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W 1101 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,農林水産大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS W 1101 : 1993 は改正され,この規格に置き換えられる。


日本工業規格

JIS

 W

1101

: 2000

航空機用合板

Plywoods for aircraft

1.

適用範囲  この規格は,航空機の構造用に使用する合板で,2.45MPa {25kgf/cm

2

}(

1

)

以下の圧締力を加

えて製造されたものについて規定する。

(

1

) 1MPa

=1N/mm

2

備考1.  この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位及び数値は,従来単位系によるものであって,

参考として併記したものである。

2.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS K 6801

  ユリア樹脂木材接着剤

JIS K 6802

  フェノール樹脂木材接着剤

JIS K 6803

  カゼイン木材接着剤

2.

区分及び記号  表 のとおりとする。

表 1

区分

種類

樹種

類別(

3

)

記号

1

類(フェノール樹脂木材接着剤を使用するもの)

 PW 001

2

類(ユリア樹脂木材接着剤を使用するもの) PW 002

合板

3

類(カゼイン木材接着剤を使用するもの) PW

003

45

度合板(

2

)

かば 
ぶな

しな 
かつら 
ラワン

ひのき 
えぞ松 
スプルース

1

類(フェノール樹脂木材接着剤を使用するもの)

2

類(ユリア樹脂木材接着剤を使用するもの)

3

類(カゼイン木材接着剤を使用するもの)

PW 451

PW 452

PW 453

(

2

) 45

度合板とは,表板の主繊維方向が板の辺と45度の角をなす合板をいう。

(

3

)

接着剤は,このほか同等以上の性能のものを使用することができる。

3.

寸法  合板の厚さ及び許容差は,表 のとおりとする。


2

W 1101 : 2000

表 2

単位 mm

合せ板数 厚さ 許容差

3 1.0

±0.10

3 1.2

±0.12

3 1.5

±0.15

3 2.0

±0.20

3 2.5

±0.20

3 3.0

±0.20

3 3.5

±0.25

3

∼5

4 0

±0.25

3

∼5

4 5

±0.30

3

∼5

5 0

±0.30

5 5.5

±0.30

5 6.0

±0.40

5 8.0

±0.40

7 10.0

±0.50

7 12.0

±0.55

9 15.0

±0.65

9 18.0

±0.70

11 21.0

±0.80

11 24.0

±0.80

4.

標準比重  合板の標準比重は,表 のとおりとする。

なお,比重測定用の試験片の含水率は,8∼12%とする。

表 3

樹種

標準比重

かば 0.70

ぶな 0.65 
しな 0.53 
かつら 0.55

ラワン 0.50 
ひのき 0.45 
えぞ松 0.45

スプルース

0.45

5.

単板  合板に用いる単板は,次の a)i)を満足しているものでなければならない。

a)

表面は平滑で,有害なさか目,しわなどがないこと。

b)

著しく不規則な繊維走向部を含まず,できるだけ目切れのないこと。

c)

節(葉節を除く。

)の総数は,板面 1/2m

2

を単位として 4 個以下で,生節は長径が 30mm 以下,死節は

長径が 15mm 以下,抜節及び抜けやすい節は長径が 6mm 以下であること。

d)

いきこぶあと及びみみずがある場合は,顕著でないこと。

e)

腐れがある場合は,軽微なこと。

f)

割れ,裂け及び欠けがある場合は,長さが 200mm 以下であること。

g)

横割れがある場合は,顕著でないこと。

h)

厚さは均一で,7.1 b)及び 7.1 c)を満足していること。


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W 1101 : 2000

i)

厚さの許容差は,

表 のとおりとする。

なお,測定時の含水率は,原則として 8∼12%とする。

表 4

単位 mm

単板の厚さ

許容差

1.0

未満

±0.04

1.0

以上 1.5 未満 ±0.06

1.5

以上

±0.10

6.

接着剤  JIS K 6801JIS K 6802 及び JIS K 6803 に規定する接着剤又はこれらと同等以上の性能のも

のを使用しなければならない。

7.

構造及び製造方法

7.1

構造  構造は,次のとおりとする。

a)

合板は,原則として 3 枚合わせ以上の奇数枚合わせとする。

b)  3

枚合わせ合板において,表板,裏板及び心板の厚さが異なる場合には,心板の厚さは表板及び裏板

の厚さより大でなければならない。ただし,その厚さは,表板及び裏板の厚さの和を超えてはならな

い。

c)

5

枚合わせ以上の合板は,原則として各単板の厚さが等しいこと。ただし,仕上がり合板の厚さを規

定寸法とするため,表板及び裏板の厚さを減ずることは差し支えないが,その厚さは心板の厚さの

2

1

下回ってはならない。

d)

対称の層の単板は,樹種・厚さ・繊維方向が,いずれも同じでなければならない。

e)

各単板の繊維は,隣接の単板に対して直角で,かつ表板及び裏板の繊維方向は,長さの方向に対して

平行又は 45 度でなければならない。

f)

単板は繊維の幅の方向において接合してもよい。ただし,接合は単板の繊維方向に対して平行とし,

かつ接合部相互の間隔は 200mm 以上とする。接合方法は突付け接合とし,特に必要がある場合は傾

斜接合とするが,この場合テープを使用してはならない。

g)

単板の主繊維方向の接着は,必要に応じて行うことができる。この場合,接合部の傾斜度は

12

1

以下で

なければならない。

7.2

製造方法  製造方法は,次による。

a)

合板製作時における圧締力は,かば・ぶななどについては 2.45MPa {25kgf/cm

2

}

以下とし,しな・か

つら・ラワン・えぞ松・ひのき・スプルースなどについては 1.18MPa {12kgf/cm

2

}

以下とする。

b)  7.1 f)

及び 7.1 g)の接合は,その単板で製造される合板に使用される接着剤と同種のものを使用する。

8.

外観及び欠陥

8.1

外観  外観は,次のとおりとする。

a)

合板の外観は平滑で,膨れ・しわ・はがれなどのないものでなければならない。

b)

乾いた接着剤・油・ろう,その他接着や塗装に有害な物質が付着していてはならない。

c)

サンダ仕上げ又はスクレーパ仕上げは行ってもよいが,この場合も 3.7.1b)及び 7.1c)を満足しなけれ

ばならない。


4

W 1101 : 2000

8.2

欠陥

8.2.1

表板には,次の欠陥があってはならない。

a)

平均径(長径と短径との平均をいう。以下,同じ。

)10mm を超える生節。

b) 30

×30cm ごとにその数が 6 個を超えるか,又は 30×30cm ごとにその平均径の和が 20mm を超える生

節。ただし,しなの平均径 6mm 以下の葉節で集在しない生節はこの限りでない。

c)

平均径 10mm を超えるいきこぶあと。

d) 30

×30cm ごとにその数が 6 個を超えるか,又は 30×30cm ごとにその平均径の和が 40mm を超えるい

きこぶあと。

e)

死節・抜節及び虫食い。ただし,しなの平均径 3mm 以下の死節で集在しないものはこの限りでない。

f)

入皮及びやにつぼ。

g)

割れ及び裂け。

h)

埋木

i)

その他有害な欠陥。

8.2.2

心板及び裏板には,次の欠陥があってはならない。

a)

平均径 10mm を超える生節。

b) 30

×30cm ごとにその数が 6 個を超えるか,又は 30×30cm ごとにその平均径の和が 20cm を超える生

節。ただし,しなの平均径 6mm 以下の葉節で集在しない生節はこの限りでない。

c)

平均径 10mm を超えるいきこぶあと。

d) 30

×30cm ごとにその数が 6 個を超えるか,又は 30×30cm ごとにその平均径の和が 40mm を超えるい

きこぶあと。

e)

平均径 6mm を超える死節又は抜節。

f) 30

×30cm ごとにその数が 6 個を超えるか,又は 30×30cm ごとにその平均径の和が 20mm を超える死

節及び抜節。ただし,しなの平均径 3mm 以下の死節で集在しないものはこの限りでない。

g)

直径 2mm を超え,かつ木理に沿った長さ 30mm 又は木理に直角な長さ 6mm を超える虫食い。

h) 30

×30cm ごとにその数が 6 個を超えるか,

又はその木理に直角な長さの和が 20mm を超える虫食い。

i)

長さ 30cm 又は幅 3mm を超える入皮又はやにつぼ。

j) 30

×30cm ごとにその数が 6 個を超えるか,又はその幅の総和が 10mm を超える入皮又はやにつぼ。

k)

同一又は近くの木理上において,その間隔が 60cm を超えない他の入皮又はやにつぼ。

l)

幅 0.8mm 又は木理の方向に合板の長さの 10%を超える長さの裂け。

m)

木理に直角に 30cm ごとにその数が 2 個を超える裂け。

n)

埋木(ただし,心板はこの限りでない。

o)

その他有害な欠陥。

8.2.3

欠陥の換算  異なる種類の欠陥がある場合には,8.2.1 及び 8.2.2 の規定によるほか,次の欠陥を平

均径 10mm の生節 1 個に相当する欠陥とみなし,これらの規定を適用する。

a)

平均径 6mm の抜節 1 個

b)

平均径 10mm のいきこぶあと 1 個

c)

木理に直角な長さ 6mm 及び木理に沿った長さ 30mm の虫食い 2 個

d)

長さ 30mm 及び幅 3mm のやにつぼ 1 個

e)

長さ 30mm 及び幅 3mm の入皮 1 個

f)

長さ 200mm 及び幅 0.8mm の裂け 1 個


5

W 1101 : 2000

9.

含水率  各試料から適当な大きさの試験片 2 個ずつを採取し,次の式の全乾重量法によって含水率を

求めたとき,その含水率は 8∼15%でなければならない。

100

(%)

2

2

1

×

=

W

W

W

含水率

ここに,  W

1

:  乾燥前の重量

W

2

:  全乾重量(各試験片を乾燥器中で 100∼105℃で乾燥し,恒量

に達したと認めたときの重量とする。

10.

接着力

10.1

試験片  試験片の形状は,表板又は裏板の厚さが 1.5mm を超える場合は図 の A によって,1.5mm

以下の場合は

図 の B による。ただし,A によって単板切れした場合は B によってもよい。

5

枚合わせ以上の合板は,任意の 3 枚合わせを残して他の全部をはぎ取り,試験片を作成する。この場

合,各試験片は接着層をもれなく含むように採取しなければならない。

図 1

試験片には,許容された部分的欠陥も含んでいてはならない。

10.2

試験方法  試験片の両端をつかみ,毎分 5 884N {600kgf}  以下の速度で負荷し,破壊に至る間の最大

荷重を測定する。接着力は,次の式によって算出する。

a)

試験片 による場合

10

}

kgf/cm

10

(MPa){

2

×

×

=

h

b

P

接着力

b)

試験片 による場合

10

9

0

}

kgf/cm

(MPa){10

2

×

×

×

=

.

h

b

P

接着力

ここに,

P

:  最大荷重 (N) {kgf}

b

接着面(切込みの間)の幅 (cm)

h

接着面(切込みの間)の長さ (cm)

試験片の表板の厚さに対する心板の厚さの比が 1.50∼2.00 のものは,

a)

及び

b)

によって求められた接着


6

W 1101 : 2000

力に 1.2 を乗じた数値をその試験片の接着力とする。

10.3

常態接着力

  3 類合板は,各試料から

図 1

の試験片を 5 個ずつ採取し,常態で

10.2

の方法によって

接着力の試験を行う。この場合,試験片の含水率は 8∼12%とし,接着力は

表 5

の数値以上でなければな

らない。

なお,異なる樹種を混用する場合は,低い方の樹種の数値を適用する。

表 5

樹種

接着力  MPa {kgf/cm

2

}

かば・ぶな 1.77

{18}

かつら・ラワン・ひのき・

えぞ松・スプルース

1.18 {12}

しな 0.98 {10}

10.4

耐水接着力

  1 類合板は煮沸繰返し試験,2 類合板は温冷水浸せき試験,3 類合板は 3 類浸せきはく

離試験を行う。

a)

煮沸試験

  各試料から

図 1

の試験片を 5 個ずつ採取し,これを沸騰水中に 4 時間浸した後 60±3℃の

温度で 20 時間乾燥し,更に沸騰水中に 4 時間浸し,これを室温の水中に冷めるまで浸し,ぬれたまま

の状態で

10.2

の方法によって接着力の試験を行う。浸せき中接着面がはがれてはならない。また,試

験片の接着力は,

表 6

の数値以上でなければならない。

なお,異なる樹種を混用する場合は,低い方の樹種の数値を適用する。

表 6

樹種

接着力  MPa {kgf/cm

2

}

かば・ぶな 1.47

{15}

かつら・ラワン・ひのき・
えぞ松・スプルース

0.98 {10}

しな 0.78 {8}

b)

温冷水浸せき試験

  各試料から

図 1

の試験片を 5 個ずつ採取し,これを 60±3℃の温水中に 3 時間浸

した後,室温の水中に試験片が冷めるまで浸し,ぬれたままの状態で

10.2

の方法によって接着力の試

験を行う。

試験片の接着力は,

表 6

の数値以上でなければならない。

なお,異なる樹種を混用する場合は,低い方の樹種の数値を適用する。

c)

3

類浸せきはく離試験

  各試料から 1 個ずつ 15×15cm の試験片を採取し,これを 35±3℃の水中に 2

時間浸した後 60±3℃の温度で 3 時間乾燥する。

試験片は,接着面のいずれにおいても,一端につき長さの和が 5cm 以上のはがれを生じてはならな

い。

11.

引張強さ

11.1

各試料から

図 2

の形状で,その長軸が表板の主繊維方向と平行及び直角な試験片を各々3 個ずつ採取

する。この場合,試験片の含水率は 8∼12%とする。

次に試験片に毎分 39.23MPa {400kgf}  以下の速度で負荷し,破壊に至る間の最大荷重を測定し,次の式

によって引張強さを求めたとき,

表 7

の数値以上でなければならない。

10

}

kgf/cm

(Mpa){10

2

×

=

A

P

引張強さ


7

W 1101 : 2000

ここに,

P

:  最大荷重 (N) {kgf}

A

:  試験片の最小横断面積 (cm

2

)

図 2

表 7

引張強さ  MPa {kgf/cm

2

}

樹種

主繊維方向に平行 主繊維方向に直角

かば

78.45 {800}

49.03 {500}

ぶな

58.84 {600}

39.23 {400}

しな・かつら・ラワン

39.23 {400}

29.42 {300}

ひのき

49.03 {500}

34.23 {350}

えぞ松・スプルース

49.03 {500}

29.42 {300}

11.2

各単板の厚さを異にする合板,5 枚合わせ以上の合板及び異なる樹種を混用する合板は,試験の結果

求められた引張強さが,次の式によって算出した引張強さ以上でなければならない。

10

}

kgf/cm

(Mpa){10

5

5

3

3

1

1

2

×

+

×

+

×

+

×

=

t

t

t

t

Λ

Λ

σ

σ

σ

張強さ

主繊維方向に平行な引

10

}

kgf/cm

(Mpa){10

6

6

4

4

2

2

2

×

+

×

+

×

+

×

=

t

t

t

t

Λ

Λ

σ

σ

σ

張強さ

主繊維方向に直角な引

ここに,

t

:  試験片の厚さ (mm)

σ

1

:  表板の樹種に応じた

表 8

の引張強さ (MPa) {kgf/cm

2

}

σ

2

:  第 2 層の単板の樹種に応じた

表 8

の引張強さ (MPa) {kgf/cm

2

}

σ

3

:  第 3 層の単板の樹種に応じた

表 8

の引張強さ (MPa) {kgf/cm

2

}

t

1

:  表板の厚さ (mm)

t

2

:  第 2 層の単板の厚さ (mm)

t

3

:  第 3 層の単板の厚さ (mm)

表 8

樹種

引張強さ  MPa {kgf/cm

2

}

かば

  117.68 {1 200}

ぶな 88.26

{900}

しな 
かつら

ラワン

58.84 {600}

ひのき 
えぞ松

スプルース

73.55 {750}


8

W 1101 : 2000

12.

検査

  検査は,次による。

a)

寸法・単板・接着剤・構造・外観・欠陥の検査は全数について,含水率・接着力・引張強さの検査は

試料について行う。

b)

合板は,

3.

5.

6.

7.

8.

9.

10.

及び

11.

を満足していなければならない。

13.

製品の呼び方

  製品の呼び方は,規格番号,区分を表す記号及び樹種による。

JIS W 1101

 PW

  001−かば

JIS W 1101

 PW

  452−ぶな

14.

表示

  1 こん包ごとに,次の事項を表示する。

a)

区分を表す記号及び樹種

b)

製造業者名又はその略号