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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7196 - 1991 

熱可塑性プラスチックフィルム 

及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法 

Testing method for softening temperature of thermoplastic film  

and sheeting by thermomechanical analysis 

1. 適用範囲 この規格は,熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析(以下,TMAという。)

の針入モードに基づく軟化温度試験方法について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 1107 高純度窒素 

JIS K 6900 プラスチック用語 

JIS K 7100 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考値である。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次のとおりとする。 

(1) TMA 物質の温度を,調整されたプログラムに従って変化させながら,非振動的な荷重のもとで,物

質の変形を温度又は時間の関数として測定する方法。 

(2) TMA曲線 TMAにおいて,横軸に温度又は時間を取り,縦軸に変形量を取って描かれる曲線。 

(3) 針入モード TMA装置の針状の圧子を用いて,試験片の軟化に伴う変位を測定する方式。 

(4) 針入温度 針入モードのTMA曲線から求められる変位点の温度。 

3. 試験片の状態調節 試験片は,原則として試験前にJIS K 7100の標準温度状態2級及び標準湿度状態

2級[温度23±2℃及び相対湿度 (50±5) %]において24時間以上状態調節する。この場合,受渡当事者

間の協定する方法によって状態調節することができる。 

4. 装置及び附属品 装置及び附属品は,次による。 

(1) TMA装置 装置は,針入モードでの測定が可能で,試験片の周りを一定の雰囲気に保つことができ,

試験片の温度を一定の速度で昇温できるもの。 

装置は,試験片に規定の力を安定して加えられる構造とし,天びん,スプリング又は浮力を利用す

るいずれの機構であってもよい。 

天びん機構で構成するTMA装置の一例を図1に示す。 

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K 7196 - 1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 TMA装置の天びん構造の一例 

(2) 圧子 圧子は,検出棒の先端に垂直に取り付けられ,その先端は直径0.5±0.05mm又は1.0±0.05mm,

長さ1mm以上の円柱状で,試験片への接触面は検出棒に対して直角でなければならない。 

(3) 記録計 記録計は,温度と変位量とを自動記録できるものとする。 

5. 試験片 試験片は,厚さ0.01〜1mmのシート又はフィルムから,装置に適切な形状に切断(1)する。こ

の場合,試験片の表面は平滑で,試料台に密着できるものを用いる。試験片の数は,2個とする。 

注(1) 試験片の形状は,正方形又は円形で,一辺の長さ又は直径が約5mmの大きさのものが望ましい。 

6. 温度の校正 温度の校正は,表1に示す純度99.9%以上の温度校正用金属又はあらかじめ融点が分か

っている純物質(以下,温度校正用物質という。)を2種類用いて行う。温度校正用物質の厚さは約0.1mm

とし,実際の試験条件と同じ条件で昇温して,温度校正用物質の融解に伴い圧子が試験片に侵入を起こす

温度を測定する。測定した温度は,Th'及びTl'として8.2の計算式に使用する。使用する温度校正用物質は,

試験片の針入温度に最も近い高温側に融点をもつものと最も近い低温側に融点をもつものの2種類とする。 

ただし,針入温度が,温度校正用物質の融点より高い場合には,最も高い2種類の温度校正用物質(例

えば,亜鉛と鉛)を使用し,針入温度が温度校正用物質の融点より低い場合には,最も低い融点の温度校

正用物質(例えば,インジウム)を1種類(2)だけ使用する。 

注(2) 現状ではこの試験方法に適用できる より低温側の温度校正用物質が見当たらないので,8.2の

式の適用に当たってTl及びTl'を0℃とおいて計算する。 

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表1 温度校正用金属及び融点 

単位 ℃ 

金属名 

融点 

インジウム 

156.4 

すず 

231.9 

鉛 

327.4 

亜鉛 

419.5 

備考 表1に示す融点は,Th及びTlとして8.2の計算式に使用する。 

7. 操作 操作は,次のとおり行う。 

(1) 試験片を試料台の中央に置く。 

(2) 圧子に0.50±0.01N {50±1gf} の力を加え,試験片の中央に静かに置く。 

(3) 測定の感度は,測温範囲内で予想最大変位に最も近くて,それより大きい変位量が測定できるように

選ぶ。記録は,記録紙の幅の50〜80%の範囲に変位の全過程が記録できるように設定する。 

(4) 試験片の周囲雰囲気は,乾燥空気(水分0.001w/w%以下)又はJIS K 1107に規定する2級以上の高純

度窒素を用い,毎分50〜100mlの範囲で一定の流速に保つ。ただし,受渡当事者間の協定によって,

他の周囲雰囲気を用いることができる。 

(5) 温度を毎分5℃で上昇させる。 

(6) 圧子の侵入が完了し,TMA曲線が平たんになるまで,試験片の侵入の全過程を記録する。 

(7) 測定は,異なる試験片について2回以上行う。 

8. 軟化温度の求め方 

8.1 

針入温度 (Ti)  針入温度は,次のとおりにして,小数点以下1けたまで読み取る。 

(1) TMA曲線で,圧子が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し,侵入速度が

最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針入温度 (Tl) とする[図2(a)(b)参照]。 

(2) TMA曲線が,2段階以上の変化を示す場合は,同様にしてそれぞれの針入温度 (T1,T2,…) を求め

る[図2(c)(d)参照]。 

図2 針入温度の読み方 

K 7196 - 1991  

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8.2 

試験片個々の軟化温度は,8.1で求めた針入温度から,次の式を用いて内挿法によって算出する。 

Tl

Th

Tl

Th

Tl

Ti

Tl

Ti

TS

=

)

(

ここに, 

Ts: 軟化温度 (℃)  

Ti: 針入温度,T1,T2……… (℃)  

Th: 高温側の温度校正用物質の融点 (℃)  

Tl: 低温側の温度校正用物質の融点 (℃)  

∆Th: Th'−Th (℃)  

∆Tl: Tl'−Tl (℃)  

Th': 高温側の温度校正用物質で測定した針入温度 (℃)  

Tl': 低温側の温度校正用物質で測定した針入温度 (℃)  

8.3 

8.2で算出した2個以上の試験片の軟化温度を平均し,小数点以下1けたまで求めて,JIS Z 8401に

よって整数位に丸め,これを軟化温度とする。この場合,TMA曲線が2段階以上の変化を示すときは,そ

れぞれの段階ごとに平均値を算出する。 

9. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記入する。 

(1) 試験した材料の種類 

(2) 試験機の形式 

(3) 圧子の形状及び寸法 

(4) 試験片の形状及び寸法 

(5) 試験片の状態調節 

(6) 周囲雰囲気の種類及び流入速度 

(7) 温度の校正に用いた物質とその測定値 (Th,Th',Tl')  

(8) 材料の針入温度 (Ti)  

(9) 軟化温度(8.3で求めた2個以上の試験片の平均値)及び試験片個々の軟化温度 

(10) 試験年月日 

(11) その他特記すべき事項 

関連規格 JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方 

K 7196 - 1991  

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高機能性高分子材料本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

今 井 秀 孝 

工業技術院計量研究所 

阿 部 己喜雄 

通商産業省基礎産業局 

知 久 多喜真 

通商産業省基礎産業局 

細 川 幹 夫 

工業技術院標準部 

小 林 力 夫 

工業技術院化学技術研究所 

溝 口 敬 信 

工業技術院製品科学研究所 

北 野   武 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

金 子   剛 

財団法人日本電気用品試験所 

大 石 不二夫 

財団法人鉄道総合技術研究所 

奈 良 茂 男 

日本電信電話株式会社 

冠 木 公 明 

株式会社東芝 

(青 葉   堯) 

株式会社東芝 

矢 田 公太郎 

ミノルタカメラ株式会社 

高 堀 恭 雄 

株式会社本田技術研究所 

市 原 祥 次 

三菱油化株式会社 

山 田 三郎衛 

旭化成工業株式会社 

横 山 隆 志 

三菱化成株式会社 

北 中   實 

東レ株式会社 

(森 川 正 信) 

東レ株式会社 

高 野 菊 雄 

ポリプラスチックス株式会社 

竹 内   晟 

宇部興産株式会社 

(奥田一成,賀屋継康) 

宇部興産株式会社 

根 岸 春 雄 

帝人株式会社 

伊 藤 暢 厚 

昭和電工株式会社 

土 井   浩 

積水化学工業株式会社 

沖 野 孝 之 

株式会社島津製作所 

(事務局) 

鹿 毛 紀久雄 

財団法人高分子素材センター 

新 鍋 秀 文 

財団法人高分子素材センター 

熱的特性試験方法分科会 構成表 

氏名 

所属 

(分科会長) 

金 子   剛 

財団法人日本電気用品試験所 

西 村 正 美 

工業技術院標準部 

永 井   聰 

工業技術院計量研究所 

(今 井 秀 孝) 

工業技術院計量研究所 

高 橋 高 子 

工業技術院大阪工業技術試験所 

北 野   武 

工業技術院繊維高分子材料研究所 

小 林 力 夫 

工業技術院化学技術研究所 

山 田 三郎衛 

旭化成工業株式会社 

西 垣 昌 彦 

鐘淵化学工業株式会社 

(木下嘉清,五十川昌孝) 鐘淵化学工業株式会社 

市 原 祥 次 

三菱油化株式会社 

南 波 伸 治 

株式会社上島製作所 

(松 見 成 俊) 

株式会社上島製作所 

沖 野 孝 之 

株式会社島津製作所 

(事務局) 

鹿 毛 紀久雄 

財団法人高分子素材センター 

新 鍋 秀 文 

財団法人高分子素材センター