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K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

(1)

著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本プラスチック工業連盟(JPIF)/財団法人

日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 11403-3:1999,Plastics─Acquisition

and presentation of comparable multipoint data

─Part 3:Environmental influences on properties を基礎として用い

た。

JIS K 7141

-には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  試験要求事項に関連する情報

附属書 B(規定)  耐薬品性及び耐環境応力き裂の試験方法に用いる薬品

JIS K 7141

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS K 7141

-1  第 1 部:機械的特性

JIS K 7141

-2  第 2 部:熱的及び加工特性

JIS K 7141

-3  第 3 部:特性への環境影響


K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

(2)

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目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

2

2.

  引用規格

2

3.

  定義

4

3.1

  マルチポイントデータ(multipoint data)

4

3.2

  指標特性(indicative property)

4

3.3

  指標データ(indicative data)

4

3.4

  引張破壊仕事量(tensile work to break)

4

4.

  試験片の作製

4

5.

  試料の状態調節

5

6.

  試験要求事項

5

6.1

  一般的事項

5

6.2

  指標特性及び指標データ

5

6.3

  試験片

5

6.4

  試験速度

5

6.5

  長期熱暴露

5

6.6

  液体薬品

6

6.7

  定引張応力下での環境応力き裂

7

6.8

  人工ウェザリング

8

7.

  データの提示

9

8.

  精度

11

附属書 A(参考)  試験要求事項に関連する情報

12

附属書 B(規定)  耐薬品性及び耐環境応力き裂の試験方法に用いる薬品

15

 


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日本工業規格

JIS

 K

7141

-3

:2002

(ISO 11403-3

:1999

)

プラスチック─比較可能な

マルチポイントデータの取得と提示─

第 3 部:特性への環境影響

Plastics

─Acquisition and presentation of comparable multipoint data─

Part 3

:Environmental influences on properties

序文  この規格は,1999 年に第 1 版として発行された ISO 114033,Plastics―Acquisition and presentation of

comparable multipoint data

―Part 3:Environmental influences on properties を翻訳し,技術的内容及び規格票の

様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考は,原国際規格にはない事項である。

この規格は,プラスチックの使用者が,類似材料の特性を比較するためのデータの入手が困難な場合が

あった(特にその出所が異なっているとき)ので,作成された。同一規格を用いる場合でも,ときには試験

条件が広範囲にわたり,得られたデータは必ずしも単純に比較できるものではない。この規格の目的は,

材料間の妥当な比較ができるように,データの取得及び提示に用いる試験方法と条件とを特定化すること

にある。これらのデータは必ずしも設計には適切なものではない。

JIS K 7140

シリーズの規格

1

)

は,シングルポイントデータに関連している。シングルポイントデータは,

材料の特徴づけに最も基本的な方法を示しており,かつ,材料選択の初期段階で有用である。この規格は,

相当量のデータの測定及び提示のための試験条件並びに手順を明らかにしている。この規格では,各々の

特性が,時間,温度及び環境因子のような重要な変数にいかに依存するかを示すマルチポイントデータに

よって特徴づけられている。この規格には付加的な特性もまた考慮されている。したがって,ある特性の

用途にその材料が適しているかどうかについて,

これらのデータを用いて的確に決定をすることができる。

この規格で得られるデータは,製品使用時の性能の予測及び部品の最適成形条件の予測に必要と思われる

十分なものであると考えられるが, 設計用には別のデータが必要であることを認識しておくのが望まし

い。この理由の一つは,ある特性は材料の物理的構造に強く依存することにある。この規格では標準の試

験片を用いるが,標準試験片のポリマー構造と実際の成形品の特定の場所のポリマー構造とは明らかに異

なる場合がある。したがって,マルチポイントデータは,正確な製品性能の設計計算用には不適切である。

データ利用者は,材料供給者からデータの適用に関する特定の情報を求めるのが望ましい。

JIS K 7140

の各部及び JIS K 7141 の各部は,ともに材料の選択に使用するための一組の中心的な比較可

能なデータを取得し,提示する手段を定めるものである。これらの規格を使用することが,データの提供

と相まって,仕事の合理化及び費用の削減になる。さらに,これらの規格の利用が,材料特性に関するデ

ータの蓄積及び交換のコンピュータ化の開発が簡素化できる。

適切な場合には,この規格は,試験条件の条件値を規定している。しかし,試験条件が広範囲なために(こ

1

)  JIS K 7140-1:2000,ISO 10350-2:2001


2

K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

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のような範囲の条件でプラスチックの挙動が決まる。),この規格では,ポリマーの実際の操業条件の範囲

をカバーできるように試験条件を規定せず,試験条件の選択指針を示す場合がある。なぜならば,一般に,

ポリマーが異なると特性と性能の仕様が大きく異なるので,この規格で規定するすべての試験条件でデー

タを作成する義務はないからである。

プラスチックを選択し,広範囲の用途で使用可能とするためには,広い範囲の特性についてのデータが

必要である。JIS は,これらの多くの特性について関連情報の取得に適した実験手段を述べている。しか

し,それ以外の特性については,JIS が存在しないか,又は存在しても比較可能なデータの作成には現在

のところその使用が困難であるという欠点がある(

附属書 参照)。この規格は 3 部に分かれており,部編

成によって各部を別々に作成することができる。また,新規格の制定又は規格の改正によって,必要な試

験特性を追加することができる。

1.

適用範囲  この規格は,次の環境でプラスチックの挙動を示すマルチポイントデータの取得と提示の

試験方法について規定する。

―  長期熱暴露

―  液体薬品

―  一定引張応力下での環境応力き裂

―  人工ウェザリング

試験方法は,環境の厳しさが増加する順に挙げている。まず最小の環境負荷での試験を実施することに

よって,さらに厳しい条件での試験を行う価値があるかどうか,試験の情報に基づいて判断を下すことが

可能である。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。

ISO 114033

:1999,Plastics―Acquisition and presentation of comparable multipoint data―Part 3:

Environmental influences on properties

(IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の

規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。

JIS K 7016

-1:1999  繊維強化プラスチック―試験板の作り方―第 1 部:総則

備考  ISO 12681:1997  Plastics―Fiber-reinforced plastics-preparation of glass fibre reinforced resin

bonded, low

-pressure laminated plates or panels for test purpose が,この規格と一致している。

参考  ISO 11403-原文には,脚注 3)として,ISO 1268-が改正予定であるとの記述がある。

JIS K 7100

:1999  プラスチック―状態調節及び試験のための標準雰囲気

備考  ISO 291:1997  Plastics―Standard atmospheres for conditioning and testing からの引用事項は,

この規格の該当事項と一致している。

JIS K 7108

:1999  プラスチック―薬品環境応力き裂の試験方法―定引張応力法

備考  ISO 6252 : 1992  Plastics ― Determination of environmental stress cracking(ESC) ―

Constant

-tensile-stress method が,この規格と一致している。

JIS K 7114

:2001  プラスチック―液体薬品への浸せき効果を求める試験方法


3

K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

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備考  ISO 175:1999  Plastics―Methods of test for the determination of the effects immersion in liquid

chemicals

が,この規格と一致している。

参考  ISO 11403-原文には,脚注 2)として,ISO 175:1981 の改正版が発行予定であるとの記述

がある。

JIS K 7139

:1996  プラスチック―多目的試験片

備考  ISO 3167:1993  Plastics―Multipurpose test specimens が,この規格と一致している。

JIS K 7141

:1996  プラスチック―比較可能なマルチポイントデータの取得と提示―第 1 部:機械的

特性

備考  ISO 114031:1994  Plastics―Acquisition and presentation of comparable multipoint data―Part

1

:Mechanical properties が,この規格と一致している。

JIS K 7144

:1999  プラスチック―機械加工による試験片の調製

備考  ISO 2818:1994  Plastics―Preparation of test specimens by machining  が,この規格と一致して

いる。

JIS K 7151

:1995  プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の圧縮成形試験片

備考  ISO 293:1986  Plastics―Compression moulding test specimens of thermoplastic materials が,こ

の規格と一致している。

JIS K 7152

-1:1999  プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片―第 1 部:通則並

びに多目的試験片及び短冊形試験片の成形

備考  ISO 2941:1996  Plastics―Injection moulding of test specimens of thermoplastic materials―Part

1

:General principles, and moulding of multipurpose and bar test specimens  が,この規格と一致し

ている。

JIS K 7152

-2:1999  プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片―第 2 部:小形引

張試験片

備考  ISO 2942:1996  Plastics―Injection moulding of test specimens of thermoplastic materials―Part

2

:Small tensile bars が,この規格と一致している。

JIS K 7154

-1:2002  プラスチック─熱硬化性樹脂成形材料の射出成形試験片─第 1 部:通則及び多

目的試験片の成形

備考  ISO 107241:1998  Plastics―Injection moulding of test specimens of thermosetting powder

moulding compounds

(PMCs)―Part 1:General principles and moulding of multipurpose test

specimens

が,この規格と一致している。

JIS K 7154

-2:2002  プラスチック─熱硬化性樹脂成形材料の射出成形試験片─第 2 部:小形角板

備考  ISO 107242:1998  Plastics―Injection moulding of test specimens of thermosetting powder

moulding compounds

(PMCs)―Part 2:Small plates が,この規格と一致している。

JIS K 7161

:1994  プラスチック―引張特性の試験方法  第 1 部:通則

備考  ISO 5271:1993  Plastics―Determination of tensile properties―Part 1:General principles が,

この規格と一致している。

JIS K 7226

:1998  プラスチック―長期熱暴露後の時間―温度限界の求め方

備考  ISO 2578:1993  Plastics―Determination of time-temperature limits after prolonged exposure to

heat

が,この規格と一致している。

JIS K 7350

-2:1995  プラスチック―実験室光源による暴露試験方法  第 2 部:キセノアーク光源


4

K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

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備考  ISO 48922:1994  Plastics―Methods of exposure to laboratory light sources―Part 2:Xenon-arc

sources

が,この規格と一致している。

ISO 295

:1991  Plastics―Compression moulding of test specimens of thermosetting materials

ISO 1817

:1999  Rubber, vulcanized―Determination of the effect of liquids

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

マルチポイントデータ(multipoint data)  ある試験条件範囲で,ある一つの特性に関して測定した幾

つかの測定値によってプラスチック材料の挙動を特徴付けるデータ。

3.2

指標特性(indicative property)  暴露前後の特性の測定を比較して,材料に対する環境の影響を明らか

にするように選択した一つの特性。

3.3

指標データ(indicative data)  指標特性の平均値の暴露前後の比。

参考  指標データは,特定の暴露条件での材料への環境影響の厳しさの尺度となる(附属書 A.1 参照)。

3.4

引張破壊仕事量(tensile work to break)  W

tB

引張試験でのつかみ具の移動に対する応力のプロット

の面積。応力は,試験片の最小初期断面積に対する引張荷重の比から求める。

備考  単位は,平方メートル当たりのキロジュール(kJ/m

2

)で表す。

4.

試験片の作製  射出成形又は圧縮成形による試験片の作製は,JIS K 7151JIS K 71521JIS K 

71522

JIS K 71541JIS K 71542ISO 295 及び JIS K 7016による。成形方法及びその条件は,成

形する材料による。この規格によってデータを取得するすべての試験片の作製には,成形条件がその材料

に対して適切な JIS で決められていれば,できればその条件を採用する。成形条件がまだ規格で定められ

ていないプラスチックについては,採用する成形条件は,材料製造業者が推奨する範囲内とする。また,

それぞれの成形方法において,すべての試験片は同一成形条件とする。成形条件がどの規格にも規定され

ていない場合は,

表 のパラメータの値をその材料のデータとともに記録する。

  1  成形パラメータ

成形材料の種類

成形方法及び適用規格(該当する場合)

成形パラメータ

熱可塑性プラスチック

射出成形 JIS K 7152及び JIS K 71522

溶融樹脂温度 
金型温度

射出速度

熱可塑性プラスチック

圧縮成形 JIS K 7151

成形温度 
成形時間

冷却速度 
成形品取出し温度

熱硬化性プラスチック

射出成形 JIS K 71541JIS K 7154
び JIS K 71522

射出温度 
金型温度 
射出速度

硬化時間

熱硬化性プラスチック

圧縮成形 ISO 295

金型温度

成形圧力 
硬化時間

複合材料プラスチック

試験板の作製 JIS K 70161

繊維含有量 
金型温度 
成形圧力

硬化時間


5

K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

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5.

試料の状態調節  材料の特性が明らかに含水量に依存する場合には,測定環境に暴露する前に試験片

を温度 23  ℃,相対湿度(50±5)%の雰囲気で平衡状態にさせる。また,指標特性の測定の場合には,熱に

対する長期暴露試験(6.5 参照)を除き,暴露開始前に(

備考参照),同じ条件で試験片を平衡状態にさせてお

く。これらの材料については,試料の状態調節方法の関連する材料規格を調べるのがよい。特性が,含水

量に鋭敏でない材料の場合は,試験片は,適切な JIS に従って状態調節する。もし材料規格がなければ,

試験片は,23  ℃±2  ℃,相対湿度(50±10)%で少なくとも 88 時間状態調節する(JIS K 7100 参照)。特別

な状態調節条件を用いた場合は,7.

表 にデータとともに記録する。

備考  高温への暴露中,又は薬品への暴露の場合には水が薬品と置換することによって,含水量は,

環境への暴露中に変化することがある。

6.

試験要求事項

6.1

一般的事項  この規格に規定する特性に対するデータを取得する場合は,各特性に対応する JIS 

試験規格に規定する暴露手順に従う。

23

℃以外の温度で試験を行う場合は,試験温度は,10  ℃の整数倍の値から選択する。

6.2

指標特性及び指標データ(附属書 A.1 参照)  6.5 から 6.8 の各試験の要求事項においては,データは,

23

℃,かつ,規定条件での暴露前と暴露後の指標特性の比として記録する。引張強さ及び引張破壊仕事量

は,各環境暴露試験に共通な指標特性である。引張強さとは,降伏応力σ

Y

又はぜい(脆)性材料では破壊

応力σ

B

のことであり(JIS K 7161 参照),降伏又は破壊時の力の値を試験片のくびれ部分の最小初期断面

積で除することによって求める。引張破壊仕事量 W

tB

(3.4 参照)は,引張強さを求めるために用いる従来の

引張試験から求められ,試験片の最小初期断面積で基準化する。この規格では,すべての指標データは,

暴露前測定値に対する暴露後測定値の比として記録する。したがって指標特性の測定には単位は必要がな

く,すべての一連の指標特性値について明確に整合性が取れていなければならない。

6.3

試験片(附属書 A.1 及び A.2 参照)  指標特性を求めるためには,JIS K 7139 に規定する多目的試験

片又は JIS K 7152に規定する小形引張試験片(

図 参照)を用いてもよい。小形試験片は厚さ 3 mm±0.1

mm

とし,暴露前に延性破壊を示す材料に対して用いるのがよい(

附属書 A.1 参照)。小形試験片は,射出

成形(熱可塑性プラスチックには JIS K 7152参照),又は厚さ 3 mm±0.1 mm のシート若しくは圧縮成形

板からの機械加工によって作製してもよい(JIS K 7114 参照)。適切な場合には,この規格の第 2 部に規定

する成形条件を用いる。耐環境応力き裂(6.7 参照)の測定には,多目的試験片を用い,必要に応じて

図 2(附

属書 A.5 も参照)に示すような機械加工を施す。

6.4

試験速度  暴露前に 50 mm/min の速度で試験したときに(JIS K 7161 参照),降伏を示さず,かつ,

引張破壊ひずみε

B

が 10  %以下のポリマーに対して,多目的試験片では 5 mm/min±1 mm/min の試験速

度を,小形引張試験片では 1 mm/min±0.2 mm/min の試験速度を用いる。暴露前に,降伏を示すか又はε

B

が 10  %を超える材料に対して,試験速度は,多目的試験片では 50 mm/min±10 mm/min,小形引張試験

片では 10 mm/min±2 mm/min とする。

指標特性の環境暴露後の測定で用いる試験速度は,暴露前の試験と同じものとし,7.でデータとともに

記録する。

6.5

長期熱暴露(JIS K 7226)  吸湿性材料に対しては,試験片は,すべての熱暴露及び比較試験の前に,

水分含有量が変化しないように成形したままで容器に入れておく。

指標特性は,

1

)  引張強さ  σ

  又は  σ

B

(6.2 参照)


6

K 7141-3

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2

)  引張破壊仕事量  W

tB

(6.2 参照)

である。

最小 5 個の試験片を用いて,23  ℃±2  ℃で各々の指標特性の基準値を測定する(6.4 も参照)。

選定した高い温度で試験片を暴露し,耐熱性プロファイルを描く。暴露後,指標特性を測定する前に,

試験片を 16 時間から 96 時間の間,23  ℃±2  ℃で保管する。吸湿性材料に対しては,この間,試験片の水

分含有量が変化しないように密閉する。各々の指標特性の 50  %いき値に対応する耐熱グラフを決定する。

各暴露時間で最小 5 個の試験片を用いる。各々の指標特性について,各温度で最小 5 水準の暴露時間を

用いる。各々の指標特性について最小 4 水準の温度を用いる(

備考参照)。

備考  暴露時間の幾つかは,その結果が両方の指標特性グラフを求めるために用いることができる。

表 に示す各々の指標特性に対して,限度時間 20 000 時間に対応する温度指数 TI[JIS K 7226 3(定義)

の 3.1 参照]及び半減温度幅 HIC[JIS K 7226 3(定義)の 3.3 参照]を記録する。

                                              単位  mm

ミリメートル表示の寸法

b

1

L

全長

末端部分の幅 
最小部分の幅 
半径

厚さ 
つかみ具間の初期の距離

60

10

±0.2

3

±0.2

15

±1

3

±0.2

25

±2

  1  JIS K 7152の小形引張試験片の詳細

  2  引張応力下の耐環境応力き裂の測定用試験片

      小形引張試験片の中央部のくびれと同じにな

      るように,中央部のくびれを切削加工によっ

て作製(

図 参照)。

6.6

液体薬品(JIS K 7114)  異なった材料及び異なった出所のデータの比較を容易にするため,この規格

では,材料を

附属書 の薬品に浸せきするように求めている。材料が規定の温度でを附属書 の薬品が存

在 す る と き に 使 用 で き な い か 又 は 使 用 を 推 奨 で き な い 場 合 に は , 実 験 デ ー タ の 欄 に NR[not

recommended

(推奨できない)]と記載する  (

表 参照)。

上に規定した比較可能な中核となるデータの一部ではないが,他の薬品に対する浸せきデータを加えて

もよい。この目的には JIS K 7114 の薬品から選ぶのがよい。

指標特性は,


7

K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

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1

)  引張強さσ

Y

又はσ

B

(6.2 参照)

2

)  引張破壊仕事量 W

tB

(6.2 参照)

3

)  試験片の長さ 及びくびれ中心の厚さ h(

図 参照)

4

)  試験片の質量 m

である。

基準値として 23  ℃±2  ℃で浸せき前の特性値を測る。1)及び 2)の特性については 5 個以上(6.4 参照),

3

)及び 4)の特性についてはこれに加えて 4 個以上の異なった試験片を用いる。

試験片を,100 時間及び 1 000 時間,

附属書 に規定の温度で液体薬品に浸す(備考参照)。23  ℃で浸せ

きする試験については,浸せき直後に指標特性を測る。高い温度で浸せきが行われた場合,試験片を 23  ℃

の新鮮な液体薬品に 20 分±10 分浸した後,直ちに指標特性を測定する。

備考  試験時間の無駄を避けるため,予備テストを実施して温度,薬品の影響を調べておくのがよい。

1

)及び 2)の特性については,各浸せき時間について 5 個以上試験片を使用する。3)及び 4)の特性につい

ては基準データ用に 4 個以上,100 時間浸せき後に 2 個,1 000 時間浸せき後に 2 個の試験片を使用して測

定する。3)及び 4)の特性を測定した試験片は,続けて 1)及び 2)の特性用に用いてもよい。

温度を追加して測定結果を記載してもよい。各追加試験では,3)及び 4)の指標特性の指標データの精度

を上げるため,基準値は新規に 4 個の試験片を用いて繰り返し,その後各温度で 3)及び 4)の指標特性を測

定するのがよい。

表 に浸せき後の浸せき前に対する各特性の平均値の比を記録する。もし,他の測定時間での結果から,

当該薬品についてこの浸せき時間(1 000 時間)では試験片が飽和状態になることが既知であれば,1 000 時

間浸せき後の質量比のデータには,当該薬品でこの時間浸せきすれば試験片が飽和状態にあることを示す

意味の記号 ST を付ける。

6.7

定引張応力下での環境応力き裂(A.4A.5 及び JIS K 7108 参照)  JIS K 7139 の多目的試験片を使用

する。簡便的には,試験片の両端のつかみ部を取り去ることによって,試験片の長さを短くしてもよい。

射出成形によって試験片を作製する場合には,半径 15 mm の円形のノッチを入れることによって,試験

片の中央部分を幅 3 mm に加工する(A.5 及び JIS K 7114 の 2.参照)。

機械加工をするときは,切削方向が試験片の長軸方向と平行にすることによって,切削方向と垂直方向

の応力集中がおきないように十分注意する。

試験片を圧縮成形によって直接作製するか,シートや圧縮成形板から機械加工する場合には,くびれ部

の機械加工は任意とする。

異なる材料,異なる出所から得られたデータの比較を可能とするために,この規格は,材料を

附属書 B

の薬品に浸せきすることを求めている。材料がこれらの薬品の存在下で指定した温度の使用が推奨できな

いのであれば,NR(推奨できない)を

表 の実験データの欄に記入する。

上に規定した比較可能な中核データの一部ではないが,他の薬品に浸せきした場合の結果及び他の温度

での結果を追加データとして示してもよい。この目的のためには,JIS K 7114 のリストから薬品を選択す

ることを推奨する。

指標特性は,

1

)  引張強さσ

Y

又はσ

B

(6.2 参照)

2

)  引張破壊仕事量 W

tB

(6.2 参照)

である。

最低 5 個の試験片を用いて,

(23±2)℃で指標特性の基準値を求める(6.4 も参照)。引張強さの基準値を,


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K 7141-3

:2002 (ISO 11403-3:1999)

著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。

σ

uo

とする。

附属書 の薬品及び温度で,応力レベルを変えてクリープテストを行う。応力レベルは,次のように選

ぶ。

100

時間の負荷後に,引張強さが 25  %減少する応力レベル及び仕事量が 50  %減少する応力レベルを選

択する(

備考参照)。応力は,最低 4 水準選択しなければならない。また,それぞれの応力レベルにおいて

最低 5 個の試験片を使用する。クリープ応力を横軸にとって指標特性の値をプロットする(

図 参照)。

備考  試験時間の無駄を避けるために,予備テストを実施し,温度,薬品及び応力単独の影響を調べ

ておくことを推奨する。

内挿法によって,引張強さ 25  %減少,仕事量 50  %減少点のクリープ応力σ

sc

100

及びσ

wc

100

を求める。

この手順を 1 000 時間負荷についても繰り返し,対応するクリープ応力σ

sc

1000

及びσ

wc

1000

を求める。

表 のように,100 時間負荷及び 1 000 時間負荷に対応するクリープ応力と引張強さの基準値(上記参照)

との比σ

sc

uo

,σ

wc

uo

を記録する。

  3  クリープ負荷後に指標特性値とクリープ応力との

プロットからσ

sc

及びσ

wc

を求める方法

6.8

人工ウェザリング[JIS K 73502(附属書 A.3 参照)]  キセノンアークランプを用いて,次の一つ又は

それ以上の暴露条件で実施する。(

備考参照)。

備考  条件 1 は,自然太陽光への暴露をシミュレートすることを意図し,条件 2 及び 3 は,ガラス透

過暴露をシミュレートすることを意図している。条件 3 の雰囲気温度は,条件 2 より十分高い

温度とする。 

暴露条件 1:開放暴露

JIS K 73502

の A 法に合致した相対分光放射照度とし,かつ,290 nm∼800 nm の波長域で絶対放射照度

550 W

/m

2

±50 W/m

2

となるようなフィルタを用いる。 

水噴霧停止 102 分,水噴霧 18 分のサイクルとする。水噴霧停止中は,槽内のブラックスタンダード温度

を 65  ℃±3  ℃,相対湿度を(65±5)%とする。水噴霧中もランプを照射させる。

暴露条件 2:ガラス透過,低温

JIS K 73502

の B 法に合致した相対分光放射照度とし,かつ,300 nm∼800 nm の波長域で絶対放射照度

550 W

/m

2

±50 W/m

2

となるようなフィルタを用いる。


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槽内のブラックスタンダード温度を 65  ℃±3  ℃,相対湿度を(65±5)%とする。

暴露条件 3:ガラス透過,高温

上記条件 2 と同じフィルタ及び絶対放射照度を用いる。

槽内のブラックスタンダード温度を 100  ℃±3  ℃,相対湿度を(50±5)%とする。

試験片は,ウェザリング試験槽の中で試料の広い面が照射側を向くように設置する。小形引張試験片を

使うときには,試料を試料支持具に水平に置く。試料支持具をつやなしステンレススチール板を使って背

面近くに設置させる。空気の循環が自由にできるように,試験片と板との間隔を 2 mm 以上確保する。暴

露後の物性測定時に,つかみ具の中でできるだけ試験片が破壊しないように,試験片の肩部が照射されな

いように,つやなしステンレススチール細片で覆ってもよい。

指標特性は,

1

)  引張強さσ

Y

又はσ

B

(6.2 参照)

2

)  引張破壊仕事量  W

tB

(6.2 参照)

である。

最低 5 個の試験片を使って,23  ℃±2  ℃で測定した指標特性に対する基準値を求める(6.4 も参照)。

引張強さは 25  %,

引張破壊仕事量は 50  %減となるように選択した放射露光量範囲で試験片を暴露する。

各々の放射露光で最低 5 個の試験片を用い,各々一連の指標特性測定用には,最低 5 水準の露光量を選択

する。

適切な水噴霧停止期間の後,すべての暴露を終了する。試験片を 23  ℃±2  ℃で 16∼96 時間保管したの

ち,指標特性を測定する。水分を吸収する材料の場合は,水分含有量の変化を完全に防止するために,こ

の期間試験片を密封しておく。

各々の暴露における指標特性値の平均値を用いて,内挿法によって引張強さでは 25  %減少,引張破壊

仕事量では 50  %減少となる放射露光量を求める(6.5 

備考参照)。これらのデータを表 に記録する。

7.

データの提示  材料を特定する情報とともに,次の表に従って結果を記録する。また,次の追加情報

もそれぞれの表に含める。

a

)  射出成形又は圧縮成形で試験片を作製した場合,その加工条件を規定した材料に関する JIS 又は ISO

規格。規格がない場合,

表 に規定されている適切な条件を記録する。

b

)  試験片のタイプ(多目的試験片又は小形引張試験片)及び試験片の加工方法(射出成形,圧縮成形又は平

板からの機械加工)。

c

)  指標特性の測定に使用した試験速度。

d

)  吸水性のある材料の場合,含水量を平衡状態にするために使用した特別な状態調節方法。

  2  20 000 時間暴露並びに指標特性の 50 %いき値に

相当する温度指数 TI 及び半減温度幅 HIC

指標特性 TI

HIC

引張強さσ

Y

又はσ

B

引張破壊仕事量  W

tB


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  3  耐薬品性に関するデータの有無

(この表は

附属書 の薬品及び温度を含むこと)

薬品名

温度  ℃ DA,NR,NA

DA

:利用できるデータがある(

表 参照)。

NR

:推奨できない(この薬品が適切でないか使用できない高分子材料)。

NA

:利用できるデータがない(データが測定されていない)。

  4  温度 T,時間 で,薬品浸せき後と浸せき前の指標特性の値の比

試験片が 1 000 時間浸せきで飽和した場合,1 000 時間浸せき時の

質量比の後に ST と表示する(6.6 参照)。

薬品名:

浸せき温度 T(℃):

浸せき時間  t(h)

指標特性

100 1

000

引張強さσ

Y

又はσ

B

引張破壊仕事量

tB

長さ l

厚さ h

質量 m

  5  クリープ荷重時間 100 及び 1 000 h23  ℃における基準引張強さσ

uo

に対する

クリープ応力σ

sc

及びσ

wc

の比(6.7 参照)

σ

sc

は,この表に記された温度と薬品の条件では基準引張強さが 25  %低下するクリープ応力であり,

σ

wc

は,基準引張破壊仕事量が 50  %低下するクリープ応力である。データの代わりに NR の表示がある

場合は,この薬品と接触し応力を受けた状態で,長時間この材料を使用することが奨められないことを示

す。NA の表示は未だデータが測定されていないことを示す。

t

(h)

薬品名

T

標準的クリープ

応力

100 1

000

σ

sc

uo

σ

wc

uo


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  6  引張強さが 25  %低下する場合及び引張破壊仕事量が 50  %低下する場合の

人工ウェザリングの放射露光量(6.8 参照)

暴露条件

指標特性

放射露光量 H

(GJ/m

2

)

引張強さσ

Y

又はσ

B

引張破壊仕事量  W

tB

8.

精度  7.の表に記録するデータを得るために用いる試験方法の代表的な精度に関する情報については,

適切な JIS を参考にする。しかし,試験データの精度は,試験条件やその条件下での材料挙動に左右され

る。更に,この規格で考慮している特性は,JIS K 7141 の他の部で考慮している特性よりも本質的にばら

つきやすい。

この規格を用いて得られたデータは,ばらつきもあることを考慮すべきである。報告特性値の比較的小

さい差は,統計的に証明されない限り有意差は確認できない。

関連規格  JIS K 7140-1  プラスチック―比較可能なシングルポイントデータの取得と提示―第 1 部:成

形材料


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附属書 A(参考)  試験要求事項に関連する情報

この附属書(参考)は,この規格の作成に当たり,幾つかの決定がなされるに至った理由を解説すること

を目的としたものであり,この規格の規定の一部ではない。

A.1

指標特性  ある高分子の潜在的に好ましくない環境に対する抵抗力を明らかにするために最適な指

標特性は,引張強さ,破壊伸び及び衝撃強さであると考えられる。引張衝撃強さは,脆性材料及び延性材

料の双方へ広く適用できるため,衝撃強さの場合には,一般的に引張衝撃強さが選ばれる。引張強さ,破

壊伸びのデータ取得には,JIS K 7139 の多目的試験片が最も一般的な試験片形状であると思われる。この

規格で多目的試験片を指定することに対して,一つの重要な批判があるが,それは狭い平行部分の存在と

関連がある。降伏点を越えて伸長する材料の場合,多目的試験片を用いて得られる破壊伸びの値は,試験

片のほとんどの部分で降伏変形が生じ,また,破壊の開始点となるため変動しやすい。一般的に,厳しい

環境による影響は,引張強さにおいては小さな変化しか示さない初期段階であっても,破壊ひずみを低下

させる。したがって,もし初期段階で破壊ひずみのデータにばらつきがあっても,それが環境の影響であ

るかどうかは明確ではない。

この理由のため,暴露前に延性破壊を示す材料の場合は,この規格では指標特性の取得のためには,

1

に示す試験片の寸法が指定されている。くびれ部分の半径は,くびれ部分の幅より大きいため,くびれ

部の中心における試験片断面の応力分布は事実上均一であり,試験片の引張強さの確からしい推定値は,

最少断面積に対する最大荷重の比から求めることができる。破壊伸びは多目的試験片では求められないが,

破壊仕事量は,つかみ具間距離の変化に対する荷重のプロットの面積から求まる。破壊仕事量は,とりわ

け結果が未暴露材料に対する相対値の変化として表記される場合には,破壊ひずみ及び引張衝撃強さと密

接に関係がある。

よりぜい(脆)性な材料の場合は,多目的試験片を用いるのがよい。指標特性,すなわち引張強さ及び破

壊仕事量は同じとなる。

このような選択をすることによって,強さ及びじん(靱)性の変化は 1 回の試験と一つの試験片で推定で

き,その結果,データ取得に必要な実験の手間や費用を最小限にすることができる。

A.2

試験片の作製  小形引張試験片を射出成形によって作製する費用は,多目的試験片から機械加工に

よって作製する費用よりも実質的に低い。

このため,

この規格では射出成形による試験片作製が望ましい。

しかし分子又は繊維の配向の度合いは,おそらく多目的試験片で得られる配向度より幾分高いであろう。

このため,

小形試験片で得られる指標特性は,多目的試験片による別のデータ表示規格である JIS K 7140-1

及び JIS K 7141 で記録される特性とは一般的に比較できない。しかし,この規格の特性は,ある環境への

暴露前と暴露後の測定値の比としてだけ表示されることに注目するのがよい。この比は,特性値そのもの

ほど試験片の構造に敏感ではない。

A.3

人工ウェザリング試験  プラスチックスの耐久性評価に使える人工促進暴露試験には多くの異なる

方法がある。


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この規格は JIS K 73502

1

)

に従ったキセノンアークへの暴露を規定している。すべての報告値が,比較

可能なデータの提示に必要である。明確に規定した分光放射照度による暴露に対応するようにこの規格が

選ばれた。

しかし,JIS K 73503

1

)

にプラスチックスに対する蛍光 UV ランプでの暴露についての記述があり,JIS K 

73504

1

)

にプラスチックスに対するフィルタ処理オープンフレームカーボンアークランプでの暴露につい

ての記述がある。また,JIS K 7350 の各部は,他の目的に対して有用なデータを提供していることに留意

しなければならない。これらのすべてのタイプの試験機における暴露は,プラスチックの耐久性を評価す

るために研究者によって利用され,また,製品又は材料の仕様を決めるために,たびたび必要とされてい

る。もっとも関連のある結果が得られる特定のタイプの暴露装置及び試験条件は評価されるポリマー,注

目する材料特性及びシミュレートしたい屋外環境の種類によって異なる。人工ウェザリング試験の有用性

及び限界についてのさらなる情報は,JIS K 73501

1

)

の序文に記されている。

A.4

耐環境応力き裂  プラスチックの耐応力き裂データは,多くの試験方法によって求められる。これ

らの試験方法のうち,より迅速,かつ,単純に実施できる試験方法が,機械的に負荷を加える方法と組み

合わせることによってポリマーの強度に十分影響を及ぼす薬品を特定することになる。したがって,この

ような迅速単純な方法によって,材料製造業者が,ある種の薬品が存在し,かつ,負荷がかかったときの

当該材料の使用上の注意を理解することができる。

しかし,一般に,これらの方法では,短時間のテストでは物性に対して一見なんの悪影響も及ぼさない

ように見える薬品が存在したときの,長期間の耐久性に関する定量的なデータを得ることはできない。こ

のような長時間の強度データは,JIS K 7108 に示す引張試験によって得ることができる。また,この試験

方法には,試験片に一定ひずみ,すなわち一定変形を加える場合に比べて,より厳格な耐久性の予測がで

きる試験片定負荷方式というもう一つの特徴がある。

しかし,この試験法によってデータを取得するのに費用がかかるので,他の試験の結果からポリマーに

対して環境応力き裂に影響を及ぼさないと思える薬品を明らかにし,それらをこの方法を用いて行う試験

の範囲から除くことによって,提示に必要なデータだけを求めることを推奨する。

A.5

環境応力き裂に用いる試験片  高分子材料の耐環境応力き裂は,試験片中の分子配向又は繊維配向

に対し,どの方向に応力が加わるかによって大きく左右される。射出成形試験片には,表層部に分子や繊

維の向きが比較的そろった領域が存在するので,このような試験片を用いると,非現実的な高い値を示す

かもしれない。したがって,JIS K 7108 では,射出成形板から,流れ方向に対し平行な方向と垂直な方向

とに試験片を切り出して使用することによって,環境応力き裂の異方性をみることを推奨している。

この規格では,耐環境応力き裂のデータを求めるための費用を最小限に押さえるために,多目的試験片

の中央部分を

図 に示すように弧を描くように切削する(圧縮成形試験片においては,機械による切削は必

要がない)。 

1

)  JIS K 7350 プラスチック―実験室光源による暴露試験方法

    第 1 部:通則

    第 2 部:キセノンアーク光源

    第 3 部:紫外線蛍光ランプ

    第 4 部:オープンフレームカーボンアークランプ


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くびれ部は,分子の配向が表層部より小さい試験片の内部を薬品にさらすのに役立つ。このことによっ

て,試験片の破壊の起こる可能性が高まる。もし,薬品を加えた応力方向に配向している表層部にしか作

用しないとすれば,試験片の破壊が,阻害されるか遅れるであろう。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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附属書 B(規定)  耐薬品性及び耐環境応力き裂の試験方法に用いる薬品

次の表は,プラスチックの耐薬品性及び耐環境応力き裂のデータを得るために一般に要求される薬品を

示す。

ある特定のポリマーが,

表中の規定温度及び 6.6 又は 6.7 に規定した条件で薬品に暴露することが奨めら

れないか,又は使用できないことが分かっている場合には,

表 及び表 の該当欄にデータの代わりに NR

と記入する。

薬品

温度(℃)

38

%(m/m)硫酸 23

35

%(m/m)水酸化ナトリウム 23

イオン交換水 90

イソプロピルアルコール 23

トルエン 23

n

-へキサン 23

アセトン 23

n

-ブチルアセテート 23

50

%(m/m)塩化亜鉛水溶液 23

標準燃料(ISO 1817 liquid 2) 60

モーターオイル SAE 10W40(ISO 1817 Oil No.3) 130

ギアオイル SAE 80/90 130

ブレーキオイル DOT 4(ISO 1817 liquid 103) 130

50

質量%エチレングリコール水溶液 108

日本工業標準調査会標準部会 化学製品技術専門委員会 構成表

     氏名

      所属

(委員会長)     宮  入  裕  夫       東京医科歯科大学

(委員)

大  久  泰  照

昭和シェル石油株式会社

奥  山  通  夫

社団法人日本ゴム協会

笠  野  英  秋

拓殖大学

加  茂      徹

独立行政法人産業技術総合研究所

木  原  幸  弘

社団法人日本化学工業協会

桐  村  勝  也

社団法人日本塗料工業会

髙  野  忠  夫

財団法人化学技術戦略推進機構

高  橋  信  弘

東京農工大学

西  川  輝  彦

石油連盟

西  本  右  子

神奈川大学

古  川  哲  夫

財団法人日本消費者協会

堀      友  繁

財団法人バイオインダストリー協会

槇          宏

日本プラスチック工業連盟