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K 7128-1: 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

引裂強さ試験法は, 第1部 

トラウザー引裂法 

第2部 

エルメンドルフ引裂法 

第3部 

直角形引裂法 

から構成され,今回の制定は,国際規格に整合させるために,ISO 6383-1 : 1983を基礎として用いた。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 7128-1: 1998 

プラスチック−フィルム及び 

シートの引裂強さ試験方法 

−第1部:トラウザー引裂法 

Plastics−Film and sheeting−Determination of tear resistance 

−Part 1:Trouser tear method 

序文 この規格は,1983年に発行されたISO 6383-1, Plastics−Film and sheeting−Determination of tear 

resistance−Part 1:Trouser tear methodを翻訳し,規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格

であるが,下線の点線を施してある箇所は,原国際規格の内容を一部変更している。 

なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,厚さ1mm以下のプラスチックフィルム及びシートの引裂試験方法のトラウ

ザー引裂法について規定する。ただし,測定は,標準トラウザー形試験片について,状態調節を行ったの

ち,規定の温度,湿度及び試験速度で行う。 

この測定法は,柔軟な材料及び堅い材料の両方に適用できる。ただし,その材料が試験中にぜい性破壊

を生じるほど堅い場合,又は変形に要したエネルギーが引裂きに要したエネルギーに関して無視できない

ほど変形しやすい場合は適用できない。 

この方法は,発泡シート及びフィルムの引裂特性の測定には適用できない。 

2. 引用規格 この規格の引用規格を,次に示す。 

ISO 291 : 1977 Plastics−Standard atmospheres for conditioning and testing 

ISO 527-1 : 1993 Plastics−Determination of tensile properties−Part 1 : General principles 

ISO 527-3 : 1995 Plastics−Determination of tensile properties−Part 3 : Test conditions for film and sheets 

ISO 4591 : 1989 Plastics−Film and sheeting−Determination of average thickness of a sample and average 

thickness and yield of a roll by gravimetric techniques (gravimetric thickness) 

ISO 4593 : 1993 Plastics−Film and sheeting−Determination of thickness by mechanical scanning 

3. 定義 この規格で用いる用語の定義は,次のとおりとする。 

3.1 

引裂力 図1による試験片を一定の速度で引き裂くのに要した平均力。 

3.2 

引裂強さ 引裂力を試験片の厚さで割ったもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 意義 この試験方法によって品質管理用,品質規格に従った受入れの合否判定用及び研究開発用のデ

ータを得る。 

備考 引裂特性は,試験片の調整法,引裂速度及び測定雰囲気によって変化するため,正確な比較結

果が要求される場合は,これらの因子について注意深い制御を必要とする。 

異種材料間の試験片の引裂強さの比較は,厚さの差が±10%を超えない場合,原理的に可能

である。しかし,異種材料では引裂エネルギーの引裂速度依存性がかなり異なるものがあるた

め,そのような結果の解釈には注意を必要とする。 

5. 原理 長手方向に半分までスリットを入れた長方形のトラウザー形試験片の長足を引張試験機に取り

付けて引張試験を行い,この試験片を長手方向に完全に引き裂くのに要する平均力を用いてその材料の引

裂強さを算出する。 

6. 試験装置 

6.1 

引張試験機(振子式を除く。) 引張試験機は,次に示す特徴をもつISO 527-1及びISO 527-3に規

定するものとする。 

(1) 動力駆動形で,9.で規定するつかみ具の速度を維持可能な装置とする。引張強さを測定する装置は,

試験片にかかる強さを試験の最初から時間経過の関数として自記記録する機能をもつことを必要とす

る。 

(2) つかみ具には,滑りを起こさず試験片の足を確実に保持できるチャックが装着されているものとする。

このチャックは,試験片の幅より広いもので,自在継手に取り付けられて試験中に互いに平行を維持

するものとする。 

6.2 

適切な厚さ測定用具 試験片の厚さ測定は,ISO 4593の方法で行うが,エンボス加工されたフィル

ムやシートの場合,ISO 4591に規定されているものを使用する。 

7. 試験片 

7.1 

形状及び寸法 試験片の形状及び寸法は,図1による。試験片中央のスリットの長さは,75±1mm

とする。 

7.2 

切断面 試験片は,切断面が平滑になるように切断し,ノッチがあってはならない。ノッチの有無

の確認は,低倍率の顕微鏡を使用するのが望ましい。とくに試験片中央のスリット先端に注意を払う。 

7.3 

種類 フィルム及びシート材料の種類によって,方向による異方性がある場合は,目で見てわかる

異方性の方向又は製造方法の知識から推測されるフィルム若しくはシートの異方性の方向に対して,平行

方向と直角方向の2種類のグループの試験片を準備することを必要とする。 

試験片の方向は,試験片の長手方向とする。 

参考 フィルムの種類によっては,例えば,加工方向の試験片の場合,引裂きの進行する方向が加工

の方向かそれとも逆方向かに依存し,どの方向に対しても異なった引裂強さが得られる場合が

ある(図2参照)。このような場合,引裂きの進行する方向が互いに逆方向となるようにスリッ

トを入れた2種類のグループの試験片を作製しなければならない。 

8. 試験片の数 試験片の数は,次による。 

(1) 試験が必要な方向について,最低5個の試験片を試験しなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 引裂きが試験片の長辺の側端に達して切れた場合,この試験片を廃棄し,代わりの試験片を試験しな

ければならない。 

9. 試験速度 試験速度は,次のいずれかで行わなければならない。 

200mm/min±10%又は250mm/min±10% 

参考 現在,両方の試験速度が世界的に一般化している。当分は両方の試験速度をこの規格の第1部

で認めているが,今後の改正によって200mm/minの試験速度に統一されるだろう。 

10. 状態調節 他に規定がない限り,ISO 291に従い,温度23℃/相対湿度50%の雰囲気で状態調節と測

定を行う。ただし,材料が湿度の影響を受けない場合,温度23℃の雰囲気で行ってもよい。 

11. 手順 手順は,次による。 

(1) 試験材料の厚さをISO 4593に規定されている測定器具で測定する。ただし,フィルムが非常に薄い場

合やエンボス加工されている場合はISO 4591の方法で厚さの測定を行う。 

(1.1) ISO 4593に規定されている測定器具で測定する場合,試験片のスリットの先端と試験片の終端を等

間隔に3か所の厚さを測定し,平均値を求める。 

(1.2) ISO 4591の方法で厚さの測定を行う場合,試験フィルムの平均厚さを試験片の厚さとする。 

(2) 試験片のつかみ具間距離を75mmとして試験片を取り付け,試験片の長軸と二つのつかみ具の仮想中

心線とが同一線上になるように注意深く締め付ける。 

(3) 試験測度を規定する値(9.参照)に設定した後,試験機を始動させ,引裂きが試験片の長軸の終端に

達するまでに必要とする引裂力を記録する。もし,引裂きが中心からそれて長辺の側端に達した場合,

その結果は除外し,別の試験片を試験する。 

12. 試験結果の表し方 試験結果の表し方は,次による。 

(1) 引裂き開始の20mmと引裂き終了前の5mmを除外し,残り50mmの引裂強さの近似の平均値を求め

る。この部分の曲線が波状のプラトーである場合は,横座標に平行に波状曲線の中心を引く(図4参

照)。この線に対応する強さを読み取り,試験片の引裂力として記録する。 

参考 引張試験機の自己記録計の引張力−時間グラフには,試験材料の特性と厚さに依存して変化す

る曲線の形が記録される。 

(2) 試験片の引裂強さは,次式によって算出する。 

d

Ft 

ここに, Ft: 試験片の引裂力 (N) 
 

d: 試験片の厚さ (mm) 

参考 結果が引裂強さとして表すことが必要でない場合,引裂力そのものを報告する。 

(3) 試験片の各々の組について算術平均値を算出する。 

(4) 必要な場合は,試験片の各々の組について標準偏差と変動計数を算出する。 

13. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記入する。 

(1) この規格の引用試験方法の種類 

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(2) 種類,出所,製造業者コード,形態,履歴を含む試験材料の詳細な記載 

(3) 試験材料の種類及び厚さ 

(4) 試験片の数 

(5) 試験速度 

(6) 各々の引裂方向及び引裂進行方向についての平均引裂強さ及び/又は平均引裂力 

(7) 個々の試験結果試験室の温度及び湿度 

(8) 状態調節と試験に使用したISO 291の標準雰囲気及びその他前処理条件 

(9) 必要に応じ,標準偏差及び変動計数 

(10) 結果に影響すると考えられるこの規格に規定のないすべての操作の詳細 

図1 試験片 

図2 引裂進行方向 

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図3 試験片のつかみ具への固定方法 

図4 プラトー領域の荷重−時間グラフ 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

山 田 純 男 

福井工業高等専門学校物質工学科 

大 嶋 清 治 

工業技術院標準部 

増 田   優 

通商産業省基礎産業局 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会技術部 

仲 川   勤 

明治大学理工学部 

小 野 昌 孝 

実践女子大学生活科学部 

小松原 恒 雄 

硬質塩化ビニル板協会技術部 

高 野 忠 夫 

財団法人高分子素材センター試験・検査事業部 

越 山 了 一 

社団法人日本包装技術協会包装研究所 

葛 良 忠 彦 

東洋製罐グループ綜合研究所調査企画室 

平   和 雄 

東洋製罐株式会社技術本部 

土 屋 博 隆 

大日本印刷株式会社包装研究所 

池 田 弘 治 

日本合成ゴム株式会社筑波研究所 

各 務   孝 

凸版印刷株式会社生産技術開発部 

石 井   恒 

住友ベークライト株式会社フィルムシート営業本部 

岩 本 威 生 

三菱化学株式会社ポリオレフィン事業部 

米 田 昌 雄 

三菱樹脂株式会社長浜研究所 

尾 崎 樹 男 

三井石油化学工業株式会社MDC/PEグループ 

足 立 卓 雄 

藤森工業株式会社研究所 

下 川 政 明 

森永製菓株式会社研究所 

世 代 文 彦 

花王株式会社包装技術開発研究所 

猪 狩 恭一郎 

東京製紙株式会社技術部 

真 弓 高 明 

株式会社島津製作所試験計測事業部 

(事務局) 

吉 木   健 

日本プラスチック工業連盟