K 6376
:2009
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
用語及び定義
1
4
記号及び単位
2
5
引張試験機
2
6
試験片
2
6.1
形状及び寸法
2
6.2
試験片の採取方法
3
6.3
試験片の状態調節
3
6.4
試験準備
3
7
試験方法
4
7.1
一般事項
4
7.2
試験環境
4
7.3
手順
4
8
試験結果のまとめ方
5
9
試験報告書
5
附属書 JA(参考)JIS と対応する国際規格との対比表
6
K 6376
:2009
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本ベルト工業会(JBMA)及び財団法人日本
規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査
会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本工業規格
JIS
K
6376
:2009
樹脂コンベヤベルトの最大引張強さの求め方
Light conveyor belts-Determination of the maximum tensile strength
序文
この規格は,2005 年に第 1 版として発行された ISO 21180 を基に,対応する部分(最大引張強さの求め
方)については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,
附属書 JA に示す。
1
適用範囲
この規格は,ISO 21183-1 で規定する樹脂コンベヤベルト及び ISO 283 で規定する試験方法が適用できな
いコンベヤベルトの最大引張強さの求め方について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 21180:2005
,Light conveyor belts−Determination of the maximum tensile strength (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS B 7721
引張・圧縮試験機−力計測系の校正・検証方法
注記 対応国際規格:ISO 7500-1,Metallic materials−Verification of static uniaxial testing machines−
Part 1: Tension/compression testing machines
−Verification and calibration of the force-measuring
system (MOD)
ISO 283
,Textile conveyor belts−Full thickness tensile strength, elongation at break and elongation at the
reference load
−Test method
ISO 21183-1
,Light conveyor belts−Part 1: Principal characteristics and applications
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
引張強さ (tensile strength)
ベルトの単位幅当たりの引張力。
注記 1 一般的に引張強さは応力(N/mm
2
)
で表すが,樹脂コンベヤベルトでは,ベルトの単位幅当たり
の引張力(N/mm)で表す。
2
K 6376
:2009
注記 2 樹脂コンベヤベルトでは,引張強さの記号は
k
とする。
注記 3 EN 10002-1:2001 では,記号
k
は,比例係数を表す。
3.2
最大引張強さ (maximum tensile strength)
ベルトの単位幅当たりの最大引張力。
3.3
樹脂コンベヤベルト (light conveyor belt)
ISO 21183-1
によって定義するベルト。
4
記号及び単位
記号及び単位は,
表 1 による。
表 1−記号及び単位
記号
記号の説明
単位
F
break
試験片が破断したときの引張力 N
F
max
試験片の最大引張力 N
k
max
試験片の最大引張強さ(F
max
を w で除す。
) N/mm
Δl
試験中につかみ具間で試験片が伸びた長さ mm
Δl
break
F
break
のときの Δl
mm
Δl
max
F
max
のときの Δl mm
Δl
m
F
max
のときの標線間距離が伸びた長さ mm
ε
max
F
max
のときの伸び率(Δl
m
を標線間距離で除し,百分率で表す。ただし,標線間距
離が測定できない場合は,Δl
max
を初めのつかみ具間距離で除し,百分率で表す。
)
%
b
ベルトの幅
mm
w
標線間部分での試験片の幅 mm
注記 F
max
と F
break
とは同じ場合もある。
5
引張試験機
引張試験機は,JIS B 7721 で規定する 3 級以上のものを用いる。
なお,ロードセルは,試験するベルトの最大引張力が,ロードセルの最大ひょう量の 15〜85 %となる
ものを用いる。
6
試験片
6.1
形状及び寸法
試験片の形状及び寸法は,
図 1 に示す 100 mm 長さの平行部をもつダンベル状の形状及び寸法のものと
する。
3
K 6376
:2009
単位 mm
図 1−試験片の形状及び寸法
ベルトの構成によっては,試験片の幅が異なる部分で,繊維に異常,かつ,不均等な応力が働き,標線
間で破断しない場合,又はつかみ具部分で滑りが発生する場合がある。そのような場合には,短冊状の試
験片で試験をしてもよい(例 JIS K 6404-3)
。
6.2
試験片の採取方法
試験片は,
図 2 に示す位置からベルトの長さ方向に 5 個採取する。
図 2−試験片の採取位置
6.3
試験片の状態調節
試験片は,温度 23±2 ℃,相対湿度(50±5) %で,24 時間以上状態調節を行う。ただし,綿又はポリア
ミドのように吸湿性の高い材料で構成されるベルトの場合には,48 時間以上状態調節を行う。
6.4
試験準備
試験片の中心部に,伸びを測定するために 100±0.5 mm の距離で 2 本の標線を付ける(
図 4 参照)。
w
4
K 6376
:2009
7
試験方法
7.1
一般事項
引張試験は,製造後 5 日以上経過した後に行う。ただし,受渡当事者間の協定がある場合は,それによ
る。
7.2
試験環境
試験環境は,温度 23±2 ℃,相対湿度(50±5)%とする。
7.3
手順
引張試験は,6.1 に規定する試験片を用い,試験片が試験中にゆがみ,つかみ部分の切れ,滑り,その他
の不都合が生じないように,
つかみ具間の距離 220±5 mm で正しくつかみ具に取り付けて行う
(
図 4 参照)。
引張試験は,引張速度 100±10 mm/min で行い,少なくとも最大引張力に達するまで継続する。このと
き,最大伸びを求める場合には,ベルトの伸びに対応する引張力をデータ処理装置などによって記録する
(
図 3 参照)。試験片が破断するまで引張試験を継続した場合には,試験片の標線間で破断が生じたか確
認する。試験片が中央部以外で破断したり,つかみ部分で滑りが発生した場合には,そのデータは採用せ
ず,再試験を行う。
注記 つかみ部の滑りを防止する方法は,JIS K 6404-3 の 5.1 b)(つかみ具)を参照する。
Δl:
試験片の伸び (mm)
F: 引張力 (N)
1
:
F
max
2
:
F
break
3
:
Δ
l
max
4
:
Δ
l
break
図 3−引張力−伸び曲線
図 4−試験片のつかみ方
5
K 6376
:2009
8
試験結果のまとめ方
最大引張強さは,式(1)によって算出する。
k
max
=
w
F
max
(1)
受渡当事者からの要求があれば,最大引張強さのときの伸び率を式(2)によって算出する。
ε
max
=
100
100
m
×
Δl
(2)
標線間距離が測定できない場合は,式(3)によって算出する。
ε
max
=
100
220
max
×
Δl
(3)
最大引張強さ及び伸び率は,5 個の測定値の平均値で表す。
なお,試験片が破断するまで引張試験を継続した場合には,同様の方法によって,破断したときの引張
強さ及び伸び率を算出する。
9
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載しなければならない。
a)
この規格番号
b)
ベルトの名称及び製造年月日
c)
状態調節の時間
d)
試験室の温度及び相対湿度
e)
試験片の形状及び寸法
f)
試験結果
g)
試験年月日
参考文献 JIS K 6404-3 ゴム引布・プラスチック引布試験方法−第 3 部:引張試験
EN 10002-1:2001
,Metallic materials−Tensile testing−Part1:Method of test at ambient temperature
6
K 6376
:2009
附属書 JA
(参考)
JIS
と対応する国際規格との対比表
JIS K 6376:2009
樹脂コンベヤベルトの最大引張強さの求め方
ISO 21180:2005, Light conveyor belts
−Determination of the maximum tensile strength
(
Ⅰ)JIS の規定
(
Ⅲ)国際規格の規定
(
Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
箇条番号及
び名称
内容
(
Ⅱ)
国 際 規
格番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(
Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
2
引用規格
3
用語及び
定義
3 JIS
とほぼ同じ。
追加
JIS
に最大引張強さ及び樹
脂コンベヤベルトの用語及
び定義を追加した。
より分かりやすくするために追加したもの
で,実質的な差異はない。
4
記号及び
単位
4
記号の説明
追加
記号 b 及び w を追加した。
より分かりやすくするために追加したもの
で,実質的な差異はない。
−
5
原理
削除
箇条 5 の原理を削除した。
試験片の採取は,JIS の 6.2 に記載している。
また,最大引張強さは,必ずしもグラフから
読み取る必要はないために削除したもので,
技術的差異はない。
5
引張試験
機
6 JIS
とほぼ同じ。
変更
引用規格を,JIS B 7721 に
変更した。
JIS B 7721
の対応国際規格は,ISO 7500-1 で
あり,分かりやすくするため変更したもので,
技術的な差異はない。
6.1
形 状
及び寸法
7.1 JIS
とほぼ同じ。
追加 100
mm
長さの平行部をも
つダンベル状を追加した。
より分かりやすくするために追加したもの
で,実質的な差異はない。
7
試験方法
7.1
一
般事項
7.1
製造後 5 日以上経過後で測
定することを規定。
追加
受渡当事者間の協定のもと
に時間を短縮してもよいこ
とを追加した。
使用者の利便性を高めるために追加した。
技術的な差異はない。
7.2
試
験環境
−
−
追加
試験環境の温度及び相対湿
度を追加した。
JIS
では,試験環境を追加した。ISO 規格に
は,規定されていないので,ISO へ提案する。
7.3
手
順
4
−
変更
ISO
規格の図 1 を JIS では
図 3 にしたが,技術的に変
更はない。また,図 3 を訂
正した。
ISO
規格では,X 及び Y の記号の説明が入れ
替わっているため,JIS ではこれを訂正した。
ISO
に改正を申し入れる。
6
K 637
6
:
2
009
7
K 6376
:2009
(
Ⅰ)JIS の規定
(
Ⅲ)国際規格の規定
(
Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
箇条番号及
び名称
内容
(
Ⅱ)
国 際 規
格番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(
Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
7
試験方法
(続き)
8 JIS
とほぼ同じ。
追加
試験片のつかみ方の図(図
4
)を追加した。
より分かりやすくするために追加したもの
で,実質的な差異はない。
9
試験報告
書
10 JIS
とほぼ同じ。
追加
試験片の形状及び寸法を追
加した。
JIS
では,どの試験片を用いたかを明確にす
るために追加した。
JIS
と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 21180:2005,MOD
注記 1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記 2 JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
7
K 637
6
:
2
009