日本工業規格 JIS
K 6549-1977
革の透湿度試験方法
Testing Method for Water Vapour Permeability of Leather
1. 適用範囲 この規格は,すべての革の透湿度試験方法について規定する。
引用規格:
JIS K 6550 革試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8801 標準ふるい
2. 用語の意味 透湿度とは,一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の量をいい,この規格で
は温度30±1℃において革を境界面とし,一方の側の空気を相対湿度80±5%に,反対側の空気を乾燥状態
に保ったとき,1時間にこの境界面を通過する水蒸気の質量 (mg) をその革1cm2当たりに換算し,その値
をその革の透湿度と定める。
3. 試料採取方法及び試験片 JIS K 6550(革試験方法)により採取した試料1枚につき直径64mmの円
形の試験片2枚を採取し(1),恒温恒湿器(温度30±1℃,相対湿度80±5%)中に48時間静置する。
注(1) 傷などのある場所は避ける。
4. 装置及び薬品
4.1
透湿カップ 透湿カップ(以下カップという)は,次の条件を満たすものでなければならない。
なお,カップ及びその附属品は,原則として付図に示すものとする。
(1) 透湿面積は28〜30cm2とする。
(2) 試験片周縁の密封は完全で,透湿面積に変化を及ぼさないもの。
4.2
恒温恒湿装置 温度30±1℃,相対湿度80±5%の空気が試験片上を循環できるような装置を用いる。
参考 相対湿度の調節には,硫酸アンモニウムを用いるとよい。恒温恒湿装置は,カップの取出しに
よる温湿度の変化をできるだけ少なくするため,内容積を大きくとり,カップを取り出すのに
必要な開閉口はできるだけ小さくし,その他の部分は密封すること。
4.3
はかり 感度1mgのもの。
4.4
吸湿剤 乾燥用塩化カルシウムで,粒度がJIS Z 8801(標準ふるい)の2380
洀
過し,500
洀
とどまるものを用いる。
4.5
封ろう剤 試験片及びカップから容易にはく離せず,封かん操作が容易で,充てん剤及び固形分を
含まない,軟化点30℃以上,融点70℃以下のものを使用する。
参考 次の配合の封ろう剤のいずれかを用いるとよい。
(1) パラフィン90: ポリエチレン10
2
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(2) みつろう60: パラフィン40
(3) マイクロクリスタルワックス
5. 操作 操作は次の順に行う。
(1) 吸湿剤20gを入れたさらをカップに入れて,水平に置いたカップ台に載せる。
(2) 試験片を,その表面が吸湿剤側に向き,かつ,カップに対して同心円になるように載せる。
(3) ガイドをカップ台のみぞに合わせてかぶせる。
(4) ガイドに合わせて試料がカップの上縁に密着するまでリングを付図のように押し込み,その上におも
りを載せる。
(5) おもりを押さえながら,ガイドを垂直に引き上げて取り除く。
(6) カップを水平に回転しながら,溶融した封ろう剤をカップの周縁に流し込み,試験片の縁を封かんす
る。
(7) 封ろう剤が固化してからおもり及びカップ台を取り除いて試験片接合カップとし,直ちに次の操作に
移る。
(8) 試験片接合カップを,温度30±1℃,相対湿度80±5%の空気が循環する恒温恒湿装置に入れる。
(9) 1時間後試験片接合カップを取り出して直ちにはかりで質量を1mgまで測定し,これをa0 (mg) とす
る。
(10) 再び試験片接合カップを前の恒温恒湿装置に入れ,1時間ごとに試験片接合カップの質量を3回量り,
これらの値をそれぞれa1,a2及びa3 (mg) とする。
6. 算出方法 次の式により透湿度を算出する。値は小数点以下1けたまで求め,JIS Z 8401(数値の丸
め方)により整数位に丸める。
S
A
P
3
)
(
)
(
)
(
2
3
1
2
0
1
a
a
a
a
a
a
A
ここに
P: 透湿度 (mg/cm2/h)
A: 1時間当たりの平均増加質量 (mg)
S: 試験片の透湿面積 (cm2)
3
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付図
番号
名称
材料
備考
1
リング
アルミニウム
2
さら
ガラス
3
カップ
アルミニウム
4
ガイド
黄銅鋳物
5
カップ台
黄銅鋳物
6
おもり
黄銅鋳物
約500g
4
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高分子部会 革の透湿度試験方法専門委員会 構成表(昭和40年9月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
井 上 吉 之
東京農工大学
仏 木 敏 行
日本皮革株式会社研究所
池 田 敬 二
山陽皮革株式会社
岡 村 浩
株式会社山崎化学研究所
島 田 勝 治
日本製靴株式会社
倉 持 保
スタンダード靴株式会社
坪 野 三 雄
郵政省大臣官房資材部
野 手 清 吉
東京皮革服装協同組合
村 上 攻
大塚製靴株式会社日吉工場
飯 塚 義 富
近畿大学農学部
中 城 真
和歌山県工業試験場
服 部 裕
兵庫県皮革工業指導所
菅 野 英二郎
東京工業試験所第七部
花 岡 勝 己
通商産業省軽工業局雑貨第2課
丸 田 幸 栄
工業技術院標準部
(事務局)
山 脇 政 次
工業技術院標準部繊維化学規格課
安 達 孝 明
工業技術院標準部繊維化学規格課
(事務局)
青 木 誠 治
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)
石 川 哲之介
工業技術院標準部繊維化学規格課(昭和52年5月1日改正のとき)