>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣及び経済産業

大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS W 0812:1993 は改正され,この規格に置き換えられる。

JIS W 0812

には,次に示す附属書がある。

附属書 A  環境試験の識別


W 0812

:2004

(2) 

目  次

ページ

序文

1

1.0

  適用範囲

1

2.0

  用語の定義―共通

2

2.1

  機器温度の安定化

2

2.2

  最大デューティサイクル

2

2.3

  非作動

2

2.4

  温度制御又は部分的に温度制御された場所

2

2.5

  全行程

2

2.6

  機器

2

2.7

  高度

2

2.8

  試験のカテゴリ及び表明

2

3.0

  試験条件

3

3.1

  機器の接続及び向き

3

3.2

  試験順序

3

3.3

  組合せ試験

3

3.4

  試験槽内空気温度の測定

3

3.5

  周囲条件

4

3.6

  環境試験条件の公差

4

3.7

  試験装置

4

3.8

  複数ユニット機器

4

4.0

  温度及び高度

5

4.1

  試験の目的

5

4.2

  一般

5

4.3

  機器のカテゴリ

5

4.4

  用語の定義

6

4.5

  温度試験

6

4.6

  高度,減圧及び過圧試験

7

5.0

  温度変化

14

5.1

  試験の目的

14

5.2

  温度変化率

14

5.3

  試験手順

14

6.0

  湿度

16

6.1

  試験の目的

16

6.2

  機器のカテゴリ

16

6.3

  試験手順

16


W 0812

:2004  目次

(3)

ページ

7.0

  運用衝撃及び破壊時の安全性

20

7.1

  試験の目的

20

7.2

  運用衝撃

20

7.3

  破壊時の安全性

21

8.0

  振動

25

8.1

  試験の目的

25

8.2

  試験の適用

25

8.3

  振動試験要求事項

26

8.4

  振動試験レベル要求事項

26

8.5

  標準振動試験手順―固定翼機

27

8.6

  高レベル短時間振動試験手順

28

8.7

  厳しい振動試験手順―固定翼機

28

8.8

  ヘリコプタの振動試験

29

9.0

  防爆性

39

9.1

  試験の目的

39

9.2

  防爆性

39

9.3

  環境の定義及び機器の要求事項

39

9.4

  機器のカテゴリ

39

9.5

  一般試験要求事項

39

9.6

  機器の設計及び装備説明事項

41

9.7

  試験手順

41

10.0

  防水性

48

10.1

  試験の目的

48

10.2

  機器のカテゴリ

48

10.3

  試験手順

48

11.0

  流体感受性

51

11.1

  試験の目的

51

11.2

  注意事項

51

11.3

  機器のカテゴリ

51

11.4

  試験手順

51

11.5

  材料試験片の使用

52

12.0

  砂じん

53

12.1

  試験の目的

53

12.2

  機器のカテゴリ

53

12.3

  試験手順

53

13.0

  かび抵抗性

54

13.1

  試験の目的

54

13.2

  一般的影響

54

13.3

  機器のカテゴリ

54


W 0812

:2004  目次

(4)

ページ

13.4

  装置

54

13.5

  試験手順

54

14.0

  塩水噴霧

58

14.1

  試験の目的

58

14.2

  機器のカテゴリ

58

14.3

  装置

58

15.0

  磁気影響

62

15.1

  試験の目的

62

15.2

  試験の説明

62

15.3

  試験手順

62

16.0

  入力電源

63

16.1

  試験の目的

63

16.2

  機器のカテゴリ

63

16.3

  電気系統の非常作動

63

16.4

  入力電源の標準パラメータ(交流)

64

16.5

  入力電源のパラメータの限界

64

16.6

  負荷からの電流調波放出

77

17.0

  電圧スパイク

92

17.1

  試験の目的

92

17.2

  機器のカテゴリ

92

17.3

  試験セットアップ及び装置

92

17.4

  試験手順

92

18.0

  音声周波伝導妨害感受性―電源入力(閉回路試験)

94

18.1

  試験の目的

94

18.2

  機器のカテゴリ及び周波数区分

94

18.3

  試験手順

94

18.4

  一般的注意事項

96

19.0

  誘起信号妨害感受性

98

19.1

  試験の目的

98

19.2

  機器のカテゴリ

98

19.3

  試験手順

98

20.0

  無線周波妨害感受性(放射及び伝導)

104

20.1

  試験の目的

104

20.2

  機器のカテゴリ

104

20.3

  一般試験要求事項

105

20.4

  伝導妨害感受性(CS)試験

108

20.5

  放射妨害感受性(RS)試験

110

20.6

  放射妨害感受性(RS)試験の代替手順―電波暗室の方法

112

21.0

  無線周波エネルギー放射

139


W 0812

:2004  目次

(5)

ページ

21.1

  試験の目的

139

21.2

  機器のカテゴリ

139

21.3

  伝導による無線周波(RF)放射

139

21.4

  ふく射による無線周波(RF)放射

139

21.5

  一般要求事項

139

22.0

  雷誘起過渡妨害感受性

146

22.1

  試験の目的

146

22.2

  定義

146

22.3

  カテゴリ

146

22.4

  一般試験要求事項

148

22.5

  試験手順

150

23.0

  直撃雷の影響

162

23.1

  試験の目的

162

23.2

  定義

162

23.3

  機器のカテゴリ

163

23.4

  直撃雷の影響及び関連パラメータ

164

23.5

  試験パラメータ

166

23.6

  試験の手順及びレベル

167

24.0

  着氷

179

24.1

  試験の目的

179

24.2

  一般

179

24.3

  機器のカテゴリ

179

24.4

  試験手順

179

25.0

  静電放電

183

25.1

  適用範囲

183

25.2

  試験の目的

183

25.3

  試験の説明

183

25.4

  機器のカテゴリ

183

25.5

  試験の手順

183

25.6

  試験結果の評価

183

25.7

  試験する箇所の選択

183

附属書 A  環境試験の識別

187


日本工業規格

JIS

 W

0812

:2004

航空機搭載機器―環境条件及び試験手順

Airborne equipment

―Environmental conditions and test procedures

序文  この規格は,ISO 7137 Aircraft—Environmental conditions and test procedures for airborne equipment  の

構成規格であり 1997 年に第 4 版(D 版)として発行された RTCA/DO-160D:ENVIRONMENTAL

CONDITIONS AND TEST PROCEDURES FOR AIRBORNE EQUIPMENT(Change No.1 及び Change No.2 を

編入したもの)を翻訳し,様式もこれに準じて作成した日本工業規格である。この規格で置き換える JIS W 

0812:1993

は,1990 年に第 3 版(C 版)として発行された RTCA/DO-160C(上と同名)に準拠したもので

ある。

この規格の目的  機器は,その使用目的によって機体のどの場所に装備して機能させるかが決められ,

その場所に生じる環境条件(環境値の組合せ)に耐えられなければならない。そのことを,事前に人工的

に確認し保証する必要がある。そのために,自然の環境条件を模擬した環境条件を設定し,その条件の下

で機能・性能・耐久試験などを実施し,その結果を判断する。

この規格は,これを実施するうえでの国際的に共通な標準として,最低限必要な値として設定する模擬

環境条件及びその条件下での試験手順を規定する。

1.0

適用範囲  この規格は,航空機搭載機器(以下,搭載機器又は単に機器ともいう。)に対する一連の

最低標準環境試験条件(カテゴリ)及び適用試験手順について規定する。これらの試験方法を規定する目

的は,機器が運用中に直面することがある実際の環境条件を代表できるように模擬して標準化した環境条

件を適用して,搭載機器の性能特性を確認するための,試験室での方法を提供することにある。

ここに規定する標準環境試験条件及び適用試験手順は,運用中の性能がこれで十分に信頼できるもので

あることを保証するための環境条件下での要求仕様とし,適用する搭載機器性能規格と合わせて用いてよ

い。

備考  この規格に規定するそれぞれの試験手順には,幾度か次の文章が示されている。“適用機器性能

規格に適合しているかどうかを確認する。

”ここでいう“適用機器性能規格”とは,次のいずれ

かである。

a.

EUROCAE

最低運用性能仕様書(Minimum Operational Performance Specifications:MOPS)

b.

RTCA

最低性能規格(Minimum Performance Standards:MPS)及び/又は RTCA 最低運用性

能規格(Minimum Operational Performance Standards:MOPS)

c.

適用できる場合には,製造業者の機器仕様書

この規格に規定する環境条件及び試験手順の中には,必ずしもすべての搭載機器には適用する必要がな

いものがある。適切な環境条件及び試験手順の選択又は追加は,その特定の搭載機器の性能要求仕様書の

作成者(著作者)が責任をもって行う。

備考1.  この規格には含まれていない幾つかの追加の環境条件(カテゴリ)に特定の搭載機器が直面


2

W 0812

:2004

することがある。これらの中には,ひょう(雹)

,加速度及び音響振動があるが,それらだけ

とは限らない。

2.

ある特定の型式の搭載機器にだけ固有的に適用する特別な環境条件に対する機器の試験手順

は,その特定の機器の性能要求仕様書の作成者(著作者)が,責任をもって規定するのがよ

い。

3.

この規格においては,国際単位系(SI)が,主要な単位系として使用される。ただし,主要

な単位が英国単位から導かれる場合には,英国単位が主要な単位として使用される。

4.

3.2

の規定に関しては,2 個以上の供試体を用いてよい。

この規格で用いる“搭載機器”という用語は,ほとんどの搭載機器に直接適用できる。特定の又ははん

用の航空機に装備することを目的とした特別の機器に対する環境条件及び試験手順として採用することの

決定は,これら環境条件及び試験手順の適用を望む者の責任による。

この規格で規定する環境条件及び試験手順は,これらの環境条件での搭載機器の性能を確認するためだ

けのものであって,これらの試験に供する搭載機器の運用寿命をはかるために用いるものではない。

この規格を法規法令として採用するかどうかは,政府当局の責任においてだけ決定できる。

2.0

用語の定義―共通(General)  この箇条(Section)には,この規格全編を通して用いる共通の用語

の定義を規定する。個別の箇条における特有な用語の定義は,それぞれの箇条で規定する。

2.1

機器温度の安定化(equipment temperature stabilization)

a.

非作動時

(not operating)  供試体の構成部品のうち温度追従遅れが最も大きいと考えられる部品の温

度が規定試験温度の±3  ℃以内にあるとき,機器の温度が安定したとみなす。その部品の温度測定が

実際ではできない場合には,温度が安定したとみなすことができる最短時間は,3 時間とする。

b.

作動時(operating)  供試体の構成部品のうち温度追従遅れが最も大きいと考えられる部品の温度が

1 時間当たり 2  ℃を超えて変化しないとき,機器の温度が安定したとみなす。その部品の温度測定が

実際ではできない場合には,温度が安定したとみなすことができる最短時間は,2 時間とする。

2.2

最大デューティサイクル(maximum duty cycle)  機器の作動が周期的である場合に,機器が定格容

量で作動するように設計されている最長時間と,機器が作動していないか又は作動容量が規定の最小値で

ある時間との間の関係。最大デューティサイクルは,機器仕様書で規定する。

2.3

非作動(not operating)  機器仕様書で規定されていない限り,機器に動力が供給されていない状態。

2.4

温度制御又は部分的に温度制御された場所(controlled or partially controlled temperature location)  空

気温度が航空機の機内環境制御系統によって維持されている航空機内の空間(適用カテゴリについては,

表 4-1 参照)。

2.5

全行程(total excursion)  正の最大値から負の最大値までの全変位量。

2.6

機器(equipment)  “機器”という用語には,供試体及びその機器が意図する機能を正しく果たす

ために必要なすべての構成部品又はユニット(これらは機器製造業者が決める。

)を含む。その機器は,運

用に供する生産規格品を代表するものとする。

2.7

高度(altitude)  高度は,海面上の環境圧力と,機器が試験中にさらされる周囲圧力との相対的関

係を示す。

2.8

試験のカテゴリ及び表明(category of tests and declarations)  この規格で扱う環境条件の各々に対し

て,機器の供給者は,それぞれの箇条で明確に示されたカテゴリの中から,機器が運用中に通常直面する

と考えられる最も過酷な環境条件を最もよく代表するカテゴリを選ばなければならない。このように選ん


3

W 0812

:2004

だカテゴリは,

附属書 に示した指針に従って環境カテゴリ適用記録(Environmental Qualification Form)

及び機器の銘板又はそのいずれかに列記する。

カテゴリ X というのは,環境カテゴリ適用記録及び/又は機器の銘板に示す場合に,この規格で示すどの

環境試験手順についても,それぞれの手順に示された環境条件下で,機器性能規格に適合していることが

実証されていないことを,機器の供給者が表示したいときに用いるためのものである。

試験手順を示す文章の終わり又は中間に“適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。

”とい

う記述があるときには,性能の適合及びその検証が,機器の能力,すなわち特定の試験カテゴリでの試験

中及び試験後又はそのいずれかに意図する機能を果たすことを証明するための要求事項であると考えてよ

い。

3.0

試験条件

3.1

機器の接続及び向き  機器の試験を実施し適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認するた

めに必要な方法として,

特に指示がない限り正規使用時の装着について機器製造業者が推奨するとおりに,

冷却装置があるときはそれも含めて,機器を(機械的及び電気的に)接続し,かつ,正しい向きに取り付

ける。別に規定がない場合には,相互接続ケーブルの長さは,1.5 m 以上とし,そのうちの 1.2 m は,一つ

の束にする。試験中,供試体とこれと通常関連する他の機器との間の入出力は,すべてこれを接続するか,

適切に模擬する。

備考  19.320.3 及び 21.5 を適用するときには,これらの最小値より長い相互接続ケーブルを必要と

する。

3.2

試験順序  特に機器仕様書に要求がない限り,試験は,希望する任意の順序で実施してよい。ただ

し,常に次の事項を適用する。

a.

  湿度試験は,温度試験,温度変化試験,高度試験及び振動試験の前に実施してはならない。この例外

規定の目的は,機器構成部品を湿気から保護するために用いている材料が,極限温度又は振動のいず

れかにさらされることによる劣化によって,その保護機能を失っていないかどうかを確認するためで

ある。

b.

  塩水噴霧試験及び砂じん試験又はそのいずれかは,かび抵抗性試験の前に実施してはならない。

c.

  防爆性試験は,通常,供試体がこの規格の他の環境試験を受けた後に実施するとよい。ただし,

4.6.1

“高度試験”に要求事項が記載されている場合を除く。

d.

  砂じん試験は,湿度試験又は塩水噴霧試験の前に実施してはならない。

3.3

組合せ試験  この規格で規定した手順を組み合わせた代替手順をとることは,組合せ前の手順に規

定されているすべての適用環境条件が組合せにおいて重複されるか又はより過酷になる場合には,許され

る。代替手順を用いるときには,環境カテゴリ適用記録(

附属書 参照)に関連情報を示すことが望まし

い。

3.4

試験槽内空気温度の測定  試験槽内空気温度は,空気状態が機器の近傍の空気状態を代表する場所

で測定する。槽壁温度を測定することは,温度の時間遅れ及び槽壁を通しての熱伝達があるため,適切で

はない。

槽内全体を通してほぼ一様な空気温度状態を確保するために,試験槽内空気を循環させる方法を用いる

とよい。この方法を用いるときには,空気が直接供試体に当たるように循環させてはならず,また,機器

は,槽内温度分布を均一に保つ目的に合致した最小流動量にして,試験する。補助冷却が必要でない機器

周囲の空気速度は,自然対流によって生じる空気速度と同じ程度にしなければならない。


4

W 0812

:2004

機器の装備説明書で規定するとおりの適正な作動を保証するために,補助冷却を必要とする機器に対し

ては,次の事項を適用する。

a.

  冷却媒体が空気であるときには,機器製造業者が特に規定しない限り,供給する冷却空気の特性は,

規定した槽内空気の特性と同じとする。

b.

  冷却媒体が空気でないときには,媒体及びその供給温度は,機器製造業者が規定したとおりとする。

備考  装備場所が分かっていて,かつ,他の機器との相関関係が明確である機器については,放射熱

源及び正常な対流又はそのいずれかに対する障害を試験で模擬することが望ましい。

3.5

周囲条件  他に規定がない限り,すべての試験は,次の周囲条件の範囲内で実施する。

a.

  温度:+15∼+35  ℃

b.

  相対湿度:85  %以下

c.

  周囲圧力:84∼107 kPa[+5 000∼−1 500 ft(+1 525∼−460 m)に相当]

上記の値と異なる周囲条件で試験を実施するときには,実際の条件を記録する。

3.6

環境試験条件の公差  他に規定がない限り,3.5 で規定する周囲条件とは異なる環境条件で行う試験

は,次の公差の範囲内で実施する。

a.

温度:±3  ℃

b.

  高度:規定圧力の±5  %

3.7

試験装置  試験に使用するすべての信号発生装置及び測定装置は,製造業者名,型式,製造番号,

校正失効日及び/又は校正有効期間によって識別できることが望ましい。校正規準である原器は,国家標準

及び/又は国際標準とトレーサビリティが確保されていることが望ましい。

3.8

複数ユニット機器  試験する機器が数個の別個のユニットから構成されているときには,機能形態

が該当機器仕様書で規定するとおりに保たれるならば,これらのユニットを別々に試験してもよい。


5

W 0812

:2004

4.0

温度及び高度

4.1

試験の目的  これらの試験は,表 4.1 に規定する適用カテゴリでの温度及び高度,並びに表 4.2 に規

定する圧力での機器性能特性を確認するためのものである。

4.2

一般  機器を航空機に装備したときに,機器がどのカテゴリの用途に設計されているかによって,

数種の温度及び高度の試験手順を決める(4.3 及び

表 4.1 参照)。

備考  温度又は高度カテゴリの選定は,航空機内(又は機上)の場所,航空機の最大運用高度,並び

に機器が温度制御及び/又は与圧された場所内に配置されているか否かによる。上記の諸条件

は,機器設計者が,その機器の最終用途によって決まるこれらの要求事項を評価する際に考慮

する。

4.3

機器のカテゴリ  次のカテゴリは,航空機の多くの種類及び装備場所に存在することが知られてい

る広範囲な環境を包含する。これらの機器のカテゴリには,必ずしも起こりうる温度及び高度の限界のす

べての組合せを含むものではないことを認識するとよい。飛行中に冷却喪失する可能性がある機器のカテ

ゴリは,4.5.4 で規定する。

カテゴリ A1  機内の圧力が正常では 15 000 ft(4 600 m)MSL(平均海面上)の高度に相当する圧力以

上である航空機の,与圧及び温度制御される場所に装備する機器を,カテゴリ A1 とする。このカテゴリ

は,また 15 000 ft(4 600 m)MSL 以下の高度で運用する航空機の,与圧はされないが温度制御はされる場

所に装備する機器に適用してもよい。

カテゴリ A2  機内の圧力が正常では 15 000 ft(4 600 m)MSL の高度に相当する圧力以上である航空機

の,与圧及び部分的(partially)温度制御される場所に装備する機器を,カテゴリ A2 とする。このカテゴ

リは,また,15 000 ft(4 600 m)MSL 以下の高度で運用する航空機の,与圧はされないが部分的温度制御

はされる場所に装備する機器に適用してもよい。

カテゴリ A3  機内の圧力が正常では 15 000 ft(4 600 m)MSL の高度に相当する圧力以上である航空機

の,与圧並びに温度制御又は部分的温度制御される場所で,そこの温度がカテゴリ A1 及び A2 の温度より

厳しい場所に装備する機器を,カテゴリ A3 とする。

カテゴリ A4  機内の圧力が正常では 15 000 ft(4 600 m)MSL の高度に相当する圧力以上である航空機

の,与圧及び温度制御される場所に装備する機器であるが,機器製造業者が示すとおりカテゴリ A1 とは

異なる温度要求がある場所に装備する機器を,カテゴリ A4 とする。このカテゴリは,また,15 000 ft(4 600

m)MSL 以下の高度で運用する航空機の,与圧はされないが温度制御はされる場所に装備するが,機器製

造業者が示すとおりカテゴリ A1 とは異なる温度要求がある場所に装備する機器にも適用してよい。

カテゴリ B1  25 000 ft(7 620 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧はされないが温度制御は

される場所に装備する機器を,カテゴリ B1 とする。

カテゴリ B2  25 000 ft(7 620 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧も温度制御もされない場

所に装備する機器を,カテゴリ B2 とする。

カテゴリ B3  25 000 ft(7 620 m)MSL までの高度で運用する航空機の動力装置室に装備する機器を,

カテゴリ B3 とする。

カテゴリ B4  25 000 ft(7 620 m)MSL までの高度で運用する航空機の与圧されない場所に装備する機

器で,温度要求事項がカテゴリ B1,B2 及び B3 とは異なるものを,カテゴリ B4 とする。

カテゴリ C1  35 000 ft(10 700 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧はされないが温度制御は

される場所に装備する機器を,カテゴリ C1 とする。

カテゴリ C2  35 000 ft(10 700 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧も温度制御もされない場


6

W 0812

:2004

所に装備する機器を,カテゴリ C2 とする。

カテゴリ C3  35 000 ft(10 700 m)MSL までの高度で運用する航空機の動力装置室に装備する機器を,

カテゴリ C3 とする。

カテゴリ C4  35 000 ft(10 700 m)MSL までの高度で運用する航空機の与圧されない場所に装備する機

器で,温度要求事項がカテゴリ C1,C2 及び C3 とは異なるものを,カテゴリ C4 とする。

カテゴリ D1  50 000 ft(15 200 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧はされないが温度制御は

される場所に装備する機器を,カテゴリ D1 とする。

カテゴリ D2  50 000 ft(15 200 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧も温度制御もされない場

所に装備する機器を,カテゴリ D2 とする。

カテゴリ D3  50 000 ft(15 200 m)MSL までの高度で運用する航空機の動力装置室に装備する機器を,

カテゴリ D3 とする。

カテゴリ E1  70 000 ft(21 300 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧も温度制御もされない場

所に装備する機器を,カテゴリ E1 とする。

カテゴリ E2  70 000 ft(21 300 m)MSL までの高度で運用する航空機の動力装置室に装備する機器を,

カテゴリ E2 とする。

カテゴリ F1  55 000 ft(16 800 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧はされないが温度制御は

される場所に装備する機器を,カテゴリ F1 とする。

カテゴリ F2  55 000 ft(16 800 m)MSL までの高度で運用する航空機の,与圧も温度制御もされない場

所に装備する機器を,カテゴリ F2 とする。

カテゴリ F3  55 000 ft(16 800 m)MSL までの高度で運用する航空機の動力装置室に装備する機器を,

カテゴリ F3 とする。

4.4

用語の定義

作動最低温度(operating low temperature)  機器が通常さらされ,かつ,作動することが要求される最

低温度。

作動最高温度(operating high temperature)  表 4.1 に示す作動最高温度の値は,機器が正常な作動状態

で,特殊の装備場所,例えば,計器板裏側の閉鎖空間,機器棚(equipment racks)

,動力装置室などの中で

さらされる最高温度である。

短時間作動最高温度(short-time operating high temperature)  作動中の機器をさらすことができる最高温

度。装備場所内の温度が,扉の開放,移動空気の循環などによって低下するので,この温度状態は,まれ

にしか起こらず,かつ,短時間しか持続しないものと予想される。

地上残存温度(ground survival temperatures)  航空機が格納中又は極限気候にさらされたときに,機器

が通常さらされると予想される最低及び最高の地上温度。機器は,これらの温度で仕様書の許容値内で作

動しなくてもよいが,損傷なしで(機能が)残存しなければならない。

飛行中の冷却喪失(in-flight loss of cooling)  この状態は,通常,機器専用の外部又は内部の冷却系統の

故障状態をいう。ある種の機器では,冷却されなくても,限られた時間,残存しなければならない。この

種の機器に対する試験要求事項は,機器性能仕様書に規定する。

4.5

温度試験

4.5.1

地上低温残存試験及び低温作動試験  周囲大気圧で,機器を非作動にし,機器の温度を表 4.1 に規

定する適用地上残存最低温度に安定させる。

この温度を 3 時間以上保持する。

機器を作動状態にしてから,

周囲圧力で,試験槽内空気温度を

表 4.1 に規定する適用作動最低温度に調節して,保持する。機器の温度


7

W 0812

:2004

が安定した後,機器を最大デューティサイクルで 30 分間以上作動させるが,間欠作動をするように設計し

た機器の場合には,電源を入れた(ON の)状態から始める。試験槽内空気温度を

表 4.1 の作動最低温度に

保持する。機器の作動期間中に,適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。試験手順の概要

図 4.1 に示す。

備考1.  この試験は,温度衝撃試験を意図するものではない。供試品の温度が,周囲温度から表に規

定する適用地上残存低温度まで低下する度合は,任意であって,使用する試験槽に適用でき

る温度変化率に相応する。

2.

機器仕様書に特に規定がない限り,機器が,作動最低温度未満で適用機器性能規格を満足す

ることという要求事項はない。

4.5.2

地上高温残存試験及び短時間高温作動試験  周囲圧力で,機器を非作動にし,機器を表 4.1 の適用

地上残存最高温度に安定させる。この温度を 3 時間以上保持する。次に,機器を非作動のままで,

表 4.1

に規定する短時間作動最高温度に 30 分間以上,機器を保持する。機器を作動状態にして,試験槽内空気温

度を

表 4.1 に規定する適用短時間作動最高温度に保持する。機器を 30 分間以上作動させる。この作動期間

中に,適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。試験手順の概要を

図 4.2 に示す。

備考1.  この試験は,航空機が地上にある間に,機器が直面することがある温度条件を模擬する。こ

の試験期間中に,要求する性能水準を確認するとき,特殊な機器又は系統の作動要求事項を

考慮する。

2.

短時間作動最高温度と作動最高温度とが等しいときには,短時間高温作動試験は,実施する

必要はない。地上高温残存試験は,たとえ,短時間作動最高温度と作動高温度とが等しくて

も,省略しない。

4.5.3

高温作動試験  機器を作動させたまま,周囲圧力で,試験槽内空気温度を表 4.1 に規定する適用作

動最高温度に調節する。機器温度が安定した後,試験槽内空気温度を作動最高温度に保ちながら,機器を

2 時間以上作動させる。この動作期間中に,適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。試験

手順の概要を

図 4.3 に示す。

4.5.4

飛行中冷却喪失試験  飛行中冷却喪失する機器のカテゴリ及びそのカテゴリの試験時間は,冷却し

ない時間によって次のとおりに規定する。

カテゴリ V  30 分間以上

カテゴリ W  90 分間以上

カテゴリ P 180 分間以上

カテゴリ Y 300 分間以上

カテゴリ Z  機器仕様書で規定する

周囲室内圧力で機器を作動させたまま,しかも 3.4 に規定する条件に従って冷却空気を供給して,冷却

喪失試験のため

表 4.1 に規定する値に試験槽内空気温度を調節して,機器の温度を安定させる。機器の冷

却空気の供給を停止して,試験槽内空気温度を

表 4.1 に規定する値に保持しながら,機器を適用カテゴリ

について規定した時間,作動させる。この期間中に,適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認す

る。試験手順の概要を

図 4.4 に示す。

備考  この試験は,高温作動試験(4.5.3)中,適正に作動させるために冷却が必要で,かつ飛行中冷

却喪失後の故障が,その後の飛行機の安全な飛行及び着陸を妨げる故障状態を助長するか,又

は原因となる機能をもつ機器に適用する。

4.6

高度,減圧及び過圧試験  高度試験については表 4.1,また,圧力値については表 4.2 による。


8

W 0812

:2004

4.6.1

高度試験  周囲温度でこの試験を実施する。最大デューティサイクルで,機器を作動させる。試験

槽内圧力を

表 4.1 で規定する適用作動最大高度に減圧する。機器の温度を安定させる。この圧力を 2 時間

以上保持する。この 2 時間の間又は最大デューティサイクルのいずれか長い方の間で,適用機器性能規格

に適合しているかどうかを確認する。試験手順の概要を

図 4.5 に示す。

備考  機器製造業者が,機器を高空での火花発生条件に対して試験することを要求するときには,9.6a

及び 9.6b を適用する。その場合には,9.7 の手順は,最高試験高度で実施しなければならない。

また,3.3(組合せ試験)を適用してよい。

4.6.2

減圧試験  周囲温度でこの試験を実施する。機器を作動させ,絶対圧力を 8 000 ft(2 400 m)MSL

の高度に相当する圧力に調節し,機器の温度を安定させる。絶対圧力を,機器を装備する航空機の最高運

用高度に相当する圧力まで降下させる(

表 4.1 参照)。この圧力降下は,15 秒間以内に行う。この減少圧力

を,10 分間以上又は機器仕様書に規定する期間,保持する。最高運用高度での期間中に,適用機器性能規

格に適合しているかどうかを確認する。試験手順の概要を

図 4.6 に示す。

備考  減圧試験は,次の機器に対して適用することを意図する。

1)

緊急降下の間及び後に作動することが必要な,航空機の与圧区域に装備する機器。

2)

ディスプレイなどのように高電圧電気・電子回路を用いる機器。

部分的与圧を受ける区域に装備することを意図する機器は,上記の 4.6.2 に従って試験する。

4.6.3

過圧試験  機器仕様書で特に規定がない限り,機器を非作動の状態で−15 000 ft の高度に相当する

絶対圧力(170 kPa)のもとに置く。この状態を 10 分間以上保持する。機器を周囲大気圧に戻して,適用

機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。試験手順の概要を

図 4.7 に示す。

備考1.  この試験は,与圧区域に装備する機器に適用する。この試験で,機器が航空機与圧系統の日

常(routine)試験で生じる機室の過大圧力に耐えるかどうかを確認する。

2.

与圧区域に装備し,その内部が与圧区域の外側に通気している機器は,過圧試験中,これら

の内部を機器仕様書に規定する圧力にさらす。


9

W 0812

:2004

 4.1  温度及び高度の基準

カテゴリ(4.3 参照)

A B C

D

E

F

環境試験

1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 1 2 1 2 3

低温作動試験

−15  −15  −15

−15

−20

−45

−45

(

4

)

−20

−55  −55

(

4

)

−20

−55

−55

−55

−55

−20

−55

−55

温度  ℃

4.5.1 

高温作動試験

+55  +70  +70

(

3

)

+55

+70

(

3

) (

4

)

+55

+70 (

3

) (

4

)

+55

+70

(

3

) (

3

) (

3

)

+55

+70

(

3

)

温度  ℃

4.5.3 

短時間高温作動試験

+70  +70  +85

(

3

)

+70

+70

(

3

) (

4

)

+70

+70 (

3

) (

4

)

+70

+70

(

3

) (

3

) (

3

)

+70

+70

(

3

)

温度  ℃

4.5.2 

冷却喪失試験

+30  +40  +45

(

3

)

+30

+40

(

3

) (

3

)

+30

+40 (

3

) (

3

)

+30

+40

(

3

) (

3

) (

3

)

+30

+40

(

3

)

温度  ℃

4.5.4 

地上低温残存試験

−55  −55  −55

(

3

)

−55

−55

(

3

)

−55

−55

−55 (

3

)

−55

−55

−55

−55

−55

−55

−55

−55

−55

温度  ℃

4.5.1 

地上高温残存試験

+85  +85  +85

(

3

)

+85

+85

(

3

)

+85

+85

+85 (

3

)

+85

+85

+85

(

3

)

+85

(

3

)

+85

+85

(

3

)

温度  ℃

4.5.2 

高度試験

単位 1 000 m

 4.6   4.6   4.6

 4.6

 7.6

 7.6

 7.6

 7.6

10.7

10.7

10.7 10.7

15.2

15.2

15.2

21.3

21.3

16.8

16.8

16.8

単位 1 000 ft

4.6.1 

15 15 15 15 25 25 25 25 35 35 35 35 50 

50 50 70 70 55 55 55

減圧試験

(

1

) (

1

) (

1

) (

1

4.6.2 

(

4

) (

4

) (

4

) (

4

過圧試験

(

2

) (

2

) (

2

) (

2

4.6.3 

注(

1

)  減圧試験に適用する最低圧力は,機器を装備する航空機の最高運用高度に相当する圧力とする。

(

2

)  絶対圧力は,170 kPa(−15 000 ft 又は−4 600 m)とする。

(

3

)  極限温度に関しては,機器製造業者が決定する。

(

4

)  重要な個別基準がある場合には,機器製造業者が決定し,その装備説明書に定める。

9

W 0812


2004


10

W 0812

:2004

 4.2  種々の圧力高度に対する圧力値

絶対圧力

圧力高度

kPa mbar

{inHg}

{mmHg}

−15 000 ft  (−  4 572 m)

169.73

1 697.3

50.12

1 273.0

−  1 500 ft  (−  457 m) 106.94

1

069.4

31.58

802.1

0 ft  (            0 m) 101.32

1

013.2

29.92

760.0

+  8 000 ft  (+  2 438 m)

75.26 752.6 22.22  564.4

+15 000 ft  (+  4 572 m)

57.18 571.8 16.89  429.0

+25 000 ft  (+  7 620 m)

37.60 376.0 11.10  282.0

+35 000 ft  (+10 668 m)

23.84 238.4  7.04  178.8

+50 000 ft  (+15 240 m)

11.60 116.0  3.42  87.0

+55 000 ft  (+16 764 m)

9.12 91.2 2.69  68.3

+70 000 ft  (+21 336 m)

4.44 44.4 1.31  33.3

備考1. T0∼T1 及び T2∼T3 の温度変化率は,規定しない。

2. T1

∼T2 は,機器の温度が安定する時間に 3 時間以上を加えた時間である。

3. T3

∼T4 は,機器の温度が安定する時間である。

4. T4

∼T5 は,0.5 時間以上である。

5.

地上残存最低温度及び作動最低温度が同じであるときには,T2∼T4 の時間
はゼロである。

 4.1  地上低温残存試験及び低温作動試験


11

W 0812

:2004

備考1. T0∼T1 及び T2∼T3 の温度変化率は,規定しない。

2. T1

∼T2 は,機器の温度が安定する時間に 3 時間以上を加えた時間である。

3. T3

∼T4 は,0.5 時間以上である。

4. T4

∼T5 は,0.5 時間以上である。

5.

短時間作動最高温度及び地上残存最高温度が同じであるときには,T2∼T4 の時間はゼロであ
る。

6.

短時間作動最高温度が作動最高温度と同じであるときには,試験手順の

備考 2.参照。

 4.2  地上高温残存試験及び短時間高温作動試験

備考1. T0∼T1 の温度変化率は,規定しない。

2. T1

∼T2 は,機器の温度が安定する時間である。

3. T2

∼T3 は,2.0 時間以上である。

 4.3  高温作動試験


12

W 0812

:2004

備考1. T0∼T1 の温度変化率は,規定しない。

2. T1

∼T2 は,機器の温度が安定する時間である。

3. T2

∼T3 の時間は,4.5.4 参照。

 4.4  飛行中冷却喪失試験

備考1. T0∼T1 の圧力変化率は,規定しない。

2. T1

∼T2 は,機器の温度が安定する時間である。

3. T2

∼T3 は,2.0 時間以上である。

 4.5  高度試験


13

W 0812

:2004

備考1. T0∼T1 の圧力変化率は,規定しない。

2. T1

∼T2 は,機器の温度が安定する時間である。

3. T2

∼T3 は,15 秒間以下である。

4. T3

∼T4 は,10 分間以上である。

 4.6  減圧試験

備考1. T0∼T1 及び T2∼T3 の圧力変化率は,規定しない。

2. T1

∼T2 は,10 分間以上である。

3. T3

∼T4 は,機器を作動させて,試験するのに必要な最短時間である。

 4.7  過圧試験


14

W 0812

:2004

5.0

温度変化

5.1

試験の目的  この試験は,運航中に,表 4.1 の適用カテゴリについて規定する作動高温度と作動低温

度との両極限値の間の正常な温度変化中の機器性能特性を確認するためのものである。この試験は,動的

試験であって,これらの機器を 4.5.14.5.2 及び 4.5.3 に記載する手順に従って試験するときに,機器にこ

の温度変化試験を行うことを要求する。

5.2

温度変化率  5.3 で規定する温度変化の試験手順に適用する温度変化率は,次のとおりとする。

カテゴリ A−航空機の外部の機器については,10  ℃/min 以上。

カテゴリ B−温度制御されないか又は部分的温度制御される航空機内部の機器については,5  ℃/min 以

上。

カテゴリ C−温度制御される航空機内部の機器については,2  ℃/min 以上。

備考  カテゴリ B とされた機器は,カテゴリ C を満足したものとみなす。

5.3

試験手順  温度変化試験は,“地上低温残存試験及び低温作動試験(4.5.1)”,“地上高温残存試験及

び短時間高温作動試験(4.5.2

”並びに“高温作動試験(4.5.3

”の手順を含むように組み合せることがで

きる。試験手順は次による。

a.

  試験が組合せ試験であるときは,

4.5.1

に規定する地上低温残存試験及び低温作動試験手順に従って実

施する。

4.5.1

に定めた試験が完了した後,

c.

に進む。試験が組合せ試験ではないときには,機器を作

動させた状態で,周囲温度で開始し,槽内温度を

5.2

に規定する適用変化率で,低温作動温度レベル

に低下させる。

b.

作動モードにある機器を,この低温作動温度レベルで安定させる。

c.

槽内温度を,

5.2

に規定する適用変化率で,作動最高温度に上昇させる。この温度変化中に,適用機

器性能規格に適合しているかどうかを確認する。

d.

機器を作動最高温度で安定させる。これが組合せ試験であるときには,

4.5.2

続いて

4.5.3

に従って進

める。機器を 2±0.5 分間非作動状態に保持する。

e.

機器を作動させて,槽内温度を

5.2

に規定する適用変化率で作動最低温度に低下させる。この温度変

化中に,適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。

f.

作動最低温度で,槽とともに機器の温度を安定させた後,機器を 1 時間以上作動させる。その後,機

器を 30 分間非作動としてから,槽を作動最低温度に保持しながら,機器を再始動する。

g.

槽の温度を,

5.2

に規定する適用変化率で,周囲温度に変化させる。

h.

槽及び機器を周囲温度で安定させる。適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。

2 サイクル(1 サイクル:上記 a.h.)以上を実施する。1 サイクルの各温度変化期間中に適用機器性能

規格に適合していることが完全に確認できるときには,試験は,第 2 サイクルまでだけ実施する。また,

温度変化期間中の時間では適用機器性能規格に適合していることを完全には確認できないときには,完全

に適合していることを確認できるように,十分な回数のサイクルを実施する。試験手順の概要を

図 5.1 

示す。

備考  これが組合せ試験であるときには,第 2 回目のサイクル中に上記 a.及び d.段階で規定する地上

残存,短時間高温作動,低温作動及び高温作動の試験を繰り返さなくてよい。


15

W 0812

:2004

注(

1

)  温度変化については,5.2 参照。

(

2

)  機器の温度が安定するまでの時間。

(

3

) 2±0.5 分間

(

4

) 60 分間以上

(

5

) 30 分間以上

 5.1  温度変化試験


16

W 0812

:2004

6.0

湿度

6.1

試験の目的  この試験は,機器が自然の又は誘発された湿度環境に耐える能力を確認するためのも

のである。予想される有害な影響の主なものは,次のとおりである。

a.

腐食

b.

湿気吸収の結果生じる機器特性の変化。例えば,

―機械的特性(金属)

―電気的特性(導体及び絶縁物)

―化学的特性(吸湿性成分)

―熱的特性(断熱材)

備考  湿度試験は,温度試験,温度変化試験,高度試験及び振動試験の前に実施しない(3.2 試験順序

参照)

6.2

機器のカテゴリ

カテゴリ A―標準湿度環境  標準湿度環境は,通常,民間航空機,輸送機,その他の種類の航空機の厳

しい湿度環境に通常では直面しない環境制御された室内に装備するこを意図した機器に対して,適切な試

験環境を提供するものである。

カテゴリ B―厳しい湿度環境  環境制御されない区域に装備する機器には,標準湿度環境に対して規定

した時間よりも長い時間,一層厳しい大気湿度環境にさらされるような条件で作動することを要求しても

よい。

カテゴリ C―外部湿度環境  機器には,標準湿度環境に対して規定した時間よりも長い時間,外気に直

接さらされるような条件で,作動することを要求してもよい。

6.3

試験手順  次に示す各段階の中で特に規定がない限り,相対湿度が 95  %以上の雰囲気内に機器を置

く。湿気は,水蒸気又は 25  ℃で測って pH6.5∼7.5 の値若しくは 250 000 Ωcm 以上の電気抵抗値をもった

水の蒸発によって供給する。暴露領域の全域にわたって,空気の速度は,0.5∼1.7 m/s にしなければならな

い。試験槽は,圧力の上昇を防ぐため,大気に通気し,また機器に水滴が落ちるのを防止するための対策

をしておく。

6.3.1

カテゴリ A―標準湿度環境  試験手順の概要を図 6.1 に示す。手順は,次に示す段階による。

段階 1:2 時間±10 分間かけて,槽内温度を 50  ℃に上げ,相対湿度を 95  %以上に上げる。

段階 2:95  %以上の相対湿度で,槽内温度を 50  ℃に,6 時間以上保持する。

段階 3:次の 16 時間±15 分間中に,温度を徐々に 38  ℃以下に下げる。この期間中,相対湿度をできる

だけ高く保持し,85  %未満に低下させない。

段階 4:段階 1,2 及び 3 で 1 サイクルとする。合計 2 サイクル(48 時間暴露)が完了するまで,これら

の段階を繰り返す。

段階 5:暴露期間の終わりに,機器を試験槽から取り出し,凝縮水分をすべて取り去る(ふきとっては

ならない。

。2 サイクル完了後,1 時間以内に,正規の電力を供給して機器を作動させる。機器の予熱のた

め,電力を加えた後,最大 15 分間放置する。作動に電力を必要としない機器に対しては,適用機器にカテ

ゴリによって要求される短時間作動高温度を超えないように熱を加えて,最大 15 分間,機器を予熱する。

予熱期間直後に,

適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認するために必要な試験及び測定を行う。

6.3.2

カテゴリ B―厳しい湿度環境  試験手順の概要を図 6.2 に示す。手順は,次に示す段階による。

段階 1:2 時間±10 分間かけて,槽内温度を 65  ℃に上げ,相対湿度を 95  %以上に上げる。

段階 2:95  %以上の相対湿度で,槽内温度を 65  ℃に,6 時間以上保持する。


17

W 0812

:2004

段階 3:次の 16 時間±15 分間中に,温度を徐々に 38  ℃以下に下げる。この期間中,相対湿度をできる

だけ高く保持し,85  %以上に保つ。

段階 4:段階 1,2 及び 3 で 1 サイクルとする。合計 10 サイクル(240 時間暴露)が完了するまで,これ

らの段階を繰り返す。

段階 5:暴露期間の終わりに,機器を試験槽から取り出し,凝縮水分をすべて取り去る(ふきとっては

ならない。

。10 サイクル完了後,1 時間以内に,正規の電力を供給して機器を作動させる。機器の予熱の

ため,電力を加えた後,最大 15 分間放置する。作動に電力を必要としない機器に対しては,適用機器にカ

テゴリによって要求される短時間作動高温度を超えないように熱を加えて,

最大 15 分間,

機器を予熱する。

予熱期間直後に,

適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認するために必要な試験及び測定を行う。

6.3.3

カテゴリ C―外部湿度環境  試験手順の概要を図 6.3 に示す。手順は,次に示す段階による。

段階 1:2 時間±10 分間かけて,槽内温度を 55  ℃に上げ,相対湿度を 95  %以上に上げる。

段階 2:95  %以上の相対湿度で,槽内温度を 55  ℃に 6 時間以上保持する。

段階 3:次の 16 時間±15 分間中に,温度を徐々に 38  ℃以下に下げる。この期間中,相対湿度をできる

だけ高く保持し,85  %以上に保つ。

段階 4:段階 1,2 及び 3 で 1 サイクルとする。合計 6 サイクル(144 時間暴露)が完了するまで,これ

らの段階を繰り返す。

段階 5:暴露期間の終わりに,機器を試験槽から取り出し,凝縮水分をすべて取り去る(ふきとっては

ならない。

。6 サイクル完了後,1 時間以内に,正規の電力を供給し機器を作動させる。機器の予熱のため,

電力を加えた後,最大 15 分間放置する。作動に電力を必要としない機器に対しては,適用機器カテゴリに

よって要求される短時間作動高温度を超えないように熱を加えて,最大 15 分間,機器を予熱する。予熱期

間直後に,適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認するために必要な試験及び測定を行う。

6.3.4

スポット検査の実施  試験対象機器性能のスポット検査を行うため,6 サイクル又は 10 サイクル

(どちらか該当する方)の各サイクルの終了時点で,15 分間を超えない期間,機器を作動させてもよい。

スポット検査を行うために機器を試験槽から取り出すときに,取り出す期間は,20 分間を超えてはならず,

また,この 20 分間のうち 15 分間を超えて,機器を作動させてはならない。

6.3.5

その他の規定された点検  適用性能規格で,適合していることを確認するために,その他の点検を

も行うことを要求しているときには,この試験中にこれらも行う。


18

W 0812

:2004

備考1. T0∼T1 は,2 時間±10 分間である。

2. T1

∼T2 は,6 時間以上である。

3. T2

∼T3 は,16 時間±15 分間。この期間中,相対湿度は,85  %未満に低下させない。

4.

第 2 サイクル完了後の試験の継続に対しては,6.3.1 の段階 5 による。

 6.1  カテゴリ A―標準湿度環境試験

備考1. T0∼T1 は,2 時間±10 分間である。

2. T1

∼T2 は,6 時間以上である。

3. T2

∼T3 は,16 時間±15 分間。この期間中,相対湿度は,85  %未満に低下させない。

4.

第 10 サイクル完了後の試験の継続に対しては,6.3.2 の段階 5 による。

 6.2  カテゴリ B―厳しい湿度環境試験


19

W 0812

:2004

備考1. T0∼T1 は,2 時間±10 分間である。

2. T1

∼T2 は,6 時間以上である。

3. T2

∼T3 は,16 時間±15 分間。この期間中,相対湿度は,85  %未満に低下させない。

4.

第 6 サイクル完了後の試験の継続に対しては,6.3.3 の段階 5 による。

 6.3  カテゴリ C―外部湿度環境試験


20

W 0812

:2004

7.0

運用衝撃及び破壊時の安全性

7.1

試験の目的  運用衝撃試験は,機器が,航空機の正常運用中に直面する衝撃にさらされた後,性能

規格内で機能を果たし続けることを確認するためのものである。これらの衝撃は,地上滑走中,着陸中又

は航空機が飛行中に突風に直面したときに,生じることがある。この試験は,固定翼機及びヘリコプタに

装備するすべての機器に適用する。標準的な 11 ms パルス及び低周波数の 20 ms パルスの 2 種類の運用衝

撃試験用曲線を規定してある。例外的に(ICAO 基準に適合していない)荒い滑走路で運用するように設

計された航空機に搭載する機器に対しては,標準的なものではなく,20 ms パルスの曲線を適用してよい。

破壊時の安全性試験は,非常着陸中に,機器がその取付台から外れるか分離して,危険を与えることが

ないことを確認するためのものである。この試験は,非常着陸中に外れた機器が,搭乗者,燃料系統又は

非常脱出装置に危険を及ぼす可能性がある航空機の室内,

及び,

その他の区域に装備した機器に適用する。

これらの試験は,すべての機器に対して法規の要求事項を満たすものではない。例えば,座席及び座席固

定金具に対する要求事項は満たしていない。

備考  固定翼機に対して,装備についての,非常着陸荷重に加えて(飛行運動,突風及び着陸などの)

航空機加速度荷重を含む実証は,

“持続”試験手順において“未知又はランダム”の向きを用い

ることによって達成できる。

記録した衝撃パルスが,

図 7.2 に規定する許容差内に確実に入るようにするために,衝撃試験装置に機

器の一部の構成部品を代替する等価おもりの使用を必要とすることがある。

7.1.1

機器カテゴリ

カテゴリ A  固定翼機又はヘリコプタに装備され,標準的運用衝撃の試験を行う機器。

カテゴリ B  固定翼機又はヘリコプタに装備され,標準的運用衝撃及び破壊時の安全性の試験を行う機

器。

カテゴリ C  ヘリコプタに装備され,運用衝撃及び破壊時の安全性の試験を行う機器。

カテゴリ D  固定翼機に装備され,運用低周波衝撃の試験を行う機器。

カテゴリ E  固定翼機に装備され,運用低周波衝撃及び破壊時の安全性の試験を行う機器。

7.2

運用衝撃  通常,衝撃を加えた後の性能適合性要求事項が必要である。衝撃パルスを加えている間,

機器を監視する必要があれば,監視についての要求事項を,該当機器仕様書に規定する。

7.2.1

試験手順  機器を,剛性が高い試験用取付具及び実機の装備で使用を意図する取付方法によって,

衝撃台にしっかり取り付ける。機器の取付けには,装備するときに正規部品となる非構造用接続部を含め

るとよい。人力衝撃パルスを測定又は制御するのに使用する加速度計は,できる限り機器の取付点近くに

配置する。加速度を測定する試験系統の正確さは,標準の読みの±10  %以内とする。機器を作動させ,そ

の温度を安定させた状態で,供試体に加速度のピーク値が 6  ののこぎり波形をもつ 3 回の衝撃を,各向

きに加える。公称衝撃パルス持続時間は,標準衝撃試験では 11 ms,低周波衝撃試験では 20 ms にする。

これに適合していることを実証するために用いる計装の特性及び衝撃パルスの許容限界を,

それぞれ

図 7.1

及び

図 7.2 に示す。のこぎり波形を等価の衝撃応答スペクトルで置き換えてもよい。

衝撃を加えた後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

一般的落下衝撃試験機を用いる場合には,機器は,次の向きで衝撃試験を行う。

a.

正規の直立状態

b.

逆さまの直立(逆立ち)状態

c.

機器の第 1 主直交軸が,衝撃台の面に+90 °及び−90 °の角度をなす向き(二つの向き)

d.

機器の第 2 主直交軸が,衝撃台の面に+90 °及び−90 °の角度をなす向き(二つの向き)


21

W 0812

:2004

7.2.2

代替試験手順  3 回ずつの衝撃を直交 3 軸の両方の向きに加えるのであれば,機器を正常運用時の

向きに(すなわち,その機器の通例の装備状態での空間的な向きになるように)取り付けたままで,7.2.1

に規定する衝撃を加えてもよい。

7.3

破壊時の安全性(

1

)  破壊時の安全性試験を適用するときには,衝撃試験手順及び持続試験手順の両

方を実施する。

注(

1

)  これらの試験(7.3.1 又は 7.3.2)中,機器のケース内又はケース上に正規に取り付ける電気―機

械的構成部品の代わりに,等価おもりを用いてもよい。この等価おもりは,置き換える構成部

品の質量に近似し,かつ機器の重心が本質的に変わらないように配置する。等価おもりは,機

器のケース又はその取付用締結部品の強度に対して,置き換えた構成部品よりも大きな影響を

与えてはならない。

試験手順 2 は,通常,遠心式試験機又はそり(sled)を用いて実施されると予想される。し

かし,ある場合においては,供試体内の他の部品が外れても,それを機器のケース内に封じ込

めることができることが確認できるときには,供試体の重心を通って静的に力を加えることに

よって,慣性の影響を模擬することを容認する。

7.3.1

試験手順 1(衝撃)  機器又は等価おもりを,剛性が高い試験用取付具及び実機の装備で使用を意

図した取付方法によって,衝撃台にしっかり取り付ける。

7.2.1

に示す機器の六つの向きのそれぞれで 7.2.1 に規定したものと同一の波形をもつ衝撃を各 1 回加え

る。ただし,加速度のピーク値は,固定翼機及びヘリコプタに対して 20 とする。6 回の衝撃を加えた後

は,曲がり及びゆがみがあっても,許容する。取付用部品に破損はなく,機器又は等価おもりは,所定位

置にとどまっていなければならない。

7.3.1.1

  代替試験手順(衝撃)  7.3.1 に規定する衝撃を直交 3 軸の各向きに加えるときには,機器を正常

の運用方向に取り付けて,そこにこれらの衝撃を加えてもよい。

7.3.2

試験手順 2(持続)  剛性が高い試験用取付具及び実機の装備で使用を意図した取付方法によって,

機器又は等価おもりを衝撃台にしっかり取り付ける。

表 7.1 の“荷重の方向”を航空機の主直交軸とする。

適用する試験レベルは,

表 7.1(

)に示す。適用試験荷重を 3 秒間以上,各荷重の向きに加える。航空機の

機軸に対する機器の向きが分かっているときには,所要の荷重及び機器に相対的な荷重の方向を決定する

ことができる。供試体の向きが,航空機の機軸に関して未知又は決定されていないときには,機器の直交

3 軸の各方向(図 7.3)に沿って,ランダムの向き(表 7.1 の試験の種類の R)を要求する。六つの衝撃荷

重の適用後の曲がり及びねじ(捩)れは許容される。取付金具に損傷が生じてはならず機器又は等価おも

りが動いてはならない。

注(

)  これらの試験レベルは,法規による装備要求を満足しない場合があることに注意しなければな

らない。


22

W 0812

:2004

 7.1  破壊時の安全性試験のレベル

持続する試験加速度( の倍数,最小)

機器に対する荷重の向き

航空機の形式

試験の種類(

5

)

上向き

下向き

前向き

後向き

横向き(

4

)

1.

ヘリコプタ(

1

) F

R

 4.0 
20.0

20.0 
20.0

16.0 
20.0

NA

20.0

 8.0 
20.0

2.

固定翼輸送機(

2

) F

R

 3.0 
 9.0

 6.0 
 9.0

 9.0 
 9.0

 1.5 
 9.0

 4.0 
 9.0

3.

輸送機でない固定

翼機(

3

)

F

R

 3.0 
18.0

NA

18.0

18.0 
18.0

NA

18.0

 4.5 
18.0

4.

すべての固定翼機

F

R

 3.0 
18.0

 6.0 
18.0

18.0 
18.0

 1.5 
18.0

 4.5 
18.0

5.

ヘリコプタ及びす
べての固定翼機

F

R

 4.0 
20.0

20.0 
20.0

18.0 
20.0

 1.5 
20.0

 8.0 
20.0

注(

1

)  空性審査要領“耐空類別回転翼航空機普通 N 類,3-7 非常着陸状態,3-7-1 一般”

(FAR 27.561 に対応)

を参照。

(

2

)  耐空性審査要領“耐空類別飛行機輸送 T 類,3-8 非常着陸状態,3-8-1 一般”(FAR 25.561 に対応)を

参照。

(

3

)  空性審査要領“耐空類別飛行機輸送 N,U,A 類,3-9 非常着陸状態,3-9-1 一般”(FAR 23.561 に対

応)を参照。

(

4

)  横向きは,左向き及び右向きともに。

(

5

)  “F”は,既知及び向き固定,“R”は,未知又は向きランダムを示す。

 

 7.1  衝撃測定系の周波数応答


23

W 0812

:2004

D:公称衝撃パルスの持続時間 
A:公称衝撃パルスのピーク加速度 
T1:普通形衝撃試験機を使用して生じる衝撃に対して,衝撃パルスをモニタしなければならない最短時間 
T2:振動発生機を使用して生じる衝撃に対して,衝撃パルスをモニタしなければならない最短時間 

試験(衝撃)

ピーク値 A( の倍数)

公称持続時間 D(ms)

固定翼機

標準的運用衝撃 
運用低周波衝撃 
非常着陸安全性

 6 
 6 
20

11 
20 
11

ヘリコプタ

標準的運用衝撃 
非常着陸安全性

 6 
20

11 
11

備考  オシログラフの記録は,衝撃パルスをほぼ中央に置いて,持続時間 T1 又は T2 を含んでいること。公称衝

撃パルスの加速度振幅は A で,その持続時間は D である。実測加速度パルスは破線で示す境界線内に収ま
っており,また実測速度変化(これは加速度パルスを積分して求めてもよい。

)は,V

i

±0.1V

i

の限界内と

する。ここに,V

i

は,理想衝撃パルスに関する速度変化であって,0.5DA である。速度変化を求めるため

の積分は,衝撃パルスの前 0.4D から衝撃パルスの後 0.1D まで延長して行う。

 7.2  のこぎり波衝撃パルスの形態及びその許容限界


24

W 0812

:2004

  供試体を加速度方向が航空機の適切な方向と一致するように

合わせて,その方向について規定した試験加速度を加える。

重力加速度倍数=

81

.

9

2

ω

R

=(11.18)×(10

4

)×(Rn

2

ここに,

R:  半径  m

ω

:  角速度  rad/s

n:  回転速度  min

1

備考  遠心式試験機を使用するときは,供試体に及ぼす回転加速度

及び加速度値の影響を考慮するのがよい。

 7.3  破壊時の安全性試験に関する定義


25

W 0812

:2004

8.0

振動

8.1

試験の目的  この試験は,機器が,該当カテゴリに対して規定した振動レベルにあるときに適用機

器性能規格に適合していることを,確認するためのものである。

8.2

試験の適用  振動試験は,固定翼プロペラ機,固定翼ターボジェット機,固定翼ターボファン機,

固定翼アンダクテッドファン機及びヘリコプタに装備する機器に適用する。

どの機器に対しても,実施する振動試験は,この箇条で規定した試験から選択し,次の三つの要素によ

って規定する。すなわち,1)航空機の種類,2)カテゴリ及び 3)航空機の機器搭載場所である。適用す

る試験曲線は,8.2.2 で規定する。試験要求事項及び手順は,その後の箇条に示す。

8.2.1

振動試験の定義

8.2.1.1

  標準振動試験(Standard Vibration Test)  標準振動試験は,航空機の正常運用状態において機器が

その機能・性能上の要求事項に合致することを,実証するためのものである。

8.2.1.2

  高レベル短時間振動試験(High Level-Short Duration Vibration Test)  高レベルで短時間の一時的振

動レベルは,タイヤ破損及びエンジンファンブレード破損の場合に生じる異常な航空機の振動状態におい

てみられるものである。この試験は,機器の機能・性能劣化が航空機の性能に重大な影響を与えるような

機器に適用するのがよい。

注意事項  エンジンのバランスがとれていないある特別な状態については,振動レベルの解析が十分

にはできていない。したがって,試験を適用する場合,搭載状態によってはこの試験だけ

では不十分であり追加の試験又は解析が必要である。

8.2.1.3

  厳しい振動試験(Robust Vibration Test)  厳しい振動試験は,機器が性能維持振動レベルにある間

満足に作動し,耐久振動レベルにあるときにも満足に作動し続けることを,実証するためのものである。

機器の機能・性能及び構造健全性の実証を組み合わせる試験である。長い時間振動にさらされることによ

る影響がないことを示さなければならない機器に対して,この試験を実施するのがよい。標準振動試験に

代えてこの試験を実施する必要性があるかどうかは,

適用する機器の仕様によって決めなければならない。

8.2.2

カテゴリ及び試験曲線・レベルの選択

8.2.2.1

  カテゴリの選択  機器に適用する試験のカテゴリは,機器の性能実証に要求される保証の程度に

応じて,

表 8.0 に定義されているカテゴリから選択するのがよい。カテゴリのうち数字 2 を付けたカテゴ

リは,多くの固定翼機に想定されるレベルを代表するものではあるが,多くの場合には不十分である。数

字 2 を付けてないカテゴリは,すべての場合が想定される高いレベルを含むカテゴリである。

備考  数字 2 を付けたカテゴリは,JIS W 0812:1993 のものと同じである。

カテゴリ 又は S2(標準振動)  正常な運航振動環境における機能・性能を実証する。

カテゴリ 又は H2(標準振動及び高レベル短時間振動)  正常な運航振動及び高レベル短時間振動環

境における機能・性能を実証する。

カテゴリ R又は R2(厳しい振動)  より高レベル振動及び長時間振動遭遇後での性能を実証する。

カテゴリ 又は T2(高レベル短時間振動及び厳しい振動)  より高レベル振動及び長時間振動遭遇後

での性能を実証する。また,高レベル―短時間振動中の性能をも実証する。

8.2.2.2

  試験曲線  適用する各航空機の種類,装備区域及びカテゴリの試験に使用する適切な試験曲線を,

表 8.1 に規定する。表 8.1 の曲線に対する試験レベルは,固定翼機については図 8.18.5 に,ヘリコプタ

については

表 8.2a 及び表 8.2b に示す。カテゴリ及び装備区域に対して規定された曲線は,すべて実施し

なければならない。

“計器板,コンソール及びラック”の区域にはギャレー内部隔壁及び客室床に取り付ける室内機器を含


26

W 0812

:2004

み,この区域を“胴体”区域と区別するよう注意する。

“胴体”区域は,多重スロット機器ラックに装備さ

れるものを除いてフレーム,ストリンガ,外板その他胴体構造又はブラケット類に取り付ける機器に適用

する。

質量による条件軽減について,22.7 kg(50 lbs)以上の質量の機器に対しては,振動数 60 Hz 以上の標準

及び厳しい振動試験レベルを,次のとおりに軽減してよい。不規則及び正弦の標準及び厳しい試験レベル

は,22.7 kg(50 lbs)を超える 0.454 kg(1.0 lb)ごとに 0.10 dB ずつ,最大 6.0 dB までを軽減してよい[注

記:6.0 dB の軽減は,加速度パワースペクトル密度(APSD)レベルを元の値の 1/4 に,また,正弦レベル

を 1/2 にすることに相当している。

機器の外側に振動・衝撃緩衝装置(isolators)をもつ機器については,振動・衝撃緩衝装置を付けたまま

の状態で試験を行う。

8.3

振動試験要求事項  すべての振動試験に対して,一般要求事項は,次による。

a.

供試体を,その主直交 3 軸の一つに入力振動が平行になるように,取り付ける。使用する試験用取付

具は,すべてできるだけ剛性が高く対称形のものとする。機器は,機器仕様書で規定する方法によっ

て,取付具又は振動台に取り付ける。可能な場合には,加速度計を供試体に取り付けて振動軸方向の

振動応答を測定及び記録し,共振周波数及び共振倍率を求めなければならない。取り付ける位置は,

主構造,プリント基板,大きい構成要素部品又はモジュールの適切なところでよい。

b.

制御用加速度計は,試験軸のそれぞれに対して,機器の取付位置にできるだけ近い試験用取付具に取

り付ける。試験レベルの制御用に 2 個以上の加速度計を用いるときには,正弦波振動試験に対しては

加速度計制御信号の平均値を,不規則振動試験に対しては加速度パワースペクトル密度(APSD)の

平均値を,試験レベル制御に使用する。すべての種類の振動入力に対して,スペクトル又は APSD の

記録をとり制御レベルが試験レベル要求事項に合致していることを実証しなければならない。

c.

不規則振動の信号は,ガウス分布(正規分布)をもつのがよく,制御信号の瞬間的な振動加速度のピ

ークは,自由落下の加速度 の実効値レベルの 3 倍を限度としてもよい。

d.

正弦波加速度を測定するための計器系統の精度は,加速度に対しては±10  %,周波数に対しては±

2  %とする。

e.

不規則振動試験要求事項が振動試験系統のパワー容量を超えるときには,試験は,周波数帯域を 10

∼600 Hz 及び 600∼2 000 Hz に分けて実施してもよい。規定時間は,各周波数帯に対して適用しなけ

ればならない。

8.4

振動試験レベル要求事項

8.4.1

制御レベル許容値要求事項

8.4.1.1

  正弦波制御入力  正弦波入力曲線に対して規定する振動試験レベルは,すべての振動範囲にわた

って規定レベルの±10  %以内でなければならない。

8.4.1.2

  不規則波制御入力

  試験制御信号の加速度パワースペクトル密度(APSD)は,500 Hz 未満では

規定する要求事項から+3 dB 又は−1.5 dB を,500∼2 000 Hz では±3.0 dB を超えてはならない。制御信号

の全 g rms のレベルは,規定 APSD 曲線に対する全 rms 値の+20  %又は−5  %以内でなければならない。

8.4.2

加速度パワースペクトル密度の測定  分析及び制御装置は,帯域幅と時間との積(BT)が 50 以上

のものを使用する。特定分析器の特性又はそれらと同等の特性は,次に規定するとおりとする。APSD の

測定には,離散型 FFT(高速フーリエ変換)分析方法を用いるのがよい。

8.4.2.1

  アナログ分析器の要求事項

a.

  50 Hz 以下の帯域幅

B

をもつオンライン式連続フィルタ形の平均化分析装置。


27

W 0812

:2004

b.

  次のような特性をもつ掃引周波数分析装置。

1)  一定帯域幅の分析器

a)  フィルタの帯域幅 10∼200 Hz では,B=10 Hz(最大)

200∼2 000 Hz では,B=50 Hz(最大)

b)  分析器の平均化時間:T=2τ=1 s(最小)

ここに,T:真平均化時間

τ:分析器の時定数

c)  分析直線掃引速度:R=B/4τ 又は B

2

/8 Hz/s(最大)のいずれか小さい方。

2)  一定比率帯域幅の分析器

a)  フィルタの帯域幅:Pf

c

=1/3 オクターブ(最大)

ここに,P:比率≦0.23

f

c

:分析器の中心周波数

b)  分析器の平均化時間:T=50/Pf

c

(最小)

c)  分析対数掃引速度:RPf

c

/4τ 又は (Pf

c

)

2

/8 Hz/s(最大)のいずれか小さい方。

8.4.2.2

  ディジタル分析器の要求事項  離散周波数分析技術を用いるディジタル式パワースペクトル密度

分析装置は,最小 400 線の周波数分解能(すなわち,∆が 5 Hz 以下)をもったものとする。帯域幅と時

間との積は,1APSD を求めるために使用する記録の数と同一である(すなわち,APSD を測定するとき,

総和平均の数が 50 以上であるほうがよい)

8.5

標準振動試験手順―固定翼機  指定したカテゴリ及び装備区域に対する表 8.1 で適用する標準振動

試験曲線を,

図 8.1∼図 8.3 に示す。これらは,正弦波及び不規則振動試験振動レベルを示す。適用する試

験曲線に対する正弦波振動試験及び不規則振動試験の両手順を,次に定めてあるが,必要な正弦波振動試

験又は不規則振動試験のいずれかを実施する。標準振動試験の間及び終了時に,適用機器性能規格に適合

していることを確認する。

8.5.1

正弦波振動試験手順  機器の各直交 3 軸に対して図 8.2 又は図 8.3 のうち適用する試験曲線を用い

て次の試験を行う。

機器を作動させながら,1.0 オクターブ/min を超えない対数掃引速度で,該当する周波数範囲にわたっ

て,規定した周波数の最低値から最高値まで(上昇掃引)上げてから再び最低値まで(降下掃引)

,振動周

波数を掃引させる。最初の上昇掃引中に,選定した応答測定位置での加速度計の読みをプロットし危険周

波数を見出す。危険周波数は,次のいずれかの場合の振動周波数と規定する。

(1)機械的共振振動が入力

加速度振幅の 2 倍を超えるピーク加速度振幅をもつ場合。

(2)性能規格を超えるか超えないかにかかわら

ず,性能又は挙動に目立った変化がある場合。

掃引及び作動を最少 1 時間継続させて,適用機器性能規格に適合していることを確認する。試験中に起

こる危険周波数の変化はすべて,環境カテゴリ適用記録(Environmental Qualification Form)

附属書 

照)に記録する。試験の終了に際して,機器を点検しすべての内部及び外部構成品に構造損傷の兆候がな

いことを確認する。

加える入力振動の全変位が 0.5 mm を超えるときには,供試体が示す読み取ることが困難などのような

表示値(display feature)が示された場合にでも,それを試験の不合格の原因とはしない。

8.5.2

不規則振動試験手順  機器の各直交 3 軸に対して次の順序で試験を行う。

a.

0.5

ピークの正弦波掃引を,10 Hz から 2 000 Hz まで 1.0 オクターブ/min 以下の掃引速度で,実施す

る。機器上の所定の位置に取り付けた加速度計の応答をプロットし,共振周波数及び共振倍率を求め


28

W 0812

:2004

る。共振周波数は,入力加速度振幅の 2 倍より大きい応答ピークに対応する振動数と定義する。

b.

機器を作動させながら,1 軸当たり最少 1 時間,

図 8.

1

の性能レベル試験 APSD を与えて,適用機器

性能規格に適合していることを確認する。

この振動中に機器の振動応答測定の APSD 分析を実施する。

c.

8.5.2a.

の正弦波掃引を繰り返し実施する。共振周波数のどのような変化をも

環境カテゴリ適

記録

附属書 参照)に記録する。

試験の終了に際して,機器を点検しすべての内部及び外部構成部品に構造破損の兆候がないことを

確認する。

8.6

高レベル短時間振動試験手順  機器を作動させながら,該当する機器装備区域に適用する図 8.5 に示

すレベルの正弦波振動を与える。機器の各直交 3 軸に対して,0.167 Hz/s を超えない線形掃引速度で 10 Hz

から 250 Hz までを正弦波で 1 回掃引する。適用機器性能規格に適合しているかどうかを確認する。この試

験の実施中及び実施後の作動性能は,機器仕様書に規定しておかなければならない。

8.7

厳しい振動試験手順―固定翼機  指定したカテゴリ及び機器装備区域に対して表 8.1 に適用する厳

しい振動試験曲線を

図 8.18.4 に示す。これらは,適用する試験曲線に対する正弦波又は不規則振動レベ

ルのいずれかも定義している。正弦波及び不規則振動試験手順を次に規定してあるが,いずれか必要な方

の試験だけを実施する。

8.7.1

正弦波振動試験手順  機器の直交 3 軸のそれぞれに,図 8.2 の該当する正弦波振動試験レベルを用

いて,次の試験を行う。振動試験の間及び完了時に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

a.

機器仕様書で特に規定がない限り,機器を作動させながら,1 分間に 1.0 オクターブを超えない対数掃

引速度で,該当する周波数範囲にわたって,規定した周波数の最低値から最高値まで(上昇掃引)あ

げてから再び最低値まで(降下掃引)

,振動周波数を掃引させる。最初の上昇掃引中に,選定した応答

測定位置での加速度計の読みをプロットし危険周波数を見出す。これらの掃引を行うのに費やした時

間は,8.7.1c.の全掃引時間に含めてもよい。危険周波数は,次のいずれかの場合の振動周波数と規定

する。

(1)機械的共振振動が入力加速度振幅の 2 倍を超えるピーク加速度振幅をもつ場合。

(2)性能

規格を超えるか超えないかにかかわらず,性能又は挙動に目立った変化がある場合。

b.

確認した危険周波数に対して,4 個の最も厳しい周波数を選ぶ。これらの選定した周波数のそれぞれ

で,30 分間保持する。各共振中に,必要な場合には,共振が生じている最大加速度応答を維持するた

めに適用周波数を修正する。確認した危険周波数が 4 個未満のときは,各周波数で 30 分間保持する。

危険周波数が確認できないときには,保持する必要はない。

c.

振動保持試験に引き続き,周波数の掃引によって,振動試験を終了する。1 軸当たり掃引試験で費や

す時間は,3 時間から保持に費やした時間を引いたものである。試験中に起こる危険周波数の変化は

すべて,

環境カテゴリ適用記録

附属書 A

参照)に記録する。変化が起こらないときには,その効

果の説明を

環境カテゴリ適用記録

に含める。加える入力振動の全変位が 0.5 mm を超えるときには,

供試体が示す読み取ることが困難などのような表示値(display feature)が示された場合にでも,それ

を試験の不合格の原因とはしない。

d.

  試験の終了に際して,機器を点検しすべての内部及び外部構成部品に構造破損の兆候がないことを確

認する。

8.7.2

不規則振動試験手順  機器の直交 3 軸のそれぞれにおいて,次の順序で試験を行う。

a.

  0.5 ピークの正弦波掃引を,10 Hz から 2 000 Hz まで 1.0 オクターブ/min 以下の掃引速度で,実施す

る。機器上の所定の位置に取り付けた加速度計の応答をプロットし,共振周波数及び共振倍率を求め

る。共振周波数は,入力加速度振幅の

2

倍より大きい応答ピークに対応する振動数と定義する。


29

W 0812

:2004

b.

機器を作動させながら,

図 8.1

の該当する性能レベルの APSD を最小 30 分間加えて,適用機器性能規

格に適合していることを確認する。この振動期間中にも,機器上の振動応答測定値の APSD 分析を行

う。

c.

図 8.4

の該当する耐久レベルの APSD を,3 時間加える。機器仕様書に特に定めがない限り,試験用

機器は,振動中に作動させる。振動期間の始めの近傍及び終わりの近傍において,機器の振動応答測

定値の APSD 分析を行い,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

d.

8.7.2 a.

の正弦波掃引を繰り返す。振動共振周波数のどのような変化も,

環境カテゴリ適用記録

附属

書 参照)に記録する。

試験の完了に際して,機器を検査し,すべての内部又は外部構成部品に構造破損の兆候がないことを確

認する。

8.8

ヘリコプタの振動試験  この試験は,測定した振動データがないヘリコプタに搭載する機器に対し

て通常実施する試験である。測定した振動データがある場合には,その振動条件に合わせて変更した試験

をそのヘリコプタ用の認定試験基準として承認された試験実施要領に従い適用してもよい。

8.8.1

正弦波不規則重畳試験手順―ヘリコプタ周波数既知(Sine on Random Test Precedure)  正弦波不規

則重畳振動試験の実施のための試験周波数,試験レベル及び試験手順を,次に規定する。

8.8.1.1

試験周波数  四つの主回転振動源の回転 1 次周波数(one-per-revolution frequencies)は,次のとお

りとする。

FM=メインロータ回転周波数,Hz

FT=テールロータ回転周波数,Hz

FE=エンジン回転周波数,Hz

FG=メインギヤボックス回転周波数,Hz

回転翼のブレード通過周波数(blade passage frequencies)は,メイン及びテールロータに対してそのブレ

ード枚数を用いて次のとおりとする。

NM=メインロータのブレード枚数

NM×FM=第 1 次(first)メインロータブレード通過周波数,Hz

NT=テールロータのブレード枚数

NT×FT=第 1 次(first)テールロータブレード通過周波数,Hz

ヘリコプタの各機器装備区域に用いる試験周波数を,

表 8.2a に規定する。

この試験に合格した機器は,

表 8.2a に定義されているヘリコプタの各所振動数が 8.8.1.3 で定義する正弦

波周波数 fi の 0.9 倍から 1.1 倍までの範囲に入っているようないかなるヘリコプタにも装備できるための

認定を得たものとみなされる。

8.8.1.2

  正弦波不規則重畳試験レベル  該当する機器装備区域に対して,表 8.2a から選んだ正弦波周波数

を用いた周波数ごとの正弦波レベルを

表 8.2b に示す。不規則レベルも同様である。正弦波と不規則曲線と

の組合せは,すべての試験曲線を定義する

図 8.6 に包括的に示すとおりとする,

8.8.1.3

  試験手順  適用する制御入力振動レベルは,上で規定した正弦波周波数を合わせた周波数及び広

帯域不規則振動試験レベルをもつものとする。

正弦波周波数は,1 オクターブ/min を超えない対数掃引速度で fi の 0.9 倍から 1.1 倍まで変化させる(fi

は,試験スペクトルの正弦波周波数を示す。

性能及び耐久振動試験は,次に示す試験手順に従って,各機器の直交 3 軸に添って実施する。

a. 0.5

ピークの正弦波掃引を,10 Hz から 2 000 Hz まで 1.0 オクターブ/min 以下の掃引速度で,実施す


30

W 0812

:2004

る。機器上の所定の位置に取り付けた加速度計の応答をプロットし,共振周波数及び共振倍率を求め

る。共振周波数は,入力加速度振幅の 2 倍より大きい応答ピークに対応する周波数と定義する。

b.

機器を作動させながら,最小 30 分間,

表 8.1 の該当するレベルの試験曲線を加えて,振動中に適用機

器性能規格に適合していることを確認する。

c.

  適用機器仕様書で規定されていなければ,機器を作動させないで,

表 8.1 の該当するレベルの試験曲

線を適用した振動を 1 時間以上加える。8.8.1.3 a.で決定した機器共振周波数の一つ又はそれ以上が試

験スペクトルの正弦波周波数幅のどれか一つに入っているならば,四つの最も厳しい周波数を選択す

る。これらの各周波数の下に 30 分間置く。各共振周波数に置いておく間に,共振点における最大加速

度応答を維持するために必要であれば適用している周波数を調整する。非作動試験の時間は,1 時間

にこれらの周波数に置かれていた時間を加えたものとする。

d.

  8.8.1.3 a.の完了の後,8.8.1.3 b.の試験を繰り返す。性能のどのような変化も環境カテゴリ適用記録(

属書 参照)に記録する。

e.

8.5.2 a.

の正弦波掃引を繰り返す。振動共振周波数のどのような変化も,

環境カテゴリ適用記録

属書 参照)に記録する。変化が生じない場合には,その旨を表示文(declaration)に含める。加え

る入力振動の全変位が 0.5 mm を超えるときには,試験対象機器が示すどのような表示値(display

feature)を読み取ることが困難でも,それを試験の不合格の原因とはしない。

f.

試験の終了に際して,機器を点検し,すべての内部又は外部構成部品に構造破損の兆候がないことを

確認する。

8.8.2

カテゴリ のための正弦波不規則重畳試験手順―ヘリコプタ周波数未知  ヘリコプタの振動数が

未知である場合には,

表 8.2a の装備区域 1a 及び 2(胴体,計器板,コンソール及び機器ラック)だけにつ

いて,次の試験手順を適用する。次のうちの三つの既定(default)の正弦波試験周波数を用いて四つの試

験を 8.8.1 に従って連続して実施する。

試験 1:f

1

=11 Hz,  f

2

=24.0, f

3

=52.5

試験 2:f

1

=13.4 Hz,  f

2

=29.2, f

3

=63.9

試験 3:f

1

=16.3 Hz,  f

2

=35.5, f

3

=77.8

試験 4:f

1

=19.9 Hz,  f

2

=43.4, f

3

=94.9

 


31

W 0812

:2004

 8.0  試験のカテゴリ

カテゴリ

航空機の

種類

標準振動

高レベル短時間振動

厳しい振動

S 又は S2

固定翼機

正弦波又は不規則
性能レベルで 
1 軸当たり 1 h

適用なし

適用なし

H 又は H2  固定翼機

正弦波又は不規則
性能レベルで 
1 軸当たり 1 h

正弦波(10∼250 Hz)
1 軸当たり 24 min

適用なし

R 又は R2  固定翼機

適用なし

適用なし

正弦波 
各共振点(最大 4 共振点)

での 30 min ずつを合わせて, 
1 軸当たり 3 h, 
又は,不規則 
1 軸当たり 
性能レベルで 30 min,続いて 
耐久レベルで 3 h,更に

性能レベルで 30 min

R 又は U

ヘリコプタ

適用なし

適用なし

正弦波・不規則重畳 
1 軸当たり 
性能レベルで 30 min,続いて 
耐久レベルで 3 h,更に

性能レベルで 30 min

T 又は T2

固定翼機

適用なし

正弦波(10∼250 Hz)
1 軸当たり 24 min

正弦波 
各共振点(最大 4 共振点) 
での 30 min ずつを合わせて, 
1 軸当たり 3 h, 
又は,不規則 
1 軸当たり 
性能レベルで 30 min,続いて 
耐久レベルで 3 h,更に 
性能レベルで 30 min

 


32

W 0812

:2004

 8.1  航空機の種類及び機器装備場所によるカテゴリ及び振動試験

機器装備区域

1 2 3

4

5

6

7

胴体

計器板,

コンソール,

機器棚

ナセル,
パイロン

エンジ
ン及び

ギヤボ
ックス

主翼 
脚室

降着 
装置

尾翼

航空機の種類

試験の

カテゴリ

振動試験曲線(

1

)(

2

)

1.  ヘリコプタ

ピストン及びター
ボシャフトエンジ

R 又は U

G G H

I

J

S 又は S2

(C)(

3

)  (B)又は(B2)(

4

)

(D)

(W)

(E)

(W)

(E)

H 又は H2  (C,R)(

3

)

(B,R)又は

(B2,R)(

4

)

(D,P)  (W,P) (E,P)  (W,P)

(E,P)

R 又は R2  (C,C1)(

3

)  (B,B1)又は

(B2,B12)(

4

)

(D,D1) (W) (E,E1)  (W)

(E,E1)

2.  固定翼機

ターボジェット及
びターボファンエ

ンジン(亜音速・
超音速)

T 又は T2 (C,C1,R)(

3

)(B,B1,R)又は

(B2,B12,R)(

4

)

(D,D1,P)(W,P)(E,E1,P) (W,P)  (E,E1,P)

3.  固定翼機

ピストン及びター
ボプロップエンジ

ン 
多発機 
5 700 kg(12 500 
lbs)を超えるもの

S L(

3

) M  T

U

T

4.  多発機

5 700 kg(12 500 
lbs)以下のもの

S M(

3

) M  L

L

L

5.  単発機

5 700 kg(12 500 
lbs)以下のもの

S M  M  M

L

M

S 又は S2

(Y)(

3

)  (B)又は(B2)(

4

)

(D)

(W)

(E)

(W)  (E)又は(Z)

H 又は H2  (Y,R)(

3

)

(B,R)又は

(B2,R)(

4

)

(D,P)  (W,P) (E,P)  (W,P) (E,P)又は

(Z,P)

R 又は R2

(Y)

(B,B1)又は

(B2,B12)(

4

)

(D,D1) (W) (E,E1)  (W)  (E1)又は

(Z)

6.  固定翼機

アンダクテッドフ

ァンエンジン

T 又は T2  (Y,R)  (B,B1,R)又は

(B2,B12,R)(

4

)

(D,D1,P)(W,P)(E,E1,P) (W,P)  (E1,P)

又は(Z,P)

注(

1

)  他に規定しない限り,カテゴリ及び装備区域に対して(  )内のすべての曲線を実施する。

(

2

)  曲線 B∼F は,不規則振動,曲線 G∼J は,不規則・正弦波重畳振動,その他の曲線は,正弦波振動を示す。

(

3

)  ジェット後流に直接影響される構造に取り付ける機器は,含まない。

(

4

)  曲線 B2 及び B12 は,多くの固定翼機に規定されるレベルを代表するものであるが,すべてではない可能性があ

る。曲線 B 及び B1 は,すべての場合が想定される高レベルを含むカテゴリである。


33

W 0812

:2004

 8.2a  正弦波不規則重畳振動試験の周波数―ヘリコプタ用

ヘリコプタの機器装備区域に対する振動試験の周波数

正弦波 1a  1b

2

3

4

7

試験周波数(

1

)

f

n

胴体

テール 
ブーム

計器板,

コンソール,

機器棚

ナセル, 
パイロン

エンジン,

ギヤボックス

尾翼,

フィンチップ

f

1

NM×FM NM×FM NM×FM NM×FM  NM×FM  NM×FM

f

2

 2×NM×FM

2×NM×FM

2×NM×FM

2×NM×FM

2×NM×FM

2×NM×FM

f

3

NT×FT

 FE FE

NT×FT

f

4

2×NT×FT

 FG FG

2×NT×FT

注(

1

) FM,FT,FE,FG,NM 及び NT の定義は,8.8.1 参照。

 8.2b  正弦波不規則重畳振動試験レベル―ヘリコプタ用

ヘリコプタ振動試験曲線レベル

正弦波曲線レベル(の倍数-ピーク)(

2

)

試験周波数

範囲

        Hz(

1

)

G H  I

J

3<f

n

<10 0.05×f

n

 0.07×f

n

 0.1×f

n

 0.2×f

n

10<f

n

<20

(0.2×f

n

)−1.5

(0.28×f

n

)−2.1

(0.3×f

n

)−2

(0.3×f

n

)−1

20<f

n

<40 2.5

3.5

4.00

5.00

40<f

n

<200 2.5

3.5

(0.1×f

n

) 5.00

200<f

n

<2000

20.00

PSD

不規則曲線レベル(g

 2

/Hz)

W

0

 0.02  0.02

0.02

0.02

注(

1

)  各機器装備区域に対する四つの正弦波周波数 f

1

f

2

f

3

及び f

4

は,

表 8.2a に規定してある。

(

2

)  機体の外部に装備する機器には,正弦波レベルを 1.5 倍して適用する。

 


34

W 0812

:2004

曲  線

加速度(rms)

        B2 
        B 
        C 
        D 
        E

    0.74

g

    1.48

g

    4.12

g

    8.92

g

    7.94

g

備考  こう配はすべて,±6 dB/オクターブとする。ただし,曲線 D 及び E に記入さ

れたものは除く。

 8.1  固定翼ターボジェット機又はターボファン機に装備する

機器に対する標準不規則振動試験曲線


35

W 0812

:2004

参考  この図は,インチ単位によって導出され作成されたものである。

 8.2  固定翼ターボジェット機,ターボファン機及びアンダクデッドファン機に

装備する機器に対する標準及び厳しい正弦波振動試験曲線


36

W 0812

:2004

参考  この図は,インチ単位によって導出され作成されたものである。

 8.3  固定翼ピストン機又はターボプロップ機に装備する

機器に対する標準正弦波振動試験曲線


37

W 0812

:2004

曲  線

加速度(rms)

        B12 
        B1 
        C1 
        D1 
        E1

    1.48

g

    2.09

g

    5.83

g

        12.6

g

        11.2

g

備考  こう配はすべて,±6 dB/オクターブとする。ただし,曲線 D 及び E に記入さ

れたものは除く。

 8.4  固定翼ターボジェット機又はターボファン機に装備する

機器に対する厳しい不規則振動試験曲線


38

W 0812

:2004

参考  この図は,インチ単位によって導出され作成されたものである。

 8.5  固定翼ターボジェット機又はターボファン機に装備する

機器に対する高レベル短時間振動試験曲線

備考  W

0

は,不規則 PSD 曲線 g

  2

/Hz,A1∼A4 は,正弦波曲線,-ピーク。振動周波数は,表 8.2a に示す。振動

レベルは,これらの数に基づき

表 8.2b を用いて決定する。

 8.6  ヘリコプタ用正弦波不規則重畳振動試験曲線


39

W 0812

:2004

9.0

防爆性

9.1

試験の目的  この試験は,この規格で規定するような可燃性の流体及び蒸気に接触することがある

搭載機器に対する要求事項及び試験手順について規定し,機器性能特性を確認するためのものである。運

航中,可燃性の流体及び蒸気にさらされるか又はさらされるおそれがある区域において,正常状態及び起

こる可能性がある故障状態についても確認する。

この項で指示する可燃性の試験流体,蒸気又はガスは,普通の航空機で通常使用するもので,燃焼する

ために酸素を必要とするものを模擬する[したがって,例えば一液推進薬(monofuel)は,含まない。

この規格は,荷物又は貨物として航空機に積載した品物から漏れた結果,発生する潜在的に危険な環境

については除く。

備考  防爆性試験は,通常,供試体がこの規格の他の環境試験を受けた後に実施するとよい(3.2 試験

順序参照)

9.2

防爆性(explosion proof)  表示された環境内で,機器が可燃性のガス又は蒸気の爆発を引き起こす

危険が無視できることが確認されたとき,この機器は,防爆性があるとする。

9.3

環境の定義及び機器の要求事項  機器の環境及び関連する要求事項は,次に示すとおりとする(表

9.1

参照)

9.3.1

環境 I  環境 I は,遮へいがない可燃性の流体又は蒸気が,継続的又は間欠的にを問わず,存在す

るか又は存在することがありうる空間内の雰囲気をいう(例えば,燃料タンク内又は燃料系統内)

。その中

に装備される機器は,防爆性カテゴリ A の規格及び試験手順を満足しなければならない。

9.3.2

環境 II  環境 II は,故障に起因するこぼれ又は漏れの結果としてだけ,可燃性混合気が生じると

予想できる雰囲気をいう。その中に装備される機器は,防爆性カテゴリ(9.4.19.4.2 又は 9.4.3)のいず

れか一つの規格及び試験手順を満足しなければならない。

9.3.3

環境 III    環境 III は,指定防火区域内の雰囲気をいう。これらの機器試験要求事項は,環境 II に対

するものと同じである。ただし,カテゴリ A の機器の故障状態を考える必要はない。

9.4

機器のカテゴリ

9.4.1

カテゴリ の機器  カテゴリ A の機器は,次のように設計する。

a.

機器を取り巻く爆発性雰囲気に点火することなく,爆発性混合気の着火を機器の内部に封じ込め,し

たがって,機器

が 9.7.1

に規定するカテゴリ A の試験を満足するようにする。

b.

正常作動中,又は何らかの故障の結果として,どの外面の温度も,着火を起こす可能性のあるレベル

までは上昇しない(

9.7.1.4

参照)

9.4.1 b.

を満足するハーメチックシール(密封形)機器は,カテゴリ A の機器として識別する。

9.4.2

カテゴリ の機器  カテゴリ E の機器は,密封されておらずまた火炎や爆発の伝ぱを防ぐよう設

計されたケースには収められていない。カテゴリ E の機器は,環境 I に対して装備するようにはなってい

ない。このような機器は,正常の作動ではいかなる外部表面の温度も発火を引き起こすことができる水準

までは上昇しないように,また,いかなる作動部品も発火を引き起こさないように設計しなければならな

い。

9.4.3

カテゴリ の機器  カテゴリ H の機器は,ハーメチックシール機器も含んで,(外部又は内部の)

高温部表面をもっているが,正常状態では火花は発しない(4.6.1 参照)

。このような機器は,正常の作動

では,いかなる外部表面の温度も発火を引き起こすことができる水準までは上昇しないように設計しなけ

ればならない。

9.5

一般試験要求事項


40

W 0812

:2004

9.5.1

一般  適用試験手順に従って試験したとき,機器が 9.3 の規定に適合することを保証するために,

次に規定する試験要求事項が必要である。

9.5.2

供試体  選定した供試体は,製造される機器を代表するものとする。

9.5.3

燃料  特に規定がない限り,使用する燃料は,グレード 100/130 オクタン価ガソリン,プロパン又

はノルマルヘキサンでよい。

9.5.4

燃料混合気

a.

ガソリンに対しては,質量で空気と燃料との比が 13 対 1 の理論混合気。

b.

プロパンに対しては,体積でプロパン 3.85∼4.25  %,空気 96.15∼95.75  %の理論混合比の 1.05 混合

気。試験装置の例を,

図 9.1 に示す。

c.

ヘキサンに対しては,1.80 理論混合比のノルマルヘキサンの量を,次の式に従って計算する。

95  %ノルマルヘキサンの体積(ml)

    =4.27×10

4

×

ここに,  K:熱力学温度=℃+273.15

備考  ノルマルヘキサンの比重は,図 9.2 から決定することができる。

防爆性試験用の燃料を蒸発させるために用いる装置は,燃料蒸気を蒸発器から槽に導くとき,それが凝

縮しない温度まで,少量の空気及び燃料蒸気を一緒に加熱できるように設計するとよい。

爆発槽内部で燃料を蒸発させるように試験設備を設計するときは,燃料は,試験場所の周囲温度で入れ

てもよい。

13:1 という希望する空気―蒸気比を作り出すのに必要な 100/130 オクタン価ガソリンの質量を計算する

手順を説明するため,次の例題を示す。

必要な情報:

試験中の槽内空気温度:26.7  ℃

燃料温度:24  ℃

16.1 ℃における燃料の比重:0.704

試験高度:1 524 m(5 000 ft)  85 kPa(P=12.33 lb/in

2

空気―蒸気比(希望値)

:13:1

段階 1  次の式を用いて,見掛けの空気―蒸気比を計算する。

62

.

15

04

.

0

32

.

101

85

04

.

1

13

04

.

0

101.32

1.04

=

×

=

×

=

P

AV

AAV

ここに,

AAV: 見掛けの空気―蒸気比

AV: 希望する空気―蒸気比

P: 高度に相当する圧力  kPa

地面から高度 1 524 m(5 000 ft)まで,槽内空気温度が 16.1  ℃を超え,空気―蒸気比が 5 以

上のときには,100/130 オクタン価燃料に対して,空気―蒸気比=空気―燃料比(AF)である。

考慮中の燃料試験の条件は,常にこれらの値より十分に大きいから,すべての場合に AV は AF

に等しい。

段階 2  AVAF であるから,図 9.3 を用いて空気の質量(WA)を定め,その値を AAV で除して必要な

燃料の未修正質量(Wfu)を得る。

[正味試験槽容積(l)

]×[槽内圧力(Pa)

[槽内温度(K)

]×(ノルマルヘキサンの比重)


41

W 0812

:2004

g

100

62

.

15

1570

62

.

15

=

=

=

WA

Wfu

備考  図 9.3 は特定の試験槽容積に関するものであって,この種の試験設備のすべてに対しては,

使用しない。ここでは,ただその使用方法を説明したにすぎない。各試験槽は,それ自身

の試験槽容積図表をもつはずである。

段階 3  燃料温度及び 16.1  ℃での比重が既知であるから,図 9.4 を用いて,与えられた温度での比重を

決める。

段階 4  図 9.5 を用いて,段階 3 で求めた比重から修正係数 を求める。この係数を用いて,燃料の修

正質量(Wfc)を算出する。

Wfc

=KWfu=1.01×100=101 g

9.6

機器の設計及び装備説明事項  機器仕様書では,特定のカテゴリの機器の容器に適用するすべての

設計上の制約を詳細に示すのがよい。そのような設計上の制約には,次のうち該当するものを含めるのが

よい。

a.

可燃性の流体又は蒸気と接触する可能性があり,かつ正常な作動中にアーク,火花又は過熱面を生じ

ることがある機器は,予想される装備方法を考慮して,防爆性をもつように設計する。

b.

可燃性の流体又は蒸気と接触する可能性があり,かつ故障状態でアーク,電気火花,摩擦火花又は過

熱面を生じることがある機器は,

可燃性蒸気の着火という危険を,容認できる最小限に減らすように,

設計し,装備する。

c.

強制換気する機器に空気を供給する系統を設計するときには,可燃性蒸気によって空気を汚染する可

能性を考慮する。機器及びその配管(継手を含む。

)がそのような汚染の可能性がある区域にあるとき

には,それらは,その環境に適した条件を満足しなければならない。

d.

カテゴリ A の機器(9.4.1)の仕様書では,火炎伝ぱを防ぐ適切な安全策として,フランジ及び孔の寸

法その他の同等な手段(火炎トラップなど)に関する設計要求事項を考慮するのがよい。

9.7

試験手順

9.7.1

カテゴリ の試験

9.7.1.1

  試験準備

a.

試験用ケース又は容器の準備  必要なときは,防爆性試験用に燃料―蒸気―空気混合気循環装置への

入口及び出口のホースを接続するため,及び火花すきま装置を取り付けるために,供試機器のケース

に穴あけ及びタップ立てをしたものを準備する。ケースの容積は,爆発性蒸気の導入を容易にするた

めのどのような改造によっても,

5

 %を超えて変化してはならない。

b.

ホースの装着  送風機からのホースを差し込むときは,逆火による周囲混合気への着火,又は供給ホ

ースを通しての圧力の逃げを防止するため,適切な予防措置を講じる。

c.

火花すきま装置  ケース内の爆発性混合気に点火するための火花すきま装置を備える。ケースには,

火花すきま装置用の穴あけ及びタップ立てをしてもよく,又は火花すきま装置を内部に取り付けても

よい。

d.

ケースの装着  供試体又は供試体と同一の体積及び形状をもつ模型のいずれかを所定位置に内蔵した

ケースを,正規使用時の装備について製造業者が推奨するとおりに,機械的及び電気的に接続し,爆

発槽内で規定の向きに配置する。このケースには,この規格で示す試験を実施するために必要な何ら

かの冷却設備を備える。

9.7.1.2

  試験の実施

  次の一連の試験を 3 回,次のとおり実施する。


42

W 0812

:2004

段階 1  試験槽を密閉し,内圧を周囲圧力に保持する。槽内周囲温度は,少なくとも 25  ℃とする。9.5.3

及び 9.5.4 で定めた混合気を用いて,槽内の爆発性混合気を得る。

段階 2  ケース内に爆発を起こさせるため,ケース内点火源に通電する。ケース内に爆発が起こったこ

とは,ケース内に差し込んだ熱電対とそれに接続した試験槽外の高感度検流計とを用いて,検

知することができる。もし,混合気の着火が直ちに起こらないときは,その試験は無効とみな

し,新しい爆発性混合気を充てんして,試験を繰り返す。

段階 3  少なくとも 5 回のケース内爆発を実現させる。もし,供試ケースが小さいとき(試験槽容器の

1/50 以下)で,かつ着火時のケース内の反応が,爆発性ではあるが,混合気がケース内に循環

してきても燃焼を継続しないときは,槽全体に再充てんしないで,1 回を超え 5 回以下のケー

ス内爆発を発生させてもよい。各回のケース内爆発の間には,ケース内の燃焼ガスを新しい爆

発性混合気と入れ換えるため,十分な時間をおく。もし,発生したケース内爆発が主試験槽内

の爆発を誘発しなかったときには,点火プラグ又はグロープラグ(glow plug)を用いて,混合

気試料に点火することによって,主試験槽内の燃料―空気混合気の爆発性を検証する。もし,

主試験槽内の空気―蒸気混合気が爆発性でないことが分かったときには,その試験は無効とみ

なして,全手順を繰り返す。

9.7.1.3

  不合格判定基準  もし,ケース内爆発が主試験槽内の爆発を誘起したときには,その供試体は試

験に不合格とし,それ以上の試験を行う必要はない。

9.7.1.4

  外面温度試験  必要な場合には,試験手順を,個別機器仕様書に規定する(9.4.1 b.)。

9.7.2

カテゴリ の試験

9.7.2.1

  試験準備

a.

  供試体は,正規使用時の装備について製造業者が推奨するとおりに,機械的及び電気的に接続し,規

定の向きに配置する。供試体は,正規の電気的作動が可能で,かつ槽外から圧力シールを通して機械

的制御部を操作できるように,この規格で示す試験を実施するために必要な,何らかの冷却設備を備

える。供試体の外部カバーは,爆発性混合気の浸透を容易にするため,取り外すか,又は解放してお

く。大形の供試体(複数)は,外部に置いた残りの関連機器までケーブルの出入口を通じて,電気的

接続を延ばすことによって,1 回につき 1 個以上のユニットを試験してもよい。

b.

  供試体は,正しく機能を果たしていることを確認するため,作動させる。

c.

もし,トルク,電圧,電流,誘導リアクタンスなどに関する正常な負荷を再現するよう適正な注意を

払うならば,駆動組立品に作用する機械的負荷並びにスイッチ及びリレーに作用するサーボ機構的及

び電気的負荷は,模擬してもよい。すべての場合において,供試体は,それが装備環境で正常に機能

を果たしているのと同様に作動させるほうがよい。

9.7.2.2

  試験の実施  試験は,周囲圧力で行う。

段階 1  試験槽を密閉し,槽内周囲温度を機器が作動するように設計されている表 4.1 に示す作動最高

温度まで上昇させる。試験槽及び槽壁の温度は,爆発性媒体の凝縮を防止するため,爆発性混

合気の導入に先立って,槽内周囲温度の 11  ℃以内まで高めてもよい。

段階 2  所要の燃料量(

9.5.4

)を槽内に導入する。燃料の蒸発を完全にし混合気を均一にするために,

少なくとも 3 分間試験雰囲気を循環させる。

段階 3  この時点で,供試体のすべての電気接点を動かす。この期間中,供試体の作動を継続させ,実

際的とみなされる頻度で,すべての電気接点の開閉を行う。

段階 4  もし,供試体の作動によって爆発が起こらなかったときは,火花すきま又はグロープラグによ


43

W 0812

:2004

って混合気試料に点火して,空気―蒸気混合気が潜在的爆発性をもっていることを検証する。

もし,

空気―蒸気混合気が爆発性でないことが分かったときには,その試験は無効とみなして,

全手順を繰り返す。

9.7.2.3

  不合格判定基準  もし,供試体が爆発を起こしたときは,その供試体は試験に不合格とし,それ

以上の試験を行う必要はない。

9.7.3

カテゴリ の試験

9.7.3.1

  試験準備  供試体は,9.7.2.1 に従って試験槽内に置く。熱的着火について試験する必要がある構

成部品又は表面は,動作範囲が 65∼260 ℃の熱電対を用いて計装する。

9.7.3.2

  試験の実施  試験は,次のとおり行う。

段階 1  試験槽を密閉し,槽内周囲温度を表 4.1 に示す機器が作動するように設計されている作動高温

度まで上昇させる。試験槽及び槽壁の温度は,槽内周囲温度の 11  ℃以内まで高めてもよい。

段階 2  機器を作動状態にし,機器の熱的安定が得られるまで,正規モードで作動させる。最高温度に

なると予想される部品又は表面の温度を記録する。もし,到達温度が 204  ℃を超えたときは,

試験を終了する。

9.7.3.3

  不合格判定基準  上記段階 2 で,もし,機器の温度が

204  ℃

を超えたときは,その供試体は,試

験に不合格とし,それ以上の試験を行う必要はない。

 9.1  機器のカテゴリ及び試験要求事項

環境

機器のカテゴリ

要求事項及び試験

I A

A(ハーメチックシールしたもの)

9.7.1

参照

9.7.1.2

参照

(

1

)

II A


H

9.7.1

参照

9.7.2

参照

9.7.3

参照

(

2

)

III A


H

環境 II の場合と同じ。 
ただし,機器の故障の場合には
適用しない。

(

3

)

注(

1

)  9.3.1 を適用する。

(

2

)  9.3.2 を適用する。

(

3

)  9.3.3 を適用する。


44

W 0812

:2004

 9.1  爆発性雰囲気中の試験装置の例

記号の意味 
A :空気 
B :プロパンガス容器 
C :減圧弁 
D :爆発槽上のマイクロスイッチによって作

動するガス締切弁

E  :酸素瓶 
F  :ガスを標準温度にする熱交換器 
G :ニードル弁 
H :流量計 
J  :ゴムバンドによって保持されたダイヤフ

ラム(例えば,紙,ポリエチレン)で覆

われた両端部

K :ダイヤフラム逆止め弁

 
L  :円筒形爆発槽 
M :供試ユニット 
N :ベント 
O :混合槽 
P  :大気への排出物 
Q :供試ユニットに充てんするための抽出器
R :かくはん用送風機 
S  :爆発によってゴムバンドが移動するとき

に“開”となるマイクロスイッチ 
(両端に 1 個ずつ)

T  :ダイヤフラム 
V :ゴムバンド


45

W 0812

:2004

 9.2  ノルマルヘキサンの比重

 9.3  充てん空気の質量と温度との関係


46

W 0812

:2004

 9.4  比重と温度との関係


47

W 0812

:2004

 9.5  燃料の計算質量を計器指示質量に変換する修正係数


48

W 0812

:2004

10.0

防水性

10.1

試験の目的  この試験は,機器がその上に吹き付けられるか又は滴下する液状水の影響に耐えるこ

とができるかどうかを確認するためのものである。

この試験は,ハーメチックシール機器の性能を評価するものではない。ハーメチックシール機器は,更

に試験をしなくても防水性能要求事項は満足していると考えてよい。機器は,密封のためのシールが永久

的で気密になっていれば密封されたものと考える。

10.2

機器のカテゴリ

カテゴリ W  航空機の正規運用中に水の滴下(一般には結露の結果)を受ける場所に装備する機器は,

カテゴリ W として識別する。そのような場所に装備することを意図する機器に対しては,防滴試験手順を

適用し,その機器をカテゴリ W として識別する。

カテゴリ R  雨又は水があらゆる角度から吹き付けることがある場所に装備する機器は,カテゴリ R と

して識別する。そのような場所に装備することを意図する機器に対しては,噴水試験手順を適用する。カ

テゴリ R の要求事項を満足した機器は,改めて試験を行うことなしに,カテゴリ W の要求事項を満足す

るものとみなしてもよい。

カテゴリ S  航空機の(地上での)除氷,洗浄又は清浄化の作業で遭遇するような流体の強い流れの力

にさらされることがある場所に装備する機器は,カテゴリ S として識別する。このような場所に装備する

ことを意図する機器に対しては,連続流水試験手順を適用する。この試験では,実際の流体の力を模擬す

るため,水を使用する。ハーメチックシール機器は,改めて試験を行うことなしに,カテゴリ S の要求事

項を満足したとみなしてもよい。

カテゴリ S の要求事項を満足した機器は,

改めて試験を行うことなしに,

カテゴリ W の要求事項を満足するものとみなしてもよい。

10.3

試験手順

10.3.1

防滴試験  製造業者仕様書に従ってすべてのコネクタ及び継手を結合して,機器を取り付ける。機

器を作動させながら,試験する機器の最上面から上に少なくとも 1 m の高さから均一な流量で,15 分間以

上機器に水をかける。試験装置は,

図 10.1 に示すとおり,ピッチ 25 mm の格子形配置で呼び径 0.33 mm

の滴下穴をあけた散水器か,280 L/(m

2

h)  を超える量の水を滴下させるものとする。滴下穴の配置は,試験

する機器を正常位置に取り付けたときに占める水平断面面積相当か又はそれ以上の十分な大きさのものに

しなければならない。試験終了時に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

10.3.2

噴水試験  製造業者仕様書に従ってすべてのコネクタ及び継手を結合して,機器を取り付ける。機

器を作動させながら,

図 10.2 に示す噴水ノズルからの水の吹付けにさらす。この噴水は,適用機器性能規

格で指定する機器の最も弱い部分に,直角に当てる。

各試験対象部分は,最小限 15 分間噴水にさらす。もし,そのほうが望ましいときは,適切な個数の噴水

ノズルを用いて,二つ以上の部分を同時に試験してもよい。噴水ノズルは,試験対象部分から 2.5 m 以内

に置き,450 L/h 以上の水を放出する。試験終了時に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

10.3.3

連続流水試験  この試験は,11.0 の流体感受性試験を補足するために行う。ガスケットのような影

響を受けやすい材料は,この試験の実施前に,11.0 の該当する試験を行う。この試験は,温度 50  ℃の温

水を用いて行う。

製造業者の装備説明書に従って航空機の装備を模擬する方法で機器を取り付ける。コネクタその他の継

手は,正規運用時と同様に接続する。機器は,この試験中に作動させる必要はない。

機器の,特に部品を弾性ガスケットと組み合わせた部分には,全側面に,各側面 5 分間以上,連続した

水流をかける。流水は,直径 6.4 mm のノズルを通して少なくとも 6 m の垂直な水流を作るのに十分な圧


49

W 0812

:2004

力をもたせる。機器に,1∼2 m の距離からこの流水をかける。試験終了時に,適用機器性能規格に適合し

ていることを確認する。

備考  容器の寸法及び穴の個数は,10.3.1 の流量要求事項を満足するために必要なものと

する。

 10.1  防滴試験の詳細


50

W 0812

:2004

                                                単位  mm

 10.2  噴水ノズル頭の詳細


51

W 0812

:2004

11.0

流体感受性

11.1

試験の目的  この試験は,機器の構成材が,流体汚染要因物の有害な影響に耐えることができるか

どうかを確認するためのものである。流体感受性試験は,流体による汚染に通常遭遇する可能性がある区

域に,機器を装備するときだけ実施するのがよい。流体は,飛行運用及び地上運用で遭遇する通常使用す

る流体を代表する。この規格に示してない流体で,流体感受性試験が指示されている流体は,その流体を

該当機器仕様書に含める。

11.2

注意事項(precaution)  汚染要因物の多くは,試験温度範囲内に引火点をもっていることがあるの

で,火災又は爆発の可能性を制限するため,適切な安全対策を確実にとるように注意する。

汚染要因物の中には,それ自身又は他の汚染要因物若しくは供試品と組み合わせた状態で有毒なものが

ある。したがって,試験に着手する前に,この可能性について十分考慮する。

11.3

機器のカテゴリ

カテゴリ F  この 11.0 に示す試験に合格した機器は,カテゴリ F として識別する。関連の試験流体及び

使用した方法についての詳細は,環境カテゴリ適用記録(Environmental Qualification Form)

附属書 

照)に記述する。

備考  この規格の 10.0 及び 14.0 は,それぞれ防水性試験及び塩水噴霧試験について規定している。

11.0

では,その他の 7 種の一般的な汚染要因流体の種類について規定している。さらに,これ

らの種類のものを試験するために使用する 19 の特定流体がある。

表 11.1 は,これらの試験の

対象となる流体の種類,特定流体及び流体温度を示す。

11.4

試験手順

11.4.1

噴霧試験  該当機器仕様書で規定するとおりに,機器を機械的及び電気的に接続する。機器は,こ

の試験中,作動させる必要はなく,また,環境は,室内周囲条件とする。

機器に規定の流体を 1 日 1 回以上,必要に応じて噴霧し,24 時間以上湿潤状態に保つ。もし,湿潤状態

に保つことが困難で,しかも,機器仕様書が浸せき試験よりも噴霧試験を要求しているときは,4 時間以

下の間隔で,機器に十分に噴霧してもよい。噴霧は,

表 11.1 に示す温度に保った微細な霧状とし,供試体

のあらゆる主要表面,シール及びコネクタに向けて吹き付ける。24 時間の終わりに,10 分間以上,機器を

作動させる。

この期間に続き,余分の流体を取り除かずに,供試体を適切な槽内に置き,+65  ℃の一定温度に 160

時間以上保持する。この期間の終わりに,供試体を室温に戻して,2 時間以上作動させる。

備考  2 種以上の汚染要因流体を用いて,機器を試験するときは,通常それぞれの流体を別個に用い

て試験するのがよい。しかし,機器仕様書で要求されているときは,同時に試験してもよい。

流体は,噴霧する前に,あらかじめ混合しないほうがよく,また,適用順序は,機器仕様書に

規定するとおりとするのがよい。機器仕様書に特に示してない限り,流体の同時適用に対する

全暴露時間は,単一流体に対する暴露時間と同じにするのがよい。11.0 の他の箇所に示してあ

る注意事項に従うのがよい。

2 時間の作動後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

11.4.2

浸せき試験  該当機器仕様書で規定するとおりに,機器を機械的及び電気的に接続する。機器は,

この試験中,作動させる必要はなく,その温度は周囲温度とする。

機器を規定の流体に 24 時間以上浸す。流体の温度は,

表 11.1 に示す温度に保ち,供試機器全体を覆う。

24 時間の終わりに,機器を流体に完全に浸しながら,少なくとも 10 分間作動させる。

これに続いて,供試体を取り外し,適切な槽内に置き,+65  ℃の一定温度に 160 時間以上保持する。こ


52

W 0812

:2004

の期間の終わりに,供試体を室温に戻し,2 時間以上作動させる。

この 2 時間の作動終了後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

11.5

材料試験片の使用  機器を試験する代わりに,材料試験片による試験を行ってもよい。これらの試

験の結果は,機器の試験手順(11.4)に規定する方法で機器を規定の流体にさらした後,その材料が機器

を有害な影響から保護することを保証する。

備考  材料試験片による試験は,もし機器が引き続き連続流水試験(10.3.3)を受ける場合には,行わ

ない。

 11.1  試験流体の種類及び流体温度

    汚染要因流体の種類

試験流体

流体温度  ℃

    燃料

航空ジェット燃料 A 
航空ピストンエンジン燃料

 40 (

1

)

 40 (

1

)

    作動油

鉱物系作動油

非鉱物系作動油 
りん酸エステル系(合成)作動油  タイプ IV (

2

)

けい酸エステル系(合成)作動油

けい素系(合成)作動油 
合成炭化水素系作動油

 80 
 50 
 70 
 80 
 80 
 70

    潤滑油

鉱物系潤滑油 
エステル系(合成)潤滑油

 70 
150

    溶剤及び洗浄液

イソプロピルアルコール 
変性アルコール 
1,1,1 トリクロロエタン

 50 (

1

)

 50 (

1

)

 50

    除氷液

エチレングリコール 
プロピレングリコール 
AEA タイプ 1 (

3

)

AEA タイプ 2 (

3

)

 50 
 50 
 50 
 50

    殺虫剤

ジクロルボス(DDVP)

除虫菊系殺虫剤

 20 
 20

    汚泥(sullage)

機器仕様書で定める。

20

注(

1

)  この温度は,臨界引火点温度を超える。試験は,常に,適切な圧力容器内で行うのがよい。

(

2

)  これらの作動油は,導電性をもつ。作動油にさらした後,機器を作動させる前,適切な予防措置を講じるのが

よい。

(

3

)  Association of European Airlines


53

W 0812

:2004

12.0

砂じん

12.1

試験の目的  この試験は,適度な速さの空気の移動によって運ばれる砂じんの吹付けの影響に対し

て,機器の抵抗性を確認するためのものである。予想される有害な影響の主なものは,次のとおりである。

a.

割れ目,すきま,軸受及び継手への侵入によって,可動部品,リレー,フィルタなどの汚れ及び/又は

詰まりを引き起こす。

b.

導電ブリッジを形成する。

c.

水蒸気凝集の核としての作用をし,二次効果として腐食の可能性を生じる。

d.

流体の汚染。

12.2

機器のカテゴリ

カテゴリ D  航空機の正規運用中に砂じんが吹き付ける場所に装備する機器を,カテゴリ D として識別

し,次の箇条で推奨するとおりに試験を行うのがよい。

12.3

試験手順

12.3.1

砂じん  大気に通気した適切な試験槽で使用したとき,3.5∼8.8 g/m

3

の濃度の砂じんを立てて,そ

れを維持する。砂じんの粒径分布は,次に規定する網ふるいを通過するものとする。

a.

100  %が呼び寸法 150 のふるいを通過する。

b.

98±2  %が呼び寸法 100 のふるいを通過する。

c.

90±2  %が呼び寸法 75 のふるいを通過する。

d.

75±2  %が呼び寸法 45 のふるいを通過する。

e.

化学成分は,二酸化けい素 97∼99  %とする。

備考  直径 0.10 mm のシリカ粉末を,これらの試験に用いてもよいが,健康上及び安全上の規制を守

る必要がある。

12.3.2

機器の暴露  機器は,順次各主直交軸に沿って各向きに,砂じんの噴流にさらす。噴流速度は,0.5

∼2.5 m/s に維持する。

備考  該当仕様書で特に要求がない限り,機器は,暴露期間中に作動させない。

12.3.3

第 サイクル  試験槽の内部温度を 25  ℃,相対湿度を 30  %以下に保ち,機器を順次各主直交軸

に沿って各向きに,砂じんの噴流に 1 時間以上さらす。

12.3.4

第 サイクル  試験槽の内部温度を上げて,温度+55  ℃,相対湿度 30  %以下に安定させ,機器

を順次各主直交軸に沿って各向きに,砂じんの噴流に 1 時間以上さらす。

この暴露期間の終わりに,機器を試験槽から取り出して,室温まで冷却する。機器の中にそれ以上砂じ

んが入らないように注意しながら,機器の正常作動を確認するのに必要な箇所(表示器,コネクタ,試験

用穴など)の外表面にたまった砂じんを,はけで払うかふき取るかして取り除く。どのような場合にでも,

空気を吹き付けたり真空掃除機を使って砂じんを取り除かない。余分な砂じんを取り除いた後,適用機器

性能規格に適合していることを確認する。


54

W 0812

:2004

13.0

かび抵抗性

13.1

試験の目的  これらの試験は,機器の材料が,かびの発育に好ましい条件,すなわち,高湿度で温

暖な大気及び無機塩の存在のもとで,

かびによって悪影響を受けるかどうかを確認するためのものである。

備考1.  もし,機器に用いられているすべての材料が,その組成又は以前の試験結果から,かびの成

長に寄与する栄養物質ではないことを示すことができる場合には,この試験は,実施する必

要はない(13.3 カテゴリ F 参照)

2.

この試験は,塩水噴霧試験又は砂じん試験の前に行う。高濃度の塩は,かびの成長に影響す

ることがあり,また,砂じんは,栄養素を与えることがあるので,この試験の有効性を害す

る可能性がある(試験順序参照)

13.2

一般的影響  機器に成育するかびによって引き起こされる代表的な問題は,次のとおりである。

a.

微生物は,通常の代謝作用として,有機材料を消化してその基質を劣化させ,表面張力を減少させて

水分の浸透を増加させる。

b.

代謝作用中に作られた酵素及び有機酸は,細胞から出て基質内に拡散し,金属の腐食,ガラスの腐食,

グリースの硬化,並びに基質に対するその他の物理的及び化学的変化を生じる。

c.

微生物の物理的存在は,構成部品間に生体のブリッジを形成して,電気的故障の原因となることがあ

る。

d.

かびの物理的存在は,健康問題及び見た目の不快感を生じることによる使用者の使用拒否の原因にも

なりうる。

13.3

機器のカテゴリ

カテゴリ F  かびによる過酷な汚染にさらされる環境に装備する機器は,カテゴリ F として識別し,か

び抵抗性試験を行う。かびを生育させないことが証明された材料だけでできている機器は,かび抵抗性試

験を行うことなしに,カテゴリ F として識別してよい。かびを生育させる材料であっても,かびを生育さ

せないように処理したものは,かびを生育させないものとする。このことを立証するため,かびを生育さ

せない材料であるという証明を用いたときには,このことを環境カテゴリ適用記録(Environmental

Qualification Form)(附属書 参照)に明示する。

13.4

装置  この試験を行うために必要な装置は,温度及び湿度の規定条件を維持することができる補助

計装を備えた試験槽で構成する。凝縮水が供試体上に滴下することを防止するような準備をしておく。供

試体の周囲は,空気が自由に循環するようにし,また,供試体を支持する取付具の接触面積は,最小限に

とどめる。強制通気を用いるときは,その流れは,供試体の表面上で 1 m/s を超えないのがよい。

13.5

試験手順

13.5.1

無機塩溶液の調製  溶液の組成は,次のとおりとする。

正りん酸二水素カリウム 0.7 g

正りん酸一水素カリウム 0.7 g

硫酸マグネシウム 7 水塩 0.7 g

硫酸アンモニウム 1.0 g

塩化ナトリウム 0.005 g

硫酸第一鉄 7 水塩 0.002 g

硫酸亜鉛 7 水塩 0.002 g

硫酸マンガン 1 水塩 0.001 g

蒸留水 1 000 ml


55

W 0812

:2004

この無機塩溶液を,121  ℃で 20 分間,オートクレーブで殺菌する。殺菌後の pH が 6.0∼6.5 になるよう

に,水酸化ナトリウムの 0.01 規定液を加えて,塩溶液の pH を調製する。要求される試験に対して十分な

量の塩溶液を準備する。

13.5.1.1

  試薬の純度

  すべての試験に,試薬級の化学薬品を使用する。特に規定がない限り,試薬は,

公共の試薬規格があるものについては,すべてその規格に適合するのがよい。

13.5.1.2

  水の純度

  特に規定がない限り,水というときには,蒸留水又は同等の純度の水を意味するも

のとする。

13.5.2

混合胞子懸濁液の調製  次の試験用かびを使用する。

かびの種類

ATCC (

1

)

NLABS (

2

)

アスペルギルスニゲル

  (

3

)

(Aspergillus niger)

9642

386

アスペルギルスフラブス

  (

3

)

(Aspergillus flavus)

9643

380

アスペルギルスベルシコロル

  (

3

)

(Aspergillus versicolor)

11730

432

ペニシリウムフニクロスム(Penicillium funiculosum)

11797

474

ケトミウムグロボスム(Chaetomium globosum)

6205

459

注(

1

) American

Type

Culture

Collection,12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland,20852,U.S.A.

(

2

)  Pioneering Research Division,U.S.Army Natick Laboratories,Natick,Massachussetts,01760,

U.S.A.

(

3

)  このかびの菌種は,植物防疫法の規定によって,保存機関からの分譲が制限されているの

で,入手する際には,事前に農林水産省植物防疫所に届け出て許可を得ることが必要であ

る。

これらの培養かびは,じゃがいも−デキストロース−寒天のような適切な培地上に,

分離して保存する。

しかし,ケトミウムグロボスムの培養かびは,無機塩寒天の表面に置いたろ紙細片上で培養する(無機塩

寒天は,13.5.1 に規定する無機塩溶液と同じものであるが,1 L 当たり 15.0 g の寒天を余分に含む。

。貯蔵

培養かびは,6±4  ℃で 4 か月以内は保存してもよく,その時点で二次培養を行って,その二次培養物から

新しい貯蔵培養かびを選び出す。もし,遺伝学的又は生理学的変化が生じたときは,上述の規定に従って

新しい培養かびを入手する。

新しい貯蔵培養かび又は胞子懸濁液を調製するために用いる二次培養かびは,

30  ℃で 7∼10 日間培養する。5 種のかびの各々について,一つの二次培養物に,スルホこはく酸ジオクチ

ルナトリウム又は硫酸ラウリルナトリウムのような無毒性の潤滑剤を 1 L 当たり 0.05 g 含む殺菌溶液 10 ml

を注いで,それぞれの単一胞子懸濁液を調製する。殺菌した接種用の白金線又はニクロム線を用いて,試

験用かびの培養物から,表面に生育した胞子を静かにかきとる。45 ml の殺菌水及び直径 5 mm の中実のガ

ラス玉 10∼15 個を入れた 125 ml の殺菌した三角フラスコに,胞子のチャージを注ぎ入れて,ガラス栓を

する。フラスコを激しく振り動かして,結実体(fruiting body)から胞子を遊離させ,かつ胞子塊を分散さ

せる。この分散させたかび胞子懸濁液を,ガラス漏斗内に置いた 6 mm のガラスウール層を通してろ過し,

殺菌したフラスコに受ける。この処理によって,吹付け処理の障害となるおそれがある大きな菌糸片及び

寒天塊を取り除ける。ろ過した胞子懸濁液を無菌状態で遠心分離し,上澄み液を捨てる。その残分を 50 ml

の殺菌水に再び懸濁させ,遠心分離する。この方法で,各々のかびから得た胞子を 3 回洗浄する。最終洗

浄の残分を殺菌した無機塩溶液で薄めて,計数箱で測って 1 ml 当たり 1 000 000±200 000 の胞子数を含む

懸濁液を作る。試験に用いる各々のかびについて,この操作を繰り返した後,得た胞子懸濁液を等量ずつ

混合する。胞子懸濁液は,毎日新しく調製し,また 4 日間以内なら 6±4  ℃で保存してもよい。

13.5.3

接種かび生育能力の管理  固形化した無機塩寒天を入れて,その上に 2.54 cm 平方の殺菌したろ紙


56

W 0812

:2004

各 1 枚を置いた別個のペトリ皿 3 個を,毎日の各試験グループとともに置く。殺菌した噴霧器(

1

)から,こ

のろ紙上に,

小滴の合体が始まるまで胞子懸濁液を吹付けて接種する。

これらを温度 30  ℃,

相対湿度 85  %

以上で,7 日間培養した後,検査する。3 枚のろ紙の管理試料のすべてに,かびが豊富に発育していなけれ

ばならない。このような発育がないときには,試験をやり直す必要がある。

注(

1

)  噴霧器は,1 cm

2

当たり 15 000±3 000 の胞子数を供給する能力があるものを使用する。

13.5.4

管理品  接種かび生育能力の管理のほかに,培養槽内にかびの発育を助長する適正な条件が存在す

ることを保証するため,供試体と同時にかびを発生しやすいことが知られている素地にも接種する。この

管理品は,

幅 32 mm の木綿ズック布 234 g の短冊片を,

グリセリン 10  %,

正りん酸二水素カリウム 0.1  %,

硝酸アンモニウム 0.1  %,硫酸マグネシウム 0.025  %及び酵母エキス 0.05  %を含む溶液(pH 5.3)に浸し

た後,余分な液を取り除いたもので構成する。この短冊片は,接種して試験槽に入れる前に,つり下げて

空気乾燥をさせるとよい。

13.5.5

供試体及び管理品への接種

a.

供試体及び管理品を適切な取付具に取り付けるか,又はつるし具につり下げる。

b.

試験槽及びその内容物を,温度 30  ℃,相対湿度 97±2  %で,少なくとも 4 時間,事前調質する。

c.

事前に殺菌した噴霧器から,細かい霧状にした混合胞子懸濁液(

13.5.2

)を供試体及び管理品に吹き

付けて接種する。供試体及び管理品に吹き付ける際には,全表面に行き渡るように注意するとよい。

表面が湿っていないときには,小滴の合体が始まるまで吹き付ける。接種後直ちに培養を開始する。

13.5.6

培養

a.

試験期間中,試験槽は,温度 30  ℃,相対湿度 97±2%(最小)に保持する。検査中又は他の供試体を

追加するときを除き,試験槽は,培養期間中閉めたままにしておく。

b.

7 日後に,管理品上の発育状態を検査して,環境条件が発育に適していることを確認する。もし,検

査の結果,環境条件が発育に適していないことが判明したときには,全試験を繰り返す。

c.

もし,管理品にかびの十分な発育が認められるときには,接種時から 28 日間,又は機器仕様書で規定

する期間,試験を継続する。

13.5.7

検査  培養期間の終わりに,機器を直ちに検査する。可能な場合には,機器を試験槽の中で検査す

る。検査が 8 時間以内に終了しない場合には,機器を湿潤環境に最低 12 時間戻しておく。ハーメチックシ

ールした機器以外は,機器のきょう(筐)体を開き,内外に劣化の兆候がないかどうかを検査する。次いで,

機器を試験して,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

13.5.8

予防措置  この試験用に規定するかびは,通常,人が取り扱う上で重大な危険があるとはみなされ

ない。人によっては,かびの中の一つにアレルギーを示すことがあり,このため,試験実施時に,注意す

るのは賢明である。手を保護するため,外科用手袋を着けてもよく,また,皮膚の他の部分又は衣服に懸

濁液をはねかけないように,注意するのがよい。

試験槽内での培養期間中に,

思いがけない侵入物として存在する異物の胞子が発育することもあり得る。

ある試験場所にもとから存在するこれらのかびは,人体系に有害なことがある。このため,暴露後の試験

片は,危険となる可能性もあるので,注意して取り扱うのがよい。

もし,暴露試験片上に何らかの危険な異物の胞子が存在するときに最も危険なことは,小粒子が浮遊し

て,肺の中に運ばれることである。これは,試験片が乾燥してしまった後だけに,起こりやすい。もし,

試験片を試験槽から,乾燥しないうちに,速やかに正規の化学的換気フードに運べば,空気の流れが操作

員に届かず,遊離した破片は鼻孔に入ることができない。

発育したかびの遊離した部分は,非常に小さいのでガーゼのマスクを着けても防護できず,極微粒子用


57

W 0812

:2004

の特殊防毒マスクだけが有効である。ただし,前記の換気フードの使用は,この試験を実施するときには,

適切な予防措置とみなされる。

試験場所にこのような有害なかびがあるときは,試験槽内にそれの極微量が残ることがあり,これを洗

浄しているときに,同様の危険を与えることがある。好ましい洗浄処理法である高温蒸気は,試験槽を完

全に無害にする。しかし,酸化プロピレンを用いてくん蒸を行うときには,洗浄前にくん蒸することで,

試験槽から洗い落としたすべての残留物が,完全に無害になっていることを保証できることに注目する。 


58

W 0812

:2004

14.0

塩水噴霧

14.1

試験の目的  この試験は,通常の運転中に経験するように塩分を含む大気又は塩水噴霧に機器が長

期間さらされたときに,機器が受ける影響を確認するためのものである。

予想される主な悪影響は,次のとおりである。

a.

金属の腐食

b.

塩の付着に起因する可動部品の固着又は拘束

c.

絶縁不良

d.

接触子及び裸電線の損傷

備考  塩水噴霧試験は,かび抵抗性試験の後に行う(3.2  試験順序による。)。

14.2

機器のカテゴリ

カテゴリ S  航空機の通常の運用中,塩分を含む大気にさらされる場所に装備する機器は,カテゴリ S

として識別し,塩水噴霧試験を適用する。

14.3

装置  塩水噴霧試験に使用する装置は,次のものを含む。

a.

  供試体を支持するための棚を備えた暴露試験槽

b.

  溶液を適切な水位に維持する装置を備えた塩溶液貯槽

c.

  適切なノズル及び圧縮空気供給部を備えた塩溶液噴霧装置

d.

  槽を加熱し,槽内温度を制御する装置

e.

  槽内温度より高い温度で空気を加湿する装置

14.3.1

試験槽  試験槽及びすべての附属品,例えば,ガラス,硬質ゴム,プラスチック,合板以外の炉乾

燥木材などは,塩霧の腐食性に影響を与えない材料で作られているものを使用する。さらに,供試体と接

触するすべての部品は,電解腐食を起こさない材料で作る。試験槽及び附属品は,供試体に直接塩霧が当

たったり,凝縮液が滴下したりすることがなく,また,塩霧がすべての供試体の周りに同じ程度に自由に

循環し,更に,供試体に接触した液が塩溶液貯槽に戻らないような構造及び配置にする。試験槽は,圧力

の上昇を防止するため及び塩霧を均一に分布させるため,適正に通気する。通気の吐出口は,試験槽内に

強い空気の流れが生じないように,強い風から保護する。

14.3.2

噴霧器  噴霧器は,微細粒の湿った濃い霧を作り出すように,設計し,製作する。噴霧ノズルは,

塩水と反応しない材料で作る。

14.3.3

供給空気  噴霧器に入る圧縮空気は,本質的に,油及びほこりのようなすべての不純物を含まない

ようにする。操作条件を満足させるため,必要に応じて,圧縮空気を加湿し温める手段を備える。空気圧

力は,使用する噴霧器によって微細粒の濃い霧を作り出すのに適するものとする。塩の付着によって噴霧

器が詰まらないように,空気は,ノズルを出た点で相対湿度が少なくとも 85  %であるのがよい。満足な

方法としては,自動的に一定水位を保つ温水を入れた塔の中を,空気を極めて細かい泡にして通過させる

ことである。水の温度は,少なくとも 35  ℃とするとよい。水の許容温度は,空気の体積が大きいほど,

また,槽及び槽周囲の保温性が低いほど高くなる。しかし,水の温度は,槽内に過剰水分が入る値(例え

ば,気圧 84 kPa で 43  ℃)

,又は操作温度の要求事項を満足させることができなくなる値を超えないのがよ

い。

14.3.4

塩溶液の調製  塩は,乾燥状態でよう化ナトリウム 0.1  %以下,及び不純物の全量 0.5  %以下を含

む塩化ナトリウムとする。特に規定がない限り,質量比で 5 の塩を 95 の蒸留水又は純水に溶解して,

(5

±1)%の溶液を調製する。溶液は,その測定温度及び塩溶液密度を用いて,

図 14.1 に示す限界内の比重

に調製し,維持する。


59

W 0812

:2004

14.3.4.1  pH

の調製  塩溶液の pH は,35  ℃で噴霧して

14.3.6.3

に規定する方法で採取した溶液が,pH6.5

∼7.2 の範囲に収まるように,維持する。pH 値を調

するには,化学的に純粋な,希塩酸又は水酸化ナト

リウムだけを使用する。pH の測定は,飽和塩化カリウムのブリッジがあるガラス電極を用いて電位差計的

方法で行うか,又は電位差計的方法と同等の結果が得られるならば,プロモチモールブルーを用いるよう

な比色法,その他の計測器によって行う。pH は,新しい溶液のバッチを調製するたびに,

14.3.6.4

に規定

するとおりに測定する。

14.3.5

フィルタ  図 14.2 に示すものと類似の非腐食性材料製のフィルタを,供給管路に設置して,図 14.2

に示すように,塩溶液貯槽内に浸せきする。

14.3.6

試験手順

14.3.6.1

  温度  試験は,暴露領域内の温度を 35  ℃に保って実施する。温度を正確に制御する満足な方法

は,適正に制御した恒温室内に装置を収容するか,装置を十分に断熱した上で,空気を噴霧前に適正温度

に予熱するか,又は装置をジャケットで包んでそのジャケット内で用いる水又は空気の温度を制御する方

法である。暴露領域内の温度を維持する目的で,槽内で浸せき形ヒータを用いることは禁止する。

14.3.6.2

  噴霧  適切な噴霧は,容積が 0.34 m

3

未満の槽内では,次の条件で得られる。

a.

  ノズル圧力は,所要の割合で霧が作り出せる範囲内で,できる限り低くする。

b.

  オリフィスの直径は,0.5∼0.8 mm とする。

c.

  噴霧量は,槽内容積 0.28 m

3

に対し,24 時間当たり塩溶液約 3 L とする。容積が 0.34 m

3

を大幅に超え

る大形の槽を使用するときは,上記の規定条件は,操作条件の要求事項を満足するように修正を必要

とすることもある。

14.3.6.3  

塩霧採取容器の設置  暴露領域内のすべての部分で維持される塩霧の状態は,暴露領域内の任意

の点に置いた正常な塩霧採取容器に,少なくとも 16 時間の平均的な試験に基づいて,水平採取面積 80 cm

2

(直径 10 cm)ごとに,1 時間当たり 0.5∼3 ml の塩溶液が採取されるものとする。最小限 2 個の採取容器

を使用し,その 1 個は機器の周囲のノズルに最も近い所に置き,他の 1 個は機器の周囲のノズルから最も

遠い所に置く。採取容器は,供試体によって遮へいされず,また,供試体又は他の滴下源からの溶液の滴

下がないような位置に置く。

14.3.6.4  

塩溶液の測定

14.3.6.3

に規定する方法で採取した溶液は,

35  ℃の温度で測定したときに,

14.3.4

に規定する塩化ナトリウム含量及び pH 値を保持する。規定する測定に必要な量を供給するため,使用し

たすべての採取容器の塩溶液を加え合わせることができる。

14.3.6.4.1

  塩化ナトリウム含量の測定  溶液は,規定温度に維持して,内径約 2.5 cm のメスシリンダ内で

測定することができる。この容積以内での測定に対しては,小さな実験用浮きばかりを必要とする。

14.3.6.4.2

  pH の測定  pH は,

14.3.4.1

に規定するとおりに測定する。

14.3.6.4.3

  測定時期  塩化ナトリウム含量及び pH の両者の測定は,次の時期に行う。

a.

連続使用する塩霧槽については,毎回の試験に引き続いて,測定を行う。

b.

たまに使用する塩霧槽については,24 時間の試運転に引き続いて測定を行う。この試運転では,供試

体をさらしてはならない。

14.3.6.5  

供試体の準備  供試体は,特に試験有効面については,取扱いを最小限にとどめ,また,試験準

備は暴露直前に行う。特に規定がない限り,被覆しない金属製又は金属被覆を施した供試体は,表面に水

切れがなくなるまで,必要に応じて,油,ごみ及びグリースを十分に除去して清浄にする。この清浄化の

方法は,腐食性若しくは保護性の皮膜の使用又は純粋な酸化マグネシウムのペースト以外の研磨材の使用

はしない。有機被覆を施した供試体は,溶剤で清浄にしない。支持具に接触する供試体の部分,並びに被


60

W 0812

:2004

覆された供試体又は試料で特に規定がない限り,切断した切口及び被覆を要求されていない表面は,ワッ

クス又は湿気を通さない類似の物質で適切な被覆を施して,保護する。

14.3.6.6

  試験の実施  供試体は,48 時間以上又は機器仕様書で規定する期間,試験槽内に置いて,塩霧

にさらす。次いで,供試体を 48 時間以上又は機器仕様書に規定する期間,周囲大気中で貯蔵して乾燥させ

る。乾燥期間の終わりに,供試体を作動させて,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

供試体は,その後,腐食についても検査する。もし,必要ならば,28  ℃以下の流水中で軽く洗浄しても

よい。いかなる腐食も,機器の適正な機能に与える直接の又は遠因となる影響を分析する。 


61

W 0812

:2004

 14.1  塩溶液比重の温度による変化

 14.2  塩溶液フィルタの位置


62

W 0812

:2004

15.0

磁気影響

15.1

試験の目的  この試験は,装備技術者が航空機内における機器の適正な配置を選定するために,機

器の磁気影響を確認するためのものである。

15.2

試験の説明  機器の磁気影響は,水平磁力 14.4 A/m±10  %の均一な磁場(地磁気)内で,自由磁針

の回転軸を通る東西方向線上に供試体を置いたとき,自由指針(例えば,無補償コンパス)の角度変位に

よって確認する。

備考1.  試験場における地球磁場の水平成分が上記の許容値内にあるときには,15.3 で機器のクラス

を決定するのに用いる角度変位は,1  °(Dc=1)とする。

2.

試験場における地球磁場の水平成分が上記の許容値を超えるときには,15.3 で機器のクラス

を決定するのに用いる角変位は,次の式を用いる。

成分

周囲磁界の強さの水平

4

.

14

Dc

=

ここに,Dc:機器のクラスを決めるのに用いる等価変位角

15.3

試験手順  機器を定常状態最大磁針変位を生じるモードで作動させ,また,最大磁針変位を生じる

向きにして,Dc の変位角を生じるときの磁針回転軸と機器の最も近い部分との間の距離を測定する。

機器のクラス

Dc の変位を生じるときの距離

Z

0.3 m 未満

A

0.3∼1.0 m

B

1.0∼3.0 m

C

3.0 m を超えるもの

備考  距離を正確に決定するため,機器と磁針とを互いに近づけ,次いで遠ざけ,その間に Dc の変

位角を生じる距離の測定値を記録する。

測定した最短距離を用いて,機器のクラスを決定する。


63

W 0812

:2004

16.0

入力電源

16.1

試験の目的  この試験は,交流及び直流電源を用いる機器が,入力電源の変動に対して適切に作動

するかどうかを確認するためのものである。機器の端子への入力の影響を調べるための試験の条件及び手

順を規定する。

この試験は,次の電源に対して行う。

−  14 Vdc 及び 28 Vdc

−  公称周波数 400 Hz 又は 400 Hz を含みそれを超える可変周波数範囲の,115 Vrms 交流及び 230

Vrms 交流

これ以外の電源を用いる機器のカテゴリ及び周波数区分,試験条件並びに試験手順は,適用する機器性

能規格に規定しなければならない。

16.2

機器のカテゴリ  試験のための機器のカテゴリの呼称は,次のとおりとする。

カテゴリ:

−  交流機器用:A(CF)

,A(NF)又は A(WF)

−  直流機器用:A(CF)

,A(NF)

,A(WF)

,B 又は Z

交流機器には,後に次の文字を追加して,交流調波試験をする必要があるもの(H)か,否(X)か

を示す。

カテゴリ A(  )  一次電源を定周波数又は可変周波数交流系統から給電し,また,直流系統は変圧整

流器から給電する航空機電気系統に使用する機器は,カテゴリ A(  )として識別する。蓄電池は,直流

バスに浮動接続していてもよい。

A

CF)は,一次電源を定周波数(400 Hz)交流入力電源とする航空機電気系統に使用する交流及び直

流機器又はそのいずれかを指す。

A

NF)は,一次電源を狭い可変周波数(360∼650 Hz)交流入力電源とする航空機電気系統に使用する

交流及び直流機器又はそのいずれかを指す。

A

WF)は,一次電源を広い可変周波数(360∼800 Hz)交流入力電源とする航空機電気系統に使用す

る交流及び直流機器又はそのいずれかを指す。

カテゴリ B  電源をエンジン駆動の交流発電機-整流器又は十分な容量の蓄電池が常時直流バスに浮動

接続している直流発電機とし,航空機電気系統に使用する直流機器は,カテゴリ B として識別する。

カテゴリ Z  この規格が適用可能なその他すべての形式の航空機電気系統に使用することができる直流

機器は,カテゴリ Z として識別する。カテゴリ Z は,カテゴリ A(  )又はカテゴリ B の代わりに使用す

る機器である。このカテゴリの例は,可変回転速度の発電機から給電する直流系統用機器で,電源が次の

いずれかの条件に該当するものである。

a.

直流電源が,直流バスに浮動接続した蓄電池をもっていない。

b.

制御装置又は保護装置によって,蓄電池が直流バスから切り離されることがある。

c.

蓄電池の容量が,直流発電機の容量に比べて小さい。

交流調波試験を要するもの H  この呼称は,個別の最大消費電力が 35 VA より大きい機器又は(同タイ

プ機器の)多ユニットの合計消費電力が 150 VA より大きい機器に付ける。この機器に対して,16.6 の交

流調波試験を行わなければならない。

16.3

電気系統の非常作動  電気系統の非常作動とは,飛行中に,一次電源系統が十分な又は適正な電力

を供給できなくなり,電源の出力能力が限られている独立の非常電源を使用することが必要となった電気

系統の状態として定義する。


64

W 0812

:2004

16.4

入力電源の標準パラメータ(交流)  幾つかの電気的パラメータは,標準であって,16.0 の要求事

項全体に対して,公称限界値から外れることがないものとする。すべての試験は,次の標準パラメータを

用いて実施する。

注意  示したすべての電圧値は,115 Vac 機器用である。230 Vac の機器に対してはその電圧値を 2 倍

にする。

a.

相順  三相電源の各相の電圧は,互いに電気角度で 120  °変位し,これらをそれぞれ A,B 及び C と

すれば,この順序でそれぞれのピーク値に達する。

b.

相間変位  三つの各相の電圧波形上のゼロ電圧点間の相対変位量である。

相間変位は次の限度内にあるものとする。

−  A(CF)及び A(NF)機器:120±4 電気角度(electrical degrees)

−  A(WF)機器:120±6 電気角度

c.

相電圧の不平衡

c.1

  ACF)及び ANF)機器

電気系統の正常作動に対しては,航空機のすべての運用において,最高電圧の相と最低電圧の相との間

の相電圧の最大差は,

6 Vrms を超えないものとする。この差は,電源が非常電源系統であるとしても,8 Vrms

を超えないものとする。

c.2

  AWF)機器

電気系統の正常作動に対しては,航空機のすべての運用において,最高電圧の相と最低電圧の相との間

の相電圧の最大差は,8V rms を超えないものとする。この差は,電源が非常電源系統であるとしても,10

Vrms を超えないものとする。

d.

波形  波形は,波高率が 1.41

±

0.15 で,全調波成分が基本波の 8  %を超えず,かつ,個別の調波成分

が基本波の 6  %を超えないものとする。

e.

要求事項  16.5 の要求事項に適合することは,これらの標準条件下で適合することを意味している。

16.5

入力電源のパラメータの限界  次の細別箇条は,入力電源のこれらのパラメータ及び適用できると

きの関連試験条件を定量的に規定し,電気系統の正常作動に関係するもの及び異常作動に関係するものに

分けてある。

備考  使用する電源は,供試体が消費する最大電流を供給できるものが望ましい。

16.5.1

正常作動条件(交流)  次の条件及び試験は,カテゴリ A(  )の機器に適用する。

注意  示したすべての電圧値は,115 Vac 機器用である。230 Vac の機器に対してはその電圧値を 2 倍

にする。


65

W 0812

:2004

16.5.1.1

  電圧及び周波数(交流)

a.

  定義

機器のカテゴリ

A(CF)

A(NF)

A(WF)

最高相

122 Vrms

122 Vrms

122 Vrms

電圧

三相の平均

120.5 Vrms

120.5 Vrms

120.5 Vrms

正常時

410 Hz

650 Hz

800 Hz

最大値

周波数

非常時

440 Hz

650 Hz

800 Hz

最低相

100 Vrms

100 Vrms

100 Vrms

電圧

三相の平均

101.5 Vrms

101.5 Vrms

101.5 Vrms

正常時

390 Hz

360 Hz

360 Hz

最小値

周波数

非常時

360 Hz

360 Hz

360 Hz

備考1.  上記の電圧値は,機器端子での値である。

2.

交流ネットワークに関しては 
  −  公称電圧値は 115 Vrms

  −  公称周波数は 400 Hz[A(CF)カテゴリだけ]

b.

  ACF)カテゴリ機器に対する要求事項

b.1

  単相機器に対する要求事項

1) 機器の端子での電圧を 122 Vrms に,周波数を 410 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デューテ

ィサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認

する。

  同様に,端子での電圧を 100 Vrms,周波数 410 Hz にして機器を作動させ,適用機器性能規格に

適合していることを確認する。

2) 機器の端子での電圧を 100 Vrms に,周波数を 390 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デューテ

ィサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認

する。

  同様に,端子での電圧を 122 Vrms,周波数 390 Hz にして機器を作動させ,適用機器性能規格に

適合していることを確認する。

3) 電気系統の非常条件で作動することを指定された機器については,

a) 機器の端子での電圧を 100 Vrms に,周波数を 360 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デュ

ーティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合しているこ

とを確認する。同様に,端子での電圧を 122 Vrms,周波数 390 Hz にして機器を作動させ,適

用機器性能規格に適合していることを確認する。

b) 機器の端子での電圧を 122 Vrms に,周波数を 440 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デュ

ーティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合しているこ

とを確認する。同様に,端子での電圧を 100 Vrms,周波数 440 Hz にして機器を作動させ,適

用機器性能規格に適合していることを確認する。

b.2

三相機器に対する要求事項

1) 機器端子での平均電圧 120.5 Vrms,周波数 410 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デューティ

サイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認す

る。同様に,機器端子での平均電圧を 101.5 Vrms,周波数 410 Hz にして機器を作動させ,適用機

器性能規格に適合していることを確認する。

2) 機器端子での平均電圧を 101.5 Vrms,周波数を 390 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デュー


66

W 0812

:2004

ティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確

認する。同様に,機器端子での平均電圧を 120.5 Vrms,周波数を 390 Hz にして機器を作動させ,

適用機器性能規格に適合していることを確認する。

3) 電気系統を非常条件下で作動することを指定された機器については,

a) 機器端子での平均電圧を 101.5 Vrms,周波数を 360 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デュ

ーティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合しているこ

とを確認する。同様に,機器端子での平均電圧を 120.5 Vrms,周波数を 360 Hz にして機器を

作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

b) 機器端子での平均電圧を 120.5 Vrms,周波数を 440 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デュ

ーティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合しているこ

とを確認する。同様に,機器端子での平均電圧を 101.5 Vrms,周波数を 440 Hz にして機器を

作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

4) 三相電源で作動する機器については,一次電源を相間不平衡に調整して,各試験ごとに少なくと

も 30 分間,最大デューティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の期間中に,適用機器性能

規格に適合していることを確認する。

試験 1  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

122 122 116

周波数 410 Hz

試験 2  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

100 100 106

周波数 410 Hz

試験 3  試験 1 と同様。ただし周波数 390 Hz。

試験 4  試験 2 と同様。ただし周波数 390 Hz。

5) 三相電源で作動し,かつ電気系統を非常状態下で作動するよう示されている機器については,一

次電源を相間不均衡に調整して,各試験ごとに少なくとも 30 分間最大デューティサイクルで機器

を作動させる。

この 30 分の間に適用機器性能規格に適合していることを確認する。

試験 1  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

122 122 114

周波数 440 Hz

試験 2  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

100 100 108

周波数 440 Hz

試験 3  試験 1 と同様。ただし周波数 360 Hz。

試験 4  試験 2 と同様。ただし周波数 360 Hz。

c.

  ANF)カテゴリ機器に対する要求事項

c.1

  単相機器に対する要求事項

1) 機器端子での電圧を 122 Vrms,周波数を 650 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デューティサ


67

W 0812

:2004

イクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

同様に,650 Hz,100 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

2) 機器端子での電圧を 100 Vrms,周波数を 360 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デューティサ

イクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

同様に,360 Hz,122 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

c.2

  三相機器に対する要求事項

1) 機器端子での電圧を 120.5 Vrms,周波数を 650 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デューティ

サイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認す

る。同様に,650 Hz,101.5 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確

認する。

2) 機器端子での電圧を 101.5 Vrms,周波数を 360 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デューティ

サイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認す

る。同様に,360 Hz,120.5 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確

認する。

3) 三相電源で作動する機器については,一次電源を相間不均衡に調整して,各試験ごとに少なくと

も 30 分間,最大デューティサイクルで機器を作動させる。

  この 30 分の間に適用機器性能規格に適合していることを確認する。

試験 1  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

122 122 116

周波数 650 Hz

試験 2  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

100 100 106

周波数 650 Hz

試験 3  試験 1 と同様。ただし周波数 360 Hz。

試験 4  試験 2 と同様。ただし周波数 360 Hz。

4) 三相電源で作動し,かつ電気系統を非常状態下で作動するよう示されている機器については,一

次電源を相間不均衡に調整して,各試験ごとに,少なくとも 30 分間,最大デューティサイクルで

機器を作動させる。

  この 30 分の間に適用機器性能規格に適合していることを確認する。

試験 1  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

122 122 114

周波数 650 Hz

試験 2  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

100 100 108

周波数 650 Hz

試験 3  試験 1 と同様。ただし周波数 360 Hz。

試験 4  試験 2 と同様。ただし周波数 360 Hz。

d.

  AWF)カテゴリ機器に対する要求事項


68

W 0812

:2004

d.1

  単相機器に対する要求事項

1) 機器端子での電圧を 122 Vrms,周波数を 800 Hz にし,少なくとも 30 分間,最大デューティサイ

クルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

同様に,800 Hz,100 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

2) 機器端子での電圧を 100 Vrms,周波数を 360 Hz にし,少なくとも 30 分間,最大デューティサイ

クルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

同様に,360 Hz,122 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

d.2

  三相機器に対する要求事項

1) 機器端子での平均電圧を 120.5 Vrms,周波数を 800 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デュー

ティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確

認する。同様に,800 Hz,101.5 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していること

を確認する。

2) 機器端子での平均電圧を 101.5 Vrms,周波数を 360 Hz にして,少なくとも 30 分間,最大デュー

ティサイクルで機器を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確

認する。同様に,360 Hz,120.5 Vrms で機器を作動させ,適用機器性能規格に適合していること

を確認する。

3) 三相電源で作動する機器については,一次電源を相間不均衡に調整して,少なくとも 30 分間最大

デューティサイクルで機器を作動させる。

  この 30 分の間に適用機器性能規格に適合していることを確認する。

試験 1  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

122 122 114

周波数 800 Hz

試験 2  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

100 100 108

周波数 800 Hz

試験 3  試験 1 と同様。ただし周波数 360 Hz。

試験 4  試験 2 と同様。ただし周波数 360 Hz。

4) 三相電源で作動し,かつ電気系統を非常状態下で作動するよう示されている機器については,一

次電源を相間不均衡に調整して,少なくとも 30 分間,最大デューティサイクルで機器を作動させ

る。

  この 30 分の間に適用機器性能規格に適合していることを確認する。

試験 1  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

122 122 112

周波数 800 Hz

試験 2  機器端子にかける周波数及び電圧値

相 A

B

C

電圧(Vrms)

100 100 110

周波数 800 Hz

試験 3  試験 1 と同様。ただし周波数 360 Hz。


69

W 0812

:2004

試験 4  試験 2 と同様。ただし周波数 360 Hz。

16.5.1.2

  電圧変調(交流)

a.

定義  電圧変調とは,電気系統の定常作動の間に起こり得る,電圧調整変動及び回転速度変動によっ

て,交流ピーク電圧値の平均レベル近辺に生じる周期的変動若しくは不規則変動,又はその両者をい

う。電圧変調は,少なくとも 2 分間に,変調包絡線上で達する電圧の最小値と最大値との間の山と谷

との高さの差が最大 3.5 V であるもの,又は機器仕様書に示すとおりのものとする。

  電圧変調包絡線波形の周波数成分は,

図 16.1 の限界を超えないものとする。

b.

要求事項  機器は,この条件下にあるとき,適用機器性能規格の規定範囲内で作動しなければならな

い。どのような試験要求事項も,適用するときには,個別機器性能規格に規定する。

16.5.1.3

  周波数変調(交流)

a.

定義  周波数変調とは,電気系統の定常作動の間に,平均周波数近辺の瞬間周波数の周期的変動若し

くは不規則変動又はその両者をいう。周波数変調は,通常狭い周波数限界内にあり,発電機カプリン

グ及び駆動回転速度調整又はいずれかの回転速度変動によって起こる。任意の 2 分の間又は機器仕様

書に規定するとおりの周波数変調による一次系統周波数の変動は,

図 16.2 によって規定する平均周波

数近辺の帯域内にあるものとする。

b.

要求事項  機器は,この条件下にあるとき,適用機器性能規格の規定範囲内で作動しなければならな

い。この試験は,適用する機器性能規格で規定されない限り,400 Hz の平均周波数で行う。

16.5.1.4

  電源瞬断(交流)

a. 

定義  電源の切換え時に生じることがある 200 ms 以下の電源の中断。

b.

ディジタル回路をもつ機器に対する要求事項

すべての交流機器にも適用可能)

  この試験は,遅

延回路をもつ機器を含む,ディジタル回路及び記憶回路又はこのいずれかを備えた機器だけに適用す

る。

  この種の機器は,性能異常を生じる可能性がある電源瞬断に敏感である。このような電源の過渡中

断は,定常過電圧とゼロとの間の任意の値の過渡電圧 V

1

と,0∼200 ms 間の任意の値の過渡時間 T

1

との組合せによる事象として生じるものである。このような組合せは多数にあるので,この試験手順

では,機器の性能を確認するのに効果的とみなす離散値を選ぶ。

試験手順  機器を,全出力作動状態にする。

公称の電圧を,各試験状態に先立って加える。

周波数に関して:

―A(CF)カテゴリ機器:

    各試験状態に先立って公称周波数をかける。

―A(NF)及び A(WF)カテゴリ機器:

    まず,各試験状態に先立って 360 Hz   Hz をかけて試験を行う。

    続いて,各試験状態の前に,

      ―A(NF)カテゴリ機器:650 Hz   Hz

      ―A(WF)カテゴリ機器:800 Hz   Hz をかけて,すべての試験を再実施する。

手動又は自動にかかわらず,データを入力し,すべての関連表示器は,各試験状態に先立って機

能させる。

機器の各作動モードで,

表 16.1A の各試験条件にて,少なくとも

2

回実施する。

なお,連続した二つの試験は,約

1

秒の間を置かなければならない。試験実施中及び試験実施後

0

−5

0

−5

0

−5


70

W 0812

:2004

の両方で,機器(並列で正常に作動するすべての機器・系統を含む。

)の性能を確認する。

試験後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  試験実施中の機器の性能に関する要求事項はすべて,機器性能規格に規定する。

c.

その他の機器に対する要求事項

すべての交流機器にも適用可能)

  この試験は,16.5.1.4b に規定

するディジタル回路及び記憶回路又はこのいずれかを備えていないすべての機器に適用する。

試験手順  設計電圧及び公称周波数で作動する機器について,電源を 50 ms の期間中断する。この手

順を少なくとも 5 回実施する。次に電源を 200 ms の期間中断する。この手順を少なくとも

5 回実施する。適用機器性能規格に適合していることを確認する。個別仕様書で許容され

ているときには,手動又は自動で設定してよい。二つの連続した電源の中断の間隔は,約

1 秒間とする。

d.

追加要求事項[ANF)及び AWF)カテゴリ機器だけ]

機器は全出力作動可能なものでなければならない。

各試験状態に先立って公称電圧をかけておく。

機器の作動モードごとに,

表 16.1B の試験条件を最低 2 回適用する。

連続した二つの試験は,約 1 秒の間隔をおいて実施する。

試験実施中及び試験実施後の両方で,機器(並列で正常に作動するすべての機器・系統を含む。

)の

性能を確認する。

試験後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  試験中の機器の性能に対するいかなる要求事項も機器の性能規格に規定する。

16.5.1.5

  通常の電圧サージ(交流)

16.5.1.5.1

  通常の電圧サージ

a

定義  通常の電圧サージとは,制御した定常状態のレベルからの変動であって,負荷の切換え及び電

圧調整器の修正作動のような系統の正常作動によって加えられる外乱に応答して,電源系統が行う固

有の調整によって発生する。

b.

要求事項

1) 機器の端子に 115 Vrms±1 Vrms の電圧をかけ,機器を 5 分間作動させる。続いて,次に示す電圧

変化を 3 回繰り返す。

  電圧を次の値まで上げる:

    ―A(CF)及び A(NF)カテゴリ機器:160 Vrms±2 Vrms を 30 ms 間

    ―A(WF)カテゴリ機器:170 Vrms±2 Vrms を 30 ms 間

  電圧を 5 秒間 115 Vrms±1 Vrms に戻す。

  電圧を 30 ms 間 70 Vrms±1 Vrms に下げる。電圧を 5 秒間 115 Vrms±1 Vrms に戻す。

2) 電源周波数を次のとおりにする。

―A(CF)カテゴリ機器:400 Hz±5 Hz

―A(NF)カテゴリ機器:はじめに 360 Hz   Hz で作動することを試験し,その後 650 Hz

   Hz に戻す。

―A(WF)カテゴリ機器:はじめに 360 Hz   Hz で作動することを試験し,その後 800 Hz

   Hz に戻す。

電圧サージは,

図 16.3 に示すものと同様の方法で印加し,確認する。

3) 電気系統の正常サージの間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

+5

0

0

−5

0

−5

+5

0


71

W 0812

:2004

備考  機器性能規格で特に記述がない限り,機器は,サージの間,性能が低下してもよい。定格

の電圧及び周波数に戻ったときには,規定する性能を満足することを確認する。

4) 電圧サージを加えた後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  機器性能規格で,

16.5.3.3.1

の異常サージ電圧試験中及び

16.5.3.2

の瞬間過小電圧試験中に

性能を満足することを要求しているときには,上記の試験を実施する必要はない。

16.5.1.5.2

  正常周波数過渡状態[カテゴリ ACF)機器だけ]

a.

定義  通常起こる過渡状態とは,制御した定常状態のレベルからの瞬間的な変動であって,エンジン

スピードの変化及び調整装置による修正作動のような,系統の正常作動によって加えられる外乱に応

答して,電源系統が行う固有の調整によって発生する。

b.

要求事項

1) 機器の端子に 115 Vrms±1 Vrms の電圧及び周波数 400 Hz±5 Hz をかけて 5 分間作動させる。次い

で,次に示すような周波数変化を 3 回繰り返す。

  周波数を 150 ms 間 440 Hz±5 Hz に上昇させる。その後,周波数を 1.5 秒間 420 Hz に下げる。5

秒間,周波数を 400 Hz±5 Hz に戻す。

  周波数を 150 ms 間 350 Hz±5 Hz に下げる。その後,周波数を 1.5 秒間 380 Hz に上げる。5 秒間,

周波数を 400 Hz±5 Hz に戻す。

2) 正常周波数過渡の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  機器性能規格に示されていない限り,機器は過渡状態において性能を下げることがあって

も,公称電圧及び周波数に戻ったときに,規定された性能を満足させなければならない。

3) 周波数過渡を適用後に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  機器の性能規格によって,16.5.3.3.2 の異常過渡周波数が続く間も,性能が満たされるよう

に要求されている場合には,上記の試験を行う必要はない。

16.5.1.6

  正常周波数変化[カテゴリ ANF)及び AWF)の機器だけ]

a.

定義  機器性能規格に別の方法が規定されていなければ,飛行機の離陸及び一連のエンジンの停止手

順中の,特にエンジン速度の速い変化の結果として,正常作動状態において生じ得る,毎秒 200 Hz

までの周波数変化。

b.

要求事項

1) 機器の端子に 115 Vrms±1 Vrms の電圧をかけ,360 Hz   Hz の周波数で機器を 5 分間作動する。

続いて,次に示す周波数変化を 3 回繰り返す。

周波数を 100 Hz/s の一定の変化率で次の周波数まで上げる。

  ―A(NF)カテゴリ機器:650 Hz   Hz

  ―A(WF)カテゴリ機器:800 Hz   Hz

その後,200 Hz/s の変化率で周波数を 360 Hz   Hz まで戻し,周波数を 360 Hz   Hz に 5 秒間

維持する。

2) 正常周波数変化の適用中に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  適用機器性能規格に示されていない限り,機器性能は正常周波数変化中に低下することが

あってはならない。

16.5.2

正常作動条件(直流)  次の条件及び試験は,カテゴリ A(  ),カテゴリ B 及びカテゴリ Z の機

器に適用する。

注意  示してあるすべての電圧値は,28 V 直流機器用のものである。14 V 直流機器用には,これを

+5

0

+5

0

+5

0

0

−5

0

−5


72

W 0812

:2004

1/2 倍する。

16.5.2.1

  電圧(平均値,直流)

a.

  定義

電圧

(機器の端子)

全カテゴリ

最大 30. V

最小 22. V

非常作動 18. V

備考  定格直流ネットワーク電圧は,次のとおりとする。

―カテゴリ A(  )及びカテゴリ Z 機器:28 V

―カテゴリ B 機器:28 V 又は 14 V

b.

  要求事項

1) 端子での電圧を該当する最大電圧に調整し,少なくとも 30 分間,最大デューティサイクルで機器

を作動させる。この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。正常及び異

常状態の両方を満足させるために,異常電圧で試験を実施してもよい。

2) 機器を少なくとも 1 分間,端子に公称電圧をかけて作動させる,次いで,端子での電圧を該当す

る最小電圧に調整し,少なくとも 30 分間,最大デューティサイクルで機器を作動させる。

  この

30

分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。正常及び異常状態の両方

を満足させるために,異常電圧で試験を実施してもよい。

3) 電気系統の非常条件で作動するように指定した機器については,機器端子での電圧を該当する非

常電圧に調整し,少なくとも 30 分間,最大デューティサイクルで機器を作動させる。

  この 30 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

16.5.2.2

  リプル電圧(直流)

a.

定義及びリプル最大レベル  リプルとは,定常状態の直流電気系統の作動中に生じる,直流電圧の平

均レベルからの周期的変化である。周期のピークからピークまでの直流リプル電圧は,機器端子の電

圧が 22 V 以上の場合には 4 V 未満とし,そうでない場合には,2 V 未満とする。

b.

リプル周波数要素に関する要求事項  18.3.1 を参照。

16.5.2.3

  電源瞬断(直流)

a.

定義  電源の切換えによって生じ得る,カテゴリ A(  )の機器に対しては 200 ms 以下,カテゴリ B

の機器に対しては 50 ms 以下,及びカテゴリ Z の機器に対しては 1.0 秒以下の任意の期間の電源の中

断。

b.

ディジタル回路をもつ機器に対する要求事項  遅延回路をもつ機器を含む,ディジタル回路及び記憶

装置又はこのいずれかを備えた機器に対しては,16.5.1.4b に規定する試験を行う。

c.

その他の機器に対する要求事項  この試験は,ディジタル回路及び/又は記憶装置を備えていないすべ

ての機器に適用する。

試験手順  機器をその設計電圧で作動させ,少なくとも 5 回,電源を中断する。機器のカテゴリにか

かわらずそれぞれの中断期間を 50 ms とする。この手順を,カテゴリ A(  )の機器に対

しては中断期間を 200 ms,

カテゴリ Z の機器に対しては中断期間を 1.0 秒として実施する。

二つの連続した電源中断の間隔は,約

1

秒とする。

適用機器性能規格に適合していることを確認する。個別仕様書で許容されているときには,


73

W 0812

:2004

手動で設定してもよい。

16.5.2.4

  通常の電圧サージ(直流)

a.

定義  通常の電圧サージとは,制御した定常状態レベルからの変動をいう。負荷の切換え及び電圧調

整器の修正作動のような,系統の正常作動によって加えられる外乱に応答して,電源系統が行う固有

の調整から生じる。

b.

要求事項

1) 機器の端子に 28±0.5 Vdc の電圧をかけ 5 分間作動させ,次いで,次に示す電圧変化を 3 回繰り返

す。

  カテゴリ A(  )及びカテゴリ B の機器に対しては,5 ms の間電圧を 47±0.5 Vdc に上げ,そ

の後,30 ms 間 40±0.5 Vdc に下げる。カテゴリ Z の機器に対しては,50 ms 間 50±0.5 Vdc に増

加させる。5 秒間 28±0.5 Vdc に戻す。電圧レベルを次のレベルに変える所要の時間は,1 ms 以内

がよい。

  カテゴリ A(  )及びカテゴリ B の機器に対しては,30 ms 間電圧を 17±0.5 Vdc に,カテゴリ

Z の機器に対しては,30 ms 間 12±0.5 Vdc に下げる。5 秒間 28±0.5 Vdc に戻す。電圧レベルは,
1 ms 以内に変化させるのがよい。

2) 電圧サージは,

図 16.4 に示すのと同様の方法で加え,確認するとよい(これらの電圧値は,定格

14.0 Vdc 機器に対しては規定した値の 1/2 とする。)。

3) 電気系統の正常サージの間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  個別機器性能規格で特に記述がない限り,機器は,サージの間,性能が低下してもよいが,

公称電圧に戻ったときには,規定する性能を満足しなければならない。

4) 電圧サージを加えた後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  もし,機器性能規格で,16.5.4.4 の異常サージ電圧試験及び 16.5.4.3 の瞬間過小電圧試験の

間に性能を満足することが要求されているときは,上に規定した試験を実施する必要はな

い。

16.5.2.5

  エンジン始動中の過小電圧作動(直流)

a.

定義  この要求事項は,カテゴリ

Z

及び 28 V カテゴリ B の機器に適用する。エンジン始動中に発生

することがある,35 秒までの任意の期間又は機器仕様書で示す期間に起こる 10.0∼20.5 Vdc の範囲内

の瞬間電圧低下。

b.

要求事項  機器に定格電圧で通電後,入力電圧を 10.0 Vdc に減少させ,次いで毎秒 0.30 V の割合で

35 秒間電圧を増加した後,定格電圧又は機器の仕様書に示された電圧に戻す。この期間中に機器の性

能が,機器仕様書に定めたレベルに低下することもあり得る。電圧を定格値に戻して,適用機器性能

規格に適合していることを確認する。

16.5.3

異常条件下作動試験(交流)  次の条件及び試験は,すべての交流機器に適用できる。

注意  示したすべての電圧の値は 115 Vac 機器に適用される。230 Vac 機器にはこれを 2 倍にしたもの

とする。


74

W 0812

:2004

16.5.3.1

  定常状態における異常電圧及び周波数の限界(交流)

a.

  定義

機器のカテゴリ

A(CF)

A(NF)

A(WF)

最高相

134 Vrms

134 Vrms

134 Vrms

電圧

3 相の平均

132.5 Vrms

132.5 Vrms

132.5 Vrms

最大値

周波数

430

Hz

N/A

N/A

最低相

97 Vrms

97 Vrms

97 Vrms

電圧

3 相の平均

98.5 Vrms

98.5 Vrms

98.5 Vrms

最小値

周波数

370

Hz

N/A

N/A

備考  上に示した電圧は,機器の端子での値である。

次の電源の周波数を,次に示す

b.

及び

c.

に含まれる要求事項に適用する。

―A(CF)カテゴリ機器:400 Hz

―A(NF)カテゴリ機器:はじめに 360 Hz,次いで 650 Hz で試験を行う。

―A(WF)カテゴリ機器:はじめに 360 Hz,次いで 800 Hz で試験を行う。

b.

  単相機器に対する要求事項

1) 機器端子での電圧を 134 Vrms にし,少なくとも 5 分間,機器を作動させる。機器に通電したまま,

この電圧を 115 Vrms に下げて,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

2) 機器端子での電圧を 97 Vrms に調整し,少なくとも 5 分間,機器を作動させる。機器に通電した

まま,この電圧を 115 Vrms に増加させて,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  異常電圧を加えている間の機器の性能に対する要求事項は,すべて,機器性能規格に規定す

る。

c.

  三相機器に対する要求事項

1) 機器端子での平均電圧を 132.5 Vrms にし,少なくとも 5 分間,機器を作動させる。機器に通電し

たまま,この電圧を 115 Vrms に減少させて,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

2) 機器端子での平均電圧を 98.5 Vrms に調整し,少なくとも 5 分間,機器を作動させる。機器に通電

したまま,

この電圧を 115 Vrms に増加させて,

適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  異常電圧を加えている間の機器の性能に関する要求事項は,すべて,適用機器性能規格に規

定する。

3) 三相電源によって作動する機器については,試験ごとに,一次電源を相間不均衡に調整して,少

なくとも 5 分間,最大デューティサイクルで機器を作動させる。各試験の終わりに機器に通電し

たまま,機器の端子の平均電圧を 115 Vrms にし,適用機器性能規格に適合していることを確認す

る。

試験 1  機器の端子に次の電圧をかける。

相 A

B

C

A(CF)及び A(NF)カテゴリ

134 134 128

電圧

(rms)

A(WF)カテゴリ

134 134 126

試験 2  機器の端子に次の電圧をかける。

相 A

B

C

A(CF)及び A(NF)カテゴリ

97 97 103

電圧

(rms)

A(WF)カテゴリ 97

97

105

備考  異常電圧適用中の機器性能に対するいかなる要求事項も,機器性能規格に規定する。


75

W 0812

:2004

d.

  単相機器に対する追加要求事項[カテゴリ ACF)機器だけ]

1) 機器の端子に 122 Vrms に調整した電圧をかけ,周波数 430 Hz で少なくとも 5 分間機器を作動さ

せる。この 5 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。同様に,122 Vrms 及

び 370 Hz で,機器を作動させ適用機器性能規格に適合していることを確認する。

2) 機器の端子に 100 Vrms に調整した電圧をかけ,周波数 430 Hz で少なくとも 5 分間機器を作動さ

せる。この 5 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。同様に,100 Vrms 及

び 370 Hz で,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  異常周波数適用中の機器性能に対するいかなる要求事項も,機器性能規格に規定する。

e.

  三相機器に対する追加要求事項[カテゴリ ACF)機器だけ]

1) 機器の端子に 120.5 Vrms に調整した平均電圧をかけ,周波数 430 Hz で少なくとも 5 分間機器を作

動させる。この 5 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。同様に,120.5 Vrms

及び 370 Hz で,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

2) 機器の端子に 101.5 Vrms に調整した平均電圧をかけ,周波数 430 Hz で少なくとも 5 分間機器を作

動させる。この 5 分の間に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。同様に,101.5 Vrms

及び 370 Hz で,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

3) 三相電源によって作動する機器に関しては,試験ごとに,一次電源を相間不均衡に調整して,少

なくとも 5 分間,最大デューティサイクルで機器を作動させる。この 5 分の間に,適用機器性能

規格に適合していることを確認する。

試験 1  機器の端子に次の周波数と電圧をかける。

相 A

B

C

電圧(rms)

122 122 116

周波数 430 Hz

試験 2  機器の端子に次の周波数と電圧をかける。

相 A

B

C

電圧(rms)

100 100 106

周波数 430 Hz

試験 3  試験 1 と同様。ただし周波数 370 Hz。

試験 4  試験 2 と同様。ただし周波数 370 Hz。

備考  異常周波数適用中の機器性能に対するいかなる要求事項も,機器性能規格に規定する。

16.5.3.2

  瞬間過小電圧作動(交流)

a.

  定義  7 秒以下のある期間の 0∼97 Vrms の範囲内の一時的電圧低下。

b.

  要求事項  機器は,この条件下に置かれた後,正常な作動電圧範囲に戻ったときには,適用機器性能

規格の規定範囲内で作動しなければならない。

機器を公称の定格電圧及び周波数で通電し,入力交流電圧を 7 秒間,60 Vrms 又は機器仕様書で他

の値を規定しているときはそのとおりに,減少させる。機器に通電したまま,入力交流電圧を 115 Vrms

に調整して,適用機器性能規格に適合していることを確認する。60 Vrms の代わりに 10 Vrms で繰り返

す。

16.5.3.3

  異常過渡状態(交流)

16.5.3.3.1

  異常な電圧サージ

a.

  定義  異常サージとは,故障排除時におけるような電源系統の固有の調整及び電圧調整器の修正作動

によって生じる,制御した定常状態レベルからの変動である。異常交流サージ電圧特性は,

図 16.5 


76

W 0812

:2004

規定する限界内とする。

b.

  要求事項  機器を設計電圧及び公称周波数で作動させ,一次入力端子の各々に,180 Vrms の電圧サー

ジを 100 ms 間,及び 148 Vrms の電圧サージを 1 秒間加える。電圧サージは,

図 16.3 に示すのと同様

の方法で加え,確認するとよい。

各サージを 10 秒間隔で

3

回加える。電圧サージを加えた後,適用機器性能規格に適合しているこ

とを確認する。

16.5.3.3.2

  異常過渡周波数[カテゴリ ACF)機器だけ]

a.

  定義  異常過渡周波数とは,制御した定常状態レベルからの変動をいう。エンジン速度の異常な変化

のような故障状態に対応した調整装置による修正作動によって,また,電源系統の固有の調整作動に

よって生じる。

b.

  要求事項  機器の端子に 115±1 Vrms の電圧をかけ,400 Hz±5 Hz の周波数で,5 分間機器を作動する。

その後,次の試験を行う。

試験 1  次の周波数で 3 回試験を行う。

―1 ms 未満の間に周波数を 350 Hz±5 Hz に下げ,機器を 5 秒間作動する。

―1 ms 未満の間に周波数を 320 Hz±5 Hz に下げ,機器を 200 ms の間作動する。

―1 ms 未満の間に電圧を 0 Vrms に下げ,機器を 200 ms の間作動する。

―1 ms 未満の間に電圧を 115±1 Vrms に,周波数を 400 Hz±5 Hz に戻し,10 秒間機器を作

動する。

試験 2  次の周波数で 3 回試験を行う。

―周波数を 200 ms の間,480 Hz±5 Hz に上げる。

―1 ms 未満の間に周波数を 440 Hz±5 Hz に下げ,機器を 5 秒間作動する。

―1 ms 未満の間に電圧を 0 Vrms に下げ,機器を 200 ms 作動する。

―1 ms 未満の間に電圧を 115±1 Vrms に,周波数を 400 Hz±5 z に戻し,機器を 10 秒間作動

する。

上記の試験を実施した後に,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

16.5.4

異常条件下作動試験(直流)  次の条件及び試験は,カテゴリ A(  ),カテゴリ B 及びカテゴリ

Z の機器に適用できる。

注意  示したすべての電圧値は,28 Vdc 機器に適用する。14 Vdc 機器に対しては,これらを 1/2 倍す

る。

16.5.4.1

  電圧の定常状態(直流)

a.

  定義  発生しうる異常電圧の限界値は,次のとおりである。

電圧(機器端子)

全カテゴリ

最大値 32. V

最小値 20. V

備考  公称直流ネットワーク電圧は,次のとおりとする。

カテゴリ A(  )及び Z 機器:28 V

カテゴリ B 機器:28 V 又は 14 V

b.

  要求事項

1) 端子での電圧を該当する最大電圧に調整し,少なくとも 5 分間,機器を作動させる。機器を作動

させながら,この電圧を公称電圧に減少させて,適用機器性能規格に適合していることを確認す


77

W 0812

:2004

る。

2) 機器の端子を公称電圧にして少なくとも 1 分間作動させ,次いで,機器端子での電圧を該当する

最小電圧に調整して,機器を少なくとも 5 分間作動させる。機器に通電したまま,端子の電圧を

公称電圧に増加させて,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  異常電圧を加えている間の機器の性能に対する要求事項は,すべて,機器性能規格に規定する。

16.5.4.2

  低電圧条件(直流)(カテゴリ 機器)

a.

  定義  発生しうる 10 分以下のある期間のゼロから該当最小電圧までの範囲の電圧低下。

b.

  要求事項  機器の端子を公称電圧にして少なくとも 1 分間作動させ,次いで,入力電源電圧を該当す

る最小電圧に調整して,少なくとも 1 分間作動させる。機器に通電したまま,10 分間かけて,入力電

源電圧を直線的にゼロまで減少させる。機器を接続したまま,入力電源電圧を機器の該当する公称電

圧に調整して,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  この試験については,インバータから交流電力を得る機器は,直流作動機器とみなす。

16.5.4.3

  一時的過小電圧下の作動(直流)

a.

  定義

7

秒以下のある期間の定格値からの一時的電圧低下。

b.

  要求事項  機器は,この条件下に置かれた後,正常な作動電圧範囲に戻ったときは,適用機器性能規

格の規定範囲内で作動しなければならない。

機器を公称定格電圧で通電し,入力直流電圧を 7 秒間,12.0 V に減少させる。機器に通電したまま,

入力直流電圧を公称定格値に調整して,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

16.5.4.4

  異常な電圧サージ(直流)

a.

  定義  異常な電圧サージとは,制御した電圧の定常状態レベルからの変動をいう。故障排除時におけ

るように,電源系統の固有の調整及び電圧調整器の修正作動によって生じる。発生することがある該

当サージ電圧を,

図 16.6 に示す。

b.

  カテゴリ の要求事項  機器を該当する公称電圧で作動させ,正(直流)入力端子に,80 Vdc の電圧

サージを 100 ms 間,及び 48 Vdc の電圧サージを 1 秒間加える。電圧サージは,

図 16.4 に示すのと同

様の方法で加え,確認するとよい。各電圧サージを 10 秒間隔で 3 回加える。この試験に引き続き,適

用機器性能規格に適合していることを確認する。

c.

  カテゴリ A(  )の要求事項  機器を該当する公称電圧で作動させ,機器仕様書で特に規定がない限

り,正(直流)入力端子に,46.3 Vdc の電圧サージを 100 ms 間,及び 37.8 Vdc の電圧サージを 1 秒間

加える。電圧サージは,

図 16.4 に示すのと同様の方法で加え及び監視するとよい。各電圧サージを 10

秒間隔で 3 回加える。この試験に引き続き,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

d.

  カテゴリ の要求事項  機器を該当する定格電圧で作動させ,機器仕様書に特に規定がない限り,正

(直流)入力端子に,60 Vdc の電圧サージを 100 µs の間,及び 40 Vdc の電圧サージを 1 秒間加える。

電圧サージは,

図 16.4 に示すのと同様の方法で加え,確認するとよい。

各電圧サージを 10 秒間隔で 3 回加える。この試験に引き続き,適用機器性能規格に適合しているか

どうかを調べる。

16.6

負荷からの電流調波放出

16.6.1

定義

16.6.1.1

  全調波ひずみ  交流波形の全調波ひずみは,基本 rms に対する調波 rms の割合である。全調波ひ

ずみ(THD)

(total harmonic distortion)を定義する式を次に示す。変数“X”は電圧又は電流を示し,rms

又はピーク値として表される。


78

W 0812

:2004

100

THD

1

n

2

2

n

X

×

=

å

X

X

ここに,

X

1

電流又は電圧の基本値

X

n

電流又は電圧の 番目の調波値

16.6.1.2

  個別調波内容  個別調波の内容は,規定の調波周波数における電圧又は電流で,基本値の百分率

として表される。個別調波内容(IHC

n

(individual harmonic content)を定義する式を次に示す。変数“X

は,電圧又は電流を示し,rms 又はピーク値として表される。分数は,番目の調波でのひずみの値を表す。

100

IHC

1

n

n

×

=

X

X

ここに,

X

1

電流又は電圧の基本値

X

n

電流又は電圧の 番目の調波値

16.6.2

電流調波  35 VA より大きい個別最大消費電力をもつ機器又は(同タイプの機器からなる)多ユニ

ットで全消費電力の合計が 150 VA より大きい装置に対しては,次の要求事項を満足させなければならな

い。

1.

  低い全調波ひずみ(THD)

(試験条件 1,検証要求事項 16.6.3)の電圧波形が供給されたときに,機

器は,

表 16.2 及び表 16.3 に示した値を超える調波電流要素を必要としてはならない。

2.

  ひずみのある電圧波形(試験条件 2,検証要求事項 16.6.3)が供給されたときには,機器は,個別電

圧調波に一致するひずみの各 1  %に対して既に

表 16.2 及び表 16.3 に規定した値より 1.25  %大きい

調波電流を必要としてはならない。

注釈  現実的な電源条件にさらされたとき,供試体が安定であることを確実にするために,ひずみの

ある電圧波形の要求事項が求められる。

16.6.3

調波検証要求事項

注意  提示したすべての電圧値は,115 V 交流機器用である。230 V 交流機器に対しては,この値を 2

倍するものとする。

すべての作動モードのもとでの設計要求事項における調波要求事項に従って検証するために認定試験の

一部として,次のデータを用いる。

1.

  測定したときの機器の作動モードの記述:

2.

  試験セットアップの記述,試験手順のコピー,使用した試験機器及びその設定の記述:

3.

  機器の各相に対しての,拡大縮小情報による電流及び電圧の波形のプロット:

4.

  A(CF)カテゴリ機器:

400 Hz から 16 kHz までの周波数での高調波電流の大きさ及び相(任意),並びに機器の各相に対し

て 20 Hz より少ない分解能をもつ入力電流(大きさだけ)のスペクトラム分析プロットの作表。

5.

  A(NF)カテゴリ機器:

360 Hz から 14.4 kHz 及び 650 Hz から 26 kHz の周波数での高調波電流の振幅及び相(任意),並び

に機器の各相に対して 20 Hz より少ない分解能をもつ入力電流(振幅だけ)のスペクトラム分析プ

ロットの作表。

6.

  A(WF)カテゴリ機器:

360 Hz から 14.4 kHz 及び 800 Hz から 32 kHz の総合周波数での高調波電流の振幅及び相(任意),

並びに機器の各相に対して 20 Hz より小さい分解能をもつ入力電流(振幅だけ)のスペクトラム分


79

W 0812

:2004

析プロットの作表。

7.

  機器の各相に対する入力電流の実際の rms:

8.

  機器の各相に対する入力電流及び電圧の全調波ひずみ:

意図的な負荷をかけ,最小及び最大定常状態の作動モードですべての機器を試験しなければならない。

(例えば,蛍光ランプ及び他の放電ランプの安定器を意図的に照明の組合せに取り付けて,明,暗,電源

オフ及び他の作動モードを行って試験を実施する。

図 16.7 に従って電流調波の測定を行わなければならない。電流測定装置は,50 kHz までのすべての周波

数に対し,増幅エラーは 3  %未満及び相エラーは 5 度未満でなければならない。

5 mA 未満の調波電流又は基準の 0.25  %未満の調波電流のいずれでも大きい方については無視する。

スペクトラム分析器又は他の調波分析機器は,調波電流測定におけるエラーが許容限界の 5  %未満のも

のを,周波数スペクトラムは,20 Hz 以下の分解能のものを選定する。調波分析機器は,十分に高いサン

プリングレート,十分に長い観察時間,適切な観察機能及びエイリアシング防止フィルタ(anti-aliasing

filters)を備えたものとする。ガイドラインとして,次の試験特性を考慮する。

a. 100

Hz 以上のサンプリングレートを用いる。

b. 0.05

秒以上のタイムウインドウ(time window)をとる。

c.

  25 kHz から 50 kHz までのコーナー周波数をもつエイリアシング防止フィルタ(anti-aliasing filter)

を使用する。

d.

  方形ウインドウ(Rectangular window)

,ハニング ウインドウ(Hanning window)

,ハミング ウイン

ドウ(Hamming window)

,ブラックマン ハリス ウインドウ(Blackman-Harris window)のいずれか

の観察方法を用いる。

すべての交流機器に対して,機器を入力電圧ひずみに関する二つの条件下で試験する。いずれの場合に

も,機器は,115 Vrms±2  %の電圧及び 400 Hz±1  %の周波数をもつ電源から供給する。供給電圧及び周

波数は,測定中はこの限度内で一定に保持する。

A(NF)カテゴリ機器:

機器を入力電圧ひずみに関する二つの条件下で試験を実施する。いずれの場合にも機器は,115 Vrms±2  %

の電圧及び 360 Hz±1  %,その後 650 Hz±1  %の周波数をもつ電源から供給する。供給電圧及び周波数は,

測定中にこの限度内に一定にとどめておく。

A(WF)カテゴリ機器:

機器を入力電圧ひずみの二つの条件下で試験を実施する。いずれの場合にも機器は,115 Vrms±2  %の電

圧及び 360 Hz±1  %,その後 800 Hz±1  %の周波数をもつ電源から供給する。供給電圧及び周波数は,測

定中にこの限度内にとどめておく。

試験条件 1:第一条件としては,機器の入力端子電圧の全調波ひずみ(THD)は,全試験条件の期間

中 1.25  %より小さくする(各測定周波数ごとの電源の出力インピーダンスは 1.25  %よ

り低い供試体の入力時の V

THD

を保つために十分に低い。

試験条件 2:第二条件としては,機器の入力端子電圧の全調波ひずみ(THD)は全試験条件の期間中

5  %以上でなければならない(V

THD

≧5  %)

。電圧ひずみが,

図 16.8 に示すような全波

整流器ブリッジ経由で起こることがある。電圧ひずみのレベルは,整流器への負荷の変

更及び線への電源インピーダンスの挿入によって制御できる。他に,供試体への入力電

圧は供給電圧を切ることによってひずむことがある。

表 16.4 は,ひずみのある入力電圧をもった許容可能な電流の決め方の例を提示している。


80

W 0812

:2004

A 列は,調波順位を示す。例えば,表の 1 行目では,A(CF)カテゴリ機器は電圧 800 Hz 電流(2*400

Hz)の成分と連携する(調波要求事項に従った負荷の実際の決定に関しては,表は 40 番目までの調波を

含む。

B 列は,表 16.2 で決められたような単相負荷に対する電流調波要求事項を挙げている。 
C 列は,どの電圧調波の成分がその全調波ひずみが 5  %より大きい適用電圧用でなければならないかの

例である(試験条件 2 に規定するように)

。C 列は事例番号だけであることが強調されている。実際に,こ

のコラムは適用された電圧の実際の調波成分を含んでいる。

D 列は,供試体に対して許容された電流調波を代表するものである。 
E 列は,ひずみのある電圧状況下で試験された機器のための電流調波データの例を提示している。

F 列は,機器が各特定の調波に対する要求事項にあっている(P)か否(F)かを表している。これは機

器の入力で測定された電流調波(E 列)とひずみのある入力条件下で許容された電流調波(D 列)の関係

によって決定される。


81

W 0812

:2004

 16.1A  ディジタル回路をもつ機器に対する試験条件

備考1.  定義

T1  電源遮断時間 
T2  印加電圧が公称電圧から 0 ボルトに低下するのにかかる時間 
T3  印加電圧が 0 ボルトから公称電圧に上がるのにかかる時間 
最小電圧  印加電圧が低下してもよい最小レベル(公称電圧の%で
表す。

2. T1

,T2 及び T3 の公差は,±10  %

3.

試験条件番号 8 及び 15 は,カテゴリ Z で,直流作動機器だけに適
用する。

適用カテゴリ

A(  ), B, Z

A(  ), Z

Z

A(  ), B, Z

A(  ), Z

Z

試験条件番号

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

11 12 13 14

15

T1(ms)

2  10 25 50 75

100

200

1

000

10

25

50

75 100 200

1

000

T2(ms)

<1 20

20 20 20

20

20

20

50

50

50

50 50 50

50

T3(ms)

<1

5 5 5 5 5 5 5 20

20

20

20 20 20

20

公称電圧の% 
(最小電圧)

0 50 15 10 5 0 0 0 80

50

0 15 5 0 0

  電圧は,この試験条件でもゼロとはならないものとする。

 
 


82

W 0812

:2004

 16.1B  A(NF)及び A(WF)カテゴリ機器の追加試験条件

備考 T1 は,電力遮断時間

T2=20 ms 及び T3=5 ms 
T1, T2, T3 に対する公差=±10  % 
F1=機器電圧供給の周波数(t≦ta のとき) 
F2=機器電圧供給の周波数(t≧tb のとき)

試験条件番号

I  II III IV V VI

T1(ms)

50

50 100 100 200 200

F1(Hz) 360

F

max

 360 F

max

 360 F

max

F2(Hz)

F

max

 360 F

max

 360 F

max

 360

A(NF)カテゴリ機器には,F

max

=650 Hz

A(WF)カテゴリ機器には,F

max

=800 Hz

 
 
 
 
 


83

W 0812

:2004

 16.2  単相電気機器の電流調波限度

調波次数

限度

奇数次非トリプレン調波(h=5,7,11,13,….,37)             I

h

=0.3 I

1

/h

奇数次トリプレン調波(h=3,9,15,21,….,39)

            I

h

=0.15 I

1

/h

偶数次調波 2 及び 4

            I

h

=0.01 I

1

/h

偶数次調波>4  (h=6,8,10,…,40)

            I

h

=0.002 5 I

1

 16.3  平衡三相電気機器の電流調波限度

調波次数

限度

3

rd

  ,  5

th

  , 7th

0.02 I

1

奇数次トリプレン調波(h=9,15,21,….,39)

I

h

=0.1 I

1

/h

11

th

 0.1

I

1

13

th

 0.08

I

1

奇数次非トリプレン調波 17,19 0.04

I

1

奇数次非トリプレン調波 23,25 0.03

I

1

奇数次非トリプレン調波 29,31,35,37

I

h

=0.3 I

1

/h

偶数次調波 2 及び 4

I

h

=0.01 I

1

/h

偶数次調波>4  (h=6,8,10,…,40)

I

h

=0.002 5 I

1

h=調波次数 
I

h

=最小,最大及び定常状態の作動中に得られた 番目の最大調波電流

I

1

=最小,最大及び定常状態の作動中に得られた機器の最大基礎電流

 16.4  ひずみ入力電圧波形試験中の単相機器の測定例

A

高調波次数

B

電流

調波要求事項

(%)

C

調波

電圧波形中

(%)

D=(B+C×1.25)

差し替え電流 
調波要求事項

(%)

E

試験中ユニッ
トの電流調波

F

試験結果

2 0.50 0.04  0.55  0.51

P

3 5.00 3.49  9.36  11.72

F

4 0.25 0.03  0.28  0.25

P

5 6.00 2.99  9.73  7.53

P

6 0.25 0.12  0.40  0.15

P

7 4.29 1.67  6.37  13.20

F

8 0.25 0.02  0.27  0.10

P

9 1.67 0.21  1.93  0.98

P

10 0.25 0.01  0.26

0.05 P

11 2.73 0.72  3.63

3.00 P

12 0.25 0.03  0.28

0.12 P

13 2.31 0.64  3.11

5.20 F

40

0.25

0.001 7

0.252 1

0.006 5

P


84

W 0812

:2004

 16.1  交流電圧変調包絡線の周波数特性


85

W 0812

:2004

 16.2  交流周波数変調の特性


86

W 0812

:2004

注(

1

)  供試体に対して十分な電力容量があること。

備考  タイマ切換えの間は,供試体に電圧は加わらない。

備考  回路 B は任意であって,電源インピーダンスが機器の性能に対して重要でないときだ

け使用できる。

 16.3  交流機器のサージ電圧試験


87

W 0812

:2004

供試体に適用する電圧

公称電圧超え

公称電圧未満

公称電圧

K1

K1 及び K2 の状態

K2

備考 1.  参照

備考 1.  参照

備考1.  この K1/K2 状態の配置の継続は,16.5.2.4(公称サージ電圧)又は 16.5.4.4(異常サージ

電圧)に従った電圧サージの継続に等しい。

2. K1

及び K2 は,供試体に電源オフ状態がないよう動かなければならない。

 16.4  直流機器のサージ電圧試験


88

W 0812

:2004

サージの限界値

s V

p

/

2

5.0 134 
3.0 135 
1.0 148 
0.4 168 
0.2 178 
0.1 180

0.01 180

 16.5  交流異常電圧サージの包絡線


89

W 0812

:2004

サージ限界

s

カテゴリ A(  )

カテゴリ B

カテゴリ Z

  5.0

          32.2

        32.2

        32.2

  1.0

          37.8

        40

        48

  0.5

          42.5

        47

        60

  0.1

          46.3

        60

        80

 16.6  典型的な異常直流サージ電圧特性


90

W 0812

:2004

 16.7  典型的な電流高調波測定ダイアグラム


91

W 0812

:2004

 16.8  高調波試験のための典型的な電圧ひずみ回路


92

W 0812

:2004

17.0

電圧スパイク

17.1

試験の目的  この試験は,機器がその交流又は直流のいずれかの電源リード線上に現れる電圧スパ

イクの影響に耐えることができるかどうかを確認するためのものである。予想される主な悪影響は,次の

とおりである。

a.

  永久損傷,構成部品の破損,絶縁破壊

b.

  妨害感受性の悪化又は機器の性能の変化

17.2

機器のカテゴリ

カテゴリ A  電圧スパイクによる損傷に対して高度な保護を必要とするところに,主に装備することを

意図する機器は,カテゴリ A として識別する。

カテゴリ B  電圧スパイクに対して比較的程度が低い保護を容認するところに,主に装備することを意

図する機器は,カテゴリ B として識別する。

17.3

試験セットアップ及び装置  使用するスパイク発生器は,図 17.1 に示す波形を作るものとする。代

表的な試験セットアップを

図 17.2 に示す。もし,波形が図 17.1 の規定に適合しているならば,どのよう

なスパイク発生方法を用いてもよい。

17.4

試験手順  供試体を切り離し,過渡波形が図 17.1 に適合していることを確認する。

機器を設計電圧で作動させ,各一次電源入力に

図 17.1 に示す一連の正負のスパイクを加える。それぞれ

の極性について,1 分間以内に 50 回以上の過渡電圧を加える。

機器の各作動モード又は機能に対して,試験を繰り返す。

スパイクを加えた後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  もし,この試験を実施中に性能を測定するときは,適用機器性能規格に記載された性能要求事

項を適用する。


93

W 0812

:2004

波形発生回路のインピーダンスは,50  Ω±10  %とする。規定する電圧及
び持続時間は,開回路状態だけに対するものである。機器を接続した状態
では,ピーク電圧は実質的に低くなることがある。試験機の電源インピー

ダンスは,50  Ω負荷抵抗で試験すれば,確認することができ,規定電圧の
1/2±10  %の電圧を生じるものとする。 
備考  ここに示した波形は,代表的なものである。パルスの上昇時間が 2

µs

以下,パルス全体の時間が 10

µs 以上であれば,波形要求事項は満た

される。

 17.1  電圧スパイク波形

備考  高電流を要する機器には(トランスフォーマの飽和状態などを避けるた

めに)代替の試験方法が必要になる場合がある。

 17.2  電圧スパイク試験回路

 
 
 
 
 


94

W 0812

:2004

18.0

音声周波伝導妨害感受性―電源入力(閉回路試験)

18.1

試験の目的  この試験は,機器を航空機に装備したとき,それが通常予想される大きさの周波数成

分に耐えられるかどうかを確認するためのものである。これらの周波数成分は,通常,電源の基本周波数

と調波関係がある。

18.2

機器のカテゴリ及び周波数区分

18.2.1

機器のカテゴリ

カテゴリ A(  )  一次電源を定周波数又は可変周波数交流系統からとし,また,直流系統の変圧整流

器からとする航空機電気系統に使用する機器は,カテゴリ A(  )として識別する。蓄電池は,直流バス

に浮動接続していてもよい。

A

CF)は,一次電源を定周波数(400 Hz)交流入力電源とする航空機電気系統に使用する交流及び直

流機器又はそのいずれかを指す。

A

NF)は,一次電源を狭い可変周波数(360∼650 Hz)交流入力電源とする航空機電気系統に使用する

交流及び直流機器又はそのいずれかを指す。

A

WF)は,一次電源を広い可変周波数(360∼800 Hz)交流入力電源とする航空機電気系統に使用す

る交流及び直流機器又はそのいずれかを指す。

カテゴリ B  電源をエンジン駆動の交流発電機―整流器又は十分な容量の蓄電池が常時直流バスに浮動

接続している直流発電機とする,航空機電気系統に使用することを意図した直流機器は,カテゴリ B とし

て識別する。別途に規定されていない場合には,14 Vdc の機器には,28 Vdc 機器用に規定したレベルを

1/2 倍する。

カテゴリ Z  この規格が適用可能なその他すべての形式の航空機電気系統に使用することができる直流

機器は,カテゴリ Z として識別する。カテゴリ Z は,カテゴリ A(  )又はカテゴリ B の代わりに使用す

る機器である。このカテゴリの例は,可変回転速度の発電機から給電する直流系統用機器で,電源が次の

いずれかの条件に該当するものである。

a.  直流電源が,直流バスに浮動接続した蓄電池をもっていない。

b.  制御装置又は保護装置によって,蓄電池が直流バスから切り離されることがある。

c.  蓄電池の容量が,直流発電機の容量に比べて小さい。

カテゴリ J  一次電源を定周波数,又は,可変周波数交流系統から給電し,カテゴリ A(  )機器に適

用する交流電源用のものより高い電圧ひずみレベルによって特徴付けられる航空機の電気系統に使用する

機器。

カテゴリーJ は,カテゴリ A(  )の代用として認められる。

18.3

試験手順

18.3.1

直流入力電源投入  供試体を図 18.1 に示すとおりに接続する。機器を作動させて,正弦波音声周

波信号を,連続して非接地直流入力電源に直列に加える。加えた信号の音声周波数を変化させながら,こ

の信号の振幅実効値を

図 18.2 又は図 18.3 に規定する値にして,18.3.3 に規定した速度で走査して,適用機

器性能規格に適合していることを確認する。この試験を 18.3.3 に規定するようにすべての作動モードに対

して繰り返し行う。

18.3.2

交流入力電源投入

a.

  ACF)及び カテゴリ機器

供試体を

図 18.1 に示すとおりに接続する。機器を作動させて,正弦波音声周波信号を,その周波数

を 700 Hz∼16 kHz の間で変化させながら,連続して非接地交流入力電源に直列に加える。


95

W 0812

:2004

A(CF)カテゴリ機器については,この信号の振幅実効値を最大公称交流入力電圧の 5  %以上に保

持して,18.3.3 に規定された速度で走査し,適用機器性能規格に適合していることを確認する。18.3.3

に規定されているように,この試験をすべての作動モードに対して繰り返し行う。

J カテゴリ機器については,この信号の rms の振幅を 5.5 kHz までは最大正常交流入力電圧の 8  %

以上を維持し,5.5 kHz より大きい場合には 6  %以上に維持する。

そして,18.3.3 に規定されている速度で走査して,適用機器性能規格に適合していることを確認す

る。18.3.3 に規定されているように,この試験をすべての作動モードに対して繰り返し行う。

b.

  ANF)及び カテゴリ機器用

1)供試体を

図 18.1 に示すとおりに,接続する。電源の周波数を 360 Hz   Hz にして機器を作動させ,

適用している信号の周波数を 700 Hz∼26 kHz の間で変化させながら,正弦波音声周波信号を,連

続して非接地直流入力電源に直列に加える。

A(NF)カテゴリ機器については,この信号の実効値振幅を,最大正常交流入力電圧の 5  %以

上に維持し,18.3.3 に規定されている速度で走査して,適用機器性能規格に適合していることを確

認する。18.3.3 に規定されているように,この試験をすべての作動モードに対して繰り返し行う。

J カテゴリ機器については,この信号の実効値振幅を,5.5 kHz までの最大正常交流入力電圧の

8  %以上,5.5 kHz より大きい最大正常交流入力電圧の 6  %以上に維持し,18.3.3 に規定されてい

る速度で走査して,適用機器性能規格に適合していることを確認する。18.3.3 に規定されているよ

うに,この試験をすべての作動モードに対して繰り返し行う。

2)適用した信号の周波数を 1 100 Hz∼32 kHz の間で変化させながら,650 Hz    Hz の電源周波数で,

試験(1)を繰り返す。

c.

  AWF)及び カテゴリ機器用

1)供試体を

図 18.1 に示すとおりに,接続する。電源の周波数を 360 Hz   Hz にして機器を作動させ,

適用している信号の周波数を 700 Hz∼32 kHz の間で変化させながら,正弦波音声周波信号を,連

続して非接地直流入力電源リード線の各々に直列に加える。

A(NF)カテゴリ機器については,この信号の実効値振幅を,最大正常交流入力電圧の 5  %以

上に維持し,18.3.3 に規定されている速度で走査し,適用機器性能規格に適合していることを確認

する。18.3.3 に規定されているように,この試験をすべての作動モードに対して繰り返し行う。

J カテゴリ機器については,この信号の実効値振幅を,5.5 kHz までの最大正常交流入力電圧の

8  %以上,5.5 kHz より大きい最大正常交流入力電圧の 6  %以上に維持し,18.3.3 に規定されてい

る速度で走査し,適用機器性能規格に適合していることを確認する。18.3.3 に規定されているよう

に,この試験をすべての作動モードに対して繰り返し行う。

2)適用した信号の周波数を 1 400 Hz∼32 kHz の間で変化させながら,800 Hz   Hz の電源周波数で,

試験(1)を繰り返す。

18.3.3

周波数走査速度  異なる周波数を生じる試験機器に関しては,試験周波数のうち最小数は,1 デカ

ード当たり 30 とする。試験周波数は対数的に間隔をとる。例として,これらの 1 デカード当たり昇順で

30 段階の周波数を計算するのに使用できる式を,次に示す。

f

n

1

f

n

10

1/30

ここに,

f

n

:  試験周波数,n は,1 から m

f

1

:  スタート周波数

f

m

:  最終の周波数

+5

0

0

−5

+5

0

0

−5


96

W 0812

:2004

1

m

log

30

1

m

f

f

+

=

各試験での共振時間は,少なくとも 1 分間で,試験機器設置の時間を除く。

継続的な周波数の掃引を示す試験機器については,最小の(すなわち,最速の)掃引速度は,1 デカー

ド当たりの離散周波数の数(m)に共振時間を乗じたものと等しくする。すなわち,1 デカード当たり 30

の離散周波数に 1 分間の共振時間を乗じた,1 デカード当たり 30 分の掃引速度とする。

これらの試験を,最大定常電流及び最小定常電流を一次電源系統から得ている機器の作動モードに対し

て実施する。最大定常電流と最小定常電流の割合が 2:1 又はそれより小さい場合には,最大定常電流で 1

回だけ試験を実施する。

18.4

一般的注意事項

a.

試験電源のインピーダンスが,規定する音声周波信号電圧を作り出すのに過大な電力を必要とするよ

うなものであるときは,最大出力 100 W 幅器を用いて,試験条件を適切に満足させる。変成器の出力

インピーダンスは,0.6 Ω±50  %とする。

b.

18.3.1

の直流入力電源に対しては,大容量(100 µF 以上)のキャパシタを直流電源に並列に接続する。

交流入力電源に対しては,10 µF のキャパシタを電源に並列に接続する。

c.

音声周波エネルギーを電源に結合するために変成器を使用するときには,その変成器は,試験対象機

器が消費する交流又は直流の負荷電流が二次巻線を通して流れたときに,適切に機能を果たすことが

できるものとする。

d.

交流回路の場合には,モニタに入る電源周波数成分を除くために,位相回路網を用いてもよい。

e.

入力電源電流によって発生する反射電圧が,音声周波電源発生系統を損なわないように,注意する。

f.

図 18.1 の交流電源の全調波ひずみは,1.25  %より小さくなければならない。

 18.1  音声周波伝導妨害感受性試験回路

交流及び直流電源回路用)

 


97

W 0812

:2004

 18.2  28 Vdc 電気系統リプル(電圧)の周波数特性,カテゴリ A(  ),J 及び Z

 18.3  28 Vdc 電気系統リプル(電圧)の周波数特性,カテゴリ B

 


98

W 0812

:2004

19.0

誘起信号妨害感受性

19.1

試験の目的  この試験は,機器の相互接続回路の形態が,装備環境によって生じる誘起電圧に耐え

られるかどうかを確認するためのものである。19.0 は,特に電源周波数及びその高調波,音声周波数信号,

他の搭載機器又はシステムによって発生した電気的トランジェント及び相互接続配線を介して機器内の影

響を受けやすい回路に結合されるものに関する干渉信号にかかわるものである。

19.2

機器のカテゴリ

カテゴリ C  電線が長いために又は電線の間隔が狭いために,結合現象は厳しいが干渉はない作動が要

求されるシステムで主に使用する機器は,カテゴリ C として識別する。

カテゴリ Z  干渉がない作動が要求されているシステムで主に使用される機器は,カテゴリ Z として識

別する。

カテゴリ A  干渉がない作動が望ましいシステムで主に使用される機器は,カテゴリ A として識別する。

カテゴリ B  干渉が許容可能レベルに制御されるシステムで主に使用される機器は,カテゴリ B として

識別する。

19.3

試験手順

19.3.1

機器に誘起する磁界  供試体の周辺から 0.15 m 以内に配置した直線の線状電線放射器(straight wire

radiator)に,表 19.1 に規定する電流を流すことによって発生する音声周波磁界に供試体をさらす。適用機

器性能規格に適合していることを確認する。

この試験では,各ユニットの各外面に対して,最大の干渉を生じる方向に,放射器を向ける。放射器の

長さは,ユニットの各端部から少なくとも 0.6 m(横方向)の距離だけ外方に延びるものとする。放射器

に電流を流すリード線は,ユニットのどの部分からも,また,放射器自体からも,少なくとも 0.6 m 離し

て配線する。供試体のすべてのユニットは,個別に試験する。磁界の電源は,機器の電源と同調しないよ

うにする。

19.3.2

相互接続ケーブルに誘起する磁界  供試体相互の接続用電線束を図 19.2 に示すとおりに,音声周

波磁界にさらす。

磁界が

表 19.1 に規定する値のときに,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

この試験における機器相互接続用のすべてのケーブルは,適用される製造業者の装備インタフェイス管

理図に従って装備する。供試体に通常関連する他の機器との間の入出力はすべて,適切に模擬する。磁界

の電源は,機器の電源と同期しないようにする。

19.3.3

相互接続ケーブルに誘起する電界  供試体相互の接続用電線束を図 19.3 に示すとおりに,音声周

波電界にさらす。

電界が

表 19.1 に規定する値のときに,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

この試験における機器相互接続用のすべてのケーブルは,適用される製造業者の装備インタフェイス管

理図に従ったものとする。シールド電線又はより電線は,機器の製造業者が規定したときだけ使用する。

供試体に通常関連する他の機器との間の入出力はすべて,適切に模擬する。電界の電源は,機器の電源と

同期しないようにする。

19.3.4

相互接続ケーブルに誘起するスパイク  この試験における機器相互接続用のすべてのケーブルは,

適用される製造業者の装備インタフェイス管理図に従う。シールド電線又はより電線は,機器製造業者が

適用したときだけに使用する。

供試体に通常関連する他の機器との間の入出力はすべて,

適切に模擬する。

供試体の相互接続用電線束を,

図 19.4 に示す試験構成を用いて,正及び負の両方の過渡電磁界にさらす。

表 19.1 で,カテゴリ A,B,C 及び Z に対して所要の電線の長さを決める。パルス繰返し率が毎秒 8∼10

パルスになるように,

図 19.4 に示すタイマーの値を調整する。図 19.4 の A 点に現れる波形は,図 19.5 

示すものと類似しているのがよい。過渡状態の正及び負の両方の極性に対して,各極性のパルスは,2 分


99

W 0812

:2004

以上の期間又は該当機器仕様書で規定してあれば,もっと長い期間保持する。

さらした後,適用機器性能規格に適合していることを確認する。試験実施中の供試体の性能に対するす

べての要求事項は,機器の性能規格に規定する。

接点が開いたときに発生する誘導開閉過渡波形は,

図 19.4 の A 点で確認したとき,図 19.5 の波形に極

めて類似しているのがよい。接点が開いたときに,A 点の電圧は,+28 Vdc から約 2 µs で大きな負の電圧

となる。

[コイル巻線間容量(通常 250∼3 000 pF)が,この間に負に帯電される。

]電圧がイオン化電位に

達したとき,接点でアークを生じ,電圧は,接点のイオン化経路を通って急速に 28 Vdc になる。A 点の電

圧は,A 点とコイルとの間の電線のインダクタンスのために,通常+28 Vdc を行き過ぎる。この時点でア

ークは消え,このサイクルが繰り返される。代表的な場合,繰返し周期は 0.2∼10 µs であり,繰返し回数

は,誘導負荷のエネルギーE=(1/2)×LI

2

が消滅するまで通常 5∼1 000 回である。


100

W 0812

:2004

 19.1 (a)  音声周波数磁界妨害感受性試験のレベル

 19.1 (b)  音声周波数電界妨害感受性試験のレベル―カテゴリ C


101

W 0812

:2004

備考1.  相互接続用電線束は,接地面上方に 50 mm 以上の間隔をあけること。

2.

磁界 [A(rms)×m]=電流 I×長さ l

 19.2  音声周波数磁界試験回路

 19.1  誘起信号妨害感受性に対するカテゴリの適用

箇条番号  試験

カテゴリ Z

カテゴリ A

カテゴリ B  カテゴリ C

19.3.1

機器に誘起する磁界 400

Hz で

20 A(rms)

400 Hz で 
20 A(rms)

400 Hz で 
20 A(rms)

400 Hz で 
20 A(rms)

19.3.2

相互接続ケーブルに

誘起する磁界

400 Hz で 
I×l=30 Am から 
15 kHz で 0.8 Am 
まで減少。

図 19.1 (a)に示すとおり]

380∼420 Hz で
I×l=18 Am

適用しない。 380∼420 Hz で

I×l=120 Am,及び 
400 Hz で 60 Am から 
15 kHz で 1.6 Am 
まで減少。

図 19.1 (a)に示すとおり]

19.3.3

相互接続ケーブルに
誘起する電界

380∼420 Hz で 
l=1 800 Vm

380∼420 Hz で
l=360 Vm

適用しない。 380∼420 Hz で

l=5 400 Vm,及び 
400 Hz で 5 400 Vm から 
15 kHz で 135 Vm 
まで減少。

図 19.1 (b)に示すとおり]

19.3.4

相互接続ケーブルに
誘起するスパイク

 19.4 
l=3.0 m

 19.4 
l=3.0 m

 19.4 
l=1.2 m

 19.4 
l=3.0 m

備考  製造業者の装備インタフェイス管理図に 3.3 m 未満の固定長さのケーブルが規定されている場合には,結合ケー

ブルの長さ(coupled length)

l)は,両端の最小の分離長さとする 0.15 m を残して短くする。試験のレベルは,

規定した結合長さ[l=3.3−(2×0.15)=3 m]に対する短くした結合長さの比で軽減してもよい。例えば,製造業
者がケーブル最大長さを 1.8 m と規定した場合には,l=1.5m とし,試験レベルは,上表に示した電圧又は電流

の限度値に 1.5/3.0=0.5 を乗じたものにしてよい。製造業者の装備インタフェイス管理図が,1.5 m 以下(l<1.2 m)
の固定長さのケーブルを規定している場合には,試験は,実施する必要はない。


102

W 0812

:2004

備考1.  相互接続電線束は,接地面上方に 50 mm 以上の間隔をあける。

2.

電界=(Vrms・m)=電圧 V×長さ l

3.  R

は,要員の高電圧防護に必要な大きさとする。

 19.3  音声周波数電界妨害感受性試験の構成

備考1.  相互接続電線束は,接地面上方に 50 mm 以上の間隔をあける。

2.

抑制回路がないリレーコイルの特性は,次のとおりである。

    電圧                  28 Vdc 
    電流                  160 mA 
    抵抗                  175  Ω±10  %

    インダクタンス        1.5 H±10  %(通電位置で)

3.

接地していない電源から極性反転スイッチを通して 28 Vdc を印加する。

 19.4  相互接続ケーブルスパイク試験構成


103

W 0812

:2004

備考  電圧波形は,図 19.4 の A 点と接地面との間のものである。

 19.5  誘導開閉過渡波形

 
 


104

W 0812

:2004

20.0

無線周波妨害感受性(放射及び伝導)

20.1

試験の目的  これらの試験は,機器及びその相互接続用配線が,任意のレベルの無線周波変調電力

にさらされるときに,電力線及びインタフェース信号線上の放射無線周波電界又は注入プローブ誘導によ

って,機器が性能仕様書の範囲内で作動するかどうかを確認するためのものである。

二つの試験手順を用いる。すなわち,1) 10 kHz∼400 MHz の範囲では,供試体を,そのケーブル束への

注入プローブによって結合された無線周波信号にさらす。2) 100 MHz と上限周波数との間の周波数では,

供試体を放射無線周波電界にさらす。100∼400 MHz の間では,試験の意図的な重複がある。

100 MHz∼18 GHz の周波数での放射妨害感受性試験は,20.5 に規定した方法及び材料,又は代替として

20.6

に規定した方法及び材料を用いて実施してよい。方法の選択は,申請者の判断による。

特別な信号,周波数,変調又は帯域特性をもつ機器は,適用性能規格が規定するとおりに,試験を変更

することが必要なこともある。

これらの試験の結果によって,機器の伝導及び放射無線周波試験レベルを指定するカテゴリを決めるこ

とができる。

これらの試験は,

機器の無線周波妨害感受性についての認定を得るために十分なものである。

機器の使用する機能によっては,機器システムの航空機内装備の妥当性を証明するために,追加の試験が

必要になる場合がある。

20.2

機器のカテゴリ  カテゴリは,無線周波試験レベルを指定し,かつ,供試体の最低限の無線周波へ

の抵抗性のレベルを設定する。カテゴリは,機器の適用機器性能規格に示してもよい。

系統又は機器に適用するカテゴリは,航空機の内部無線周波環境を知る以前に,選定しなければならな

いことがしばしばある。さらに,多くの系統又は機器は,幾つかの異なる種類の航空機に装備することを

意図して設計する。したがって,もし,機器仕様書でカテゴリを明確にしていないときには,機器製造業

者は,予想される搭載位置,露出状態及び使用方法に合ったカテゴリに対して,機器を設計,試験及び品

質評価するのがよい。

機器のカテゴリの表示は,

二つの文字で構成する。

第 1 番目の文字で伝導妨害感受性試験レベルを示し,

第 2 番目の文字で放射妨害感受性試験レベルを示す。

機器及びその相互接続配線に対する適切な試験限界を選定する際に,機器製造業者を助けるために,カ

テゴリを定義する。説明内容は,単なる手引きとしてのものである。機器の取付け位置,相互接続配線の

想定する露出部分及び位置,並びに,航空機の大きさ及び構造方式によって,試験レベルを決定する。

カテゴリ A からカテゴリ L までは,比較的強い放射電界 HIRF(high intensity radiated field)での証明取

得参考文書(AC/AMJ20.1317)に定義されている外部の比較的強い放射性電界環境に直接関係するレベル

のためのものである。伝動妨害感受性試験のカテゴリの選択は,

表 20.1 に示すとおり想定する航空機の形

式,大きさ及び HIRF 環境によって決める。放射妨害感受性試験のカテゴリの選択は,

表 20.2 に示すとお

り,機器を装備する部位において想定できる機体による減衰及び HIRF 環境によって決める。

カテゴリ は,通常の環境の中では HIRF に対してベンチテストが許される機器のためのものである。

カテゴリ は,外部電磁環境からの影響は重要ではなく,機上では電磁妨害に影響されない動作が望ま

しいがしかし要求事項にはされない機器及び相互接続配線のための最小限の試験水準のものである。この

カテゴリは,また航空機に搭載されている機器からの内部 EMI 環境をも代表するものである。

カテゴリ は,弱い放射妨害要求事項に適応するベンチ試験のレベルのためのものである。このカテゴ

リは,また航空機に搭載されている機器からの内部 EMI 環境をも代表するものである。

カテゴリ 及び は,中程度の強さの放射電界の法則に適合することを示すベンチ試験のレベルのた

めのものである。


105

W 0812

:2004

カテゴリ は,試験の限界値にて,又はこれらの手順によって規定したもの以外のものによる変調によ

って実施される試験を示すためのものである。

20.3

一般試験要求事項

a.

  供試体  供試体を接地板上(テストベンチ)に設置して,次の基準に従って形態を構成する。

1

接地板  銅,黄銅又はアルミニウムの接地板を使用する。この接地板は,厚さを銅及びアルミニ

ウムでは 0.25 mm 以上,黄銅では 0.5 mm 以上,また,奥行は 0.75 m 以上で,面積は 2.5 m

2

以上

とする。シールド室を用いるときには,接地板は,1 m 以下の間隔で,かつ,接地板の両端でも

シールド室にボンディングする。ボンディングの直流抵抗値は,2.5 mΩ 以下を推奨する。

2

衝撃及び防振装置  機器製造業者が規定するときは,供試体は,衝撃及び防振装置を備えた取付

台に固定しておく。取付台に備えているボンディングストラップは,接地板に接続する。ボンデ

ィングストラップを取付台に備えていないときは,試験構成にボンディングストラップを使用し

ない。

3

電気的ボンディング  ボンディングに対しては,例えば,ケース,取付台及び接地板のボンディ

ングのような,供試体の設計書又は装備指示書に記載された方法だけを用いる。

機器,コネクタ及びケーブル束の電気的ボンディングは,適用する装備インタフェイス管理図

に規定されているとおりの機体への装備を模したものとする。実施したボンディング方法を,試

験報告書に記載する。

4

外部接地端子  供試体の接地接続用に外部端子が利用できるときは,試験中,安全な作動状態を

確保するため,その端子を接地板に接続する。接地接続部は,装備説明書で規定する接続部の長

さを用いる。長さが定められていないときには,代表的種類の電線約 30 cm を使用する。

5

相互接続配線又はケーブル  供試体相互接続用のすべての配線(シールド電線,より線など)又

はケーブル及び無線周波伝送線は,適用の装備インタフェイス管理図に従う。

ケーブルは,実際の航空機装備ケーブルと同様に束ね,接地板上方に約 50 mm 離して支持す

る。複合ケーブル束である場合には,ケーブル間の結合(coupling)の影響を少なくするために,

すべての複合ケーブル束及び接続する負荷は,実際上可能な限り間隔をとって配置する。

他に適用規定がない限り,ケーブルの長さは,3.3 m 以上にする。接続ケーブル束の長さが試

験台の長さより長い場合には,試験台後方の空いている部分の接地面から約 50 mm 上方でケー

ブル束をジグザグにして配置する。供試体から少なくとも 1 m の長さのケーブルの部分は,試験

台の前方の縁から 10 cm の位置に縁と並行に配置する(

図 20.2 及び図 20.9 参照)。複雑なケーブ

ル束に対しては,最初の分離した束の端は,ケーブル端から 10 cm とする。供試体のケーブル束

は,接地面の端を越えてはみ出してはならない。ケーブルの最小曲げ半径を得るために,供試体

を端部から離してもよい。供試体へのアンテナ用空間を

図 20.2 に示すとおりに確保する。

特殊な装備の場合には,試験台に収まりきらないほど長いケーブル束が必要になることがある。

このような場合のための試験に供する接続ケーブル束の推奨最大長さは,15 m である。ケーブ

ル束の長さが試験台に収まる場合,又は位相整合若しくは類似の理由によって特定の長さが規定

されている場合には,この推奨最大長さは,適用しない。

供試体に関連する他の機器又は負荷との間の入出力はすべて,実用形式の装置によって供給す

るか,線路対線路及び線路対接地の周波数従属インピーダンスを考慮して模擬する。

6

電源リード線  ケーブル束試験では,制御又は信号リード線と通常は一緒に束ねられている電源

及び帰路リード線は,そのまま用い,ケーブル束が試験領域から外のできるだけ近くでケーブル


106

W 0812

:2004

束から分離して配線する。その先で,これらのリード線を線路インピーダンス安定化回路網

(LISNs:Line Impedance Stabilization Networks)に接続する。

実機のケーブル束の形態が不明である場合,又は電源及び/又は帰路リード線を制御又は信号

リード線から通常離して配線する場合には,電源及び帰路リード線を供試体のコネクタに近い所

でケーブル束から分離して LISNs まで配線する。この状態においては,適用する機器仕様書で特

に規定されていない限り,LISNs までのリード線の長さは,1.0 m 以下にする。

帰路リード線が(1 m 未満の長さで)個別接地である場合には,このリード線は,適用する装

備インタフェイス管理図の指示のとおりに試験台に直接接地してよい。

7

ダミーアンテナ又はダミー負荷  この試験の目的のために,アンテナケーブルには,ケーブルの

特性インピーダンス値に等しい負荷又はダミーアンテナを終端してもよい。ダミーアンテナを使

用するときには,実際に用いるアンテナの電気特性を厳密に模擬するようにシールドし,設計す

る。ダミーアンテナには,また,フィルタ,クリスタルダイオード,シンクロ及び電動機のよう

な,通常,アンテナに使用する電気構成部品を含む。

b.

シールド室及び試験用機材  シールド室,試験用機材及び計器は,次の基準に従って構成し,作動さ

せる。

1

試験装置のボンディング  試験装置は,接地ループを最小にして要員の安全を確保するために,

ボンディングし,接地する。

2

線路インピーダンス安定化回路網(LISN)  各供試体の一次電源線路に LISN を挿入する。航空

機の装備で局部的に接地される電源帰路には,LISN は,必要ではない。LISN のケースは,接地

板にボンディングする。10 kHz 以上の自己共振をもつ LISNs(例えば,標準的な 5 µH の LISNs)

を用いる場合には,試験実施中 10 µf キャパシタを各 LISN の電力供給端子及び接地板の間に挿

入しておく。すべての試験において,LISN の無線周波(RF)測定端子には,50 Ω の抵抗を取り

付けておく。入力インピーダンス特性を,

図 20.2 に示す。

3

シールド室内のアンテナの指向方向及び配置  ダイポールアンテナ,双円すいアンテナ又はホー

ンアンテナは,

図 20.2 に示すとおり,接地板面の上方 0.3 m に中心を置き,かつ接地板に平行に

する。使用するアンテナが標準利得のホーンアンテナ又は類似の放射器のようなピラミッド形ホ

ーンである場合には,アンテナの大きさが小さくなるに応じて,また試験周波数が高くなるに応

じて,アンテナを供試体に(

図 20.2 に示した)1 m よりも近づけてよい。ただし,これは,アン

テナのファーフィールド電界境界(far field boundary)が 1 m 以内であるときにだけ許される。

送信アンテナと供試体との間隔は,送信ホーンアンテナの遠視野電界境界値と同等以上にしてお

く。アンテナのファーフィールド電界境界が 1 m を超える場合には,標準の間隔にする。

送信アンテナのファーフィールド電界境界が 1 m 以下の場合には,アンテナを供試体から 1 m

より遠く離しておいてもよい。供試体の位置では適切な電界強度を確保しなければならない。送

信アンテナを遠くへ離すと照射面積が増大するので,大形の機器を試験するときに必要になるア

ンテナの個数を減らすことができる。

備考1.  アンテナの遠距離電界境界は,次の式で計算する。

λ

D

2

2

×

ここに,

D: 送信アンテナ開口部の最大寸法,m

λ

試験周波数の波長,m


107

W 0812

:2004

2.

標準利得のホーンアンテナでは,

約 8 GHz を超える周波数においてだけ,

遠視野電磁境界が,

アンテナ位置から 1 m 未満になる。アンテナのビーム幅が,試験用システム全部をカバーし

ないときには,多数の区域で走査を行う。供試体及び少なくとも 1/2 波長の長さの電線を,

走査範囲内に置く。シールド室内の試験では,アンテナは,壁又は吸収材から少なくとも 0.3

m 離す。所要の電界強度が得られれば,代替アンテナを用いてもよい。

3.

20.6

に規定する代替放射妨害感受性試験の手順を用いるときには,上に示した事項は,適用

しない。

4

注入プローブ  プローブは,必要な電力及び周波数範囲の能力をもったものにする。注入プロー

ブの挿入損失の限度を

図 20.3 に示す。注入プローブ挿入損失の測定をする試験の構成案を図 20.4

に示す。プローブは,支持をして固定具の中央に置く。

5

シールド室  シールド室の機器及び試験構成への影響は,可能な限り少なくする。シールド室内

での放射試験中に,電磁エネルギーの反射を少なくして正確性及び再現性を改善するために,電

波吸収体を用いる。

図 20.2 に示すように,少なくとも供試体の上方,背後並びに両側方及び放

射アンテナの背後に,電波吸収体を置く。材料の最低限の性能を,

表 20.3 に示す。電波吸収体

の(装着状態でのものではなく吸収体自体の)製造業者仕様を適用してよい。

備考  20.6 に規定する代替放射妨害感受性試験の手順を用いるときには,上に示した事項は,適用し

ない。

  妨害感受の影響が生じない監視ができるようにするために,試験装置及び検出器に光ファイ

バーインタフェイスを設けてもよい。試験補助具,モニタ及び負荷模擬ユニットの設計及び保

護には,無線周波電流に対する試験装置のインタフェイス回路の適切な模擬,隔離及び不感性

を確保するほうがよい。

c.

振幅の測定  各カテゴリに対応する振幅は,図 20.5 に示すとおり,完全に変調した期間にわたっての

実効値の包絡線のピークとする。振幅の測定は,変調波形のピーク振幅を明確に設定できる方法で行

う。この測定器には,特に

20.6

の手順で使用する場合には,信号振幅の変調に対応できるよう応答時

間が十分速いものを用いる。スペクトル分析器を用いてよい。測定器の検出レベル,分解能及びビデ

オ帯域幅は,変調周波数よりも大きいものにする。測定バンド幅は,ビデオバンド幅を 3 倍にしても

測定した信号の振幅変化が 1 dB を超えないように広げておく。このバンド幅の設定値を,試験におい

て使用する。適正な設定値では,個別の変調側帯波は,分解はしない。

d.

試験周波数の適用除外  無線周波(RF)を受ける被ばく(曝)機器は,感受性試験中,ある範囲の周

波数の被ばく(in-band receive frequencies)に対して妨害感受性を示すことがあり得る。この妨害感受

性は,被ばく機器(receiver)の MOPS(最低運用要求仕様書,Minimum Operational Performance

Specificaton)によって敏感性が要求されるものにとっては,正常なものである。したがって,そのよ

うな周波数は,

試験から除外するか又は試験中のレベルを低下させるかする必要があるかもしれない。

この試験は,MOPS に規定されている被ばく機器の正常な無線周波性能特性を評価する目的のもの

ではなく,また,被ばく機器の無線周波入力部に妨害信号が導入又はカプリングされるときの性能を

評価する目的のものでもない。このような無線周波以外の,電力線及び制御・信号線等によるカプリ

ング又は被ばく機器のきょう体を通しての直接のカプリングへの機器の反応を評価すること,及び機

器の固有の仕様又は性能要求事項に基づく合否基準を決定することを目的とする。

試験は,全レベルについて,又はカテゴリ S レベルでは同調周波数の 5  %以内の周波数について,

実施する。被ばく機器の要求性能を試験手順書及び報告書又は個別の性能基準に記載しなければなら


108

W 0812

:2004

ない。

e.

周波数走査速度  掃引又はステップ速度は,供試体の応答時間並びに妨害感受帯域幅,及びモニタ用

試験器材の応答時間を考慮して選定する。選定した掃引速度は,この基準によって妥当化し試験報告

書に示す。

離散掃引周波を発生する試験器材では,試験周波数の設定は,1 デカード(decade)の周波数範囲

において 100 kHz 以上は 100 個以上,100 kHz 未満は 10 個以上とする。試験周波数は,周波数の対数

周波数の対数目盛で間隔をとるものとする。間隔を決める方法の例として 100 kHz 以上の場合には,

試験周波数が大きくなる順にその周波数を計算するのに用いる式を,次に示す。

f

n

1

f

n

×10

1/99

ここに,

f

n

試験周波数で,n は,1 から 100 まで

f

1

試験開始するときの周波数

f

100

試験終了するときの周波数

各試験周波数の滞留時間(dwell time)は,試験器材が安定するまでの時間を除いて,少なくとも 1

秒とする。供試体が各試験周波数で適切な作動モードに切り替わるため及び低周波変調中の“不活性

作動(off time)

”を許容するために必要な滞留時間を追加してもよい。少なくとも二つの変調の全サ

イクルを適用しなければならない。例えば,適用する変調が 1 Hz 方形波(SW)変調であれば,滞留

時間は,2 秒以上とする。選択した滞留時間は,供試体並びに試験用機器の応答時間及び適用変調に

基づいて正当化され,試験報告書に記載されなければならない。

連続的に周波数の走査を行う試験用機器については,最低(最速)走査速度は,1 デカード進む間

の離散した周波数の数に滞留時間を乗じたものとする。例えば,1 デカード中の離散した周波数が 100

個あり滞留時間が 1 秒である場合には,1 デカード当たり 100 秒の走査速度にする。最速走査速度は,

供試体及び試験用機器が試験実行に全面的に対応している場合だけに,用いる。

備考  追加の試験周波数は,次のような既知の機器応答周波数のものとする。イメージ周波数[nLO

±IF,ここに,n:整数,LO:部分加振機周波数,IF:中間周波数(intermediate frequency)

中間周波数(IFs)

,時計周波数など。

20.4

伝導妨害感受性(CS)試験

a.

適用性又は意図  供試体及び相互接続ケーブル又は回路を,ケーブル束の誘導電流をモニタしながら,

表 20.1 及び図 20.6 の該当カテゴリに従って試験する。航空機系統の他の機器又はインタフェイスユニ

ットに,供試体を接続するすべてのケーブル束及び該当する分岐線に,この試験を行う。

  カテゴリ A∼L 及びカテゴリ R,S,T,W 若しくは Y については,二つの異なった手順が必要であ

る。後半に示したカテゴリの場合には,第一に重要な規定項目(the primary limit)は,校正ジグ

(calibration jig)

で規定された電流を与えるための注入プローブへの供給電力

(forward power)

であり,

第二に重要な規定項目は,誘導電流である。前半に示したカテゴリの場合は,重要な表示機能をもつ

機器に対して新しく設定した HIRF(比較的強い放射電界)要求事項について試験をすることを意図

している。この場合には,第一に重要な規定項目は,試験中電線束に生じる誘導電流であり,第二に

重要な規定項目は,注入プローブへの供給電力である。この手順の違いの理由は,カテゴリ A∼L が

航空機のケーブル束誘導電流の大きさ(mesurements)に依存するものであることによっている。

  相互接続配線は,全体として,又は個別の電線として試験することができる。数個のケーブル束に

個別のプローブで同時に注入してよいし,この方法は,冗長機能がある機器に対しては必要なことも

ある。20.3.a6)に規定のとおりに試験台に直接接地される電源帰路リード線又は接地リード線は,


109

W 0812

:2004

試験用のケーブル束には含めず,試験する必要はない。

b.

プローブの校正  図 20.7 に従って信号発生器,電力増幅器,方向性結合器,減衰器,振幅測定器を構

成し,校正器に注入プローブを装置する。信号発生器を無変調 10 kHz に設定する。振幅測定器 No.1

で測定した電流又は電力が,

表 20.1 及び/又は図 20.6 の選定したカテゴリに対する電流又は電力を示

すまで,方向性結合器を通して注入プローブに 10 kHz で給電される増幅器電力を増加させる。

注意  無線周波電界は校正ジグからの再ふく射(re-radiation)のために危険でありうるので,適切に

被ばく限度を確認しておき,危険を回避する必要がある。

振幅測定器 No.2 で信号発生器又は電力増幅器の注入プローブへの供給電力を記録する。

振幅測定器 No.2 で供給電力を記録し,

かつ,適正なプローブに対して,

10 kHz∼400 MHz の範囲で,

表 20.4 及び/又は図 20.6 に従って振幅測定器 No.1 での電力振幅を保持しながら,周波数帯域(無変調)

を走査する。試験するカテゴリに応じて伝導妨害感受性試験に対する試験レベルを設定又は制限する

ため,供給電力曲線を使用する。

減衰器及び負荷の電圧定在波比(VSWR:voltage standing wave ratio)は,1.2 未満である。校正用ジ

グの電圧定在波比は

図 20.8 の値を超えてはならない。増幅器は,10 %未満の固有の高調波成分を含

めて,

(プローブが必要とする)全電力を供給できるものとする。

c.

伝導妨害感受性(CS)試験の構成  図 20.9 に従って,供試体,配線,関連インタフェイス回路及び

試験用機器材を構成する。線間コネクタ(航空機の支柱又は隔壁の装備用ディスコネクト)をもつシ

ールドケーブルで試験対象を構成する場合には,CS 電流が流れることができるように線間のシールド

端末(shield terminations)を接地面から少なくとも 3 m 持ち上げておく。誘導電流モニタプローブを

供試体から 5 cm 離して装備する。供試体のコネクタとバックシェル(backshell)を加えた長さが 5 cm

を超えるときには,プローブは,コネクタのバックシェルにできる限り近接して配置し,その位置を

記録する。プローブを支持し,中心に置く。注入プローブを確認プローブの表面から 5 cm 離して装備

する。

d.

伝導妨害感受性(CS)試験手順  適正なプローブの配置,ソフトウェアの装備,供試体の作動モード

及び安定性,試験装置及びすべてのモニタ回路並びに負荷を確認する。

注意  無線周波電界は試験中のケーブル束からの再放射のために危険でありうるので,適切に被ばく

限度を確認しておき,危険を回避する必要がある。

信号発生器を 10 kHz に設定する。

表 20.1,表 20.4 及び/又は図 20.6 の選定したカテゴリに対する電

流又は供給電力を満たすために,注入プローブへの供給電力を供給する。振幅測定器及びデータ記録

器を用いて,誘導ケーブル束電流をモニタする。

カテゴリ A∼L に対して:

選択したカテゴリレベルに対応するケーブル束誘導電流を満たすように供給電力を調整制御す

る。必要な場合には,

20.4 b.

で規定したプローブ校正手順において決めた校正値よりも 6 dB 以上超

えないように供給電力を制限する。適正な電流及び供給電力の限度値において周波数範囲を走査す

る。誘導電流値を試験報告書に記録する。

カテゴリ R,S,T,W 及び Y に対して:

20.4 b.

で規定したプローブ校正手順において決めた電力レベルに供給電力を設定する。必要なとき

は,供給電力を調整・制御し,束の誘導電流を次のとおりに制限する。

カテゴリ Y では,

1 A

カテゴリ W では,

500 mA


110

W 0812

:2004

カテゴリ R では,

100 mA

カテゴリ T では,

25 mA

カテゴリ S では,

5 mA

適正な電流及び供給電力の限度値において周波数範囲を走査する。誘導電流値を試験報告書に記録

する。

内部変調(internal modulation)

,データ並びに時計周波数及び他の重要な周波数において必要な時間

とどめておく(dwell)

。変調を適用する場合には,ピーク振幅が 20.3.c.及び

図 20.5 の定義に適合して

いることを確実にする。

走査する間に,供試体の作動を評価し,適用機器性能規格に適合していることを確認する。

e.

伝導妨害感受性(CS)変調  CW(基準持続波)及び方形波の両方の変調を適用する。RF 搬送波を 1

kHz の 90  %以上の深さの方形波で変調する。

また,時計,データ,IF,内部処理又は変調周波数など供試体に関係する上記以外の変調の適用に

ついても必要性を検討する。特に,例えば 2∼30 MHz の HF 周波数範囲における 1 Hz 変調への飛行制

御機器の反応のような低周波応答特性の可能性についても適用の必要性を検討する。選択肢として,

供試体が最も感受しやすい変調だけを用いて試験を実施することが可能である。

20.5

放射妨害感受性(RS)試験

a.

適用性又は意図  供試体及び相互接続ケーブルを表 20.2 及び図 20.10 の該当するカテゴリの無線周波

数電界にさらす。

b.

放射電界の校正  選択したカテゴリにとって適正な電界強度が設定できるように,供試体の設置に先

立って電界の校正を行う。

注意  RF 電界は危険性がある。適正な RF 被曝限度を見極める。

適切な周波数応答特性をもった 3 軸全方向電界アンテナ(等方性プローブ)又は同等の装置を用い

て,基準持続波(CW)電界の校正を行う。無指向性プローブを置く位置は,接地面の上方 30 cm と

し,供試体と同じ位置である接地面のほぼ中央とする。代替の方法として,プローブを遮へい室内の

異なった位置に置いてもよい。ただし,プローブは,同様の接地面から 30 cm 高いところに置き,同

様の吸収形態にしておく。無指向性プローブから試験周波数の変調してない電波を放射させる。選択

したカテゴリに対して無指向性プローブから合計(total)電界強度が得られるように,送信アンテナ

への供給電力を調節する。合計電解強度は,方形要素の大きさの二乗和平方根(RSS)(root sum

squared)として求められる。供給電力を記録し,この電力設定値を供試体の放射電界試験に適用する。

この校正の方法を必要な周波数範囲にわたって繰り返し実施する。

無指向性プローブからカテゴリに示される電界強度を生じさせるのに必要な基準持続波信号を放射

するための供給電力を,基準供給電力とする。方形波(SW)及びパルス変調(PM)信号は,校正レ

ベルと同じ量の供給電力を送信アンテナに送ることによって作り出す(すべてのレベルは,20.3.c.

図 20.5 で定めた“ピーク rms”とする。)。基準持続波が要求される方形波又はパルスカテゴリの電

界強度と異なった水準で校正されている場合には,適切な倍率を適用して求めてよい。

送信アンテナへの供給電力は,20.3.c.の要求事項に適合した振幅測定装置を用いてモニタし記録す

る。

水平及び垂直両偏波の電界に供試体を置く必要がある。円偏波送信アンテナを用いてもよい。

c.

放射妨害感受性(RS)試験の構成  供試体,配線,関連インタフェイス回路及び試験装置を,図 20.2

に従って構成する。


111

W 0812

:2004

信号発生器,増幅器,アンテナ及びプローブは,供試体及び相互接続配線を正しく把握するために,

所要の無線周波数電界レベルを維持する。供試体及び相互接続配線での無線周波電界強度を生成する

ために,アンテナを適切な場所に置き,方向付けする。アンテナのビーム幅が試験対用器及び配線を

全部をカバーしないときには,多数の区域で走査を行う。供試体の開口部(例えば,表示器,CRT,

コネクタ)は,送信アンテナに正対させる。そのためには,機器の向きを変え,追加試験が必要にな

る可能性がある。垂直及び水平の送信アンテナ指向が必要である。

d.

放射妨害感受性(RS)試験の手順  適切なアンテナ及び無指向性プローブの配置,ソフトウェアの装

備,供試体の作動モード及び安定性,試験装置及びすべてのモニタ回路並びに負荷を確認する。無指

向性プローブは,送信経路が正確に機能していることを確認するために使用する。適用する電界強度

は,20.5.b.の供給電力の校正から得る。

注意  無線周波電界は危険でありうるので適切に被ばく限度を確認しておき,危険を回避する必要が

ある。

放射電界の校正で決定した供給電力設定値を使用する。変調を適用する場合には,振幅のピークを

図 20.5 の定義に確実に適合させる。

適正なアンテナ及び変調装置を用いて,上限周波数までの周波数範囲を走査する。内部変調,デー

タ及びクロックの周波数で,必要に応じて停留する。走査する間に,供試体の作動を評価し,適用機

器性能規格に適合していることを確認する。

e.

放射妨害感受性(RS)変調

カテゴリ R には,次の水準及び変調を適用する。

100 Hz から 400 MHz 未満までは,20 v/m の持続波。また,1 kHz 方形波で少なくとも 90  %の深さ

まで変調した 20 v/m の変調波。

400 MHz から 8 GHz 未満までは,0.1  %デューティサイクル及び 1 kHz パルス繰返し周波数で変調

した 150 /m のパルス変調波(PM)

。回転レーダーの影響を模擬するために 50  %デューティサイクル

で 1 Hz の速さで(at a 1Hz rate)信号を“入切”切替する。さらに,平均化要求事項(the average

requirements)を満足させるために,1 kHz 方形波で少なくとも 90  %の深さまで変調した 28 v/m の変

調波を用いる。この信号は,50  %デューティサイクルで 1 Hz の速さで“入切”切替する方法を適用

する。

カテゴリ R のための,400 MHz から 8 GHz 未満までの変調の代替としては,4  %デューティサイク

ル及び 1 kHz パルス繰返し周波数で変調した 150 v/m のパルス変調波を使用する。回転レーダーの影

響を模擬するために 50  %デューティサイクルで 1 Hz ごとに信号を“入切”切替する。

カテゴリ S,T,W 及び Y には,次の変調を適用する。

100 MHz から

図 20.10

に示す上限周波数までは,1 kHz 方形波で少なくとも 90  %深さまで変調した

変調波,及び持続波。クロック周波数,データ周波数,中間周波数,内部処理周波数又は変調周波数

などの試験対象機器に関する付加的な変調も考慮する。

カテゴリ A∼G には,次の変調を適用する。

表 20.5 の適用する SW/CW レベルの試験には,CW で,100 MHz から 18 GHz まで少なくとも 90  %

深さまでの 1 kHz 方形波変調を使用する。また,時計,データ,IF,内部処理又は変調周波数など供

試体に関係する追加の変調の適用についても必要性を検討する。

400 MHz から 4 GHz までは,4 µs 以上のパルス幅,1 kHz パルス繰返し周波数のパルス変調(PM)

試験レベルを用いる。4 GHz から 18 GHz までは,1 µs 以上のパルス幅,1 kHz パルス繰返し周波数の


112

W 0812

:2004

パルス変調(PM)試験レベルを用いる。低周波応答特性をもつ供試体(すなわち,飛行制御用機器)

に対しては,50  %デューティサイクルで 1 Hz の速さで信号を“入切”切替することの必要性を検討

する。

カテゴリ H∼L には,次の変調を適用する。

表 20.5 の適用する SW/CW レベルの試験には,CW で,100 MHz から 18 GHz まで少なくとも 90  %

深さまでの 1 kHz 方形波変調を使用する。また,時計,データ,IF,内部処理又は変調周波数など供

試体に関係する追加の変調の適用についても必要性を検討する。

400 MHz から 1 GHz までは,4 µs 以上のパルス幅,1 kHz パルス繰返し周波数のパルス変調(PM)

試験レベルを用いる。1 GHz から 18 GHz までは,1 µs 以上のパルス幅,1 kHz パルス繰返し周波数の

パルス変調(PM)試験レベルを用いる。低周波応答特性をもつ供試体(すなわち,飛行制御用機器)

に対しては,50  %デューティサイクルで 1Hz の速さで信号を“入切”切替することの必要性を検討

する。

20.6

放射妨害感受性(RS)試験の代替手順―電波暗室の方法

20.6.1

適用又は意図  供試体及び相互接続ケーブルを表 20.2 及び表 20.5,及び/又は 20.10 の該当するカ

テゴリに対応させる。

20.6.2

手順の概要  この手順は,放射妨害感受性試験のもう一つの方法としての電波暗室を用いる試験方

法を規定するものである。

手順は,次の基本段階で構成する。

試験台及び/又は供試体の組付けをする前までの段階

a) 

電波暗室の新規建設又は大改修の直後に,電波暗室性能が適性であることを実証するために,性能基

準電界一様性校正技法を適用実施する。校正は,電波暗室がこの手順で規定する電界一様性要求事項

に合致していることを実証するために実施する。さらに,電波暗室の利用可能最低周波数(LUF:lowest

usable frequency)を決定しておくことが重要である。電波暗室の電界一様性の校正は,室内の伝導試

験台の位置を含む試験及び作業空間全体にわたって実施する。電波暗室の校正は,電波暗室のモード

同調動作(段階的チューナ設定)

[mode tuned(stepped tuner rotation)operation]にだけ適用し,モー

ド変動動作(連続的チューナ設定)

[mode stirred(continuous tuner rotation)operation]には適用しない。

電界一様性の測定は,電波暗室から伝導試験台を取り除いた状態で実施する。測定は,試験位置から

の 3 軸(x,y,z)に沿って 9 か所ずつ合計 27 か所で行う(20.6.3.1 参照)

。電波暗室の電界は,周波

数が 400 MHz を超える領域では周波数標準偏差値が 3 dB であり,周波数が 100 MHz から 400 MHz ま

での範囲では(片対数線図上での)傾斜が 3 ないし 4 dB で線形であれば,一様であるとする。

b) 

供試体試験に用いる線形非励振電界監視アンテナ(linear/passive field monitoring antennas)の校正技術。

線形非励振電界監視アンテナは,

(自由空間で校正された)3 軸電界(E-field)センサーに対して,校

正する。試験のこの段階(this aspect)の目的は,試験中の継続的電界監視が,速い応答のアンテナ及

び関連監視機器をもって行えるようにすることである。再度示すが,この試験は,試験台を取り除い

たうえで上記 a)で規定した電界一様性試験と同時に実施する(20.6.3.2

c) 

電波暗室の新規建設又は大改修の直後の室内装備の電界一様性への影響の試験。この試験は,将来の

諸試験に対して室内装備品の量の許容範囲を決定しておくために,実施する(20.6.3.3 参照)

電波暗室内に試験台及び供試体を組付けをする試験開始前までの段階

d) 

電波暗室内に試験台及び供試体を組付けしたときに行う電波暗室性能簡易試験。この試験の目的は,

電波暗室の負荷が上記の電波暗室校正 c)で模擬したものよりも軽いものであることを確認するため


113

W 0812

:2004

のものである(20.6.4.2 参照)

e) 

パルス変調試験(pulse modulation testing)の間室内で維持可能な最小パルス幅の測定(20.6.4.3 参照)

電波暗室の時定数が,試験周波数の 10  %以上の範囲において必要パルス幅より 0.4 倍以上大きい場合

には,アブソーバを加えるか又はパルス幅を(100 µs を超えない範囲で)広くする。

供試体の試験

f) 

試験には,モード同調手順を用いる(20.6.4.4 参照)

。モード変動は,用いない。

20.6.3

校正:室内電界一様性及び負荷評価  電波暗室性能及び入力電力要求事項についての初期的事項と

して,20.6.3 に規定する手順による“1 回(one-time)

”の(供試体なしでの)空室校正(empty chamber

calibration)を実施する。空室校正は,毎年及び電波暗室大改修後に実施することを推奨する。

通常動作に対しては,試験最低周波数(f

s

)は 100 MHz とし,最初の 10 の動作において電界の一様性を

実証する。開始周波数を 100 MHz 以外とする場合,例えば高電界を発生させるための小規模電波暗室など

では,最初の 10 の動作において電界の一様性が立証されなければならない。測定を行うのに用いることが

できる周波数は,電波暗室が

図 20.11 に示す電界一様性要求事項に適合している場合の周波数とする。

20.6.3.1

  電界一様性の立証(validation)

i.

作業空間を空けて(すなわち,試験台を取り除き)

図 20.12 の備考で概要を示すとおりに作業空間に

受信アンテナを設置する。

受信アンテナが正しい周波数に適応していることを監視するための振幅測

定器を取り付ける。

ii.

図 20.12 に示すように電波暗室内作業空間の周囲に電界(E-field)プローブを配置する。

iii.

  試験最小周波数(f

s

)での試験開始において,RF 源を調整して適切な入力電力 P

Input

が送信アンテナ

に供給する。送信アンテナには,作業空間又は受信アンテナ若しくはプローブを直接照射させない。

送信アンテナを電波暗室の一隅に向けるのが最もよい置き方である。周波数は,送受信両アンテナが

線形に対立させるように,ある幅の中に収める。室への RF 入力の調波(harmonics)が確実に基本波

(fundamental)より少なくとも 20 dB 小さくなるように注意する。

iv.

チューナを 360°にわたって段階的に(同調モード動作で)操作し,振幅測定器及び電界プローブが

チューナ操作一巡中に

表 20.6 に示す最小サンプル数を測定する。振幅測定器及び電界プローブが適

切に応答できる時間がとれるように放射時間(dwell time)を十分長くとるように注意を払う。

v.

チューナ一巡中に,受信信号の最大振幅値及び平均振幅値(dBm ではなく線形平均ワットでの)

P

Max Rec

P

Ave Rec

,電界プローブの各軸に対する最大電界強度(E

Max

x

y

z

,最大総合ベクトル電界

強度(E

Total

)及び入力電力(P

Input

)の平均値を記録する。

備考  入力電力 P

Input

の値は,チューナの回転にわたっての平均供給電力値とし,最大全電界はチュー

ナの位置における方形要素(rectangular component)の大きさの平方根とする。平均を求めるた

めの標本の数は,室の校正に用いた標本の数と少なくとも同数とする。入力電力の大きな変動

(3 dB 以上)は,電源又は増幅器の性能不足の兆候である。すべての校正は,アンテナ規準

(antenna specific)とする。アンテナの変更は,校正を無効にすることになる。すべての電力測

定は,アンテナ端子に関連する。この手順は,対数周期ホーンアンテナ(log periodic and horn

antenna)の効率の一般的値を用いている。他の型式のアンテナは,その効率が既知であれば,

用いてよい。

vi.

  上の手順を,表 20.6 に示すとおりの対数間隔の段階的周波数で周波数が少なくとも 10 f

s

になるまで,

繰り返す。

vii.

  図 20.12 に示されている 9 か所のプローブ位置及び 9 か所のアンテナ位置(うち 1 か所は作業空間の


114

W 0812

:2004

中心部とする。

)の各々について,周波数が 10 f

s

になるまで,繰り返す。

viii.

  10 f

s

を超える周波数については,プローブ及びアンテナの 3 か所の位置についてだけは,評価が必要

である。プローブとアンテナとは,お互いの間に必要な距離を保つ。プローブとアンテナとのための

1 か所ずつとしては,作業空間の中心部を充てる。表 20.6 に示すとおりの校正周波数について残りの

位置において iv.及び v.を繰り返す。

備考  プローブ位置が変更された場合には,受信アンテナを作業空間内の新しい適切な場所に移動す

るとよい。アンテナは,その位置における室軸に対応した新しい方位(各軸において少なくと

も 20°)に置く。符号として,x=室長さ(最も長い寸法)

,y=室幅及び z=室高さとする。校

正中,プローブは,室軸に沿って向きを決める必要はない。

アンテナとプローブとの間隔が適切に保たれることを確実にするための注意が必要である。

どの位

置も,その隣の位置から少なくとも 0.75 m(又は,試験最小周波数での

λ

/4)離す。日常(routine)

試験中,受信アンテナが固定位置に取り付けられる場合には,受信アンテナの定常的固定位置のうち

の一つを取付け位置とするのがよい。

ix.

  v.の段階で取得したデータを用いてプローブの最大電界測定値を平均入力電力の平方根について基

準化(normalize)する。

Input

z

y

x

Max

z

y

x

P

E

E

,

,

.

,

=

ここに,

z

y

x

E

,

,

  : 各プローブ軸での基準化測定値の最大値

E

Max xyz

各プローブ軸での測定値(10

f

s

未満では 27 測定値,10

f

s

以上では 9 測定値)の最大値

P

Input

  :

E

Max xyz

を記録したチューナ一巡中の電波暗室への平均入

力電力

及び,

Input

Total

Max

Total

P

E

E

=

ここに,

Total

E

  : プローブ各位置での基準化測定値の最大値

E

Max Total

各箇所(10 f

s

未満での 9 か所,10 f

s

以上では 3 か所)のプ

ローブ電界測定値の合計値の最大

P

Input

  : E

Max Total

を記録したチューナ一巡中の電波暗室への平均入

力電力

x.

各校正周波数に対して,各プローブ軸からの基準化最大測定値<

z

y

x

E

,

,

>を計算する。

a)  10 f

s

未満の各周波数に対し

9

9

x

x

E

E

Σ

=

ñ

á

9

9

y

y

E

E

Σ

=

ñ

á

9

9

z

z

E

E

Σ

=

ñ

á

また,各軸の等価荷重(各方形要素)を与える電界プローブ全測定値の基準化最大値の平

均値< 

27

を計算する。


115

W 0812

:2004

27

,

,

27

z

y

x

E

E

Σ

=

ñ

á

備考  <>は,算術平均であることを示す。すなわち,

27

,

,

27

z

y

x

E

E

Σ

=

ñ

á

は,

27

個の方形電界最大値(基準化)の合計を測定値の数で除したものを示す。

b

10

f

s

以上の各周波数に対して,

a)の計算を,

9

3

に,

27

9

に置き換えて,繰り返す。

xi.

10

f

s

未満の各周波数に対して,次のとおりに,電波暗室が電界一様性要求事項に適合しているかどう

かを決める。

a)  電界一様性は,

9

か所の各位値においてチューナ一巡中に得られる最大値の平均値からの標準

偏差として規定される。標準偏差は,各プローブ軸のデータを用いて独立に計算するか(例え

ば,

σ

x

)又は全データの組を用いて計算する(例えば,

σ

27

注意  全データの組と全電界とは,混同してはいけない。)

標準偏差は,次の式で与えられる。

1

)

(

2

ñ

á

=

Σ

n

E

E

i

α

σ

ここに,

n

測定値の数

i

: 各基準化電界測定値

ñ

á: 基準化電界測定値の平均値

α

n

20

に対しては

1.06

n

20

に対しては

1

ベクトルについての例:

1

9

)

(

06

.

1

2

9

ñ

á

=

Σ

x

ix

x

E

E

σ

ここに,

ix

: 軸(ベクトル)の各測定値

ñ

á

x

9

か所の測定点の基準化 E

Max x

ベクトルの算術平均

全ベクトルについての例:

1

27

)

(

2

27

,

,

27

ñ

á

=

Σ

E

E

z

y

ix

σ

ここに,

z

y

ix

E

,

,

全軸(ベクトル)の各測定値

27

ñ

áE

27

か所の測定点の基準化 E

Max x, y, z

ベクトルの算術平均

σ

 27

全軸(ベクトル)

xyz)の標準偏差

標準偏差は,平均値に対して

dB

単位で示される。

÷÷ø

ö

ççè

æ

ñ

á

ñ

á

+

=

E

E

σ

σ

log

20

)

dB

(

b)  各個別の電界要素の標準偏差(すなわち,

σ

x,  y,  z

)が,オクターブごとに二つ以上の周波数に

ついて

図 20.11 に規定する標準偏差を超えないときに,及び,全軸についての標準偏差(すな

わち

σ

  27

)が,規定されている標準偏差を超えないときに,電波暗室は,電界一様性要求事項

に適合しているとする。

もし,電波暗室が一様性要求事項に適合しない場合には,必要な低周波数での電波暗室の動

作は,不可能であろう。もし,電波暗室が一様性要求水準に達していないがその不足幅が小さ


116

W 0812

:2004

い場合には,必要な水準を次の方法によって回復することが可能である。

1)  サンプルの数(チューナの段階数)を 10  %から 50  %に上げる。 
2)  データを電波暗室への正入力電力(net chamber input power)に対する基準化したもの

にする(P

Net

P

Input

P

Reflected

。  又は,

3)  作業空間の大きさを減少させる。

もし,電波暗室が電界一様性要求水準を超えている場合には,必要とするサンプル数を減少

してもよいが,チューナの段階数は最小値の 12 段階を下回らないようにする。このことは,

電波暗室についてサンプル数を最小にして試験時間を最小限にするという最適化ができるこ

とを示している。

備考  もし,チューナが要求一様性を実現できない場合には,一様性は,チューナ台数の増加,

チューナの容量増加又はアブソーバの追加を行い Q 値を低く押さえることによって,

改善できる。

また,

電波暗室が要求水準を満たすかどうかをあらかじめ見極めるために,

電波暗室の特性(寸法・構造・方法・壁面材料)を評価するのもよい。最低周波数にお

いて 60 から 100 を超えるモードをもたないか又は非常に高い Q

S

(全溶接アルミニウム

製電波暗室でよく見かけるような)をもつ電波暗室は,要求一様性水準に達しないおそ

れがある。

重要  要求一様性を得るために,いったん電波暗室が(吸収剤を追加するなどをして)改修さ

れたか又は校正手順が(チューナ段階数を変更するなどをして)修正された場合には,

その特性の有効性を維持するために,試験期間中,その電波暗室形態及び校正手順又は

そのいずれかは,同じものにしておかなければならない。

20.6.3.2

  受信アンテナの校正  負荷状態でのアンテナ特性(20.6.4.2 参照)を評価するための比較基準と

して,無負荷電波暗室特性に対する受信アンテナ校正ファクタ(ACF:antenna calibration factor)を決定す

る。

各周波数に対するアンテナ校正ファクタ(ACF)を,次の式を用いて計算する。

ñ

á

=

fs

@

fs,or 

@

Input

c

Re

Ave 

P

P

ACF

10

3

10

9

ここに,P

Input

は,上記(v.)で得られる平均受信電力(P

Ave Rec

)を測定したそれぞれの位置に対する平均

入力電力である。この校正ファクタは,アンテナ効率など幾つかの影響要素に関するアンテナ特性測定値

の修正を行うために,必要である。

備考  〈  〉は,算術平均を示す。すなわち,〈P

Ave Rec

9

=(ΣP

Ave Rec

)/9 である。

20.6.3.1.x

a)及び(b)で示した基準化電界

27

ñ

áE

は,電界プローブの測定値に基づくものである。電

界要素の平均値は,アンテナからの最大受信電力を用いて推算することもできる。各周波数における基準

化電界を,次の式を用いて計算する。

ñ

á

÷

=

f

fs,or

Input

rx

Ave Rec

P

P

E

10

3@

10

9@

5

8

η

π

ここに,

  P

Ave Rec

20.6.3.1

v.)から得られるアンテナ位置におけるチューナ一巡

中の最大受信電力

P

Input

20.6.3.1

v.)から得られる P

Max Rec

が測定された位置に対応し

た平均電波暗室入力電力

η

rx

受信アンテナのアンテナ効率ファクタ。対数周期アンテナに


117

W 0812

:2004

は 0.75 を,ホーンアンテナには 0.9 を仮定してよい。

プローブとアンテナによる測定値との間に±3 dB 以上の差がある場合には,是正措置をとる。

20.6.3.3

  電波暗室最大負荷の評価  負荷となる 1 個の供試体による電波暗室への良くない影響があるか

どうかを決定するために,模擬した負荷条件の下での電波暗室電界一様性 1 回点検(one-time check)を実

施する。負荷状態電波暗室の校正は,電波暗室の使用寿命中に 1 回又は大改修後に 1 回だけ実施するのが

よいとされている。各試験に先立っては,20.6.4.2 及び 20.6.4.3 の手順に従った校正を実施する。

i.

電波暗室の作業空間内に少なくとも通常試験中に予想される水準までの十分な量の吸収材を取り付

ける[負荷の代表的な量として,ACF(12 dB)の 16 の変化を考慮するのがよい]

ii.

電界プローブの外周部の 8 個の位置

(eight outer locations)

を用いて 20.6.3.1 に示した校正を実施する。

電界プローブ及び受信アンテナまで吸収材から

λ

/4 以上の距離が保たれるよう注意を払う。

iii.

  電波暗室負荷値を,無負荷電波暗室アンテナ校正ファクタ(ACF)と負荷電波暗室(20.6.3.2 参照)

で得られる ACF とを比較して,決定する。

ACF

ACF

mber

Loaded Cha

ber

Empty Cham

負荷値=

iv.

8 か所だけからのデータを用いて電界一様性校正を繰り返す。

  電波暗室負荷が,オクターブ当たり二つ以上の周波数において,許容標準偏差を超える電界方形要

素をもたらす場合,又はすべてのベクトルの標準偏差(すなわち

σ

 27

)が許容標準偏差を超える場合

には,電波暗室は,電界一様性が影響を受ける程度にまで,負荷されてしまっている。このような場

合には,負荷を減らして影響評価を再度実施する。

周波数が 10 f

s

を超える範囲では,無負荷での確認(verification)が必要である。

20.6.4

機器の試験

20.6.4.1

  試験の組付け(set up)  ここでは,特に規定すること以外は,20.3 の要求事項を電波暗室試験

に適用する。

代表的な試験の組付けを

図 20.13 に示す。20.3 a.5)に規定するとおり,機器の配置は,実機装備と同

じ配置にするのがよい。20.6.3.1 に示すとおり,供試体は,作業空間内に配置する。さらに,供試体の体

積は,電波暗室体積の 8  %以上を占めてはならない。

送信及び受信アンテナは,20.6.3.1 で使用したものと同じアンテナとする。

送信アンテナは,校正を実施したときと同じ場所に置く。ソフトウェアのインストール,供試体の動作

モード及び安定性,試験用機材及びすべての監視回路及び負荷を組付ける。

20.6.4.2

  校正  各試験に先立ち,供試体及び試験用機材を室内に設置し,次の手順に従って校正を実施す

る。

i.

  図 20.13 に示すとおり,受信アンテナを電波暗室内の作業空間内に置き,供試体,試験用機材などか

ら 0.75 m(又は,試験最小周波数での

λ

/4)の距離をとる。受信アンテナが正しい周波数に合っている

かどうかを監視するための振幅測定計器を組み付ける。

ii.

  最小周波数(f

s

)試験の始めに,適切な入力電力(P

Input

)が送信アンテナに供給されるよう RF 源を調

整する。電波暗室への RF 入力の倍数(harmonics)が,基準値よりも少なくとも 20 dB 低くなるよう

に注意を払う。

iii.

  均一性基準(homogeneity criterion)を満たすために必要な 20.6.3.1 x.b)で規定した追加的要素を考

慮して,電波暗室及びチューナを動作させる。振幅測定に適切な応答時間が確実にとるために滞留時

間(dwell time)を十分長くするよう注意を払う。


118

W 0812

:2004

iv.

  受信信号(receive signal)(P

Max Rec

P

AveRec

)の最大振幅並びに平均振幅及び入力電力(P

Input

)の平均

値を,記録する。測定機器は,正確な平均データが得られるように,最大受信電力(P

Max Rec

)よりも

少なくとも 20 dB 低い騒音水準(noise floor)のものとするのがよい。

v.

  20.3e)に規定した試験周波数について,上の手順を実施する。

vi.

  各周波数における電波暗室校正ファクタ(CCF)を,次の式を用いて計算する。

n

Input

c

Re

Ave

P

P

CCF

=

ここに,

CCF: 供試体及び試験使用機材が存在する場合のチューナ一巡中

の基準化平均受信電力

P

Ave Rec

iv.)で得られるチューナ一巡にわたる平均受信電力

P

Input

iv.)で得られるチューナ一巡にわたる平均供給電力

n: CCF を評価するアンテナ位置の数。1 か所だけが要求される

のであるが,多数箇所 において評価しその結果を平均す

るとよい。

vii.

  各周波数における電波暗室負荷ファクタ(CLF)を,次の式を用いて計算する。

ACF

CCF

CLF

=

ここに,

CCF

上記(vi.)で得られる平均受信電力の入力電力に対する比

ACF

20.6.3.2

に規定するアンテナ校正で得られる平均受信電力の

入力電力に対する比

もし,試験周波数の数の 10  %以上において,電波暗室負荷ファクタの大きさが 20.6.3.3 で測定さ

れた電波暗室負荷ファクタの値を超えている場合には,電波暗室が,電界一様性に影響を受ける程度

に負荷されてしまっている。その場合には,供試体又は模擬負荷を置いて 20.6.3.1 に規定した電波暗

室一様性の測定を再実施する。

備考  20.6.4.2 iv.で測定した

P

Ave Rec

の値が,20.6.3.1 v.で記録した 9 か所すべてでの値の範囲の内に入

っていれば(すなわち,大きくもなく小さくもなければ)

CLF

の計算は行う必要はなく,

CLF

の値は 1 であると仮定してよい。

20.6.4.3

  及び時定数の校正  パルス波による試験の実施に必要な十分速い電波暗室時間応答を確保す

るために,電波暗室の時定数を,次の手順を用いて求める。

i.

電波暗室の校正(20.6.4.2 vi.)で得られる

CCF

を用いて,400 MHz 以上の試験周波数について,品質

ファクタ

Q

を,次の式によって計算する。

)

(

V

16

3

Rx

Tx

2

CCF

Q

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

λ

η

η

π

ここに,

η

Tx

η

Rx

それぞれ,発信及び受信アンテナの効率ファクタ。

対数周期アンテナについては 0.75 を,ホーンアンテ

ナについては 0.9 を安全側の推定値として用いること

ができる。

V

電波暗室内体積(m

3

λ

特定周波数における自由空間波長(m)

CCF

電波暗室校正ファクタ


119

W 0812

:2004

ii. 400

MHz 以上の試験周波数について,電波暗室時定数

τ

を,次の式によって計算する。

f

Q

π

τ

2

=

ここに,

Q

:  上記(i.)で求めた計算値

f

:  試験周波数(Hz)

iii.

試験周波数の数の 10  %以上において,時定数が変調試験波形パルス幅の 0.4 以上になる場合には,電

波暗室に吸収材を追加するか又はパルス幅を増大させるかする。吸収材を追加する場合には,できる

だけ少ない量の吸収材によって要求が満たせるように,

Q

の測定及び計算を繰り返し実施する。吸収

材が必要な場合には,改めて

CLF

を求め直す。

20.6.4.4

  モード同調放射妨害感受性(RS)試験手順

注意事項  無線周波電界は危険でありうるので,適切に被ばく限度を確認しておき,危険を回避する

必要がある。

各試験周波数について電波暗室入力電力を,

表 20.5 の電界強度レベルから次の式を用いて決定する。

2

ú

û

ù

ê

ë

é

×

ñ

á

=

CLF

E

E

P

n

Total

Test

Input

ここに,

E

Test

必要電界強度(V/m)で,

図 20.10 及び表 20.5 又はいずれ

かから求める。

CLF

電波暗室負荷ファクタで,20.6.4.2 vii.で得られる。

ñ

á

Total

E

基準化最大全電界平均値で,20.6.3.1 ix.で得られる。

試験周波数における基準化電界校正値(

E

)を求めるには,校正周波数の間を内挿する必要がある。

表 20.6 に列挙したように,多数のチューナ位置を用いる。周波数ごとにチューナの完全な一巡ができる

ように,チューナは,等間隔で回転するのがよい。

適用電界強度は,上記で計算した

P

Input

から求める。入力電力を

P

Input

に合わせその値を記録する。送信

路(transmit path)が正しい状態にあることを保証(verify)するのに受信アンテナを用いる。

適切な変調を用いて周波数範囲を周波数の高い側の限度まで段階的に上げる。

20.5

に規定するとおりに,

搬送波(carrier)を変調する。そのとき,振幅のピークを

図 20.5 に示したものと確実に一致させる。この

手順において,滞留時間は,20.3 e.に規定するとおりとするのがよい。内部変調,データ及び時計の周波

数に必要なだけ停滞させる。

各周波数で停滞している間中に,供試体の作動を評価し,適用する機器性能規格に適合しているかどう

かを決定する。 


120

W 0812

:2004

 20.1  誘導妨害感受性試験に適用するカテゴリ

航空機形式

回転翼機

厳しい環境

証明適用環境

一般適用環境

ヘリコプタ G  H  J

機体長さ<25 m

適用なし A

B

25 m≦機体長さ<50 m

適用なし C

D

50 m≦機体長さ

適用なし E

F

すべての形式

適用なし K

L

 20.2  放射妨害感受性試験に適用するカテゴリ

公称遮へい量

回転翼機

厳しい環境

証明適用環境

一般適用環境

 0 dB

L

G

G

 6 dB

K

F

F

10 dB

― E  E

12 dB

J

D

D

14 dB

― C  C

18 dB

I

B

B

24

dB  H A A

 20.3  垂直入射時の放射電界吸収率

周波数

最小吸収率

100∼250 MHz

  6 dB

250 MHz 以上 10

dB

 
 
 
 
 
 
 
 


121

W 0812

:2004

 20.4  誘導妨害感受性試験のレベルとカテゴリとの対応

周波数

カテゴリレベル(mA)

(MHz)

A B C D E  F G H  J  K L R S  T W Y

0.01 0.2 0.08 0.5  0.2  2.5  1  4.5  1.5 0.6 2.5 1 0.6

0.03

0.15 3  6

0.1  1.6 064 3.5  1.4  25  10 19.2 6.4 2.56 25 10  6  0.3 1.5 30 60 
0.1 1.6 0.64 3.5 1.4  25  10 25.6 6.4 2.56 25 10  6  0.3 1.5 30 60 
0.5 7 2.6

13.5

5.4 125 50 66 16.5 6.6 125  50  30  1.5  7.5 150 300

0.5 7 3.9

13.5

8.1 125 75 66 16.5 9.9 125  75  30  1.5  7.5 150 300

1.5  20  12  35  21 125 75 136 32  20 125 75  30  1.5 7.5 150 300

2  25  15  35  21 125 75 164 41 24.6 125 75  30  1.5 7.5 150 300 
2  50  50  70  70 250 250 164 82  82 250 250 30  1.5 7.5 150 300 
3  70  70  70  70  250 250 214 105 105 250 250  30  1.5  7.5  150 300 
5  70  70  70  70  250 250 300 150 150 250 250  30  1.5  7.5  150 300 
6  70  70  70  70  205 205 300 150 150 205 205  30  1.5  7.5  150 300

15 70 70 50 50 86 86 300 150 150 150 150 30 1.5 7.5 150 300 
30 59 59 39 39 48 48 300 150 150 150 150 30 1.5 7.5 150 300 
30  29.5 5.9 19.5 3.9  24  4.8  300 75 15 75 15 30 1.5 7.5 150 300 
70 23.25

4.65 14  2.8  13  2.6 216  54 10.8 54 10.8 30  1.5  7.5 150 300

100 20.5 4.1 12 2.4 11.5 2.3 180 45  9  45  9  30 1.5 7.5 150 300 
100 41 4.1 24 2.4 23 2.3 180 90  9  90  9  30 1.5 7.5 150 300 
200  34  3.4  19.5 1.95 18.5 18.5  132  66 6.6 66 6.6 30 1.5 7.5 150 300 
200  34  3.4  19.5 1.95 18.5 18.5  132  66 6.6 66 6.6 30 1.5 7.5 150 300 
400 30 3 15 1.5 15 1.5

100 50 5 50 5 30 1.5 7.5

150

300

121

W 0812


2004


122

W 0812

:2004

 20.5  放射妨害感受性試験のレベルとカテゴリとの対応

証明及び一般

適用環境

カテゴリ A

(V/m)

(24 dB)

カテゴリ B

(V/m)

(18 dB)

カテゴリ C

(V/m)

(14 dB)

カテゴリ D

(V/m)

(12 dB)

カテゴリ E

(V/m)

(10 dB)

カテゴリ F

(V/m)

(6 dB)

カテゴリ G

(V/m)

(0 dB)

周波数

SW/CW PM SW/CW

PM SW/CW

PM SW/CW

PM SW/CW

PM SW/CW

PM SW/CW

PM

100∼200

MHz

7 N/A 13 N/A 20 N/A 25 N/A 32 N/A

50 N/A 100 N/A

200∼400

MHz

7 N/A 13 N/A 20 N/A 25 N/A 32 N/A

50 N/A 100 N/A

400∼700

MHz

4

45

7

88 10 140 13 175 16 220

25

  350

50

  700

700 MHz∼1

GHz

7

45 13

88 20 140 25 175 32 220

50

  350 100

  700

1∼2

GHz  13 125 25 250 40 400 50 500 64 630 100

1

000

200

2

000

2∼4

GHz  13 190 25 375 40 600 50 750 64 950 100

1

500

200

2

000

4∼6

GHz  13 190 25 375 40 600 50 750 64 950 100

1

500

200

3

000

6∼8

GHz  13  63  25 125 40 200 50 250 64 320 100

  500 200 1

000

8∼12

GHz  19 190 38 375 60 600 75 750 95 950 150

1

500

300

3

000

12∼18

GHz  13 125 25 250 40 400 50 500 64 630 100

1

000

200

2

000

ヘリコプタ 
厳しい環境

カテゴリ H

(V/m)

(24 dB)

カテゴリ I

(V/m)

(18 dB)

カテゴリ J

(V/m)

(12 dB)

カテゴリ K

(V/m)

(6 dB)

カテゴリ L

(V/m)

(0 dB)

周波数

SW/CW PM SW/CW

PM SW/CW

PM SW/CW

PM SW/CW

PM

100∼200

MHz 13  N/A  25  N/A

50 N/A 100 N/A 200 N/A

200∼400

MHz 13  N/A  25  N/A

50 N/A 100 N/A 200 N/A

400∼700 MHz

13

 45

25

 90

 50

   180 100

  365 200

  730

700 MHz∼1

GHz

16

90 32 175

60

  350 120

  700 240 1

400

1∼2

GHz

16  315  32  630

60 1

250 125 2

500 250 5

000

2∼4

GHz

30  380  60  760  120 1

500 245 3

000 490 6

000

4∼6

GHz

25  455  50  910  100 1

800 200 3

600 400 7

200

6∼8

GHz  10

70 20 140

40

  280

85

  550 170 1

100

8∼12

GHz  20  315  40  630

80 1

260 165 2

500 330 5

000

12∼18

GHz  20 125 40 250

80

  500 165 1

000 330 2

000

備考1.  カテゴリ R,S,T,W 及び Y の

試験レベルは,

図 20.10(a 及び

b)に示す。

2.

各列の頭にある(xx dB)の値は,
機 体 の 外 部 高 強 度 放 射 電 界

(HIRF)に適用されている遮へ
い量を示す。 

122

W 0812


2004


123

W 0812

:2004

 20.6  電波暗室試験での適合性基準

周波数範囲(

1

)

校正及び試験のための 
推奨サンプル数(

2

)(

3

)(

4

)

校正に必要な周波数の数(

5

)

f

s

∼4f

s

 60

50/decade

4f

s

∼8f

s

 36 50/decade

8f

s

以上 18 20/decade

注(

1

)  f

s

は,試験を開始する周波数

(

2

)  チューナの独立な位置又は間隔

(

3

)  最少サンプル数は,12 とする。

(

4

)  校正要求事項を満たすために用いるサンプルの数は,各周波数範囲に対して固定する。

(

5

)  対数間隔

 20.1  線路インピーダンス安定化回路の入力インピーダンス


124

W 0812

:2004

注(

1

)  供試体に対する一般要求事項については,20.3 を参照。

(

2

)  露出ケーブルの終端。シールドなしのケーブルは,この位置から壁までシールドしてもよい。

(

3

)  ボンディングストラップ

(

4

)  放射電界吸収体は,天井から地上面までの試験組付け区画の上部,後部及び両側面に取り付ける。

(

5

)  放射電界吸収体は,天井から床までの間の試験アンテナの背面に取り付ける。アンテナと吸収体と

の間の間隔は,30 cm 以上とする。

 20.2  放射妨害感受性試験の構成


125

W 0812

:2004

 20.3  注入プローブの挿入損失限界

 20.4  注入プローブの挿入損失試験の構成


126

W 0812

:2004

 20.5  振幅測定


127

W 0812

:2004

 20.6及び B)  誘導妨害感受性試験のレベル


128

W 0812

:2004

 20.6及び D)  誘導妨害感受性試験のレベル


129

W 0812

:2004

 20.6及び F)  誘導妨害感受性試験のレベル


130

W 0812

:2004

 20.7  伝導妨害感受性試験校正の構成

 20.8  校正用ジグの最大 VSWR 限界


131

W 0812

:2004

注(

1

)  供試体に対する一般要求事項については,20.3 を参照。

(

2

)  露出ケーブルの終端。シールドなしのケーブルは,この位置から壁までシールドしてもよい。

(

3

)  ボンディングストラップ

 20.9  伝導妨害感受性試験の構成


132

W 0812

:2004

 20.10及び B)  放射妨害感受性試験のレベル


133

W 0812

:2004

 20.10及び D)  放射妨害感受性試験のレベル


134

W 0812

:2004

 20.10及び F)  放射妨害感受性試験のレベル


135

W 0812

:2004

 20.10及び H)  放射妨害感受性試験のレベル


136

W 0812

:2004

 20.11  電界一様性試験のための許容標準偏差


137

W 0812

:2004

備考1.  電波暗室内部の校正は,9 か所のプローブ位置で行う。

2.

上に示すように,位置は,電波暗室の作業区画を囲むように配置する。作業区画の境界表面は,どの室壁,

電界発生用アンテナ及びチューナ組立からも 0.75 m(又は,最小周波数の

λ

/4)よりも近づけないのがよい。

校正及びモニタのためには,受信アンテナ作業区画内のどの位置に置いてもよい。送信アンテナは,可能な
らば電波暗室の隅に向けて置く。アンテナをチューナに向けて置いてもよい。送信アンテナの位置は,校正

及び試験の間中固定しておく。送信アンテナの位置は,校正及び試験とも同じ位置とする。

3.

作業区画は,電波暗室の最大作業区画の大きさ又は供試体に適した大きさにしてよい。より大きい供試体を
試験するときには,2 回目の校正が必要にならないように,最大作業区画の大きさにしておくのがよい。

4.

校正には,3 軸に設定できる等方位(isotropic)プローブを用いる。ダイポールアンテナが各測定位置への直
交する 3 軸の交点に置かれるならば,校正された電気的には短い(0.1 m 以下の)ダイポールアンテナを代用
してもよい。ダイポールがその接続電気ケーブルからの影響を受けないように注意を払う。光学的に独立し

た測定システム(等方位プローブ又はダイポール)の使用が,推奨される。

5.

低い試験用周波数において

λ

/4 よりも大きくとれるなら,最小間隔は,0.75 m よりも小さくてよい。どのよう

な場合にでも分離間隔を 1/4 m 以下にすることは,推奨されない。

 20.12  電波暗室校正用プローブ位置


138

W 0812

:2004

備考1.  作業区画は,どの電波暗室壁面,電界発生用アンテナ及びチューナから少なくとも 0.75 m(又は,

λ

/4)離れ

ている。

2.

電波暗室には,不必要ないかなる吸収材もない。木製テーブル,じゅうたん,床カバー,壁カバー又は天井
タイルなどは,使っていない。表面が出ている簡易固定具も負荷になりえる。新しい電波暗室については,

扉,排出口及び開閉パネルは別として,その他の支援機材を装着する前に電波暗室の評価を実施することが
推奨される。

 20.13  適切な電波暗室試験設備の例

 


139

W 0812

:2004

21.0

無線周波エネルギー放射

21.1

試験の目的  これらの試験は,機器が,次に規定するレベルを超えて,望ましくない無線周波雑音

を放射しないことを確認するためのものである。放射限度に規定したノッチは,航空機の無線周波センサ

の動作周波数を保護するために考慮されている。

21.2

機器のカテゴリ  カテゴリは,航空機のアンテナと機器との距離及べ位置関係で決める。これらの

パラメータは,航空機の型式と大きさに深く関係するので,各カテゴリの定義に例を示す。

カテゴリ B  干渉を許容可能レベルに制御するほうがよい機器は,カテゴリ B として識別する。

カテゴリ L  航空機の開口部(窓等)及び無線受信アンテナから遠く離れた部分に装備される機器及び

接続電線は,カテゴリ L として識別する。航空機の電子機器室に装備される機器及び接続電線に適用する

カテゴリである。

カテゴリ M  開口部(窓等)は多いが無線受信アンテナからの直接の視野には入っていない部分に装備

される機器及び接続電線は,カテゴリ M として識別する。輸送航空機の客室又はコックピットに装備され

る機器及び接続電線に適用するカテゴリである。

カテゴリ H  無線受信アンテナからの直接の視野に入る部分に装備される機器は,カテゴリ H として識

別する。航空機の外面部分に装備される機器に適用するカテゴリである。

21.3

伝導による無線周波(RF)放射

a.

  機器によって発生し,クランプオン型プローブをもつ干渉測定装置を用いて測定したときに,

図 21.1

に示す周波数範囲内で図示の値を超える干渉電流は,航空機のバスに通常接続するどのような電源線

路にも,現れてはならない。線路インピーダンス安定化回路網(LISN)を,

図 21.3 に示すように,使

用する。

図 20.1 は,LISN に対する技術データを示す。20.3a.6)に示した接地板に局部的に接続し

た電力帰路線については,試験はしない。

b.

  一次電源線路及びアンテナ給電ケーブル以外の相互接続ケーブル束に発生する干渉電流は,クランプ

オン型プローブをもつ干渉測定器を用いて測定する。限界値及び周波数範囲は,

図 21.2 に示すとおり

とする。

図 21.3 は,電流プローブを使用する簡略化した試験配置を示す。

  供試体から 5 cm のところに電流プローブを取り付ける。供試体のコネクタとバックシェルを加えた

長さが 5 cm を超える場合には,プローブをバックシェルにできるだけ近いところに取り付け,その旨

を記録する。

21.4

ふく射による無線周波(RF)放射  機器がその周波数範囲内で発生した,該当カテゴリに対して図

21.4

図 21.5 及び図 21.6 に示す値を超えるふく射干渉電界は,どのようなユニット,ケーブル又は相互接

続配線からもふく射されてはならない。これは,アンテナからのふく射は含まず,また送信機の場合には,

その送信機が送信動作中で負荷に対して無線周波を供給しているときには,

(選択した周波数)±(それと

隣接チャネルとの間の周波数幅の 50  %の範囲内の周波数)でのどのようなふく射も含まない。無線送信

機又は送受信機が送信動作中ではなく受信モードのときには,

(選定した周波数)±(それと隣接チャネル

との間の周波数幅の 50  %の範囲内の周波数)  について規定した放射要求事項を満足させなければならな

い。ふく射無線周波放射試験を実施するための機器の代表的配置を,

図 21.7 に示す。

備考  21.4 では,受信機及び送信機のアンテナ端子から伝導される不要信号(spurious signals)を測定

又は制御対象にしない。それらの取扱いは,受信機又は送信機に対する機器性能規格に規定す

るのがよい。

21.5

一般要求事項  供試体は,接地板上に設置し,次の追加事項とともに,並びに 20.3b.1),20.3b.2

及び 20.3b.5)に規定する基準に従って操作する。


140

W 0812

:2004

a.

  干渉は,干渉測定器のピーク検出機能を用いて測定する。選択可能な中間周波帯域幅(BWI)をもつ

妨害測定器を用いてよいが,選択した帯域幅(BWI)は,次の表の範囲内になければならない。

ピーク検出器の時定数は,中間周波帯域幅分の 1/BWI 以下にする。適用できる場合には,ビデオ帯

域幅は,分解能帯域幅(resolution bandwidth)以上にする。

          周波数帯      (MHz)

      中間周波数帯域幅      (kHz)

0.15∼30 1

30∼400 10

400∼1 000

100

1 000∼6 000

1 000(1MHz)

備考  ふく射試験の間,上記の帯域幅では,カテゴリ M 及び H として定めたノッチが適切に測定で

きる程度の低い背景雑音が得られないかもしれない。この場合には,10 kHz の帯域幅をノッチ

の中の測定に用い,補正係数は使用しない。

b.

  電界強度の単位は,

適切なアンテナを使用し,

その測定電圧に対して適切なアンテナ係数を加味して,

dBµV として得られる。また,ケーブル損失と整合回路網とに関する適切な補正係数も,適用する。

c.

  25 MHz を超えるふく射試験に対して直線偏波(linearly polarized)アンテナを使用する場合には,垂

直及び水平の両偏波方向を用いて放射量を測定する。

d.

  表示装置(displays)のような複数の開口部及び受感部をもつ供試体に対しては,例えばコネクタ側及

び開口部側をアンテナに向けるなど,複数の異なった向きでの試験が必要になる場合がある。

e.

最大の放射をする現実的な供試体の作動モードを考慮しなければならない。

f.

  (供試体が“切”

,試験支援機材が“入”の状態での)背景雑音のデータは,供試体の放射量が選定し

たカテゴリの限界値よりも 3 dB 低い値を超える場合にだけ,必要である。放射試験を実施するに際し,

事前に背景雑音を測定することは技術的によい方法であり,背景雑音は,適用カテゴリの限界値より

少なくとも 6 dB 以上低いことが望ましい。

g.

  供試体の放射状態を測定・記録し,選定したカテゴリに対する

図 21.4,図 21.5 又は図 21.6 の適切な限

界値を当てはめる。


141

W 0812

:2004

限界値を示す曲線は,次のとおりとする。

      限界値レベル=logFn 
    ここに m:傾斜,F:周波数(MHz)

n:周波数 2 MHz でのレベル値

カテゴリ B の場合:F<2 MHz で,m=−29.335  n=48.83

カテゴリ L,M 及び H の場合:F<2 MHz で,m=−29.335  n=28.83

 21.1  伝導による無線周波干渉の許容最大レベル,電源線

限界値を示す曲線は,次のとおりとする。

      限界値レベル=logFn 
    ここに m:傾斜,F:周波数(MHz)

n:周波数 2 MHz でのレベル値

カテゴリ B の場合:F<2 MHz で,m=−29.335  n=68.83

カテゴリ L,M 及び H の場合:F<2 MHz で,m=−29.335  n=48.83

 21.2  伝導による無線周波干渉の許容最大レベル,相互接続ケーブル


142

W 0812

:2004

 21.3  伝導による無線周波干渉試験の代表的な構成


143

W 0812

:2004

限界値を示す曲線は,次のとおりとする。

      限界値レベル=logFn 
    ここに m:傾斜,F:周波数(MHz)

n:周波数 25 MHz でのレベル値

カテゴリ B の場合:F<25 MHz で,m=−4.558  n=61.372,F≧25 MHz で,m=15.965  n=32.682

カテゴリ L の場合:F<25 MHz で,m=−4.558  n=41.372,F≧25 MHz で,m=15.965  n=12.682

 21.4  ふく射による無線周波干渉の許容最大レベル,カテゴリ B 及び L


144

W 0812

:2004

限界値を示す曲線は,次のとおりとする。

      限界値レベル=logFn 
    ここに m:傾斜,F:周波数(MHz)

n:周波数 25 MHz でのレベル値

カテゴリ M の場合:F<25 MHz で,m=−4.558  n=41.372,F≧25 MHz で,m=15.965  n=12.682

 21.5  ふく射による無線周波干渉の許容最大レベル,カテゴリ M

限界値を示す曲線は,次のとおりとする。 
      限界値レベル=logFn

    ここに m:傾斜,F:周波数(MHz)

n:周波数 25 MHz でのレベル値

カテゴリ H の場合:F<25 MHz で,m=−4.558  n=41.372,F≧25 MHz で,m=15.965  n=12.682

 21.6  ふく射による無線周波干渉の許容最大レベル,カテゴリ H


145

W 0812

:2004

 21.7  ふく射による無線周波妨害試験の代表的な構成


146

W 0812

:2004

22.0

雷誘起過渡妨害感受性

22.1

試験の目的  ここに規定する試験の方法及び手順は,理想化した波形を適用して,雷が誘起する電

気的過渡現象の影響に機器が耐える能力を確認するためのものである。雷過渡現象があるときの機器の性

能の基準は,適用機器仕様書に規定しなければならない。

機器を認定するために,二つの試験の組を適用することができる。一つは,22.5.1 に規定するピン注入

方法を用いて実施する損傷許容試験であり,もう一つは,22.5.2.1 及び 22.5.2.2 に規定する試験で,機器間

接続用のケーブル束による結線に過渡現象を与えた場合の機器の機能不具合許容試験である。このケーブ

ル束試験によって損傷許容についての指標(indication)を示すこともできる。適用する試験の組を適用機

器仕様書に規定しておく。

備考  これらの試験では,雷が誘起する現象が機器,特にシステムに組み込まれた機器に及ぼす相互

作用及び影響のあらゆる状況について検証できるわけではない。システムの証明(certificaion)

を得るためには,ケーブル束注入試験・多重雷撃(multiple stroke)

・多重破裂(multiple burst)

及び/又は多重周波数(multiple frequency)のような追加の試験が必要となる可能性がある。機

器への直撃雷の影響に関する試験は,この規格に規定する。

22.2

定義

ケーブル束(cable bundle)  二つの機器を結ぶために接続した束にしてあるワイヤ及びケーブル又はその

いずれかの組。

校正ループ(calibration loop)  注入変圧器を通過し絶縁された 2 次巻線を形成する,頑丈でかつ自己誘導

と抵抗とが低い単巻きワイヤループ。インピーダンスは,試験レベルと波形を達成するのに十分に低い値

のものがよい。

発生器(generator)  供試体に直接又は間接に電圧又は電流波形を与えるための 1 組の機材(波形合成器,

増幅器,カプラなど)

局所接地(local ground)  機器と機器が取り付けられている部位の機体構造部材とを接続する接地ストラ

ップ又は導体。接地ストラップ又は導体は,機器が取り付けられている同一接地面に取り付けられ,被雷

中,機器と同じ電位になるようにするものである。

モニタループ(monitor loop)ケーブル束誘起電圧又は校正用ループ電圧をモニタするのに用いるための,

注入変圧器を通過する絶縁された 2 次巻線を形成する密着した単一巻きのワイヤループ。

シールド(shield)  ケーブル束内に平行に配置され両端を機器ケース又は機体構造に接地された導体。通

常,これは,ケーブル束の中の何本かのワイヤ又はケーブルを包む金属編み組線,又は両端がケーブル束

内で接地されている金属製コンジット・金属チャネル材又は金属線である。シールドの効果は,接続され

る機器相互間に低抵抗導通路を形成することである。

シールドケーブル束(shielded cable bundle)  一つ以上のシールドをもっているケーブル束。シールドケ

ーブル束には幾つかのシールドされていないワイヤが含まれていることがある。

シールドなしケーブル束(unshielded cable bundle)  シールドがないケーブル束。

22.3

カテゴリ  機器の製造業者は,その機器に予期される用途及び航空機への取付けに適合した試験の

レベル及び波形で機器を試験しなければならない。

機器に対するカテゴリ記号は,次のとおり 4 文字からなる。

a.

  ピン試験の波形の組は,

表 22.1 に示す A 又は B,若しくは Z 又は X。

b.

  ピン試験のレベルは,

表 22.2 に示す 1 から 5 まで,若しくは Z 又は X。

c.

  ケーブル束試験の波形の組は,

表 22.1 に示す C から F まで,若しくは Z 又は X。


147

W 0812

:2004

d.

  ケーブル束試験のレベルは,

表 22.3 に示す 1 から 5 まで,若しくは Z 又は X。

したがって,カテゴリ記号は,次のように表される。 
 
 
 
 
 

この例では,カテゴリ XXC3 は,波形の組 C を用いて

表 22.3 に示すレベル 3 でケーブル束試験を実施す

る機器であることを示している。他の例として,カテゴリ B3XX は,波形の組 B を用いて

表 22.2 に示す

レベル 3 でピン試験を実施する機器であることを示している。

この例で,

第 3 番目及び第 4 番目の記号は,

ケーブル束試験は実施しないことを示している。どの試験も実施しない機器のカテゴリは,XXXX である。

ケーブル束の一般的な装備を,

図 22.1 に示す。図 22.2 から図 22.6 までは,波形の組 A から F までのそ

れぞれの波形を示す。

それぞれの試験の波形の組を示す位置の記号 Z は,波形の組及び試験形態(シールド適用,接地適用)

が,

表 22.1 とは異なるものであることを示す。同様に,試験レベルを示す位置の記号 Z は,表 22.2 又は

表 22.3 に示すレベルとは異なるレベルの試験であることを示す。例えば,AZZ3 は,ピン試験を表に示し

たものとは別のレベルで実施し,ケーブル束試験は表に示す波形とは別の波形及び形態を適用してレベル

3 で実施することを示している。特定の試験条件及び試験レベルは,試験報告書に記述しなければならな

い。

22.3.1

波形の組の記号(第 及び第 文字)  波形の組 A,C 及び E は,全金属製機体構造内に機器があ

る場合のように,構造物の抵抗成分ではなく開口部(aperture)が誘起過渡現象の主要な要因となる航空機

機体に装備された配線に接続される機器に適用する。同じ理由によって,金属製骨組み構造と複合材外板

とで構成されている機体構造部位に装備する機器,及び主な表面領域が金属製の網又は薄膜で保護された

炭素繊維複合材(CFR)による機体構造部位に装備する機器にもこれらの波形の組が適用できる。

波形の組 B,D 及び F は,構造の電気抵抗もまた誘導過渡現象の主要因となる航空機構造部位(炭素繊

維複合材構造部位など)に装備された配線に接続される機器に適用する。これらの場合に,配線は,構造

の高い電圧及び波形 5A で表される再配分された雷電流にさらされる。

A 及び B は,ピン注入試験のためのものである。 
C から F までは,ケーブル束試験のためのものである。

Z は,表 22.1 に規定した試験以外の試験,例えば,波形の組 C 又は D をシールド付きケーブル束に使用

する試験などが実施されたことを示す。

22.3.2

試験レベルの記号(第 及び第 文字)  航空機の内部環境に対する試験レベルの説明を,表 22.2

及び

表 22.3 に示した試験波形のそれぞれに対して次のとおり規定する。レベル 1 から 5 までは,機器の保

護に対して柔軟性を与えるものである。説明は,手引きのためだけのものである。接続結線及び機器の位

置がどれだけ雷にさらされるかの可能性が試験レベルを決定する。

レベル は,よく保護された環境に装備される機器及び結線に適用する。

レベル は,部分的に保護された環境に装備される機器及び結線に適用する。

レベル は,若干雷にさらされる環境に装備される機器及び結線に適用する。

レベル 及びレベル は,かなりの量の電磁気にさらされる環境に装備される機器及び結線に適用する。

X  X  C  3

ピン試験用波形の組              ケーブル束試験用波形の組

            ピン試験のレベル                              ケーブル束試験のレベル


148

W 0812

:2004

Z は,表 22.2 及び表 22.3 に規定したレベル以外の電圧及び/又は電流によって試験が実施されたことを

示す。

22.4

一般試験要求事項

a.

  供試体  供試体(EUT)は,接地板の上に組み付け,個別機器仕様書に規定されてない場合には,次

の基準による。

1

  接地板  銅,真ちゅう又はアルミニウム製接地板を用い,少なくとも厚さは,銅及びアルミニウ

ムの場合には 0.25 mm,真ちゅうの場合には 0.5 mm,面積は,2.5 m

2

以上,奥行き(前面から背

面まで)は,最少でも 0.75 m のものを使用する。シールドしたきょう(筐)体(enclosure)が

用いられている場合には,接地板は,シールドしたきょう体に 1 m 以下の間隔できょう体を両

端で接地する。直流の接地抵抗が 2.5 mΩ 以下であることを推奨する。

2

  衝撃及び防振器  機器の製造業者が規定した場合には,供試体は,防振器を組み込んだうえで取

付け台に機器をしっかりと取り付ける。

取付け台とともに供給されたボンディングストラップを

接地板に接続する。取付け台にボンディングストラップが付いていない場合には,試験の組付け

にボンディングストラップを用いてはならない。

3

  電気的ボンディング  ボンディングには,供試体の設計又は装備説明書に示された取付け部(例

えば,きょう体,取付け台,及び接地板のボンディング)だけを使用する。機器,コネクタ及び

ワイヤ束の電気ボンディングは,航空機装備の代表的な事柄であり,最低限の性能を確保するた

めに,機器製造業者の要求事項に従わなければならない。

装備方式に示されたボンディングとは別の方法によって接地された機器は,

絶縁マットの上に

置かなければならない。

試験報告書には,

採用したボンディング方法を記載しなければならない。

4

  外部接地端子  供試体に接地のための外部端子がある場合には,他に規定がなければ,試験中の

安全な作動状態を確保するために端子を接地板に接続する。

装備説明書に規定された長さの接続

線を用いる。長さの規定がない場合には,約 30 m の長さのワイヤ又はストラップを使用する。

5

  相互接続配線又はケーブル  ケーブル束試験には,供試体を相互接続するすべての配線(シール

ドワイヤ,より線など)

,ケーブル及び無線周波伝送線は,適用する装備インタフェイス管理図

又は結線図に従う。

ケーブルは,実際の航空機装備ケーブルと同様に束ね,接地板上方に約 50 mm 離して支持す

る。複合ケーブル束である場合には,ケーブル間の結合(coupling)の影響を少なくするために,

すべてのケーブル束及び接続する負荷は,実用上可能な限り間隔をとって配置する。

他に適用規定がない限り,ケーブルの長さは,3.3 m 以上にする。接続ケーブル束の長さが試

験台の長さより大きい場合には,試験台後方の空いている部分の接地面から約 50 mm 上方でケ

ーブル束をジグザグにして配置する。

特殊な装備の場合には,

試験台に収まりきらないほど長いケーブル束が必要になることがある。

このような場合のための試験に供する接続ケーブル束の推奨最大長さは,15 m である。ケーブ

ル束の長さが試験台に収まる場合,

又は位相整合若しくは類似の理由によって特定の長さが規定

されている場合には,この推奨最大長さは,適用しない。

6

  電源リード線  ケーブル束試験では,制御又は信号リード線と通常は一緒に束ねられている電

源及び帰路リード線は,そのまま用い,ケーブル束が試験領域から外にでる直前でケーブル束か

ら分離して配線する。その先で,これらのリード線を,線路インピーダンス安定化回路網

(LISNs:Line Impedance Stabilization Networks)に接続する。


149

W 0812

:2004

実機のケーブル束の形態が不明である場合,又は電源及び/又は帰路リード線を制御又は信号

リード線から通常離して配線する場合には,

電源及び帰路リード線を供試体のコネクタに近い所

でケーブル束から分離して LISNs まで配線する。この状態においては,適用する機器仕様書で

特に規定されていない限り,LISNs までのリード線の長さは,1.0 m 以下にする。

帰路リード線が(1 m 未満の長さで)個別接地である場合には,このリード線は,適用する装

備インタフェイス管理図の指示のとおりに試験台に直接接地してよい。

7

  インタフェイス負荷及び支援機材  ケーブル束試験は,理想的には,全機能作動中の機器につ

いて実施するのがよい。供試体は,実際のインタフェイス機器によって適切に負荷されているの

がよい。

インタフェイス機器が模擬されなければならない場合には,模擬する電気的・電子的及び電気

機械的又はそのいずれかの負荷特性は,航空機装備のものを代表したものにするのがよい。ケー

ブル束の電圧及び電流の分布が変化するのを避けるために,電気的・電子的負荷は,実際の負荷

の線間及び線・接地間のインピーダンス[浮遊キャパシタンス(stray capacitance)を含む。

]を

実際的に可能な限り模擬するのがよい。

どのような試験形態においても,

模擬負荷又はモニタ用機器が供試体の感受性又は対抗性を変

えないように注意を払うのがよい。支援機材は,不良又は損傷を避けるために適用過渡現象の影

響から防御を必要とすることがある。

8

  ダミーアンテナ又はダミー負荷  この試験の目的のために,アンテナケーブルには,ケー

ブルの特性インピーダンス値に等しい負荷又はダミーアンテナを終端してもよい。ダミー

アンテナを使用するときには,実際に用いるアンテナの電気特性を厳密に模擬するように

シールドし,設計する。ダミーアンテナには,また,フィルタ,クリスタルダイオード,

シンクロ及び電動機のような,通常,アンテナに使用する電気構成部品を含む。

b.

  試験装置  試験装置は,次の基準に従って組み付け,形態を整える。

1

  ボンディング  試験装置は,人体への安全性を確保し,接地ループができるだけ少なくなるよ

うに接地しなければならない。ケーブル束に強い電流を加える場合には,人体に対する危険をで

きるだけ小さくするように,

この電流がシールドからシールドきょう体の壁へ安全に流されるこ

と,又は,接地及びシールドがシールドきょう体の外側になることを確実にする。

2

  線路インピーダンス安定化回路網(LISN:Line Impedance Stabilization Network)  各 1 次電源線

路及び電源帰路に LISN を挿入する。航空機の装備で局部的に接地される電源帰路には,LISN

は,必要ではない。LISN のきょう体は,接地板にボンディングする。

10 kHz 以上の自己共振をもつ LISNs(例えば,標準的な 5 µH の LISNs)を用いる場合には,

試験実施中に,

図 22.11 及び図 22.13 に示すとおりに各 LISN 電力供給端子にキャパシタを挿入

する。すべての試験において,LISN の無線周波(RF)測定端子には,50  Ω で終端する。LISN

の入力インピーダンス特性を,

図 22.7 に示す。

3

  測定用及び注入用プローブ  プローブは,試験波形を再現するのに必要な電力容量及び測定能

力をもったものとする。波形 3 の試験では,静電シールドをもったプローブを用いる。

c.

  試験結果の説明を補助するデータ  試験報告書には,次の試験構成及びデータ項目を含める。

1

  ケーブルの形態  各ケーブル束の長さ,結線の形式,シールドの仕方及びシールドの終端処理

(全体のシールド及び各個別シールドともに)

2

  試験の構成  ケーブル束の配置及び過渡現象注入用及び測定用プローブの位置を含む各試験の


150

W 0812

:2004

構成の概略図又はブロック図若しくは写真。

3

  供試体作動モード  ケーブル束試験中に使用した作動モード。

4

  負荷  実際の又は模擬のすべての負荷の説明。模擬負荷については,線間及び線・きょう体(接

地)間のインピーダンス模擬の範囲を明確に示す。

5

  試験波形及びレベル  各試験波形及びレベルの校正・検証オシログラム。

6

  適用過渡現象  各試験の組付けに適用した相互接続束又はピンにおいて測定した代表的試験電

流及び電圧のオシログラム。

7

  合格・不合格判定基準  合格・不合格判定基準の記述。

8

  試験結果  試験の結果及び合格・不合格基準に適合しなかったすべての反応。

22.5

試験手順  ピン注入試験は,損傷評価が主目的のものであり,過渡状態を供試体インタフェイス配

線に直接注入する。

ケーブル束試験は,機能作動中の機器及び接続配線が,適用した過渡現象にさらされたときに機能不良

又は構成部品の損傷を生じないかどうかを決定するためのものである。試験の方法及び手順は,共通のレ

ベルで試験される供試体,ケーブル束及び負荷からなる構成に適用する(

図 22.1 参照)。

種々のケーブル束が大変異なる環境にさらされる複雑なシステムに含まれる供試体は,異なるケーブル

束ごとに異なる試験レベルの試験を実施する必要がある可能性があり,この場合 Z カテゴリ指定を必要と

する(22.3 参照)

警告  これらの試験に使用する過渡現象発生器は,致死的レベルの電圧及び電流を発生する。試験要

員又は支援要員が負傷したり死亡したりしないようにすべての操作上の安全性に関する事前注

意事項を訓練しておかなければならない。

22.5.1

ピン注入試験  ピン注入試験は,供試体のコネクタの指定したピンに選択した過渡波形を,通常は

各ピンときょう体接地との間に直接適用する手法である。この方法は,機器のインタフェイス回路の耐電

圧又は損傷許容程度を評価するために用いる。きょう体及び機体構造の局所接地から電気的に絶縁してい

る機器には,ピン注入試験要求事項を満足させるためには,

表 22.2 に示すレベルの最大振幅に対して絶縁

耐力(dielectric withstand)試験又は耐電力試験(hi-pot:high potential withstanding voltage test)を行うのが

適切である。

電気機械機器又は温度受感部のような単純な機器の試験では,作動電圧及びこれに対応する電流が,構

成部品の故障の要素でないならば,この電圧を加える必要はない。

複雑な機器の試験では,作動電力を加える必要がある。電力を加える機器を試験する場合には,適切な

方法を用いて過渡現象発生器が電力供給用又は信号用のワイヤに過大な負荷を与えないようにしなければ

ならない。与える過渡現象が機器のインタフェイスには及ぶが電力供給又はその他の負荷には及ばないよ

う分離装置が必要である。

共通のインタフェイスをもつ供試体の回路(ピン)の(三つ以上の)グループは,各グループの三つの

代表的ピン試験を実施することによって認定することができる。グループの残りのピンは,類似性によっ

て認定される。

22.5.1.1

  手順―発生器の校正

a.

図 22.4 から図 22.6 まで及び表 22.2 のレベルで規定する適用開回路電圧(

V

oc)波形パラメータが,図

22.8

に示す校正点にて得られるように,過渡現象発生器を調節する。

b.

V

oc を記録し,適用波形パラメータが満足なものであることを確認しておく。波形極性を記録してお

く。


151

W 0812

:2004

c.

試験中に試験レベルが再現できるように発生器の設定値を記録しておく。

d.

図 22.8 に図示したように,試験波形の元のインピーダンスと同じ値の無誘導抵抗器を接続する(表 22.2

備考 参照)。

e.

  あらかじめ決めたとおりに発生器を調整し,無誘導抵抗器両端の電圧を記録し,電圧増幅値が

V

oc の

1/2(±10  %)に降圧することを確認する。波形は,通常の形状を保っていなければならない。この

形状が保たれていれば,発生器のソースインピーダンスは,正常である。

f.

無誘導抵抗器を取外す。

備考  発生器のソースインピーダンスは,短絡回路電流(

I

sc)を記録してそれがあらかじめ定めた

発生器の設定値と比較することによってでも確認することができる。

22.5.1.2

  手順―試験の順序

a.

図 22.9 に示したとおりに,過渡現象発生器を指定したピンと供試体のきょう体の接地との間を,短く

てインダクタンスが低い導線で接続する。

b.

発生器を 22.5.1.1 に従ってあらかじめ定めた設定値にし,指定したピンに過渡現象を 10 回加える。加

えたそれぞれの過渡現象における波形の形状に予期しない変化の兆候がないかどうかをモニタする。

c.

供試体の各コネクタの各指定ピンに対して b.の手順を繰り返す。

d.

過渡現象発生器の極性を入替え,発生器の校正を再度行ってから,a.から c.までを繰り返す。

e.

各試験波形に対して発生器の校正と試験手順とを繰り返す。

f.

適用機器性能規格に適合しているかどうかを決定する。

22.5.2

ケーブル束試験  ケーブル束試験は,ケーブルの誘導又は接地注入によって過渡現象を与える技術

である。これらの方法は,航空機用機器が,外部雷環境によって誘導される機内の電磁気的影響に対して

機能不良又は構成部品の損傷を生じることなく耐え得ることを確認するために用いる。どの方法において

も機器は十分な形態にし,ケーブル束の相互接続及びインタフェイス負荷を完全にして機能させたうえで

試験を行う。この試験要求事項を満足させるには,相互接続ケーブル束に規定した波形及び限界値を個別

に又は同時に与える。

22.5.2.1

  ケーブル誘導試験  次に示す手順は,主として波形 1,2 及び 3 に適用する。

22.5.2.1.1

  手順―発生器の性能

a.

過渡現象発生器を注入変圧器の 1 次入力に接続する(

図 22.10 参照)。

b.

各発生器に対して,校正回路を開放にした状態での電圧波形及び校正回路を短絡した状態での電流波

形を記録する。

図 22.2 から図 22.4 までに規定した波形の対応するパラメータの値を確認する。また,

表 22.3 に示す最高指定試験レベル(

V

T

又は

I

T

)に達していることを確認する。

22.5.2.1.2

  手順―試験順序

a.

供試体,支援器材及び注入変圧器を近くに置いた相互接続ケーブル束の形態を

図 22.11 に示すとおり

に整える。

b.

電流及び電圧監視用プローブをオシロスコープに接続する。試験結果に一様性をもたせるように,プ

ローブの位置は可能な限り図示の位置に一致させる。

c.

供試体に電力を供給し,供試体を選択した作動モードに設定する。適用機器仕様書に示されていると

おりの適切なシステム作動をすること確認する。

d.

過渡現象を与えながら発生器の設定値を指定した試験レベル(

V

T

又は

I

T

)又は極限レベル(

V

L

又は

I

L

まで上げる。波形を記録する。もしも

V

T

又は

I

T

に達するよりも先に

V

L

又は

I

L

に達する事態になって

いるならば,

他の発生器及び/又は波形の組を用いる必要があるかどうかを決定するために試験を見直


152

W 0812

:2004

さなければならない。

e.

d.

の段階で確定した発生器の設定値で,供試体の動作をモニタしながら過渡現象を 10 回以上加える。

f.

供試体の作動を試験する各モードに対して d.及び e.の段階を繰り返す。

g.

過渡現象発生器の極を入れ換えて,発生器性能確認,及び段階 a.から f.までを繰り返す。

h.

各相互接続ケーブル束について,段階 a.から g.までを実施する。

i.

適用する各波形について,発生器性能確認,及び段階 a.から h.までを実施する。

j.

適用機器性能規格に適合しているかどうかを決定する。

22.5.2.2

  接地注入試験  次に示す手順は,主として波形 4 及び 5A に適用する。

22.5.2.2.1

  手順―発生器性能確認  各発生器について,図 22.12 に示すとおりに開回路に通電したときの

電圧波形及び短絡校正回路に通電したときの電流波形を記録する。

図 22.5 又は図 22.6 に規定した波の形

状の対応するパラメータの値を確認する。また,

表 22.3 に示す最高指定試験レベル(

V

T

又は

I

T

)に達して

いることを確認する。

22.5.2.2.2

  手順―試験順序

a.

22.4

の一般要求事項をこの試験の構成に適用する。ただし,過渡現象注入点(供試体又は負荷装置)

のきょう体及びすべての個別接地又は帰路は,接地面から絶縁して機器のきょう体に接続する。きょ

う体と接地面との間の絶縁は,

適用する試験電圧の最大値に対して耐え得るものでなければならない。

b.

過渡現象発生器を供試体きょう体と接地面との間に接続し,供試体,支援機材及び相互接続ケーブル

束の形態を

図 22.13 に示すとおりに整える。

c.

電流及び電圧モニタ用プローブをオシロスコープに接続する。

d.

供試体に電力を供給し,供試体を選択した作動モードに設定する。適用機器仕様書に示されていると

おりの適切なシステム作動をすることを確認する。

e.

過渡現象を加えながら発生器の設定値を指定した試験レベル(

V

T

又は

I

T

)又は極限レベル(

V

L

又は

I

L

まで上げる。波形を記録する。もしも

V

T

又は

I

T

に達するよりも先に

V

L

又は

I

L

に達する事態になって

いるならば,

他の発生器及び/又は波形の組を用いる必要があるかどうかを決定するために試験を見直

さなければならない。

f.

e.

の段階で確定した発生器の設定値で,供試体の作動をモニタしながら過渡現象を 10 回以上加える。

g.

供試体の作動を試験する各モードに対して e.及び f.の段階を繰り返す。

h.

過渡現象発生器の極性を入れ換えて,発生器性能を確認し,段階 b.から g.までを繰り返す。

i.

各相互接続ケーブル束について,段階 b.から h.までを繰り返す。

j.

適用する各波形について,発生器性能確認及び段階 b.から i.までを繰り返す。

k.

適用機器性能規格に適合しているかどうかを決定する。

 


153

W 0812

:2004

 22.1  試験要求事項

波形の組

試験のタイプ

試験レベル

波形番号

試験方法

A

ピン

表 22.2 

3,4

22.5.1 

(

1

)

B

ピン

表 22.2 

3,5A

22.5.1 

(

1

)

C

電線束

表 22.3 

2,3

22.5.2.1 

(

2

),(

5

)

(シールドなし)

4

22.5.2.2 

D

電線束

表 22.3 

2,3

22.5.2.1 

(

2

),(

3

),(

5

)

(シールドなし)

5A

22.5.2.2 

E

電線束

(シールド付き)

表 22.3 

1,3

22.5.2.1 

(

2

),(

4

),(

5

)

F

電線束

表 22.3 

3

22.5.2.1 

(

2

),(

5

)

(シールド付き)

5A

22.5.2.2 

注(

1

)  ピン注入試験では,主な航空機装備の共振において波形 3 を適用する。共振が未知である場合には,1.0 MHz(±

20  %)を適用する。

(

2

)  ケーブル束試験では,主な航空機装備の共振において波形 3 を適用する。共振が未知である場合には,1.0 MHz

(±20  %)及び 10 MHz(±20  %)を適用する。

(

3

)  シールドなしハーネスが航空機に装備された場合に金属製の箱若しくはコンジットの中を通るか又は金網に被

覆される場合には,波形 5A は,電圧波形となる。この場合,試験レベル(V

T

)は,

表 22.3 の波形 5A の電圧限

度値(V

L

)となる。

(

4

)  22.5.2.1 又は 22.5.2.2 の試験方法を用いる場合には,波形 1 を適用してよい。

(

5

)  他の発生器又は波形を組み合わせなければならないかどうかは,測定した電流及び電圧の波形が,試験を実施

しようとしている波形として適切かどうかで決める。例えば,試験中に通常は誘導性負荷(inductive load)の役
目を果たしてループを生じるようなシールドケーブルには,波形の組 E が適切である。この場合には,電流波

形を供給できる発生器が必要である。もしもインダクタンスが高い場合には,電圧限界が先に生じる。しかし,
波形が正常であれば試験のやり直しをする必要はない。 
  主として負荷が抵抗の場合には,電圧が最初に限界に達するが,モニタする電圧波形が,正常でなくなる。

この場合には,他の発生器・波形の組を用いる他の試験を選んで再試験を実施することが望ましい。 
  試験中に通常抵抗負荷の役目を果たしループを生じるようなシールドがないケーブルには,波形の組 C が適
用できる。この場合には,電圧波形を供給できる発生器が必要である。もしも抵抗及びインダクタンスが低く

電流が先に限界に達し,発生器のインピーダンスによっては波形の形状が正しくなくなることがある。この場
合には,再評価の結果,波形の組 E を使用するのがよいことを示している。 
  低インピーダンスのソース発生器を使用できるならば適切な反応が得られる。そして,この場合には,電流

が試験レベル又は限界に達し試験は完了したものとみなされる。 
  合格した試験のクラスに対してラベルにカテゴリを表示する。


154

W 0812

:2004

 22.2  ピン注入試験レベル

波形

3 4 5A

レベル

Voc/Isc

Voc/Isc

Voc/Isc

1 100/4

50/10

50/50

2 250/10

125/25

125/125

3 600/24

300/60

300/300

4 1

500/60

750/150

750/750

5

3 200/128

1 600/320

1 600/1 600

備考1.  Voc=図 22.8 に示した校正点で得られる開回路電圧のピーク値(ボルト)。

2.  Isc

図 22.8 に示した校正点で得られる短絡電流のピーク値(アンペア)。

3.

振幅許容差は,    %である。

4.  Voc

の Isc に対する比は,発生器の校正の目的で使用する発生器ソースインピーダンスである。

5.

波形 3,4 及び 5A は,

図 22.4,図 22.5 及び図 22.6 で区別できる。

6.

試験中のピンへの負荷インピーダンス特性が機器の装備要求事項として規定されている場合には,そのイン

ピーダンス特性を発生器及び EUT に直列に挿入してよい。波形 3 の試験では,ケーブル周波数の影響に対応
するためには,直列に挿入する最大インピーダンスは,75  Ωに制限し,最大ソースインピーダンスの最大値
が 100  Ωになるようにする。規定した負荷インピーダンスを唯一の試験条件の変更として試験回路に挿入す

る場合には,カテゴリ Z の記号は使用しない。適用した波形の組とレベル記号とに従って機器のラベルに記
載する。

7.

保護装置がある場合のように試験インタフェイスインピーダンスが低い場合には,電圧波形 4 は電流波形 5A

を示す。

8.

機体の設計及び配線レイアウトに関する状況においては,機器は波形 5A の高いレベル又は 5B(

図 22.6 参照)

で表される波形により長い時間さらされることがある。この条件で実施された試験は,記号 Z で表すのがよ

い。

 22.3  ケーブル束の試験レベル

波形

1 2 3 4 5A

レベル

V

L

/I

T

V

T

/I

L

V

T

/I

L

V

T

/I

L

V

L

/I

T

1  50/100 50/100 100/20 50/100 50/150 
2  125/250 125/250  250/50  125/250 125/400 
3  300/600 300/600 600/120 300/600 300/1

000

4

750/1 500

750/1 500

1 500/300

750/1 500

750/2 000

5

1 600/3 200

1 600/3 200

3 200/640

1 600/3 200

1 600/5 000

備考1.  振幅の許容差は,    %である。

2.

波形 1,2,3,4 及び 5A は,

図 22.2,図 22.3,図 22.4,図 22.5 及び図 22.6 でそれぞれ表される。

3.

各波形において,V

T

は,試験電圧レベルをボルトで示し,I

T

は,試験電流レベルをアンペアで示す。V

L

(ボ

ルト)及び I

L

(アンペア)は,供試体に要求値を超えた過負荷がかかるのを防止するための限界を示す。

4.

電流波形 5A の試験では,試験発生器の開回路電圧上昇及び減衰時間は,電圧波形 4 に類似したものが望まし
い。試験中 V

L

を決定するために用いる測定した電圧波形及び振幅は,開回路波形とは異なることがある。試

験発生器を試験回路に切り替えるときに生じるノイズなどの初期過渡現象は無視するよう確実に注意するこ
とが望ましい。通常そのようなノイズは,最初の 1∼2

µs の間に生じる。

5.

機体の設計及び配線レイアウトに関するある状況によっては,機器が波形 5A(10 kA まで)より高レベル又

は 5 kA まで規定された波形 5B より長い減衰時間にさらされることがある(

図 22.6 参照)。この状況で実施さ

れた試験は,記号 Z で表すのがよい。

+10

0

+10

0


155

W 0812

:2004

備考1.  各ケーブル束を同じレベルで試験する場合には,そのレベルをケーブル束試験記号で表示する。

2.

インタフェイスする機器が同じ場所に装備され,関係するケーブル束が一緒に配置される場合には,ケーブ
ルは,一つの束として試験することができる。

3.

ケーブル束を異なったレベルで試験する場合には,ケーブル束試験記号は Z とする。

 22.1  装備形態(一般の場合)

 22.2  電流波形 1


156

W 0812

:2004

備考  理想的には波形 2 発生器は,図 22.10 に示す短絡校

正ループでは波形 1 を生じる。

 22.3  電圧波形 2

備考  電圧と電流とは必ずしも同じ位相である必要はない。

 22.4  電圧・電流波形 3


157

W 0812

:2004

 22.5  電圧波形 4

 22.6  電圧・電流波形 5


158

W 0812

:2004

 22.7  LISN 入力インピーダンス特性

備考1.  発生器ソースインピーダンスと等しい無誘導性又は低誘導性抵抗器は,発生器インピーダン

スの確認のために使用するのがよい。ピン試験の波形のためには適切な電力値でリード線の

短い炭素組成の抵抗器で十分である。

2.

交流電源回路の試験では,過渡現象を交流波形のピークに同調させなければならないので,
電力導線に過渡現象を加える変成器結合(transformer coupling)が必要となる場合がある。

 22.8  ピン注入校正のための代表的な構成


159

W 0812

:2004

備考  雷による過渡現象は,すべてのピン及びきょう体間で共通のモードで発生するものと仮定したうえでの試験

手順になっている。もしも予想される装備が,電線及び信号又はそのいずれかの帰線が内部的又は外部的に

きょう体又は航空機構造に接続している場合には,試験は,帰線をきょう体に接続して実施しなければなら
ない。

 22.9  ピン注入試験の代表的な構成

備考  電流モニタ用変圧器の代わりに直列に入れた電流モニタ用抵抗器を用いても

よい。

 22.10  ケーブル誘導試験用の発生器性能確認のための代表的な構成


160

W 0812

:2004

備考1.  図示のように接地への低インピーダンスを得るために,電力入力にキャパシタを用いる。

2.

電流監視用変圧器の代わりに直列に入れた電流監視用抵抗器を用いてもよい。

3.

電力導線(ケーブル束#2)の試験では,各導体の電流が

図 22.2 に示す対応するピン試験電流レベルを

超えないように注意する。

 22.11  ケーブル誘導試験の代表的な構成

備考  電流モニタ用変圧器の代わりに直列に入れた電流モニタ用抵抗器を用いてもよい。

 22.12  接地注入試験用発生器性能確認のための代表的な構成


161

W 0812

:2004

備考1.  図示のように,低インピーダンスの接地を得るために電力入力にキャパシタを使用しなければならない。

2.

電流モニタ用変圧器の代わりに直列に入れた電流モニタ用抵抗器を使用してもよい。

3.

過渡現象注入点においては,すべてのきょう体,局所電力接地及び局所信号接地は,接地面から絶縁し,機

器のきょう体へ接続しておかなければならない。

4.

複数ケーブル束がある供試体の接地注入試験を実施する場合には,どのケーブル束についても電流の限界値
を超えないように各ケーブル束ごとに電流を測定しなければならない。試験の意図は,各ケーブル束に適用

試験レベルを達成することであるので,他の注入点に対してもこれらの試験を繰り返す必要があるかもしれ
ない。

5.

電力導線(ケーブル束#2)を試験するときには,各個の導体電流が

図 22.2 に示す対応するピン試験電流レベ

ルを超えないように注意する。

 22.13  接地注入試験の代表的な構成


162

W 0812

:2004

23.0

直撃雷の影響

23.1

試験の目的  外部取付けの電気及び電子機器が,過酷な直撃雷の影響に耐えることができることを

確認する。

“外部取付け機器”

とは,

航空機の主外板の外部に取り付けたすべての電気及び電子機器を指し,

機器と一体の部品である誘電体の外板又はフェアリングによってだけ覆われているすべての機器を含む。

それは,また,機器の部品として機器製造業者が供給する接続ケーブル及び関連端末機器も含む。ここに

個別に述べる試験は,外部取付け及び関連回路に,磁界又は電界の結合によって誘起される電圧及び電流

の影響は含まない。これらの間接的影響は,22.0 に規定してある。

この項で取り扱う機器の例としては,アンテナ,外部灯火,エアデータプローブ,外部センサ及び構造

の外部に取り付けられている防除氷用機器すなわち電熱式防除氷装置がある。灯火及び燃料タンクに取り

付けられ,直撃雷又はスエプト雷撃(swept lightning strikes)にさらされる燃料油量プローブのような電気

及び電子機器は,この項で取り扱う。

23.0

で取り扱わない機器の例としては,燃料給油キャップのような機械部品,構造と一体の装置(例え

ば,ヒーター付き又はなしの風防,前縁構造と一体になっているか又は前縁構造で覆われている電気式防

徐氷装置など)

及びノーズレドームや機器と一体ではなく機体固有の誘電体カバーで覆われた外部取付け

機器がある。航空機製造業者によって指定されて機体の一部として試験されるか,又は,認定しようとす

る機器に適性な他の試験方法によって耐雷性が保証される機器もこの規格では取り扱わない。

ここに規定する試験中には,通常,機器は,通電又は作動させない。通電状態が直撃雷の影響で機器の

妨害感受性又はぜい弱性を変える可能性があるときは,機器は,通電するか,又は代わりに通電状態を模

擬するための手段を用いる。試験計画は,このことを行う必要性を明示する。

23.2

定義

23.2.1

雷の定義

アーク根(arc root)  大電流が流れる間,雷の放電路が接触する導体表面上の位置。

連続電流(continuing current)  大電流雷撃の間又は後に起こることがある低レベルの長期間持続する電

流パルス。

直撃雷の影響(direct effects)  雷放電路の直接接触及び雷電流の伝導又はそのいずれかによって,航空

機及び機器又はそのいずれかに生じる物理的損傷。航空機若しくは機器の表面及び構造の絶縁破壊,爆発

(blasting)

,曲げ,溶融,焼け及び蒸散を含む。また,関連する配線及び配管に直接加わる電圧及び電流

を含む。

第 帰還雷撃(first return stroke)  リーダが二つの電荷中心の間に回路を完成したときに起こる大電流

サージ。この電流サージは,高ピーク電流,時間に関して大きい電流変化率(di/dt)及び大きい作用積分

をもつ。

せん光滞留(flash hang-on)  雷のせん光放電中に,航空機が前進する結果として,放電路は,航空機の

ある部分から他の部分に,航空機の表面に沿って種々の点に接触しながら,後退することがある,接触点

が航空機に接触することができる最後点に達したとき,放電路は,せん光の残りの接続時間の間,その点

にとどまる。

中間電流(intermediate current)  幾つかの雷撃のピーク電流に続く最初の減衰後,しばしば,数 ms 持

続して,2∼3 kA の低レベル電流が流れる。この電流を中間電流という。

リーダ(leader)  強電界を伴う,明るさが弱く,電流が小さい,帰還雷撃の前兆。

雷せん光(lightning flash)  電荷が一つの電荷中心から他の電荷中心に移動する雷現象のすべて。それ

は,一つの雲の内部で,二つの雲の間で,又は雲と地面との間で起こることがある。リーダ及び第一帰還


163

W 0812

:2004

雷撃からなり,また,中間電流,連続電流及び 1 以上の再雷撃を含むこともある。

再雷撃(restrike)  雷せん光中の第 1 帰還雷撃後の大電流サージで,第 1 帰還雷撃よりピーク電流,作

用積分が小さく,di/dt が大きい。これは,通常,第 1 帰還雷撃と同じ経路をとるが,航空機上のもっと後

部の新位置に再接触することがある。

緩成分(slow components)  中間電流及び連続電流を総合して引用するのに用いる。

スエプト リーダ(swept leader)  最初のリーダの接触後,第 1 帰還雷撃に至る前に,連続してリーダ

が伝ぱ中,航空機が移動することによって,航空機に関して,その位置を移動した雷のリーダ。

23.2.2

一般定義

作用積分(action integral)  電流波形の作用積分は,時間とともに変動する電流の 2 乗の,電流波形の

持続時間にわたる積分である。通常,アンペアの 2 乗・秒(A

2

s)の単位で表す。

放電(discharge)  高電圧(HV)又は大電流(HC)の衝撃波発生器の放電について用いるときは,“放

電”という用語は,蓄電コンデンサの放電を意味する。これは,発生器の出力端子に接続する電極すきまの

絶縁破壊を,生じることも,生じないこともある。

沿面放電(flashover)  すきま絶縁破壊によって生じるアークが,破壊を起こすことなしに,誘電体表

面の上を又は接近して通るときに使用する。

燃料蒸気域(fuel vapor regions)  燃料又は燃料蒸気が存在することがある航空機内の区域。

すきま絶縁破壊(gap breakdown)  HV 又は HC の衝撃波発生器のコンデンサの放電が,発生器の出力

端子に接続する電極すきまの絶縁破壊を生じるときに使用する。

V

90

  全放電の 90  %ですきま絶縁破壊を生じるように,HV 衝撃波発生器を製作しなければならない公

称電圧。試験のためには, 3.5.1 に規定するとおりに,概念的 V

90

を使用する。

23.2.3

区域分けの定義  次に種々の雷区域を規定する。どのような特定の航空機でも,これらの区域に該

当する領域は,機体製造業者と該当証明機関(apporpriate certification authority)との間で合意する。

区域 1A(zone1A)  最初の雷放電路の接触の可能性は高いが,せん光滞留の可能性が低い航空機表面

のすべての領域。この規格の目的のためには,スエプト  リーダ接触領域も,また,区域 1A に含める(将

来は,リーダの後退によってだけ第 1 帰還雷撃が達成できる航空機表面は,別の呼び方をしてもよい。

区域 1B(zone1B)  最初の雷放電路の接触の可能性が高く,せん光滞留の可能性も高い航空機表面のす

べての領域。

区域 2A(zone2A)  区域 1A から後退する雷放電路の接触の可能性は高いが,せん光滞留の可能性が低

い航空機表面のすべての領域。

区域 2B(zone2B)  区域 1A 又は 2A から後退する雷放電路の接触の可能性が高く,せん光滞留の可能

性も高い航空機表面のすべての領域。

区域 3(zone3)  すべての区域 1 及び 2 によって規定されない航空機表面のすべての領域。区域 3 では,

直撃雷放電の接触の可能性は低い。

備考  航空機のすべての区域(区域 3 を含む。)は,二つの接触点間を流れる全雷せん光電流の一部又

は全部を通すことが必要なこともある。

23.3

機器のカテゴリ  外部取付け機器に適用する試験の性質及び過酷さレベルは,その機器の指定カテ

ゴリによって変わる。

カテゴリ 1A  区域 1A として識別した航空機の領域に外部取付けする機器。

備考  リーダの後退によってだけ第 1 帰還雷撃の接触が達成できる領域での使用を意図する機器は,

カテゴリ 1A として認定する。


164

W 0812

:2004

カテゴリ 1B  区域 1B として識別した航空機の領域に外部取付けする機器。

カテゴリ 2A  区域 2A として識別した航空機の領域に外部取付けする機器。

カテゴリ 2B  区域 2B として識別した航空機の領域に外部取付けする機器。

カテゴリ 3  区域 3 として識別した航空機の領域に外部取付けする機器。

燃料蒸気域での使用に適するものとして分類した機器  燃料蒸気域での使用を意図する機器は,無燃料

蒸気域機器に対して該当区域に適用する試験要求事項を超えた追加試験要求事項が課せられている。その

条件下で試験した機器は,燃料蒸気域で用いてもよいことを示す追加の分類“F”を区域分類の後に付け

る。例えば,分類 2AF は,区域 2A 内の燃料蒸気域で機器を使用することを明確にする。特定の区域又は

カテゴリに対して分類“F”を得るために評定するときは,試験する形態を明確に規定するほうがよい。

この試験形態と最終の航空機装備とを比較することによって,追加試験を行わないこともある。追加の分

類“F”をもたない機器は,追加試験をしなければ,燃料蒸気域では使用しない。

23.4

直撃雷の影響及び関連パラメータ  この箇条では,航空機が雷撃を受ける間の,外部取付け機器に

影響する可能性がある種々の直撃雷の影響による破損の機構を挙げ,説明する。

また,

雷電流パラメータを識別し,

それによって特定の破損機構に関連する雷せん光の段階を識別する。

23.4.1

抵抗加熱  電流によって導体内に熱として放散する瞬間電力は,i

2

R W(ワット)である。したが

って,全雷パルスによって発生する抵抗加熱は,航空機を通る雷の経路のオーム抵抗にパルスの作用積分

を乗じたもので,J(ジュール)又は Ws(ワット秒)で表す。雷放電では,雷せん光の大作用積分段階は,

期間があまりに短くて,抵抗加熱によって航空機構造に発生するすべての熱を顕著に放散することができ

ない。この破損機構に関連する雷せん光の段階は,第 1 帰還雷撃及びすべての再雷撃である。

23.4.2

導体の破裂(破壊力)  極めて小さい断面積をもつ導体が,雷電流の相当な部分を通す必要がある

ときは,爆発的に蒸発することがある。それに伴う衝撃波は,特に狭い空間で過酷な損傷を生じることが

ある。この破損機構は,外部機器,例えば航空灯,アンテナ,ビトー加熱器などに接続する電気配線に特

に重要である。これらが適切に保護されず,かつ,航空機内の閉鎖区画の中に閉じ込められるか,その区

画を通り過ぎるときには,重大な危険を起こすことがある。さらに,外部取付けブレードアンテナのよう

に,誘電体のカプセルに入れた小断面の金属製板など,又は非導電性カバーを貫通することから生じるこ

とがあるような,高エネルギー内部アークは,破壊力から危険を起こすことがある。関連する電流パラメ

ータは,作用積分であり,雷せん光の関連段階は,最初の帰還雷撃及び再雷撃である。

23.4.3

アーク根の熱損傷  溶け落ち及び材料の侵食が,アーク根で起こることがある。金属では,これは,

主に電流と時間との複合関数である。アーク根領域には,大電流密度による抵抗加熱の集中とともに,ア

ーク根それ自体からの大きい熱入力がある。エネルギーの多くは,金属の表面又は表面に近接して発生す

るので,伝導によって放散する。アーク根領域それ自体で発生する熱量は,伝導によって金属に吸収でき

る熱量を超え,その超過分は,金属を溶かし,蒸発させることで消失するか,再放射される。ある一定の

材料のある一定の厚さに対して,それ以下では溶け落ちが起こることができない最小電流及び最短時間が

ある。すべての実用的厚さの金属の溶け落ち又は過酷な侵食に対する,電流及び持続時間の両方の最低要

求事項を超えることができるのは,雷せん光の緩成分段階だけである。

炭素繊維複合材では,熱の影響は,より著しいが,より低い熱伝導率及びより高い電気抵抗は,蒸発過

程及び伝搬過程との比率に影響を及ぼす。これは,損傷の深さに関して面積の増加をもたらす。炭素のア

ーク根焼損電圧は,金属のそれより高い。この影響は,高い体積抵抗率が加わって,アーク根領域自体に

より多くの熱を発生し,高温箇所は,大部分の金属に対するものより長い期間残留する。したがって,短

時間大作用積分パルスは,小電流長期間パルスとともに,高い熱入力を生じるので,炭素繊維複合材にア


165

W 0812

:2004

ーク根損傷を生じることにおいて,雷せん光のすべての段階が重要である。

23.4.4

高温箇所の形成  次の二つの過程のうちの一つの結果として,航空機外板の内面に,高温箇所を形

成することがある。すなわち,第 1 はアーク根の下で内面に,第 2 は局部的大電流密度から。高温箇所の

影響は,通常,燃料その他の可燃性が極めて大きい物質の点火に関してだけ重要である。雷せん光のすべ

ての段階は,第 1 の過程に重要であり,他方,大ピーク電流段階は,第 2 の過程に重要である。

23.4.5

音響衝撃波損傷  第 1 帰還雷撃が始まると,放電路を取り巻く磁界の増大によって,アーク放電路

が急速に狭くなる。この結果,放射状の音響衝撃波を生じる。同時に,アーク放電路それ自体の急激な加

熱によって,軸方向衝撃波を生じる。後者は,おそらく,航空機に対する反応において最も重要である。

衝撃の過酷さは,ピーク電流値と電流の増大率との両方によって変わる。したがって,それは,第 1 帰還

雷撃及びあるときには,再雷撃に関係する。

一般に,音響衝撃波による損傷は,金属外板については重要でないが,それより展性が小さい複合材外

板は,破壊することがある。

23.4.6

磁気圧力  この圧力は,表面電流密度が数 kA/mm を超えるときだけ,重要である。例えばピーク

電流が 200 kA のパルスを通す直径 5 mm の導体は,1 000 気圧の表面圧力を受けることとなる。この圧力

は,電流の 2 乗(i

2

)に比例し直径の 2 乗に反比例する。したがって,直径を 2 倍又は電流を 1/2 にすれば,

圧力は 250 気圧に低下する。

しかし,あるときは,金属編組ボンディングストリップの場合のように,相対的に小さい圧力でも,重

要なことがある。これらは,固体に近い導体に圧縮されて,もろくなり,続いて機械的破損を起こす。

関連する電流段階は,第 1 帰還雷撃である。

23.4.7

磁気相互作用  電流を通す 2 個の導体の磁界の相互作用から,又は雷電流が方向を変えさせられる

場所での同一導体の二つの離れた部分から,かなりの磁力が現れることがある。この力は,また,航空機

内とアーク放電路との電流間にも存在することがある。この力は,通常,雷電流が,ある外部取付け機器

で起こるような小断面導体に閉じ込められたときだけ,重要である。力のピーク値は,ピーク電流の 2 乗

(I

2

)に比例する。関係する供試体に及ぼす究極の影響は,I

2

,立ち上がり時間,減衰時間,作用積分及び

供試体の機械的応答の複合関数であることがある。破損機構は,したがって,第 1 帰還雷撃及びあるとき

は,再雷撃に関係する。

23.4.8

直撃雷の影響火花  極めて大きい電流を,2 個の導電材料間の接続部を通らせるか,又は極めて入

り組んだ経路をとらせたときに,直接影響火花が発生する。二つの異なる種類の火花,すなわち,熱火花

及び電圧火花が発生する可能性がある。

大部分の熱火花は,境界圧力がゼロ又はゼロに近い接合面上の高温箇所の縁近くに発生する。主な原因

は,大電流密度及び不適切な境界圧力である。熱火花とは,雷が当たった箇所が溶解して生じる蒸発圧力

によって当たった箇所から材料の微粒子が放出されて燃焼したものである。放出される粒子の大きさは,

発火はしないもの(直径<20 µm のアルミニウム)から発火するものまでがあり,それぞれ違った速度で

運動する。可燃性混合物の発火が,発火危険性を評価するための最もよい検知方法である。関連する電流

パラメータは,ピーク電流であり,該当する雷電流段階は,第 1 帰還雷撃及び再雷撃である。

電圧火花は,電流を接続部を通って入り組んだ経路をとらせたときに,発生する。すきまの形状と間隔

が,発火に必要なエネルギーに重要な影響をもっている。狭い間隔は,熱火花を生じやすい。可燃混合物

の発火が,発火危険性を評価するための最もよい検知方法である。重要な電流パラメータは,di/dt で,該

当する段階は,第 1 帰還雷撃及び再雷撃である。


166

W 0812

:2004

23.4.9

絶縁破壊(dielectric puncture)  すべての外部取付け機器を覆っているどのような誘電体外板の絶

縁破壊も,その機器に雷が直接接触することとなる。誘電体の破壊の確率は,電界強度を高める誘電体の

下のすべての導体の存在,誘電体の厚さ及び強さ,誘電体表面の状態並びに他の導電面の接近度の関数で

ある。一般的な手引きとして,誘電体の破壊は,すべての点で誘電体を破壊するのに必要な電圧が,機体

の最も近い導電点に沿面放電を生じるために必要な電圧をかなり超えていない限り,

起こり得ると考える。

絶縁破壊の条件は,放電前の段階及び雷せん光の第 1 帰還雷撃段階の開始時に生じる。破壊は,また,再

雷撃の結果又はスエプト雷撃再接触の結果として起こることもある。

23.5

試験パラメータ

23.5.1

電圧の波形及びレベル  高電圧試験は 1.2/50 µs 開回路出力電圧波形[ゼロからピーク電圧までの

立ち上がり時間が 1.2 µs±20  %で,ピーク電圧からピーク電圧の半分までの減衰時間が 50 µs±20  %(

23.1

参照)

]を発生できる高電圧パルス発生器を用いて行う。この波形は,試験のための“電圧上下移転

法”

(UDVTM)に関連して用いる。この方法は,概念的 V

90

レベルを定義する。

電圧上下移転法は,試験中に形成される V

90

レベル又はその近くでの絶縁破壊について試験するために

Bakken 氏が最初に提案した技法である。V

90

レベルを見いだすのに,他の方法では,統計的に重要なサン

プルによって信頼度を上げるため,極めて多数の試験を必要とするであろう。電圧上下移転法は,すきま

絶縁破壊が起こるか,起こらないかによって,設定した手順に従った増分だけ発生器電圧を変える。増分

変化のやり方は,次のとおりとする。

a.

  すきま絶縁破壊電圧よりわずかに低い電圧で開始する。

b.

  すきま絶縁破壊が起こらないときには,電圧を 5  %だけ上げる。

c.

  同一電圧で 3 回連続してすきま絶縁破壊が起こった後,電圧を 5  %だけ下げる。

d.

  電圧を下げた後も,絶縁破壊がなお起こるときは,電圧を更に 5  %だけ下げる。

発生する各すきま絶縁破壊は,試験を完了するのに必要な回数に数えてよい。各絶縁破壊が起こらない

ときは,数えないのがよい。

次のとおり,代替の波形及び試験を用いてもよい。

a) 1 000 kV/µs

±

50  %の率で立ち上がる電圧を加えてもよい。図 23.2 参照。この電圧は,すきまの両

側に加え,すきま絶縁破壊が起こるまで,立ち上がらせる。

b) 50∼250 µs の間に,電圧をピークまで立ち上がらせる。

図 23.3 参照。この電圧はすきまの両側に加

え,ピーク電圧又はその直後で,すきま絶縁破壊が起こる値に,ピーク電圧を調整する。

23.5.2

電流の波形及びレベル  立証のためには,自然雷環境は,図 23.4 の電流試験成分 A,B,C 及び D

によって表す。各成分は,雷せん光における電流の異なる特性を模擬する。試験を実施するとき,

図 23.4

の関連表から,該当カテゴリに対してこれらの波形を適用する。一つの試験で,これらの波形を個別に,

又は 2 以上の成分を一緒に合成したものを適用する。

a.

成分 A―第 帰還電撃電流  成分 A は,ピーク振幅が 200 kA

±

10  %,作用積分が 2×10

6

A

2

s

±

20  %,

全持続時間が 500 µs 以下である。この成分は,一方向性又は振動性でもよい。ピーク電流の 10  %か

ら 90  %までの立ち上がり時間(成分 D と合致する。

)は,50 µs 未満とする。

備考  磁力試験に対しては,一方向パルスがよい。振動パルスを用いるときは,試験対象系統の機械

的応答を考慮する。

b.

成分 B―中間電流  成分 B は,平均振幅が 2 kA

±

20  %,電荷移動が 5 ms

±

10  %で 10 C(クーロン)

±

10  %である波形は,一方向性とし,長方形か,指数減衰か又は線形減衰でよい。

c.

成分 C―連続電流  成分 C は,0.25∼1.0 s の間に電荷 200 C(クーロン)

±

20  %を移動させる。波形


167

W 0812

:2004

は,一方向性とし,長方形か指数減衰か又は線形減衰でよく,かつ,その振幅は,200∼800 A の間に

あるものとする。

d.

成分 D―再雷撃電流  成分 D は,ピーク振幅が 100 kA

±

10  %,作用積分が 0.25×10

6

A

2

s

±

20  %であ

る。この成分は,全持続時間が 500 µs 以下であって,一方向性又は振動性のいずれでもよい。ピーク

電流の 10  %から 90  %までの時間は,25 µs 未満とする。

備考  磁力試験に対しては,一方向パルスが望ましい。振動パルスを用いるときは,試験対象系統の

機械的応答を考慮する。

各カテゴリに適用する電流成分は,

図 23.4 に示すとおりとする。

23.6

試験の手順及びレベル

警告(warning)  雷模擬試験は,作動中に,極めて高い電圧まで充電することがある高エネルギー電

気機器を必要とする。したがって,この種の試験装置に関するすべての安全対策の規定に適合

していることがよい。すべての試験は,高電圧又は大電流の試験に経験がある要員が,立入管

理区域で行うのがよい。

23.6.1

一般  この項は,外部取付け機器に対する高電圧及び大電流試験の適用範囲及び規定を含む。一体

の誘電体覆いをもつ機器は,始めに,表面の沿面放電又は破壊経路を立証するために,23.6.2 に規定する

とおり,高電圧で試験するのがよい。高電圧試験中に,ブレードアンテナのような機器の保護絶縁が破壊

しないときは,次に,通常,高電圧試験中に示された沿面放電径路に従う大電流アークに近接しているた

め,発生する熱及び音響の影響を受けても,機器が残存することを実証するため,大電流試験を必要とす

る。

保護誘電体の破壊が起こって,これがそれ自体では,機器の故障とはならないときには,高電圧試験中

に生じた破壊経路に沿って進むアークによって,選定したカテゴリのレベルで,大電流試験を実施する。

誘電体覆いをもたないすべての機器は,機体にこれらの電流を安全に移すことができることを確認する

ため,及び過剰の電流又は電圧が関連相互接続部及び相互接続機器によって航空機に伝導しないことを保

証するため,23.3 及び

図 23.4 で規定するとおり,選定したカテゴリに適した電流波形を用いて,大電流試

験を行う。

誘電体で部分的に覆った機器は,まず,誘電体で覆った部分に対して 23.6.2 に規定するとおり,高電圧

試験を,また,締結部品を含むすべての露出伝導部分に対して,23.3 及び

図 23.4 に規定するとおり,選定

したカテゴリに適した電流波形を用いて,大電流試験を行う。

試験の順序を示す流れ図を,

図 23.5 に示す。

23.6.2

高電圧試験

23.6.2.1

  適用性及び一般要求事項  高電圧試験は,カテゴリ 3 を除き,機器と一体である誘電体で機

器を覆うとき,すべてのカテゴリに適用する。高電圧試験で適用するすべてのときに,それらは破壊

に対する沿面放電の試験とする。

試験片は,製造標準品を十分に代表するものであり,また,電気的ボンディングのような,試験結果に

影響する可能性があるすべての装備要求事項に対応するものとする。

供試体は,

図 23.6 に示すとおり,伝導接地板上に,装備要求事項に従って取り付けるとよい。通常,機

体にボンディングする機器のすべての伝導部分は,

接地板及びパルス発生器の 1 端子にボンディングする。

発生器の他の端子は,

図 23.6 に示すとおり,大きい板電極に接続する。接地板及び電極は,すべての縁及

び隅で,応力除去する。それらは,平面図で正方形か円形のどちらでもよい。

接地,電極及び試験すきまのすべての寸法は,

図 23.6 に規定する関連表に示す数値のとおり,供試体の


168

W 0812

:2004

寸法に関係付けるとよい。

環境カテゴリ適用記録(

附属書 A)又は同等の表で,高電圧試験を行った機器を識別するとよい。

23.6.2.2

  試験構成及び試験手順  試験は,

23.5.1

及び

図 23.1

で規定する概念的 V

90

の方法か,又は

23.5.1

並びに

図 23.2

及び

図 23.3

で規定する二つの代替方法のうちの一つを用いて行う。試験は,すき

ま絶縁破壊要求事項を満足するまで続ける。

どの方法を選んでも,すきま絶縁破壊を生じる合計 5 回の放電を,各試験片に各極性で加える。すきま

絶縁破壊を生じない放電は,数えない。

各放電中に,電圧波形を記録し,すべてのすきま絶縁破壊を記録するために,供試体の写真を撮る。何

らかの破壊の疑いがあった後,また,一連の試験が完了したとき,表面の沿面放電又は破壊が起こったか

どうかを立証するために,記録データ及び使用したその他すべての診断の検査を行い,かつ,供試体の外

観検査を行う。

絶縁破壊が起こり,この破壊に伴う損傷が損傷基準を超えないときには,既に作られた破壊,又は破壊

と同じ位置に故意にあけた孔を用いて適切に大電流試験を続行するとよい。

破壊が起こらないときには,沿面放電による通常の熱影響及び音響衝撃波の影響をうけても,供試体が

残存できることを実証するために,大電流試験を行う。これらの試験は,23.6.3 に示すとおりに行う。

23.6.2.1

及び 23.6.2.2 に従って行った高電圧試験で,

図 23.6 に示した形状の高電圧電極を用い,試験対象

物に沿面放電が生じなかった場合には,最小直径が 10±1 cm の球状電極を

図 23.6 に示すように試験対象

物の表面から

l

2

の距離に置いて,試験を再度実施する。

この高電圧試験についての他の事項は,23.6.2.1 及び 23.6.2.2 に規定した事項と同じである。

大きくて平らな電極が試験対象物に沿面放電を生じさせるのが不適切である場合には,その試験はやめ

て球状電極を用いて試験を始める。

すべて,

図 23.5 の流れ図に示す手順に従う。

23.6.3

大電流試験

23.6.3.1

  一般要求事項  各カテゴリに適用する電流成分(A,B,C 及び D)は,

23.3

で規定するカテゴ

リに該当する区域によって変わる。各区域に適用する電流成分は,

23.5.2

に規定する。特定カテゴリが個

別仕様書で識別していないときには,機器製造業者は,装備を想定する雷区域に合致したいカテゴリに対

して機器を設計し,設定して,そのカテゴリを公表するとよい。

a.

試験片  試験片は,製造標準品を十分に代表するもので,電気的ボンディングのような,試験結果に

影響する可能性があるすべての装備要求事項に対応するものとする。

b.

試験電極及びアーク根揺らぎ限界  アーク入射試験(カテゴリ 1A,1B,2A 及び 2B)に対しては,

電極材料は良質の導体である。それは,単純な棒でもよく,できれば“射出偏向電極”がよい。射出

偏向電極は,供試体に面するすべての表面を絶縁材料で覆い,供試体とは別の方向を向いている表面

からアークを発生させる。供試体にアークが入る点に近い領域は,薄い誘電体シールドで保護して,

アーク根の過剰な揺らぎを防止する。アークは,保護誘電体の半径 10∼12 mm の円形の孔を通して,

供試体の表面を通す。

c.

電極すきま  電極すきまは,電極と試験片の上又は中にある導体への取付け点との間の距離とする。

アーク射出及び爆風圧力が試験結果に影響しないようにするために,射出偏向電極を使用するときは

50 mm 以上の間隔,また,単純な電極のときは 150 mm 以上の間隔をとることを推奨する。上記より

狭い間隔は,爆風圧力によって,もっと過酷な試験となるであろうが,試験片が試験に耐えれば,試

験を欠格とはしない。


169

W 0812

:2004

d.

アークの開始  結果に悪影響を及ぼすことなく,低電圧駆動発生器の電流放電を開始するために,直

径 0.1 mm 以下の細い導線を用いてもよい。導線は,金属(例えば,銅)又は炭素繊維とすることが

できる。導線はまた,試験片上の調べたい正確な点に,アークを通すことができる。

表面の沿面放電試験に対しては,供試体の表面から 5∼15 mm の距離で,その長さ全体にわたり導

線を支持することによって,高電圧試験で確認した表面の沿面放電の線に沿ってアークを通す。アー

ク開始導線と供試体表面とのすきまには,全長の 90  %以上の間に障害物があってはならない。

アーク開始の代替方法として,テスラコイル又は類似の装置によって発生した高電圧放電を用いて

もよい。

備考  アークを開始させるための細い線又は高電圧放電の方法は,試験物に非常に高い dE/dt こう配

[10

10

 V/(ms)]を生じる。代表的な dE/dt の検知装置であるアンテナが,そのような過渡電圧

に反応する。

e.

電極の極性  大部分は,電極の間隔が

23.6.3 c.

の規定に適合しているときには,電極の極性は,重要

ではない。しかし,疑問があるときには,電極の極性は,負であるのがよい。

f.

伝導入射試験  伝導入射試験(カテゴリ 3)に対しては,試験電流は,雷撃中の航空機内の雷電流分

布を代表するように,供試体を取り付けた接地板を通って伝導し,少なくとも,表面電流密度 50 kA/m

を適用するとよい。これは,アーク根から約 650 mm のところでの表面電流密度を示す。

23.6.3.2

  試験構成―無燃料蒸気域機器

a.

試験片を通る電流  試験構成は,試験片を通る模擬雷電流分布が,雷撃を受けている航空機を代表す

るものであることを保証するものがよい。

b.

電極の位置  試験電極は,試験のために選定した機器表面にアークを通すように配置するのがよい。

c.

試験装置  試験装置には,次のものを含んでいること。

1

23.5.2

で規定する波形を生じることができる大電流発生器

2

  すべての必要な大電流,高電圧,熱その他の測定装置又は記録計器

3

  雷撃点又は損傷部分を記録するための写真機

d.

記録計器の装備  記録計器は,模擬雷試験電流その他の原因に伴う電磁界から十分にシールドするか,

結合させないようにする。すべての記録データの正確さを立証するために,校正検査を実施する。

e.

試験配置  大電流試験構成の概略図を,図 23.7 及び図 23.8 に示す。この試験の結果,機器内に発生す

る電圧及び電流を適用機器性能規格に従って測定する。

図 23.7 及び図 23.8 に示すように,電圧及び電

流の測定を容易にするために,短いケーブルを用いることが必要な場合がある。試験報告にすべての

測定事項を記録する。

ケーブルのシールド又は導体で測定する電圧及び電流が,特定の航空機装備で起こるものを必ずし

も代表するものではなくて,電圧又は電流があるかないかを確認することしか意味がないかもしれな

いことに注意する。

23.6.3.3

  試験構成―燃料蒸気域機器  無燃料蒸気域に対して 23.6.3.2 で詳述した試験構成の要求事項は,

次に示す点を加えて,燃料蒸気域にも適用する。代表的試験構成を,

図 23.9 に示す。

a.

試験片  外部機器(試験対象)は,模擬機体外板の適切な部分に取り付け,暗室又は気密室は,外板

の内側(蒸気側)に造る。印加試験電流は,23.5.2 に従う。

b.

火花及びアークの検出  写真を用いるときは,フィルム速度,露出度数及びレンズから物体までの距

離は,装置が 200 µJ 以下の電圧火花を検出して記録できること。容認できる技法は,幅 1 m 以下の視

野で,露出 f/4.7 以上のレンズ付き ISO/ASA3000 パンクロマティックフィルムを用いるものである。


170

W 0812

:2004

200 µJ の火花に用いる火花検出技術の感度を実証しデータを,試験報告に含める。室は,光が漏れな

いことを立証し,必要ならば,どのような火花もカメラに感じさせるために,鏡を並べて取り付ける。

電流放電中にカメラシャッターが開いていたことを実証するために,何らかの手段を用いる。

同一感度の検出及び記録を達成する代替方法を写真法の代わりに,又は写真法に加えて適用しても

よい。

c.

高温箇所の検出  高温箇所によって点火源を検出する方法が幾つか利用できる。それらは,赤外線検

出装置,光高温計測,高速応答熱電対意及び感温ペンイトを含む。

d.

  点火可能混合気を使用する点火検出  上記のどの手段によっても高温箇所又は火花を検出することが

難しい区域があるときには,室内に点火可能なガス―空気混合気を置くことによって,点火試験を実

施してもよい。これは,1.5∼2 mm で,200 µJ の火花に対し高点火確率を示すどんな混合気でもよく,

例えば理論混合比が 1.3∼1.4 のエチレン・空気の混合気のようなものである。プロパン・空気混合気

は,十分な感度を得るために,酸素濃度を高める必要がある。

警告  可燃性ガス混合気を用いて試験を行うときは,構造の爆発が起こらないようにするための吹き

飛びパネル,近くの消火器の位置及び起こり得る火炎又は爆風の影響並びに起こり得る飛散部

品からの試験要員の保護のような,適切な対策をとる。ガス混合気が構造の通気していない部

品に露出して,重大な爆発損傷を起こす可能性があることを考慮するのがよい。

23.6.3.4

  一般実施要求事項

a.

アーク  電流発生器の放電回路は,要員及び機器の安全性並びに試験の正確さに影響するような不注

意なアークその他の現象を避けるように,設計し,整備する。

b.

要員の保護  すべての要員には,目及び耳に適切な保護を施すのがよい。

23.6.3.5

  試験手順  この方法は,雷電流と外部取付けの電気・電子機器との相互作用から生じる直接影響

を確認するために用いる。

a.

大電流発生器,放電回路並びに検出及び記録機器を配置する。

b.

波形点検用放電が試供体を損傷しないように,電極の下にダミー機器を挿入するか,実際の供試体の

上に導体棒を置く。できれば,これらが,供試体と同じインダクタンス及び抵抗をもつものがよい。

c.

安全な作業のために,試験構成,試験校正用機器及び場所を検査する。

d.

電流波形を点検し,規定したレベルを満足していることを立証し,更に診断機器の正確な機能及び校

正を点検するために,ダミー機器又は導体棒に放電を始める。

e.

ダミー機器を取り外して,実際の供試体を放電回路に置き,その物理的及び機能的状態を記録する。

f.

放電を始めて,試験後の供試体を検査し,結果を記録する。

g.

供試体上で観察したアーク入射点・損傷部分と写真とを関係付ける。

h.

試験電流波形を加える前又は後の機能試験に対するすべての要求事項は,適用機器性能規格に従う。

備考  これらの手順を,燃料蒸気域で使用する機器について試験するために用いるとき,又は機器外

板破壊,内部高温箇所温度及び/若しくは火花・アークの結果としての可燃性蒸気点火の可能性

を確認するために用いるときには,次の追加手順に従う。

i.

写真,点火可能混合気の点火又は温度測定のうちのどれか該当するものによって点火源の存在を確認

する。写真を用いるときには,試験中の内部火花によるどのような光の兆候も,燃料の点火に十分な

火花とみなす。点火可能混合気を用いて試験中に点火が起こらないときには,雷試験直後に試験槽又

は排気中に導入される一定のエネルギー及び長さの火花(

図 23.9 参照)を用いて点火することによっ

て,混合気の可燃性を立証する。可燃性混合気が人工源によって点火しないときには,雷試験は無効


171

W 0812

:2004

とみなし,雷試験又は人工源のどちらかで混合気が点火するまで,新混合気を用いて繰り返す。

j.

写真を用いるときには,カメラシャッターが全放電期間中に開いていることを立証する。これは,通

常,警告灯を用いて行う。その物理的及び機能的状態を検査し,記録する。

備考  火花は,接触点からかなり離れていてもよい。

23.6.4

  試験結果の判断を助けるのに必要なデータ

a.

温度,圧力及び湿度のような環境データ。

b.

試験片の特徴(型式・部品番号,材料,厚さ,表面処理,腐食防止,シーラントなど)を含む試験構

成及び試験片の記述及び写真。

c.

試験の実施・立会いの日付及び要員名,並びに試験設備名称。

d.

試験前及び試験後両方の試験片の写真及び記述。写真には,試料識別印及び物理的状態の変化並びに

寸法目盛を明確に示すこと。試料は,アーク接触点から遠く離れた点で損傷していてもよい。

e.

試験電圧・試験電流の波形及び大きさ。

f.

機器のケーブル及び/又は端末での電流及び電圧のうち該当するもの。

g.

放電,アーク接触点及び供試体のすべての損傷についての写真及び記述。

備考  次の項目は,燃料蒸気域試験にだけ適用する。

h.

適用できるときは,検討している燃料槽内部の試験中の写真,又は試験中の火花の存否については他

の兆候。

i.

火花の検出に写真を使用するときは,フィルム速度,露出度,焦点距離及びレンズ物体間距離を記録

する。

j.

点火可能なガス,空気混合気を使用するときには,混合気の着火性を検証するために用いる方法を含

めて,すべての関連詳細事項を記録する。


172

W 0812

:2004

概略電圧要求事項

全すきま寸法

陽極

陰極

0.5 m 
0.8 m 
1.0 m 
1.5 m

250 kV 
400 kV 
500 kV 
800 kV

    600 kV 
    900 kV

1 100 kV 
1 500 kV

 23.1  V

90

法に対する高電圧波形

概略電圧要求事項

全すきま寸法

陽極

陰極

0.5 m 
1.0 m 
1.5 m

    750 kV

1 300 kV 
2 250 kV

    790 kV

1 400 kV 
2 400 kV

 23.2  代替方法に対する高電圧波形


173

W 0812

:2004

概略電圧要求事項

全すきま寸法

陽極

陰極

0.5 m 
1.0 m 
1.5 m

350 kV 
500 kV 
600 kV

400 kV 
600 kV 
700 kV

 23.3  代替方法に対する高電圧波形

(電圧が 50∼250

µ

s の間でピークに上昇)


174

W 0812

:2004

備考  この図の時間及び電流は,図の寸法に比例しない。

雷試験に対する波形の適用

電流成分

試験

カテゴリ

A B C D

      1A

      ×

      ×

      ×  (

1

)

      1B

      ×

      ×

      ×

      ×

      2A

      ×

      ×  (

1

)

   ×  (

3

)

      2B

      ×

      ×

      ×  (

3

)

外部取付け機器
への直接影響

      3

      ×  (

2

)

   ×  (

2

)

注(

1

)  カテゴリ 1A 及び 2A には,成分 C の全持続時間は適用しない。

18 C±20  %の電気量を出すために平均電流 400 A を 45 ms±10  %間加える。

(

2

)  これらの電流成分は,直接接続によって,すなわち,アークによらずに加え,あるとき

は,供試体に沿った外板中を流れるように加えるだけである。少なくとも,表面電流密

度 50 kA/m を加えるとよい。

(

3

)  成分 D を最初に加える。

 23.4  電流波形


175

W 0812

:2004

 23.5  高電圧及び大電流試験の流れ図


176

W 0812

:2004

備考1.  供試体が対称形の場合には,ωは,長手又は幅の小さい方とし,非対称形の場

合には,ωは,供試体が接地板表面に作る足跡形状の図心(centroid)からそ

の形状の端までの距離の 2 倍として,

備考 2.での判断に用いる。

2.

接地板は,幅が極めて広くて平たいものか,幅 l

4

の曲線をなす縁をもつものの

いずれでもよい。

高電圧試験用のすきま及び電極の寸法

試験構成の寸法

ω<100 mm

l

1

<100 mm

の場合

l

1

>ω及び

l

1

<100 mm

の場合

ω>l

1

及び

ω>100 mm

の場合

l

2

            150 mm

            ≧1.5l

1

            ≧1.5ω

l

3

            >2l

2

            >2l

2

            >2l

2

l

4

            ≧l

3

            ≧l

3

            ≧l

3

備考  l

2

の許容差は,20  %とする。

l

3

及び l

4

の値は,最小値とする。

 23.6  高電圧試験用の試験配置及び寸法


177

W 0812

:2004

 23.7  無燃料域アーク入射試験用の代表的大電流試験の構成

 23.8  無燃料域伝導入射試験用の代表的大電流試験の構成


178

W 0812

:2004

備考  図 23.8 に示すような注入電流及び電圧記録器が必要なこともある。

 23.9  燃料蒸気域要求事項に対する代表的大電流試験の構成


179

W 0812

:2004

24.0

着氷

24.1

試験の目的  これらの試験は,温度,高度及び湿度が急速に変化する状態下で直面することがある,

着氷条件にさらされたときにも作動が必要な機器の性能特性を確認するためのものである。

24.2

一般  航空機に装備して使用するよう設計した機器のカテゴリに応じて,3 種の着氷試験手順を規定

する(24.3 参照)

備考  着氷カテゴリの選定は,航空機内(又は上)の機器の位置及び予想される着氷条件の種類に依

存する。これらの着氷条件は,機器の最終適用及び使用条件によって決定される着氷条件の要

求事項を評価する際に,機器の設計者が考慮する。これらの試験は,通常,温度,高度及び湿

度の急激な変化に遭遇する航空機の外面又は温度制御していない領域に取り付けた機器に,一

般に適用する。

これらの手順は,航空機用機器の性能に種々の着氷条件が及ぼす次の影響を評価するための

試験方法を規定する。すなわち,

a.

  機器に付着する外部の氷又は霜の影響

b.

  凝縮水の凍結又は融氷の再凍結によって生じる氷の影響

c.

  水に直接暴露することによって生じる氷の成長の影響

24.3

機器のカテゴリ  次のカテゴリは,通常,航空機で直面すると予想される着氷条件を包含する。

カテゴリ A  この試験は,機器が極端な低温に浸された後,氷点を超える湿潤空気に当たったとき,凝

結によって氷又は霜を形成する航空機の外部又は温度制御していない領域に取り付けた機器に適用する。

カテゴリ B  この試験は,可動部品をもつ機器で,着氷によって可動部品の動きが止められるか妨げら

れる可能性があるとき,又は氷の膨張から生じる力が構造若しくは機能構成部品を損傷する可能性がある

とき,この可動部品をもつ機器に適用する。機器の内部又は外部に形成される氷は,凝結,凍結,融解及

び/又は再凍結によって生じ,非密封容器の内側に水又は氷を次第に蓄積することがある。

カテゴリ C  この試験は,自由水がたまる危険があり,その結果,機器の低温面上で凍結する可能性が

ある外部又は温度制御していない領域に取り付けたアイテムに適用する。試験の意図は,代表的厚さの氷

が機器の性能に及ぼす影響を審査すること,又は除氷行為が必要になる前の許容できる最大厚さを確認す

ることである。氷の所要の厚さ及び分布並びに氷の成長に対するすべての要求事項は,適用機器性能規格

によって規定する。

24.4

試験手順

24.4.1

一般  供試体を航空機に通常装備する方法で取り付ける。氷と供試体表面との間の付着性に影響す

る,滑油,グリース及びごみのような,すべての代表的でない汚染要因物を,該当する試験の開始前に,

除去する。熱を発生する機器の作動は,適合性を確認するのに必要な時間中だけに制限する。カテゴリ A

及びカテゴリ B の手順に記述する段階を

図 24.1 及び図 24.2 で説明する。

24.4.2

カテゴリ A

a.

機器を非作動とし,周囲室内の圧力及び温度の下で,機器の温度を

表 4.1 に規定する地上残存最低温

度に安定させる。

b.

できるだけ速やかに,機器を 30  ℃で,相対湿度が 95  %以上の環境にさらす。機器の表面温度をモニ

タする。

c.

機器の表面温度が 5  ℃に達するまで,環境を 30  ℃で相対湿度が 95  %以上に保持する。環境を周囲

圧力及び湿度の下にできるだけ速やかに適切な地上残存最低温度に変える。

d.

a.

c.の段階を更に 2 サイクル繰り返す(合計 3 サイクル)


180

W 0812

:2004

e.

第 3 サイクルの終わりに,機器を地上残存最低温度に安定させる。槽内温度を−10  ℃に上昇させて保

持し,機器の表面温度を上昇させる。表面温度が−10±5  ℃に達したとき,機器を作動状態にして,

適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  この試験は,機器を低温乾燥及び温暖湿潤の環境に交互にさらすように計画してある。これら

二つの明白に異なる環境を具現する別個の槽を使用することを推奨する。

24.4.3

カテゴリ B

a.

機器を非作動とし,機器の温度を室内周囲圧力で−20  ℃に安定させる。この温度を保持し,槽内圧力

表 4.1 に規定する適切な最高運用高度に減圧する。この状態を 10 分以上保持する。

b.

試験槽内の相対湿度を 95  %以上に増大し,かつ保持すると同時に,槽内温度を 3  ℃/min 以下の度合

で上昇させる。この状態を,すべての霜及び氷を溶かすのに十分な時間,又は機器の表面温度が 0∼

5  ℃の間に達するまで保持する。槽内温度は,この間,常時 30  ℃を超えないのがよい。

c.

槽内圧力を,15∼30 分の期間に一様な度合で,室内周囲圧力に増圧する。再加圧完了時に,槽内相対

湿度を標準室内周囲湿度に低下させる。

d.

a.

c.の段階を合計 25 サイクルか,又は適用機器仕様書に規定するサイクルのどちらか少ない方のサ

イクルを繰り返す。

備考  一連の試験を中断することが必要になったときには,中断は,機器を低温度状態に保持してい

る間に行う。

e.

最後の試験サイクル中に,機器の温度が−20  ℃で安定した後,適用機器性能規格に適合していること

を確認する。

24.4.4

カテゴリ C

a.

機器を非作動とし,水を噴射したとき,機器上に透明な硬い氷を形成できる温度に,機器を安定させ

る。

備考1.  この試験にとって,形成される氷は,透明で硬いこと。“白氷”又は空気粒がある氷は容認で

きない。

2.

最適温度は,機器の熱質量によって,−1∼−10  ℃の間にある見込みであり,実験で決定す

るのが最もよい。

b.

凍結に近い温度で微細な水滴を手持ち噴霧器で噴霧することによって,適用機器性能規格で規定する

厚さに,透明で硬い氷の均質な層を作る。

c.

氷が所要の厚さに達したとき,噴霧を中止する。機器を作動状態として,機器を−20  ℃の温度で安定

させる。適用機器性能規格に適合していることを確認する。

備考  着氷の厚さを増やした複数の試験が必要なときには,連続作動中に形成したそれぞれの厚さの

レベルごとに,一連の別個の試験を実施する。


181

W 0812

:2004

備考1.  特に規定がない限り,温度及び湿度の変化率は,任意とする。

2. T1

∼T2 及び T5∼T6 は,機器の温度が安定するための時間である。

3. T2

∼T3 及び T4∼T5 は,できるだけ速やかに完了すること。

4. T3

∼T4 は,機器の表面温度が 5  ℃に達するための時間である。

5. T7

∼T8 は,機器の表面温度が−10  ℃に達するための時間である。

 24.1  カテゴリ A 着氷試験


182

W 0812

:2004

備考1.  特に規定がない限り,温度,湿度及び圧力の変化率は,任意とする。

2. T1

∼T2 及び T9∼T10 は,機器の温度が安定するための時間である。

3. T3

∼T4 は,10 分間以上とする。

4. T4

∼T5 の温度変化率は,3  ℃/min 以下とする。

5. T5

∼T6 は,すべての氷及び霜を溶かす最短時間である。

6. T5

∼T8 の槽内温度は,30  ℃を超えないのがよい。

7. T6

∼T7 は,15∼30 分とする。

 24.2  カテゴリ B 着氷試験

 
 


183

W 0812

:2004

25.0

静電放電(Electrostatic Discharge)

25.1

適用範囲  静電放電試験は,人体が接触したことで静電気の影響を受ける搭載機器に実施する。静

電放電の発生を助長する要素としては,低相対湿度,温度,低導電率の(人工繊維製)じゅうたんの使用,

ビニール製座席及び航空機の中のあらゆる場所に存在するプラスチック製構造物がある。この試験は,航

空機の正常な操作及び/又は整備において接触する可能性があるすべての機器及び表面に適用する。

25.2

試験の目的  静電放電試験は,機器が,静電気パルスの放電によって永久的な性能劣化を起こすこ

となく規定の機能・性能をもち続けることができるかどうかを調べることである。

25.3

試験の説明  供試体が,特定の人体接触位置によって生じる 15 000 V もの静電気パルスが続いて発

生してもそれに耐える能力が確認できれば,静電放電に耐え得ると判定する。印加すべきパルスの数は,

各選定位置に対して陽陰極電圧ともに 10 である。試験の形態は,

図 25.1 に示す。

25.4

機器のカテゴリ

カテゴリ A—航空宇宙環境において装備,修理又は運用される電子機器。

25.5

試験の手順  機器に電力を供給し,要求されるモードで作動させ,次の条件の下で静電放電試験を

実施する。

25.5.1

供試体の形態  供試体を(一般的試験要求事項)に示すとおりに組み付ける。適用する装備インタ

フェイス管理図に規定されているとおりに機器を配置し,接続する。静電放電発生器と接続する電線の径

路及び接地位置に十分注意を払い,電線からの電磁界による 2 次的影響の可能性を最小限に抑える。この

試験は,静電放電発生器から供試体のきょう体へ放電による 1 次的影響を試験することを意図したもので

ある。機器の取付け,ボンディング及び接地は,通常の方法で行う。

25.5.2

静電放電発生器  静電放電発生器は,図 25.2 に示すとおりの一般的な結線図のものとし,330 Ω(±

20  %)の放電抵抗器及び 150 pF(±20  %)のエネルギー蓄積キャパシタをもった 15 000 V の放電パルス

を発生することができるものとする。静電放電発生器は,また,

図 25.3 に示すとおりの放電電極をもった

ものにする。試験の実施に先立って,静電放電発生器の出力が最低 15 000 V のピークをもつパルス出力が

発生できるように校正する。これを行うには,静電放電発生器の出力波形を評価するか,又は,高電圧電

力供給源を最低 15 000 V に設定する。この出力を出すのに必要な発生器の設定値を,記録しておく。

25.5.3

供試体の試験モード  供試体の試験モードは,供試体のすべての通常作動モードを実行できるよう

に選んだソフトウェアを含むのがよい。

備考  機器をモニタする必要がある場合には,故障を誤表示する可能性を減らすために,機器を結合

状態にならないようにしておくのがよい。

25.5.4

パルスの適用  静電放電による放電は,機器の(航空機の整備を含む)通常使用中に人間が接触す

る可能性がある機器の表面箇所だけに適用する。

校正において記録した値に設定した  静電放電発生器を,放電を適用する面に垂直に保持する。発生器の

放電帰線は,供試体及びその電線から少なくとも 0.2 m 離れた接地平面上に接地する。

25.5.5

試験要領  静電放電発生器の放電先端を,人間の手が物体に触る速さ(約 0.3 m/s)と同じ速さで

発生器が放電するか又は供試体と接触するまで,供試体に近づけるように動かす。放電の後,静電放電発

生器を供試体から離す。それからまた発生器を再び近づけて次の 1 回の放電を行う。この手順を各位置に

対して(正負)両極について 10 回放電するまで繰り返す。

25.6

試験結果の評価  パルスを印加した後に,適用機器性能規格に適合しているかどうかを評価する。

25.7

試験する箇所の選択  検討の対象にする試験箇所には,適用可能な次の位置を含める。スイッチ,

ノブ,ボタン,指示器,LED(light emitting diode,発光ダイオード)

,スロット,グリル,コネクタシェル,


184

W 0812

:2004

及び他の操作員が接触する部分のような,制御板又はキーボード域のすべての箇所及び人間が接触するこ

の他のすべての箇所を選択する。


185

W 0812

:2004

 25.1  静電放電試験の代表的セットアップ


186

W 0812

:2004

備考  図中では省略してある C

d

は,発生器と供試体,接地板及びカップリング板との間にある分配したキャ

パシタンスである。キャパシタンスは,発生器の全体に分配されるのでこれを線図中に表示することは

できない。

 25.2  静電放電発生器の単純化した結線図

備考  放電スイッチ(すなわち,真空リレー)は,放電電極の先端にできるだけ近い箇所に取り付

ける。

 25.3  静電放電発生器の放電電極

 
 


187

W 0812

:2004

附属書 A  環境試験の識別

A.1

  序文及び適用範囲  航空機搭載機器の規格[RTCA,Inc が作成した最低運用要求性能規格(MOPS)

など]は,実際に航空機に装備されたときの信頼できる運用を確保するために,機器が満足しなければな

らない要求事項を含んでいる。これらの機器の要求事項を,周囲環境条件及び過酷環境条件で検証しなけ

ればならない。この

JIS W 0812

航空機搭載機器―環境条件及び試験手順)は,航空機搭載機器規格が引

用しえるものである。

(MOPS は,周囲環境条件については,推奨する台上試験手順を含み,過酷環境試験

については,RTCA 文書

DO-160

“Environmental Conditions and Test Procedures for Airborne Equipment”を引

用する。

)この

JIS W 0812

及び RTCA の

DO-160

は,搭載機器が直面することがある環境条件の全範囲,

すなわち,温和な環境から極めて厳しい環境までを包含する。

機器が合格した特定の環境試験カテゴリについて,永久的記録の提供が必要なことがある。この必要性

は,突発事象後又は事故後の調査,装備の検定,修理などのときである。ここに示す手順は,機器の承認

機関(航空局,米国では TSO を承認する FAA)に提出する機器のデータパッケージ,並びに装備及び整

備説明書に含める紙面記録[以下,環境カテゴリ適用記録(Environmental Qualification Form)と呼ぶ。

]の

作成のためのものである。環境カテゴリ適用記録に加えて,従来の銘板表示方式を用いてもよい。銘板表

示方式は,環境試験結果を識別する補足的及び選択的な方法である。銘板表示は,顧客が,特定機器(TSO

など)のデータパッケージを検討することを要求しないか,又は検討する立場にない市場で有用である。

一連番号又は製造日付によって,環境カテゴリ適用記録を特定機器に関連付けることは考えていないの

で,機器の種類,型式又は部品番号によって,関連付ける。製造業者は,使用した試験手順(JIS W 0812

本体)の適用改正番号を含み,機器を試験した環境試験カテゴリに至るトレーサビリティーを確立するた

めに用いる方法を明確にするのがよい。

A.2  

環境カテゴリ適用記録(

附属書図 A.1

参照)  この表は,実施した環境試験に関する必要な情報,

及び適用できるときは,試験を行う機器の該当環境カテゴリを示す。

環境試験結果を適用する特定機器の種類又は型式を識別するために,補足情報を含める。

附属書図 A.1

に,書式案を示す。環境カテゴリ適用記録の記入例を

附属書図 A.2 に示す。この記入例には,完成した表

を説明するために備考を付けた。機器製造業者は,明細を追加するために,この表に含むデータを更に詳

しく述べるのがよい。

あるときは,製造業者は,特殊の環境試験に関して二つ以上のカテゴリについて機器を認定することを

希望することがある。いずれか一つのカテゴリがより厳しいときには,より厳しいカテゴリだけを識別す

ればよい。ほかのときは,温度・高度又は振動のように,種々のカテゴリに対する試験要求事項が異なる

が,必ずしもより厳しくないときは,二つ以上のカテゴリを表に示すのがよい。

また,緩衝台付き又はなしで行った振動試験,Jet A 燃料を用いて行った流体感受性試験,除氷液の種類

及び試験に関連する他のパラメータのような情報を,表に含める。

A.3

  機器銘板表示による補足的方法

a.

次は,

機器を試験した特殊環境試験カテゴリを示すために,

機器の銘板に表示する補足的方法である。

機器の銘板に表示するこの方法を用いたときでも,環境試験結果を完全に文書化するために,環境カ


188

W 0812

:2004

テゴリ適用記録を必要とする。機器の銘板に表示するこの選択的方法は,試験結果を最終顧客に通知

する補足的方法を提供する。

b.

この規格で,カテゴリを設定した環境試験手順が 23 ある。これらの手順は,機器の銘板上で“JIS W   

0812

環境カテゴリ”という語の後にこの規格で指定するカテゴリを識別する文字及び数字(又は文字

及び数字の組)によって識別するのがよい。左から右に読んで,カテゴリの指定は,容易に識別でき

るように,次の順序で機器の銘板に示すのがよい。

順序

箇条

試験

 1.

  4.0

温度及び高度試験(2 スペース以上)

  2.

  4.5.4

飛行中冷却喪失試験

  3.

  5.0

温度変化試験

  4.

  6.0

湿度試験

  5.

  7.0

運用衝撃及び破壊時の安全性試験

 6.

  8.0

振動試験(2 スペース以上)

  7.

  9.0

防爆性試験

  8.

10.0

防水性試験

  9.

11.0

流体感受性試験

10.

12.0

砂じん試験

11.

13.0

かび抵抗性試験

12.

14.0

塩水噴霧試験

13.

15.0

磁気影響試験

14.

16.0

入力電源試験

15.

17.0

電圧スパイク試験

16.

18.0

音声周波伝導妨害感受性試験

17.

19.0

誘起信号妨害感受性試験

18.

20.0

無線周波妨害感受性試験(2 スペース以上)

19.

21.0

無線周波エネルギー放射試験

20.

22.0

雷誘起過渡妨害感受性試験(4 スペース)

21.

23.0

直撃雷の影響試験(1,2 又は 3 スペース)

22.

24.0

着氷試験

23.

25.0

静電放電試験

c.

振動に関しては,試験のカテゴリ及び主たる振動曲線(

表 8.1 参照)に対応する文字を指定すること

によって航空機の種類,機器装備区域及び適用する試験のカテゴリを識別する。機器の銘板の大きさ

に余裕があれば,読みやすくするために次の方法を用いる。振動の例のように一つの区分のなかに複

数の文字を必要とする場合には,それらの文字を一括して示せるように角括弧[  ]を用いる。温度

及び高度試験の例のようにカテゴリの中で複数の試験が実施されて複数の文字を当てる必要がある場

合には,角括弧の中に更に括弧(  )を用いてそれらの文字をくくる(次の d.で示す例を参照)

。代

表的な機器銘板の識別は,次のとおりとする。

  JIS W 0812 環境カテゴリ


189

W 0812

:2004

                A2WBABSWLXXXXXXAA( )AA( )ARRLB3D4XXA

  又は,JIS W 0812 環境カテゴリ

                [A2W]BAB[SWL]XXXXXXAA( )AA( )A[RR]L[B3D4]XXA

d.

製造業者は,特定の環境試験について二つ以上のカテゴリに対して機器を評定することを希望するこ

とがある。一つのカテゴリがより厳しいことが明白なときには,厳しい方のカテゴリだけを識別すれ

ばよい。ほかに,温度・高度又は振動のように,種々のカテゴリに対する試験要求事項が異なるが,

必ずしもより厳しくはないときには,機器の銘板に二つ以上のカテゴリを表示するとよい。

  例えば,次の銘板の識別は,

附属書図 A.2 の環境カテゴリ適用記録の記入例に示される試験結果を

表示するものである。

  JIS W 0812 環境カテゴリ

                [(A2)(F2)W]BAB[SWL]XXFXFXABAA( )Z[RR]H[B3D4]XXA

e.

振動試験の場合には,機器を,緩衝台なしの一つのカテゴリ,及び緩衝台付きの他のカテゴリに対し

て評定することがある。この区別は,線の上に緩衝台なしのカテゴリ,線の下に緩衝台付きのカテゴ

リを記載することによって示すのがよい。例えば,次の銘板の識別は,機器を,緩衝台なしで固定翼

のターボジェット機,ターボファン機及び 5 700 kg 以下のピストンエンジン機(主たる振動曲線が W

及び L のもの)並びに緩衝台付きで 5 700 kg を超えるピストンエンジン機(振動曲線が U のもの)の

区域 4 に装備したときの振動カテゴリ S に対して評定したことを除き,上記の例と同一である。

  JIS W 0812 環境カテゴリ    SWL

                [(A2)(F2)W]BAB[SU]XXFXFXABAA( )Z[RR]H[B3D4]XXA

f.

流体感受性試験の場合には,詳細なカテゴリ情報を,環境カテゴリ適用記録に含める。流体感受性試

験のどれかを満足に完了したときには F を,流体感受性試験を実施しないときには X を,銘板に表示

する。

g.

16.0

に規定するカテゴリ A( )直流入力電源試験の場合には,識別は“A(CF)”

“A(VF)”又は“A(WF)”

とはしないで“A( )”としてよい。16.0 に規定する交流入力電源試験の場合には,

“A(CF)”

“A(VF)”

又は“A(WF)”などのとおりとして入力電源の種類を明確に示さなければならない。どのような入力

電源の種類についても,ただ“A”とするだけの識別はしない。

h.

18.0

に規定する交流入力試験の場合には,どの試験の組合せで実施したかを示すために 16.0 に規定し

た交流入力に適用したカテゴリを用いる。18.0 に規定するガテゴリ A( )交流又は直流入力試験の場合

には,

“A(CF)”

“A(VF)”又は“A(WF)”の代わりに“A( )”を用いてよい。どのような入力電源の種

類についても,ただ“A”とするだけの識別はしない。


190

W 0812

:2004

附属書図 A.1  環境カテゴリ適用記録(Environmental Qualification Form)

名称:

種類・型式・部品番号:                                        TSO 番号

製造業者仕様書及び/又は他の適用仕様書:

製造業者:

所在地:

JIS W 0812

の改正版:                                    試験実施日:

条件(

1

箇条

実施した試験の内容

温度及び高度 
低温 
高温 
飛行中冷却喪失 
 
高度 
減圧 
過圧

4.0 
4.5.1 
4.5.2

及び 4.5.3

4.5.4 
 
4.6.1 
4.6.2 
4.6.3

温度変化

5.0

湿度

6.0

運用衝撃及び破壊時の安全性  7.0

振動

8.0

防爆性

9.0

防水性

10.0

流体感受性

11.0

砂じん

12.0

かび抵抗性

13.0

塩水噴霧

14.0

磁気影響

15.0

入力電源

16.0

電圧スパイク

17.0

音声周波伝導妨害感受性

18.0

誘起信号妨害感受性

19.0

無線周波妨害感受性

20.0

無線周波エネルギー放射

21.0

雷誘起過渡妨害感受性

22.0

直撃雷の影響

23.0

着氷

24.0

静電放電

25.0

その他の試験

注(

1

)  ここに示す情報は,単なる例である。すべての試験条件の包括的な表を作成することを意図するも

のではない。

備考  ― 
      ― 
      ― 
      ―特別条件:電源,特別冷却,装備指示事項などを含む。


191

W 0812

:2004

附属書図 A.2  環境カテゴリ適用記録

(Environmental Qualification Form)

記入例

名称:

種類・型式・部品番号:                                        TSO 番号

製造業者仕様書及び/又は他の適用仕様書:

製造業者:

所在地:

JIS W 0812

の改正版:                                    試験実施日:

条件

箇条

実施した試験の内容

温度及び高度 
低温 
高温 
飛行中冷却喪失 
高度 
減圧 
過圧

4.0 
4.5.1 
4.5.2

及び 4.5.3

4.5.4 
4.6.1 
4.6.2 
4.6.3

機器をカテゴリ A1 及び F2 について試験。 
 
 
補助空気冷却使用し,カテゴリ W について試
験。

温度変化

5.0

機器をカテゴリ B について試験。

湿度

6.0

機器をカテゴリ A について試験。

運用衝撃及び破壊時の安全性  7.0

機器をカテゴリ B について試験。

振動

8.0

機器をカテゴリ S について,緩衝台なしで固
定翼のターボジェット機,

ターボファン機及び

5 700 kg 以下のピストンエンジン機の区域 4 に
装備したときについて,振動曲線 W 及び L を
用いて試験。

防爆性

9.0

機器はカテゴリ X として識別し,試験は実施
せず。

防水性

10.0

機器はカテゴリ X として識別し,試験は実施
せず。

流体感受性

11.0

機器はカテゴリ F として識別。 
機器をりん酸エステル油圧作動油を使用した
噴霧試験及び AEA タイプ 1 除氷液を使用した
浸せき試験。

砂じん

12.0

機器はカテゴリ X として識別し,試験は実施
せず。

かび抵抗性

13.0

機器をカテゴリ F について試験。

塩水噴霧

14.0

機器はカテゴリ X として識別し,試験は実施
せず。

磁気影響

15.0

機器をカテゴリ A について試験。

入力電源

16.0

機器をカテゴリ B について試験。

電圧スパイク

17.0

機器をカテゴリ A について試験。

音声周波伝導妨害感受性

18.0

機器をカテゴリ A(  )について試験。

誘起信号妨害感受性

19.0

機器をカテゴリ Z について試験。

無線周波妨害感受性

20.0

機器をカテゴリ R について伝導妨害感受性試
験及びカテゴリ R について放射妨害感受性試
験。

無線周波エネルギー放射

21.0

機器をカテゴリ H について試験。


192

W 0812

:2004

附属書図 A.2  環境カテゴリ適用記録(Environmental Qualification Form)(続き)

条件

箇条

実施した試験の内容

雷誘起過渡妨害感受性

22.0

機器を波形の組 B,レベル 3 について挿入試
験,及び波形の組 D,レベル 4 についてケーブ
ル束試験。

直撃雷の影響

23.0

機器はカテゴリ X として識別し,試験は実施
せず。

着氷

24.0

機器はカテゴリ X として識別し,試験は実施
せず。

静電放電

25.0

機器をカテゴリ A について試験。

その他の試験

耐空性審査要領第 3 部付録 F に従って耐火性
試験を実施した。

備考  ―試験は,環境試験室(会社)で実施した。 
      ―流体感受性試験では,材料試験片を使用した。

      ―入力電源試験では,16.5.1.4 b.ディジタル回路をもつ機器に対する要求事項について試験を実施し

た。

      ―特別条件:電源,特別冷却,装備指示事項などを含む。