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日本工業規格

JIS

 K

7084

-1993

炭素繊維強化プラスチックの

3

点曲げ衝撃試験方法

Testing method for impact properties of carbon fibre reinforced plastics

by instrumented 3-point bending impact test

1.

適用範囲  この規格は,炭素繊維強化プラスチック(以下,CFRP という。)の計装化 3 点曲げ衝撃試

験方法について規定する。

備考1.  この試験方法は,JIS K 7077に規定する方法と同様に,1回の打撃によって衝撃曲げ特性を測

定するものである。

また,JIS K 7074 に規定する方法と同様に曲げを衝撃的に与えることによって衝撃曲げ特

性を測定するものである。

2.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 0601

  表面粗さの定義と表示

JIS B 7502

  外側マイクロメータ

JIS B 7507

  ノギス

JIS B 7739

  非金属材料用振り子形衝撃試験機

JIS B 6900

  プラスチック用語

JIS K 7072

  炭素繊維強化プラスチック試料の作製方法

JIS K 7074

  炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法

JIS K 7077

  炭素繊維強化プラスチックのシャルピー衝撃試験方法

JIS K 7100

  プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態

JIS Z 8103

  計測用語

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3.

この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位は,従来単位によるものであって,参考とし

て併記したものである。

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900 及び JIS Z 8103 によるほか,次のとお

りとする。

(1)

重錘  先端に圧子をもつブロック状のおもり(図 参照)。

(2)

衝撃速さ  重錘の先端が試験片に接触するときの速さ。

(3)

落下高さ  試験片の表面から重錘先端までの距離。

(4)

衝撃荷重  試験片に加わる時々刻々の荷重。

(5)

最大荷重  荷重−たわみ線図における荷重の最大値。


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K 7084-1993

(6)

たわみ  重錘の先端が試験片に接触してから時々刻々変わる試験片中央の移動量。

(7)

最大たわみ  荷重−たわみ線図における最大のたわみ。

(8)

衝撃曲げ強さ  最大荷重によって計算した曲げ応力(最大曲げ応力)。

(9)

衝撃曲げ弾性率  荷重−たわみ線図における直線部の初期のこう配から求めた値。

(10)

全吸収エネルギー  荷重−たわみ線図において最大たわみまでの囲まれた全面積。

(11)

弾性たわみエネルギー  荷重−たわみ線図において最大荷重点までの囲まれた面積。

(12)

エネルギー指数  全吸収エネルギーを弾性たわみエネルギーで除した値。

(13)

引張側破壊  引張側最外層から順次強化繊維が破断していく破壊様式。

(14)

圧縮側破壊  荷重点近傍の圧縮側からき裂が発生する破壊様式。

(15)

層間せん断破壊  層間ではく離が生じる破壊様式。

3.

試験片の状態調節並びに試験温度及び湿度

3.1

試験片の状態調節  試験片は,原則として試験前に JIS K 7100 の標準温度状態 2 級及び標準湿度状

態 2 級[温度 23±2  ℃及び相対湿度 (50±5) %]において,48 時間以上状態調節する。

3.2

試験温度及び湿度  試験は,原則として 3.1 に規定する温度及び湿度[温度 23±2℃及び相対湿度 (50

±5) %]の室内で行う。

備考 CFRP は,吸湿によって衝撃特性が影響されることがあるので注意しなければならない。

4.

試験装置及び器具

4.1

試験装置  試験装置は,JIS B 7739 の規定によるほか,次のとおりとする。

(1)

衝撃試験機  重錘を垂直に自由落下させるためのガイドフレームと試験片を支持するためのジグ類を

取り付ける水平基盤とからなり,有効落下高さは 0.75m 以上とする。

(2)

重錘  重錘の下端は,試験片を加圧するための半円筒面をもつもので,半円筒面の曲率半径は 5.0±

0.1mm

,標準質量は 2.0kg とする(

図 参照)。ただし,試験の目的によっては重錘の質量を変えても

よい。

(3)

試験片支持台  試験片支持台の支点間距離は調節できるもので,先端の曲率半径は 2.0±0.2mm とし,

支点先端のりょう(稜)線は,互いに平行でなければならない(

図 参照)。

備考  試験片に接触する重錘及び各支点の幅は,試験片の幅を十分超える幅をもち,更に試験片が接

触する表面は,JIS B 0601 に規定する中心線平均粗さで 6.3a とする。

(4)

荷重計  荷重計は,試験中に試験片に加えられる衝撃荷重のすべてを時間経過に伴って記録すること

ができるもので,荷重値の±5%又はそれ以上の精度で指示できる機構のものとする。荷重センサーは,

圧子の先端部に取り付けることが望ましい(

図 参照)。荷重センサーとして加速度センサーを使用す

る場合は,その信号を荷重値に変換できる機能のものとする。


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図 1  重錘及び試験片支持台の一例 

(5)

たわみ計  たわみ計は,試験中の試験片のたわみを時間の経過に伴って記録できるものとする。

備考  たわみ計を使用できない場合は,衝撃荷重を加速度に変換して,それを時間積分することによ

って求めた重錘の運動履歴を試験片のたわみとしてもよい。

(6)

速度計  速度計は,重錘の先端が試験片に接触する瞬間の速度を測定するためのものである。

備考  たわみを直接測定できる場合は,たわみ−時間の関係から試験速度を算出できるので,速度計

を必要としない。

(7)

データの取り込み装置  荷重計とたわみ計から送られてくる信号は,それぞれ時間軸を合わせて取り

込むものとし,デジタル信号の場合はそのサンプリングタイムを 10

µs 以下とする。

4.2

寸法測定器具

4.2.1

マイクロメータ  試験片の幅及び厚さを測定するもので,JIS B 7502 に規定する外側マイクロメー

タで,測定範囲 0∼25mm のもの又はこれと同等以上の精度のものとする。

4.2.2

ノギス  試験片の長さ及び支点間距離を測定するもので,JIS B 7507 に規定するノギスで,最大測

定長 150mm,最小読取り値 0.05mm のもの又はこれと同等以上の精度のものとする。

5.

試験片

5.1

試験片の標準寸法  試験片の標準寸法は,次のとおりとする。

長さ  (l)

=80±1mm

  幅  (b)

=10±0.2mm

厚さ  (h)

=  2±0.2mm

5.2

標準寸法以外の試験片  標準寸法以外の試験片は,次のとおりとする。

(1)

試験片の厚さが異なる場合の試験片の長さは,次の式(1)による。

l

L+20  (1)

ここに,

l

:  試験片の長さ (mm)

L

:  支点間距離 (mm)

(2)

繊維間隔の粗い CFRP の場合,試験片の幅  (b)  は,5.1 に規定する寸法以上のものを用いてもよい。

5.3

試験片の作製  試験片の作製は,次による。

(1)

試験片は,JIS K 7072 又は受渡当事者間の協定によって,圧縮成形,オートクレーブ成形などで成形

した積層板から作製する。試験片の機械加工は,フライス盤などの工作機械又はこれと同等以上の精


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K 7084-1993

度で加工できる方法を用いる。この場合,ダイヤモンド工具を用いるのは好ましい加工法である。

(2)

試験片を切削加工によって作製するときは,過度に熱が発生しないように注意する。

(3) CFRP

積層板の表面及び裏面の差が試験結果に影響を及ぼすことがあるので,試験片の切り出し時は,

表裏面が識別できるようにする。

(4)

試験片の切り出し時は,適切なジグを用いるなどして,繊維配列方向のずれが生じないように留意す

る。一方向強化材は,特にこの点に注意する。

5.4

試験片の数  試験片の数は,5 個以上とする。

備考  異常な結果を示した試験片の値は捨て,この分の試験片は追加する。

6.

操作  操作は,次のとおり行う。

(1)

試験片の中央部の厚さ及び幅を 0.01mm まで測定する。

(2)

支点のりょう線と重錘の圧子先端のりょう線とは,互いに平行であることを確認し,支点間距離を次

のように調節する。

(a)  5.1

に規定する標準寸法の試験片の場合,支点間距離  (L)  は,60±0.2mm とする。

(b)  5.1

に規定する試験片の厚さと異なる厚さの試験片の場合,支点間距離は,次の式(2)によって算出

する。

20h

L≦40  (2)

ここに,  L:  支点間距離 (mm) 

h

:  試験片の厚さ (mm)

備考  圧縮側からぜい性的な破壊を起こす材料の場合,支点間距離  (L)  は 40とする。

(3)

衝撃速さは,毎秒 3.8m(

1

)

に設定する。

(

1

)

衝撃速さ毎秒3.8m は,落下高さ0.75m に相当する。

(4)

試験片を曲げ試験装置の支点に載せる場合,あらかじめ試験片の上面及び下面を決めておき,同じ試

験では,同一の面に荷重がかかるようにする。

また,試験片の上面及び下面と成形板の表面及び裏面との対応を記録しておく。

(5)

試験片は,重錘を介して試験片の中央に荷重がかかるように,支点のりょう線に対して直角に置く。

(6)

試験片の上面から重錘先端までの高さを決めて試験を開始する。

(7)

衝撃速さを測定する。

(8)

荷重−時間線図及びたわみ−時間線図を求め,これを基に,荷重−たわみ線図に変換する。必要があ

れば試験中の重錘の速度変化を記録する。

備考1.  加速度−時間線図から2重積分によってたわみ−時間線図を求める場合,正確な衝撃速さが必

要となるが,通常,速度計は試験片から少し離れた所に設置される。この場合は衝撃速さを

補正しなければならない。

2.

通常,衝撃波形には高周波成分の波形が合成されて計測される。このような場合は原波形を

平滑化してから演算処理を行い,その旨報告する。原波形を平滑化する場合,例えば,ロー

パスフィルターを用いるときは,2.5kHz 以上の性能をもつものが望ましい。

(9)

試験片の破壊状況を記録する。

備考1.  一方向材の場合は,圧縮側から破壊してぜい性的な挙動となり,最大荷重値及び破壊エネル

ギー値が極端に低い値を示すことがある。このようなときは,薄いプラスチックフィルム(例

えば,0.2mm 程度のポリプロピレンフィルムなど)を試験片の上に乗せて試験するとよい。


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2.

破壊様式は,引張側破壊,圧縮側破壊,層間せん断破壊などがある。

7.

計算

7.1

衝撃曲げ強さ  衝撃曲げ強さは,次の式(3)又は式(4)によって算出する。

(1)

÷

ø

ö

ç

è

æ

L

δ

0.1 の場合

2

2

3

bh

L

P

b

b

=

σ

 (3)

ここに,

÷

ø

ö

ç

è

æ

L

δ

最大荷重時のたわみと支点間距離との比

σ

b

衝撃曲げ強さ

 (MPa) {kgf/mm

2

}

P

b

最大荷重

 (N) {kgf}

L

支点間距離

 (mm)

b

試験片の幅

 (mm)

h

試験片の厚さ

 (mm)

(2)

÷

ø

ö

ç

è

æ

L

δ

0.1 の場合

ú

ú

û

ù

ê

ê

ë

é

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

2

2

4

1

2

3

L

bh

L

P

b

b

δ

σ

 (4)

7.2

衝撃曲げ弾性率  衝撃曲げ弾性率は,荷重−たわみ線図の直線部の初期のこう配を用いて,次の式

(5)

によって算出する。

δ

P

bh

L

E

b

=

3

3

4

1

 (5)

ここに,

E

b

衝撃曲げ弾性率 (MPa) (

2

)

 {kgf/mm

2

}

L

支点間距離 (mm)

b

試験片の幅 (mm)

h

試験片の厚さ (mm)

δ

P

荷重−たわみ線図の直線部のこう配 (N/mm) {kgf/mm}

(

2

)

計算上は MPa になるが,通常は GPa で表示している。

7.3

全吸収エネルギー  (Ut)    全吸収エネルギーは,図 に示す荷重−たわみ線図に囲まれた全面積で表

す。

7.4

弾性たわみエネルギー  (Ue)    弾性たわみエネルギーは,図 に示す荷重−たわみ線図において最

大荷重点とそのときのたわみで囲まれた面積で表す。


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図 2  荷重−たわみ線図の一例 

7.5

エネルギー指数  (I

x

  エネルギー指数は,次の式(6)によって算出する。

Ue

Ut

I

=

χ

 (6)

ここに,

I

χ

:  エネルギー指数

U

t

:  全吸収エネルギー (J) {kgf・m}

U

e

:  弾性たわみエネルギー (J) {kgf・m}

7.6

試験結果の丸め方  各試験結果は個々に算出し,その平均値を JIS Z 8401 によって有効数字 3 けた

に丸める。

7.7

標準偏差及び変動係数  標準偏差及び変動係数を必要とするときは,次の式(7)及び式(8)によって算

出し,JIS Z 8401 によって有効数字 2 けたに丸める。

1

)

(

2

Σ

=

n

x

x

s

 (7)

100

×

=

x

s

CV

 (8)

ここに,

s

標準偏差

CV

変動係数 (%)

x

個々の測定値

x

測定値の平均値

n

測定値の数

8.

報告  報告には,必要に応じて,次の事項を記入する。

(1)

試験した材料の種類,等級及び製造業者名

(2)

試験片の種類,積層構成,炭素繊維の体積含有率

(3)

試験片の形状,寸法,作製方法,採取方向及び上下面

(4)

試験した試験片の数

(5)

試験片の状態調節の温度,湿度及び時間

(6)

試験温度及び湿度


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(7)

試験方法及び支点間距離

(8)

クッション材の使用の有無及びその材質

(9)

衝撃速さ

(10)

試験結果(採用した試験片個々の衝撃曲げ強さ,衝撃曲げ弾性率,最大たわみ,弾性たわみエネルギ

ー,全吸収エネルギー及びエネルギー指数の値並びにそれらの平均値,標準偏差及び変動係数,代表

的な衝撃荷重−たわみ線図,破壊の様相など)

(11)

試験年月日

(12)

その他特記すべき事項

関連規格  JIS Z 8203  国際単位系 (SI) 及びその使い方


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炭素繊維複合材料本委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

宮  入  裕  夫

東京医科歯科大学医用器材研究所

中  島  邦  夫

通商産業省基礎産業局

森      康  晃

通商産業省基礎産業局

長  田  直  俊

通商産業省生活産業局

地  崎      修

工業技術院標準部

金  原      勲

東京大学工学部

影  山  和  郎

東京大学工学部

野  口  義  男

科学技術庁航空宇宙技術研究所

野  口  祐  成

工業技術院機械技術研究所

古  江  治  美

工業技術院機械技術研究所

劔  持      潔

工業技術院製品科学研究所

渡  辺      寧

工業技術院繊維高分子材料研究所

小  牧  和  夫

工業技術院大阪工業技術試験所

則  竹  佑  治

防衛庁技術本部第 3 研究所

代  田      忠

代田技術事務所

犬  竹  紀  弘

石川島播磨重工業株式会社

葭  田  雄次郎

富士重工業株式会社

野  尻  邦  夫

三菱重工業株式会社

三  好  一  雄

三菱電機株式会社

村  島  善  樹

トヨタ自動車株式会社

星      郁  夫

日立化成工業株式会社

山  内  啓  司

東邦レーヨン株式会社

広  瀬  博  光

東レ株式会社

松  岡  廣  典

三菱レイヨン株式会社

藤  田  利  仁

日東紡績株式会社

(事務局)

鹿  毛  紀久雄

財団法人高分子素材センター

新  鍋  秀  文

財団法人高分子素材センター

衝撃試験方法分科会  構成表

氏名

所属

(分科会長)

野  口  祐  成

工業技術院機械技術研究所

永  井  正  洋

東京医科歯科大学医用器材研究所

永  井      功

工業技術院大阪工業技術試験所

樫  山  節  夫

三菱レイヨン株式会社

上  田      收

旭化成工業株式会社

池  田      斌

三菱化成株式会社

小  林      勝

工業技術院標準部

宮  入  裕  夫

東京医科歯科大学医用器材研究所

影  山  和  郎

東京大学工学部

山  内  啓  司

東邦レーヨン株式会社

(事務局)

鹿  毛  紀久雄

財団法人高分子素材センター

新  鍋  秀  文

財団法人高分子素材センター