K 7385
:2002 (ISO 1158:1998)
(1)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,塩ビ工業・環境協会(VEC) / 財団法人日本規
格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会
の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 1158:1998,Plastics―Vinyl chloride
homopolymers and copolymers
―Determination of chlorine content を基礎として用いた。
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目 次
ページ
序文
1
1.
適用範囲
1
2.
原理
1
3.
試薬
1
3.1
硝酸銀標準液
1
3.2
硝酸溶液
1
3.3
濃硝酸
1
3.4
過酸化ナトリウム
1
3.5
でんぷん,しょ糖又はエチレングリコール
1
3.6
酸素ガス
2
3.7
硝酸ナトリウム
2
3.8
水酸化カリウム溶液
2
3.9
過酸化水素溶液
2
4.
装置
2
4.1
乾燥機
2
4.2
はかり
2
4.3
(Volhard)滴定用又は電位差滴定用装置
2
4.4
燃焼ボンベ
2
4.5
ふた付きニッケルるつぼ
2
4.6
安全オーブン
2
4.7
ビーカ
2
4.8
丸底又は平底フラスコ
2
4.9
ろ紙
2
4.10
ビーカ
2
5.
試料
2
6.
操作
2
6.1
A 法(燃焼ボンベ法)
2
6.2
B 法(燃焼フラスコ法)
3
7.
結果の表示
4
8.
精度
4
9.
試験報告書
4
解 説
7
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日本工業規格
JIS
K
7385
:2002
(ISO 1158
:1998
)
プラスチック―
塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー―
塩素含有量の求め方
Plastics
―Vinyl chloride homopolymers and copolymers―
Determination of chlorine content
序文 この規格は,1998 年に第 3 版として発行された ISO 1158,Plastics―Vinyl chloride homopolymers and
copolymers
―Determination of chlorine content を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作
成した日本工業規格である。
1.
適用範囲 この規格は,可塑剤又は添加剤を含まない塩化ビニルホモポリマー及びコポリマー中の塩
素含有量を測定する 2 種類の方法について規定する。
− A 法(燃焼ボンベ法)
− B 法(燃焼フラスコ法)
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)
,MOD
(修正している)
,NEQ(同等でない)とする。
ISO 1158
:1998 Plastics― Vinyl chloride homopolymers and copolymers― Determination of
chlorine content (IDT)
警告−これらの方法がもつ危険から測定者を保護するため,あらゆる措置,特にこの規格で記述してい
る措置が取られなければならない。
2.
原理 試料を過酸化ナトリウム(A 法)又は酸素ガス(B 法)で酸化し,生じる塩化物を電位差滴定
又は容量滴定する。
3.
試薬 分析には,試薬特級品及び蒸留水又は同等の純度の水を使用する。
3.1
硝酸銀標準液 c (AgNO
3
) = 0.1 mo1/l
又は 0.05 mo1/l
3.2
硝酸溶液 c (HNO
3
) = 2 mo1/l
(A 法用)
3.3
濃硝酸
3.4
過酸化ナトリウム 粒状のもの
3.5
でんぷん,しょ糖又はエチレングリコール 助燃剤として
2
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(B 法用)
3.6
酸素ガス
3.7
硝酸ナトリウム
3.8
水酸化カリウム溶液 100 g/l
3.9
過酸化水素溶液 300 g/l
4.
装置
4.1
乾燥機 50±2 ℃又は 75±2 ℃に調整できるもの。
4.2
はかり A 法は 0.1 mg,B 法は 0.01 mg まで正確に量れるもの。
4.3
(Volhard)
滴定用又は電位差滴定用装置 採用する方法(A 法又は B 法)に適した容量と精度とをも
つビュレット付きのもの。
(A 法用)
4.4
燃焼ボンベ [例えば,パー(Par)ボンベ又は同じ結果を与える他のボンベ]
ガス又は電気燃焼式のもの。適したガス燃焼式ボンベの例を,
図 1 に示す。
4.5
ふた付きニッケルるつぼ ボンベ(ガス燃焼式)に装着できるもの。適切な寸法は,直径 25 mm,
高さ 40 mm である。
4.6
安全オーブン
4.7
ビーカ 容量 600 ml
(B 法用)
4.8
丸底又は平底フラスコ 容量 500〜1 000 ml で,酸素燃焼用栓付き(図 2 参照)のもの。直径 1.0 mm,
長さ 120 mm の白金線をテーパ状にらせん状巻きにして栓に取り付ける。らせん部分は,直径 15 mm,長
さ 15 mm が適切である。安全のため,フラスコを金網で囲むことを推奨する。
4.9
ろ紙 約 3 cm×3.5 cm でハロゲン及び灰分のないもの。
4.10
ビーカ 容量 250 ml
5.
試料 試料は,粉状又は粒状でなければならない。必要ならば 1〜3 mm に切断する。また,試料は 75
±2 ℃で 2 時間,又は 50±2 ℃で 16 時間乾燥しなければならない。
6.
操作
6.1
A
法(燃焼ボンベ法)
6.1.1
最初に,7〜7.5
g の過酸化ナトリウム(3.4)を,ガス燃焼式ボンベの場合はニッケルるつぼ(4.5)
に,電気燃焼式ボンベの場合はボンベの溶融カップに入れ,次いで 0.16〜0.17
g のでんぷん又はしょ糖と
よく混合した約 0.25
g(0.1 mg まで正確に質量を量る。)の試料を加え,更に 7〜7.5 g の過酸化ナトリウム
を重ねて入れる。過酸化ナトリウムの充てんは,オペレータ保護用遮へい物越しに行われなければならな
い。全部をよく振り混ぜ,るつぼにふたをしてボンベ内に挿入し,ボンベをしっかりと閉める。電気燃焼
式ボンベを使用する場合には,ボンベを組み上げ,放電回路につなぐより小さなるつぼと試料も使用でき
る。
6.1.2
ボンベに着火する。
ガス燃焼式ボンベを使用する場合には,ボンベを専用の加熱炉(4.6)内に置く。オーブン内の空ボンベ
を用いて,火炎の頂部がボンベ底部から数ミリメートル(mm)にあるように,あらかじめ炎を調節してお
3
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く。それから空ボンベを取り去る。試験ボンベを 300 〜400 ℃で約 10 分間加熱する。着火は,通常 50 〜
60
℃で始まる。これは燃焼音及びボンベの底が赤くなっていくことから分かる。
6.1.3
ボンベを冷却する。
ガス燃焼式の場合には,栓を開き,るつぼを取り出して,注意しながら蒸留水 100 ml を入れた 600 ml
ビーカ(4.7)にこれを入れ,直ちにビーカを時計皿でふたをする。反応が終了したとき,ボンベ及び栓の
内側を洗浄し,洗浄液をビーカ(4.7)に集める。
電気燃焼式の場合には,冷却後ボンベを取り外し,栓を開き,るつぼを取り出して,蒸留水 100 ml を入
れたビーカにこれを入れる。同じビーカに溶融カップを入れて直ちに時計皿でふたをする。
警告−ボンベを水中で冷却する場合,水がボンベと栓との接触部に達しないように注意する。
6.1.4
ビーカ及び内容物を煮沸し,冷却する。るつぼ,ふた又は溶融カップ及び栓を水で洗浄し,ビーカ
から取り除く。洗浄液はビーカに集める。
6.1.5
一定速度でかくはんしながら濃硝酸(3.3)20 ml をゆっくり加え,更に混合液が中性になるまで硝
酸(3.2)を加える。これに更に 2 ml の硝酸溶液(3.2)を加える。
備考 中和の指示薬には,メチルオレンジが適切である。
6.1.6
ビーカ内溶液を水で 200 ml にまで希釈し,硝酸銀溶液(3.1)を用いて,電位差滴定法又は(Volhard
法)によって滴定する。
6.1.7
試料に使用したのと同量の過酸化ナトリウム(3.4)及び助燃剤(3.5)を燃焼させ,6.1.4〜6.1.6 に
規定する操作を繰り返して,空試験を実施する。
6.1.8
反応の完了に疑問がある場合には,爆発のおそれがあるボンベ内容物を規定の操作に従って水に溶
解してはならない。内容物が急激に爆発するおそれがあるからである。ボンベ内容物を乾燥した砂の上に
広げ,次いで安全な距離から水を噴霧し,その後,大量の水で洗浄する。
6.2
B
法(燃焼フラスコ法)
6.2.1
試料約 25〜35 mg を 0.01 m
g まで正確に量り,図 3 a) に示す形に切ってあらかじめ折り目を付け
たろ紙の上に移す。
図 3 b) ,図 3 c) 及び図 3 d) に従ってろ紙を折り,白金線らせん(図 2)の中に,尾
部が外に出るように取り付ける。
6.2.2
フラスコ(4.6)に水約 20 ml,水酸化カリウム溶液(3.8)1 ml 及び過酸化水素水(3.9)0.15 ml を
入れる。ガラス管で酸素(3.6)を 250〜350 ml/min で 5 分間通し,空気を置換する。
6.2.3
ろ紙の尾部にガス炎で火を付け,白金線及び燃焼ろ紙付きの栓を素早くフラスコに入れる。
6.2.4
燃焼中,内部液が栓の底部を覆うことによってガスがもれないよう,フラスコを倒立させておく。
燃焼が完了したら,フラスコを元に戻し,冷流水下でゆっくり振りながら冷却して,生じた塩化水素を急
速,かつ,完全に吸収させる。
6.2.5 30
分後,フラスコの栓を取り,内容液をすべて 250 ml ビーカ(4.10)に移し,ビーカを洗浄して
洗浄液を合わせる。最終容積が約 60 ml になるようにする。硝酸ナトリウム(3.7)1 g 及び硝酸溶液(3.2)
2.5 ml
を加えて,5 分間煮沸する。冷却後,塩素含有量を硝酸銀溶液(3.1)で電位差滴定法又は(Volhard
法)によって滴定する。
6.2.6
6.2.1
〜6.2.4 に規定した操作に従い,測定に使用したのと同量のすべての試薬を用いた空試験を行
う。
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7.
結果の表示
7.1
乾燥試料の塩素含有量は,質量百分率で表し,次の式で求める。
用いた硝酸銀標準液の濃度によって
m
V
V
)
(
0.1
3.5453
2
1
−
×
×
又は
m
V
V
)
(
0.05
3.5453
2
1
−
×
×
ここに, V
1
:測定に使用した硝酸銀標準液(3.1)の容量 ml
V
2
:空試験に使用した硝酸銀標準液(3.1)の容量 ml
m
:試料の質量
g
7.2
結果は,差が 0.2 %を超えない 2 個の測定値の算術平均値で示す。
8.
精度 実験室にまたがる測定結果が入手できていないために,この試験法の精度は不明である。改正
版では,実験室にまたがる測定結果が入手でき,精度の記述がなされる予定である。
9.
試験報告書 試験報告書には,次の事項を記載する。
a
)
この規格の名称及び番号
b
)
試験材料を特定できる詳細情報
c
)
使用した試験方法(A法又はB法)
d
) 4.5
と 6.1.1 に規定したことと異なる場合のるつぼの寸法と試料の質量
e
)
試料の塩素百分率
f
)
試験実施年月日
5
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おおよその寸法
単位 mm
図 1 燃焼ボンベ,ガス燃焼式(A 法用)
図 2 栓に白金線を取り付けた
酸素燃焼用フラスコ(B 法用)
6
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単位 mm
図 3 試料を入れるろ紙の折り目
日本工業標準調査会標準部会 化学製品技術専門委員会
構成表
氏名
所属
(委員会長) 宮 入 裕 夫
東京医科歯科大学生体材料工学研究所
(委員)
大 久 泰 照
昭和シェル石油株式会社中央研究所
堀 友 繁
財団法人バイオインダストリー協会
奥 山 通 夫
社団法人日本ゴム協会
笠 野 英 秋
拓殖大学工学部機械システム工学科
加 茂 徹
独立行政法人産業技術総合研究所
木 原 幸 弘
社団法人日本化学工業協会
桐 村 勝 也
社団法人日本塗料工業会
髙 野 忠 夫
財団法人化学技術戦略推進機構
高 橋 信 弘
東京農工大学農学部
西 川 輝 彦
石油連盟
西 本 右 子
神奈川大学理学部
古 川 哲 夫
財団法人日本消費者協会
槇 宏
日本プラスチック工業連盟