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K 6848-3 : 1999 (ISO 13895 : 1996)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS K 6848 : 1987 は廃止され,この規格に置き換えられる。

今回の制定では,国際規格との整合を図るため,ISO 13895 : 1996 を基礎として用いた。

JIS K 6848

は,一般名称を“接着剤−接着強さ試験方法”として,次の各部によって構成する。

第 部:通則

第 部:金属の表面調整のための指針

第 部:プラスチックの表面調整のための指針

第 部:金属,プラスチックを除く被着材の表面調整のための指針


日本工業規格

JIS

 K

6848-3

 : 1999

 (ISO

13895

 : 1996

)

接着剤−接着強さ試験方法−

第 3 部:プラスチックの

表面調整のための指針

Adhesives

−Testing methods of bonding strength of adhesives−

Part 3 : Guidelines for the surface preparation of plastics

序文  この規格は,1996 年に第 1 版として発行された ISO 13895, Adhesives−Guidelines for the surface

preparation of plastics

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格で

ある。

プラスチック材料は,異種表面,特に金属と接着することがよくある。その場合は,この規格第 2 部:接

着剤−金属の表面調整のための指針,を利用するとよい。プラスチック表面は,しばしば汚染物を除去す

るための調整を必要とし,加えて低エネルギー表面をもつものに対してぬれ特性を改善する調製が必要で

ある。研磨のような調製技術は,機械的連結を増すことによって性能を向上させる。

ある種の接着剤は,油膜や数種の高分子材料を溶解する能力をもっている。その結果,幾つかの表面は,

接着前の調製を必要としないことがある。

表 にそれを示してある。具体的な内容については供給業者に

相談するとよい。

ここに引用した調製技術の大部分は,ある程度の危険性をもっている。使用者は,関連する自国の衛生保

健法と要求事項に従うことを助言する。

特に注意することは,好ましい産業衛生の一般原則に従い,保護めがねと手袋を含めて適切な保護衣の使

用を怠らないことである。ということは,薬品による化学反応を利用した表面調製技術は使用しないほう

がよい。そのような方法は,実用的な代替法がない場合にだけ使用すること。同様に最新の法律に従って,

残溶剤,溶液及び反応性薬品の廃棄に対しては適切な手段を採用しなければならない。

1.

適用範囲  この規格は,接着に先立って使用するプラスチック被着材に対する表面調製の機械的,化

学的及び電気的方法を規定する。

2.

引用規格  次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによってこの規格の規定を構成する。

これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS K 6848-2

  接着剤−金属の表面調整のための指針

備考  ISO 4588 : 1995, Adhesives−Guidelines for the surface preparation of metals が,この規格と一致

している。

JIS K 6900

  プラスチック−用語


2

K 6848-3 : 1999 (ISO 13895 : 1996)

備考  ISO 472 : 1988, Plastics−Vocabulary が,この規格と一致している。

3.

定義  この規格の目的に対して,JIS K 6900 の定義を適用する。次の定義は,特に適切である。

プラスチック(名詞)

:必す(須)の構成成分として高重合体を含み,かつ,完成製品への加工のある段

階で流れによって形を与え得る材料。

参考1.  エラストマーもまた流れによって形を与えられるが,プラスチックとは考えない。

2.

幾つかの国,特にイギリスでは,現在公式の立場で複数形と同様に単数形として用語“プラ

スチックス”の使用が許されている。

4.

表面処理  表面処理は,次のように分類する。

洗浄,粗面化,物理的又は化学的処理及びプライマーの使用。処理法を組み合わせてもよい。

警告  ある種の薬品類の使用は,危険である−使用前にそれらの製品安全データシート (MSDS) を参

照すること。

4.1

洗浄  接着を最大限まで向上させるには,接着する前に油,グリース及び離型剤のすべての痕跡を

表面から除去するのが基本である。さらに表面は,ほこりや一般的汚染物があってはならない。表面は,

汚染物の種類や表面損傷の可能性によって溶剤か洗剤のいずれかで清浄にしてもよい。

ある種熱可塑性材料の応力き裂割れを避けるために注意を払うこと。疑わしければプラスチック製造業

者に助言を求める。

推奨洗浄材料は,プロパン−2−オール(=イソプロピルアルコール)と洗剤溶液である。より強力なケ

トン類や許容ハロゲン化溶剤は,熱硬化プラスチックには使ってもよく,注意すればある種熱可塑性プラ

スチックに用いてもよい。分からなければプラスチック製造業者に助言を求める。

超音波かく拌は,上記材料とともに使用してもよい。

4.2

粗面化  グリットブラストか研磨のいずれかによる表面の荒らしは,性能を向上させる。工程は,

次のような段階で構成される:研磨,研磨屑の除去,溶剤ワイビング,乾燥。

4.3

物理的処理  物理的手法は,危険な薬液の使用を必要とすることなく,表面に化学的変化を起こす

ことができる。それには空気中における常圧プラズマ処理(コロナ)又は低圧プラズマ処理(グロー放電)

及び火炎酸化がある。このような工程にはすべて特殊装置が必要である。

4.3.1

プラズマ−常圧(コロナ)  電極間で生じたコロナに暴露した基材は,電子及びイオンによる衝突

によって酸化され接着性が改善される。

4.3.2

プラズマ−低圧(グロー放電)  これはコロナ放電の変形で,不活性ガス又は特殊化学活性物質と

の組合せのもとに低圧で行われる。

4.3.3

火炎処理  表面の調節酸化は,メタン,プロパン又はブタンのいずれかとおよそ 5%ないし 10%の

過剰酸素とを燃焼させて生じる酸化性火炎によって得られる。適正条件を生むためには相当の注意が必要

である。

4.3.4

シラン処理  この粗面化(4.2)の関連技術は,プラスチック表面に化学結合するシランカップリング

基を導入する。この基は,適切な接着剤と共有結合して接着を促進させる。それには適切に調製した研磨

材(シラン被覆コランダム)でブラストすることによって行う。

4.4

化学的処理  化学的処理は,表面を変性してぬれを改善し,それによって接着を向上させる。よく

知られた方法は,クロム酸の使用(直接酸化)又はナトリウム−ナフタレン溶液の使用(間接酸化)であ

る。


3

K 6848-3 : 1999 (ISO 13895 : 1996)

4.5

プライマー  プライマー類は,化学的処理(4.4)で必要とされる侵食材料を使うことなく表面を改質

するのが普通である。一般に幾つかの段階を踏む化学的処理と違って,プライマーは通常,表面に単に刷

毛塗りするかスプレー塗布し,次いで乾燥するだけである。一般的系統の接着剤に対しては時として固有

のものであり,ある種プラスチックには応力割れを起こすかもしれない。したがって,表面,プライマー

及び接着剤が相互に相性があるかをチェックして確実なものにしておくことが重要である。

5.

一般プラスチックのリスト  次のリストは基本的重合体系であり,充てん形及び非充てん形で得るこ

とができる。

アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン (ABS) 共重合体

セルロースエステル類

エポキシ樹脂系プラスチック及び複合材料

メラミン系プラスチック

フェノール系プラスチック及び複合材料

ポリアセタール

ポリアリルフタレート

ポリアミド

ポリブチレンテレフタレート

ポリエチレンテレフタレート

ポリカーボネート

ポリ塩化エーテル類

ポリエステル−熱可塑性プラスチック

ポリエステル−熱硬化系

ポリエーテルエーテルケトン

ポリエチレン

ポリイミド

ポリメタクリル酸メチル

ポリフェニレンエーテル

ポリフェニレンスルフィド

ポリプロピレン

ポリスチレン

ポリスルホン

ポリテトラフルオロエチレン

ポリウレタン

ポリ塩化ビニル

ユリア系プラスチック

6.

調整方法

6.1

無処理

6.2

洗浄

a)

新鮮な溶剤又は洗剤溶液で清浄にする。周囲の状況によって浴(液体又は蒸気−注意)又は好ましく


4

K 6848-3 : 1999 (ISO 13895 : 1996)

は毛羽立ちのない布かティッシュできれいにふくこと,のいずれかを用いる。

b)

表面を乾燥する。

c)

直ちに接着する−望ましくは 1 分以内。

追加手順  どのような溶剤を選択したとしても応力割れの問題に特に注意を払いながらプラスチッ

クを損傷しないことを確認すること。どのようなときでもプロパン−2−オールの使用は可能である。

その他の場合は,ブタン−2−オン (MEK) 又は 4−メチル−ペンタン−2−オン (MIBK) のようなケ

トンか,認可されたハロゲン化溶剤を使用する。

警告  アルコール類とケトン類は引火性である−ケトン類は特に危険である。すべて高濃度では麻酔

性である。換気を適切に行い,蒸気密度を考慮して作業者が蒸気を吸引しないように排出する

こと。

シアノアクリレート接着剤に対する調整が必要な場合,アルコール類やケトン類だけを使用すること。

ハロゲン化溶剤はわずかに酸性で,重合を妨げるか禁止することさえある。

6.3

粗面化

a)

6.2 a)

に従って,溶剤の使用に関する関連追加手順に注意しながら清浄にする。

b)

乾燥表面を研磨するかグリットブラストする。

エポキシ樹脂系とフェノール系複合材料の表面を荒らすときは,繊維を損傷することがあるので注

意すること。繊維損傷は接着接合部品に致命的影響を与える。

c)

研磨屑を除去する(真空)

d)  6.2 b)

及び c)に従って操作する。

6.4

物理的処理  プラズマ処理の両方と火炎酸化については,必要な特殊装置のメーカーに相談するこ

と。

6.5

化学的処理

6.5.1

クロム酸

a)

6.2 a)

に従って,溶剤の使用に関する関連追加手順に注意しながら清浄にする。

b)

乾燥した対象物をクロム酸エッチング溶液(下記参照)に室温で 15 分間浸せきする。

c)

対象物を取り出し,蒸留水又は脱イオン水の冷水 (20℃±5℃)  で完全に洗浄する。

d)

蒸留水又は脱イオン水の温水 (55℃±5℃)  で再洗浄する。

e)

温風 (55℃±5℃)  を流して乾燥する。

f)

直ちに接着する−望ましくは 1 分以内。

クロム酸エッチング溶液  この溶液を調製するときは,ポリエチレン,ポリプロピレン又はポリテトラフ

ルオロエチレン製の容器だけを使用すること。

質量部

重クロム酸カリウム又は重クロム酸ナトリウム

1.0

濃硫酸  (

ρ

1.84g/ml) 10.0

蒸留水/脱イオン水 30.0

調製方法  定速でかく拌しながら注意して酸を水に加え,次いで重クロム酸塩を加える。溶解が完結する

までかく拌する。

警告  酸及び重クロム酸塩ともに毒性があり腐食性である。取扱いと廃棄には認可された手順に従

うこと。

酸を水に加えること−決して水を酸に加えてはならない。


5

K 6848-3 : 1999 (ISO 13895 : 1996)

この特別処理は酸性であるため,この表面に対してシアノアクリレート接着剤を用いるときはその重合

が抑制されることがある−注意してチェックすること。

6.5.2

ナトリウム−ナフタレン溶液

a)

6.2a)

及び b)に従って,溶剤の使用に関する関連追加手順に注意しながら清浄にする。

b)

対象物を市販のナトリウム−ナフタレン溶液に製造業者の指示に従って浸せきする−通常 5 秒ないし

10

秒。

c)

水洗し乾燥,ここでも指示書に従うこと。普通,乾燥前に水(蒸留水又は脱イオン水)

,アセトン及び

水で連続洗いすることが必要である。

6.5.3

トルエンスルホン酸

a)

6.2a)

及び b)に従って,溶剤の使用に関する関連追加手順に注意しながら清浄にする。

b)

乾燥対象物を高温 (94℃±5℃)  のスルホン酸エッチング溶液(下記参照)に 8 秒±2 秒浸せきする。

c)

炉 (110℃±10℃)  の中で 45 秒±15 秒加熱する。

d)

蒸留水又は脱イオン水の温水 (55℃±5℃)  で完全に洗う。

e)

温風 (55℃±5℃)  で乾燥する。

f)

直ちに接着する−望ましくは 1 分以内。

スルホン酸エッチング溶液  この溶液を調製するときは,ポリエチレン,ポリプロピレン又はポリテトラ

フルオロエチレン製の容器だけを使用すること。

質量部

パークロロエチレン 96.0

ジオキサン

3.7

p

−トルエンスルホン酸

0.3

調整方法  パークロロエチレンとジオキサンの溶液を作る。酸を加え溶解が完結するまでかく拌する。

警告  混合液は毒性があり,腐食性である。取扱いと廃棄には認可された手順に従うこと。

この特別処理は酸性であるため,この表面に対してシアノアクリレート接着剤を用いるとき

はその重合が抑制されることがある−注意してチェックすること。

6.5.4

レゾルシノール溶液

a)

6.2a)

及び b)に従って,溶剤の使用に関する関連追加手順に注意しながら清浄にする。

b)

乾燥対象物をレゾルシノール溶液(下記参照)に 8 秒±2 秒浸せきする。

c)

換気を十分行いながら,室温 (23℃±2℃)  で 30 分間以内乾燥する。

d)

表面が乾燥したら直ちに接着する(レゾルシノール溶液から取り出し後,15 分ないし 30 分)

レゾルシノール溶液  この溶液を調製するときは,ポリエチレン,ポリプロピレン又はポリテトラフルオ

ロエチレン製の容器だけを使用すること。

質量部

酢酸エチル 91.0

レゾルシノール

9.0

調製方法  レゾルシノールを酢酸エチルに加え,溶解が完結するまでかく拌する。

警告  混合液は毒性があり,腐食性である。取扱いと廃棄には認可された手順に従うこと。

この特別処理は酸性であるため,この表面に対してシアノアクリレート接着剤を用いるとき

はその重合が抑制されることがある−注意してチェックすること。


6

K 6848-3 : 1999 (ISO 13895 : 1996)

7.

一般プラスチックの表面調整表  表 に一般プラスチックに対して適用できる表面調整法を×印で示

す。物理的及び化学的表面調整は,先行する“洗浄”に連続させてもよい。

参考1.  表1に示した知見は,現時点での技術的水準に相当する。他の方法を用いてもよい。他のプラ

スチックに対しての表面調整は,実情に応じて考慮すること。

2.

表 はプラスチックの研究し尽くしたリストではないし,他のプラスチックに対する表面処

理方法を利用してもよいし,利用できるようになるかもしれない。


7

K 6848-

3 : 1

999 (

ISO
 138

95 :

1996)

表 1  一般プラスチックの表面調整法

プラズマ

ポリマー

無処理

洗浄

粗面化

常圧 低圧

火炎

シラン化 クロム酸 ナトリウム

ナフタレン

トルエン

スルホン酸

レゾルシ

ノール

アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン (ABS) 共重合体

×

×

×

×

セルロースエステル類(

1

)

×

×

×

エポキシ樹脂系プラスチック及び複合材料

×

×

×

メラミン系プラスチック

×

×

×

×

×

フェノール系プラスチック及び複合材料

×

×

×

ポリアセタール

×

×

×

×

×

×

×

ポリアリルフタレート

×

×

×

×

×

ポリアミド(

2

)

×

×

×

×

×

×

ポリブチレンタレフタレート

×

×

×

×

×

×

ポリエチレンテレフタレート

×

×

×

×

×

×

ポリカーボネート

×

×

×

×

×

ポリ塩化エーテル類

×

ポリエステル熱可塑性プラスチック

×

×

×

×

×

×

×

ポリエステル熱硬化系

×

×

×

ポリエーテルエーテルケトン

×

×

ポリエチレン

×

×

×

×

×

×

ポリイミド

×

×

ポリメタクリル酸メチル

×

×

×

ポリフェニレンエーテル

×

×

×

×

×

ポリフェニレンスルフィド

×

×

×

×

×

ポリプロピレン

×

×

×

×

×

×

×

ポリスチレン

×

×

×

ポリスルホン

×

×

×

×

×

ポリテトラフルオロエチレン

×

×

×

ポリウレタン

×

×

×

×

×

ポリ塩化ビニル

×

×

×

ユリア系プラスチック

×

×

×

×

×

(

1

)

  エポキシを使用するために調整する場合は,プラスチック部品を 93℃で 1 時間加熱し,部品が暖かい間に接着剤を適用する。

    エポキシ接着剤は,この温度使用のために早期硬化しないことを確かめておくこと。

(

2

)

  表面の吸収水分は確実に追い出しておくこと。


8

K 6848-3 : 1999 (ISO 13895 : 1996)

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

小  野  昌  孝

実践女子大学

(委員)

西  出      徹

通商産業省基礎産業局

八  田      勲

工業技術院標準部

長  沢  長八郎

工業技術院物質工学工業技術研究所

石  垣  康  三

財団法人日本規格協会

滝  沢      稔

日本接着学会

元  起      巌

富士電材株式会社総合研究所

尾  形  知  秀

ヤマハ株式会社

芦  田      正

日産自動車株式会社

池  田      修

日立化成ポリマー株式会社

石  田      茂

横浜ゴム株式会社

立  花  光  男

コニシ株式会社

永  田  宏  二

日本接着剤工業会

(事務局)

吉  木      健

日本プラスチック工業連盟

解説執筆者  小野  昌孝