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K 6273:2018  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験の種類 ······················································································································ 2 

5 定伸長引張永久ひずみ試験 ································································································· 3 

5.1 試験装置 ······················································································································ 3 

5.2 試験装置の校正 ············································································································· 3 

5.3 試験片 ························································································································· 3 

5.4 試験方法 ······················································································································ 5 

5.5 定伸長引張永久ひずみの計算 ··························································································· 6 

5.6 試験結果のまとめ方 ······································································································· 6 

5.7 試験報告書 ··················································································································· 7 

6 定荷重引張永久ひずみ試験 ································································································· 7 

6.1 試験装置 ······················································································································ 7 

6.2 試験装置の校正 ············································································································· 8 

6.3 試験片 ························································································································· 8 

6.4 試験方法 ······················································································································ 9 

6.5 計算 ···························································································································· 9 

6.6 試験結果のまとめ方 ······································································································ 10 

6.7 試験報告書 ·················································································································· 10 

附属書A(規定)試験装置の校正 ··························································································· 11 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

ゴム工業会(JRMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で

ある。これによって,JIS K 6273:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本工業規格          JIS 

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加硫ゴム及び熱可塑性ゴム− 

引張永久ひずみ,伸び率及びクリープ率の求め方 

Rubber, vulcanized or thermoplastic- 

Determination of tension set, elongation and creep 

序文 

この規格は,2013年に第7版として発行されたISO 2285を基とし,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの一定の伸長率の下における引張永久ひずみを,試験室の標準

温度又は規定する温度で求める方法,並びに定荷重の下における引張永久ひずみ,伸び率及びクリープ率

を,試験室の標準温度で求める方法について規定する。 

また,この規格は,国際ゴム硬さが20 IRHD〜94 IRHDの加硫ゴム及び熱可塑性ゴムに適用する。 

なお,この試験方法は,クリープ率の小さな試料の評価には適用できない。 

注記1 国際ゴム硬さ20 IRHD〜94 IRHDは,デュロメータ硬さA10〜A90にほぼ相当する。 

注記2 クリープの小さな試料の評価及び製品設計のための試験として,圧縮又はせん断によるクリ

ープ率の求め方がISO 8013に規定されている。 

注記3 一定の荷重試験は,主に厚さの薄い製品における加硫状態の測定及び品質管理に用いられる。 

一般的に加硫状態又は架橋度の増加は,永久ひずみ,クリープ率及び伸び率の減少に影響

する。 

注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 2285:2013,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tension set under constant 

elongation, and of tension set, elongation and creep under constant tensile load(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

警告1 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。この規格は,

その使用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の

利用者は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

警告2 この規格で規定している試験を行う上で,使用する物質,生成する物質及び廃棄物が環境に

及ぼす有害性を考慮し,取扱い及び廃棄を含む全ての行為に関して,これらに関連する法令・

規制要求事項に従う。 

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引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6200 ゴム−用語 

JIS K 6250 ゴム−物理試験方法通則 

注記 対応国際規格:ISO 23529,Rubber−General procedures for preparing and conditioning test pieces 

for physical test methods 

JIS K 6251 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方 

JIS K 6257 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−熱老化特性の求め方 

注記 対応国際規格:ISO 188,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Accelerated ageing and heat 

resistance tests 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

ISO 8013,Rubber, vulcanized−Determination of creep in compression or shear 

ISO 18899,Rubber−Guide to the calibration of test equipment 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200及びISO 8013によるほか,次による。 

3.1 

定伸長引張永久ひずみ(tension set at constant elongation) 

試験片を規定の試験時間,規定の伸びに伸長した後,自由に収縮させ,収縮した後の長さと伸長する前

の長さとの差を,伸長した後の長さと伸長する前の長さとの差で除したもの。 

注記 百分率(%)で表す。 

3.2 

定荷重引張永久ひずみ(tension set at constant load) 

試験片を規定の試験時間,規定の荷重で伸長した後,自由に収縮させ,収縮した後の長さと荷重を与え

る前の長さとの差を,荷重を与える前の長さで除したもの。 

注記 百分率(%)で表す。 

3.3 

荷重(loading) 

試験片に静的に(時間とともに変化しない)作用する力又はひずみを試験片に与える力。 

3.4 

クリープ率(creep) 

規定の荷重を与えたとき,規定の試験時間後にクリープによる伸びの増加分を,試験前の伸びで除した

もの。 

注記1 百分率(%)で表す。 

注記2 “クリープ”は,現象を表すときに用いられる。 

試験の種類 

試験の種類は,次の2種類とする。 

a) 定伸長引張永久ひずみ試験 定伸長下で,一定時間の引張力を与えた後の寸法変化を,試験室の標準

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温度又は規定する温度で求める方法。 

b) 定荷重引張永久ひずみ試験 定荷重下で,一定時間の引張力を与えた後の寸法変化を,試験室の標準

温度で求める方法。 

定伸長引張永久ひずみ試験 

5.1 

試験装置 

試験装置は,次による。 

5.1.1 

引張ひずみ保持具 引張ひずみ保持具は,一対の試験片取付部を備え,装着した試験片に規定の伸

びを与え,保持できるものとする。引張ひずみ保持具の試験片取付部は,通常一方が固定され,他方が可

動式とする。 

なお,引張ひずみ保持具には,試験片の伸長しすぎを防止するための目盛又は停止装置を備えることが

望ましい。短冊状試験片及びI字状試験片には自動締付け式クランプを用い,リング状試験片には,直径

約10 mm,幅約5 mmの自由に回転できるプーリを用いる。 

引張ひずみ保持具全体は,恒温槽に入れたとき速やかに規定の温度に達するようにできるだけ小形軽量

で,恒温槽内に装着したとき,試験片の標線間部分が槽内の空気の流れに対して直角になるように,工夫

を施したものとする。 

仕様を満たせば,多数掛けの引張りジグを用いてもよい。 

5.1.2 

恒温槽 恒温槽は,試験を標準試験温度より高い温度で行うときに用い,JIS K 6257に規定する試

験槽を用いる。 

5.2 

試験装置の校正 

試験装置の校正は,附属書Aによる。 

5.3 

試験片 

5.3.1 

試験片の形状及び寸法 

試験片は,短冊状試験片,I字状試験片又はリング状試験片のいずれかを選択し,その形状及び寸法は,

次による。 

a) 短冊状試験片 短冊状試験片は,厚さ(2.0±0.2) mmのシートから打ち抜いたもので,幅は2 mm〜10 

mmで,できれば6 mmが望ましい。試験片長さは,選択した標線間距離及び引張ひずみ保持具の形

によって決めればよい。JIS K 6251に規定するダンベル状試験片を用いてもよい。 

b) I字状試験片 I字状試験片は,厚さ(2.0±0.2) mmのシートから打ち抜いたもので,その形状及び寸法

を,図1に示す。幅の狭い部分は,25.0 mm〜50.0 mmの長さとする。つかみ部の幅及び長さは,約

6.5 mmとする。 

background image

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単位 mm 

図1−I字状試験片の形状及び寸法 

c) リング状試験片 リング状試験片は,次の大形リング状試験片又は小形リング状試験片のいずれかを

選択する。リング状試験片は,厚さ(2.0±0.2) mmのシート[大形の場合は厚さ(4.0±0.2) mmのシート]

から打ち抜く。 

1) 大形リング状試験片(JIS K 6251のリング状A号形試験片と同じ) 

厚さ:(4.0±0.2) mm 

外径:(52.6±0.2) mm 

内径:(44.6±0.2) mm 

2) 小形リング状試験片 

厚さ:(2.0±0.2) mm 

外径:(33.5±0.2) mm 

内径:(29.5±0.2) mm 

5.3.2 

試験片の採取・作製 

試験片の採取・作製は,JIS K 6250の8.(試験片の採取・作製)による。 

5.3.3 

試験片の数 

試験片の数は,列理方向で採取したものを3個以上とする。ただし,ゴムの列理(グレーン)の影響を

調べるときは,互いに90度の角度の2方向(列理の方向に対し平行及び直角)でそれぞれ3個以上の試験

片を採取する。 

5.3.4 

試験片の寸法の測定 

試験片の厚さは,JIS K 6250の10.(寸法測定方法)によって,打ち抜く前のシートの厚さを測定する。

また,試験片の幅は,打ち抜き刃の幅を用いる。 

5.3.5 

標線間距離の設定 

標線間距離は,各試験片の形状ごとに次のように設定する。標線は,試験片に影響を与えず,試験温度

に耐えられる適切なインクを用いて,試験片に正確かつ鮮明に付ける。 

a) 短冊状試験片 短冊状試験片は,伸び測定用の標線を試験片の平行部分に,その中央部を中心として

付ける。試験片の標線間距離は,20.0 mm〜50.0 mmとする。 

b) I字状試験片 I字状試験片は,標線を付けず,幅の狭い部分の長さを標線間距離とし,50 mmが望ま

しい。又は,幅の狭い部分に25.0 mm〜50.0 mm,望ましくは50.0 mmの標線を付ける。 

c) リング状試験片 リング状試験片は,試験片の内径をそのまま標線間距離とする。もう一つの方法と

して大形リング状試験片の場合は,深さ3.5 mm,幅20 mmの溝加工されたジグを,小形リング状試

25.0〜50.0 

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験片の場合は,深さ1.75 mm,幅10 mmの溝加工されたジグを用い,リング状試験片を加工されたジ

グの溝に沿って直線状に伸ばして挿入し,伸び測定用の標線を付けてもよい。この場合,大形リング

状試験片は,40 mm,小形リング状試験片は,25 mmの間隔の標線を付けるとよい。 

5.4 

試験方法 

5.4.1 

試験条件 

試験条件は,次による。 

a) 試験室の標準温度 試験室の標準温度は,JIS K 6250の6.(試験室の標準条件)による。 

b) 試料及び試験片の保管 試料及び試験片の保管は,JIS K 6250の7.(試料及び試験片の保管)による。 

c) 試験片の状態調節 試験片の状態調節は,JIS K 6250の9.(試験片の状態調節)による。 

d) 試験温度 試験温度は,JIS K 6250の11.2.1(標準試験温度及び標準試験湿度)による。その他の温

度で試験を行う場合は,JIS K 6250の11.2.2(その他の試験温度)に規定する室温以上の温度から選

択する。特に指定がない場合は,(70±1) ℃を用いる。 

e) 試験時間 試験時間は,24

0
2

−時間,72

0
2

−時間又は168

0
2

−時間から選択する。更に長い時間が必要な場

合は,JIS K 6250の11.(試験条件)から選択する。 

一般的には試験開始時間は,試験片に規定の伸びを与えてから30分間経過後とする。 

f) 

試験片に与える伸び 試験片に与える伸びは,次から選択する。 

(15.0±1.5) % 

(20.0±2.0) % 

(25.0±2.5) % 

(50.0±5.0) % 

(75.0±7.5) % 

(100±10) % 

(200±10) % 

(300±10) % 

伸びは,加硫ゴムに関しては,特に指定がない場合は,(100±10) %を用いる。伸びは,ゴムの種類

及び製品がどのように使用されるかを考慮して選択する。加硫ゴムに関しては,試験温度における切

断時伸びの1/3以下とする。降伏点をもつ熱可塑性ゴムに関しては,降伏点以下の伸びで試験し,特

に指定がない場合は,(20.0±2.0) %の伸びを用いる。 

伸びλは,式(1)によって算出する。 

(

)100

0

0

1

×

=

L

L

L

λ

 ······································································· (1) 

ここに, 

λ: 伸び(%) 

L0: 試験前の標線間距離(mm) 

L1: 伸長した後の標線間距離(mm) 

5.4.2 

操作方法 

操作方法は,次による。 

a) 標線間距離の測定 試験片の試験前の標線間距離(L0)を,試験室の標準温度で0.1 mmまで読み取る。 

直線状の標線間距離を測定する場合及びリング状試験片の内径を測定する場合(例えば,コーンゲ

ージを用いる場合),0.1 mmまで読み取る。 

b) 伸びの与え方 試験室の標準温度で,試験片を引張ひずみ保持具に取り付け,規定の伸びに相当する

background image

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長さに伸長し,保持する。このとき,規定の伸びを超えた伸長を与えないように注意する。リング状

試験片の場合,プーリを手で回転させ伸びの均一化を図る。リング状試験片で伸び測定用の標線を付

けて行う場合,標線間がプーリ間の中央部にくるようにする。 

規定の伸びに伸長したまま,10分間〜20分間経過後に,標線間距離(L1)を0.1 mmまで読み取り,

5.4.1 f)で規定する伸びの許容範囲にあることを確認する。許容範囲を外れた場合,その試験片を廃棄

し,新しい試験片を用いてやり直す。リング状試験片の内径を標線間距離として用いるとき,与える

伸びは,プーリの直径とプーリ間との軸間距離から計算する[JIS K 6251の15.2(リング状試験片)

参照]。 

c) 標準試験温度における試験 規定の伸びに伸長した試験片を,規定の試験時間,標準試験温度に維持

する。その後,直ちに収縮させ,引張ひずみ保持具から試験片を取り外し,木製などの平たんな非粘

着性の台上に試験片を30

3
0

+分間静置し,試験片の標線間距離(L2)を0.1 mmまで読み取る。 

d) その他の試験温度における試験 その他の試験温度における試験は,次の方法による。規定の伸びに

伸長した試験片を,20分間〜30分間経過後に,あらかじめ試験温度に設定された恒温槽内に規定の試

験時間維持する。その後の操作方法は,次の3種類のいずれかによる。特に指定がない場合は,A法

を用いる。 

1) A法 試験温度に規定の試験時間だけ維持した後,引張ひずみ保持具を恒温槽から取り出し,試験

片を引張ひずみ保持具から直ちに取り外し,木製などの平たんな非粘着性の台上に,標準試験温度

で30

3
0

+分間静置し,試験片の標線間距離(L2)を0.1 mmまで読み取る。 

2) B法 試験温度に規定の試験時間維持した後,恒温槽から引張ひずみ保持具を取り出し,試験片を

伸長した状態のままにして標準試験温度で30

3
0

+分間静置した後,試験片を引張ひずみ保持具から取

り外し,木製などの平たんな非粘着性の台上に標準試験温度で30

3
0

+分間静置し,試験片の標線間距

離(L2)を0.1 mmまで読み取る。 

3) C法 試験温度に規定の試験時間維持した後,試験温度に保持された恒温槽内で試験片の引張力を

取り除き,恒温槽内に30

3
0

+分間静置する。引張ひずみ保持具を恒温槽から取り出し,試験片を取り

外し,木製などの平たんな非粘着性の台上に標準試験温度で30

3
0

+分間静置し,試験片の標線間距離

(L2)を0.1 mmまで読み取る。 

5.5 

定伸長引張永久ひずみの計算 

定伸長引張永久ひずみE1は,式(2)によって算出する。 

(

)

(

)100

0

1

0

2

1

×

=

L

L

L

L

E

 ····································································· (2) 

ここに, 

E1: 定伸長引張永久ひずみ(%) 

L0: 試験前の標線間距離(mm) 

L1: 伸長した後の標線間距離(mm) 

L2: 収縮した後の標線間距離(mm) 

5.6 

試験結果のまとめ方 

試験結果のまとめ方は,3個以上の試験片によって得られた測定値の平均値を,JIS Z 8401によって,

丸めの幅1で表す。 

なお,丸めた平均値に対して,個々の測定値が10 %以内で一致しない場合は,更に3個以上の試験片で

繰り返し実験を行い,全試験片の中央値を求める。 

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5.7 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記録する。 

a) 試料及び試験片の詳細 

1) 試料の明細,履歴など 

2) 列理が関係する試験片は,打抜きの方向 

3) 試験片の種類及び寸法 

4) 試験片作製方法(成形,試料からの切取りなど) 

5) 試験片作製方法の詳細(研磨など) 

6) 試験片の数 

b) 適用規格番号 

c) 試験の詳細 

1) 状態調節の時間及び温度 

2) 与えた伸び 

3) 試験時間及び温度 

4) その他の試験温度における,操作方法(A法,B法又はC法) 

5) その他この規定とは異なる試験条件及び操作方法 

d) 試験結果 

1) 試験結果の平均値又は中央値 

2) 必要な場合,個々の値 

e) 試験年月日 

f) 

その他必要事項 

定荷重引張永久ひずみ試験 

6.1 

試験装置 

試験装置は,試験片の一方を固定する固定つかみ具,他方を固定し荷重を与えるためのおもりをつるす

可動つかみ具からなる。同等の荷重を与える別の機構のものでもよい。試験装置の例を,図2に示す。 

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固定つかみ具 

試験片 

可動つかみ具 

おもり 

図2−試験装置の例 

6.2 

試験装置の校正 

試験装置の校正は,附属書Aによる。 

6.3 

試験片 

6.3.1 

試験片の形状及び寸法 

試験片は,厚さ(2.0±0.2) mmとし,その形状及び寸法を,図3に示す。 

単位 mm 

図3−定荷重用試験片の形状及び寸法 

6.3.2 

試験片の採取・作製 

試験片の採取・作製は,JIS K 6250の8.(試験片の採取・作製)による。 

6.3.3 

試験片の数 

試験片の数は,列理方向で採取したものを3個以上とする。ただし,ゴムの列理(グレーン)の影響を

調べるときは,互いに90度の角度の2方向(列理の方向に対し平行及び直角)でそれぞれ3個以上の試験

4

.0

±

0

.2

2

.0

±

0

.2

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片を採取する。 

6.3.4 

試験片の寸法の測定 

試験片の厚さは,JIS K 6250の10.(寸法測定方法)によって,打ち抜く前のシートの厚さを測定する。

また,試験片の幅は,打ち抜き刃の幅を用いる。 

6.3.5 

標線間距離の設定 

標線間距離は,(90.0±0.5) mmとする。標線は,試験片に影響を与えず,試験温度に耐えられる適切な

インクを用いて,試験片の平行部分にその中央部を中心として,正確かつ鮮明に付ける。 

6.4 

試験方法 

6.4.1 

試験条件 

試験条件は,次による。 

a) 試験室の標準温度 試験室の標準温度は,JIS K 6250の6.(試験室の標準条件)による。 

b) 試料及び試験片の保管 試料及び試験片の保管は,JIS K 6250の7.(試料及び試験片の保管)による。 

c) 試験片の状態調節 試験片の状態調節は,JIS K 6250の9.(試験片の状態調節)による。 

d) 試験温度 試験温度は,JIS K 6250の11.2.1(標準試験温度及び標準試験湿度)による。 

e) 試験片に与える荷重 試験片に与える荷重は,試験片の試験前の断面積に基づいて応力(2.5±0.1) MPa

を試験片に衝撃なしで与えるものとする。2.5 MPaの応力が大きすぎる場合には,1.0 MPaの応力を用

いてもよい。 

6.4.2 

操作方法 

操作方法は,次による。 

a) 標線間距離の測定 試験片の試験前の標線間距離(L0)を,試験室の標準温度で0.1 mmまで読み取る。 

b) 規定した応力の付加 試験片を試験装置に取り付け,試験片の試験前の断面積に基づいて,6.4.1 e) に

規定する応力になる荷重を試験片に与える。 

c) 定荷重伸び率を求めるための測定 試験片に荷重を与えたときから(30±2)秒間経過後に,標線間距離

(L3)を0.1 mmまで読み取る。 

d) クリープ率を求めるための測定 試験片に荷重を与えたときから(60±1)分間経過後に,標線間距離 

(L4)を0.1 mmまで読み取る。 

e) 定荷重引張永久ひずみを求めるための測定 クリープ率の測定後,試験装置から取り外し収縮させた

試験片を,木製などの平たんな非粘着性の台上に(10±1)分間,試験室の標準温度で静置し,標線間距

離(L5)を0.1 mmまで読み取る。 

6.5 

計算 

計算は,次による。 

a) 定荷重伸び率 定荷重伸び率E2は,式(3)によって算出する。 

(

)100

0

0

3

2

×

=

L

L

L

E

····································································· (3) 

ここに, 

E2: 定荷重伸び率(%) 

L0: 試験前の標線間距離(mm) 

L3: 荷重を与えたときから,30秒間経過後の標線間距離(mm) 

b) クリープ率 クリープ率E3は,式(4)によって算出する。 

(

)

(

)100

0

3

3

4

3

×

=

L

L

L

L

E

 ····································································· (4) 

10 

K 6273:2018  

ここに, 

E3: クリープ率(%) 

L0: 試験前の標線間距離(mm) 

L3: 荷重を与えたときから,30秒間経過後の標線間距離(mm) 

L4: 荷重を与えたときから,60分間経過後の標線間距離(mm) 

c) 定荷重引張永久ひずみ 定荷重引張永久ひずみE4は,式(5)によって算出する。 

(

)100

0

0

5

4

×

=

L

L

L

E

····································································· (5) 

ここに, 

E4: 定荷重引張永久ひずみ(%) 

L0: 試験前の標線間距離(mm) 

L5: 長さL4の測定に続いて,試験片を試験装置から取り外し,収

縮させてから10分間経過後の標線間距離(mm) 

6.6 

試験結果のまとめ方 

試験結果のまとめ方は,3個以上の試験片によって得られた測定値の平均値を,JIS Z 8401によって,

丸めの幅1で表す。 

なお,丸めた平均値に対して,個々の測定値が10 %以内で一致しない場合は,更に3個以上の試験片で

繰り返し実験を行い,全試験片の中央値を求める。 

6.7 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記録する。 

a) 試料及び試験片の詳細 

1) 試料の明細,履歴など 

2) 列理が関係する試験片は,打抜きの方向 

3) 試験片の寸法 

4) 試験片作製方法(成形,試料からの切取りなど) 

5) 試験片作製方法の詳細(研磨など) 

6) 試験片の数 

b) 適用規格番号 

c) 試験の詳細 

1) 状態調節の時間及び温度 

2) 与えた荷重 

3) 試験室温度 

4) その他この規定とは異なる試験条件及び操作方法 

d) 試験結果 

1) 各試験結果の平均値又は中央値 

2) 必要な場合,個々の値 

e) 試験年月日 

f) 

その他必要事項 

11 

K 6273:2018  

附属書A 

(規定) 

試験装置の校正 

A.1 事前点検 

試験装置の校正を行うときは,事前に次の事項を行う。 

− 校正する項目の現状を,校正報告書又は証明書で記録された点検結果によって確認する。 

− 校正が,納入時の状態の校正なのか,異常又は欠陥を修理した後の校正なのかを記録する。 

− 試験装置が,規定した測定値を含め,要求試験精度を満たしていて,校正する必要がない場合も,そ

の旨を確認する。 

− 要求測定値が変化しやすい傾向にある場合は,定期点検の必要性を校正方法に記載する。 

A.2 試験装置の校正計画 

試験装置の校正及び点検は,この規格の要求事項である。校正頻度については,特に規定がない場合,

ISO 18899の指針を参考にして各規格使用者の自由裁量で決めてもよい。 

表A.1に,規定する校正項目,必要条件などを含む校正計画を示す。校正項目及び測定値は,試験装置

本体,装置の一部又は補助的な装置にも適用する。 

校正には,ISO 18899,その他の発行文書,又は試験方法に詳細に規定された手順を用いてもよい(ISO 

18899よりも詳細に規定した校正方法が記載されている場合には,それを用いる。)。 

それぞれの項目の校正頻度は,記号で示し,各記号の意味は,次による。 

S ISO 18899による標準的な校正頻度 

U 使用の都度 

background image

12 

K 6273:2018  

表A.1−校正計画 

校正項目 

必要条件 

ISO 18899の箇条番号 

校正頻度a) 

注意事項 

引張ひずみ保持具 

試験片取付部は,一方が固定
され,他方が可動式とする。 

− 

測定しないが,
確認する。 

試験片取付具 

短冊状試験片及びI字状試験
片は,自動締付け式クランプ
を用いる。 

− 

測定しないが,
確認する。 

リング状試験片は,直径約10 
mm,幅約5 mmのプーリを
用いる。 

− 

測定しないが,
確認する。 

恒温槽 

JIS K 6257による。 

− 

− 

− 

長さ測定装置 

0.1 mmまで測定できるもの。 

15.1 

(Length-measuring instruments)

(1回/年) 

− 

幅測定装置 

0.1 mmまで測定できるもの。 

15.1 

(Length-measuring instruments)

(1回/年) 

− 

厚さ測定装置 

0.1 mmまで測定できるもの。 

15.1 

(Length-measuring instruments)

(1回/年) 

− 

コーンゲージ 

0.1 mmまで測定できるもの。 

15.2 

(Linear dimensions) 

(1回/年) 

リング状試験
片に適用 

溝加工されたジグ 

− 

測定しないが,
確認する。 

深さ3.5 mm,幅20 mm 

大形リング状 
試験片に適用 

深さ1.75 mm,幅10 mm 

小形リング状 
試験片に適用 

注a) 括弧内の校正頻度は,例である。 

表A.1に記載以外の項目を次に示す。これらもISO 18899に従って校正する。 

a) タイマ 

b) 試験温度監視用温度計 

background image

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS K 6273:2018 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張永久ひずみ,伸び率及びクリ
ープ率の求め方 

ISO 2285:2013,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tension set under 
constant elongation, and of tension set, elongation and creep under constant tensile load 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

3 用語及び
定義 

追加 

ISO規格にはないが,JISとして
必要な箇条のため,JIS K 6200を
引用して追加した。 

分かりやすくするための追加で,技術的
差異はない。 

3.3 荷重 

追加 

ISO規格では,規定していない。 分かりやすくするための追加で,技術的

差異はない。 

4 試験の種
類 

− 

追加 

ISO規格にはないが,JISとして
必要な箇条のため,追加した。 

分かりやすくするための追加で,技術的
差異はない。 

5 定伸長引
張永久ひず
み試験 

5.3.1 試験片の形状及
び寸法 

試験片 

追加 

ISO規格は,ダンベル状試験片を
規定していない。 

ダンベル状試験片を追加し,JIS 3号ダン
ベルでの測定も可能なように標線間距離
を20.0 mm〜50.0 mmとした。ISO規格の
次回見直し時に提案する。 

5.3.4 試験片の寸法の
測定 

試験片 

追加 

ISO規格では,規定していない。 分かりやすくするための追加で,技術的

差異はない。 

5.3.5 標線間距離の設
定 

6.4 

標線 

変更 

ISO規格では,ダンベル状試験片
を規定していない。 

JIS 3号ダンベルでの測定も可能なように
標線間距離を20 mmとした。ISO規格の
次回見直し時に提案する。 

5.5 定伸長引張永久ひ
ずみの計算 

結果の表示 

追加 

ISO規格では,計算の箇条を設け
ていない。 

計算方法を式で明確にするために,計算
の箇条を設け,式の記号を変更した。技
術的差異はない。 

5.6 試験結果のまとめ
方 

結果の表示 

追加 

JIS Z 8401を引用して,数値の丸
め方を追加した。 

数値の丸め方を明確にするため,JISを引
用したので,技術的な差は軽微である。 

5.7 試験報告書 

− 

追加 

その他必要事項を追加した。 

分かりやすくするための追加で,技術的
差異はない。 

3

K

 6

2

7

3

2

0

1

8

background image

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6 定荷重引
張永久ひず
み試験 

6.3.4 試験片の寸法の
測定 

試験片 

追加 

ISO規格では,規定していない。 分かりやすくするための追加で,技術的

差異はない。 

6.5 計算 

結果の表示 

追加 

ISO規格では,計算の箇条を設け
ていない。 

計算方法を式で明確にするために,計算
の箇条を設け,式の記号を変更した。技
術的差異はない。 

6.6 試験結果のまとめ
方 

結果の表示 

追加 

JIS Z 8401を引用して,数値の丸
め方を追加した。 

数値の丸め方を明確にするため,JISを引
用したので,技術的な差は軽微である。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2285:2013,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

3

K

 6

2

7

3

2

0

1

8