領収試験を受ける必要はない。

4.7.1

試験装置

4.7.1.1

自動記録装置  エンジン試験のうち、時間に対するエンジン変数の評価を必要とする部分を実施

する間は,データを記録するために,自動連続記録装置を使用しなければならない。

4.7.1.2

振動測定装置及び応答特性  エンジンの振動は,加速度計型振動検出器によって測定しなければ

ならない。振動測定及び解析装置は,少なくとも 5Hz から 10 000Hz の周波数帯域にわたって作動し,し

かも,95%の実証精度信頼水準で加速度スペクトル記録を作成しなければならない。スペクトル解析装置

の最大許容有効フィルタ帯域幅は,30Hz でなければならない。振動測定装置は,完全な系統として校正し

なければならない。加速度計ピックアップに既知の正弦波形運動を加えて校正したとき,系統の周波数応

答は,5Hz から 10 000Hz までの周波数で既知の正弦波形の入力から±3dB を超えて離れてはならない。振

動測定系統が全体の速度レベルを測定するときに,高域フィルタが必要な場合,それらは,次のような特

性をもたなければならない。すなわち,フィルタは,オクターブ当たり少なくとも 18dB のロールオフを

もち,30Hz,70Hz 又は 110Hz の周波数のうち,該当するもので 3dB 低下しなければならない。加速度ス

ペクトル記録を作成するのに,高域フィルタを使用してはならない。

4.7.1.3

試験セル及び試験装置  エンジンには,使用機関にとって容認できる試験セルと試験装置を用い

て領収試験を課さなければならない。エンジンを取り付けた試験台の固有振動数は,ロータの残留不釣合

いによって励振される可能性があるすべてのモードの運動において,アイドルロータ回転速度の 80%以下

でなければならない。試験セルの“セル・ファクタ”は,使用機関に満足できる方法による屋外と試験セ

ルの両試験から得たエンジン試験データから得なければならない。

4.7.1.4

スタータ  始動は,図 17 に示す最小必要トルクの 5%以内のトルク特性をもつスタータで実施し

なければならない。

4.7.2

試験条件

4.7.2.1

補給

4.7.2.1.1

滑油の補給  領収試験に用いる滑油は,エンジン仕様書中に規定するとおりでなければならな

い。すべての滑油フィルタの検査結果をエンジンの記録中に記録しなければならない。

4.7.2.1.2

燃料の補給  領収試験に用いる燃料は,エンジン仕様書中に規定するとおりでなければならな

い。

4.7.3

試験の記録

4.7.3.1

領収試験の記録用紙  次の情報を,それぞれのエンジン運転について,試験記録用紙に記録しな

ければならない。

(1)

日付

(2)

エンジンの種類と型式


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(3)

エンジンの製造番号

(4)

セルの番号

(5)

ベルマウスの製造番号と面積  cm

2

 (in

2

)

(6)

ジェットノズルの製造番号と面積  cm

2

 (in

2

)

(7)

使用燃料の種類

(8)

使用滑油の種類

(9)

燃料の低発熱量

(10)

総運転時間と総始動回数

(11)

振動(4.7.4 において記録された最大値)

(12)

 4.7.4

に要求されているすべてのデータ

受注者は,各エンジンについての領収試験の記録用紙の写しを,2 年間保存しなければならない。試験

の記録用紙の写しは,要求に応じて使用機関に提出しなければならない。

4.7.4

試験データ  次の細目箇条中のデータを,領収試験中に取得し,領収試験の記録用紙に記録しなけ

ればならない。

4.7.4.1

予備データ  エンジンの質量を測定し,記録しなければならない。いったんエンジンに燃料と滑

油を供給し,その後,排油した後に,エンジン質量を測定する場合には,乾燥質量は,3.2.2.2 に規定する

残留流体の質量を,測定したエンジン質量から差し引くことによって計算してもよい。

4.7.4.2

定常状態のデータ  規定された各定常状態における運転中と,性能が安定した後に,各試験期間

中に一度,次の最低限のデータを記録しなければならない。

(1)

時刻

(2)

総運転時間

(3)

出力レバー位置

(4)

エンジンロータ回転速度  rpm

(5)

スラスト  N (lbf) {kgf}

(6)

燃料消費量  kg/h (lb/h)

(7)

空気流量を定めるためのデータ[ターボファンエンジンについては,

“高温” (Wah) と“低温” (Wac)

の空気流量と該当する場合には二次空気流量 (Was) を含む。

(8)

エンジン入口全圧(絶対圧)  kPa (inHg) {mmHg} abs.

(9)

エンジン入口全温℃  (

°F)

(10)

タービン出口全圧(絶対圧)  kPa (inHg) {mmHg} abs.

(11)

排気静圧(絶対圧)  kPa (inHg) {mmHg} abs.

(12)

ブリーザー圧力(絶対圧)  kPa (inHg) {mmHg} abs.

(13)

装備図上に示した点における滑油温度  ℃  (

°F)

(14)

装備図上に示した点における滑油圧力(ゲージ圧)  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

(15)

燃料系統入口における燃料圧力(ゲージ圧)  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

(16)

装備図上に示した点における燃料圧力(ゲージ圧)  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

(17)

測定定常状態ガス温度  ℃  (

°F)

(18)

アフタバーナ燃料流量  kg/h (lb/h)

(19)

液体注入流量  kg/h (lb/h)

(20)

補機室温度  ℃  (

°F)


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W 4601-1996

(21)

装備図上に示した点におけるエンジンケースの振動  cm/s (in/s)  ,真の rms 速度

(22)

使用機関が要求する追加データ

4.7.4.3

変移状態データ  スラスト変移運転中と該当する場合は逆スラスト運転中に,実施するそれぞれ

の変移について,出力レバー角度,測定ガス温度,エンジン回転速度,燃料流量及びスラストを,変移期

間中,時間に対して連続的に記録しなければならない。

4.7.4.4

始動データ  それぞれの実施する始動について,始動の開始から点火までとスタータの切断まで

と安定したエンジンアイドル回転速度までとに必要な時間,更に上記のそれぞれが起こる時点のエンジン

回転速度,最大測定ガス温度及び加速曲線上のどのような顕著なフラットスポットも記録しなければなら

ない。

4.7.4.5

その他のデータ  すべての停止とコーストダウン (coast down) の時間を測定し,記録しなければ

ならない。各試験中に少なくとも 1 回は,気圧,周囲空気温度及び燃料の比重を読み取らなければならな

い。全試験運転の滑油消費量を測定し,記録しなければならない。漏れ,異常な振動及びエンジンのその

他の異常な作動のような運転のすべての事象は,実施した是正処置とともに,記録用紙に書き留めなけれ

ばならない。

4.7.4.6

データの精度  すべてのエンジンの領収試験に対して,報告するデータは,下に示すような許容

差内の定常状態精度をもたなければならない。変移データの精度とそれに対応する計器の校正方法は,使

用機関の承認を受け,試験手順中に述べなければならない。

すべての計器と装置は,要求精度を維持していることを保証するために,必要に応じて校正しなければ

ならない。

データの項目

許容差

ロータ回転速度

最大定格で得られた値の±0.2%

最小アフタバーナスラスト以上におけるスラスト
及び燃料流量

測定値の±1.0%

中間スラスト以下におけるスラスト及び燃料流量

中間スラストで得られた値の±1.0%

温度

測定値の±1.0%

空気流量

測定値の±0.5%

エンジン質量

±0.5kg (1.0lb) 又は測定質量の±0.1%のどちらか

大きい方

振動速度

規定されたエンジン限界値の±5.0%

その他のすべてのデータ

最大定格において得られた値の±2.0%

4.7.5

試験手順  領収試験は,以下に規定する初期運転と最終運転によって構成しなければならない。次

の試験スケジュールの下では機能を果たさないような特殊なエンジンの特徴を備えている場合,これらの

特徴は,使用機関が承認した方法で試験しなければならない。各スラスト状態で記録した時間は,そのス

ラスト状態を得るのに必要な出力レバーの動きが完了したときから始めなければならない。最終運転の開

始に先立って,標準海面上静止状態で定格スラスト又はそれより高いスラストと定格燃料消費率又はそれ

より低い燃料消費率を得るために,その定格に関係する測定ガス温度とロータ回転速度の制限内で,現地

での日常の調整を行うだけで,エンジン制御装置をエンジンに装備した状態で調整しなければならない。

エンジン又はその構成部品の調整が更に必要となった場合には,既に完了した試験運転のそれらの部分の

再運転を要求しなければならない。


86

W 4601-1996

4.7.5.1

初期運転  エンジンは,次の運転スケジュールに従って,初期運転を行わなければならない。海

面上静止定格性能を立証するために必要な安定した性能データを得る必要がある場合には,エンジン受注

者の随意によって定常状態スラストの時間を増加してもよい。スラスト増強なしのエンジンとスラストリ

バーサなしのエンジンについては,ここに規定するアフタバーナスラストと逆スラストの時間は,削除し

てもよい。

すべての出力レバーの作動は,

他に規定した場合を除き,

0.5

秒以内に達成しなければならない。

初期運転前の点検,調整及び運転の種類と範囲は,受注者が規定しなければならない。

(a)

中間及び最大スラスト変移運転  この運転は,次のような出力レバー位置と保持時間の順序で 13

分間の運転から構成しなければならない。すなわち,アイドルで 4 分,中間で 3 分,最大で 3 分,

中間で 3 分。

(b)

逆スラスト−最大スラスト運転  この運転は,次のような出力レバー位置と保持時間の順序で 11

分間の運転から構成しなければならない。2 分間のアイドル,4 分間の最大逆スラスト,3 分間の最

大スラスト及び 2 分間の最大逆スラスト。

(c)

変移運転  この運転は,次のような約 19 分間のスラスト変移から構成しなければならない。出力レ

バーをアイドル位置にして 3 分間の運転,それから最大出力レバー位置に進め,エンジンが最小サ

ージマージンの予期した状態に達したら,すぐに(増強エンジンについてはアフタバーナの点火後)

出力レバーをアイドル位置に戻す。出力レバーをアイドル位置にして 3 分間の運転,それから中間

出力レバー位置に進め,エンジンが最小サージマージン(すなわち,回転速度又はガス温度)の予

期した状態に達したらすぐに,出力レバーをアイドル位置に戻し,この位置で 3 分間保持する。出

力レバーを中間スラスト位置にして 3 分間の運転,それからアイドル出力レバー位置に戻し,エン

ジンが最小サージマージン(すなわち,回転速度又はガス温度)の予期した状態に達したらすぐに,

出力レバーを中間スラスト位置に進め,この位置で 3 分間保持すること。出力レバーを最大位置に

して 3 分間の運転,それからアイドル位置に戻し,エンジンが最小サージマージン(すなわち,回

転速度又はガス温度)の予期した状態に達したらすぐに,出力レバーを最大スラスト位置に進め,

この位置を最低 1 分間保持する。

(d)

短い変移運転  この運転は,次のような出力レバー位置と保持時間の順序で 12 分間の運転から構成

しなければならない。3 分間のアイドル,3 分間の最大スラスト,最大連続スラストの 40%で 3 分

間,中間スラストで 3 分間。

(e)

増強スラスト変化運転  (Modulated Augmentation Run)    この運転は,次のような出力レバー位置

と保持時間の順序で 10 分間の運転から構成しなければならない。最大増強スラストの 80%で 2 分

間,60%で 2 分間,40%で 2 分間,20%で 2 分間及び最小増強スラストで 2 分間。

(f)

性能運転  この運転は,次のような出力レバー位置と保持時間の順序で 28 分間の運転から構成しな

ければならない。3 分間のアイドル,最大連続スラストの 75%で 5 分間,最大連続スラストの 90%

で 5 分間,最大連続スラストで 5 分間,中間スラストで 5 分間及び最大スラストで 5 分間。

(g)

緩い変移  この運転は,次のような 7 分間の運転から構成しなければならない。アイドルでの 3 分

間の後,出力レバーの動きを均一な速さで,アイドルから最大出力レバー位置まで 90 秒間でエンジ

ンを加速し,最大出力レバー位置で 1 分間運転した後,出力レバーの動きを均一の速さで 90 秒間で

エンジンをアイドルまで減速しなければならない。この運転の間中,4.7.1.2 による振動測定装置を

用いて,エンジンの振動を連続的に記録しなければならない。エンジンの振動は,3.2.1.4.10 に規定

する水準を超えてはならない。


87

W 4601-1996

4.7.5.1.1

初期運転後の検査  初期運転の完了後に,すべての重要な作動部品の詳細検査ができるように,

エンジンを十分に分解しなければならない。分解の範囲は,発注者の代表者が定めるべきである。いかな

る部品も欠陥があることが発見された場合,承認されている部品をそれと交換するために供給しなければ

ならない。さらに,発注者の代表者の判断で,適当な時間の罰則運転を行わなければならない。

4.7.5.1.2

罰則運転  罰則運転の持続時間は,発注者の代表者の判断によらなければならない。罰則運転

は,最大でも初期運転の完全な繰返しとしなければならない。交換した部品を順応させるために,受注者

の随意によって,罰則運転前の追加運転を行ってもよい。

4.7.5.1.3

罰則運転後の検査  罰則運転の完了後に,発注者の代表者の判断によって,交換部品の検査が

できるようにエンジンを分解しなければならない。

4.7.5.2

最終運転  最終運転は,4.7.5.1 の初期運転の繰返しとしなければならない。

4.7.5.3

不合格及び再試験  エンジンが機能不良又はエンジン仕様書の要求事項を満足していない証拠

がある場合にはいかなる場合でも,試験を続行する前に,発注者の代表者が満足するまで,その不具合を

調査し,その原因を是正しなければならない。そのような調査のために,エンジン又はその構成部品のい

ずれかの分解が必要な場合,エンジンは不合格とみなさなければならない。発注者の代表者の随意によっ

て,完全な再試験又はその不具合が生じる前の試験の部分の繰返しを行わなければならない。

4.7.5.3.1

エンジンの振動  どのようなエンジンも,エンジン仕様書に規定する振動限界値を超える場合,

これは,機能不良とみなさなければならない。

4.7.5.3.2

過昇温度  どのようなときでも,温度が仕様書に規定する最大許容測定温度を超える場合には,

これは,機能不良とみなさなければならない。

4.7.5.3.3

停止  エンジンの機能不良以外のいかなる原因による中断又は停止も,その中断又は停止が起

こった特定期間の繰返しを要求しなければならない。

4.7.5.3.4

流体の漏れ  3.3.6.4 に規定する限度を超えた流体の漏れが発見された場合,その漏れを直した

後に,発注者の代表者の判断で,点検運転又は完全な再試験を行わなければならない。

4.7.5.3.5

最大運転時間  4.7.5 のすべての運転,点検及び調整並びに初期運転前のどのような運転,点検

及び調整も含めて,16 時間を超える総運転時間又は全部で 25 回を超える始動を行ったどのようなエンジ

ンも不合格としなければならない。これらの不合格のエンジンからの部品と構成部品は,そのエンジンの

以前の不合格に関して発注者の代表者に十分に詳細を知らせることによって,新製の部品と構成部品に必

要な検査を再び実施するのならば,製作中の他のエンジンに用いてもよい。

4.7.6

試験の完了  4.7.5 の条件を満足し,データによって次のエンジン仕様書の要求事項の適用部分に

適合していることが実証された場合には,領収試験は,満足に完了したとみなさなければならない。

(a)

  3.2.1.1

−定格性能(

表 1

備考  比較のために用いるすべてのデータは,定格スラストに基づかなければならない。

(b)

  3.2.1.4.8

−滑油圧力及び温度限界

(c)

  3.2.1.4.9

−滑油消費限界

(d)

  3.2.1.4.10

−振動限界

(e)

  3.2.1.5.3

−停止

(f)

  3.2.1.5.5

−安定性

(g)

  3.2.1.5.6

−スラストの変移特性

(h)

  3.2.2.1

−完成エンジンの乾燥質量

(i)

  3.3.6.4

−流体の漏れ


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W 4601-1996

(j)

  3.7.9

−始動系統

4.7.7

サンプリング計画  サンプリング計画を実施する場合,削減した領収試験によって運転を行うべき

エンジンは,4.7.5.2 に従って運転しなければならない。

5.

引渡し準備

5.1

保管及び発送の準備  エンジンは,MIL-E-5607 に従って保管と発送の準備をしなければならない。

エンジンの保存の程度,エンジンの発送コンテナの型式及びエンジンの履歴記録の備え付けは,契約の要

求事項に従わなければならない。エンジンに装着されてはいないが,エンジンとともに出荷するすべての

構成部品と工具を含んでいる各々のエンジンには,包装一覧表を備え付けなければならない。

6.

注記

6.1

用途  この規格によって規定するエンジンは,航空機の推進用である。

6.2

用語の定義及び記号  この規格とエンジン仕様書に用いる用語の定義と記号は,以下に規定すると

おりとする。

6.2.1

用語の定義

6.2.1.1

予備飛行定格試験  (Preliminary Flight Rating Test) (PFRT)    予備飛行定格試験とは,実験用航空

機の飛行試験に限定して使用されるエンジンモデルの適切性を実証するため,エンジンと構成部品に対し

て行われる試験,実証及び解析活動の総合をいう。参照のため,PFRT に対して要求される試験,実証及

び解析項目を

附属書 に一覧表として示す。

6.2.1.2

認定試験  (Qualification Test) (QT)    認定試験とは,生産と運用に対するエンジンモデルの適切

性を実証するため,認定用に提供されたエンジンと構成部品に対して行われる試験,実証,及び解析活動

の総合をいう。参照のため,QT に要求される試験,実証及び解析を,

附属書 に一覧表として示す。

6.2.1.3

領収試験  (Acceptance Test) (AT)    領収試験とは,エンジン仕様書中に規定された範囲までの正

しい組立と性能を実証するため,契約に基づいて領収用に提供されたエンジンに対して行う試験をいう。

6.2.1.4

発注者 (Procuring Service)   発注者とは,エンジンの契約を協議する機関をいう。

6.2.1.5

使用機関 (Using Service)   使用機関とは,MIL-STD-879 に従い,エンジンに対し,その機関の

モデルダッシュ番号が指定された機関をいう。

6.2.1.6

定格 (Rating)   定格とは,表 若しくは表 又はエンジン仕様書に規定された性能特性値をい

う。

6.2.1.7

最大スラスト (Maximum Thrust)   最大スラストとは,出力レバーを最大位置に置いたとき,作

動範囲内で規定したいかなる点においても,エンジンが一貫して供給する最大のスラストをいう。最大ス

ラストでのエンジン作動には,段階的な持続時間の限界があってもよい。

6.2.1.8

中間スラスト (Intermediate Thrust)   中間スラストとは,出力レバーを中間位置に置いたとき,

作動範囲内で規定されたいかなる点においても,エンジンが一貫して供給できる最大のスラストをいう。

中間スラストでのエンジンの作動は,段階的な持続時間の限界があってもよいが,この限界は 30 分以上で

なければならない。

6.2.1.9

最大連続スラスト (Maximum Continuous Thrust)   最大連続スラストとは,出力レバーを最大

連続位置に置いたとき,連続運転に対する作動範囲内で規定されたいかなる点においても,エンジンが一

貫して供給できる最大のスラストをいう。


89

W 4601-1996

6.2.1.10

最大逆スラスト (Maximum Reverse Thrust)   最大逆スラストとは,出力レバーを最大逆スラス

ト位置に置いたとき,リバーサ作動範囲内で規定されたいかなる点においても,エンジンが一貫して供給

できる最大のスラストをいう。

6.2.1.11

最小増強スラスト (Minimum Augmented Thrust)   最小増強スラストとは,出力レバーを最小増

強位置に置いたとき,増強装置を用いてエンジンが一貫して供給できる最大のスラストをいう。

6.2.1.12

総スラスト (Gross Thrust)   総スラストとは,ジェットノズル出口で発生するスラストをいい,

この中には排気ガスの排出運動量によって発生するスラストと,ノズルの静圧と周囲空気の静圧との間の

差によって生じる力とを含む。

6.2.1.13

正味スラスト (Net Thrust)   正味スラストとは,総スラストからエンジンの空気質量流量と自由

気流速度との積を差し引いたものをいう。

6.2.1.14

最大許容回転速度 (Maximum Allowable Speed)   定常状態又は変移状態のどちらかで規定する

最大許容回転速度とは,それを超えたエンジンの作動は許容されない限界回転速度をいう。

6.2.1.15

定格エンジン回転速度  (Rated Engine Speed)    定格エンジン回転速度とは,測定定格ガス温度限

界以下で,

表 又は表 の定格値に達するために許容される最大のエンジンロータ回転速度をいう。

6.2.1.16

アイドル回転速度 (Idle Speed)   アイドル回転速度とは,出力レバーをアイドル位置に置いたと

きに得られるロータ回転速度をいう。

6.2.1.17

最大許容ガス温度 (Maximum Allowable Gas Temperature)   定常状態又は変移状態のどちらか

で規定する最大許容ガス温度とは,それを超えた温度ではエンジン作動が許容されない限界温度をいう。

6.2.1.18

定格ガス温度 (Rated Gas Temperature)   定格ガス温度とは,表 又は表 の指定されたスラス

ト定格値に達するために,許容された最大測定温度をいう。

6.2.1.19

燃料消費率  (Specific Fuel Consumption) (SFC)    SFC とは,正味スラストの 1N (1lbf) {1kgf}  当

たり 1 時間に消費される燃料を kg (lb)  で表した質量をいう。

6.2.1.20

サージマージン (Surge Margin)   サージマージンとは,所要の定常状態と変移状態における性

能を維持している間の,不利な作動状態に対するエンジンの計算した許容値と実証した許容値又はそのど

ちらか一方の許容値をいう。

6.2.1.21

失速 (Stall)   失速とは,機能の全体的な喪失を招かないエンジン圧縮系統における内部の空力

的じょう乱をいう。

6.2.1.22

サージ (Surge)   サージとは,機能の全体的な喪失を招くエンジン圧縮系統における内部の空力

的じょう乱をいう。

6.2.1.23

標準状態 (Standard Condition)   標準状態とは,ASTIA Document No. 401813 アメリカ合衆国標

準大気 1962  (JIS W 0201)  に示された大気温度と大気圧力の数値をいう。この規格においての標準湿度と

は,すべての高度における零蒸気圧をいう。仕様書中に記されたすべての高度は,ジオポテンシャル高度

でなければならない。

6.2.1.24

絶対高度 (Absolute Altitude)   絶対高度とは,そのエンジンが規定されたラム圧力比のもとで,

満足に機能を果たす最高高度をいう。

6.2.1.25

風車抗力 (Windmilling Drag)   風車抗力とは,ファンと圧縮機に流入する空気の運動量から,

定められた出口ダクトとノズルから流出する空気の運動量を差し引いたものをいう。

6.2.1.26

空中始動 (Air starting)   空中始動とは,規定された範囲の対気速度,高度,気温及び周囲温度

の条件の下で,飛行中に行うエンジン始動をいい,これは,仕様書に規定された始動方法(風車状態とス

タータの援助又はそのどちらか一方)と手順を用いて達成する。


90

W 4601-1996

6.2.1.27

満足に (Statisfactorily)   エンジン仕様書中に記述されたエンジンの作動又は性能に関する語や

用語に関連して,この規格で用いられる“満足に”や“満足な”という語は,次のことを意味しなければ

ならない。すなわち,規定された条件で,作動範囲全域にわたってエンジンの作動特性と性能が影響され

ず,仕様書に示された作動限界と物理的限界を超えず,しかも,エンジンに永久変形その他の損傷が起こ

らないこと。

6.2.1.28

破局的エンジン故障  (Catastrophic Engine Failure)    エンジンの停止やエンジンの広範囲な損傷

を招く故障。これは,単なる能力の部分的低下や長期間にわたる漸進的劣化を生じる故障とは区別する。

6.2.1.29

客用抽気 (Customer Air Bleed)   客用抽気とは,エンジン外部の任意の系統に使用するためエン

ジンから抽出してもよい空気で,これは,エンジンの加速,エンジンの防氷及びその他のあらゆるエンジ

ン系統の要求事項に対して必要とする抽気のほかに利用できる量である。

6.2.1.30

エンジン構成部品 (Engine Components)   エンジン構成部品とは,エンジンの一部として供給さ

れ,しかも,エンジンとともに認定された機器に関する品目をいい,その大きさや形態や動的及び静的特

性は,エンジン仕様書に規定されたエンジン性能を達成するために不可欠である。

燃料ポンプ,エンジン制御装置,ジェットノズル及びアクチュエータ,防氷弁並びに温度受感系統又は

装置が,この範ちゅうに入る。構成部品には,個々の認定,校正又は調整を要求してもよい。

6.2.1.31

補機 (Accessories)   補機とは,航空機の運航のため,又はエンジン作動のための附属品として

必要な機器で,エンジン製造業者から供給されないエンジンに取り付ける機器の品目をいう。スタータ,

回転計発電機,航空機油圧ポンプ,空気ポンプ及び発電機が,この範ちゅうに入る。

6.2.1.32

ガルピング体積 (Gulping Volume)   ガルピング体積とは,滑油温度が 15℃ (59

°F)  でエンジン

の回転速度が零のときの滑油リザーバ容積と,エンジンが安定した最大連続回転速度のときの滑油リザー

バ容積との差をいう。ガルピング体積は,エンジンの始動時ごとの潤滑系統の管路,ポンプ,油だめ,軸

受の空間などを満たすのに必要な滑油の初期量を示す。

6.2.1.33

使用不能滑油 (Unusable Oil)   使用不能滑油とは,エンジン仕様書に規定された運動力と姿勢の

下で,作動範囲全域にわたって,エンジン潤滑要求事項を満足させるのに役立たない潤滑系統中の滑油の

最大量をいう。

6.2.1.34

任務 (Mission)   任務とは,飛行に先立つエンジンの始動に始まり,飛行完了時のエンジンの停

止で終わる期間をいう。

6.2.1.35

ミッションプロフィール (Mission Profile)  ミッションプロフィールとは,対気速度,高度,出

力レバーの設定位置及び持続時間を含む飛行状態で表した個別の任務の表現をいう。

6.2.1.36

任務の頻度 (Mission Mix)   任務の頻度とは,各ミッションプロフィールが,規定された時間内

に現れる相対的頻度(回数)をいう。

6.2.1.37

エンジン設計デューティサイクル  (Engine Design Duty Cycle)    エンジン設計デューティサイク

ルとは,ミッションプロフィールと任務の頻度とから導かれる合成サイクルをいう。

6.2.1.38

エンジンの整備性 (Engine Maintainability)   エンジンの整備性とは,整備工数,要員の技術レ

ベル,試験装置及び整備支援設備を過剰に使用しないで,規定された時間内で,整備(検査,調整,取外

し,試験,修理及びオーバホール)ができる,エンジン及びその部品の能力(すなわち,固有の設計特性)

をいう。


91

W 4601-1996

6.2.1.39

計画整備 (Scheduled Maintenance)   計画整備とは,計画時に行う整備作業で,修正作業と検査

の“目視段階 (look phase) ”と“調整段階 (fix phase) ”とからなる整備作業をいう。目視段階は予防整備

であり,調整段階は,目視段階の結果,必要となる事後整備 (corrective maintenance) ,その他の整備であ

る。

6.2.1.40

計画外整備 (Unscheduled Maintenance)   計画外整備とは,計画整備の周期の間に起こる整備を

いう。

6.2.1.41

非同時作動不可能時間率  [Non-Concurrent Downtime Rate (NCDR)]    非同時作動不可能時間率

とは,ある種の整備作業又は使用機関が作動不可能時間作業として規定した種類の作業に対する時間率の

和をいう。これは,各作業に対して,一作業当たりの時間に単位時間(飛行時間,作動時間などの規定さ

れた時間)当たりの作業数として表現した作業頻度を乗じたものとする。

6.2.1.42

オーバホール間隔  (Time Between Overhaul)    オーバホール間隔とは,基地でのオーバホールの

間に(又は製造と初めてのオーバホールとの間に)各個のエンジンが実際に飛行した時間数の和を,最小

時間取外しでオーバホールしたのも含むオーバホール回数で割ったもの。

6.2.1.43

信頼性に関する用語の意味 (Reliability Definitions) 

6.2.1.43.1

エンジンの故障 (Engine Failure)   信頼性の判定に対して,エンジンの故障は,次のように定

義しなければならない。

(a)

エンジン構成部品の故障の結果,任意の要求レベルの推力を得るか,又は維持することができない

こと。故障が起きたある特定の出力設定に対して,飛行中のスラストが通常利用できる最小出力の

10

%以上低下すれば,これはこの特性を測るためには故障となるとする。

(b)

エンジンの運転停止の決定,又は適正な要求値の 10%を超えてエンジンスラストを減少させるため

にスロットルを後退させるという決定をせざるを得ない状態で,エンジンに直接的に原因がある場

合。フレームアウトがエンジンに原因がある場合は,エンジンフレームアウトは(たとえ,再始動

に成功しても)故障に含まれる。

(c)

エンジンに直接に原因があって,最初の試みから 15 分以内に始動できないこと。

(d)

飛行後の測定で低い滑油レベルは,もしその滑油の消耗率から 12 時間の飛行を推定した場合,低滑

油警報を発する可能性が十分であれば,故障とみなす。

(e)

高い振動は,もしそのレベルが合格可能限界を超え,さらに,これが原因で続いてエンジンが修理

されたり不合格とされたり,また,交換された場合には,故障とみなす。

(f)

もし,

欠陥が構成部品の交換によってすぐに修理されるならば,たとえその構成部品の台上試験で,

構成部品の故障を確証できなくても,故障とみなす。

(g)

単独の故障を是正するため,多数の部品を取り外しても,これは,エンジンに対する一つの故障と

みなす。

(h)

継手又は接続部から 3.3.6.4 に規定する量を超える流体の漏れがあり,この漏れに起因する故障は,

エンジンの責任とみなす。

(i)

エンジンの機能不良又は切迫した機能不良の証拠によるエンジンの運転停止。

6.2.1.43.2

除外する故障 (Excluded Failure)

(a)

輸送,保管,検査,整備,修理,装備,オーバホール又は交換を,現在適用している要領又は航空

機の品質に関するワークマンシップの合理的標準に反して,不適正に行った結果生じた故障。

(b)

エンジンの仕様書に規定された環境条件と時間サイクル限界を超えてエンジンを作動させ,又は適

用仕様書の規定に適合していない燃料や滑油を用いてエンジンを作動させた場合に,これらが原因


92

W 4601-1996

で生じた故障。

(c)

異物による損傷 (FOD) に起因する故障のように,主な故障原因が,エンジンの設計又は品質に直

接には起因しない場合の故障。

(d)

エンジンの始動を最初に試行した後,2 分間以内に始動を達成し,しかも,整備活動が行われなか

った場合の始動故障。

(e)

エンジン受注者が供給していない機器の故障で,この規格中に規定する限界内で,エンジンが適正

な機能又はインタフェースを供給できない結果として生じたのではない故障。

(f)

汚染レベルがこの規格に規定する限界を超えた場合に,

燃料系統の汚染の結果生じた故障。ただし,

汚染はエンジンが原因で生じたという証拠がある場合を除く。

(g)

操縦者又は乗員によって報告されたあらゆる機能不良で,その後の調査,飛行又は地上試験で立証

することができない機能不良。

(h)

該当する使用機関が,エンジンの是正的設計変更又は作動手順変更を技術的に承認した故障は,承

認日以後は故障とみなさない。ただし,上の処置がとられ,しかも,規定された是正措置手順を使

用すると決定しない場合は除く。

6.2.1.43.3

平均故障間隔 (Mean Time Between Failure)   平均故障間隔とは,測定期間内で蓄積された全

エンジン作動時間を測定期間中の故障回数で割ったものをいう。

6.2.1.43.4

修正平均故障間隔  (Adjusted Mean Time Between Failure)    修正平均故障間隔とは,技術変更

提案 (ECP) に述べている規定された故障事象の発生時以前に,提出され,承認された ECP に規定する故

障に対する観測故障率に調整を施した後に計算された平均故障間隔をいう。

6.2.2

記号,添え字及び略語  この規格とこの規格で引用する規格中に用いる記号,添え字及び略語を以

下に列挙する。基本的な記号に加え,繰返し使用したり,又は航空エンジン用語に特に関連した記号−添

え字の組合せも列挙する。各種の比と個別の式は,規格中の該当する箇条でそのような関係を用いる必要

のある箇所で,更に定義する。上の添え字(  )と挿入記号の使用については,その使用を必要とする箇

条の中で同様に定義する。

6.2.2.1

記号  この規格に用いる記号は,次のとおりに定義する。

記号

単位

C

修正係数

無次元

F

スラスト

N (lbf) {kgf}

F

g

総スラスト,二次(エゼクタ)空気流れのあるときは,その効果も含む。

  N (lbf) {kgf}

F

n

正味ジェットスラスト=Fg−Fr

N (lbf) {kgf}

F

r

ラム抵抗,二次(エゼクタ)空気流れのあるときは,これを含む。

N (lbf) {kgf}

g

重力加速度 m/s

2

 (ft/s

2

)

M

0

飛行マッハ数,自由気流のマッハ数

無次元

N

エンジンロータ回転速度 rpm

P

任意のガス静圧,絶対圧

Pa (psi) {kgf/cm

2

}

abs.

P

sis

標準海面上静圧,絶対圧

Pa (psi) {mbar} abs.

P

0

自由気流の静圧,絶対圧

Pa (psi) {kgf/cm

2

}

abs.


93

W 4601-1996

記号

単位

P

t

任意のガス全圧,絶対圧

Pa (psi) {kgf/cm

2

}

abs.

P

t2

/P

0

ラム圧比

無次元

T

任意のガス静温度

T

sis

標準海面上静温度

T

0

自由気流の静温度

T

t

任意のガス全温度

V

速度 m/s

(ft/s)

W

a

空気流量 kg/s (lb/s)

W

t

燃料流量 kg/s (lb/s)

W

g

ガス流量 kg/s (lb/s)

W

ac

エンジン空気流量−低温部(ファン流量−ターボファンエンジン)

kg/s (lb/s)

W

ah

エンジン空気流量−高温部(ガスジェネレータ流量)

kg/s (lb/s)

W

as

二次空気流量(エゼクタに対し) kg/s (lb/s)

W

at

全エンジン空気流量(Wac と Wah を加えた全エンジン流量) kg/s

(lb/s)

W

bi

抽気流量 kg/s (lb/s)

δ

相対圧力,P/Psls,

δ

と P には任意の特定の場所を示す添え字を付ける。

無次元

相対温度,T/Tsls,Ⓗと T には任意の特定の場所を示す添え字を付ける。

無次元

θ

&

エンジン重心周りの縦揺れ角速度 rad/sec

θ

&

&

エンジン重心周りの縦揺れ角加速度 rad/sec

2

Ψ

&

エンジン重心周りの片揺れ角速度 rad/sec

Ψ

&

&

エンジン重心周りの片揺れ角加速度 rad/sec

2

エンジン受注者は,この書式に従った表を備え,さらに,ロータ回転速度,燃料流量,スラスト,温度,

圧力,修正係数並びに振動計装の記号及び位置などの項目に用いるすべての追加の記号を含めなければな

らない。

6.2.2.2

添え字

a

空気

c

低温(コールド)

f

燃料,流体,液体

g

ガス,グロス(総)

h

高温(ホット)

j

ジェット

n

正味

r

ラム

s

二次

t

添え字の第 1 字目のときは,全,又はよどみを表す

T (

  )

温度について修正された

X

抽出された


94

W 4601-1996

0.1.2

エンジン中の場所(場所を示す添え字は,他の添え字の次に置くべきである。

。ときには圧縮

機位置,タービン位置などにおける圧力と温度については,P

t2

,T

t2

,P

t4

,T

t4

などのような添

え字の使い方をするほうがよい。受注者は,性能データを提出するときにその都度,エンジン

の内部と外部の位置を明らかにする線図又は略図を添えるものとする。

受注者は,すべての追加の適当な添え字及び関連した用語を提供しなければならない。

6.2.2.3

略語 (Abbreviations) 

am

じょう乱のない空気塊の周囲静的諸数値

bl

抽気

ej

エゼクタ

ref

参照,基準

std

標準

sls

海面上静止

受注者は,例えば EMI という略語とそれに対応する略されていない語のように,受注者が提案した仕様

書に用いられているすべての略語を網ら(羅)するように追加した略語についても規定しなければならな

い。

6.3

注文データ

6.3.1

調達要求事項  使用機関は,この中のいかなる希望の選択権を行使してもよい。調達文書には,次

の事項を指示すべきである。

(a)

この規格の表題,番号,及び発行年

(b)

使用機関が要求した場合には,現尺実大模型(モックアップ)

3.1.2.2 参照)

(c)

エンジンの保存の程度と発送コンテナの型式(5.1 参照)

6.3.2

受注者データの要求事項

6.3.2.1

構造荷重解析  3.1.2.5 の要求事項による構造荷重解析を PFRT の開始前に提出しなければならな

い。

6.3.2.2

エンジン放熱及び冷却報告書  3.1.2.8.2 の要求事項によるエンジン放熱及び冷却報告書を PFRT

の 6 か月前に提出しなければならない。

6.3.2.3

性能の立証  3.2.1.3 に従って,性能を立証するのに必要なエンジンの試験データと解析結果は,

PFRT

耐久試験の開始前に提出し,QT 耐久試験の開始前に更新しなければならない。

6.3.2.4

故障モード及び影響解析  3.2.3 による故障モードと影響解析を PFRT の開始前に提出し,QT の

開始前に更新しなければならない。

6.3.2.5

信頼性解析報告  3.2.3 によるエンジン信頼性報告書を QT の完了時に提出しなければならない。

6.3.2.6

耐腐食性  3.2.5.5 に要求するとおり,選定されたすべての材料と被覆の試験に関する報告書は,

PFRT

の開始前に提出しなければならない。

6.3.2.7

材料及び工程に関する文書  3.3.1.1 に要求するとおり,エンジン製造業者の材料と工程に関する

文書は,PFRT の開始前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.8

電磁干渉  3.3.2 による電磁干渉制御計画と EMI 又は EMC 試験計画は,PFRT の 6 か月前と QT

の 6 か月前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.9

互換性及び置換性  組合せ部品又は選択はめあい部品を識別する一覧表は,3.3.5 に従って,PFRT

及び QT の前に使用機関に提出しなければならない。


95

W 4601-1996

6.3.2.10

強度及び寿命解析  強度と寿命の解析報告書は,3.3.8.6 に要求するとおり,PFRT の前に使用機

関に提出し,QT の前に更新しなければならない。

6.3.2.11

振動及び応力報告書  3.3.8.10.2 による振動と応力の解析報告書は,PFRT の開始前に使用機関に

提出しなければならない。

6.3.2.12

燃料系統校正限界  3.7.3.3.1 による報告書を,使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.13

滑油流量及び放熱に関する報告書  3.7.7.3.1 に従って滑油流量と放熱に関する報告書を,QT 耐久

試験の開始前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.14

赤外線放射報告書  3.7.10.3 による赤外線放射報告書を,PFRT の開始前に提出しなければならな

い。

6.3.2.15

試験前のデータ  4.3.5.1 に規定する試験前のデータは,4.44.5 及び 4.6 に要求された各試験の

開始前に使用機関に提出し,承認を得なければならない。

6.3.2.16

エンジンの放熱及び滑油冷却報告書  受注者は,4.4.2 に要求される放熱と冷却の要求事項に関す

るデータを含む報告書を使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.17

滑油遮断試験報告書  受注者は,4.4.3 に要求される滑油遮断試験報告書を使用機関に提出しなけ

ればならない。

6.3.2.18

エンジン電力故障試験  PFRT の前に,エンジン電力故障試験に関する最終報告書を使用機関に

提出しなければならない。この報告書のデータは,4.4.4 の結果でなければならない。

6.3.2.19

エンジン振動調査報告書  4.4.5 に従って,振動調査報告書を PFRT の耐久試験の前に使用機関に

提出し,承認を受けなければならない。

6.3.2.20

始動トルク実証手順  PFRT の開始前に,始動トルク回転速度の要求事項を実証するための手順

を使用機関に提出し,承認を受けなければならない。

手順の承認後,実際の実証に関する報告書は,4.4.6 の要求に従って使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.21

整備性及び整備実証報告書  4.4.8 の実証と試験運転との手順と結果とを記載した報告を,QT の

完了前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.22

赤外線放射試験報告書  4.6.5.3 に従って,赤外線放射試験報告書を QT の完了前に使用機関に提

出しなければならない。

6.3.2.23

試験報告書  4.5 と 4.6 の各個別試験について記載している 4.3.6.1 に従って作成した個別の試験

報告書は,その個別試験の完了後 30 日以内に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.24

概要報告書  ここに規定する予備飛行定格試験と認定試験の結果を要約した別個の試験報告書

を,4.3.6.2 に従って作成し,最終の個別試験の完了後 30 日以内に使用機関に提出しなければならない。

6.4

国際標準化  (削除)

6.5

エンジン仕様書の作成  ここに述べる作成要領の規定に適合する完全なエンジン仕様書は,受注者

が作成し,使用機関に提出して,承認を得なければならない。

6.5.1

作成要領  エンジン仕様書は,次のとおりに作成しなければならない。

(a)

箇条の題名と番号は,この規格のそれに対応させなければならない。

(b)

ここで記述した箇条をそのまま適用できるものは,仕様書にそのまま記載しなければならない。

どのような変更,追加又は削除も,余白の部分に識別符号や記号を付けることによって,識別し

なければならない。

(c)

この規格で特定のエンジンの設計には適用しない箇条は,該当する箇条番号と題名の次に“適用し

ない”という語を入れなければならない。


96

W 4601-1996

(d)

特別の設計を明確にするために修正を必要とする箇条は,その特別なエンジンと型式の特性を記述

するのに必要な範囲だけを修正しなければならない。

(e)

新規要求事項又は追加事項は,論理的な順序と位置に,追加の箇条や新しい箇条として追加しなけ

ればならない。

(f)

表,図,図面,図表,附属書などの項目は,仕様書中に完全な形で示さなければならない。これら

の項目を呼び出すすべての説明は,仕様書の本文中に含めなければならない。

(g)

すべての曲線は,必要な補間ができるように適切な数の升目をもつグラフ用紙上に示さなければな

らない。

(h)

作成した仕様書は,容易に接近でき,参照できるように,主な章や索引の間に仕切りページを入れ

なければならない。

(i)

仕様書番号とエンジン型式名は,文書の表紙の背の部分に表示しなければならない。

(j)

エンジンの海面上と高度の性能表は,それぞれ

表 や表 のように示さなければならない。もし仕

様書が,例えば YF と F のように異なる性能の二つのエンジンを規定する場合は,追加したエンジ

ンの海面上と高度の性能表は,それぞれ表 1A や表 2A のように示さなければならない。

6.5.2

承認の状況  エンジン仕様書の最初のページには,左上隅にその仕様書の承認状況を示す情報を含

めなければならない。もし承認が得られている場合は,

“承認済”という語を入れ,承認通知を引用しなけ

ればならない。

もし仕様書が,まだ承認されていない場合には,

“未承認”という語を入れなければならない。

6.5.3

仕様書の日付  仕様書の日付は,右上隅に記入しなければならない。

6.5.4

改定  改定が行われた場合,それは,仕様書番号の後の 1 文字をその改定日付とともに使用して示

し,しかも,それは,エンジン仕様書の 1 ページ目だけに示さなければならない。該当する場合は仕様書

番号と,改定接尾文字だけを後続のページに示さなければならない。以前に提出したエンジン仕様書に,

改定ページを作成して挿入することによって改定を行うという方法を用いてはならない。

6.5.5

立証表  この規格に含まれる PFRT と QT の立証表(附属書 と附属書 B)の要求事項は,エンジ

ン仕様書に含めなければならない。

6.6

エンジン概要の作成要領  エンジン概要(表 と表 参照)の作成要領は,次のとおりでなければ

ならない。

区画①  機密の等級  概要に示されているデータのうちの最も高い等級を示す。現在適用している機密の

規定に従って,自動的に時間で区切られた格下げと機密解除する方式で,その状態を識別する特殊な記号

を含める。

区画②  名称  公式の名称を示すこと。何も指定がない場合は,そのエンジンを識別するその他のすべて

の名称を示す。

区画③  受注者の名称  そのエンジンに対する受注者の名称と,そのエンジンの一般的な名称を示すこと。

該当しないときは,“なし”と記入する。

区画④  仕様書のデータ  受注者の名称,住所(県と市),そのデータのもとになっている型式仕様書番

号(ない場合は,報告書番号,公報又は経過報告書などのデータの出所と日付を示す。),その仕様書の

最新の日付と担当検定機関によって承認されているか否かを記入する。

区画⑤  絵で表したデータ  ジェットノズルを右側にした鮮明な写真(側面図)を付ける。もし入手でき

なければ線図,青焼き図面又は画家のスケッチで差し支えないこの絵で表したデータは,その原形で示し

てもよい。


97

W 4601-1996

区画⑥  後援機関  そのプロジェクトを最初から後援している発注者機関の名称を示す。もし発注者の後

援がない場合,責任ある受注者を示す。

区画⑦  特徴  一般的な説明と冷却,液体噴射,アフタバーニング,信頼性,特殊性,制限事項,エンジ

ン寿命の予想,前の型式に対する発展,類似点などのうち該当するものに関する特殊なデータを示す。

区画⑧  入手可能性

(a)

計画開始……………………………………………………

(計画開始と年と月を示す。)

(b)

開発契約……………………………………………………

(契約の年と月を示す。該当しない場合は,“なし”と記入する。)

(c)

エンジン実大模型の検査…………………………………

(公式の完成予定の年と月を示す。該当しない場合は,“なし”と記入する。)

(d)

試験用エンジン……………………………………………

(完全な組立品としての最初の運転予定の年と月を示す。該当しない場合は,“なし”

と記入する。試験用エンジンとは,基本的には予備飛行定格試験を完了していないエ

ンジンを意味する。)

(e)

機体用実大模型……………………………………………

(公式の完成予定の年と月を示す。該当しない場合は,“なし”と記入する。)

(f)

装備エンジン………………………………………………

(最初の飛行エンジンを原型の機体に取り付けるために入手できたか,又は入手でき

る年と月を示す。該当しない場合は,

“なし”と記入する。

(g)

予備飛行定格試験 (PFRT) ……………………………

(公式の完了予定の年と月を示す。該当しない場合は,

“なし”と記入する。

(h)

認定試験 (QT) …………………………………………

(公式の完了予定の年と月を示す。該当しない場合は,

“なし”と記入する。実証又

は航空局の証明だけが必要な場合は,予定の年と月を示し,認定試験の行の下に記入

する。

区画⑨  契約(調達)  実証用,試験用又は研究用エンジンの場合は,すべての契約番号,契約範囲及び

全契約価格を示す。生産用又は運用試験用エンジンの場合は,すべての契約番号,契約当たりの数量及び

単価を示す。

区画⑩  状況  現在の状況,すなわち,設計段階では実施中の構成部品の開発,最初の着火日付,製造で

は製造完了の年と月,現在実施中の製造の強化,今までに製造されたエンジンの台数などのうち,該当す

るものを示す。

また,契約の開始後,エンジンが入手できるまでの概略の期間を示す。現在の状況,開発の段階及び入

手可能性を完全に説明するのに必要なすべての事項を示す。

区画⑪  個別の特徴  すべての適用性能及び特性変数は,海面上静止標準日状態に基づく。

(a)

(単軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。)

圧縮機…………………………………………………………

[型式,単軸ロータ,段数(ファン段数  を含む。),可変機構などを示す。]

(2 軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。)

圧縮機…………………………………………………………


98

W 4601-1996

  低圧ロータ…………………………………………………

  高圧ロータ…………………………………………………

[圧縮機型式,2 軸ロータ,各ロータの段数(ファン段数  を含む。),可変機構などを示す。]

(b) 

(単軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。)

最大設計圧力比[海面上静止 (SLS)]

  ファン………………………………………………………

                    : 1

  全体…………………………………………………………

                    : 1

(0.1 の位まで表す。)

(2 軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。)

最大設計圧力比 (SLS):

  ファン………………………………………………………

                    : 1

  低圧ロータ…………………………………………………

                    : 1

  高圧ロー夕…………………………………………………

                    : 1

  全体…………………………………………………………

                    : 1

(0.1 の位まで表す。)

(c)

バイパス比(ターボファンエンジンについてだけ)……

                    : 1

(高圧圧縮機の空気流量に対するバイパス空気流量比を 0.1 の位まで表す。)

(d)

最大許容抽気量………………………………………………

                    %

(圧縮機抽気流量を最大定格出力時の圧縮機空気流量で割った値に等しい。

0.1

の位まで表す。

(e)

最大定格空気流量 (SLS) ………………………………………

kg/s (lb/s)

(最大定格出力時又は離陸定格出力時のいずれか該当する空気流量であり,最も適切な単位ま

で表す。)

(f)

燃焼器…………………………………………………………

(型式,数,流量などを示す。)

(g)

(単軸ロータタービンの場合,以下の事項を示す。)

タービン………………………………………………………

(型式,単軸ロータ,段数,可変機構などを示す。)

(2 軸ロータタービンの場合,以下の事項を示す。)

タービン………………………………………………………

  低圧ロータ…………………………………………………

  高圧ロータ…………………………………………………

(タービンの型式,2 軸ロータ,各ロータの段数可変機構などを示す。)

(h)

タービン冷却…………………………………………………

(型式,すなわち,空気,液体,無冷却などを示す。)

(i)

最大許容平均定常状態温度(燃焼器出口)………………………

℃  (

°

F)

(j)

最大許容平均定常状態測定温度(燃焼器出口)…………………

℃  (

°

F)

(k)

最大定格タービン入口温度 (SLS) ………………………………

℃  (

°

F)

(最大又は離陸定格出力時の値のいずれか該当するもので示す。)

(l)

ジェットノズル………………………………………………


99

W 4601-1996

(型式,可変性,コンバージェント,ダイバージェント,及びその位置,固定面積,出口面積

などを示す。)

(m)

再燃機構………………………………………………………

(型式,位置,“なし”などを示す。)

(n)

最大定格排気温度 (SLS) …………………………………………

℃  (

°

F)

(最大又は離陸定格出力時のいずれか該当するものの出口位置における値で示す。)

(o)

電気系統………………………………………………………

(電圧,周波数及び最大電流の要求事項を示す。)

(p)

点火機構………………………………………………………

(型式,点火装置の数などを示す。)

(q)

出力制御………………………………………………………

(電気式,油圧式,空気圧式,ディジタルコンピュータなどの型式を示す。)

(r)

燃料……………………………………………………………

(主燃料と代替燃料の両方に対する指定の種類と規格を一覧表にする。)

(s)

滑油……………………………………………………………

(指定の種類,等級及び規格を一覧表にする。)

(t)

 MCP

滑油消費量  …………………………………………………

l/h (gal/h)

[最大連続出力 (MCP) 又は公称定格出力時の値のいずれか該当するもので示し,0.1 の位まで

表す。]

(u)

補機駆動装置…………………………………………………

(装備している駆動軸の数を一覧表にする。)

(v)

スラスト重量比………………………………………………

                    : 1

(最大定格出力に基づき,0.1 の位まで表す。)

区画⑫  寸法及び質量  すべてのデータは,室温における値を示す。

(a)

全長……………………………………………………………

                    mm (in)

(エンジンの中心軸と平行に 0.1 の位まで表す。)

(b)

呼び直径………………………………………………………

                    mm (in)

(エンジンの中心軸と垂直に 0.1 の位まで表す。)

(c)

最大半径投影…………………………………………………

                    mm (in)

(エンジンの中心軸と垂直に 0.1 の位まで表す。)

(d)

乾燥質量………………………………………………………

                    kg (lb)

[エンジン構成部品でないがエンジンに備え付けられている品目を含めてはならない。最も近い

kg (lb)

値で表す。]

(e)

ウエット質量…………………………………………………

                    kg (lb)

[乾燥質量に運転とドレンの後残っている流体を加えたものに等しい。

最も近い kg (lb)  値で表す。

区画⑬  利用  ニックネーム及び呼びの両方によって機体へのとう(搭)載を示す。機体とう載当たりエ

ンジン数を含め,さらに,各機体の使用機関を示す。

区画⑭  日付  概要の発行を示す日付を付け加える。

区画⑮  性能  適用エンジン仕様書の性能表に基づく性能を示す。

区画⑯  グラフで示した性能  選ばれた海面上,高度及び飛行速度に対して,スラスト対 SFC の曲線を示


100

W 4601-1996

す。この選択は,エンジン能力と同じように機体へのとう載要求事項に基づくべきである。基礎データは,

一般に,適用エンジン仕様書に示す性能表と G&A(地上と飛行中の)性能曲線から得る。使用したラム効

率と模型大気を示す。このデータは,その原形で示してもよい。

区画⑰  注記  もし必要ならば,エンジンの説明又は能力を完全に示すために必要であると思われるすべ

ての追加情報に対して使用する。


101

W 4601-1996

図 1  外部から加わる力

3.1.2.5 参照)

備考1.  荷重倍数,角速度及び角加速度は,エンジンの重心で,又はその周りに取るのがよい。

2.

横荷重倍数 (S. L.) は,どちらの側にも働く。

3.

θ

&

θ

&

&

は,縦揺れ角速度と角加速度である。

4.

Ψ

&

Ψ

&

&

は,片揺れ角速度と角加速度である。

5.

下向き荷重は,引起し中に生じる。

6.

前向きの荷重は,拘束着陸中に生じる。


102

W 4601-1996

図 2  エンジンの表面温度対エンジンの長さ

3.1.2.8 参照)


103

W 4601-1996

図 3  エンジン熱放射率解析及び計算の基礎

3.1.2.8 参照)


104

W 4601-1996

図 4  推定性能曲線

3.2.1.2.2 参照)

図 5  二次空気流量曲線

3.2.1.2.2 参照)


105

W 4601-1996

図 6  二次空気圧力回復率曲線

3.2.1.2.2 参照)

図 7  運転(作動)範囲

3.2.1.4.1 参照)

備考  示されている変移作動に対しては,MIL-STD-210 の低温日,高温日又は標準日の条件を指定する。


106

W 4601-1996

図 8  推定エンジン運転(作動)限界

3.2.1.4.1 参照)


107

W 4601-1996

図 9  エンジン姿勢限界

3.2.1.5.14.5.4.4 参照)

備考1.  エンジンは,起こり得るすべての加速条件において作動できなければならない。しかし,エンジンの重心から

の加速度ベクトルの方向を明確にするために,この図では重力以外の加速度は考えない。

2.

記号*は,地面を基準とする。

3.

エンジン中心線は紙面に垂直とする。

4.

非斜線部は連続作動。

5.

斜線部は 30 秒間作動。

6.

記号▲は試験点を示す。


108

W 4601-1996

図 10  加速スケジュール−海面上∼3 048m (10 000ft) 

対気速度 278km/h (150kt)  まで,標準状態

3.2.1.5.6 参照)


109

W 4601-1996

図 11  連続最大着氷条件

3.2.5.2 参照)


110

W 4601-1996

図 12  断続最大着氷条件

3.2.5.2 参照)


111

W 4601-1996

図 13  排気の目視不可能限界

3.2.5.8.1 参照)

(

1

)  d

:エンジンの排気出口面における燃焼ガスジェットノズルの直径。排気出口面とは,流れを囲む固体表面を含

まない排気流れに垂直な最初の下流の平面をいう。可変面積ジェットノズルをもつエンジンについての は,

アフタバーニングしないときの平均値をとらなければならない。

円でないジェットノズルをもつエンジンに対する は,

実際のノズルに外接する最小円の直径としなければな

らない。燃焼ガスが環状部を通過して排気するエンジンの は,環状排気流れと同じ断面積の円の直径としな

ければならない。


112

W 4601-1996

図 14  周囲温度の分布

3.3.8.1 参照)

図 15  出力レバー角度対出力レバートルク

3.7.2.1.1.2 参照)


113

W 4601-1996

図 16  機能を制限する制御の領域 

標準大気状態

3.7.2.2.2 参照)

備考  すべての限界は,機能に応じて個別に明確にすべきである。


114

W 4601-1996

図 17  始動トルク及び回転速度要求事項 

(海面上静止状態)

3.7.9.1.14.3.3.44.7.1.4 参照)

備考1.  着火前に必要な回転速度 (rpm)

(該当する場合は,

エンジン製造業者は最小時間と回転数又は着火前に満足しなければならないあらゆる条件

の組合せを示さなければならない。

着火速度での最大所要クランキング時間……秒

2.

スタータ駆動部の定常トルク

a.

未着火エンジン(−54℃における曲線は,回転開始時後の抵抗トルクを示す。

b. 

着火エンジン

3.

最小スタータ切離し回転速度……rpm

4.

最大スタータ切離し回転速度……rpm(最大切離し回転速度は,最小切離し回転速度より少なくとも 10%大き

くあるべきである。

5.

エンジン無負荷状態(標準日の例)


115

W 4601-1996

図 18  エンジン地上始動時間対周囲空気温度 

[静止,ラム圧力なし,海面上∼3 048m (10 000ft)

3.7.9.24.6.4.1 参照)


116

W 4601-1996

図 19  エンジン高空及び始動試験点

4.5.34.6.3 参照)

備考  この図で指定する試験点は,エンジン運転範囲の重要な全領域を覆うように選定しなければならない。


117

W 4601-1996

図 20  近距離場全周波数域音圧レベル曲線(dB の基準は 0.000 2

µbar

4.6.4.10 参照)

図 22  近距離場オクターブバンド音圧レベル曲線(dB の基準は 0.000 2

µbar 

中心周波数 250Hz 

4.6.4.10 参照)

図 21  遠距離場全周波数域音圧レベル曲線(dB の基準は 0.000 2

µbar

4.6.4.10 参照)

図 23  遠距離場全周波数域知覚騒音レベル曲線(dB の基準は 0.000 2

µbar

4.6.4.10 参照)


118

W 4601-1996

表 1  海面上静止標準状態における定格性能

3.13.2.1.13.2.1.23.2.1.34.5.1.2.34.5.1.64.6.1.74.7.6 参照)

表 2  高空状態における定格性能

3.13.2.1.13.2.1.23.2.1.34.5.1.64.5.3.24.6.1.74.6.3.2 参照)


119

W 4601-1996

表 3  ターボジェット特性概要

3.1 及び 6.6 参照)


120

W 4601-1996

表 3  ターボジェット特性概要(続き)

3.1 及び 6.6 参照)


121

W 4601-1996

表 4  ターボファン特性概要

3.1 及び 6.6 参照)


122

W 4601-1996

表 4  ターボファン特性概要(続き)

3.1 及び 6.6 参照)


123

W 4601-1996

表 5  歯車装置のパッド及び駆動装置

3.1.2.73.7.9.4 参照)

表 6  信頼性数値

3.2.3 参照)


124

W 4601-1996

表 7  組織的な現地レベルの総合最大許容整備性推定値 

(ミッション  ミックス)

3.2.4.1 参照)

表 8  運用上の適合性を立証するため推定される中間的な組織的整備

3.2.4.1 参照)


125

W 460

1-199

6

表 9  設計デューティサイクル

3.3.8.13.3.8.33.3.8.83.7.6.73.7.6.7.14.6.6.2.1 参照)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)(

7

)

応力破壊・クリープ要求事項(

6

)

システム

区分

運用寿命 
(時間)

S-L T-O

(

4

T&G

(

5

逆スラスト

戦闘

亜音速サイクル

戦闘

超音速サイクル

出力設定

高度

m (ft)

マッハ数

時間%

低温部品  4 000

3 500

2 000

− 2

200(

1

)

  400(

1

)

戦闘機

高温部品  2 000

1 750

1 000

− 1

100(

1

)

  200(

1

)

最大(

3

)

最大

中間 
巡航 
ロイター

(

2

(

2

  3 048 (10 000)

10 668 (35 000)

S. L.

超音速(

2

)

0.9

0.9

 0.75

0.3

      1

      4

    30(

8

)

  60

      5

低温部品  10 000

2 000

3 000

− 2

000(

1

) 1

000(

1

)

地上待

高温部品  5 000

1 000

1 500

− 1

000(

1

)

  500(

1

)

最大(

3

)

最大

中間 
巡航 
ロイター

(

2

(

2

  3 048 (10 000)

12 192 (40 000)

S. L.

超音速(

2

)

0.9

0.9

0.8

0.3

      4

   1.0

  14.0(

9

)

  75.0

      6

低温部品  40 000

4 000

− 2

000

爆撃機

︵参

考︶



高温部品  10 000

1 000

  500

中間 
巡航

ロイター

(

2

10 668 (35 000)

(

2

 0.75

 0.72

0.5

      5

  45

  50

(

1

) SLTO

サイクルを含むこと。もっと有害な場合は,主要なサイクルとして使用する。

(

2

)

使用機関が指定する。

(

3

)

アフタバーナ  全開

(

4

) S-L

  T-O(海面上離陸)

(

5

) T&G

(着陸復航)

(

6

)

この表を用いる設計に対しては,許容応力破壊寿命の半分を使用する。

(

7

)

設計には,この表に示すサイクル数の 2 倍を使用する。

(

8

)

地上走行時間として 80%以上の出力設定で 5%の時間を含む。

(

9

)

地上走行時間として 80%以上の出力設定で 1.5%の時間を含む。


126

W 460

1-199

6

表 9  設計デューティサイクル(続き)

3.3.8.13.3.8.33.3.8.83.7.6.73.7.6.7.14.6.6.2.1 参照)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)(

6

)

応力破壊・クリープ要求事項(

5

)

システム

区分

運用寿命

(時間)

S-L T-O

(

2

T&G

(

3

逆スラスト 亜音速サイクル  出力設定

高度

m (ft)

マッハ数

時間%

貨物機

1.

侵攻

低温部品 10

000

高温部品

5

000

2.

中型及び大型

低温部品

30 000

9 000

5 000

4 000

高温部品

10 000

3 000

2 000

1 000

離陸

巡航

アイドル

海面上

9 144 (30 000)

(

1

(

1

0.7

(

1

        4(

4

)

      87

        9

3.

多用途

低温部品 15

000

高温部品

7

500

(

1

)

使用機関が指定する。

(

2

)

海面上離陸

(

3

)

着陸復航

(

4

)

地上走行時間として 80%以上の出力設定で,3%の時間が含めてある。

(

5

)

この表を用いる設計に対しては,許容応力破壊寿命の半分を使用する。

(

6

)

設計には,この表に示すサイクル数の 2 倍を使用する。


127

W 460

1-199

6

表 9  設計デューティサイクル(続き)

3.3.8.13.3.8.33.3.8.83.7.6.73.7.6.7.14.6.6.2.1 参照)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)(

6

)

応力破壊・クリープ要求事項(

5

)

システム

区分

運用寿命

(時間)

S-L T-O

(

2

T&G

(

3

逆スラスト 亜音速サイクル  出力設定

高度

m (ft)

マッハ数

時間%

練習機

低温部品

5 000

5 000

7 500

− 3

500(

4

)

高温部品

2 500

2 500

2 500

− 1

750(

4

)

最大(

6

)

最大(

7

)

中間

巡航

アイドル

S. L.

(

1

3 048 (10 000)

(

1

(

1

(

1

(

1

(

1

(

1

(

1

)

        1

        3

      25(

5

)

      64

        7

(

1

)

使用機関が指定する。

(

2

)

海面上離陸

(

3

)

着陸復航

(

4

) SLTO

サイクルを含む。もっと有害な場合は,主要なサイクルとして使用する。

(

5

)

地上走行時間として 80%以上の出力設定で,5%の時間が含めてある。

(

6

) T.

O.

A/B

(アフタバーナ)

(

7

) A/B

超音速飛行

(

8

)

この表を用いる設計に対しては,許容応力破壊寿命の半分を使用する。

(

9

)

設計には,この表に示すサイクル数の 2 倍を使用する。


128

W 4601-1996

表 10  燃料汚染要因物質

3.7.3.3.23.7.3.4 参照)

汚染要因物質

粒子の大きさ

含有量

鉄−酸化第二鉄

 (Ferrous

−Ferric Iron Oxide)

[Fe

3

O

4

(黒色)

,磁鉄鉱]

0

∼5

µm 3.83mg/l

 (14.5mg/gal)

酸化第二鉄  (Ferric Iron Oxide)   
(Fe

2

O

3

,赤鉄鉱)

0

∼5

µm 3.83mg/l

 (14.5mg/gal)

酸化鉄 (Iron Oxide)

5

∼10

µm 0.40mg/l

 (1.5mg/gal)

石英粒 1000∼1 500

µm 0.066mg/l

 (0.25mg/gal)

石英粒

420

∼1 000

µm 0.46mg/l

 (1.75mg/gal)

石英粒

300

∼420

µm 0.26mg/l

 (1.0mg/gal)

石英粒

150

∼300

µm 0.26mg/l

 (1.0mg/gal)

調整したじんあい 
参考  A. C. Spark plug Co. 部品

番号 1543637(荒目のアリ

ゾナ道路ダクト)に適合す
るじんあい

次のものの混合物

  0

∼    5

µm (12%)

  5

∼ 10

µm (12%)

10

∼ 20

µm (14%)

20

∼ 40

µm (23%)

40

∼ 80

µm (30%)

80

∼200

µm ( 9%)

2.11mg/l

 (8.0mg/gal)

綿くず (Cotton linters)

7

ステープル (staple) 未満(アメ

リ カ 合 衆 国 農 務 省 等 級 基 準

SRA-AMS 180

及び 251

0.026mg/l

 (0.1mg/gal)

天 然 ナ フ テ ン 酸  (Crude

Naphthenic Acid)

容積比で 0.03%

蒸留水に塩を溶かして造った塩

水,又は全部で 200ppm 以下の固
体を含むその他の水

質量で NaCl 4%,H

2

O 96

容積比で 0.01%


129

W 4601-1996

表 11  試験用燃料の性質

4.3.4.64.3.5.10 参照)

燃料は,次を除き,仕様書 MIL-T-5624 に従って調達すべきである。

要求事項 JP-4 

JP-5 

最小

最大

最小

最大

蒸留:

回収燃料  10%

98.9

℃ (210

°F)

 204

(400)

回収燃料  20%

82.2 (180)

110 (230)

196 (385)

213 (415)

回収燃料  50%

110 (230)

143 (290)

210 (410)

227 (440)

回収燃料  90%

163 (325)

204 (400)

238 (460)

260 (500)

最終点

243 (470)

288 (550)

比重,

°API 50.0

43.0

硫黄,合計重量パーセント 0.004

0.004

凝固点

−50℃  (−67

°F)

−410℃  (−40

°F)

−34.4℃  (−30°F)  における動粘

度  cSt

10.0

芳香族,体積% 10.0

10.0

煙点,mm

21

引火点

38.9

℃ (120

°F)

腐食防止剤

なし

上記に個別の限界値が指定していない場合には,MIL-T-5624 の限界値を適用する。


130

W 4601-1996

12  データ記録要求事項

4.3.5.44.3.5.54.3.5.6参照)

データ記録

頻度

試験期間

中取得

エンジンの始動

1回、定

常状態

は1サイ

クルに

3 0

分に1回

、又

変移中

連続的

校正又は再校正

PFR

T/Q

T

1

日時

X X   X

X

2

合計耐久時間

X

3

出力設定

X X   X

X

4

ジェットノズルスロート,ノズル出口及びバイパスノズルスロートの面積  cm

2

(in

2

)

X

X

X

5

ジェットノズル位置 X

X

X

X

6

エンジンロータ回転速度  rpm X

X

X

X

7

アイドル時のロータ回転速度  rpm X

8

点火時のロータ回転速度  rpm X

9

スタータ切離し時のロータ回転速度  rpm X

10

エンジン燃料流量  kg/h (lb/h)

X

X

X

X

11

アフタバーナ燃料流量  kg/h (lb/h)

X

X

X

X

12

スラスト  N (lbf) {kgf}

X

X

X

X

13 Wah

,Wac及びWas (

1

)

を含む空気流量算出用のデータ  kg/s (lb/s)

X

X

14

エンジン入口平均絶対全圧  Pa (inHg) {mmHg}

X

X

X

15

エンジン入口平均全温度  ℃  (

°F) X

X

X

16

圧縮機出口絶対全圧  Pa (inHg) {mmHg}

X

X

X

X

17

圧縮機抽気絶対全圧(客用)kPa (psi) {kgf/cm

2

}

X

X

18

圧縮機抽気絶対全圧(加速)kPa (psi) {kgf/cm

2

}

X

19

圧縮機抽気絶対静圧(客用)kPa (psi) {kgf/cm

2

}

X

X

X

20

圧縮機抽気絶対静圧(加速)kPa (psi) {kgf/cm

2

}

X

21

圧縮機抽気全温度(すべてのポート)℃  (

°F)

X

X

X

22

圧縮機抽気流量(すべてのポート)kg/s (lb/s)

X

X

X

23

タービン出口平均絶対全圧  Pa (inHg) {mmHg}

X

X

X

24

バイパス出口絶対全圧  Pa (inHg) {mmHg}

X

X

X

25

バイパス出口絶対全圧  Pa (inHg) {mmHg}

X

X

X

26

バイパス出口全温  ℃  (

°F)

X

X

X

27

ジェットノズル出口絶対全圧  Pa (inHg) {mmHg}

X

X

28

ジェットノズル出口静圧  Pa (inHg) {mmHg}

X

X

X

29

ジェットノズル全温  ℃  (

°F)

X

X

X

30

滑油流量  kg/min (lb/min)

X

X

X

31

滑油ポンプ入口における滑油入口温度  ℃  (

°F)

X

X

X

X

32

滑油ポンプ入口における滑油圧力  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

X

X

X

X

33

滑油ポンプ出口における滑油圧力  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

X

X

X

X

34

排油ポンプ出口における滑油圧力  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

X

X

X

35

排油ポンプ出口における滑油温度  ℃  (

°F)

X

X

X

36

燃料又は滑油冷却器出口における滑油温度  ℃  (

°F)

X

X

X

37 PFRT

及びQTの各サイクルに対する滑油消費量

38

燃料系統入口における燃料圧力  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

X

X

X

X

39

エンジン形態外形図に示す位置の燃料圧力  kPa (psi) {kgf/cm

2

} gage

X

X

X

X


131

W 4601-1996

40

燃料系統入口における燃料温度  ℃  (

°F)

X

X

X

データ記録

頻度

試験期間

中取得

エンジンの始動

1回、定

常状態

は1サイ

クルに

3 0

分に1回

、又

変移中

連続的

校正又は再校正

PFR

T/Q

T

41

燃料又は滑油冷却器出口における燃料温度  ℃  (

°F)

X

X

X

42

測定ガス温度  ℃  (

°F) X

X

X

X

43

最大測定ガス温度  ℃  (

°F) X

44

液体噴射流量  kg/h (lb/h)  (例えば,水)

X

X

45

エンジン形態外形図に示す位置のエンジン振動速度  mm/s (in/s)

X

X

X

X

X

46

該当する場合,補機室温度  ℃  (

°F)

X

X

X

47

冷却空気入口温度  ℃  (

°F)

X

X

X

48

冷却空気出口温度  ℃  (

°F)

X

X

X

49

エンジン状態監視系統データ(各変数を一覧表にすること)

X

X

X

50

セルの静圧  Pa (inHg) {mmHg} abs

X

X

X

X

51

点火装置電源電圧及び電流(外部電力を使用している場合) X

X

X

52

補機パッドにおける滑油の漏れ

X

X

53

始動番号

X   X

54

点火作動までの時間 X

X

55

着火までの時間 X

X

X

56

スタータ切離しまでの時間 X

X

X

57

安定したアイドルrpmまでの時間 X

X

X

58

油圧が指示されるまでの時間(エンジン形態外形図に示す点において) X

X

X

59

正規油圧に安定するまでの時間(エンジン形態外形図に示す点において) X

X

X

60

使用機関によって要求される追加データ X

X

X

X

(

1

) Wah

=高温空気流量

Wac

=低温空気流量

Was

=二次空気流量


132

W 460

1-199

6

13  海面上防氷条件

4.6.4.2参照)

部分1

部分2

エンジン入口全温

−20℃ (−4

°F) ±1°

−10℃ (15

°F) ±1°(

1

)

−5℃ (23

°F) ±1°

−5℃ (23

°F) ±1°

速度

0

∼60kt 0∼60kt 0∼60kt 0∼60kt

高度

0

∼152m (0∼500ft) 0∼152m (0∼500ft) 0∼152m (0∼500ft) 0∼152m (0∼500ft)

平均有効水滴直径

20

µm 20µm 20µm 30µm

液体水分含有量

(連続)

1g/m

3

±0.25g/m

3

 2g/m

3

±0.25g/m

3

 2g/m

3

±0.25g/m

3

 0.4g/m

3

±0.1g/m

3

(

1

)

この条件は,ファンのないエンジンについては適用しない。


133

W 4601-1996

14  塩霧(塩水噴霧)注入耐久サイクルスケジュール

4.6.4.3参照)

エンジン周囲空気

段階 
番号

(

3

段階持続

時間

h

試験エンジン
の作動

注入する塩

溶液濃度

ppb

温度

相対湿度

1

     3(

1

)(

5

)

作動 200(

4

) 10

℃以上 73%以上

2

2

停止 0

大気温度

大気湿度

3

7

停止

  200(

2

)(

4

) 10

℃以上 73%以上

4 12

停止 0

43

±5℃ 90%以上

5

     3(

1

)(

6

)

作動 200(

4

) 10

℃以上 73%以上

6

2

停止 0

大気温度

大気湿度

7

7

停止

  200(

2

)(

4

) 10

℃以上 73%以上

8 12

停止 0

43

±5℃ 90%以上

(

1

)

燃料を遮断してエンジンがアイドルから減速されている間は,塩水の溶液はロータが

停止するまでエンジンに噴霧し続けなければならない。

(

2

)

試験設備の送風システムは,エンジンのガス通路を通り,更にエンジンの外部表面上
に塩水を含んだ噴霧空気流を供給する。

(

3

)

エンジン入口と排気開口部は,試験サイクルの全段階を通じて開放しておかなければ
ならない。

(

4

)

エンジンに吸い込まれる塩水の溶液は4.6.4.3の規定に適合し,塩水注入を要求する各

サイクルの段階中に200ppbの一定の質量濃度を供給するように調節しなければならな
い。各作動サイクル中に濃度レベルを決定するため,塩水のサンプリングシステムを
用いなければならない。

(

5

)

段階1のエンジン作動サイクル(全累積時間−3時間)

(1)

最大出力の5分間に続くアイドルの5分間の運転からなる10分間のサイクルを4回。

(2)

最大連続出力で110分間

(3)

中間出力で30分間

(

6

)

段階5のエンジン作動サイクル(全累積時間−3時間)

(1)

最大連続出力で10分間

(2)

アイドルの2.5分間に続く中間出力の2.5分間の運転からなる5分間のサイクルを6回。

(3)

最大連続出力の90%で130分間。

(4)

最大連続出力で10分間。


134

W 4601-1996

附属書A  予備飛行定格試験 (PFRT) 要求事項

(Xは該当項目を示す。)

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

3.1.2.5

外部から加わる力

X    A

3.1.2.8.2

放熱及び冷却試験報告書

X    A

3.2.3

信頼性 X

B

3.2.5.5

耐腐食性 X

X

C

3.3.1.1

材料及び工程

X    D

3.3.2

電磁干渉 (EMI)

X

E

3.3.5

互換性 X

F

3.3.8.4

エンジンの圧力の釣合い

X    A

3.3.8.6

強度及び寿命解析

X    A

3.3.8.10.2

振動及び応力解析

X    A

3.7.7.4.6

摩耗率の解析

X    K

3.7.10.3

赤外線放射 (IR)

X

R

3.9.1

技術評価試験

X    G

4.3.5.1

試験前のデータ

X    H

4.3.6.1

試験報告書 X

I

4.3.6.2

概要報告書 X

J

4.4.1

客用抽気

X

K

4.4.2

エンジンの放熱及び滑油の冷却

X

L

4.4.3

滑油遮断試験

X

G

4.4.4

エンジン電力故障試験

X

G

4.4.5

エンジン振動調査 X

M

4.4.6

始動トルク

 X

N, S

4.4.7

修正係数の立証 X

X

S

4.4.9

材料腐食試験

X

C

4.5.1.1.1

エンジン乾燥質量

 X  O

4.5.1.1.2

出力レバーのトルク

 X

4.5.1.2.1

温度受感系統の校正

X

4.5.1.2.2

エンジン制御系統の校正

X

P

4.5.1.2.3

エンジンの校正

X

4.5.1.2.3.1

圧縮機抽気の分析 X

X

Q

4.5.1.3

耐久試験の手順

X

4.5.1.3.1

始動

4.5.1.4.1

エンジンの再校正

X

4.5.1.4.2

温度受感系統の再校正

X

4.5.1.4.3

エンジン制御系統の再校正

X

4.5.1.5

エンジンの分解及び検査 X

4.5.1.6

耐久試験の完了 X

4.5.2

エンジン構成部品の試験

X

4.5.2.2

耐爆性試験

X

4.5.2.3

燃料ポンプ高度試験

X

4.5.2.4

滑油リザーバの圧力試験

X

4.5.2.5

耐火試験

X

4.5.3

高空試験(エンジン)

X

4.5.3.1

高空エンジン校正

X

4.5.3.2

高空試験手順

X


135

W 4601-1996

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

4.5.3.3

高空試験の完了 X

4.5.4

細部の試験

X

4.5.4.1

エンジン耐圧試験

X

4.5.4.2

ロータの構造完全性

X

4.5.4.2.1

過回転速度

X

4.5.4.2.2

過昇温度

X

4.5.4.2.3

ディスク破断試験

X

4.5.4.3

エンジン静荷重試験

X

4.5.4.4

姿勢試験

X

4.5.4.5

電磁干渉及び妨害感受性試験

X

A  報告書は,PFRTの開始前に使用機関に提出しなければならない。

B

エンジン故障モード及び影響解析は,PFRTに先立って実施しなければならない。

C

材料及び皮膜試験計画案は,材料試験の開始前に使用機関に提出しなければならない。

また,材料試験の報告書は,PFRTの開始前に使用機関に提出しなければならない。

D

エンジン製造業者の文書が材料及び工程に関して使用される場合,そのような文書は,PFRT

の開始前に使用機関の審査を受けなければならない。

E

MIL-STD-461

によって要求されるEMI制御計画並びにEMI及びEMC試験計画は,PFRTの前に

作成しなければならない。

F

組合せ部品又は選択はめあい部品は,識別し,さらに,一覧表をPFRTの前に使用機関に提出

しなければならない。

G

試験報告書は,PFRTの完了前に提出しなければならない。

H

試験前のデータは,PFRTに対して要求される各試験又は実証試験の開始前に使用機関に提出

し,承認を得なければならない。

I

試験報告書は,PFRTに対して要求される各試験又は実証試験の完了に続いて使用機関に提出

し,承認を得なければならない。

J

概要報告書は,PFRTの完了に続いて使用機関に提出しなければならない。

K

報告書は,PFRT耐久試験の開始前に提出しなければならない。

L

エンジン仕様書中に示す放熱解析及び表面温度解析を立証する報告書は,PFRTの開始前に使

用機関に提出しなければならない。

M

振動調査報告書は,PFRT耐久試験の開始前に使用機関に提出し,承認を得なければならない。

N

始動トルク実証試験を実証する手順は,試験開始前に使用機関に提出し,承認を得なければな

らない。

O

エンジン質量は,校正の開始に先立ち,エンジンに燃料又は滑油を供給する前に,測定しなけ

ればならない。

P

4.5.1.2.3

のエンジンの校正の前に実施しなければならない。

Q

抽気分析の結果,方法及び使用した試験装置は,エンジン試験報告書中に詳細に説明しなけれ

ばならない。

R

規定された方位角,仰角,バンドパス,高度及びエンジン出力設定値に対する最大IRレベルは,

PFRT

の開始前に使用機関に提出しなければならない。

S

試験報告書は,PFRTの開始前に使用機関に提出しなければならない。


136

W 4601-1996

附属書B  認定試験 (QT) 要求事項

(Xは該当項目を示す。)

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

3.2.3

信頼性

X    A

3.3.2

電磁干渉 X

B

3.3.5

互換性 X

C

3.3.8.6

強度及び寿命解析

X    D

3.5.1.5

修理手順及び摩耗限界 X

E

3.7.6.7.1

相対的損傷図表 X

F

3.7.7.3.1

滑油流量及び放熱

X    G

3.7.7.4.6

摩耗率の解析 X

P

3.9.1

技術評価試験

X    H

4.3.5.1

試験前のデータ X

I

4.3.6.1

試験報告書 X

J

4.3.6.2

概要報告書

X    K

4.4.2

エンジンの放熱及び滑油の冷却

X

G

4.4.8

整備性及び整備の実証

X

4.6.1

耐久試験

   X

4.6.1.1.1

エンジン乾燥質量

X

L

4.6.1.1.2

電磁干渉及び妨害感受性試験

   X

4.6.1.1.3

出力レバーのトルク

X

4.6.1.2.1

温度受感系統の校正

   X

4.6.1.2.2

エンジン制御系統の校正

X

N

4.6.1.2.3

エンジンの校正

   X

4.6.1.2.3.1

圧縮機抽気の分析

X  X M

4.6.1.3

耐久試験の手順

   X

4.6.1.3.1

始動

   X

4.6.1.4.1

エンジンの再校正

   X

4.6.1.4.2

温度受感系統の再校正

   X

4.6.1.4.3

エンジン制御系統の再校正

   X

4.6.1.5

エンジンの分解及び検査 X

4.6.1.6

エンジンの再組立及び再試験

   X

4.6.1.7

耐久試験の完了 X

4.6.2

エンジン構成部品の試験

   X

4.6.2.2

構成部品の模擬運転試験

   X

4.6.2.2.1

構成部品の校正

   X

4.6.2.2.2

構成部品試験の手順

   X

4.6.2.2.3

構成部品試験のサイクル

X

O

4.6.2.2.3.1

燃料ポンプの試験サイクル

   X

4.6.2.2.3.2

エンジン制御系統の試験サイクル

X

O

4.6.2.2.3.3

点火系統の試験サイクル

   X

4.6.2.2.4

促進老化

   X

4.6.2.2.5

高温

   X

4.6.2.2.6

室温耐久

   X

4.6.2.2.7

低温

   X

4.6.2.2.8

燃料ポンプのキャビテーション

   X

4.6.2.2.9

再校正

   X

4.6.2.2.10

構成部品試験の完了 X

4.6.2.3

構成部品の環境試験

   X


137

W 4601-1996

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

4.6.2.3.1

構成部品の校正

   X

4.6.2.3.2

構成部品試験の手順

   X

4.6.2.3.3

湿度

   X

4.6.2.3.4

かび

   X

4.6.2.3.5

耐爆性

   X

4.6.2.3.6

砂じん

   X

4.6.2.3.7

持続加速

   X

4.6.2.3.8

衝撃

   X

4.6.2.3.9

振動

   X

4.6.2.3.10

点火系統の汚れ

   X

4.6.2.3.10.1

炭素の汚れ

   X

4.6.2.3.10.2

水汚れ

   X

4.6.2.4

個別構成部品試験

   X

4.6.2.4.1

滑油リザーバ

   X

4.6.2.4.2

補機駆動及び動力テークオフ

   X

4.6.2.4.3

直流発電機及び交流発電機の試験

   X

4.6.2.4.4

熱交換器

   X

4.6.2.4.5

耐火試験

   X

4.6.2.4.6

油圧系統

   X

4.6.3

高空試験(エンジン)

   X

4.6.3.1

高空エンジン校正

   X

4.6.3.2

高空試験手順

   X

4.6.3.3

高空試験の完了 X

4.6.4

エンジン環境及び吸込み試験

   X

4.6.4.1

低・高温始動及び加速試験

   X

4.6.4.2

環境着氷試験

   X

4.6.4.3

腐食性試験

   X

4.6.4.4

鳥の吸込み試験

   X

4.6.4.5

異物による損傷試験

   X

4.6.4.6

氷吸込み試験

   X

4.6.4.7

砂吸込み試験

   X

4.6.4.8

大気中の水分吸込み試験

   X

4.6.4.9

特殊ガス吸込み試験

   X

4.6.4.10

騒音調査

X

4.6.4.11.1

排気煙放出

   X

4.6.4.11.2

目に見えない排気の放出質量

X

4.6.4.12

耐放射線試験

   X

4.6.5

エンジン特性及び燃料試験

X

X

4.6.5.1

始動トルク

X

4.6.5.2

レーダ断面積

X

4.6.5.3

赤外線放射試験

X

4.6.5.4

代替燃料試験

   X

4.6.5.5

非常燃料試験

   X

4.6.6

構造試験

   X

4.6.6.1

エンジン耐圧試験

   X

4.6.6.2.1

低サイクル疲労構成部品試験

   X

4.6.6.2.2

低サイクル疲労エンジン試験

   X

4.6.6.3

コンテインメント

   X

4.6.6.4.1

過回転速度

   X

4.6.6.4.2

過昇温度

   X

4.6.6.4.3

ディスク破断試験

   X


138

W 4601-1996

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

4.6.6.5

エンジン静荷重試験

   X

4.6.6.6

振動及び応力試験

   X

4.6.6.7

ジャイロ試験

   X

A  エンジン故障モード及び影響解析は,QTの前に必要によって修正しなければならない。

B

MIL-STD-461

によって要求されるEMI制御計画並びにEMI及びEMC試験計画は,QTの前に作

成しなければならない。

C

組合せ部品又は選択はめあい部品は,識別し,一覧表をQTの前に使用機関に提出しなければ

ならない。

D

強度及び寿命解析報告書は,QTの前に更新しなければならない。

E

受注者は,QTの前に,運転後の摩耗の限界,標準及び部品の修理手順を設定しなければなら

ない。

F

相対的損傷図表は,QTの開始前に提出しなければならない。

G

エンジン仕様書中に示す熱平衡解析を立証する報告書は,認定耐久試験を開始する前に使用機

関に提出しなければならない。

H

報告書は,QTの完了前に提出しなければならない。

I

試験前のデータは,QTに対して要求される各試験又は実証試験の開始前に使用機関に提出し,

承認を得なければならない。

J

試験報告書は,QTに対して要求される各試験又は実証試験の完了に引き続いて使用機関に提

出し,承認を得なければならない。

K

概要報告書は,QTの完了に引き続いて使用機関に提出しなければならない。

L

エンジン質量は,校正の開始に先立ち,エンジンに燃料又は滑油を供給する前に,測定しなけ

ればならない。

M

抽気分析の結果,方法及び使用した試験装置は,エンジン試験報告書中に詳細に説明しなけれ

ばならない。

N

  4.6.1.2.3

のエンジンの校正の前に実施しなければならない。

O

試験サイクルは,受注者が定め,試験前のデータの中に含めて,使用機関に提出しなければな

らない。

P

報告書は,QTの耐久試験の前に,使用機関に提出しなければならない。


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W 4601-1996

航空規格原案作成委員会  構成表

氏名

      所属

(委員長)

松  木  正  勝

日本工業大学

(副委員長)

渡  辺      正

川崎重工業株式会社航空宇宙事業本部

平  井  敏  文

通商産業省機械情報産業局航空機武器課

根  岸  喜代春

工業技術院標準部機械規格課

平  沢  愛  祥

運輸省航空局技術部航空機安全課

後  藤  忠  司

海上保安庁装備技術部

中  西  忠  雄

防衛庁装備局調達補給室

伊  藤  誠  一

科学技術庁航空宇宙技術研究所

守  田  正  公

社団法人日本航空技術協会

中  込  常  雄

日本工業標準調査会自動車航空部会規格調整専門委員会

久木田  実  守

株式会社富士キメラ総研

塩  田  克  彦

日本航空株式会社技術研究所

吉  井  正  洋

株式会社日本エアシステム整備本部技術部

服  部      博

石川島播磨重工業株式会社航空宇宙事業本部

香  坂  哲  哉

株式会社島津製作所航空機器事業部

藤  井  洋  三

帝人製機株式会社航空機技術部

曽  我      章

日本航空電子工業株式会社航機事業部

渡  辺      晃

日本飛行機株式会社技術本部

(主査)

中  神  雄  三

富士重工業株式会社航空宇宙事業本部

清  田  紀  男

三菱電機株式会社鎌倉製作所

廣  田  和  弘

三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所

宇田川  知  行

横河電機株式会社航空宇宙特機事業部

播  磨  克  彦

アエロスペック研究会

(事務局)

磯  部  瑛  二

社団法人日本航空宇宙工業会