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K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  原理

4

5

  試薬

4

5.1

  溶離液

4

5.2

  カラム性能評価のための試薬

4

5.3

  分子量標準物質

4

5.4

  流量指標用試薬(内部標準物質)

5

5.5

  添加剤

5

6

  装置

5

6.1

  一般

5

6.2

  溶離液槽

5

6.3

  ポンプ

5

6.4

  試料導入装置

6

6.5

  カラム

6

6.6

  検出器

7

6.7

  配管

8

6.8

  温度制御

8

6.9

  記録計及びプリンタ

8

6.10

  データ処理システム

8

6.11

  その他の構成要素

8

7

  操作

8

8

  データ収集及び解析

8

8.1

  データ収集

8

8.2

  データの検定及びクロマトグラムの補正

8

8.3

  データ解析

9

9

  結果の表示

10

9.1

  校正曲線

10

9.2

  平均分子量の計算

11

9.3

  微分分子量分布曲線

12

9.4

  積分分子量分布曲線

13

10

  精度

13

11

  試験報告書

13


K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)  目次

(2)

ページ

11.1

  一般

13

11.2

  装置及び測定条件

13

11.3

  装置の校正

14

11.4

  校正曲線

14

11.5

  結果

14

附属書 A(参考)適用範囲及び溶出時間の監視方法の補足

15

附属書 B(参考)分子量分布が狭い分子量標準物質

16


K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本プラスチック

工業連盟(JPIF)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改

正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ

る。

これによって,JIS K 7252-1:2008 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS K 7252

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS K 7252-1

  第 1 部:通則

JIS K 7252-2

  第 2 部:ユニバーサルキャリブレーション法

JIS K 7252-3

  第 3 部:常温付近での方法

JIS K 7252-4

  第 4 部:高温での方法

JIS K 7252-5

  第 5 部:光散乱検出による方法


日本工業規格

JIS

 K

7252-1

:2016

(ISO 16014-1

:2012

)

プラスチック−

サイズ排除クロマトグラフィーによる

高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方−

第 1 部:通則

Plastics-Determination of average molecular mass and molecular mass

distribution of polymers using size-exclusion chromatography-

Part 1: General principles

序文

この規格は,2012 年に第 2 版として発行された ISO 16014-1 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

1

適用範囲

この規格は,サイズ排除クロマトグラフィー(以下,SEC という。

)による,高分子の平均分子量及び

分子量分布の求め方の通則について規定する。

なお,JIS K 7252-2 では,規定された SEC 法を用いて測定し,平均分子量及び分子量分布をユニバーサ

ルキャリブレーション曲線によって計算する方法,JIS K 7252-3 及び JIS K 7252-4 では,規定された SEC

法を用いて測定し,平均分子量及び分子量分布を分子量標準物質を用いて作成した校正曲線によって計算

する方法,並びに JIS K 7252-5 では,規定された光散乱検出器を組み合わせたサイズ排除クロマトグラフ

ィー(以下,SEC-LS という。

)を用いて測定し,平均分子量及び分子量分布を絶対分子量データを用いて

作成した校正曲線によって計算する方法について規定する(

附属書 参照)。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 16014-1:2012

,Plastics−Determination of average molecular mass and molecular mass distribution

of polymers using size-exclusion chromatography−Part 1: General principles(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 7252-2

  プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量


2

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

分布の求め方−第 2 部:ユニバーサルキャリブレーション法

注記  対応国際規格:ISO 16014-2,Plastics−Determination of average molecular mass and molecular

mass distribution of polymers using size-exclusion chromatography−Part 2: Universal calibration 
method(IDT)

JIS K 7252-3

  プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量

分布の求め方−第 3 部:常温付近での方法

注記  対応国際規格:ISO 16014-3,Plastics−Determination of average molecular mass and molecular

mass distribution of polymers using size-exclusion chromatography−Part 3: Low-temperature

method(IDT)

JIS K 7252-4

  プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量

分布の求め方−第 4 部:高温での方法

注記  対応国際規格:ISO 16014-4,Plastics−Determination of average molecular mass and molecular

mass distribution of polymers using size-exclusion chromatography−Part 4: High-temperature 
method(IDT)

JIS K 7252-5

  プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量

分布の求め方−第 5 部:光散乱検出による方法

注記  対応国際規格:ISO 16014-5,Plastics−Determination of average molecular mass and molecular

mass distribution of polymers using size-exclusion chromatography − Part 5: Method using 
light-scattering detection(IDT)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

サイズ排除クロマトグラフィー,SEC(size-exclusion chromatography)

分子の流体力学的体積に基づいて分離する液体クロマトグラフィー。カラム中には,分離する分子と同

程度の大きさの細孔をもつ非吸着性の多孔質担体を充塡している。

注記  ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)という用語は,有機溶離液とゲル状を示す非吸着性の多

孔質担体との組合せの場合に用いられてきた。最近は,水を溶離液とするゲルろ過クロマトグ

ラフィー(GFC)も包含した SEC が多用されている。したがって,この規格では,サイズ排除

クロマトグラフィー(SEC)という用語を用いている。

3.2

光散乱検出法,LS detection(light-scattering detection)

高分子による光散乱を測定することによって,溶液中に溶解している高分子の質量又はサイズを決定す

る方法。

3.3

分子量,M(molecular mass)

分子を構成する原子の相対質量の総和。

注記  分子量の代わりに分子質量も用いられる。

3.4

平均分子量(average molecular mass)


3

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

4 種の平均分子量を,次の諸式によって定義する。

なお,式中,N

i

は,分子量 M

i

の成分 の分子数であり,はマーク・ホーウィンク・桜田式の指数であ

る。

3.4.1

数平均分子量,M

n

(number-average molecular mass)

次の式(1)によって求める,分子量。

=

=

×

=

1

1

n

)

(

i

i

i

i

i

N

M

N

M

  (1)

ここに,

M

n

数平均分子量

N

i

各溶出時間の成分の分子数

M

i

各溶出時間の成分の分子量

3.4.2

質量平均分子量,M

w

mass-average molecular mass

次の式

(2)

によって求める,分子量。

=

=

×

×

=

1

1

2

w

)

(

)

(

i

i

i

i

i

i

M

N

M

N

M

  (2)

ここに,

M

w

質量平均分子量

N

i

各溶出時間の成分の分子数

M

i

各溶出時間の成分の分子量

3.4.3

Z

平均分子量,M

z

z-average molecular mass

次の式

(3)

によって求める,分子量。

=

=

×

×

=

1

2

1

3

z

)

(

)

(

i

i

i

i

i

i

M

N

M

N

M

  (3)

ここに,

M

z

Z

平均分子量

N

i

各溶出時間の成分の分子数

M

i

各溶出時間の成分の分子量

3.4.4

粘度平均分子量,M

v

viscosity-average molecular mass

次の式

(4)

によって求める,分子量。

a

i

i

i

i

a

i

i

M

N

M

N

M

/

1

1

1

1

v

)

(

)

(

×

×

=

=

=

+

  (4)

ここに,

M

v

粘度平均分子量

N

i

各溶出時間の成分の分子数


4

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

M

i

各溶出時間の成分の分子量

a

マーク・ホーウィンク・桜田式の指数

4

原理

試料を適切な溶媒に溶解して,希薄溶液を調製する。この溶液を移動相(溶離液)に注入して,SEC カ

ラムに導入する。カラムには,均一の大きさの細孔又は種々の大きさの細孔をもつ非吸着性の微粒子が充

塡されている。試料は,カラムを通過するにつれて分子量(流体力学的体積)の相違によって相互に分離

される。SEC では,大きな分子は細孔の中に浸透できないため,より早く溶出する。一方,小さい分子は

細孔の中に浸透できるので溶出が遅くなる。溶出液中の高分子の濃度は,連続的に濃度検出器(SEC-LS

を用いる場合は,光散乱検出器を組み合わせる。

)で検出して SEC クロマトグラムを得る。

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4 に規定されている SEC の手法において,SEC クロマトグラムにおける任意

の溶出時間に対応する分子量は,単分散の高分子分子量標準物質を用いて作成した校正曲線によって求め

る。JIS K 7252-5 に規定されている SEC-LS においては,各溶出時間の SEC-LS クロマトグラムから得られ

た絶対分子量を用いて作成した校正曲線を用いる。平均分子量及び分子量分布は,各溶出時間に対応した

分子量及び濃度のデータを計算することによって求めることができる。

5

試薬

5.1

溶離液  SEC 測定で用いる溶離液の純度は,用途によって異なる。しかし,一般的には粒子状物質,

高分子成分と反応する成分,及び高分子の検出を妨害する成分を含まないようにすることが望ましい。JIS 

K 7252-2

JIS K 7252-4 に規定されている SEC の手法において,溶解性の改善及び屈折率の増減又は溶離

液の節約のために混合溶媒を用いてもよい。ただし,混合溶媒は,高分子が混合溶媒の構成成分を選択的

に吸着して誤った結果を与えるため,SEC-LS の測定に用いることはできない。

5.2

カラム性能評価のための試薬  カラムの理論段数,シンメトリー係数及び分離度を求めるために,

低分子量化合物を用いる。

5.3

分子量標準物質  JIS K 7252-2JIS K 7252-4 に規定されている測定法は,絶対法ではなく相対法で

あり,SEC クロマトグラムから平均分子量及び分子量分布を計算するためには,校正曲線が必要である。

校正曲線は,分子量既知で分子量分布の狭い標準物質を用いて作成する。分子量標準物質の M

w

及び/又

は M

n

は,光散乱,膜浸透圧,蒸気圧浸透圧,超遠心分離,末端基分析などの絶対法によって決定する。

多分散度 M

w

/M

n

は,M

w

を M

n

で除すことで得られる。分子量標準物質の多分散度は,次に示す範囲になけ

ればならない。

3

p

10

2

×

<

M

 20

.

1

/

n

w

<

M

M

6

p

3

10

1

10

2

×

<

×

M

 10

.

1

/

n

w

<

M

M

p

6

10

1

M

×

 20

.

1

/

n

w

<

M

M

ここに,

M

w

質量平均分子量

M

n

数平均分子量

M

p

ピークの最高点での分子量

M

p

は,式

(5)

によって計算する。

(

)

2

1

w

n

p

M

M

M

×

=

  (5)

注記

市販の分子量標準物質は,

M

w

及び/又は

M

n

値が決められているが,

M

p

値は決められていない。


5

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

このような場合,高分子の分子量分布が対数正規分布であれば,式

(5)

M

p

値を得るために用

いられる。

市販の分子量標準物質の例を,

附属書 B

に示す。

SEC-LS

JIS K 7252-5

参照)の場合は,絶対法であるため,このような分子量標準物質は不必要である。

5.4

流量指標用試薬

内部標準物質

)  溶出時間の正確さを監視するため,すなわち,データが仕様の

範囲内であるかどうかを評価するために低分子量化合物を用いる。

5.5

添加剤

  試料の酸化劣化,溶離液の分解,高分子の会合及び充

剤への高分子の吸着を防止するた

めに酸化防止剤,塩などの添加剤を用いることができる。

6

装置

6.1

一般

SEC

装置の流路図の例を

図 1

に示す。必要な構成要素としては,溶離液槽,ポンプ,試料導

入装置,カラム,検出器,配管,記録計,温度制御装置及びデータ処理システムがある。

SEC-LS

測定で

は,分子量を検知する

LS

検出器を汎用の検出器(濃度を検知する)と連結させる。いずれの機器も,こ

の規格で規定する性能を満たしているものを用いる。

 1

溶離液槽 4

カラム 7

記録計 10

廃液へ

 2

ポンプ 5

検出器 8

表示部

 3

試料導入装置 6

データ処理システム 9

プリンタ

図 1

SEC

装置の流路図の例

6.2

溶離液槽

  溶離液槽は,校正曲線の作成,及び一連の試料測定に必要な容量を備えている。溶離液

は,減圧下超音波洗浄器による方法又は溶離液槽とポンプとの間に真空脱気装置を設置した方法によって

脱気する。溶離液中の粒子は,メンブレンフィルタによって除去することが望ましい。さらに,溶離液中

には,不活性ガスを通気(バブリング)し,溶離液槽の気相は,不活性ガスで置換し,溶離液槽は,遮光

することが望ましい。

6.3

ポンプ

  一定の流量で脈流がないことが望ましい。内径

8 mm

のカラムの場合,約

1 cm

3

/min

の流量

にするとよい。

SEC

装置で用いるポンプは,±

0.3 %

の流量精度が必要である。高分子及び/又は切断され

やすい化合物を測定する場合並びに粘度の高い溶媒を用いる場合には,

低流量で測定することが望ましい。

送液を一定に保つためには,送液部の温度を±

1

℃の範囲に制御するとよい。

内部標準物質の溶出時間又は溶離液の溶出体積若しくは溶出質量を直接計量(

A.2

参照)することによ


6

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

って流量をはかり,変動が顕著な場合には補正する。

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4

に規定されている方法は,

分子量標準物質で作成した校正曲線を用いて計算する相対法であるため,流量についての情報は,必要と

しない。

6.4

試料導入装置

  流路切替方式によって,試料溶液をループに保持し,バンドの広がり及び圧力の変

動を最小にして,試料をカラムに導入する。

注記

試料導入時のバンドの広がりとは,試料溶液が本流に入った場合に,拡散,乱流などによって,

試料溶液が溶離液に希釈されることをいう。最終的にはクロマトグラムのピーク幅が広がった

結果を与える。

6.5

カラム

6.5.1

一般

  カラムは,分子の大きさに従って試料を分離する機能をもつ。カラムは,一般に,エンドフ

ィッティングをもつステンレス管,フィルタ及び多孔性充

剤から構成する。カラムの長さ,内径又は充

剤の粒子径に制限はない。

6.5.2

理論段数の計算

  初めに,エチルベンゼンなどの低分子量化合物を用いて,

図 2

のクロマトグラム

のピークを求めた後,式

(6)

又は式

(7)

によってカラム全体の理論段数(

N

)を計算する。

2

2

1

e

54

.

5



×

=

W

t

N

  (6)

2

e

16

×

=

W

t

N

  (7)

ここに,

t

e

ピークの溶出時間

W

1/2

ピークの半値幅

W

ピーク幅

望ましい理論段数の範囲は,

JIS K 7252-3

又は

JIS K 7252-4

による。

1

注入

注記  は,溶出ピークのシグナル強度を示す。

図 2

低分子量化合物の SEC クロマトグラムの例

6.5.3

分離度の測定

  カラム全体の分離度(

R

)は,校正曲線(

9.1

及び

図 5

参照)及び試料ピークの頂


7

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

点近くに溶出する狭い分子量分布をもつ分子量標準物質(

5.3

及び

図 3

参照)を用いて,式

(8)

によって計

算する。

STD

1

W

D

R

×

=

  (8)

ここに,

D

分子量標準物質のピークの頂点の溶出時間に対応する
校正曲線上の点における校正曲線の接線の傾き

W

STD

分子量標準物質のベースライン上のピーク幅

望ましい分離度の範囲は,

JIS K 7252-3

又は

JIS K 7252-4

による。

1

注入

図 3

分子量標準物質の SEC クロマトグラムの例

6.5.4

シンメトリー係数の測定

  カラム全体のシンメトリー係数(

A

S

)は,エチルベンゼンのような低分

子量化合物のピークから得られるデータを用いて,式

(9)

によって計算する(

図 2

参照)

a

b

a

A

×

+

=

2

S

  (9)

ここに,

A

S

シンメトリー係数

a

10 %

のシグナル強度におけるピーク前半の幅

b

10 %

のシグナル強度におけるピーク後半の幅

望ましいシンメトリー係数の範囲は,

JIS K 7252-3

又は

JIS K 7252-4

による。

6.6

検出器

  検出器は,カラムから溶出した溶出液中の高分子の濃度を連続的にモニタするためのもの

と,光散乱強度をモニタするためのものとがある。濃度検出器としては,示差屈折率検出器,紫外・可視

吸光検出器,赤外検出器,蛍光検出器などがあり,光散乱をモニタするものとしては,光散乱検出器があ

る。検出器はいずれも市販されている。

カラムで分離した分子群の分離帯を広げないために,かつ,

6.5.2

及び

6.5.3

で測定したカラム全体の理

論段数及び分離度を低下させないために,フローセルは十分に小さな体積でなければならない。

JIS K 7252-2

JIS K 7252-5

で用いられる濃度検出器は,示差屈折率で

10

8

又は紫外吸光度で

10

4

の差

異を検出できるような感度をもたなければならない。シグナルとノイズとの比(

S/N

比)としては,

200

以上が必要であるが,分子量分布が極めて広い試料の場合又は分子量が極めて高い試料を低濃度で測定す

る場合には,

S/N

比が低くても認容できる。ただし,このような場合でも

S/N

比は

20

以上必要である。さ


8

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

らに,最大感度で検出する場合,ドリフトは

1

時間当たりピーク高さの

10 %

未満でなければならない。光

散乱検出器の感度は,検出器の型及び/又は実験条件によって著しく変動するため,規定していない。

注記

多くの共重合体は,異なる共重合組成をもつ可能性があり,紫外吸収検出器,示差屈折率検出

器及び光散乱検出器のような検出器を用いた場合,問題が発生する。この規格群の第

1

部∼第

4

部に規定された

SEC

法は相対法であり,このような高分子にも適用可能である。一方,

SEC-LS

法(

JIS K 7252-5

参照)は,分子の組成が変動する共重合体(

A.1

参照)には適用できない。

6.7

配管

  分離された分画が再混合することを防止するために,かつ,

6.5.1

で規定する性能要求に確実

に適合するために,試料導入装置から第

1

カラムまで,カラムから次のカラムまで及び最後のカラムから

検出器までの接続に用いる配管の内径及び長さ[スウェッジ(かしめ)加工の長さを含む。

]は,できる限

り細く,かつ,短くしなければならない。試料導入装置から検出器までに用いている配管の内径は,

0.05 cm

以下とする。ただし,ポリマー鎖の切断及び検出器セル内の乱れを排除するために,細すぎる内径の配管

を用いないことにも注意を払わなければならない。

6.8

温度制御

装置の各箇条で規定したように,カラム,ポンプ,試料導入装置及び配管の温度は,狭

い変動幅の中に収まるよう一定に維持する。

検出器は,

SEC

測定の要求性能レベルに応じて温度制御する。

6.9

記録計及びプリンタ

  ピーク高さ,ベースライン,ドリフト,ピークの分離などが,データ処理に

適切かどうかを十分評価できるように,

SEC

測定のカーブは,鮮明に記録又はプロットする。

6.10

データ処理システム

  データ処理システムは,データ収集,校正曲線の作成,平均分子量及び分子

量分布の計算並びに特定のデータ及び/又はグラフを表示する機能が必要である。このシステムは,この

規格で規定する方法によって,データ収集,解析及びレポート化ができることが必要である。

SEC

測定又は

SEC-LS

測定のクロマトグラムは,リアルタイムで生成できることが望ましい。ただし,

このデータを,後でオフライン処理するために保存してもよい。

6.11

その他の構成要素

前述の構成要素に加え,カラム用ガードフィルタ,圧力モニタ,脈流低減用ダ

ンパ又はその他の関連する要素を,必要に応じて用いてもよい。

7

操作

操作は,

SEC

装置又は

SEC-LS

装置の準備,データ収集,データ解析,分子量標準物質溶液の調製,試

料溶液の調製,カラム性能評価用溶液の調製,並びに溶液のろ過及び注入から成り立っている。

実際に行う操作方法の詳細は,

JIS K 7252

の規格群の各部による。

8

データ収集及び解析

8.1

データ収集

データ収集は,試料の溶出の始まりから終わりまで又はシグナルがベースラインに復帰するときまで行

う。データ数,すなわち,読取点数は,分子量

1

桁当たり

50

点以上が必要である。収集した曲線から正し

い分子量分布曲線が得られることに加え,ピーク面積及びピーク頂点の溶出時間が正しく推定できるよう

にデータ数には,注意を払う必要がある。

8.2

データの検定及びクロマトグラムの補正

SEC

クロマトグラムは,測定ごとに,内部標準物質の溶出時間の誤差又は溶媒の溶出体積若しくは溶出

質量の誤差が,分子量校正曲線測定時の値に対して±

0.3 %

以下であるか否かを決めるために監視する。

誤差が±

0.3 %

を超える場合,データは棄却して再測定する。ピークの広がりの補正を行う必要はない。

注記

溶出時間及び溶出体積又は溶出質量を監視する方法は,

A.2

に記載した。


9

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

8.3

データ解析

8.3.1

ベースラインの決定

図 4 a)

に示すように,溶離液に起因するシステムピーク以前において,検出器のシグナルがベースライ

ンまで下がっている場合,ベースラインは,

t

a

から

t

b

まで引いた直線とする。

図 4 b)

に示すように,システムピーク以前において,検出器のシグナルがベースラインまで下がってい

ない場合,ベースラインは,試料の溶出が始まる直前の点

t

a

からシステムピークの終了直後の点

t

c

まで引

いた直線とする。

SEC-LS

のクロマトグラムのベースラインは,

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4

に規定されている

SEC

法に用

いて得られるベースラインと同じように設定する。すなわち,試料が溶出する直前の点とベースラインの

復帰した直後の点とを結ぶ。一般的に,

SEC-LS

のクロマトグラムは,ベースラインを引く前にスパイク

ノイズを除外する,短期ノイズを取り除くなどの方法で改良できる。

注記

溶出液中の微粒子,溶存ガスなどは,強い光散乱を生じ,

LS

クロマトグラム上に短周期の鋭い

スパイク状のピークを与える。このシグナルをスパイクノイズという。

8.3.2

計算範囲の決定

図 4 a)

に示すように,試料中に分子量

1 000

未満の成分を含まない場合は,ベースライン上の点

t

a

t

b

との間を計算範囲とする。

図 4 b)

に示すように,試料中の分子量

1 000

未満の成分含有率が全ポリマーピーク面積の

30 %

未満の場

合は,次の方法のいずれか一方を用いて計算する。

a)

t

a

から分子量

1 000

に相当する点

t

1 000

までを計算。

b)

t

a

からオリゴマー及びモノマーを含む全分子量領域に相当する点

t

d

までを計算。ただし,ピークが

明確に添加剤由来と識別できる場合は,除外する。点

t

d

は,溶離液だけのクロマトグラムから決定す

る。

試料が分子量

1 000

未満の成分を含む場合で,かつ,

図 4 c)

に示すようにこれらの低分子量成分の含有

量総計が

30 %

以上の場合は,

JIS K 7252

の規格群で規定する方法を適用することはできない。

注記

検出器の応答は,低分子量領域で変動することがある。低分子量物質を相当含む場合,計算結

果は,信頼できない。


10

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

a) 

b) 

c) 

1

システムピーク

図 4

典型的な SEC 曲線の例

9

結果の表示

9.1

校正曲線

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4

に規定された

SEC

法では,校正曲線は,

図 5

に示すように溶出時間と分子

量の対数(

log M

p

)とをプロットし,その相関を近似式

(10)

又は近似式

(11)

を用い,計算して作成する。校

正曲線の決定は,溶出時間

t

の三次までの近似式を計算し,近似のよい方を採用する。

M

p

値は,次のいず

れかの方法を用いて決定する。

a)

分子量標準物質のデータシートから得る。

b)

(5)

を用いて分子量標準物質のデータシートに記載されている

M

w

及び

M

n

の値から計算する。

c)

(5)

を用いて分子量標準物質のデータシートに記載されている

M

w

又は

M

n

の値及び

M

w

/M

n

の値から

計算する。

t

A

A

M

1

0

log

+

=

  (10)

3

3

2

2

1

0

log

t

A

t

A

t

A

A

M

+

+

+

=

  (11)

ここに,

M

分子量

A

0

A

1

A

2

A

3

係数

t

溶出時間


11

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

近似をよくするために,より高次数の式,他の多項式及び式を組み合わせた方法を用いてもよい。

ユニバーサルキャリブレーション曲線の作成については,

JIS K 7252-2

9.1

(ユニバーサルキャリブレ

ーション曲線の作成)による。SEC-LS 法の校正曲線の作成については,

JIS K 7252-5

11.1

(校正曲線)

による。

図 5

校正曲線の例

9.2

平均分子量の計算

校正曲線(

9.1

参照)とベースライン及び計算範囲を決定した(

8.3.1

及び

8.3.2

参照)試料の SEC クロ

マトグラムとを用いて,

i

番目の溶出時間 t

i

における分子量 M

i

及びシグナル強度 H

i

を次のように計算する。

a

)  試料のクロマトグラムの 番目の溶出時間 t

i

における分子量 M

i

は,式(10)又は式(11)の関係を用いて,

M

を M

i

及び を t

i

と置き換えて求める。

b

)  試料のクロマトグラムの 番目の溶出時間 t

i

でのシグナル強度 H

i

は,検出器のシグナル強度からベー

スラインのシグナル強度を差し引いて求める。

H

i

が M

i

と N

i

との積に比例するので,平均分子量及び多分散度は,式(12)∼式(16)を用いて,M

i

値及び

H

i

値から計算する。ここで,は 番目までのデータであることを示す。

(

)

=

=

=

n

i

i

i

n

i

i

M

H

H

M

1

1

n

   (12)

(

)

=

=

×

=

n

i

i

n

i

i

i

H

M

H

M

1

1

w

   (13)


12

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

(

)

(

)

=

=

×

×

=

n

i

i

i

n

i

i

i

M

H

M

H

M

1

1

2

z

  (14)

(

)

a

n

i

i

n

i

a

i

i

H

M

H

M

1

1

1

v

×

=

=

=

  (15)

n

w

M

M

=

多分散度

  (16)

ここに,

M

n

M

w

M

z

M

v

数,質量,Z 及び粘度平均分子量

H

i

各溶出時間におけるシグナル強度

M

i

各溶出時間における分子量

a

マーク・ホーウィンク・桜田式の指数

9.3

微分分子量分布曲線

微分分子量分布曲線は,

図 6

に示すように,log

M

i

に対して d

W

i

/d(log

M

i

)をプロットすることによって作

成する。

W

i

は,次の式(17)∼式(19)から計算する。

=

=

n

i

i

i

i

H

H

W

1

Δ

   (17)

I

W

w

i

i

1

×

Δ

=

   (18)

(

)

(

)

i

i

i

i

i

M

t

w

M

W

log

d

d

log

d

d

×

=

  (19)

ここに,

I

データ収集間隔(分)

試料が分子量

1 000

未満の成分を含有しており,かつ,その総量が

30 %

未満の場合,

M

1 000

に相当する

位置に垂線を引く。

図 6

微分分子量分布曲線の例


13

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

9.4

積分分子量分布曲線

積分分子量分布曲線は,

図 7

に示すように,

log M

i

に対して質量分率

C

i

をプロットすることによって作

成する。

C

i

は,式

(20)

から計算する。

(

)

=

Δ

+

Δ

=

i

j

j

j

i

W

W

C

1

1

2    (20)

図 7

積分分子量分布曲線の例

10

精度

試験所間試験によって得たこの分析方法の精度は,

JIS K 7252

の規格群の他の部に示す。

11

試験報告書

11.1

一般

試験報告書には,次の事項を記載しなければならない。

a)

JIS K 7252

の規格群の中の関連する部の番号及び参照した全ての規格の番号

b)

試料を完全に特定するために必要な全ての詳細情報

c)

試験をした日付及び装置の校正を実施した日付

11.2

装置及び測定条件

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4

に規定された

SEC

法については,次の事項を記載する。

a) SEC

装置の種類,形式及び製造業者名

b)

カラムの形式,粒子径及び製造業者名

c)

カラム温度

d)

用いたカラムの組合せの理論段数,分離度及びシンメトリー係数,並びにこれらを測定したときの低

分子量標準物質及び分子量分布が狭い分子量標準物質

e)

用いた溶離液,溶離液に加えた添加剤の詳細及び流量

f)

検出器の種類,形式及び製造業者名

g)

試料溶液の濃度

h)

データ処理システムの種類,形式及び製造業者名

i)

用いたソフトウェアの版数

C

i

 


14

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

SEC-LS

法については,

JIS K 7252-5

による。

11.3

装置の校正

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4

に規定された

SEC

法については,装置の校正がどのように行われたかを報

告する。

SEC-LS

法については,

JIS K 7252-5

13.2

(装置及び測定条件)による。

11.4

校正曲線

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4

に規定された

SEC

法については,次の事項を記載する。

a)

分子量標準物質の名称

b)

分子量標準物質の製造業者名

c)

製造業者が示す分子量

M

n

M

w

及び

M

z

,並びに多分散度を含む分子量標準物質の特性値

d)

注入体積及び濃度

e)

溶出時間,溶出体積又は溶出質量

f)

測定点を曲線に近似するために用いた近似式を含めた方法の詳細

g)

校正曲線のグラフ

SEC-LS

法については,

JIS K 7252-5

13.4

(校正曲線)による。

11.5

結果

次の事項を記載する。

a)

クロマトグラムの特性点(

t

a

t

b

t

c

t

d

及び

t

1 000

が適用できる。

b)

平均分子量

M

n

M

w

M

z

,多分散度

M

w

/M

n

及び計算範囲並びに可能であれば

M

v

8.3.2

参照)

c) SEC

曲線,並びに微分分子量分布及び積分分子量分布の表又はグラフ

SEC-LS

法については,

JIS K 7252-5

13.5

(結果)による。


15

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

附属書 A

参考)

適用範囲及び溶出時間の監視方法の補足

A.1

試験方法の適用範囲

(箇条

1

参照)

JIS K 7252-2

JIS K 7252-4

に規定されている

SEC

法は,対象試料が直鎖状のホモポリマーであること

を想定している。しかし,この試験方法は,相対法であり,枝分かれ形,星形,くし形などの非線状ポリ

マー,立体規則性及び立体不規則性ポリマー並びにランダム形,ブロック形,グラフト形などの共重合ポ

リマー及び組成分布がある不均一共重合ポリマーにも適用可能である。

JIS K 7252-5

に規定されている

SEC-LS

法は,直鎖状ホモポリマー,非線状ホモポリマー(枝分かれ形,

星形,くし形などがある。

,立体規則性ポリマー,立体不規則性ポリマーなどに適用可能である。この試

験方法は,組成分布のない共重合体にも適用可能である。しかし,

SEC-LS

法は,組成分布のあるブロッ

ク共重合体,グラフト共重合体及び組成分布のある不均一共重合体には適用不可能である。これらの試験

方法は,分子量

3 000 000

までのポリマーに適用できるが,分子量

1 000

未満の部分が

30 %

を超える試料

には,適用できない。

注記

分子量が

1 500 000

を超える場合は,特別なカラムが必要である。

この試験方法は,次に示す場合には,適用できない。

水溶性ポリマーなど,溶離液に水を用いる場合。

カラム温度を

180

℃以上で用いる場合。

二次的効果としてポリマー分子の充

剤への吸着又は反発が,明らかに認められる場合。

A.2

データの評価

8.2

参照)

SEC

クロマトグラムを用いて,溶出時間,溶出体積又は溶出質量の誤差が分子量校正曲線測定時の値に

対して,±

0.3 %

以下であるか否かを評価する。誤差が±

0.3 %

を超える場合には,再測定を行う。次に示

す三つの方法を誤差の監視及び修正に用いることが望ましい。

a)

内部標準法

  試料の溶解にテトラヒドロフランを用いる場合は,試料溶液に,例えば,硫黄を添加し

て分析を行う。硫黄は,システムピーク又はゴーストピークと呼ばれる溶媒に起因するピークの後に

溶出する。ポリスチレン系カラムで

N,N-

ジメチルホルムアミドを用いる場合には,エチルベンゼンを

用いる。

b)

遅延注入法

  例えば,テトラヒドロフランを溶離液に使った場合には,試料注入からある一定時間後

にエチルベンゼンのような低分子量化合物を注入することで,そのピークは,システムピーク又はゴ

ーストピークの直後に溶出する。

c)

直接測定

  溶出した体積又は質量を,目盛付きのシリンダ又ははかりで測定する。


16

K 7252-1

:2016 (ISO 16014-1:2012)

附属書 B

参考)

分子量分布が狭い分子量標準物質

市販されている分子量分布が狭い分子量標準物質の例を,

表 B.1

に示す。

表 B.1

市販されている分子量標準物質

分子量標準物質

分子量範囲

ポリスチレン

5.0×10

2

∼2.0×10

7

ポリ(1-メチルスチレン)

a)

1.0×10

3

∼1.0×10

6

ポリメタクリル酸メチル

2.0×10

3

∼1.5×10

6

ポリエチレングリコール

2.0×10

2

∼2.2×10

4

ポリエチレンオキシド

2.0×10

3

∼1.0×10

6

ポリイソプレン

1.0×10

3

∼3.0×10

6

ポリテトラヒドロフラン

1.0×10

3

∼5.0×10

5

ポリブタジエン

1.0×10

3

∼1.0×10

6

ポリエチレン

1.0×10

3

∼1.2×10

6

ポリプロピレン

4.8×10

4

∼3.5×10

5

a)

  ポリ(1-メチルスチレン)を,慣用名として“ポリ

(α-メチルスチレン)

”ともいう。