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日本工業規格

JIS

 K

6759

-1995

アクリロニトリル試験方法

Testing methods for acrylonitrile

1.

適用範囲  この規格は,アクリロニトリルの試験方法について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8777

  ピリジン(試薬)

JIS K 8891

  メタノール(試薬)

JIS K 8920

  よう素(試薬)

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS R 3505

  ガラス製体積計

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8804

  液体比重測定方法

2.

この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。

2.

試験方法

2.1

比重  比重の測定は,比重瓶又は浮きばかりを用いる。

2.1.1

比重瓶法  比重瓶を用いて測定する場合は温度を 20±0.5℃とし,JIS Z 8804 の 3.(比重びんによ

る比重測定方法)による。

2.1.2

浮きばかり法

(1)

器具

(a)

比重測定用円筒  JIS R 3505 の 100ml メスシリンダー

(b)

浮きばかり  目盛範囲 0.760〜0.820 のもので,0.001 ごとに目盛を刻み,かつ,0.01 ごとに目盛を示

す数字を記入した浮きばかり。

(c)

温度計  JIS K 8001 の 3.6(試験に用いる試薬,水及び器具類)に規定する温度計を用いる。

(2)

操作  試料を清浄,乾燥した比重測定用円筒に取り,浮きばかり及び温度計を入れ,これを更に恒温

槽に入れる。20±0.5℃の温度になったとき温度計を取り去り,直ちに浮きばかりの目盛を読む。試料

の量は,浮きばかりを入れたとき,その下端と円筒底との間に 15mm 以上の間隔をもつ量を取る。

備考  浮きばかりを用いて測定する場合は,比重瓶で正確に測定した液体を用いて,20/20℃に換算し

た補正表をあらかじめ用意する。

2.2

水分  水分の定量方法は,カールフィッシャー法によって行う。

滴定の方法は直接滴定法又は逆滴定法のいずれかによって,終点の判定は,マジックアイを用いた電位

差滴定法又は肉眼による視覚滴定法による。


2

K 6759-1995

(1)

直接滴定法  あらかじめ良く乾燥したピペットを用いて,試料 10ml を滴定フラスコ 250ml に量り取

り,これをカールフィッシャー試薬(

1

)

を用いて滴定し(

2

)

,別にこの試薬の力価(

3

)

を測定し,次の式に

よって水分 (%) を算出する。

100

×

×

=

S

B

A

W

ここに,  W:  水分 (%)  

A

:  カールフィッシャー試薬の使用量 (ml)

B

:  カールフィッシャー試薬の力価 (mgH

2

O/ml)

S

:  試料 (mg) (

4

)

(2)

逆滴定法  あらかじめよく乾燥したピペットを用いて試料 10ml を滴定フラスコ 250ml に取り,これ

に過剰のカールフィッシャー試薬を加えた後,これを水−メチルアルコール標準溶液(

5

)

で逆滴定し,

その消費量を求め,別にこの試薬の力価を測定し,次の式によって水分 (%) を算出する。

100

×

×

×

=

S

D

C

B

A

W

ここに,  W:  水分 (%)  

A

:  カールフィッシャー試薬の使用量 (ml)

B

:  カールフィッシャー試薬の力価 (mgH

2

O/ml)

C

:  水−メチルアルコール標準溶液の使用量 (ml)

D

:  水−メチルアルコール標準溶液の水当量

S

:  試料 (mg)

(

1

)

カールフィッシャー試薬の調製  JIS K 8777の特級269ml(3.3モル)と JIS K 8891の特級667ml

(約4.9モル)とを混合し,これに JIS K 8920の特級84.7g(0.33モル)を溶かす。

この溶液を氷冷しながら無水亜硫酸 64g(1 モル)を発熱しないように注意して加えて調整し,

外気中の水分を吸収しないようにして貯蔵する。

(

2

)

滴定の終点

(a)

直接滴定の場合  試料に試薬を滴加すれば試料の色は最初に黄色になる。引き続いて滴加

し,電位差滴定法の場合には,マジックアイの絞りが 30〜50 秒以上開いたときを終点とす

る。視覚滴定法の場合は,最後の 1 滴で黄色〜赤褐色に変わる点を終点とする。

(b)

逆滴定の場合  試料中に試薬を過剰に入れると,溶液の色は完全に褐色になる。この状態

になってから水−メチルアルコール標準溶液を徐々に滴加し,電位差滴定法の場合には,

マジックアイが開放の状態から完全に閉じる点を終点とする。

視覚滴定法の場合は,最後の 1 滴で赤褐色〜黄色に変わる点を終点とする。

一般に着色していない試料は視覚滴定法による終点の判定は可能であるが,試料が着色

しているとき,又は終点が鋭敏でないときは,電位差滴定法で終点の判定を行う。

(

3

)

カールフィッシャー試薬の力価  乾燥した全量フラスコ 100ml に水−メチルアルコール標準溶

液(99.9%以上)を約 50ml 入れ,水約 0.5g を正確に量り取って加え,更に水−メチルアルコー

ル標準溶液を標線まで満たして混合する。次にこの溶液 10ml(水として Hml)を滴定フラスコ

に正確に取り,試験に用いるカールフィッシャー試薬で滴定し,その消費量を A (ml)  とする。

次に調製に使用した水−メチルアルコール標準溶液 10ml を正確に取り,同じ方法で滴定し,

その消費量を B (ml)  とし,次の式によって試薬の力価 を算出する。


3

K 6759-1995

B

A

H

F

=

なお,試薬の力価は,使用のつど標定しなければならない。

(

4

)

試料の容量から質量を求めるには次の式による。

試料の質量 (mg) =比重×採取容量 (ml) ×1 000

(

5

)

水−メチルアルコール標準溶液の調製  メチルアルコール 1ml につき 2〜4mg の水を正確に含

むように調製し,外気の水分を吸収しないようにして保存する。

2.3

蒸留試験  蒸留試験を行う前に温度計露出部の室温 t

r

  (

℃)  及び大気圧 P (kPa) {mmHg}  を測り,次

の式によって留出温度範囲 及び の値を算出して補正する。

A

=75.0−[0.000 15n

1

 (75.0

t

r

)

+0.045 (760−P)  +

t

B

=78.0−[0.000 15n

2

 (78.0

t

r

)

+0.045 (760−P)  +

t

ここに,  n

1

n

2

露出している水銀柱の指定蒸留温度 (75.0, 78.0℃)  までの
長さをその温度計の度数で表した数

t

温度計目盛の補正値

大気圧 に SI 単位の kPa を用いるときは,次の式による。

A

=75.0−[0.000 15n

1

 (75.0

t

r

)

+0.045×7.5 (101.3−P)  +

t

B

=78.0−[0.000 15n

2

 (78.0

t

r

)

+0.045×7.5 (101.3−P)  +

t

まず試料の液温 t

s

 (

℃)  を測り,エングラーフラスコ及びシリンダーを少量の試料で数回洗う。しずくを

切ってから試料 100ml をメスシリンダーで取り,エングラーフラスコに入れ,コルク栓で温度計を取り付

ける。次にこれを架台に載せ,冷却器及びアダプターを連結し,先に試料を量り取ったメスシリンダーを

受け器とし,風よけを据え,全装置を

図 のように組み立てる。


4

K 6759-1995

図 1  蒸留試験装置

受け器を中央に穴を開けたろ紙で覆い,温度計の位置は水銀球の上端がエングラーフラスコ枝管の下部

付根に位置するようにする。次に冷却器に冷却水を通し,直火で加熱し,8〜9 分間で留出を開始し,毎分

4

〜5ml の割合で留出するように加熱を調節し,規定された温度範囲 75.0〜78.0℃の留出量を測定する。た

だし,器具は次のものを使用する。

(a)

エングラーフラスコ  JIS R 3503 のエングラーフラスコ

(b)

冷却器  硬質ガラス製冷却管(図 2

(c)

アダプター  JIS R 3503 のアダプター30mm

(d)

メスシリンダー  JIS R 3505 のメスシリンダー100ml-II−無栓形

(e) 

温度計  JIS K 8001 の 3.6 に規定する温度計


5

K 6759-1995

図 2  硬質ガラス製冷却管

2.4

屈折率

(1)

装置  アッベ屈折計は,図 に示すような屈折計(測定範囲:屈折率 1.300 0〜1.700 0)を使用する。

図 3  アッベ屈折計

(2)

試料  蒸留試験によって得られた留出液の全液を試料とする。

(3)

操作  全装置を図 に示すように組み立て,屈折計に水を通してプリズム及び試料の温度を 25℃に保

持させながら測定を行う。すなわち

図 に示すとおり,R と S をゴム管で連結し,Q から入った水を

R

及び S を経て V から外部へ流出させながら,プリズム部の温度を正確に 25℃に保持させる。

V

部に差し込んだ温度計の読みが 25℃で一定になった後(

6

)

図 に示すようにプリズムを開き,ガ

ラス棒に 1 滴付けてプリズム面をぬらした後,直ちにプリズムを閉じて測定を始める。

あらかじめ目盛部の読みが約 1.390 になるように調節して置き反射鏡 (O) を調節し,読取望遠鏡

(K)

をのぞいて十字線に焦点を合わせる。

ハンドル (F) を回して視野の明暗の境界線がぼやけて見えたとき,ハンドル (L) を回してこの境界

線を明りょうにさせる。次にハンドル (F) を回して,

図 のようにこの境界線を十字線の交点に一致


6

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させる。このときの目盛部の読みを拡大鏡 (G) で読んで試料の屈折率

( )

25
D

n

とする。

(

6

)

正確に25℃のとき以外は,1℃につき0.000 539を補正する。

図 4  屈折率測定装置

図 5  プリズム

図 6  プリズム視野

2.5

試験結果の処理  試験の結果は,規定の数値より 1 けた下の位まで求めて JIS Z 8401 によって丸め

る。

関連規格  JIS Z 8203  国際単位系 (SI) 及びその使い方