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K 6275-1:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 原理······························································································································· 2 

5 圧力センサ法 ··················································································································· 2 

5.1 試験装置 ······················································································································ 2 

5.2 試験片 ························································································································· 3 

5.3 試験ガス ······················································································································ 4 

5.4 試験方法 ······················································································································ 4 

5.5 計算 ···························································································································· 5 

6 ガスクロマトグラフ法 ······································································································· 6 

6.1 試験装置 ······················································································································ 6 

6.2 試験片 ························································································································· 7 

6.3 試験ガス ······················································································································ 7 

6.4 試験方法 ······················································································································ 7 

6.5 計算 ···························································································································· 8 

7 試験結果のまとめ方 ·········································································································· 9 

8 記録······························································································································· 9 

附属書A(参考)遅れ時間からガス拡散係数を求める方法の原理·················································· 10 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本ゴム工業会(JRMA)及び財団法人日本規

格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会

の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

JIS K 6275の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS K 6275-1 第1部:差圧法 

JIS K 6275-2 第2部:等圧法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

JIS 

K 6275-1:2009 

加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−ガス透過性の求め方−

第1部:差圧法 

Rubber, vulcanized or thermoplastic- 

Determination of permeability to gases-Part 1: Differential pressure method 

序文 

この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの差圧法によるガス透過性の求め方について規定した日本工業

規格である。 

なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。 

警告 

この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているものとする。この規格は,その使用に関し

て起こるすべての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責任にお

いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

適用範囲 

この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの,差圧法によるガス透過性の求め方について規定する。透過

したガスの量を測定する方法として,次の2種類がある。 

− 圧力センサ法 ガス透過度,ガス透過係数,ガス拡散係数及びガス溶解度係数を求めることができる。 

− ガスクロマトグラフ法 ガス透過度及びガス透過係数を求めることができる。 

なお,この規格は,国際ゴム硬さ35 IRHD以上の加硫ゴム及び熱可塑性ゴムに適用する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則 

JIS K 6200 ゴム−用語 

JIS K 6250 ゴム−物理試験方法通則 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200によるほか,次による。 

3.1 

ガス透過度 (gas transmission rate) 

試験片を透過する試験ガスの,単位面積,単位時間及び試験片両面間の単位分圧差当たりのモル数。 

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3.2 

ガス透過係数 (gas permeability coefficient) 

試験片を透過する試験ガスの,単位厚さ,単位面積,単位時間及び試験片両面間の単位分圧差当たりの

モル数。 

3.3 

ガス拡散係数 (gas diffusion coefficient) 

単位時間に試験片内のある断面を拡散しながら透過する試験ガスの量を,試験片内部のガス濃度こう

(勾)配で除した値。 

3.4 

ガス溶解度係数 (gas solubility coefficient) 

試験片内部への試験ガス溶解濃度を,試験片界面における試験ガス分圧で除した値。 

3.5 

ガス透過曲線 (gas transmission curve) 

圧力センサ法において,試験開始からガス透過が定常状態に至るまでの,低圧側セルの圧力変化を,時

間軸に対してプロットした曲線(図2参照)。 

原理 

一定温度に維持された試験セルを,試験片を装着することによって高圧側セルと低圧側セルとに分割す

る(図1及び図3参照)。試験ガスを高圧側セルに大気圧又は加圧状態で導入し,低圧側セルとの間に生

じる圧力差によって,試験ガスが試験片内部へ溶解した後,試験片内部の試験ガス濃度こう(勾)配によ

って拡散し,試験片界面から低圧側セルへ放散する。この一連の現象をガス透過という。試験片を透過す

るガス量は,低圧側セルの圧力上昇を測定する圧力センサ法,又は試験ガス量の増加を測定するガスクロ

マトグラフ法によって求めることができる。 

なお,圧力センサ法では,得られたガス透過曲線からガス拡散係数及びガス溶解度係数を求めることも

できる。 

圧力センサ法 

5.1 

試験装置 

試験装置は,試験セル,圧力センサ,試験ガス供給タンク,真空ポンプなどによって構成する。試験装

置の例を図1に示す。 

5.1.1 試験セル 試験セルは,試験片によって分割され,高圧側セル及び低圧側セルで構成する。高圧側

セルは,試験ガスを供給する導入口をもち,低圧側セルには,透過したガスによる圧力変化を検知する圧

力センサを接続する。試験片の装着面は,ガス漏れが起こらないように滑らかで,平らでなければならな

い。試験セルの材質は,用いるガスに対して不活性なものとし,特に,用いるガスを吸収するものであっ

てはならない。試験片と試験セルとを密閉するためにOリングなどのシール材を用いてもよい。シール材

は,ガス透過度が試験する材料に比べて十分に小さく,ガス透過試験の結果に影響を及ぼさないものを用

いる。ガス透過面の直径は,10〜150 mmとし,試料のガス透過度の程度に応じて決める。 

5.1.2 試験片保持具 試験片保持具は,高圧側セルと低圧側セルとの圧力差による試験片の変形を防止す

るために,低圧側セルに装着するものであり,ろ紙,金網など,ガス透過試験の結果に影響を及ぼさない

材質の保持具を用いる。ろ紙を用いる場合には,化学分析で用いる厚さ0.1〜0.3 mmのものを,低圧側セ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ルの深さに応じて装着するのがよい。 

5.1.3 圧力センサ 圧力センサは,各種電子圧力センサなどを用いる。低圧側圧力センサは,低圧側セル

の圧力変化を少なくとも5 Paまで読み取れるものとする。高圧側圧力センサは,試験ガス供給タンクの圧

力を少なくとも100 Paまで測定できるものとする。 

5.1.4 試験ガス供給タンク 試験ガス供給タンクは,高圧側セルに一定の圧力で試験ガスを供給するため

のタンクで,試験ガスの透過による高圧側セルの圧力低下に影響を与えない体積が必要である。 

5.1.5 真空ポンプ 真空ポンプは,試験セルを10 Pa以下の圧力に排気できるものを用いる。 

5.1.6 温度センサ 試験温度を測定するために,試験セルには,温度センサを装着する。センサは,0.1 ℃

まで読み取れるものとする。 

 1 

高圧側セル 

低圧側セル 

試験片 

試験片保持具 

温度センサ 

シール材 

試験ガス供給タンク 

高圧側圧力センサ 

低圧側圧力センサ 

10 試験ガスボンベ 
11 真空ポンプ 
12 ストップバルブ 

13 信号増幅器 
14 減圧弁 
15 データ処理装置 
16 ガス透過面直径 

図1−ガス透過性試験装置(圧力センサ法)の例 

5.2 

試験片 

5.2.1 

試験片の形状及び寸法 

試験片の厚さは,0.1〜2.0 mmとし,均一なシート状試験片を用いる。それ以外の試験片を用いる場合

は,受渡当事者間の協定による。 

試験片は,ガス透過面積より十分に大きく,試験セルを密封できるように装着しなければならない。 

5.2.2 

試験片の採取・作製 

試験片の採取・作製は,JIS K 6250の8.(試験片の採取・作製)による。 

試験片に,異物の混入,気泡,きず,穴又は孔があるものを,試験に用いてはならない。 

5.2.3 

試験片の数 

試験片の数は,3個以上とする。 

5.2.4 

試験片の厚さの測定 

試験片の厚さの測定は,JIS K 6250の10.1(寸法測定)a)(A法)を用いて,透過部分の中央を含む5

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

〜10か所について0.01 mmまで測定し,平均値を求める。1枚の試験片を測定した厚さのばらつきが,厚

さの平均値から10 %を超えるものを用いてはならない。また,それぞれの試験片の厚さの平均値は,す

べての試験片の厚さの平均値から10 %を超えて異なってはならない。 

5.3 

試験ガス 

試験ガスは,単体ガス又は混合ガスを用いる。単体ガスの純度及び混合ガスに用いる各成分ガスの純度

は,体積分率99.5 %以上とする。これに満たない純度のガスを用いる場合は,受渡当事者間の協定による。

混合ガスを用いる場合は,ガスクロマトグラフなどの適切な機器によって,組成を確認したものを用いる。

また,試験ガス中には,試験に影響を及ぼす不純物を含んではならない。 

警告 有毒ガス及び/又は可燃性ガスを使用する場合は,その使用及び回収処理について,必要な措置

をとらなければならない。 

5.4 

試験方法 

5.4.1 

試験条件 

試験条件は,次による。 

a) 試験室の標準温度は,JIS K 6250の6.1(試験室の標準温度)による。 

b) 試験は,標準温度の試験室内で行う。 

c) その他の試験温度で試験を行う場合には,受渡当事者間の協定による。 

なお,試験温度とは,試験片又は試験ガスの温度ではなく,試験セルに装着した温度センサで測定

した温度とする。 

d) 試料及び試験片の保管は,JIS K 6250の7.(試料及び試験片の保管)による。 

e) 試験片の状態調節は,JIS K 6250の9.(試験片の状態調節)による。水分の影響を受けやすい材料を

用いる場合には,塩化カルシウム又はその他の適切な乾燥剤を入れたデシケータ内で,試験温度で48

時間以上乾燥させる。 

5.4.2 

ガス透過面積 

ガス透過面積は,試験セルの内径から算出する。シール材を用いた場合は,内径からガス透過面積を算

出する。また,マスキングをした場合は,ガスが透過する部分の面積を算出する。 

5.4.3 

操作方法 

操作方法は,次による。 

a) 試験片を保持するために,低圧側セルに適切な試験片保持具を装着する。 

b) 試験片の接触面に真空グリスを薄く均一に塗り,その面に試験片をしわ及びたるみが生じないように

装着する。 

c) 試験片の上にシール材を装着し,ガス漏れが生じないように均一な圧力で固定する。 

d) その他の試験温度で測定する場合は,試験セルを試験温度に設定する。 

e) 真空ポンプを作動させ,低圧側セル及び高圧側セルを排気する。吸着ガスを十分に除去する必要があ

るため,ガス透過度の低い試験片は,十分な排気時間を取る。 

注記1 排気時間は,試験片の種類及び状態調節の方法によって異なる。 

f) 

高圧側セル及び低圧側セルの排気を止め,10 Pa以下の圧力に保つ。 

g) 低圧側セルの圧力に変動がある場合は,ガス漏れ又は吸着ガスが残存している可能性があるので,更

にb)〜e) の操作を繰り返す。 

h) 試験ガスを高圧側セルに試験圧力で導入し,高圧側セルの圧力を記録する。試験ガスが高圧側セルか

ら低圧側セルへ透過し,低圧側セルの圧力が上昇し始める。このときの温度を記録する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記2 ガス透過度の計算では,標準状態に換算するため,試験温度を測定しておく必要がある。 

i) 

低圧側セルの圧力を時間に対してプロットし,ガス透過曲線を描く。ガス透過の定常状態を示す直線

部分が確認されるまで測定を続ける(図2参照)。ガス透過曲線は,自動記録した結果から描いたもの

を用いてもよい。 

j) 

ガス透過曲線の直線部分の傾きから,単位時間当たりの低圧側セルの圧力変化(dp/dt)を求める(図

2参照)。 

k) ガス拡散係数を求めるときは,ガス透過曲線の直線部分を外挿し,遅れ時間θを求める(図2参照)。 

図2−ガス透過曲線 

5.5 

計算 

ガス透過度,ガス透過係数,ガス拡散係数及びガス溶解度係数は,次による。 

a) ガス透過度 ガス透過度は,式 (1) によって算出する。 

dt

dp

A

P

T

R

V

GTR

×

×

×

×

=

u

c

 ····························································· (1) 

ここに, GTR: ガス透過度[mol/(m2・s・Pa)] 
 

Vc: 低圧側セルの体積(m3) 

R: 気体定数 8.31[m3・Pa/(K・mol)] 

T: 試験温度(K) 

Pu: 試験ガスの高圧側と低圧側との圧力差(Pa) 

A: ガス透過面積(m2) 

dp/dt: 単位時間当たりの低圧側セルの圧力変化(Pa/s) 

b) ガス透過係数 ガス透過係数は,式 (2) によって算出する。 

h

GTR

Q

×

=

 ············································································· (2) 

ここに, 

Q: ガス透過係数[mol・m/(m2・s・Pa)] 

GTR: ガス透過度[mol/(m2・s・Pa)] 

h: 試験片の平均厚さ(m) 

c) ガス拡散係数 ガス拡散係数は,ガス透過曲線の遅れ時間θ(図2参照)から,式 (3) によって算出

する。 

θ

6

2

h

D=

 ··················································································· (3) 

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ここに, 

D: ガス拡散係数(m2/s) 

θ: 遅れ時間(s) 

h: 試験片の平均厚さ(m) 

注記 式 (3) の算出については,附属書A参照。 

d) ガス溶解度係数 ガス溶解度係数は,式 (4) によって算出する。 

D

Q

S=

 ····················································································· (4) 

ここに, 

S: ガス溶解度係数[mol/(m3・Pa)] 

Q: ガス透過係数[mol・m/(m2・s・Pa)] 

D: ガス拡散係数(m2/s) 

ガスクロマトグラフ法 

6.1 

試験装置 

試験装置は,試験セル,ガスクロマトグラフ,試験ガス調節器,真空ポンプなどによって構成する。試

験装置の例を,図3に示す。 

6.1.1 

試験セル 試験セルは,試験片によって分割され,高圧側セル及び低圧側セルで構成する。高圧側

セルは,試験ガスを供給する導入口をもち,低圧側セルは,計量管を経てガスクロマトグラフに接続して

いる。試験片の装着面は,ガス漏れが起こらないように滑らかで,平らでなければならない。試験セルの

材質は,用いるガスに対して不活性なものとし,特に,用いるガスを吸収するものであってはならない。

試験片と試験セルとを密閉するためにOリングなどのシール材を用いてもよい。シール材は,ガス透過度

が試験する材料に比べて十分に小さく,ガス透過試験の結果に影響を及ぼさないものを用いる。ガス透過

面の直径は,10〜150 mmとし,試料のガス透過度の程度に応じて決める。 

6.1.2 

試験片保持具 試験片保持具は,5.1.2による。 

6.1.3 

ガスクロマトグラフ ガスクロマトグラフの検出器は,熱伝導度検出器 (TCD) を用いたもの,水

素炎イオン化検出器 (FID) を用いたものなどがあり,カラムには,充てんカラム,キャピラリカラムなど

を用いたものがある。検出器及びカラムは,含まれている試験ガス及び必要とする感度に応じ,適切なも

のを用いる。どの形式のガスクロマトグラフであっても,低圧側セルに透過したガス量を,圧力換算で少

なくとも5 Paまで測定できるものとする。 

ガスクロマトグラフに用いるキャリヤガスは,JIS K 0114の6.[検出器によるガスの使い分け(キャリ

ヤーガス,付加ガス,燃料ガス及び助燃ガス)]による。 

6.1.4 

試験ガス調節器 試験ガス調節器は,試験ガスを試験に必要な圧力及び流量に調節し,一定に保持

できる機能をもつものとする。流量計は,少なくとも±3 %の精度のものを用いる。 

6.1.5 

真空ポンプ 真空ポンプは,5.1.5による。 

6.1.6 

温度センサ 温度センサは,5.1.6による。 

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 1 

高圧側セル 

低圧側セル 

試験片 

試験片保持具 

温度センサ 

シール材 

計量管 

流路切替バルブ 

キャリヤガス 

10 試験ガスボンベ 
11 真空ポンプ 
12 ストップバルブ 

13 ガスクロマトグラフ 
14 試験ガス調節器 
15 データ処理装置 
16 ガス透過面直径 

図3−ガス透過性試験装置(ガスクロマトグラフ法)の例 

6.2 

試験片 

6.2.1 

試験片の形状及び寸法 

試験片の形状及び寸法は,5.2.1による。 

6.2.2 

試験片の採取・作製 

試験片の採取・作製は,5.2.2による。 

6.2.3 

試験片の数 

試験片の数は,5.2.3による。 

6.2.4 

試験片の厚さの測定 

試験片の厚さの測定は,5.2.4による。 

6.3 

試験ガス 

試験ガスは,5.3による。 

6.4 

試験方法 

6.4.1 

試験条件 

試験条件は,5.4.1による。 

なお,試験ガス及びキャリヤガスの圧力は,大気圧を標準とする。 

6.4.2 

ガス透過面積 

ガス透過面積の算出は,5.4.2による。 

6.4.3 

検量線 

透過したガスの濃度を定量化するため,JIS K 0114の11.(定量分析)に従って検量線を作成する。検量

線は,試験ガスの予想濃度範囲を包含しなければならない。また,検量線測定は,試験片の測定と同じ条

件で実施するものとする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.4.4 

操作方法 

操作方法は,次による。 

a) 試験片を保持するために,低圧側セルに適切な試験片保持具を装着する。 

b) 試験セルの試験片接触面に真空グリスを薄く均一に塗り,その面に試験片をしわ及びたるみが生じな

いように装着する。 

c) 試験片の上にシール材を装着し,ガス漏れが生じないように均一な圧力で固定する。 

d) その他の温度で試験する場合は,試験セルを試験温度に設定する。 

e) 真空ポンプを作動させ,低圧側セル及び高圧側セルを排気する。吸着ガスを十分に除去する必要があ

るため,ガス透過度の低い試験片は,十分な排気時間を取る。 

注記 排気時間は,試験片の種類及び状態調節の方法によって異なる。 

f) 

高圧側セルの排気を止め,試験ガス調節器から試験ガスを供給し,高圧側セルを一定圧力に保つ。試

験ガスが,高圧側セルから低圧側セルへ透過し始める。 

g) 低圧側セルの流路を排気系から計量管(サンプリングループ)へ切り替え,透過した試験ガスを一定

時間(t),計量管にため込む。 

h) 計量管を低圧側セルから分離し,ためた試験ガスをキャリヤガスでガスクロマトグラフに導入し,試

験ガスの量(Dv)を測定する。このときの試験セルの温度を記録する。 

i) 

定常状態を確認するため,g) 及びh) の操作を繰り返す。ため込み時間と試験ガスの測定量とが比例

関係にある場合,定常状態と判断する。 

j) 

低圧側セルを排気するときに,計量管中に存在する透過試験ガス量(ブランク量Db)は,計量管の前

後のバルブを同時に閉じ,計量管中に残った試験ガスを測定して求める。 

6.5 

計算 

ガス透過度及びガス透過係数は,次による。 

a) ガス透過度 ガス透過度は,式 (5) によって算出する。 

(

)

p

t

A

T

k

D

D

T

GTR

×

×

×

×

×

×

=

7

022

.0

b

v

0

 ························································ (5) 

ここに, 

GTR: ガス透過度[mol/(m2・s・Pa)] 

T: 試験温度(K) 

T0: 標準状態温度 273.15(K) 

t: 透過時間(s) 

Db: 透過試験ガスのブランク量(m3) 

Dv: 透過試験ガスの測定量(m3) 

Δp: 試験ガスの高圧側と低圧側との圧力差(Pa) 

A: ガス透過面積(m2) 

k: 計量管体積から低圧側全体積を求める装置定数 

0.022 7: 標準状態における1 molの気体の体積(m3/mol) 

注記 従来,1 molの気体の体積は,22.4 L(0.022 4 m3)として知られているが,これは1 気圧(atm)

下の値である。SI単位系の0.1 MPa(1 bar)下では22.7 L(0.022 7 m3)となる。 

b) ガス透過係数 ガス透過係数は,式 (6) によって算出する。 

h

GTR

Q

×

=

 ············································································· (6) 

ここに, 

Q: ガス透過係数[mol・m/(m2・s・Pa)] 

GTR: ガス透過度[mol/(m2・s・Pa)] 

h: 試験片の平均厚さ(m) 

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試験結果のまとめ方 

試験結果は,それぞれの試験片によって得られた値の平均値を,有効数字3けたで表す。 

記録 

試験報告書には,次の事項を記録する。 

a) この規格の番号及び試験の種類(圧力センサ法,ガスクロマトグラフ法) 

b) 試験片の詳細 

1) 試験片の形状,寸法(厚さ),履歴などの詳細 

2) 試料の詳細及び成形方法(加硫条件など) 

3) 試験片の採取・作製方法 

c) 試験の詳細 

1) 試験温度 

2) 試験ガスの種類,組成及び純度 

3) 高圧側の試験ガス圧力 

4) ガス透過面積 

d) 試験結果 

1) 試験片の数 

2) ガス透過度及びガス透過係数の平均値 

3) ガス拡散係数及びガス溶解度係数を算出したときは,その平均値 

e) 試験年月日 

f) 

その他必要事項 

10 

K 6275-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

遅れ時間からガス拡散係数を求める方法の原理 

A.1 趣旨 

圧力センサ法では,試験ガスを導入して測定を開始してから,ガス透過度が定常状態になるまでの遅れ

時間からガス拡散係数を求めることができる。この非定常状態及び定常状態は,拡散の微分方程式で記述

でき,境界条件を用いて解くと,最終的にガスの移動量を求める式が得られ,更に,遅れ時間と拡散係数

との関係式が得られる。次に,その誘導過程を記載し,理解の参考とする。 

A.2 原理 

膜中に気体が全く存在しない状態で気体が接触したとき,気体が膜を横断して他の面に達し,膜の反対

側に出て行き,定常状態に達するまでには,ある時間を要する。この非定常状態から始まって定常状態に

至る膜の透過式は,フィックの第2法則を,非定常状態及び定常状態を示す境界条件を用いて,解いて得

られる。第2法則は,非定常状態拡散,すなわち,拡散における濃度が時間に関して変わるときに使われ,

濃度の時間変化dc/dtは拡散距離の2次微分d 2c/dx2の関数として,次の式のように表される。 

2

2

dx

c

d

D

dt

dc=

ここに, 

c: 移動する気体の濃度 

D: 拡散係数 

t: 時間 

x: 膜中の距離 

拡散係数が,膜内の気体の濃度に依存しないと仮定し,境界条件を 

すべてのtで,x=0においてc=c1 

すべてのtで,x=lにおいてc=0 

t=0で,cx=0 

t=∞で,dc/dt=0 

とおいて解く。 

ここに, 

l: 膜の厚さ 

c1: 膜の入口境界面上の気体の濃度 

cx: 膜中距離xの場所での気体の濃度 

注記 本体では,膜の厚さはhで示しているが,ここではlとしている。 

解は,次の式で与えられる。 

×

×

×

×

×

×

=

∑∞

=

=

2

2

2

2

1

1

1

x

π

exp

π

sin

1

π

2

l

Dt

n

l

x

n

n

c

l

x

c

c

c

n

l

n

この式から(dc/dx)x=lを求め,次いで時間t=0からt=tまで積分すると,透過面積(A)の膜を通しての

気体の移動量(Q)が得られる。 

l

x

t

t

t

dx

dc

A

D

Q

=

=

=∫

×

=

0

background image

11 

K 6275-1:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

()

×

×

×

+

=

=

=

n

l

n

n

l

Dt

n

n

D

l

c

l

t

c

DA

Q

2

2

2

2

2

1

1

π

exp

1

π

12

1

6

気体の膜への溶解度は,ヘンリーの法則に従うと仮定すると,膜の入口境界面上での気体濃度(c1)は,

溶解度係数(S)と圧力(p1)との積で表される。 

1

1

p

S

c

×

=

したがって, 

()

×

×

×

+

=

=

=

n

l

n

n

l

Dt

n

n

D

l

l

t

DASp

Q

2

2

2

2

2

1

π

exp

1

π

12

1

6

tが十分に大きい場合に,上の式は, 

=

=

D

l

t

p

l

DAS

D

l

l

t

DASp

Q

6

6

2

1

1

となる。 

t=0で,Q=0であるから,遅れ時間をθとすると, 

0

6

2

=

−D

l

θ

したがって, 

θ

6

2l

D=

である。 

参考文献 仲川 勤,化学 One Point 11 膜のはたらき−気体透過膜を中心に−,共立出版株式会社,1985