>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 K

6703

-1995

工業用ニトロセルロース

Industrial Nitrocellulose

1.

適用範囲  この規格は,一般工業用(セルロイド用及び火薬用のニトロセルロースを除く)のニトロ

セルロース(以下,ニトロセルロースという。

)について規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 1501

  玉軸受用鋼球

JIS K 8001

  試薬試験方法通則

JIS K 8034

  アセトン(試薬)

JIS K 8102

  エタノール (95) (試薬)

JIS K 8295

  グリセリン(試薬)

JIS K 8361

  酢酸エチル(試薬)

JIS K 8548

  硝酸カリウム(試薬)

JIS K 8680

  トルエン(試薬)

JIS K 8951

  硫酸(試薬)

JIS K 8978

  硫酸鉄 (II) 七水和物(試薬)

JIS Z 8401

  数値の丸め方

2.

一般的性状

2.1

ニトロセルロースは,液体で湿潤したものである。湿潤剤の含有量は 25∼35 質量%とする。ただし,

湿潤剤の種類及び上記の範囲内における含有量は.当事者間の協定による。

2.2

ニトロセルロースには,綿状又はフレーク状のものと塊状のものとがある。綿状又はフレーク状の

ものの場合には塊を含まないこと。

2.3

ニトロセルロースは,外観が白く異物を含まないこと。

2.4

ニトロセルロースは,溶液にした場合透明性がよく,色が暗くないこと。

3.

種類  ニトロセルロースの種類は,窒素分によって表 のとおりとする。

表 1

種類

窒素分

L 10.7%

以上  11.5%未満のもの

H 11.5%

以上  12.2%以下のもの

4.

品質  ニトロセルロースは 7.17.6 によって試験し,表 及び表 の規格値に適合しなければならな

い。


2

K 6703-1995

4.1

粘度

表 

種類

溶液濃度

12.2% 20.0% 25.0%

及び粘度記号

表示方法

落下時間(秒)

落下時間(秒)

落下時間(秒)

L

1

/

8

− 1.6∼2.9

L

1

/

4

− 3.0∼8.9

L

1

/

2

(

1

)

− 3.0∼4.9

H

1

/

16

− 1.0∼1.5

H

1

/

8

− 1.6∼2.9

H

1

/

4

− 3.0∼8.9

H

1

/

2

(

1

)

− 3.0∼4.9

 H2(

2

)

1.5

∼2.5

 H20

16.0

∼24.0

 H60

52.0

∼67.0

 H120

110.0

∼140.0

(

1

)  L

1

/

2

及び H

1

/

2

は,25.0%の濃度で測定してもよい。25.0%濃度における粘度

範囲は,9.0∼22.0秒とする。

(

2

) H2

は 20.0%濃度で測定してもよい。20.0%濃度における粘度範囲は,15.0

∼40.0 秒とする。

4.2

一般的品質

表 3

種類

品質項目

L H 

湿潤分 (%)

25

∼35 25∼35

L

1

/

8

 0.05

以下

H

1

/

16

, H

1

/

8

0.05

以下

L

1

/

4

0.04

以下

H

1

/

4

0.04

以下

酸分

(H

2

SO

4

として)

           (%)

その他のもの 0.03 以下

その他のもの 0.03 以下

灰分 (%)

0.3

以下 0.3 以下

耐熱度 (min)

7

以上 7

以上

発火点  (℃) 180

以上 180 以上

5.

試料採取方法  製造のバッチごとに分け,それぞれを 1 ロットとして,各々のロットから試料約 200g

を採る。ただし,湿潤分を測定する場合は,各々のロットを代表する容器を抜き取り,その全容器の上・

中・下の各部から,ほぼ同量の試料を手早く容器に採り,直ちに密閉して,その全量をよくかき混ぜ合わ

せる。

6.

試料の乾燥方法

6.1

窒素分,酸分及び灰分測定の場合は,試料をアルミニウムはく又は紙製ざらに層の厚さ 1cm 以下に

広げ,これを 80±2℃に保った二重壁乾燥器内で 2 時間乾燥した後,デシケーター中で 1 時間以上放冷す

る。

6.2

発火点及び耐熱度測定の場合は,試料をアルミニウムはく又は紙製ざらに層の厚さ 1cm 以下に広げ,

これを 60±2℃に保った二重壁乾燥器内で 3 時間乾燥した後,デシケーター中で 1 時間以上放冷する。

7.

試験方法


3

K 6703-1995

7.1

湿潤分  イソプロピルアルコールで湿潤した場合は試料約 5g を平形ひょう量びんに正確にひょう量

し,80±2℃で 2 時間乾燥し,デシケーター中で塒間以上放冷した後,質量を量って減量を求め,次の式に

よって湿潤分を算出する。測定回数は 1 回とする。

100

×

=

S

D

M

ここに,  M:  湿潤分 (%)  

D

:  減量 (g)

S

:  試料 (g)

イソプロピルアルコール以外の液で湿潤した場合には.乾燥温度及び時間は.当事者間の協定による。

7.2

粘度

7.2.1

6.1

で乾燥した試料を,

表 の溶液濃度に示す配合量に従って,三角フラスコ 500ml に採り,これ

に.あらかじめ混合調製した混合溶剤(

3

)

を加える。

7.2.2

次に 7.2.1 の三角フラスコをアルミニウムはく又はポリエチレンフィルムで覆ったコルクせんでふ

たをする。

7.2.3

7.2.2

の三角フラスコをふり混ぜ機でかき混ぜ,内容物が均等な液になった後,室温で 24 時間放置

して,ニトロセルロース溶液をつくる。

7.2.4

7.2.3

の溶液を,ガラス製円筒(

4

)

にあわができないようにして.上端から約 1cm 下まで入れる。円

筒に適当なふたを施して,これを 25±0.1℃に調整した水中に,上部 1cm を残して浸し,円筒の中心線が

鉛直になるように固定して,1 時間以上放置する。

7.2.5

鋼球(

5

)

を 7.2.4 の円筒の液面から中心に沿って落下させ.鋼球が刻線 AB 間を通過する時間をスト

ップウオッチ(

6

)

で測る。

7.2.6

測定は,ニトロセルロース溶液について 2 回落下させて,平均の時間を求め,粘度[落下時間(秒)

とする。

表 4  配合量

単位 g

溶液濃度

組成分

12.2 % 20.0 % 25.0 %

      乾燥試料 24.4

40.0

50.0

      混合溶剤(

3

) 175.6

160.0

150.0

(

3

)

混合溶剤配合率(質量%)は,次による。

エチルアルコール  (JIS K 8102)  の 1 級 25.0

トルエン  (JIS K 8680) 55.0

酢酸エチル  (JIS K 8361) 20.0

(

4

)

ガラス製円筒

図 に示す寸法のものを用いる。

内径  25.0±0.5mm

全長  約 355.0mm

刻線 AB 間の距離  254.0±0.8mm

A

から上端まで又は

B

から下端までの距離

約 50mm

(

5

)

鋼球の直径及び質量は,次のとおりとする。

JIS B 1501

の等級 28 に準じる。


4

K 6703-1995

直径  7.938

015

.

0

010

.

0

+

mm

質量  2.038±0.007g

(

6

)

ストップウオッチは,

5

1

秒を正確に読むことができるものとする。

備考  ガラス製円筒内の液面から中心に沿って,鋼球を落下させやすいように,ガラス製円筒の上部

に適当な鋼球落下装置(

図 又は図 3)を付けてもよい。

図 1

図 2


5

K 6703-1995

図 3

7.3

窒素分

7.3.1

6.1

で乾燥した試料約 0.5g をひょう量びんに採り,更に 60±2℃で 1 時間乾燥し,デシケーター中

で 30 分間放冷後,質量を正確にひょう量する。

7.3.2

あらかじめ 8℃以下に冷却した 96±0.5%硫酸(

7

)

200ml

をビーカーに採り,8℃以下の冷却水そうで

冷却しつつ硫酸第一鉄溶液(

8

)

を 15ml 加える。

7.3.3

次に 7.3.2 の溶液が 8℃以上にならないように注意しつつ,かくはんを行いながら,7.3.1 の試料全

量を投入し,溶解する。

7.3.4

試料を投入した後,ひょう量びんの質量を正確にひょう量し,試料投入前に 7.3.1 でひょう量した

質量との差を求める。これを試料の質量とする。

7.3.5

試料が完溶後,温度を 8℃以下に保ちながら,この溶液をかくはんしつつ,硝酸カリウム溶液(

9

)

滴定を行い,硫酸第一鉄の茶色が消失したときを.滴定の終点とする。

7.3.6

試料を溶解しない溶液(7.3.2)について,同様の方法で空試験を行う。

7.3.7

窒素分は,次の式によって算出する。測定回数は 1 回とする。

100

202

004

.

0

)]

'

(

)

'

[(

×

×

×

=

S

f

B

B

A

A

N

ここに,

N

:  窒素分 (%)

A

:  空試験に要した硝酸カリウム溶液の使用量 (ml)

A'

:  空試験時の容器の温度補正値 (ml) (

10

)

B

:  滴定に要した硝酸カリウム溶液の使用量 (ml)

B'

:  滴定時の容器の温度補正値 (ml) (

10

)

f

:  硝酸カリウム溶液のファクター


6

K 6703-1995

S

:  試料 (g)

(

7

)

硫酸  (JIS K 8951)  を使用する。

(

8

)

硫酸第一鉄溶液の調製法は.次のとおりとする。

硫酸第一鉄  (JIS K 8978)  を 167g ひょう量し,水 500ml と硫酸  (JIS K 8951)  の 60%水溶液

500ml

に溶解し,完溶後かっ色試薬びんに入れて冷暗所に保存する。

なお,この溶液の使用は,調製後 15 日以内とする。

(

9

)

硝酸カリウム溶液の調製法は,次のとおりとする。

硝酸カリウム  (JIS K 8548) 30.331g を精ひょうし,水 1 000ml に溶解する。完溶後,かっ色試

薬びんに入れて冷暗所に保存する。

なお,この溶液の使用は,調製後 20 日以内とする。

(

10

)

温度補正値  JIS K 8001 に基づいて行うこと。

7.4

酸分  6.1 で乾燥した試料約 10g を正確に量り採る。これを蒸留水 200ml と共に細口三角フラスコ

500ml

に入れ,逆流冷却器を付け,沸騰している水浴中に細口三角フラスコを深く浸して 2 時間加熱する。

冷却後ろ過し,残分を水で洗い,ろ過した洗液を合わせ,蒸留水を加えて全容を約 250ml とし,フェノー

ルフタレインを指示薬として 0.01mol/水酸化ナトリウム溶液で滴定する。

別に蒸留水 250ml で空試験を行い,

次の式によって酸分を硫酸として算出する。

測定回数は 1 回とする。

100

)

(

49

000

.

0

×

×

×

=

S

f

b

a

H

ここに,

H

:  酸分 (%)

f

: 0.01mol/水酸化ナトリウム溶液のファクター

a

:  滴定に要した 0.01mol/水酸化ナトリウム溶液の使用量 (ml)

b

:  空試験に要した 0.01mol/水酸化ナトリウム溶液の使用量 (ml)

S

:  試料 (g)

7.5

灰分  強熱後放冷して質量を量った磁製るつぼ 6.1 で乾燥した試料約 2g を正確にひょう量し,これ

を容量で 5%のひまし油(日本薬局方)を含むアセトン  (JIS K 8034)  約 10g で十分に潤して試料をゲル化

する。

内容物に点火して試料が燃えるに任せて炭化させた後,

るつぼを強熱して内容物を完全に灰化する。

次にデシケーター中で放冷した後,残分の質量を求め,次の式によって灰分を算出する。測定回数は 1 回

とする。

100

×

=

S

R

A

ここに,

A

:  灰分 (%)

R

:  残分 (g)

S

:  試料 (g)

7.6

耐熱度  6.2 によって乾燥した試料から約 1g ずつ 3 個をひょう量し,これを漏斗を用いて 3 本の図 4

に示す試験管に入れ,試料が試験管の底から約 55mm(刻線 A)までに収まるように押し込むか,振り入

れる。

次にゴムせんに付けた白金かぎ又はガラスかぎに,よう化カリウムでんぷん試験紙(

11

)

を掛け,その上部

3

1

をグリセリン溶液(

12

)

で湿らせ,このゴムせんを試験管に差し入れる。

このとき試験紙の下端が,試料面から約 61mm のところにくるようにする。80±1℃に調整した水浴中

にこの試験管を上の刻線 B まで入れ,北向きの拡散昼光又はこれに近い光をもって試験紙の乾湿境界部を

監視し,試験管を入れてから標準色紙(

11

)

と同じ色が現れるまでの時間(30 秒単位で測る。

)を測り,3 個

の測定値の平均値を耐熱度とする。


7

K 6703-1995

(

11

)

よう化カリウムでんぷん試験紙及び標準色紙は,通商産業省工業品検査所の検定を受けたもの

を使用する。

(

12

)

グリセリン  (JIS K 8295)  と水との質量の比率 1 : 1 の混合液。

図 4

7.7

発火点  6.2 によって乾燥した試料約 0.3g を図 に示す試験管の底にできるだけ固く詰め込み,試験

管は紙でふたをする。

この試験管を 100℃に保った油浴中に,試料の上部が油面以下に沈むまで浸し,油浴を熱して油の温度

を 1 分間に 5℃の割合で上昇させ,試料が発火するときの油浴の温度を読む。同じ試験を 3 回行い,その

平均値を発火点とする。


8

K 6703-1995

図 5

8.

試験結果の数値の丸め方  試験の結果は,規定の数値より 1 けた下の位まで求めて,JIS Z 8401 によ

って

表 のように丸める。

表 5

試験項目

単位

求める測定値

湿潤分 %

整数値

粘度 s

小数点以下 1 けた

窒素分 %

小数点以下 1 けた

酸分 %

小数点以下 2 けた

灰分 %

小数点以下 1 けた

耐熱度 min

整数値

発火点

整数値

9.

表示  製品には容器ごとに,次の事項を表示する。

(1)

名称

(2)

種類及び粘度記号

(3)

製造ロットの番号

(4)

製造年月又は略号

(5)

製造業者名又は略号


9

K 6703-1995

高分子部会  工業用ニトロセルロース専門委員会  構成表(昭和 50 年 12 月 1 日改正のとき)

氏名

所属

(委員会長)

植  木  憲  二

職業訓練大学校

山  下  吾  郎

ダイセル株式会社セルロース事業部

早  川  福一郎

太平化学製品株式会社川口工場

高  橋  英  一

関西ペイント株式会社東京製品技術部

山  本  和  子

日本ペイント株式会社生産本部

副  田  喜久夫

ロックペイント株式会社東京工場

福  間  末  吉

長島化学工業株式会社

松  橋  冠  二

東洋インキ製造株式会社川越第三工場

和久井  昭  蔵

大成化工株式会社化成事業部生産部

林      治  助

北海道大学工学部応用化学科

滝  村  昭  夫

日本塗料工業会

矢  野  信  雄

硝化綿工業会

榎  本  喜  八

財団法人日本プラスチック検査協会

小  野  健  介

旭化成工業株式会社化成品樹脂第一事業部

太  田  耕  二

通商産業省基礎産業局

森  川      武

工業技術院標準部

(事務局)

青  木  誠  治

工業技術院標準部繊維化学規格課

石  川  哲之介

工業技術院標準部繊維化学規格課

(事務局)

小  林      勝

工業技術院標準部繊維化学規格課(平成 7 年 4 月 1 日改正のとき)

砂  川  輝  美

工業技術院標準部繊維化学規格課(平成 7 年 4 月 1 日改正のとき)