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日本工業規格

JIS

 K

7123

-1987

プラスチックの比熱容量測定方法

Testing Methods for Specific Heat Capacity of Plastics

1.

適用範囲  この規格は,プラスチックの比熱容量を測定する方法について規定する。

引用規格:

JIS K 6900

  プラスチック用語

JIS K 7100

  プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態

JIS K 7121

  プラスチックの転移温度測定方法

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS K 6900(プラスチック用語)及び JIS K 7121

(プラスチックの転移温度測定方法)によるほか,次による。

等温ベースライン  温度を一定に設定し,定常状態になった後に得られる DSC 曲線。

3.

試験片の状態調節  試験片の状態調節は,次の二つの方法のいずれかによる。

(1)

標準状態で調整し比熱容重を測定する場合  試験片は,原則として試験前に JIS K 7100(プラスチッ

クの状態調節及び試験場所の標準状態)の標準温度状態 2 級及び標準湿度状態 2 級(温度 23±2℃及

び相対湿度 50±5%)において 24 時間以上状態調節する。ただし,当事者間の協定する方法によって

状態調節することができる。

(2)

一定の熱処理を行った後,比熱容量を測定する場合  (1)の状態調節後試験片を DSC 装置の容器に入

れ,非結晶性の場合にはガラス転移終了時より少なくとも約 30℃高い温度まで,結晶性の場合には融

解ピーク終了時より少なくとも約 30℃高い温度まで加熱溶融し,

それぞれの温度に 10 分間保った後,

冷却速度毎分 5℃又は毎分 10℃で比熱容量測定範囲の下限温度より約 20℃低い温度まで冷却する。

4.

試験方法  試験方法は,次のいずれかによる。

(1)

入力補償示差走査熱量測定(入力補償 DSC)

(2)

熱流束示差走査熱量測定(熱流束 DSC)

5.

装置及び器具

5.1

装置


2

K 7123-1987

5.1.1

DSC

装置  二つの容器ホルダーをもちそのホルダーの熱容量が同等で,かつ同一な熱交換条件で

加熱冷却が可能である構造であること。入力補償 DSC の場合は,試験片及び標準物質の温度が等しくなる

ように基準物質と試験片とに加えた単位時間当たりの熱エネルギーの入力の差が測定できるように構成さ

れていること。熱流束 DSC は,試験片と基準物質との温度差が単位時間当たりの熱エネルギーの入力の差

に比例するように構成されていること。

(1)

加熱速度  加熱速度は,毎分 10℃で昇温でき,その精度は毎分±0.5℃以内であること。

(2)

冷却速度  冷却速度は,毎分 5℃又は毎分 10℃で冷却できる装置であること。

(3)

ガス流入装置  ガス流入装置は,試験片の周りをガスが流入できる構造であること。

(4)

容器  容器は,試験片によって侵されることのない熱伝導率の高い材料であること。

(5)

記録  DSC 曲線を自動記録できること。

(6)

ノイズレベル  ノイズレベルは,比熱容量測定用標準物質測定時の DSC 曲線と,等温ベースラインの

縦軸方向との差(

図の l)の

10

1

以下であること。

5.2

器具

5.2.1

ガス流量計  ガス流量計は,毎分 10∼50ml の範囲を測定できるもの。

5.2.2

化学天びん  化学天びんは,感量 0.01mg 以上のもの。

6.

試験片  試験片は,試験片の直径又は各辺の長さが 0.5mm 以下の場合にはそのまま使用する。0.5mm

を超えるものについては 0.5mm 以下に切断する。厚さが 0.5mm 以下のシート及びフィルムは,容器に合

わせて無理なく入るように切断する。成形物及びペレットのように薄く切れるものは,厚さ 0.5mm 以下に

薄く切り,容器に合わせて無理なく入るように切断する。

7.

温度の校正  温度の校正は,実際の試験の場合と同じガス流量及び加熱速度で純度 99.99%以上の表 1

に示す純物質又は国際熱分析連合  (ICTA)  −米国国立標準局  (NBS)  の標準物質 GM-757, 758 によって行

う。求めようとする温度に近い 2 種類以上の純物質又は標準物質の補外転移開始温度を用いて内挿法によ

って温度目盛を校正する。

純物質は,表面の酸化層を落として使用する。容器がアルミニウムで純物質に亜鉛を用いるときには,

溶融時に合金となるおそれがあるので第 1 回の加熱昇温時の値だけを用いる。

表 1  純物質融点

純物質名

融点℃

インジウム 156.4

すず 231.9 
鉛 327.4

亜鉛 419.5

8.

操作  操作は,次のとおり行う。

8.1

容器の選定  容器の選定は,ほぼ同じ質量(質量差 2%以内)の容器(ふたを含む。)を 4 個用意す

る。

8.2

感度の設定及び等温ベースラインの調整  感度の設定及び等温ベースラインの調整は,次のとおり

行う。

(1)

ふたを固定した空の容器を二つの容器ホルダーに 1 個ずつ載せる。


3

K 7123-1987

(2)

窒素ガスの流量を毎分 10∼50ml に調整しガスを流入させる。流量を変えることなく試験終了まで流

入を続ける。

(3)

測定開始温度  (T

b

)

及び終了温度  (T

f

)

を次によって設定する。

(a)

通常 T

f

と T

b

との差は,50∼100℃とする。これより広い温度域を測定する場合には,二つ以上の区

間に分けて測定する。この際約 20℃の温度範囲を重複して測定する。

(b)

測定温度範囲に転移がある場合には,転移が開始する温度より約 20℃以上低温に T

b

を,転移が終

了する温度より約 20℃以上高温に T

f

を設定する。

(4)

感度の設定は,空の容器の DSC 曲線と試験片を詰めた容器の転移のない領域における DSC 曲線の縦

軸方向との差(

図の h)がチャート幅の

5

1

以上になるようにする。

(5)

昇温前後の等温ベースライン(

図の と II)が縦軸上ほぼ同じ位置になるように装置を調整する。

(6)  T

b

で装置を安定させ等温ベースライン(

図の I)を描かせた後毎分 10℃で昇温する。T

f

で昇温を止め,

等温ベースライン(

図の II)を描く。

8.3

比熱容量測定用標準物質の測定  比熱容量測定用標準物質の測定は,化学天びんを用いて 0.01mg ま

で量った質量 10∼30mg の比熱容量用標準物質である純度 99.9%以上の

α−アルミナ(合成サファイヤなど)

を容器に入れ,ふたを固定して容器ホルダーに装着し,8.2(6)と同様の操作を行う。

なお,

α−アルミナの各温度における比熱容量を次の表 に示す。

表 2

α−アルミナの各温度における比熱容量

絶対温度

K

比熱容量

J/g

絶対温度

K

比熱容量

J/g

絶対温度

K

比熱容量

J/g

120

−153.15

0.196 9

330

  56.85

0.837 2

540

266.85

1.069 2

130

−143.15

0.235 0

340

  66.85

0.854 8

550

276.85

1.075 6

140

−133.15

0.274 0

350

  76.85

0.871 3

560

286.85

1.081 6

150

−123.15

0.313 3

360

  86.85

0.887 1

570

296.85

1.087 5

160

−113.15

0.352 5

370

  96.85

0.902 0

580

306.85

1.093 1

170

−103.15

0.391 3

380

106.85

0.916 1

590

316.85

1.098 6

180

−93.15

0.429 1

390

116.85

0.929 5

600

326.85

1.103 8

190

−83.15

0.465 9

400

126.85

0.942 3

610

336.85

1.108 8

200

−73.15

0.501 4

410

136.85

0.954 4

620

346.85

1.113 6

210

−63.15

0.535 5

420

146.85

0.966 0

630

356.85

1.118 2

220

−53.15

0.568 2

430

156.85

0.977 0

640

366.85

1.122 7

230

−43.15

0.599 4

440

166.85

0.987 5

650

376.85

1.127 0

240

−33.15

0.629 2

450

176.85

0.997 5

660

386.85

1.131 3

250

−23.15

0.657 6

460

186.85

1.007 0

670

396.85

1.135 3

260

−13.15

0.684 5

470

196.85

1.016 0

680

406.85

1.139 2

270

−3.15

0.710 1

480

206.85

1.024 7

690

416.85

1.143 0

280

      6.85

0.734 2

490

216.85

1.033 0

700

426.85

1.146 7

290

    16.85

0.757 1

500

226.85

1.040 8

720

446.85

1.153 7

300

    26.85

0.778 8

510

236.85

1.048 4

740

466.85

1.160 4

310

    36.85

0.799 4

520

246.85

1.055 6

760

486.85

1.166 7

320

    46.85

0.818 8

530

256.85

1.062 6

780

506.85

1.172 6

8.4

試験片の測定  試験片の測定は,次によって行う。

(1) 0.01mg

まで量った質量 5∼15mg の試験片を次の要領で容器に詰める。

(a)

試験片の直径又は各片の長さが 0.5mm 以下の場合には容器に平らにかつ均一に入れ,容器のふたを

載せ固定する。このとき容器の底が平らになっていない場合は,ふたの中央部を押して容器の底が


4

K 7123-1987

平らになるようにする。

(b)

シート及びフィルム状の場合は必要量を容器に敷き込み,容器のふたを載せ固定する。このとき容

器の底が平らになっていない場合には,ふたの中央部を押して容器の底が平らになるようにする。

(c)

薄く切った試験片で容器に合う大きさの場合には,シート及びフィルムと同様の方法による。

また,容器に対して試験片が小さい場合には,すきまのないよう平らに敷き詰める。

備考  これらの操作は,試験片相互,試験片と容器及び容器と容器ホルダーとの熱接触をよくす

るために重要である。

(2)

試験片を詰めた容器を容器ホルダーに装着し,8.3 と同様の操作を行う。

8.5

等温ベースラインの確認  等温ベースラインは,操作 8.2(6),  8.3 及び 8.4(2)によって得られた DSC

曲線の等温ベースラインがほぼ重なることを確認する。

9.

比熱容量の求め方(図参照)

9.1

比熱容量を求めるための作図方法  比熱容量を求めるための作図方法は,T

b

と T

f

を合わせ,操作 8.2 

(6)8.3

及び 8.4(2)で得られた DSC 曲線を縦軸に平行移動させ,T

b

及び T

f

の等温ベースラインが互いにほぼ

重なり合うようにする。

図  DSC による比熱容量の求め方の例

9.2

データの読取り方  データの読取り方は 9.1 で作成した図で比熱容量を求めようとする温度におい

て,空の容器の DSC 曲線と試験片を入れた容器の DSC 曲線及び比熱容量測定用標準物質を入れた容器の

DSC

曲線までの縦軸方向の距離 及び を求める。

9.3

比熱容量の計算  次の式によって比熱容量を算出する。

C

p

p

C

m

m

H

h

'

'

ここに,

C

p

:  試験片の比熱容量 (J/g℃)

m

:  試験片の質量 (mg)

m'

:  比熱容量測定用標準物質の質量 (mg)

C'

p

:  比熱容量測定用標準物質の比熱容量 (J/g℃)

h

:  空の容器と試験片を入れた容器の DSC 曲線の縦軸方向の差

H

:  空の容器と標準物質を入れた容器の DSC 曲線の縦軸方向の差


5

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10.

数値の丸め方

  比熱容量 (J/g℃)  は,小数点以下 3 けたまで求めて

JIS Z 8401

(数値の丸め方)に定

める方法によって丸める。

11.

報告

  報告には,必要に応じて次の事項を記入する。

(1)

試験した材料の種類

(2)

試験機の製造業者名及び形式

(3)

試験片の形状,大きさ及び質量

(4)

試験片の状態調節

(5)

窒素ガスの流入速度

(6)

加熱速度

(7)

比熱容量測定用標準物質名,純度及び形状

(8)

比熱容量及び温度

(9)

試験年月日

(10)

その他必要とする事項

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

金  綱  久  明

工業技術院繊維高分子材料研究所

宮  崎  正  浩

通商産業省基礎産業局

池  田  喜  好

工業技術院標準部

畠  山  立  子

工業技術院繊維高分子材料研究所

高  橋  高  子

工業技術院大阪工業技術試験所

小  澤  丈  夫

工業技術院電子技術総合研究所

柴  崎  芳  夫

埼玉大学理学部

中  村  邦  雄

神奈川県工業試験所

中  村  茂  夫

神奈川大学工学部

金  子      剛

財団法人日本電気用品試験所

市  原  祥  次

三菱油化株式会社

桃  田  道  彦

理学電機株式会社

十  時      稔

株式会社東レリサーチセンター

佐  藤  一  太

鐘淵化学工業株式会社

河  崎  博  徳

徳山曹達株式会社

渡  辺  修  三

東洋曹達工業株式会社

今  村  重  祥

三菱樹脂株式会社

寺  本  芳  彦

セイコー電子工業株式会社

沖  野  孝  之

株式会社島津製作所

岸          証

真空理工株式会社

塚  野      隆(樋口秀臣)

財団法人高分子素材センター